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特表2022-524569高効率外部逆脈動システム及びシステムを使用する治療の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-09
(54)【発明の名称】高効率外部逆脈動システム及びシステムを使用する治療の方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20220426BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20220426BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20220426BHJP
   A61B 5/308 20210101ALI20220426BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20220426BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
A61B17/12
A61B5/0245 200
A61B5/256 230
A61B5/308
A61B5/022 400L
A61B5/02 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540164
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 US2020050606
(87)【国際公開番号】W WO2021167651
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/979,372
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505008028
【氏名又は名称】中央研究院
【氏名又は名称原語表記】ACADEMIA SINICA
【住所又は居所原語表記】128 Academia Road,Section 2,Nankang Taipei,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ヤン フ-リャン
(72)【発明者】
【氏名】チャン チャン-クエイ
【テーマコード(参考)】
4C017
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA10
4C017AA11
4C017AB01
4C017AB03
4C017AB04
4C017AB10
4C017AC16
4C017AC28
4C017DD14
4C017EE15
4C017FF17
4C127AA02
4C127BB03
4C127BB05
4C127GG18
4C127LL13
4C160DD03
4C160DD06
4C160DD31
4C160MM33
(57)【要約】
血行並びに心血管系関連疾患を改善するための外部逆脈動システム(ECP)及びこのシステムを使用する方法。本発明のECPシステムは、太腿の主静脈及び動脈の血流を調整するための螺旋空気袋を含む。本発明のECPのコスト、重量、及びサイズを引き下げる螺旋形状の空気袋を使用して高い効率が実現される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は2以上の螺旋空気袋と1又は2以上の補助空気袋とを含む空気袋システムであって、各螺旋空気袋が、ユーザの太腿に取り付けられた時に、該螺旋袋が主動脈及び静脈内で血流調整を達成するために加圧された時に該螺旋空気袋が該主動脈及び/又は静脈上で大腿骨に対する圧力を効率的に作用することを可能にする方式で該大腿骨の周りに巻き付く該主動脈及び静脈を密接に辿る螺旋を該螺旋空気袋が該太腿の周りに形成するように成形される前記空気袋システムと、
前記空気袋システムに空圧的に接続され、前記螺旋空気袋及び前記補助空気袋を加圧及び減圧するように構成されたバルブ及び流体システムと、
プロセッサ、1又は2以上のPPGセンサ、及び1又は2以上のECGセンサを含む制御システムであって、該PPG及びECGセンサが、前記ユーザからPPG及びECG信号を収集するために該ユーザに接続され、該制御システムが、該センサによって検出された信号に基づいて前記空気袋システムの前記空気袋を加圧又は減圧するように前記バルブ及び流体システムを制御するために該バルブ及び流体システムに電子的に接続され、前記補助空気袋が、前記螺旋空気袋の下端又は上端のいずれかに位置決めされ、かつ血流を望ましい方向に向けて誘導するために該螺旋空気袋の前に加圧される前記制御システムと、
を含むことを特徴とする外部逆脈動(ECP)デバイス。
【請求項2】
前記螺旋空気袋の寸法が、該螺旋空気袋が前記ユーザの太腿の前記主動脈及び静脈を密接に辿ることができるように該ユーザの解剖学的構造によって決定されることを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項3】
cm単位の螺旋空気袋の長さLが、bが15cmから30cmの間である場合に前記ユーザの身長/3.2-bとして定められ、螺旋空気袋の上幅及び螺旋空気袋の底幅が、各々約14cmであり、螺旋角が、約55°であることを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項4】
前記バルブシステムのワット数が、約1500ワットよりも低いことを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項5】
前記螺旋空気袋の長さLが、約50cmを超えず、W1及びW2が、約25cmと面積で約1250cm2とを超えないことを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項6】
前記螺旋空気袋内の前記圧力は、完全に加圧された時に約350mmHgを超えないことを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項7】
前記螺旋空気袋の前記圧力は、完全に加圧された時に約150mmHgよりも低くないことを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項8】
前記螺旋空気袋の底幅W2に対する該螺旋空気袋の上幅W1の比が、約1:1から2:1であることを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項9】
前記螺旋空気袋の螺旋角が、約30°と75°の間であることを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項10】
前記補助空気袋は、該補助空気袋が前記螺旋空気袋に重なって該螺旋空気袋の前記下端に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項11】
前記補助空気袋は、該補助空気袋が前記螺旋空気袋に重なることなく該螺旋空気袋の前記下端に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項12】
前記補助袋は、該補助空気袋が前記螺旋空気袋に重なって該螺旋袋の前記上端に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項13】
前記補助袋は、該補助空気袋が前記螺旋空気袋に重なることなく該螺旋袋の前記上端に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項14】
前記補助袋及び前記螺旋袋は、1つの単一カフ内であることを特徴とする請求項1に記載のECPデバイス。
【請求項15】
請求項1に記載のECPデバイスを使用して外部逆脈動治療を提供する方法であって、
a.ユーザの心拍のRピークを検出する段階と、
b.前記Rピークからの約10msから250msの遅延を導入する段階と、
c.前記補助空気袋を加圧する段階と、
d.約20msから100msの遅延を導入する段階と、
e.約200msから600msの治療有効時間量にわたって前記螺旋空気袋を加圧する段階と、
f.前記補助空気袋及び螺旋空気袋の両方をほぼ同じ時間に減圧する段階と、
g.治療有効時間量にわたって段階a-fを繰り返す段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高効率外部逆脈動システム及びこのシステムを使用する治療の方法に関する。具体的には、本発明は、ユーザの太腿内の主要静脈及び動脈の螺旋形状を利用して高い効率を達成する1又は2以上の空気袋を含む。
【背景技術】
【0002】
外部逆脈動(ECP)は、脚上の空気袋を使用して血行動態特性を調整することによる難治性狭心症、急性心筋梗塞、うっ血性心不全、及び虚血関連疾患のような様々な疾患に対する臨床的に実績のある治療システムである。現在、神経学及び腎臓学での他の応用が探求されている。しかし、現在のECPシステムは、高価であり、大型であり、重量があり、かつ固定式である。1つの理由は、システムを作動させるのに高電力の空気圧縮機を必要とすることである。従って、病院及び医院のみがそれらを購入して設置することができ、患者にECP治療を受けるために通院することを要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空気袋の設計は、機械寸法及び電力消費を含むECPシステムの効率に実質的に影響を及ぼす可能性がある。本発明は、新規の螺旋空気袋に基づく高効率ECPシステムを開示し、この螺旋空気袋は、太腿内の主動脈及び静脈が大腿骨の周りに巻き付いて大腿骨に対して主動脈及び静脈を押圧することによって血流を効率的に調整する螺旋方式を利用する。従って、動脈は、印加された空気圧を最大に使用するために螺旋空気袋の作用力と大腿骨の反力の両方によって押圧されることになる。本発明者は、押圧された動脈血が望ましい方向に向けて移動するように更に拘束するために螺旋空気袋の一端上に補助袋を追加する。これらの空気袋を受け入れる特殊カフは、動脈への高い空気圧伝達効率を保証するように設計される。本発明は、全体空気配管ループと高効率ECPシステムを実現する関連の制御方法とを開示する。新規の螺旋空気袋を使用して本発明によって実現される効率は、空気圧縮機電力要件を実質的に低減し、それによって本発明のECPシステムを家庭で所有して稼働させることが可能であるように本発明のECPシステムのコスト、並びにサイズ及び重量を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、1又は2以上の螺旋空気袋と1又は2以上の補助空気袋とを含む空気袋システムであって、各螺旋空気袋が、ユーザの太腿に取り付けられた時に、螺旋空気袋が主動脈及び静脈内で血流調整を達成するように加圧された時に螺旋空気袋が主動脈及び/又は静脈上で大腿骨に対して圧力を効率的に作用することを可能にする方式で大腿骨の周りで主動脈及び静脈を密接に辿る螺旋を螺旋空気袋が太腿の周りに形成するように成形される上記空気袋システムと、空気袋システムに空圧的に接続され、螺旋空気袋及び補助空気袋を加圧及び減圧するように構成されたバルブ及び流体システムと、プロセッサ、1又は2以上のPPGセンサ、及び1又は2以上のECGセンサを含む制御システムであって、PPG及びECGセンサが、ユーザからPPG及びECG信号を収集するためにユーザに接続され、制御システムが、センサによって検出された信号に基づいて空気袋システムの空気袋を加圧又は減圧するようにバルブ及び流体システムを制御するためにバルブ及び流体システムに電子的に接続された上記制御システムとを含む外部逆脈動(ECP)デバイスに関する。
【0005】
実施形態では、螺旋空気袋の寸法は、螺旋空気袋がユーザの太腿の主動脈及び静脈を密接に辿ることができるようにユーザの解剖学的構造によって決定される。別の実施形態では、cmでの螺旋空気袋の長さLは、bが15cmから30cmの間である時にユーザの身長/3.2-bとして定められ、螺旋空気袋の上幅及び螺旋空気袋の下幅は、約14cmであり、螺旋角は約55°である。更に別の実施形態では、バルブシステムのワット数は、約1500ワットよりも低い。
【0006】
実施形態では、螺旋空気袋長さLは、50cmを超えず、W1及びW2は、25cmを超えず、面積が1250cm2である。別の実施形態では、螺旋空気袋内の圧力は、完全に加圧された時に約350mmHgを超えない。別の実施形態では、螺旋空気袋の圧力は、完全に加圧された時に約150mmHgよりも低くない。更に別の実施形態では、螺旋空気袋の底幅W2に対する螺旋空気袋の上幅W1の比は、約1:1から2:1である。
【0007】
実施形態では、螺旋空気袋の螺旋角は、約30°と75°の間である。別の実施形態では、補助空気袋は、補助空気袋が螺旋空気袋に重なって螺旋空気袋の下端に位置決めされる。更に別の実施形態では、補助空気袋は、補助空気袋が螺旋空気袋に重なることなく螺旋空気袋の下端に位置決めされる。
【0008】
実施形態では、補助袋は、補助空気袋が螺旋空気袋に重なって螺旋袋の上端に位置決めされる。別の実施形態では、補助袋は、補助空気袋が螺旋空気袋に重なることなく螺旋袋の上端に位置決めされる。更に別の実施形態では、補助袋と螺旋袋は、1つの単一カフ内である。
【0009】
本発明はまた、ユーザの心拍のRピークを検出する段階と、Rピークからの約10msから250msの遅延を導入する段階と、補助空気袋を加圧する段階と、約20msから100msの遅延を導入する段階と、約200msから600msの治療有効時間量にわたって螺旋空気袋を加圧する段階と、補助空気袋と螺旋空気袋の両方をほぼ同じ時間に減圧する段階と、段階a-fを治療有効時間量にわたって繰り返す段階とを含む本発明のECPデバイスを使用して外部逆脈動治療を提供する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ユーザの太腿内の主動脈及び静脈の螺旋形状と本発明10の螺旋空気袋の実施形態とを示す図である。
図2】本発明10の高レベルブロック図である。
図3】本発明の螺旋カフ105及び補助カフ160の実施形態の詳細図である。
図4a】本発明の螺旋カフ105及び補助カフ160の可能な2つの異なる配置を示す図である。
図4b】本発明の螺旋カフ105及び補助カフ160の可能な2つの異なる配置を示す図である。
図4c】螺旋空気袋110と補助空気袋170の両方が1つのカフ内に構成される時のこれらの空気袋の可能な2つの異なる配置を示す図である。
図4d】螺旋空気袋110と補助空気袋170の両方が1つのカフ内に構成される時のこれらの空気袋の可能な2つの異なる配置を示す図である。
図5a】補助空気袋170が螺旋空気袋110の下端に位置付けられた時の心周期及び血流に関する本発明のECPデバイス10の加圧及び減圧サイクルを示す図である。
図5b】補助空気袋170が螺旋空気袋110の下端に位置付けられた時の心周期及び血流に関する本発明のECPデバイス10の加圧及び減圧サイクルを示す図である。
図6a】補助空気袋170が螺旋空気袋110の上端に位置付けられた時の心周期及び血流に関する本発明のECPデバイス10の加圧及び減圧サイクルを示す図である。
図6b】補助空気袋170が螺旋空気袋110の上端に位置付けられた時の心周期及び血流に関する本発明のECPデバイス10の加圧及び減圧サイクルを示す図である。
図7】本発明のECP制御ユニット200の実施形態を示すブロック図である。
図8】本発明のECP制御ユニット200と流体及びバルブシステム300の実施形態を描くブロック図である。
図9】本発明の流体及びバルブシステム300の実施形態を描くブロック図である。
図10】本発明のECPデバイス10を使用する方法の実施形態を示す流れ図である。
図11】本発明のECPデバイス10を使用する治療の方法の実施形態を示すために時間同期された螺旋空気袋110及び補助空気袋170の加圧及び減圧を示すチャートを有するPPGチャートとECGチャートの組合せを示す図である。
図12a】本発明のECPデバイス10を使用する治療の前のユーザの例示的なPPG及びECG信号を示す図である。
図12b】本発明のECPデバイス10を使用する治療中のユーザの例示的なPPG及びECG信号を示す図である。
図13】本発明のECPデバイス10のECP制御システム200と流体及びバルブシステム300との例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲に対して使用する「a」、「an」、及び「the」は、状況が別途指定しない限り、単数の指示物と複数の指示物とを含む。従って、例えば、「成分」という指示物は、複数の成分の混合物を含み、「活性薬剤」という指示物は、1よりも多い活性薬剤を含むなどである。
【0012】
本明細書に使用する場合に、数量に対する修飾語句としての「約」という用語は、数量の+5%又は-5%を含むように修飾することを意味するように意図したものである。
【0013】
治療の「有効時間量」又は「治療有効時間量」は、無毒/無害であるが望ましい治療効果を与えるのに必要とされる十分な時間量を意味するように意図したものである。「有効」である期間は、年齢、個人の一般病状、及び特定の病状などに依存して被験者毎に異なる場合がある。
【0014】
本発明のECPデバイス10は、従来技術のECPデバイスと比較して小型化、低エネルギ消費、及び低デバイスコストを達成する機能を有する。これは、本発明のECPデバイス10が図1に示す螺旋方式で大腿骨の周りに巻き付く太腿内の主動脈及び静脈の形状を利用することによって可能である。具体的には、図1に示すように、主動脈及び静脈は、骨盤骨の前にある大腿骨の前を始端とし、内腿に向けて螺旋方式で大腿骨の周りに巻き付き、膝の背後の大腿骨の背後で終端し、その後に更に脚を下る。図1に示すように、螺旋空気袋110は、主動脈及び静脈の血流を調整するために主静脈及び動脈を大腿骨に対して押圧するのに必要とされるエネルギを太腿の部位にのみ集中させて太腿の他の部位に対してエネルギを殆ど無駄にしないようにこの特定の解剖学的構造を利用することに特化して成形される。達成される効率は、従前のECPと比較して同じか又は良好な治療結果を達成するのにかなり小さくかつそれ程強力でない空気圧縮機のみを必要とするという意味である。例えば、本発明の電力消費は、現在利用可能な典型的な市販ユニットの2500ワット前後のエネルギ消費と比較して約500ワット、600ワット、700ワット、800ワット、900ワット、1000ワット、1250ワット、又は1500ワットよりも低い。更に、小型化は、本発明のECPデバイス10を約20kg、25kg、又は30kgよりも軽くし、一般的に、非常に高重量であるために固定式であるように製造される既存ECPデバイスよりも取り扱いやすく、更に携帯可能であり、実質的に廉価なものにする。すなわち、ユーザは、治療のために医院に通院しなければならないのではなく、本発明のECPデバイス10を自宅に手軽に所有して作動させることができる。
【0015】
図2は、空気袋システム100と、制御システム200と、バルブ及び流体システム300とを含む本発明のECPデバイス1010の高レベル図である。
【0016】
図3は、カフシステム100の実施形態を示している。図3に示すように、螺旋カフシステム100は、螺旋カフ105と螺旋空気袋110とを含む。実施形態では、螺旋空気袋110は、上幅W1 112と、下幅W2 114と、長さL116と、螺旋角118とを含み、長さL116は、幅W1 112の中間点と幅W2 114の中間点との間の直線である。螺旋角は、直立しているユーザによってカフが着用されている時に長さL116と平らな地面と平行な水平線との間の角度である。図3に示すようにW2がこの水平線と平行なものとして設計される場合に、螺旋角は、幅W2と長さL116の間の角度になる。別の実施形態では、螺旋カフ105は、1又は2以上のカフファスナ120を更に含む。
【0017】
実施形態では、上述のように、螺旋空気袋110は、その螺旋形状が図1に示すように大腿骨の周りに巻き付く主動脈及び静脈を辿るように内腿の主動脈及び/又は静脈の上に配置される。大腿骨の周りの主動脈及び/又は静脈により良く適合するように、上幅W1 112、下幅W2 114、長さL116、及び螺旋角118は、配置の場所、及び性別、身長、体重、BMI、年齢などのようなユーザの生体測定値のようなファクタに依存して異なることが可能である。一実施形態では、螺旋角118は、30°から75°の間、40°から65°の間、又は約55°である。一実施形態では、図3に示すように、螺旋空気袋の上幅W1 112は、下幅W2 114よりも広い。別の実施形態では、W1 112:W2 114の比は、約2:1から1:1の間、約1.9:1から1.1:1の間、約1.8から1.2:1の間、約1.7:1から1.3:1の間、約1.6:1から1.4:1の間、又は約1.5:1である。W1 112がW2 114よりも広いということは、図4a及び図4cに示すように螺旋空気袋110が膨張された時に血液を胴体に向けて上方に誘導することを支援する。一実施形態では、空気袋の長さL116に対する螺旋空気袋110の上部の幅W1 112の比は、約1:2から1:4又は約1:3である。
【0018】
一実施形態では、螺旋空気袋110は、太腿部位のみを覆う。別の実施形態では、カフシステム100及びECPデバイス10を全体的に小型化することができるように、螺旋空気袋110は、太腿全体ではなく、血流を治療効果的に調整するのに必要である大腿骨を覆う主動脈又は静脈を覆う過不足のない部位を覆う。実施形態では、L116、W1 112、及びW2 114は、ユーザの身長及び/又は体重のようなユーザの生体測定値に依存する。例えば、実施形態では、bが15cmから約30cmの間である時にL=(ユーザの身長/3.2)-bである。従って、ユーザの身長が165cmである場合に、Lは、約21.6cmと36.6cmの間であるとすることができ、W1 112は約14cmであり、W2 114は約14cmである。
【0019】
一実施形態では、図3に示すように、本発明のECPデバイス100は、補助カフ160を更に含む。実施形態では、下記で図4図6に関してより詳細に説明するように、補助カフ160は、血流をユーザの胴体に向うように又はそこから離れるように調整するのに螺旋空気袋110を補助する補助空気袋170を含む。螺旋空気袋110に関する設計要件の場合と同様に、補助空気袋170を加圧するのに使用される空気圧縮機の電力要件及びサイズ要件を低減するが、依然として図4に関して更に説明するように螺旋空気袋110への十分な補助を提供するように補助空気袋170の幅W180及び長さL185を最小化しなければならない。しかし、補助空気袋170の幅W180は、図4a及び図4cに示すように補助カフ160が螺旋カフ105の下端に位置決めされた場合は螺旋空気袋110のW2 114の幅を図4b及び図4dに示すように補助カフ160が螺旋カフ105の上端に位置決めされた場合はW1の幅112を完全に包含するほど十分に広くなければならない。更に、下記で図4に関して異なる構成で説明するように望ましい方向に向うように血流を調整するのに螺旋空気袋110を補助するほど十分な力を与えるように補助空気袋170の長さL185及び幅W180をサイズ決定しなければならず、空気圧縮機によって供給される圧力が十分に高くなければならない。一実施形態では、補助空気袋170の長さL185に対する幅W180の比は、約1.5:1から4:1、約2:1から3:1、又は約2.5:1である。別の実施形態では、補助空気袋の幅W180は、約8cmから30cm、約16から24cm、又は約22cmである。
【0020】
一実施形態では、図4a~図4dに示すように、補助空気袋170は、異なる構成で螺旋空気袋110の上に位置決めすることができる。一実施形態では、補助空気袋170は、図4aに示すように螺旋空気袋110の下端の上に位置決めすることができる。実施形態では、補助空気袋170は、W2 114の底部で螺旋空気袋の下端に当接し、螺旋空気袋110に重なる。更に別の実施形態では、図4cに示すように、螺旋空気袋110と補助空気袋170は、1つの単一カフに内蔵することができる。
【0021】
別の実施形態では、図4bに示すように、補助空気袋170は、螺旋空気袋110の上端の上に位置決めすることができる。実施形態では、補助空気袋170は、W1 112の上部で螺旋空気袋の上端に当接し、螺旋空気袋110に重なる。別の実施形態では、図4dに示すように、螺旋空気袋110と補助空気袋170は、1つの単一カフに内蔵することができる。
【0022】
実施形態では、螺旋空気袋110が後に加圧された時に血流方向に影響を及ぼすように、補助空気袋170は、螺旋空気袋170の前に加圧される。特に、図5に示すように、補助空気袋170が螺旋空気袋110の下端に位置決めされ、螺旋空気袋110の前に加圧された時に、補助空気袋170が下向きの血流を防止するので、カフシステム100によって引き起こされる血流の大部分の方向は、最初にユーザの胴体に向けて上方である。実施形態では、補助空気袋170は、少なくとも螺旋空気袋の全幅W1 112を覆うほど十分に広くなければならない。更に、補助空気袋170の空気圧は、加圧時に下向きの血流の約90%、約80%、約70%、又は約60%超を止めるほど十分に高くなければならない。実施形態では、空気袋110及び170内の圧力は、約150mmHgから350mmHg、約200mmHgから300mmHg、又は約250mmHgである。次いで、空気袋170と110の両方が減圧する時に、カフシステム100によって引き起こされる血流の大部分は、ユーザの胴体から離れるように下向きである。同じく図6では、補助空気袋170が螺旋空気袋110の上半分に位置決めされる実施形態では、補助空気袋170が螺旋空気袋110の前に加圧された時に、補助空気袋170が上方の血流を防止するので、カフシステム100によって引き起こされる血流の大部分の方向は、最初にユーザの足に向けて下向きである。次いで、空気袋170と110の両方が同時に減圧する時に、カフシステム100によって引き起こされる血流の大部分は、ユーザの胴体に向けて上方である。従って、補助空気袋170の空気圧は、加圧時に上方の血流の約90%、約80%、約70%、又は約60%超を止めるほど十分に高くなければならない。実施形態では、空気袋110及び170内の圧力は、約150mmHgから350mmHg,200mmHgから300mmHg、又は約250mmHgである。図5及び図6に示すように、空気袋110及び170の配置は、ユーザが身体の異なる部位に異なる治療強度でターゲットを定めることを可能にする。
【0023】
実施形態では、図7に示すように、本発明のECPデバイス10は、ユーザとの対話、ユーザの生体測定データの収集及び分析、及び空気袋110及び170を加圧/減圧するためのバルブシステム300との対話を含むがこれらに限定されない本発明のECPデバイス10の様々な態様を制御するように構成されたECPコントローラシステム200を更に含む。実施形態では、ECPコントローラシステム200は、ECPプロセッサ210と、1又は2以上の心拍センサ220、230、240と、対話型表示ユニット250とを好ましくは含む。実施形態では、ECPプロセッサ210は、電子接続部260を通して対話型表示ユニット250、心拍センサ220、230、及び240に接続される。更に、実施形態では、下記で図8及び図10に関してより詳細に説明するように、ECPプロセッサ210は、電子接続部260を通してバルブ及び流体システム300に更に接続される。
【0024】
実施形態では、ECPプロセッサ210は、対話型ディスプレイ250を通じたユーザへのかつユーザからの信号、バルブ及び流体システム300へのかつそこからの信号、及び心拍センサ220、230、及び240によって収集された心拍情報のようなユーザの生体測定データに関する信号を含むがこれらに限定されない信号を送受信及び処理するように構成されたプロセッサを好ましくは含む。このようにして、ECPプロセッサ210は、螺旋空気袋110及び補助空気袋170内の圧力のような本発明のECPデバイス10の様々な態様を処理された様々な信号に基づいて制御するように構成される。
【0025】
図7に示すように、実施形態では、PPG心拍センサ220は、手指センサ220aと2つの足指センサ220b及び220cとを含むことができる。実施形態では、ECG心拍センサ230は、右及び左の胸センサ230a及び230bを含むことができる。更に、ECG心拍センサ230は、脚センサ230cを更に含むことができる。実施形態では、連続血圧センサ240は、ユーザの腕の上の血圧カフを含む。
【0026】
ディスプレイ250は、ユーザがECP治療をトリガすること、ユーザ情報、システム設定値を入力することなどのような本発明のECPデバイス10と対話することを可能にする好ましくはタッチ画面である。ユーザ情報は、性別、身長、体重、BMI、年齢などのようなユーザの生体測定情報を含むことができる。入力情報は、ECP治療のタイプ及び治療の期間、最高圧及び/又は最低圧のようなシステム設定値を含むことができる。情報の出力は、治療のタイプ、治療の進行状況などを含むことができる。
【0027】
実施形態では、図8及び図9に示すように、本発明のECPデバイス10は、バルブ及び流体システム300を更に含み、このシステムは、ECPコントローラシステム200と協働してバルブ及び流体システム300並びにカフシステム100内の圧力を含む本発明のECPデバイス10内の圧力を制御する。実施形態では、バルブ及び流体システム300は、1又は2以上の空気袋バルブ310と、調節後空気区画320と、空気圧比調節バルブ330と、空気圧縮機空気区画340と、空気圧縮機350と、空気圧から電気信号への変換器360と、空気入口バルブ370と、空気入口375と、一連の大型空気路380及び小型空気路390及び395とを含む。実施形態では、負圧を確立するのに使用される大型空気路380は、約1cmから10cmの直径を有し、小型空気路390及び395は、約0.4cmから2cmの直径を有する。
【0028】
実施形態では、空気袋バルブ310の各々は、ECP制御システム100から受信した電子信号に基づいてカフシステム100の圧力を加減するように構成されたバルブを好ましくは含む。実施形態では、空気袋バルブ310はソレノイドバルブである。調節後空気区画320は、空気袋110及び170を加圧するための加圧空気を貯留する機能を有する空気区画を好ましくは含む。実施形態では、空気区画320内の圧力は、150mmHgから350mmHg、200mmHgから300mmHg、又は約250mmHgである。各バルブ310a及び310bは、バルブの一方の側で空気路390を通して調節後空気区画320にかつ他方の側で空気路395を通して螺旋空気袋110及び補助空気袋170に接続される。更に、各バルブ310は、空気路380を通して空気入口バルブ370及び圧縮機350に接続されて空気袋110及び170を減圧することを可能にする。更に、各バルブ310は、空気袋110及び170を加圧及び減圧するようにECPプロセッサ210がバルブ310を電子的にトリガすることができるように電子接続部260を通してECPプロセッサ210に電子的に接続される。
【0029】
実施形態では、空気圧縮機空気区画340は、空気圧比調節バルブ330を通して調節後空気区画320に接続する空気区画を含む。実施形態では、空気圧比調節バルブ330は、電子接続部260を通してECPプロセッサ210に更に接続する。このようにして、空気圧比調節バルブ330は、2つの空気リザーバ320及び340内の空気圧をECPプロセッサ210からの信号に基づいて維持するように構成される。実施形態では、調節後空気リザーバ320内の空気圧は、約150mmHgから350mmHgの間、200mmHgから300mmHgの間、又は約250mmHgに維持され、それに対して圧縮機空気リザーバ340内の空気圧は、約4kgfから8kgf、約5kgfから7kgf、又は約6kgfに維持される。
【0030】
実施形態では、空気圧縮機350は、空気区画340に空気を補充すること、及び空気袋110及び170を減圧することをそれぞれ容易にするために空気入口375に対して空気入口バルブ370が開いている時に空気路390に正圧、及び空気入口バルブ370が閉じている時に空気路380に負圧を供給するように構成された空気圧縮機を含む。実施形態では、空気圧縮機350は、約130L/mの流束で約8kgfまでの圧力時に約1700rpmで作動する機能を有する。空気入口バルブ370は、一端で空気路380を通して圧縮機350にかつ他端で空気入口375に接続するバルブを好ましくは含む。実施形態では、空気入口バルブ370はソレノイドバルブを含む。
【0031】
最後に、変換器360は、各々が圧力を電気信号に変換する変換器を好ましくは含む。各変換器360は、それぞれ一方の側で空気路390を通して空気区画340及び320の一方に、更にECPコントローラプロセッサ210に好ましくは接続する。このようにして、バルブシステム300は、変換器360を通して空気圧情報をECPコントローラシステム200に送信するように構成される。上述のように、ECPコントローラシステム200が、変換器360a及び360bからの空気圧情報に基づいてバルブ330及び370、及び空気圧縮機350を制御するための電子信号を送るように構成されるように、ECPコントローラプロセッサ210は、ソレノイドバルブ310、空気圧比調節バルブ330、空気入口バルブ370、及び空気圧縮機350に接続される。
【0032】
実施形態では、ECPプロセッサ210がバルブ310に信号を送ると、バルブ310は、空気袋110及び170を調節後空気区画320に接続することによって空気袋110及び170を加圧し、加圧空気を空気袋110及び170に供給する。空気袋110及び170を減圧するために、ECPプロセッサ210は、バルブ310が空気袋110及び170を空気区画320から切断し、代わりに空気路380に接続する初期状態に戻るようにバルブ310へのあらゆる信号を停止する。更に、ECPプロセッサ210は、空気袋110及び170を急速に減圧するために圧縮機350が空気路380内に負圧を確立することができるように空気入口を閉じるための信号を空気入口バルブ370に送る。実施形態では、空気路380内の負の空気圧は、約80mmHgから120mmHg、約90mmHgから110mmHg、又は約100mmHgである。
【0033】
図10は、本発明1000の外部逆脈動を与える方法を示す図である。本発明の方法は、発作、痴呆、及び動脈硬化のような疾患を治療するために提供することができるが、単に血流を一般的に改善するために提供することができる。図11に示すように、段階1100では、本発明の方法は、開始するようにトリガされる。一実施形態では、段階1100は、ユーザのような人間が対話型ディスプレイ250を通して手動でトリガすることができる。別の実施形態では、段階1100は、心拍数センサ220、230、240からの信号によって自動的にトリガすることができる。次いで、段階1105では、ユーザの心拍数のRピークを決定するために、ECPプロセッサ210が、ユーザによってディスプレイを通して入力されたもの、並びにECG220、PPG230、連続血圧センサ240等によって入力されたもの等であるがこれらに限定されない様々な生体測定データを読み取って分析する。段階1105で当業者に公知の様々な方法を使用してRピークが決定されると、段階1110では、ECPプロセッサ210が、Rピークからの約10msから約250msの間、約50msから約200msの間、又は約100msから約150msの間の遅延を導入する。遅延中に、段階1115では、バルブ及び流体システム300内で追加の空気を必要とするか否かの決定が行われる。一実施形態では、段階1115は、空気区画320及び340に関する空気圧情報をそれぞれ供給する変換器360a及び360bからの空気圧信号に基づいてECPプロセッサ210によって実施される。段階1115では、空気区画320内及び340内のいずれにも追加の空気が必要とされないと決定された場合に、例えば、空気区画320及び340内の圧力が約150mmHgから350mmHgの間、200mmHgから約300mmHgの間、又は約250mmHgに維持されており、従って、追加の空気が必要とされない場合に、段階1120では、ECPプロセッサ210は、補助空気袋170を空気区画320に接続して補助空気袋170を加圧するようにバルブ310bをトリガする。更に、段階1220では、ECPプロセッサ210は、螺旋空気袋110を空気区画320に接続して空気区画320からの空気を使用して螺旋空気袋110を加圧するようにバルブ310aをトリガする。実施形態では、段階1120は、段階1220の前に実施され、約30msから70ms、約40msから60ms、又は約50msの遅延が段階1120と1220の間に設定される。
【0034】
段階1125では、補助空気袋170の加圧期間の終了点に達する。実施形態では、加圧期間は、約200msから600ms、250msから550ms、300msから500ms、又は約400msである。実施形態では、加圧期間は、心拍数に基づいて下記の表に従って決定することができる。
【0035】
(表1)
【0036】
実施形態では、ECPプロセッサ210は、この期間の経過を追うことによって段階1125を実施する。次いで、段階1130では、補助空気袋170が減圧される。実施形態では、減圧は、ECPプロセッサ210が、空気区画320から空気袋170を切断し、それを空気路380に接続するための信号をバルブ310bに送ること、及び空気入口バルブ370を閉じて空気圧縮機350が補助空気袋170の迅速な減圧を容易にするための負圧を空気路380内に確立することを可能にするための信号を送ることによって実施される。次いで、段階1135では、補助空気袋170の減圧期間の終了点に達する。実施形態では、ECPプロセッサ210は、この期間を計数し続けることによって段階1135を実施する。段階1140では、補助空気袋170の減圧処理が停止され、治療効果が完全には達成されたかった場合に、処理は、段階1105から繰り返される。
【0037】
同様に、螺旋空気袋110内の空気圧を事前設定期間にわたって維持した後に、段階1225で螺旋カフ105の加圧期間が終了する。実施形態では、加圧期間は、約200msから600ms、250msから550ms、300msから500ms、又は約400msである。別の実施形態では、螺旋空気袋110内の空気圧は、表1のユーザの心拍数から議論した段階1120と1220の間のいずれかの遅延設定値を差し引いたものに従って維持される。実施形態では、ECPプロセッサ210は、この期間の経過を追うことによって段階1225を実施する。段階1230では、螺旋空気袋110が減圧される。実施形態では、減圧は、空気区画320から螺旋空気袋110を切断し、それを空気路380に接続し、圧縮機350が作動している間に空気入口バルブ370を閉じることによってこの空気路内に空気袋を減圧するための負圧を確立するための信号をECPプロセッサ210がバルブ310aに送ることによって実施される。次いで、段階1235では、螺旋空気袋110の減圧期間の終了点に達する。実施形態では、ECPプロセッサ210は、この期間の経過を追うことによって段階1235を実施する。段階1240では、螺旋空気袋110の減圧処理は停止され、処理は、段階1105から繰り返される。
【0038】
実施形態では、空気袋110と170がほぼ同じ時間に減圧されるように、段階1125と1225はほぼ同じ時間に実施され、段階1130と1230もほぼ同じ時間に実施される。別の実施形態では、補助空気袋170が螺旋空気袋110の前に減圧されるように、段階1125は段階1225の前に実施され、段階1130は段階1230の前に実施される。この実施形態では、遅延は、約20msから100ms、30msから90ms、40msから80ms、又は約60msである。別の実施形態では、補助空気袋170が螺旋空気袋110の後に減圧されるように、段階1125は段階1225の後に実施され、段階1130は段階1230の後に実施される。この実施形態では、遅延は、約20msから100ms、30msから90ms、40msから80ms、又は約60msである。
【0039】
段階1115で空気区画320及び340内に空気補充を必要とするとECPプロセッサ210が決定した場合に、段階1120から1140及び1220から段階1240が説明した通りに実施されるが、システムの中に追加の空気を追加するために段階1305から1315も実施される。特に段階1305では、ECPプロセッサ210は、空気入口375を開き、空気を空気区画340に補充するために圧縮機350が作動していることを保証するための信号をバルブ370に伝達する。従って、空気圧比調節バルブ330は、空気を空気区画320に追加する。段階1310でシステムが空気補充期間の終了点に達する時に、ECPプロセッサ210は、段階1310での空気補充期間の経過を追う。段階1315では、ECPプロセッサ210は、空気をバルブシステムの中に追加することを停止するために空気入口バルブ370を閉じるための信号を送る。実施形態では、空気袋減圧期間は、空気路380内に負圧を確立することができるようにバルブ370を閉じることを必要とするので、段階1120及び段階1220の前又は段階1140及び段階1240が完了した後に、段階1305から段階1315は、段階1120から段階1125及び段階1220から段階1225と同時に実施される。
【0040】
図11は、本発明1000の方法をグラフィックに例示している。図11に示すように、段階1105でRピークが検出され、段階1110で約10msから約250msの間、約50msから約200msの間、又は約100msから約150msの間の遅延が設定され、その後に、段階1120で補助空気袋170が加圧される。補助空気袋170が加圧された後に、約50msの遅延の後に段階1220で螺旋空気袋110が加圧される。図11では、段階1115で空気の補充を必要とすると決定された場合に、この空気補充は、段階1305から段階1315で約50msから約100msにわたる補助空気袋170の加圧の開始とほぼ同じ時間に行われることも分る。その後に、段階1125から段階1140及び段階1225から段階1240で補助空気袋170と螺旋空気袋110の両方がほぼ同じ時間に減圧される。
【0041】
図12は、本発明のECPデバイス10の治療効果を示している。図12aに見ることができるように、治療の前では、ユーザのPPG信号は弱い。治療中に、図12bに示すように、ユーザのPPG信号は、かなり規則的であり、一定の強度に維持される。
【0042】
上述の概説と上述の詳細説明の両方が例示的かつ説明的なものにすぎず、主張する本発明の限定ではないことは理解されるものとする。
【0043】
上記及び他の変更を上述の詳細説明を踏まえて本発明の技術に加えることができる。一般的に、以下の開示に使用する用語は、上述の詳細説明がそのような用語を明確に定めない限り、本発明の技術を本明細書に開示した特定の実施形態に限定するものと解釈すべきではない。従って、本発明の技術の実際の範囲は、開示した実施形態と、本発明の技術を応用又は実施する全ての同等の方法とを包含する。
【符号の説明】
【0044】
110 螺旋空気袋
170 補助空気袋
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
【国際調査報告】