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特表2022-524488外部磁場の角度及び強度を測定する電子回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-06
(54)【発明の名称】外部磁場の角度及び強度を測定する電子回路
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20220425BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20220425BHJP
   G01D 5/16 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
G01R33/02 L
G01R33/09
G01D5/16 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547376
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 IB2020052517
(87)【国際公開番号】W WO2020188513
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】19315017.4
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509096201
【氏名又は名称】クロッカス・テクノロジー・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】ティモフィーエフ・アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】アラウィ・アリ
(72)【発明者】
【氏名】ブルミストロフ・エフゲニー
【テーマコード(参考)】
2F077
2G017
【Fターム(参考)】
2F077AA46
2F077CC02
2F077JJ09
2F077PP14
2F077QQ03
2F077TT13
2F077TT16
2G017AA02
2G017AA03
2G017AB09
2G017AD53
2G017AD55
2G017BA09
(57)【要約】
【課題】外部磁場の角度及び強度を求める電子回路において、計算負荷を軽減する。
【解決手段】第1磁場検知ユニット(300)の持つ検知軸線と第2磁場検知ユニット(400)の持つ検知軸線が互いに実質的に直交している、第1磁場検知ユニット(300)及び第2磁場検知ユニット(400)と、
生成器周波数(fg)を有する同期信号(101)を供給し、第1電圧波形(201)を第1磁場検知ユニット(300)に、第2電圧波形(202)を第2磁場検知ユニット(400)に供給するように構成された電圧発生器(200)と、
第1及び第2検知出力信号(301、401)が入力され、第1検知出力信号(301)と第2検知出力信号(401)を加算して条件付き信号(601)を出力するように構成された信号調整ユニット(500、600)と、
を備える、外部磁場(60)の角度と及び強さを測定する電子回路において、
第1及び第2電圧波形(201,202)は、実質的に同じ振幅と同じ生成周波数(f)を有し、互いに約90°位相がずれていて、
条件付き信号(601)と同期信号(101)との間の位相ずれを測定し、測定された位相ずれから外部磁場の角度を決定するように構成されている磁場角度検出ユニット(700)に、条件付き信号(601)及び同期信号(101)が、入力される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1検知出力信号(301)を出力するように構成された第1磁場検知ユニット(300)、及び第2検知出力信号(401)を出力するように構成された第2磁場検知ユニット(400)であって、第1磁場検知ユニット(300)の第1検知軸線(330)が、第2磁場検知ユニット(400)の第2検知軸線(430)と実質的に直交している、第1磁場検知ユニット(300)及び第2磁場検知ユニット(400)と、
生成器周波数(f)を有する同期信号(101)を供給し、第1電圧波形(201)を第1磁場検知ユニット(300)に、第2電圧波形(202)を第2磁場検知ユニット(400)に供給するように構成された電圧発生器(200)と、
第1及び第2検知出力信号(301、401)が入力され、第1検知出力信号(301)と第2検知出力信号(401)を加算して条件付き信号(601)を出力するように構成された信号調整ユニット(500、600)と、
を備える、外部磁場(60)の角度と及び強さを測定する電子回路であって、
第1及び第2電圧波形(201,202)は、実質的に同じ振幅と同じ生成周波数(f)を有し、互いに約90°位相がずれていて、
磁場角度検出ユニット(700)が、条件付き信号(601)及び同期信号(101)を受信するように構成され、条件付き信号(601)と同期信号(101)との間の位相ずれを測定し、測定された位相ずれから外部磁場の角度(θ)を決定するように構成されている、電子回路(60)において、
前記第1及び第2磁場検知ユニット(300、400)の各々は、磁気トンネル接合を有し、前記第1及び第2検知出力信号(301、401)の振幅が前記外部磁場(60)の強度の変化に伴って線形に変化するように構成されていて、前記電子回路は、前記条件付き信号(601)の振幅から前記外部磁場(60)の強度(H)を決定するように構成された磁場強度検出ユニット(800)をさらに備えていることと、
磁場検知ユニット(300、400)が、外部磁場(60)の強度を決定可能に、飽和状態の基準磁化(210)を有する磁場検知素子で構成されていることと
の少なくとも一方を特徴とする、電子回路(60)。
【請求項2】
信号調整ユニット(500、600)が、第1検知出力信号(301)を第2検知出力信号(401)に1:1の割合で加えるように構成されている、請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
第1及び第2磁場検知ユニット(300、400)のそれぞれは、ハーフブリッジ又はフルブリッジ回路で配置された複数の磁場検知素子(20-23)が分圧器として機能し、その分圧比が外部磁場の角度及び磁場強度の関数である、請求項1又は2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記磁場検知素子(20から23)は、磁気トンネル接合で構成されている、請求項1又は2に記載の電子回路。
【請求項5】
前記信号調整ユニットは、位相比較器(600)を備えていて、
前記位相比較器は、前記第1検知出力信号(301)と前記第2出力信号(401)とを合計し、合計された信号の位相を検出するように構成されていて、
出力される条件付き信号(601)は、デジタル位相比較器の信号で構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項6】
前記信号調整ユニットは、前記第1及び第2検知出力信号(301,401)が入力される加算回路(500)を備え、前記加算回路(500)は、前記第1及び第2検知出力信号(301、401)を加算して対応する合計信号(501)を出力するように構成されていて、
前記信号調整ユニットは、前記合計信号(501)が入力される位相比較器(600)をさらに備え、前記位相比較器(600)は、前記合計信号(501)の位相を検出するように構成されていて、
前記条件付き信号は、前記位相比較器(600)が出力するデジタル位相比較器信号(601)に相当している、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項7】
第1磁場検知部(300)及び第2磁場検知部(400)のそれぞれと加算回路(500)の入力との間に設けられた直流遮断用コンデンサ(350)をさらに備える、請求項6に記載の電子回路。
【請求項8】
前記加算回路(500)の出力と前記位相比較器(600)の入力との間に配置されたローパスフィルタ(900)であって、前記ローパスフィルタ(900)は、前記合計信号(501)の第1高調波を除く高次の高調波を抑制するように構成されている、ローパスフィルタ(900)をさらに備える、請求項6に記載の電子回路。
【請求項9】
第1磁場検知ユニット(300)及び第2磁場検知ユニット(400)のそれぞれに接続されたセンサ補正モジュール(360)をさらに備える、請求項6に記載の電子回路。
【請求項10】
電圧発生器(200)は、前記磁場角度検出ユニット(700)を同期させるための生成器周波数(f)を有する生成器同期信号(203)を供給するようにさらに構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項11】
磁場角度検出ユニット(700)は、磁場角度(701)に対応する情報がパルス幅変調信号で符号化されるように、位相比較器信号(601)と生成器同期信号(203)が入力されるRSトリガーを備えている、請求項10に記載の電子回路。
【請求項12】
第1及び第2磁場検出ユニット(300、400)は、差動磁場センサ配列を形成するように接続されている、請求項5に記載の電子回路。
【請求項13】
前記位相比較器信号(601)は、前記合計信号(501)の振幅を最大でサンプリングするように構成された磁場強度検出ユニット(800)に入力され、外部磁場強度(H)に関する情報を構成するサンプリングされた磁場強度出力(801)を取得するものである、請求項6に記載の電子回路。
【請求項14】
前記磁場強度検出ユニット(800)は、前記合計信号(501)の位相と、前記同期信号(101)のクロックパルス数によって設定され、前記位相比較器信号(601)に対して90°の位相ずれに相当する所定の遅延とを同期させて、前記合計信号(501)の振幅をサンプリングするように構成されている、請求項13に記載の電子回路。
【請求項15】
第1及び第2検知出力信号(301,401)が接続されている2つのアナログ入力端子を備える差動増幅器(650)であって、差動増幅器(650)は、外部磁場(60)の強度(H)を決定するように磁場強度検出ユニット(800)に入力される2進デジタル差動増幅器出力信号(651)を出力するように構成されている、差動増幅器(650)をさらに備える、請求項12に記載の電子回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外部磁場の角度及び強度を測定する電子回路、より具体的には、アナログ信号から直接磁場角度を決定可能な電子回路に関する
【背景技術】
【0002】
図1は、外部磁場60の配向角を測定する従来の二次元(2D)磁気センサを示す。このような2D磁気センサは、2つの一次元(1D)磁気センサ130、311を組み合わせて形成可能であり、各1D磁気センサ130、131は、完全な(ホイートストン)ブリッジ回路の構成に配置された(図示せず)4つの磁気センサ要素から形成可能である。1D磁気センサ130のうちの1つは、他の1D磁気センサ131の検知軸線137に直交する検知軸線136を有する。一定の直流(DC)電圧(V)を2つの1D磁気センサ130、311に供給可能である。各1D磁気センサ130、131は、第1出力132及び第2出力133を生成する。1D磁気センサ130、131のそれぞれの第1及び第2出力信号132、133は、それぞれの差動増幅器650の入力端子に供給される。各差動増幅器650は、2つのデジタル化信号138を得るために、アナログ-デジタル変換器134に供給される差動増幅器出力信号651を出力する。2つのデジタル化信号138は処理ユニット139に入力されて、そこでソフトウェアルーチンが2つのデジタル化信号138の比率の逆正接を解いて、外部磁場角度を抽出する。
【0003】
特許文献1(EP1918678)は、角度などの物理量の変位を検出するGMR要素を使用する変位センサを開示し、出力電圧の波形歪みが低減される。所定の角度オフセットを持つ少なくとも2つのホイートストンブリッジ回路が設置されていて、各回路が複数のGMR要素を備える。各GMR要素は、所定の磁化方向に設定された固定磁性層を有する。ホイートストンブリッジ回路の電源として交流(AC)電源が使用され、ホイートストンブリッジ回路からのAC変調出力に基づいて回転角などの物理量の変位を検出する。各GMR素子の自由磁性層の異方性自己バイアス効果を低減できるため、自由磁性層の異方性自己バイアス効果に基づいて出力信号の波形歪みを改善可能となっている。
【0004】
特許文献2(US5880586)は、回転可能な要素に接触することなく回転位置を決定する装置を開示している。この装置は、回転可能な要素の回転位置に生成されたか影響された、磁場強度(B)の磁場を検出し、その磁場ひいては回転要素の回転位置に応じた出力信号を作る2つのホールセンサ要素又はAMR(異方性磁気抵抗効果)センサ要素(磁気スイッチ)を持つセンサ装置を備える。回転可能要素の絶対回転位置を容易に検出するために、センサ装置は、回転可能要素に対して構築されかつ配置されるので、各回転位置において、回転可能要素からの磁力線が、センサ要素内の交番電流の向きにより決まるセンサ構造に対して直角に延在する。電子評価回路の異なる実施形態を使用して、磁場の方向成分が評価され、センサの1つへの入力電流と、それぞれのセンサ要素の出力信号の合計とを比較することによって、回転位置が決定される。正弦波又は矩形波の交流電圧又は直流電圧のどちらかがセンサ要素に入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1918678号明細書
【特許文献2】米国特許第5880586号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の2D磁気センサの欠点は、強力な処理ユニット139を要する、煩雑で時間のかかる数学的演算を実行しなければならないことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による、外部磁場の角度及び磁場強度を測定する電子回路は、
第1磁場検知ユニットの持つ検知軸線と第2磁場検知ユニットの持つ検知軸線が互いに実質的に直交している、第1磁場検知ユニット及び第2磁場検知ユニットと、
生成器周波数を有する同期信号を供給し、第1電圧波形を第1磁場検知ユニットに、第2電圧波形を第2磁場検知ユニットに供給するように構成された電圧発生器と、
第1検知出力信号と第2検知出力信号を加算して条件付き信号を出力するように構成された信号調整ユニットと、
を備える、外部磁場の角度と及び強さを測定する電子回路において、
第1及び第2電圧波形は、実質的に同じ振幅と同じ生成周波数を有し、互いに約90°位相がずれていて、
条件付き信号と同期信号との間の位相シフトを測定し、測定された位相シフトから外部磁場の角度を決定するように構成されている磁場角度検出ユニットに、条件付き信号及び同期信号が、入力される。
【0008】
本発明による電子回路は、直交振幅変調(QAM)の原理を使用する。
外部磁場の角度は、アナログ調整信号から直接決定できる。
【0009】
第1電圧波形Q(t)及び第2電圧波形I(t)は、それぞれ、式(1)及び(2)によって表せる。
(t)=Asin(θ(t)) (1)
I(t)=Acos(θ(t)) (2)
ここで、θは外部磁場の角度、Aは第1磁場検知ユニットの振幅、Aは第2磁場検知ユニットの振幅である。第1及び第2検知出力信号の振幅A、Aは、外部磁場の角度及び強度によって変調される。
【0010】
それぞれが定義された振幅を有する2つの直交信号、すなわち第1及び第2電圧波形を組み合わせることにより、初期の第1及び第2電圧波形の振幅比の逆正接によって位相が定義される新しい周期信号(調整信号)を得る。
【0011】
調整された信号は、位相及び振幅を有する単調波信号に相当し得る。単調調整された信号の振幅と位相の両方が、外部磁場の角度と磁場強度の情報を伝達する。第1及び第2電圧波形に対する調整信号の位相シフト(位相ずれ)には、外部磁場の角度に関する情報が含まれている。
【0012】
振幅A、Aが等しい場合、調整された信号の位相は、式(3)で与えられる磁場角度Φ(t)に等しくなる。
Φ(t)=tan-1(Q(t)/I(t))=θ(t) (3)
【0013】
調整された信号の振幅Acは、そして以下に等しいものである。
【数1】
これは外部磁場の角度とは独立している。したがって、第1及び第2磁場検知ユニットが線形領域で機能する場合、調整された信号の振幅Acを外部磁場強度の尺度として使用できる。それ以外の場合は、線形化手順を適用して磁場の振幅を回復するには線形化の手順を適用してよい。
【0014】
一実施形態では、第1電圧波形は正弦波を含み、第2電圧波形は余弦波を含む。
【0015】
第1及び第2検知出力信号は、第1及び第2電圧波形と実質的に同相であり、第1及び第2検知出力信号の振幅は、第1及び第2検知軸線間の角度の余弦及び外部磁場の角度に比例する。
【0016】
信号調整ユニットは、第1検知出力信号を第2検知出力信号に1:1の比率で、又は2つの検知ユニット間の感度の可能な差異を考慮した異なる比率で追加するように構成してよい。信号調整ユニットは、入力信号駆動検知ユニットの特定の部分をその出力に混合して、ホイートストンフルブリッジを構成する4つの検知要素(つまり、検知ユニット)の電気的不均衡から生じるおそれのある電気的オフセットの取り消しも可能である。信号調整ユニットは、2つの検知ユニットの検知軸が非直交構成の場合に、合計された信号に補正を適用してもよい。最後に、信号調整ユニットは、信号から高次の高調波を除去し、それによって電子回路の精度を向上するべく、合計された信号にフィルタリングを適用してもよい。
【0017】
一実施形態では、第1磁場検知ユニット及び第2磁場検知ユニットは、第1及び第2検知出力信号の振幅が外部磁場強度の変化に比例して変化するように構成されている。電子回路は、次に、外部磁場の磁場強度を決定するように構成された磁場強度検出ユニットを具備してよい。磁場の振幅が固定されている場合、各検出ユニットは、外部磁場方向と検出ユニットの検出軸方向との間の角度の余弦に比例する出力差動電圧を提供する。
【0018】
本発明による電子回路は、かなり長い数学的演算及び強力な処理ユニットを必要としない。外部磁場の角度と磁場強度は、アナログ調整信号から直接決定できる。
【0019】
本発明は、例として与えられ、図によって示される実施形態の説明の助けを借りて、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、外部磁場の配向角を測定する従来のセンサを示す。
図2図2は、一実施形態による、外部磁場の角度及び強度を測定する電子回路を示す。
図3図3は、他の実施形態による電子回路を示す。
図4図4は、他の実施形態による電子回路を示す。
図5図5は、他の実施形態による電子回路を示す。
図6図6は、他の実施形態による電子回路を示す。
図7図7は、他の実施形態による電子回路を示す。
図8図8は、他の実施形態による電子回路を示す。
図9図9は、他の実施形態による電子回路を示す。
図10図10は、他の実施形態による電子回路を示す。
図11図11は、他の実施形態による電子回路を示す。
図12図12は、他の実施形態による電子回路を示す。
図13図13は、他の実施形態による電子回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一実施形態による、外部磁場60の角度θ及び強度Hを測定する電子回路10が図2に示されている。この回路は、第1生成器信号201及び第2生成器信号202を供給するように構成された電圧生成器200を備える。第1及び第2生成器信号201、202のそれぞれが、固定された生成器周波数fと振幅の、周期的電圧波形を有する。第1生成器信号201と第2生成器信号202との間の位相シフトは、実質的に90°である。電圧生成器200はさらに、生成器周波数fを有する同期信号101を供給するように構成できる。代替的に、電子回路10は、クロック同期信号101を生成するクロック生成器100をさらに具備してよい。同期信号101は、電圧生成器200の動作を同期させる。
【0022】
電子回路10は、第1検知出力信号302を出力する第1磁場検知ユニット300と、第2検知出力信号401を出力する第2磁場検知ユニット400とをさらに備える。第1磁場検知ユニット300は、第2磁場検知ユニット400の検知軸線430に実質的に直交する検知軸線330を有する。
【0023】
第1生成器信号201は、第1磁場検知ユニット300の入力に供給され、第2生成器信号202は、第2磁場検知ユニット400の入力に供給される。第1磁場検知ユニット300は、第1検知出力信号302を出力し、第2磁場検知ユニット400は、第2検知出力信号401を出力する。第1及び第2検知出力信号301、401の振幅は、外部磁場60の向きに応じて、すなわち、第1及び第2生成器信号201、202の振幅に対して、すなわち、外部磁場60の角度θに対して変化されるし、センサが線形範囲で動作しているときの外部磁場60及びその強度に対して変化される。
【0024】
電子回路10は、信号調整ユニット500、600をさらに備え、その中に、第1及び第2検知出力信号302、401が入力される。信号調整ユニット500、600は、第1検知出力信号302を第2出力信号401に追加(又は合計)し、調整された信号601を出力するように構成される。調整された信号601は、生成器周波数fを有する単調波信号に相当するものとしてよい。
【0025】
第1生成器信号201及び第2生成器信号202はまた、信号調整ユニット500、600に入力され得る。それは、モジュール300、400内の起こり得るホイートストンブリッジの電気的不均衡を補償するためであり、検知軸線330及び430との間の起こり得る不直交性を補償するためであり、合計された信号から高次の高調波をフィルタリングするためである。
【0026】
電子回路10は、磁場角度検出ユニット700をさらに備える。調整された信号601及びクロック同期信号101は、磁場角度検出ユニット700の入力に供給される。したがって、同期信号101は、磁場角度検出ユニット700の動作をさらに同期させる。磁場角度検出ユニット700は、調整された信号601と同期信号101との間の位相シフトを測定するように構成される。磁場角度検出ユニット700はさらに 測定された位相シフトから外部磁場60の角度θを決定するように構成されている。磁場角度検出ユニット700は、決定された角度θに関する情報を持つデジタル角度出力701を出力する。
【0027】
第1磁場検知ユニット300及び第2磁場検知ユニット400は、第1及び第2検知出力信号の振幅が外部磁場強度Hの変化に比例して変化するように構成される。その場合、電子回路は、外部磁場強度を決定するために構成された磁場強度検出ユニット800を備えてよい。磁場強度検出ユニット800は、磁場強度検出ユニット800の入力に供給される調整信号601の振幅を測定し、調整信号601から外部磁場強度Hを決定するように構成され得る。磁場強度検出ユニット800は、決定された外部磁場強度Hに関する情報を持つデジタル磁場強度出力801を出力する。同期信号101は、さらに、磁場強度検出ユニット800の動作を同期させる。
【0028】
第1磁場検知ユニット300及び第2磁場検知ユニット400のそれぞれは、複数の磁場検知要素(20から23)を具備してよい。好ましくは、磁場検知要素は、ハーフブリッジ又はフル(ホイートストン)ブリッジ回路に配置される。そのような構成では、第1及び第2磁場検知ユニット300、400は、分圧器として機能するようにしてよく、分圧器比は、外部磁場60の強度H及び角度θの関数である。
【0029】
本明細書で使用される場合、「磁場検知要素」という用語は、磁場を検知可能なさまざま電子要素を記述するために使用される。磁場検知要素は、ホール効果要素、磁気抵抗要素、又は磁気トランジスタであり得るが、これらに限定されない。既知であるように、磁気抵抗要素には、例えば、アンチモン化インジウム(InSb)などの半導体磁気抵抗要素、巨大磁気抵抗(GMR)要素、異方向性磁気抵抗素子(AMR)、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、磁気トンネル接合(MTJ)、スピンバルブなど、さまざまな種類がある。
【0030】
図3に示される、あり得る構成の一つでは、複数の磁場検知要素は、フルブリッジ回路に配置された4つの磁場検知要素を備え得る。これら磁場検知要素は、直列に接続された2つの磁場検知要素20、21と、別の2つの、直列に接続された磁場検知要素22、23とを備える。2つの磁場検知要素20、21は、磁場検知要素22、23と並列に接続されている。
【0031】
例えば、磁場検知素子20から23は、基準磁化210を有する基準層と、外部磁場60の配向に従って、(ピン留めされた)基準磁化210に対して配向で可能な検知磁化(図3には示されていない)を有する検知層とを備える、自己基準MTJなどのMTJを具備してよい。磁場検知ユニット300、400の検知軸線230は、基準磁化210の方向と一致する。第2磁場検知ユニット400の検知軸線430に実質的に直交する第1磁場検知ユニット300の検知軸線330は、基準磁化210の(ピン止め)方向をプログラムすることによって得られる。
【0032】
可能な変形例では、信号調整ユニット500、600は、調整された信号601からより高次の高調波を除去するように構成してよい。信号調整ユニット500、600は、第1及び第2検知出力信号301、401の振幅及びオフセット補正を実行するようにさらに構成してよい。
【0033】
別の変形例では、磁場角度検出ユニット700は、磁場角度θを決定するために線形数学演算を使用するように構成される。磁場角度検出ユニット700は、さらに、外部磁場60の角度θを決定する構成としてよく、そして測定された位相シフトから、対応するデジタル角度出力701を出力する構成としてよい。
【0034】
さらに別の変形例では、磁場強度検出ユニット800は、デジタル磁場強度出力801を生成するときに磁場強度値Hをデジタル化及び線形化する構成とされる。
【0035】
図4は、一実施形態による電子回路10を示す。ここで、電圧生成器200は、生成器周波数fと同じものを有する第1及び第2電圧波形201、202を供給するように構成されている。第1及び第2電圧波形201、202は、直交信号を含み得る。一例として、第1電圧波形201は正弦波形を備え、第2電圧波形202は余弦波形を備える。電圧生成器200は、生成器周波数f、よって第1及び第2生成器信号201、202のうちの1つと同じ周波数を有する生成器同期信号203を供給する構成としてよい。
【0036】
図4の構成では、信号調整ユニットは、第1及び第2検知出力信号301、401が入力される加算回路500を備える。加算器回路500は、第1及び第2検知出力信号301、401を加算し、対応する合計信号501を出力するように構成される。加算回路500は、第1検知出力信号を第2検知出力信号に1:1の比率で加算する構成としてよい。
【0037】
信号調整ユニットは、合計された信号501が入力される位相比較器600を備える。位相比較器600は、合計された信号501の位相を検出し、磁場角度検出ユニット700に入力されるデジタル位相比較器信号601を出力する構成とされる。位相比較器信号601は、決定された位相差に比例してデューティ周期が変化するパルス幅変調信号であり得る。
【0038】
磁場角度検出ユニット700は、比較器出力601がその状態を変化させるときに、クロック生成器100から来る同期信号101のパルスを数え始めるカウンタとして機能し得る。磁場角度検出ユニット700は、生成器同期信号203が電圧生成器200から到着するときに同期信号101のパルスを数えるのを止めるようにしてよい。数えられたパルスの数は、合計された信号501の位相シフトに比例している。
【0039】
図4の構成では、加算された信号501及び位相比較器信号601は、磁場強度検出ユニット800にさらに入力される。磁場強度検出ユニット800は、合計された信号501の振幅を最大でサンプリングし、対応するサンプリングされた磁場強度出力801を取得する構成とし得る。これは、合計された信号501の位相との同期及び事前定義されている遅延の効果で、実行される。事前定義されている遅延は、クロックパルスの数により設定されかつ位相比較器信号601に対する90°の位相シフトに対応するものである。サンプリングされた磁場強度出力801は、デジタル化及び線形化されてよい。
【0040】
図5から図10は、他の実施形態(複数)による電子回路10を示し、磁場検知ユニット300、400は、飽和状態の基準磁化210を有する磁場検知要素を備える。そのような構成では、電子回路10は、磁場強度検出ユニット800を必要としない。
【0041】
図5の実施形態では、電子回路10は、図4の回路で磁場強度検出ユニット800を備えていないものに対応する。加算された信号501は、位相比較器600にのみ入力され、位相比較器信号601は、磁場角度検出ユニット700にのみ入力される。
【0042】
図6は、別の実施形態による電子回路10を示す。電子回路10は、図5の回路10に対応し、DC遮断コンデンサ350が、加算器回路500の各入力に、すなわち、第1及び第2検知出力信号302、401の電気経路に設けられている。コンデンサ350は、電子回路10の角度分解能を増加させる、すなわち、外部磁場60の決定された角度θの分解能を増加させる。
【0043】
図7は、さらに別の実施形態による電子回路10を示す。電子回路10は、図5の回路10に対応し、加算器回路500の出力と位相比較器600の入力との間に配置されたローパスフィルタ900をさらに備える。ローパスフィルタ900は、加算された信号501の第1高調波(基本周波数)を除いて、より高次の高調波を抑制する構成とされる。高次高調波は、電圧生成器200によって、及び/又は第1及び第2磁場検知ユニット300、400によって導入され得る。ローパスフィルタ900は、電子回路10の角度分解能を増加させる、すなわち、外部磁場60の決定された角度θの分解能を増加させる。
【0044】
図8は、さらに別の実施形態による電子回路10を表す。電子回路10は、図5の回路10に対応し、第1磁場検知ユニット300及び第2磁場検知ユニット400の出力に接続されたセンサ補正モジュール360をさらに備える。センサ補正モジュール360は、第1及び第2磁場検知ユニット300、400の問題を軽減するように構成される。特に、センサ補正モジュール360は、内部利得(又は抵抗分割比)を設定することによって、第1及び第2磁場検知ユニット300、400の感度を一致させるために使用され得る。
【0045】
実際には、従来の磁場センサには、センサの両端の電圧に影響を与えるオフセット(ずれ)がある。磁場検知ユニット300、400内の電圧オフセットの存在は、磁場検知ユニットの論理状態が読み取られる精度を低下させる。センサ補正モジュール360は、そのオフセットを少なくとも部分的に排除するために使用され得る。センサ補正モジュール360はさらに、電圧生成器200から来る信号の一部を加算又は減算するために使用され得る。
【0046】
センサ補正モジュール360はさらに、第1磁場検知ユニット300の検知軸線330と第2磁場検知ユニット400の検知軸線430との間の直交性の逸脱を低減するために使用され得る。検知軸線330と430との間の直交性からのずれを減らすことは、さらに可能であるか、あるいは代替的に、磁場検知要素20から23の基準磁化210をプログラミングすることによって、又は例えばレーザートリミングを使用して抵抗器トリミングによって、実現される。
【0047】
図9は、さらに別の実施形態による電子回路10を表す。電子回路10は、図5の回路10に対応し、第1磁場検知ユニット300からの第1検知出力信号310及び第2磁場検知ユニット400を形成する第2出力信号401が位相比較器600に直接入力される。位相比較器600は、第1検知出力信号302を第2出力信号401に合計し、合計された信号の位相を検出する機能を提供する。調整された信号は、位相比較器600によって出力されるデジタル位相比較器信号601に対応する。電子回路10は、他の回路構成よりも単純である。
【0048】
図10は、さらに別の実施形態による電子回路10を示す。電子回路10は、図5のものに対応し、磁場角度検出ユニット700は、位相比較器信号601及び生成器同期信号203が入力されるRSトリガー(又はRSフリップフロップ)回路を備える。この構成では、外部磁場60の決定された角度θに対応する情報は、パルス幅変調信号にコード化される。図9の電子回路10の構成は、自動調整用途で有利に使用され得る。
【0049】
図11は、さらに別の実施形態による電子回路10を示す。電子回路10は、図4の回路10に対応し、第1及び第2磁場検知ユニット300、400は、差動磁場センサ構成を形成するように接続されている。この構成では、第1検知出力信号302を第2出力信号401に合計することは、第1検知出力信号302を第2出力信号401に直接接続することによって実行される。電子回路10はさらに、2つのアナログ入力端子を備えた差動増幅器650を備え、第2検知出力信号301、401が接続されている。差動増幅器650は、外部磁場60の強度Hを決定し、磁場強度801を出力するなど、磁場強度検出ユニット800に入力されるバイナリデジタル差動増幅器出力信号651を出力する。
【0050】
図11に示す電子回路10の構成は、図4の回路よりも単純である。この構成により、シングルエンドから差動への変換回路の使用がさらに回避される。
【0051】
図12は、さらに別の実施形態による電子回路10を示す。電子回路10は、図11の回路の簡略化した変形態様に相当し、磁場検知ユニット300、400は、飽和状態の基準磁化210を有する磁場検知要素(複数)を備える。図11の構成と比較して、電子回路10は、差動増幅器650を備えず、磁場強度検出ユニット800も備えていない。
【0052】
図13は、さらに別の実施形態による電子回路10を示す。電子回路10は、図5の回路の簡略化された変形に相当し、電圧生成器200は、単一の出力単調波電圧生成器を備える。換言すると、電圧生成器200は、例えば、正弦波形であり、第1及び第2生成器信号201と同一の周波数を持つ生成器同期信号203を供給する構成とされる。電子回路10は、第1生成器信号201を90°位相シフトし、第2生成器信号202を生成する構成とされた移相偏移器(又は直交ブースター)250をさらに備える。
【0053】
図2図4図5図6図7図8図9図10及び図13に示されている実施形態の場合、第1及び第2磁場検知ユニット300、400は、差動磁場センサ構成をなしていて、それはシングルエンド変換回路である。電子回路10には、シングルエンド変換回路が含まれている。
【0054】
この特許の主題である様々な概念、構造及び技術を説明するのに役立つ様々な実施形態を説明してきたが、これらの概念、構造及び技法を組み込んだ他の実施形態を使用し得ることは、当業者に明らかになるであろう。したがって、その特許の範囲は、記載された実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されるべきであることを提示する。
【符号の説明】
【0055】
10 電子回路
20、21、22、23 磁場検知素子
60 外部磁場
100 クロック生成器
101 クロック同期信号
130 1D磁気センサ
131 1D磁気センサ
132 第1出力信号
133 第2出力信号
134 アナログ-デジタル変換器
136、137 検知軸線
138 デジタル化信号
139 処理装置
200 周期的電圧生成器
201 第1電圧波形
202 第2電圧波形
203 生成器同期信号
250 移相偏移器
300 第1磁場検知ユニット
301 第1検知出力信号
330 第1検知軸線
350 コンデンサ
360 センサ補正モジュール
400 第2磁場検知ユニット
401 第2検知出力信号
430 第2検出軸線
500 信号調整ユニット、加算回路
501 合計信号
600 位相比較器
601 調整信号、位相比較器信号
650 差動増幅器
651 差動増幅器出力信号
700 磁場角度検出ユニット
701 デジタル角度出力
800 磁場強度検出ユニット
801 デジタル磁場強度出力
900 ローパスフィルタ
θ 磁場角度
固定周波数、生成器周波数
H 磁場強度
V 電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
特許文献2(US5880586)は、回転可能な要素に接触することなく回転位置を決定する装置を開示している。この装置は、回転可能な要素の回転位置に生成されたか影響された、磁場強度(B)の磁場を検出し、その磁場ひいては回転要素の回転位置に応じた出力信号を作る2つのホールセンサ要素又はAMR(異方性磁気抵抗効果)センサ要素(磁気スイッチ)を持つセンサ装置を備える。回転可能要素の絶対回転位置を容易に検出するために、センサ装置は、回転可能要素に対して構築されかつ配置されるので、各回転位置において、回転可能要素からの磁力線が、センサ要素内の交番電流の向きにより決まるセンサ構造に対して直角に延在する。電子評価回路の異なる実施形態を使用して、磁場の方向成分が評価され、センサの1つへの入力電流と、それぞれのセンサ要素の出力信号の合計とを比較することによって、回転位置が決定される。正弦波又は矩形波の交流電圧又は直流電圧のどちらかがセンサ要素に入力される。
特許文献3(EP2682773)は、1対又はそれより多い対の磁場トンネルジャンクションセンサチップを備える、単一パッケージのブリッジ型磁場角度センサを開示し、互いに直交する方向にある2つの磁界要素を検知すべく、それら磁場トンネルジャンクションセンサチップは互いに90度回転されている。その磁場角度センサは、半導体パッケージリードに相互接続されているMJTフルブリッジの対又はハーフブリッジの対を備えてもよい。その磁場角度センサは、さまざまな低価格規格の半導体パッケージに組み込み可能となっている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1918678号明細書
【特許文献2】米国特許第5880586号明細書
【特許文献3】欧州特許第2682773号明細書
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
この特許の主題である様々な概念、構造及び技術を説明するのに役立つ様々な実施形態を説明してきたが、これらの概念、構造及び技法を組み込んだ他の実施形態を使用し得ることは、当業者に明らかになるであろう。したがって、その特許の範囲は、記載された実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されるべきであることを提示する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1検知出力信号(301)を出力するように構成されている第1磁場検知ユニット(300)、及び第2検知出力信号(401)を出力するように構成されている第2磁場検知ユニット(400)であって、第1磁場検知ユニット(300)の第1検知軸線(330)が、第2磁場検知ユニット(400)の第2検知軸線(430)と実質的に直交している、第1磁場検知ユニット(300)及び第2磁場検知ユニット(400)と、
生成器周波数(f)を有する同期信号(101)を供給し、第1電圧波形(201)を第1磁場検知ユニット(300)に、第2電圧波形(202)を第2磁場検知ユニット(400)に供給するように構成されている電圧発生器(200)であって、第1及び第2電圧波形が実質的に同じ振幅及び同じ前記生成周波数を持ち、互いに約90°位相がずれている、電圧発生器(200)と、
第1及び第2検知出力信号(301、401)が入力され、合計された信号を取得すべく第1検知出力信号(301)と第2検知出力信号(401)を加算して条件付き信号(601)を出力するように構成された信号調整ユニット(500、600)と、
件付き信号(601)及び同期信号(101)を受信するように構成されていて、条件付き信号(601)と同期信号(101)との間の位相ずれを測定し、測定された位相ずれから外部磁場の角度(θ)を決定するように構成されている、磁場角度検出ユニット(700)と
を備える、外部磁場(60)の角度と及び強さを測定する電子回路(60)において、
前記第1及び第2磁場検知ユニット(300、400)の各々は、磁気トンネル接合を有し、前記第1及び第2検知出力信号(301、401)の振幅が前記外部磁場(60)の強度の変化に伴って線形に変化するように構成されていて、前記電子回路
対応するサンプリングされた磁場強度出力をすべく合計された信号の振幅を最大値でサンプリングすることによって、前記条件付き信号(601)の振幅から前記外部磁場(60)の強度(H)を決定するように構成されている磁場強度検出ユニット(800)であって、前記合計された信号の振幅の最大値の発生が、前記合計された信号のデジタル位相比較器信号である調整された信号に基づいて検知される、磁場強度検出ユニット(800)をさらに備えていることを特徴とする、電子回路(60)。
【請求項2】
信号調整ユニット(500、600)が、第1検知出力信号(301)を第2検知出力信号(401)に1:1の割合で加えるように構成されている、請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
第1及び第2磁場検知ユニット(300、400)のそれぞれは、ハーフブリッジ又はフルブリッジ回路で配置された複数の磁場検知素子(20-23)が分圧器として機能し、その分圧比が外部磁場の角度及び磁場強度の関数である、請求項1又は2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記信号調整ユニットは、位相比較器(600)を備えていて、
前記位相比較器は、合計された信号の位相を検出するように構成されていて、
出力される条件付き信号(601)は、デジタル位相比較器の信号で構成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項5】
前記信号調整ユニットは、前記第1及び第2検知出力信号(301,401)が入力される加算回路(500)を備え、前記加算回路(500)は、前記第1及び第2検知出力信号(301、401)を加算して対応する合計信号(501)を出力するように構成されていて、
前記信号調整ユニットは、前記合計信号(501)が入力される位相比較器(600)をさらに備え、前記位相比較器(600)は、前記合計信号(501)の位相を検出するように構成されていて、
前記条件付き信号は、前記位相比較器(600)が出力するデジタル位相比較器信号(601)に相当している、請求項1からのいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項6】
第1磁場検知部(300)及び第2磁場検知部(400)のそれぞれと加算回路(500)の入力との間に設けられた直流遮断用コンデンサ(350)をさらに備える、請求項に記載の電子回路。
【請求項7】
前記加算回路(500)の出力と前記位相比較器(600)の入力との間に配置されたローパスフィルタ(900)であって、前記ローパスフィルタ(900)は、前記合計信号(501)の第1高調波を除く高次の高調波を抑制するように構成されている、ローパスフィルタ(900)をさらに備える、請求項に記載の電子回路。
【請求項8】
第1磁場検知ユニット(300)及び第2磁場検知ユニット(400)のそれぞれに接続されたセンサ補正モジュール(360)をさらに備える、請求項に記載の電子回路。
【請求項9】
電圧発生器(200)は、前記磁場角度検出ユニット(700)を同期させるための生成器周波数(f)を有する生成器同期信号(203)を供給するようにさらに構成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項10】
磁場角度検出ユニット(700)は、磁場角度(701)に対応する情報がパルス幅変調信号で符号化されるように、位相比較器信号(601)と生成器同期信号(203)が入力されるRSトリガーを備えている、請求項に記載の電子回路。
【請求項11】
第1及び第2磁場検出ユニット(300、400)は、差動磁場センサ配列を形成するように接続されている、請求項に記載の電子回路。
【請求項12】
前記位相比較器信号(601)は、前記合計信号(501)の振幅を最大でサンプリングするように構成された磁場強度検出ユニット(800)に入力され、外部磁場強度(H)に関する情報を構成するサンプリングされた磁場強度出力(801)を取得するものである、請求項に記載の電子回路。
【請求項13】
前記磁場強度検出ユニット(800)は、前記合計信号(501)の位相と、前記同期信号(101)のクロックパルス数によって設定され、前記位相比較器信号(601)に対して90°の位相ずれに相当する所定の遅延とを同期させて、前記合計信号(501)の振幅をサンプリングするように構成されている、請求項12に記載の電子回路。
【請求項14】
第1及び第2検知出力信号(301,401)が接続されている2つのアナログ入力端子を備える差動増幅器(650)であって、差動増幅器(650)は、外部磁場(60)の強度(H)を決定するように磁場強度検出ユニット(800)に入力される2進デジタル差動増幅器出力信号(651)を出力するように構成されている、差動増幅器(650)をさらに備える、請求項11に記載の電子回路。
【国際調査報告】