(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】非ゼロ偏向角を有するエネルギー指向面を用いてエネルギーを指向させるためのシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/32 20060101AFI20220422BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20220422BHJP
G02B 30/00 20200101ALN20220422BHJP
【FI】
G02B5/32
G02B5/18
G02B30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554618
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 US2020023030
(87)【国際公開番号】W WO2020186272
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519006883
【氏名又は名称】ライト フィールド ラボ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】カラフィン、ジョナサン、シーン
(72)【発明者】
【氏名】ベヴェンシー、ブレンダン、エルウッド
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199BA43
2H199BB23
2H249AA02
2H249AA12
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA63
2H249CA05
2H249CA15
2H249CA22
(57)【要約】
非ゼロ偏向角は、本開示の実施形態を実装して、投射されたエネルギーを、エネルギー指向面に近い領域などの所望の領域に指向させることを可能にすることによって達成され得る。エネルギー指向面をエネルギー源と組み合わせて使用して、エネルギー指向面に基づく2つの空間座標、およびエネルギー指向面に対するエネルギー源の位置に基づく2つの角度座標を有する4次元座標系を有する伝搬経路を提供し得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー指向システムであって、
複数のエネルギー源位置を含むエネルギー面と、
エネルギー導波路の配列であって、各導波路が、前記エネルギー面の異なるエネルギー位置からの異なる伝搬経路に沿ってエネルギーを指向させるように構成されており、各伝搬経路が4次元座標を有し、前記4次元座標が、前記それぞれのエネルギー導波路の位置に対応する2つの空間座標、および前記それぞれの導波路に対する前記エネルギー源位置によって少なくとも部分的に決定される2つの角度座標を含み、前記角度座標が、前記それぞれの伝搬経路の前記方向を画定する、エネルギー導波路の配列と、を備え、
各導波路の前記伝搬経路が、前記それぞれの導波路の前記伝搬経路の角度範囲に対して対称軸を画定するエネルギー伝搬軸の周りにグループ化され、
前記エネルギー導波路の配列が、エネルギー指向面を画定し、第1のエネルギー伝搬軸を有する第1の導波路および第2のエネルギー伝搬軸を有する第2の導波路を含み、前記第1および第2のエネルギー伝搬軸が、それぞれ、前記エネルギー指向面の法線に対して、第1および第2の偏向角を形成し、さらに、前記第1および第2の偏向角が異なる、エネルギー指向システム。
【請求項2】
各導波路の前記エネルギー伝搬軸が、各エネルギー導波路のすべての伝搬経路の平均エネルギーベクトルと実質的に整列している、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項3】
各導波路の前記エネルギー伝搬軸が、前記それぞれの導波路の光軸である、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項4】
前記第1の偏向角がゼロであり、前記第2の偏向角が非ゼロである、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項5】
前記第1の偏向角が非ゼロであり、前記第2の偏向角が非ゼロである、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項6】
前記エネルギー面が、エネルギー画素を含み、画素平面を画定し、前記複数のエネルギー位置が、前記ピクセル平面内のエネルギー画素の位置に対応する、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項7】
前記エネルギー面が、中継されたエネルギー面を含み、前記複数のエネルギー位置が、前記中継されたエネルギー面上の位置に対応する、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項8】
前記エネルギー導波路の配列が、前記エネルギーガイド面の法線に対する偏向角を画定するエネルギー伝搬軸を各々有する追加の導波路を含む、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項9】
第1の方向における各直後の導波路の前記偏向角が、各直前の導波路の前記偏向角とは異なるように構成され得る、請求項8に記載のエネルギー指向システム。
【請求項10】
第1の方向における各直後の導波路の前記偏向角が、前記第1の方向における各直前の導波路の前記偏向角よりも大きい、請求項9に記載のエネルギー指向システム。
【請求項11】
第1の方向における各直後の導波路の前記偏向角が、前記第1の方向における各直前の導波路の前記偏向角よりも小さい、請求項9に記載のエネルギー指向システム。
【請求項12】
前記導波路の配列のホログラフィック視聴ボリュームが、前記導波路の配列の各導波路からの少なくとも1つの伝搬経路が交差することができる位置のセットを含む、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項13】
前記導波路の配列の前記導波路の前記偏向角が、前記導波路の配列の前記導波路の前記偏向角がゼロになるように構成された場合の前記導波路の配列の前記ホログラフィック視聴ボリュームよりも、前記導波路の配列の前記ホログラフィック視聴ボリュームが前記エネルギー指向面に近くなるように構成されている、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項14】
前記導波路の配列の前記導波路の前記偏向角が、前記エネルギー伝搬軸が前記エネルギー指向面の中央部分に向けられるように構成されている、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項15】
前記第1および第2の導波路のうちの一方が、前記エネルギー面上のエネルギー源位置の第1のグループを通してエネルギーを伝搬するように構成され、前記エネルギー源位置のグループが、前記それぞれの導波路の対称中心からオフセットされている中央エネルギー位置を有する、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項16】
前記第1および第2の導波路のうちの他方が、前記エネルギー面上のエネルギー源位置の第2のグループを通してエネルギーを伝搬するように構成され、前記エネルギー源位置のグループが、前記第2の導波路の対称軸と整列する中央エネルギー位置を有する、請求項15に記載のエネルギー指向システム。
【請求項17】
前記第2の導波路が、前記エネルギー面の法線に対してある角度において傾斜している、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項18】
前記第2の導波路が、非対称の表面を有する、請求項1に記載のエネルギー指向システム。
【請求項19】
エネルギー指向システムであって、
複数のエネルギー源位置を含むエネルギー面と、
エネルギー導波路の配列であって、各導波路が、前記エネルギー面の異なるエネルギー位置からの異なる伝搬経路に沿ってエネルギーを指向させるように構成されており、各伝搬経路が4次元座標を有し、前記4次元座標が、前記それぞれのエネルギー導波路の位置に対応する2つの空間座標、および前記それぞれの導波路に対する前記エネルギー源位置によって少なくとも部分的に決定される2つの角度座標を含み、前記角度座標が、前記それぞれの伝搬経路の前記方向を画定する、エネルギー導波路の配列と、
前記エネルギー導波路の配列の少なくとも第1のエネルギー導波路の前記伝搬経路に配設された光学要素であって、前記光学要素が、前記第1のエネルギー導波路の前記複数の伝搬経路に沿ってエネルギーを受容し、複数の偏向された伝搬経路に沿ってエネルギーを再指向するように構成されており、前記複数の偏向された伝搬経路、および前記第1のエネルギー導波路の前記複数の伝搬経路が、それらの間に非ゼロ偏向角を形成する、光学要素と、を備える、エネルギー指向システム。
【請求項20】
中央伝搬経路が、前記複数の偏向された伝搬経路の対称軸に沿って実質的に整列した偏向された伝搬経路にマッピングされる、請求項19に記載のエネルギー指向システム。
【請求項21】
前記複数の偏向された伝搬経路の前記非ゼロ偏向角が、偏向角の勾配を形成する、請求項19に記載のエネルギー指向システム。
【請求項22】
前記光学要素が、屈折要素を含む、請求項19に記載のエネルギー指向システム。
【請求項23】
前記光学要素が、複数の並列したプリズムを含む、請求項19に記載のエネルギー指向システム。
【請求項24】
前記光学要素が、前記導波路の配列に向かい合う第1の表面と、前記導波路の配列の外方を向く第2の表面とを含み、前記第1および第2の表面のうちの少なくとも一方、または両方が小面化されている、請求項1919に記載のエネルギー指向システム。
【請求項25】
前記光学要素が、前記導波路の配列に向かい合う第1の表面と、前記導波路の配列の外方を向く第2の表面とを含み、エネルギーがそれらを通過するときに、エネルギーが第1および第2の表面の各々において偏向される、請求項19に記載のエネルギー指向システム。
【請求項26】
前記光学要素が、前記第1のエネルギー導波路の前記複数の伝搬経路に沿って受容されるエネルギーを偏向させるように構成されているメタマテリアルの1つ以上の層を含む、請求項19に記載のエネルギー指向システム。
【請求項27】
機械的エネルギー指向システムであって、
複数のエネルギー源位置に置かれた機械的エネルギー源の配列と、
複数の偏向位置を含む偏向要素であって、各偏向位置が、前記複数のエネルギー源位置のうちの少なくとも1つから機械的エネルギーを受容し、対応する1つ以上の偏向された伝搬経路に沿って前記受容した機械的エネルギーを偏向させるように構成されている、偏向要素と、を備え、
各偏向された伝搬経路が、4次元座標系の4次元座標を有し、前記4次元座標が、前記偏向要素内の前記それぞれの偏向位置の前記ポジションに対応する2つの空間座標、および前記それぞれの偏向された伝搬経路の前記角度方向を画定する2つの角度座標を含む、機械的エネルギー指向システム。
【請求項28】
前記偏向要素が、機械的エネルギーを偏向するように構成されている複数の個別のデバイスを含む、請求項27に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項29】
前記偏向要素が、機械的エネルギーを偏向するように構成されている複数の偏向位置部位を含む1つ以上の基板を含む、請求項27に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項30】
前記偏向要素が、前記偏向位置を画定するメタマテリアルの1つ以上の層を含む、請求項27に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項31】
前記メタマテリアルの1つ以上の層が、個別に調整可能な偏向角を有する少なくとも1つの偏向位置を含む、請求項30に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項32】
第1の偏向位置が、前記複数のエネルギー源位置のうちの1つから機械的エネルギーを偏向させるように構成されている、請求項27に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項33】
第1の偏向位置が、前記複数のエネルギー源位置のうちの2つ以上から機械的エネルギーを偏向させるように構成されている、請求項27に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項34】
前記偏向された伝搬経路が収束し、触覚インターフェースを作り出すように動作可能である、請求項27に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項35】
前記触覚インターフェースが、光照射野ディスプレイによって投射されたホログラフィックオブジェクトと実質的に一致する、請求項34に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項36】
前記機械的エネルギー源の配列および前記偏向要素が、前記光照射野ディスプレイから投射された電磁エネルギーを透過するように構成されている、請求項35に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項37】
前記機械的エネルギー源の配列および前記偏向要素が、前記光照射野ディスプレイのディスプレイ面から投射される電磁エネルギーの遮断を回避するように、前記光照射野ディスプレイの前記ディスプレイ面からオフセットされる、請求項35に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項38】
前記偏向要素が、前記偏向位置が前記光照射野ディスプレイのディスプレイ面を画定する複数のエネルギー導波路とインターリーブされるように、構成されている、請求項35に記載の機械的エネルギー指向システム。
【請求項39】
マルチエネルギー指向システムであって、
マルチエネルギー面であって、
複数の電磁エネルギー源位置と、
複数の機械的エネルギー源位置と、を含む、マルチエネルギー面と、
マルチエネルギー指向面であって、
エネルギー導波路の配列であって、各導波路が、異なる電磁エネルギー源位置を通って異なる伝搬経路に沿って電磁エネルギーを指向させるように構成されており、各伝搬経路が、4次元座標系の4次元座標を有し、前記対応する4次元座標が、前記それぞれのエネルギー導波路の位置に対応する2つの空間座標、および前記それぞれの導波路に対する前記電磁エネルギー源位置によって少なくとも部分的に決定される2つの角度座標を含み、前記角度座標が、前記それぞれの伝搬経路の前記方向を画定する、エネルギー導波路の配列と、
前記エネルギー導波路の配列とインターリーブされた複数の偏向位置であって、各偏向位置が、前記複数の機械的エネルギー源位置のうちの少なくとも1つから機械的エネルギーを受容し、前記受容した機械的エネルギーを対応する偏向された伝搬経路に沿って偏向するように構成されており、各偏向された伝搬経路が、前記4次元座標系における対応する4次元座標を有し、各偏向された伝搬経路の前記4次元座標が、前記それぞれの偏向位置の前記ポジションに対応する2つの空間座標、および前記それぞれの偏向された伝搬経路の前記角度方向を画定する2つの角度座標を含む、複数の偏角位置と、を含む、マルチエネルギー指向面と、を含むマルチエネルギー指向システム。
【請求項40】
各導波路の前記伝搬経路が、前記それぞれの導波路の前記伝搬経路の角度範囲に対して対称軸を画定するエネルギー伝搬軸の周りにグループ化され、
前記エネルギー導波路の配列が、第1のエネルギー伝搬軸を有する第1の導波路および第2のエネルギー伝搬軸を有する第2の導波路を含み、前記第1および第2のエネルギー伝搬軸が、それぞれ、前記マルチエネルギー指向面の法線に対して、第1および第2の偏向角を形成し、さらに、前記第1および第2の偏向角が異なる、請求項39に記載のマルチエネルギー指向システム。
【請求項41】
複数の偏向位置が、前記複数の電磁エネルギー源位置から伝搬される電磁エネルギーを透過するように構成されている、請求項39に記載のマルチエネルギー指向システム。
【請求項42】
前記複数の偏向位置が、規則的なインターリーブパターンで前記エネルギー導波路の配列とインターリーブされる、請求項39に記載のマルチエネルギー指向システム。
【請求項43】
前記複数の偏向位置が、不規則なインターリーブパターンで前記エネルギー導波路の配列とインターリーブされる、請求項39に記載のマルチエネルギー指向システム。
【請求項44】
前記複数の偏向位置および前記マルチエネルギー指向の前記エネルギー導波路の配列が、機械的エネルギーおよび電磁エネルギーを同時に指向して、それぞれ触覚表面およびホログラフィック表面を形成するように動作可能である、請求項39に記載のマルチエネルギー指向システム。
【請求項45】
前記ホログラフィック表面および触覚表面が、一致する、請求項44に記載のマルチエネルギー指向システム。
【請求項46】
前記複数の偏向位置が、メタマテリアルの1つ以上の層上に位置している、請求項39に記載のマルチエネルギー指向システム。
【請求項47】
前記メタマテリアルの1つ以上の層上の前記複数の偏向位置のうちの少なくとも1つが、個別に調整可能な偏向角度を有するように構成されている、請求項46に記載のマルチエネルギー指向システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エネルギー指向デバイスは、複数の位置を含むエネルギー投射面を含むことができ、各位置においてエネルギーが複数の方向に投射される。一般に、単一のエネルギー面位置から指向されたエネルギーは、単一のエネルギー伝搬軸または中心エネルギー投射経路の周りに立体角でグループ化された多くの別個のエネルギー投射経路(またはエネルギー光線)から構成され得る。このエネルギー伝搬軸は、水平および垂直次元の両方で単一のエネルギー面位置から出るすべてのエネルギー投射経路のほぼ中間点に存在するため、対称線である。これは、単一のエネルギー面位置から出るすべてのエネルギー光線の平均エネルギーベクトルと実質的に整列することが多い。
【発明の概要】
【0002】
実施形態では、エネルギー指向システムは、複数のエネルギー源位置およびエネルギー導波路の配列を含むエネルギー面を含む。各導波路は、エネルギー面の異なるエネルギー位置からの異なる伝搬経路に沿ってエネルギーを指向させるように構成することができ、各伝搬経路は4次元座標を有し、4次元座標は、それぞれのエネルギー導波路の位置に対応する2つの空間座標、およびそれぞれの導波路に対するエネルギー源位置によって少なくとも部分的に決定される2つの角度座標を含み、角度座標は、それぞれの伝搬経路の方向を画定する。各導波路の伝搬経路は、それぞれの導波路の伝搬経路の角度範囲に対して対称軸を画定するエネルギー伝搬軸の周りにグループ化される。エネルギー導波路の配列は、エネルギー指向面を画定し、第1のエネルギー伝搬軸を有する第1の導波路および第2のエネルギー伝搬軸を有する第2の導波路を含み、第1および第2のエネルギー伝搬軸は、それぞれ、エネルギー指向面の法線に対して、第1および第2の偏向角を形成し、さらに、第1および第2の偏向角は異なる。
【0003】
実施形態では、エネルギー指向システムは、複数のエネルギー源位置およびエネルギー導波路の配列を含むエネルギー面を含み得る。各導波路は、エネルギー面の異なるエネルギー位置からの異なる伝搬経路に沿ってエネルギーを指向させるように構成されており、各伝搬経路は4次元座標を有し、4次元座標は、それぞれのエネルギー導波路の位置に対応する2つの空間座標、およびそれぞれの導波路に対するエネルギー源位置によって少なくとも部分的に決定される2つの角度座標を含み、角度座標は、それぞれの伝搬経路の方向を画定する。エネルギー指向システムは、エネルギー導波路の配列の少なくとも第1のエネルギー導波路の伝搬経路に配設された光学要素をさらに含み得、光学要素は、第1のエネルギー導波路の複数の伝搬経路に沿ってエネルギーを受容し、複数の偏向された伝搬経路に沿ってエネルギーを再指向するように構成されており、複数の偏向された伝搬経路、および第1のエネルギー導波路の複数の伝搬経路は、それらの間に非ゼロ偏向角を形成する。実施形態では、エネルギー指向システムは、中央伝搬経路が、複数の偏向された伝搬経路の対称軸に沿って実質的に整列した偏向された伝搬経路にマッピングされるように構成され得る。実施形態では、エネルギー指向システムは、複数の偏向された伝搬経路の非ゼロ偏向角が、偏向角の勾配を形成するように構成され得る。
【0004】
実施形態では、機械的エネルギー指向システムは、複数のエネルギー源位置に置かれた機械的エネルギー源の配列と、複数の偏向位置を含む偏向要素とを含み得、各偏向位置は、複数のエネルギー源位置のうちの少なくとも1つから機械的エネルギーを受容し、対応する1つ以上の偏向された伝搬経路に沿って受容した機械的エネルギーを偏向させるように構成されている。各偏向された伝搬経路は、4次元座標系の4次元座標を有し、4次元座標は、偏向要素内のそれぞれの偏向位置のポジションに対応する2つの空間座標、およびそれぞれの偏向された伝搬経路の角度方向を画定する2つの角度座標を含む。
【0005】
実施形態では、マルチエネルギー指向システムは、複数の電磁エネルギー源位置および複数の機械的エネルギー源位置を含むマルチエネルギー面を含み得る。マルチエネルギー指向システムは、マルチエネルギー指向面をさらに含み得、マルチエネルギー指向面は、1)エネルギー導波路の配列であって、各導波路が、異なる電磁エネルギー源位置を通して異なる伝搬経路に沿って電磁エネルギーを指向させるように構成されており、各伝搬経路が、4次元座標系における4次元座標を有し、対応する4次元座標が、それぞれのエネルギー導波路の位置に対応する2つの空間座標、およびそれぞれの導波路に対する電磁エネルギー源位置によって少なくとも部分的に決定される2つの角度座標を含み、角度座標が、それぞれの伝搬経路の方向を画定する、エネルギー導波路の配列と、2)エネルギー導波路の配列とインターリーブされた複数の偏向位置であって、各偏向位置が、複数の機械的エネルギー源位置のうちの少なくとも1つから機械的エネルギーを受容し、受容した機械的エネルギーを対応する偏向された伝搬経路に沿って偏向するように構成されており、各偏向伝搬経路が、4次元座標系における対応する4次元座標を有し、各偏向された伝搬経路の4次元座標が、それぞれの偏向位置のポジションに対応する2つの空間座標、およびそれぞれの偏向された伝搬経路の角度方向を画定する2つの角度座標を含む、複数の変更位置と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本開示による、4次元座標系におけるエネルギー指向システムの実施形態を示す。
【
図1B】本開示による、
図1Aに示す4次元座標系におけるエネルギー指向の実施形態を示す。
【
図1C】本開示による、光照射野ディスプレイの側面図を示す。
【
図1D】本開示による、4次元座標系における有効エネルギー領域を有するエネルギーデバイスの実施形態を示す。
【
図1E】本開示による、光照射野ディスプレイによる2つのホログラフィックオブジェクトの投射を示す。
【
図2A】本開示による、特定の位置においてゼロ偏向角を有するエネルギー指向システムの実施形態の概略図を示す。
【
図2B】本開示による、特定の位置において非ゼロ偏向角を有するエネルギー指向システムの実施形態の概略図を示す。
【
図3A】本開示による、ゼロ偏向角を有するエネルギー指向システムのサブシステムの直交図を示す。
【
図3B】本開示による、非ゼロ偏向角を有するエネルギー指向システムのサブシステムの直交図を示す。
【
図3C】本開示による、非対称に構築されたエネルギー導波路の直交図を示す。
【
図4A】本開示による、複数の偏向された伝搬経路に沿ってエネルギーを再指向するための光学要素を有するエネルギー指向システムの実施形態の直交図を示す。
【
図4B】本開示による、
図4Aに示すエネルギー指向システムの偏向角を示す。
【
図4C】本開示による、メタサーフェスの層を有するエネルギー指向システムの実施形態を示す。
【
図4D】本開示による、機械的エネルギーを指向させるように構成されているエネルギー指向システムの実施形態を示す。
【
図5A】本開示による、60度の視野およびゼロ偏向角を有するエネルギー指向面を有するエネルギー指向システムの実施形態の上面図を示す。
【
図5B】本開示による、エネルギー指向面と、横方向のポジションの関数として可変の非ゼロ偏向角を生じさせるように構成されている光学要素とを有するエネルギー指向システムの実施形態の上面図を示す。
【
図5C】本開示による、エネルギー指向面と、横方向のポジションの関数として可変の非ゼロ偏向角を生じさせるように構成されている光学要素とを有するエネルギー指向システムの別の実施形態の上面図を示す。
【
図5D】本開示による、横方向のポジションの関数として可変の非ゼロ偏向角を生じさせるように構成されているエネルギー指向面を有するエネルギー指向システムの実施形態の上面図を示す。
【
図5E】本開示による、機械的エネルギーを指向させるように構成されているエネルギー指向システムの実施形態の図を示す。
【
図5F】本開示による、偏向要素から構成される4次元音響エネルギー指向システムの直交図を示す。
【
図5G】本開示による、触覚インターフェースを生成する
図5Fに示される音響エネルギー指向システムを示す。
【
図5H】本開示による、インターリーブエネルギー導波路および音響エネルギー偏向位置を有する二重エネルギー指向面を示す。
【
図5I】本開示による、ホログラフィックオブジェクトの表面592および触覚表面591を投射する二重エネルギー指向面を示す。
【
図6】視聴ボリュームの真正面にある中央壁掛け式パネルと、中央パネルに対して45度の角度になっており、視聴ボリュームに向かって傾斜したサイドパネルとを含むホログラフィックディスプレイの実施形態の直交図を示す。
【
図7】中央平面と、中央面に対して視聴ボリュームに向かって内側に角度が付けられている、中央面の両側にある2つの光照射野ディスプレイ面とを含む光照射野ディスプレイ面の実施形態の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
多くの状況下で、中央エネルギー伝搬経路、またはエネルギー伝搬軸は、エネルギー指向デバイスのエネルギー投射面に垂直である。これらの状況下では、エネルギー面上の各位置からのエネルギー光線のグループは、エネルギー面上の位置に関係なく、エネルギー指向面に垂直な軸の周りに立体角で分布している。言い換えると、エネルギー面上の各位置において、エネルギー伝搬軸はディスプレイ面の法線と整列している。エネルギー伝搬軸がディスプレイ面の法線となす角度として、エネルギー偏向角、または単に偏向角を導入している。一般に、偏向角はエネルギー面からのエネルギーの流れの方向を示す。それは、エネルギー面の特定の位置における複数の投射経路の、その表面の法線に対する平均的な偏向を表す。
【0008】
エネルギー指向デバイスのいくつかの実施形態について、エネルギー伝搬の方向、またはエネルギー伝搬軸を、エネルギー面上のいくつかの位置においてディスプレイ表面の法線ともはや整列させないことが有利である場合がある。言い換えれば、エネルギー指向面のいくつかの位置については、非ゼロ偏向角がある。いくつかの実施形態では、偏向角は、エネルギー指向デバイスのエネルギー投射面を横切るポジションとともに変化し得る。これは、投射されたエネルギー光線をより局所的な領域に集束させるために行われる場合がある。また、エネルギー指向面の縁近くの位置に対応するエネルギー伝搬経路のグループが、エネルギー指向面の中心に向かって傾斜している場合、すべてのエネルギー光線の収束位置をエネルギー指向面に近づけることを可能にし得る。
【0009】
本開示における多くの例示的な図は、光線が、光照射野ディスプレイ面などのホログラフィックエネルギー面によって投射される実施形態を示すことによって、この原理を実証している。ホログラフィックエネルギー面上の各位置は、2次元(2D)空間座標を有し、複数の角度において光線のグループを投射する。各光線は2D角度座標に関連付けられており、2D空間座標と2D角度座標が一緒になって、各エネルギー投射経路の4D座標を形成する。各例では、機械的エネルギーなどの他のタイプのエネルギーを含むことで議論を一般化することが可能であり、この場合、トランスデューサは、エネルギー投射面においてエネルギーを創出するが、これは、エネルギー投射面上の位置に応じて複数の方向に、またはエネルギー投射面上の各位置において複数の方向に超音波を投射することができる。これらの超音波は、エネルギー面の手前で触覚表面を形成するように収束することがある。
【0010】
エネルギー面は、エネルギー指向システムを創出するために、導波路の配列と組み合わせることができる。
図1Aは、単一の導波路104Aが、それぞれ、座標u
0、u
k、およびu
-kにおける位置110、111、および112など、複数の個々にアドレス指定可能なエネルギー源位置によって画定されるエネルギー源平面120上に配置されている例を示す。実施形態では、エネルギー源位置は、シームレスなエネルギー面102上に画定される。実施形態では、エネルギー面102は、ディスプレイパネルの表面または中継媒体の表面であり得る。したがって、実施形態では、エネルギー源位置は、ディスプレイパネルの個々の画素であり得る。別の実施形態では、エネルギー源位置は、中継されたエネルギー面上のエネルギー位置に対応する。
【0011】
実施形態では、導波路104Aは、導波路104Aに対して、エネルギー源位置103の位置によって少なくとも部分的に決定される角度に沿って、エネルギー面102上の位置103などのエネルギー源位置へ、および/またはそこからエネルギーを伝搬するように構成されている。例えば、uk111におけるエネルギー源位置からのエネルギーの一部は、導波路104Aによって受容され、導波路104Aに対して、エネルギー源位置uk111の位置に対応する、主光線伝搬経路132によって画定される伝搬経路142に伝搬される。同様に、u-k112における画素への、および/またはそれからのエネルギーは、導波路104Aによって受容され、主光線伝搬経路131によって画定される伝搬経路141に沿って指向され、これは導波路104Aに対してエネルギー源位置u-k112の位置に対応している。エネルギー面102に対して垂直である主光線130は、この例では、エネルギー伝搬経路130と実質的に整列している導波路104Aの伝搬経路に対する対称軸に近いエネルギー源位置u0110によって提供される。座標u0、uk、およびu-kは、1次元の軸Uのエネルギー伝搬経路の角度座標であるが、直交する次元の軸Vには対応する角度座標がある。4次元座標系では、導波路104Aは、2次元(X,Y)で単一の空間座標を有するように割り当てられ得、導波路に関連付けられたエネルギー源位置は、2次元角度座標(U,V)を有するエネルギー伝搬経路を生成し得る。合わせて、これらの2次元空間座標(X,Y)と2次元角度座標(U,V)は、エネルギー源平面120に位置する各エネルギー源位置103に割り当てられた4次元(4D)のエネルギー伝搬経路座標(X,Y,U,V)を形成する。
【0012】
例として、実施形態では、4次元光照射野は、様々な空間座標における複数の導波路のすべての4D座標(X,Y,U,V)によって画定されてもよく、各導波路104Aは、複数の照明源画素103に関連付けられ、各画素は独立したU、V座標に関連付けられる。
図1Bは、エネルギー面102によって画定される照明源平面120上に配設された導波路配列から構成されるホログラフィック電磁エネルギー指向システム160を示す。エネルギー面102の上に、ホログラフィックシステム160は、導波路104A、104B、および104Cから構成される導波路配列104を含み得る。各導波路104A、104B、および104Cに関連付けられているのは、画素102A、102B、および102Cのグループであり、それぞれ、伝搬経路125A、125B、および125Cに沿って電磁エネルギーを投射および/または受容する。導波路104の配列は、エネルギー指向面101を画定する。主光線131、130、および132は、それぞれ、光照射野角度座標Uの最小値、中間値、および最大値において、導波路104Aを通って指向されるエネルギー伝搬経路の範囲を画定する。エネルギー面102のエネルギー源位置は2次元に延在するので、これらは
図1Bには示されていないが、Uに直交する光照射野角度座標Vにおいて導波路104Aを通る複数のエネルギー伝搬経路が存在する。言い換えれば、導波路104Aに関連付けられたすべてのエネルギー源位置から投射される光線の束(エネルギー伝搬経路)があり、これらは、中心軸130の周りに実質的にグループ化されている。この中心エネルギー伝搬軸、またはエネルギー伝搬軸は、対称線を画定し、これは、水平次元と垂直次元の両方で、導波路104Aの特定の(X,Y)位置においてエネルギー指向システム160から投射される光線の角度範囲のおおよその中点と一致することが多いためである。
図1Bでは、実施形態では、エネルギー抑制構造190は、隣接する導波路104A、104B、および104Cの間に垂直壁を形成して、第1の導波路に関連付けられたエネルギー源のうちの1つのグループからのエネルギーが隣接する導波路に到達するのを抑制するように構成され得る。例えば、中央導波路104Bに関連付けられたいずれかの画素102Bの電磁エネルギーは、これらの2つの導波路間のエネルギー抑制構造109がこのエネルギーを吸収し得るため、導波路104Aに到達することができない。
【0013】
例では、
図1Cは、
図1Bに示す2次元導波路配列104をその有効表示領域面の上に取り付けた表示デバイス108で構成される光照射野ディスプレイ150の側面図を示す。この光照射野ディスプレイは、
図1Bに示すように、光線を伝搬経路に投射する。一実施形態では、ディスプレイ150は、先細のエネルギー中継器の使用により、個々の光照射野ディスプレイ150よりも高い解像度を有する光照射野ディスプレイアセンブリのビルディングブロックとして使用され得る。
【0014】
図1Dは、非エネルギーベゼル106によって囲まれた、導波路104の配列で覆われた有効エネルギー領域105を有する、ディスプレイなどのエネルギーデバイス101Aを示している。領域130の拡大図は、
図1Bに示されているU、V、およびZ軸によって画定されるように、2つの導波路、(X,Y)=(0,0)における104Aおよび(X,Y)=(1,0)における104B、ならびに各導波路に関連付けられたエネルギー源の4D座標を示している。これらのエネルギー源位置は、エネルギー面102上に位置し、エネルギー源平面120を画定する。例えば、エネルギー源位置183は、x
0y
0u
-2v
-2で示される(X,Y,U,V)座標(0,0,-2,-2)に関連付けられている。導波路104Aに対するエネルギー源位置183の位置と同じ導波路104Bに対する相対位置の下にあるエネルギー源位置193は、(X,Y,U,V)座標(1,0,-2,-2)と同じ(U,V)座標(-2,-2)を有する。同様に、導波路104Aの中心におけるエネルギー源位置181は、(X,Y,U,V)座標(0,0,0,0)を有し、一方、導波路104Bの中心におけるエネルギー源位置191は、(X,Y,U,V)座標(1,0,0,0)を有する。(X,Y,U,V)=(0,0,-1,0),(0,0,-2,0),(0,0,-3,0)、および(1,0,0,0)を含む、それ以外の4Dエネルギー伝搬経路座標が、
図1Dに示されている。
【0015】
図1Eは、2つのホログラフィックオブジェクト122および124が、エネルギー指向面101を画定する5つの導波路104A~Eから構成される光照射野ディスプレイシステムによって投射される例を示し、各導波路は、関連する画素102A~Eのグループからの光をそれぞれ投射する。ホログラフィックオブジェクト122および124は、伝搬経路グループ121および123などの多数の光投射経路の収束によって創出され、観察者151によって知覚される。画素平面120は、シームレスなエネルギー面102によって画定される。ホログラフィックオブジェクト124を形成する主光線123によって画定される光線は、導波路104Aによって投射される画素171からの光、導波路104Bによって投射される画素172からの光、および導波路104Cによって投射される画素173からの光を含む。画面内ホログラフィックオブジェクト122に収束する主光線121によって画定される光線は、導波路104Cによって投射される画素174からの光、導波路104Dによって投射される画素175からの光、および導波路104Eによって投射される画素176からの光を含む。
図1Eでは、隣接する導波路104A~Eの間に垂直壁を形成する光抑制構造109は、第1の導波路に関連付けられた画素の1つのグループによって生成された光が、隣接する導波路に到達するのを防ぐ。例えば、導波路104Cに関連付けられたいずれかの画素102Cからの光は、導波路104Cを取り囲む光抑制構造109がこの迷光を遮断および吸収するため、導波路104Bまたは導波路104Dに到達することができない。
図1Eは、光を投射するための光照射野ディスプレイシステムの実施形態を示しているが、同じ原理が、光照射野キャプチャシステム、光照射野ディスプレイおよびキャプチャシステム、他の電磁エネルギーもしくは機械的エネルギーのホログラフィックエネルギーシステム、双方向エネルギーシステム、または複数のエネルギードメインなど、他のタイプのホログラフィックエネルギーシステムにも適用されることを理解されたい。
【0016】
図2Aは、エネルギー指向システム200の実施形態の概略図を示している。実施形態では、エネルギー指向システムは、壁に取り付けられ、光や音波などの電磁的および/または機械的エネルギーを、傾斜した床89に取り付けられた座席88を含む座席の観客に向かって投射することができる。実施形態では、エネルギー指向システム200は、
図1A、
図1B、および
図1Eに関して上で論じたエネルギー指向システムと同様であり得る。具体的には、エネルギー指向システム200は、エネルギー導波路(図示せず)の配列によって形成されたエネルギー指向面201Aを含む。エネルギー指向面201Aは、
図1A~
図1Eに示されるように、導波路104によって画定されるエネルギー指向面101に関して上に開示された原理に従って構成され得、各導波路は、エネルギー源位置のグループに関連付けられ、4次元(4D)座標に関連付けられたエネルギー伝搬経路に沿って、関連付けられた各エネルギー源位置の各々からエネルギーを指向するように構成されている。この4D座標は、それぞれのエネルギー伝搬経路が通過する導波路の位置に対応する2つの空間座標と、少なくともそれぞれのエネルギー源位置の位置によって決定される2つの角度座標で構成され、角度座標は、それぞれの伝搬経路の方向を画定する。
【0017】
実施形態では、ホログラフィックエネルギーシステム200は、光照射野ディスプレイ面201Aの上部位置33(x
1,y
1)からの光線束63、および光照射野ディスプレイ面201Aの下部位置35(x
2,y
2)からの光線束65を含む、光線の束を投射するように構成されている。上部位置33および下部位置35は、それぞれ空間座標(X,Y)に関連付けられ、複数の光伝搬経路は、
図1A~
図1Eに関して上で論じた4D座標系に従って画定される。各光線グループは、その光照射野ディスプレイ面201A上の所与の位置(X,Y)においてディスプレイ面201Aを出る光線の一般的な伝搬方向を画定する、中心光エネルギー伝搬軸、または中心光線を中心としてもよい。
図1Aに図示された実施形態では、光線グループ63は、中心光エネルギー伝搬軸53に沿って投射され、光線グループ65は、中心光エネルギー伝搬軸55に沿って投射される。各光エネルギー伝搬軸(中心エネルギー伝搬経路とも呼ばれる)は、対称線を表し得、これは、水平次元と垂直次元の両方で、4D座標系での特定(X,Y)の位置においてホログラフィックエネルギーシステム200から投射される光線の角度範囲のおおよその中点と一致することが多いためである。例えば、中心光伝搬軸53は、エネルギー指向面201Aの上部位置33を出る光線の角度範囲73の中点にほぼ沿って存在し、中心光伝搬軸55は、エネルギー指向面201Aの下部位置35から投射される光線グループ65の角度範囲75の中点近くに存在している。中心光伝搬軸、または中心エネルギー投射経路は、多くの場合、所与のポジションでディスプレイ面を出るすべての光線の平均エネルギーベクトルと実質的に整列している。
【0018】
図2Aは、偏向角がゼロのホログラフィックエネルギーシステム200の実施形態を示しており、光照射野ディスプレイ面201Aから投射される光線の各グループの中心光エネルギー伝搬軸は平行であり、中心光エネルギー伝搬軸55が光照射野ディスプレイ面となす直角45で示すように、そのエネルギー指向面201Aに垂直である。なお、本実施形態では、光線グループ63からの光線は視聴者の座席88に到達せず、この座席88にいる視聴者は、光照射野ディスプレイ面201Aの上部位置33からの光線を見ることができず、従って、座席88はディスプレイのホログラフィック視聴ボリューム67には存在しないことを意味する。ホログラフィックオブジェクトボリューム66内の光照射野ディスプレイからの光伝搬経路を収束することによって形成されるホログラフィックオブジェクトは、ホログラフィック視聴ボリューム67内の視聴者に完全に見ることができる。
図2Aの側面図におけるホログラフィック視聴ボリュームの境界は、ディスプレイ上部のエネルギー位置33における導波路からの少なくとも1つのエネルギー伝搬経路が、ディスプレイ下部のエネルギー位置35における導波路の少なくとも1つのエネルギー伝搬経路と交差できる領域によって形成され得る。
図2Aでは、光照射野ディスプレイのホログラフィック視聴ボリューム67内の各位置において、光指向ディスプレイ面上のほとんどの導波路からの少なくとも1つの光伝搬経路が交差することができる。一般に、導波路の配列のホログラフィック視聴ボリュームは、導波路の配列の各導波路からの少なくとも1つの伝搬経路が交差することができる位置のセットを含む。座席88を含む異なるホログラフィック視聴ボリュームは、エネルギー指向面201A上の選択された位置において導波路から投射される光線のグループに非ゼロの偏向角を導入することによって生じ得る。このエネルギー伝搬軸の偏向は、ディスプレイの視聴者の所与の座席配置のための視聴ボリュームを最適化するために、光照射野ディスプレイ面201A上の異なる点において異なる大きさおよび方向で適用されてもよく、その結果、光照射野ディスプレイ面201Aに近く、したがって、光照射ディスプレイ面201Aから投射されるホログラフィックオブジェクトに近いホログラフィック視聴ボリューム67がもたらされる。
【0019】
図2Bは、本開示に開示された原理による、ホログラフィックエネルギーシステム250の実施形態を示している。ホログラフィックエネルギーシステム250は、
図2Aに示されるホログラフィックエネルギーシステム200と同様であり、ホログラフィックエネルギーシステム250に少なくとも1つの非ゼロ偏向角を含むという変更を行った。
図2Aおよび
図2Bでは、同じ構成要素に同じ番号が割り当てられている。実施形態では、光照射野ディスプレイ面201Bは、
図1A~
図1Eで上に画定された導波路104と同様の導波路の配列によって画定されたエネルギー指向面101の代替構成に対応し得る。実施形態では、
図2Bのホログラフィックエネルギーシステム250は、中点の高さなど、ホログラフィックエネルギーシステム250の一部分よりも主に下にある位置において存在する観客に、および/またはそこからエネルギーを伝搬するように構成されている。
【0020】
実施形態では、これは、少なくとも一部の投射光線の光投射軸が下方に傾斜するようにホログラフィックエネルギーシステム250を構成することによって達成される。例えば、光照射野ディスプレイ面201Bの上部位置33から投射された光線束13は、光エネルギー伝搬軸63によって画定され、光照射野ディスプレイ面201Bに対して法線10で非ゼロの偏向角43を形成し、これにより、この実施形態では、観客員に向かって下方に傾斜する光エネルギー伝搬軸63がもたらされる。実施形態では、光照射野ディスプレイ面201Bの下方位置35から投射される光線は、軸63とは異なる方向、この場合は光照射野ディスプレイ面201Bに対する法線45である光エネルギー伝搬軸65によって画定される。ディスプレイの上部から投射された軸63の周りの投射光線13の角拡散23は、垂直視野23を表し、一方、ディスプレイの下部から投射された軸65の周りの投射光線15のグループの角拡散は、垂直視野25を表しており、23および25の角拡散は等しくてもよい。実施形態では、光照射野ディスプレイ面201Bの上部位置33と下部位置35との間に位置するポジションに投射される光線は、光照射野ディスプレイ面201Bの上部における角度43と、光照射野ディスプレイ面201Bの下部におけるゼロの角度(ディスプレイ面に対する法線45)との間で変化する偏向角を有し得る。実施形態では、この変化は、光照射野ディスプレイ面201Bの中間の高さから投射され、かつ光エネルギー伝搬軸4によって特徴付けられる光線が、光照射野ディスプレイ面201Bの上部位置33における偏向角43と、光照射野ディスプレイ面201Bの下部位置35におけるゼロの偏向角(法線45)との間の値である偏向角44で投射されるような、勾配であり得る。この勾配構成の可能な利点は、光照射野ディスプレイ面201から投射されるホログラフィックオブジェクトのためのホログラフィック視聴ボリューム7が、予想される座席配置に対して最適化され、投射される光線の利用可能な角度範囲23、25を与えられたその一組の視聴者に対して改善された性能および複合視野を達成することができることである。付加的な利点として、
図2Aに示したゼロの偏向角を有するホログラフィックオブジェクトボリューム66からのホログラフィック視聴ボリューム67の分離が大きくなったのに比べて、
図2Bに示した、ホログラフィック視聴ボリューム7が、光照射野ディスプレイ面201Bおよび非ゼロの偏向角を有するホログラフィックオブジェクトボリューム6に今や近いことに留意されたい。一般に、導波路の配列における導波路の偏向角は、導波路の配列の導波路の偏向角がゼロになるように構成された場合、導波路の配列のホログラフィック視聴ボリュームが、導波路の配列のホログラフィック視聴ボリュームよりも、エネルギー指向面に近くなるように構成することができる。
【0021】
偏向角は、エネルギー指向面201B全体で一定か可変であるかにかかわらず、ディスプレイ面における導波路の本開示の構成で、またはエネルギー指向面201Bの近くに置かれた別個のエネルギー偏向要素で実装され得る。
【0022】
図3Aは、エネルギー指向システムの第1のサブシステム300の実施形態の直交図を示しており、この第1のサブシステムは、ゼロの偏向角を有する。実施形態では、ホログラフィックエネルギー指向システム300は、光照射野ディスプレイ面301Aの法線に沿ってホログラフィックコンテンツを投射するように動作可能である。サブシステム300は、
図2Aの光照射野ディスプレイ面201Aと、
図1A~
図1Eに示す導波路層104によって画定されるエネルギー指向面101とに対応するエネルギー指向面301Aを画定する導波路配列345の隣接要素である導波路302Aおよび302Bを含み得る。導波路302Aは、エネルギー面340上のエネルギー位置303から、導波路302Aを通る複数の伝搬経路に沿ってエネルギーを伝搬するように構成されており、一方、導波路302Bは、エネルギー面340上のエネルギー位置305から、導波路302Bを通る複数の伝搬経路に沿ってエネルギーを伝搬するように構成されている。各エネルギー伝搬経路の角度方向は、対応するエネルギー位置のポジション上に少なくとも部分的に依存している。例えば、導波路302Aを通過し、導波路302Aによって指向されるエネルギー位置304からのエネルギーは、エネルギー位置304からのエネルギー伝搬経路であり、かつエネルギー伝搬軸308によって画定される斜線領域311として示されている。同様に、エネルギー源位置303の一方の縁におけるエネルギー源位置361からのエネルギーは、エネルギー伝搬経路362に沿って導波路302Aによって投射され、エネルギー源位置303の反対側の縁におけるエネルギー源位置363からのエネルギーは、エネルギー伝搬経路364に沿って投射される。これらのエネルギー投射経路362および364は、導波路302Aに関連付けられた伝搬経路のグループの角度307の範囲を画定する。導波路302Bに関連付けられたエネルギー伝搬経路は、挙動が類似している。導波路302Bを通過するエネルギー位置306からの伝搬経路は、エネルギー位置306からのエネルギー伝搬経路であり、かつエネルギー伝搬軸310によって画定される斜線領域312として示されている。導波路302Bの伝搬経路の角度範囲309は、導波路302Aに関連付けられた角度範囲307と同様である。実施形態では、エネルギー位置304および306は、それぞれ2つの異なる導波路302Aおよび302Bに関連付けられたエネルギー位置303および305のほぼ中心に位置している。さらに、中心エネルギー位置304および306は、それぞれ、導波路302Aおよび302Bの対称中心と整列している。そのように構成されて、導波路302Aを通る伝搬経路および対応するエネルギー位置303は、導波路302Aに関連付けられた伝搬経路の角度範囲307を画定し、エネルギー伝搬軸308は、これらの伝搬経路の対称線である。導波路302Bを通る伝搬経路および対応するエネルギー位置305は、導波路302Bに関連付けられた一次元における伝搬経路の角度範囲309を画定し、エネルギー伝搬軸310は、この伝搬経路グループの対称線である。中心エネルギー伝搬経路とも呼ばれるエネルギー伝搬軸308および310は、エネルギー指向面301Aの法線に平行であり、エネルギー指向面301Aに対してゼロ偏向角を生じさせる。ホログラフィックエネルギーシステム300内の導波路302Aおよび302Bならびにエネルギー面340の構成は、所望の位置においてゼロ偏向角を生じさせるように実装され得る。例えば、
図2Aに示される位置33、35および
図2Bに示される位置35は、上記のようにすべてゼロ偏向角を有し得、これらの位置におけるゼロ偏向角は、ホログラフィックエネルギーシステム200および250に、これらの位置において導波路302A、302Bと同様の導波路を含ませることによって実装され得る。
【0023】
実施形態では、エネルギー位置303を通って伝搬されるエネルギーは、それぞれ、導波路302Aの開口のかなりの部分を満たすことができ、エネルギー抑制壁315のうちの1つによって隣接する導波路302Bの開口に入るのを阻止することができる。同様に、エネルギー位置305から伝搬されたエネルギーは、それぞれ、導波路302Bの開口のかなりの部分を満たすことができ、エネルギー抑制壁315のうちの1つによって隣接する導波路302Aの開口に入るのを阻止することができる。この開示では、ほとんどの場合、303および305などのエネルギー面340上のエネルギー位置はエネルギー源と呼ばれるが、エネルギー伝搬経路が導波路に入射する構成(例えば、光照射野感知デバイス)が可能であり、導波路上のエネルギー位置はエネルギーセンサである。実施形態では、光伝搬経路を記録および投射する光照射野ディスプレイは、エネルギー位置303および305のグループ、すべてが電磁エネルギーを放出または感知するエネルギー位置のグループ、またはインターリーブされ得るエネルギーエミッタとエネルギーセンサの組み合わせから構成されるエネルギー位置のグループを有し得る。
【0024】
図3Bは、ホログラフィックエネルギー指向システムの第2のサブシステム350の実施形態の直交図を示しており、第2のサブシステム350は、非ゼロ偏向角を有する。サブシステム350は、導波路配列345の隣接要素である導波路322Aおよび322Bを含み得、これは、
図2Bのディスプレイ面201Bの部分に対応し得るエネルギー指向面301B、または
図1A~
図1Eに示される導波路104によって画定されるエネルギー指向面101の代替構成を画定する。導波路322Aは、エネルギー面340上のエネルギー位置323を通る伝搬経路に沿ってエネルギーを伝搬するように構成され、一方、導波路322Bは、エネルギー面340上のエネルギー位置325を通ってエネルギーを伝搬するように構成されている。エネルギー伝搬経路の角度方向は、対応するエネルギー位置のポジションに少なくとも部分的に依存している。導波路322Aを通過し、導波路322Aによって指向されるエネルギー位置324からのエネルギーは、斜線領域331として示され、これは、エネルギー伝搬軸328によって画定されるエネルギー位置324からのエネルギー伝搬経路である。同様に、エネルギー位置326からの伝搬経路332に沿ったエネルギーは、エネルギー伝搬軸330に沿って存在している。エネルギー源位置323の一方の縁にあるエネルギー源位置365からのエネルギーは、エネルギー伝搬経路366に沿って導波路322Aによって投射され、エネルギー源位置323の反対側の縁におけるエネルギー源位置367からのエネルギーは、エネルギー伝搬経路368に沿って投射される。これらのエネルギー伝搬経路366および368は、導波路322Aに関連付けられた伝搬経路のグループの角度327の範囲を画定する。導波路322Bに関連付けられたエネルギー伝搬経路は、類似している。実施形態では、エネルギー位置324および326は、それぞれ、エネルギー位置323および325のほぼ中心に位置している。そのように構成されて、対応するエネルギー位置323から生じる導波路322Aを通過するすべての伝搬経路は、角度範囲327を画定し、エネルギー伝搬軸328は、これらの伝搬経路の対称線である。導波路322Bを通り、対応するエネルギー位置325から生じるすべての伝搬経路は、角度範囲329を画定し、エネルギー伝搬軸330は、これらの伝搬経路の対称線である。エネルギー投射軸328および330は、中心エネルギー投射経路としても知られており、それらがエネルギー指向面301Bの法線339となす角度338は、偏向角と呼ばれる。第1のサブシステム300とは対照的に、導波路322Aに関連付けられたエネルギー位置323のグループの中心エネルギー位置324は、導波路322Aの対称中心からオフセットされている。結果として、エネルギー伝搬軸328は、もはやエネルギー指向面301Bに垂直ではなく、エネルギー指向面301Bの法線339に対して非ゼロの偏向角338を形成する。同様の方法で、導波路322Bに関連付けられたエネルギー位置325のグループの中心エネルギー位置326は、導波路322Bの対称中心からオフセットされ、エネルギー伝搬軸330は、エネルギー指向面301Bの法線339に対して非ゼロの偏向角338を形成する。ホログラフィックエネルギーシステム350における導波路322Aおよび322Bならびにエネルギー面340の構成は、所望の位置において非ゼロの偏向角を生じさせるように実装され得る。例えば、
図2Bに示される位置33は、上記のように非ゼロの偏向角を有し、この位置における非ゼロの偏向角は、ホログラフィックエネルギーシステム350が、この位置、または非ゼロの偏向角が望ましい他の位置において導波路322A、322Bと同様の導波路を含むように実装され得る。
【0025】
上記のように、実施形態では、
図2Bに示されるディスプレイ面201Bの上部位置33と下部位置35との間に位置するポジションにおいて投射される光線は、ディスプレイ面101の上部における角度43と、ディスプレイ面101の下部におけるゼロの角度(ディスプレイ面に対する法線45)との間で変化する偏向角を有し得る。そのような実施形態では、導波路302A、302B、322A、および322Bの構成を組み込んで、偏向角の所望の変化を生じさせることができる。例えば、実施形態では、ホログラフィックエネルギー指向システムは、導波路302Aまたは302Bと同様の導波路によって生じるゼロの第1の偏向角と、導波路322Aまたは322Bと同様の導波路によって生じる非ゼロである第2の偏向角とを含み得る。別の例では、ホログラフィックエネルギー指向システムは、導波路302Aまたは302Bと同様の導波路によって生じる第1の非ゼロの偏向角と、導波路322Aまたは322Bと同様の導波路によって生じる第2の非ゼロ偏向角とを含み得、第1および第2の非ゼロの偏向角は、同じであっても異なっていてもよい。別の例では、実施形態では、ホログラフィックエネルギーシステムは、エネルギー導波路302A、302B、322A、または322Bの配列を含み得、その各々が、エネルギー指向面301Bの法線に対する偏向角を画定するエネルギー伝搬軸を有する導波路を備え、導波路の偏向角は、エネルギー導波路345の配列内の他の導波路の偏向角とは異なる。
【0026】
上で論じたように、いくつかの実施形態では、偏向角の勾配が望ましい場合がある。偏向角の所望の勾配を生じさせるために、導波路302A、302B、322A、または322Bなどのエネルギー導波路の配列は、第1の方向における各直後の導波路の偏向角が、各直前の導波路の偏向角と異なるように構成され得るように構成され得る。実施形態では、第1の方向での各直後の導波路の偏向角は、第1の方向での各直前の導波路の偏向角よりも大きい。別の実施形態では、第1の方向における各直後の導波路の偏向角は、第1の方向における各直前の導波路の偏向角よりも小さくなるように構成され得る。さらに別の実施形態では、2つの隣接する導波路の偏向角は、実質的に変化し得る。実施形態では、偏向角の勾配は、第1の方向に沿った偏向角の変化の不連続性によって、1つ以上の所望の位置において遮られ得る。実施形態では、エネルギー位置323を通って伝搬されるエネルギーは、それぞれ、導波路322Aの開口のかなりの部分を満たすことができ、エネルギー抑制壁335のうちの1つによって隣接する導波路322Bの開口に入るのを阻止することができる。同様に、エネルギー位置325を通って伝搬されるエネルギーは、それぞれ、導波路322Bの開口のかなりの部分を満たすことができ、エネルギー抑制壁335のうちの1つによって隣接する導波路322Aの開口に入るのを阻止することができる。
【0027】
図3Cは、非ゼロの偏向角を生じさせるために、システム250のようなエネルギー指向システムに組み込まれ得る非対称に構築されたエネルギー導波路の実施形態を示す。導波路342Aおよび342Bは、エネルギー導波路配列345の隣接する要素であり、エネルギー指向面301Cを画定する。実施形態では、エネルギー指向面301Cは、光照射野ディスプレイ面である。エネルギー指向面301Cは、
図2Bのディスプレイ面201Bの部分、または
図1A~
図1Eに示されるエネルギー指向面101の代替構成に対応し得る。エネルギー導波路342Aは、エネルギー面340上のエネルギー位置343を通してエネルギーを指向させ、一方、導波路342Bは、エネルギー面340上のエネルギー源位置345を通してエネルギーを指向させる。
【0028】
導波路342Aに近づくエネルギー位置344からのエネルギーは、軸348Aを中心とする斜線領域388Aによって表され、このエネルギーは、導波路342Aによって、軸348Bを中心とする導波路342Aを出る斜線領域である伝搬経路388Bに再指向される。導波路342Bに近づくエネルギー位置346からのエネルギーは、軸399Aを中心とする斜線領域398Aによって表され、このエネルギーは、導波路342Bによって、軸399Bを中心とする導波路342Bを出る斜線領域である伝搬経路398Bに再指向される。同様に、エネルギー源位置343の一方の縁におけるエネルギー源位置371からのエネルギーは、軸372Aに沿って導波路342Aに向かって伝搬し、軸372Bに沿って導波路内で屈折し、軸372Cに沿って導波路342Aを出る。エネルギー源位置343の反対側の縁におけるエネルギー源位置373からのエネルギーは、軸374Aに沿って導波路342Aに向かって伝搬し、軸374Bに沿って導波路内で屈折し、軸374Cに沿って導波路を出る。これらのエネルギー伝搬経路372Cおよび374Cは、導波路342Aに関連付けられたすべての伝搬経路のグループの角度範囲347を画定する。導波路342Bに関連付けられたエネルギー投射経路は、類似している。
図3Bとは対照的に、導波路342Aに関連付けられたエネルギー源位置343のグループの中心エネルギー源位置344は、導波路342Aの中心の真下にあり、光照射野ディスプレイ面301Cに近い導波路の表面が、非対称であることに留意されたい。結果として、源344からのエネルギーのエネルギー伝搬軸348Aは、導波路342Aによってエネルギー伝搬軸348Bに屈折され、これは、すべてのエネルギー源位置343から始まり、導波路342Aを通過するエネルギー伝搬経路のグループの角度範囲347のほぼ中心である。これは、上記の議論から、348Bが導波路342Aによって投射されたエネルギーのエネルギー伝搬軸であり、このエネルギー伝搬軸348Bが光照射野ディスプレイ面301Cに垂直ではなく、光照射野ディスプレイ面の法線339に対して非ゼロの角度338を成すことを意味している。同様に、399Bは、導波路342Bによって伝搬されるエネルギー源位置345からのすべての投射エネルギー経路の角度範囲349の中心近くに実質的に存在するので、導波路342Bによって投射されるエネルギーのエネルギー伝搬軸であり、このエネルギー伝搬軸399Bは、エネルギー指向面301Cに垂直ではなく、エネルギー指向面の法線339に対して非ゼロの角度338を成す。導波路342Aに関連付けられた位置343からのエネルギーは、隣接する導波路342Bの開口に到達するエネルギー抑制構造355の形態の1つによって阻止され得、逆もまた同様である。
【0029】
図3Bおよび
図3Cは、非ゼロの偏向角を生じさせるための導波路の実施形態を示しているが、他の実施形態も可能である。例えば、実施形態では、導波路は、エネルギー面340の法線に対してある角度において傾斜され得る。他の例は、ディスプレイ面に対して非ゼロの偏向角においてエネルギーを指向させるために、傾斜した区画または小面を含むか、複数の要素を含むか、または他の方法で、
図3Bおよび
図3Cに示される構成から変更された導波路を含み得る。導波路は、各導波路の中心の周りに分布するか、または各導波路の中心からオフセットされるエネルギー位置の配置のために構成され得る。これらの導波路のソリューションは、非ゼロの偏向角を達成するために、さまざまな屈折率を有するガラスの層、鏡面層、薄膜、回折格子、ホログラフィック光学要素、メタマテリアル層などを含む他の光学要素と組み合わせることができる。
【0030】
図3Bおよび
図3Cは、エネルギー指向デバイスの表面に組み込まれた偏向角を有する例示的な実施形態を示す。対照的に、
図4Aは、エネルギー指向面401から出る光線を偏向させるために、光照射野ディスプレイ面などのエネルギー指向面401の上に配置された光学要素の層を使用して達成された偏向角を有するホログラフィックエネルギーシステムの実施形態の直交図を示す。位置405においてエネルギー指向面401を出るエネルギーは、伝搬経路411、412、および413を含む角度範囲406にわたって拡散される。エネルギー指向面401は、ゼロの偏向角を有していてもよく、上記の
図3Aのエネルギー指向面301A、
図2Aの201A、または
図1A~
図1Eの101と同様の方法で構築されていてもよい。例えば、
図3Aに示される302Aまたは302Bなどの導波路は、ゼロ偏向を生じさせるためにエネルギー指向面401の位置405に位置し得、それにより、エネルギー伝搬軸412は、ディスプレイ面401の法線と平行である。光学要素は、受容したエネルギー伝搬経路をエネルギー指向面401から屈折させて、多くの入射エネルギー伝搬経路の方向を変える屈折光学系402の層を含み得る。
図4Aに示される例では、伝搬経路411は伝搬経路431に偏向され、伝搬経路412は伝搬経路432に偏向され、伝搬経路413は伝搬経路433に沿って偏向される。光学要素402の拡大
図421、422、および423は、屈折要素であり得る光学要素402の高い屈折率を通過する際に、第1の面441Aで、その後、第2の面441Bで再び、2回曲げられるエネルギー伝搬経路を示している。経路411、412、および413は、最初に、面441Aにおいて屈折材料402の高屈折材料の中に入るときに、第1の面441Aの法線に向かって曲げられ、次に、第2の面441Bにおいて屈折光学系402の高屈折材料から出るときに、界面の法線から離れる。その結果、エネルギー出力軸412を中心に対称であった、エネルギー指向面401を出るエネルギー伝搬経路の角度範囲406が、複数の偏向した伝搬経路のほぼ対称軸であり、かつエネルギー指向面401の法線439に対して角度438において傾斜しているエネルギー伝搬軸432を有する、角度範囲426にマッピングされ、変換される。言い換えれば、エネルギー光線はすべて非ゼロの偏向角によって偏向されているので、ホログラフィックコンテンツは、ディスプレイ面の法線に対して、概して傾斜した方向に伝搬する。
図4Aに示されるこの例は、エネルギー投射面からの光線が、様々な特性を有するプリズムを使用した屈折光学系によりどのように偏向され得るかを示しているが、様々な屈折率を有するガラス層、鏡面層、薄膜、回折格子、回折光学系、ホログラフィック光学要素、単レンズ、多要素レンズ、液体レンズ、変形可能な表面、メタマテリアル表面などを使用可能であることに留意されたい。光学系の層は、特定の視聴形状に最適化され、光照射野ディスプレイ面に結合されて、ディスプレイ面全体の導波路の偏向角を調整するよりも、比較的少ない費用で視聴ボリュームをカスタマイズすることを可能にし得る。
【0031】
図4Bは、
図4Aに示されるのと同じ光学システムを示し、エネルギー伝搬軸432がエネルギー指向面401の法線と成す偏向角θ439を示している。ディスプレイ面401上の位置405からの伝搬経路451のグループは、それらが光学要素402に近づくと入力光軸412の周りにグループ化され、それらが光学要素402を出るときに光軸432を中心とするグループ452に再指向される。入力伝搬経路451の角度範囲406は、出力伝搬経路452の角度範囲426と実質的に同じであり得るか、またはそれらは、実装に応じて異なっていてもよい。
【0032】
図4Bの例は、光照射野ディスプレイからのエネルギーの非ゼロの偏向角をその表面全体で達成するために使用される光学要素の平面層を示している。いくつかの実施形態では、光照射野ディスプレイは、2つ以上のタイプのエネルギーを伝搬するように構成されている。例えば、光照射野ディスプレイは、音響エネルギーおよび電磁エネルギーなどの、2つのタイプのエネルギーを投射することができる。いくつかの実施形態では、音響エネルギーは、ディスプレイ面401から短い距離に配設された1つ以上の表面上の複数の位置から指向され、これらの位置は、音響エネルギーをホログラフィックオブジェクトボリュームに指向させる。他の実施形態では、ディスプレイ面401自体が、音響エネルギートランスデューサと電磁導波路の両方を含み、電磁エネルギーと音響エネルギーの両方を投射する。音響エネルギーは、ディスプレイ面上の導波路配列(例えば、
図3A、3B、3Cの345)の電磁導波路要素の間のトランスデューサまたは音響導波路の位置から投射され得、エネルギーがある電磁導波路要素から別の電磁導波路要素に輸送されるのを抑制する構造(例えば、
図3Aの315または
図3Cの355)を形成するのに役立ち得る。
【0033】
実施形態では、超音波の音響エネルギーを投射するトランスデューサの空間的に分離された配列は、三次元触覚形状および表面を空中に創出するように構成することができる。配列全体の位相遅延および振幅変動は、複数源からの超音波を指向させて、触覚を提供し得る1つ以上の特定の触覚位置に干渉させるのに役立ち得る。これらの触覚位置は、投射されたホログラフィックオブジェクトと一致し得る。一般に、平面上に配置された音響導波路またはトランスデューサは、表面がディスプレイ面から離れているか、またはディスプレイ面に統合されているかにかかわらず、音響エネルギーをその表面に外向きに垂直に投射する傾向がある。理想的には、これらの音を生成する位置の偏向角の配列により、音を平面上の複数の位置から収束点に指向させることができ、体積の触覚表面を形成することを可能にし得る。
【0034】
実施形態では、電磁および音響エネルギーの両方の偏向角は、メタマテリアルを使用して達成することができる。これらのメタマテリアルは、主に、エネルギー波面を再指向する材料として使用できる、設計されたサブ波長セルまたは構造を有するメタサーフェスと呼ばれる2次元のパターン化された表面である。エネルギーの入力ビームのこの偏向は、メタマテリアルの輪郭に沿って段階的な位相シフトを調整することによって行うことができる。メタサーフェス設計の従来のアプローチの1つは、局所位相変調を実行することであり、これは、一般化されたスネルの法則(GSL)に従って外向き波の挙動を決定づける。これは、光学分野でレンズやビームスプリッターなどの構造を設計するために使用されている。音響学では、メタサーフェス内の位相シフトを使用して、波面を操作し、音を吸収している。
【0035】
このようなアプローチでは、散乱の効率に限界があるが、これは双異方性材料として知られているメタマテリアルを使用することで克服できる。双等方性電磁媒体では、電場と磁場が媒体の固有の定数によって結合している。結合定数が媒体内の方向に依存する場合、媒体は双異方性と呼ばれる。同様の現象は、周波数領域で汚れが運動量に結合し、応力が速度に結合するウィリス結合を示す不均質な弾性材料の音響でも起こる。
【0036】
双異方性電磁応答は、照明の方向によって散乱電磁場が異なる双異方性メタサーフェスによって実装することができる。電磁メタサーフェスの場合、一般的なソリューションはカスケード式インピーダンス層に基づいている。これらの構造は、光を高効率で偏向し、光を集束させ、その他の光学機能を実現することが実験的に検証されている。
【0037】
図4Cは、
図4Bに示されるものと同様のホログラフィックエネルギーシステムを示すが、
図4Bに示される光学要素402の代わりに1つ以上の光学メタサーフェス404を有する。
図4Bおよび
図4Cでは、同じ構成要素に同じ番号が割り当てられている。
図4Cに示される例では、メタサーフェス404の1つ以上の層を使用して、偏向角θ438を達成する。メタマテリアルは、一般化されたスネルの法則に従って局所的な位相変調を実現するか、双等方性材料または双異方性材料で作られた構造体で構築することで、より高い効率で光ビームを偏向させることができる。個々のメタサーフェス領域が個別にアドレス指定可能で構成可能である場合、偏向角θ438は、これらの領域の各々における角度範囲にわたってプログラムされ得る。
【0038】
音響学では、最近、特定の共振器の形状寸法で実現された双異方性共振器を使用すると、入射面の音波を、60度を超える大きな角度で90%を超える電力効率で再指向できることが示されている[1]。このような技術は、トランスデューサなどのサウンドジェネレータの配列を収容する表面全体の音波波面の勾配偏向角を生成するための候補となる。そのような勾配偏向角は、複数の超音波波面を共通の干渉点に集束するのを支援するために使用され得、体積触覚表面を達成し、これは、上記のような触覚を提供し得る。
【0039】
図4Dは、入射音波471を実質的な偏向角θ476を有する出力音波473に偏向させるシステムの例である。
図4Dは、単一のエネルギー源位置から機械的エネルギーを受容し、偏向された伝搬経路に沿って受容した機械的エネルギーを偏向するように構成されている、単一の偏向位置を有する偏向要素を表す。音波は、音響エネルギー源481の表面上のポジション403に位置する音響導波路または音響トランスデューサによって生成される。表面481は、多くの音響導波路またはトランスデューサから構成される光照射野ディスプレイ面の隣に配設される表面であり得るか、または表面481は、電磁導波路および音響エネルギートランスデューサの両方から構成される二重エネルギー光照射野ディスプレイ面であり得、電磁導波路と音響エネルギートランスデューサはインターリーブすることができる。音波471は、エネルギー軸472に沿って、表面481に垂直で、法線475に平行に生成され、1つ以上のメタサーフェス層480によって、軸474に沿って音波473に偏向される。偏向された音波のエネルギー伝搬軸474と音源481の表面の法線439との間の角度θ476が、偏向角である。個々のメタサーフェス領域が個別にアドレス指定可能で構成可能である場合、偏向角θ476は、これらの領域の各々における角度範囲にわたってプログラムされ得る。1つ以上のメタサーフェス層480は、サブ波長セルの配置の2Dパターン化表面、または双異方性メタマテリアルから作られた音響セルから作られ得る。
【0040】
偏向勾配と呼ばれる徐々に変化する偏向角をディスプレイ面全体で使用して、特定の視聴ボリュームの視野を拡大したり、視聴ボリュームをディスプレイ面に近づけたりすることができる。
図5Aは、電磁エネルギー指向システムの実施形態の上面図を示しており、これは、光照射野ディスプレイを含む、本開示で論じられるいずれかのエネルギー指向システムであり得る。実施形態では、
図5Aのエネルギー指向システムは、エネルギー投射面501の様々な表面位置において60度の角度エネルギー伝搬範囲を有し、偏向角を有さないエネルギー投射面501を含む。実施形態では、エネルギー面501は、
図1Bおよび
図1Eの101と同様のエネルギー指向面、
図2Aの光照射野ディスプレイ面201A、および
図3Aの表面301Aの構成を組み込むことができる。実施形態では、表面501のエネルギー伝搬経路のグループは、表面501に垂直に指向され、ゼロ偏向角を生じさせる。エネルギー伝搬軸521~525を有するエネルギー伝搬経路の各グループは、それぞれ、60度の角度範囲514~518にわたって分布している。結果として得られるホログラフィック視聴ボリューム504は、すべての異なる表面位置からのエネルギーが重なり、ホログラフィックオブジェクトボリューム503の至る所に位置するホログラフィックオブジェクトを見ることができ、同じ60度の視野519を有する。この形状では、ホログラフィック視聴ボリューム504は、ディスプレイのおおよその幅よりも近くない場合があることに留意されたい。この構成では、ホログラフィックオブジェクトボリュームは幾何学的に非常に大きいが、光照射野ディスプレイ面501からの最大投射距離によって制限される場合がある。
【0041】
図5Bは、
図5Aに示されるものと同じディスプレイ面501を示すが、ディスプレイ面501の真正面に置かれた、
図4A~
図4Bに示した層402と同様の光偏向層571で実現されるディスプレイ面全体で達成された勾配偏向角を有し、ホログラフィック視聴ボリューム508を光照射野ディスプレイ面501により近く位置決めすることを可能にする。
図5Bでは、各々がゼロ偏向角でディスプレイ面501の法線509に平行なエネルギー伝搬軸の周りに対称的に作り出されるエネルギー伝搬グループ581~585は、ほとんどすべて、光照射野ディスプレイ面の左側の+30度から右側の-30度までの範囲の偏向角531~535によって、光学偏向層571によって偏向される。ディスプレイ面501に垂直なエネルギー伝搬軸509を中心に対称的に作り出されるエネルギー伝搬経路581はすべて、偏向層571によって、30度の角度531だけ、軸551を中心とする偏向エネルギー伝搬経路に、中央ホログラフィック視聴ボリューム508に向かって偏向される。同様に、偏向された伝搬軸551~555の各々が、ディスプレイ面上の位置とは無関係にホログラフィック視聴ボリューム508の中央付近を示すように、エネルギー光線582は、エネルギー伝搬軸552に15度偏向され、エネルギー光線583は偏向されず、エネルギー伝搬軸553に沿って継続し、エネルギー光線584は、エネルギー伝搬軸554に-15度偏向され、エネルギー光線585は、エネルギー伝搬軸555に-30度偏向される。光照射野ディスプレイ面501上の中間点において、偏向角は、ちょうど与えられた偏向角の補間された値であり得る。言い換えれば、偏向角は、エネルギー指向面上のポジションを横切って連続的に変化する場合があり、または、それは領域にグループ化され、不連続性の境界を有する場合がある。偏向角は、
図5Bにおいて一次元でのみ変化するように示されているが、一般に、偏向角は、エネルギー指向面を横切るポジションのいずれかの連続的または非連続的関数であり得る。
図5Bに示される構成では、エネルギー伝搬経路581~585の偏向の前後の角拡散は、60度の角度541~555である。
【0042】
その結果、エネルギー伝搬軸を中心とするエネルギー伝搬経路の束が、光照射野ディスプレイ面の各部分からホログラフィック視聴ボリューム508に向けて指向され、約120度に等しい角度529ほどであり得る視野、およびディスプレイ面の水平方向幅の一部のディスプレイ面501に近接し得るホログラフィック視聴ボリューム508がもたらされる。ディスプレイ面の縁を出る光線は、ディスプレイ面の幅よりも広い水平方向領域に指向されない場合があり、その結果、ホログラフィック視聴ボリューム508から離れて投射されるエネルギーが回避されることに留意されたい。
【0043】
図5Aと
図5Bに示される実施形態間の違いを調べると、勾配偏向角を使用して、視聴者の視聴ボリュームの視野を拡大し、エネルギー投射面と視聴ボリュームとの間の分離を減少させ、したがって、視聴観客へのホログラフィックオブジェクトの近接性を高め得ることがわかる。ホログラフィックオブジェクトボリュームは、
図5Aよりも
図5Bの方が小さいが、光照射野ディスプレイの最大投射距離に適応するようにカスタマイズすることができる。ディスプレイの設計パラメータは、これを考慮に入れて、投射距離、解像度、および視野の相互に競合する要件のバランスをとることができる。
【0044】
図5Cは、
図5Bの偏向光学系571の層が、同じ偏向角を作り出す勾配メタサーフェスの1つ以上の層575で置き換えられていることを除いて、
図5Bに示されるのと同じホログラフィックディスプレイシステムである。そうでなければ、同じ番号が
図5Bおよび
図5Cの同じ構成要素に割り当てられる。勾配メタサーフェス層575は、
図4Cに示されるメタマテリアル面404の挙動と同様に、調整可能な角度で光線を偏向させることができる。メタサーフェス層575は、一般化されたスネルの法則に従って局所位相変調を達成することによって、光線の方向を変えることができ、または双等方性メタマテリアルもしくは双異方性メタマテリアルで作られた構造で構築することによって、より高い効率で光ビームを偏向することができる。
【0045】
図3Bおよび
図3Cに示されるように、光照射野ディスプレイ上の偏向角は、導波路の配列を使用して達成され得、各導波路は、複数のエネルギー位置を通してエネルギーを伝搬し、導波路の平面に垂直ではないエネルギー伝搬対称軸を中心とするエネルギー投射経路のグループを作り出すように構成されている。
図5Dは、エネルギー投射面上の位置の関数として可変の非ゼロ偏向角を有するように構成されているエネルギー投射面520の実施形態の上面図を示し、ホログラフィック視聴ボリュームを、偏向角を使用しない場合よりもエネルギー投射面にはるかに近く位置決めすることを可能にする。
図5Cおよび
図5Dでは、同じ番号が同じ構成要素に割り当てられている。
図5Dのホログラフィックシステムは、
図5Dの勾配偏向角が、ディスプレイ面501の前面に配設されたメタマテリアル509の表面ではなく、ディスプレイ面520を形成する導波路で達成されることを除いて、
図5Cに示されるものとほぼ同じである。エネルギー指向ディスプレイ面520は、
図3Bに示されるエネルギー指向面301Bを形成する322Aおよび322Bと同様の導波路、
図3Cに示されるエネルギー指向面301Cを形成する342Aおよび342Bと同様の導波路、様々な偏向角を有するこれらの導波路のいくつかの組み合わせ、またはそれ以外のタイプの導波路から構成され得る。
【0046】
視野を拡大し、投射されたホログラフィックオブジェクトを視聴ボリュームに近接させるために、または言い換えれば、視聴者の没入体験を向上させるために使用できる光照射野ディスプレイ面の追加の実施形態がある。観客の正面を弧状に取り囲む曲面を含む実施形態は、一実施形態である。他の実施形態では、1つ以上のディスプレイ面は、中央のディスプレイ面に対してある角度において配置することができる。これにより、集合的なディスプレイ面が視聴ボリュームを取り囲み、ホログラムオブジェクトをそのボリュームに近づけ、視野の拡大を達成することが可能になる。平らな面を互いに角度をつけて使用することで、ディスプレイ面全体をモジュール方式で構築し、特定の視聴ボリューム要件に対して迅速に最適化することができるような構成で、複数の同一パネルを使用することが可能になる。
【0047】
エネルギー指向面上のポジションの関数としての偏向角の概念を、機械的エネルギーの伝搬に実装することができる。音響機械エネルギーを投射する位置の空間的に分離された配列は、三次元触覚形状および表面を空中に創出するように構成することができる。いくつかの実施形態では、配列全体の位相遅延と振幅変化が、これらの触覚形状の創出に役立ち得る。一部の用途では、音響エネルギー位置から放出される音を、触覚ボリュームに向かってある角度において傾斜させることができることが有益であり得る。
図5Eは、音波56A、56F、および56Kをそれぞれ作り出す音響エネルギー層561上の3つの音響機械エネルギー源561A、561F、および561Kから構成される音響機械エネルギー指向デバイスのトップダウン直交図を示しており、音波は、静的音響偏向層592によって、触覚ボリューム558に向かって受容され、音波57A、57F、および5Kにそれぞれ偏向される。音響エネルギー源561A、561F、および561Kは、
図4Dに示されるポジション403に位置する音響エネルギー源と同様の音響トランスデューサであり得る。静的音響偏向層592は、
図4Dを参照して論じた480と同様の、メタマテリアルで作られたメタサーフェスであり得、触覚表面が生成される領域に向かって音波波面を指向させるのに役立ち得る。実施形態では、
図5Eに示される音響エネルギー指向デバイスは、ホログラフィックオブジェクトと一致する触覚表面を生成するために、光照射野ディスプレイとともに使用され得る。別の実施形態では、
図5Eに示される音響エネルギー指向デバイスは、透光性であり、光照射野ディスプレイのエネルギー指向表面上に配置され、ホログラフィックオブジェクトを表示し、かつ触覚表面を生成する二重エネルギー指向デバイスを創出することができる。
【0048】
個々の音響エネルギー源の配列上に配置された再構成可能な個々の音響エネルギー偏向デバイスの配列から、再構成可能な4次元(4D)音響エネルギー場を構築することが可能である。
図5Fは、音響エネルギー源561A~Dの配列561上に配置された再構成可能な音響エネルギー偏向位置562A~Dの配列562を提供する偏向要素から構成される4D音響エネルギー指向システムの直交図を示す。再構成可能な音響エネルギー偏向位置562A~Dは、個々のデバイス、または1つ以上の基板上の個々の部位から構成される偏向要素によって提供され得、各基板は、複数の部位を収容する。エネルギー偏向位置562A~Dは、上記のメタマテリアルで作られたメタサーフェスであり得、
図4Dの層480に示されるものと同様であり得る。エネルギー源位置561A~Dは、それぞれ音波56A~Dを投射し、これらはそれぞれ、音響エネルギー偏向位置562A~Dによって受容され、偏向された伝搬方向を有する音波57A~Dに偏向される。各音響エネルギー偏向位置562A~Dは、2次元角度座標(u,v)、およびエネルギー指向面501A上のポジションを決定する2次元座標(x,y)を有する少なくとも1つの音響エネルギー伝搬経路に関連付けられている。これらの座標は一緒になって、各音響エネルギー伝搬経路の4次元座標(x,y,u,v)を形成する。
図5Fでは、音の伝搬経路57A~Dの位置座標は、(x,y)=(0,0)、(1,0)、(2,0)、および(3,0)であり、それぞれの角度座標は(u,v)=(u
0,v
0)、(u
1,v
1)、(u
2,v
2)、および(u
3,v
3)であり、結果として、4D座標=(0,0,u
0,v
0)、(1,0,u
1,v
1)、(2,0,u
2,v
2)、および(3,0,u
3,v
3)をもたらす。
図5Fに示される実施形態では、各音響エネルギー偏向位置562A~Dは、1つの音のエネルギー位置561A~Dのみからエネルギーを偏向させるが、各音の偏向位置が、複数の音源を複数の伝搬経路に指向させることが可能であり、それぞれ(u,v)座標を使用する。そのようなエネルギー指向システムは、
図1Bおよび
図1Eに示される4D光照射野ディスプレイシステムに非常に類似しているように見える場合がある。
【0049】
図5Gは、
図5Fに示される4D音響エネルギー指向システムが、触覚インターフェースを生成するためにどのように使用され得るかを示す。
図5Gでは、複数の音響エネルギー源56D、56H、および56Lは、平面561上のエネルギー源位置561D、561H、および561Lによって作り出され、平面562上の音響エネルギー偏向位置562D、562H、および562Lによって音波57D、57H、および57Lに偏向される。これらの音波57D、57H、および57Lは収束し、触覚インターフェース591を作り出す。一実施形態では、音波は超音波であり、干渉すると、触覚を作り出し得るはるかに低い周波数の波を作り出す。
図5Gに示されるエネルギー指向システムは、光照射野ディスプレイ面の平面の近くに配設され得るが、ディスプレイ面からの光を遮断することを回避するために、それから空間的に完全にオフセットされ得る。音響エネルギー源平面561および音響偏向平面562は、光照射野ディスプレイからの光を透過させ得る。触覚表面591は、光照射野ディスプレイによって投射されたホログラフィックオブジェクトと一致し得る。層592上の音響エネルギー偏向位置562D、562H、および562Lはそれぞれ、一般化されたスネルの法則に従って局所位相変調を達成することによって、音波を偏向させるか、または双等方性音響メタマテリアルもしくは双異方性音響メタマテリアルで作られた構造で構築されることによって、より高い効率で音のビームを偏向することができる。
【0050】
図5Hは、音響エネルギー偏向位置を有するエネルギー導波路をインターリーブすることによって、二重エネルギー指向面595がどのように構築され得るかを示している。
図5Hの左側の上面図は、エネルギー導波路3020が、二重エネルギー指向面595上の音響エネルギー偏向位置5620とどのようにインターリーブされるかを示している。この例は、これらの要素が同じサイズであることを示しているが、音響偏向位置が導波路よりも小さいまたは大きいサイズを有する場合がある、インターリーブパターンの規則的および不規則的な配置はさらに多く存在する。この例では、要素589の列は、
図3Aに示される導波路302Aおよび302Bであり得る導波路302A、302B、および302Cから構成され得、列はまた、音響ビーム偏向位置562Xおよび562Yを収容し得、これらは、
図5Gに示される562Dおよび562Hと同様であり得る。
図5Hの右側の側面図は、導波路302A~Cが1つ以上の電磁エネルギー源位置グループ303A~Cから電磁エネルギーをどのように指向させるかを示し、ここで、導波路302Aは、エネルギー伝搬経路508Aに沿ってエネルギーを指向し、導波路302Bは、伝搬経路580Bに沿ってエネルギーを指向し、および導波路302Cは、エネルギー伝搬経路580Cに沿ってエネルギーを指向する。エネルギー抑制構造315Aは、隣接する導波路302Bと302Cとの間に構成されて、第1の導波路に関連付けられたエネルギー源の1つのグループからのエネルギーが隣接する導波路に到達するのを抑制することができる。エネルギー抑制構造315Aは、
図3Aの315と同様であり得る。音響エネルギー指向部位562X~Yは、音響または機械的エネルギー源位置561X~Yからそれぞれ機械的エネルギーを受容し、このエネルギーをそれぞれ音波57Xおよび57Yに偏向させる。エネルギー抑制構造315Bは、302Bなどの導波路と562Xなどの音響エネルギー偏向部位との間に構成されて、導波路のエネルギーが音響エネルギー偏向部位に干渉するのを制限することができ、逆もまた同様である。二重エネルギー源面594は、2つのタイプのエネルギー源位置を収容し、このエネルギーは、導波路および二重エネルギー指向面595上の音響エネルギー偏向位置によってエネルギー伝搬経路に指向される。
図5Hの実施形態は、異なる導波路および音響ビーム偏向デバイスの1つの配置を示しているが、2つの異なる4Dエネルギー場を投射するインターリーブソリューションを可能にする他の多くのものがある。
【0051】
図5Iは、二重エネルギー指向面595を使用して、ホログラフィックオブジェクトの表面592と触覚表面591を同時に投射し得る方法を示している。エネルギー指向面595は、
図5Hに詳細に示されている。二重エネルギー面595全体に分布された
図5Hに示されるような複数の光導波路3020は、4D光照射野を含み、光線580を投射し、その一部分は収束してホログラフィック表面592を形成する。ホログラフィックオブジェクトボリュームで作り出された592などのホログラフィックオブジェクトは、ホログラフィック視聴ボリュームで視聴することができる。二重エネルギー面595全体に分布し、導波路3020とインターリーブされた
図5Hに示す複数の音響エネルギー偏向位置5620は、4次元音響エネルギー場を含み、複数の音響エネルギービーム57を偏向させて、それらが収束して触覚表面591を形成するようにし、これはホログラフィック表面592と一致し得る。光投射光線580は、
図5Hの595の側面図に示される光線580A~Cと同様の方法で生成され、音響エネルギー伝搬経路57は、
図5Hに示す音響エネルギービーム57X~Yと同様の方法で生成される。
【0052】
図6は、視聴ボリュームの真正面にある中央壁掛け式光照射野ディスプレイ面601と、中央パネルに対して45度の角度を付けられ、視聴ボリュームに向かって傾斜した側方光照射野ディスプレイ面602とを含むホログラフィックディスプレイの実施形態の直交図を示しており、両方のパネルは、それらの表面全体の勾配偏向角を特色としている。ホログラフィックコンテンツは、中央のパネルから、通常は視聴ボリュームに向かう方向に投射される。光線群631は、ディスプレイの上部近くのエネルギー伝搬軸611に沿って投射され、光線群632は、ディスプレイの中央におけるエネルギー伝搬軸612に沿って投射され、光線群633は、ディスプレイの下部近くのエネルギー伝搬軸613Aに沿って投射される。これらのエネルギー投射軸の各々は、法線608からディスプレイ面601まである角度(621、622、および623A)にある。同様に、ホログラフィックコンテンツは、ディスプレイ面602の法線609に対して可変角度において、同じく視聴ボリュームの一般的な方向に、下部光照射野ディスプレイ面602から投射される。光線群633は、ディスプレイ面位置603においてディスプレイ602の上部近くの軸613Bに沿って、ディスプレイ602の中央のエネルギー伝搬軸614に沿って、およびディスプレイ602の下部におけるエネルギー伝搬軸615に沿って投射される。これらの伝搬方向の各々はまた、法線609からディスプレイ面602まである角度(623B、624、625)にある。その結果、視聴ボリュームには、小さな女の子605と2人の大人606を含む、すべての観客員が含まれる場合があり、ホログラフのステゴサウルス607の頭部は、より遠くに、観客員605にさらに近づいて投射され得、シーンの臨場感と没入感が増す。
【0053】
図7は、中央平面701と、中央面701の両側にある2つの光照射野ディスプレイ面702、703とを含む光照射野ディスプレイ面の実施形態の上面図を示しており、中央面701に対して視聴ボリューム705に向かって内側に角度が付けられている。ディスプレイ面に垂直ではない角度で複数のエネルギー投射軸710として実現される勾配偏向角により、各ディスプレイ面上の各ポジションからエネルギー投射軸710に沿って、理想的な視聴ボリューム705の中心にほぼ向かう方向にホログラフィックコンテンツを投射することが可能になる。このディスプレイ面は、中央のディスプレイ面701に面している理想的な視聴ボリューム705に位置する視聴者の全視野をカバーする。拡張視聴ボリューム706内でさらに遠くに存在し得るホログラフィックオブジェクトを、視聴者は見ることができる。エネルギー指向面は、
図7に示されているもの以外の構成で使用することができる。例えば、複数の小面を持つエネルギー投射面、曲面もしくはくさび形の面、またはこれらの組み合わせを有することができる。
【0054】
中央の平面のみを有するエネルギー指向面は、ホログラフィックオブジェクトと視聴ボリュームとの間の平面近接度、平面視野、および中央のディスプレイ面と視聴ボリュームとの間の平面閾値分離を有する。視聴者に向かって角度を付けた1つ以上の側面エネルギー指向面を追加することで、ディスプレイ面とホログラフィックオブジェクトとの間の近接度を平面近接度に比べて高め、視野を平面的な視野に比べて広げ、ディスプレイ面と視聴ボリュームとの間の分離を平面分離に比べて減少させることができる。側面を視聴者に向けてさらに角度を付けると、さらに近接度を増大させ、視野を広げ、分離を減少させることができる。言い換えれば、側面の角度の付いた配置は、視聴者の没入感を高めることができる。
【0055】
図7の実施形態は、他のエネルギー領域に拡張することができる。
図7において、ホログラフィックオブジェクトボリュームは、光エネルギー光線が収束して光エネルギー面を形成する体積であり、視聴ボリュームは、光エネルギー面を出る光エネルギーを受容するための体積であり、視野は、エネルギー受容ボリューム内で受容されるエネルギー投射経路の角度範囲である。
【国際調査報告】