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特表2022-524427圧力補償された能動サスペンションアクチュエータシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】圧力補償された能動サスペンションアクチュエータシステム
(51)【国際特許分類】
   B60G 17/015 20060101AFI20220422BHJP
   F16F 9/50 20060101ALI20220422BHJP
   B60G 17/048 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
B60G17/015 B
F16F9/50
B60G17/048
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554636
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 US2020022193
(87)【国際公開番号】W WO2020185968
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】62/816,666
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/842,088
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/821,834
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/863,202
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512321121
【氏名又は名称】クリアモーション,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベルター,ジョゼフ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】セルデン,ブライアン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シノワ,ジェイソン スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン スタードゥイネン,マティス
(72)【発明者】
【氏名】タッカー,クライブ
(72)【発明者】
【氏名】ラマザノウル,タハ ゼキ
【テーマコード(参考)】
3D301
3J069
【Fターム(参考)】
3D301DA08
3D301DA26
3D301DA33
3D301DA38
3D301DB35
3D301DB38
3D301DB39
3D301DB43
3D301EB02
3D301EB08
3D301EB34
3D301EC01
3D301EC05
3J069AA50
3J069EE36
3J069EE62
(57)【要約】
圧縮容積および拡張容積を有するアクチュエータを含む能動サスペンションアクチュエータシステムが、記載されている。いくつかの実施形態において、システムは、アクチュエータの圧縮容積および/または拡張容積と流体連通している1つ以上の流れ制御デバイスを含む。いくつかの事例において、流れ制御デバイスは、圧力平衡化されたブローオフ弁(PBOV)を含み得る。いくつかの実施形態において、システムは、大容量の双方向ベース弁を含む。いくつかの実施形態において、2つ以上の流れ制御デバイスは、例えば、拡張容積および/または圧縮容積における低振幅振動を減衰させ、拡張容積と圧縮容積との間の急速な道路誘導差圧スパイクを排出しながら、ポンプで生成された差圧の増大を可能にするために協同する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動サスペンションアクチュエータシステムであって、
内部容積を有する圧力管と、
前記内部容積を圧縮容積および拡張容積に分割する、前記内部容積に摺動可能に受容されたピストンであって、少なくとも1つの動作のモードにおいて、前記圧縮容積内の圧力が、第1の周波数で振動する、ピストンと、
第1のポートおよび第2のポートを有する油圧機械であって、前記第1のポートが、前記第2のポートを含まない第1の流れ経路によって、前記圧縮容積に流体的に接続されており、前記第2のポートが、前記第1のポートを含まない第2の流れ経路によって、前記拡張容積に流体的に接続されている、油圧機械と、
少なくとも第1の動作モードにおいて、油圧ポンプとして、かつ第2の動作モードにおいて、油圧モータとして、前記油圧機械を動作させるように構成されたコントローラと、
前記第1の流れ経路の少なくとも一部分における流れの流れ振動を減衰させるように構成された、全インピーダンスを有する、減衰流れ制御デバイスであって、前記流れ制御デバイスの前記インピーダンスが、前記流れ制御デバイスにわたる圧力降下が第1の事前設定された閾値圧力降下を超えるときに減少する、減衰流れ制御デバイスと、
前記圧縮容積と前記拡張容積との間に流体的に介設された第1のバイパス流れ制御デバイスであって、前記第1のバイパス流れ制御デバイスが、圧力オフセットを有する第1の圧力平衡化されたブローオフ弁を含み、前記圧力平衡化されたブローオフ弁が、前記第1の圧力平衡化されたブローオフ弁にわたる圧力差が第1の閾値圧力差を超え、かつ第1の周波数が第1の事前設定された周波数閾値を超えるときに、流体が前記圧縮容積から前記拡張容積に流れることを可能にする、第1のバイパス流れ制御デバイスと、を備える、
能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項2】
前記圧力オフセットが、絶対オフセットおよび相対オフセットのうちの1つである、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項3】
前記減衰流れ制御デバイスが、少なくとも1つの減衰要素を含む、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項4】
前記減衰流れ制御デバイスを含む前記第1の流れ通路の少なくとも一部分によって前記圧縮容積に流体的に接続されたアキュムレータをさらに備える、
請求項3に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項5】
前記第1の流れ経路の減衰係数が、10~400ニュートンメートル/秒の範囲である、
請求項4に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項6】
前記圧縮容積に向かう流体の流れに対する前記第1の流れ経路の減衰係数が、前記圧縮容積から離れる流体の流れに対する前記第1の流れ経路の減衰係数とは異なる、
請求項4に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項7】
前記減衰流れ制御デバイスが、減衰要素を有する第1の流れ経路と、バイアス逆止弁を有する少なくとも第2の流れ経路と、を含み、前記第1および第2の流れ経路が、互いに流体的に平行である、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項8】
前記第1の流れ経路を通る流れが前記事前設定された閾値圧力降下よりも大きい圧力降下を誘発するときに、少なくとも1つの動作条件において、前記第2の流れ経路における前記バイアス逆止弁が開く、
請求項7に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項9】
前記第1の流れ経路の全体的な減衰係数が、前記第2の流れ経路における前記バイアス逆止弁が閉じているときと比較して、開いているときに、1つの流れ方向においてより低い、
請求項8に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項10】
前記第1のバイパス流れ制御デバイスの前記ブローオフ弁が、前記圧縮容積内の前記圧力が前記事前設定された閾値圧力差よりも大きく、かつ前記圧縮容積内の圧力振動が10Hz~100Hzの周波数の範囲内にあるときに、前記圧縮容積から流体を排出する、
請求項7に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項11】
前記コントローラが、前記ピストンにわたる前記圧力差が事前設定された閾値圧力差よりも小さいときに、前記油圧機械を動作させて、10Hz~100Hzの周波数の範囲内で車両のばね下質量に能動的な力を適用する、
請求項10に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項12】
前記第1のバイパス流れ制御デバイスが、前記ピストン内に位置する、
請求項10に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項13】
前記拡張容積から流体を排出する、前記ピストン内に位置する第2のバイパス流れ制御デバイスをさらに備える、
請求項12に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項14】
前記第1のバイパス流れ制御デバイスが、前記圧力管の外部にある、
請求項10に記載の能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項15】
車両の能動サスペンションアクチュエータシステムであって、
第1の入口ポートおよび第1の出口ポートを含むピストンであって、前記第1の入口ポートが、前記ピストン内部の第1の流体流れ通路によって、前記第1の出口ポートに流体的に接続されている、ピストンと、
前記ピストンによって第1のチャンバおよび第2のチャンバに分割された内部容積を有する圧力管であって、前記ピストンが、前記内部容積に摺動可能に受容されており、前記第1の入口ポートが、前記第1のチャンバに流体的に接続されている、圧力管と、
第1の端部において前記車両のばね上質量に、および第2の端部において前記ピストンに取り付けられたピストンロッドと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の圧力差と、前記第1のチャンバ内の圧力上昇率、前記第1チャンバと前記第2のチャンバとの間の前記圧力差の変化率、前記第2のチャンバ内の圧力降下率、および前記第1のチャンバ内の圧力変動の周波数からなる群から選択される特性と、に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の出口ポートを前記第2のチャンバに選択的に、流体的に接続する、前記ピストンに取り付けられた第1の流れ制御デバイスと、を備える、
能動サスペンションアクチュエータシステム。
【請求項16】
前記ピストンに取り付けられた第2の流れ制御デバイスであって、第1の面がまた、第2の出口ポートを含み、第2の面がまた、第2の入口ポートを含み、前記第2の入口ポートが、前記ピストン内部の第2の流体流れ通路によって、前記第2の出口ポートに流体的に接続されており、前記第2の入口ポートが、前記第2のチャンバに流体的に接続されており、前記第2の流れ制御デバイスが、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の前記圧力差と、前記第1のチャンバ内の圧力降下率、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の前記圧力差の前記変化率、前記第2のチャンバ内の圧力上昇率、および前記第2のチャンバ内の圧力変動の周波数、からなる群から選択される特性と、に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の出口ポートを前記第1のチャンバに選択的に、流体的に接続する、第2の流れ制御デバイスをさらに備える、
請求項15に記載のピストンアセンブリ。
【請求項17】
前記第1の流れ制御デバイスが、圧力平衡化されたブローオフ弁である、
請求項15に記載のピストンアセンブリ。
【請求項18】
前記圧力平衡化されたブローオフ弁が、受動弁である、
請求項17に記載のピストンアセンブリ。
【請求項19】
前記第1の圧力平衡化されたブローオフ弁が、シールワッシャを含み、前記シールワッシャが、シール位置にあるときに、前記第1の出口ポートから前記第2のチャンバへの流れを防止する、
請求項18に記載のピストンアセンブリ。
【請求項20】
前記ピストンロッドに対して固定されている第1のばねパーチと、前記第1のばねパーチと前記シールワッシャとの間に動作可能に介設された第1のばねと、前記ピストンロッドに対して浮動するように構成されている第2のばねパーチと、前記第2のばねパーチと前記シールワッシャとの間に動作可能に介設された第2のばねと、をさらに備え、前記第1および第2のばねが、組み合わさって、前記シールワッシャ上に、前記シールワッシャをシール位置に向けて付勢する正味の機械的力を適用する、
請求項19に記載のピストンアセンブリ。
【請求項21】
前記特性が、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の前記圧力差の前記変化率である、
請求項15に記載のピストンアセンブリ。
【請求項22】
前記特性が、前記第1のチャンバ内の前記圧力上昇率である、
請求項15に記載のピストンアセンブリ。
【請求項23】
車両の能動サスペンションアクチュエータシステムを動作させる方法であって、前記方法が、
路面上で、ホイールアセンブリと車体との間に動作可能に介設された能動サスペンションアクチュエータで前記車両を動作させることであって、前記能動サスペンションアクチュエータが、油圧機械の第1および第2のポートにそれぞれ流体的に接続されている、圧縮容積および拡張容積を有する、動作させることと、
前記ホイールアセンブリに関連付けられたホイールで前記路面の不連続部にぶつかることと、
第1の増加率で事前選択された閾値よりも大きい第1の値まで前記圧縮容積内の圧力を増加させることと、
前記増加された圧力の少なくとも一部分を前記圧縮容積から前記拡張容積に排出するために圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことと、
前記圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことなく、前記第1の率よりも低い第2の率で前記閾値よりも大きい値まで前記圧縮容積内の前記圧力を増加させるために前記油圧機械を動作させることと、
前記圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことなく、前記第1の率よりも大きい率で前記閾値よりも小さい値まで前記圧縮容積内の前記圧力を増加させるために前記油圧機械を動作させることと、を含む、
方法。
【請求項24】
前記圧力平衡化されたブローオフ弁が、受動的である、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
車両の能動サスペンションアクチュエータシステムを動作させる方法であって、前記方法が、
路面上で、ホイールアセンブリと車体との間に動作可能に介設された能動サスペンションアクチュエータで前記車両を動作させることであって、前記能動サスペンションアクチュエータが、内部容積に摺動可能に受容されているピストンによって、第1のチャンバおよび第2のチャンバに分離されている内部円筒形容積を有し、前記第1のチャンバおよび第2のチャンバが、それぞれ油圧機械の第1および第2のポートに流体的に接続されている、動作させることと、
前記ホイールアセンブリに関連付けられたホイールで前記路面の不連続部にぶつかることと、
第1の増加率で事前選択された閾値よりも大きい第1の値まで前記第1のチャンバ内の圧力を増加させることと、
前記増加された圧力の少なくとも一部分を前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに排出するために圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことと、
前記圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことなく、前記第1の率よりも低い第2の率で前記閾値よりも大きい値まで前記第1のチャンバ内の前記圧力を増加させるために前記油圧機械を動作させることと、
前記圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことなく、前記第1の率よりも大きい率で前記閾値よりも小さい値まで前記第1のチャンバ内の前記圧力を増加させるために前記油圧機械を動作させることと、を含む、
方法。
【請求項26】
前記圧力平衡化されたブローオフ弁が、受動的である、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のチャンバが、圧縮容積であり、前記第2のチャンバが、拡張容積である、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のチャンバが、拡張容積であり、前記第2のチャンバが、圧縮容積である、
請求項26に記載の方法。
【請求項29】
能動サスペンションアクチュエータであって、
圧力管と前記圧力管を少なくとも部分的に取り囲んでいる第2の管とを含むアクチュエータであって、前記圧力管が、ピストンによって分離された圧縮容積および拡張容積を含み、前記圧力管および前記第2の管が、拡張容積端部と圧縮容積端部とを有し、前記圧力管および拡張管が、介在容積を形成する、アクチュエータと、
前記圧力管および前記第2の管の前記圧縮容積端部に位置する、ベース弁アセンブリであって、
前記圧縮容積と前記介在容積の少なくとも一部分とを流体的に接続する、内部圧縮流れ導管と拡張流れ導管とを含むベース弁本体と、
前記介在容積から前記拡張流れ導管を介して前記圧縮容積への流れを制御し、前記拡張流れ導管内の反対方向への流れを防止する拡張シールシムを含む、前記ベース弁本体に確実に取り付けられた拡張シムスタックと、
前記圧縮容積から前記圧縮流れ導管を介して前記介在容積への流れを制御し、前記圧縮流れ導管内の反対方向への流れを防止する圧縮シールシムを含む、前記ベース弁本体に確実に取り付けられた圧縮シムスタックと、を含むベース弁アセンブリと、を備える、
能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項30】
前記ベース弁アセンブリが、前記圧縮容積と前記介在容積との間に漏れ経路を含む、
請求項29に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項31】
圧縮中の前記ベース弁を通る流量の関数としての圧力降下が、拡張中の前記ベース弁を通る流量の関数としての圧力降下に事実上等しい、
請求項29に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項32】
能動サスペンションアクチュエータの双方向ベース弁であって、
第1の内部流路のセットおよび第2の内部流路のセットを有するベース弁本体と、
前記能動サスペンションアクチュエータ内の圧縮容積から前記能動サスペンションアクチュエータ内の第2の容積への前記第1の流路のセットを通る流れを調整し、前記第2の容積からの流れが前記第1の流路のセットに進入することを遮断するように構成されている第1のシムスタックと、
前記第2の容積から前記圧縮容積に流れ、前記圧縮容積からの流れが前記第2の流路のセットに進入することを遮断する、前記第2の流路のセットを通る流れを調整するように構成されている第2のシムスタックと、を備える、
双方向ベース弁。
【請求項33】
前記圧縮容積と前記第1のシムスタックおよび前記第2のシムスタックをバイパスする前記第2の容積とを流体的に接続する少なくとも1つのブリード流れ通路をさらに備える、
請求項4に記載の双方向ベース弁。
【請求項34】
前記第1のシムスタックが、前記ベース弁本体の第1の表面に対してシールする少なくとも1つのシールシムを含み、前記第1のセット内部流路の入口ポートが、前記第1のシール表面から軸方向に陥凹されている、
請求項5に記載の双方向ベース弁。
【請求項35】
前記第2のシムスタックが、前記ベース弁本体の第2の表面に対してシールする少なくとも1つのシールシムを含み、前記第2のセット内部流路の入口ポートが、前記第2のシール表面から軸方向に陥凹されている、
請求項5に記載の双方向ベース弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月18日に出願された米国特許出願第62/863,202号、2019年5月2日に出願された米国特許出願第62/842,088号、2019年3月21日に出願された米国特許出願第62/821,834号、および2019年3月11日に出願された米国特許出願第62/816,666号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、それらの開示は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示された実施形態は、油圧アクチュエータを含む車両用能動サスペンションシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
動力を貯蔵、変換、および/または伝達するために流体を利用する、車両用油圧能動サスペンションシステムは、概して、1つ以上の油圧アクチュエータを含み得る。能動アクチュエータシステム内の油圧流体の流れは、車両のばね上質量とばね下質量との間に適用される力を制御するために、いくつかの動作条件において、ポンプとして、および/または、他の動作条件において、油圧モータとして機能する油圧機械によって制御され得る。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態において、能動サスペンションアクチュエータシステムは、圧力管を有するアクチュエータを含み得る。圧力管は、内部容積の少なくとも一部分を圧縮容積および拡張容積に分割するピストンを摺動可能に受容する内部容積を有し得る。少なくとも1つの動作モードにおいて、圧縮容積内の圧力は、第1の周波数を含み得る多数の周波数で振動し得る。システムはまた、第1のポートおよび第2のポートを有する油圧機械であって、第1のポートが、第2のポートを含まない第1の流れ経路によって、圧縮容積に接続されており、第2のポートが、第1のポートを含まない第2の流れ経路によって、拡張容積に接続されている、油圧機械を含み得る。油圧機械は、油圧ポンプまたは油圧モータであり得る。システムはまた、少なくとも第1の動作モードにおいて、油圧ポンプとして、かつ第2の動作モードにおいて、油圧モータとして、油圧機械を動作させるコントローラを含み得る。本明細書で使用される場合、「圧縮容積」という用語は、アクチュエータが圧縮されるときにピストンによって圧縮されるアクチュエータの内部容積の一部分を指し、「拡張容積」という用語は、アクチュエータがリバウンド中に拡張されるときにピストンによって圧縮されるアクチュエータの内部容積の一部分を指す。
【0005】
システムはまた、第1の流れ経路の少なくとも一部分における流れ振動を減衰させる方法で流れに抵抗する全インピーダンスを有する、減衰流れ制御デバイスを含み得る。流れ制御デバイスは、流れ制御デバイスにわたる圧力降下が第1の事前設定された閾値圧力降下を超えるときに、そのインピーダンス(すなわち、その減衰効果)が減少するように構成され得る。
【0006】
システムはまた、圧縮容積と拡張容積との間に位置する第1のバイパス流れ制御デバイスを含み得る。第1のバイパス流れ制御デバイスは、圧力オフセットを有する第1の圧力平衡化されたブローオフ弁(PBOV)を含み得る。圧力オフセットは、圧縮チャンバ内の圧力またはピストンにわたる圧力差が事前選択された値を超えない限り、開くことからPBOVを防止し得る。圧力閾値(すなわち、圧力差閾値または絶対圧力閾値のいずれか)を超えると、PBOVは、特定周波数を超える圧力変化に応答するか、事実上応答するが、そのような周波数を下回る圧力変化には応答しない。PBOVはまた、流体を拡張容積から圧縮容積に排出するために、同様の方法で動作し得る。いくつかの実施形態において、第2のPBOVは、圧縮容積から拡張容積に排出するように、第1のPBOVと併せて使用され得、一方、第2のPBOVは、反対方向に排出する。
【0007】
いくつかの実施形態において、圧力オフセットは、絶対オフセットまたは相対オフセットであり得る。第1の流れ経路の少なくとも一部分の減衰係数は、10より大きく、かつ400ニュートンメートル/秒未満であり得る。この範囲外の減衰係数はまた、本開示がこの範囲に限定されていないので、使用され得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、減衰流れ制御デバイスの減衰係数は、流れが制御容積から離れているときと比較して、流れが圧縮容積に向かっているときで異なり得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1のバイパス流れ制御デバイスの排出は、10Hz~100Hzの周波数を遮断するか、または事実上遮断する油圧フィルタを含み得る。いくつかの実施形態において、油圧フィルタは、周波数を遮断するか、または事実上遮断し得、開示は、この周波数範囲に限定されていないので、他の範囲において使用され得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、1つ以上のバイパス流れ制御デバイスは、ピストンと統合され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のPBOVは、圧力管の外部にあり得る他の流れ経路に位置し得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、車両の能動サスペンションアクチュエータシステムは、第1の入口ポートを含む第1の面(または側面)、および第1の出口ポートを含む第2の面(または側面)を有するピストンを含み得る。第1の入口ポートは、ピストンの内部の第1の流体流れ通路によって第1の出口ポートに流体的に接続され得る。アクチュエータはまた、ピストンによって第1のチャンバ(例えば、圧縮容積または拡張容積)および第2のチャンバ(例えば、拡張容積または圧縮容積)に分割された内部容積(例えば、円筒形容積)を有する圧力管を含み得る。ピストンは、内部容積に摺動可能に受容され得、第1の入口ポートは、第1のチャンバに流体的に接続され得る。第1の端部において車両(例えば、車体)のばね上質量に、および第2の端部においてピストンに取り付けられたピストンロッドを含め得る。システムはまた、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の圧力差、ならびに/または以下の特性、(i)第1のチャンバ内の圧力上昇率、(ii)第1チャンバと第2のチャンバとの間の圧力差の変化率、(iii)第2のチャンバ内の圧力降下率、および(iv)第1のチャンバ内の圧力変動の周波数のうちの1つ以上、に少なくとも部分的に基づいて、第1の出口ポートを第2のチャンバに選択的に、流体的に接続する、(ピストンの圧縮容積側またはピストンの拡張容積側に位置する)ピストンに取り付けられた第1の流れ制御デバイスを含み得る。本明細書で使用される場合、アクチュエータにおける「圧縮容積」という用語は、アクチュエータの圧縮ストローク中にピストンによって圧縮されるアクチュエータにおける容積を指し、「拡張容積」という用語は、アクチュエータの拡張ストローク中にピストンによって圧縮されるアクチュエータにおける容積を指す。
【0012】
いくつかの実施形態において、車両の能動サスペンションアクチュエータシステムはまた、ピストンに取り付けられた第2の流れ制御デバイスを含み得る。追加的に、ピストンの第1の面はまた、第2の出口ポートを含み得、かつ第2の面はまた、第2の入口ポートを含み得、第2の入口ポートが、ピストン内部の第2の流体流れ通路によって第2の出口ポートに流体的に接続され得る。追加的に、第2の入口ポートは、第2のチャンバに流体的に接続され得、第2の流れ制御デバイスは、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の圧力差、ならびに/または以下の特性、(i)第2のチャンバ内の圧力上昇率、(ii)第1チャンバと第2のチャンバとの間の圧力差の変化率、(iii)第1のチャンバ内の圧力降下率、および(iv)第1のチャンバ内の圧力変動の周波数、および(iv)第2のチャンバ内の圧力変動の周波数のうちの1つ以上、に少なくとも部分的に基づいて、第2の出口ポートを第1のチャンバに選択的に、流体的に接続し得る。本明細書で使用される場合、「選択的に接続する」という用語は、いくつかの動作条件下で流体の通過を可能にし、他の動作条件下で流体の流れを遮断または事実上遮断するために、流れ制御デバイスを使用することを指す。
【0013】
能動サスペンションアクチュエータシステムのいくつかの実施形態において、流れ制御デバイスは、圧力平衡化されたブローオフ弁であり得る。いくつかの実施形態において、圧力平衡化されたブローオフデバイスは、散逸要素(例えば、オリフィス、層流れ要素、粘性減衰要素)および迎合性要素(例えば、ガス充填チャンバまたはばね荷重ピストン)を含む油圧ローパスフィルタを含み得る。いくつかの実施形態において。ローパスフィルタは、弁内の第2の容積に対して弁内の1つの容積における上昇圧力を遅らせるために、使用され得る。圧力平衡化されたブローオフ弁は、受動弁(例えば、電気によってエネルギー供給されていない)であり得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、能動サスペンションアクチュエータシステムは、ピストンの出口ポートからの流体の流れを選択的に制御する、少なくとも2つのばね要素(例えば、コイルばね)によって閉位置にバイアスされた、シール要素(例えば、シールワッシャ、シムスタック)を含み得る。追加的に、圧力平衡化されたブローオフ弁における少なくとも2つのバイアスばねのうちの1つは、ピストンロッドに対して固定されているばねパーチとシール要素との間に動作可能に介設され得る。少なくとも2つのバイアスばねのうちの第2は、相対的ピストンロッドを動かすばねパーチとシール要素との間に動作可能に介設され得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、車両の能動サスペンションアクチュエータシステムを動作させる方法は、ホイールアセンブリと車体との間に動作可能に介設された能動サスペンションアクチュエータを有して路面上で車両を動作させることを含み得る。アクチュエータは、油圧機械(例えば、油圧モータおよび/もしくはポンプとして動作する油圧ポンプ、またはポンプおよび/もしくは油圧モータとして動作する油圧モータ)の第1および第2のポートにそれぞれ流体的に接続されている圧縮容積および拡張容積を含み得る。動作中、ホイールアセンブリに関連付けられたホイールは、道路における不連続部(例えば、道路のくぼみ(pothole)、バンプ、スピードバンプ、亀裂、伸縮継手、縁石、破片)にぶつかる、または遭遇し得る。不連続部にぶつかる、または遭遇することは、圧力における増加、および/または圧縮容積と拡張容積との間の圧力差における、事前選択された閾値よりも大きい第1の値までの増加を結果として生じ得る。この増加は、第1の増加率であり得る。応答において、圧力平衡化されたブローオフ弁は、圧縮容積と拡張容積との間で流れを確立することによって、増加した圧力または圧力差の少なくとも一部分を排出するように、開き得る。特定の動作条件下で、油圧機械は、圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことなく、閾値よりも大きいが、第1の率よりも低い率の値まで、圧縮容積内の圧力または圧縮容積と拡張容積との間の圧力差を増加させるために、使用され得る。特定の動作条件下で、油圧機械は、圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことなく、閾値よりも小さいが、第1の率よりも高い率の値まで、圧縮容積内の圧力または圧縮容積と拡張容積との間の圧力差を増加させるために、使用され得る。いくつかの実施形態において、圧力平衡化されたブローオフ弁は、受動弁であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、車両の能動サスペンションアクチュエータシステムを動作させる方法は、ホイールアセンブリと車体との間に動作可能に介設された能動サスペンションアクチュエータを有して路面上で車両を動作させることを含み得る。アクチュエータは、内部容積に摺動可能に受容されているピストンによって、第1のチャンバおよび第2のチャンバに分離されている内部円筒形容積を含み得、第1のチャンバおよび第2のチャンバが、それぞれ油圧機械の第1および第2のポートに流体的に接続されている。動作中、ホイールアセンブリに関連付けられたホイールは、道路における不連続部(例えば、道路のくぼみ(pothole)、バンプ、スピードバンプ、亀裂、伸縮継手、縁石、破片)にぶつかる、または遭遇し得る。不連続部にぶつかる、または遭遇することは、第1のチャンバおよび/または第2のチャンバに対する第1のチャンバ内の圧力において、第1の増加率で事前選択された閾値よりも大きい第1の値までの増加を結果として生じ得る。この方法は、流体が第1のチャンバから第2のチャンバに流れることを可能にすることによって、増加された圧力または差圧の少なくとも一部分を排出するために圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことをさらに含み得る。この方法は、圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことなく、第1のチャンバ内の圧力またはチャンバ間の圧力差を、第1の率よりも低い率で閾値よりも大きい値まで増加させるために、油圧機械を動作させることをさらに含み得る。この方法は、圧力平衡化されたブローオフ弁を開くことなく、第1のチャンバ内の圧力および/またはチャンバ間の圧力差を、第1の率よりも大きい率で閾値未満の値まで増加させるために、油圧機械を動作させることをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、圧力平衡化されたブローオフ弁は、受動弁であり得る。いくつかの実施形態において、第1のチャンバは、圧縮容積であり得、第2のチャンバは、拡張容積であり得る。
【0017】
一実施形態において、能動サスペンションアクチュエータは、圧力管と圧力管を少なくとも部分的に取り囲んでいる第2の管とを含むアクチュエータであって、圧力管が、ピストンによって分離された圧縮容積および拡張容積を含み、圧力管および第2の管が、拡張容積端部と圧縮容積端部とを有し、圧力管および拡張管が、介在容積を形成する、アクチュエータと、圧力管および第2の管の圧縮容積端部に位置する、ベース弁アセンブリであって、圧縮容積と介在容積の少なくとも一部分とを流体的に接続する、内部圧縮流れ導管と拡張流れ導管とを含むベース弁本体と、介在容積から拡張流れ導管を介して圧縮容積への流れを制御し、拡張流れ導管内の反対方向への流れを防止する拡張シールシムを含む、弁本体に確実に取り付けられた拡張シムスタックと、圧縮容積から圧縮流れ導管を介して介在容積への流れを制御し、圧縮流れ導管内の反対方向への流れを防止する圧縮シールシムを含む、弁本体に確実に取り付けられた圧縮シムスタックと、を含むベース弁アセンブリと、を含む。
【0018】
別の実施形態において、能動サスペンションアクチュエータの双方向ベース弁は、第1の内部流路のセットおよび第2の内部流路のセットを有するベース弁本体と、アクチュエータ内の圧縮容積からアクチュエータ内の第2の容積への第1の流路のセットを通る流れを調整し、第2の容積からの流れが第1の流路のセットに入ることを遮断するように構成されている第1のシムスタックと、第2の容積から圧縮容積に流れ、圧縮容積からの流れが第2の流路のセットに進入することを遮断する、第2の流路のセットを通る流れを調整するように構成されている第2のシムスタックと、を含む。
【0019】
本開示はこの点に限定されないので、前述の概念、および以下で考察されるさらなる概念は、任意の好適な組み合わせで構成され得ることを理解されたい。さらに、本開示の他の利点および新規な特徴は、添付図面と併せて考慮すると、様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本明細書および参照により組み込まれる文書が矛盾するおよび/または一貫性がない開示を含む場合、本明細書が支配するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付の図面は、原寸に比例して描くことを意図していない。図面においては、様々な図に示されている同一またはほぼ同一な各構成要素は、同様の数字によって表され得る。わかりやすくするために、すべての構成要素がすべての図面でラベル付けされているわけではない場合がある。図面は以下のとおりである:
図1】多数の流れ制御デバイスを有する車両用能動サスペンションアクチュエータシステムの実施形態を図示する。
図2】多数のガス加圧式アキュムレータ、および圧縮容積に流体的に接続された流れ通路を有する車両用能動サスペンションアクチュエータシステムの実施形態を図示する。
図3図2の流れ通路内の2つの位置間の圧力降下と流速との関係を示す。
図4】圧縮容積に流体的に接続された流れ通路内に位置する流れ制御デバイスの実施形態を有する、図2の車両用能動サスペンションアクチュエータシステムの実施形態を図示する。
図5図4の流れ通路内の2つの位置間の圧力降下と流速との関係を示す。
図6】圧縮容積に流体的に接続された流れ通路内に位置する流れ制御デバイスの別の実施形態を含む、車両用能動サスペンションアクチュエータシステムの実施形態を図示する。
図7図6の流れ通路内の2点間の圧力降下と流速との関係を示す。
図8】圧縮容積に流体的に接続された流れ通路内に位置する流れ制御デバイスの別の実施形態を含む、車両用能動サスペンションアクチュエータシステムの実施形態を図示する。
図9図8の流れ通路内の2つの位置間の圧力降下と流速との関係を示す。
図10】拡張容積に流体的に接続された図2の流れ通路内に流体的に介設された流れ制御デバイスの実施形態を含む、車両用能動サスペンションアクチュエータシステムの実施形態を図示する。
図11】事前設定された絶対圧力オフセットを有する圧力平衡化されたブローオフ弁の実施形態を図示する。
図12】圧力平衡化されたブローオフ弁の入口が露出されている圧力振動の周波数の関数として、図11に図示された圧力平衡化されたブローオフ弁の開放度との関係を示すグラフ。
図13】事前設定された相対圧力オフセットを有する圧力平衡化されたブローオフ弁の別の実施形態を図示する。
図14】多数の流れ制御デバイスを有する車両用能動サスペンションアクチュエータシステムのさらなる実施形態を図示する。
図15】多数の流れ制御デバイスを有する車両用能動サスペンションアクチュエータシステムの実施形態を図示する。
図16】ピストンに組み込まれた二重圧力平衡化されたブローオフ弁を有する能動サスペンションアクチュエータのピストンの断面図を図示する。
図17】ピストンに組み込まれた単一圧力平衡化されたブローオフ弁を有する能動サスペンションアクチュエータのピストンの断面図を図示する。
【0021】
図18図1のピストン、ピストン/ロッドインターフェース、および二重圧力平衡化されたブローオフ弁をより詳細に図示する。
図19】シールワッシャおよびそれに作用する長手方向の力の断面立面図を図示する。
図20図15に示されたピストンのピストン面を図示する。
図21図15に示されたピストンの第2のピストン面を図示する。
【0022】
図22図18のピストンアセンブリの斜視分解断面図。
図23】ばね荷重シールワッシャがその着座位置から変位された図18の装置を図示する。
図24】浮動ばねパーチがその静止位置から変位された図18の装置を図示する。
図25】各々が拡張可能圧力チャンバを含む2つのシムスタックPBOVを有するアクチュエータピストンの実施形態の斜視断面図を示す。
図26図25における実施形態の平面状断面図を示す。
図27】圧縮側PBOV内に拡大圧力チャンバを有する図25における実施形態の平面状断面図を示す。
図28】可変ブリードを有する二重ポペットPBOVピストンアセンブリの実施形態の斜視断面図を図示する。
図29図28における実施形態の平面状断面図を図示する。
図30】遮断ブリード通路を有する図29の実施形態の平面断面図を図示する。
図31】双子管アクチュエータの圧縮端部において組み込まれたベース弁を有するアクチュエータの実施形態を図示する。
図32】拡張容積に出入りする流れを調整するように構成された流れ制御デバイスを有するアクチュエータの実施形態を図示する。
図33】ベース弁にわたる圧力降下およびベース弁を通過する流量の関係のグラフを示す。
図34】ブリード穴を含む双方向ベース弁の本体の実施形態を図示する等角図を示す。
図35図34における実施形態の等角断面図を図示する。
図36】閉位置における各シムスタックを有するベース弁の第1の断面を図示する。
図38】圧縮シムスタックが開位置にある図36の第1の断面を図示する。
図38】拡張シムスタックが開位置にあるベース弁の第2の断面を図示する。
図39】双方向ベース弁の別の実施形態の第1の断面を図示する。
図40】拡張シムスタックが開位置にある図39の実施形態を図示する。
図41図39の実施形態の第2の断面図を図示する。
図42】拡張シムスタックが開位置にある図39のベース弁の第2の断面を図示する。
図43】双方向ベース弁のさらに別の実施形態の等角図の断面を示す。
図44】閉位置における各シムスタックを有する、ブリード穴を含む図43の大容量ベース弁の第1の断面を図示する。
図45】閉位置における各シムスタックを有する図43のベース弁の第2の断面を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、車両の能動サスペンションアクチュエータシステム100を図示する。システムのアクチュエータ102は、車両のばね下質量104(例えば、ホイールアセンブリ)と車両のばね上質量106(例えば、車体)との間に動作可能に介設され得る。アクチュエータ102は、内部円筒形容積内のピストン4を摺動可能に受容する圧力管108を含む。図1の実施形態などの、いくつかの実施形態において、圧力管108はまた、アクチュエータ102のハウジングとして役立ち得る。他の実施形態において、ハウジングは、圧力管108を少なくとも部分的に取り囲む外管を含み得る。いくつかの実施形態において、圧力管108とハウジングとの間の環状流体充填容積は、流れ通路および/またはガス充填アキュムレータとして役立ち得る。2015年4月8日に出願された「INTEGRATED ENERGY GENERATING DAMPER」と題された米国特許第9,689,382号は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれ、例えば、図6および7ならびに関連する記載において、統合された多数管アクチュエータを開示する。
【0024】
ピストン4は、アクチュエータ102の圧力管108の内部円筒形容積の少なくとも一部分を、圧縮容積7および拡張容積8に分割する。図1の実施形態において、ピストン4は、介在ピストンロッド4aおよび上部マウント110によって、ばね上質量106に取り付けられている。いくつかの実施形態において、上部マウント110は、事実上ばね要素であり得、図1にばね要素として図示されている。いくつかの実施形態において、上部マウント110は、ばね要素と並列または直列の減衰要素を含み得る。
【0025】
図1の実施形態において、圧力管108は、幻影で示されるタイヤ104aを含む、ばね下質量104(例えば、ホイールアセンブリ)に直接的または間接的に固着される。路面112に沿って走行し得るタイヤ104aは、事実上ばねとして実行し、ばね要素104bとして表されている。代替的に、いくつかの実施形態において、アクチュエータ102は、ピストンロッド4aがばね下質量104に取り付けられている間、圧力管108が直接または間接的に上部マウント110に固着されるように、反転され得、本開示は、そのように制限されないことに留意されたい。
【0026】
図1に図示された実施形態は、第1のポート114aおよび第2のポート114bを含む油圧機械114を含む。流れ通路116は、ポート114aを圧縮容積7に流体的に接続し、流れ通路118は、ポート114bを拡張容積8に流体的に接続する。アクチュエータシステム100は、例えば、分岐流れ通路によって流れ通路116に流体的に接続されているアキュムレータ120、および/または別の分岐流れ通路によって流れ通路118に流体的に接続されているアキュムレータ122などの、1つ以上のアキュムレータを含み得る。アキュムレータは、流体貯蔵要素および/または迎合性もしくはばね要素として機能し得る。そのようなアキュムレータは、ガスばねおよび/または機械的ばね、例えば、コイルばねを含み得る。
【0027】
図1における実施形態において、アクチュエータシステム100によってz方向にばね上質量106に適用される力は、圧縮容積7内の圧力にピストンの断面積(すなわち、ピストンロッドの長手方向軸を横切る断面)を乗算したものから、拡張容積内の圧力に、ピストン4の断面積とピストンロッド4aの断面積との差を乗算したものを引いたものによって決定される。
【0028】
いくつかの実施形態において、アクチュエータシステム100によってばね上質量に適用される力は、圧縮容積7および/または拡張容積8内の圧力を制御することによって調整され得る。これらの容積内の圧力は、ピストン4が圧力管108に対して移動する原因となり得る、道路で誘発された乱れによって影響を受け得る。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、圧縮容積7および/または拡張容積8内の圧力は、それらの容積に出入りする流体の流れ、および/または油圧デバイス114によって生成される圧力差によって影響を受け得る。いくつかの実施形態において、圧縮容積7に出入りする流れは、例えば、流れ通路116内に動作可能に位置付けられた流れ制御デバイス16、ピストン4内の流れ通路5bに動作可能に位置付けられた流れ制御デバイス4b、および/または流れ通路23a内に動作可能に位置付けられた流れ制御デバイス23によって制御され得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、追加的または代替的に、拡張容積8に出入りする流れは、流れ通路118に動作可能に位置付けられた流れ制御デバイス17、ピストン4内の流れ通路5cに動作可能に位置付けられた流れ制御デバイス4c、および/または流れ通路24a内に動作可能に位置付けられた流れ制御デバイス24によって制御され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のそのような流れ制御デバイスは省略され得、追加の流れ制御デバイスは、様々な流路に組み込まれ得、かつ/または多数の流れ制御デバイスは、単一流れ制御デバイスに統合され得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、第1の流れ制御デバイスのセット14および15、および/または第2のバイパス流れ制御デバイスのセット23および24は、油圧デバイス114を通過することなく、圧縮容積7と拡張容積8との間である量の油圧流体を交換するように使用され得る。いくつかの実施形態は、第1のバイパス流れ制御デバイスのセットのみを含み得る。いくつかの実施形態は、第2のバイパス流れ制御デバイスのセットのみを含み得る。いくつかの実施形態は、バイパス流れ制御デバイスの両方のセットを含み得る。いくつかの実施形態は、第1のセットからの1つのバイパス流れ制御デバイスのみ、および/または第2のセットからの1つのバイパスを含み得る。いくつかの実施形態において、図1における4b、4c、23、24、16、および17などの1つ以上の流れ制御デバイスは、双方向性または一方向性であり得、本開示は、この点に限定されていないことに留意されたい。
【0031】
本開示は、図1に示されたような流れ制御デバイスの特定の数、位置付け、または組み合わせに限定されていない。流れ制御デバイスの各々は、減衰要素を通過する流体の運動エネルギーおよび/または位置エネルギーの少なくとも一部分を消散させる1つ以上の減衰要素を含み得る。減衰要素は、限定されないが、流れを激しく減衰するように構成されている、オリフィス、毛細管、および/または他の流れ要素を含み得る。代替的または追加的に、流れ制御デバイスの各々は、限定されないが、例えば、逆止弁、ブローオフ弁、ポペット弁、圧力平衡化されたブローオフ弁、シムスタック、電気作動弁、および圧力作動弁などの1つ以上の受動弁または能動弁を含み得る。図1のアクチュエータシステム100のいくつかの実施形態において、アクチュエータ102は、例えば、圧力管108が上部マウント110によってばね上質量106に取り付けられ得、ピストンロッド4aがばね下質量11に取り付けられ得るように、反転され得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、能動サスペンションアクチュエータシステム100の油圧機械114は、ばね下質量104に対して、ばね上質量106上に能動力、すなわち、運動の方向の力を、またはばね下質量04に対して、ばね上質量106の、運動に対抗する方向の受動力もしくは抵抗力を適用するためのポンプとして動作され得る。代替的または追加的に、油圧機械114は、受動力または抵抗力、すなわち、ばね下質量とばね上質量との間の相対運動の方向と反対の力を生成するために、油圧モータとして動作され得る。油圧機械114は、油圧ポンプおよび/または油圧モータとして動作されている油圧ポンプであり得る。代替的に、油圧機械114は、油圧モータおよび/または油圧ポンプとして動作されている油圧モータであり得る。
【0033】
図1のいくつかの実施形態において、流れ制御デバイス16および/または流れ制御デバイス17は、所与の方向でデバイスを通る流体の流量が第1の流量[例えば、2~10L/分または6~7L/分]であるとき、第1の流体減衰のレベル[例えば、0.8~1.2バール/(L/分)または1.0~1.1バール/(L/分)]であるが、流れ制御デバイスを通る流量がより高い第2の流量[例えば、10~200L/分または7~100L/分]であるとき、第2の減衰のより低いレベル[例えば、0.05~0.1バール/(L/分)]を提供するように構成され得る。追加的に、流れ制御デバイス16および/または流れ制御デバイス17は、拡張中にピストンによって拡張容積8内で変位された、および/または圧縮中に圧縮容積7または拡張容積8のいずれかにおける所定の最大圧力または圧力上昇率をそれぞれ超えずに圧縮容積7内で変位された流れ容積の実質的にすべてまたはすべて[例えば、90%、95%、98%または100%を超える]を許容するのに十分に大きい有効流れ面積を含むように構成され得る。追加的に、流れ制御デバイス16および/または17は、最大圧力降下[例えば、3~5バール]を超えることなく、動作中にポンプ流れを許容するために十分に大きい有効流れ面積を含むように構成され得る。
【0034】
追加的に、いくつかの実施形態において、第1の流れ制御デバイスのセット4bおよび4c、および/または第2のバイパス流れ制御デバイスのセット23および24は、油圧機械114を通過する(すなわち、バイパスする)ことなく、圧縮容積7と拡張容積8との間である量の油圧流体を交換するように使用され得る。
【0035】
これらの流れ制御デバイスは、2つのチャンバ間の差圧が急速に増加し[例えば、200~300バール/秒または300~500バール/秒]、差圧が閾値よりも大きいときに[例えば、2~10バールまたは2~30バール]、2つのチャンバ内の圧力を釣り合わせるように作用し得る。
【0036】
図2は、車両の油圧式能動サスペンションアクチュエータシステム200の実施形態を図示する。図2の能動サスペンションアクチュエータシステム200は、主に円筒形の内部容積を含み得る圧力管204、電気機械(発電機、電気モータ)(図示せず)に動作可能に結合され得る油圧機械114(例えば、油圧ポンプ、油圧モータ)、および多数の油圧流体流れ通路を有するアクチュエータ202を含む。圧力管204の内部容積の少なくとも一部分は、圧力管204に摺動可能に受容されるピストン206によって、圧縮容積7と拡張容積8とに分離され得る。ピストン206は、介在ピストンロッド4aによって、ばね上質量208に動作可能に結合されている。いくつかの実施形態において、ピストンロッド4aは、介在上部マウント210によって、ばね上質量208に確実に取り付けられ得る。
【0037】
図1のように、能動サスペンションアクチュエータシステム200の実施形態は、第1のポート114aおよび第2のポート114bを有する油圧機械114を含み得る。本明細書に記載された能動サスペンションアクチュエータシステムのいずれかは、油圧機械と圧縮容積との間、および/または油圧機械と拡張容積との間に動作可能に介設された1つ以上のアキュムレータを含み得る。例えば、能動サスペンションアクチュエータシステム200は、油圧機械114と圧縮容積216との間に動作可能に介設された1つの貫流アキュムレータ214、ならびに拡張容積222と油圧機械との間に動作可能に介設された分岐アキュムレータ218および分岐アキュムレータ220を含む。これらのアキュムレータのうちのいずれか1つ以上が、貫流アキュムレータである場合があるか、またはそれらのいずれもが、貫流アキュムレータではない場合があり、本開示は、そのように限定されていないことに留意されたい。
【0038】
図2に図示された実施形態は、アクチュエータ202の圧縮容積216をアキュムレータ214内の容積214aに流体的に接続する流れ通路224を含む。いくつかの実施形態において、アキュムレータ214は、例えば、窒素、空気、または他の適切なガスなどの圧縮可能材料を包含する容積214bを含み得る。いくつかの実施形態において、容積214b内のガスは、浮動ピストン214cによって容積214bから分離され得るか、またはシールされた圧縮可能ブラダ(図示せず)に包含され得、その場合、ピストン214cは、不要であり得る。他の実施形態において、容積214aは、可撓性ダイアフラム(図示せず)によって容積214bから分離され得る。容積20b中のガスまたは圧縮可能材料は、油圧回路に迎合性を追加するためのばね要素として作用し得る。いくつかの実施形態において、ガスまたは圧縮可能材料は、コイルばねなどの金属ばねによって置き換えられるか、または増強され得る。
【0039】
流れ通路226は、ポート114aを容積214aに流体的に接続し、流れ通路228および230は、組み合わせて、ポート114bを拡張容積222に流体的に接続する。1つ以上のアキュムレータは、流体貯蔵要素および/または迎合性もしくはばね要素として機能し得る。そのようなアキュムレータは、ガスばねおよび/または機械的ばね、例えば、コイルばねを含み得る。
【0040】
図3は、圧縮容積216との間で流体を搬送する流れ通路224内の位置232と234との間の圧力降下ΔPxyの間の関係を図示する。流れ通路が、通路内で予想される最大流量を搬送するように構成されたほとんど遮るもののない流れ通路、すなわち、低インピーダンスである場合、低流量での圧力降下は、十分な減衰を生成するためには、小さすぎることがあり得る。本明細書で使用される場合、能動サスペンションアクチュエータシステムの所与の流れ通路における「低流量」は、ピストンが圧縮および/または拡張において0.2メートル/秒未満の速度で移動しているときの所与の通路における流量を指す。本明細書で使用される場合、能動サスペンションアクチュエータシステムの所与の流れ通路における「高流量」は、ピストンが圧縮および/または拡張において0.6メートル/秒を超えるが1メートル/秒未満の速度で移動しているときに発生する流れを指す。本明細書で使用される場合、能動サスペンションアクチュエータシステムの所与の流れ通路における「超高流量」は、ピストンが1メートル/秒以上かつ2メートル/秒未満の速度で移動しているときに発生する流れを指す。例えば、図2の実施形態において、ピストンが圧縮または拡張において0.2メートル/秒未満で移動しているとき、通路224内の流量は、低い。
【0041】
図2に図示された実施形態において、例えば、道路の乱れまたは油圧機械によって圧縮容積216に誘発され得る圧力摂動は、位置232と234との間の流れ振動を誘発し得る。流れ振動の特性は、例えば、流れ通路224の形状、流れ通路224内の流体の密度、アキュムレータ214の迎合性、圧縮容積216内の流体の質量、圧力管204の質量、ばね下質量104の質量、およびタイヤ104aのばね定数のうちの1つ以上を含む様々なパラメータの関数であり得る。本発明者らは、いくつかの実施形態において、これらの構成要素と圧縮容積216内の圧力摂動との相互作用が、ばね上質量振動子の調和挙動に類似し得ることを認識している。そのような状況下で、流れ通路224および/または230など、流れ振動が存在し得る特定の通路で流体の減衰が制限されている(すなわち、減衰が不十分な流れ)場合、例えば、道路の乱れまたは油圧機械の動作によって生成される振動は、長期間続き得る。これは、長期間にわたって車体に伝達される振動の好ましくないレベルおよび/または持続時間を結果として生じ得る。
【0042】
本発明者らは、許容可能な圧力降下を伴う高流量で流れを搬送するように構成されている流れ通路が、低流量では適切に機能し得ないことを認識している。それらは、流れ振動を消散させるために、低流量では不十分な減衰を有し得る。図3において、曲線302の傾斜角300は、図2における実施形態の流れ通路224のインピーダンスを示している。通路224内の流体の流れは、低流量状態の間に振動が誘発されるときなど、特定の動作条件下で十分に減衰され得ない。そのような振動は、タイヤ104aと路面の欠陥および/または不連続部との間の相互作用によって誘発され得る。そのような振動は、ピストンロッド4aによって車体に伝達され得るアクチュエータ202に変動力を生成し得、車両の乗員によって感知され得る。
【0043】
上で考察されるように、本発明者らは、能動サスペンションアクチュエータシステムにおける1つ以上の流れ通路内の減衰レベルが、特定の振動を十分に速い速度で消散させるには不十分であり得ることを認識している。本発明者らは、いくつかの実施形態において、振動を消散させるために、特定の流れ通路に減衰要素を追加する必要があり得ることを認識している。そのような減衰要素は、例えば、オリフィスもしくは他の制限などの個別要素、またはパイプもしくは流れ通路の長さに沿って分布する分散要素であり得る。
【0044】
図4は、図2の実施形態と同様であるが、流れ通路224に追加の流れ制御デバイス402を含む能動サスペンションアクチュエータシステム400を図示する。図4の実施形態における流れ制御デバイス402は、例えば、粘性減衰を誘発するオリフィスまたは導管を含み得る減衰要素402aを含む。流れ制御デバイス402の減衰効果が、流れ通路224に存在する任意の固有減衰と累積的であることに留意されたい。図5は、通路224内の流速の関数としての、流れ通路224内の位置232と234との間の圧力降下ΔPxyの間の関係を図示する。曲線300の傾斜と比較して、曲線502の増加した傾斜角500は、減衰要素402aに起因するインピーダンスおよび減衰の増加を反映する。図4の実施形態において、流れ通路224内の流速が、少なくともいくつかの動作条件下で、ピストン206の速度に正比例するか、または事実上正比例し得ることに留意されたい。しかしながら、いくつかの実施形態における流れと圧力降下との間の関係は、非線形であり得、開示は、そのように限定されていない。
【0045】
しかしながら、本発明者らは、振動を事実上消散させるのに十分な減衰レベルが、高流量などの他の動作条件下で流れを過度に制限し得ることを認識している。これは、例えば、圧縮容積および/または拡張容積内の圧力における望ましくない増加を結果として生じ得る。さらに、そのような減衰は、能動動作中の非効率へ導き得る。例えば、能動サスペンションアクチュエータシステムが、ばね上質量に能動な力を適用するように動作しているとき、ピストンの一方の側から他方の側に(例えば、拡張チャンバから圧縮チャンバへ、またはその逆)流体を迅速にポンプ輸送することが望まれ得る。減衰要素402aによって提供される減衰力は、流体のこの急速な輸送に抵抗し得る。次に、追加の作業が、減衰要素によって提供される減衰力を克服するために必要とされ得、能動動作中の能動サスペンションアクチュエータシステムの効率の低下へ導いている。
【0046】
図6は、図2の実施形態と同様であるが、流れ通路224に流れ制御デバイス602を含む能動サスペンションアクチュエータシステム600を図示する。この流れ制御デバイスは、減衰要素402aに加えて、例えば、ばね式逆止弁であり得るバイアスブローオフ弁602bを含み得る。いくつかの実施形態において、位置232と234との間のΔPxyが閾値に達するとき、弁602bは、流れ通路224内の流れのいくらかが減衰要素402aをバイパスすることを可能にするために、開き得る。
【0047】
図7は、通路224内の流速の関数としての、流れ通路224内の位置232と234との間の圧力降下ΔPxyの間の関係を図示する。弁602bがグラフ700における点702で開く前に、ΔPxyと流速との間の関係は、図5に図示された関係(すなわち、傾斜500)と同じであり得る。しかし、圧縮時の圧力降下がΔPxyの閾値を超えたとき、弁602bは、開き、位置232と234との間のインピーダンスは、低下する。弁602bが開くと、流れ制御デバイス602の全体的なインピーダンスは、傾斜角706によって表される。図6における実施形態において、流れ制御デバイス602のインピーダンスは、減衰要素402aを含む分岐と、ブローオフ弁602bを含む分岐のインピーダンス(インピーダンス602aによって表される)との並列組み合わせとして決定され得る。いくつかの実施形態において、要素602aおよび602bは、単一デバイスに組み合わされ得ることに留意されたい。代替的に、いくつかの実施形態において、要素602a、602b、および402aは、単一デバイスに組み合わされ得る。図5および図7における減衰要素402aのインピーダンスが、流れの方向に依存していない、すなわち、線502の傾斜が、圧縮および拡張において同じであることが示されていることに留意されたい。いくつかの実施形態において、一方向(例えば、圧縮中)の流れのインピーダンスは、反対方向(例えば、拡張中)の流れよりも大きく、または小さくなり得る。
【0048】
図7に図示されたように、図6の実施形態において、位置232と234との間の圧力降下は、圧縮容積216への流れの増加とともに増大し続ける。いくつかの実施形態において、これは、例えば、能動動作中に望まれ得ない。例えば、油圧機械114が、流体を圧縮容積216に押し込む、例えば、アクチュエータ14を能動的に拡張するために、ポンプとして動作されるとき、圧縮容積216に進入するすべての流れは、減衰要素402aを通って流れ得る。これは、高流れ条件下で減衰要素402aのインピーダンスを克服するために過剰なエネルギーを消費する必要があるため、非効率的であり得る。
【0049】
図8は、流れ制御デバイス802を含む能動サスペンションアクチュエータシステム800を図示する。流れ制御デバイス802は、減衰要素402a、ブローオフ弁602bおよびインピーダンス602a、ならびにブローオフ弁802bおよびインピーダンス802aを含む。この配置は、両方向の減衰要素402aを通る減衰流を可能にし得るが、減衰要素402aを横切る圧力降下が所与の方向の事前設定された閾値レベルを超えるとき、流れの少なくともいくらかで、いずれかの方向の減衰要素402aをバイパスする能力も可能にする。いくつかの実施形態において、弁802bのクラッキング圧力は、弁602bのクラッキング圧力とは異なり得る。他の実施形態において、これらのクラッキング圧力は、等しいか、または事実上等しい可能性がある。同様に、いくつかの実施形態において、ブローオフ弁と流体的に直列であるインピーダンス要素602aおよび802は、同じ、または異なる流れ抵抗を提供し得る。
【0050】
図9は、アクチュエータの圧縮または拡張中のΔPxyと圧縮容積に出入りする流速との間の関係を図示するグラフ60を図示する。流れが圧縮容積を離れるとき(すなわち、アクチュエータが圧縮を受けているとき)、および流れが圧縮容積に進入しているとき(すなわち、アクチュエータが拡張にあるとき)の両方の動作条件が、示される。圧縮中、セグメント902の傾斜は、弁602bおよび802bの両方が閉じられたときの減衰要素402aのインピーダンスを表す。セグメント904の傾斜は、流体が圧縮容積から流出し、圧力差が閾値ΔPxybを超え、弁602bが開いたときの圧縮中の流れ制御デバイス802のインピーダンスを表す。
【0051】
セグメント906の傾斜は、いくつかの実施形態において、セグメント902の傾斜とは異なり得、流体が圧縮容積216に流れ込んでいるときの減衰要素402aのインピーダンスを表す。セグメント908の傾斜は、流体が圧縮容積216に流れ込み、圧力差が閾値ΔPxyを超え、弁802bが開いており、弁602bが閉じているときの流れ制御デバイス802の全体的なインピーダンスを表す。図9において、4つの動作モードにおけるΔPxyと速度との間の関係は、線形または事実上線形のセグメント902、904、906、および908によって表されている。いくつかの実施形態において、これらの関係の1つ以上は、非線形であり得、開示は、そのように限定されていない。
【0052】
いくつかの実施形態において、減衰要素402aが、例えば、流れ通路224の限定された部分を占めるオリフィスまたは他の制限などの単一構成要素であり得ることに留意されたい。特定の他の実施形態において、減衰要素402aは、流れ通路224の小さなセクションに局在化され、および/または流れ通路224の一部もしくは全長に沿って分布された、1つ以上の構成要素を含み得る。
【0053】
図10は、迎合性要素220と拡張容積222との間の流れ通路1004に動作可能に介設された流れ制御デバイス1002を含む能動サスペンションアクチュエータシステム1000を図示する。流れ制御デバイス1002は、流れ制御デバイス802に加えて、またはその代わりに組み込まれ得る。この流れ制御デバイスは、減衰要素1006、ブローオフ弁1008およびインピーダンス1010、ならびにブローオフ弁1012およびインピーダンス1014を含み得る。この配置は、両方向の減衰流を可能にするが、所与の方向の減衰要素1006を横切る圧力降下がその方向の事前設定された閾値レベルを超えるとき、いずれかの方向の減衰要素1006をバイパスする能力も可能にする。いくつかの実施形態において、弁1008のクラッキング圧力は、弁1012のクラッキング圧力とは異なり得る。他の実施形態において、これらのクラッキング圧力は、等しいか、または事実上等しい可能性がある。同様に、いくつかの実施形態において、インピーダンス要素1006および1014は、流れに対して同じ、または異なる抵抗を事実上提供し得る。
【0054】
流れ制御デバイス1002は、減衰要素1006で両方向に流れる流体を減衰させる。減衰速度は、拡張容積222を離れる流量が流れ制御デバイス1002を横切る圧力降下が事前設定された閾値を超える点まで増加するとき、低減され得る。そのような動作条件下で、弁1012は、開き、拡張容積222を出る流れの少なくとも一部が減衰要素1006をバイパスすることを可能にし、したがって、流れ制御デバイス1002の全体的なインピーダンスを低減する。いくつかの実施形態において、流れ制御デバイス1002はまた、第2のバイパス弁1008を含み得る。この配置は、両方向の減衰流を可能にするが、所与の方向の減衰要素1006を横切る圧力降下がその方向の事前設定された閾値レベルを超えるとき、いずれかの方向の減衰要素1006をバイパスする能力も可能にする。
【0055】
いくつかの実施形態において、1つ以上の減衰要素のインピーダンスが、両方の流れ方向で同じであり得るが、他の実施形態において、1つ以上の減衰要素のインピーダンスが、流れの方向に依存し得ることに留意されたい。いくつかの実施形態において、1つ以上の流れ制御デバイスは、システム内の油圧機械をバイパスする、これらの容積の間に流れ経路を提供することによって、圧縮容積および/または拡張容積の最大圧力を制限するために、使用され得る。
【0056】
図11は、流れ制御デバイス1104bおよび流れ制御デバイス1104cを含むピストンロッド4aに取り付けられたアクチュエータピストン1099の例示的な実施形態を図示する。流れ制御デバイス1104bは、入口ポート1080および出口ポート1081、ならびに圧力平衡化されたブローオフ弁(PBOV)1083を含み得る。PBOV1083の入口ポート1080は、拡張容積(図示せず)内の流体の圧力に露出され、出口ポート1081は、圧縮容積(図示せず)内の流体の圧力に露出される。
【0057】
PBOV1083は、シリンダ1086a内に摺動可能に受容されるピストン1085aによって適用される力と、シリンダ1086b内に摺動可能に受容されるピストン1085bによって適用される力との間の力差によって作動する二位置弁1114を含む。
【0058】
図11の実施形態において、ピストン1085bは、ピストン1085aよりも大きな直径を有する。容積1087bにおける圧力が容積1087aにおける圧力と等しいとき、二位置弁1084に結果として生じる力の不均衡は、弁1104を閉位置に維持する。いくつかの実施形態において、PBOV1083はまた、シリンダ1086a内のピストン1085aの走行を制限する走行止め1085cを含み得る。
【0059】
流れ通路1118aおよび1088bは、容積1087aを入口ポート1080に流体的に接続する。流れ通路1088cおよび1088bは、容積1087bを入口ポート1080に流体的に接続する。ガス容積1089における圧力は、閉位置でPBOV1083にバイアスする。ガス容積1109は、浮動ピストン1087cによって容積1087b内の液体から分離される。いくつかの実施形態において、追加的または代替的に、ガス容積1109によって提供されるバイアス力は、コイルばね(図示せず)または他のばね要素によって提供され得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、ピストン1085aおよび1085bは、等しい直径のものであり得る。流れ通路1088cはまた、容積1087bの迎合性と併せて、入口ポート1080での圧力における高周波数の変化が容積1087bに到達することから遮断または事実上遮断するローパス油圧フィルタを形成し得る油圧インピーダンス要素1090を含み得る。いくつかの実施形態において、油圧インピーダンス1090は、閾値を超える周波数を遮断するか、または事実上遮断するように微調整され得る。いくつかの実施形態において、閾値周波数は、12~15Hzの範囲にあるように事前選択され得る。代替的に、いくつかの実施形態において、閾値周波数は、10~20Hzの範囲にあるように事前選択され得る。閾値周波数は、本開示がこの点に限定されていないので、他の周波数範囲にあるように選択され得る。動作中、いくつかの実施形態において、拡張容積および/または入口ポート1080における圧力増加率が所定の閾値を超える場合、容積1087a内の圧力は、インピーダンス1090によって形成された油圧フィルタに起因する容積1087b内の圧力よりも急速に増加し得る。圧力上昇率が十分な期間続く場合、次いで、容積1089のガス圧および/または二位置弁のピストンサイズ差に起因するPBOV1083の力バイアスは、克服され得、二位置弁は、その開位置に移動し得る。結果として、流体の流れは、次いで、入口ポート1080と出口ポート1081との間に確立され得る。次いで、PBOV1083の動作は、例えば、油圧機械の動作から結果として生じ得るより緩やかな圧力増大速度をピストン1100に事実上適用されることを可能にしながら、拡張容積内の圧力の急激な増加(特定の増加率を超える)の影響を軽減するように作用する。油圧機械によるものであれ、道路の乱れによるものであれ、圧力増加の速度がゆっくりであるとき、容積1087aおよび1087b内の圧力は、互いに事実上追跡する。ピストン1085bがより大きいため、PBOV1083は、そのような動作条件下で閉位置に留まり得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、ピストン1100はまた、追加の流れ制御デバイス1104cを含み得る。流れ制御デバイス1104cは、入口ポート1100および出口ポート1101、ならびに圧力平衡化されたブローオフ弁(PBOV)1103を含み得る。入口ポート1100は、圧縮容積(図示せず)内の流体の圧力に露出され、出口ポート1101は、拡張容積(図示せず)内の流体の圧力に露出される。PBOV1103は、ピストン1105aによって適用される力と、ピストン1105bによって適用される力との間の力差によって作動する二位置弁1104を含み得る。PBOV1083の場合のように、1110を使用することによって形成されたローパスフィルタは、閾値を超える周波数を遮断するか、または事実上遮断するように微調整され得る。いくつかの実施形態において、閾値周波数は、12~15Hzの範囲にあるように事前選択され得る。代替的に、いくつかの実施形態において、閾値周波数は、10~20Hzの範囲にあるように事前選択され得る。閾値周波数は、本開示がそのように限定されていないので、他の周波数範囲にあるように選択され得る。動作中、いくつかの実施形態において、圧縮容積における圧力増加の変化率が所定の閾値を超える場合、容積1107a内の圧力は、容積1107b内の圧力よりも急速に増加し得る。圧力上昇率が十分な期間続く場合、次いで、PBOV1103の力バイアスは、克服され得、二位置弁は、完全にまたは部分的にその開位置に移動し、流れは、入口ポート1100と出口ポート1101との間に確立され得る。PBOV1103の動作は、例えば、油圧機械の動作から結果として生じ得る圧力のより緩やかな増大を可能にしながら、圧縮容積内の圧力の急激な増加(特定の増加率を超える)の影響を消散する。
【0062】
いくつかの実施形態において、流れ制御デバイス1104cはまた、例えば、ばねバイアス逆止弁1120などのバイアス弁を含み得る。逆止弁1120は、PBOV1103が部分的または完全に開位置にあるときでさえ、入口ポート1100と出口ポート1101との間の流れを事実上防止し得る。したがって、入口ポート1100と出口ポート1101との間の流れは、バイアス逆止弁1120および二位置弁1104の両方が少なくとも部分的に開いていない限り、防止されるか、または事実上防止され得る。
【0063】
したがって、流れ制御デバイス1104cは、圧縮容積の圧力が弁1120の圧力/力バイアスによって確立された事前設定された圧力閾値を超えるとき、圧縮容積の圧力の急激な上昇を防止または軽減するために使用され得る一方で、圧縮容積圧力がその閾値を下回っているとき、圧力においてゆっくりとした、および/または急激な増加を可能にする。流れ制御デバイス1104cは、例えば、圧力が閾値を超えたときの圧縮容積内の圧力の急激な上昇を防止または制限するように使用され得る一方で、圧力が閾値を下回っているとき、例えば、ホイール制御中に、10~15Hzの範囲の周波数で急激な圧力上昇を可能にする。したがって、圧縮容積内の圧力は、全圧が閾値を下回っているとき、PBOVをトリガーすることなく、所与の速度で増加し得る。代替的に、圧縮容積内の圧力が閾値圧力を超えるとき、弁1220は、開き得、その場合、PBOVは、急激な圧力増加があると、トリガーされる。
【0064】
図12は、図11における流れ制御デバイスの実施形態のPBOV1103の例を図示するグラフ1115を示しており、弁1120が開いているか、または事実上開いているときに動作させ得る。低周波数では、PBOV1103は、入口ポート1100での圧力に関係なく、ライン1115aによって示されるように、閉じたままであるか、または事実上閉じたままであり得る。PBOV1103は、例えば、1110を使用することによって形成された適切なローパス油圧フィルタを選択することによって微調整され得る。いくつかの実施形態において、PBOVは、入口ポート1100が十分な持続時間の間およそ12Hzの圧力振動に露出されているとき(ライン1115b)、開き得る。曲線1115aから1115bへの遷移(曲線1115c)は、例えば、油圧フィルタの設計パラメータ、ならびにピストン1105aおよび1105bのサイズに依存する。
【0065】
いくつかの実施形態において、逆止弁1120のバイアスは、それが、例えば、入口ポート1100での全圧によって活性化され得るように、絶対バイアスであり得る。例えば、弁1120上の力バイアスが、弁1120が50psiの全圧で開くように微調整される場合、次いで、弁1120は、その圧力にどのように到達したかに関係なく開くであろう。上記の例において、圧縮容積の圧力が40psiである場合、例えば、道路の乱れに起因する10psiの追加の圧力増加があると、弁1120は、開くであろう。しかしながら、圧縮チャンバ内の圧力が、例えば、20psiであるときに、同じ道路の乱れが発生していた場合、弁1120は、閉じたままであろう。図13における実施形態の流れ制御デバイス1104c内のPBOV1103は、ポート1100での圧力が弁1120のバイアスを克服するのに十分であるとき、ポート1100と1101との間の流れが起こり得るので、絶対バイアスPBOVである。
【0066】
図13は、相対バイアスPBOV1303を有する流れ制御デバイス1304dを有するピストン1300を図示する。図13の実施形態において、シリンダ1304aは、ピストン1304bがシリンダ1304a内の事前設定された点を超えて走行することを防止する走行止め1305を含む。シリンダ1311aに固定されたばね要素1310(例えば、コイルばね)は、二位置弁1312上にバイアス閉鎖力を適用する。二位置弁1312は、ピストン1311bおよび1304b上の正味の力がばね要素1310によって適用されるバイアス力を超えるまで、閉位置内に留まるように構成されている。図13の構成において、ピストン1304bおよび1311bは、事実上同じ直径を有し、したがって、PBOV1303は、入口ポート1310でゆっくりと変化する圧力に鈍感である。これは、容積1311cおよび1304cの両方の圧力が、ポート1320での圧力がゆっくりと変化するときに、入口ポート1320での圧力を追跡するためである。図13における二位置弁1312は、急速に変化する圧力上昇(例えば、10Hz、12Hz、または12Hzより大きいが、1000Hz未満)が、容積1311cの迎合性と併せてインピーダンス1330を使用することによって形成され、容積1311cに到達するのではなく、シリンダ1304cに到達するフィルタによって遮断または事実上遮断されたときに、トリガーされ得る。1304cにおいて増加した圧力は、ばね要素1310によって課されるバイアスを克服する力の不均衡を作成し得る。図13における実施形態の二位置弁1312は、同じ圧力がPBOV1303における両方のシリンダに到達するとき、事実上閉じたままである。PBOV1303は、ポート入口ポート1320と出口ポート1321との間の流れが、シリンダ1304cと1311cとの間の差圧に依存し、ポートでの絶対圧力に依存していないため、相対バイアスデバイスである。
【0067】
図6、8、10、11、および13に図示された流れ制御デバイスにおける弁は、受動弁または圧力作動弁として示されている。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、電気的に動作される弁は、1つ以上のそのようなバイパス流れ制御デバイスにおいて使用され得る。そのような電気的に制御される弁は、例えば、圧縮および/または拡張容積内の圧力を感知する圧力センサーなどの様々なセンサーからのデータに基づいて、動作され得る。代替的に、そのような電気的に制御される弁は、例えば、ばね下質量の加速度を測定するように構成されている加速度計からの情報に基づいて、動作され得る。そのような加速度は、ばね上質量とばね下質量との間の相対加速度であり得る。
【0068】
図1の実施形態において、流れ制御デバイス4b、4c、16、17、23、および24のうちの1つ以上は、適切なパラメータを選択することによって微調整され得る。図14は、図1の実施形態の特別な場合の例を図示する。能動サスペンションアクチュエータシステム1400は、圧力管1401aを有するアクチュエータ1401を含む。圧力管は、ピストン1410によって圧縮容積1401bおよび拡張容積1401cに分割されている内部容積を含む。ピストン1410は、流れ制御デバイス1410aおよび1410bを含む。図14に図示された例示的な実施形態において、流れ制御デバイス1411の全体的な減衰係数は、任意の所与の動作条件で結果として生じ得る振動を適切に減衰するように選択され得る。(圧縮容積からの)外向きに流れる減衰要素1402bの低流速減衰係数は、(圧縮容積1401bへの)内向きに流れる減衰要素1402aの減衰係数と同じであり得、または異なり得る。
【0069】
弁1402cおよび1402dのクラッキング圧力、ならびにそれぞれ1402eおよび1402fとして表されるそれらの関連するインピーダンスは、流れ制御デバイス1411を通過するより高い流速での圧力降下および減衰の量を調節するために選択され得る。逆止弁1402gおよび1402hは、低流量での圧縮容積へのおよび圧縮容積からの流れに対して使用される異なる減衰係数を可能にする。油圧ローパスフィルタおよびPBOVの力バイアス(すなわち、流れ制御デバイス1410aおよび1410b)は、PBOV1410aおよび1410bがどの周波数および圧力レベルで動作させることができるかを決定するために、選択され得る。
【0070】
そのようなパラメータを適切に選択することによって、例えば、図1図6図8、および図14を図示された実施形態の能動サスペンションアクチュエータシステムは、
(1)アクチュエータ(すなわち、圧縮容積および/または拡張容積)と第1の流れ制御デバイスを有する迎合性要素との間の流れを制御し、
(2)例えば、低速ホイールイベントによって、閾値の大きさ未満の流速の第1のレベルで誘発される、第1の流れ制御デバイスにおける流体の流速振動を減衰させ、
(3)閾値の大きさよりも大きい流速の減衰レベルを低減し、
(4)油圧機械をポンプとして使用することによって、アクチュエータのピストンにわたる圧力差を生成し、
(5)油圧機械をバイパスし、ピストンにわたる圧力差の増加率が事前設定された閾値よりも大きいときに動作される、第2の流れ制御デバイスを使用することによって、ピストンにわたる圧力差を少なくとも部分的に排出するように、動作し得る。
【0071】
図15は、車両の能動サスペンションアクチュエータシステム1501を図示する。システムのアクチュエータ1502は、車両のばね下質量1511(例えば、ホイールアセンブリ)と車両のばね上質量1509(例えば、車体)との間に動作可能に介設され得る。アクチュエータ1502は、内部円筒形容積内のピストン1504を摺動可能に受容する圧力管1503を含む。図15の実施形態などの、いくつかの実施形態において、圧力管1503はまた、アクチュエータ1502のハウジングとして役立ち得る。他の実施形態において、ハウジングは、圧力管を少なくとも部分的に取り囲む外管を含み得る。
【0072】
図15に図示された実施形態において、2つの圧力平衡化されたブローオフ弁(PBOV)を含むピストン1504は、アクチュエータ1502の圧力管1503の内部円筒形容積を、圧縮容積1507および拡張容積1508に分割する。図15の実施形態において、ピストン1504は、介在ピストンロッド1504aおよび上部マウント1510によって、ばね上質量1509に取り付けられている。いくつかの実施形態において、上部マウントは、事実上ばね要素であり得、図15にばね要素として図示されている。いくつかの実施形態において、上部マウントは、ばね要素と並列または直列の減衰要素を含み得る。
【0073】
図15の実施形態において、圧力管1503は、(破線で示された)タイヤ1512を含む、ばね下質量1511(例えば、ホイールアセンブリ)に取り付けられている。路面1513に沿って走行するタイヤ1512は、事実上ばねとして実行し、ばね要素1512aとして表されている。図15に図示された実施形態は、第1のポート1522aおよび第2のポート1522bを含む油圧機械1522を含む。流れ通路1521aは、ポート1522aを圧縮容積1507に流体的に接続し、流れ通路1521bは、ポート1522bを拡張容積1508に流体的に接続する。アクチュエータシステム1501は、例えば、分岐流れ通路によって流れ通路1521aに流体的に接続されているアキュムレータ1518a、および/または別の分岐流れ通路によって流れ通路1521bに流体的に接続されているアキュムレータ1518bなどの、1つ以上のアキュムレータを含み得る。貫流アキュムレータなどの他のタイプのアキュムレータが、本開示がそのように限定されていないので、使用され得る。アキュムレータは、流体(例えば、油圧流体または他の液体)貯蔵要素および/または迎合性もしくはばね要素として機能し得る。
【0074】
図15に図示された実施形態において、アクチュエータシステム1501によってばね上質量1509に適用される正味の力は、ピストンロッドの長手方向軸に平行な方向において、圧縮容積内の流体(例えば、油圧流体または他の液体)によってピストン1504に適用される正味の力から、拡張容積内の流体(例えば、油圧流体または他の液体)によってピストン1504に適用される正味の力を引いたものに等しい。
【0075】
いくつかの実施形態において、アクチュエータシステム1501によってばね上質量1509に適用される力は、圧縮容積1507および/または拡張容積1508内の圧力を制御することによって調整され得る。これらの容積内の圧力は、ピストン1504が圧力管1503に対して移動する原因となり得る、道路で誘発された乱れによって影響を受け得る。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、圧縮および/または拡張容積内の圧力は、それらの容積に出入りする流体の流れによって影響を受け得る。いくつかの実施形態において、圧縮容積1507に出入りする流れは、例えば、流れ通路1521aおよび/またはPBOV1505aまたは1505bに動作可能に位置付けられた流れ制御デバイス1516によって制御され得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、拡張容積1508に出入りする流れは、流れ通路1521bおよび/またはPBOV1505bに動作可能に位置付けられた流れ制御デバイス1517によって制御され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のそのような流れ制御デバイスは、省略され、追加の流れ制御デバイスは、様々な流路に組み込まれ得、および/または多数の流れ制御デバイスは、単一流れ制御デバイスに統合され得る。例えば、いくつかの実施形態において、単一PBOVのみが、ピストン1504に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のPBOV、1505aおよび1505bの動作は、圧力管の外部に位置するPBOVによって置き換えられ得る。例えば、そのようなPBOVは、例えば、流れ制御デバイス1523および1524に組み込まれるか、または置き換えられ得る。本開示は、図15に示されたような流れ制御デバイス(例えば、PBOV)の特定の数、位置付け、または組み合わせに限定されていない。
【0077】
いくつかの実施形態において、能動サスペンションアクチュエータシステム1501の油圧機械1522は、ばね下質量1511に対して、ばね上質量1509上に能動力、すなわち、運動の方向の力を、またはばね下質量1511に対して、ばね上質量1509の、運動に対抗する方向の受動力もしくは抵抗力を適用するためのポンプとして動作され得る。代替的または追加的に、油圧機械1522は、受動力または抵抗力、すなわち、ばね下質量に対して、ばね下質量上で、運動の方向と反対の力を生成するために、油圧モータとして動作され得る。油圧機械1522は、油圧ポンプおよび/または油圧モータとして動作されている油圧ポンプであり得る。代替的に、油圧機械1522は、油圧モータおよび/または油圧ポンプとして動作されている油圧モータであり得る。
【0078】
図16は、(破線で示された)流れ制御デバイス1514、および(破線で示された)流れ制御デバイス1515を含むピストンロッド1504aに取り付けられたアクチュエータピストン1526の実施形態を示す。流れ制御デバイス1514は、入口ポート1530および出口ポート1531、ならびに圧力平衡化されたブローオフ弁(PBOV)1533を含み得る。PBOV1533の入口ポート1530は、拡張容積(図示せず)内の流体の圧力に露出され、出口ポート1531は、圧縮容積(図示せず)内の流体の圧力に露出される。
【0079】
PBOV1533は、シリンダ1536a内に摺動可能に受容されるピストン1535aによって適用される力と、シリンダ1536b内に摺動可能に受容されるピストン1535bによって適用される力との間の力差によって作動する弁1534を含む。いくつかの実施形態において、弁1534は、図16に示されたように、連続的可変弁であり得る。代替的に、弁1534は、無流れおよび全流れ位置のみを有する二位置弁であり得る。
【0080】
図16の実施形態において、ピストン1535bは、ピストン1535aよりも大きい。容積1537bにおける圧力が容積1537aにおける圧力と等しいとき、二位置弁1534に結果として生じる力の不均衡は、弁を閉位置に維持する。いくつかの実施形態において、PBOV1533はまた、シリンダ1536a内のピストン1535aの走行を制限する走行止め1535eを含み得る。
【0081】
流れ通路1538aおよび1538bは、容積1537aを入口ポート1530に流体的に接続する。流れ通路1538cおよび1538bは、容積1537bを入口ポート1530に流体的に接続する。ガス容積1539における圧力は、閉位置でPBOV1533にバイアスする。ガス容積1539は、浮動ピストン1537cによって容積1537b内の液体から分離される。いくつかの実施形態において、追加的または代替的に、ガス容積によって提供されるバイアス力は、コイルばね(図示せず)または他のばね要素によって提供され得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、ピストン1535aおよび1535bは、等しい直径のものであり得る。流れ通路1538cはまた、入口ポート1530での圧力における高周波数の変化が容積1537bに到達することから遮断または事実上遮断し得る油圧ローパスフィルタ散逸要素1540を含み得る。入口静止要素1540とともにチャンバ1537bの迎合性は、入口1530で経験された圧力変化を参照してチャンバ1537b内の圧力変化の速度を制限する油圧ローパスフィルタを作成する。いくつかの実施形態において、迎合性要素1539および散逸要素1540から構成される油圧ローパスフィルタは、閾値を超える周波数での圧力変動を遮断するか、または事実上遮断するように微調整され得る。いくつかの実施形態において、閾値周波数は、例えば、12~15Hz、または5~20Hzの範囲にあるように事前選択され得る。閾値周波数は、本開示がこの点に限定されていないので、他の適切な周波数範囲にあるように選択され得る。いくつかの実施形態において、ローパスフィルタは、弁1534に十分な背圧を提供して、例えば、本体制御動作圧力速度に関連付けられた圧力変動速度に対して弁1534が開くことを防止するように微調整され得る。いくつかの実施形態において、これらの速度は、例えば、周波数および全力振幅(例えば、最大6000N)において5Hz未満であり得る。本発明者らは、いくつかの実施形態において、濾過された容積に露出されたピストン面積(例えば、1537b)が濾過されていない容積に露出されたピストン面積(例えば、1537a)よりも大きいとき、PBOVの性能および信頼できる動作が改善され得ることを認識した。いくつかの実施形態において、この比率は、1.05~1.3の範囲であり得る。他の面積比は、選択され得、開示は、この点に限定されていない。
【0083】
動作中、いくつかの実施形態において、拡張容積(図示せず)および/または入口ポート1530における圧力増加率が所定の閾値を超える場合、容積1537a内の圧力は、散逸要素1540容積および1537bの迎合性によって形成されている油圧フィルタに起因する容積1537b内の圧力よりも急速に増加する。圧力上昇率が十分な期間続く場合、次いで、PBOV1533の力バイアスは、克服され、二位置弁は、その開位置に移動し、流れは、入口ポート1530と出口ポート1531との間に確立される。次いで、PBOV1533の動作は、例えば、油圧機械の動作から結果として生じ得るより緩やかな圧力増加速度をピストン1504に事実上適用されることを可能にしながら、拡張容積内の圧力の急激な増加(特定の増加率を超える)の影響を軽減するように作用する。散逸要素1540は、例えば、流体制限、オリフィス、または圧力変動に応答してローパスフィルタ散逸要素として作用するために流れに対する抵抗を提供する他の要素であり得る。いくつかの実施形態において、オリフィス制限は、0.1~2mmの範囲にある油圧等価物であり得るが、チャンバ1537bの容積剛性に依存し得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、ピストン1504はまた、追加の流れ制御デバイス1515を含み得る。流れ制御デバイス1515は、入口ポート1550および出口ポート1551、ならびに平衡圧力ブローオフ弁(PBOV)1553を含み得る。入口ポート1550は、圧縮容積(図示せず)内の流体の圧力に露出され、出口ポート1551は、拡張容積(図示せず)内の流体の圧力に露出される。PBOV1553は、ピストン1555aによって適用される力と、ピストン1555bによって適用される力との間の力差によって作動する二位置弁1554を含み得る。
【0085】
PBOV1533の場合のように、散逸要素1560および迎合性要素1567cを含み得るローパスフィルタは、閾値を超える周波数を遮断するか、または事実上遮断するように微調整され得る。いくつかの実施形態において、閾値周波数は、例えば、12~15Hz、または5~20Hzの範囲にあるように事前選択され得る。閾値周波数は、本開示がそのように限定されていないので、他の周波数範囲にあるように選択され得る。動作中、いくつかの実施形態において、圧縮容積における圧力増加の変化率が所定の閾値を超える場合、容積1557a(すなわち、濾過されていない容積)内の圧力は、容積1557b(すなわち、濾過された容積)内の圧力よりも急速に増加し得る。圧力上昇率が十分な期間続く場合、次いで、PBOV1553の力バイアスは、克服され、二位置弁は、完全にまたは部分的に開き、流れは、入口ポート1550と出口ポート1551との間に確立され得る。PBOV1553の動作は、例えば、ポンプとしての油圧機械の動作から結果として生じ得るより緩やかな圧力増大を可能にしながら、(圧力増加率が特定の閾値を超えるときに圧力増大を排出することによって)圧縮容積の急激な圧力増加の衝撃を軽減するために、作用し得る。
【0086】
流れ制御デバイス1515はまた、例えば、ばねバイアス逆止弁1560aなどのバイアス弁を含み得る。ばねバイアス逆止弁1560aは、PBOV1553が急速な圧力事象に起因する開位置にあるときでさえ、入口ポート1550と出口ポート1551との間の流れを事実上防止し得る。したがって、入口ポート1550と出口ポート1551との間の流れは、ばねバイアス逆止弁1560aと二位置弁1553の両方が少なくとも部分的に開いていない限り、防止されるか、または事実上防止され得る。
【0087】
したがって、流れ制御デバイス1515は、圧力が弁1560aの圧力/力バイアスによって事前設定された圧力閾値を超えるとき、圧縮容積における急激な圧力増加を防止または抑制するために使用され得る一方で、その閾値を下回る圧縮容積圧力での圧力における急激な増加を可能にする。流れ制御デバイス1515は、例えば、圧力が閾値を超えたときの圧縮容積内の圧力の急激な上昇を防止または制限するように使用され得る一方で、圧力が閾値を下回っているとき、例えば、能動ホイール制御中に、10~15Hzの範囲の周波数で急激な圧力上昇を可能にする。したがって、全圧が弁のバイアス圧力を下回っているときの圧力の増加率に関係なく、圧縮容積内の圧力の増加は、弁1560aをトリガーすることなく発生し得る。代替的に、いくつかの実施形態において、圧縮容積と拡張容積との間の圧力差が閾値圧力を超えているとき、弁は、開き得、その場合、PBOVは、急激な差圧上昇に反応し得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、ピストンは、開くもしくは事実上開くときに、流体を拡張容積から圧縮容積に排出し得る拡張PBOV(すなわち、EPBOV)、または開くもしくは事実上開くとき、流体を圧縮容積から拡張容積に排出し得る圧縮PBOV(すなわち、CPBOV)のみを含み得る。
【0089】
図17は、(破線で示された)流れ制御デバイス1515を含むピストンロッド1504aに取り付けられたアクチュエータピストン1527aの実施形態1527を示す。流れ制御デバイス1515は、入口ポート1563aおよび出口ポート1563b、ならびに圧力平衡化されたブローオフ弁(PBOV)1563を含み得る。PBOV1563の入口ポート1563aは、圧縮容積(図示せず)内の流体の圧力に露出され、出口ポート1563bは、拡張容積(図示せず)内の流体の圧力に露出される。
【0090】
PBOV1563は、ピストン1565a、ピストン1565b、およびばね1565dによって適用された正味の力によって作動する弁1564を含む。ピストン1565aは、シリンダ1562a内で摺動可能に受容され、ピストン1565aによって適用された力は、容積1567aにおける圧力と、シリンダ1562aの長手方向軸を横切るシリンダ1562aの断面積との積によって決定される。ピストン1565bは、シリンダ1562b内で摺動可能に受け取られ、ピストン1565bによって適用された力は、容積1567bにおける圧力と、シリンダ1562bのその長手方向軸を横切るシリンダ1562bの断面積との積によって決定される。ピストン1565b、弁1564、およびピストン1565aからなるアセンブリの動きは、機械的止め1565eによって制限される。いくつかの実施形態において、弁1564は、図17に示されたように、連続的可変弁であり得る。代替的に、弁1564は、無流れおよび全流れ位置のみを有する二位置弁であり得る。いくつかの実施形態において、1565bの直径が1565aの直径よりも大きい場合、容積1567b内の圧力が容積1567a内の圧力に等しいとき、結果として生じる弁1564の力の不均衡は、弁1564を閉位置に維持し、ピストン1565bを機械的止め1565eに対して着座させることを助ける。
【0091】
流れ通路1561aおよび1561bは、容積1567aを入口ポート1563aに流体的に接続する。流れ通路1561cおよび1561bは、容積1567bを入口ポート1563aに流体的に接続する。容積1567cは、流れ通路1561dおよび1561eによって出口ポート1563bに流体的に接続され、ピストン1567cによって容積1567bから分離されている。いくつかの実施形態において、ピストン1565cの位置は、容積1567bおよび1567cにおける圧力から結果として生じる力と、ばね1565dによって適用された力とを決定される。
【0092】
図16に示されたPBOV1533の場合のように、ばね1565fによって達成されたチャンバ1567bの迎合性と併せて、流れ通路1561c内のローパスフィルタ散逸要素1560は、閾値を超える圧力上昇の周波数および/もしくは速度を遮断するか、または事実上遮断するようにサイズ設定もしくは微調整され得る。例えば、いくつかの実施形態において、閾値周波数は、12~15Hz、または5~20Hzの範囲にあるように事前選択され得る。閾値周波数は、本開示がそのように限定されていないので、他の周波数範囲にあるように選択され得る。
【0093】
図17の実施形態において、入口ポート1563aでの圧力(すなわち、圧縮容積内の圧力)が出口ポート1563bでの圧力(すなわち、拡張容積内の圧力)に対してゆっくりと増加する場合、容積1567a内の圧力は、ポート1563aでの圧力を追跡するか、または事実上追跡する。同時に、流体が流れ通路1561bおよび1561cを通って流れるため、容積1567b内の圧力はまた、ポート1563aでの圧力と釣り合わせる。ポート1563bでの圧力に対するポート1563bでの圧力変化率が、油圧フィルタ散逸要素1560が遮断または事実上遮断するように構成されているよりも低い場合、容積1567b内の圧力はまた、容積1567a内の圧力を追跡する。結果として、弁1564上の力平衡は、変化しないか、事実上変化しないままであり、弁は、閉位置のままである。
【0094】
同様に、ポート1563bでの圧力がゆっくりと降下した場合、ピストン1565bは、上向きに移動するが、流体は、入口ポートから流れ通路1561bおよび1561cを通って流れる。結果として、弁1564上の力平衡は、変化しないか、事実上変化しないままであり、弁は、閉位置のままである。
【0095】
動作中、いくつかの実施形態において、ポート1563bに対してポート1563aでの圧力増加の変化率が所定の閾値を超える場合、容積1567a内の圧力は、散逸要素1560を含むフィルタの遮断効果に起因する容積1567b内の圧力よりも急速に増加し得る。いくつかの実施形態において、要素1560の有効な流れ制限は、流れ経路1561aの固有の油圧制限よりも10倍以上制限的であり得る。圧力上昇率が十分な期間続く場合、次いで、弁1564を閉位置に維持するPBOV1563の力バイアスは、克服され得、弁1564は、完全にまたは部分的にその開位置に移動し、流れは、入口ポート1563aと出口ポート1563bとの間に確立され得る。PBOV1563の動作は、圧縮容積内の圧力の急激な増加(特定の増加率を超える)の影響を軽減するように作用し得る。
【0096】
同様に、ポート1563bでの圧力がポート1563aでの圧力に対して急速に降下した場合、流体は、容積1567cから流出し、ピストン1565cが正のy方向に移動する。しかし、流れ通路1561cにおける高流量増加でのフィルタ散逸要素1560の遮断効果のために、容積1567b内の圧力は、降下し得る。結果として、弁1564の力平衡は、それが正のy方向にその完全に開位置または部分的に開位置に移動し得るようにシフトする。
【0097】
図15のピストン、ピストン/ロッドインターフェース、EPBOV(拡張側圧力平衡化されたブローオフ弁)およびCPBOV(圧縮側圧力平衡化されたブローオフ弁)は、図18に詳細に示されている。ピストン1504の外部に2つの流れ制御デバイスを有するシステムの実施形態が、図18に示されている。ピストン1504は、スタッドのおよそ中間点で拡張スタッド1504bに固定的に取り付けられている。ピストン1504は、(破線で示された)圧力管1503の内部容積を分離する。拡張スタッド1504bは、ピストンロッド1504aに固定的に取り付けられた近接端部、および遠位端部を有する。ピストン1504は、圧縮容積1507内の流体に少なくとも部分的に露出されている第1の面1504c、および拡張容積1508内の流体に少なくとも部分的に露出されている第2の面1504dを含む。いくつかの実施形態において、ピストン1504は、ピストン1504の第1の面における出口ポート1504fをピストン1504の第2の面1504dにおける入口ポート1504gと流体的に接続する少なくとも1つの流れ通路1504eを含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、ピストン1504は、ピストン1504の第1の面における入口ポート1504iを第2の面1504dにおける出口ポート1504jと流体的に接続する少なくとも1つの流れ通路1504hを含み得る。いくつかの実施形態において、シールワッシャ1504kは、ピストン1504の第1の面1504cにおける1つ以上の出口ポート(例えば、出口ポート1504f)を選択的にシールするか、または選択的に事実上シールするために、使用され得る。いくつかの実施形態において、シールワッシャ1504lは、第2の面1504dにおける1つ以上の出口ポート(例えば、出口ポート1504j)を選択的にシールするか、または選択的に事実上シールするために、使用され得る。シールワッシャ1504kおよび1504lとピストン面1504cおよび1504dとの間のインターフェースは、それぞれ、半径方向に延在する平坦な表面であり得る。しかしながら、本開示がそのように限定されていないので、他の適切に成形された合わせ面は、使用され得る。いくつかの実施形態において、シールワッシャは、図18に図示されたように環状ディスクであり得る。代替的に、本開示がそのように限定されていないので、適切に成形されたシムスタックまたは他のシール要素は、使用され得る。
【0099】
図18の実施形態において、シールワッシャ1504kおよび/または1504lは、1つ以上の油圧力および/または機械的力によって、面1504cおよび/または1504dのシール表面に対してバイアスされ得る。図19は、図18に図示されたように、それが着座位置にあるときの、シールワッシャ1504lの力平衡を図示する。シールワッシャ1504lの図示された実施形態は、ピストンロッド1504aおよび/または拡張スタッド1504bの長手方向軸と合致する中心軸1581を有する環状ディスクである。シールワッシャ1504lの中央開口1582は、拡張スタッド1504bおよび周囲のベアリングを受容するために構成され得る中央円筒部分1583を含み得る。シールワッシャ1504lに作用する力の平衡は、ワッシャがピストン面1504dに対して着座位置に留まるか、またはその着座位置から持ち上げられるかを決定する。シール接触力が正であり、ゼロでないとき、ワッシャは、油圧シールを維持し得る。図19の実施形態において、負のy方向における正味の力が正のy方向における正味の力以上である場合、シールワッシャ1504lは、ピストンの合わせ表面に対して着座されたままであり得る。正のy方向における正味の力がある場合、シールワッシャ1504lは、ワッシャの合わせ表面から浮き上がり、流体が圧縮容積7から流れ通路1504hを通って拡張容積1508に流れることを可能にする。
【0100】
図18に示された二重PBOVシステムの実施形態は、ロッド1504aに固着または固定された(secured)固定(fixed)近接ばねパーチ1571、および拡張スタッド1504bの遠位端部に固着または固定された遠位ばねパーチ1573を含み得る。固定ばね1571aは、近接固定ばねパーチ1571とシールワッシャ1504lとの間に動作可能に介設されている。固定ばね1571aは、シールワッシャ1504l上に機械的力を適用ように構成されている。同様に、いくつかの実施形態において、固定ばね1572aは、遠位固定ばねパーチ1572とシールワッシャ1504kとの間に動作可能に介設されている。いくつかの実施形態において、固定ばね1572aは、シールワッシャ1504k上に機械的バイアス力を適用するように構成されている。
【0101】
図18に図示された実施形態はまた、近接浮動パーチ1573、および遠位浮動パーチ1574を含み得る。浮動ばね1573aおよび1574aは、それぞれ、シールワッシャ1504kおよび1504lと浮動パーチ1574および1575との間に動作可能に配置されている。浮動ばね1573aおよび固定ばね1571aによって適用されるバイアス力の組み合わせは、反対の正味の油圧力によって克服されない限り、第2の面1504dまたはピストン1504に対して着座されたシールワッシャ1504lを維持し得る。同様に、いくつかの実施形態において、浮動ばね1574aおよび固定ばね1572aは、反対の正味の油圧力によって克服されない限り、ピストン1504bの第1の面1504eに対して着座されたシールワッシャ1504kを維持し得る。
【0102】
図18に図示された実施形態において、圧縮容積1507は、陥凹されポケット1504m、入口ポート1504i、ならびに流れ通路1504h、1576a、および1576b、ならびに流れ制限1576cによって、マニホールド1575に流体的に接続されている。流れ制限1576cは、例えば、オリフィス、層流要素(例えば、動作中に流れが層流である管)、または油圧圧力降下を誘発する他の適切な構成要素であり得る。圧縮容積1507の圧力におけるゆっくりとした変化は、緩和なしで、または事実上緩和なしでマニホールド1575に到達し得る。しかしながら、流れ通路の抵抗、特に流れ制限1576cのために、圧縮容積1507の圧力の急激な増加は、それらがマニホールド1575に到達するときに減衰され得る。マニホールド1575内の圧力と拡張容積1508内の圧力との間の圧力差は、長手方向において浮動パーチ1573に適用されている正味の油圧力を結果として生じる。したがって、ゆっくりと変化する圧縮容積1507の圧力に対して、マニホールド1575内の圧力は、圧縮容積1507内の圧力を追跡するか、または事実上追跡し得る。したがって、圧縮容積1507内で圧力がゆっくりと変化することに対して、浮動パーチ1573上の正味の力は、浮動ばね1573aを圧縮し得、このように、シールワッシャ1504l上の機械的力を増加する。増加された機械力は、シールワッシャ1504lをその着座位置から持ち上げ得るシールワッシャ1504l上の増加された油圧力を打ち消す。したがって、PBOV1576は、例えば、0Hz~4Hzなど、それらの変化がゆっくりである場合、圧縮容積内の増加された圧力に起因する圧力差を開くことおよび少なくとも部分的に排出することに抵抗し得る。
【0103】
しかしながら、急速に変化する圧縮容積圧力に対して、圧縮容積1507とマニホールド1575との間の介在抵抗は、マニホールド圧力を圧縮容積圧力から追跡することを遮断するか、または事実上遮断し得る。マニホールド1575の圧力における十分な増加なしで、浮動ばねを圧縮または十分に圧縮させるのに十分な圧力差が浮動ばねパーチ1573に適用されないことがあり得る。浮動ばね1573aによって適用された追加の機械的力なしで、シールワッシャ1504lは、その着座位置から持ち上げられ得、圧縮容積1507と拡張容積1508との間の圧力差を少なくとも部分的に排出することを可能にする。
【0104】
同様の方法で、PBOV1577は、拡張容積1508内の圧力増加が急速であるときに、拡張容積1508と圧縮容積1507との間の差圧を排出するために使用され得る。しかしながら、PBOV1577は、例えば、図15の油圧機械1522の動作によって、シールワッシャ1504kをそのシール位置から持ち上げることなく、油圧機械1522の最大圧力容量まで、拡張容積1508内の圧力に対してゆっくりと増加されることを可能にし得る。したがって、流れ通路1504eを通る、拡張容積1508から圧縮容積1507への流れは、事実上遮断されるであろう。
【0105】
いくつかの実施形態において、PBOV1576および/またはPBOV1577が、圧縮容積1507と拡張容積1508との間の差圧が事前設定された閾値を下回ったままである限り、急激な圧力増加に鈍感になるように構成され得ることに留意されたい。例えば、ばね定数およびばね1571aおよび/またはばね1573aの初期圧縮は、圧縮容積1507内の圧力上昇率に関係なく、シールワッシャ1504l上の正味の長手方向の油圧力が、ばね1571aおよび/または1573aの組み合わせによってそのワッシャ上に適用された機械的力よりも小さくなる限り、シールワッシャ1504lがそのシール位置に留まるように選択され得る。
【0106】
図20および図21は、それぞれ、図18に示された実施形態のピストン1504の第1の面1504cおよび第2の面1504dを図示する。これらの2つの面は、入口ポートおよび出口ポートのための開口を有する、環状、平面状、放射状に延在する表面である。いくつかの実施形態は、平面状ではないが、本開示がそのように限定されていないので、突起および陥凹を含む表面を含み得る。図5および6のピストン1504は、拡張スタッド1504bおよびスペーサーブッシング1578をシール可能に受容する中央開口1590を含む。
【0107】
図20に示された実施形態において、ピストン面1504cは、3つの出口ポート1504fおよび3つの入口ポート1504iを含む。シールワッシャ1504kがその着座位置にあるとき、出口ポート1504fは、ピストンを通って拡張容積1508から圧縮容積1507への流体の流れが遮断されるか、または事実上遮断されるように、シールまたは事実上シールされる。しかしながら、シールワッシャ1504kがピストン面1504cに対して着座されているとき、これらの開口が陥凹されたポケット1504mを含むので、入口ポート1504iは、遮断されていない。圧縮容積内の流体は、シールワッシャ1504kがそのシール位置にあるときでさえ、陥凹されたポケット1504mによって入口ポート1504iに進入し得る。したがって、いくつかの実施形態において、シールワッシャ1504kは、1つ以上の出口ポート1504jをシールするために使用され得、一方で、拡張容積1508からの流れが、陥凹されたポケット1504mを通って1つ以上の入口ポート1504iに進入することが可能である。
【0108】
同様に、図21に示された実施形態において、ピストン面1504dは、3つの出口ポート1504jおよび3つの入口ポート1504gを含む。シールワッシャ1504lがその着座位置にあるとき、出口ポート1504jは、ピストンを通って圧縮容積1507から拡張容積1508への流体の流れが遮断されるか、または事実上遮断されるように、シールまたは事実上シールされる。しかしながら、シールワッシャ1504lがピストン面1504dに対して着座されているとき、これらの開口が陥凹されたポケット1504nを含むので、入口ポート1504gは、遮断されていない。圧縮容積1507内の流体は、シールワッシャ1504lがそのシール位置にあるときでさえ、陥凹されたポケット1504nによって入口ポート1504jに進入し得る。したがって、いくつかの実施形態において、シールワッシャ1504lは、1つ以上の出口ポート1504jをシールするために使用され得、一方で、圧縮容積1507からの流れが、陥凹されたポケット1504nを通って1つ以上の入口ポート1504gに進入することが可能である。
【0109】
図22は、図18の二重PBOVシステムの断面化された分解斜視図を図示する。例えば、Oリングであり得るシール要素1579a、1579b、1579c、および1579dが、示されている。また、油圧圧力降下を誘発する、オリフィスまたは他の構成要素を含み得る流れ抵抗ブロック1576bおよび1576cも、示されている。
【0110】
図23は、(斜交平行セクションにおいて示された)シールワッシャ1504lがピストン1504の面1504dに対してそのシール位置から変位量1591だけ持ち上げられた、二重PBOVピストンおよびピストンロッドの組み合わせ1590を図示する。結果として、圧縮容積1507内の流体は、例えば、流れ経路1592に沿って拡張容積1508に流れ得る。
【0111】
図24は、シールワッシャ1504lがピストン1504の面1504dに対してそのシール位置にある、二重PBOVピストンおよびピストンロッドの組み合わせ1595を図示する。(斜交平行セクションにおいて示された)近接浮動パーチ1573は、マニホールド1575内の圧力と拡張容積内の圧力との間の圧力差の結果として、変位量δ1596だけ変位していた。いくつかの実施形態において、ピストンロッド1504aに対して浮動パーチ1573の変位は、浮動ばね1573aを等しい量だけ圧縮し得る。浮動ばね1573aのこの圧縮は、シールワッシャ1504l上の機械的力を、浮動ばね1573aのばね定数に変位δを乗算したものに等しい量だけ増加し得る。
【0112】
図1は、2つの流れ制御デバイス4cおよび4bを含むピストン4を示す。これらの流れ制御デバイスの一方または両方は、双方向流れ制御デバイスであり得る。図18は、二重一方向性流れ制御デバイス、PBOV1576および1577を有するピストン1504を示す。PBOV1576は、圧縮容積1507から拡張容積1508への流体の流れのみを可能にする一方向性ポペット弁である。PBOV1577は、拡張容積1508から圧縮容積1507への流体の流れのみを可能にする一方向性ポペット弁である。これらのポペット弁PBOVの一方または両方は、別の適切なタイプの流れ制御デバイスと交換され得、本開示は、この点に限定されていない。
【0113】
図25は、ピストン1602を有する能動サスペンションアクチュエータピストンアセンブリ1600のさらに別の実施形態を図示する。この実施形態において、圧縮シムスタック1604および拡張シムスタック1606は、それぞれ、PBOV1576および1577の機能を事実上実行する。
【0114】
ピストン1602は、アクチュエータの拡張容積から圧縮容積を分離する。図25における実施形態において、その閉位置におけるシムスタック1604は、圧縮容積から拡張容積への1607などの1つ以上の流れ経路を通る流体の流れを防止または事実上防止するように構成および事前荷重されている。同様に、その閉位置において、シムスタック1606は、拡張容積から圧縮容積への1608などの1つ以上の流れ経路を通る流体の流れを防止または事実上防止するように構成および事前荷重されている。
【0115】
これらのシムスタックが特定の閾値を超える油圧差に露出されると、それらは、ピストンを通る流れ経路を少なくとも部分的に遮断解除するのに十分に偏向し得る。偏向は、差圧とシムスタックのばね定数の関数である量だけ流れ経路を開き得る。図26は、図25の実施形態の平面状断面を示す。ピストン1602、シムスタック1604、およびシムスタック1606は、ピストン1601の半径方向に延在するショルダー1601aとピストンロッドの遠位端部に固定されたナット1610との間に動作可能および確実に挟まれている。
【0116】
図26に図示された圧縮および拡張シムスタックは、それぞれ、シール油圧チャンバ1612および1614と直列になっている。いくつかの実施形態において、これらの圧力チャンバは、可撓性膨張チャンバを形成するために外縁上で互いに結合された2つのより大きなシムから構成され得る。ダンパピストンにわたる圧力差が増加されているとき、流路1616または1618は、それぞれ、可撓性膨張チャンバ1612または1614内の圧力を増加させるために、高圧側から油圧流体を伝達するように使用され得る。図27は、シムスタック1604上に追加の予荷重力を提供するために圧力チャンバ1612が拡張される、図25の実施形態の平面状図を図示する。いくつかの実施形態において、可撓性膨張チャンバの有効面積は、シムスタック全体が単にシール面に対して偏向し得る場合において、シムスタックの下の露出圧力面積よりも高くなり得る。この偏向は、シムスタックが着座されるのを維持し得、したがって、より高い圧力差に露出されたときに油圧流体がピストンを横切って流れることから防止する。この設計は、デルタ圧力におけるゆっくりとした変化に対して、ピストンを横切る油圧流れを防止する。デルタ圧力における速い変化に対して、シムは、ピストンを横切るより低い差圧でピストンを横切る流れ経路を開くために偏向する。この挙動は、圧縮容積または拡張容積を、関連するシムスタックの圧力チャンバに接続する流れ経路を制限することによって達成されることができる。各膨張チャンバの容積迎合性と関連する流路(1616または1618)の流れインピーダンスの組み合わせは、フレキシブル膨張チャンバ内の圧力における増加率を制限するローパス油圧フィルタとして事実上作用する。圧力変化が、流路を通る流れが膨張チャンバを満たす(すなわち、圧力を増加する)能力よりも速い場合、次いで、シムスタックの事前荷重は、変化しない、または事実上変化しないままであり得、シムスタックは、シール面から離れる方向に偏向し得、主ピストンを横切る流れを可能にする。図25~27に示されるように、制限された流路は、ピストンロッドの外径において小さなスロットを含み得る。代替的または追加的に、これらの流路はまた、膨張チャンバへの制限された流れ経路を作成するシム内のノッチまたは穴を含み得る。
【0117】
いくつかのダンパの実施形態において、ブリード穴は、例えば、微調整要素として作用し得る主ピストン内に位置し得る。本明細書で使用される場合、「微調整要素」という用語は、微調整要素がその一部となるシステムの性能を修正するために、較正および/または動作中に変更され得る1つ以上のパラメータを有する構成要素を指す。いくつかの実施形態において、ブリード穴が大きい場合、それは、低速または圧力増加率でピストンにわたる圧力の事実上調整を可能にし得るが、例えば、システムがポンプで圧力を増大するのを試みているとき、過度のポンプ損失および非効率へ導き得る。この妥協点を軽減するために、本発明者らは、例えば、システムポンプを動作させることによって、デルタ圧力が増加するにつれてブリード要素を調節または完全に閉じることができる場合、低いデルタ圧力で有意なブリード穴を使用され得ることを認識した。いくつかの実施形態において、これは、膨張チャンバに取り付けられた平衡ピストンが移動してシールプレートに事前荷重を生成させるときに、ブリード穴をシャットオフすることによって達成され得る。本発明者らは、流れ制御デバイスの可動内部構成要素の変位が、特定の動作条件下でそれらの流れ制御デバイス内のブリード穴を調節および/または閉じるために、使用され得ることをさらに認識している。
【0118】
図28は、図18に示された実施形態と同様の二重ポペット弁PBOVピストンアセンブリ1800を図示する。ピストンアセンブリ1800は、アクチュエータピストン1802、ピストンロッド1801、圧縮PBOV1804、および拡張PBOV1806を含む。図29は、ピストンアセンブリ1800の平面状断面を図示する。図29はまた、例えば、ピストン内流路1905を介して圧縮容積1904を拡張容積1903に流体的に接続するブリード穴1902を示す。図30は、ばねパーチ1906が、それがブリード穴1902を遮断する位置に変位されている、図29に示された実施形態を図示する。この実施形態において、ばねパーチ1906の変位は、動作条件に応じて、ブリード通路を遮らないようにするか、またはブリード穴を部分的もしくは完全に遮断することによって、PBOVおよび能動サスペンションアクチュエータシステムの特定の動作パラメータを動的に微調整するために、使用され得る。
【0119】
図31は、圧力管2502、および圧力管2502を少なくとも部分的に取り囲む第2の管2510を含むアクチュエータ2501を有する能動サスペンションアクチュエータシステム2500を図示する。圧力管2502は、圧力管における内部容積を圧縮容積2507および拡張容積2508に分割するピストン2504を摺動可能に受容する。アクチュエータシステム2500は、油圧ポンプおよび/または油圧モータとして動作させ得る油圧機械2509を含む。油圧機械2509は、油圧機械2509を駆動し、および/または油圧機械2509によって駆動され得る、電気機械(図示せず)に動作可能に連結され得る。
【0120】
いくつかの実施形態において、油圧機械2509は、第1のポート2509aおよび第2のポート2509bを含み得る。第2の管2510および圧力管2502の長手方向軸は、Z軸2511に平行であるか、または事実上平行である。圧力管2502および第2の管2510は、全体的または部分的に環状の形状であり得る、介在容積2513を形成する。介在容積2513は、拡張容積2508と流体連通し得る第1の導管2513a、および圧縮容積2507と流体連通し得る第2の流れ導管2513bを含み得る。介在容積2513の第1および第2の流れ導管2513a、2513bは、障壁2513cによって流体的に分離され得る。図2の実施形態において、第1のポート2509aは、流れ導管2514aおよび2513aを介して拡張容積2508と流体連通しており、第2のポート2509bは、流れ導管2514bを介してアキュムレータ2515に流体的に接続され得る。アキュムレータ2515は、流れ導管2514cおよび2513を介して圧縮容積2507に流体的に接続されている。
【0121】
アキュムレータ2515は、2つの容積2515aおよび2515bを含み、容積2515aは、油圧流体で満たされ得、容積2515bは、例えば、空気、窒素またはアルゴンなどのガスなどの圧縮可能媒体で満たされ得る。容積2515a内の材料は、図31に示されたピストン2515cまたはダイアフラムもしくはブラダ(図示せず)によって容積2515b内の材料から分離され得る。
【0122】
図31におけるアキュムレータ2515は、貫流アキュムレータであるが、本開示は、貫流アキュムレータ2515の代わりに、またはそれに加えて使用され得る、分岐またはインラインアキュムレータなどの任意の適切なアキュムレータのようなアキュムレータに限定されていない。アキュムレータ2515と圧縮容積2507との間の流れは、流れ制御デバイスによって制御され得る。流れ制御デバイスは、例えば、図31に示されたアクチュエータ2501の圧縮端部に組み込まれているベース弁2516であり得る。ベース弁2516はまた、ピストンロッド2004aを収容する必要がある場合における、アクチュエータの拡張端部に組み込まれ得る。本発明者らは、いくつかの実施形態において、ベース弁2516が、圧縮および/または拡張において受動ディグレッシブ(digressive)弁として動作させるように構成され得ることを認識した。
【0123】
代替的または追加的に、図31に図示され、図32に図示されたように、いくつかの実施形態において、能動サスペンションアクチュエータシステム2560は、油圧機械2509と拡張容積2508との間に動作可能に介設され得るアキュムレータ2515および/または流れ制御デバイス2516を含み得る。図32は、第2の管2510の外側に位置する流れ制御デバイス2561を示すが、それは、内部に組み込まれ得、本開示は、この点に限定されていない。アクチュエータの拡張端部においての内部流れ制御デバイスの場合において、流れ制御デバイスは、ピストンロッド2004aを受容するように構成された開口を含み得る。
【0124】
図33は、双方向性ディグレッシブベース弁に対する例示的な性能曲線2550を図示する。弁にわたる圧力降下(ΔP)は、低流れ範囲(すなわち、AおよびAの範囲)での流量Qの関数として、直線的にまたは事実上直線的に増加し得る。いくつかの実施形態において、例えば、単純なオリフィス穴が減衰を生成するためにベース弁において使用される場合、弁にわたる圧力降下も、二次的にまたは他の関係で増加し得ることに留意されたい。いくつかの実施形態において、この圧力降下は、弁を通る漏れ経路を通る流れに起因し得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、圧力降下が拡張中の2553aまたは圧縮中の2553bによって示されるレベルに達すると、ベース弁内に組み込まれたシムスタックまたは他の圧力軽減弁は、追加の流れがベース弁を通過するのを可能するために、開き得る。いくつかの実施形態において、シムスタックは、例えば、10psi~300psiの範囲におけるクラッキング圧力を有するように構成され得る。いくつかの実施形態において、クラッキング圧力は、5psi~500psiの範囲にあり得る。他の範囲におけるクラッキング圧力はまた、使用され得、本開示は、そのように限定されていない。
【0126】
範囲BおよびBにおける流量の場合、減衰は、流量Q(曲線2552aおよび2552b)の関数として直線的にまたは事実上直線的に増加し得、または流量Q(曲線2551aおよび2551b)の関数として一定または事実上一定であり得る。いくつかの実施形態において、シムスタックは、範囲BおよびBにわたって一定または事実上一定の圧力降下を維持するように構成され得る。いくつかの実施形態において、範囲BおよびBは、0.25~5GPM、または0.1~4GPMの流量を表す。範囲Cおよび/またはCおよびそれ以上における流量のいくつかの実施形態において、ベース弁は、減衰速度(または減衰)が増加し続け得るオリフィス制限として挙動し得る。
【0127】
図34~39は、例示的な双方向性ディグレッシブ(すなわち、圧縮流れおよび拡張流れの両方の間のディグレッシブ)ベース弁の構造を図示する。図34は、ベース弁本体2650の等角図を図示する。この弁は、シムスタックの2つのセットを使用することによって、圧縮および拡張の両方における流れを制御することによって動作させる。これらのシムスタックは、図34に示されていない。
【0128】
図34に示された実施形態において、吸気ポート2601は、ベース弁本体2600の長手方向軸の周りに角度的に分布されている。各吸気ポートは、圧縮容積内の圧力を圧縮シムスタック(図示せず)に伝達する、ベース弁本体2600内の第1の内部流路のセットの1つへ導く。出口ポート2602は、拡張容積(例えば、図31に示された容積2508)内の圧力を拡張シムスタック(図示せず)に伝達する流路に接続されている。ポート2603は、流れがシムスタックの両方のセットをバイパスすることが可能となるように構成されているベース弁本体2600における1つの内部流路に接続する。環状シール表面2604は、拡張シムスタックのシールシムまたは複数のシムが対してシールする表面である。すべての出口ポート2602は、環状空洞2605によって接続されている。
【0129】
図35は、図34のベース弁本体2600、拡張シムスタック2651、および圧縮シムスタック2652を含むベース弁アセンブリ2650の等尺性断面を示す。圧縮シムスタック2652は、アクチュエータピストン(例えば、図31に示されたピストン2504)の圧縮ストローク中に開き得、一方、拡張シムスタック2651は、ピストンが拡張ストロークにおいて動くときに開き得る。
【0130】
ボルト2653およびナット2654は、2つのシムスタック2651および2652をベース弁本体2600に固定するために、使用され得る。ナット2654の上部にある大きなフランジは、高油圧流量下でのシムの過度の偏向を防止するための走行リミッターとして使用され得る。ワッシャは、ボルト2653の頭の下で使用され得る。拡張シムスタック2651は、シール表面2604の一部分に対して着座するシールシム2651aを含み、一方、圧縮シムスタック2652は、環状シール表面2655に対して着座する圧縮シールシム2652aを含む。ベース弁本体2600の長手方向軸の周りに角度的に分布されている入口ポート2656は、導管2513内の圧力を、内部拡張通路を介して環状空洞2605に伝達する。環状空洞2605内の圧力は、圧縮シールシム2652a上に作用する。
【0131】
図36は、図31に示されたアクチュエータ2501の圧縮端部に位置するベース弁アセンブリ2650の断面の正面図を図示する。図36は、圧縮容積2507がどのように環状空洞2656に流体的に接続されているかを示す。環状空洞2656内の圧力は、シール圧縮シム2652a上に作用し、特定の条件下で、シム2652aを偏向させて開く。
【0132】
図38は、圧縮シールシム2652aが偏向すると、流体が圧縮容積2507から、図38の実施形態において、導管2513に流体的に接続されている流路2657を通って、流れ得ることを図示する。
【0133】
図38は、導管2513内の圧力が拡張シールシム2651aに伝達されるベース弁2650の別の正面断面を図示する。特定の条件下で、シールシム2651aは、偏向し、導管2513からの流体が圧縮容積2507に流入することを可能にし得る。
【0134】
本発明者らは、低いピストン速度で動作させる能動サスペンションアクチュエータにおいて、図33に関して上で考察されるように、有意な減衰が好まれ得ることを認識した。しかしながら、本発明者らはまた、図33における流れ範囲B(拡張)およびB(圧縮)などのより高い流量で動作させるとき、はるかに高い流量が、例えば、受動ダンパの場合よりもベース弁を通して対応する必要があり得ることを認識した。そのような流量を可能にするために、圧縮および/または拡張シールシム2651a、2652aの直径は、最大化される必要があり得る。
【0135】
例えば、受動ダンパでの急速な圧縮中に、流体は、例えば、ピストンにおける弁およびベース弁を通って拡張容積に流れ得る。そのような状況で、ピストンロッドの拡張容積への侵入によって変位された容積のみが、ベース弁を通って流れる必要があり得る。
【0136】
能動システムにおいて、本発明者らは、例えば、ピストン内の弁が、ポンプで十分な能動力の産出を可能にするのに十分に高いクラッキング圧力で設定される必要があり得ることを認識した。
【0137】
他方、能動サスペンションシステムのいくつかの実施形態において、ピストンによって変位された容積のすべてまたは事実上すべては、ベース弁を通って流れ得る。本発明者らは、圧縮および拡張のいずれかにおけるベース弁の所望の容量、ならびに圧力降下対流れの関係が、圧縮シールシム2652aおよび/または拡張シールシム2651aの直径を最大化することによって達成され得ることを認識した。
【0138】
図39は、双子管ダンパ/アクチュエータの圧縮端部に係合するベース弁アセンブリ2700を図示する。圧縮シールシムおよび拡張シールシムの直径は、図34~38に図示された実施形態よりも大きい。図39に示された実施形態は、拡張シムスタック2701、圧縮シムスタック2702、およびベース弁本体2703を含む。シムスタックは、ボルト2704およびナット2705によって弁本体に固定されている。シムスタック2701は、環状表面2706に対してシールするシールシム2701aを含む。シムスタック2702は、環状表面2708に対してシールするシールシム2702aを含む。
【0139】
圧縮流れ導管2715の入口ポート2710がベース弁本体2703内に陥凹されており、環状シール表面2706と同じ半径方向平面に位置していないため、シールシム2701aの直径は、図34~38に示された実施形態に対して増加され得る。入口ポート2710に到達する前に、圧縮容積からの流体は、弁本体と圧力管2502との間の環状または部分的な環状容積2720を通って流れる。
【0140】
本発明者らは、そのような構成を使用することによって、拡張シールシム2701aの直径が、圧力管2502の内径の70%より大きいが、100%未満であり得ることを認識した。代替的に、拡張シールシム2701aの直径は、圧力管2502の内径の80%より大きいが、100%未満であり得る。いくつかの実施形態において、拡張シールシム2701aの直径は、圧力管2502の内径の90%より大きいが、100%未満であるか、または圧力管2502の内径の他の適切なパーセンテージであり得る。
【0141】
図40は、圧縮容積2722内の圧力が、環状または部分的な環状領域2720、ベース弁本体2703内の圧縮流れ通路2715、および圧縮シールシム2702a上に作用する環状空洞2721を通して圧縮シールシム2702aにどのように伝達され得るかを図示する。特定の条件下で、圧力は、シールシム2702aを偏向させ、圧縮容積2722から流れ導管2513への流れ経路を作成し得る。
【0142】
図41は、ベース弁アセンブリ2700の別の断面を示す。代替的または追加的に、図41に図示されたように、拡張導管2731への入口ポート2730は、シール表面に対してベース弁の本体2703内に軸方向に陥凹され得る。この構成を使用することによって、圧縮シールシム2702aの直径は、圧力管2502の内径の70%より大きいが、100%未満であり得る。代替的に、圧縮シールシム2702aの直径は、圧力管2502の内径の80%より大きいが、100%未満であり得る。いくつかの実施形態において、圧縮シールシム2702aの直径は、圧力管2502の内径の90%より大きいが、100%未満であるか、または圧力管の内径の他の適切なパーセンテージであり得る。
【0143】
そのような構成を使用することによって、圧縮シールシム2702aの直径は、圧力管2502の内径よりも大きくなり得る。いくつかの実施形態において、圧縮シールシム2702a(図示せず)の直径は、第2の管2510の内径の70%より大きいが、100%未満であり得る。代替的に、圧縮シールシム2702aの直径は、第2の管2510の直径の80%より大きいが、100%未満であり得る。いくつかの実施形態において、圧縮シールシム2702aの直径は、第2の管2510の直径の90%よりも大きいが、100%未満であるか、または第2の管2510の直径の他の適切なパーセンテージであり得る。
【0144】
図42は、流れ導管2513内の圧力が、入口ポート2730、ベース弁の本体2703内の拡張流路2731、および環状空洞2733を通してどのように伝達され得るかを図示する。流れ導管2513内の圧力は、シールシム2701aを偏向させ、図42に示された方向に、流れ導管2513と圧縮容積2722との間の流れ経路を開く。
【0145】
図43に示された等角断面は、ボルト2804およびナット2805によって一緒に確実に取り付けられた、多数個弁本体2801、拡張シムスタック2802、および圧縮シムスタック2803を含む大容量ベース弁アセンブリ2800の別の実施形態を図示する。シール拡張シム2802aは、シール表面2802bに対してシールし、一方、シール圧縮シム2803aは、シール表面2803bの一部分に対してシールする。圧縮流路2807の入口ポート2806は、シール表面に対して弁本体2801内にさらに軸方向に陥凹されている。図44は、拡張シールシム2802aのシール表面2802bから軸方向に陥凹されている入口ポート2806を有する圧縮流路2807を示している、図43のベース弁アセンブリの正面断面図を図示する。いくつかの実施形態において、ブリード通路2810は、いずれかのシムスタックを通過することなく、弁を横切る流れに対して可能にし得る。いくつかの実施形態において、このブリード穴は、0.1~3mm、または0.05~5mmの範囲の油圧直径であり得る。ブリード穴のサイズ、長さ、および数は、図33に図示された範囲AおよびAにおける流れ圧力降下の関係を決定または微調整するために使用され得る。
【0146】
図45は、弁アセンブリ2800の本体内の拡張流れ導管2830の拡張入口ポート2820を示している、ベース弁2800の別の正面断面を図示する。入口ポート2820は、圧縮シールシム2803aのシール表面2803bに対して陥凹されていることに留意されたい。
【0147】
本教示は、様々な実施形態および実施例と併せて説明されてきたが、本教示がそのような実施形態または実施例に限定されることを意図するものではない。それどころか、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替例、変更例、および均等物を包含する。したがって、前の説明および図面は、例としてのみのものである。
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【国際調査報告】