IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オキュラス ブイアール,エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特表-整合面を有するモールド対 図1
  • 特表-整合面を有するモールド対 図2
  • 特表-整合面を有するモールド対 図3
  • 特表-整合面を有するモールド対 図4
  • 特表-整合面を有するモールド対 図5
  • 特表-整合面を有するモールド対 図6
  • 特表-整合面を有するモールド対 図7A
  • 特表-整合面を有するモールド対 図7B
  • 特表-整合面を有するモールド対 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-06
(54)【発明の名称】整合面を有するモールド対
(51)【国際特許分類】
   C03B 11/08 20060101AFI20220425BHJP
   C03B 11/00 20060101ALI20220425BHJP
   B29D 11/00 20060101ALI20220425BHJP
   B29C 45/36 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
C03B11/08
C03B11/00 E
B29D11/00
B29C45/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539641
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 US2020023505
(87)【国際公開番号】W WO2020197912
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/922,234
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/712,805
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】フェイスブック・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FACEBOOK TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】特許業務法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス, カート
(72)【発明者】
【氏名】シャウブ, マイケル パトリック
(72)【発明者】
【氏名】テイラー, バイロン
【テーマコード(参考)】
4F202
4F213
【Fターム(参考)】
4F202AH74
4F202AR07
4F202CA09
4F202CB01
4F202CD25
4F202CK90
4F213AH74
4F213AR07
4F213WA04
4F213WB01
4F213WC01
4F213WF01
(57)【要約】
光学構成要素(150)を成形するためのモールドの対(101、102)が開示される。モールドの対(101、102)は、第1の面(111)を有する第1のモールド(101)と、第2の面(121)を有する第2のモールド(102)とを含む。第1の面(111)は、光学構成要素(150)の第1の光学面(151)を成形するための成形部分(122)と、第2のモールド(102)との整合のための整合部分(113)とを含む。整合部分(113)は、成形部分(112)の周りに延在する。第2の面(121)は、光学構成要素(150)の第2の反対側の光学面(152)を成形するための成形部分(122)と、第1の面(111)の整合部分(113)との接触を介した第1のモールド(101)との整合のための整合部分(123)とを含む。モールド(101、102)が互いに合わせられるとき、それらは自己整合する。対応する成形装置および方法が、様々な光学構成要素を製造するためにモールド対を使用し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学構成要素を成形するためのモールドの対であって、モールドの前記対が、
第1の面を備える第1のモールドと、
第2の面を備える第2のモールドと
を備え、
前記第1の面が、前記光学構成要素の第1の光学面を成形するための成形部分と、前記第2のモールドとの整合のための整合部分とを備え、前記整合部分が、前記成形部分の周りに延在し、
前記第2の面が、前記光学構成要素の前記第1の光学面の反対にある前記光学構成要素の第2の光学面を成形するための成形部分と、前記第1の面の前記整合部分との接触を介した前記第1のモールドとの整合のための整合部分とを備える、
モールドの対。
【請求項2】
前記第1の面の前記整合部分および前記第2の面の前記整合部分が、回転面を備える、請求項1に記載のモールドの対。
【請求項3】
前記第1の面の前記整合部分が、凹切頭円錐面を備え、前記第2の面の前記整合部分が、前記第1の面の前記整合部分の前記凹切頭円錐面に適合された凸切頭円錐面を備える、請求項2に記載のモールドの対。
【請求項4】
前記第1の面の前記成形部分を囲む前記第1の面の前記整合部分が、第1の軸を中心として軸対称であり、前記第2の面の前記成形部分を囲む前記第2の面の前記整合部分が、前記第1の軸を中心として軸対称である、請求項1に記載のモールドの対。
【請求項5】
前記第1の面の前記成形部分および前記第2の面の前記成形部分が、凹回転面を備える、請求項1に記載のモールドの対。
【請求項6】
前記第1の面の前記成形部分および前記第2の面の前記成形部分が、非球面を備える、請求項1に記載のモールドの対。
【請求項7】
前記第1の面の前記整合部分および前記第2の面の前記整合部分が、ダイヤモンド旋削された面を備える、請求項1に記載のモールドの対。
【請求項8】
前記ダイヤモンド旋削された面が、回転面を備える、請求項7に記載のモールドの対。
【請求項9】
光学構成要素を成形するための成形装置であって、前記成形装置が、
第1の面を備える第1のモールドと、
第2の面を備える第2のモールドと、
前記第1の面と前記第2の面とが互いに面するように、前記第1のモールドと前記第2のモールドとを支持するためのモールド支持体と、
前記第1のモールドと前記第2のモールドとを互いに対して押圧するための押圧装置と
を備え、
前記第1の面が、前記光学構成要素の第1の光学面を成形するための成形部分と、前記第2のモールドとの整合のための整合部分とを備え、前記整合部分が、前記成形部分の周りに延在し、
前記第2の面が、前記第1の光学面の反対にある前記光学構成要素の第2の光学面を成形するための成形部分と、前記第1のモールドの前記第1の面の前記整合部分との接触を介した前記第1のモールドとの整合のための整合部分とを備える、
成形装置。
【請求項10】
前記第1の面の前記整合部分および前記第2の面の前記整合部分が、回転面を備える、請求項9に記載の成形装置。
【請求項11】
前記第1の面の前記整合部分が、凹切頭円錐面を備え、前記第2の面の前記整合部分が、前記第1の面の前記整合部分の前記凹切頭円錐面に適合された凸切頭円錐面を備える、請求項10に記載の成形装置。
【請求項12】
前記第1の面の前記成形部分を囲む前記第1の面の前記整合部分が、第1の軸を中心として軸対称であり、前記第2の面の前記成形部分を囲む前記第2の面の前記整合部分が、前記第1の軸を中心として軸対称である、請求項9に記載の成形装置。
【請求項13】
前記第1の面の前記成形部分および前記第2の面の前記成形部分が、凹回転面を備える、請求項9に記載の成形装置。
【請求項14】
前記第1の面の前記成形部分および前記第2の面の前記成形部分が、非球面を備える、請求項9に記載の成形装置。
【請求項15】
前記非球面が回転面を備える、請求項14に記載の成形装置。
【請求項16】
光学構成要素を製造するための方法であって、前記方法は、
第1のモールドの第1の面の成形部分と第2のモールドの第2の面の成形部分との間に光学構成要素材料を配置することであって、前記第1の面が、前記第2のモールドとの整合のための整合部分を備え、前記整合部分が、前記成形部分の周りに延在し、前記第2の面が、前記第1のモールドとの整合のための整合部分を備える、光学構成要素材料を配置することと、
前記第1の面の前記整合部分と前記第2の面の前記整合部分とが互いに係合するように、前記第1のモールドと前記第2のモールドとを互いに対して押圧し、それにより、前記第1のモールドの前記成形部分と前記第2のモールドの前記成形部分とを互いに整合させることと
を含む、方法。
【請求項17】
前記光学構成要素材料が、溶融ガラスまたはプラスチックを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記光学構成要素材料が、加熱された固体ガラスプリフォームを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のモールドまたは前記第2のモールドのうちの少なくとも一方が、ニッケルめっきされる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の面の前記整合部分が、凹切頭円錐面を備え、前記第2の面の前記整合部分が、前記凹切頭円錐面に適合された凸切頭円錐面を備え、
前記第1のモールドと前記第2のモールドとが、互いに対して押圧されるとき、前記凸切頭円錐面が、前記凹切頭円錐面と係合し、それにより、前記凸切頭円錐面と前記凹切頭円錐面とが同軸であるように、前記第1のモールドと前記第2のモールドとを自己位置合わせする、
請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学製造に関し、詳細には、たとえば、レンズなど、様々な光学構成要素を成形することに関する。
【背景技術】
【0002】
最初のレンズおよびミラーは、研削および研磨のプロセスを使用して製造された。2つの基板を互いに対してこすることは、当然、両方の基板の平坦面または球面を生じ、なぜなら、平坦面および球面のみが、研削および研磨アクション中に、回され、互いに対して押圧されるとき、完全に接触したままであり得るからである。研削および研磨/ラッピングは、今日まで、依然として、光学用途のためのレンズおよびミラーを製造するための最も頻繁に使用される方法である。
【0003】
従来のレンズ研削および研磨プロセスは、それらの固有の限定を有する。第1に、それらは時間がかかり、第2に、それらは大部分が球面に限定される。放物面、楕円面、および双曲面など、他の重要な光学面は、研削および研磨を使用して作り出すことがはるかに困難であり、なぜなら、これらの面は、研削/ラッピングの円状の動きで回され、シフトされるとき、同じことを再現しないからである。そのような複雑な面は、通常、製造の特殊技法、たとえば、レンズまたはミラーの異なる半径方向部分について異なる量の研磨を提供することができる、コンピュータ化された研磨/研削盤を使用した局所研削/研磨を必要とする。局所研削および研磨により、非球面レンズおよびミラーは、製造に時間および費用がかかるものとなる。
【0004】
光学要素の成形は、レンズおよびミラーの光学面を製造するための時間およびコストを低減するための試みにおいて提案された。成形材料は、たとえば、ガラスまたはプラスチックを含み得る。一般的な精密ガラス成形プロセスでは、「ゴブ」と呼ばれるガラスプリフォームが、2つのモールド(mould)の間に配置され、それらのモールドは、成形されるべき光学構成要素の所望の厳密な光学面形状に適合する精密に機械加工されたモールド面を有する剛体である。ゴブは、柔軟になるまで加熱され、モールドは、制御可能な量の変位で互いに合わせられ、それらのモールド面は、ゴブを所望の形状にするようにゴブに対して押圧する。
【0005】
精密ガラス成形プロセスおよび工具が開発されると、成形は、研削および研磨などの従来の製作技法に勝る大きい利点を有する。成形されたレンズ品質特性の大部分は工具依存(tool-bound)であり、これは、成形された光学要素が、通常、光学要素ごとにわずかに小さい偏差を有するにすぎないことを意味する。たとえば、レンズの重要な特性は、その光学面の形状、すなわち、面サグである。成形されたレンズは、極めて再現可能な面サグを有する。一方、成形されたレンズ面の互いに対するセントレーションなど、他のレンズパラメータは、プロセス変動を受けやすいままであり得る。
【発明の概要】
【0006】
本開示によれば、光学構成要素を成形するためのモールドの対が提供される。本モールドの対は、第1の面を備える第1のモールドと、第2の面を備える第2のモールドとを含む。第2の面は、光学構成要素の第1の光学面の反対にある光学構成要素の第2の光学面を成形するための成形部分と、第1の面の整合部分との接触を介した第1のモールドとの整合のための整合部分とを含む。整合部分は、成形部分の周りに延在する。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の面の整合部分および第2の面の整合部分は、回転面を含む。たとえば、第1の面の整合部分は、凹切頭円錐面を含み得、第2の面の整合部分は、第1の面の整合部分の凹切頭円錐面に適合された凸切頭円錐面を含み得る。
【0008】
第1の面の整合部分および第2の面の整合部分は、回転面に限定されない。高速および/または低速工具サーボを用いたダイヤモンド旋削を使用して、アナモルフィックおよびフリーフォーム面を含む、ほとんどどんな形状でも、作製され得る。これらはまた、所望される場合、単一のセットアップにおいて旋削されるので、それらは、モールドの整合フィーチャに対して極めてうまくセンタリングされ得る。
【0009】
第1の面の成形部分および第2の面の成形部分は、それぞれの整合部分によってすべておよび連続的に囲まれ得る。第1の面の成形部分を囲む第1の面の整合部分は、第1の軸を中心として軸対称であり得、第2の面の成形部分を囲む第2の面の整合部分は、第1の軸を中心として軸対称であり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の面および第2の面の各々は、それぞれの整合部分を囲む直線部分を含み得る。第1の面の成形部分および第2の面の成形部分は、凹面、および/または非球面を含み得る。第1の面の整合部分および第2の面の整合部分は、ダイヤモンド旋削された面を含み得る。第1の面および第2の面の全体が、より良い精度のためにダイヤモンド旋削され得る。
【0011】
本開示によれば、光学構成要素を成形するための成形装置が提供される。本成形装置は、第1の面を備える第1のモールドと、第2の面を備える第2のモールドと、第1の面と第2の面とが互いに面するように、第1のモールドと第2のモールドとを支持するためのモールド支持体と、整合のために第1のモールドと第2のモールドとを互いに対して押圧するための押圧装置とを含む。第1の面は、光学構成要素の第1の光学面を成形するための成形部分と、第2のモールドとの整合のための整合部分とを含む。第2の面は、第1の光学面の反対にある光学構成要素の第2の光学面を成形するための成形部分と、第1の面の整合部分との接触を介した第1のモールドとの整合のための整合部分とを含む。整合部分は、成形部分の周りに延在する。
【0012】
本成形装置のいくつかの実施形態では、第1の面の整合部分および第2の面の整合部分は、回転面を含む。たとえば、第1の面の整合部分は、凹切頭円錐面を含み得、第2の面の整合部分は、第1の面の整合部分の凹切頭円錐面に適合された凸切頭円錐面を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の面の成形部分および第2の面の成形部分は、それぞれの整合部分によって完全に囲まれる。
【0013】
第1の面および第2の面の各々は、それぞれの整合部分を囲む直線部分を含み得る。第1の面の成形部分および第2の面の成形部分は、凹面、フリーフォーム面、アナモルフィック面、非球面などを含み得る。第1の面の整合部分および第2の面の整合部分は、ダイヤモンド旋削された面を含み得る。
【0014】
本開示によれば、光学構成要素を製造するための方法がさらに提供される。本方法は、第1のモールドの第1の面の成形部分と第2のモールドの第2の面の成形部分との間に光学構成要素プリフォームを配置することを含み得る。第1の面は、第2のモールドとの整合のための整合部分を含み、第2の面は、第1のモールドとの整合のための整合部分を含む。整合部分は、対応する成形部分の周りに延在する。本方法は、第1の面の整合部分と第2の面の整合部分とが互いに係合し、それにより、第1のモールドと第2のモールドとを互いに整合させるように、第1のモールドと第2のモールドとを互いに対して押圧することをさらに含み得る。押圧は、制御可能な量の圧力で実施され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の面の整合部分は、凹切頭円錐面を含み、第2の面の整合部分は、凹切頭円錐面に適合された凸切頭円錐面を含む。第1のモールドと第2のモールドとが、互いに対して押圧されるとき、凸切頭円錐面は、凹切頭円錐面と係合し、それにより、凸切頭円錐面と凹切頭円錐面とが同軸であるように、第1のモールドと第2のモールドとを自己位置合わせする。第1の面および第2の面は、さらなる精度のためにダイヤモンド旋削によって製造され得る。本方法は、押圧の前に、光学構成要素プリフォームのガラス転移温度を上回って光学構成要素プリフォームを加熱することをさらに含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、光学構成要素材料は、溶融ガラスまたはプラスチックを含む。いくつかの実施形態では、光学構成要素材料は、加熱された固体ガラスプリフォームを含む。第1のモールドまたは第2のモールドのうちの少なくとも一方は、ニッケルめっきされ得る。
【0017】
次に、図面に関して例示的な実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示のモールドの対の側面断面図である。
図2図1のモールドの面の円錐整合部分の3次元ビューである。
図3図1のモールドの対の間に配置されたプリフォームの側面断面図である。
図4図1のモールドの成形部分の一実施形態の側面断面図である。
図5図1のモールドの整合部分の一実施形態の側面断面図である。
図6】本開示による、光学構成要素を成形するための成形装置の側面図である。
図7A】ゴブに対して押圧する本開示のモールドの対を使用して光学構成要素を製造するための方法のフローチャートである。
図7B】本開示のモールドの対を使用して射出成形によって光学構成要素を製造するための方法のフローチャートである。
図8】本開示のモールドを使用して製造された光学要素を含むヘッドマウントディスプレイの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本教示は、様々な実施形態および例に関して説明されるが、本教示は、そのような実施形態に限定されるものではない。見方を変えれば、本教示は、当業者によって諒解されるように、様々な代替形態および等価物を包含する。本開示の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの特定の例を具陳する、本明細書のすべての記述は、それらの構造的等価物と機能的等価物の両方を包含するものとする。加えて、そのような等価物は、現在知られている等価物、ならびに将来において開発される等価物、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を実施する開発された要素の両方を含むものとする。
【0020】
本明細書で使用される、「第1の」、「第2の」などの用語は、明示的に述べられていない限り、順序を暗示するものではなく、むしろ、ある要素を別の要素と区別するものである。同様に、方法ステップの順序は、明示的に述べられていない限り、方法ステップの実行の順番を暗示しない。図1図6では、同様の参照番号は、同様の要素を指す。
【0021】
2つの湾曲した光学面を有する光学要素の1つの重要な特性は、光学面の相互セントレーションである。たとえば、レンズの2つの屈折面は、レンズの光学収差を増加させることを回避するために、互いに精密に整合される必要がある。成形されたレンズ面のセントレーションは、モールド自体のセントレーションに依存する。モールドは、精密ピンと適合ホールとのセットでセンタリングされ得る。しかしながら、大きく湾曲した面をもつ光学要素、たとえば、小さい高開口数レンズの場合、ピンベースのセンタリングは、不十分なレベルの精度を提供し得る。
【0022】
本開示によれば、モールドの対が、各々、整合部分と成形部分とを有する面を含み得る。面は、たとえば、ダイヤモンド旋削によって得られ得る。たとえば、ダイヤモンド旋削機械の単一のセットアップにおいて、面を整形する性質により、整合部分と成形部分とは、高度の精度で互いに整合される。対のモールドの面の整合部分は、互いに適合され得る。たとえば、面の整合部分は、適合された切頭円錐面、すなわち、凸切頭円錐面および凹切頭円錐面を含み得る。互いの中に挿入されるとき、円錐面は自己整合し、それぞれの成形部分の精密セントレーションを確実にする。回転面が選好され得るが、他の整合形状が可能である。面の整合部分は、面の成形部分の周りに延在し、すなわち、対応する成形部分の周りに連続的に延在し得る。
【0023】
図1を参照すると、レンズなどの光学構成要素150を成形するためのモールドの対が、第1の面111を有する第1のモールド101と、第2の面121を有する第2のモールド102とを含む。第1の面111は、光学構成要素150の第1の光学面151を成形するための成形部分112と、第2のモールド102との整合のための整合部分113とを含む。第2の面121は、光学構成要素150の第2の反対の光学面152を成形するための成形部分122と、第1の面111の整合部分113との接触を介した第1のモールド101との整合のための整合部分123とを備える。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の面111および第2の面121は、回転面である。本明細書では、「回転面」という用語は、回転軸を中心として任意の曲線を回転することによって得られ得る面を意味する。たとえば、図1に示されている実施形態では、第1の面111のための曲線は、軸100を中心として回転される第1のモールド101の輪郭であり得、したがって、第2の面121のための曲線は、同じ軸100を中心として回転される第2のモールド102の輪郭であり得、すなわち、第1の面111と第2の面121とは、整合されたときに同軸である。第1の面111の成形部分112および第2の面121の成形部分122は、球面レンズ、非球面レンズ、フレネルレンズ、回折レンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、凹凸レンズ、円錐光学要素、または2つの同軸回転面を有する任意の他の光学要素を形成するための、凹回転面または凸回転面を含み得る。第1の面111の成形部分および第2の面121の成形部分は、回転面である必要がない。高速および/または低速工具サーボを用いたダイヤモンド旋削を使用することによって、ほとんどどんな形状でも作製され得る。
【0025】
図1に示されているように、第1の面111の成形部分および第2の面112の成形部分は、それぞれの整合部分113、123によって囲まれ、整合部分113、123は、成形部分112、122の周りに、連続的に、すなわちギャップなしに延在する。第1の面111および第2の面121の各々は、それぞれの整合部分を囲む直線部分を含み得る。例示的な例として、第1の面111は、整合部分113を囲む直線部分114を含み得、第2の面121は、それぞれの整合部分123を囲む直線部分124を含み得る。
【0026】
図1をさらに参照しながら図2を参照すると、第1のモールド101の第1の面111の整合部分113は、凹切頭円錐面213を含み得、第2のモールド102の第2の面121の整合部分123は、第1の面111の整合部分113の凹切頭円錐面213に適合された凸切頭円錐面223を含み得る。自己整合のプロセス中に、第1のモールド101の第1の面111の凹切頭円錐面213は、図2に示されているように、第2のモールド102の第2の面121の凸切頭円錐面223中に挿入される。2つの円錐面213と223とが物理的な接触において互いに係合するとき、第1の面111と第2の面121とは、互いに自己整合し、共通軸100と同軸になり、それにより、それぞれの成形部分112と122とを整合させる。面全体が、ダイヤモンド旋削機械のダイヤモンド工具、あるいは精密旋盤の切断工具または整形工具の、同じパス中に製造され得るので、それぞれ、第1のモールド101の第1の面111と第2のモールド102の第2の面121との、それぞれの成形部分112と122との極めて精密な整合が達成され得る。
【0027】
光学構成要素150、たとえば、レンズの製造のための成形アクションは、図3にさらに示されている。ガラスまたはプラスチックゴブ350が、第1のモールド101と第2のモールド102との間に配置され、随意に、そのガラス転移温度Tgを上回って加熱される。第1のモールド101と第2のモールド102とが互いに合わせられるので、ゴブ350は、第1のモールド101の第1の面111の成形部分112と、第2のモールド102の第2の面121の成形部分122とによって、圧搾される。第1のモールド101と第2のモールド102とは、第1の面111の整合部分113と第2の面121の整合部分123とが物理的な接触において互いに係合するとき、自己整合される。
【0028】
第1の面111の整合部分113と第2の面121の整合部分123とが互いに係合するとき、第1の面111の中心厚さの成形部分112と、第2の面121の中心厚さの成形部分122との間の距離が、最小のあらかじめ定められた距離に達し、それにより、圧搾されたゴブ350の中心厚さを定める。次いで、ガラスゴブ350は、冷やされ、モールド101、102のグリップから取り外され得る。圧搾されたゴブ350の厚さは、第1の面111および第2の面121の形状によって明確に定められるので、製造された光学構成要素150の中心厚さは、明確に定められる。製造された光学構成要素150の中心厚さと面形状の両方が、工具依存であり、すなわち、モールド101、102の対によって定められる。モールド101とモールド102とが自己整合しているので、第1の光学面151と第2の光学面152とのセントレーション誤差も工具依存である。
【0029】
第1のモールド101および第2のモールド102はまた、射出成形または鋳造プロセスのために適応され得、第1のモールド101と第2のモールド102とは互いに合わせられ、低温ガラスまたはプラスチックなどの成形材料が、成形部分112と成形部分122との間のキャビティ中に射出される。成形材料は、たとえば、熱硬化性またはUV硬化性であり得る。
【0030】
第1のモールド101および第2のモールド102は、回転面を含む、所望の形状の精密面を形成するための好適な技法を使用して製造され得る。たとえば、旋盤またはダイヤモンド旋削機械が、それぞれ、第1のモールド101の第1の面111および第2のモールド102の第2の面121を製造するために使用され得る。面111および面121の全体が、ダイヤモンド旋削され得るか、または、少なくとも、第1の面111の整合部分113および第2の面121の整合部分123が、ダイヤモンド旋削され得る。しかしながら、成形されるべき光学構成要素は、回転面以外の面、たとえば、マイクロレンズアレイ、または任意の他の配列された要素、回折格子などを含み得ることを理解されたい。アナモルフィックおよびフリーフォーム面が、高速/低速サーボを用いたダイヤモンド旋削によって作製され得る。これらはまた、所望される場合、単一のセットアップにおいて旋削されるので、それらは、モールドの整合フィーチャに対して極めてうまくセンタリングされ得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、成形面部分は平坦にされ得、その場合、必要とされる形状、たとえば、マイクロレンズアレイのものは、精密ミリングされて平坦な成形面部分になり得る。マイクロレンズアレイは、直線、矩形、六角形などであり得る。任意の非回転対称光学面が、このようにして成形され得る。一例として、図4は、マイクロレンズアレイを成形するためのモールド401、402の成形部分412、422を示す。成形部分412、422は、示されているように、個々の凸マイクロレンズを成形するための凹リセスのアレイを含み得る。リセスの代わりに突起が使用されて、マイクロレンズの対応する凹面を作成し得る。
【0032】
レンズ面間の優れたセントレーションが、たいていの場合、望ましいが、整合フィーチャに対する制御された量の偏心で光学面を機械加工することによって、面間の必要とされるオフセットを達成することも可能である。これは、いくつかの光学構成のために有用であり得る。レンズ中に一体に成形され得る、光学面と機械的整合フィーチャとの間の定められたオフセットを得ることもある。
【0033】
モールド面の整合部分は、図1および図2の切頭円錐面に限定されない。たとえば、図5を参照すると、第1のモールド501および第2のモールド502が、それぞれ、第1の回転面511および第2の回転面521を有する。回転面511と回転面521の両方は、軸500を中心として対称である。第1の回転面511は、凹成形部分512と、凹成形部分512の周りに連続的に、すなわちギャップなしに延在する溝付き整合部分513とを含む。溝付き整合部分513は、軸500を中心として対称のおよび三角断面を有する、円形溝の対を含む。第2の回転面521は、別の凹成形部分522と、別の凹成形部分522の周りに連続的に延在する隆起した整合部分523とを含む。隆起した整合部分523は、軸500を中心として対称のおよび三角断面を有する、円形隆起の対を含む。第1のモールド501と第2のモールド502とが互いに合わせられるとき、第1の回転面511と第2の回転面521とは互いに係合し、それにより、第1の501の回転面511と第2の502の回転面512とが同軸になること、すなわち、同じ軸500を中心として対称になることを引き起こす。
【0034】
いくつかの実施形態では、溝付き整合部分513は、平坦であるかまたは湾曲し得る、傾斜壁を有する溝を含み得る。溝は、製造の容易さのために、中心スロットまたはカットアウト(ギャップ)を有し得る。同様に、適合する隆起した整合部分523は、平坦であるかまたは湾曲し得る、傾斜壁を有する隆起を含み得、隆起壁の製造の容易さのために、および対応する溝付き整合部分513に対するより良い整合のために、平坦化されたまたは丸められた隆起の先端を有し得る。成形部分512、522は、凹、凸、球面、非球面、円錐などであり得る。
【0035】
図6を参照すると、光学構成要素を成形するための成形装置600が、図1のモールド101、102の対と同様の、第1のモールド601と第2のモールド602とを含む。図6の第1のモールド601および第2のモールド602は、モールド支持体662によって支持される。第1のモールド601は、第1の面611、たとえば、回転面を有し、第2のモールド602は、第2の面621、たとえば、回転面を有する。モールド支持体662は、ロック可能なホルダー、すなわち、第1の面611と第2の面621とが、示されているように、同軸であり、互いに面しているように、第1のモールド601と第2のモールド602とを支持するチャックを含み得る。第1のモールド601の第1の面611は、光学構成要素の第1の光学面を成形するための成形部分612と、第2のモールド602との整合のための、成形部分612の周りに広がる整合部分613とを含む。同様に、第2の面621は、光学構成要素の第1の光学面の反対にある光学構成要素の第2の光学面を成形するための成形部分622と、第1のモールド601の第1の面611の整合部分613との接触を介した第1のモールド601との整合のための、成形部分622の周りに広がる整合部分623とを含む。
【0036】
押圧装置664が、第1のモールド601と第2のモールド602とを互いに対して押圧するために、矢印665によって指示された方向に力を加えるために構成され得る。第1のモールド601と第2のモールド602とが、互いに対して押圧されるとき、第1の面611の整合部分613と第2の面621の整合部分623とは、直接の物理的な接触において互いに係合し、それにより、第1の面611と第2の面621とをセンタリングし、すなわち、(軸対称面について)それらの面を同軸にする。第1の面611と第2の面621とが、センタリングされる/同軸になるにつれて、それらのそれぞれの成形部分612と622とは、同じく、センタリングされる/同軸になる。これは、成形された光学構成要素の光学面が、モールド601とモールド602とのセンタリングの精度でセンタリングされることを引き起こす。したがって、成形された光学構成要素の面の形が工具依存になるだけでなく、成形された光学構成要素の面のセンタリングも工具依存になり、これは、モールド601、602の同じ対を使用して、次々に、成形された光学構成要素が作られるので、再現性を確実にする。さらに、面611および面621の各々が、旋盤またはダイヤモンド旋削機械(成形されるべき光学構成要素に依存する)の単一のセットアップで得られ得るので、モールドの達成可能なセントレーションは極めて高くなり得ることに留意されたい。
【0037】
図6に示されている実施形態では、第1の面611の整合部分613は、凹切頭円錐面を含み、第2の面621の整合部分623は、第1の面611の整合部分613の凹切頭円錐面に適合された凸切頭円錐面を含む。整合部分613、623は、同心三角隆起に適合される同心三角溝、同心台形隆起に適合される同心台形溝などを含む、他の形状を有し得る。
【0038】
第1の面611の成形部分および第2の面621の成形部分は、それぞれの整合部分によって囲まれ得る。たとえば、整合面部分は、面の中心に配設され得、光学構成要素のための複数のモールドは、面の周辺上に配設され得る。第1の面611および第2の面621の各々の整合部分は、対応する成形部分に関するあらかじめ定められたオフセットを含み得る。
【0039】
図6の実施形態では、第1の面611の成形部分612および第2の面621の成形部分622は、それぞれ、凹回転面、たとえば、非球面両凸レンズを作るための非球面を含む。成形部分612、622の一方または両方はまた、凸球面、非球面、円錐、アナモルフィック、フリーフォームなどであり得ることを理解されたい。成形部分612、622はまた、フレネルレンズおよび回折光学要素、たとえば回折レンズの、同心溝または隆起を含み得る。
【0040】
第1のモールド601および/または第2のモールド602は、鋼、真鍮、アルミニウムなど、様々な材料から作られ得る。モールドの全部または部分がニッケルめっきされるか、あるいはさもなければ、機械加工または性能を支援するために処置され得る。たとえば、成形部分612および/または成形部分622にニッケルを適用することは、光学面に関するより良い仕上げを可能にし得、整合部分、たとえば円錐を、めっきされていない鋼にしておくことは、モールド寿命を改善することができる。
【0041】
図7Aを参照すると、光学構成要素を製造するための方法700が、たとえば、図6の成形装置600を使用して、実施され得る。方法700は、第1のモールドの第1の面の成形部分と第2のモールドの第2の面の成形部分との間に、たとえば、図6の第1のモールド601の第1の面611の成形部分612と第2のモールド602の第2の面621の成形部分622との間に、光学構成要素プリフォームを配置すること(702)を含む。第1の面611は、第2のモールド602との整合のための整合部分613をさらに含み、第2の面621は、第1のモールド601との整合のための整合部分623をさらに含む。次いで、光学構成要素プリフォームまたはゴブは、光学構成要素プリフォームまたはゴブを、押圧によって整形されるのに十分に柔軟にするために、たとえば、そのガラス転移温度Tgを上回って、加熱され得る(図7A、704)。次いで、第1のモールド601と第2のモールド602とは、第1の面611の整合部分613と第2の面621の整合部分623とが互いに接触するように、押圧装置(たとえば、図6中の押圧装置664)によって互いに対して押圧または圧搾される(706)。このアクションによって、第1のモールド601と第2のモールド602とは、互いに整合するようになり、すなわち、同軸になり、成形されている光学構成要素の面がセンタリングされることを確実にする。次いで、光学構成要素プリフォームまたはゴブは冷やされ得る(708)。次いで、モールドは、作られた光学素子(optic)を解放するために分離され得る。
【0042】
成形部分612と成形部分622との間の距離は、モールドジオメトリによって、すなわち、第1の面611および第2の面612の形状によって、定められる。したがって、押圧アクションは圧力制御され得、すなわち、制御可能な量の圧力が加えられて、第1の面611の第1の整合部分613と第2の面612の第2の整合部分623との間の良好な機械的接触を確実にして、適切なセンタリングを確実にし得る。押圧アクションはまた、変位制御され得るが、これは必要でない。
【0043】
図7Aの方法700を用いた光学構成要素の製造の精度は工具依存であるので、モールドは、面サグ、中心厚さ、およびセントレーションなど、光学構成要素の必要とされる仕様に対応するレベルの精度で製造される必要があり得る。製造の高い公差を達成するために、第1の面611および第2の面612は、ダイヤモンド旋削され、すなわち、ダイヤモンド切削工具を使用する機械的機械加工プロセスである、ダイヤモンド旋削プロセスによって製造され得る(701)。ダイヤモンド旋削の後に、好適な方法を使用する、第1の面611および第2の面612またはそれらのそれぞれの成形/整合部分の、研磨、硬化、および/またはコーティング、たとえば、めっきが続き得る。コーティングプロセスステップでは、摩耗、腐食、摩擦、ガラスの付着、および/またはプリフォームのガラス材料との化学反応に対してモールドを保護するために、第1の面611および第2の面612に保護層が適用され得る。
【0044】
図7Bを参照すると、光学構成要素を製造するための方法710が、たとえば、射出成形に好適な図6の成形装置600の一実施形態を使用して、実施され得る。方法710は、2つのモールドを、モールドのそれぞれの整合部分間の物理的な接触まで、互いに合わせること(712)を含む。次いで、たとえば、低温ガラスまたはプラスチックなど、液体成形材料が、2つのモールドのモールド部分によって形成されたモールドキャビティ中に射出され得る(714)。次いで、アセンブリを冷やして、成形材料を固化させることが可能である(716)。次いで、モールドは、作られた光学素子を解放するために分離され得る。
【0045】
図7Bの方法710を用いた光学構成要素の製造の精度は工具依存であるので、モールドは、面サグ、中心厚さ、およびセントレーションなど、光学構成要素の必要とされる仕様に対応するレベルの精度で製造される必要があり得る。製造の高い公差を達成するために、第1の面611および第2の面612は、ダイヤモンド旋削され、すなわち、ダイヤモンド切削工具を使用する機械的機械加工プロセスである、ダイヤモンド旋削プロセスによって製造され得る(711)。ダイヤモンド旋削の後に、好適な方法を使用する、第1の面611および第2の面612またはそれらのそれぞれの成形/整合部分の、研磨、硬化、および/またはコーティング、たとえば、めっきが続き得る。コーティングプロセスステップでは、摩耗、腐食、摩擦、ガラスの付着、および/またはプリフォームのガラス材料との化学反応に対してモールドを保護するために、第1の面611および第2の面612に保護層が適用され得る。
【0046】
本開示の実施形態は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムとともに実装され得る。人工現実システムは、視覚情報、オーディオ、タッチ(体性感覚)情報、加速度、平衡など、感覚を通して得られる外界に関する感覚情報を、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整する。非限定的な例として、人工現実は、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、あるいはそれらの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、またはキャプチャされた(たとえば、現実世界の)コンテンツと組み合わせられた生成されたコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、体性またはハプティックフィードバック、あるいはそれらの何らかの組合せを含み得る。このコンテンツのいずれも、観察者に3次元効果をもたらすステレオビデオにおいてなど、単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る。さらに、いくつかの実施形態では、人工現実は、たとえば、人工現実におけるコンテンツを作成するために使用される、および/または人工現実において別様に使用される(たとえば、人工現実におけるアクティビティを実施する)アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せにも関連し得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたヘッドマウントディスプレイ(HMD)などのウェアラブルディスプレイ、スタンドアロンHMD、眼鏡のフォームファクタを有するニアアイディスプレイ、モバイルデバイスまたはコンピューティングシステム、あるいは、1人または複数の観察者に人工現実コンテンツを提供することが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含む、様々なプラットフォーム上に実装され得る。
【0047】
図8を参照すると、HMD800は、AR/VR環境へのより大きい程度の没入のためのユーザの顔を囲むAR/VRウェアラブルディスプレイシステムの一例である。HMD800の機能は、コンピュータ生成された像で物理的現実世界の環境のビューを拡張すること、および/または、完全に仮想3D像を生成することである。HMD800は、前面本体802と、バンド804とを含み得る。前面本体802は、信頼できるおよび快適な様式でのユーザの眼の前への配置のために構成され、バンド804は、ユーザの頭部上で前面本体802を固定するために伸張され得る。ディスプレイシステム880は、ユーザにAR/VR像を提示するために、前面本体802中に配設され得る。ディスプレイシステム880およびHMD800の他のモジュールは、本明細書で説明される技法および工具を使用して製造された光学構成要素を含み得る。前面本体802の側面806は、不透明であるか、または透明であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、前面本体802は、ロケータ808と、HMD800の加速度を追跡するための慣性測定ユニット(IMU)810と、HMD800の位置を追跡するための位置センサー812とを含む。IMU810は、HMD800の動きに応答して1つまたは複数の測定信号を生成する位置センサー812のうちの1つまたは複数から受信された測定信号に基づいて、HMD800の位置を指示するデータを生成する電子デバイスである。位置センサー812の例は、1つまたは複数の加速度計、1つまたは複数のジャイロスコープ、1つまたは複数の磁力計、動きを検出する別の好適なタイプのセンサー、IMU810の誤差補正のために使用されるタイプのセンサー、またはそれらの何らかの組合せを含む。位置センサー812は、IMU810の外部に、IMU810の内部に、またはそれらの何らかの組合せで位置し得る。
【0049】
ロケータ808は、仮想現実システムが、HMD800全体のロケーションおよび配向を追跡することができるように、仮想現実システムの外部撮像デバイスによって追跡される。IMU810および位置センサー812によって生成された情報は、HMD800の位置および配向の追跡正確さ改善のために、ロケータ808を追跡することによって取得された位置および配向と比較され得る。正確な位置および配向は、ユーザが、3D空間において移動し、回転するので、適切な仮想風景をユーザに提示するために重要である。
【0050】
HMD800は、HMD800の一部または全部の周囲のローカルエリアの深度情報を記述するデータをキャプチャする、深度カメラアセンブリ(DCA)811をさらに含み得る。そのために、DCA811は、レーザーレーダー(LIDAR)、または同様のデバイスを含み得る。DCA811は、本明細書で説明される技法および工具を使用して製造された光学構成要素を含み得る。深度情報は、3D空間におけるHMD800の位置および配向の決定のより良好な正確さのために、IMU810からの情報と比較され得る。
【0051】
HMD800は、リアルタイムでユーザの眼の配向および位置を決定するための視標追跡システム814をさらに含み得る。視標追跡システム814は、本明細書で説明される技法および工具を使用して製造された光学構成要素を含み得る。眼の取得された位置および配向はまた、HMD800が、ユーザの視線方向を決定することと、それに応じてディスプレイシステム880によって生成された画像を調整することとを可能にする。一実施形態では、輻輳、すなわち、ユーザの眼視線の収束角が決定される。決定された、視線方向および輻輳角はまた、画角および眼の位置に応じて、視覚的アーティファクトのリアルタイム補償のために使用され得る。さらに、決定された、輻輳および視線角は、ユーザとの対話、オブジェクトをハイライトすること、オブジェクトを前景に持ってくること、追加のオブジェクトまたはポインタを作成することなどのために使用され得る。たとえば、前面本体802に組み込まれた小さいスピーカーのセットを含む、オーディオシステムも提供され得る。
【0052】
本明細書で開示する態様に関して説明される、様々な例示的な論理、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用されるハードウェアは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートまたはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、あるいは本明細書で説明される機能を実施するように設計されたそれらの任意の組合せで実装または実施され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。代替的に、いくつかのステップまたは方法は、所与の機能に固有である回路によって実施され得る。
【0053】
本開示は、本明細書で説明される特定の実施形態によって、範囲が限定されるべきではない。実際は、上記の説明および添付の図面から、本明細書で説明されるものに加えて、他の様々な実施形態および修正が当業者に明らかになろう。したがって、そのような他の実施形態および修正は、本開示の範囲内に入るものとする。さらに、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実装形態のコンテキストにおいて、本明細書で説明されたが、本開示の有用性がそれに限定されないこと、および、本開示が、任意の数の目的のための任意の数の環境において有益に実装され得ることを、当業者は認識されよう。したがって、以下に記載する特許請求の範囲は、本明細書で説明される本開示の全幅および全趣旨に鑑みて解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】