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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20220422BHJP
【FI】
A24F40/465
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554567
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2020056231
(87)【国際公開番号】W WO2020182741
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】62/816,267
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】トールセン, ミッチェル
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB17
4B162AC22
4B162AC50
(57)【要約】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を受け入れるように構成されたヒーター構成部品であって、変動磁場の侵入によって加熱可能なヒーター構成部品と、ヒーター構成部品の周りに延在する絶縁部材とを備え、当該絶縁部材は約300℃より高い融点を有する熱可塑性物質を備える。デバイスは、絶縁部材が少なくとも1つのコイルとヒーター構成部品との間に配置されるように絶縁部材の周りに延在し、変動磁場を生成するための少なくとも1つのコイルをさらに備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料を受け入れるように構成されたヒーター構成部品と、
前記ヒーター構成部品の周りに延在する絶縁部材であって、約250℃より高い融点を有する前記絶縁部材と、
少なくとも1つのコイルであって、前記絶縁部材が前記少なくとも1つのコイルと前記ヒーター構成部品との間に配置されるように前記絶縁部材の周りに延在し、前記ヒーター構成部品を加熱するように構成された前記少なくとも1つのコイルと
を備えるエアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記融点が約300℃より高い、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記融点が約340℃より高い、請求項2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記絶縁部材が熱可塑性物質を備え、前記熱可塑性物質がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
使用時、前記ヒーター構成部品が最高温度に加熱され、前記最高温度が、前記絶縁部材の融点よりも少なくとも約60℃低い、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
使用時、前記ヒーター構成部品が最高温度に加熱され、前記最高温度が、前記絶縁部材の融点よりも少なくとも約90℃低い、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記絶縁部材が約0.5W/mKより小さな熱伝導率を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記熱伝導率が約0.35W/mKより小さい、請求項7に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記絶縁部材が約0.25mm~約1mmの厚さを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記絶縁部材が約0.7mmより薄い厚さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つのコイルと前記ヒーター構成部品と前記絶縁部材とが同心である、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
前記絶縁部材が、前記ヒーター構成部品の周りに空隙を設けるように前記ヒーター構成部品から離して配置された、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
前記絶縁部材が、前記ヒーター構成部品の外面から約2.5mmより長い距離だけ離して配置された、請求項12に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
ヒーター構成部品の周りに延在し、約250℃より高い融点を有する絶縁部材を備えるエアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
エアロゾル生成材料を受け入れるように構成されたヒーター構成部品と、
少なくとも1つのコイルであって、前記絶縁部材が前記少なくとも1つのコイルと前記ヒーター構成部品との間に配置されるように前記絶縁部材の周りに延在して、前記ヒーター構成部品を加熱するように構成された前記少なくとも1つのコイルと
をさらに備える、請求項14に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項16】
前記絶縁部材がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む、請求項14又は15に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を備える物品と
を備えるエアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイス、並びにエアロゾル供給デバイスとエアロゾル生成材料を備える物品とを備えるエアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用時にタバコを燃焼させてタバコの煙を生じさせる。燃焼させずに化合物を放出する製品を作り出すことによって、タバコを燃焼させるこれらの品の代替品を提供する試みがなされている。このような製品の例としては、材料を燃焼させるのではなく加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスがある。この材料は、例えば、タバコや他の非タバコ製品であることがあり、これらは、ニコチンを含むことも含まないこともある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の態様によれば、
エアロゾル生成材料を受け入れるように構成されたヒーター構成部品と、
ヒーター構成部品の周りに延在する絶縁部材であって、約250℃より高い融点を有する絶縁部材と、
少なくとも1つのコイルであって、絶縁部材が少なくとも1つのコイルとヒーター構成部品との間に配置されるように絶縁部材の周りに延在し、ヒーター構成部品を加熱するように構成された少なくとも1つのコイルと
を備えるエアロゾル供給デバイスが提供される。
【0004】
本開示の第2の態様によれば、
第1の態様によるエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を備える物品であって、ヒーター構成部品内に少なくとも部分的に受け入れられるような寸法の物品と
を備えるエアロゾル供給システムが提供される。
【0005】
本開示の第3の態様によれば、ヒーター構成部品の周りに延在するための絶縁部材を備え、絶縁部材が約250℃より高い融点を有する、エアロゾル供給システムが提供される。
【0006】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して単なる例として挙げる本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】エアロゾル供給デバイスの例の前面図である。
図2】外側カバーを外した、図1のエアロゾル供給デバイスの前面図である。
図3図1のエアロゾル供給デバイスの断面図である。
図4図2のエアロゾル供給デバイスの分解図である。
図5A】エアロゾル供給デバイス内の加熱アセンブリの断面図である。
図5B図5Aの加熱アセンブリの一部分の拡大図である。
図6】サセプタ、インダクタコイル、及び絶縁部材構成体の図である。
図7】絶縁部材によって取り囲まれたサセプタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書では、用語「エアロゾル生成材料」は、加熱すると、典型的にはエアロゾルの形態の揮発成分を供する材料を含む。エアロゾル生成材料は任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含んでもよい。エアロゾル生成材料はまた、他の非タバコ製品を含んでもよく、非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、ゲル、又は蝋などの形態であってもよい。エアロゾル生成材料はまた、例えば、材料を組み合わせたもの、又はブレンドしたものでもよい。エアロゾル生成材料はまた、「喫煙材」としても知られている場合がある。
【0009】
典型的には、エアロゾル生成材料を燃やさずに、又は燃焼させずに吸引することができるエアロゾルを形成するために、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させる装置が知られている。このような装置は、ときどき、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」又は「タバコ加熱デバイス」、又はこれらに類似するものとしても記述される。同様に、また、いわゆるeシガレットデバイスがあり、これは、典型的には、ニコチンを含むことも含まないこともある液体の形態のエアロゾル生成材料を気化する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入することができるロッド、カートリッジ、又はカセットなどの形態であってもよく、これらの一部として提供されてもよい。エアロゾル生成材料を加熱して揮発させるためのヒーターは、装置の「永久的な」部分として提供されてもよい。
【0010】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を備える物品を受け入れて加熱することができる。この文脈の「物品」とは、使用時にエアロゾル生成材料を含む、又はエアロゾル生成材料が入っている、使用時に加熱されて、エアロゾル生成材料及び任意選択的に他の成分を揮発させる構成部品のことである。使用者は、物品をエアロゾル生成デバイスに挿入してから、加熱してエアロゾルを発生させることができ、続いて使用者はそれを吸引する。物品は、例えば、物品を受け入れるような大きさのデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された、所定又は特定の大きさのものであってもよい。
【0011】
本開示の第1の態様は、ヒーター構成部品(サセプタなど)と絶縁部材と1つ又は複数のコイル(インダクタコイルなど)との構成体を定める。本明細書でさらに詳細に論じるように、サセプタは、変動磁場の侵入によって加熱可能な導電性物体である。コイルは、サセプタを加熱させる変動磁場を生成するように構成される。エアロゾル生成材料を備える物品は、サセプタ内に受け入れることができる。サセプタは、加熱されると、熱をエアロゾル生成材料に伝え、エアロゾル生成材料はエアロゾルを放出する。
【0012】
コイルはインダクタコイルであってもよく、ヒーター構成部品はサセプタであってもよい。
【0013】
本構成では、ヒーター構成部品は、例えば、ヒーター構成部品と同心に配置することができる絶縁部材によって取り囲まれる。絶縁部材は、空隙を設けるようにヒーター構成部品の外面から離して配置されてもよい。絶縁部材の周りに延在するのはコイルである。これは、絶縁部材がコイルとヒーター構成部品との間に配置されることを意味する。特定の構成では、コイルは絶縁部材と接触していてもよい。しかしながら、他の例では、絶縁部材とコイルとの間にさらなる空隙が設けられてもよい。
【0014】
上のエアロゾル供給デバイスでは、絶縁部材は約250℃より高い融点/溶融温度を有する。250℃より高い融点を有することによって、ヒーター構成部品が加熱されるときに絶縁部材の構造的完全性が保たれる。絶縁部材は300℃より高い融点/溶融温度を有することが好ましい。使用時、ヒーター構成部品は、約250℃~約280℃の最高温度に加熱されてもよい。絶縁部材が300℃を超える融点を有することにより、コイルは実質的に溶ける又は軟化することがないことが確実になる。他の例では、ヒーター構成部品の最高温度はそれより低くてもよいし、高くてもよい。
【0015】
いくつかの例では、融点は約340℃より高い。いくつかの例では、融点は約350℃より低い。さらに高い融点を有する熱可塑性物質などの材料は高価になることがある。融点は約343℃であることが好ましい。
【0016】
絶縁部材は上記の融点を有する熱可塑性物質を備えることが好ましい。
【0017】
絶縁部材は、約140℃より高いガラス転移温度を有する熱可塑性物質を備えてもよい。絶縁部材が、ヒーター構成部品の外面から、約2.75mmより長いなど、約2.5mmより長い距離だけ離して配置されたとき、絶縁部材は空隙によって十分に絶縁されて、絶縁部材は確実にガラス転移温度より低いままであることが見出された。絶縁部材を取り囲むコイルは、ヒーター構成部品の外面から約3mm~約4mmの距離だけ離して配置されることが好ましい。したがって、コイルの内面とヒーター構成部品の外面とはこの距離だけ間隔を置いて配置されてもよい。これらの距離は半径方向の距離であってもよい。この範囲内の距離は、ヒーター構成部品を効率的に加熱することができるようにヒーター構成部品をコイルに半径方向に接近させることと、絶縁部材及び空隙によって誘導コイルの絶縁を改善するために半径方向に離すこととの間で良いバランスを示すことが見出された。
【0018】
したがって、絶縁部材は、ヒーター構成部品の外面から約2.5mmより長い距離だけ離して配置されることが好ましい。コイルは、ヒーター構成部品の外面から、約3.25mmの距離だけ離して配置されることが好ましい。
【0019】
熱可塑性物質はポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyether ether ketone)であることが好ましい。PEEKは熱と電気の良好な絶縁特性を有し、エアロゾル供給デバイスでの使用によく適している。PEEKは約343℃の融点を有する。PEEKは約143℃のガラス転移温度を有する。一例では、この熱可塑性物質はビクトレックス(Victrex)(登録商標)PEEK 450Gである。PEEKはまた、液体の形態のときに容易に流動し、したがって、射出成形によって絶縁部材を容易に形成することができる。PEEKはまた、デバイスの他の構成部品を傷つけることがある研磨性がない。
【0020】
使用時、ヒーター構成部品は最高温度に加熱されてもよく、最高温度は、絶縁部材の融点より少なくとも約60℃低い。したがって、ヒーター構成部品の最高温度と絶縁部材の融点との差は60℃より大きいことが好ましい。この差によって、絶縁部材が高温になりすぎず、軟化し始めないことが確実になる。一例では、例えば、最高温度は約280℃である。
【0021】
使用時、ヒーター構成部品は最高温度に加熱されてもよく、最高温度は、絶縁部材の融点より少なくとも約90℃低い。一例では、例えば、最高温度は約250℃である。
【0022】
一例では、使用時、ヒーター構成部品は、第1の温度及び第2の温度のうちの1つの温度に加熱されてもよく、第1の温度は約250℃、第2の温度は約280℃であり、融点は第2の温度より少なくとも約60℃高い。デバイスが第1のモードで動作しているとき、ヒーター構成部品は第1の温度に加熱されてもよく、デバイスが第2のモードで動作しているとき、ヒーター構成部品は第2の温度に加熱されてもよい。
【0023】
絶縁部材は、約0.5W/mKより小さい熱伝導率を有してもよい。これは、絶縁部材が良好な断熱特性を有して、加熱されたヒーター構成部品からデバイスの構成部品を絶縁することを確実にする。熱伝導率は約0.35W/mKより小さいことが好ましい。PEEKは、約0.32W/mKの熱伝導率を有する。
【0024】
絶縁部材は、ヒーター構成部品の周りに空隙を設けるようにヒーター構成部品から離して配置されることが好ましい。言及したように、空隙によって絶縁が得られる。空隙は、絶縁部材を熱から絶縁する助けになり、空隙と絶縁部材は一緒になって、デバイスの他の構成部品を熱から絶縁する助けになる。例えば、空隙及び絶縁部材は、ヒーター構成部品によるコイル、電子機器、及び/又はバッテリーのいかなる加熱も低減する。
【0025】
絶縁部材は、約0.25mm~約1mmの厚さを有してもよい。例えば、絶縁部材は、約0.7mmより薄い、又は約0.6mmより薄い厚さを有してもよく、又は約0.25mm~約0.75mmの厚さを有してもよく、又は約0.5mmなど、約0.4mm~約0.6mmの厚さを有することが好ましい。これらの厚さは、(絶縁部材をより薄くして空隙の大きさを増大させることによって)絶縁部材及びコイルの加熱を低減することと、(絶縁部材をより厚くすることによる)絶縁部材の頑強さを高めることとの間で良いバランスを示すことが見出された。
【0026】
特定の構成では、少なくとも1つのコイルとヒーター構成部品と絶縁部材とは同心である。この構成は、ヒーター構成部品を効果的に加熱することを確実にし、空隙及び絶縁部材が効果的に絶縁することを確実にする。
【0027】
上で言及したように、絶縁部材は、空隙を設けるようにヒーター構成部品から離して配置されてもよい。例えば、絶縁部材の内面は、ヒーター構成部品の外面から間隔を置いて配置される。これは、空隙がヒーター構成部品の外面を取り囲み、ヒーター構成部品がこの領域で絶縁部材と接触していないことを意味する。いかなる接触も、熱が流れることができる熱橋を与え得る。いくつかの例では、ヒーター構成部品の端部は、絶縁部材に直接的又は間接的に接続されてもよい。この接触は、空隙及び絶縁部材によって与えられる絶縁特性を過度に下げないように、ヒーター構成部品の主加熱領域から十分離してもよい。これに代えて、又はこれに加えて、この接触はまた、ヒーター構成部品からの伝導による絶縁部材へのいかなる熱伝達も少ないように比較的小さな領域にわたるものであってもよい。
【0028】
特定の構成では、ヒーター構成部品は細長く、長手方向軸線などの軸線を定める。絶縁部材は、ヒーター構成部品及び軸線の周りを方位方向に延在する。したがって、絶縁部材はヒーター構成部品から半径方向外側に配置される。この半径方向は、ヒーター構成部品の軸線に垂直であるように定められる。同様に、コイルは絶縁部材の周りに延在し、ヒーター構成部品及び絶縁部材の両方から半径方向外側に配置される。
【0029】
ヒーター構成部品は中空及び/又は実質的に管状であってもよく、ヒーター構成部品がエアロゾル生成材料を取り囲むようにヒーター構成部品内にエアロゾル生成材料を受け入れることができる。絶縁部材は、ヒーター構成部品を絶縁部材内に配置することができるように中空及び/又は実質的に管状であってもよい。
【0030】
コイルは実質的に螺旋状であってもよい。例えば、コイルは、リッツ線などのワイヤから形成されてもよく、絶縁部材の周りに螺旋状に巻かれる。
【0031】
ヒーター構成部品は、約0.025mm~約0.5mm、又は約0.025mm~約0.25mm、又は約0.03mm~約0.1mm、又は約0.04mm~約0.06mmの厚さを有してもよい。例えば、ヒーター構成部品は、約0.025mmより厚い、又は約0.03mmより厚い、又は約0.04mmより厚い、又は約0.5mmより薄い、又は約0.25mmより薄い、又は約0.1mmより薄い、又は約0.06mmより薄い厚さを有してもよい。これらの厚さは、(薄く作られると)ヒーター構成部品を急速に加熱することと、(厚く作られると)ヒーター構成部品が確実に頑強になることとの間で良いバランスを提供することが見出された。
【0032】
一例では、ヒーター構成部品は約0.05mmの厚さを有する。これによって、急速で効果的な加熱と頑強さとの間のバランスがとれる。このようなヒーター構成部品は、より薄い寸法の他のヒーター構成部品よりも、エアロゾル供給デバイスの一部として製造し組み立てるのに容易な場合がある。
【0033】
実在物の「厚さ」への言及は、実在物の内面と実在物の外面との間の平均距離を意味する。厚さは、ヒーター構成部品の軸線に垂直な方向で測定されてもよい。
【0034】
エアロゾル供給デバイスの特定の構成では、コイルは、ヒーター構成部品の外面から約3mm~約4mmの距離だけ離して配置され、絶縁部材は、約0.25mm~約1mmの厚さを有し、ヒーター構成部品は、約0.025mm~約0.5mmの厚さを有する。このようなエアロゾル供給デバイスは、ヒーター構成部品の素早い加熱及び効果的な絶縁特性を可能にする。
【0035】
別の特定の構成では、コイルは、ヒーター構成部品の外面から約3mm~約3.5mmの距離だけ離して配置されてもよく、絶縁部材は、約0.25mm~約0.75mmの厚さを有し、ヒーター構成部品は、約0.04mm~約0.06mmの厚さを有する。このようなエアロゾル供給デバイスは、ヒーター構成部品の改善された加熱及び改善された絶縁特性を可能にする。
【0036】
さらなる特定の構成では、コイルは、ヒーター構成部品の外面から約3.25mmの距離だけ離して配置され、絶縁部材は、約0.5mmの厚さを有し、ヒーター構成部品は、約0.05mmの厚さを有する。このようなエアロゾル供給デバイスは、ヒーター構成部品の効率的な加熱及び良好な絶縁特性を可能にする。
【0037】
言及したように、本開示の第2の態様では、上記のようなエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル生成材料を備える物品とを備えるエアロゾル供給システムが提供される。物品は、物品の外面がヒーター構成部品の内面と接触するように、エアロゾル供給デバイスのヒーター構成部品内に受け入れられるような寸法であってもよい。したがって、物品は、物品がヒーター構成部品の内面と当接するような寸法であってもよい。
【0038】
デバイスは、非燃焼加熱式デバイスとしても知られているタバコ加熱デバイスであることが好ましい。
【0039】
上で簡単に言及したように、いくつかの例では、コイル(複数可)は、使用時、少なくとも1つの導電性加熱構成部品/要素(ヒーター構成部品/要素としても知られている)の加熱を引き起こすように構成され、その結果、熱エネルギーは少なくとも1つの導電性加熱構成部品からエアロゾル生成材料に伝導可能で、それによって、エアロゾル生成材料の加熱を引き起こす。
【0040】
いくつかの例では、コイル(複数可)は、使用時、少なくとも1つの加熱構成部品/要素に進入するための変動磁場を生成し、それによって少なくとも1つの加熱構成部品の誘導加熱及び/又は磁気ヒステリシス加熱を引き起こすように構成される。このような構成では、この加熱構成部品又は各加熱構成部品は「サセプタ」と呼ばれることがある。使用時、少なくとも1つの導電性加熱構成部品に侵入するための変動磁場を生成し、それによって少なくとも1つの導電性加熱構成部品の誘導加熱を引き起こすように構成されたコイルは、「誘導コイル」又は「インダクタコイル」と呼ばれることがある。
【0041】
デバイスは、加熱構成部品(複数可)、例えば、導電性加熱構成部品(複数可)を含んでもよく、加熱構成部品(複数可)は、加熱構成部品(複数可)のこのような加熱を可能にするようにコイル(複数可)に対して適切に配置してもよく、配置可能であってもよい。加熱構成部品(複数可)はコイル(複数可)に対して固定された位置にあってもよい。これに代えて、少なくとも1つの加熱構成部品、例えば、少なくとも1つの導電性加熱構成部品は、デバイスの加熱領域内に挿入するための物品に含まれてもよく、物品はまた、エアロゾル生成材料を備え、使用後に加熱領域からの取外し可能である。これに代えて、本デバイス及びこのような物品の両方は、それぞれ、少なくとも1つの加熱構成部品、例えば、少なくとも1つの導電性加熱構成部品を備えてもよく、物品が加熱領域にあるとき、コイル(複数可)は、デバイス及び物品のそれぞれの加熱構成部品(複数可)の加熱を引き起こすためのものであってもよい。
【0042】
いくつかの例では、コイル(複数可)は螺旋状である。いくつかの例では、コイル(複数可)は、エアロゾル生成材料を受け入れるように構成されたデバイスの加熱領域の少なくとも一部を包囲する。いくつかの例では、コイル(複数可)は、加熱領域の少なくとも一部を包囲する螺旋コイル(複数可)である。加熱領域は、エアロゾル生成材料を受け入れるような形状の受入部であってもよい。
【0043】
いくつかの例では、デバイスは、加熱領域を少なくとも部分的に取り囲む導電性加熱構成部品を備え、コイル(複数可)は、導電性加熱構成部品の少なくとも一部を包囲する螺旋コイル(複数可)である。いくつかの例では、導電性加熱構成部品は管状である。いくつかの例では、コイルはインダクタコイルである。
【0044】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイス100の例を示す。概略的に述べると、デバイス100は、エアロゾル生成媒体を備える交換可能な物品110を加熱して、デバイス100の使用者によって吸引されるエアロゾル又は他の吸引可能な媒体を生成するために使用することができる。
【0045】
デバイス100は、デバイス100の様々な構成部品を取り囲み、収容する(外側カバーの形態の)ハウジング102を備える。デバイス100は、一端に開口104を有し、物品110を、この開口104を通して、加熱アセンブリによって加熱するために挿入することができる。使用時、物品110は、加熱アセンブリ内に完全に、又は部分的に挿入することができ、ここで、物品110をヒーターアセンブリの1つ又は複数の構成部品によって加熱することができる。
【0046】
この例のデバイス100は第1の端部部材106を備え、第1の端部部材106は、定位置に物品110がないときに開口104を閉じるために第1の端部部材106に対して移動可能な蓋108を備える。図1では、蓋108は、開いた配置で示されているが、キャップ108は閉じた配置に動くことができる。例えば、使用者は、蓋108を矢印「A」の方向に滑らすことができる。
【0047】
デバイス100はまた、押すとデバイス100を作動させるボタン又はスイッチなど、使用者が操作可能な制御要素112を含んでもよい。例えば、使用者はスイッチ112を操作することによってデバイス100を作動させることができる。
【0048】
デバイス100はまた、デバイス100のバッテリーを充電するためにケーブルを受け入れることができるソケット/口114などの電気構成部品を備えてもよい。例えば、ソケット114は、USB充電口などの充電口でもよい。いくつかの例では、これに加えて又はこれに代えて、ソケット114は、デバイス100と、計算デバイスなどの別のデバイスとの間でデータを転送するために使用されてもよい。
【0049】
図2は、外側カバー102を外し、物品110がない、図1のデバイス100を示す。デバイス100は長手方向軸線134を定める。
【0050】
図2に示すように、第1の端部部材106は、デバイス100の一端に配置され、第2の端部部材116は、デバイス100の反対側の端部に配置される。第1及び第2の端部部材106、116は一緒に、デバイス100の端面を少なくとも部分的に画定する。例えば、第2の端部部材116の底面はデバイス100の底面を少なくとも部分的に画定する。外側カバー102の縁もまた、端面の一部分を画定してもよい。この例では、蓋108もまた、デバイス100の頂面の一部分を画定する。
【0051】
開口104に最も近いデバイスの端部は、使用時に使用者の口に最も近いので、デバイス100の近位端(又は口側端部)として知られていることがある。使用時、使用者は、物品110を開口104に挿入し、使用者制御部112を操作してエアロゾル生成材料の加熱を始めて、デバイスに生成されたエアロゾルを吸う。これによって、エアロゾルは、デバイス100の近位端に向かって流路に沿ってデバイス100の中を流れる。
【0052】
開口104から最も遠くに離れたデバイスの他の端部は、使用時に使用者の口から最も遠くに離れているので、デバイス100の遠位端として知られていることがある。使用者がデバイスに生成されたエアロゾルを吸うと、エアロゾルは、デバイス100の遠位端から流れ去る。
【0053】
デバイス100は、電源118をさらに備える。電源118は、例えば、再充電可能なバッテリー又は再充電できないバッテリーなどのバッテリーでもよい。適切なバッテリーの例には、例えば、リチウム電池(リチウムイオン電池など)、ニッケル電池(ニッケル-カドミウム電池など)、及びアルカリ電池が含まれる。バッテリーは、必要時に、コントローラ(図示せず)の制御下で電力を供給してエアロゾル生成材料を加熱するために加熱アセンブリに電気的に結合される。この例では、バッテリーは、バッテリー118を定位置に保持する中央支持部120に接続される。
【0054】
デバイスは、少なくとも1つの電子機器モジュール122をさらに備える。電子機器モジュール122は、例えば、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)を備えてもよい。PCB122は、プロセッサなどの少なくとも1つのコントローラ及びメモリを支持してもよい。PCB122はまた、デバイス100の様々な電子構成部品を互いに電気的に接続するために1つ又は複数の電気線路を備えてもよい。例えば、電力をデバイス100全体に分配することができるように、バッテリー端子はPCB122に電気的に接続されてもよい。ソケット114もまた、電気線路を経由してバッテリーに電気的に結合されてもよい。
【0055】
例示的なデバイス100では、加熱アセンブリは誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスによって物品110のエアロゾル生成材料を加熱するために様々な構成部品を備えている。誘導加熱は、電磁誘導によって導電性物体(サセプタなど)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素、例えば、1つ又は複数のインダクタコイルと、誘導要素に交流電流などの変動電流を流すためのデバイスとを備えることがある。誘導要素の変動電流は変動磁場を生じさせる。変動磁場は、誘導要素に対して適切に配置されたサセプタに侵入し、サセプタ内部に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対して電気抵抗を有し、したがって、この抵抗に抗する渦電流の流れによって、サセプタがジュール加熱によって加熱される。サセプタが、鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、サセプタの磁気ヒステリシス損失によっても、すなわち、磁性材料内の磁気双極子の向きが、変動磁場と合う結果として変動することによっても、熱を生成することができる。誘導加熱では、例えば、伝導による加熱と比較すると、熱はサセプタ内部で生成され、それによって急速な加熱が可能になる。さらに、誘導ヒーターとサセプタとの間に何ら物理的な接触を必要とせず、それは、構造及び用途の自由度を大きくすることができる。
【0056】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ構成体132(本明細書では「サセプタ」と称する)と、第1のインダクタコイル124と、第2のインダクタコイル126とを備える。第1及び第2のインダクタコイル124、126は導電性材料から作られる。この例では、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、螺旋状に巻かれたリッツワイヤ/ケーブルから作られて螺旋インダクタコイル124、126を提供する。リッツワイヤは、個々に絶縁されて互いに撚り合わされて単一のワイヤを形成する複数の個別ワイヤを備える。リッツワイヤは、導体の表皮効果損失を低減するように設計されている。例示的なデバイス100では、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、矩形断面を有する銅リッツワイヤから作られる。他の例では、リッツワイヤは、円形などの他の形状の断面を有することができる。
【0057】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1の部分を加熱するために第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2の部分を加熱するために第2の変動磁場を生成するように構成される。この例では、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸線134に沿う方向に第2のインダクタコイル126と隣り合っている(すなわち、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は重なっていない)。サセプタ構成体132は、単一のサセプタを備えてもよいし、2つ以上の別々のサセプタを備えてもよい。第1及び第2のインダクタコイル124、126の端部130は、PCB122に接続することができる。
【0058】
いくつかの例では、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は、互いに異なる少なくとも1つの特性を有してもよいことは理解されるであろう。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる少なくとも1つの特性を有してもよい。より詳細には、一例では、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なるインダクタンス値を有してもよい。図2では、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は異なる長さのものであり、その結果、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126よりも小さなサセプタ132の部分に巻かれている。したがって、(個々の巻きの間の間隔が実質的に同じであると仮定して)第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる巻き数を備えてもよい。さらに別の例では、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる材料から作られてもよい。いくつかの例では、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は実質的に同一であってもよい。
【0059】
この例では、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は反対方向に巻かれている。これは、インダクタコイルが異なるときに動作しているとき、有用になり得る。例えば、最初、第1のインダクタコイル124が物品110の第1の部分を加熱するように動作してもよく、その後、第2のインダクタコイル126が物品110の第2の部分を加熱するように動作してもよい。コイルを反対方向に巻くことは、特定のタイプの制御回路とともに使用されるとき、動作していないコイルに誘導される電流を低減する助けになる。図2では、第1のインダクタコイル124は右巻き螺旋であり、第2のインダクタコイル126は左巻き螺旋である。しかしながら、別の実施形態では、インダクタコイル124、126は同じ方向に巻かれてもよいし、第1のインダクタコイル124は左巻き螺旋であってもよいし、第2のインダクタコイル126は右巻き螺旋であってもよい。
【0060】
この例のサセプタ132は中空であり、したがって、内部にエアロゾル生成材料を受け入れる受入部を画定する。例えば、物品110は、サセプタ132内に挿入することができる。この例では、サセプタ120は、断面が円形の管状である。
【0061】
図2のデバイス100は、概ね管状でサセプタ132を少なくとも部分的に取り囲むことができる絶縁部材128をさらに備える。絶縁部材128は、例えば、プラスチックなどの絶縁材料から構成されてもよい。この特定の例では、絶縁材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyether ether ketone)から構成される。絶縁材料128は、サセプタ132に生成される熱からデバイス100の様々な構成部品を絶縁する助けとなり得る。
【0062】
絶縁部材128はまた、第1及び第2のインダクタコイル124、126を完全に、又は部分的に支持することができる。例えば、図2に示すように、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、絶縁部材128の周りに配置され、絶縁部材128の半径方向外向きの表面と接触している。いくつかの例では、絶縁部材128は、第1及び第2のインダクタコイル124、126と当接しない。例えば、絶縁部材128の外面と、第1及び第2のインダクタコイル124、126の内面との間には小さな隙間があってもよい。
【0063】
特定の例では、サセプタ132、絶縁部材128、並びに第1及び第2のインダクタコイル124、126は、サセプタ132の中央長手方向軸線の周りに同心である。
【0064】
図3は、デバイス100の部分断面の側面図である。この例では外側カバー102は存在している。第1及び第2のインダクタコイル124、126の矩形断面形状がより明瞭に見える。
【0065】
デバイス100は、サセプタ132の一端と係合してサセプタ132を定位置に保持する支持部136をさらに備える。支持部136は第2の端部部材116に接続される。
【0066】
デバイスはまた、制御要素112内に関連した第2のプリント回路基板138を備えてもよい。
【0067】
デバイス100は、デバイス100の遠位端の方に配置された第2の蓋/キャップ140及びばね142をさらに備える。ばね142によって第2の蓋140を開けることができて、サセプタ132にアクセスすることができる。使用者は第2の蓋140を開けて、サセプタ132及び/又は支持部136をきれいにすることができる。
【0068】
デバイス100は、サセプタ132の近位端からデバイスの開口104の方へ延在する膨張チャンバ144をさらに備える。物品110がデバイス100内に受け入れられたときに物品110に当接して保持するために、膨張チャンバ144内に保持クリップ146が少なくとも部分的に配置される。膨張チャンバ144は端部部材106に接続される。
【0069】
図4は、外側カバー102を省いた、図1のデバイス100の分解図である。
【0070】
図5Aは、図1のデバイス100の一部分の断面を示す。図5Bは、図5Aの1つの領域の拡大図である。図5A及び図5Bは、サセプタ132によって設けられた受入部内に受け入れられた物品110を示し、ここでは、物品110は、物品110の外面がサセプタ132の内面と当接するような寸法である。これは、この加熱が最も効率的であることを確実にする。この例の物品110はエアロゾル生成材料110aを備える。エアロゾル生成材料110aはサセプタ132内に配置される。物品110はまた、フィルタ、包装材料及び/又は冷却構造体などの他の構成部品を備えてもよい。
【0071】
図5Bは、中空の管状のサセプタ132の長手方向軸線158を示す。サセプタ132の内面及び外面は軸線158周りを方位方向に延在する。サセプタ132を取り囲んでいるのは、中空の管状の絶縁部材128である。絶縁部材128の内面は、絶縁部材128とサセプタ132との間に空隙を設けるためにサセプタ132の外面から離して配置される。この空隙によって、サセプタ132に生成される熱から絶縁することができる。絶縁部材128を取り囲んでいるのはインダクタコイル124、126である。いくつかの例では、1つのインダクタコイルだけが絶縁部材128を取り囲んでもよいことは理解されるであろう。インダクタコイル124、126は、絶縁部材の周りに螺旋状に巻かれ、軸線158に沿って延在する。
【0072】
図5Bは、サセプタ132の外面が、インダクタコイル124、126の内面から、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直な方向に測って距離150だけ間隔を置いて配置されていることを示す。特定の例では、距離150は約3.25mmである。サセプタ132の外面は、軸線158から最も遠くに離れた表面である。サセプタ132の内面は、軸線158に最も近い表面である。インダクタコイル124、126の内面は、軸線158に最も近い表面である。絶縁部材128の外面は、軸線158から最も遠くに離れた表面である。
【0073】
サセプタ132とインダクタコイル124、126との間に相対間隔を空けるために、特定の寸法で絶縁部材128を形成することができる。絶縁部材128及びサセプタ132は、デバイス100の1つ又は複数の構成部品によって定位置に保持することができる。図5Aの例では、絶縁部材128及びサセプタ132は、一端で支持部136によって、他端で膨張チャンバ144によって定位置に保持される。他の例では、異なる構成部品が絶縁部材128及びサセプタ132を保持してもよい。
【0074】
図5Bは、絶縁部材128の外面が、インダクタコイル124、126の内面から、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直な方向に測って距離152だけ間隔を置いて配置されていることをさらに示す。1つの特定の例では、距離152は約0.05mmである。別の例では、距離152は実質的に0mmであり、その結果、インダクタコイル124、126は絶縁部材128と当接し接触する。
【0075】
この例では、サセプタ132は約0.05mmの厚さ154を有する。サセプタ132の厚さは、軸線158に垂直な方向に測った、サセプタ132の内面とサセプタ132の外面との間の平均距離である。
【0076】
一例では、サセプタ132は、約40mm~約50mm、又は約40mm~約45mmの長さを有する。この特定の例では、サセプタ132は約44.5mmの長さを有し、約42mmの長さを有するエアロゾル生成材料110aを備える物品110を受け入れることができる。エアロゾル生成材料及びサセプタ132の長さは軸線158に平行な方向に測定される。
【0077】
一例では、絶縁部材128は、約0.25mm~約2mm、又は約0.25mm~約1mmの厚さ156を有する。この特定の例では、絶縁部材は約0.5mmの厚さ156を有する。絶縁部材128の厚さ156は、軸線158に垂直な方向に測った、絶縁部材128の内面と絶縁部材128の外面との間の平均距離である。
【0078】
図6は、図5A及び図5Bに示したサセプタ132及び絶縁部材128の断面図である。しかしながら、この例では、分かりやすくするために、2つのインダクタコイルが単一のインダクタコイル224に置き換えられている。インダクタコイル224は、2つ以上のインダクタコイルに置き換えられてもよい。
【0079】
インダクタコイル224は絶縁部材128の周りに巻かれ、絶縁部材128の外面128bと接触している。別の例では、それらは接触していなくてもよい。したがって、インダクタコイルの内面224aは、サセプタ132の外面132bから距離150だけ離して配置される。この例では、インダクタコイル224を形成するワイヤは円形の断面を有するが、他の形状の断面が使用されてもよい。図6に示した大きさは、原寸に比例して示したものではない。
【0080】
図6は、サセプタ132の内面132aと外面132bとの間の距離としてサセプタ132の厚さ154を、また、絶縁部材128の内面128aと外面128bとの間の距離として絶縁部材128の厚さ156をより明瞭に示している。
【0081】
図6はまた、幅204を有する空隙202を示す。空隙202の幅204は、サセプタ132の外面132bと絶縁部材の内面128aとの間の距離である。空隙202の幅204は約2.5mmより広くてもよい。この例では、幅204は約2.75mmである。
【0082】
上で説明した例では、絶縁部材128は、約300℃より高い融点を有する熱可塑性物質を備える。この特定の例では、熱可塑性物質はPEEKであり、343℃の融点を有する。さらに、PEEKはおよそ1.3g/cmの密度、0.32W/mKの熱伝導率を有する。PEEKは、良好な断熱性を提供し、サセプタ132が約250℃~約280℃の温度に加熱されても強度を保つので、絶縁部材128にとっては良い材料であることが見出された。いくつかの例では、サセプタはこれらの温度より高い温度に加熱される。
【0083】
図7は、絶縁部材128の中に配置され、絶縁部材128によって取り囲まれた管状のサセプタ132の斜視図である。サセプタ132及び絶縁部材128の両方とも円形の断面を有しているが、これらの断面は任意の他の形状であってもよく、いくつかの例では、互いに異なっていてもよい。使用者は、物品110を矢印206の方向に挿入することによって、物品110をサセプタ132に導入することができる。
【0084】
上の実施形態は、本発明の説明のための例として理解されたい。本発明のさらなる実施形態は考えられる。任意の1つの実施形態に関して説明された任意の特徴は、単独で使用されてもよく、又は、説明された他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、実施形態のうちの任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用されてもよく、又は実施形態のうちの任意の他の実施形態の任意の組合せにおいて使用されてもよいことを理解されたい。さらに、上で説明していない等価物及び修正物もまた、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱しなければ使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5A-5B】
図6
図7
【国際調査報告】