(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-06
(54)【発明の名称】搾乳ポンプアセンブリのための流体および空気の体積測定システム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/06 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
A61M1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553089
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-10-27
(86)【国際出願番号】 US2020021502
(87)【国際公開番号】W WO2020185600
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516239596
【氏名又は名称】ウィロー・イノベイションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Willow Innovations, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】カルマー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】キーナン,エリカ
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ディートリック,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ノーディーン,ローリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】マコーワー,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】イー,エディソン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA22
4C077DD01
4C077HH10
4C077HH20
4C077JJ08
4C077JJ28
(57)【要約】
乳房から母乳を汲み上げるため、および汲み上げられた体積を計算または決定するための可変でカスタム化された機能を備えたシステムおよび方法であって、母乳は乳房から減圧状態で抽出されポンプ機構から収集コンテナへ正圧状態で送られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳房から流体を汲み上げる着用可能なシステムであって、
前記システムは、
前記乳房とシールを形成するように構成され寸法決めされた皮膚接触構造と、
前記皮膚接触構造内で吸引力を提供するポンプと、
流体が汲み上げられる経路であって、閉鎖セグメントを含み得る経路と、
前記閉鎖セグメントを通って汲み上げられる体積を自動的に計算するコントローラと、を含む、システム。
【請求項2】
歪みゲージセンサおよびモータ位置センサと、
歪みゲージセンサおよびモータ位置センサの測定値を前記閉鎖セグメントを通って汲み上げられる体積と関連付けられるマップと、をさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記着用可能なシステムが、少なくともラッチ吸引を汲み上げサイクルを通して維持する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記着用可能なシステムの動作設定を制御するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムが、パージの前と後で測定し、体積測定結果の差が空気と流体の総パージ体積の決定を可能とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、汲み上げをリアルタイムで調節するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
1つの端部で前記経路を閉鎖する圧縮部材と、
前記経路のもう1つの端部で閉鎖されるバルブと、をさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、ポンプ設定を調整することにより汲み上げを最適化する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、フィードバックに基づいて、ポンプセッションの快適さと関連するようにポンプ設定を調節する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
フランジ、シャーシ、およびハウジングをさらに含み、
前記フランジ、シャーシ、およびハウジングが一緒に組み立てられる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラがポンプ調節を行い、汲み上げの設定が追跡される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラが汲み上げの機能を制御し、リアルタイムで目標を達成するように汲み上げを修正する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムが、様々なポンプ設定を保存するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
汲み上げられた流体を中に保存するコンテナをさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
汲み上げられた流体または空気の体積測定がパージの前、および後で行われる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
連続した複数のパージから継続的な空気漏れの検知、および母乳レセプタクルに汲み上げられた空気と流体の正確な累積体積の計算が可能となる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムの内部に配置される収集アセンブリをさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
パージされた総体積がパージの後と前の測定値の差を計算すると決定される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
パージの後と前それぞれの複数の測定の組み合わせにより、パージにおいて排出された空気の総体積および排出された流体の総体積の決定が可能となる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
体積の決定は、モータまたはフレックスチューブ部品のバラつきを許容できる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
汲み上げ中の体積および真空度の差の測定がリアルタイムで使用され、空気成分、または前記ポンプの隔壁での空気漏れの有無が決定される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
乳房から流体を汲み上げる着用可能なシステムであって、
前記システムは、
前記乳房とシールを形成するように構成され寸法決めされた皮膚接触構造と、
前記皮膚接触構造内で吸引力を提供するポンプと、
流体が汲み上げられる経路と、
閉鎖セグメントを通って汲み上げられる体積を自動的に計算するコントローラを含み、
汲み上げ中に体積マップが提供され、前記体積マップは、体積データと真空度データを含み、
汲み上げられた体積は、体積の変化と真空度の変化の比率から決定される、
システム。
【請求項23】
体積データと真空度データの少なくとも2つのサンプルが採られる、
請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも2つのサンプルは、ピンチフットが汲み上げ中に開いた位置に配置されたときに採られる、
請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記サンプルは汲み上げ波形の頂点付近および汲み上げ波形の谷底付近で採られる、
請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
空気漏れは、真空度変化に対する体積変化の比率に関連して予測される信号変化が見られないときに検出される、
請求項25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して携帯型搾乳ポンプアセンブリの測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
母乳が、乳児にとって最適な栄養供給源であり、授乳期の母親にも健康的恩恵を提供すると考える女性が多くなるにつれ、さまざまな状況において授乳期の母親によって使用するための、ユーザに使いやすく、母乳量を正確に決定または追跡できる搾乳ポンプの解決策に対する必要性が増してきている。これは特に、8時間から10時間、又はそれ以上の間家から離れ、乳児が飲めるように母乳を搾り出す必要がある働く女性に特に当てはまるが、これはまた、母親が、長期間、家庭の私事から離れる多くの他の状況、たとえば買い物中、外食中、又は他の活動などのシチュエーションに対する要求事項でもある。
【0003】
多様な搾乳ポンプが入手可能であるが、その多くが扱いにくく、煩雑なものであり、多くの部材及びアセンブリを必要とし、持ち運びが難しい。手動で駆動される手動用ポンプのさまざまなものは、使用するのが面倒であり、不便であり得る。一部の電力式搾乳ポンプは、使用中に差し込むAC電源を必要とする。一部のシステムは、電池駆動式であるが、電動式ポンプは、母乳抽出プロセス中、吸引力を維持するために連続的に作動するため、かなりの速さで電池を消耗させる。
【0004】
汲み上げられた体積を正確に計算または決定し、自然な授乳を模倣し、使用者の乳房を露出しないことで目立たず、着用時にもほとんど気づかれない、小型で携帯可能な、自己発電式の、エネルギー効率の良い、着用可能な搾乳ポンプシステムが引き続き必要とされている。
【0005】
授乳中の赤ちゃんが十分な栄養を摂取していることを確認するためには、赤ちゃんの摂取量をモニタすることが有用である。授乳中の母親が、搾乳によってどれだけの母乳が取り出されたかを知るのに便利なように、システムによって汲み上げられた母乳の量を簡単かつ正確にモニタする搾乳システムを提供することが望ましい。また、特定の母乳収集容器に入っている母乳の量を容易に知ることができるようになるために、セッションあたりに汲み上げられた母乳量を把握することが望ましい。
【0006】
さらに、汲み上げられた流体と汲み上げられた空気の両方を測定することで、システムがラッチやデバイスアセンブリが不適切または不十分であることや損傷などによる空気漏れを診断し、ユーザに対策を講じるように警告を発することができるような汲み上げのアプローチへの要求がある。
【0007】
したがって、効果的で使用に便利な搾乳ポンプシステムへの要求が継続して存在する。本開示は、これらおよび他のニーズに対応するものである。
【発明の概要】
【0008】
端的に一般的に言うならば、本開示は、搾乳ポンプアセンブリの液量測定システムに関する。本システムは、汲み上げられた体積をリアルタイムで正確に評価するように構成された構造および機能を含む。一実施形態では、システムは、乳房に接触する構造と、収集または貯蔵容器またはアセンブリと、乳房から収集アセンブリに母乳を搬送する構造とを含む。方法は、乳房から母乳を汲み上げ、汲み上げられた母乳を収集アセンブリまたは貯蔵容器に搬送することを含む。ある特定の態様では、搾乳ポンプシステムは、特定の汲み上げセッションにおいて、特定のユーザのためにポンプ動作を最適化するようにリアルタイムで応答する。また、このシステムは、速度および汲み上げ圧力または吸引のレベルのうちの1つまたは複数を手動で調整することを可能とする。
【0009】
本開示の一態様によれば、システムは、閉鎖されたシステム経路または管セグメントの内部容積を評価するように構成される。単一のサンプルにおいて、容積は、好ましい構成では、ポンプセンサ、すなわち歪みゲージ測定値およびパドルの位置から評価することができる。閉鎖されたシステムを維持したまま、異なる歪み/パドル位置で複数回の測定を行うことで、内部システム内の空気と流体の割合を決定することができる。これらの容積測定は、閉鎖システム経路または管セグメントにおいて、汲み上げセッション中にいつでも行うことができる。パージ(purge)の前後に測定すると、測定値の差からパージされた総量を知ることができる。パージの前後それぞれの複数の測定値を組み合わせることで、パージで排出された空気の総量と排出された流体の総量とを決定することができる。本システムは、演算装置に、その命令に関連する機能およびその命令によって指示される機能を実行させるために、演算装置によって実行可能な命令をその上に格納した非一過性のコンピュータ可読媒体をさらに含む。
【0010】
さらに、一態様によれば、連続した複数のパージからのデータを分析することで、継続的な空気の漏れを検出し、母乳レセプタクルに送り込まれた空気と流体の正確な累積量を計算することができ、これは、閉鎖システムに特に関連することである。また、パージ以外でも、汲み上げセッション中にいつでも、閉鎖システムの経路または管セグメントの異なる歪み/パドルの位置で複数の測定を行うことによっても、空気の漏れが検出される。
【0011】
さらに別の態様では、ピンチフット(pinch foot)が開いてシステムが汲み上げを行っている間に体積マップコード(volume-map code)の2つの測定を行い、さらに真空レベルの2つの測定を行うことで、空気漏れが識別および計算される。dVolume/dVacuum関係が生成され、真空状態での体積変化を測定し、空気漏れの存在と大きさを認識および/または評価することができる。
【0012】
さらなる態様では、内部管の容積へのセンサデータの正確なマッピングが採用されている。したがって、システムが閉じているときに、容易に利用可能なセンサデータからそのシステムの内部容積の正確な推定値が構築され、利用される。ポンプシステムに関して学習することは、より正確なセンサ測定値の向上を促進し、すなわち正確な体積を得るためにどのように測定値を制約するか、また、そのような測定値を得るためにどのようにシステムを操作するかなどである。体積の測定値は、新規の方法で使用され、閉鎖システムのセグメントまたは経路内の空気の体積と流体の体積をいつでも決定することができ、したがって、時間の経過とともに、空気と流体の比率や、どれだけの量が収集レセプタクルに押し込まれたかを決定することができる。
【0013】
1つまたは複数の実施形態では、システムは、システム内部のリアルタイムの圧力制御を達成するコントローラを含む。特定のアプローチでは、そのような圧力制御は、フォースゲージまたは圧力または他のセンサを介して達成され得る。1つまたは複数の実施形態では、システムは、自動的にコンプライアンス感知および応答を提供するコントローラを含む。1つ以上の実施形態では、システムは、レットダウン(letdown:緩み)、あふれ(overfill)、及び流れ(flow)の1つ以上を自動的に検出する1つ以上のコントローラを含む。
【0014】
本開示の別の態様によれば、母乳を汲み上げるためのシステムを動作させる方法は、以下の1つ以上を含む。すなわち、乳房とのシールを形成するように構成された皮膚接触部材と、前記皮膚接触部材と流体連通し、前記皮膚接触部材に接続された導管と、前記圧縮部材の内向きおよび外向きの動きに応答して前記導管を圧縮および減圧するように構成された圧縮部材を含む駆動機構と、センサと、前記駆動機構の動作を制御するように構成されたコントローラとを備えたシステムを提供するステップと、前記皮膚接触部材を前記乳房にシールするステップと、前記導管内に所定の圧力サイクルを生成するために前記駆動機構を動作させるステップと、コントローラが、導管に対する圧縮部材の位置および移動速度の少なくとも1つを監視するステップと、導管内の圧力を測定または計算するステップと、計算された圧力、ならびに圧縮部材の力、位置および移動速度の少なくとも1つからのフィードバックに基づいて、必要に応じて圧縮部材の動きを維持または修正し、所定の圧力サイクルが継続して生成されることを確かにするステップと、歪みゲージ測定およびパドルの位置を介して汲み上げられた量を計算するステップとを含む。
【0015】
本開示のこれらおよびその他の特徴は、以下に詳述するシステムおよび方法の詳細を読めば、当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Aは、本開示の実施形態に係る搾乳ポンプシステムの斜視図である。
【
図2】
図2は、殻(shell)を取り除いた
図1のシステムの正面図である。
【
図3】
図3は、フランジを取り除いた
図1のシステムの背面図である。
【
図5】
図5は、
図1のシステムの内部図であり、ポンプアセンブリの可撓性導管を示す。
【
図6】
図6は、
図1のシステムの分解図であり、システムの機械的構成部品を示す。
【
図7】
図7は、システム部品の動作を示す模式図である。
【
図8】
図8は、体積決定のアプローチを示すフローチャートである。
【
図9B】
図9Bは、動作中のポンプに関連するデータを示すグラフである。
【
図10】
図10は、本開示の貯蔵収集アセンブリの一実施形態を示す平面図である。
【
図12】
図12は、貯蔵収集アセンブリのバルブアセンブリを示す拡大図である。
【
図13】
図13は、システムに接続した貯蔵収集アセンブリを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のシステムおよび方法を説明する前に、本開示は、記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、そのようなものは当然異なる可能性があることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図したものではなく、本開示の範囲は添付の請求項によってのみ限定されることも理解されたい。
【0018】
値の範囲が記載されている場合、文脈上明らかに別の指示がない限り、その範囲の上限と下限の間にある、下限の単位の10分の1までの各介在値も具体的に開示されていることが理解される。記述された範囲内の任意の値または介在値と、その記述された範囲内の任意の他の記述された値または介在値との間の各小範囲は、本開示に包含される。これらの小範囲の上限および下限は、それぞれ独立して範囲に含まれても除外されてもよく、小範囲の中にいずれかの限界値が含まれる、どちらの限界値も含まれない、または両方の限界値が含まれる各範囲も、記述された範囲の中で特に除外された限界値を条件として、本開示の中に包含される。また、記述された範囲に一方または両方の限界値が含まれる場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除いた範囲も本開示に含まれる。
【0019】
他に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の通常の技術者によって一般的に理解されているのと同じ意味を持っている。本明細書に記載されているものと同様または同等の任意の方法および材料を、本開示の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料をここに記載する。本明細書で言及されているすべての出版物は、その出版物が引用されていることに関連して方法および/または材料を開示および説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されている単数表現は、文脈から明らかでそうではないと指示されない限り、複数の参照語を含むことに留意が必要である。したがって、例えば、「センサ」という表現は、複数のそのようなセンサを含み、「ポンプ」という表現は、当業者に知られている1つまたは複数のポンプおよびその等価物を含む、表現である。
【0021】
ここで説明されている出版物は、本願の出願日前に開示されたものに限定して提供されている。提示された出版物の日付は、実際の出版日付とは異なる可能性があり、独自に確認する必要があり得る。
【0022】
関連するシステムのさまざまな詳細は、それぞれ2015年07月21日に出願された米国出願番号15/083,571号明細書(現米国特許番号9,539,376)、15/361,974号、15/362,920号、および15/406,923号明細書(現米国特許番号10,434,228)に、および2018年07月31日に出願された16/050,201号に記載されており、これらはそれぞれ、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0023】
図1A-Bは、本開示の一実施形態による搾乳ポンプシステム10の斜視図および背面図である。搾乳ポンプシステム10は、以下に紹介または記載される特徴または機能の1つまたは複数、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。システム10のハウジングまたは外殻12は、ユーザの乳房に輪郭を合わせ、その結果、ユーザの衣服の下にあるときに、より自然な外観を提供するように、形状され、および構成されてもよい。図から理解されるように、システムは、自然な乳房プロファイルを定義することができる。自然な乳房プロファイルとは、ユーザのブラに快適かつ便利にフィットし、自然な外観を呈することと考えられる。このように、プロファイルは、非円形のベースを有することを特徴とする。基部からは、非対称なパターンを持つ曲面が延びる。さらに、自然な乳房のように、デバイスまたはシステムのプロファイルは、1つまたは複数の非対称曲線および中心からずれた慣性中心を定義すると考えられる。ユーザの好みやニーズに合わせて、様々な自然な乳房の形状を提供し、そこから選択することができる。ポンプシステム10の反対側には、ユーザの乳房に係合する大きさおよび形状のフランジ14で構成される。フランジ14は、幅広いユーザの体に対して快適にフィットし、乳房組織とシールして係合するための構造を提供するように輪郭が形成されている。ある特定の実施形態では、フランジ14は、一般的に剛性の高い構造を形成することができ、代替的または追加的に、標準的なフランジとは異なり、使用中に乳房組織が係合する可能性のある鋭いエッジまたはリップ部分を欠いてもよい。この点で、フランジは、乳房組織と係合するためにフランジの乳首受容部から外向きに延びる表面を含み、したがって、組織と快適に接触するための大きい表面積を提供する。
【0024】
図2は、
図1のシステム10の正面図であり、ハウジングまたは外殻12が取り外されて透明になっており、通常であればハウジング12に覆われている部品が見えるようになっている。特に、ハウジング12が取り外された状態では、様々な電子部品を確認することができる。システムコントローラは、フレックス回路16と通信する回路基板15に具現化されており、各回路基板は、システム10の様々な電気機械部品に接続して制御するように協働している。コントロールパネル17は、フレックス回路16を介してコントローラと電子的に通信しており、ユーザにシステムの電源のオン/オフ、および機能の変更をする能力を提供する。さらに、1つ以上のモータ44、46が設けられ、システムによって電子的に制御され、導管またはフレックスチューブ32上で動作するアクチュエータ(後述)の操作に影響を与えることができる(
図4および
図5参照)。また、充電可能な電源を提供するためにバッテリ48が設けられ、充電のために電源に接続されるように構成されている。さらに、以下に説明するように、圧力検知機能を提供するように構成されたロードセルアセンブリ54が設けられている。少なくとも一実施形態では、ユーザが直立しているときに、導管またはフレックスチューブ32が乳房の乳首に対して下から上に向かって走るように配向されていると考えられる。
【0025】
図3は、ポンプ機能をより詳細に説明するために、フランジ14を取り外したシステム10の反対側を示している。導管またはフレックスチューブ32(
図4~6参照)は、ポンプシャーシ35内に形成された凹部34に取り外し可能に受容される大きさと形状を有する、概ね球形のコネクタ33を含む。コネクタ33は、ユーザが意識することなく、また、調整や部品の組み立てを行うことなく、動いているモータパドルと歪みゲージに連結されたポンプの溝に自動的に係合するように設計されている。ポンプのシャーシ35は、システム10の電子構造や電機構造を支えるように機能する(
図2も参照)。また、以下に説明するように、導管またはフレックスチューブ32に向かって前進および後退するように構成されたピンチアクチュエータ36のためのスペースを提供する。他のポンプ作用は、圧縮および膨張部材38による導管またはフレックスチューブ32と凹部34との係合によって達成される(
図7参照)。
【0026】
一般的に、リアルタイムの圧力制御は、システム10のコントローラによって管理される。コントローラは、圧力を追跡し、ポンプモータを内へまたは外へ動かして、選択した方向へ圧力に影響させる。モータの振動運動によって、ポンプは、導管またはフレックスチューブ32構造のコネクタ33を引っ張り、その容積を増加させるように構成することができる。システム10内に真空がある場合、チューブの容積が増加すると、その真空を増加させることができる。チューブを押し込むと、その容積が減少する。これにより、チューブ内の真空レベルが低下し、真空が十分に低下すると相対的な正圧が発生する。ポンプコントローラはこの原理を応用し、現在の圧力を検知して、モータアセンブリの圧縮部材やパドルを必要な方向に動かして、圧力目標を生成する。これをリアルタイムで繰り返し行うことで、ユーザの乳首に適用したい波形に合わせて、制御された真空波形を作り出すことができる。
【0027】
ポンプは、圧縮部材やパドルをあらかじめ設定された目標にぶつかるまでゆっくりと引き出すことができる。パドルを範囲の限界まで動かしても所望の真空が得られない場合は、システムをパージしてより大きい真空ポテンシャルを発生させる。パージは、強力な真空ポテンシャルを生み出すために、システムから材料を押し出す機能である。パージは、まず導管やフレックスチューブのピンチを閉じるか、フラップやダムなどでフレックスチューブを閉鎖し、次にパドルを閉じて押すなどしてフレックスチューブを空にして、フレックスチューブから体積を押し出し、その体積内にあった流体や空気も一方向バルブを通して収集レセプタクルに排出される。パドルが再び後退すると、チューブの内容物が事前にパージされているため、より高い真空を発生させることができる。一旦、より高い真空を発生させることができるようになれば、システムはピンチバルブを開き、所望の真空プロファイルを乳房に適用し、所望の圧力波形を生成することができる。
【0028】
システムが空気で満たされているときは、非常に弾性で、モータの位置を大きく変えても、真空の変化はわずかである。一方、システムが流体で満たされている場合は、モータの位置を少し変えるだけで、真空度が大きく変化する。あるアプローチでは、複数の間隔を空けて配置された磁石を含むエンコーダがモータに関連付けられている。磁石は、一般的に円盤状のエンコーダの外周に沿って配置され、磁石はエンコーダの回転軸と平行に配向される。1つまたは複数のホール効果センサを回路基板15上に構成するか、または表面実装し、磁石の動きと位置を読み取るように配置することができる。このようにして、モータの位置を決定し、監視することができる。このように、システムが反応しているときには安定しており、反応していないときには効果的であるようにシステムを構成することが課題であり得る。そこで、比較的剛性の高いシステムに合わせてコントローラを調整し、モータを必要な方向に動かす単位のない量を入力し、その振幅をシステムの出力に応じて変更するという方法が考えられる。したがって、圧力目標を達成するためにシステムの出力が必要以上に小さい場合は入力波を大きくし、システムの出力が必要以上に大きい場合は入力波を小さくするカスケードコントローラを作成することができる。これは、入力に対する出力を観察することで、リアルタイムに実現することができる。このようにして、コントローラは目標波形を継続的に調整することができる。また、上半分と下半分の波形を独立して制御できるため、波形のセンタリングが効率的に行え、高精度かつ迅速な調整が可能なシステムとなっている。
【0029】
このシステムには、さらに自動レットダウン検知機能を提供することができる。ポンプは、流体が満杯になったことを感知し、流体が流れ始めたときに汲み上げとレットダウンを切り替えて対応することができる。あるアプローチでは、システムに組み込まれたアルゴリズムが作動して、ポンプ内の目標波の最大値と最小値の比率を調べ、それをポンプの出力と比較する。その結果、ユニットレスでありながら、システムコンプライアンスを非常に高い信頼性で検知可能になる。これを調整して、コンプライアンスが、システムが流体で満たされていることを示すいくつかの既知の値を超えたときに、内部イベントをトリガすることができる。コンプライアンスの他のあらゆる測定も、同等の方法で使用できる。
【0030】
レットダウンを検知する別のアプローチにおいて、空気の入ったチューブを押しても、流体の入ったチューブを押した場合と同じ力が発生しないことがわかる。パージの際に発生する力を追跡することで、システムが流体で満杯になったことの強い示唆が得られるかもしれない。パージの力が既知のしきい値を超えたときに、システムが空気ではなく流体で満杯になったと言えるように、これを追跡するためのイベントを生成することができる。このアプローチでは、データの追跡が少なくて済み、ポンプの設計や乳房組織の変化に伴って必要となる調整も少なくて済む。さらに別のアプローチでは、流れの追跡に基づいて、レットダウンの検出を行うことができる。すなわち、流れが始まったら、レットダウンが発生しているはずであり、少量の流れが収集されたら、システムは汲み上げに切り替えることができる。さらに、モータの位置に対して測定された真空の相対的な変化率を見ることで、レットダウンを追跡することができる。この相対的な変化率は、コンプライアンスの測定値であることに注意されたい。この比率が大きくなると、システムに流体が充填されていると結論づけられる。
【0031】
さらに別のアプローチでは、約2.5mlの母乳が検出されたときにレットダウンとされるように、システムにレットダウン検出方法が組み込まれている。このように、システムは母親が母乳を圧出したときに関連するタイミングで刺激モードから切り替わる。そのため、母乳が流れたことをシステムが一旦検知すると、その時点でレットダウン検知として扱われる。その後、システムが流体で満杯になったことを感知すると、すべてのポンプレベルへのアクセスを可能にする別のゲートウェイが提供される。
【0032】
この検知メカニズムでは、短時間に2回のパージが発生するかどうかを確認する。あるアプローチでは、システムコントローラは、2回のパージが45秒以内に、セッションの7秒目以降に発生すると、レットダウンがあると判断する(ただし、このような定数は変更可能)。基本的に、母乳が流れていれば、ポンプには長い待ち時間なしに2回のパージが発生する。課せられた時間制限は、非常にゆっくりとした空気の漏れや、パージを引き起こすような物理的な調整が誤った検出のトリガとならないようにするためのものである。セッションの開始時に、システムが開始される前にわずかな時間(例えば7秒)の遅延を設けることで、セッションの開始時にポンプの真空度が十分でなく、それを改善するために開始時に必要であったパージであるという事態の発生による誤認を防ぐことができる。
【0033】
ある実施形態では、システムは、レットダウンの検出が発生したときに汲み上げの頻度を下げる。これは、ポンプが「刺激」ではなく「圧搾(expression)」モードであることをシステムアプリに表示することもできる。さらに、システムは、すべての真空度に達すると自動的に真空度を上げ、すべての真空度に達するとシステムアプリにアラートが送信される。このようにして、ユーザは、真空度を上げることができることを知り、汲み上げを完全に制御することができ、適切なアライメントのテストとして使用できる明確なマイルストーンが提供されるという点で助けられる。つまり、予想される時間内にそのような目標を達成できない場合は、ユーザがアライメントを再調整する必要があるかもしれないというフィードバックとして使用される。
【0034】
したがって、このアプローチでは、ユーザが自分のレットダウンの発生を感じることができるため、システムの応答性が向上し、レットダウンを感じることが困難なユーザの不安感を軽減することができる。さらに、より迅速な母乳の採取が可能となり、特定のユーザがレットダウンを達成するために体を後ろに傾ける必要がなくなり、ユーザが汲み上げの開始時にモバイルアプリを常にモニタする必要性が減少する。
【0035】
図4は、本開示の一実施形態によるシステム10の構成要素の断面を示している。フレックスチューブまたは導管32(
図5で良く示されている)は、小導管部分32Sの断面内面積よりも断面内面積が相対的に大きい大導管部分32Lを含む。大導管部分32Lは、洗浄のためのサイズを有する開口部で終端しており、一般的に小指の先を受け入れられるくらいのサイズである。部分32Sおよび32Lの両方が管状の部分として示されているが、本開示はそのようなものに限定されず、一方または両方の部分が他の形状でもあり得る。管状の場合、断面は、楕円形、正方形、他の多面体形状、非対称、または非幾何学的形状であってもよい。さらに、フレックスチューブ32は、システムのヒステリシスに対応するのに役立つように設けられた、大きな導管部分32Lの末端付近に構成された拡大された球根状部分32Bを含んでもよい。
【0036】
図6は、システム10の構造的および機械的な構成要素を示す分解図である。ハウジング12とフランジ14の間に構成されているのは、シャーシ35である。シャーシは、ハウジング12とスナップ係合するように構成され得ることは注目すべきである。さらに、好ましい実施形態では、シャーシ35は、ポンプ部品のすべてを直接的または間接的に支持する。特に、PCBコントローラマウント62は、シャーシ35によって支持されており、回路基板15に接続され、それを支持するように構成されている(
図2も参照)。バッテリブラケット64も、シャーシ35によって支持され、システム10に電力を供給する充電式バッテリ48アセンブリを受容するサイズおよび形状を有する。カバージャックまたは電源カバー65は、バッテリアセンブリのリセットボタン充電ポートへのアクセスを提供するため、および電源コードコネクタ(図示せず)を受け入れるためにさらに含まれる。モータマウント66およびモータレシーバ構造67もまた、シャーシ35によって支持されており、それらは、バッテリによって電力を供給され、導管またはフレックスチューブ32上で動作するモータを動かすように機能する、システムモータを受けて支持するように構成されている。また、シャーシ35によって支持されているのは、フレックスチューブのフットのピンチを可能にするアクチュエータを支持するアクチュエータブラケット69と、ロードセルブラケット70、およびロードセルレシーバ71である。さらに、ユーザインタフェースパネルは、それぞれがハウジング12に支持され、ユーザにシステム制御を提供するフレックス回路16と係合して配置されるボタン膜72およびボタン膜ハウジング73を含むことができる。
【0037】
導管またはフレックスチューブアセンブリ32をシステム10に接続するために、フレックスチューブアセンブリ82が提供される。フレックスチューブアセンブリ82は、フランジ上のスロット84に受容されるようなサイズおよび形状を有する。流体容器装着部86(容器から分離して示されている)は、フレックスチューブアセンブリ82に受け入れられるサイズと形状を有している。ドアアセンブリ90は、フランジ14に取り付けられており、システム10の内部へのアクセスを提供するとともに、装着部86とフレックスチューブアセンブリ82との間の強固な接続をサポートするために、スイングして開閉するように構成されている。したがって、少なくとも1つの実施形態では、収集または容器アセンブリは、収集または容器アセンブリへの導管のシャフトの周りとの摩擦によって、および部分的に収集または容器アセンブリを囲み、所定の位置に保持することができるドアアセンブリ90によって、支持され、取り付けが維持されることが意図されている。代替実施形態では、搾乳ポンプアセンブリは、ドアアセンブリを完全に省略することができる。したがって、フランジ自体が、容器アセンブリを所定の位置に保持するための構造を含んでもよい。さらに、ドアアセンブリまたはドアアセンブリに代わる他の構造は、容器アセンブリが直視できるように透明であってもよい。
【0038】
図7に模式的に示すように、ラッチ力、汲み上げ力、および抽出力は、それぞれモータドライバ44および46によって積極的に駆動される2つの圧縮部材36、38によって確立することができる。1つ以上の圧縮部材を使用することができ、1つまたは2つ以上のドライバを使用することができるが、現在好ましい実施形態では、図示のように2つのドライバによってそれぞれ駆動される2つの圧縮部材を使用する。システムコントローラまたはシステムソフトウェアおよび/またはファームウェアは、圧力センサまたはロードセルアセンブリによって検出された、事前に決定されたラッチおよび生産目標またはスキームに応答して、ドライバの動作をリアルタイムで制御する。ファームウェアは、そのようなターゲットに様々な速度で近づけるように書かれることができ、あるときは比較的速く、またあるときはよりゆっくりと、あるいは穏やかに、それによって複数の刺激と圧搾レベルを提供することができる。したがって、例えばラッチはよりゆっくりと、またはより速いアプローチで確立することが可能で、赤ちゃんの吸飲パターンを模倣するために、ラッチが達成されるレベルを決定する制御も可能である。
【0039】
様々なレベルの吸引が、同様に圧搾中に存在し得る。チューブ部分32Sおよび32Lは、それぞれ、圧縮部材36および38によって閉鎖されるか、または実質的に閉鎖され得る。さらに、そのような能動的な汲み上げ部材は、チャネル内の流体または母乳の結局の流れに対して概ね垂直に、チューブチャネルに係合するように構成されてもよい。また、チューブチャネルのピンチ領域は、補助的な能動的支持によって開くチューブチャネルの圧縮領域の隣に位置する受動的な反動によって開くように構成することができる。システム10の電源を入れると、圧縮部材36が開き、圧縮部材38が後退し始め、導管またはフレックスチューブ32のボールコネクタなどの構造体への接続を通じて、それによってチューブ32内の吸引レベルが徐々に増加する。所定の最大吸引レベルが達成されると(後述する圧力センサから取られた圧力測定値によって確認される)、圧縮部材38は、その時点の方向への移動を停止し、システム10の動作モードが最大吸引を維持する所定の時間を有するときに、その位置を維持する(または、母乳がシステムに入るときに減少する吸引を補償するために同じ方向にわずかに移動する)か、または方向を反転させ、ラッチ吸引レベルが達成されるまでチューブ32Lを圧縮する。そのような所定のレベルは、ポンプとは別のテストセットアップの構成を採用して決定することができる。第1のストロークで圧縮部材を完全に退避させることができる時点までに、最大吸引レベルがまだ達成されていない場合、圧縮部材36が再びチューブ32Sを圧縮して乳房の環境におけるその時点の真空レベルを封鎖し、圧縮部材38がチューブ部分32Lを完全に圧縮してシステムからより多くの空気を絞り出す。次に、圧縮部材36が再び開いてチューブ部分32Sを完全に開放し、圧縮部材が次のストロークを行い、再び離れてより大きな吸引レベルを発生させる。このサイクルは、最大の吸引レベルが達成されるまで続く。最初のストロークで最大の吸引レベルを達成することが可能な場合もあるが、他の場合には複数のストロークが必要な場合もあることに注意されたい。
【0040】
最大吸引を達成すると、予備の吸引および圧力生成能力を確保するために、圧縮部材38が最大およびラッチ吸引レベルを達成するためにいずれの方向にも最大限に移動しないように、システムを設計およびプログラムすることができる。最大吸引レベルが達成され、汲み上げプロファイルがラッチ真空に戻ることができると、圧縮部材38は、前進してチューブ部分32Lを圧縮し、それによってチューブ32内の真空を上昇させる。ラッチ吸引真空が達成されると、圧縮部材36は、乳房に対してラッチ真空が維持されるように、十分な吸引が維持されることを確かにするように、チューブ32Sを再び閉鎖する。この段階で、圧縮部材38は、吸引レベルを目標とする吸引(ラッチ真空に近いレベルなど)に戻すために、再び遠ざかり始め、圧縮部材36が開き、チューブ32Sが開くことを可能とし、乳房2が最大の吸引にさらされる。代わりに、システムは、圧縮部材38が、各サイクルのある時点で圧縮部材36が閉じることなく、最大吸引レベルとラッチ吸引レベルとの間を循環し、ラッチ真空を超えたときに圧縮部材36が閉じるようにプログラムされてもよい。
【0041】
母乳の抽出を開始すると、圧縮部材36および圧縮部材38は、ラッチの場合と同じ方法で機能することができるが、ロードセルアセンブリまたは圧力検知アセンブリに反応するシステム制御によってリアルタイムで決定される選択された抽出汲み上げによって決定される抽出波形に従う方法である。この段階では、システムの汲み上げ動作によって生じる音は、母乳または流体がポンプ機構を通って流れるにつれて減少する。圧縮部材38の圧縮ストロークの間に、ラッチ圧力/吸引レベルが達成されると、圧縮部材36が閉じる。圧縮部材38による圧縮の継続により、圧縮部材36の下流のチューブ32内の圧力が上昇して、チューブ部分32Lの内容物(母乳)を、チューブ部分32Lの下流のより小さいチューブ部分32S2を通して、一方向バルブを介して押し出すための正圧が確立される。獲得された正圧は、母乳をチューブ32から出して母乳収集容器に送出するために一方向バルブを開くのに十分である。一実施形態では、正圧は、20mmHg~40mmHgの範囲であり、典型的には約25mmHgである。圧縮部材38の動きを反転させると、圧縮部材36は、吸引レベルがラッチ吸引レベルに戻ったときに開き、圧縮部材38は、吸引レベルを最大吸引レベルまで増加させるために開き続ける。
【0042】
本開示は、フランジまたは皮膚接触部材/乳房14を乳房にシールさせるために、ラッチ真空を確立することができる。システムによって確立されるラッチ真空は、現在、約60mmHgであるが、約20mmHg~約100mmHgの範囲内の任意の値であり得る。システム10が皮膚接触部材14を介して乳房にラッチされると、システムは、ラッチ真空と目標(「ピーク」または「最大」とも呼ばれる)吸引レベルとの間で循環する。システム10がサイクル中に0mmHgまで下がらず、乳房への吸引を維持し、吸引サイクルの最小エンドがラッチ吸引レベル(例えば、約60mmHg)であるという事実により、乳首は、先行技術の搾乳ポンプシステムを使用した場合ほどは収縮しない。授乳中に乳頭(teat)が形成されるのと同様に、最初のラッチ達成時に、乳頭が皮膚装着部材10内に引き込まれることが観察されている。真空がラッチレベルと目標真空レベルの間で循環すると、先行技術のシステムを使用した場合に生じるものと比較して、真空変化に伴う乳首の前後の動きは著しく小さい。本システム使用時の乳首の動き(完全に伸びた状態と完全に引っ込んだ状態の間の距離)は、通常約2mm以下、場合によっては約1mm以下である。したがって、本システムは、より自然な授乳に近いラッチングを提供するだけでなく、科学文献で証明されているように、低減された乳首の動きもより自然な授乳に近いものである。ある特定のアプローチでは、システムは、超音波を採用して、汲み上げ中に乳首の動きを観察し、望ましい乳首の動きが達成されていることを確認することができる。
【0043】
一実施形態では、システムの総容積は約24.0ccである。総容積は、乳首受け部分(そのうち乳首によって占有されていない部分)と、母乳収集または容器アセンブリまでのチューブ部分32S、32Lおよび32S2内の空間として計算される。全システム容積が約24.0ccの実施形態では、能動的なポンプ容積、すなわち、チューブ部分32Lを完全に非圧縮状態から圧縮部材38による圧縮限界まで圧縮することによって達成可能な容積までの変位は、約3.4ccである。システム10のチューブ32内に空気しか存在しない場合、圧縮部材38をチューブ部分32Lに対して内側に移動させ、外側に離すことによる圧力変動は、空気の圧縮性のため、わずかである。本実施形態では、システムが-60mmHgの真空下にある状態で、圧縮部材のフルストローク(チューブ部分32Lが圧縮された状態から完全に非圧縮状態まで)により、真空が-160mmHgに増加する。システム全体の容積に対するポンプの容積の比率は、ポンプシステムの電力およびサイズに関して重要であり得る。本実施形態では、チューブ部分32Lは、シリコンで作られた。汲み上げ時の圧縮部材の動きを低減することで、ポンプモータの動作をより静かにすることができ、システム全体をより静かにすることができることが認識されている。さらに、本システムでは、システム油圧の媒体として、搾取された母乳を採用しており、この媒体は、真空が吸引されるユーザの乳房と直接接触している。したがって、本システムは、最初のラッチと汲み上げのためには乳房に対する空気吸引を採用することが可能で、その後、汲み上げ動作または動力のために搾乳された母乳を利用するように変換する。
【0044】
レットダウン動作中、システム10は、抽出に先立って、乳房内の母乳のレットダウンをさせるために動作し、最大120mmHg(典型的には、約l00mmHg(-l00mmHg圧力))の最大吸引目標で、レットダウンを確立する。レットダウン(または非栄養性吸引)の目的は、乳房を刺激して母乳を分泌させることである。この段階での比較的浅い(真空変化の範囲が小さい)、比較的速い周波数の汲み上げは、乳房に対する乳児の最初の吸飲動作を模倣するためのものである。これは、レットダウン段階では、吸引圧力が、110mmHgまたは120mmHgの最大レットダウン吸引、または、何であれ設定されたその他の最大レットダウン吸引値を超えてはならないからである。したがって、圧縮部材38がチューブ部分32Lから離れる方向に引かれると、システム10は、圧縮部材38がチューブ32Lがほとんど圧縮されていない位置に到達するまでに、-l00mmHgの圧力(l00mmHgの吸引圧)(または-120mmHg、または、何であれ設計された最大レットダウン吸引値)に達するように設計されている。
【0045】
母乳の出を良くしたり、自然な授乳を模倣したりするために、汲み上げの微妙なバリエーションをシステムに組み込むことができる。このようなバリエーションは、システムによって追跡され、どのバリエーションが望ましいまたは最適な乳生産を達成するために最も効果的であるかを決定するために分析することができる。自然な授乳を模倣するために、波形/形状、汲み上げ周波数、振幅、圧縮/開放、吸引速度を変化させることができる。このバリエーションは、加えて、ユーザにとってより快適な搾乳ポンプの感触をもたらす。1つのアプローチでは、周波数、振幅、波形形状、およびその他のパラメータの微妙なバリエーションを汲み上げ中にわたって行い、各期間またはサイクルが前回のものとは異なるようにすることができる。あるいは、特定の期間や汲み上げイベントの後、あるいは特定の合図に合わせてなどの、キーとなるインターバルで変化させることもできる。さらに、バリエーションは、ランダムでも、意図的でもよく、例えば、母乳生産を最も刺激するように設計された特定のパターンが数秒または数分の間に繰り返されるようなデザインでもよい。また、快適性および/または出力および/またはシステムの静粛性を向上させるために、ユーザがバリエーションを選択することができ、ユーザ入力またはシステムのファームウェアを通じてユーザに個別のプロファイルまたは設定を提供することができる。ある特定の態様では、ポンプは、低真空から高真空、そして低真空に戻るという繰り返しの波形で変化する真空を生成するように構成されている。波形の期間は、指定された持続時間のセクションに分割され、波形の期間の持続時間を持つ1つのセクションが存在してもよい。複数のセクションがある場合は、各セクションの継続時間の合計が波形期間と等しくなければならない、または等しくてもよく、各セクションの真空度を数学的な関数で指定することで、真空度を上げたり下げたりする際の真空度の変化率を制御することができる。
【0046】
レットダウンの間(非栄養性)、システムソフトウェアおよび/またはファームウェアは、圧力検知アセンブリから取得して伝達された測定値に基づいてシステムモータに命令を伝達し、一例ではシステムが-60mmHgから-l00mmHgの間で動作するように構成される。この例では、圧縮部材38は、チューブ部分32Lをほぼ完全に圧縮することができ、その後、チューブ部分32Lから離れて真空を発生させることができる。最大ラッチ吸引圧力の-l00mmHgには、チューブ部分32Lの少量の反発で到達し、圧縮部材38は、チューブ部分32Lの完全な圧縮に近い狭い範囲または帯域で、-l00mmHgと-60mmHgとの間でチューブ部分32Lに対して相対的に循環させることができる。母乳が流れると、その狭い帯域が移動し、その時点でチューブ部分32Lを完全に圧縮して内容物を追い出し、チューブ部分32Lがパージされ、それによってチューブ部分32Lに再び比較的少ない圧縮量で、汲み上げのためのより大きい容量を回復させることができる。
【0047】
システム10は、母乳がチューブ32に入ることで生じるチューブ32内の圧力変化に反応する。再び
図7を参照すると、圧縮要素36、38は、圧縮要素36、38を独立して、しかし協調して駆動および後退させるために、それぞれドライバ44、46に動作的に接続されている。電気的に駆動されるドライバが使用される場合、バッテリ48は、コントローラ52および圧力センサ54にと同様に、ドライバ44、46に電気的に接続されており、圧縮要素36、38の圧縮および後退を駆動するためにドライバ44、46を動作させるのに必要な電力を供給する。
【0048】
センサ54は、所望の真空レベルを達成および/または維持するためにポンプサイクルを制御するコントローラ52にフィードバックを提供するために使用される。センサ54は、システム圧力を計算するために利用されるデータを提供するロードセルセンサであることが好ましいが、圧力、流量、温度、近接、モーションセンサ、またはシステム10のポンプ機構の安全性または機能を監視するために使用可能な情報を提供することができる他のセンサであることも可能である。図示されているように、センサ54は非接触センサ54であり、システム10の母乳または真空空間と流体連通していないことを意味している。
【0049】
上述したように、導管またはフレックスチューブ32は、モータと動作可能に接続される。フレックスチューブ32の反対側の端は、ロードセルまたは歪みゲージの形態をとるセンサ54と関連している。モータの位置は、例えばセンサによって追跡され、チューブ32にかかる力を評価して、システムファームウェアを使用して汲み上げられた量を決定する(
図8参照)。つまり、1つのサンプルでは、ポンプセンサ、すなわち歪みゲージの測定値とパドルまたは圧縮要素38の位置から体積を評価することができる。閉鎖システムを維持したまま、歪み/パドルの位置を変えて複数回測定することで、内部システムの空気と流体の割合を決定することができる。これらの体積測定は、汲み上げセッション中にいつでも、閉鎖システムの経路または管セグメントで行われる。フレックスチューブ32が圧縮要素36によってピンチされ、容器アセンブリ(後述)につながる一方通行のバルブが閉じられると、閉鎖システムの経路または管セグメントが形成される。パージの前後に測定を行うと、体積測定値の差からパージされた総量を知ることができる。また、パージの前後に行う複数回の測定を組み合わせることで、パージで排出された空気の総量と流体の総量を知ることができる。このシステムは、必要なときに早めにパージするように構成されているので、ピンチが閉じた後に必要な真空を引いて良好な測定値を得ることができる。
【0050】
連続した複数のパージからのデータを分析することで、連続した空気の漏れを検出し、母乳レセプタクルに送り込まれた空気と流体の正確な累積量を計算することができる。また、パージ以外でも、汲み上げセッション中にいつでも、閉鎖システムの経路またはチューブ内の異なる歪み/パドルの位置で複数の測定を行うことで、空気の漏れを検出することができる。
【0051】
内部チューブ容積に対するセンサデータの正確なマッピングを採用し、ポンプの容積を決定する。システムが閉じているときには、すぐに利用できるセンサデータからそのシステムの内部容積の正確な推定値が構築され、利用される。あるアプローチでは、包括的なデータを収集してルックアップテーブルを作成し、容積を導出する。ポンプシステムに関する知識を得ることで、より優れてより正確なセンサ測定値を得ることができ、つまり、正確な体積を得るためには、どのように測定値を限定する必要があるか、また、そのような測定値を得るためにどのようにシステムを操作するかなどの知識である。体積の測定は、閉じたシステムセグメントまたは経路内の空気の体積と流体の体積を任意の時点で決定するために使用され、したがって、時間が経過すれば、空気と流体の比率や、収集レセプタクルに押し込まれた量を決定することができる。
【0052】
したがって、好適な一実施形態では、モータの位置と歪みゲージの追跡結果を解釈することで、モータのバックラッシュやその他の機械部品の相互作用や噛み合わせによるシステムのノイズやヒステリシスを補正して、体積計算に到達する。より具体的には、マップが作成され、多項式回帰により、モータの位置(すなわちパドルまたは圧縮要素38)とチューブの歪みとの関係が結び付けられ、システムによって汲み上げられた量が得られる。システムのファームウェアは、モータの位置とチューブの歪みを追跡することにより、自動的に汲み上げられた体積を計算して追跡するように構成されており、このデータを汲み上げられた体積のマップと相関させることにより、正確な体積の決定が行われる。この点に関して、システム10は、ファームウェアに関連する機能およびファームウェアによって指示される機能を演算装置に実行させるために、システム内のまたはシステムの外部の演算装置によって実行可能な命令をその上に格納した非一過性のコンピュータ可読媒体を含むか、またはそれと通信する。
【0053】
そのようなアプローチは、ポンプシステムに導入される可能性のある、またはポンプシステムに固有の多数の変数に依存しない。すなわち、異なる母乳容器、容器への異なる充填、流入流量、真空レベルまたは周波数、異なるランダムな波形/形状、汲み上げ中の再配置、または空気漏れ、に関連する1つまたは複数の変数は、体積決定に影響を及ぼさないか、最小限の影響しか及ぼさない。
【0054】
システムモニタリングの別のアプローチでは、体積をロードセル(力)およびモータの位置に関連付けるマップが採用される。このマップは差動的に使用され、つまり、サンプルごとに返される値は未知の定数によってオフセットされる。しかし、ある測定値から別の測定値を引いて測定値の差を見ることで、2つの測定値の間にあるフレックスチューブの意味のある体積差を知ることができる。このアプローチをとることで、ポンプの入力波形、周波数、振幅が変化しても、より高い精度と正確さが得られる。
【0055】
ここでは、汲み上げ中に体積マップを定期的に使用し、真空度データと連動させて体積データを取っている。このようにすることを、1つの波形の中で少なくとも2つのサンプルについて行うことにより、体積と真空度のデータとともにそれぞれの体積が変化し、(体積変化)/(真空度変化)、またはその逆数である(真空度変化)/(体積変化)のデータストリームが構築される。
【0056】
このデータは、既存のマップのルールを使ったサンプリングによって採取されるが、通常の汲み上げ時に波形の途中でピンチフットが開いているとき採取する。波形の頂点付近と谷底付近でサンプルを採取することで、体積と真空のサンプルの分離が容易になり、比率でのノイズが少なくなる。しかし、真空システムと体積マップの良好なサンプリング方法を満たす波形の任意の2つのポイントでサンプルを作成することができる。
図9Aに示すのは、最良の結果を得るために、真空波形のどこでサンプリングを行うかを選択する例である。良好なサンプリングを行うためには、マップを正確に作成するために必要な最小限の力と、モータにバックラッシュがないことを常に確かにする必要がある(モータが動き出したばかり)。あるアプローチでは、波形が動き出してからすぐに最初のサンプルを採取し、その後、波形が折り返す直前にサンプルを採取する。
【0057】
図9Bを参照すると、母乳で満たされるときにポンプから取得されたポンプデータが示されている。下降線L1は、真空度の変化に対する体積の変化の測定値をk倍して表しており、kは信号を見やすくするために含まれる定数である。この線L1は、システムが流体で満たされると下降し、システムが母乳で満たされている場合など、システム内の空気と流体を識別するためのシステムへの信号として使用される。この例では、時刻1:51:00にシステムが母乳で満杯になったと判断され、底部のデータ表示D2で表される真空レベルの急激な上昇に反映されている。一旦検出されると、ポンプの動作、および/またはスマートフォンなどの補助的なコンピュータデバイスに送信されるメッセージによって、ユーザに警告される。
【0058】
これらのデータは、リーク検出にも使用される。例えば、ポンプがパージを続けている間にラインL1が下がり続けるのを止めた場合、空気の漏れが検出される。また、最初に低下した後に上昇したコンプライアンス測定値は、セッションの後半に始まった空気漏れの指標である。
【0059】
別のアプローチでは、コンプライアンス測定に対する流量の影響を最小限にするためのコンプライアンスの決定方法の変更が提供される。ここでは、このアプローチは、導管が母乳で満たされたときを示すため、および/または導管やポンプのハードウェアに構造的な損傷があるかどうか、あるいは空気漏れや位置ずれがあるかどうかを判断するためのコンプライアンスの要因として流量を最小化または排除する。真空度の変化に対する体積の変化の計算は同じであるが、サンプルは波形の異なるポイントで採取される。つまり、直近に述べたアプローチでは、真空波形の位相が最小から最大に向かって増加しているときにサンプルを採取するのに対し、このアプローチでは、真空波形の位相が最大から最小に向かって減少しているときにサンプルを採取する。したがって、第1のサンプルポイントが波形の低真空部分にあり、第2のサンプルポイントが波形の高真空部分にあるのではなく、サンプルは逆に採取され、第1のサンプルポイントが波形の高真空部分にあり、第2のサンプルが波形の低真空部分にある。これは、ポンプシステムが低真空の目標を容易に達成できることを利用したもので、最大真空に到達することが困難なシステムに有効である。その結果、第1サンプルを高真空部分で採取することで、異なる流体流量、波形形状の変化、低速または高速の周波数および波形振幅に対して高い安定性を提供するため、流体流量を気にすることなく、またはあまり気にすることなく、システムが流体で満杯になったことを検出することができる。さらに、このアプローチでは、真空度が低下すると、流体の流量に関係なく、導管が空のときも満杯のときもコンプライアンスがほぼ同じになるため、満杯になる前の導管の容積をより高い精度で推定することができる。
【0060】
次に、
図10~13を参照すると、収集または容器アセンブリ60の一実施形態が示されている。特定の一実施形態では、収集または容器アセンブリ60は、アセンブリの周囲92に沿って一緒にバンド溶接またはその他の方法で接合することができる2つの2.5~3.0ミリインチの材料シートから形成することができ、3.5オンス以上、または最大4.5オンス、あるいは代わりに8オンスの流体を保持するサイズにすることができる。特に、収集または容器アセンブリ60は、ポンプシステムおよびフランジの内部の空間を最適化または最大化するように事前に形成することができる。出荷の際には、収集または容器アセンブリを真空で引いて閉じ、包装または取り扱いのために平らにまたは薄くすることができる。コレクションまたはコンテナアセンブリの本体は、一般的に膀胱形状であり、内部バンドシールによって形成された一般的に中央の開口部93を含む。ある特定のアプローチでは、本体は、より大きい容積を提供するためにガセット(gussets)をさらに含んでもよい。一対の翼94は、中央開口部93に延びることができ、ポンプシステム10内での収集または容器アセンブリ60の取り扱いおよび位置決めを容易にするために提供される。狭いネック部分95は、中央に配置され、中央開口部93から長手方向に離れて延びている。ネック部分95は、把持および除去のための構造を提供するタブ部分96を含み、容器90の引き裂きを助けるために提供される1つまたは複数の切り抜きまたは引き裂き可能な要素97をさらに含むことができる。袋アセンブリ90の引き裂きを助けるために、さらなる切り目入れも考えられる。また、代替的な実施形態では、収集または容器アセンブリ90は、再密封可能、再使用可能でもよく、より大きいまたは小さい開口部を含んでもよく、または内容物を注ぐためのスパウト構造を含んでもよい。スパウトは、収集アセンブリの装着部またはバルブに取り付けられるか、またはその他の方法で容器に形成されて、注ぎやすくすることもできる。このようなスパウトは、さらに、一時的または恒久的にバルブまたは装着部を無効にする構造を含むことができる。収集または容器アセンブリのバルブはまた、第2または後続の収集または容器アセンブリで再使用可能であり得て、したがって、容器アセンブリから取り外し可能である。
【0061】
システムは、シールされた収集または容器アセンブリ60、または一体型のバルブを含むもの、またはその他の方法で気密性の高い収集または容器アセンブリ60、またはそれらの組み合わせに汲み上げるように構成されると考えられる。この特定の観点では、システムは代替的または追加的に閉鎖され、大気に開放されることはなく、および/またはシステムの吸引は、システムへの母乳の流れを通じてのみ減少する。したがって、少なくとも1つのアプローチでは、システムを介して汲み上げられた母乳または流体は、一旦収集または容器アセンブリに入ると、環境からの新たな外気にさらされることはない。したがって、ポンプシステムまたは人の向きは、システムの機能に実質的に影響を与えない(すなわち、こぼれることはない)。収集または容器アセンブリは、ポンプまたは容器のバルブが押し込まれたりねじられたりしてシールされるリングまたはガスケットなどの剛性または柔軟性のあるシール部材を含むことができる。また、収集または容器アセンブリは、容器アセンブリがその中に入る部材についてシールするように貫通する開口部または穴または構造を含むことができる。さらに、容器袋101および装着部102の一方または両方が使い捨てまたは再利用可能であるような、容器101およびバルブ装着部102の配置の使い捨ておよび耐久性のある多くの組み合わせが考えられる。さらに、容器は、ポンプハウジングの内側または外側になるように構成することができる。
【0062】
装着部102は、収納容器101と流体連通して接続されたアンブレラバルブアセンブリ103または他のタイプの一方向バルブなどのバルブを具現化することができる。また、装着部には、無数の代替的な実施形態が想定可能であり、追加的または代替的に容器と一体的に形成することもできる。例えば、考えられる1つのアプローチでは、装着部および/またはバルブは、容器に取り付けられた別個の部品を定義するのではなく、容器の一部として形成することができる。しかし、
図8~10に示すように、アンブレラバルブ103の尾部104は、それを回転させて尾部をバルブ本体に対して係合させることにより、ガスを除去するためなどで望まれる際にバルブを無効にするために採用することができる。さらに、バルブは、約0.875インチの幅を有する平坦なベース104から延びる約0.585インチの直径を有する概ね円筒形の部分を含む。バッグ容器材料の2枚のシートの間に捕捉されて密封されるのは、平坦なベース部分104であり、尾部106を含む。尾部106は、特にポンプアセンブリに入れられたときに、容器アセンブリ60のネック部分を通る流れを確保するように機能し(
図12参照)、その周りの流れを許容する狭い細長い形状を有している。すなわち、尾部106は、容器アセンブリが搾乳ポンプ本体に取り付けられる際にネック部が折り畳まれた場合でも、ネック部を通る流れを維持する。バルブ103は、フレックスチューブ32内への母乳の逆流を防止し、フレックスチューブ32内の吸引(真空)レベルの維持を容易にする。他の実施形態では、空気を抜くためにバルブを窪ませるか、その他の方法で無効にさせるように、他の特徴をバルブに提供または内蔵することができる。そのようなアプローチには、バルブに取り付けられたまたは関連する突出部を含むことができ、その突出部が収集または容器アセンブリに向かって押されると、バルブのエッジが移動し、それによってバルブの内部シールを破ることができる。さらに、バルブ構造にナブを取り付け、容器アセンブリの内部に構成することができる。容器アセンブリの層を介してナブを引っ張ると、バルブのエッジが動けるようになり、バルブのシールが破られる。
【0063】
少なくとも1つの実施形態では、バルブ103が開いて母乳収集容器60への流れを可能にする圧力は、約25mmHgである。バルブ103は、導管またはフレックスチューブ32内の圧力が正の値、例えば、約25mmHg、または他の所定の「クラック圧力」であるときに、流体がそれを通って流れることを可能にするように構成および設計することができる。圧縮要素の作用は、圧縮要素がフレックスチューブ32から離れる方向に移動するときに真空を増加させることと、圧縮要素がフレックスチューブ32を圧縮するときに減少させることとの間で往復するが、典型的には、所定の最大真空度よりも大きく真空度を増加させるべきではない。圧縮要素36、38がフレックスチューブ32を圧縮すると、システム10内の圧力が上昇し、最小吸引レベル(例えば、-60mmHg、-30mmHg、または他の所定のラッチ吸引レベルなどのラッチ吸引レベル)に達し、このとき、圧縮部材(ピンチバルブ)36が部分32Sを封鎖し、それによって乳房に対する最小吸引(ラッチ吸引)が維持される。圧縮部材38による部分32Lの継続的な圧縮は、バルブ103を開くクラック圧力(例えば、25mmHgまたは他の所定の正のクラック圧力)に達するまで、圧縮部材36の下流の圧力を増加させ続ける。圧縮要素36、38は、圧縮要素38が移動の終了点に達するまで、フレックスチューブ32を圧縮し続け、バルブ103を介して、収集容器アセンブリ60内に流体(母乳)を送り込む。部分32Lに対する圧縮要素38の移動終了点は、予め決められていてもよく、あるいは、圧力センサ54からのフィードバックと、圧縮要素38のドライバからのフィードバックとを用いて、コントローラ52がリアルタイムで計算してもよく、そこからコントローラ52は、その移動の過程における圧縮要素38の相対位置を計算することができる。圧縮部材36は、圧縮要素38が母乳を回収容器アセンブリ60に送り出している必要な時間、チューブ32を封鎖するために使用されるため、このプロセスを通して閉じたままである。圧縮要素36、38が方向を反転してフレックスチューブ32から離れると、再びサイクルを開始する。
【0064】
母乳がシステムに入ると、吸引レベルが低下する(圧力が上昇する)。圧力センサ54を介した圧力モニタによって提供されるフィードバックは、フレックスチューブ32内の母乳の量を変化させるために生じる圧力の変化を補償することによって、導管またはフレックスチューブ32内の所望の真空(圧力)を維持するために、圧縮部材38の位置を調整するフィードバックループへの入力を提供する。
【0065】
ポンプシステム10が電源投入ルーチンを経ると、コントローラ52は、圧力センサ54としてロードセルが使用されている場合、ロードセル上の力を読み取る。これは、皮膚接触部材14が乳房に適用される前に、ロードセルによって測定された荷重であるので、1つのアプローチでは、導管またはフレックスチューブ32内の圧力が大気圧である状態である。次に、コントローラ52は、予荷重の力または位置、または測定された荷重または歪みが大気圧と等しくなるようにシステムを較正する。ニューラルネットワークまたはコンピュータ学習に基づいて、フレックスチューブ32で検出された荷重または歪みは、乳房への装着時の搾乳ポンプシステム10の動作中に、システム10内の圧力測定値に変換することができる。
【0066】
システム10は、上述の方法で、システムに汲み上げられた母乳の量、または代わりに母乳収集容器アセンブリ60に収集された量を計算することができる。母乳収集容器が満杯になったと判断されると、汲み上げが停止する。オーバーライドをシステムに組み込んでもよく、ユーザが通常の容器満杯の検出のあとも汲み上げ継続を選択できてもよい。圧縮部材36がチューブ部分32Sを封鎖したときの、圧縮部材36の下流にある導管またはフレックスチューブ32の寸法を知ることにより、圧縮部材36の下流にあるシステム10の全体的な容積容量を計算できる。再び
図7を参照すると、チューブ32に対する圧縮部材38の位置の追跡(例えば、エンコーダを介してモータドライバ46の位置を常に知ることなどにより)が、チューブ32内の容積変化を規定する。汲み上げプロセスが実施されると、母乳収集容器への母乳の汲み上げ/パージは、圧縮部材36が圧縮の位置で小導管部分32Sを閉鎖したときに発生する。圧縮部材36がチューブ部分32Sを閉鎖したとき、フレックスチューブ32から母乳収集容器60内への母乳のパージを実行するために発生する圧縮部材38の位置の変化は、圧縮部材36の下流のチューブ32の容積の変化を計算するために使用され、これは母乳収集容器60の袋の中に押し込まれる母乳および/または空気の体積と等しい。
【0067】
パージの回数は、流量を測定する目的のためにシステムが満杯になったときに追跡することができる。前述のように、システム10が流体をパージしている場合と空気をパージしている場合とでは、流体をパージする方が空気をパージするよりも著しく大きな力が働くため、判断することができる。このように、流体を含むパージの回数を数え、各パージでパージされる体積を知ることで、システムの大幅な調整や較正を必要とせずに流量を計算することができ、ゆっくりとした空気の漏れを流量と混同することもない。また、漏れは、あるアルゴリズムを採用することでも検出することが可能であり、そのアルゴリズムでは、ピンチ圧縮部材を閉じ、続いてポンプ圧縮部材またはパドル部材を閉じ、ポンプ圧縮部材を外側に引いて真空状態にする、または測定してパドルを動かし、再度測定することでパージから分離する。その後、ポンプ圧縮部材をこの位置に保持し、真空が維持されていることを確認することで、システム10に漏れがあるかどうかを判断することができる。
【0068】
各パージサイクルでパージされた母乳の体積を計算することに加えて、システムは(コントローラ52を介して)、すべてのパージサイクルからの体積を合計して、母乳抽出セッションの間にポンプに入る、または代替的に母乳収集容器60に押し込まれる総体積を計算することができる。この体積は、システム10が、各母乳収集容器60にどれだけの母乳が貯蔵されているかの記録を保持するように、母乳容器に提供された固有の識別子とともに記憶することができる。この情報には、各母乳収集容器に関して、母乳が収集された時間と日付をユーザが知ることができるように、タイムスタンプを押すこともできる。追加の統計値を計算することができ、これには以下が含まれるが、これらに限定されない:抽出セッションあたりの平均体積、任意の日に抽出された総体積、1日あたりの平均母乳抽出量など。このデータのいずれかおよびすべては、外部のコンピュータにエクスポートすることができ、これは手動で、またはコンピュータが無線通信のためにシステム10の範囲内にあるとき、またはコンピュータが有線でシステムに接続されているときに、自動的にコンピュータにアップロードすることができる。このように、1つの値が、どの母乳を最初に使用するか、どの母乳が期限切れになるか、そしてユーザがどれだけの量を保存しているかをユーザに伝える。さらに任意で、このデータのいずれかまたはすべてを、手動または自動で、無線または有線で、インターネット上のクラウドサービスにアップロードすることができる。
【0069】
ユーザが乳房から母乳を抽出する汲み上げフェーズを完了したとき、チューブ32内に残っている多くの母乳をチューブ32から母乳収集容器60内にパージすることは有用かつ効率的である。抽出フェーズの終了は、所定の抽出フェーズ時間の経過、所定の量の母乳が汲み上げられたことの計算、オペレータによる抽出フェーズの手動停止、または抽出を実行した後に何らかの他の所定の値が達成されたことによって行うことができる。圧縮部材38の汲み上げストロークの方向を逆にして、圧縮部材38を逆方向に走行させて、チューブ32内の吸引を減少させ、任意にチューブ32内に小さな正圧を生じさせて、システム10の乳房からの除去を容易にする。あるいは、ユーザがシステム10を乳房から離すためにまだ引っ張ることができるように、わずかな吸引が残るレベルまで吸引を減少させてもよい。可能性としては、システム10を乳房から自動的に切り離すために、真空が0mmHg、またはわずかに正の圧力に減らされる。逆汲み上げによる圧力低下が停止する終了圧力値は、約-60mmHg(弱い真空)から正の50mmHg(例えば、容器へのバルブのクラック圧力)の範囲内であることができる。圧縮部材36は、このプロセスの間、チューブ部分32Sを閉鎖せず、むしろ、チューブ部分32Sは開いたままである。この逆方向の汲み上げの開始は、自動的に発生してもよいし、代わりに、ユーザが開始してもよい。このプロセスは、システム10の乳房へのシールが破られるまで続き、これはセンサ54を介してコントローラによって検出される。チューブ32の大気圧への暴露が検出されると、汲み上げのストローク方向が再び反転し、それにより、チューブ32内の母乳が正圧下で汲み上げられ、チューブ32から母乳が容器60内に追い込まれる。偶然にも、パージ汲み上げ中にシステム10が乳房に再密封され、ユーザが汲み上げを希望しない場合、フランジまたは乳房/皮膚接触部材14の近傍で真空圧が再生されているのを感知すると、システム10は自動的にシャットダウンすることができる。ユーザが汲み上げを望まないという明確な指示がない場合、システムは汲み上げが望まれていると仮定し、自動的にシャットダウンすることはない。
【0070】
システム10は、ユーザの左乳房と右乳房のどちらに装着されたかを区別するように構成することができる。これは、乳房ごと、セッションごと、乳房ごとの1日の総量など、乳量の出力を追跡するのに有用である。ポンプシステムのうちの2つを使用する場合、ポンプシステム10のうちの1つが、前の汲み上げセッション中に右の乳房に装着された後、現在の汲み上げセッション中に左の乳房に装着された場合でも、各乳房のデータの追跡を正確に維持することができる。一実施形態では、ポンプシステム10は、他の乳房に取り付けられていた他のポンプシステムからの信号を受信することによって、現在の位置(すなわち、左または右の乳房)を確立することができる。これにより、2つのポンプシステム10の相対的な左右の位置が確立され、各システム10は、母乳が右の乳房から抽出されているのか、左の乳房から抽出されているのかについて正確に記録することができるようになった。この識別は、ユーザの入力を必要とせずに自動的に行われ、また、どのポンプシステム10が各乳房に配置されているかを記録し、連続した汲み上げセッションごとにこの順序を維持するというユーザの負担を軽減する。左右のポンプのラベル付けは、システムのハウジングまたはカバージャック(例えば、電源カバーの近く)にマーキングを配置することなどによっても企図されている。右と左を区別するのに役立つステッカや他のマーキングを顧客にデバイスと一緒に与えることができる。
【0071】
システム10は、上述した方法のいずれかで動作中の圧力を計算することができる。吸引(圧力)レベルは、所望のように変化させることができ、圧力を連続的または繰り返し測定/計算することによって、センサ(複数可)54からコントローラ52に提供されるフィードバックは、圧縮部材38の位置および/または速度を調整して、吸引圧力を所望のレベルに変化させるか、または所望の吸引圧力をリアルタイムで維持するために使用することができる制御ループを提供する。このように、コントローラ52は、圧縮部材36、38の位置および速度を制御して、所望の任意の真空圧汲み上げプロファイルを達成し、システム内の所望の真空圧を維持するための自動のリアルタイム調整を提供することができる。また、流れを維持するためにリアルタイムで応答することも考えられている。これは、独立して、またはリアルタイムでの圧力の監視および調整と連動して達成することができる。
【0072】
コントローラ52は、ドライバ46の位置またはシャフトの位置(ドライバ46と圧縮部材38との間の相互連結リンケージ)を追跡するなどして、チューブ32Lに対する圧縮部材38の位置を追跡し、センサ54から受信したデータに基づいて圧力を計算(またはルックアップ)する。システムコントローラまたはファームウェアには、システムセンサによって検出された値と、ドライバの位置および速度と、システム圧力とを関連付ける情報がプログラムされ、または保持されている。したがって、コントローラ52による圧縮部材38の位置および/または速度の変化は、達成しようとする圧力に対する、計算またはルックアップされた圧力の結果としての変化によって制御することができる。上述したように、機械学習または教師付き学習回帰技術を使用することにより、システム10は、ノイズおよびヒステリシスを補償しながら、モータの位置決めおよびチューブの歪み(ならびにモータ速度またはポンプの設定)を解釈して、圧力/真空レベルに到達するように訓練することができる。より具体的には、ニューラルネットシステムまたは他の数学的回帰をシステムファームウェアに組み込み、センサ入力を圧力/真空レベルに変換できるようにすることができる。コントローラ52は、このように、同様の方法で圧縮部材36を制御することができるが、圧縮部材36は、乳房/乳首に対するラッチ吸引を維持する際に、チューブ部分32Sを完全に閉鎖する必要があるため、部材36の制御は、位置制御により焦点が当てられている。しかしながら、閉鎖はタイミングを計り、決定されたラッチ圧力で実行され、ラッチ圧力はセンサ54から受け取ったデータから知られる。
【0073】
本開示は、その具体的な実施形態を参照して説明してきたが、本開示の真の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えたり、等価物を代用したりすることができることを、当業者は理解すべきである。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセスステップ、またはステップを、本開示の目的、精神、および範囲に適応させるために、多くの変更を行ってもよい。このような変更はすべて、本開示の範囲内であることが意図されている。
【国際調査報告】