(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】ナトリウム界面の製造方法およびナトリウムの光学構造デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 26/00 20060101AFI20220422BHJP
C23C 26/02 20060101ALI20220422BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
C23C26/00 B
C23C26/02
G02B5/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560673
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-18
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2020070258
(87)【国際公開番号】W WO2021134782
(87)【国際公開日】2021-07-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515190906
【氏名又は名称】南京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 嘉
(72)【発明者】
【氏名】于 健宇
(72)【発明者】
【氏名】汪 洋
【テーマコード(参考)】
2H249
4K044
【Fターム(参考)】
2H249AA07
2H249AA13
2H249AA39
2H249AA46
2H249AA55
2H249AA58
2H249AA59
2H249AA70
4K044AA11
4K044AB02
4K044BA01
4K044BB01
4K044BC09
4K044CA07
4K044CA53
4K044CA71
(57)【要約】
本発明は、ナトリウム界面の製造方法及びナトリウムの光学構造デバイスの製造方法を提供する。当該ナトリウム界面の製造過程は、不活性ガス雰囲気下で実行され、固体金属ナトリウムを加熱して液体状態に溶融するとともに、溶融ナトリウムの表面の固体酸化物と不純物を取り除き、金属光沢のある純粋な液体ナトリウムを得るステップ(1)と、誘電体基板上に液体ナトリウムをスピンコーティングして、誘電体基板に密着するナトリウム界面を得るステップ(2)とを含む。熱アシストスピンコーティング法により、大面積で低コストの安定した滑らかなナトリウム界面およびナトリウムのマイクロナノ構造の製造を容易に実現することができ、製造されたナトリウム界面はラズモンポラリトン材料として使用することができ、ラズモンポラリトン光導波路、ナノレーザーなどに適用される。製造されたナトリウム界面の誘電体基板と接触していない面のナトリウムを他の誘電体基板で覆ってシールし、ナトリウム界面を空気から完全に遮断させ、ナトリウムの光学構造デバイスを得ることができ、当該ナトリウムデバイスは、空気に長時間さらされても安定して動作することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造過程は、酸素濃度が20ppm未満、湿度が20ppm未満の不活性ガス雰囲気下で実行され、
固体金属ナトリウムを加熱して液体状態に溶融するとともに、溶融ナトリウムの表面の固体酸化物と不純物を取り除き、金属光沢のある純粋な液体ナトリウムを得るステップ(1)と、
誘電体基板上に液体ナトリウムをスピンコーティングして、誘電体基板に密着するナトリウム界面を得るステップ(2)とを含むことを特徴とするナトリウム界面の製造方法。
【請求項2】
ステップ(1)では、前記液体ナトリウムの温度は150~180℃であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム界面の製造方法。
【請求項3】
前記誘電体基板は、空気の遮断が可能で、ナトリウムと反応しない透明基板であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム界面の製造方法。
【請求項4】
前記誘電体基板の液体ナトリウムと接触している表面は、平坦であるか、またはマイクロナノ構造が製造されており、対応して製造されたナトリウム界面は、滑らかなナトリウム界面またはマイクロナノ構造を有するナトリウム界面であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム界面の製造方法。
【請求項5】
前記ナトリウム界面の製造は、不活性ガスで満たされたグローブボックス内で行われ、周囲の酸素濃度が20ppm未満であり、湿度が20ppm未満であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム界面の製造方法。
【請求項6】
製造過程は、酸素濃度が20ppm未満、湿度が20ppm未満の不活性ガス雰囲気下で実行され、
固体金属ナトリウムを加熱して液体状態に溶融するとともに、溶融ナトリウムの表面の固体酸化物と不純物を取り除き、金属光沢のある純粋な液体ナトリウムを得るステップ(1)と、
第1の誘電体基板上に液体ナトリウムをスピンコーティングして、誘電体基板に密着するナトリウム界面を得るステップ(2)と、
ナトリウム界面の第1の誘電体基板と接触していない面を第2の誘電体基板で覆い、次にナトリウム界面の第1および第2の誘電体基板と接触しているエッジの周りをシールして、ナトリウム界面を空気から完全に遮断させ、ナトリウムの光学構造デバイスを得るステップ(3)とを含むことを特徴とするナトリウムの光学構造デバイスの製造方法。
【請求項7】
ステップ(1)では、前記液体ナトリウムの温度は150~180℃であることを特徴とする請求項6に記載のナトリウムの光学構造デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記第1の誘電体基板の液体ナトリウムと接触している表面は、平坦であるか、またはマイクロナノ構造が製造されていることを特徴とする請求項6に記載のナトリウムの光学構造デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記第1の誘電体基板は、空気の遮断が可能で、ナトリウムと反応しない透明基板であり、第2の誘電体基板は、空気の遮断が可能で、ナトリウムと反応しない基板であることを特徴とする請求項6に記載のナトリウムの光学構造デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記ナトリウムの光学構造デバイスは、不活性ガスで満たされたグローブボックス内で製造され、周囲の酸素濃度が20ppm未満であり、湿度が20ppm未満であることを特徴とする請求項6に記載のナトリウムの光学構造デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ金属ナトリウム界面の製造に関し、特にナトリウム界面の製造方法及び当該方法に基づくナトリウムの光学構造デバイスの製造方法に関し、金属表面ラズモンポラリトン材料の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
金属表面ラズモンポラリトンは、集積光電、光電検出、ナノレーザー及び他の分野での巨大な適用により、広く注目されている。ラズモンポラリトン材料の中では、貴金属の金と銀は、可視および近赤外帯域での損失が比較的少ないため、最も一般的に使用される2つの材料である。ただし、これら2つの金属は光損失が大きいため、ラズモンポラリトンの適用では、デバイスの性能が制限され、かつ貴金属が高価である。従って、置換するように、より低損失で低コストの材料を選択することが急務となる。アルカリ金属ナトリウムは、バンド間損失が少ないため、従来、理想的なラズモンポラリトン材料と考えられているが、化学的活性が高いため、安定した滑らかな金属界面および金属マイクロナノ構造を製造することは非常に困難であり、ラズモンポラリトン等の金属の適用の実現は困難である。
【0003】
従来の金属薄膜の製造方法には、物理蒸着法と結晶成長法がある。物理蒸着法は、機器コストが高く、製造条件が厳しく、蒸着時間が長いというデメリットがある。結晶成長法は、外部環境の制御に対する要求が高く、成長期間が長い。2つの方法で製造されたサンプルのサイズは限られており、金属薄膜の大量生産を実現することは困難である。そして、ナトリウムの化学的活性が比較的高いため、安定した金属界面とマイクロナノ構造は、酸素濃度と湿度が非常に低い環境でのみ形成できる。以上の製造方法では、このような製造環境を実現することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の金属薄膜の製造方法ではアルカリ金属ナトリウム界面及びマイクロナノ構造の製造を実現することが困難であるという問題を解決するために、本発明は、ナトリウム界面の製造方法、および当該方法に基づくナトリウムの光学構造デバイスの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るナトリウム界面の製造方法では、製造過程は、酸素濃度が20ppm未満、湿度が20ppm未満の不活性ガス雰囲気下で実行され、
固体金属ナトリウムを加熱して液体状態に溶融するとともに、溶融ナトリウムの表面の固体酸化物と不純物を取り除き、金属光沢のある純粋な液体ナトリウムを得るステップ(1)と、
誘電体基板上に液体ナトリウムをスピンコーティングして、誘電体基板に密着するナトリウム界面を得るステップ(2)とを含む。
【0006】
好ましくは、上記ナトリウム界面の製造過程は、不活性ガスで満たされたグローブボックス内で行われ、周囲の酸素濃度が20ppm未満であり、湿度が20ppm未満である。
【0007】
上記ステップ(1)では、固体金属ナトリウムを150~180℃に加熱することが好ましい。即ち、溶融された液体ナトリウムの温度は150~180℃である。この時、スピンコーティングされたナトリウム界面は、高品質、完全な界面、均一な厚さを備える。液体ナトリウムの温度は、そのちょう度に影響を与え、それによってスピンコーティング効果と凝固速度に影響を与える。液体ナトリウムの温度が高すぎると、スピンコーティングの場合、スピンコーティング過程中に基板から分離しやすくなり、基板上にナトリウム界面を形成することができない。液体ナトリウムの温度が低すぎると、ちょう度が大きくなり、凝固速度が遅くなり、基板上に完全で均一なナトリウム界面を得ることができない。
【0008】
スピンコーティングのプロセスパラメータは、誘電体基板のサイズに応じて調整することができる。長さ1.5cm、幅1.5cm、厚さ0.2mmのサイズの誘電体基板を例とすると、スピンコーティングの場合、誘電体基板の回転数は、好ましくは4000~8000r/min、最も好ましくは6000r/minである。この時、より高品質のナトリウム界面が得られる。誘電体基板のサイズが大きい場合は、回転数を適切に上げて、液体ナトリウムの凝固が速すぎるのを防ぐことができる。
【0009】
そのうち、誘電体基板は、空気の遮断が可能で、ナトリウムと反応しない透明基板である。誘電体基板の液体ナトリウムと接触している表面は平坦な表面であってもよく、この時に製造されるナトリウム界面は滑らかなナトリウム界面である。誘電体基板の液体ナトリウムと接触している表面はマイクロナノ構造が製造された表面であってもよく、この時に製造されるナトリウム界面はマイクロナノ構造を有するナトリウム界面である。
【0010】
上記ナトリウム界面の製造方法に基づいて、ナトリウムの光学構造デバイスを更に製造することができる。具体的には、本発明に係るナトリウムの光学構造デバイスの製造方法では、製造過程は、酸素濃度が20ppm未満、湿度が20ppm未満の不活性ガス雰囲気下で実行され、
固体金属ナトリウムを加熱して液体状態に溶融するとともに、溶融ナトリウムの表面の固体酸化物と不純物を取り除き、金属光沢のある純粋な液体ナトリウムを得るステップ(1)と、
第1の誘電体基板上に液体ナトリウムをスピンコーティングして、誘電体基板に密着するナトリウム界面を得るステップ(2)と、
ナトリウム界面の第1の誘電体基板と接触していない面を第2の誘電体基板で覆い、次にナトリウム界面の第1および第2の誘電体基板と接触しているエッジの周りをシールして、ナトリウム界面を空気から完全に遮断させ、ナトリウムの光学構造デバイスを得るステップ(3)とを含む。
【0011】
好ましくは、製造過程は、不活性ガスで満たされたグローブボックス内で行われ、周囲の酸素濃度が20ppm未満であり、湿度が20ppm未満である。ステップ(1)~(2)における製造プロセスの制御はナトリウム界面製造方法と同じである。
【0012】
そのうち、第1の誘電体基板は、空気の遮断が可能で、ナトリウムと反応しない透明基板である。製造の需要に応じて、第1の誘電体基板の液体ナトリウムと接触している表面は、平坦な表面又はマイクロナノ構造が製造された表面であってもよく、それに対応して、滑らかなナトリウム界面光学構造デバイス又はナトリウムの微細マイクロナノ構造デバイスを製造することができる。第2の誘電体基板は、主にシーリングの役割を果たしており、空気の遮断が可能で、ナトリウムと反応しない基板を選択すればよい。
【0013】
ステップ(3)では、エポキシ樹脂で、ナトリウム界面の第1および第2の誘電体基板と接触するエッジの周りをシールして空気を遮断することができる。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比較すると、本発明の利点は、次の通りである。(1)本発明は、熱アシストスピンコーティング法により、安定したナトリウム界面の製造を実現し、製造条件は簡単、容易、迅速かつ便利であり、コストが低く、かつ、サンプルのサイズが調整でき、大面積かつ大規模な製造を実現することができる。製造されたナトリウム界面はラズモンポラリトン材料として使用することができ、ラズモンポラリトン光導波路、ナノレーザーなどに適用される。(2)当該方法は、誘電体基板の表面との密着を利用することにより、ナトリウム膜の誘電体と接触している面をナトリウム界面として形成することができるとともに、誘電体基板は空気を遮断する役割も果たす。スピンコーティング後、裏面を別の誘電体基板でシールするだけで、空気に長時間さらされても安定して動作することができる。製造されたナトリウムデバイスは3ヶ月以上空気にさらして使用することができる。(3)当該方法は、ナトリウムのマイクロナノ構造の製造に適用可能であり、誘電体基板上にマイクロナノ構造を加工するだけで、ナトリウムの微細マイクロナノ光学構造を実現することができ、これによって、光学デバイスが製造される。ナトリウム表面にマイクロナノ構造を直接加工するという問題を解決して、多くの光学デバイスのテストと適用の要件を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のナトリウム界面製造方法のフローチャートである。
【
図2】実施例1で製造された滑らかで平坦なナトリウム界面の実際の写真及び滑らかなナトリウム界面光学構造デバイスの性能グラフである。
【
図3】実施例3で製造されたナトリウムのマイクロナノ光学構造デバイスのプロセスフローチャートである。
【
図4】実施例3で製造されたナトリウムのマイクロナノ光学構造デバイスのプラズマレーザー伝搬効果図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の技術案を更に説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明のナトリウム界面の製造方法は、
固体金属ナトリウムを加熱して液体状態に溶融し、溶融ナトリウムの外表面はナトリウムのふわふわした固体酸化物で覆われ、同時に、固体ナトリウムに含まれる少量の不純物が表面に拡散し、溶融ナトリウムの表面の固体酸化物と不純物を取り除き、金属光沢のある純粋な液体ナトリウムペレットを得るステップ(1)と、
誘電体基板上に液体ナトリウムをスピンコーティングして、誘電体基板に密着するナトリウム界面を得るステップ(2)とを含む。
【0018】
製造の需要に応じて、表面が滑らかで平坦な誘電体基板又はマイクロナノ構造付きの誘電体基板を選択することができる。滑らかなナトリウム界面を製造する場合、表面が滑らかで平坦な誘電体基板が選択され、石英、アルミナなどが挙げられ、表面は十分に平坦で、粗さは約0.1nmで、サイズは必要に応じて調整できる。マイクロナノ構造を有するナトリウム界面を事前に製造する場合は、マイクロナノ構造付きの誘電体基板が選択され、マイクロナノ構造は、事前にイオンビームやフォトリソグラフィーなどのプロセスを経て、誘電体基板上に加工および形成することができる。
【0019】
具体的には、滑らかな誘電体基板又はマイクロナノ構造付きの誘電体基板をホモジナイザー上に置き、迅速に回転させて、純粋なナトリウム金属液滴を回転している媒体基板上に滴下させることができる。一旦ナトリウム液滴が回転している誘電体基板の表面に接触すると、ナトリウム液滴は、回転している誘電体基板によって加えられる強い遠心力の作用下で基板上にコーティングされ、迅速に固化し密着して、滑らかなナトリウム界面またはマイクロナノ構造を有するナトリウム界面が形成される。
【0020】
上記ステップ(1)~(2)は、いずれも、酸素濃度が20ppm未満、湿度が20ppm未満の不活性ガス雰囲気下で実行され、例えば、グローブボックス内で行うことができる。
【0021】
本発明は、熱アシストスピンコーティング方法により、大面積で低コストの安定した滑らかなナトリウム界面およびナトリウムのマイクロナノ構造の製造を容易に実現することができる。当該ナトリウム界面製造方法を採用することにより、ナトリウムの光学構造デバイスを更に製造することができる。方法は、上記ステップ(1)~(2)に従ってナトリウム界面を製造した後、同じ製造環境を維持し、ステップ(2)で製造されたサンプルの誘電体基板と接触していない面のナトリウムを他の誘電体基板で覆い、次に、ナトリウム界面の2つの誘電体基板と接触しているエッジの周りをエポキシ樹脂または他の材料でシールし、ナトリウム界面を2層の誘電体基板の間に配置し、空気から完全に遮断させて、ナトリウムの光学構造デバイスを得ることである。
【実施例1】
【0022】
滑らかなナトリウム界面を製造した。具体的なステップは以下のとおりである。
【0023】
不活性ガスであるアルゴンで満たされたグローブボックスにおいて、周囲の酸素濃度が20ppm未満であり、湿度が20ppm未満であるように制御し、次の手順を実行する。
【0024】
(i)一定の大きさのナトリウムブロックを取り出してタングステンボートに入れ、表面の酸化物を切り取って金属光沢を出させ、次に加熱テーブルで、ナトリウムブロックが搭載されているタングステンボートを160℃に加熱して、液体状態に溶融させ、ステンレス鋼のピンセットで、溶融ナトリウムの表面に覆われた酸化物と不純物を取り除き、金属光沢のある液体ナトリウムペレットを形成する。
【0025】
(ii)長さ1.5cm、幅1.5cm、厚さ0.2mmのサイズの滑らかな石英基板をグローブボックスに入れ、ホモジナイザー上で迅速に回転させ、熱アシストスピンコーティングプロセスにより、160℃、6000r/minで純粋な液体金属ナトリウムを、周期的構造を有する石英基板上にコーティングし、ナトリウム液を石英基板に密着させてナトリウム界面を製造する。ナトリウム界面の実際の写真は
図2aに示され、製造されたナトリウム界面の表面は滑らかで平坦であることがわかる。
【0026】
(iii)滑らかなナトリウム界面と反対側の面をスライドガラスで覆うとともに、石英基板及びスライドガラスと接触する周囲をエポキシ樹脂でシールすると、滑らかなナトリウム界面光学構造デバイス(「ナトリウムデバイス」と略称する)を得る。
【0027】
標準の銀鏡(Thorlabs,PF10-03-P01)がナトリウムデバイスの反射率をテストするため参照として使用され、
図2bから分かるように、波長が550nmより大きい場合、ナトリウムデバイスの反射率は銀鏡よりも強い。製造されたナトリウムデバイスを120日以上空気にさらした後にその反射率をテストした結果、
図2cに示すように、ナトリウムデバイスの反射率は安定したままであり、本発明によって製造されたナトリウムデバイスは空気に長時間さらされても安定して動作できることを示している。
【実施例2】
【0028】
実施例1の方法を参照してナトリウム界面を製造した。区別は、ステップ(i)では、ナトリウムブロックを180℃に加熱して溶融し、ステップ(ii)では、180℃の液体ナトリウムを8000r/minで石英基板上にスピンコーティングすることであり、得られたナトリウム界面は実施例1のものと同様であり、両方とも滑らかで平坦な表面を有する。
【実施例3】
【0029】
図2に示すように、ナトリウムのマイクロナノ光学構造デバイスを製造した。具体的なステップは以下の通りである。
【0030】
1 誘電体基板上にマイクロナノ構造を加工する。
【0031】
A、長さ1.5cm、幅1.5cm、厚さ0.2mmの石英基板上に約30nmの銀膜を物理蒸着して、導電層を形成する。
【0032】
B、孔径300nm、周期700nm、深さ55nmの周期的ホールアレイを、集束イオンビームによって、表面に銀が付着した石英基板上にエッチングし、アレイは、長さ1.4μm、幅0.7μmであり、100μmを置いて同じ周期サイズのホールアレイを加工し、2つの周期アレイ間の距離が100μmになるようにする。
【0033】
C、硝酸反応により石英基板の表面の銀を除去し、周期的ホールアレイ付きの石英基板のみを残し、
図3bに示すように、それぞれアセトン、エタノール、および脱イオン水で石英板を30min超音波洗浄する。
【0034】
D、洗浄した石英板をマッフル炉に入れ、700℃で6min焼鈍する。
【0035】
E、焼鈍された後のサンプルをアルゴンプラズマによって5minエッチングして、集束イオンビームエッチングによって周期的構造に残っているガリウムを除去する。
【0036】
2 不活性ガスであるアルゴンで満たされたグローブボックスにおいて、周囲の酸素濃度が20ppm未満であり、湿度が20ppm未満であるように制御し、次の手順を実行する。
【0037】
(i)一定の大きさのナトリウムブロックを取り出してタングステンボートに入れ、表面の酸化物を切り取って金属光沢を出させ、次に加熱テーブルで、ナトリウムブロックが搭載されているタングステンボートを160℃に加熱して、液体状態に溶融させ、ステンレス鋼のピンセットで、溶融ナトリウムの表面に覆われた酸化物と不純物を取り除き、金属光沢のある液体ナトリウムペレットを形成する。
【0038】
(ii)周期的構造がエッチングされた石英基板をグローブボックスに入れ、ホモジナイザー上で迅速に回転させ、熱アシストスピンコーティングプロセスにより、160℃、6000r/minで純粋な液体金属ナトリウムを、周期的構造を有する石英基板上にコーティングし、
図3cに示すように、ナトリウム液を石英基板に密着させてナトリウム周期的構造を製造する。
【0039】
(iii)ナトリウム周期的構造と反対側の面をスライドガラスで覆うとともに、石英基板及びスライドガラスと接触する周囲をエポキシ樹脂でシールすると、ナトリウムのマイクロナノ光学構造デバイスを得る。
図3dに示すように、取り出して空気にさらすことができる。
【0040】
波長1180nmのレーザーを選択して、石英基板を通過して1つの周期的構造に入射させ、光を構造と結合する。
図4に示すように、電荷結合デバイス(CCD)により、光が100μmの距離で別の周期的構造から出射することが観察でき、これにより、表面ラズモンポラリトンの伝搬を実現した。
【実施例4】
【0041】
実施例3の方法を参照してナトリウムのマイクロナノ光学構造デバイスを製造する。区別は、ステップ(i)では、ナトリウムブロックを150℃に加熱して溶融し、ステップ(ii)では、150℃の液体ナトリウムを4000r/minで石英基板上にスピンコーティングすることである。
【0042】
波長1180nmのレーザーを選択して、石英基板を通過して1つの周期的構造に入射させる。電荷結合デバイス(CCD)により、光が100μmの距離で別の周期的構造から出射することが観察でき、同様に、表面ラズモンポラリトンの伝搬を実現することができる。
【国際調査報告】