(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-06
(54)【発明の名称】周波数同調振動ダンパ装置、その製造方法、および当該装置を含む振動ダンパアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16F 15/02 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
F16F15/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021553288
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2020056691
(87)【国際公開番号】W WO2020187698
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520067644
【氏名又は名称】ヴィブラコースティック フォーシェダ アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】Vibracoustic Forsheda AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン,マーカス
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA06
3J048AD07
3J048BF02
3J048CB22
3J048EA21
(57)【要約】
自動車のステアリングホイールに使用できる周波数同調振動ダンパ装置およびアセンブリが開示される。エラストマーダンパ本体に一体形成されたエラストマー補強ブリッジまたはコネクタを使用して、さまざまな空間方向(y、z)でさまざまな減衰周波数を得る。特定の方向(y)に剛性を高めると、より大きな周波数差を得ることができる。非対称のエラストマーダンパ本体は、第1軸(y)に沿って圧縮モード減衰と剪断モード減衰の組み合わせで動作し、異なる第2軸(z)に沿って主に剪断モード減衰で動作する。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動構造物をダンパマスに接続して周波数同調ダンパアセンブリを形成するための振動ダンパ装置であって、
2つ以上のエラストマーダンパ部分と、
前記エラストマーダンパ部分よりも剛性の高い材料で作られた取付フレームであって、前記取付フレームは主平面内に延在し、前記主平面に対して横方向に延びる一対のフレーム壁部分を呈し、
各エラストマーダンパ部分は、当該エラストマーダンパ部分の主軸に沿って、前記主平面で前記取付フレームに接続された前記エラストマーダンパ部分の基部から前記エラストマーダンパ部分の遠位端まで延在し、
各エラストマーダンパ部分は、前記エラストマーダンパ部分の基部と遠位端の間の主軸に沿って位置する主要部分を呈し、
前記エラストマーダンパ部分は、前記主平面内に延びる第1軸に沿って間隔を置いて配置された位置で前記取付フレームに接続されたエラストマーダンパ部分の第1の対を具え、
前記振動ダンパ装置がさらに、一対のエラストマー補強ブリッジを含み、
各エラストマー補強ブリッジは、前記エラストマーダンパ部分の第1の対のそれぞれのエラストマーダンパ部分に関連付けられ、
各エラストマー補強ブリッジは、前記第1軸に沿った減衰運動に関して前記ダンパ部分を補強するために、少なくとも関連するエラストマーダンパ部分の主要部分を、関連するエラストマーダンパ部分の基部と遠位端との間の主軸に沿った位置で、前記フレーム壁部分の関連する1つに接続し、
各補強ブリッジおよびその関連するダンパ部分は、エラストマー材料から互いに一体的に作られて、エラストマーダンパ本体を形成することを特徴とするダンパ装置。
【請求項2】
前記補強ブリッジが実質的に第1軸に沿って延びている、請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
各補強ブリッジが、関連するダンパ部分の主軸に対して円周方向に限定された広がりを有し、前記補強ブリッジとダンパ部分によって形成されるエラストマーダンパ本体は、
前記主平面と第1軸に垂直な面に関して非対称であり、
前記主軸と第1軸によって規定される平面に関して対称である、
請求項2に記載のダンパ装置。
【請求項4】
各ダンパ部分は、その遠位端からある距離で円周方向に延びる取付溝を呈し、各補強ブリッジは、前記関連するダンパ部分を、前記関連するダンパ部分の基部と取付溝との間で、関連するフレーム壁部分に接続する、請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項5】
前記補強ブリッジのそれぞれが、前記関連するダンパ部分の主軸の方向に、前記主平面と関連するダンパエレメントの取付溝との間の距離の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%であるブリッジ高さレベルまで延びる、請求項4に記載のダンパ装置。
【請求項6】
前記取付フレームに接続されてそれに沿って延在し、前記エラストマーダンパ部分および前記エラストマーブリッジと一体に作られたエラストマー環状部分を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載のダンパ装置。
【請求項7】
2つ以上の前記エラストマーダンパ部分が、前記主平面内に延在し、前記第1軸に対して横方向に延びる第2軸に沿って相互に離間した位置で前記取付フレームに接続された第2の対のダンパ部分をさらに具える、請求項1乃至6のいずれかに記載のダンパ装置。
【請求項8】
前記第2の対のダンパ部分の各ダンパ部分は、その基部のみで前記取付フレームに接続され、いかなる補強ブリッジによっても補強されていない、請求項7に記載のダンパ装置。
【請求項9】
前記2つ以上のダンパ部分の一部または全部が、前記ダンパ部分の主軸に沿ったダンパ部分の少なくとも一部にわたり、前記ダンパ部分の主軸に対して回転対称ではない断面を呈している、請求項1乃至8のいずれかに記載のダンパ装置。
【請求項10】
各エラストマーダンパ部分の主要部分が、前記ダンパ装置の減衰動作中に主に剪断変形を受けるように配置されている、請求項1乃至9のいずれかに記載のダンパ装置。
【請求項11】
異なる方向に異なる振動周波数の振動を呈する振動構造物に接続するように適合された周波数同調ダンパアセンブリであって、前記ダンパアセンブリは、
請求項1乃至10のいずれかに記載のダンパ装置と、
前記ダンパ装置のダンパ部分の遠位端に接続されるダンパマスとを具え、
前記ダンパアセンブリが、前記振動構造物の異なる振動周波数に対応する2つの異なる周波数に周波数調整されている、ダンパ装置。
【請求項12】
前記ダンパマスがインフレータを含む、請求項1乃至11のいずれかに記載のダンパアセンブリ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載のダンパ装置の製造方法であって、すべてのエラストマーダンパ部分およびすべてのエラストマー接続ブリッジを、前記取付フレームのエラストマー環状部分と一体成形するステップを含む方法。
【請求項14】
前記ダンパ装置が1台の単一の2K射出成形機を使用して製造され、前記エラストマーダンパ部分、補強ブリッジおよび環状部分が一緒に第1の構成要素を形成し、前記取付フレームが第2の構成要素を形成し、前記第1および第2の構成要素は、成形プロセスにおいて互いに結合される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
周波数同調ダンパ装置で使用するためのエラストマーダンパ本体であって、前記エラストマーダンパ本体は、
主ダンパ部分の第1端と第2端の間を前記主ダンパ部分の主軸に沿って延びるエラストマー主ダンパ部分と、
前記主ダンパ部分と一体的に形成され、前記主ダンパ部分から前記主軸に直交する第1軸に沿って延びるエラストマーブリッジ部分とを具え、
前記ブリッジ部分は、前記ダンパ本体が全体として、前記主軸と、前記主軸および前記第1軸に直交する第2軸とによって規定される第1の平面に関して非対称となるように、前記主軸に対して円周方向に限定された広がりを有することを特徴とするエラストマーダンパ本体。
【請求項16】
前記ダンパ本体は、全体として、前記主軸および前記第1軸によって規定される第2の平面に関して対称である、請求項14に記載のダンパ本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車用の周波数同調振動ダンパの分野に関する。振動低減ダンパアセンブリで使用するための、特にステアリングホイールで使用するための、周波数同調振動ダンパ装置が開示される。また、そのような装置を含む振動低減ダンパアセンブリ、ならびにそのような装置およびそのようなアセンブリの製造方法が開示される。本開示はまた、振動低減ダンパアセンブリで使用するためのエラストマーダンパ本体に関する。
【0002】
本発明のコンセプトは、一般に、周波数同調振動ダンパに関する。このような振動ダンパは、自動車の振動部品などの振動構造物の振動を減衰させるために使用することができる。周波数同調振動ダンパは、振動体として機能する質量体(mass)と、1つまたは複数のエラストマーダンパエレメントを具える。質量体とダンパエレメントは一緒になって、減衰されたばね-質量体システムを提供し、任意に1つまたは複数の中間構成要素を用いて振動面に接続することができる。
【0003】
質量体の重量や、弾性ダンパエレメントの剛性と減衰性は、調整パラメータを構成し、1つまたは複数の所定の目標周波数で振動することが予想される振動構造物に減衰効果を提供するように選択される。振動構造物が目標周波数で振動するとき、質量体または振動体は、構造物と本質的に同じ周波数であるが位相がずれた状態で振動/共振するようになり、その結果、構造体の振動が実質的に減衰される。用途によっては、周波数同調ダンパは、さまざまな空間方向のさまざまな周波数に同調させることができる。
【背景技術】
【0004】
チューンドマスダンパ、ダイナミックダンパ、または振動吸収装置とも呼ばれる周波数同調振動ダンパの機能は、構造物または表面の振動を打ち消し、低減する減衰ばね-質量体システムに基づいており、ここでは、振動構造物から振動を減衰させるように位相をずらして振動させる少なくとも1つの質量体に振動を伝達するための1つまたは複数の弾性ダンパエレメントを使用することによって、ダンパが接続される。WO01/92752A1、WO2013/167524A1、およびWO2008/127157A1は、周波数同調振動ダンパの例を開示している。
【0005】
自動車業界では、一部のステアリングホイールには、路面やエンジンからの振動がステアリングホイールに伝達されることによって生じるステアリングホイールの振動を低減するために、周波数同調振動ダンパアセンブリが装備されている。このようなダンパ構造では、インフレータとも呼ばれるガス発生器の重量が、ばね-質量体システムの質量体の重量の少なくとも一部として用いられることがある。したがって、そのような従来技術の振動ダンパは、ステアリングホイールのエアバッグモジュールに組み込まれることがある。
【0006】
ステアリングホイールの振動を減衰させるための公知のダンパ装置は、寸法安定性のあるプラスチック材料で作られた取付フレームまたはコンソールと、当該取付フレームに接続された4つのエラストマーダンパエレメントとを含む。インフレータと組み合わせることで、ダンパ装置とインフレータの質量が一緒になって振動ダンパアセンブリを構成する。取付フレームは典型的に、振動構造であるステアリングホイールに取り付けられる。各エラストマーダンパエレメントは、主軸に沿って、ダンパエレメントの基部からダンパエレメントの反対側の遠位端まで延びている。各ダンパエレメントは、その基部に近い第1の円周方向の取付溝と、その遠位端に近い第2の円周方向の取付溝とを有する。各ダンパエレメントは、第1の取付溝によって取付フレームに接続され、第2の取付溝によって質量体に接続される。これにより、インフレータはダンパ装置を介してステアリングホイールに弾性的に接続される。そのようなエラストマーダンパエレメントは、上記の文献に開示されている。
【0007】
ステアリングホイールは、さまざまな方向に異なる振動周波数を示す場合がある。特に、ステアリングホイールの水平振動の振動と垂直方向の振動は周波数が異なる場合がある。上記の種類のいくつかの従来技術のダンパは、1つのダンパ装置のみを使用して異なる振動周波数を減衰させるように設計されている。したがって、ダンパアセンブリは複数の振動周波数に調整されている。このため、各ダンパエレメントは、上記文献WO2013/167524A1に開示されているように、全体的に細長い形状または楕円形を有することができる。ただし、いくつかの用途では、減衰周波数の差が不十分であることが示されている。また、いくつかの用途では、ダンパアセンブリが取り付けられる構造が、ダンパアセンブリの構造に関してより柔軟な解決策を必要とする。
【発明の概要】
【0008】
上記に鑑み、本発明のコンセプトの目的は、先行技術の上記の不利な点に対処するための解決策を提供することである。
【0009】
本発明のコンセプトの第1の態様によれば、周波数同調ダンパアセンブリを形成するために、振動構造物をダンパ質量体に接続するための振動ダンパ装置が提供される。この振動ダンパ装置は:
-2つ以上のエラストマーダンパ部分と、
-前記エラストマーダンパ部分よりも剛性の高い材料で作られた取付フレームであって、前記取付フレームは主平面内に延在し、主平面に対して横方向に延在する一対のフレーム壁部分を有し、
各エラストマーダンパ部分は、エラストマーダンパ部分の主軸に沿って、主平面で取付フレームに接続されたエラストマーダンパ部分の基部から、エラストマーダンパ部分の遠位端まで延在し、
各エラストマーダンパ部分は、エラストマーダンパ部分の基部と遠位端の間の主軸に沿って配置された主要部分を提供し、
前記エラストマーダンパ部分は、主平面内に延びる第1軸に沿って間隔を置いて配置された位置で取付フレームに接続された第1対のエラストマーダンパ部分を含む。
【0010】
振動ダンパ装置はさらに、一対のエラストマー補強ブリッジを含み、
ここで、各エラストマー補強ブリッジは、前記第1対のエラストマーダンパ部分のそれぞれのエラストマーダンパ部分に関連付けられ、
各エラストマー補強ブリッジは、前記第1軸に沿った減衰運動に関してダンパ部分を補強するために、前記エラストマーダンパ部分の基部と遠位端の間の主軸に沿った位置で、関連するエラストマーダンパ部分の少なくとも主要部分を、前記フレーム壁部分の関連する1つに接続し、
各補強ブリッジとそれに関連するダンパ部分が、エラストマー材料から互いに一体的に作られて、エラストマーダンパ本体を形成する。
【0011】
従来技術の振動ダンパでは、減衰動作中に、各エラストマーダンパエレメントが、ダンパエレメントの主軸に垂直な方向にエラストマー剪断運動を受けていた。したがって、剛性と同調周波数は、そのような剪断運動の生成に必要な剪断力に対応している。このように、従来技術のダンパは、各エラストマーダンパエレメントがその主軸に垂直なそのような剪断運動を自由に実行できるように特別に設計されている。本発明のコンセプトは、このような従来の設計原理とは逆に、エラストマー部分の一部を取付フレームの壁部分に接続するエラストマー補強ブリッジの配置によって、ダンパ部分の一部の自由な剪断運動が定められた方向に制限している。他のエラストマー部分は、補強されないままとしてもよい。その結果、異なる空間方向における同調周波数の差が大きくなる。エラストマーダンパ部分の第1の対の各エラストマーダンパ部分は、エラストマー補強ブリッジに関連付けられている。ステアリングホイールの適用例では、この第1の対のダンパ部分およびそれらに関連する補強ブリッジは、典型的に、水平方向のダンパ装置の剛性を高めるために、ステアリングホイールの水平軸上に配置され得る。垂直軸上に配置された第2の対のエラストマーダンパ部分は、補強ブリッジなしで設計されてもよい。第1軸または水平軸上の各エラストマーダンパ部分は、関連する補強ブリッジとともに、エラストマーダンパ本体を形成する。減衰動作において、このエラストマーダンパ本体は、圧縮モード減衰と剪断モード減衰の組み合わせで動作することができ、圧縮モード減衰は水平方向に発生し、この水平方向では剪断モード減衰よりも支配的であり得る。水平方向の減衰動作中に、補強ブリッジは主に水平方向に交互の圧縮および引張り運動を受け得る。一般的に圧縮力および引張力は剪断力よりも大きく、それにより、全体的な効果として、水平方向の実質的な剛性が向上し、一方で以下でさらに説明するように、垂直方向の剪断運動は本質的に影響を受けないか、少なくともはるかに小さい程度で影響を受ける。
【0012】
各エラストマーブリッジは、その関連するダンパ部分の主要部分を、ダンパ部分の基部と遠位端との間の主軸に沿った位置でフレーム壁部分の関連する1つに接続することができる。ダンパ部分への接続は、ダンパ部分の主要部分の従来の剪断モードの動きを必要な程度に補強するために、主軸に沿って取付フレームから少なくとも十分なレベルでなければならない。各エラストマー部分は、典型的には、基部と遠位端との間の主軸に沿って配置された主要部分を提示し得る。この主要部分は、補強ブリッジを使用せずに、減衰動作中に剪断変形が発生するエラストマー部分を構成する。対照的に、エラストマー部分の取り付けられた基部は、減衰動作中は実質的に静止していてもよい。したがって、補強ブリッジは、補強効果を提供するために、すなわち、水平軸に沿ったエラストマーダンパ部分の動きを制限するために、エラストマー部分の基部の上部と遠位端との間の位置で、エラストマー部分の少なくともこの主要部分に接続することが好ましい。したがって、補強ブリッジは、典型的に、ブリッジが存在しない場合に剪断運動が発生する少なくとも1つまたは複数のレベルに配置することができる。ブリッジがエラストマーダンパ部分に接続する高さが高いほど、より多くの剛性と周波数の増加が得られる可能性がある。最大高さは、通常、インフレータがエラストマー部分に取り付けられるレベルによって定義され得る。各ブリッジは、架空の界面に沿って連続的に、または任意に界面に沿った別個の部分で、関連するダンパ部分に接続されてもよい。各ブリッジは取付フレームまで完全に延びていてもよいし、任意でブリッジと取付フレームの間にいくらかのスペースを設けてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、補強ブリッジは、実質的に第1軸に沿って延在する。
【0014】
いくつかの実施形態では、各補強ブリッジは、関連するダンパ部分の主軸に対して円周方向に限定された広がりを有し、補強ブリッジとダンパ部分によって形成されるエラストマーダンパ本体は:
-主平面と第1軸に垂直な平面に関して非対称であり、
-主軸と第1軸によって定義される平面に関して対称である。
【0015】
いくつかの実施形態では、各ダンパ部分は、その遠位端から距離を置いて円周方向に延びる取付溝を提供し、各補強ブリッジは、関連するダンパ部分を、関連するダンパ部分の基部と取付溝との間の関連するフレーム壁部分に接続する。
【0016】
いくつかの実施形態では、補強ブリッジは、関連するダンパ部分の主軸の方向に、関連するダンパエレメントの主平面と取付溝との間の距離の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%であるブリッジ高さレベルまで延在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、ダンパ装置は、取付フレームに接続されてそれに沿って延在し、エラストマーダンパ部分およびエラストマーブリッジと一体的に作られているエラストマー環状部分をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、2つ以上のエラストマーダンパ部分は、主平面内で第1軸に対して横方向に延びる第2軸に沿って相互に離間した位置で取付フレームに接続された第2の対のダンパ部分をさらに含む。ステアリングホイールの適用例では、この第2軸は典型的には垂直方向になる。いくつかの実施形態では、第2の対のダンパ部分の各ダンパ部分は、第1軸および第2軸に沿ったチューニング周波数の差を増大させるために、その基部でのみ取付フレームに接続され、補強ブリッジによって補強されていない。
【0019】
ダンパ部分の一部または全部は、その主軸に沿ったダンパ部分の少なくとも一部にわたって、ダンパ部分の主軸に対して回転対称ではない断面を有してもよい。そのような非対称のダンパ部分は、第1軸および第2軸に沿った減衰周波数の差をさらに増大させるために、本発明のコンセプトと組み合わせて使用することができる。一例として、細長い断面が長軸と短軸を呈する場合、ダンパ部分は、すべての長軸が第1軸と平行になるように同じ方向に向けることができる。そのような実施形態では、補強ブリッジおよびそのようなダンパ部分の両方が、周波数差の増加に寄与し得る。対称および非対称のエラストマーダンパ部分を組み合わせて使用することも可能である。
【0020】
本発明のコンセプトの第2の態様によれば、異なる方向に異なる振動周波数の振動を呈する振動構造に接続されるように適合された周波数同調ダンパアセンブリが提供される。このダンパアセンブリは、上記の本発明のコンセプトによるダンパ装置と、このダンパ装置のダンパ部分の遠位端に接続されたダンパマスとを含み、ダンパアセンブリは、振動構造の異なる振動周波数に対応する2つの異なる周波数に周波数調整される。ステアリングホイールに用いられる場合、ダンパマスは、エアバッグモジュールのインフレータによって少なくとも部分的に形成され得る。
【0021】
本発明のコンセプトの第3の態様によれば、上記のようなダンパ装置の製造方法が提供される。この方法は、すべてのエラストマーダンパ部分およびすべてのエラストマー接続ブリッジを、取付フレームのエラストマー環状部分と一体成形するステップを含む。好ましい実施形態では、2K射出成形機が成形に使用され、エラストマーダンパ部分、補強ブリッジ、および環状部分が一緒に1つの構成要素を形成し、取付フレームが第2の構成要素を形成し、これら前記第1および第2の構成要素が成形工程で互いに結合される。
【0022】
本発明のコンセプトの第4の態様によれば、周波数同調ダンパ装置で使用するためのエラストマーダンパ本体が提供され、このエラストマーダンパ本体は、
主ダンパ部分の第1の端部と主ダンパ部分の第2の端部との間で主ダンパ部分の主軸に沿って延びるエラストマーの主ダンパ部分と、
主ダンパ部分と一体形成され、主ダンパ部分から主軸に垂直な第1軸に沿って延びるエラストマーブリッジ部分とを具え、
前記ブリッジ部分は、前記エラストマーダンパ本体が全体として、主軸と、主軸および第1軸に垂直な第2軸とによって規定される平面に対して非対称であるように、主軸に対して円周方向に限定された広がりを有する。
【0023】
本発明のコンセプトのさらなる態様(本発明のコンセプトは部分的に減衰モードに関して定義される)によれば、振動構造をダンパマスに接続して周波数同調ダンパアセンブリを形成するための振動ダンパ装置が提供され、この振動ダンパ装置は、主平面内に延びる取付フレームと、少なくとも1つのエラストマーダンパ本体とを具え、これは互いに一体として:
-主平面に垂直なダンパ部分の主軸に沿って延びるエラストマーダンパ部分と、
-ダンパ部分の片側に接続され、ダンパ部分から離れる方に前記主軸に対して半径方向に延びるエラストマー補強ブリッジ部分であって、ダンパ本体全体として、前記半径方向に平行な第1の方向では圧縮モード減衰と剪断モード減衰の組み合わせで動作し、前記半径方向および主軸に垂直な第2の方向では主に剪断モード減衰で動作して、前記半径方向に剛性効果を提供するように構成された、エラストマー補強ブリッジ部分とを具える。
【0024】
さらに好ましい実施形態が、従属請求項に記載されている。
【0025】
上記の本発明のコンセプトの技術的効果、ならびにさらなる利点、詳細および変形例が、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明のコンセプト、いくつかの非限定的な好ましい実施形態、および本発明のコンセプトのさらなる利点について、以下の図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は、エアバッグモジュールで使用するために組み立てられたユニットを示す。
【
図2】
図2は、
図1のユニットに含まれる振動ダンパアセンブリを示す。
【
図3】
図3は、ダンパ装置の第1の実施形態を示す。
【
図4】
図4は、
図3のダンパ装置の上面図および底面図を示す。
【
図5】
図5は、
図3のダンパ装置の上面図および底面図を示す。
【
図6】
図6Aは、
図3のダンパ装置の詳細の拡大図を示す。
図6Bおよび6Cは、それぞれ、
図3のダンパ装置のエラストマー本体の上面図および断面図を示す。
【
図7】
図7Aおよび7Bは、さまざまな減衰モードを概略的に示す。
【
図8】
図8A~8Cは、第2の実施形態によるダンパ装置を示す。
【
図9】
図9A~9Dは、ダンパ装置の追加の実施形態を示す。
【
図11】
図11A~11Eは、ダンパ装置で用いられるエラストマーダンパ部分の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0027】
図1は、右側に、自動車のステアリングホイール用のエアバッグモジュールで使用するためのユニット2を示している。ユニット2は、本発明のコンセプトの第1の実施形態による振動ダンパアセンブリ4を含む。
図1は、左側に、一部が組み立てられていない状態の同じユニット2を示している。
図2は、ダンパアセンブリ4をより詳細に示す。ユニット2は、自動車のステアリングホイールに搭載されるエアバッグモジュールに取り付けられて使用される。ユニット2はさらに、ダンパアセンブリ4の片側に設けられたディフューザー6と、ダンパアセンブリ4の反対側に設けられた取付プレート8とを具える。
【0028】
ディフューザー6は、ダンパアセンブリ4の一部を構成するインフレータ/ガス発生器10からのガス流を制御するために使用される。その寸法は、ガス発生器10が、減衰動作中にディフューザー6に接触することなく、ディフューザー6の内部を移動することができるようになっている。取付プレート8は、ユニット2をステアリングホイールに取り付けるため、すなわち振動を減衰させるべき振動構造物に取り付けるために使用される。代替の実施形態では、ダンパアセンブリ4は、取付プレート8以外の手段を介して振動構造に接続されてもよい。図示の実施形態では、取付プレート8は、取付プレート8に対してダンパアセンブリ4の正しい向きを受け入れて維持するためのいくつかのキャビティ12と、いくつかのガイドピン14を具える。
【0029】
本出願を通して、デカルト座標系は以下のように使用される:x軸は自動車のステアリングコラムと同軸であり、ユニット2およびダンパアセンブリ4の主軸を形成する。y軸とz軸は、ユニット2がステアリングホイールに取り付けられている場合、基本的にそれぞれ水平方向と垂直方向に対応する。座標系はステアリングホイールとダンパアセンブリ4に固定されており、ドライバーがステアリングホイールを回すと、y軸とz軸の方向が変わり得ることを意味する。半径方向と円周方向は、x軸を基準にしている。
【0030】
図2は、右側にダンパアセンブリ4を示し、左側に組み立てられていない状態のダンパアセンブリ4を示している。図示の実施形態では、インフレータ10は、yz平面内に半径方向に延びる4つの取付タブ11を有し、これらはそれぞれ取付開口部13を有する。インフレータ10は、x軸に関して取付タブ11の反対側に位置する上部10aと下部10bを有する。組み立てられたダンパアセンブリ4において、インフレータ10は、以下に説明する方法でダンパ装置20に取り付けられ、ダンパ装置20によって弾性的に支持される。
【0031】
次に、本発明のコンセプトの第1の実施形態による振動ダンパ装置20を、
図2から6A~6Cを参照して説明する。
図3は、右側にダンパ装置20の斜視図を示している。ダンパ装置20は、取付フレームまたはコンソール30と、エラストマーの第2の構成要素50との2つの構成要素を具える。取付フレーム30は、好ましくは、寸法安定性のあるプラスチック材料などの、寸法安定材料によって作られる。第2の構成要素50は、シリコーンゴムなどのエラストマー材料から作られた一体型のエラストマー構成要素である。取付フレーム30は、エラストマー構成要素50よりも剛性が高い。
【0032】
説明のためだけに、
図3の左側には、ダンパ装置20の取付フレーム30およびエラストマー構成要素50が互いに分離して示されている。しかしながら、好ましい実施形態では、これらの2つの構成要素30および50は、2Kデバイスを形成するための2K射出成形機などによって1つの製造ステップで製造され、すなわち、構成要素の後の組み立てを必要としない単一プロセスで成形される。そのようなプロセスでは、エラストマー構成要素50はまた、成形プロセス中に取付フレーム30に結合される。代替の実施形態では、2つの構成要素30および50が、例えば、最初に取付フレーム30を形成し、その後に取付フレーム30に取り付けられる別個の構成要素50としてエラストマー構成要素50を形成することによって、または取付フレーム30上に直接オーバーモールドプロセスによって形成するなどして、別個のステップで形成されることが想定され得る。接着剤を使用してもよい。
【0033】
取付フレーム30はyz平面に沿って延在し、一般的な環状の構成を有する。非限定的な例として、取付フレーム30の寸法は、yz平面において10cmのオーダーであり、x軸に沿って1cmのオーダーであり得る。取付フレーム30は、yz平面に対して直交方向に延在し、x軸に対して周方向に延在する環状フレーム壁31を具える。このフレーム壁31の半径方向内側面31aは、減衰動作中にインフレータ10が取付フレーム30に対してyz平面内を移動できるような半径方向の間隔で、インフレータ10の下側部分10bを受け入れるための中央開口部32を規定する。
図3では、y軸上に位置する環状フレーム壁31の2つの対向する壁部分33が強調表示されている。そのフレーム壁31の半径方向外側面31bにおいて、取付フレーム30は、それぞれが取付開口部35を有する4つの半径方向に延びる取付タブ34と、円周方向に間隔を置いた複数のスリット36とを有する。ダンパアセンブリ4が取付プレート8に接続されると、各取付タブ34は、取付プレート4の関連する空洞12に受容され、取付プレート4の各ガイドピン14が、取付フレーム30の関連するスリット36に受容される。ダンパアセンブリ4および取付プレート8は、例えばバヨネットマウントを使用することによって、取付プレート8がプラスチック製である場合にガイドピン14を溶かすことによって、または単にダンパアセンブリ4を取付プレート8とディフューザー6との間にクランプすることによって(ディフューザーと取付プレートがネジで一緒にクランプされてもよい)など、様々な方法でx軸に沿って互いに固定/ロックすることができる。
【0034】
本発明のコンセプトによるダンパ装置20は、2以上のエラストマーダンパ部分52を含む。第1の実施形態によるダンパ装置20は、成形されたエラストマー構成要素50の一体部分を形成する4つのエラストマーダンパ部分52y、52zを含む。4つのダンパ部分は、y軸に沿って相互に離間した位置で取付フレーム30に連結された第1の対のダンパ部分52yと、z軸に沿って相互に離間した位置で取付フレーム30に連結された第2の対のダンパ部分52zとを含む。以下の説明では、符号52は、エラストマー構成要素50のすべてのダンパ部分への一般的な参照として使用される。各ダンパ部分52は、取付フレーム30のフレーム壁31から半径方向に距離を置いて配置されている。
図6Aでは、この半径方向の距離は、エラストマーダンパ部分52yの1つについて「D」と記されている。距離「D」は、ダンパ部分の間で異なってもよい。
【0035】
図示の実施形態では、すべてのダンパ部分52は同一である。代替の実施形態では、ダンパ部分52yの設計は、ダンパ部分52zの設計とは異なってもよい。ダンパ部分の外形および/または内部空洞が存在する場合はその形状に関して、設計が異なってもよい。このような違いは、周波数調整の目的で使用されてもよい。図示の実施形態では、すべてのダンパ部分52はまた、x軸に対して同じ半径方向距離を有する。代替の実施形態では、ダンパ部分は、x軸に対して異なる距離を有してもよい。例えば、ダンパ部分は、楕円形または楕円形に配置することができる。さらに、図示の実施形態のようにダンパ部分が非円対称である場合、それらは同じ方向に向いていても、異なる方向に向いていてもよい。
【0036】
エラストマー構成要素50は、取付フレーム30のフレーム壁31の内面31aに接続され、その周りに連続的に延びるエラストマー環状部分53をさらに具える。この環状のエラストマー部分53は、本実施形態では、以下で詳述するように、エラストマーダンパ部分52y、52zと一体成形されている。環状部分53は、図示の実施形態では円形であるが、楕円形/楕円形などの他の構成も考えられる。
【0037】
図6Aの断面図に示すように、各ダンパ部分52は、主軸Aに沿って、レベルL1の基部54からレベルL2の遠位端55まで延びる。非限定的な例示として、距離L1~L2は10~30mmのオーダーであり得る。各ダンパ部分52の基部54は、レベルL1において取付フレーム30の関連する取付タブ34に接続されている。いくつかの実施形態では、基部54は、減衰動作の間、本質的に静止しているか、または限られた動きしか示さない。図示の実施形態では、ダンパ部分52と取付フレーム30との間の接続は、成形プロセス、好ましくは射出2K成形プロセスから生じる結合である。
図6に示すように、より確実な接続を得るために、エラストマー材料は任意選択で、取付タブ34の開口部35内に延在してもよく、さらに任意で取付タブ34の下側に延在してもよい。
【0038】
各ダンパ部分52は、遠位端55から主軸Aに沿って距離を置いたレベルL3で円周方向に延びる取付溝56を有する。距離L1~L3は、距離L3~L2よりも大きくてもよい。各ダンパ部分52はさらに、その取付溝56とその遠位端55との間に挿入部分57を有する。挿入部分57は、図示のように円錐形またはフルスト円錐形であり得る。各エラストマーダンパ部分52はさらに、ダンパ部分52の基部54と取付溝56との間の主軸Aに沿って延びる主要部分58を呈する。主要部分58は、ダンパ部分52の減衰機能において主に作用または動作し、減衰動作中に主に剪断変形を受けるダンパ部分58の部分と見なすことができる。図示するように、基部54は、yz平面の主要部分58よりも幅が広くてもよい。
【0039】
ダンパ部分52のうちの1つ以上は、主軸Aに沿って延びる内部空洞60を具えてもよい。空洞60は、基部54に向かって開いていてもよい。図示のようないくつかの実施形態では、すべてのダンパ部分52が内部空洞60を有し得る。他の実施形態では、いくつかのダンパ部分のみが内部空洞60を有する。例えば、内部空洞に関する設計は、ダンパ部分52yとダンパ部分52zとで異なってもよい。さらに他の実施形態では、1つまたは複数のダンパ部分52は、内部空洞60を持たない固体のエラストマーダンパ部分として設計されてもよい。各ダンパ部分52について、内部空洞の設計、および内部空洞をダンパ部分に含めるかどうかの選択も、さらなる周波数調整パラメータを構成する。
【0040】
内部空洞60が存在する実施形態では、空洞60は、主軸Aに沿った高さC1と、主軸Aに垂直な断面C2を有し得る。高さC1および断面C2は、周波数調整の目的で変化させてもよい。断面C2の寸法は、y方向およびz方向で等しくても異なっていてもよい。図示の実施形態では、断面は楕円形である。断面C2の寸法は、x軸に沿って異なってもよい。これらのパラメータは、周波数調整の目的にも用いることができる。
【0041】
図6Aに示すように、内部空洞60は、ダンパ部分52の内側のレベルL4まで延びている。空洞60を高くすると、一般に、より剛性の低いダンパ部分52となる。ダンパ部分52の主要部分58は、内部空洞60を規定する内面61aと、ダンパ部分52の外周面を規定する外面61bとを有する壁61によって確定される。壁61の厚さと傾斜は、さらなる周波数調整パラメータを構成する。
【0042】
ダンパ装置20をインフレータ10と接続してダンパアセンブリ4を形成する際には、まず、インフレータ10の取付開口部13をダンパ装置20のエラストマーダンパ部分52に位置合わせする。その後、ダンパ部分52の円錐台形の挿入部57を取付開口部13に案内する。この操作のために、棒状のツールを内部空洞60に挿入して、各エラストマーダンパ部分52の取付溝56がインフレータの関連する取付開口部13のリムと係合するまで、取付開口部13を通して挿入部品57を押してもよい。
【0043】
従来技術による減衰動作中に、振動構造物の振動(例えば、ステアリングホイールの振動)は、エラストマー要素52を介して、インフレータ10に代表されるダンパマスに伝達される。これにより、インフレータ10は、ステアリングホイールの振動が動的に減衰されるように、位相のずれた振動を起こす。このような減衰動作が、
図7Bにz軸に沿って概略的に示されている。ここでは、説明のみを目的としてz軸に沿ったダンパ部分52zの動きが誇張されている。実際には、減衰動作中の動きは、おそらく1mm以下のオーダーであり、例えば0.05mm程度である。ダンパ部52zの本体58がz軸に沿って移動すると、
図7Bに示すように、主要部分58が剪断変形を受ける。以下、このような減衰機能を「剪断モード減衰」と呼ぶ。また、
図7Bに示すように、ダンパ部分52zの基部54は、減衰動作中に本質的に動かないように設計され得る。z軸方向の剛性は、z方向に特定の剪断変形を達成するために必要な剪断力に対応する。
図7Bにおいて、矢印Vは、ダンパ部分52zがフレーム壁31に向かって半径方向に移動しているときの振動運動を表す。当然ながら、z軸上の反対側のダンパ部分52zは、同時に同じ方向に移動するが、フレーム壁31から離れる方向である。
【0044】
この従来技術では、減衰動作は、エラストマーダンパエレメントの上述の剪断モード減衰に基づいている。したがって、従来技術では、特に
図7Bのダンパ部分52zとフレーム壁31との間の空間Sに示すように、各エラストマーダンパ部分の主要部分58が全方向に自由に動くことができるように、意図的に設計されている。
【0045】
ステアリングホイールは、水平方向(y軸)と垂直方向(z軸)で異なる周波数で振動する場合があり、周波数同調振動ダンパアセンブリの中には複数の周波数に同調されているものがある。剪断モード減衰を使用するいくつかの従来技術のダンパアセンブリは、水平方向の第1の周波数と、垂直方向の第2の異なる周波数に同調され得る。水平方向の振動は、垂直方向の振動よりも高い周波数を有してもよい。しかし、多くのアプリケーションでは、得られた減衰周波数の差では不十分であることが示されている。また、一部のアプリケーションでは、取り付けと周波数同調の自由度を高めることが望まれる。さらに、従来技術のダンパアセンブリでは利用可能な周波数範囲が不十分である場合がある。
【0046】
本発明のコンセプトによるダンパアセンブリ4およびダンパ装置20は、この問題を解決するか、少なくとも低減するように設計されており、すなわち、異なる方向、例えば水平方向と垂直方向における同調周波数の差を得ることができるように設計されており、特に従来技術のダンパを使用して得られるよりも大きな差を得るように設計されている。
【0047】
本発明のコンセプトによれば、ダンパ装置20は、一対のエラストマー補強ブリッジ70をさらに含み、各補強ブリッジ70は、y軸上に位置するダンパ部分52yのそれぞれの1つに関連付けられている。各エラストマーブリッジ70は、関連するダンパ部分52yをフレーム壁31の関連する壁部分33に接続する。壁部分33は、
図3の左側に示されている。各エラストマー補強ブリッジ70およびそれに関連するエラストマーダンパ部分52yは、エラストマー材料から互いに一体的に作られて、エラストマーダンパ本体を形成する。補強ブリッジ70とダンパ部分52yとの間の想像上の境界面が、
図6Aの符号「I」で示されている。図から分かるように、また以下でさらに説明するように、エラストマーブリッジ70はまた、全体的なエラストマー要素50の一部を形成する。したがって、製造プロセス中に、エラストマー環状部分53、すべてのダンパ部分52、およびすべてのブリッジ70は、好ましくは、取付フレーム30が同じプロセスで成形される2K射出成形プロセスで、一体成形され得る。成形の目的のみで、z軸上のダンパ部分52zは、表面31bおよび取付タブ34上のエラストマー材料の非常に薄い(厚さ1mm未満)スキン部59を介して環状部分53に接続することができる。これらのスキン部59は、最終製品において本質的に全く機能を持たない。
【0048】
ブリッジ70は補強ブリッジ70であり、減衰動作中にy軸に沿ったダンパ部分52yの主要部分58の動きに対して補強機能または補強効果を有する一体形成された部品を構成する。したがって、補強ブリッジ70は、好ましくはy軸に沿って十分な程度の剛性を発生させるのに十分な高さのレベルL5でエラストマーダンパ部分52yに接続されるべきである。結果として、補強ブリッジ70および関連するダンパ部分52yによって形成された各ダンパ本体は、y軸に沿って剛性が増加し、その結果、y軸に沿って増加した同調周波数をもたらし、その結果、y軸とz軸に沿って、目的とするおり大きな減衰周波数の差が得られる。z軸に沿った剛性は、ブリッジ70によってある程度影響を受けるが、y軸に沿った剛性の増加と比較して、はるかに小さい程度である。これは、ダンパ部52yと補強ブリッジ70とで形成されたダンパ本体が、減衰動作時に全く新しい動作をするためである。
【0049】
図7Aは、本発明のコンセプトによるy軸に沿った減衰動作を示している。
図7Bのように、ダンパ部分52yとブリッジ70の動きと形状の変化は、説明のために誇張されている。実際には、動きはおそらく1mm以下のオーダーであり得る。z軸に沿った減衰に関して、
図7Bに示す剪断モード減衰とは対照的に、ダンパ本体(52y+70)は、圧縮モード減衰と剪断モード減衰の組み合わせで動作する。設計とチューニングパラメータの選択によっては、圧縮モード減衰が剪断モード減衰よりも支配的になることがある。
【0050】
図7Aの矢印Vで示すように、y軸に沿った振動の間、補強ブリッジ70自体は、ブリッジ70の(誇張された)凹んだ上面72によって概略的に示すように、本質的に圧縮モードでのみ動作し得る。圧縮モードは通常、剪断モードよりも剛性の高いモードである。したがって、補強ブリッジ70は、ダンパ部分52yの剪断モードの動きを制限することができる。結果として、全体的なダンパ本体70、52yは、y軸に沿って非剛性のダンパ部分52zよりも実質的に剛性が高く、y方向に沿って本質的により高い同調周波数を得ることが可能であり、したがって、y方向とz方向に沿った同調周波数の差が大きくなる。上記のように、z軸に沿った減衰に対するブリッジ70の影響は制限されているので、正味の結果として周波数の差が大きくなる。z軸に沿った減衰に対するブリッジ70の効果が制限される理由の少なくとも1つは、ブリッジ70が本質的にz軸に沿った圧縮モードではなく、剪断モードで動作することである。一例として、ブリッジ70がx軸に垂直な長方形の断面を有する場合、この長方形の断面は、ダンパ部分52yがz軸に沿って移動してブリッジ70にz方向の剪断力を受けると、本質的にわずかに菱形になる傾向がある。すなわち、本質的に、ブリッジの剪断モードの変形は、y軸に沿った圧縮モードよりもはるかに少ない影響をダンパ部分52yに与えることになる。
【0051】
本発明のコンセプトによれば、補強ブリッジ70は、より剛性の高い取付フレーム34の壁部分33に接続されている。「接続された」という用語は、ここでは、接触しているだけでなく、取り付けられている、または結合されていると解釈すべきである。この取り付けまたは接着は、成形プロセスから直接、および/または接着剤の使用して行われる。したがって、インフレータ10が
図7Aとは反対に右に移動すると、y軸に沿ってブリッジ70に対応する張力が生じ、当該張力は、y軸に沿ったダンパ部分52yの全体的な動作を強化する役割を果たす。したがって、本実施形態では、取付フレーム30の反対側に位置する2つの補強ブリッジ70が対になって動作することが理解されよう。一方の補強ブリッジ70が圧縮されると、他方は引っぱられ、逆もまた同様であり、両側が剛性の向上および同調周波数の増大に寄与する。本出願では、「圧縮モード減衰」という用語は、補強ブリッジ70の圧縮と引張を交互に行うこの操作に関連するものである。
【0052】
ブリッジ70の寸法、形状、および他の設計パラメータは、追加の周波数同調パラメータとして使用することができる。これらのパラメータのいくつかについて、以下に説明する。
【0053】
図6Aに示すように、各補強ブリッジ70は、関連する取付タブ34に取り付けられるか接着された底面71と、上面72と、外面31bまたは壁部分33のフレーム壁32に取り付けられるか接着された半径方向内側部分73とを有する。内側部分73はまた、フレーム壁31上に延びるエラストマー材料の小さな舌部を介して環状部分53と接触している。主軸Aに沿ったブリッジ70の高さは、
図6Aに符号Hで示されている。本出願では、ブリッジ70の高さHは、振動部分52yの外側の周辺に最も近い界面Iにおけるブリッジ70のレベルL5に対応すると理解されるべきである。さらに、いくつかの実施形態では、補強ブリッジ70は、取付タブ34または取付フレーム30と接触するレベルL1まで完全に延びていなくてもよい。したがって、各補強ブリッジ70は、主要部分58に対する剛性向上効果がy軸に沿って達成されるように、エラストマーダンパ部分52yの主要部分58を、取付溝56のレベルL3とレベルL1との間の1つまたは複数のレベル/部分で、フレーム壁31に接続するエラストマー接続要素を構成する。この補強効果を得るために、ブリッジ70は、ダンパ部分の基部54の上部と遠位端55との間の主軸Aに沿った位置で、ダンパ部分52yの少なくとも主要部分58を関連する壁部分31に接続することができる。この接続は、図示の実施形態のように主軸Aに沿って連続的であってもよいし、主軸Aに沿って非連続的であってもよい。ブリッジ接続は、図示の実施形態のようにレベルL1までずっと延びてもよいし、レベルL1より上のレベルまで延びてもよいし、それらの組み合わせであってもよい。ブリッジは、y軸に沿った主要部分58の減衰運動に関してダンパ部分52yを補強するように構造化され配置されているという意味で、補強ブリッジである。したがって、補強ブリッジ70は、減衰動作中にy軸に沿って移動しているダンパ部分52yの主要部分58に少なくとも接続されるべきである。ブリッジ70のz方向の幅は、
図4の上面図にWで示されている。
【0054】
図6Aから6Cに示すように、2つのダンパ部分52yのうちの1つに関連する各補強ブリッジ70は、z軸上に位置する他の2つのダンパ部分52zに存在する空間Sを橋渡しする。図示の実施形態では、補強ブリッジ70はy方向に延在し、各ブリッジ70の底面71は、取付フレーム30の関連する取付タブ34の上面と接触して取り付けられている。
図6AのレベルL5から測定されたブリッジ70の高さHは、少なくとも界面「I」でダンパ部分52yに最も近い上面72が、基部54の上で取付溝56の下、すなわちダンパ部分52yの主要部分58に沿ったどこかに位置するように選択される。ブリッジ70の目的は、y軸に沿った動きに関してダンパ部分52yを補強することであるため、Hに対してかなり大きな値を選択することが好ましく、いくつかの実施形態では、ブリッジ70が取付溝56まで延びるか、または取付溝56にすぐ近くまで延びるような大きな値を選択することができる。さらに高い補強効果を達成するために、いくつかの実施形態では、ブリッジ70の半径方向内側部分73をさらに高く配置して、壁部分33の上部までずっと延在するようにしてもよく、その結果、yz平面に平行でないブリッジ70の上面72が形成される。
【0055】
補強ブリッジ70の高さHは、ダンパ部分52自体に関連する既知の同調パラメータに加えて、減衰装置20の新しい周波数同調パラメータを表す。ブリッジ70がダンパ部分52y、特に主要部分58上でより高く延びるほど大きな補強効果が得られる。例として、ブリッジの高さHは、それがL1-L3距離の少なくとも10%、L1-L3距離の少なくとも25%、またはL1-L3距離の少なくとも50%であるように選択され得る。ブリッジ70の幅W、ブリッジ70の半径方向の広がり、およびブリッジ70のエラストマー材料もまた、個別に選択され得る新しい周波数同調パラメータを表す。
【0056】
図6Bの断面図に最もよく見られるように、各補強ブリッジ70は、y軸に沿って延在し、z軸に平行な限定された広がり(extension)Wを有し、ダンパ部分52yの外周面の大部分を露出または自由に残している。結果として、補強ブリッジ70およびダンパ部分52yによって形成される各エラストマーダンパ本体は、以下を同時に存立させるという特徴を呈する:
-主軸Aを通って延在し、xz平面に平行な第1の平面P1に関して非対称であり、
-主軸Aとy軸によって規定される第2の平面P2に関して対称である。
【0057】
動的振動ダンパで使用するためのエラストマーダンパ本体のこの非対称/対称設計は、そのような非対称/対称の組み合わせ、または平面P1に関して最初に述べた非対称を示さない従来技術のダンパエレメントとは顕著に異なる。この特徴により、狙い通りの大きな同調周波数の差を得ることができる。
【0058】
エラストマー部分52yの片側のみに補強ブリッジを使用した結果として生じるダンパ本体(52y+70)のこの非対称性/対称性は、図示する第1の実施形態で使用される楕円形デザインなどの非円対称のエラストマーダンパ部分52yを使用することによって追加の非対称性と組み合わせることができる。ダンパ部分52yのそのような非対称性は、
図6Aおよび6Cの断面図の比較から明らかである。
図6Aの断面図では、主要部分58の壁61は円筒形に見えるが、
図6Cの断面図では円錐台形に見える。また、内部空洞60は、
図6Aでは長方形に見えるが、
図6Cでは異なる形状を有する。
【実施例2】
【0059】
図8Aおよび8Bは、本発明のコンセプトの第2の実施形態によるダンパ装置20を示しており、第1の実施形態と同じ参照番号が使用されている。第1の実施形態について記載されたバリエーションや効果は、第2の実施形態にも適用される。第2の実施形態では、4つのエラストマーダンパ部分52y、52zの設計が異なる。各ダンパ部分52y、52zは、第1の実施形態の楕円形の設計に代えて、主軸Aに関して円対称の外形を有する。さらに、内部空洞60の設計は、y軸上のダンパ部分52yが内部空洞を有さず、剛性が高くなっている点と、z軸上のダンパ部分52zがそれぞれ、第1の実施形態における空洞の高さに相当する高さの円筒形の空洞60を有するという点で異なっている。
【0060】
[第2実施例の変形例]
図9A~9Fは、異なる周波数同調パラメータが選択され、すべてのダンパ部分52が円対称の外形を有するダンパ装置20の変形例を示している。
【0061】
図9Aでは、2つの補強ブリッジ70はより高くなっており、取付溝およびフレーム壁31の上部まで延在し、その結果剛性が増加し、したがってy軸に沿ってより高い調整周波数が得られる。
【0062】
図9Bでは、2つの補強ブリッジ70もまた、より高くなっている。また、4つの内部空洞60はすべて高さC1が低くなっており、その結果y軸とz軸の両方に沿った剛性が向上している。
【0063】
図9Cでは、ブリッジの高さは
図8A~8Cと本質的に同じであり、4つの空洞80はすべて、
図8A~8Cの2つの空洞60と本質的に同じ高さを有する。
【0064】
図9Dでは、ブリッジの高さは
図8A~8Cと本質的に同じであるが、内部空洞60がないため、すべてのダンパ部分52y、52zが硬くなっている。
【実施例3】
【0065】
図10は、本発明のコンセプトの第3の実施形態によるダンパ装置20を示している。
図10において、各ダンパ部分52y、52zは、その主軸Aに関して円対称の外形を有し、また各ダンパ部分52y、52zは内部空洞60を有する。この実施形態では、内部空洞60はいずれも、長軸と短軸とを有する細長い断面を有する。この設計により、各ダンパ部分52は、空洞60の短軸に沿った方向の剛性と比較して、空洞60の長軸に沿った方向に剛性が高くなる。さらに、4つの空洞60はすべて、各空洞60の主軸がy軸と平行になるように同じ方向に向けられている。したがって、各ダンパ部分52は、それ自体がy軸に沿って減衰を強く(stiffer)することに寄与する。さらに、2つのダンパ部分52yを補強するブリッジ70は、y軸に沿って減衰をさらに強くすることに寄与する。この実施形態の変形例では、ダンパ部分の外形も、楕円形や長円形などの細長い断面を有してもよい。また内部空洞60も、その高さの少なくとも一部において、楕円形や長円形の断面を有してもよい。
【0066】
図11A~11Eは、前の実施形態のいずれかで使用するためのダンパ部分52が、1つまたは複数の異なる設計パラメータを変えることによってどのように周波数調整され得るかの例を示す。各ダンパ部分52は、細長いまたは楕円形の断面を有する外形を有し、長軸はM-Mで示され、短軸はm-mで示される。すべての例において、内部空洞60は、ダンパ部分52の主要部分58と同じ高さの主空洞部分60aと、ダンパ部分52の基部54と同じ高さの基部空洞部分60bと、ダンパ部分52の取付溝56と同じ高さの上部空洞部分60cとを有する。内部空洞60の設計において、周波数調整に影響を与えるのは主に主空洞部分60aの形状である。上部空洞部分60cは、主に、ダンパ部分をインフレータ10の取付開口部13に押し込むための工具を受け入れるために使用される。上部空洞部分60cはまた、インフレータ10の取付開口部13への挿入時に、ダンパ部分52の上部の変形を容易にすることができる。
図11A~11Eのすべての例において、主空洞部分60aの垂直断面は、短軸m-mに沿って見たときに円錐形を有し、長軸M-Mに沿って見たときに長方形を有する。したがって、各ダンパ部分52の外側の楕円形の形状と、各ダンパ部分の内部空洞60の設計との両方により、ダンパ部分52は長軸M-Mに沿った剛性が、短軸m-mに沿った剛性より高くなっている。
図11A~11Eは、主空洞部分60aの高さおよび/または主要部分58に沿った壁の厚さを変化させることによって、周波数調整がどのように達成され得るかを示している。
【0067】
上記の開示から明らかなように、本発明のコンセプトによるダンパ装置およびダンパアセンブリの周波数調整は、少なくとも以下を含む広範囲の利用可能な調整パラメータに含まれる1つまたは複数の調整パラメータを変更することによって達成され得る:
-エラストマー材料
-補強ブリッジの寸法と形状(高さH、幅Wなど)
-ダンパ部分52y、52zの高さL1-L2、特に主要部分58の高さ
-ダンパ部分52y、52z、の外形寸法と形状
-内部空洞60を用いるか否か(任意でミックス)
-内部空洞60の寸法や形状(高さ、断面など)
-主要部分58の肉厚、これは円周方向に変化してもよい
-壁61の傾斜、これは円周方向に変化してもよい
【0068】
[代替の実施形態]
上記の実施形態および図示した実施形態は、特許請求の範囲内で多くの方法で変更することができる。例えば、図示の実施形態では、補強ブリッジはy軸に沿ってのみ配置されている。y軸とz軸の間に必要な周波数差を維持しながら、z軸に沿ってより高い周波数が求められる場合は、z軸のダンパ部分にも低い補強ブリッジを使用してもよい。
【手続補正書】
【提出日】2021-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動構造物をダンパマスに接続して周波数同調ダンパアセンブリを形成するための振動ダンパ装置であって、
2つ以上のエラストマーダンパ部分と、
前記エラストマーダンパ部分よりも剛性の高い材料で作られた取付フレームであって、前記取付フレームは主平面内に延在し、前記主平面に対して横方向に延びる一対のフレーム壁部分を呈し、
各エラストマーダンパ部分は、当該エラストマーダンパ部分の主軸に沿って、前記主平面で前記取付フレームに接続された前記エラストマーダンパ部分の基部から前記エラストマーダンパ部分の遠位端まで延在し、
各エラストマーダンパ部分は、前記エラストマーダンパ部分の基部と遠位端の間の主軸に沿って
配置された主要部であって、前記ダンパ装置の減衰動作中に主に剪断変形を受ける構成された主要部分を呈し、
前記エラストマーダンパ部分は、前記主平面内に延びる第1軸に沿って間隔を置いて配置された位置で前記取付フレームに接続されたエラストマーダンパ部分の第1の対を具え、
前記振動ダンパ装置がさらに、一対のエラストマー補強ブリッジを含み、
各エラストマー補強ブリッジは、前記エラストマーダンパ部分の第1の対のそれぞれのエラストマーダンパ部分に関連付けられ、
各エラストマー補強ブリッジは、前記第1軸に沿った減衰運動に関して前記ダンパ部分を補強するために、少なくとも関連するエラストマーダンパ部分の主要部分を、関連するエラストマーダンパ部分の基部と遠位端との間の主軸に沿った位置で、前記フレーム壁部分の関連する1つに接続し、
各補強ブリッジおよびその関連するダンパ部分は、エラストマー材料から互いに一体的に作られて、エラストマーダンパ本体を形成することを特徴とするダンパ装置。
【請求項2】
前記補強ブリッジが実質的に第1軸に沿って延びている、請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
各補強ブリッジが、関連するダンパ部分の主軸に対して円周方向に限定された広がりを有し、前記補強ブリッジとダンパ部分によって形成されるエラストマーダンパ本体は、
前記主平面と第1軸に垂直な面に関して非対称であり、
前記主軸と第1軸によって規定される平面に関して対称である、
請求項2に記載のダンパ装置。
【請求項4】
各ダンパ部分は、その遠位端からある距離で円周方向に延びる取付溝を呈し、各補強ブリッジは、前記関連するダンパ部分を、前記関連するダンパ部分の基部と取付溝との間で、関連するフレーム壁部分に接続する、請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項5】
前記補強ブリッジのそれぞれが、前記関連するダンパ部分の主軸の方向に、前記主平面と関連するダンパエレメントの取付溝との間の距離の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%であるブリッジ高さレベルまで延びる、請求項4に記載のダンパ装置。
【請求項6】
前記取付フレームに接続されてそれに沿って延在し、前記エラストマーダンパ部分および前記エラストマーブリッジと一体に作られたエラストマー環状部分を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載のダンパ装置。
【請求項7】
2つ以上の前記エラストマーダンパ部分が、前記主平面内に延在し、前記第1軸に対して横方向に延びる第2軸に沿って相互に離間した位置で前記取付フレームに接続された第2の対のダンパ部分をさらに具える、請求項1乃至6のいずれかに記載のダンパ装置。
【請求項8】
前記第2の対のダンパ部分の各ダンパ部分は、その基部のみで前記取付フレームに接続され、いかなる補強ブリッジによっても補強されていない、請求項7に記載のダンパ装置。
【請求項9】
前記2つ以上のダンパ部分の一部または全部が、前記ダンパ部分の主軸に沿ったダンパ部分の少なくとも一部にわたり、前記ダンパ部分の主軸に対して回転対称ではない断面を呈している、請求項1乃至8のいずれかに記載のダンパ装置。
【請求項10】
異なる方向に異なる振動周波数の振動を呈する振動構造物に接続するように適合された周波数同調ダンパアセンブリであって、前記ダンパアセンブリは、
請求項1乃至9のいずれかに記載のダンパ装置と、
前記ダンパ装置のダンパ部分の遠位端に接続されるダンパマスとを具え、
前記ダンパアセンブリが、前記振動構造物の異なる振動周波数に対応する2つの異なる周波数に周波数調整されている、ダンパ装置。
【請求項11】
前記ダンパマスがインフレータを含む、
請求項10に記載のダンパアセンブリ。
【請求項12】
請求項10または11に記載のダンパ装置の製造方法であって、すべてのエラストマーダンパ部分およびすべてのエラストマー接続ブリッジを、前記取付フレームのエラストマー環状部分と一体成形するステップを含む方法。
【請求項13】
前記ダンパ装置が1台の単一の2K射出成形機を使用して製造され、前記エラストマーダンパ部分、補強ブリッジおよび環状部分が一緒に第1の構成要素を形成し、前記取付フレームが第2の構成要素を形成し、前記第1および第2の構成要素は、成形プロセスにおいて互いに結合される、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
周波数同調ダンパ装置で使用するためのエラストマーダンパ本体であって、前記エラストマーダンパ本体は、
エラストマーダンパ部分の基部から当該ダンパ部分の遠位端まで、前記ダンパ部分の主軸に沿って延びる
エラストマーダンパ部分であって、前記主軸に沿って前記ダンパ部分の基部と遠位端との間に位置して前記ダンパ本体の減衰動作中に主に剪断変形を受けるように構成された主要部分を呈する、エラストマーダンパ部分と、
前記ダンパ部分と一体的に形成され、
少なくとも前記ダンパ部分の主要部分から前記主軸に直交する第1軸に沿って延び
、当該第1軸に沿った減衰動作に関して前記ダンパ部分を補強するエラストマーブリッジ部分とを具え、
前記ブリッジ部分は、前記ダンパ本体が全体として、前記主軸と、前記主軸および前記第1軸に直交する第2軸とによって規定される第1の平面に関して非対称となるように、前記主軸に対して円周方向に限定された広がりを有することを特徴とするエラストマーダンパ本体。
【請求項15】
前記ダンパ本体は、全体として、前記主軸および前記第1軸によって規定される第2の平面に関して対称である、請求項14に記載のダンパ本体。
【国際調査報告】