(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】ウェハの処理のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20220422BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544565
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2020052344
(87)【国際公開番号】W WO2020157229
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】102019102492.7
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594102418
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer-Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D-80686 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】特許業務法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジマー,マルティン
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA34
5F131BA18
5F131CA32
5F131CA62
5F131DA02
5F131DA22
5F131DA42
5F131DA62
5F131DC22
5F131DD32
5F131DD52
5F131DD82
5F131DD85
(57)【要約】
本発明は、ウェハの処理のための装置および方法に関するものである。本発明によれば、ウェハは、ウェハの処理に使用される処理溶液中を鉛直に配列した状態で搬送される。これにより、処理速度の向上、排気の後処理の簡略化、および処理溶液内の成分の消費量の削減が可能になる。本発明は、特に、太陽電池や、プリント基板、例えば電気産業用のプリント基板の製造に使用することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを化学処理溶液で処理する装置であって、搬送手段(2)及び押さえ付け手段(3)と、前記化学処理溶液を保持するための少なくとも1つの処理槽(4)とを備え、前記処理槽(4)の少なくとも一方の側面が囲い込みデバイス(21)によって制限される装置であって、前記囲い込みデバイス(21)は、前記搬送手段(2)と前記押さえ付け手段(3)との間で、鉛直に配列したウェハを前記処理槽(4)に入るように、及び、前記処理槽(4)から出るように、水平移動方向にガイド可能に設計されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記囲い込みデバイス(21)は、鉛直に配列した前記ウェハがその中を通るようにガイドするための少なくとも1つの鉛直方向に延在するスロット(22)を備える、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記スロット(22)は、10mm~1000mmの範囲の高さを有する、装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の装置であって、前記スロット(22)は、220μm~1000μmの範囲の幅を有する、装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の装置であって、前記囲い込みデバイス(21)は、鉛直に配列した前記ウェハがその中を通るようにガイドするための2~1000個の鉛直方向に延在するスロット(22)を備える、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記スロット(22)のそれぞれの間の距離は、前記スロット(22)の幅の2倍~100倍である、装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の装置であって、前記スロット(22)のそれぞれの間の距離は、0.4mm~40mmである、装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の装置であって、前記囲い込みデバイス(21)は、前記囲い込みデバイス(21)が開位置及び閉位置となることができるように移動可能に構成され、前記開位置においては、鉛直に配列した前記ウェハを前記処理槽(4)に入れるガイド、および/または、鉛直に配列した前記ウェハを前記処理槽(4)から出すガイドが可能となる、装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置であって、前記搬送手段(2)と前記押さえ付け手段(3)との間の距離は、10mm~1000mmの範囲である、装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の装置であって、前記搬送手段(2)および/または前記押さえ付け手段(3)は、前記ウェハを保持する少なくとも1つの凹部を備える、装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の装置であって、前記囲い込みデバイス(21)は、前記処理槽(4)の両側のそれぞれに存在する2つの囲い込みデバイス(21a、21b)の形態で設計される、装置。
【請求項12】
化学処理溶液を用いてウェハを処理するインライン方法であって、前記方法は、
a)鉛直に配列したウェハを用意し、
b)処理溶液が内部に存在する処理槽(4)を設け、
c)鉛直に配列した前記ウェハを、前記処理槽(4)に入るようにガイドし、
d)鉛直に配列した前記ウェハを、前記ウェハが前記処理溶液と接触するように、前記処理槽(4)およびその中に存在する前記処理溶液を通るようにガイドし、
e)鉛直に配列した前記ウェハを、前記処理槽(4)から出すようにガイドする、
ステップを含み、ステップc)~e)における入るようなガイド、通るようなガイド、及び、出すようなガイドは、実質的に水平な移動方向で行われる、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、2~1000列のウェハが同時に並んで処理槽(4)を通って搬送される、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記処理槽(4)を通って同時に並んで搬送される2列のウェハのそれぞれの間の距離は、0.4mm~40mmである、方法。
【請求項15】
太陽電池および/またはプリント基板の製造のための、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハを処理するための装置および方法に関するものである。ここで提案されるものは、ウェハの処理に用いられる処理溶液中においてウェハを鉛直に配列して搬送することであり、これにより、処理能力の向上、排気の後処理の簡略化、および処理溶液内の成分の消費量の削減が可能になる。本発明は、特に、太陽電池やプリント基板(例えば、電気産業用のプリント基板)の製造に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
多結晶シリコン太陽電池を用いた太陽電池の製造が知られており、この製造は湿式化学テクスチャ化工程を有する。この工程は通常、
図1に示すような連続通過型プラント(インラインエッチングプラント)において行われる。ここでは、水平に配列するウェハ(1)が搬送ロール(2)に乗ってプラント内に搬送される。押さえ付けロール(3)により、ウェハと搬送ロールとの間の接触を失わないようにすることができる。プラント内には、スプレーまたは浸漬によってウェハが化学処理溶液に晒される領域がある。処理溶液は、処理槽(4)内に存在してもよい。溢れ出た溶液は、パイプを介して再びタンク(5)に戻され、そこからポンプ(6)を使って再び処理槽に送り込まれる。この方法では、処理溶液のレベルが、搬送ロールと押さえ付けロールの最初と最後の対によって搬送ロール領域内に留まっており、ウェハが完全に処理溶液に浸されるようになっている。搬送ロールと押さえ付けロールの間の隙間は、ウェハの厚さ(通常は約200μm)に相当するため、無視することができる。
【0003】
テクスチャ化には、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)の溶液が用いられる。この溶液は、シリコンとの強い発熱反応により、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)と一酸化窒素(NO)となり、さらに空気中の酸素と接触して二酸化窒素(NO2)になる。
【0004】
この方法では、ウェハが水平に整列した状態でプラント内をガイドされるため、ウェハの最大面積が必要となり、同時に処理できるウェハの数が制限され、プラントの処理能力が低下する。そのため、処理能力の向上は、処理時間の短縮、または、プラントの大型化と処理速度の向上の組み合わせによってのみ達成できる。処理時間は60秒~90秒であり、すでに非常に短いため、安定した処理を維持しながらこれ以上短縮することは、ほとんど不可能である。処理速度の向上とプラントの大型化は、必要な材料が増え、かつ、プラントを大型化するための投資コストが大きくなるため、経済的観点からはあまり有益とはいえない。
【0005】
ウェハの処理については、基本的にインライン方式とバッチ方式とに大別される。インライン方式では、ウェハを一列に並べてプラント内を搬送する。複数のウェハの列を同時に並べて搬送することも可能である(マルチレーンインライン方式)。一方、バッチ方式では、ウェハはベルトコンベアなどの上に横たわった状態で個別に搬送されるのではなく、複数のウェハが積み重ねられた状態で搬送手段を用いて搬送される。
【0006】
特許文献1では、搬送用バッチ装置にインラインプラント内のウェハを装填し、バッチ方式でプラント内を搬送する装置が提案されている。その結果、このような積み上げられた複数のバッチがプラント内をガイドされ、プラントの終段において再びシンギュレーション(単数化)が行われる。バッチモードでの搬送は、搬送中のウェハを鉛直に配列することは実施され得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006054846号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、インライン方式とバッチ方式を組み合わせるには、機械的にも搬送的にも高度な積み上げとシンギュレーションが必要となる。インライン方式では、鉛直に配列したウェハを搬送することは想定されていない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、先行技術の欠点を克服したウェハの処理のための装置および方法を提供することである。特に、処理能力の向上が可能になる。さらに、排気の後処理を簡略化するとともに、処理溶液内の成分の消費量の削減を達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本課題は、特許請求の範囲の主題によって解決される。特に、本課題は以下の装置によって解決される。すなわち、ウェハを化学処理溶液で処理する装置であって、搬送手段(2)及び押さえ付け手段(3)と、化学処理溶液を保持するための少なくとも1つの処理槽(4)とを備え、処理槽(4)の少なくとも一方の側が囲い込みデバイス(21)によって制限される装置であって、囲い込みデバイス(21)は、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間で、鉛直に配列したウェハを、処理槽(4)に入るように、及び、処理槽(4)から出るように水平移動方向にガイド可能に設計されていることを特徴とする装置である。例示的な実施形態による本発明の装置は、
図2および
図5に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、先行技術の装置の断面図を示す。ウェハ(1)は、水平に配列した状態で装置内を搬送される。処理槽(4)は、搬送ロール(2)と押さえ付けロール(3)によって制限される。溢れ出た溶液は、パイプを通してタンク(5)に戻され、そこからポンプ(6)によって再び処理槽(4)に送り込まれる。矢印は、溶液の流れの方向を示す。
【
図2】
図2は、本発明の装置の断面図を示す。ウェハ(1)は、鉛直に配列した状態で装置内を搬送される。この装置は、化学処理溶液を保持するための処理槽(4)を備える。処理槽(4)は、囲い込みデバイス(21)によって2つの側面が制限される。溢れ出た溶液は、パイプを通してタンク(5)に戻され、そこからポンプ(6)によって再び処理槽(4)に送り込まれる。矢印は、溶液の流れの方向を示す。化学処理溶液によるウェハ(1)の処理は、処理溶液がその中に存在している状態で、ウェハ(1)が処理槽(4)を通るようにガイドすることによって行われる。囲い込みデバイス(21)は、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間で、鉛直に配列したウェハ(1)を、水平移動方向において処理槽(4)内に入れ、処理槽(4)から出すようにガイドできるように設計されている。
【
図3】
図3は、鉛直に配列された状態で搬送されるウェハの通路であるスロット(22)を有する囲い込みデバイス(21)の正面図を示す。
【
図4】
図4は、搬送ロール(2)と押さえ付けロール(3)の間にウェハ(1)が鉛直に配列された状態の正面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の装置の斜視図を示す。囲い込みデバイス(21)は、搬送手段(2)と押さえ付け手段との間で、鉛直に配列したウェハ(1)を水平移動方向において溶液槽(4)に入れ、溶液槽(4)から出すようにガイドできるように設計されている。なお、理解しやすいように、押さえ付け手段は図示されていない。
【
図6】
図6は、鉛直に配列された状態で装置内を搬送されるウェハ(1)を有する本発明の装置の断面図を示す。囲い込みデバイス(21)は、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間で、鉛直に配列したウェハ(1)を水平移動方向において溶液槽(4)に入れ、溶液槽(4)から出すようにガイドできるように設計されている。図示されているのは、囲い込みデバイス(21)が、2つの堰21a、21bにより装填領域が形成され、2つの堰21c、21dにより非装填領域が形成されるように設計されている実施形態である。堰21a、21b、21c、21dは、それぞれ格納可能な堰である。装填、及び、非装填を行うために、まず、堰21a、21cを下降させてウェハを装填/非装填領域に移動できるようにする(
図6(A))。その後、堰21a、21cを閉位置に遷移させて、
図6(B)に示す配置になるようにする。堰21bおよび21dを開位置に遷移させた後、装填されるウェハ(1)は処理領域に移動され、装填されていないウェハ(1)は非装填領域から離れる(
図6(C)および
図6(D))。装填領域および非装填領域が再び空になると、その後、堰21bおよび21dが閉位置に遷移され、堰21aおよび21bが開位置に遷移され、次のウェハ(1)のそれぞれが装填領域および非装填領域に移動することができ、再び
図6(A)に示す配置になる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、「鉛直」および「水平」という用語が使用される場合、特に明記しない限り、それぞれ「実質的に鉛直」および「実質的に水平」を意味する。基準点として、好ましくは、処理槽(4)に存在している処理溶液の表面を使用し得る。処理溶液の起伏やその他の動きがない場合、この表面は水平の向きとなっている。よって、処理溶液の表面に対して垂直である面ベクトルは、鉛直となる。したがって、「実質的に水平」という表現は、好ましくは、処理槽(4)内に存在する処理溶液の表面に対して実質的に平行な向きまたは動きを示す。一方、「実質的に鉛直」という表現は、処理槽(4)内に存在する処理溶液の表面に対して実質的に直交する向きまたは動きを示す。
【0013】
好ましくは、実質的に水平の向きとなっている面に対して垂直な面ベクトルは、処理溶液の表面に対して垂直な面ベクトルと、最大で20°、さらに好ましくは最大で10°、さらに好ましくは最大で5°、さらに好ましくは最大で1°、さらに好ましくは約0°の角度を形成する。好ましくは、実質的に水平な移動方向のベクトルは、処理溶液の表面に対して垂直な面ベクトルと、最小で70°かつ最大で110°、さらに好ましくは最小で80°かつ最大で100°、さらに好ましくは最小で85°かつ最大で95°、さらに好ましくは約90°の角度を形成する。
【0014】
好ましくは、実質的に鉛直に配列する面に対して垂直な面ベクトルは、処理溶液の表面に対して垂直な面ベクトルと、最小で70°かつ最大で110°、さらに好ましくは最小で80°かつ最大で100°、さらに好ましくは最小で85°かつ最大で95°、さらに好ましくは約90°の角度を形成する。好ましくは、実質的に鉛直な移動方向のベクトルは、処理溶液の表面に対して垂直な面ベクトルと、最大で20°、さらに好ましくは最大で10°、さらに好ましくは最大で5°、さらに好ましくは最大で1°、さらに好ましくは約0°の角度を形成する。
【0015】
本発明の装置は、化学処理溶液でウェハを処理するための装置である。好ましくは、本発明による装置の働きにより、シリコンウェハ、特に多結晶シリコンウェハまたは単結晶シリコンウェハは、テクスチャ化の処理がなされる。したがって、好ましくは、ウェハの処理はテクスチャ化である。このようなウェハのテクスチャ化は、主に太陽電池の製造において知られており、用いられている。好ましくは、多結晶ウェハに使用される処理溶液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)を含み、単結晶ウェハに使用されるものは、水酸化カリウム水溶液(KOH)と1種類以上の有機添加物の混合物を含む。
【0016】
本発明の装置は、化学処理溶液を保持する処理槽(4)を含む。また、この装置は、例えば、複数のウェハを並行して処理するために、あるいは1つのウェハを異なる処理溶液で順次処理するために、複数の処理槽(4)を有してもよい。また、同じ処理槽(4)において、複数のウェハを同時におよび/または順次処理することも可能である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、長方形の底面を有する処理槽(4)が使用される。処理槽(4)の幅は、主に、平行処理されなければならないウェハの数と、それらの厚さおよび互いの距離に応じて定まる。処理槽(4)の幅は、好ましくは100mm~1000mm、さらに好ましくは200mm~800mm、さらに好ましくは500mm~700mmの範囲に含まれる。処理槽(4)の長さは、主に、ウェハが処理槽(4)内にあるべき所望のプロセス時間に応じて定まる。また、処理槽(4)を通るウェハの搬送速度を考慮しなければならない。処理槽(4)の長さは、好ましくは100mm~5000mm、さらに好ましくは300mm~4000mm、さらに好ましくは800mm~3000mmの範囲に含まれる。処理槽(4)の高さは、主に、処理されるべきウェハの大きさに応じて定まり、鉛直に配列されているため、その長さと幅に応じて定まる。好ましくは、処理槽(4)は、処理槽(4)内のウェハが処理溶液に完全に浸されるように、ウェハの高さを上回る高さまで処理溶液をためることができる高さを有する。処理槽(4)の高さは、好ましくは20mm~2000mm、さらに好ましくは50mm~1000mm、さらに好ましくは100mm~500mm、さらに好ましくは150mm~300mm、さらに好ましくは160mm~250mm、さらに好ましくは180mm~220mmの範囲に含まれる。
【0018】
本発明の装置は、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)を備える。搬送手段(2)は、装置内でのウェハの搬送に使用される。押さえ付け手段(3)は、ウェハと搬送手段(2)との接触を失わないようにする。搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)は、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)の間でウェハを鉛直に配列でき、かつ、ウェハを装置内で水平移動方向において、特に処理槽(4)に入り、処理槽(4)を通り、処理槽(4)から出るようにガイドするように設けられる。
【0019】
搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)の間の距離は、好ましくは、従来技術のようにウェハの厚さではなく、実質的にはウェハの長さまたは幅に対応する。搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間の距離は、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間のウェハの鉛直方向の配置によって定められる。ある実施形態では、搬送手段(2)および/または押さえ付け手段(3)は鉛直方向に移動可能に配置されており、その結果、それらの間の距離を処理されるウェハの長さまたは幅となるように柔軟に調整できる。通常、ウェハの長さはウェハの幅に対応する。したがって、通常、ウェハは正方形の底面積を有する。
【0020】
搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間のクリアランスは、好ましくは10mm~1000mm、さらに好ましくは20mm~500mm、さらに好ましくは50mm~300mm、さらに好ましくは100mm~200mm、さらに好ましくは150mm~170mmの範囲に含まれ、さらに好ましくは約156mmである。
【0021】
好ましくは、装置内では、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)が実質的に互いに平行に整列されている。このことは、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間のウェハの鉛直方向の配置にも有利となる。
【0022】
搬送手段(2)および/または押さえ付け手段(3)は、例えば、コンベヤベルトの形態で設計されていてもよい。そのような本発明の実施形態は可能であるが、しかしながら、あまり有利ではない。なぜなら、そのようなコンベアベルトが、ウェハとともに、装置内において、特に処理槽(4)に入り、処理槽(4)を通り、処理槽(4)から出るようにガイドされることになるためである。そのため、ウェハの処理槽(4)の出入りのガイドの他に、搬送ベルトを処理槽(4)に入れるガイド、及び、コンベアベルトを処理槽(4)から出すガイドの問題があり、これにより、囲い込みデバイス(21)の設計の幅がかなり制限される。
【0023】
したがって、搬送手段(2)が搬送ロール(2)であり、押さえ付け手段(3)が押さえ付けロール(3)であるのが特に好ましい。ロール形態での設計は、ウェハが装置を通る、特に処理槽(4)に入る、処理槽(4)を通る、及び、処理槽(4)から出るような搬送が、搬送手段(2)および押さえ付け手段(3)自体が処理槽(4)に入り、処理槽(4)を通り、及び、処理槽(4)から出るようにガイドされる必要なく、可能となるという利点がある。搬送ロール(2)と押さえ付けロール(3)は所定の位置に固定されていることが、特に好ましい。したがって、ウェハの搬送中、好ましくは、ロールは回転運動のみを実行し、並進運動は実行しない。したがって、ロールは装置内でウェハとともに移動せず、所定の位置に留まるのが好ましい。これにより、囲い込みデバイス(21)を設計する際に、様々な自由度が得られる。なぜならば、処理槽(4)に入り、処理槽(4)を通り、処理槽(4)から出るウェハの搬送を可能にしなければならないが、搬送手段(2)、及び、押さえ付け手段(3)は、処理槽(4)内に入り、処理槽(4)を通り、処理槽(4)から出る必要がないので、それらの搬送を可能にしなくてもよいためである。その代わりに、処理槽の内側と外側において、それぞれ所定の位置に留まる搬送ロール(2)と押さえ付けロール(3)が設けられるのが好ましい。
【0024】
好ましくは、搬送手段(2)および/または押さえ付け手段(3)は、ウェハを保持するための少なくとも1つの凹部、好ましくはウェハ毎にちょうど1つの凹部を有する。これは、ウェハを横方向の傾斜から保護するのに有利である。
【0025】
搬送ロール(2)と押さえ付けロール(3)の間に存在するウェハ(1)を用いた例示的な実施形態が
図4に示されている。
【0026】
本発明の装置は、化学処理溶液を保持するための少なくとも1つの処理槽(4)を備え、処理槽(4)は、囲い込みデバイス(21)により少なくとも一方の側面が制限される。化学処理溶液によるウェハの処理は、処理溶液を中に備える処理槽(4)にウェハをガイドすることによって実現される。以下に詳細に説明するように、囲い込みデバイス(21)は、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間で、鉛直に配列されたウェハが水平移動方向にガイドされて、処理槽(4)に入り、処理槽(4)から出るように設計されている。したがって、囲い込みデバイス(21)は、一例として、処理槽(4)の他の境界壁とは違っていてもよい。この一例においては、囲い込みデバイス(21)は移動可能に構成され、その結果、囲い込みデバイス(21)が開位置および閉位置を取ることができ、開位置では、鉛直に配列されたウェハを処理槽(4)に入るようにガイドすることおよび/または鉛直に配列されたウェハを処理槽(4)から出すようにガイドすることが可能となる。例えば、鉛直に配列されたウェハをガイドするために、少なくとも1つの鉛直方向に延在するスロット(22)を囲い込みデバイス(21)に設けることも可能である。搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間で、鉛直に配列されたウェハが水平移動方向にガイドされ、処理槽(4)に入り、処理槽(4)から出るように囲い込みデバイス(21)が設計されることが保証されている限り、その他の設計に関して、囲い込みデバイス(21)は処理槽(4)の他の境界壁と同様に設計することができる。
【0027】
スロット(22)が可能な限り狭い場合、および/または囲い込みデバイス(21)が可能な限り厚い場合に、囲い込みデバイス(21)は、特に効果的な態様で動作する。これは、これらのそれぞれの場合によりスロット(22)の溶液抵抗が増加するためである。
【0028】
囲い込みデバイス(21)の厚さは、好ましくはウェハ長の少なくとも10%、さらに好ましくはウェハ長の少なくとも15%、さらに好ましくはウェハ長の少なくとも20%であるが、好ましくはウェハ長の最大50%、さらに好ましくはウェハ長の最大40%、さらに好ましくはウェハ長の最大30%である。囲い込みデバイス(21)の厚さは、好ましくは15mm~80mmの範囲であり、さらに好ましくは20mm~60mmの範囲であり、さらに好ましくは30mm~50mmの範囲である。
【0029】
スロット(22)の幅は、好ましくはウェハの厚さの最大で5倍、さらに好ましくは最大で3倍であるが、しかしながら好ましくはウェハの厚さの最小で1.1倍、さらに好ましくは最小で1.5倍である。スロット(22)の幅は、好ましくは220μm~1000μmの範囲にあり、さらに好ましくは300μm~600μmの範囲である。
【0030】
好ましくは、スロット(22)は入口側が面取りされている。すなわち、好ましくは、前面部とスロット(22)との間の縁が面取りされている。これにより、搬送系に公差がある場合でも、特に信頼性の高い態様でウェハを挿入することができる。
【0031】
好ましくは、スロット(22)の幅は、処理の流れ方向にテーパ構造となる。これにより、スロット(22)を通るウェハに対して良好にガイドできる。このような実施形態においては、上述のスロット(22)の幅は、最も狭い箇所でのスロット(22)の幅を意味することになる。スロット幅が先細りである場合、最も広い箇所でのスロット幅と最も狭い箇所でのスロット幅の比は、好ましくは1.1:1~2:1の範囲であり、さらに好ましくは1.2:1~1.5:1の範囲である。
【0032】
特定の好ましい実施形態では、囲い込みデバイス(21)の前の押さえ付け手段(3)は、溢れ出る溶液に抗して特に良好なガイドを保証できるように、付加的重量を備えるように設計される。
【0033】
本発明の装置は、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間でのウェハの整列と、このように保証された装置によるウェハの搬送から既に導出されたように、インライン方式を行うのに適している。インライン方式では、それぞれのウェハがプラント内で列をなして順次搬送される。また、複数の列のウェハを同時に並べて搬送することも可能である(マルチレーンインライン方式)。
【0034】
先行技術では、搬送ロール(2)と押さえ付けロール(3)によって処理槽(4)を問題なく制限することができる。これは、ウェハが水平に整列した状態で搬送される結果、搬送ロール(2)と押さえ付けロール(3)の間の距離がウェハの厚さに実質的に一致するためである。ウェハの厚さは非常に薄いので(通常は約200μm)、搬送ロール(2)と押さえ付けロール(3)との間の隙間によって、処理槽(4)からの憂慮する程の処理溶液の漏れが生じることはない。
【0035】
これとは対照的に、本発明の装置では、鉛直に配列されたウェハを、処理槽(4)に入れ、処理槽(4)を通り、処理槽(4)から出るようにインライン搬送を行う。ウェハが鉛直に配列しているため、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)の距離は、先行技術のようにウェハの厚さに対応するのではなく、ウェハの長さまたは幅に対応する。しかしながら、ウェハの底面積が正方形である通常の場合には、ウェハの長さと幅は、通常一致する。ウェハの長さ及び幅は、その厚さの何倍、通常は少なくとも100倍を上回る。したがって、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間の高さ方向の距離が大きいので、処理溶液が搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間の空間から漏れてしまい、ウェハの処理に十分な量の処理溶液が処理槽(4)に残らないため、処理槽(4)を搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間の区切りに用いることができない。
【0036】
処理槽(4)の全ての側面を共通の境界壁で制限することは、インライン方式を実行するのに適した装置としては満足のいく解決策ではない。なぜなら、鉛直に配列されたウェハを水平移動方向において、処理槽(4)に入れ、処理槽(4)から出すようにガイドできなくなるためである。むしろ、ウェハを鉛直に持ち上げ、境界壁を越えてガイドし、その後、処理槽(4)内に垂直に下げる必要があり、これはインライン方式との親和性が低い。
【0037】
したがって、本発明の装置の処理槽(4)は、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)の間で、鉛直に配列されたウェハを水平移動方向において、処理槽(4)に入れ、処理槽(4)から出すようにガイドできるように設計された囲い込みデバイス(21)によって、少なくとも一方の側面が制限される。処理槽(4)の他の側面の1つまたは複数も、このような囲い込みデバイス(21)によって制限されてもよい。しかしながら、この装置を用いてインライン方式を行うためには、このことは必要ではない。処理槽(4)は、少なくとも1つの側面がこのような囲い込みデバイス(21)により制限される状態で、十分である。このような実施形態では、ウェハは、処理槽(4)に入るようにガイドされたのと同じ側で、処理槽(4)から出るようにガイドされる。処理槽(4)のその他の側面は、例えば、処理槽(4)からの処理溶液の漏れを防ぐために通常の境界壁の形態で設計されてもよい。
【0038】
しかしながら、処理槽の1つの側面のみが囲い込みデバイス(21)となる上記の実施形態では、処理槽(4)に入るのと同じ側でウェハが処理槽(4)から出されるため、処理槽(4)内のウェハのより複雑な搬送ガイドが必要となる。したがって、好ましくは、本発明の装置は、処理槽(4)の両側に存在する2つの囲い込みデバイス(21a、21b)を備える。これにより、ウェハは、一方の側で処理槽(4)に入り、その処理槽(4)の反対側で処理槽(4)から出ることになるので、ウェハを処理槽(4)に入れ、処理槽(4)を通し、処理槽(4)から出すという直線的な搬送が可能になる。このような実施形態では、ウェハの移動方向を変更する必要はない。
【0039】
処理装置(21)の材料は、それぞれの用途、特にプロセス温度および/または化学エッチング溶液の成分に応じて定まる。
【0040】
本発明の処理装置(21)は、搬送手段(2)と押え付け手段(3)との間で、水平移動方向において、鉛直に配列されたウェハを処理槽(4)に入れ、処理槽(4)から出すようにガイドできるように設計されている。
【0041】
ある実施形態では、囲い込みデバイス(21)は、囲い込みデバイス(21)が開位置および閉位置を取ることができるように可動式に配置されており、開位置では、鉛直に配列されたウェハを処理槽(4)に入れるガイド、および/または、鉛直に配列されたウェハを処理槽(4)から出すガイドが可能である。例えば、鉛直に配列されたウェハを処理槽(4)へ入れるガイド、および/または、鉛直に配列されたウェハを処理槽(4)から出すガイドを可能にするために、下方に下げて開位置にする、または、上方に持ち上げ/引き上げて開位置にすることができるように、囲い込みデバイス(21)を設計してもよい。
【0042】
本発明のこのような設計は可能であるが、ある欠点を含む。なぜなら、このような設計では、囲い込みデバイス(21)が閉位置でなく開位置である場合に、化学処理溶液のかなりの量が処理槽(4)から漏れるためである。したがって、このように設計された囲い込みデバイス(21)を備える本発明の装置は、連続運転には使用できない。むしろ、処理槽(4)へのウェハの装填後には、囲い込みデバイス(21)が開位置にあることにより処理槽(4)から漏れ出た処理溶液が処理槽(4)の開口部を介して処理槽(4)へと再び供給されるように、囲い込みデバイス(21)を開位置から閉位置に変化させなければならない。このような操作は、プラントを介したウェハの搬送の停止を必要とする。囲い込みデバイス(21)が再び閉位置にある場合にのみ、処理溶液がまさに閉じられた処理槽(4)へと供給される。ウェハを処理槽(4)から出すガイドを行うために、囲い込みデバイス(21)を再び開位置にしなければならない。好ましくは、囲い込みデバイス(21)が開位置にある場合には、処理溶液が処理槽(4)から制御不能に漏出するのを防ぐために、その前に、処理溶液またはその少なくとも大部分が処理槽(4)から再び取り出される。
【0043】
処理槽(4)からの処理溶液の過度の漏出を防ぐために、囲い込みデバイス(21)は、2つの堰21、21bを介して装填領域が形成され、2つの堰21c、21dを介して非装填領域が形成されるように設計することもできる。このような設計は、例えば、
図6に示されている。ここでは、堰21a、21b、21c、21dのそれぞれが、収容可能な堰として示されている。別の方法として、堰を上方に持ち上げ、また、引き上げることで開位置にすることもできる。2つの堰がそれぞれ装填領域と非装填領域を形成することにより、処理槽(4)からの処理溶液の過度の漏出を防ぐことができる。同様の原理は、例えば、内陸輸送水路におけるロック構造として知られている。
【0044】
この動作モードでは、ウェハをグループごとに処理槽(4)に入れ、処理槽(4)から出すようにガイドするので、ウェハをグループに分ける必要がある。通常、2つの連続したウェハのグループの間の距離は、少なくとも1つのウェハ長になるので、その結果、必要なスペースが増加する。複数のウェハのグループを平行な状態で処理槽(4)に入れ、処理槽(4)から出すようにガイドするマルチレーンインライン方式では、実際にはそれぞれのウェハが互いに平行となることを、さらに保証しなければならない。なぜなら、そうでなければ、囲い込みデバイス(21)が開位置から閉位置に変更されるときに、囲い込みデバイス(21)によりラインから外れたウェハに望ましくない相互作用が発生する可能性があり、その結果、各ウェハおよび/または囲い込みデバイス(21)の損傷が生じる可能性があるからである。
【0045】
したがって、好ましくは、装置の連続的な運用を可能にする囲い込みデバイス(21)の設計である。好ましくは、囲い込みデバイス(21)は、鉛直に配列されたウェハをガイドするための少なくとも1つの鉛直方向に延在するスロット(22)を備える。シングルレーンインライン方式では、囲い込みデバイス(21)が、鉛直に配列されたウェハをガイドするために、ただ1つの鉛直方向に延在するスロット(22)を備えていれば十分である。マルチレーンインライン方式では、複数の列のウェハが同時に並んで搬送される。このような場合には、囲い込みデバイス(21)は、鉛直に配列されたウェハをガイドするための1つ以上の鉛直方向に延在するスロット(22)を備えてもよい。特に、スロット(22)の数は、並行して処理されるウェハの列の数と対応するのが望ましい。好ましい実施形態では、囲い込みデバイス(21)は、鉛直に配列されたウェハをガイドするための2~1000、さらに好ましくは5~500、さらに好ましくは10~200、さらに好ましくは20~100、さらに好ましくは30~50の鉛直方向に延在するスロット(22)を備える。スロット(22)を備えた囲い込みデバイス(21)の例示的な実施形態が
図3に示されている。
【0046】
スロット(22)のそれぞれの間の距離は、並行して処理されるウェハの列の距離に依存する。スロット(22)のそれぞれの間の距離は、好ましくはスロット(22)の幅の2倍~100倍、さらに好ましくは5倍~50倍、さらに好ましくは10倍~30倍、さらに好ましくは20倍~25倍である。スロット(22)の互いの距離は、好ましくは0.4mm~40mm、さらに好ましくは1mm~10mm、さらに好ましくは2mm~6mm、さらに好ましくは4mm~5mm、さらに好ましくは4.5mm~4.9mm、さらに好ましくは4.7mm~4.8mmである。
【0047】
スロット(22)は、いくつかの異なる方法で囲い込みデバイス(21)に設けることができる。好ましくは、スロット(22)は、囲い込みデバイス(21)に加工形成される。他の好ましい実施形態では、特に3D印刷などの付加的な工程によって、囲い込みデバイス(21)はスロット(22)を既に備えている。
【0048】
好ましくは、スロット(22)の寸法は、鉛直に配列されたウェハの正面から見た図における寸法に実質的に対応する。これにより、処理槽(4)からの処理溶液の漏出の望ましくない増大を招きうるスロット(22)の不要な大型化を伴わず、鉛直に配列されたウェハをスロット(22)を介して水平移動方向にガイドすることができる。
【0049】
スロット(22)は、好ましくは10mm~1000mm、さらに好ましくは20mm~500mm、さらに好ましくは50mm~300mm、さらに好ましくは100mm~200mm、さらに好ましくは150mm~170mm、さらに好ましくは156mm~168mm、さらに好ましくは160mm~165mmの範囲の高さを有している。好ましくは、スロット(22)の高さは、搬送手段(2)と押さえ付け手段(3)との間の距離に実質的に対応する。
【0050】
スロット(22)の幅は、好ましくはウェハの厚さの最大5倍、さらに好ましくは最大3倍、また、好ましくはウェハの厚さの少なくとも1.1倍、さらに好ましくは少なくとも1.5倍である。スロット(22)の幅は、好ましくは220μm~1000μmの範囲であり、さらに好ましくは300μm~600μmの範囲である。
【0051】
スロット(22)の深さは、囲い込みデバイス(21)の深さに応じて定まる。好ましくは、スロット(22)の深さは、ウェハ長の少なくとも10%、さらに好ましくはウェハ長の少なくとも15%、さらに好ましくはウェハ長の少なくとも20%、または、好ましくはウェハ長の最大50%、さらに好ましくはウェハ長の最大40%、さらに好ましくはウェハ長の最大30%である。好ましくは、スロット(22)の深さは、15mm~80mmの範囲であり、さらに好ましくは20mm~60mmの範囲であり、さらに好ましくは30mm~50mmの範囲である。
【0052】
したがって、本発明による装置では、複数の列のウェハ(1)、特に2~1000列のウェハ(1)、例えば5~500列のウェハ(1)、10~200列のウェハ(1)、20~100列のウェハ(1)、または30~50列のウェハ(1)を、同じ処理槽(4)を通じて同時に並べて搬送することが可能である。処理槽(4)において並列された状態で同時に搬送される2列のウェハ(1)のそれぞれの間の距離は、好ましくは0.4mm~40mm、さらに好ましくは1mm~10mm、さらに好ましくは2mm~6mm、さらに好ましくは4mm~5mm、さらに好ましくは4.5mm~4.9mm、さらに好ましくは4.7mm~4.8mmである。
【0053】
装置は、好ましくは、化学処理溶液をタンク(5)から処理槽(4)に搬送できるように、処理槽(4)と接続されたタンク(5)を備える。好ましくは、装置は、タンク(5)から処理槽(4)に化学処理溶液を搬送するためのポンプ(6)を備える。
【0054】
好ましくは、装置は、処理槽(4)から漏出する処理溶液を受け付けるために、少なくとも1つの収集槽を備える。好ましくは、収集槽で受け付けた処理溶液をタンク(5)に戻すことができるように、収集槽はタンク(5)と接続されている。このようにして、処理槽(4)から漏出した処理溶液を失うことなく、再びウェハの処理に利用できる。
【0055】
また、本発明は、化学処理溶液によりウェハを処理するためのインライン方法に関するものであって、インライン方法は、
a)鉛直に配列したウェハを用意し、
b)処理溶液が内部に存在する処理槽(4)を設け、
c)鉛直に配列したウェハを、処理槽(4)に入るようにガイドし、
d)鉛直に配列したウェハを、ウェハが処理溶液と接触するように、処理槽(4)およびその中に存在する処理溶液を通るようにガイドし、
e)鉛直に配列したウェハを、処理槽(4)から出すようにガイドする、
ステップを含み、
ステップc)~e)における入るようなガイド、通るようなガイド、及び、出すようなガイドは、実質的に水平な移動方向で行われる。好ましくは、本発明の方法は、本発明の装置を用いて実行される。
【0056】
本発明の方法は、インライン方式である。インライン方式では、ウェハはプラント内を一列に並んで次々と搬送される。また、複数の列のウェハを同時に並べて搬送することも可能である(マルチレーンインライン方式)。
【0057】
好ましくは、数列のウェハ(1)、特に2~1000列のウェハ(1)、例えば5~500列のウェハ(1)、10~200列のウェハ(1)、20~100列のウェハ(1)、または30~50列のウェハ(1)が、並列されて同時に処理槽(4)を通るように搬送される。並列されて同時に処理槽(4)を通るように搬送される2列のウェハ(1)の間の距離は、好ましくは、0.4mm~40mm、さらに好ましくは1mm~10mm、さらに好ましくは2mm~6mm、さらに好ましくは4mm~5mm、さらに好ましくは4.5mm~4.9mm、さらに好ましくは4.7mm~4.8mmである。
【0058】
本発明の方法は、ウェハを化学処理液で処理する方法である。好ましいウェハは、シリコンウェハ、特に多結晶シリコンウェハである。ウェハの処理は、好ましくはテクスチャ化である。このようなウェハのテクスチャ化は、主に太陽電池の製造において知られており、利用されている。好ましくは、使用される処理溶液は、フッ化水素酸(HF)および硝酸(HNO3)を含む。
【0059】
本発明による方法のステップa)によれば、鉛直に配列したウェハが提供される。ウェハの長さと幅は、その厚さの数倍、通常は100倍~1000倍を上回る。このことから、ウェハは、ウェハの長さと幅によってそれぞれが定められる2つの主面を持つことになる。また、円形の主面を持つウェハも考えられるが、その場合主面は円周によって区切られる。ウェハの実質的に鉛直な配列とは、ウェハの両方の主面が、それらの主面に対して垂直な面ベクトルのそれぞれが実質的に水平な配向となるように配置されることを意味する。好ましくは、両主面の面ベクトルは、本方法のステップc)~e)の動きに応じたウェハの水平移動方向のベクトルと、最小で70°かつ最大で110°、さらに好ましくは最小で80°かつ最大で100°、さらに好ましくは最小で85°かつ最大で95°、さらに好ましくは約90°の角度を形成する。
【0060】
本発明による方法のステップb)によれば、処理溶液がその中に存在する処理槽(4)が設けられる。好ましくは、処理溶液は、多結晶ウェハのテクスチャ化の場合には、フッ化水素酸(HF)および硝酸(HNO3)を含み、単結晶ウェハのテクスチャ化の場合には、水酸化カリウム溶液(KOH)および1つ以上の有機添加物の混合物を含む。
【0061】
処理溶液によるウェハの処理は、ウェハが処理槽(4)内にある処理溶液と接触するように、ウェハを処理槽(4)を通るようにガイドすることによって行われる。ウェハを処理槽(4)に入れるガイドと、ウェハを処理槽(4)から出すガイドとの間の時間は、多結晶ウェハの場合、好ましくは15~180秒、さらに好ましくは30~120秒、さらに好ましくは60~90秒であり、単結晶ウェハの場合、好ましくは0.5~15分、さらに好ましくは1~10分、さらに好ましくは2~6分である。
【0062】
本発明の方法のステップc)~e)における、(鉛直に配列したウェハの)入るガイド、通るガイド、及び、出すガイドのステップは、実質的に水平な移動方向で行われる。これは、ステップc)~e)の間、処理溶液の表面から各ウェハの重心までの距離が実質的に変化しないように、ウェハがガイドされることを意味する。好ましくは、ステップc)~e)の間における処理溶液の表面からの各ウェハの重心までの最大距離と最小距離との間の差は、それぞれのウェハの長さの最大20%、さらに好ましくは最大10%、さらに好ましくは最大5%、さらに好ましくは最大2%、さらに好ましくは最大1%である。
【0063】
本方法のステップc)~e)の間のウェハの移動速度は、好ましくは0.5m/min~10m/minの範囲であり、さらに好ましくは1m/min~6m/minの範囲である。
【0064】
本発明は、また、太陽電池および/またはプリント基板の製造のための装置および/または方法の使用に関するものである。
【実施例】
【0065】
鉛直に配列するウェハの処理プラント内の搬送
搬送に関しては、端部に沿って、かつ、表面に平行な状態で、ウェハは処理プラントを通って移動される。そのため、ウェハ1枚あたりに必要なスペースは、約160×160mm2から160×5mm2に縮小され、並行して処理できるウェハの数が大幅に増加し、プラントの処理能力が大幅に向上する。
【0066】
搬送中にウェハを水平に配列させることが前提となっていた従来技術とは対照的に、本方法では、搬送ロールと押さえ付けロールによってのみ囲い込みを実現することはもはや不可能である。これは、両ロール間の距離がウェハの端部の長さ(156mm)と対応するためである。そのため、囲い込みデバイス(21)の追加構成が必要となる。この囲い込みデバイス(21)には、複数(ウェハの数に対応した数)のスロット(22)が設けられており、このスロットを介してウェハを囲い込まれた処理溶液に移動させることができる。本例では、50枚のウェハが並行して処理されるために、囲い込みデバイス(21)には50個のスロット(22)が設けられている。
【0067】
ウェハの鉛直の配列を可能な限り正確にするために、搬送ロール(2)および押さえ付けロール(3)は、ウェハがロールの小さな凹部においてガイドされて横方向への傾きを防ぐような構成を備える。
【0068】
ウェハを鉛直に配列して搬送することで、処理能力を大幅に向上させることができる。
【0069】
処理能力の向上に加えて、同時に処理されるウェハの数と対応する溶液の表面を大幅に小さくできる。そのため、窒素酸化物がより濃縮されて排気中に放出され、その後処理を簡略化できる。
【0070】
さらに、溶液表面が小さくなることにより、排気中の窒素酸化物の総量を減少できる。
窒素酸化物の一部は処理液中に残り、そこでさらに反応する。これにより、エッチング工程での硝酸の消費量を削減できる。
【国際調査報告】