(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-09
(54)【発明の名称】対角対向隆起コーナと対角対向沈下コーナとを有する両側式切削インサート、及び回転切削工具
(51)【国際特許分類】
B23C 5/20 20060101AFI20220426BHJP
B23C 5/10 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
B23C5/20
B23C5/10 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545705
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 IL2020050224
(87)【国際公開番号】W WO2020194288
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アタール,オサマ
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022KK03
3C022KK12
3C022KK23
3C022KK25
3C022LL01
3C022LL02
3C022LL03
(57)【要約】
切削インサート(20)は、外周側面(24)によって相互接続される2つの対向する端面(22a、22b)を有し、外周側面は、2つの主側面(26a、26b)と2つの副側面(28a、28b)とを有する。主縁部(30)は、主側面と端面との交線に形成される。各端面は、中央平面に対し、2つの対角対向隆起コーナ(RC)と2つの対角対向沈下コーナ(LC)とを有し、各隆起コーナは、第1の主点(NJ1)で主縁部の1つに隣接し、各沈下コーナは、第3の主点(NJ3)で主縁部の1つに隣接する。主側面図において、各主縁部は、第1の主点及び第3の主点を含む付随する第1の仮想直線(LM1)と、第1の仮想直線の一方の側に位置する隆起縁部分(62)と、を有する。切削インサートは、回転切削工具(82)内に取り外し可能に固着される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサート(20)であって、前記切削インサート(20)は、
外周側面(24)によって相互接続される2つの対向する端面(22a、22b)と、前記対向する端面(22a、22b)を通過する第1のインサート軸(A1)と、を備え、
各前記端面(22a、22b)は、中心凹面(58)を有し、
前記外周側面(24)は、2つの対向する主側面(26a、26b)と2つの副側面(28a、28b)とを有し、
主縁部(30)は、各前記主側面(26a、26b)と各前記端面(22a、22b)との交線に形成され、
主切れ刃(34)は、各前記主縁部(30)の少なくとも一部分に沿って形成され、
副縁部(32)は、各前記副側面(28a、28b)と各前記端面(22a、22b)との交線に形成され、
副切れ刃(36)は、各前記副縁部(32)の少なくとも一部分に沿って形成され、
中央平面(M)は、前記第1のインサート軸(A1)に直交し、前記外周側面(24)に交差し、インサート境界線(BL)を形成し、
各前記端面(22a、22b)は、前記中央平面(M)に対し、2つの対角対向隆起コーナ(RC)と、2つの対角対向沈下コーナ(LC)と、を有し、
各前記隆起コーナ(RC)は、凸状に湾曲する隆起コーナ縁部(46)を有し、
前記隆起コーナ縁部(46)は、前記外周側面(24)と、付随する端面(22a、22b)と、の交線に形成され、
各前記隆起コーナ縁部(46)は、第1の主点(NJ1)で前記主縁部(30)の1つに隣接し、
隆起コーナ切れ刃(50)は、各前記隆起コーナ縁部(46)の少なくとも一部分に沿って形成され、
各前記沈下コーナ(LC)は、凸状に湾曲する沈下コーナ縁部(48)を有し、
前記沈下コーナ縁部(48)は、前記外周側面(24)と、付随する端面(22a、22b)と、の交線に形成され、
各前記沈下コーナ縁部(48)は、第3の主点(NJ3)で前記主縁部(30)の1つに隣接し、
沈下コーナ切れ刃(52)は、各前記沈下コーナ縁部(48)の少なくとも一部分に沿って形成され、
前記切削インサート(20)の主側面図において、
各前記主縁部(30)の前記第1の主点(NJ1)及び前記第3の主点(NJ3)は、前記中央平面(M)に平行に測定される主辺長(SL)を画定し、
前記主辺長(SL)は、等しい第1の長さ部分(L1)、第2の長さ部分(L2)及び第3の長さ部分(L3)に分割され、
前記第1の長さ部分(L1)は、前記第1の主点(NJ1)によって境界を定められ、
前記第3の長さ部分(L3)は、前記第3の主点(NJ3)によって境界を定められ、
各前記主縁部(30)は、付随する第1の仮想直線(LM1)を有し、
前記第1の仮想直線(LM1)は、第1の主点(NJ1)及び第3の主点(NJ3)と隆起縁部分(62)とを含み、
前記隆起縁部分(62)は、前記第1の仮想直線(LM1)の一方の側に位置し、
前記インサート境界線(BL)は、前記第1の仮想直線(LM1)のもう一方の側に位置し、
各前記隆起縁部分(62)は、第2の主点(NJ2)を有し、
前記第2の主点(NJ2)は、(i)付随する前記第1の仮想直線(LM1)から最も遠く、(ii)付随する前記主辺長(SL)の前記第3の長さ部分(L3)内に位置する、切削インサート(20)。
【請求項2】
前記切削インサート(20)の主側面図において、
各前記主縁部(30)は、付随する第2の仮想直線(LM2)を有し、
前記第2の仮想直線(LM2)は、前記第1の主点(NJ1)及び前記第2の主点(NJ2)を含み、突出交点(NI)で前記副切れ刃(36)の1つに交差し、
各前記突出交点(NI)は、隣接する前記第3の主点(NJ3)よりも、前記中央平面(M)から遠くに位置する、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項3】
各前記端面(22a、22b)は、付随する前記副切れ刃(36)のそれぞれに直に隣接する副ランド面(40)を含み、
前記2つの副側面(26a、26b)の間に位置し、前記突出交点(NI)の1つを含む第2の平面(P2)で取った断面において、前記隣接する副ランド面(40)は、隣接する副側面(28a、28b)と共に内側副切削角度(α1)を形成し、
前記副切削角度(α1)は、少なくとも65度、多くとも115度である、請求項1又は2に記載の切削インサート(20)。
【請求項4】
各前記突出交点(NI)は、前記中央平面(M)から第1の高さ(H1)で位置し、
各前記第3の主点(NJ3)は、前記中央平面(M)から第2の高さ(H2)で位置し、
前記第1の高さ(H1)は、前記第2の高さ(H2)の少なくとも120パーセントである、請求項2又は3に記載の切削インサート(20)。
【請求項5】
前記第1の高さ(H1)は、前記第2の高さ(H2)の220パーセント以下である、請求項4に記載の切削インサート(20)。
【請求項6】
前記2つの主側面(26a、26b)の間に位置し、前記副切れ刃(36)の1つに交差するいずれかの平面で取った断面において、前記隣接する副ランド面(40)は、前記隣接する副側面(28a、28b)と共に内側副切削角度(α1)を形成し、
前記副切削角度(α1)は、少なくとも65度、多くとも115度である、請求項1~5のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項7】
前記切削インサート(20)の端面図において、各前記副縁部(32)は、前記インサート境界線(BL)と一致するか、又は、前記インサート境界線(BL)の外側に位置する、請求項1~6のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項8】
前記各副切れ刃(36)は、付随する前記副縁部(32)の全長を延在させる、請求項1~7のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項9】
前記外周側面(24)は、4つの凸状湾曲コーナ面(42)を含み、
前記凸状湾曲コーナ面(42)は、前記2つの主側面(26a、26b)及び前記2つの副側面(28a、28b)と交互である、請求項1~8のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項10】
前記中央平面(M)で取られ、前記4つのコーナ面(42)に交差する断面において、
前記4つのコーナ面(42)は、4つのコーナ点(NC)で前記2つの副側面(28a、28b)に隣接し、
前記4つのコーナ点(NC)は、第1の対の仮想平行辺(S1)及び第2の対の仮想平行辺(S2)を有する仮想平行四辺形(PL)を画定し、
前記第1の対の仮想平行辺(S1)は、各前記主縁部(30)の主辺長(SL)に直交する、請求項9に記載の切削インサート(20)。
【請求項11】
前記切削インサート(20)の副側面図において、各前記副切れ刃(36)は、
付随する前記隆起コーナ縁部(30)に隣接するワイピング縁部分(66)と、
付随する沈下コーナ縁部(34)に隣接するランピング縁部分(68)と、
前記ワイピング縁部分(66)と前記ランピング縁部分(68)との間に延在する凸形状接合縁部分(70)と、
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項12】
前記切削インサート(20)の副側面図において、各前記ランピング縁部分(68)は、
付随する前記沈下コーナ縁部(48)に隣接する第1のランピング縁部小部分(68a)と、
付随する前記接合縁部分(70)に隣接する第3のランピング副部分(68c)と、
前記第1のランピング縁部小部分(68a)と前記第3のランピング縁部小部分(68c)との間に延在する第2の凹形状ランピング縁部小部分(68b)と、
を含む、請求項11に記載の切削インサート(20)。
【請求項13】
各前記端面(22a、22b)は、各前記第1のランピング縁部小部分(68a)に隣接する副ランプ面(72)を含み、
前記2つの主側面(26a、26b)の間に位置し、前記第1のランピング縁部小部分(68a)の1つに交差する第5の平面(P5)で取った断面において、前記隣接する副ランプ面(72)は、前記中央平面(M)から離れて傾斜する一方で、前記第1のランピング縁部小部分(68a)の1つから離れて延在する、請求項12に記載の切削インサート(20)。
【請求項14】
前記2つの主側面(26a、26b)の間に位置し、前記第1のランピング縁部小部分(68a)の1つに交差するいずれかの平面で取った断面において、前記隣接する副ランプ面(72)は、前記中央平面(M)から離れて傾斜する一方で、前記第1のランピング縁部小部分(68a)の1つから離れて延在する、請求項13に記載の切削インサート(20)。
【請求項15】
前記切削インサート(20)は、前記第1のインサート軸(A1)回りに回転対称を呈する、請求項1~14のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項16】
第2のインサート軸(A2)は、前記2つの主側面(26a、26b)を通過し、
インサート貫通穴(44)は、前記第2のインサート軸(A2)に沿って延在し、前記2つの主側面(26a、26b)に交差する、請求項1~15のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項17】
前記切削インサート(20)は、前記第2のインサート軸(A2)回りに回転対称を呈する、請求項16に記載の切削インサート(20)。
【請求項18】
各前記隆起縁部分(62)は、付随する前記主縁部(30)の第3の主点(NJ3)まで延在しない、請求項1~17のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項19】
回転方向(RT)で工具軸(AT)回りに回転可能な回転切削工具(82)であって、
少なくとも1つのインサート受入れポケット(86)を有する切削本体(84)と、
前記インサート受入れポケット(86)内に取り外し可能に固着される請求項1~18のいずれか1項に記載の少なくとも1つの切削インサート(20)と、
を備える、回転切削工具(82)。
【請求項20】
前記工具軸(AT)は、前方向(DF)-後方向(DR)を画定し、
各前記インサート受入れポケット(86)は、前記切削本体(84)の前方端面(88)で開口し、
前記各副切れ刃(36)は、付随する前記副縁部(32)の全長を延在させ、
各前記切削インサート(20)の全有効副切れ刃(36)は、前記前方端面(88)の軸方向前方に位置する、請求項19に記載の回転切削工具(82)。
【請求項21】
各前記切削インサート(20)の有効主切れ刃(34)は、前記工具軸(AT)に対して正の軸方向すくい角(δ1)を形成する、請求項19又は20に記載の回転切削工具(82)。
【請求項22】
前記インサート受入れポケット(86)は、
前記回転方向(RT)で面する座面(92)と、
前記座面(92)に横断する径方向外向き第1のポケット壁(94)と、
前記座面(92)に横断する軸方向前向き第2のポケット壁(96)と、を有し、
前記2つの端面(22a、22b)の1つは、前記座面(92)と接触し、
前記2つの主側面(26a、26b)の1つは、前記第1のポケット壁(94)と接触し、
前記2つの副側面(28a、28b)の1つは、前記第2のポケット壁(96)と接触する、請求項19~21のいずれか1項に記載の回転切削工具(82)。
【請求項23】
前記座面(92)は、穴軸(AB)に沿って延在するねじ穴(98)を含み、
第2のインサート軸(A2)に沿って延在するインサート貫通穴(44)は、前記インサートの2つの主側面(26a、26b)に交差し、
締付けねじ(100)は、前記貫通穴(44)を通過し、前記ねじ穴(98)を螺合する、請求項22に記載の回転切削工具(82)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転切削工具、及び対角対向隆起コーナと対角対向沈下コーナとを有する両側式切削インサートに関する。本発明の切削工具及び切削インサートは、フライス作業全般、より詳細にはランピング作業で使用するためのものである。
【背景技術】
【0002】
フライス作業で使用される切削工具の分野において、両側式切削インサートに対するいくつかの例があり、こうした両側式切削インサートは、対角対向隆起コーナと対角対向沈下コーナとを有し、ランピング作業の実施に使用される。
【0003】
米国特許第8,449,230号明細書は、2つの対向する端面と、2つの対向端面の間に延在する外周側面と、を含む接線方向切削インサートを開示している。外周側面は、2つの対向する主側面を含み、主側面は、コーナ側面を介して2つの対向する副側面に接続される。外周縁部は、各端面と外周側面との交線に形成される。各端面は、隆起コーナ切れ刃が付随する2つの隆起コーナと、沈下コーナ切れ刃が付随する2つの沈下コーナと、を有する。コーナ側面のそれぞれは、付随する沈下コーナ切れ刃のための逃げ面として働く凹形間隙陥没部を含む。凹形間隙陥没部は、反対端面に付随する隆起コーナに交差しないが、隆起コーナの方向で、付随する沈下コーナ切れ刃から延在する。
【0004】
米国特許第9,649,701号明細書は、側面の少なくとも1つの一対の辺稜部分のそれぞれの上に形成された切れ刃を含む切削インサート及び刃先交換式インサート型切削工具を開示しており、インサート主本体は、この側面の中心を通過する対称線に対して180度回転対称である、表-裏反転対称形状で形成される。切れ刃に隣接する逃げ面は、一対の多角形面のそれぞれの近傍で側面上に形成され、逃げ面のそれぞれは、ねじれ面状に形成され、切れ刃が上に形成される一対の辺稜部分は、一方の辺稜部分の第2のコーナ部分がもう一方の辺稜部分の外側に突出するように互いに交差する。
【0005】
米国特許第10,112,242号明細書は、両側刃先交換式非正角ランピング・インサートを開示しており、このランピング・インサートは、3次元ユークリッド空間の第1の軸、第2の軸及び第3の軸のそれぞれの回りに180度回転対称を有する。ランピング・インサートは、2つの第1の面と、2つの第1の面の間に延在するインサート外周面と、を含む。ランピング・インサートは、4つの切削部分を含み、それぞれ、第1の軸に平行な図において、主切れ刃と、コーナ切れ刃を介して主切れ刃に横断的に接続されるワイパ縁部と、ワイパ縁部から横断的に延在するランピング縁部と、を含む。各外周面は、4つの非正角ランピング逃げ面を含み、ランピング逃げ面のそれぞれは、それぞれのランピング縁部から、第2の軸及び第3の軸によって画定される第1の中央平面に向かって延在するが、第1の中央平面を越えない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一目的は、ランピング作業の実施に適している、改善された両側式切削インサートを提供することである。
【0007】
本発明の一目的は、ランピング作業のみならず、正角端面削り作業の実施に適している、改善された両側式切削インサートも提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、ランピング作業の間、チップを排出するのに小型で効率的な手段を有する、改善された両側式切削インサートを提供することでもある。
【0009】
本発明によれば、切削インサートを提供し、切削インサートは、
外周側面よって相互接続される2つの対向する端面と、対向する端面を通過するインサート軸と、を備え、
各端面は、中心凹面を有し、
外周側面は、2つの対向する主側面と2つの副側面とを有し、
主縁部は、各主側面と各端面との交線に形成され、主切れ刃は、各主縁部の少なくとも一部分に沿って形成され、
副縁部は、各副側面と各端面との交線に形成され、副切れ刃は、各副縁部の少なくとも一部分に沿って形成され、
中央平面は、第1のインサート軸に直交し、外周側面に交差し、インサート境界線を形成し、
各端面は、中央平面に対し、2つの対角対向隆起コーナと、2つの対角対向沈下コーナとを有し、
各隆起コーナは、凸状に湾曲する隆起コーナ縁部を有し、隆起コーナ縁部は、外周側面と、付随する端面と、の交線に形成され、各隆起コーナ縁部は、第1の主点で主縁部の1つに隣接し、隆起コーナ切れ刃は、各隆起コーナ縁部の少なくとも一部分に沿って形成され、
各沈下コーナは、凸状に湾曲する沈下コーナ縁部を有し、沈下コーナ縁部は、外周側面と、付随する端面と、の交線に形成され、各沈下コーナ縁部は、第3の主点で主縁部の1つに隣接し、沈下コーナ切れ刃は、各沈下コーナ縁部の少なくとも一部分に沿って形成され、
切削インサートの主側面図において、
各主縁部の第1の主点及び第3の主点は、中央平面に平行に測定される主辺長を画定し、主辺長は、等しい第1の長さ部分、第2の長さ部分及び第3の長さ部分に分割され、第1の長さ部分は、第1の主点によって境界を定められ、第3の長さ部分は、第3の主点によって境界を定められ、
各主縁部は、付随する第1の仮想直線を有し、第1の仮想直線は、第1の主点及び第3の主点と隆起縁部分とを含み、隆起縁部分は、第1の仮想直線の一方の側に位置し、インサート境界線は、第1の仮想直線のもう一方の側に位置し、
各隆起縁部分は、第2の主点を有し、第2の主点は、(i)付随する第1の仮想直線から最も遠く、(ii)付随する主辺長の第3の長さ部分内に位置する。
【0010】
また、本発明によれば、回転方向で工具軸回りに回転可能な回転切削工具を提供し、回転切削工具は、少なくとも1つのインサート受入れポケットを有する切削本体と、上記で説明した種類の、インサート受入れポケット内に取り外し可能に固着される少なくとも1つの切削インサートと、を備える。
【0011】
次に、より良好に理解するため、単に例として、添付の図面を参照しながら本発明を説明する。図面において、一点鎖線は、部材を部分的に見るための切断部の境界を表す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による切削インサートの斜視図である。
【
図3】
図1に示す切削インサートの主側面図である。
【
図4】
図1に示す切削インサートの副側面図である。
【
図5】
図3に示す切削インサートの線V-Vに沿って取った断面図である。
【
図6】
図3に示す切削インサートの線VI-VIに沿って取った断面図である。
【
図7】
図4に示す切削インサートの線VII-VIIに沿って取った断面図である。
【
図8】
図2に示す切削インサートの線VIII-VIIIに沿って取った断面図である。
【
図9】
図2に示す切削インサートの線IX-IXに沿って取った断面図である。
【
図10】
図4に示す切削インサートの線X-Xに沿って取った断面図である。
【
図11】本発明のいくつかの実施形態による切削工具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~
図4に示すように、本発明の一態様は、切削インサート20に関し、切削インサート20は、外周側面24によって相互接続される2つの対向する端面22a、22bと、対向する端面22a、22bを通過する第1のインサート軸A1と、を有する。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート20は、第1のインサート軸A1回りに刃先交換可能とすることができる。
【0015】
また、本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート20は、第1のインサート軸A1回りに回転対称を呈することができる。
【0016】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート20は、好ましくは、炭化タングステン等の超硬合金の成形プレス及び焼結によって製造することができ、被覆しても、被覆しなくてもよい。
【0017】
図1及び
図2に示すように、外周側面24は、2つの対向する主側面26a、26bと2つの副側面28a、28bとを有し、主縁部30は、各主側面26a、26bと各端面22a、22bとの交線に形成され、副縁部32は、各副側面28a、28bと各端面22a、22bとの交線に形成される。
【0018】
主切れ刃34は、各主縁部30の少なくとも一部分に沿って形成され、副切れ刃36は、各副縁部32の少なくとも一部分に沿って形成されることを了解されたい。
【0019】
切れ刃が両端面22a、22bに付随するため、切削インサート20を「両端式」又は「両側式」切削インサートと表し得ることを了解されたい。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、各端面22a、22bは、各端面22a、22bに付随する主切れ刃34のそれぞれに直に隣接する主ランド面38を含むことができる。
【0021】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各端面22a、22bは、各端面22a、22bに付随する副切れ刃36のそれぞれに直に隣接する副ランド面40を含むことができる。
【0022】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、外周側面24は、4つの凸状湾曲コーナ面42を含むことができ、凸状湾曲コーナ面42は、2つの主側面26a、26b及び2つの副側面28a、28bと交互である。
【0023】
図1及び
図2に示すように、第2のインサート軸A2は、2つの主側面26a、26bを通過する(より正確には、主側面によって画定される平面を通過する)。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、インサート貫通穴44は、第2のインサート軸A2に沿って延在し、2つの主側面26a、26bに交差することができる。
【0025】
第2のインサート軸A2は、第1のインサート軸A1に直交し、第1のインサート軸A1に交差することができる。
【0026】
インサート貫通穴44が2つの主側面26a、26bに交差するため、切削インサート20は、当技術分野で公知であるような「接線方向」で回転切削工具内に保持され、したがって、「接線方向」切削インサートと表し得ることを了解されたい。
【0027】
図1~
図4に示すように、第1のインサート軸A1に直交する中央平面Mは、外周側面24に交差し、インサート境界線BLを形成し、各端面22a、22bは、中央平面Mに対して2つの対角対向隆起コーナRCと、2つの対角対向沈下コーナLCと、を有する。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のインサート軸A2は、中央平面M内に含めることができる。
【0029】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各端面22a、22bに付随する2つの対角対向隆起コーナRCは、中央平面Mから等しい距離で位置することができる。
【0030】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート20は、第2のインサート軸A2回りに刃先交換可能とすることができる。
【0031】
また更に、本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート20は、第2のインサート軸A2回りに回転対称を呈することができる。
【0032】
図1及び
図2に示すように、各隆起コーナRCは、凸状に湾曲する隆起コーナ縁部46を有し、隆起コーナ縁部46は、外周側面24と外周側面24に付随する端面22a、22bとの交線に形成され、各沈下コーナLCは、凸状に湾曲する沈下コーナ縁部48を有し、沈下コーナ縁部48は、外周側面24と外周側面24に付随する端面22a、22bとの交線に形成される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、各隆起コーナ縁部46は、4つのコーナ面42の1つとコーナ面42に付随する端面22a、22bとの交線に形成することができ、各沈下コーナ縁部48は、4つのコーナ面42の1つとコーナ面42に付随する端面22a、22bとの交線に形成することができる。
【0034】
隆起コーナ切れ刃50は、各隆起コーナ縁部46の少なくとも一部分に沿って形成され、沈下コーナ切れ刃52は、各沈下コーナ縁部48の少なくとも一部分に沿って形成されることを了解されたい。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態では、各隆起コーナ切れ刃50は、隆起コーナ切れ刃50に付随する隆起コーナ縁部46の全長を延在させることができる。
【0036】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各端面22a、22bは、隆起コーナ・ランド面56を含むことができ、隆起コーナ・ランド面56は、各端面22a、22bに付随する隆起コーナ切れ刃50のそれぞれに直に隣接する。
【0037】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、各端面22a、22bは、沈下コーナ・ランド面54を含むことができ、沈下コーナ・ランド面54は、各端面22a、22bに付随する沈下コーナ切れ刃52のそれぞれに直に隣接する。
【0038】
図2及び
図4に示すように、各沈下コーナ縁部48は、第1の副点NN1で副縁部32の1つに隣接することができ、各隆起コーナ縁部46は、第2の副点NN2で副縁部32の1つに隣接することができる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、各副切れ刃36は、各副切れ刃36に付随する副縁部32の全長を延在させることができる。
【0040】
また、本発明のいくつかの実施形態では、
図4に示すように、各副縁部32は、中央平面Mに向かって、副縁部32に付随する隆起コーナ縁部46から副縁部32に付随する沈下コーナ縁部48まで連続的に傾斜することができる。
【0041】
図2に示すように、切削インサート20の端面図において、各副縁部32は、副縁部32に隣接する隆起コーナ縁部46に接線方向であり、副縁部32に隣接する沈下コーナ縁部48に接線方向とすることができる。
【0042】
図1及び
図2に示すように、各端面22a、22bは、中心凹面58を有する。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、各中心凹面58は、平坦であり、中央平面Mに平行とすることができる。
【0044】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各沈下コーナ縁部48は、沈下コーナ縁部48に付随する中心凹面58よりも、完全に中央平面Mの近くに位置することができる。
【0045】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、各隆起コーナ縁部46は、隆起コーナ縁部46に付随する中心凹面58よりも、完全に中央平面Mの近くに位置することができる。
【0046】
図3に示すように、各隆起コーナ縁部46は、第1の主点NJ1で主縁部30の1つに隣接し、各沈下コーナ縁部48は、第3の主点NJ3で主縁部30の1つに隣接する。
【0047】
また、
図3に示すように、切削インサート20の主側面図において、各主縁部30の第1の主点NJ1及び第3の主点NJ3は、中央平面Mに平行に測定される主辺長SLを画定し、主辺長SLは、等しい第1の長さ部分L1、第2の長さ部分L2及び第3の長さ部分L3に分割され、第1の長さ部分L1は、第1の主点NJ1によって境界を定められ、第3の長さ部分L3は、第3の主点NJ3によって境界を定められる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態では、各主切れ刃34は、主切れ刃34に付随する第1の長さ部分L1及び第2の長さ部分L2の少なくとも全範囲を延在させることができる。
【0049】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各端面22a、22bは、各端面22a、22bに付随する主切れ刃34のそれぞれに隣接する主すくい面60を含むことができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、各主すくい面60は、主すくい面60に付随する主ランド面38によって、主すくい面60に付随する主切れ刃34から離間し得ることを了解されたい。
【0051】
図3に示すように、切削インサート20の主側面図において、各主縁部30は、付随する第1の仮想直線LM1を有し、第1の仮想直線LM1は、第1の主点NJ1及び第3の主点NJ3並びに隆起縁部分62を含む。隆起縁部分62は、第1の仮想直線LM1の一方の側に位置する一方で、インサート境界線BLは、第1の仮想直線LM1のもう一方の側に位置する。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、各隆起縁部分62は、付随する主縁部30の第1の主点NJ1まで延在することができる。
【0053】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各隆起縁部分62は、付随する主縁部30の第3の主点NJ3まで延在することがない。
【0054】
図4に示すように、切削インサート20の副側面図において、各副縁部32の第1の副点NN1及び第2の副点NN2は、中央平面Mに平行に測定される副辺幅SWを画定する。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態では、各主縁部30の主辺長SLは、各副縁部32の副辺幅SWより大きい、即ち、SL>SWとすることができる。
【0056】
図5に示すように、中央平面Mで取られ、4つのコーナ面42に交差する断面図において、4つのコーナ面42は、4つのコーナ点NCで2つの副側面28a、28bに隣接する。
【0057】
また、
図5に示すように、4つのコーナ点NCは、仮想平行四辺形PLを画定することができ、仮想平行四辺形PLは、第1の対の仮想平行辺S1及び第2の対の仮想平行辺S2を有する。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の対の仮想平行辺S1は、各主縁部30の主辺長SLに直交することができる。
【0059】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の対の仮想平行辺S1及び第2の対の平行辺S2は、仮想長方形RTを画定することができる。第1の対の辺S1の要素は、第2の対の辺S2の要素よりも短い。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態では、中央平面Mに平行で、4つのコーナ面42に交差するいずれかの平面で取った断面において、4つのコーナ面42が2つの副側面28a、28bに隣接する4つの点は、第1の対の仮想平行辺及び第2の対の仮想平行辺を有する仮想平行四辺形を画定することができ、第1の対の仮想平行辺は、各主縁部30の主辺長SLに直交し得ることを了解されたい。
【0061】
図6に示すように、主切れ刃34の1つに交差し、付随する第2の長さ部分L2に沿って位置する第1の平面P1で取った断面において、隣接する主すくい面60は、中央平面Mに向かって傾斜する一方で、前記主切れ刃34の1つから離れて延在することができる。
【0062】
また、
図6に示すように、第1の平面P1で取った断面において、前記主切れ刃34の1つは、付随する中心凹面58よりも、中央平面Mから遠くに位置することができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態では、第1平面P1は、中央平面Mに直交することができる。
【0064】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の平面P1は、第2のインサート軸A2を含むことができる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態では、主切れ刃34の1つに交差し、付随する第2の長さ部分L2に沿って位置するいずれかの平面で取った断面において、隣接する主すくい面60は、中央平面Mに向かって傾斜する一方で、前記1つの主切れ刃34から離れて延在し得ることを了解されたい。
【0066】
本発明によれば、
図3に示すように、切削インサート20の主側面図において、各隆起縁部分62は、付随する第1の仮想直線LM1から最も遠く位置する第2の主点NJ2を有し、第2の主点NJ2は、付随する主辺長SLの第3の長さ部分L3内に位置する。
【0067】
上記段落における用語「最も遠い」の使用は、各第2の主点NJ2が、付随する隆起縁部分62に沿ったあらゆる他の点よりも、付随する第1の仮想直線LM1から遠くに位置することを指すことを了解されたい。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態では、各主切れ刃34は、付随する第1の主点NJ1から付随する第2の主点NJ2まで延在することができる。
【0069】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各主縁部30は、付随する第2の主点NJ2と、付随する第3の主点NJ3と、の間に延在する非切削小部分64を含むことができる。
【0070】
各主切れ刃34が、付随する主辺長SLの第3の長さ部分L3において、付随する第1の主点NJ1から付随する第2の主点NJ2まで延在する本発明の実施形態の場合、フライス作業は、有利には、大きな切削深さで実施し得ることを了解されたい。
【0071】
図3に示すように、切削インサート20の主側面図において、各主縁部30は、付随する第2の仮想直線LM2を有し、第2の仮想直線LM2は、第1の主点NJ1及び第2の主点NJ2を含み、突出交点NIで副切れ刃36の1つに交差する。
【0072】
図3と
図4との比較からわかるように、突出交点NIは、3次元空間内で第1の主点NJ1及び第2の主点NJ2と同一直線上にない。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態では、各端面22a、22bは、端面22a、22bに付随する2つの突出交点NIを有することができることを了解されたい。
【0074】
図7に示すように、2つの主側面26aと26bとの間に位置し(2つの主側面26aと26bとの間を通過し)、突出交点NIの1つを含む第2の平面P2で取った断面において、隣接する副ランド面40は、隣接する副側面28a、28bと共に内側副切削角度α1を形成することができ、副切削角度α1は、少なくとも65度、多くとも115度である、即ち、65°≦α1≦115°とすることができる。
【0075】
用語「内側角度」の使用は、明細書全体及び特許請求の範囲を通じて、2つの表面構成要素が上に形成される部材に対して内側に測定される構成要素の間の角度を指すことを了解されたい。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の平面P2は、中央平面Mに直交することができる。
【0077】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第2の平面P2は、2つの突出交点NIを含むことができる、即ち、1つの突出交点NIは、各端面22a、22bに付随する。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態では、2つの主側面26aと26bとの間に位置し(2つの主側面26aと26bとの間を通過し)、副切れ刃36の1つに交差する任意の平面で取った断面において、隣接する副ランド面40は、隣接する副側面28a、28bと共に内側副切削角度α1を形成することができ、副切削角度α1は、少なくとも65度、多くとも115度である、即ち、65°≦α1≦115°とし得ることを了解されたい。
【0079】
図8に示すように、第1のインサート軸A1に平行であり、沈下コーナ切れ刃52の1つに交差する第3の平面P3で取った断面において、隣接する沈下コーナ・ランド面54は、外周側面24と共に内側下切削角度α2を形成することができ、下切削角度α2は、少なくとも65度、多くとも115度である、即ち、65°≦α2≦115°とすることができる。
【0080】
図9に示すように、第1のインサート軸A1に平行であり、隆起コーナ切れ刃50の1つに交差する第4の平面P4で取った断面において、隣接する隆起コーナ・ランド面56は、外周側面24と共に内側隆起切削角度α3を形成することができ、隆起切削角度α3は、少なくとも65度、多くとも115度である、即ち、65°≦α3≦115°とすることができる。
【0081】
図4に示すように、切削インサート20の副側面図において、各副縁部32の副辺幅SWは、等しい第1の幅部分W1、第2の幅部分W2及び第3の幅部分W3に分割され、第1の幅部分W1は、第1の副点NN1によって境界を定められ、第3の幅部分W3は、第2の副点NN2によって境界を定められる。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態では、各突出交点NIは、付随する副辺幅SWの第2の幅部分W2内に位置することができる。
【0083】
図2に示すように、切削インサート20の端面図において、各突出交点NIは、インサート境界線BLと一致することができる。
【0084】
また、
図2に示すように、切削インサート20の端面図において、各副縁部32は、インサート境界線BLと一致することができる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態では、各副側面28a、28bは、中央平面Mに直交することができる。
【0086】
外側に傾斜した小面が副縁部32から離れて延在するのとは反対に、副側面28a、28bが中央平面Mに直交するように構成すると、切削インサート20を、より大きな範囲の柔軟性をもって工作物に向けることが可能である一方で、隣接する有効副切れ刃36に十分な隙間をもたらすことを了解されたい。
【0087】
例えば、各副側面28a、28bが横溝を含み、横溝が端面22aと22bとの間の中間に位置し、第2のインサート軸A2に平行に延在する本発明の他の実施形態(図示せず)では、切削インサート20の端面図において、各突出交点NIは、インサート境界線BLの外側に位置することができる。
【0088】
また、本発明の他の実施形態では、切削インサート20の端面図において、各副縁部32は、インサート境界線BLの外側に位置することができる。
【0089】
図3に示すように、各突出交点NIは、隣接する第3の主点NJ3よりも、中央平面Mから遠くに位置することができる。
【0090】
各突出交点NIを、隣接する第3の主点NJ3よりも中央平面Mから遠くに位置するように構成すると、付随する副切れ刃36の少なくとも一部分が、突出交点NIよりも中央平面Mの近くに位置し、切削インサート20をランピング作業の実施に適したものにする。ランピング作業は、ランプダウン又はランプ・フライス作業としても公知である。
【0091】
また、
図3に示すように、各突出交点NIは、中央平面Mから第1の高さH1に位置し、各第3の主点NJ3は、中央平面Mから第2の高さH2に位置する。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の高さH1は、第2の高さH2の少なくとも120パーセント、即ち、H1≧1.2×H2とすることができる。
【0093】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の高さH1は、好ましくは、第2の高さH2の少なくとも150パーセント、即ち、H1≧1.5×H2とすることができる。
【0094】
第1の高さH1が第2の高さH2の少なくとも150パーセントである本発明の実施形態の場合、切削インサート20は、増大したランプ角度でランピング作業を実施するために使用し得ることを了解されたい。
【0095】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、第1の高さH1は、第2の高さH2の少なくとも220パーセント以下、即ち、H1≦2.2×H2とすることができる。
【0096】
切削インサート20の副側面図において、
図4に示すように、各副切れ刃36は、付随する隆起コーナ縁部46に隣接するワイピング縁部分66と、付随する沈下コーナ縁部48に隣接するランピング縁部分68と、ワイピング縁部分66とランピング縁部分68との間に延在する凸形状接合縁部分70と、を含むことができる。
【0097】
図4に示すように、切削インサート20の副側面図において、各ワイピング縁部分66は、線形とすることができる。
【0098】
また、
図4に示すように、切削インサート20の副側面図において、各ランピング縁部分68は、付随する沈下コーナ縁部48に隣接する第1のランピング縁部小部分68aと、付随する接合縁部分70に隣接する第3のランピング小部分68cと、第1のランピング縁部小部分68aと第3のランピング縁部小部分68cとの間に延在する第2の凹形状ランピング縁部小部分68bと、を含むことができる。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態では、各突出交点NIは、付随する副切れ刃36の第3のランピング小部分68c内に位置することができる。
【0100】
各接合縁部分70は、「第4の」ランピング縁部小部分として働き、ランピング作業の実施に関与し得ることを了解されたい。
【0101】
各沈下コーナ切れ刃52も、ランピング作業の実施に関与し得ることを了解されたい。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態では、各第1のランピング縁部小部分68aは、付随する中心凹面58よりも、完全に中央平面Mの近くに位置することができる。
【0103】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各端面22a、22bは、各第1のランピング縁部小部分68aに隣接する副ランプ面72を含むことができる。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、例えば
図10に示されるように、各副ランプ面72は、付随する副ランド面40によって、付随する第1のランピング縁部小部分68aから離間し得ることを了解されたい。
【0105】
図10に示すように、2つの主側面26aと26bとの間に位置し(2つの主側面26aと26bとの間を通過し)、第1のランピング縁部小部分68aの1つに交差する第5の平面P5で取った断面において、隣接する副ランプ面72は、中央平面Mから離れて傾斜し得る一方で、前記第1のランピング縁部小部分68aの1つから離れて延在する。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態では、各副ランプ面72は、付随する中心凹面58に向かって傾斜し得る一方で、付随する第1のランピング縁部小部分68aから離れて延在する。
【0107】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第5の平面P5は、中央平面Mに直交することができる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態では、副ランプ面72は、有利には、ランピング作業の間にチップを排出するのに小型で効率的な手段をもたらすことを了解されたい。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態では、2つの主側面26aと26bとの間に位置し(2つの主側面26aと26bとの間を通過し)、第1のランピング縁部小部分68aの1つに交差する任意の平面で取った断面において、隣接する副ランプ面72は、中央平面Mから離れて傾斜し得る一方で、前記第1のランピング縁部小部分68aの1つから離れて延在することも了解されたい。
【0110】
図2及び
図4に示すように、各主側面26a、26bは、第1のインサート軸A1に直交する主外面74を有することができる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態では、2つの主外面74は、切削インサート20の最大インサート幅WMAXを画定することができる。
【0112】
図2及び
図4に示すように、第1のインサート軸A1を含む第6の平面P6(「長手方向インサート平面」)は、主側面26aと26bとの間の中間に位置し、2つの主外面74の間の中間にも位置することができる。
【0113】
第6の平面P6は、第1のインサート軸A1と第3のインサート軸A3との交線によって画定することができ、第3のインサート軸A3は、第1のインサート軸A1に直交し、副側面28a、28bを通過する。第3のインサート軸A3は、中央平面M内に含めることができる。第3のインサート軸A3は、第2のインサート軸A2に直交することができる。また、第2の平面P2及び第5の平面P5は、第6の平面P6に平行とすることができる。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態では、各副側面28a、28bは、第6の平面P6の両側に位置する2つの副小面76a、76bを含むことができる。
【0115】
また、本発明のいくつかの実施形態では、2つの副小面76a、76bは、内側副当接鈍角β1を形成することができ、副当接鈍角β1は、160度よりも大きい、即ち、β1>160°とすることができる。
【0116】
図1~
図4に示すように、各主側面26a、26bは、付随する主切れ刃34のそれぞれに直に隣接する主逃げ面78を含むことができる。
【0117】
図6に示すように、主切れ刃34の1つに交差する第7の平面P7で取った断面において、隣接する主逃げ面78は、中央平面Mに向かって傾斜する一方で、前記主切れ刃34の1つから離れて延在することができる。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態では、第7の平面P7は、第6の平面P6に直交することができる。
【0119】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第7の平面P7は、第1の平面P1と一致することができる。
【0120】
図6に示すように、第7の平面P7で取った断面において、隣接する主逃げ面78は、第6の平面P6から離れて傾斜する一方で、付随する主切れ刃34から離れて延在することができる。
【0121】
各主逃げ面78が第6の平面P6から離れて傾斜する一方で、付随する主切れ刃34から離れて延在するため、各主逃げ面78は、「逆逃げ面」と表し得ることを了解されたい。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態では、各主逃げ面78は、主外面74の1つに交差することができる。
【0123】
図1及び
図4に示されるように、各コーナ面42は、付随する隆起コーナ切れ刃50に直に隣接する隆起コーナ逃げ面80を含むことができる。
【0124】
各隆起コーナ逃げ面80は、隣接する主逃げ面78と合流し得ることを了解されたい。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート20の主側面図において、
図3に示すように、各コーナ面42は、付随する第3の仮想直線LM3を有することができ、第3の仮想直線LM3は、第1の主点NJ1及び第3の主点NJ3を含み、各第3の仮想直線LM3は、第1のインサート軸A1に対して傾斜することができる。
【0126】
各第3の仮想直線LM3が第1のインサート軸A1に対して傾斜する実施形態の場合、切削インサート20の主側面図において、各主側面26a、26bに付随する2つの主辺長SLは、相互にずれることができることを了解されたい。
【0127】
図11~
図14に示すように、本発明の別の態様は、回転方向RTで工具軸AT回りに回転可能な回転切削工具82に関する。
【0128】
回転切削工具82は、切削本体84と、上述の切削インサート20の少なくとも1つと、を備え、各切削インサート20は、切削本体84のインサート受入れポケット86内に取り外し可能に固着される。
【0129】
図13に示すように、工具軸ATは、前方向DF-後方向DRを画定し、各インサート受入れポケット86は、切削本体84の前方端面88に開口する。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態では、切削本体84は、円筒形状であり、前方端面88から後方向DRで延在する周方向壁90を有することができる。
【0131】
また、本発明のいくつかの実施形態では、回転切削工具82は、フライス作業で使用することができる。
【0132】
図12に示すように、インサート受入れポケット86は、回転方向RTに面する座面92と、座面92に横断する径方向外向き第1のポケット壁94と、座面92に横断する軸方向前向き第2のポケット壁96と、を有することができる。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のポケット壁96は、周方向壁90に交差することができる。
【0134】
また、本発明のいくつかの実施形態では、座面92は、穴軸ABに沿って延在するねじ穴98を含むことができる。
【0135】
図11~
図14に示すように、回転切削工具82の組立て位置では、2つの端面22a、22bの1つは、座面92と接触することができ、2つの主側面26a、26bの1つは、第1のポケット壁94と接触することができ、2つの副側面28a、28bの1つは、第2のポケット壁96と接触することができる。本発明のいくつかの実施形態では、端面22a、22bの1つの中心凹面58は、座面92と接触することができる。また、本発明のいくつかの実施形態では、2つの主側面26a、26bの1つの主外面74は、第1のポケット壁94と接触することができる。
【0136】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、2つの副側面28a、28bの1つのうち、2つの副小面76a、76bの一方のみが、第2のポケット壁96と接触することができる。
【0137】
また更に、本発明のいくつかの実施形態では、第2のポケット壁96と接触する副小面76a、76bの一方は、第1のポケット壁94と接触しない状態で主側面26a、26bに隣接することができる。
【0138】
図11~
図14に示すように、回転切削工具82の組立て位置では、締付けねじ100は、インサート貫通穴44を通過し、ねじ穴98を螺合することができる。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のインサート軸A2は、穴軸ABと同軸でなくてよい。
【0140】
第1の高さH1が第2の高さH2の220パーセント以下である本発明の実施形態の場合、第2のポケット壁96と接触する1つの副小面76a、76bの十分な部分が、穴軸ABの前方で回転式に位置し、安定な締め付けを可能にし得ることを了解されたい。
【0141】
第2のインサート軸A2が穴軸ABと非同軸である本発明の実施形態の場合、インサート貫通穴44は、ねじ穴98に対して偏心してよいことも了解されたい。
【0142】
ねじ穴98に対してインサート貫通穴44が偏心する関係により、締め付けねじ100を締結する際、2つの端面22a、22bの1つと座面92との間の接触、及び、2つの副側面28a、28bの1つと第2のポケット壁96との間の接触、を促進することを更に了解されたい。
【0143】
図13に示すように、各切削インサート20の有効主切れ刃34は、工具軸ATに対して正の軸方向すくい角δ1を形成することができる。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態では、有効主切れ刃34は、隣接する隆起コーナ切れ刃50及びワイピング縁部分66と一緒に、工作物(図示せず)内で正角端面削り作業を実施するように構成することができる。
【0145】
図13に示すように、各切削インサート20の全有効副切れ刃36は、前方端面88の軸方向前方に位置することができる。
【0146】
各副切れ刃36が、付随する副縁部32の全長を延在させ、各切削インサート20の有効副切れ刃36が、前方端面88の軸方向前方に完全に位置する本発明の実施形態の場合、回転切削工具82は、ランピング作業の実施に特に適し得ることを了解されたい。
【0147】
本発明は、ある程度の詳細まで説明しているが、以下で請求する本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく様々な代替形態及び修正形態を行い得ることを理解されたい。
【国際調査報告】