IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブーストヒートの特許一覧

<>
  • 特表-ハイブリッド熱動力圧縮機 図1
  • 特表-ハイブリッド熱動力圧縮機 図2
  • 特表-ハイブリッド熱動力圧縮機 図3
  • 特表-ハイブリッド熱動力圧縮機 図4
  • 特表-ハイブリッド熱動力圧縮機 図5
  • 特表-ハイブリッド熱動力圧縮機 図6
  • 特表-ハイブリッド熱動力圧縮機 図7
  • 特表-ハイブリッド熱動力圧縮機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】ハイブリッド熱動力圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 35/04 20060101AFI20220422BHJP
   F25B 1/02 20060101ALI20220422BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220422BHJP
   F02G 1/043 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
F04B35/04
F25B1/02 Z
F25B1/00 396D
F02G1/043 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552897
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-11-05
(86)【国際出願番号】 FR2020050464
(87)【国際公開番号】W WO2020178537
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】1902341
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513203060
【氏名又は名称】ブーストヒート
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク・ジョフロワ
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA02
3H076BB21
3H076CC07
3H076CC16
3H076CC24
(57)【要約】
作動流体を圧縮するためのハイブリッド熱動力圧縮機(8)であって、この圧縮機は、連結ロッドシステム(5)により機械的におよび任意に弁(4)を有する連結回路(12)により空気圧的に相互に連結された容量シリンダ(1)および熱シリンダ(2)と、可逆電気機械(6)と、を備え、容量シリンダは、第1のチャンバ(Ch1)を第2のチャンバ(Ch2)から隔てる第1のピストン(81)を備え、熱シリンダは、第3のチャンバ(Ch3)を第4のチャンバ(Ch4)から隔てる第2のピストン(82)を備え、第4のチャンバ(Ch4)は、熱源(21)と熱接触状態におかれることにより熱シリンダ内でサイクル動作を発生させることが可能であり、連結ロッドシステム(5)に関して、第1のピストンおよび第2のピストンは、所定の角度オフセット(θd)を伴いつつ、それぞれ第1の連結ロッド(91)および第2の連結ロッド(92)によりロータ(52)に連結され、容量シリンダは、逆止弁(61、62)を備え、熱シリンダにおいて生成された動力が、本質的には連結回路を介してかつ連結ロッドシステムを介さずに容量シリンダへ伝達される、ハイブリッド熱動力圧縮機(8)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を圧縮するためのハイブリッド熱動力圧縮機(8)であって、
連結ロッドシステム(5)により機械的におよび連結回路(12)により空気圧的に相互に連結された1つの容量シリンダ(1)および1つの熱シリンダ(2)と、
前記連結ロッドシステム(5)に連結された1つの可逆電気機械(6)と、
を少なくとも備え、
前記容量シリンダは、第1のチャンバ(Ch1)を第2のチャンバ(Ch2)から隔てる第1のピストン(81)を有する円筒状エンクロージャを備え、
前記熱シリンダは、低温チャンバと呼ばれる第3のチャンバ(Ch3)を第4のチャンバ(Ch4)から隔てる第2のピストン(82)を有する円筒状エンクロージャを備え、前記第4のチャンバ(Ch4)は、熱源(21)と熱接触状態におかれることにより高温チャンバになり、したがって前記熱シリンダ内でサイクル動作を発生させることが可能であり、前記連結回路(12)は、前記第3のチャンバに前記第2のチャンバを連結し、
前記連結ロッドシステム(5)に関して、前記第1のピストンは、第1の連結ロッドアセンブリ(91)によりロータ(52)に連結され、前記第2のピストンは、第2の連結ロッドアセンブリ(92)により前記ロータに直接的にまたは間接的に連結され、所定の角度オフセット(θd)が、前記連結ロッドシステムにより前記第1のピストンのサイクルと前記第2のピストンのサイクルとの間においてもたらされ、
前記容量シリンダは、第2の圧力(Pout)にて前記作動流体を送達するために第1の逆止弁(61)を有する入口経路および第2の逆止弁(62)を有する出口経路を備え、
前記熱シリンダにおいて生成された動力が、本質的には前記連結回路を介してかつ前記連結ロッドシステムを介さずに前記容量シリンダへ伝達される、ハイブリッド熱動力圧縮機(8)。
【請求項2】
同一の作動流体が、前記熱シリンダ内および前記容量シリンダ内において使用され、好ましくはかつ非排他的にはCOである、請求項1に記載のハイブリッド熱動力圧縮機。
【請求項3】
前記熱源が作動停止され、前記可逆電気機械がモータとして動作する電気圧縮モードと、
前記熱源が作動され、前記熱シリンダにおける往復移動サイクルをパルス動作させる熱圧縮モードであって、前記第1のピストンの動きが前記連結回路内の前記作動流体の往復移動によりもたらされ、前記連結ロッドシステムが熱力学的動力の補助部分のみを伝達し、前記可逆電気機械が発電機として動作する、熱圧縮モードと、
が実現される、請求項1または2に記載のハイブリッド熱動力圧縮機。
【請求項4】
前記容量シリンダ内における前記第1のピストンの前記動きが、前記第1のチャンバ内の熱サイクル供給により、およびモータとして動作する前記可逆電気機械により引き起こされる混合モードがさらに実現される、請求項3に記載のハイブリッド熱動力圧縮機。
【請求項5】
前記所定の位相シフト(θd)は、80°~120°の間に含まれ、好ましくは95°付近であり、容量サイクルは、前記熱シリンダに対して前記所定の位相シフト遅延する、請求項1から4のいずれか一項に記載のハイブリッド熱動力圧縮機。
【請求項6】
前記容量シリンダの軸(Y1)および前記熱シリンダの軸(Y2)が、相互に対して実質的に垂直に配置され、相補オフセットが、前記第1の連結ロッドアセンブリ(91)および前記第2の連結ロッドアセンブリ(92)のそれぞれの連結クランクピンの位置により実現され得る、請求項1から5のいずれか一項に記載のハイブリッド熱動力圧縮機。
【請求項7】
前記容量シリンダは、単動シリンダとして使用され、前記第1のチャンバ(Ch1)のみが、吸引および排出のために使用され、一方で前記第2のチャンバは、前記連結回路(12)を介した前記第3のチャンバとの往復移動モードにおいてのみ動作し、前記第1の逆止弁(61)を有する前記入口経路および前記第2の逆止弁(62)を有する前記出口経路は、前記第1のチャンバに結合される、請求項1から6のいずれか一項に記載のハイブリッド熱動力圧縮機。
【請求項8】
前記容量シリンダは、複動シリンダとして使用され、前記連結回路(12)は、弁(4)を介して前記第2のチャンバを前記第3のチャンバに選択的に連結し、移送通路(7)が、前記第1のチャンバから前記第2のチャンバまで設けられ、前記第1のチャンバは、前記第1の逆止弁(61)を有する前記入口経路を備え、これにより第1の圧力(Pin)にて前記作動流体を受け入れ、
前記移送通路は、バッファストック容量(3)を備え、第3の逆止弁(63)が、前記第1のチャンバ(Ch1)と前記バッファストック容量との間に位置し、第4の逆止弁(64)が、前記バッファストック容量と前記第2のチャンバ(Ch2)との間に位置し、前記第2の逆止弁(62)を有する前記出口経路は、前記第2のチャンバに結合される、請求項1から6のいずれか一項に記載のハイブリッド熱動力圧縮機。
【請求項9】
対象となる部屋内に/からカロリーを供給/除去するための熱動力ボイラであって、請求項1から8のいずれか一項に記載のハイブリッド熱動力圧縮機(8)を備え、前記ハイブリッド熱動力圧縮機は、少なくとも1つの一般の作動流体回路、膨張器、および少なくとも1つの室外ユニットを備える可逆ヒートポンプタイプループの圧縮機能を形成する、熱動力ボイラ。
【請求項10】
電力生成を伴うコジェネレーションマシンである、請求項3と組み合わせた請求項9に記載の熱動力ボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプサイクル用の圧縮機に関し、詳細には、熱圧縮機および/または可逆電気機械により作動され得るハイブリッド熱動力圧縮機に関する。また、本発明は、かかるハイブリッド熱動力圧縮機を備えるハイブリッドボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
既知のソリューションでは、ヒートポンプサイクルのモータ要素を形成する圧縮機を駆動するために、電気モータが頻繁に使用される。
【0003】
また、かかる圧縮機を駆動するために燃焼機関をベースとするソリューションが存在する。
【0004】
したがって、一般的には、熱機器の製造業者は、
1.電気ヒートポンプ
2.熱ヒートポンプ
3.マイクロコジェネレーションボイラ
により市場に対して熱動力的ソリューションをもたらすことを可能にするソリューションを提案する。
【0005】
また、本出願人の企業は、ヒートポンプサイクルのモータ要素を形成するために新しいタイプの「熱圧縮機」と呼ばれる熱動力圧縮機の使用を既に提案してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2014/202885号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ヒートポンプ回路の使用条件と圧縮機を動かすための種々のエネルギー形態の利用可能性とに応じて、柔軟性のより高いソリューションを提案できることが有利であることは明らかであった。具体的には、これは、あるときは熱源から副生成物として電気エネルギーを生成し(したがって「コジェネレーション」と呼ばれる)、他のときはこの熱源に依存することなく電気エネルギーを使用することが可能であることに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、作動流体を圧縮するためのハイブリッド熱動力圧縮機が提案される。この圧縮機は、
連結ロッドシステム(5)により機械的におよび連結回路(12)により空気圧的に相互に連結された1つの容量シリンダ(1)および1つの熱シリンダ(2)と、
連結ロッドシステム(5)に連結された1つの可逆電気機械(6)と、
を少なくとも備え、
容量シリンダは、第1のチャンバ(Ch1)を第2のチャンバ(Ch2)から隔てる第1のピストン(81)を有する円筒状エンクロージャを備え、
熱シリンダは、低温チャンバと呼ばれる第3のチャンバ(Ch3)を第4のチャンバ(Ch4)から隔てる第2のピストン(82)を有する円筒状エンクロージャを備え、第4のチャンバ(Ch4)は、熱源(21)と熱接触状態におかれることにより高温チャンバになり、したがって熱シリンダ内でサイクル動作を発生させることが可能であり、連結回路は、第3のチャンバに第2のチャンバを連結し、
連結ロッドシステム(5)に関して、第1のピストンは、第1の連結ロッドアセンブリ(91)によりロータ(52)に連結され、第2のピストンは、第2の連結ロッドアセンブリ(92)により前記ロータに直接的にまたは間接的に連結され、所定の角度オフセット(θd)が、連結ロッドシステムにより第1のピストンのサイクルと第2のピストンのサイクルとの間においてもたらされ、
容量シリンダは、第2の圧力(Pout)にて作動流体を送達するために第1の逆止弁(61)を有する入口経路および第2の逆止弁(62)を有する出口経路を備え、
熱シリンダにおいて生成された動力が、本質的には連結回路を介してかつ連結ロッドシステムを介さずに容量シリンダへ伝達される。
【0009】
これらの構成により、容量シリンダは、ヒートポンプサイクルに関連して作動流体をポンピングすることを可能にし、前記容量シリンダは、連結された熱シリンダの作用によりおよび/または電気機械の供給により動かされる。
【0010】
以降で分かるように、同一の作動流体が、熱シリンダおよび容量シリンダにおいてならびにヒートポンプの一次回路において使用され得る点を指摘しておく。
【0011】
また、以降で分かるように、容量シリンダは、単動シリンダまたは複動シリンダであることが可能である点を予め指摘しておく。
【0012】
所定の角度オフセット(θd)は、熱サイクルに対する容量サイクルの遅延を特徴づけ、この所定の角度オフセットは、50°~130°の間の任意であることが可能である点に留意されたい。好ましくは、これは、機械的構成により実現可能であり、適切な場合には機械的調節が可能であることを伴う。
【0013】
本明細書において、「第1の逆止弁」という用語は、圧縮機の入口弁を示す。本明細書において、「第2の逆止弁」という用語は、圧縮機の排出弁を示す。
【0014】
「熱シリンダにおいて生成された動力が、本質的には連結回路を介してかつ連結ロッドシステムを介さずに容量シリンダへ伝達される」という表現は、熱シリンダにおいて生成された動力の半分超が流体連結回路を通り流れるものとして、好ましくは熱シリンダにおいて生成された動力の75%超が流体連結回路を通り流れるものとして理解されるべきである。
【0015】
さらに、このシステムに関する本発明の様々な実施形態において、以下の構成の中のあるものおよび/または他のものが、個別にまたは組合せにおいて使用され得る。
【0016】
有利なオプションによれば、同一の作動流体が、熱シリンダ内および容量シリンダ内において使用されることが可能であり、好ましくはかつ非排他的には、COが、作動流体として選択され得る。結果として、第1のピストンの区間にて漏れが存在する場合でも、流体混合は発生しない。なぜならば、このピストンのいずれの側においても同一の流体が存在するからである。さらに、これと同様のことが第2のピストンに対しても該当する。したがって、ピストンとジャケットとの間の封止制約条件は、2つの異なる流体が使用される場合に比べてはるかにその重要性が低くなる。
【0017】
一構成によれば、
熱源が作動停止され、電気機械がモータとして動作する電気圧縮モードと、
熱源が作動され、熱シリンダにおける往復移動サイクルをパルス動作させる熱圧縮モードであって、第1のピストンの動きが連結回路内の作動流体の往復移動によりもたらされ、電気機械が発電機として動作する、熱圧縮モードと、
が実現される。
【0018】
これらの2つのモードのそれぞれにおいて、連結ロッドシステムは、熱力学的動力の補助部分のみを伝達し、特に、熱圧縮モードでは、連結ロッドシステムは、熱力学的動力の補助部分のみを伝達する一方で、主要部分は連結回路を通り送られることを指摘しておく。
【0019】
相補的オプションによれば、容量シリンダ内における第1のピストンの動きが、第1のチャンバ内の熱サイクル供給により、およびモータとして動作する電気機械により引き起こされる混合モードがさらに実現される。したがって、全体的な調停自由度が、熱源と電源との間において実現され、この調停は、ほぼリアルタイムで実施され得る。
【0020】
1つのオプションによれば、所定の位相シフト(θd)は、80°~120°の間に含まれ、好ましくは95°付近であり、容量サイクルは、熱シリンダに対してこの所定の位相シフト遅延することが実現される。かかるオフセットにより効率の最適化が実現され得る。
【0021】
1つのオプションによれば、第1のピストン(81)のストローク(T1)は、第2のピストン(82)のストローク(T2)よりも大きいことが可能である。したがって、熱シリンダにおいて発生する熱力学的動力を容量シリンダにおいて利用される容量ポンピング動力と、および主に動作圧力に従って、均衡させることが可能となる。
【0022】
別の構成によれば、第2のピストン(82)のストローク(T2)は、第1のピストン(81)のストローク(T1)よりも大きいことが可能である。
【0023】
一構成によれば、熱シリンダの容積は、1リットル~5リットルの間に含まれ得る。一構成では、容量シリンダの容積は、1リットル~5リットルの間に含まれ得る。
【0024】
一構成によれば、熱シリンダの容積は、容量シリンダの容積よりも大きいことが可能である。別の構成によれば、容量シリンダの容積は、熱シリンダの容積よりも大きいことが可能である。
【0025】
1つのオプションによれば、以下の機械的構成が実現され得る。すなわち、容量シリンダの軸(Y1)および熱シリンダの軸(Y2)が、相互に対して実質的に垂直に配置され、相補オフセットが、第1の連結ロッドアセンブリ(91)および第2の連結ロッドアセンブリ(92)のそれぞれの連結クランクピンの位置により実現され得る。これらの構成および90°付近の角度オフセットにより、各シリンダごとのそれぞれのクランクピンが近い、さらには同等の角度位置に置かれた回転ロータを有することが可能となる。
【0026】
「単動」容量圧縮機と呼ばれる1つのオプションによれば、容量シリンダは、単動シリンダとして使用され、第1のチャンバ(Ch1)のみが、吸引および排出のために使用され、一方で第2のチャンバは、連結回路(12)を介した第3のチャンバとの往復移動モードにおいてのみ動作し、第1の逆止弁(61)を有する入口経路および第2の逆止弁(62)を有する出口経路は、第1のチャンバに結合される。
【0027】
「複動」容量圧縮機と呼ばれる1つのオプションによれば、容量シリンダは、複動シリンダとして使用され、この場合に連結回路(12)は、弁(4)を介して第2のチャンバを第3のチャンバに選択的に連結し、移送通路(7)が、第1のチャンバから第2のチャンバまで設けられ、第1のチャンバは、第1の逆止弁(61)を有する入口経路を備え、これにより第1の圧力(Pin)にて作動流体を受け入れ、移送通路は、バッファストック容量(3)を備え、第3の逆止弁(63)は、第1のチャンバ(Ch1)とバッファストックとの間に位置し、第4の逆止弁(64)が、バッファストックと第2のチャンバ(Ch2)との間に位置し、第2の逆止弁(62)を有する出口経路は、第2のチャンバに結合される。
【0028】
かかる複動構成により、圧縮機は必要に応じてより高い圧縮比を実現することが可能となる。また、この構成により、区画化に関して応力逃がしによる利益を被ることが可能となる。
【0029】
二段構成の相補的構成によれば、連結回路(12)がかかる弁(4)を備える場合に、電気圧縮モードにおいては、前記弁(4)が閉じられ、熱源が作動停止され、電気機械がモータとして動作し、熱圧縮モードにおいては、前記弁(4)は開いており、熱源は作動され、熱シリンダにおいて往復移動サイクルをパルス動作させ、第1のピストンの動きは連結回路内の作動流体の往復移動によりもたらされ、電気機械は発電機として動作する。
【0030】
単段構成の相補的構成によれば、また、連結回路(12)は、電気モードおよび熱モードに関して同一の動作を伴うかかる弁(4)を備え得る。
【0031】
特定のオプションによれば、容量シリンダのピストンロッドは、熱シリンダのピストンロッドより大きな直径を有し得る。これらの条件下においては、表面積の縮小に関連して圧力を上昇させる効果が観察され得る。
【0032】
また、本発明は、対象となる部屋内に/からカロリーを供給/除去するための熱動力ボイラに関係しており、この熱動力ボイラは、先述のようなハイブリッド熱圧縮機を備え、熱圧縮機は、少なくとも1つの一般の作動流体回路、膨張器、および少なくとも1つの室外ユニットを備える可逆ヒートポンプタイプループの圧縮機能を形成する。
【0033】
ある特定の実施形態によれば、当該ボイラは、電力生成を伴うコジェネレーションマシンを形成し得る。
【0034】
本発明の他の態様、目的、および利点は、非限定的な例として提示される本発明の一実施形態に関する以下の説明を読むことにより明らかになろう。また、本発明は、添付の図面を参照することによりさらによく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】単段ポンピングバージョンの本発明によるハイブリッド熱圧縮機の図である。構成要素は概略平坦図で示される。
図2】二段容量圧縮機の変形の図1と同様の図である。
図3】熱シリンダが容量シリンダに対して垂直に配設された圧縮機の1つの構造実施形態を示す図である。
図4】連結ロッドシステムから容量シリンダの方向に見た、図2と同様の一実施形態を示す図である。
図5】単段バージョンに関する、縦座標に圧力およびストロークが示されたサイクル図である。
図6】熱シリンダの熱力学的サイクル図である。
図7】2段バージョンに関する、縦座標に圧力およびストロークが示されたサイクル図である。
図8】可逆ヒートポンプシステムの全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
これらの様々な図において、同一の参照符号は同等のまたは同様の要素を示す。提示の明瞭化のために、いくつかの要素は必ずしも縮尺通りに示されない。
【0037】
概要、圧縮機ヒートポンプ
図8は、さらに詳細に説明されることになるハイブリッド熱圧縮機8を備えるヒートポンプシステムを示す。圧縮機8は、ヒートポンプタイプループの圧縮機能を形成し、これは本明細書において示されるように可逆的なものであってもよく、または非可逆的なものであってもよい。
【0038】
本明細書において示されるようなヒートポンプシステムは、熱伝達流体回路85、第1の熱交換器87および第2の熱交換器88、ならびに圧縮機の逆転機能を果たす膨張器86を備える。可逆システムの場合には、膨張器86は2つとすることが可能であり、それぞれの部分が一方向に動作し、逆方向へは動作しない。四方弁89が、交換器および膨張器の中の流体の循環方向を逆転させ得る。第1の構成では、このシステムは、第1の熱交換器87からカロリーを取得し、第2の熱交換器88にこのカロリーを還元する。逆の構成では、このシステムは、第2の熱交換器88からカロリーを取得し、第1の熱交換器87にこのカロリーを還元する。
【0039】
室外ユニットでカロリーサンプリングを行い、対象となる部屋内または屋内にこのカロリーを送達する、ヒートポンプ機能を組み込んだボイラの場合を具体的な対象とする。
【0040】
この場合に、提案されるシステムは、一般の作動流体回路(または「冷却剤」)、膨張器、および少なくとも1つの室外ユニットを有する、さらに詳細に説明されることとなるハイブリッド熱圧縮機8をベースとする。ボイラは、ヒートポンプタイプループ用のハイブリッド熱圧縮機8を備え、またバーナから対象となる部屋/家へカロリーを送達し得る。
【0041】
一般的に、この圧縮機は、第1の逆止弁61(当技術では「入口弁」と呼ばれる)を有する入口経路と、第2の逆止弁62(当技術では「排出弁」と呼ばれる)を有する出口経路と、を備える。一次回路85に関して、圧縮機は、第1の圧力Pinにて入口経路を介して作動流体を吸引し、第2の圧力Poutにて出口を介して作動流体を送達する。
【0042】
圧縮機-概要-容量シリンダおよび熱シリンダ
ハイブリッド熱圧縮機8は、容量シリンダ1、熱シリンダ2、および可逆電気機械6(M/Gすなわちモータ発電機、両機能が可能)を備える。
【0043】
さらに分かるように、容量シリンダ1および熱シリンダ2は、連結ロッドシステム5により機械的に、および連結回路12により空気圧的に相互連結される。
【0044】
容量シリンダ1に関して、これは、符号Ch1として示される第1のチャンバを符号Ch2として示される第2のチャンバから隔てる符号81として示される第1のピストンを備え、これらのチャンバについては以降で説明する。符号81として示される第1のピストンは、第1の軸Y1周りでの円筒状ジャケット71内での回転において変位させられる。
【0045】
容量シリンダ1は、熱ポンプシステムの一次回路85のための少なくとも1つの容量タイプ圧縮機段を形成する。
【0046】
熱シリンダ2に関して、これは、低温チャンバと呼ばれる符号Ch3として示される第3のチャンバを符号Ch4として示される第4のチャンバから隔てる符号82として示される第2のピストンを有する円筒状エンクロージャを備える。符号82として示される第2のピストンは、第2の軸Y2周りでの円筒状ジャケット72内での回転において変位させられる。
【0047】
第3のチャンバCh3は、参照符号26により図内で象徴的に示された冷却回路によって冷却され得る。
【0048】
第4のチャンバCh4は、熱源21と熱接触状態におかれることにより高温チャンバになり、したがって熱シリンダ内でサイクル動作を発生させ得る。
【0049】
第3のチャンバCh3および第4のチャンバCh4は、第2のピストン82が中で変位させられるジャケットの外部の回路により流体連通状態におかれる。特に、低温部分と高温部分との間の温度勾配を維持する再生器29が設けられる。
【0050】
軸Y2は、第4のチャンバが第3のチャンバCh3の上方に配設された状態では鉛直となる。
【0051】
シリンダ72の外部において、第3のチャンバから第4のチャンバへまたはその逆方向へ流体が流れるのを可能にする通路が設けられる。より具体的には、第4のチャンバCh4の頂部に、符号23として示される流体の入出オリフィスと、次いで、再生器29に至る高温部の環状通路24と、が設けられる。
【0052】
この通路は、再生器の下方の低温部分の環状通路25へ続き、この環状通路25は、低温チャンバ内へと下方から開口する。この位置にて、この通路は、符号27として示される外部入出オリフィスにさらに連結される。
【0053】
かかる熱再生圧縮機の構造および動作は、本出願人により提出された特許文献1に記載されており、この文献の教示は、かかる熱再生圧縮機の原理および動作に関連して本明細書において再び繰り返される。
【0054】
この参考文献との相違点は、本明細書では、この低温チャンバCh3に、別個の吸引入口および排出出口が存在せず、連結回路12内の流体の往復移動において連続的に吸引および排出を行う外部への単一結合部が存在する点である。
【0055】
再生器29により、第4のチャンバCh4と第3のチャンバCh3との間の温度差は500℃超に維持される。典型的には、第4のチャンバは600°付近の温度にあり、第3のチャンバは冷却システムの効果により約50°に留まる。この温度勾配とその一時的な維持とにより、熱再生圧縮機が作動される。
【0056】
高温源21は、例えばガスバーナなどのバーナである。しかし、この高温源はガスに加えて任意の他のタイプの燃料を燃焼し得る点に留意されたい。他の構成では、高温源は、燃焼を伴わない別のタイプの熱源、太陽エネルギー、またはその他によるものが可能である。非化石燃料が好ましい。
【0057】
連結回路12は、第3のチャンバCh3に第2のチャンバCh2を選択的に連結する。以降で理解されるようにいくつかの場合においてはオプションとなる弁4により、第2のチャンバCh2と第3のチャンバCh3との間の流体通路を選択的に開閉することが可能となる。この弁4は、ソレノイド弁または手動操作される弁であることが可能である。
【0058】
連結回路は、第2のチャンバCh2と第3のチャンバCh3との間で作動流体を流れさせ、さらにこの作動流体は、第4のチャンバCh4内へ進むものと同一の流体である点を指摘しておく。
【0059】
さらに、有利には、この作動流体は、第1のチャンバCh1内で使用されるものと同一の流体でもある。単一の流体を使用することにより、区画78に漏れがある場合でも、性能に対するごくわずかな影響を除けばいかなる問題も生じず、この考察は、熱シリンダおよび容量シリンダの両方において該当する。
【0060】
また、この作動流体は、図8において論じたヒートポンプシステムの一次回路85において使用されるものと同一の流体である。
【0061】
一次回路85に加えて、熱交換器により結合されるが流体の物理的交換を伴わない副次回路(図8において部分的にかつ破線で示される)が存在してもよい。
【0062】
ガスが、作動流体として選択されることが可能であり、これは好ましくはかつ非排他的にはCO2である(加熱/冷凍工学の業界用語ではR744)。しかし、本発明の原理は、他の作動流体に対しても適用され得る。
【0063】
連結ロッドシステムおよび機械的構成
図1は、単段ポンピングバージョンにおける熱圧縮機の概略平坦図を示す。この構成要素は、理解を容易にするためにここでは概略的に平坦状に示される。理解を促すために、それぞれ軸X1および軸X2の回転においてリンクされる2つのロータが示される。
【0064】
図3および図4は、工業的ソリューションの観点においてより現実的な構成を示す。
【0065】
連結ロッドシステム5は、容量シリンダ1と熱シリンダ2とを機械的に相互連結する。
【0066】
この第1の例(図1)において、容量シリンダは単動シリンダとして使用される。第1のチャンバCh1のみが、一次回路85内への流体の吸引および排出のために使用される。第2のチャンバは、連結回路12を介した第3のチャンバとの往復移動モードにおいてのみ動作する。弁4は、なくてもよい。
【0067】
第1の逆止弁61を有する入口経路および第2の逆止弁62を有する出口経路は、共に第1のチャンバCh1に結合される。
【0068】
圧縮機-連結ロッドシステム
連結ロッドシステム5は、圧縮機ケーシング上に軸X周りで回転可能に取り付けられたロータ5を備える。このロータ5は、クランクシャフトを形成するが、従来のクランクシャフトとは異なり、機械力をほとんど伝達しない。
【0069】
このロータ5は、クランクを有する回転部分として形成され、より具体的には、クランクピンが、軸Xからある距離をおいて配設される。第1のクランクピンは、軸XからT1/2の距離をおいてロータ上に固定され、第1の連結ロッド91の脚部が、この第1のクランクピン上に固定される。第2のクランクピンは、軸XからT2/2の距離を置いてロータ上に固定され、第2の連結ロッド92の脚部が、この第2のクランクピン上に固定される。
【0070】
第1の連結ロッド91は、第1のピストン81に固定された第1のロッドに第1の連結ロッド91のヘッドにより連結される。第2の連結ロッド92は、第2のピストン82に固定された第2のロッドに第2の連結ロッド92のヘッドにより連結される。
【0071】
したがって、符号T1は、第1のピストン81のストロークである。容量シリンダの容積は、T1xS1であり、符号S1は第1のジャケット71の断面である。
【0072】
したがって、符号T2は、第2のピストン82のストロークである。熱シリンダの容積は、T2xS2であり、符号S2は、第2のジャケット72の断面である。
【0073】
第1のピストンが下死点に位置する場合に、第1のチャンバCh1の残留容量は非常に小さくなり、容積の5%未満、好ましくは容積の2%未満となる。
【0074】
第1のピストンが上死点に位置する場合に、第2のチャンバCh2の残留容量もまた小さくなることが可能であり、容積の5%未満、好ましくは容積の2%未満となる。
【0075】
しかし、ある特定の単段構成では、第2のチャンバCh2が容量圧縮機能のために使用されないため、第1のピストンが上死点に位置する場合の第2のチャンバCh2の残留容量は、例えば容積の5%~15%の間など、より小さくなり得る。
【0076】
第2のピストン82が下死点に位置する場合に、第3のチャンバCh3の残留容量は非常に小さくなり、容積の4%未満、好ましくは容積の2%未満となる。第1のピストンが上死点に位置する場合に、第4のチャンバCh4の残留容量もまた非常に小さくなり、容積の4%未満、好ましくは容積の2%未満となる。
【0077】
図1では、第1のピストンは、第1の連結ロッドアセンブリ91によりロータに連結され、符号θ0として示される下死点基準位置に対して、現位置が符号θ1として示される。
【0078】
第2のピストンは、第2の連結ロッドアセンブリ92によりロータに連結され(図1および図2の概略「平坦」図の場合にはベルトを介して間接的に)、符号θ0として示される下死点基準位置に対して、現位置が符号θ2として示される。
【0079】
これらの図では、2つの連結ロッドアセンブリに関する回転は、時計回り方向に生じる。容量サイクル1は、熱シリンダ2に対してある角度だけ遅延する。
【0080】
第1のピストンのサイクルと第2のピストンのサイクルとの間に符号θdとして示される角度オフセットが存在することが観察される。
【0081】
この角度オフセットθdは、予め決定されており、リンクシステムにより固有のものとして与えられる。この所定の位相ずれθdは、80°~120°の間に含まれるように一般的には選択される。本発明者らは、最適値が95°付近であり、容量サイクルが熱シリンダに対してこの所定の位相ずれだけ遅延することを発見した。かかるオフセットにより、最適な効率の実現が可能となる。
【0082】
図3および図4では、第2のピストン82の第2の連結ロッドアセンブリ92は、第1の連結ロッドアセンブリ91とまさに同様に単一のロータ52に直接連結される。容量シリンダの軸Y1および熱シリンダの軸Y2は、相互に対して垂直に配置される。
【0083】
したがって、この直角配置であることにより、各シリンダごとのそれぞれのクランクピンが近い、またはさらには同等の角度位置に置かれた回転ロータにすることが可能となり、クランクピン同士の相補オフセットは、θd-90という形で表される(図3を参照)。
【0084】
一般的に、90°に近い実角度オフセットが存在し、したがって第1のクランクピンと第2のクランクピンとの物理的オフセットは比較的小さく留まり、したがってかかるパーツの機械加工は従来的なものにおよびコスト抑制されたものに留まる。
【0085】
1つの変形例では、従来のクランクを有するパーツを用いる代わりに、相互に関連付けられ、相互に対する角度位置が調節可能であることにより用途に応じて所定の角度オフセットθdを調節することができる2つの偏心器を用いることが可能である。
【0086】
空気圧回路-単段
図1における単段バージョンでは、すなわち単動では、第1のチャンバCh1のみが、吸引および排出を行うため使用される。第1の逆止弁61は、第2の逆止弁62と共に入口経路および出口チャネルの上に配置され、これらの経路は共に第1のチャンバに結合される。
【0087】
単動では、第2のチャンバCh2は、連結回路12を介した第3のチャンバCh3との往復移動モードでのみ動作する。
【0088】
この構成では、第1のチャンバCh1は、第1の圧力Pinにて入口経路を介して作動流体を吸引し、第2の圧力Poutにて出口経路を介して作動流体を送達する。
【0089】
二段
この構成では(図2および図3を参照)、容量シリンダの2つのチャンバが圧力をPinからPoutへ上昇させるために使用されている。
【0090】
移送通路7が、第2のチャンバCh2に第1のチャンバCh1を連結する。第1のチャンバは、既述の第1の逆止弁61を有する入口経路を備え、これにより第1の圧力Pinにて作動流体を受け入れる。第2のチャンバCh2には、第2の逆止弁62を有する出口経路が連結される。
【0091】
移送通路7は、バッファストック容量3を備える。この移送通路は、第1のチャンバCh1からバッファストック3へ流体を移送するための第3の逆止弁63と、バッファストック3から第2のチャンバCh2へ流体を移送するための第4の逆止弁64と、を備える。第2の逆止弁62を有する出口経路は、第2のチャンバに連結される。
【0092】
バッファストック3は、ロータが1回転するサイクル中に導入され引き出される体積が、バッファストック3内に存在する体積の最大でも10%の流体量に相当するように十分な容量を有する。
【0093】
動作および制御
この圧縮機は、「ハイブリッド」と呼ばれるが、実際にこの圧縮機は、少なくとも以下の2つの動作モード、すなわち電気モードおよび熱モードにより動作し得る。
【0094】
電気モード:これは電気圧縮モードであり、熱源21が作動停止され、電気機械がモータとして動作し、弁4(存在する場合)が閉じられる。この電気モードでは、熱シリンダにおいて電力は生成されない。熱シリンダ2は、有意なブレーキを有さず、第2のピストンは単純なディスプレーサモードで動作する点に留意されたい。
【0095】
熱およびコジェネレーションモード:これは熱圧縮モードであり、弁4は開いており(存在する場合)、熱源21は作動され、熱シリンダ2において往復移動サイクルをパルス動作させ、第1のピストン81の動きは連結回路内の作動流体の往復移動によりもたらされ、連結ロッドシステム5は熱力学的動力の補助部分のみを伝達し、電気機械は発電機として動作する。
【0096】
この構成では、熱シリンダ2において生成された動力は、本質的には連結回路12を介してかつ連結ロッドシステム5を介さずに、容量シリンダ1に伝達される。典型的には、熱シリンダ2において生成された動力の60%超が、連結回路12を介して容量シリンダ1へ伝達され得る。
【0097】
一構成によれば、制御論理回路が、二択を、すなわち電気モードまたは熱モードのいずれかのみの選択を排他的に課し得る。
【0098】
別の構成では、制御論理回路は、熱源および電源からの任意の寄与を用いた混合モードを使用し得る。したがって、熱源からのカロリーにより補足されるローカル余剰電力を活用することが可能となり、これはすべて圧縮機を動かすためのものとなる。
【0099】
図6は、熱再生圧縮機の熱力学的動作を示す。異なる位相A、B、C、Dのそれぞれが、圧力対温度の変位グラフを示す。これらの異なる位相A、B、C、Dのそれぞれが、図1図2、および図3に示すような第2のピストンのサイクルの1/4に相当する。
【0100】
前述の特許文献1においてさらに詳細に説明されるように、図6の曲線94により囲まれる表面(ABCDサイクル)は、熱シリンダ2により提供される熱力学的仕事を表す。
【0101】
単段構成での安定状態を考察する図5では、ストロークおよび圧力のこのグラフは、熱シリンダ2における圧力P2が、流体温度が熱シリンダ2においてその最低温度となる場合のP2minと、流体温度がその最高温度となる場合のP2maxと、の間において展開されるのを示す。Pmaxは、ピストン82の下死点の近傍にて達成される。Pminは、ピストン82の上死点の近傍にて達成される。
【0102】
この単段では、圧力PminおよびPmaxは、圧力値PinおよびPoutに対して一定の関係を有さない。
【0103】
熱モードでは、熱動力およびしたがって振幅P2max-P2minと、ピストンの断面およびストロークと、は、熱動力が容量シリンダ1において発生するポンピング動力を上回るまたはそれに等しいものとなるように寸法設定される。
【0104】
すなわち:W2>W1、であり、ここで、
W1は、容量シリンダ1において発生するポンピング動力を表し、W2は、熱シリンダ2において発生する熱力学的動力を表す。熱シリンダにより生成される動力は、その平均圧力である(P2max+P2min)/2に比例する。
【0105】
W6が電気機械6の起動力を表す場合には、熱モードでは、W1=W2+W6と表すことが可能である。
さらに、W2>W1であることにより、W6は負値となり、したがって電気機械6は発電機として動作する。W6は、コジェネレーション動力を表す。
【0106】
電気モードでは、W2=0(熱源21は停止され、弁4は閉じられる)であり、電気機械6はモータとして動作し、結果としてW1=W6となる。電気機械のコントローラは、例えば容量シリンダ1の動作に関する速度設定値を達成するために制御信号を調節する。
【0107】
単段構成では、弁4は存在してもよくまたは存在しなくてもよい。電気モードでは、チャンバCh3およびCh4は、第2のチャンバCh2に関連する補償チャンバとして使用され得る。他の場合では、第1のピストン81の上部ポート点にて符号CH2の十分な残留容量を実現することもまた可能である。
【0108】
二段構成での安定状態を考察する図7では、ストロークおよび圧力のこのグラフは、圧力P3が比較的安定的であることを示す。圧力P2maxは、圧力Poutに実質的に相当する。圧力P2minは、圧力P3に実質的に相当する。
【0109】
圧力P1は、PinとP3との間で展開される。圧力P2は、P3とPoutとの間で展開される。
【0110】
図7は、4つの逆止弁61、62、63、64の連続開放を示す。各弁の開放は、図7では弁番号に関連付けられた水平方向の太線により示される。
【0111】
弁61、次いで弁62、次いで弁63、次いで弁64の連続開放が観察され、これは、逆止弁のそれぞれの較正に応じてより大きくまたはより小さくなり得る一時的な重畳を伴う。
【0112】
この図の上部では、ピストン81、82のそれぞれの位置が所定の角度オフセットθdを示し、ここでは容量シリンダの90°の遅延を伴う。
【0113】
図7の例では、Pinは25バール付近であり、P3は50バール付近であり、Poutは75バール付近である。
【0114】
図5の例では、Pinは25バール付近であり、Poutは65バール付近である。
【0115】
他の考察事項
一般的に、圧力に関して、Pinは典型的には15バール~40バールの間に含まれ、Poutは典型的には60バール~90バールの間である。
【0116】
容積は、所要の動力に応じて選択され得る。いくつかの典型的な場合では、熱シリンダの容積は、1リットル~5リットルの間に含まれ得る。一構成によれば、容量シリンダの容積は、1リットル~5リットルの間に含まれ得る。
【0117】
いくつかの典型的な場合では、ストロークT1はT2よりも大きい。いくつかの他の典型的な場合では、断面S1はS2よりも大きい。
【0118】
いくつかの典型的な場合では、バッファストック容量3は10リットル~25リットルの間に含まれ得る。
【0119】
二段バージョンでは、ピストン81の各側における平均圧力が均等であることにより、区画78における封止応力が逃がされ得ることを指摘しておく。
【符号の説明】
【0120】
1 容量シリンダ
2 熱シリンダ
3 バッファストック容量、バッファストック
4 弁
5 連結ロッドシステム、ロータ
6 電気機械
7 移送通路
8 ハイブリッド熱圧縮機
12 連結回路
21 熱源、高温源
23 入出オリフィス
24 環状通路
25 環状通路
26 冷却回路
27 外部入出オリフィス
29 再生器
52 ロータ
61 第1の逆止弁
62 第2の逆止弁
63 第3の逆止弁
64 第4の逆止弁
71 円筒状ジャケット、第1のジャケット
72 円筒状ジャケット、第2のジャケット、シリンダ
78 区画
81 第1のピストン
82 第2のピストン
85 熱伝達流体回路、一次回路
86 膨張器
87 第1の熱交換器
88 第2の熱交換器
89 四方弁
91 第1の連結ロッド、第1の連結ロッドアセンブリ
92 第2の連結ロッド、第2の連結ロッドアセンブリ
94 曲線
Ch1 第1のチャンバ
Ch2 第2のチャンバ
Ch3 第3のチャンバ、低温チャンバ
Ch4 第4のチャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】