(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】金属合金から成る製品の付加製造のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/20 20210101AFI20220422BHJP
B22F 12/13 20210101ALI20220422BHJP
B22F 12/50 20210101ALI20220422BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220422BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220422BHJP
B22F 12/53 20210101ALI20220422BHJP
【FI】
B22F10/20
B22F12/13
B22F12/50
B33Y30/00
B33Y10/00
B22F12/53
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553768
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(85)【翻訳文提出日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 DE2020000067
(87)【国際公開番号】W WO2020192815
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】102019002203.3
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521404716
【氏名又は名称】ティクソアム・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヘアホルト・ラース
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA14
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、チキソトロピー性の金属合金から成る製品の、押出しに基づく付加製造のための装置に関し、この装置が、原材料のための供給装置2を有しており、その際、この原材料がロッド形状3に形成されており、誘導コイル8による予熱装置を、前記通路6を取り囲む電界集中のためのキャップ7をも含めて有しており、予熱された前記原材料の半固体の加工状態の発生のための加熱装置10を有しており、この加熱装置が同様に前記通路6を取り囲んでおり、前記ノズル11の領域内における後加熱装置13を有しており、および、層毎に造形されるべき製品ための移動可能なワークテーブル15を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チキソトロピー性の金属合金から成る製品の、押出しに基づく付加製造のための装置であって、
この装置が、
原材料のための供給装置(2)を有しており、
その際、この原材料が、ロッド形状(3)に形成されており、且つ、そのまま加工可能な球状晶子的な構造を有しており、並びに、雄形の端部(4)と雌形の端部(5)とを有しており、従って、前記雄形の端部(4)が前記雌形の端部(5)内へと係合するというやり方で、これらロッド(3)が、相前後して、1つの棒状体へと組み合わせ可能であり、且つ、組み合わされた前記ロッド(3)の相応する窪み部内へと係合する前進を発生する装置(20)によって、組み合わされた前記ロッド(3)が前記通路(6)内へと押圧されるというやり方で、組み合わされた前記ロッド(3)が、通路(6)を通ってノズル(11)の加熱可能なノズル通路(12)へと移動可能に配置されており、
従って、組み合わされた前記ロッド(3)が、同時に、製造された半固体の材料の押出しのためのピストンとして利用され、
前記装置が、
前記通路(6)を取り囲む誘導コイル(8)による予熱装置を、電界集中のためのキャップ(7)をも含めて有しており、
前記装置が、
予熱された前記原材料の、半固体の加工状態の発生のための、抵抗加熱装置の様式の加熱装置(10)を有しており、この加熱装置が、同様に前記通路(6)を取り囲んでおり、且つ、金属組織内における球状晶子の粗大化の様式の原材料劣化を最低限に抑えるために、この抵抗加熱装置の加熱面が小さくされており、
前記装置が、
前記ノズル(11)の領域内における、後加熱装置(13)を有しており、および、
前記装置が、
層毎に造形されるべき製品ための、移動可能なワークテーブル(15)を有している、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記予熱装置(7、8)、前記加熱装置(10)、前記ノズル通路(12)を有する前記ノズル(11)、および、前記ワークテーブル(15)は、不活性ガスを充填可能なハウジング(1)内において配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記前進を発生する装置(20)は、歯車搬送装置またはスクリュー搬送装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ロッド(3)を前記組み合わせのための位置において保持するため、有利には前記ロッド(3)の回転離脱をピストンとしての前進の際に防止するために、
スクリュー搬送装置の場合、組み合わされた前記ロッド(3)の案内溝部/ウェブは、前記通路(6)の案内ウェブ/溝部と協働することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記金属合金を、精確な、部分的に液状の状態にする、および、保持するために、
前記加熱装置(10)は、複数回路式抵抗加熱装置であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
押出し材料の後加熱のため、及び/または、既に堆積された材料層の前記予熱のために、誘導コイルまたはレーザーが使用されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
作業温度は、約600℃の値であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記通路(6)は、前記誘導コイル(8)の領域内において、予熱のために、ガラスまたはセラミックから成るスリーブ(9)によって形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
前記そのまま加工可能な球状晶子的な構造を有するロッド形状(3)の前記原材料は、平均的な粒径≦100μmを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
前記ノズル通路(12)は、セラミックの抗付着被覆部を有していることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
前記ノズル(11)の領域内において、固体の(球状晶子)および液状の材料構成要素の均等な分布の維持のため、及び/または、洗浄の目的のための、超音波発生器(14)が配置されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載の装置。
【請求項12】
ノズルの目詰まりを誘起する可能性のある、より大きくなった球状晶子の発生の際に、廃棄物へと押出されるように調節可能である、時間的制御装置が設けられており、
そのために、前記ワークテーブル(15)が、廃棄物集積装置(17)を有していることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載の装置。
【請求項13】
チキソトロピー性の金属合金から成る製品の、押出しに基づく付加製造のための方法であって、この方法において、
供給された原材料が、半固体の加工状態に加熱され、ノズル(11)を通って押出され、且つ、層毎に、造形されるべき製品の上に載置される方法において、
未だに液化されていない原材料が、球状晶子的な構造を有するそのまま加工可能な組織を有しており、ロッド形状(3)に形成されており、且つ、雄形の端部(4)と雌形の端部(5)とを有しており、従って、前記雄形の端部(4)が前記雌形の端部(5)内へと係合するというやり方で、これらロッド(3)が、相前後して、1つの棒状体へと組み合わせ可能であり、
且つ、この原材料内へと、前進力が導入されるというやり方で、前記棒状体が、押出しのためのピストンとして利用され、
その際、加熱のために、予熱装置と、抵抗加熱装置の様式の加熱装置とが使用され、
その際、抵抗加熱装置の加熱面が、金属組織内における球状晶子の粗大化の様式の原材料劣化が最低限に抑えられる程に小さくされる、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
超音波を用いて、前記ノズル(11)を通って押し出る前記原材料の、固体の割合分と液体の割合分との間の分解は、低減もしくは防止されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ノズルの目詰まりを生じさせる可能性のあるより大きくなった球状晶子は、時間的に制御されて、廃棄物へと押出されることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
押出しと並んで、同様に、スタート-ストップ状況、並びに、コントロールされた押出し休止の際の部分的に液状の材料の前記ノズル(11)内への引き戻し、または、ノズル出口側で形成され得る酸化物膜の打抜きをも実現するため、
1段式の方法において、約200N/cm
2の±プレス圧力によって作業されることを特徴とする請求項13から15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
チキソトロピー性の金属合金から成る製品の、押出しに基づく付加製造のための装置内への、原材料のための供給装置(2)であって、この供給装置が、
交換可能なロッド形状(3)の原材料のためのマガジン(18)と、
その通路内において前記原材料が押出しのために調製される該通路(6)への、ロッド形状(3)の前記原材料のための案内通路(19)とを有し、
その際、1つのロッド(3)の雄形の端部(4)が、それぞれに、先行するロッド(3)の雌形の端部(5)内へと係合するというやり方で、前記ロッド形状(3)の原材料が、前記通路(6)内への入口側で、1つの棒状体へと結合可能であり、
且つ、前記マガジン(18)と前記案内通路(19)とが、保護ガスによって充填されている、
ことを特徴とする供給装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属合金、例えばチキソトロピー性の(thixotropischen)アルミニウム合金、および、特に合金、A-356/EN AC-42100/EN 1706(AlSi7MgO.3、並びに、THIXALLOY 540(AlMg5Si2Mn))から成る製品および半製品の、押出しに基づく付加製造に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造は、3次元データを基礎として、層毎に1つの構造部材が造形される方法である。過去において、主として、粉末床溶融結合方法が使用されていたのに対して、金属から成る加工材料を生成するために、益々、押出しに基づく製造方法が使用されている。
【0003】
従って、特許文献1が、3次元印刷を基礎としての、押出しに基づく製造方法を記載しており、この製造方法において、金属線材(フィラメント)が使用され、従って、この金属線材が液化装置に供給され、この液化装置が、チャンバー内において溶融物を生成し、この溶融物が、押出し管体を介して、層毎に、ワークテーブルの表面に塗布される。
溶融物を押出し管体から押圧するために、不活性ガス圧力が使用される。塗布のために、液化装置とワークテーブルとの間の相対的な運動が意図されている。更に、金属硬化、および、結晶構造に影響を及ぼすために、このワークテーブルは、加熱可能であるべきである。
ビスマス、ビスマス-テルル化成分、並びに、アルミニウム、アルミニウム成分、及び/または、アルミニウム合金の使用は強調される。
【0004】
特許文献2は、3段式の方法における、金属複合材料の押出しを用いての付加製造、即ち、素材(Gruenteils)の製造、素材の脱バインダー(Entbinden)、素材の焼結を意図している。印刷プロセスにおいて、ここで、ただ複合材料割合分だけが塑性化され、このことは、低い温度レベルで行われる。
【0005】
特許文献3内において、アモルファスの金属が加工される。その際、ノズルの壁部における保持を防止するために、超音波発信器が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0345573A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102014018081A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0318933A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、チキソトロピー性の(部分的に液状の加工)金属合金、例えばアルミニウム合金から成る加工材料の、押出しに基づく付加製造のための諸条件を、提示および最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1、13、および、17によって解決される。有利な構成は、従属請求項の対象である。
【発明の効果】
【0009】
チキソトロピー性の金属合金から成る製品の、押出しに基づく付加製造のための本発明に従う装置は、
原材料のための供給装置を有しており、
その際、この原材料が、ロッド形状に形成されており、且つ、そのまま加工可能な球状晶子的な(globulitische)構造を有しており、並びに、雄形の端部と雌形の端部とを有しており、従って、前記雄形の端部が前記雌形の端部内へと係合するというやり方で、これらロッドが、相前後して、1つの棒状体へと組み合わせ可能であり、且つ、組み合わされた前記ロッドが、通路を通ってノズルの加熱可能なノズル通路へと、
組み合わされた前記ロッドが組み合わされた前記ロッドの相応する窪み部内へと係合する前進を発生する装置によって前記通路内へと押圧されるというやり方で、移動可能に配置されており、
従って、組み合わされた前記ロッドが、同時に、製造された半固体の材料の押出しのためのピストンとして利用され、
前記装置が、
誘導コイルによる予熱装置を、前記通路を取り囲む電界集中のためのキャップをも含めて有しており、
前記装置が、
予熱された前記原材料の、半固体の加工状態の発生のための、抵抗加熱装置の様式の加熱装置を有しており、この加熱装置が、同様に前記通路を取り囲んでおり、且つ、金属組織内における球状晶子(Globuliten)の粗大化の様式の原材料劣化を最低限に抑えるために、この抵抗加熱装置の加熱面が小さくされており、
前記装置が、
前記ノズルの領域内における、後加熱装置を有しており、および、
前記装置が、
層毎に造形されるべき製品ための、移動可能なワークテーブルを有している。
【0010】
この配置によって、押出しに基づく付加製造のための、液状の材料と固体の材料との必要な比率は最適に調節可能であり、且つ、層毎の塗布に至るまで保持可能である。
【0011】
歯車搬送装置またはスクリュー搬送装置の様式の前進を発生する装置は、組み合わされたロッドの相応する窪み部内へと係合し、その際、これら窪み部が、有利には、ラックまたはねじ山ロッドである。ただこの様式の搬送装置によってだけ、A356/AlSi7Mgの際の約200N/cm2の必要とされるプレス圧力は実現可能である。始動力は、特に高い必要がある。
【0012】
スクリュー搬送装置による送りにおいて、組み合わされたロッドが案内溝部を備えており、且つ、通路がこの案内溝部と協働する案内部を有しており、この案内部が、ピストンとしての前進の際に、これらロッドが回転離脱するのを妨げる場合、有利である。
【0013】
この装置の有利な実施態様において、予熱装置、加熱装置、ノズル通路を有するノズル、および、ワークテーブルは、不活性ガスによって充填可能なハウジング内において配置されている。
【0014】
このことによって、反応性の、空気内において存在する、例えば酸素および二酸化炭素のようなガスによる汚染の危険が存在すること無しに、部分溶融が行われ得ることは保障される。
【0015】
金属合金を、精確な部分的に液状の状態にすること、および、保持することのために、加熱装置として、有用であることが実証された実施態様において、複数回路式抵抗加熱装置が使用される。作業温度は、約600℃の値である。
【0016】
その際、金属組織内における球状晶子の粗大化の様式の原材料の劣化を最低限に抑えるために、加熱面は、意図的に小さくされる。
【0017】
更に、更なる構成は、ノズルの領域内において、固体の(球状晶子)および液状の材料構成要素の均等な分布の維持のため、及び/または、洗浄の目的のための、超音波発生器が配置されていることを意図する。
【0018】
固体の割合分と液体の割合分との間の分解は、従って防止される。このことは、特に、スタート-ストップ位相において、もしくは、押出し速度変化の際に必要である。
【0019】
押出し材料の後加熱のため、及び/または、既に堆積された材料層の予熱のために、同様に、誘導コイルまたは同様にレーザーが組み込まれている。
【0020】
通路は、誘導コイルの領域内において、予熱のために、ガラスまたはセラミックから成るスリーブによって形成されている。このことは、電磁的な場が、ほとんど邪魔されずに、ロッド3を加熱可能であることの利点を有している。
【0021】
更なる有利な構成は、粘着を防止する、もしくは、必要な前進力を幾分より小さくするために、ノズル通路が、セラミックの抗付着被覆部、例えば窒化ホウ素被覆部を有していることを意図する。
【0022】
本発明に従う装置の更に別の構成は、ノズルの目詰まりを誘起する可能性のある、より大きくされた球状晶子の発生の際に、廃棄物へと押出されるように調節可能である、時間的制御装置を設けている。それ故に、ワークテーブルの上に、廃棄物集積装置が配置されている。
【0023】
その方法において、供給された原材料が、半固体の加工状態に加熱され、ノズルを通って押出しされ、且つ、層毎に、造形されるべき製品の上に載置される、
チキソトロピー性の金属合金から成る製品の、押出しに基づく付加製造のための本発明に従う該方法は、
押出しピストンとしての原材料の使用の思想を取り上げ、
この思想において、
未だに液化されていない原材料が、球状晶子的な構造を有するそのまま加工可能な組織を有しており、ロッド形状に形成されており、且つ、雄形の端部と雌形の端部とを有しており、従って、前記雄形の端部が前記雌形の端部内へと係合するというやり方で、これらロッドが、相前後して、1つの棒状体へと組み合わせ可能であり、
且つ、この原材料内へと、前進力が導入されるというやり方で、前記棒状体が、押出しのためのピストンとして利用され、
その際、加熱のために、予熱装置と、抵抗加熱装置の様式の加熱装置とが使用され、
その際、抵抗加熱装置の加熱面が、金属組織内における球状晶子の粗大化の様式の原材料劣化が最低限に抑えられる程に小さくされる。
【0024】
加工可能な組織を維持された状態に留めるために、
チキソトロピー性の金属合金から成る製品の、押出しに基づく付加製造のための装置内への、原材料のための供給装置が意図され、この供給装置が、
交換可能なロッド形状の原材料のためのマガジンと、
その通路内において前記原材料が押出しのために調製される該通路への、ロッド形状の前記原材料のための案内通路とを有し、
その際、1つのロッドの雄形の端部が、それぞれに、先行するロッドの雌形の端部内へと係合するというやり方で、前記ロッド形状の原材料が、前記通路内への入口側で、1つの棒状体へと結合可能であり、
且つ、前記マガジンと、このマガジンから通路への押出し用の、原材料のための前記案内通路とが、保護ガスによって充填されている。
【0025】
次に、図を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。本発明の更なる利点および詳細は、実施例の以下の説明から与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、金属合金、有利にはチキソトロピー性のアルミニウム合金、および、特に合金、A-356/EN AC-42100/EN 1706(AlSi7MgO.3、並びに、THIXALLOY 540(AlMg5Si2Mn))から成る製品の、押出しに基づく付加製造のための、本発明に従う装置を示している。
【0028】
この装置は、原材料のための供給装置2を有しており、この原材料が、ハウジング1の外側に配置されている。
この原材料は、雄形の端部4と雌形の端部5とを有するロッド形状3に形成されており、従って、これらロッド3が、相前後して、1つの棒状体へと組み合わせ可能である。
組み合わされたロッド3は、通路6を通って、ノズル11の加熱可能なノズル通路12へと移動され、且つ、ここで、部分的に液状の状態において、位置調節可能なワークテーブル15の上で、1つの製品の層毎の構築のために利用される。
【0029】
通路6内へのロッド3の引き渡しによって、このロッドは、行われる部分溶融の際に空気内において存在する例えば酸素および二酸化炭素のような反応性のガスによる汚染の危険が排除されていることのために、更に別の装備と共に、ハウジング化された空間、即ち、不活性ガスによって充填されているハウジング1内に位置する。
【0030】
同様にハウジング1内において配置されたワークテーブル15は、座標x、y、および、zにおいて、位置調節装置16によって移動可能である。このことは、通路6を、および、供給装置2に対する接続部を一回りする、周辺の器具に関する装備の理由で、これら装備を移動することよりも有利である。
【0031】
更に、ワークテーブル15が、廃棄物集積装置17を備えており、この廃棄物集積装置が、劣化した原材料、もしくは、粗大化された原材料(例えば、ノズル出口開口部の1/8よりも大きな球状晶子)を収容することが示されている。
【0032】
図2は、ノズル11からのこの部分溶融物の導出に至るまでの、部分溶融物の調製のための装備を示している。有利には平均的な粒径≦100μmを有する、そのまま加工可能な球状晶子的な構造を有する組み合わされたロッド3は、前進を発生する装置20によって通路6内へと押圧され、従って、これら組み合わされたロッドは、同時に、生成された半固体の、導出されるべき材料の押出しのためのピストンとして利用される。
【0033】
前進を発生する装置20として、歯車搬送装置またはスクリュー搬送装置が使用され、これら歯車搬送装置またはスクリュー搬送装置は、組み合わされたロッド3の、ラックまたはねじ山ロッドに匹敵する相応する窪み部内へと係合する。
【0034】
スクリュー搬送装置の場合、組み合わされたロッド3は、案内溝部を有しており、且つ、通路6が、この案内溝部と協働する案内部を有しており、従って、このロッド3が、組み合わせのための位置において保持され、及び/または、このロッド3の回転離脱が、ピストンとしての前進の際に防止される。
【0035】
ノズル通路12への途次に、
組み合わされたロッド3は、相前後して、以下の加工装置:即ち、
-誘導コイル8と、電界集中のためのキャップ7とを有する、予熱装置と、
-予熱された原材料の、半固体の加工状態の発生のための、加熱装置10と、
-ノズル11の領域内における、後加熱装置13と、
を通過する。
【0036】
誘導コイル8、電界集中のためのキャップ7、および、加熱装置10は、その際、通路6を包囲しており、この通路が、この誘導コイル8の領域内において、予熱のために、ガラスまたはセラミックから成るスリーブ9によって形成されている。
【0037】
金属合金を、精確な、部分的に液状の状態にすること、および、保持することのために、加熱装置10は、有利には、複数回路式抵抗加熱装置である。加熱面が、小さくされることによって、金属組織内における球状晶子の粗大化の様式の原材料劣化を最低限に抑えることは可能である。
【0038】
押出し材料の後加熱のため、及び/または、既に堆積された材料層の予熱のために、レーザー、または同様に、誘導コイルが組み込まれている。
【0039】
粗い球状晶子の形成、および、これに伴って現れる、微細な結晶状の樹枝状晶(Dentriten)の形成は、材料が、もはや、押出しされ得ないことを誘起する。何故ならば、分解が生起し、目詰まりが生じ、もしくは、粘性が強度に変化するからである。
【0040】
このことを、同様にノズル11の領域内において配置されている超音波発生器14のような、上述された2段式の加熱が防止する。後者の超音波発生器は、固体の(球状晶子)および液状の材料構成要素の均等な分布の維持を支援し、及び/または、同様に洗浄機能も引き受ける。
【0041】
ノズル通路12は、セラミックの抗付着被覆部(例えば、窒化ホウ素被覆部)を有している。
【0042】
図3は、ロッド形状の原材料3の供給装置2を示している。この原材料のための供給装置2は、交換可能な、ロッド形状の原材料3のためのマガジン18と、通路6への、ロッド形状の原材料3のための案内通路19とを備えており、この案内通路内において、原材料が押出しのために調製される。
【0043】
1つのロッド3の雄形の端部4が、それぞれに、先行するロッド3の雌形の端部5内へと係合するというやり方で、ロッド形状3の原材料が、通路6内への入口側で、1つの棒状体へと結合可能である。
制御された解放ピン21は、後続のロッド3が、先行するロッド3が結合位置に位置する際に初めて、案内通路から走出することのための働きをする。
【0044】
ロッド形状の原材料は、有利には水平にマガジン18内へと挿入され、且つ、案内通路19内において、ロッド長手方向軸線に対して垂直な線の周りで回転を被り、従って、このロッド形状の原材料は、次いで、垂直方向に、通路6内へとスライドする。この配置は、垂直方向の貯蔵に比して、重力がロッドの送りのために利用されること、もしくは、これらマガジンが容易に作動状態において交換され得ることの利点を有している。
【0045】
ロッド3の、そのまま加工可能な球状晶子的な組織構造を変化させないために、マガジン18と案内通路19とは、保護ガスによって充填されている。
【符号の説明】
【0046】
1 ハウジング
2 供給装置
3 ロッド形状の原材料
4 ロッドの雄形の端部
5 ロッドの雌形の端部
6 通路
7 電界集中のためのキャップ
8 予熱のための誘導コイル
9 ガラスまたはセラミックから成るスリーブ
10 加熱装置
11 ノズル
12 ノズル通路
13 後加熱装置
14 超音波発生器
15 ワークテーブル
16 ワークテーブルのための位置調節装置
17 廃棄物集積装置
18 マガジン
19 案内通路
20 前進を発生する装置
21 解放ピン
【国際調査報告】