(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】蒸気供給システム用のアトマイザ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/44 20200101AFI20220422BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20220422BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20220422BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/42
A24F40/465
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021551781
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 GB2020050586
(87)【国際公開番号】W WO2020188244
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA07
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC17
4B162AC22
4B162AC27
4B162AD03
4B162AD15
4B162AD23
(57)【要約】
電子蒸気供給システム用のエアロゾル源が、エアロゾル化可能な基材材料を保持するためのリザーバ(50)を画定するリザーバハウジング(42)と、リザーバからのエアロゾル化可能な基材材料を気化のために送達可能である細長いアトマイザ(70)とを備え、アトマイザが、多孔性を有し、誘導加熱用のサセプタを備え、第1の端部及び第2の端部を有し、アトマイザが、その端部のうちの一方の端部のみで取り付けられて、支持されていないカンチレバー部分を有する片持ち式の配置で、取り付けられた前記端部で支持され、サセプタが、リザーバハウジングの外部境界に対して外方向に延びる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子蒸気供給システム用のエアロゾル源であって、
エアロゾル化可能な基材材料を保持するためのリザーバを画定するリザーバハウジングと、
前記リザーバからのエアロゾル化可能な基材材料を気化のために送達可能である細長いアトマイザと
を備え、
前記アトマイザが、多孔性を有し、誘導加熱用のサセプタを備え、第1の端部及び第2の端部を有し、前記アトマイザが、その端部のうちの一方の端部のみで取り付けられて、支持されていないカンチレバー部分を有する片持ち式の配置で、取り付けられた前記端部で支持され、前記サセプタが、前記リザーバハウジングの外部境界に対して外方向に延びる、エアロゾル源。
【請求項2】
前記アトマイザが、前記第1の端部と前記第2の端部との間の長さl=l1+l2を有し、長さl1を有する取付け部分にわたって支持されるように取り付けられ、かつ、長さl2を有する前記カンチレバー部分にわたって支持されないように取り付けられ、l1が、lに対して実質的に15%~40%の範囲の比率である、請求項1に記載のエアロゾル源。
【請求項3】
l1が、lに対して実質的に20%~35%の範囲の比率である、請求項2に記載のエアロゾル源。
【請求項4】
l1が、実質的にlの25%である、請求項3に記載のエアロゾル源。
【請求項5】
前記アトマイザが、気化のために前記リザーバから前記サセプタにエアロゾル化可能な基材材料を送達するために、前記サセプタに隣り合わせて多孔質要素を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル源。
【請求項6】
前記多孔質要素がセラミックロッドを備え、前記サセプタが、前記カンチレバー部分の少なくとも一部を覆う金属シート層を備える、請求項5に記載のエアロゾル源。
【請求項7】
前記金属シート層が、前記セラミックロッドが配置される中空の金属管状要素を備える、請求項6に記載のエアロゾル源。
【請求項8】
前記多孔質要素が、繊維材料の一部を含み、前記サセプタが、前記繊維材料が保持される内部空間を画定するように形状設定された金属シート材料の一部分を備える、請求項5に記載のエアロゾル源。
【請求項9】
前記繊維材料が、綿又はオーガニックコットンから成る、請求項8に記載のエアロゾル源。
【請求項10】
前記アトマイザが、前記多孔性をもたらすように、かつ、前記サセプタとして機能するように構成された多孔質導電性材料の一部を含む、請求項5に記載のエアロゾル源。
【請求項11】
前記カンチレバー部分の少なくとも一部が配置されているエアロゾルチャンバを画定するために、前記リザーバハウジングから延びるエンクロージャをさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル源。
【請求項12】
前記エンクロージャが前記リザーバハウジングと一体に形成されている、請求項11に記載のエアロゾル源。
【請求項13】
前記エンクロージャが前記リザーバハウジングに結合されている、請求項11に記載のエアロゾル源。
【請求項14】
前記リザーバハウジングに形成されたソケット、又は前記アトマイザを取り付けるために前記アトマイザの前記取り付けられた端部が挿入される前記リザーバハウジングに結合された構成要素に形成されたソケットをさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル源。
【請求項15】
前記ソケットが形成される流れ誘導部材をさらに備え、前記流れ誘導部材が、前記リザーバを封止するために前記リザーバハウジングに結合され、エアロゾル化可能な基材材料が前記リザーバから前記アトマイザに流れるためのチャネル、及び前記アトマイザによって形成されたエアロゾルが空気流路に流れるためのチャネルを有する、請求項14に記載のエアロゾル源。
【請求項16】
前記リザーバ内にエアロゾル化可能な基材材料をさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル源。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル源を備える電子蒸気供給システム用のカートリッジ。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル源又は請求項17に記載のカートリッジを備え、さらに、誘導加熱によって前記サセプタを加熱するために電力を受け取るように構成されたコイルを備える、電子蒸気供給システム。
【請求項19】
前記コイルが前記アトマイザに直接隣り合わせて配置されている、請求項18に記載の電子蒸気供給システム又はカートリッジ。
【請求項20】
前記コイルが、前記カンチレバー部分の少なくとも一部が配置されているエアロゾルチャンバを画定する1つ又は複数の壁によって、及び/又は前記コイルのハウジングの1つ又は複数の壁によって、前記アトマイザから分離されている、請求項18に記載の電子蒸気供給システム又はカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気供給システム用のアトマイザ、及び蒸気供給システム用のカトマイザ、並びにそのようなアトマイザを備える蒸気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
気化された液体によってニコチンを送達するeシガレットや他の電子ニコチン送達システムなど、多くの電子蒸気供給システムは、カートリッジ又はカトマイザセクションとコントロールユニット(バッテリーセクション)との2つの主要な構成要素又はセクションから形成されている。カトマイザは、一般に、液体のリザーバと、液体を気化させるためのアトマイザとを含む。これらの部品は、ひとまとめにしてエアロゾル源と表されることがある。アトマイザは一般に、液体をリザーバから、加熱及び気化される場所に移送するために、多孔性又はウィッキング(毛細管作用)と加熱との機能を組み合わせる。例えば、これは、抵抗(ジュール)加熱のためにコイル又は他の形状で形成された抵抗ワイヤであり得る又は誘導加熱用のサセプタであり得る電気ヒータとして、及びリザーバから液体を吸収してヒータに運ぶ、ヒータに近接して毛細管機能又はウィッキング機能を有する多孔質要素として実装されることがある。コントロールユニットは、一般に、システムを動作させるために電力を供給するためのバッテリーを含む。バッテリーからの電力が送られてヒータが作動され、ヒータが加熱して、リザーバから送達された少量の液体が気化する。次いで、気化された液体がユーザによって吸引される。
【0003】
カトマイザの構成要素は、短期間の使用のみを意図されていることがあり、したがって、カトマイザはシステムの使い捨て構成要素であり、消耗品とも呼ばれる。対照的に、コントロールユニットは、典型的には、複数のカトマイザを用いた複数回の使用を意図されており、ユーザは各カトマイザを使い切ると交換する。消耗品のカトマイザは、あらかじめ液体が充填されたリザーバと共に消費者に供給され、リザーバが空になったときに廃棄されることを意図されている。液体は取り扱いが難しいことがあるので、利便性と安全性のために、リザーバは封止されており、簡単には補充できないように設計されている。新たな液体供給が必要とされるときにユーザがカトマイザ全体を交換する方が簡単である。
【0004】
これに関連して、カトマイザは、製造が簡単であり、少数の部品を備えることが望ましい。それにより、カトマイザを、最小限の廃棄物で低コストで効率的に大量生産することができる。したがって、シンプルな設計のカトマイザは興味深いものである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第1の態様によれば、電子蒸気供給システム用のエアロゾル源であって、エアロゾル化可能な基材材料を保持するためのリザーバを画定するリザーバハウジングと、リザーバからのエアロゾル化可能な基材材料を気化のために送達可能である細長いアトマイザとを備え、アトマイザが、多孔性を有し、誘導加熱用のサセプタを備え、第1の端部及び第2の端部を有し、アトマイザが、その端部のうちの一方の端部のみで取り付けられて、取り付けられた前記端部で、支持されていないカンチレバー部分を有する片持ち式の配置で支持され、サセプタが、リザーバハウジングの外部境界に対して外方向に延びる、エアロゾル源が提供される。
【0006】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第2の態様によれば、第1の態様によるエアロゾル源を備える電子蒸気供給システム用のカートリッジが提供される。
【0007】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第3の態様によれば、第1の態様によるエアロゾル源又は第2の態様によるカートリッジを備え、さらに、誘導加熱によりサセプタを加熱するために電力を受け取るように構成されたコイルを備える電子蒸気供給システムが提供される。
【0008】
特定の実施形態のこれら及びさらなる態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、特許請求の範囲に明示的に記載されたもの以外の組合せで、互いに及び独立請求項の特徴と組み合わせることができることを理解されたい。さらに、本明細書に記載の手法は、以下に記載されるような特定の実施形態に限定されず、本明細書に提示される特徴の任意の適切な組合せを含み、企図する。例えば、アトマイザ、又はアトマイザを含む蒸気供給システムは、適宜、以下に述べる様々な特徴の任意の1つ又は複数を含む本明細書で述べる手法に従って提供することができる。
【0009】
次に、本発明の様々な実施形態を、以下の図面を参照して単に例として詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】カトマイザ及びコントロールユニットを備える例示的なeシガレットを通る断面図である。
【
図2】本開示の態様を実施することができる例示的なカトマイザの外部斜視分解図である。
【
図3】組み立てられた構成での
図2のカトマイザの部分切欠き斜視図である。
【
図4】
図4、
図4の(A)、(B)、及び(C)は本開示の態様を実施することができるさらなる例示的なカトマイザの簡略された概略断面図である。
【
図5】本開示の態様を実施することができる、誘導加熱を採用する第1の例示的な蒸気供給システムの非常に概略的な断面図である。
【
図6】本開示の態様を実施することができる、誘導加熱を採用する第2の例示的な蒸気供給システムの非常に概略的な断面図である。
【
図7】一例による片持ち式アトマイザの概略側断面図である。
【
図8】別の例による片持ち式アトマイザの概略側断面図である。
【
図9】さらなる代替の例による片持ち式アトマイザの概略側断面図である。
【
図10】一例による多孔質セラミックロッドを備える細長いアトマイザの概略側断面図である。
【
図10A】サセプタの様々な構成の1つによる
図10のアトマイザの横断面図である。
【
図10B】サセプタの様々な構成の1つによる
図10のアトマイザの横断面図である。
【
図10C】サセプタの様々な構成の1つによる
図10のアトマイザの横断面図である。
【
図11】一例による折り曲げられた金属サセプタを備える片持ち式アトマイザの概略側面図である。
【
図12】別の例による多孔質金属材料から形成された片持ち式アトマイザの概略側面図である。
【
図13】片持ち式アトマイザと誘導加熱とを備える例示的な蒸気供給システムの一部の概略側断面図である。
【
図14】片持ち式アトマイザと誘導加熱とを備える例示的な蒸気供給システムの一部の概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、特定の例及び実施形態の態様及び特徴を論じ、また説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来通りに実現することができ、簡潔にするために、これらを詳細には論じたり説明したりはしない。したがって、詳細に述べていない本明細書で論じる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実現するための任意の従来の技法に従って実現することができることを理解されたい。
【0012】
上述したように、本開示は、eシガレットなどの電子エアロゾル又は蒸気供給システムに関する(但し、それに限定はしない)。以下の説明全体を通して、「eシガレット」及び「電子タバコ」という用語を時として使用することがある。しかし、これらの用語は、エアロゾル(蒸気)供給システム又はデバイスと互換的に使用されることがあることを理解されたい。これらのシステムは、ニコチンを含むことも含まないこともある液体又はゲルの形態での基材の気化によって、吸引可能なエアロゾルを生成することを意図されている。さらに、ハイブリッドシステムは、液体又はゲル基材と、固体基材とを備えることがあり、固体基材も加熱される。固体基材は、例えばタバコ、又はニコチンを含むことも含まないこともある他の非タバコ製品でもよい。本明細書で使用する「エアロゾル化可能な基材材料」という用語は、熱の適用又は何らかの他の手段によってエアロゾルを生成することができる基材材料を表すことを意図されている。「エアロゾル」という用語は、「蒸気」と互換的に使用されることがある。
【0013】
本明細書で使用するとき、「構成要素」という用語は、おそらく外部ハウジング又は壁内にいくつかのより小さい部品又は要素を組み込んだ電子タバコ又は同様のデバイスの部品、セクション、ユニット、モジュール、アセンブリなどを表すために使用される。電子タバコは、1つ又は複数のそのような構成要素から形成又は構築することができ、構成要素は、互いに着脱可能又は分離可能に接続可能にすることも、電子タバコ全体を画定するように製造中に恒久的に一体に接合することもできる。本開示は、互いに分離可能に接続可能であり、例えば液体又は別のエアロゾル化可能な基材材料を保持するエアロゾル化可能な基材材料の支持構成要素(カートリッジ、カトマイザ、又は消耗品)、及び基材材料から蒸気を生成するための要素を動作させるために電力を供給するためのバッテリーを有するコントロールユニットとして構成される2つの構成要素を含むシステムに適用可能である(但し、これらに限定されない)。具体例を提供するために、本開示では、エアロゾル化可能な基材材料の支持部分又は構成要素の例としてカトマイザを述べるが、本開示は、これに関して限定されず、エアロゾル化可能な基材材料の支持部分又は構成要素の任意の構成に適用可能である。そのような構成要素は、例に含まれている部品よりも多数又は少数の部品を含むこともある。
【0014】
本開示は、特に、システムに含まれるリザーバ、タンク、容器、又は他のレセプタクルに保持される液体又はゲルの形態でのエアロゾル化可能な基材材料を利用する蒸気供給システム及びその構成要素に関する。蒸気/エアロゾル生成のために基材材料を提供する目的で、リザーバから基材材料を送達するための構成体が含まれる。「液体」、「ゲル」、「流体」、「原料液体(source liquid)」、「原料ゲル」、「原料流体」などの用語は、本開示の例に従って貯蔵及び送達することができる形態を有するエアロゾル化可能な基材材料を表すために、「エアロゾル化可能な基材材料」及び「基材材料」と互換的に使用されることがある。
【0015】
図1は、eシガレット10などの一般的な例示的エアロゾル/蒸気供給システムの非常に概略的な図(縮尺通りではない)であり、典型的なシステムの様々な部品同士の関係を示し、一般的な動作原理を説明する目的で表されている。電子タバコ10は、この例では、破線で示される長手方向軸線に沿って延びる概して細長い形状を有し、2つの主要な構成要素、すなわち、コントロールユニット又は電力構成要素、電力セクション又は電力ユニット20と、エアロゾル化可能な基材材料を支持し、蒸気生成構成要素として動作するカートリッジアセンブリ又はセクション30(カトマイザ又はクリアロマイザ(clearomiser)と呼ばれることもある)とを備える。
【0016】
カトマイザ30は、例えばニコチンを含有する、エアロゾルが生成される液体又はゲルなどの製剤を含む原料液体又は他のエアロゾル化可能な基材材料を含むリザーバ3を含む。一例として、原料液体は、約1~3%のニコチン及び50%のグリセロールを含むことがあり、残部は、ほぼ等しい量の水及びプロピレングリコールを含み、場合によっては香料などの他の成分も含む。例えば香料を送達するために、ニコチンを含有しない原料液体を使用することもできる。液体から生成された蒸気が通過するタバコ又は他の香料要素の一部分など、固体基材(図示せず)も含まれることがある。リザーバ3は、貯蔵タンクの形態を有し、タンクの範囲内で自由に移動及び流動できるように原料液体を貯蔵することができる容器又はレセプタクルである。消耗品のカトマイザの場合、リザーバ3は、製造中に充填した後に封止し、原料液体が消費された後に使い捨てにすることができる。或いは、リザーバ3は、ユーザが新たな原料液体を追加することができる入口ポート又は他の開口部を有することができる。カトマイザ30はさらに、加熱による原料液体の気化によってエアロゾルを生成するために、リザーバタンク3の外部に配置された電気式の加熱要素又はヒータ4を備える。ウィック又は他の多孔質要素6などの液体移送又は送達構成体(液体移送要素)を提供して、原料液体をリザーバ3からヒータ4に送達することができる。ウィック6は、リザーバ3の内部に配置された1つ又は複数の部品を有することがあり、或いはリザーバ3内の液体と流体連通することがあり、原料液体を吸収し、ウィッキング又は毛細管作用によって、ヒータ4に隣り合っている又は接触しているウィック6の他の部分に原料液体を移送することができる。以て、この液体は加熱されて気化され、ウィック6によるヒータ4への移送のために、リザーバからの新たな原料液体によって置き換えられる。ウィックは、リザーバからヒータに液体を送達又は移送する、リザーバ3とヒータ4との間のブリッジ、経路、又は導管と考えることができる。導管、液体導管、液体移送経路、液体送達経路、液体移送機構又は要素、及び液体送達機構又は要素などの用語は全て、ウィック又は対応する構成要素若しくは構造を表すために、本明細書において互換的に使用されることがある。
【0017】
ヒータとウィック(同様のもの)との組合せは、アトマイザ又はアトマイザアセンブリと呼ばれることもあり、その原料液体を含むリザーバとアトマイザとが、総称してエアロゾル源と呼ばれることもある。他の用語として、液体送達アセンブリ又は液体移送アセンブリが含まれることもあり、本文脈において、これらの用語は、蒸気生成要素(蒸気生成器)と、リザーバから得られた液体を蒸気/エアロゾル生成のために蒸気生成器に送達又は移送するウィッキング又は同様の構成要素又は構造(液体移送要素)とを表すために互換的に使用することができる。
図1の非常に概略的な表現とは異なる形で部品を配置することができる様々な設計が可能である。例えば、ウィック6は、ヒータ4から完全に別個の要素でもよく、又はヒータ4は、多孔性であり、ウィッキング機能の少なくとも一部を直接実施することができるように構成されることもある(例えば金属メッシュ)。電気又は電子デバイスでは、蒸気生成要素は、オーム/抵抗(ジュール)加熱又は誘導加熱によって動作する電気式の加熱要素でもよい。したがって、一般に、アトマイザは、そこに送達される原料液体から蒸気を生成することができる蒸気生成又は気化要素、及びウィッキング作用/毛細管力によってリザーバ又は同様の液体貯蔵部から蒸気生成器に液体を送達又は移送することができる液体移送又は送達要素の機能を実装する1つ又は複数の要素と考えることができる。アトマイザは、典型的には、蒸気生成システムのカトマイザ構成要素に収容される。いくつかの設計では、液体は、別個のウィッキング又は毛細管要素を必要とせずに、リザーバから蒸気生成器に直接分配することができる。本開示の実施形態は、本明細書における例及び記載に適合する全てのそのような構成に適用可能である。
【0018】
図1に戻ると、カトマイザ30は、アトマイザ4によって生成されたエアロゾルをユーザが吸引することができる開口部又は空気出口を有するマウスピース又はマウスピース部分35をさらに含む。
【0019】
電力構成要素又はコントロールユニット20は、特にヒータ4を動作させるためにeシガレット10の電気構成要素に電力を供給するためのセル又はバッテリー5(本明細書では以後、バッテリーと呼ぶ。これは再充電可能でもよい)を含む。さらに、eシガレットを概して制御するためのプリント回路基板及び/又は他の電子機器若しくは回路などのコントローラ28が存在する。制御電子機器/回路28は、蒸気が必要とされるとき、例えばシステム10での吸引を検出する空気圧センサ又は空気流センサ(図示せず)からの信号に応答して、バッテリー5からの電力を使用してヒータ4を操作する。吸引中、空気がコントロールユニット20の壁の1つ又は複数の空気入口26を通って入る。加熱要素4が作動されると、加熱要素4は、液体送達要素6によってリザーバ3から送達された原料液体を気化してエアロゾルを生成し、次いで、このエアロゾルが、マウスピース35の開口部を通してユーザによって吸引される。エアロゾルは、ユーザがマウスピース35を吸うとき、空気入口26をエアロゾル源から空気出口につなぐ1つ又は複数の空気チャネル(図示せず)に沿って、エアロゾル源からマウスピース35に運ばれる。
【0020】
コントロールユニット(電力セクション)20とカトマイザ(カートリッジアセンブリ)30とは、
図1の両方向矢印で示されるように、長手方向軸線に平行な方向での分離によって互いに取り外し可能な別個の接続可能部品である。構成要素20、30は、デバイス10が使用されているとき、協働する係合要素21、31(例えば、ねじ又はバヨネットフィッティング)によって接合され、これらは、電力セクション20とカートリッジアセンブリ30との間に機械的及び場合によっては電気的な接続を可能とする。ヒータ4がオーム加熱によって動作する場合には電気的接続が必要とされ、それにより、ヒータ4がバッテリー5に接続されたときに電流をヒータ4に流すことができる。誘導加熱を使用するシステムでは、電力を必要とする部品がカトマイザ30に配置されていない場合、電気接続を省くことができる。誘導性ワークコイルを電力セクション20に収容し、バッテリー5から電力を供給することができ、カトマイザ30及び電力セクション20は、それらが接続されたときに、ヒータの材料に電流を生成する目的でコイルによって生成される磁束にヒータ4が適切にさらされるように形状設定される。誘導加熱構成については、以下でさらに論じる。
図1の設計は、例示的な構成にすぎず、様々な部品及び特徴は、電力セクション20とカートリッジアセンブリセクション30との間で異なる分配にされることもあり、他の構成要素及び要素を含むこともできる。2つのセクションは、
図1におけるように長手方向の構成で、又は並列の横並びの配置などの異なる構成で、端部同士を接続することができる。システムは、概して円筒形であることも若しくはそうでないこともあり、及び/又はシステムは、概して長手方向の形状を有することも若しくは有さないこともある。いずれか又は両方のセクション又は構成要素は、使い果たされた(例えば、リザーバが空である若しくはバッテリーが上がっている)ときに廃棄及び交換されることを意図されている、又はリザーバの補充及びバッテリーの再充電などの作用によって複数回の使用が可能にされるように意図されている。他の例では、システム10は、コントロールユニット20及びカトマイザ30の部品が単一のハウジングに含まれて分離することができないという点で、一体でもよい。本開示の実施形態及び例は、これらの構成及び当業者が認識している他の構成の任意のものに適用可能である。
【0021】
図2は、本開示の一例によるカトマイザを形成するために組み立てることができる部品の外部斜視図を示す。カトマイザ40は4つの部品のみを備え、それらの部品は、適切な形状であれば互いに押し込む又は押し合わせることによって組み立てることができる。したがって、製造を非常に単純で簡単にすることができる。
【0022】
第1の部品は、エアロゾル化可能な基材材料(本明細書では以後、簡潔にするために基材又は液体と呼ぶ)を保持するためのリザーバを画定するハウジング42である。ハウジング42は、この例では円形の断面を有する概して管形状を有し、リザーバ及び他のアイテムの様々な部分を画定するように形状設定された1つ又は複数の壁を備える。円筒形の外側壁44の下端には開口部46が開いており、開口部46を通して液体をリザーバに満たすことができ、以下で述べるように開口部46に部品を接合してリザーバを閉止/封止し、また気化のために液体を外方向に送達することを可能にすることができる。これは、リザーバの外部又は外側体積又は寸法を画定する。本明細書における、リザーバの外部にある又は配置される要素又は部品への言及は、その部品が、この外壁44並びにその上下の範囲及び縁部又は表面によって境界を画された又は画定された領域の外側に又は部分的に外側にあることを示すことを意図されている。
【0023】
円筒形の内壁48は、外側壁44内に同心円状に配置される。この配置は、外壁44と内壁48との間に環状容積部50を画定し、環状容積部50は、液体を保持するためのレセプタクル、キャビティ、空所などであり、言い換えればリザーバである。外壁44と内壁48とは、リザーバ容積部50の上縁部を閉じるために(例えば上壁によって、又は互いに向かって先細りする壁によって)互いに接続されている。内壁48の下端は開口部52で開いており、上端も開いている。内壁によって境界を画された管状の内部空間は、組み立てられたシステムにおいて、ユーザが吸引するために、生成されたエアロゾルをアトマイザからシステムのマウスピース出口に運ぶ空気流路又はチャネル54である。内壁48の上端にある開口部56は、ユーザの口に快適に受け入れられるように構成されたマウスピース出口にすることができ、又は開口部56をマウスピース出口につなぐチャネルを有する個別のマウスピース部品をハウジング42に若しくはハウジング42の周りに結合することができる。
【0024】
ハウジング42は、例えば射出成形によって、成形されたプラスチック材料から形成することができる。
図2の例では、透明な材料から形成される。これにより、ユーザは、リザーバ44内の液体の液位又は量を観察することができるようになる。代替として、ハウジングは不透明でもよい、又は液位を見ることができる透明な窓を備えて不透明でもよい。プラスチック材料は、いくつかの例では剛性にすることができる。
【0025】
カトマイザ40の第2の部品は、流れ誘導部材60であり、流れ誘導部材60も、この例では円形の断面を有し、ハウジング42の下端と係合するように形状設定されて構成されている。流れ誘導部材60は、実質的には栓であり、複数の機能を提供するように構成される。ハウジング42の下端に挿入されるとき、流れ誘導部材60は、開口部46と結合してリザーバ容積部50を閉止及び封止し、開口部52と結合して、空気流路54をリザーバ容積部50から封止する。さらに、流れ誘導部材60は、液体の流れのために流れ誘導部材60を貫通する少なくとも1つのチャネルを有し、このチャネルは、液体をリザーバ容積部50からリザーバの外部の空間に運び、この空間は、液体を加熱することによって蒸気/エアロゾルが生成されるエアロゾルチャンバとして働く。また、流れ誘導部材60は、エアロゾルの流れのために流れ誘導部材60を貫通する少なくとも1つの他のチャネルを有し、このチャネルは、生成されたエアロゾルをエアロゾルチャンバ空間からハウジング42内の空気流路54に運び、それによりエアロゾルは、吸引のためにマウスピース開口部に送達される。
【0026】
流れ誘導部材60は、摩擦嵌合によってハウジング46と容易に係合することができるように、シリコーンなどの可撓性の弾性材料から形成することもできる。さらに、流れ誘導部材は、ハウジング42と係合する上面64とは反対側の下面62にソケット又は同様の形状の形成部(図示せず)を有する。ソケットは、カトマイザ40の第3の部品であるアトマイザ70を受け入れて支持する。
【0027】
アトマイザ70は細長い形状を有し、その細長い長さに関して両側に第1の端部72と第2の端部74とが配設される。組み立てられたカトマイザにおいて、アトマイザは、その第1の端部72で取り付けられ、第1の端部72は、リザーバハウジング42に向かう方向で流れ誘導部材60のソケットに押し込まれる。したがって、第1の端部72は、流れ誘導部材60によって支持され、アトマイザ70は、ハウジング42の同心形状の部分によって定義される長手方向軸線に実質的に沿って、リザーバから長手方向外向きに延びる。アトマイザ70の第2の端部74は取り付けられておらず、自由な状態である。したがって、アトマイザ70は、片持ち式に支持され、リザーバの外側境界から外方向に延びる。アトマイザ70は、エアロゾルを生成するためにウィッキング機能及び加熱機能を働かせ、誘導サセプタとして作用するように構成された電気抵抗ヒータ部分と、リザーバからヒータの近傍に液体をウィッキングするように構成された多孔質部分とのいくつかの構成の任意のものを備えることがある。
【0028】
カトマイザ40の第4の部品は、エンクロージャ又はシュラウド80である。エンクロージャ又はシュラウド80も、この例では円形断面を有する。エンクロージャ又はシュラウド80は、中央の中空空間又はボイド82を画定するために、任意選択的な底壁によって閉じられた円筒形の側壁81を備える。開口部86の周りの側壁81の上側リム84は、エンクロージャ80と、流れ誘導部材60の相補形状の部分との係合を可能にするように形状設定され、それにより、アトマイザ70が流れ誘導部材60のソケットに取り付けられたときにエンクロージャ80を流れ誘導部材60に結合することができる。したがって、流れ誘導部材60は、中央空間82を閉じるためのカバーとして作用し、この空間82は、アトマイザ70が配設されるエアロゾルチャンバを作成する。開口部86は、流れ誘導部材60の液体流れチャネル及びエアロゾル流れチャネルとの連通を可能にし、それにより、液体をアトマイザに送達することができ、生成されたエアロゾルをエアロゾルチャンバから除去することができる。エアロゾルチャンバを通る空気の流れがアトマイザ70を通過し、蒸気を集め、蒸気が空気流に同伴されてエアロゾルを成すことを可能にするために、エンクロージャ80の1つ又は複数の壁81は、1つ又は複数の開口部又は小孔を有し、カトマイザのマウスピース開口部を通してユーザが吸引するときにエアロゾルチャンバに空気が引き込まれるようにする。
【0029】
エンクロージャ80は、射出成形などによってプラスチック材料から形成することができる。エンクロージャ80は、剛性材料から形成されることがあり、このとき、2つの部品を互いに押し込む又は押し合わせることによって、流れ誘導部材と容易に係合することができる。
【0030】
上記のように、流れ誘導部材は、可撓性の弾性材料から形成することができ、流れ誘導部材に結合される部品、すなわちハウジング42、アトマイザ70、及びエンクロージャ80を摩擦嵌合によって保持することができる。これらの部品はより剛性が高いことがあるので、これらの他の部品に押し付けられたときに流れ誘導部材がいくらか変形することを可能にする流れ誘導部材の可撓性は、部品の製造サイズの小さな誤差に対応する。このようにして、流れ誘導部品は、全ての部品の製造公差を吸収することができると共に、部品を高品質に組み立ててカトマイザ40を形成することを可能にする。したがって、ハウジング42、アトマイザ70、及びエンクロージャ80を形成するための製造要件は、いくらか緩和され、製造コストを削減することができる。
【0031】
図3は、組み立てられた構成での
図1のカトマイザの切欠き斜視図を示す。見やすくするために、流れ誘導部材60は陰影を付けて示されている。リザーバ空間50及び空気流路54の両方を封止するために、流れ誘導部材60がその上面で、リザーバハウジング42の内壁48の下縁部によって画定される開口部52の周りに係合し、ハウジング42の外壁44の下縁部によって画定される開口部46に同心円状に外方向で係合するように形状設定されているのを見ることができる。
【0032】
流れ誘導部材60は、液体流れチャネル63を有し、液体流れチャネル63は、液体基材材料Lがリザーバ容積部50から流れ誘導部材を通って、流れ誘導部材60の下の空間又は体積65に流れることを可能にする。エアロゾル及び空気Aが空間65から流れ誘導部材60を通って空気流路54に流れることを可能にするエアロゾル流れチャネル66も存在する。
【0033】
エンクロージャ80は、その上側リムが、流れ誘導部材60の下面の対応する形状の部分と係合するように形状設定され、リザーバハウジング42に従うリザーバ50の容積部の外寸の実質的に外にエアロゾルチャンバ82を作成する。この例では、エンクロージャ80は、その上端に、流れ誘導部材60に近接してアパーチャ(穴部)87を有する。これは、液体流れチャネル63とエアロゾル流れチャネル66とが連通する空間65と合致し、したがって、液体がエアロゾルチャンバ82に入り、エアロゾルが流れ誘導部材60のチャネルを通ってエアロゾルチャンバ82から出るのを可能にする。
【0034】
この例では、アパーチャ87は、アトマイザ70の第1の支持された端部74を取り付けるためのソケットとしても作用する(
図2の説明において、アトマイザソケットが流れ誘導部材に形成されているものとして述べたことを想起されたい。どちらのオプションを使用することもできる)。したがって、液体流れチャネル63を通って到達する液体は、吸収及びウィッキングのためにアトマイザ70の第1の端部に直接供給され、アトマイザを通るように空気/エアロゾルを引き入れ、エアロゾル流れチャネル66に入れることができる。
【0035】
この例では、アトマイザ70は、金属71の平面状の細長い部分を備え、この部分は、その中点で折り曲げられて又は湾曲されて、金属部分の両端をアトマイザの第1の端部74で互いに隣り合わせる。これは、アトマイザ70のヒータ構成要素として作用する。綿又は他の多孔質材料73の一部分が、金属部分の2つの折り曲げられた辺の間に挟まれる。これは、アトマイザ70のウィッキング構成要素として作用する。空間65に到達した液体は、多孔質ウィック材料73の吸収性によって収集され、ヒータに向けて下向きに運ばれる。片持ち式の取付けに適した細長いアトマイザの多くの他の配置も可能であり、代わりに使用することができる。
【0036】
ヒータ構成要素は、誘導による加熱を意図されている。これについては、以下でさらに述べる。
【0037】
図2及び
図3の例は、組み立てられたカトマイザの長手方向の方向に直交する平面内で実質的に円対称の部品を有する。したがって、これらの部品は、互いに接合される平面内で所要の向きはなく、これにより製造を容易にすることができる。部品は長手方向軸線の周りで任意の向きで組み立てることができ、したがって、組立て前に部品を特定の向きに配置する必要はない。しかし、これは必須ではなく、部品を代替の形状にすることもできる。
【0038】
図4は、前述したのと同様に、リザーバハウジング、流れ誘導部材、アトマイザ、及びエンクロージャを備える、さらなる例示的な組み立てられたカトマイザを通る断面図を示す。しかし、この例では、カトマイザ40の長手方向軸線に直交する平面内で、部品の少なくともいくつかは、円形ではなく楕円形を有し、楕円形の長軸及び短軸に沿って対称性を有するように配置される。特徴は、長軸の各側及び短軸の各側に反映される。これは、組立てに関して、部品が、長手方向軸線周りで互いに180°回転された2つの向きのいずれかを有することができることを意味する。この場合にも、対称性のない部品を備えるシステムと比較して、組立てが簡略化される。
【0039】
この例でも、エンクロージャ80は、エンクロージャの長手方向軸線に沿った異なる地点で断面が変化するように形成された側壁81と、エアロゾルチャンバ82を作成する空間の境界を画する底壁83とを備える。エンクロージャは、その上端に向かって大きい断面に広がり、流れ誘導部材60を収容するための余地を与える。エンクロージャ80の大きい断面部分は、概して楕円形の断面を有し(
図4の(B)を参照)、エンクロージャのより狭い断面部分は、概して円形の断面を有する(
図4の(C)を参照)。上部開口部86の周りのエンクロージャの上側リム84は、リザーバハウジング42の対応する形状と係合するように形状設定されている。この形状設定及び係合は、
図4では簡略化された形で示されている。実際には、適度に気密及び液密の接合を提供するために、より複雑になる可能性がある。エンクロージャ80は、ユーザの吸引中に空気がエアロゾルチャンバに入ることを可能にするために、この場合は底壁83に少なくとも1つの開口部85を有する。
【0040】
リザーバハウジング42は、
図2及び
図3の例とは異なる形状である。外壁44は、2つの内壁48によって3つの領域に分割される内部空間を画定する。領域は、横並びに配置される。2つの内壁48の間の中央領域は、液体を保持するためのリザーバ容積部50である。この領域は、ハウジングの上壁によって上部が閉じられている。リザーバ容積部の底部の開口部46は、液体がリザーバ50からエアロゾルチャンバ82に送達されることを可能にする。外壁44と内壁48との間の2つの側部領域は、空気流路54である。各空気流路54は、その下端に、エアロゾルが入るための開口部52を有し、その上端にマウスピース開口部56を有する(前述したのと同様に、別個のマウスピース部分が、リザーバハウジング42の外部に追加されることもある)。
【0041】
流れ誘導部材60(見やすくするために陰影を付けて示されている)は、成形部分を介してハウジング42の下縁部に係合され、ハウジング42の開口部46及び52と係合して、リザーバ容積部50及び空気流路54を閉止/封止する。流れ誘導部材60は、液体Lをリザーバからエアロゾルチャンバ82に移送するためにリザーバ容積部開口部46と位置合わせされた、単一の中央に配設された液体流れチャネル63を有する。さらに、2つのエアロゾル流れチャネル66があり、それぞれがエアロゾルチャンバ82の入口から空気流路54への出口まで延び、それにより、穴85を通ってエアロゾルチャンバに入ってエアロゾルチャンバ82内の蒸気を集める空気は、マウスピース出口56に向かって空気流路54に流れる。
【0042】
アトマイザ70は、その第1の端部72を流れ誘導構成要素60の液体流れチャネル63に挿入することによって取り付けられる。したがって、この例では、液体流れチャネル63は、アトマイザ70を片持ち式で取り付けるためのソケットとして作用する。したがって、アトマイザ70の第1の端部72には、リザーバ50から液体流れチャネル60に入る液体が直接供給され、液体は、アトマイザ70の多孔性によって取り込まれ、アトマイザの長さに沿って引き出されて、エアロゾルチャンバ70に配置されたアトマイザ70(図示せず)のヒータ部分によって加熱される。
【0043】
図4の(A)、(B)、及び(C)は、カトマイザ40の長手方向軸線に沿った対応する位置でのカトマイザ40を通る断面を示す。
【0044】
本開示の態様は、抵抗加熱によって加熱の態様が実施されるアトマイザに関連し、電流を流すために加熱要素に電気接続する必要があるが、カトマイザの設計は、誘導加熱の使用に特に関連する。これは、通常は金属から形成される導電性アイテムが、熱を生成するアイテムに流れる渦電流による電磁誘導によって加熱されるプロセスである。誘導コイル(ワークコイル)は、発振器からの高周波交流電流が流されるときに電磁石として動作し、これにより磁場が発生する。導電性アイテムが磁場の磁束の中に置かれるとき、磁場はアイテムに侵入し、渦電流を誘導する。渦電流は、アイテム内を流れ、電流を直接供給することによって抵抗性電気加熱要素で熱が生成されるのと同様に、ジュール加熱によってアイテムの電気抵抗に対する電流に従って熱を生成する。誘導加熱の魅力的な特徴は、導電性アイテムへの電気接続が不要であることである。代わりに、要件は、アイテムが占める領域に十分な磁束密度が生成されることである。液体の近傍で発熱が必要とされる蒸気供給システムに関しては、液体と電流とのより効果的な分離を行うことができるので、これは有益である。カトマイザに他の電動アイテムが配置されていないと仮定して、カトマイザとその電力セクションを電気的に接続する必要はなく、カトマイザの壁によってより効果的な液体障壁を提供することができ、漏れの可能性を低減する。
【0045】
誘導加熱は、上述したように導電性アイテムを直接加熱するのに効果的であるが、非導電性アイテムを間接的に加熱するために使用することもできる。蒸気供給システムでは、気化を引き起こすために、アトマイザの多孔質ウィッキング部分の液体に熱を供給する必要がある。誘導による間接的な加熱の場合、導電性アイテムは、加熱が必要とされるアイテムに隣り合って又は接触して、ワークコイルと加熱対象のアイテムとの間に配置される。ワークコイルは、誘導加熱により導電性アイテムを直接加熱し、熱は、熱放射又は熱伝導によって非導電性アイテムに伝達される。この配置では、導電性アイテムはサセプタと呼ばれる。したがって、アトマイザでは、加熱構成要素は、熱エネルギーをアトマイザの多孔質部分に伝達するための誘導サセプタとして使用される導電性材料(典型的には金属)によって提供することができる。
【0046】
図5は、本開示の例によるカトマイザ40と、誘導加熱用に構成された電力構成要素20とを備える蒸気供給システムの非常に簡略化された概略図を示す。カトマイザ40は、
図2、
図3及び
図4の例に示されている通りでよく(他の配置も除外されない)、わかりやすくするために輪郭のみが示されている。カトマイザ40はアトマイザ70を備え、加熱機能がサセプタ(別個に示されない)によって提供されるように、誘導加熱によって加熱が実現される。アトマイザ70は、エンクロージャ80によって取り囲まれたカトマイザ40の下部に配置され、エンクロージャ80は、エアロゾルチャンバを画定するだけでなく、片持ち式の取付けにより損傷に対して比較的脆弱であり得るアトマイザ70に対してある程度の保護を提供するように作用する。しかし、アトマイザの片持ち式の取付けは、アトマイザ70をコイル90の内部空間に挿入することができ、特にリザーバがワークコイル90の内部空間から離して配置されるので、効果的な誘導加熱を可能にする。したがって、電力構成要素20は、カトマイザ40が(例えば摩擦嵌合、クリップ作用、ねじ式、又は磁気キャッチによって)使用のために電力構成要素に結合されるときにカトマイザ40のエンクロージャ80が受け入れられる凹部22を備える。誘導ワークコイル90は、凹部22を取り囲むように電力構成要素20に配置され、コイル90は、コイルの個々のターン(コイルの一巻き部分)が延びる長手方向軸線と、サセプタの長さに実質的に一致する長さとを有し、カトマイザ40と電力構成要素20とが接合されるときにコイル90とサセプタとが重なり合う。他の実施形態では、コイルの長さは、サセプタの長さと実質的に一致しないことがあり、例えば、サセプタの長さがコイルの長さよりも短くてもよく、又はサセプタの長さがコイルの長さよりも長くてもよい。このようにして、サセプタは、コイル90によって生成される磁場内に配置される。周囲のコイルからのサセプタの離間距離が最小化されるようにアイテムが配置される場合、サセプタが受ける磁束がより高くなることがあり、加熱効果がより効率的になることがある。しかし、離間距離は、少なくとも一部は、エンクロージャ80によって形成されるエアロゾルチャンバの幅によって設定され、これは、アトマイザ全体にわたる適切な空気流を可能にし、液滴の同伴を回避するようにサイズ設定する必要がある。したがって、様々なアイテムのサイズ設定及び位置決めを決定するとき、これら2つの要件が互いにバランスを取られる必要がある。
【0047】
電力構成要素20は、適切なAC周波数でコイル90に通電するために電力を供給するためのバッテリー5を備える。さらに、蒸気生成が必要とされるときに電源を制御し、ここではさらには考察しない蒸気供給システムに関する他の制御機能を場合により提供するためのコントローラ28が含まれる。電力構成要素は、図示されていない、及び本議論に関係のない他の部品を含むこともある。
【0048】
図5の例は、電力構成要素20とカトマイザ40とが端部同士を結合されてペン形状を実現する、直線的に配置されたシステムである。
【0049】
図6は、代替設計の簡略化された概略図を示し、カトマイザ40は、よりボックス状の配置のためのマウスピースを提供し、バッテリー5は、電力構成要素20内でカトマイザ40の片側に配設される。他の配置も可能である。
【0050】
アトマイザ70は、液体をリザーバから吸収してサセプタに運ぶための多孔性と、サセプタをヒータとして動作させて液体を気化させるための電気抵抗/導電性との両方を提供するいくつかの方法の任意のもので構成することができる。したがって、アトマイザは、多孔性を有し、誘導加熱用のサセプタを備えるものとして広く定義することができる。これらの機能を実装するための様々な例を以下でさらに述べる。
【0051】
多孔性及び誘導加熱機能の実装に関係なく、アトマイザ70は、第1の端部と第2の端部との間に延びる細長い形状を有する。「細長い」とは、第1の端部と第2の端部との間に延びる方向でのアトマイザのサイズ(長さ)が、長さに直交する方向でのそのサイズ(幅)よりも大きい、典型的には実質的に大きいようにアトマイザが寸法設定されていることを意味する。例えば、長さは、幅の少なくとも2倍、又は幅の少なくとも5倍、又は幅の少なくとも10倍でよい。これらは例にすぎず、他の割合も除外されない。
【0052】
さらに、上述したように、細長いアトマイザは、片持ち式の配置で取り付けられる。
【0053】
図7は、カンチレバー(片持ち梁状)を形成するように取り付けられた例示的なアトマイザの非常に概略的な表現を示す。アトマイザ70は、長さlの細長い形状を有し、長さlは、第1の端部72と第2の端部74との間に延びる大きいほうの寸法である。アトマイザは、その長さlに実質的に直交する幅wを有する。アトマイザ70は、多孔質部品、部分、又は要素102に起因する多孔性を有し、導電性/抵抗性材料、例えば金属から作られた誘導加熱用のサセプタ100も含む。
図7では、サセプタ100と多孔質要素102とは、隣り合う構成要素として非常に概略的に示されている。より詳細な配置は、以下で述べる。しかし、サセプタ100は、エアロゾルチャンバ82に配置されたアトマイザ70の第2の端部74を含む。
【0054】
アトマイザ70を片持ち式の構成で支持するために、構成要素106を通る開口部又はアパーチャであるソケット104が利用され、構成要素106は、リザーバハウジング、流れ誘導部材、若しくはエンクロージャ(全て上述した)、又は実際には他の何らかの構成要素でもよい。これは、アトマイザ70の第1の端部72をソケット104に挿入することによって実現される。ソケット104は、アトマイザ70がソケット104内に把持されるように、アトマイザ70の幅w(又は断面積)と同一又は同様の幅(又は断面積)を有するようにサイズ設定される。ソケット104が形成される構成要素106がシリコーン又はゴム(天然又は合成)などの可撓性の弾性材料から作られている場合、おそらく挿入されたアトマイザによるソケット材料のいくらかの圧縮により、ソケット104によってアトマイザ70をしっかりと把持して保持することができる。或いは、ソケット104及びアトマイザの第1の端部72の材料が適切な表面特性を有する場合には、摩擦嵌合を利用することができる。代替として、接着剤又は同様の材料を使用して、アトマイザ70をソケット104内の所定の位置に恒久的又は一時的に固定することができる。
【0055】
ソケット104でのアトマイザ70の位置は、エアロゾルチャンバ82に面するソケット104の面と一直線上にある平面108によって分割されたアトマイザ70の2つのセクション又は部分を画定する。平面108とソケット104に挿入されたアトマイザ70の第1の端部72との間にあるアトマイザ70の部分は、ソケット104によって支持されているので、支持又は取付け部分110である。この例では、支持部分は、ソケット104によって完全に取り囲まれている、又は囲まれている。平面108とアトマイザ70の第2の端部74との間にあるアトマイザ70の部分は、支持されていない部分112であり、リザーバ容積部50の外寸から外方向に、エアロゾルチャンバ82内に延びる。したがって、第2の端部74は、別の構成要素との物理的接触によって支持されておらず、部分112は、アトマイザ70のカンチレバー部分である。したがって、アトマイザ70は、支持された第1の端部72及び支持されていない第2の端部74により、片持ち式の配置又は構成で保持される、取り付けられる、又は支持される。サセプタ100は、少なくとも部分的に、この例では完全に、カンチレバー部分112内に含まれ、したがってエアロゾルチャンバ82内にあり、リザーバ50の外側境界又は外寸の外側に配置される。
【0056】
上述したように、アトマイザ70は長さlを有する。取付け部分110は長さl1を有し、カンチレバー部分112は長さl2を有し、l1+l2=lである。典型的には、カンチレバー部分112は、取付け部分110よりも大きい長さを有し、したがってl2>l1である。したがって、アトマイザ70の全長に対して、取付け部分は、アトマイザの50%未満を占めることがあり、l1<l/2である。より特定の例では、l1は、全長lに対して実質的に15%~40%の範囲、又は20%~35%の範囲、又は23%~27%の範囲、又は実質的に25%の比率でよい。
【0057】
数値としては、取付け部分の長さl1は、約2mm~6mmの範囲、又は約3mm~5mmの範囲、例えば約4mmでよい。約6mmを超える長さは、支持を提供するという観点からは通常不要であり、したがって材料を浪費し、コストを増加させる。約2mm未満の長さは、支持を不十分にし、望ましくないほどアトマイザの保持を弱める。
【0058】
アトマイザ70の片持ち式の配置の目的は、誘導加熱を引き起こすワークコイルからの磁束の効率的な結合のためにサセプタを配置することができるようにすることである。所与の磁束密度に関して、この結合は、サセプタとコイルとの間の最小の離間距離、及びサセプタとそのコイルとの間にある最小の構造的特徴部を使用することによって最も効果的にされる。したがって、リザーバの外壁によって境界を画された領域内など、蒸気供給システムでの電気加熱要素のより従来的な位置(環状リザーバの内部空間内の抵抗性加熱要素の典型的な位置)は、誘導加熱にあまり適していない。リザーバの存在によりコイルとサセプタとの間の距離が増加し、磁場を遮断する又は磁場に干渉することがあるからである。片持ち式の配置は、サセプタをリザーバ境界の外側に置き、サセプタ/アトマイザの端部を他の構成要素と物理的接続させず、したがって、サセプタを螺旋状の誘導ワークコイルの内側に挿入することができ、コイルへの近接、したがって磁束の効率的な結合を可能にする。
【0059】
図7の例では、アトマイザ70の第1の端部72がソケット106に挿入され、第1の端部72の端面114は、リザーバに面するソケットの面と実質的に面一である。この端面114は、(例えば流れ誘導部材の液体流れチャネルを通して)リザーバ50から送達された液体Lを受け取り、液体を吸収し、ウィッキングによってアトマイザ70の第2の端部74に向けて運び、液体は、気化のためにサセプタ部分112の加熱範囲内に入る。
【0060】
図8は、構成要素106のソケット104に保持された片持ち式アトマイザ70の代替例の概略的な表現を示す。この例では、アトマイザ70の第1の端部72は、あまり奥までソケット104に挿入されず、したがって、アトマイザ70の端面114は、リザーバ50に面するソケット104の面とエアロゾルチャンバ82に面するソケット104の面との中間の平面に配置される。前と同様に、取付け又は支持部分110は、平面108とアトマイザ70の第1の端部72との間に延びる長さl1を有するが、この場合には、長さl1は、ソケット104の深さよりも短い。
【0061】
図9は、構成要素106のソケット104に保持された片持ち式アトマイザ70の代替例の概略的な表現を示す。この例では、アトマイザ70の第1の端部72は、第1の端部72がソケット104を超えて突出し、端面114がリザーバ側のソケット104の外側に配置するように、ソケット104にさらに挿入される。しかし、前と同様に、長さl1の取付け部分は、取付け部分110の一部がソケット106の外にある(構成要素106の材料によって取り囲まれていない)としても、平面108と第1の端部72との間にあるアトマイザ70の部分であると考えられる。この部分は、カンチレバー部分の長さl2に比べて重要でないと考えられ、したがって、エアロゾルチャンバ内に外方向に延びる片持ち式アトマイザを提供するという狙いで取り付けられていると考えることができる。取付け部分110の突出部は、リザーバ50から到達する液体Lを受け入れることが可能なアトマイザのより大きな表面積を与えるように提供することができ、したがってサセプタへの液体送達の効率を改良する。
【0062】
片持ち式の構成では、様々な設計のアトマイザを利用することができる。いくつかの例では、液体をリザーバから吸収し、ウィッキング又は毛細管作用によってサセプタの近傍に運ぶためのウィックとして機能する多孔質セラミック構成要素又は要素の使用によって多孔性が提供される。例えば、概して細長い形状と、実質的に円形(カトマイザの組立て中の特定の位置合わせの必要性をなくす)、又は楕円形、又は正方形、又は長方形、若しくは任意の他の形状であり得る断面形状とを有する多孔質セラミックロッドを使用することができる。ソケットは、対応する断面サイズ及び形状を有することがあり、又は、単に同様の寸法、及びロッドの端部を収容するのに十分に大きいサイズを有することがあり、必要に応じてアトマイザをソケットに挿入することができるようにする。しかし、一致するサイズ及び形状は、リザーバからエアロゾルチャンバへの自由液体の漏れを制限するためのより良いシールを提供する。
【0063】
図10は、多孔質セラミックロッドをベースにした例示的なアトマイザの側断面図を示す。前と同様に、セラミックロッド116は、アトマイザ70の全長を延ばす。サセプタ100は、セラミックロッド116をその外側面の周りで包む金属層122として具現化される。金属層122は、例えば金属材料の平坦なシートから形成される。シートは、層をセラミックロッド116の外形及び表面に合致させて、ロッド116の外面と接触させる又は密接に接触させる適切な形状に巻かれる、折り曲げられる、又は丸められることがある。この例では、ロッドの端面120は金属層によって覆われていないが、いくつかの例では、金属層が端面120も覆うことがある。金属層122は、セラミックロッド116の第1の端部72を覆わず、覆われていない部分を残し、その部分によって、支持ソケットに熱を送達せずにアトマイザ70を取り付けることができる。金属層122は、多孔質セラミックロッド116内の液体から生成された蒸気がアトマイザ70からエアロゾルチャンバ82内により容易に逃げることを可能にするために、小孔部又は他の穴を備えることがある。
【0064】
図10A、
図10B及び
図10Cは、
図10の例示的なアトマイザの様々な構成の横断面図を示す。それぞれがこの横断面で円形状を有するが、これは必須ではない。他の形状を使用することもできる。
図10Aは、金属層122が(例えば巻かれた金属シートの2つの縁部を継ぎ合わせることによって)その円周の周りで閉じられた中空管として構成される例を示し、この中空管内にセラミックロッド116を挿入することができる。
図10Bは、ここでも金属層122が中空管として構成されているが、継ぎ合わされていない例を示し、金属層122は2つの縁部を備え、2つの縁部は、接合されずに重なっており、重畳領域124で互いに対して自由に摺動して管の円周を変える。これは、金属シートを管形状に丸めることによって形成することができる。この形状は、セラミックロッド116の挿入を容易にするために管をいくぶん広げることを可能にし、挿入後、管状形状のバイアス力の下で管が再び収縮して、金属層122をロッド116に密接に接触させることができる。
図10Cは、金属管が2つの縁部を有し、2つの縁部が互いに接合されていないのみならず重なり合ってもおらず、金属管122がロッド116を完全には囲んでいない同様の例を示す。巻かれた金属シートの2つの縁部の間にギャップ126が存在する。ここでも、これにより、アトマイザの組立て中に管が広げられ、その後、収縮してロッド116の外面に接触することを可能にする。また、ギャップは、蒸気の逃げを可能にし、したがって金属シートの小孔部は必要ないことがある。
【0065】
図10及び
図10A~
図10Cの例は、代替として、多孔質セラミックロッド以外の多孔質要素を用いて構成することもできる。金属シート層122の中空管状形状は、細孔又は毛細管ギャップを有する吸収性構造を形成するために、織られた、不織の、詰められた、又は束ねられた繊維を含む材料(繊維材料)など多孔質材料で満たすことができる。例えば、繊維材料は、オーガニックコットンを含む綿を含むことがある。
【0066】
図10及び
図10A~
図10Cの例のいずれにおいても、サセプタ100は、アトマイザの支持部分110とカンチレバー部分112との間の平面108まで到達しないことがあり、又はこの平面までしか到達しないことがあり、ソケット材料への熱の送達を避ける。代替として、サセプタ100が加熱される温度でソケット材料が熱暴露に耐えることができる場合、サセプタはこの平面108を越えて到達し、場合によってはアトマイザ70の第1の端部まで延びることができる。しかし、第1の端部72にあるセラミックロッド116の端面114は、液体の進入を可能にするために、金属層によって覆わないでおくべきである。
【0067】
図11は、
図3のアトマイザと同様のアトマイザ70のさらなる例の側断面図を示す。アトマイザ70は、前と同様に、第1の端部72で構成要素106のソケット104内に取り付けられて示されている。サセプタ100は、元々はアトマイザ70の所望の長さの2倍の細長い平面金属要素128を備え、この金属要素128は、その2つの短い端部を互いに隣り合わせるために、その長さに沿ったほぼ中間で、その幅全体にわたって折り曲げられる又は湾曲される。これらの隣り合う短い端部は、ソケット104に挿入されるアトマイザ70の第1の端部72を形成する。折り曲げられた形状は、2つの端部に外向きのバイアスを与えることができ(それらは、平坦な要素の折り曲げられていない構成に戻るようにバイアスされる)、したがって、それらの端部はソケット104の側面を外方向に押し、アトマイザをその取付け位置に保つように作用する。折り目は、アトマイザ70の第2の端部74を形成する。折り目によって互いに近付けられた2つの半体は、リザーバからサセプタ100に液体Lをウィッキングするための多孔質要素130を保持するための容積部、空間、又は開いたキャビティを画定する。多孔質要素130は、折り曲げられたサセプタ100の2つの半体の間に実質的に挟まれている。キャビティの開いた側部は、エアロゾルチャンバ82への蒸気の逃げを可能にする。多孔質要素130は、綿又は多孔質綿など、
図10に関して上述した繊維又は繊維材料を含むことがある。
【0068】
図12は、アトマイザ70のさらなる例の側断面図を示し、このアトマイザ70も、第1の端部72で構成要素106のソケット104内に取り付けられている。この例では、アトマイザは、多孔質ウィッキング機能とサセプタ機能との両方を提供することができる材料から構成され、この材料から細長いモノリシック要素として形成される。例えば、アトマイザは、金属繊維若しくはビーズを焼結することによって、又は繊維を織り合わせて若しくは他の方法で絡み合わせてメッシュ若しくはグリッド構造を形成することによって、多孔質構造として形成された金属などの電気抵抗性材料を含むことがある。メッシュ又はグリッドはシートとして作製されることがあり、そのシートを所定のサイズ及び形状に切断して、その平らな形状で使用する、又は折り曲げる、丸める、若しくは何らかの他の形状に曲げることができる。
【0069】
図5及び
図6に関して述べたように、カトマイザは、エアロゾルチャンバを形成するために片持ち式アトマイザの周囲に配置されたエンクロージャを備え、エンクロージャは、電力構成要素20での適切に形状設定された凹部又はキャビティ22に挿入されて、サセプタを誘導ワークコイル90の作用範囲内に入れる。エンクロージャ内のアトマイザは、螺旋コイルの内側の開いた空間に挿入される。
【0070】
エンクロージャは、いくつかの機能を行う。エンクロージャは、アトマイザの周りのエアロゾルチャンバを画定する。エンクロージャが基部で閉じられている場合、気化されていない自由液体、又は生成されたエアロゾルから出て凝縮した自由液体を収集することができ、したがって、カトマイザからの漏れを低減することができる。また、エンクロージャはアトマイザを保護する。アトマイザは、片持ち式の体勢で、リザーバが占める空間から外方向に延び、カトマイザが電力構成要素から分離されるときに損傷を受ける可能性が高い。しかし、エンクロージャは必須ではなく、エンクロージャなしで片持ち式アトマイザを実装することもできる。
【0071】
図13は、片持ち式アトマイザを備え、カトマイザ部分の一部であるエアロゾルチャンバエンクロージャがない蒸気生成システムの一部の非常に簡略化された概略側断面図を示す。前と同様に、アトマイザ70は、カトマイザ40のリザーバ50の基部にある構成要素に形成されたソケット104によって片持ち式に支持される(代替として、システムは単体デバイスとして構成されることがあり、カトマイザ部分は、システムの他の部分から分離可能でないエアロゾル生成部分として構成される)。電力構成要素20は凹部80を有し、凹部80は、螺旋形状を有するワークコイル90を収容し、ワークコイル90は、その長手方向軸線がアトマイザ70の方向に沿った状態で配置される。サセプタ(特に図示せず)の少なくとも一部を含むアトマイザ70の片持ち式の部分は、コイル90に交流が流されるときに誘導加熱のためにサセプタがワークコイル90の螺旋の内側に配置されるように凹部80に挿入される。凹部80とコイル90とが協働して、アトマイザ70の周りにエアロゾルチャンバを形成する。コイル90はサセプタに近接することができ、コイルとサセプタとの間に介在部品はなく、したがって誘導加熱の効率を最大にすることができる。
【0072】
図14は、別の例による蒸気生成システムの一部の非常に簡略化された概略側断面図を示す。
図13と同様に、カトマイザ部分40に含まれる片持ち式サセプタ70の周りにはエンクロージャがない。この設計は、コイル90が、凹部内に配置されるのではなく、電力構成要素20(カトマイザ構成要素の各部から分離可能であることもそうでないこともある)のハウジングの内側に配置されて凹部80を取り囲むという点で、
図13の配置とは異なる。したがって、コイル90とサセプタとは、ハウジングの材料(厚い必要はない)によって分離されており、したがって、
図14の例と比較して効率がいくらか低下されることがあるが、コイルは液体の漏れから保護される。
【0073】
結論として、様々な問題に対処して技術を進歩させるために、本開示は、例示として、特許請求される発明を実施することができる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的な例にすぎず、網羅的及び/又は排他的ではない。それらは、特許請求される発明の理解を助け、特許請求される発明を教示するためにのみ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される開示に対する制限、又は特許請求の範囲の均等物に対する制限と考えるべきではなく、他の実施形態を利用することができ、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく変形を行うことができることを理解されたい。様々な実施形態は、本明細書に具体的に述べたもの以外の、開示される要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に含む、それらからなる、又は本質的にそれらからなることができる。本開示は、現在特許請求されていないが将来に特許請求される可能性のある他の発明を含むこともある。
【国際調査報告】