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特表2022-524582光制御フィルムを有する水平視差マルチビューディスプレイ及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-09
(54)【発明の名称】光制御フィルムを有する水平視差マルチビューディスプレイ及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/317 20180101AFI20220426BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220426BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220426BHJP
   F21V 11/00 20150101ALI20220426BHJP
   G02B 30/26 20200101ALI20220426BHJP
   H04N 13/324 20180101ALI20220426BHJP
   H04N 13/312 20180101ALI20220426BHJP
【FI】
H04N13/317
G09F9/00 324
G09F9/00 336J
F21S2/00 431
F21S2/00 433
F21V11/00
G02B30/26
H04N13/324
H04N13/312
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547486
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 US2019066623
(87)【国際公開番号】W WO2020167373
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/806,807
(32)【優先日】2019-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】マ,ミン
【テーマコード(参考)】
2H199
3K244
5C061
5G435
【Fターム(参考)】
2H199BA09
2H199BA43
2H199BB22
2H199BB29
2H199BB43
2H199BB52
2H199BB54
3K244AA01
3K244AA04
3K244BA16
3K244BA18
3K244BA22
3K244BA24
3K244CA03
3K244EA02
3K244EA12
3K244EC03
3K244EC08
3K244EC12
3K244EC27
3K244GA06
3K244GA08
5C061AA06
5C061AB16
5G435AA01
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE27
5G435FF08
5G435GG17
5G435HH02
5G435KK07
(57)【要約】
水平視差マルチビューディスプレイは、複数の傾斜マルチビーム列を使用して、水平視差マルチビューディスプレイの異なるビュー方向に対応する主角度方向を有する複数の指向性光ビームを導光体から散乱させる。複数の指向性光ビームは、ライトバルブのアレイを使用して変調され、水平視差を有するマルチビュー画像を提供する。さらに、水平視差マルチビューディスプレイは、複数の傾斜マルチビーム列のうちの傾斜マルチビーム列と整列している傾斜光制御軸を有する光制御フィルムを使用する。光制御フィルムは、水平視差と直交する方向におけるマルチビュー画像のビュー角度を制御するように構成される。傾斜マルチビーム列は、マルチビューディスプレイに均衡した解像度を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導くように構成された導光体(a light guide)と、
前記導光体にわたって配置され、水平視差マルチビューディスプレイ(horizontal parallax multiview display)の異なるビュー方向に対応する主角度方向を有する指向性光ビーム(directional light beams)として前記導光体内から導波光を散乱させるように構成された、複数の傾斜マルチビーム列と、
前記水平視差マルチビューディスプレイのピクセル(pixels)を表すライトバルブのアレイであって、水平視差を有するマルチビュー画像(a multiview image)として前記指向性光ビームを変調するように構成された、ライトバルブのアレイと、
前記傾斜マルチビーム列と整列している傾斜光制御軸を有し、前記水平視差と直交する方向に前記マルチビュー画像のビュー角度を制御するように構成された、光制御フィルムと、
を備える、水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項2】
前記傾斜マルチビーム列の傾斜が、前記水平視差マルチビューディスプレイのピクセルビュー配置において、前記水平視差マルチビューディスプレイのピクセル(a pixel)幅を前記ピクセルの行数で除算したものに等しい、請求項1に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項3】
前記水平視差マルチビューディスプレイの前記ピクセルビュー配置が、2つの行を含み、前記傾斜マルチビーム列の前記傾斜が、前記ピクセル幅の2分の1である、請求項2に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項4】
前記複数の傾斜マルチビーム列の前記傾斜マルチビーム列(the slanted multibeam colums)の中心線間の間隔が、前記マルチビューディスプレイの前記ピクセルビュー配置におけるピクセル数を前記ピクセルビュー配置のピクセルの行数で除算したものの関数である、請求項1に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項5】
前記水平視差マルチビューディスプレイのピクセルが、カラーサブピクセルを含み、前記水平視差マルチビューディスプレイが、カラーマルチビューディスプレイである、請求項1に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項6】
前記傾斜マルチビーム列(the slanted multibeam column)が、複数の離散的マルチビーム要素を含み、前記複数の離散的マルチビーム要素の各離散的マルチビーム要素が、前記傾斜マルチビーム列(the slanted multibeam column)の隣接する離散的マルチビーム要素(adjacent discrete multibeam elements)に対してずらされ、前記傾斜マルチビーム列の傾斜を提供している、請求項1に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項7】
前記複数の離散的マルチビーム要素の離散的マルチビーム要素(discrete multibeam elements)間の間隔が、前記ライトバルブアレイの隣接する行間の間隔にほぼ等しい、請求項6に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項8】
前記傾斜マルチビーム列(the slanted multibeam column)の前記離散的マルチビーム要素(discrete multibeam element)が、前記導波光を回折的に散乱させるように構成された回折格子を含む、請求項6に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項9】
前記傾斜マルチビーム列(the slanted multibeam column)が、連続マルチビーム要素(a continuous multibeam element)を含む、請求項1に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項10】
前記傾斜マルチビーム列(the slanted multibeam column)の幅が、前記水平視差マルチビューディスプレイのピクセル幅の2分の1と前記ピクセル幅との間である、請求項1に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項11】
前記光制御フィルムは、前記ライトバルブのアレイと前記導光体の表面との間に配置される、請求項1に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項12】
複数の傾斜マルチビーム列を有するバックライトであって、
前記複数の傾斜マルチビーム列の1つの傾斜マルチビーム列が、水平視差を有するマルチビュー画像の異なるビュー方向に対応する主角度方向を有する指向性光ビーム(directional light beams)として、前記バックライトから光を散乱させるように構成されている、バックライトと、
前記指向性光ビームを前記マルチビュー画像として変調するように構成されたライトバルブのアレイであって、前記ライトバルブアレイの1つのライトバルブが、前記水平視差マルチビューディスプレイの1つのピクセルに対応する、ライトバルブのアレイと、
前記傾斜マルチビーム列と整列している傾斜光制御軸を有し、前記水平視差と直交する方向の前記マルチビュー画像のビュー角度を制御するように構成された光制御フィルムと、
を備える、水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項13】
前記バックライトが導光体をさらに備え、前記傾斜マルチビーム列が回折格子を備え、前記複数の傾斜マルチビーム列が、前記導光体の長さに沿って離間しており、前記傾斜マルチビーム列の前記回折格子が、前記指向性光ビームとして前記導波光を前記導光体内から回折的に散乱させるように構成されている、請求項12に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項14】
前記傾斜マルチビーム列が、複数の離散的マルチビーム要素を含み、前記複数の離散的マルチビーム要素の各離散的マルチビーム要素が、前記ライトバルブアレイのライトバルブ(light valves)の隣接する行間の間隔に対応する距離だけ、隣接する離散的マルチビーム要素からオフセットされている、請求項12に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項15】
前記傾斜マルチビーム列(the slanted multibeam column)が、連続マルチビーム要素(a continuous multibeam element)を含む、請求項12に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項16】
前記ライトバルブのアレイが、前記光制御フィルムと前記複数の傾斜マルチビーム列を有する前記バックライトとの間にある、請求項12に記載の水平視差マルチビューディスプレイ。
【請求項17】
導光体の長さに沿って光を導くステップと、
前記導光体の長さに沿って配置された複数の傾斜マルチビーム列を使用して、指向性光ビーム(directional light beams)として導波光を前記導光体から散乱させるステップであって、前記指向性光ビームが、前記マルチビューディスプレイのビュー方向(view directions)に対応する方向を有する、散乱させるステップと、
水平視差を有するマルチビュー画像を提供するために、ライトバルブのアレイを使用して前記指向性光ビームを変調するステップであって、前記アレイの1つのライトバルブが、前記マルチビューディスプレイの1つのピクセルに対応する、変調するステップと、
前記複数の傾斜マルチビーム列の傾斜と整列している傾斜光制御軸を有する光制御フィルムを使用して、前記水平視差に直交する方向に前記マルチビュー画像のビュー角度(アview angle)を制御するステップと、
を含む、マルチビューディスプレイの動作の方法。
【請求項18】
前記複数の傾斜マルチビーム列の前記傾斜が、前記マルチビューディスプレイのピクセル幅及びピクセルビュー配置の関数であり、前記傾斜は、前記ピクセルビュー配置が2つの行のピクセルを有する場合、前記ピクセル幅の2分の1に対応し、前記傾斜は、前記ピクセルビュー配置が1つの行のピクセルを有する場合、前記ピクセル幅に対応する、請求項17に記載のマルチビューディスプレイの動作の方法。
【請求項19】
前記複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(a slanted multibeam column)が、複数の離散的マルチビーム要素を含み、各離散的マルチビーム要素が、前記傾斜マルチビーム列の長さに沿って、前記複数の離散的マルチビーム要素の他の離散的マルチビーム要素(other discrete multibeam elements)から離間している、請求項17に記載のマルチビューディスプレイの動作の方法。
【請求項20】
前記光制御フィルムは、前記ライトバルブアレイと前記導光体の表面との間に配置される、請求項17に記載のマルチビューディスプレイの動作の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月15日に出願された国際特許出願PCT/US2018/022760号、及び2019年2月16日に出願された米国仮出願第62/806807号の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する記載
該当なし
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、多種多様なデバイス及び製品のユーザに情報を伝達するための、ほぼ至るところにある媒体である。最も一般的に使用されている電子ディスプレイには、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、電子発光ディスプレイ(EL)、有機発光ダイオード(OLED)及びアクティブマトリクスOLED(AMOLED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ(EP)、並びに電気機械的又は電気流体的光変調(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス、エレクトロウェッティングディスプレイ等)を使用する様々なディスプレイが含まれる。電子ディスプレイは、概して、アクティブディスプレイ(すなわち、光を発するディスプレイ)又はパッシブディスプレイ(すなわち、別の光源によって提供される光を変調するディスプレイ)のいずれかに分類され得る。アクティブディスプレイの最も明らかな例は、CRT、PDP及びOLED/AMOLEDである。放射光を考慮したときに、典型的にパッシブとして分類されるディスプレイは、LCD及びEPディスプレイである。パッシブディスプレイは、多くの場合、本質的に消費電力が低いことを含むがこれだけに限らない魅力的な性能特性を呈するが、発光能力がないことを考慮すると、多くの実用的な用途においては幾分使用が制限される場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態の様々な特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解することができ、図面では同様の参照番号は同様の構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0006】
図1B】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する特定の主角度方向を有する光ビームの角度成分のグラフ表示を示す。
【0007】
図2】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における回折格子の断面図を示す。
【0008】
図3A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における水平視差マルチビューディスプレイの断面図を示す。
【0009】
図3B】本明細書における原理と一致する実施形態による、一例における水平視差マルチビューディスプレイの平面図を示す。
【0010】
図3C】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における水平視差マルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0011】
図4】本明細書で開示される原理と一致する実施形態による、一例におけるピクセルビュー配置及び傾斜(slanted)マルチビーム列を含む水平視差マルチビューディスプレイの一部分の平面図を示す。
【0012】
図5】本明細書で開示される原理と一致する実施形態による、一例における連続マルチビーム要素を含む傾斜マルチビーム列を有する水平視差マルチビューディスプレイの一部分を示す。
【0013】
図6】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における傾斜マルチビーム列を含む水平視差マルチビューディスプレイの一部分の平面図を示す。
【0014】
図7A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における傾斜マルチビーム列と光制御フィルムとを含む水平視差マルチビューディスプレイの平面図を示す。
【0015】
図7B】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における光制御フィルムの斜視図を示す。
【0016】
図7C】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における光制御フィルムを有する水平視差マルチビューディスプレイの側面図を示す。
【0017】
図8】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における水平視差マルチビューディスプレイのブロック図を示す。
【0018】
図9】本明細書における原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの動作の方法のフローチャートを示す。
【0019】
特定の例及び実施形態は、上記で参照した図に示された特徴に加えて、及びその特徴に代えて、他の特徴を有する。これらの特徴及び他の特徴は、上記で参照された図を参照して以下に詳述される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態は、傾斜マルチビーム列を使用し、電子ディスプレイに適用される光制御フィルム(LCF)を有するバックライトを提供する。特に、本明細書の原理と一致する様々な実施形態によれば、複数の傾斜マルチビーム列を含む水平視差マルチビューディスプレイが提供される。傾斜マルチビーム列は、放射光として導光体(light guide)から光を散乱させるように構成される。マルチビーム列は、水平視差マルチビューディスプレイのピクセル幅及びピクセルビュー配置の関数である傾斜(slant)を特徴とする。傾斜マルチビーム列は、均衡した解像度、すなわち、水平視差マルチビューディスプレイの長さ及び幅に沿って実質的に同じ解像度を有する水平視差マルチビューディスプレイを提供するのに機能することができる。様々な実施形態によれば、水平視差マルチビューディスプレイは、マルチビーム列の傾斜と整列している(aligned with)光制御軸を有する光制御フィルムをさらに含む。
【0021】
本明細書では、「マルチビューディスプレイ」は、異なるビュー方向でマルチビュー画像の異なるビューを提供するように構成された電子ディスプレイ又はディスプレイシステムとして定義される。「水平視差(horizontal parallax)」マルチビューディスプレイは、本明細書の定義により、単一の平面(例えば、水平面)に限定された異なるビュー方向でマルチビュー画像の異なるビューを提供するように構成されたマルチビューディスプレイである。
【0022】
図1Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示す。特に、マルチビューディスプレイ10は、図1Aに示すように、異なるビューがy-z平面に限定された水平視差マルチビューディスプレイとして構成されており、これは例示であり、限定ではない。マルチビューディスプレイ10は、視聴されるべきマルチビュー画像を表示するためのスクリーン12を備える。マルチビューディスプレイ10は、スクリーン12に対して異なるビュー方向16にマルチビュー画像の異なるビュー14を提供する。ビュー方向16は、スクリーン12から様々な異なる主角度方向に延びる矢印として示されている。異なるビュー14は、矢印(すなわち、ビュー方向16を示す)の終端に陰影付きの多角形ボックスとして示されている。4つのビュー14及び4つのビュー方向16のみが示されているが、これらは全て例示であって限定されるものではない。図1Aでは異なるビュー14がスクリーンの上方にあるように示されているが、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10に表示されると、ビュー14は実際にはスクリーン12上又はその近傍に現れることに留意されたい。スクリーン12の上にビュー14を描くことは、説明を簡略化するためだけのものであり、特定のビュー14に対応するビュー方向16のそれぞれからマルチビューディスプレイ10を視聴することを表すことを意味する。
【0023】
「ビュー方向」又は同等にマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する光ビームは、概して、本明細書の定義により、角度成分{θ、φ}によって与えられる主角度方向を有する。角度成分θは、本明細書では光ビームの「仰角成分」又は「仰角」と呼ばれる。角度成分φは、光ビームの「方位角成分」又は「方位角」と呼ばれる。定義により、仰角θは、垂直面(例えば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面に垂直)における角度であり、方位角φは、水平面(例えば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面に平行)における角度である。
【0024】
図1Bは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向(例えば、図1Aのビュー方向16)に対応する特定の主角度方向を有する光ビーム20の角度成分{θ、φ}のグラフ表示を示す。さらに、光ビーム20は、本明細書の定義により、特定の点から放射又は発出される。すなわち、定義により、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連する中心放射線を有する。図1Bは、光ビーム(又はビュー方向)の原点Oも示している。
【0025】
さらに本明細書では、「マルチビュー画像」及び「マルチビューディスプレイ」という用語で使用される「マルチビュー」という用語は、異なる視点を表す、又は複数のビューの異なるビュー間の角度視差を含む複数のビューとして定義される。さらに、本明細書では、「マルチビュー」という用語は、本明細書の定義により、2つより多い異なるビュー(すなわち、最低3つのビューであり、概して、3つより多いビュー)を明示的に含む。したがって、本明細書で使用される「マルチビューディスプレイ」は、シーン又は画像を表すために2つの異なるビューのみを含む立体ディスプレイとは明示的に区別される。しかしながら、マルチビュー画像及びマルチビューディスプレイは、本明細書の定義により、2つより多いビューを含むが、マルチビュー画像は、それらのマルチビューのうちの2つのみ(例えば、1つの眼につき1つのビュー)を一度に見るように選択することによって、画像の立体視対として(例えば、マルチビューディスプレイ上で)見ることができることに留意されたい。
【0026】
「マルチビューピクセル」は、本明細書では、マルチビューディスプレイによって提供されるマルチビュー画像の複数の異なるビューの各ビュー内の「ビュー」ピクセルを表すピクセルの集合として定義される。同様に、「ビューピクセル」は、本明細書では、マルチビュー画像のビューのピクセルとして定義される。特に、マルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれにおけるビューピクセルに対応するか、又はビューピクセルを表す個々のピクセルを有してもよい。例えば、マルチビューピクセルは、マルチビューディスプレイのライトバルブアレイ内のライトバルブの集合を含んでもよく、マルチビューピクセルのピクセルは、ライトバルブアレイのライトバルブを含んでもよい。次に、ビューピクセルは、ライトバルブアレイのピクセル又はライトバルブが、対応するビューピクセルを作成するための変調に対応するか、又は変調を提供するようなライトバルブを使用した光の変調によって提供され得る。さらに、マルチビューピクセルのピクセルは、本明細書の定義により、ピクセルのそれぞれが異なるビューのうちの対応する1つのビューの所定のビュー方向に関連付けられるという点で、いわゆる「指向性ピクセル」である。さらに、様々な例及び実施形態によれば、マルチビューピクセルのピクセルによって表される異なるビューピクセルは、異なるビューのそれぞれにおいて同等又は少なくとも実質的に同様の位置又は座標を有してもよい。例えば、第1のマルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれにおいて{x、y}に位置するビューピクセルに対応する個々のピクセルを有してもよく、一方、第2のマルチビューピクセルは、異なるビューのそれぞれにおいて{x、y}に位置するビューピクセルに対応する個々のピクセルを有するなどしてもよい。いくつかの実施形態では、マルチビューピクセル内のピクセルの数は、マルチビューディスプレイの異なるビューの数に等しくてもよい。さらに、いくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルの数は、マルチビューディスプレイビューの「ビュー」ピクセル(すなわち、選択されたビューを構成するピクセル)の数と実質的に等しくてもよい。
【0027】
本明細書では、「導光体」は、内部全反射を使用して構造内で光を導く構造として定義される。特に、導光体は、導光体の動作波長で実質的に透明なコアを含み得る。「導光体」という用語は、概して、導光体の誘電体材料とその導光体を取り囲む材料又は媒体との間の界面で光を導くように内部全反射を使用する誘電体光導波路を指す。定義により、内部全反射の条件は、導光体の屈折率が導光体材料の表面に隣接する周囲の媒体の屈折率よりも大きいことである。いくつかの実施形態では、導光体は、内部全反射をさらに促進するために、前述の屈折率差に加えて、又はその代わりにコーティングを含んでもよい。コーティングは、例えば、反射コーティングであってもよい。導光体は、平板又はスラブガイド及びストリップガイドのうちの一方又は両方を含むが、これらに限定されないいくつかの導光体のいずれかであってもよい。
【0028】
本明細書の定義により、「マルチビーム要素」は、複数の指向性光ビームを含む光を生成するバックライト又はディスプレイの構造又は要素である。マルチビーム要素によって生成される複数の指向性光ビーム(the plurality of directional light beams)(又は「複数の指向性光ビーム(directional light beam plurality)」)の指向性光ビーム(directional light beams)は、本明細書の定義により、互いに異なる主角度方向(different principal angular directions)を有する。特に、定義により、複数の指向性光ビームの指向性光ビーム(a directional light beam)は、複数の指向性光ビームの別の指向性光ビーム(another directional light beam)とは異なる所定の主角度方向(a predetermined principal angular direction)を有する。いくつかの実施形態によれば、マルチビーム要素(multibeam element)のサイズは、マルチビーム要素に関連するディスプレイ(例えば、マルチビューディスプレイ)で使用されるライトバルブ(a light valve)のサイズに相当し得る。特に、いくつかの実施形態では、マルチビーム要素のサイズは、ライトバルブのサイズの約2分の1から約2倍であってもよい。
【0029】
様々な実施形態によれば、複数の指向性光ビームは、光照射野を表すことができる。例えば、複数の指向性光ビームは、実質的に円錐形の空間領域に制限されることがある、又は複数の光ビームにおける光ビームの異なる主角度方向を含む所定の角度広がりを有することがある。このように、組み合わされた指向性光ビームの所定の角度広がり(すなわち、複数の指向性光ビーム)は、光照射野を表すことができる。
【0030】
様々な実施形態によれば、複数の指向性光ビームにおける様々な指向性光ビームの異なる主角度方向は、他の特性とともに、マルチビーム要素のサイズ(例えば、長さ、幅、面積などのうちの1つ又はそれ以上)を含むがこれに限定されない特性によって決定される。例えば、回折マルチビーム要素では、「格子ピッチ」又は回折特徴部間隔、及び回折マルチビーム要素内の回折格子の向きは、様々な指向性光ビームの異なる主角度方向を少なくとも部分的に決定する特性であり得る。いくつかの実施形態では、マルチビーム要素は、本明細書の定義により、「拡張点光源」、すなわち、マルチビーム要素の範囲にわたって分布する複数の点光源と見なすことができる。さらに、マルチビーム要素によって生成される指向性光ビームは、図1Bに関して以下に説明するように、角度成分{θ、φ}によって与えられる主角度方向を有することができる。
【0031】
本明細書では、「マルチビーム列(multibeam column)」は、線状又は列状に配置された複数のマルチビーム要素を含む細長い構造として定義される。特に、マルチビーム列は、線状又は列状に配置された複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素(multibeam elements)で構成される。さらに、マルチビーム列(multibeam column)は、定義により、複数の指向性光ビームを含む光を提供又は放射するように構成される。このように、マルチビーム列は、その光散乱特性に関してマルチビーム要素と機能的に同様であり得る。すなわち、本明細書の定義により、マルチビーム列のマルチビーム要素によって生成される複数の指向性光ビームの指向性光ビーム(directional light beams)は、互いに異なる主角度方向を有する。いくつかの実施形態では、マルチビーム列は、マルチビューディスプレイのバックライト又は同様の構成要素の幅にわたって実質的に延在する細長い構造であってもよい。特に、マルチビーム列は、例えば、バックライトの幅にわたって延在する線状に配置された複数の離散的な(discrete)マルチビーム要素で構成されてもよい。上記の定義の例外は、いくつかの実施形態では、マルチビーム列が、個々の離散的なマルチビーム要素の代わりに、単一の連続回折格子構造を含むことである。例外として、連続回折格子のセクションは、上述のマルチビーム列の離散的なマルチビーム要素と実質的に同様の方法で効果的に機能する。
【0032】
様々な実施形態によれば、マルチビーム列の幅は、マルチビーム列の複数のマルチビーム要素の1つのマルチビーム要素のサイズによって定義することができる。したがって、マルチビーム列の幅は、マルチビーム列に関連するマルチビューディスプレイで使用されるライトバルブの幅に相当し得る。さらに、いくつかの実施形態では、マルチビーム列幅は、ライトバルブサイズの約2分の1から約2倍であってもよい。
【0033】
様々な実施形態では、マルチビーム列は傾斜又は傾斜角を有する。すなわち、マルチビーム列は、バックライト又はマルチビューディスプレイの軸に対してある角度(すなわち、傾斜角)で延在することができる。特に、本明細書の定義により、「傾斜マルチビーム列」は、軸に対して傾斜している(又は同等に、「傾斜」を有する)マルチビーム列である。マルチビーム列の傾斜又は勾配は、マルチビーム列の急峻度又は傾斜の程度を表すものである。したがって、傾斜は、マルチビーム列のセクションに沿った垂直変化と水平変化の比として定義されてもよく、又は別の方法では、セクションに沿った水平変化と垂直変化の比として定義されてもよい。いくつかの実施形態では、傾斜は、マルチビーム列のセクションに沿ったマルチビューディスプレイの垂直ピクセルに対する水平ピクセルの比として表すことができる。より具体的には、傾斜は、バックライトの特定のセクションにおけるマルチビューディスプレイに関連するピクセルの行ごとの水平変化として表すことができる。したがって、傾斜は、ピクセル幅をバックライトのセクションの行数で除算することによって定義することができる。
【0034】
「ピクセルビュー配置(pixel-view arrangement)」は、本明細書では、マルチビューディスプレイ上のビューピクセルを表すピクセルの集合の空間的編成として定義される。すなわち、マルチビューディスプレイのピクセルビュー配置は、ピクセルの集合を含む複数のビューピクセル内の各ビューピクセルの位置を定義する。例えば、水平視差ビュー構成で(例えば、図1Aに示すように)8つのビューを提供するマルチビューディスプレイの場合、ピクセルビュー配置は、連続して配置された8ピクセルの単一行を含むことができる。マルチビューピクセルが水平視差構成で9つのビューを提供する別の例では、ピクセルビュー配置は、第1の行に5ピクセルを有し、第2の行に4ピクセルを有する2つの隣接する行を含むことができる。各行のピクセルは、連続して配置されてもよい。いくつかの例では、第1の行は、連続して配置された奇数番号のピクセルを含むことができ、第2の行は、連続して配置された偶数番号のピクセルを含むことができる。
【0035】
本明細書では、「回折格子」は、概して、回折格子に入射する光の回折を提供するように配置された複数の特徴部(すなわち、回折特徴部)として定義される。いくつかの例では、複数の特徴部は、周期的又は準周期的に配置することができる。例えば、回折格子は、1次元(1D)アレイで配置された複数の特徴部(例えば、材料表面の複数の溝又は隆起部)を含むことができる。他の例では、回折格子は、2次元(2D)アレイの特徴部であってもよい。回折格子は、例えば、材料表面の2Dアレイのバンプ又は穴であってもよい。
【0036】
したがって、本明細書の定義により、「回折格子」は、回折格子に入射する光の回折を提供する構造である。光が導光体から回折格子に入射する場合、提供される回折又は回折散乱は、回折格子が回折によって導光体から光を結合出力するという「回折結合」を生じ得、それゆえ、「回折結合」と呼ばれ得る。回折格子はまた、回折によって(すなわち、回折角で)光の角度を方向変更又は変化させる。特に、回折の結果として、回折格子を出る光は、概して、回折格子に入射する光(すなわち、入射光)の伝播方向とは異なる伝播方向を有する。回折による光の伝播方向の変化は、本明細書では「回折方向変更」と呼ばれる。したがって、回折格子は、回折格子に入射する光を回折的に方向変更する回折特徴部を含む構造であると理解することができ、光が導光体から入射する場合、回折格子はまた、導光体から光を回折的に結合出力する(couple out)ことができる。
【0037】
さらに、本明細書の定義により、回折格子の特徴部は、「回折特徴部」と呼ばれ、材料表面で、材料表面内で、及び材料表面上(すなわち、2つの材料の間の境界)で、1つ又はそれ以上の回折特徴部であり得る。表面は、例えば、導光体の表面であってもよい。回折特徴部は、表面で、表面内で又は表面上で、溝、隆起部、穴、及びバンプのうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない光を回折する様々な構造の任意のものを含むことができる。例えば、回折格子は、材料表面に複数の実質的に平行な溝を含むことができる。別の例では、回折格子は、材料表面から隆起する複数の平行な隆起部を含むことができる。回折特徴部(例えば、溝、隆起部、穴、バンプなど)は、正弦波プロファイル、矩形プロファイル(例えば、バイナリ回折格子)、三角形プロファイル及び鋸歯プロファイル(例えば、ブレーズド格子)のうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない回折を提供する様々な断面形状又はプロファイルのうちの任意のものを有していてもよい。
【0038】
本明細書に記載の様々な例によれば、回折格子(例えば、以下に説明するように、マルチビーム要素(又はマルチビーム列)の回折格子)を使用して、導光体(例えば、導光板)から光を光ビームとして回折的に散乱又は結合出力することができる。特に、局所的に周期的な回折格子の回折角θ、又は局所的に周期的な回折格子によって提供される回折角θは、式(1)で与えられ得る。
【数1】
式中、λは光の波長、mは回折次数、nは導光体の屈折率、dは回折格子の特徴部間の距離又は間隔、θは回折格子への光の入射角である。簡略化のために、式(1)では、回折格子が導光体の表面に隣接し、導光体の外側の材料の屈折率が1に等しい(すなわち、nout=1)と仮定する。一般に、回折次数mは整数で与えられる。回折格子によって生成された光ビームの回折角θは、回折次数が正(例えば、m>0)である式(1)で与えられ得る。例えば、一次回折は、回折次数mが1に等しい場合(すなわち、m=1)に提供される。
【0039】
図2は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における回折格子30の断面図を示す。例えば、回折格子30は、導光体40の表面上に配置することができる。さらに、図2は、入射角θで回折格子30に入射する光ビーム50を示している。光ビーム50は、導光体40内の導波光ビームである。また、図2には、入射光ビーム50の回折の結果として回折格子30によって回折的に生成されて結合出力される(coupled-out)指向性光ビーム60が示されている。指向性光ビーム60は、式(1)で与えられるような回折角θ(又は本明細書では「主角度方向」)を有する。回折角θは、例えば、回折格子30の回折次数「m」に対応し得る。
【0040】
さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち「1つ又はそれ以上」を有することが意図されている。例えば、「マルチビーム列(a multibeam column)」は1つ又はそれ以上のマルチビーム列を意味し、したがって、本明細書では「マルチビーム列(the multibeam column)」は「マルチビーム列(1つ又は複数)(the multibeam column(s))」を意味する。また、本明細書における「上(top)」、「底(bottom)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「上へ(up)」、「下へ(down)」、「前」、「後」、「第1」、「第2)」、「左」又は「右」への言及はいずれも、本明細書における限定を意図するものではない。本明細書では、「約」という用語は、値に適用される場合、概して、値を生成するために使用される機器の許容範囲内を意味するか、又は特に明記しない限り、プラスマイナス10%、又はプラスマイナス5%、又はプラスマイナス1%を意味する場合がある。さらに、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、大部分、又はほぼ全て、又は全て、又は約51%~約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書の例は、例示のみを目的としたものであり、説明の目的で提示されており、限定するためではない。
【0041】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、水平視差マルチビューディスプレイが提供される。いくつかの例では、水平視差マルチビューディスプレイは、傾斜マルチビーム列及びピクセルビュー配置を使用して、対応する全方向視差ディスプレイに相当する均衡した解像度を有する水平視差マルチビューディスプレイを提供する。図3Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における水平視差マルチビューディスプレイ100の断面図を示す。図3Bは、本明細書の原理と一致する実施形態による、一例における水平視差マルチビューディスプレイ100の平面図を示す。図3Cは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における水平視差マルチビューディスプレイ100の斜視図を示す。
【0042】
図3A図3Cに示すように、水平視差マルチビューディスプレイ100は、導光体110を備える。導光体110は、光を導光体110の長さに沿って導波光104(すなわち、導波光ビーム104)として導くように構成される。例えば、導光体110は、光導波路として構成された誘電体材料を含んでもよい。誘電体材料は、誘電体光導波路を取り囲む媒体の第2の屈折率よりも大きい第1の屈折率を有していてもよい。屈折率の差は、例えば、導光体110の1つ又はそれ以上の導波モードに従って、導波光104の内部全反射を促進するように構成される。
【0043】
いくつかの実施形態では、導光体110は、光学的に透明な誘電体材料の伸展された実質的に平面のシートを含むスラブ又は平板光導波路(すなわち、導光板)であってもよい。誘電体材料の実質的に平面のシートは、内部全反射を使用して、導波光104を導くように構成される。様々な例によれば、導光体110の光学的に透明な材料は、様々なタイプのガラス(例えば、シリカガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)及び実質的に光学的に透明なプラスチック又はポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)又は「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)のうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない様々な誘電体材料のいずれかを含んでいてもよいし、又はそれらから構成されてもよい。いくつかの例では、導光体110は、導光体110の表面(例えば、第1の表面及び第2の表面の一方又は両方)の少なくとも一部上にクラッド層(図示せず)をさらに含んでいてもよい。いくつかの例によれば、クラッド層は、内部全反射をさらに促進するために使用されてもよい。
【0044】
さらに、いくつかの実施形態によれば、導光体110は、導光体110の第1の表面110’(例えば、「前面」もしくは「上面」又は「前側」もしくは「上側」)と第2の表面110’’(例えば、「後面」もしくは「底面」又は「後側」もしくは「底側」)との間の非ゼロ伝播角度での内部全反射に従って導波光104を導くように構成されている。特に、導波光104は、非ゼロ伝播角度で導光体110の第1の表面110’と第2の表面110’’との間で反射又は「跳ね返ること(bouncing)」によって伝播する。いくつかの実施形態では、異なる色の光を含む複数の導波光ビーム104は、異なる色固有の非ゼロ伝播角度のそれぞれのもので導光体110によって導かれてもよい。説明を簡略化するために、非ゼロ伝播角度は、図3Aには示されていないことに留意されたい。しかしながら、伝播方向103を描く太い矢印は、図3Aの導光体の長さに沿った導波光104の一般的な伝播方向を示している。
【0045】
本明細書で定義されるように、「非ゼロ伝播角度」は、導光体110の表面(例えば、第1の表面110’又は第2の表面110’’)に対する角度である。さらに、様々な実施形態によれば、非ゼロ伝播角度は、ゼロよりも大きく、かつ導光体110内の内部全反射の臨界角よりも小さい。例えば、導波光104の非ゼロ伝播角度は、約10度(10°)~約50度(50°)、又はいくつかの例では、約20度(20°)~約40度(40°)、又は約25度(25°)~約35度(35°)であってもよい。例えば、非ゼロ伝播角度は、約30度(30°)であってもよい。他の例では、非ゼロ伝播角度は、約20°、又は約25°、又は約35°であってもよい。さらに、特定の非ゼロ伝播角度が、導光体110内の内部全反射の臨界角よりも小さくなるように選択される限り、特定の非ゼロ伝播角度は、特定の実装形態のために(例えば、任意に)選択されてもよい。
【0046】
様々な実施形態によれば、水平視差マルチビューディスプレイ100は、導光体110の長さに沿って互いに離間した複数の傾斜マルチビーム列120をさらに含む。さらに、傾斜マルチビーム列120の各々は、図示のように、傾斜マルチビーム列120に対応する線状又は列状に配置された複数のマルチビーム要素122を含む。複数の傾斜マルチビーム列(又は同等に、その複数のマルチビーム要素122)の1つの傾斜マルチビーム列120は、導光体110の表面上に位置することができる。例えば、傾斜マルチビーム列120は、図3A及び図3Cに示すように、導光体110の第1の表面110’上に位置していてもよい。他の実施形態(図示せず)では、傾斜マルチビーム列120は、導光体110の第2の表面110’’上に位置してもよく、又はさらには第1の表面110’と第2の表面110’’との間に位置していてもよい。
【0047】
図3A図3Cに示すように、傾斜マルチビーム列120は、導光体110の幅にわたって延在する。すなわち、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(the slanted multibeam column)120は、導光体110を通って伝搬する導波光104が傾斜マルチビーム列120と実質的に急角度で交差するように、導光体110のy軸に沿って実質的に配向されている。さらに、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(the slanted multibeam column)120は、導光体110の長さ(又はx軸)に沿って互いに離間している。いくつかの実施形態では、傾斜マルチビーム列120は、互いに平行である。いくつかの実施形態では、隣接する傾斜マルチビーム列120は、一定の間隔又は距離だけ互いに分離されている。
【0048】
複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(the slanted multibeam column)120は、複数の指向性光ビーム102として、導光体110から導波光104の一部分を散乱させるように構成される(したがって、指向性放射光と呼ばれ得る)。図3Aでは、指向性光ビーム102は、導光体110の第1の表面(又は前面)110’から方向付けられているように描かれた複数の放射状に広がる矢印として図示されている。様々な実施形態によれば、指向性光ビーム102は、互いに異なる主角度方向を有する。さらに、様々な実施形態によれば、指向性光ビーム102の異なる主角度方向は、水平視差マルチビューディスプレイ100のそれぞれの異なるビュー方向に対応することができる。
【0049】
様々な実施形態によれば、傾斜マルチビーム列120のマルチビーム要素122は、導波光104の一部分を散乱させて指向性光ビーム102を提供するように構成されたいくつかの異なる構造のうちの任意のものを含むことができる。例えば、異なる構造は、回折格子、マイクロ反射要素、マイクロ屈折要素、又はそれらの様々な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、回折格子を含む傾斜マルチビーム列120は、異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビーム102として導波光部分を回折的に散乱させるように構成される。他の実施形態では、マイクロ反射要素を含む傾斜マルチビーム列120は、複数の指向性光ビーム102として導波光部分を反射的に散乱させるように構成されており、又はマイクロ屈折要素を含む傾斜マルチビーム列120は、複数の指向性光ビーム102として導波光部分を屈折によって、又は屈折を利用して散乱させる(すなわち、導波光部分を屈折的に結合出力する)ように構成されている。
【0050】
図3A図3Cに示す水平視差マルチビューディスプレイ100は、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルを表すライトバルブ130のアレイ、又は同等に、水平視差マルチビューディスプレイ100によって表示されるマルチビュー画像のビューピクセルに対応するライトバルブ130のアレイをさらに含む。特に、ライトバルブ130のアレイは、複数の傾斜マルチビーム列120によって導光体110から散乱された指向性光ビーム102を変調してマルチビュー画像を提供するように構成される。図3Cでは、ライトバルブ130のアレイは、導光体110及びライトバルブアレイの下にある傾斜マルチビーム列120を視覚化できるように、説明の目的のためだけに部分的に切り取られている。
【0051】
図3Aに示すように、異なる主角度方向を有する指向性光ビーム(directional light beams)102の異なる指向性光ビーム(different ones)は、ライトバルブアレイ内のライトバルブ(light valves)130の異なるライトバルブ(different ones)を通過して変調されてもよい。さらに、図示のように、そのアレイのライトバルブ130は、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルに対応する。特に、ライトバルブアレイの各行に沿って、ライトバルブアレイの異なる集合のライトバルブ130は、傾斜マルチビーム列120の対応する異なる1つから指向性光ビーム102を受け取って変調するように構成されている。したがって、ライトバルブアレイの各行のライトバルブ130の各集合には、固有の対応する傾斜マルチビーム列120が存在する。
【0052】
例えば、ライトバルブアレイの行における第1のライトバルブの集合130aは、第1の傾斜マルチビーム列120aから指向性光ビーム102を受け取って変調するように構成されている。同様に、ライトバルブアレイの行における第2のライトバルブの集合130bは、第2の傾斜マルチビーム列120bから指向性光ビーム102を受け取って変調するように構成されている。このように、ライトバルブアレイ内のライトバルブの集合の各々(例えば、第1及び第2のライトバルブの集合130a、130b)は、図3Aに示すように、異なる傾斜マルチビーム列120(例えば、列120a、120b)にそれぞれ対応しており、ライトバルブの集合の個々のライトバルブ130は、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルに対応している。様々な実施形態では、異なるタイプのライトバルブが、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、及びエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されないライトバルブアレイのライトバルブ130として使用されてもよい。
【0053】
本明細書では、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルのサイズは、概して、ライトバルブアレイ内のライトバルブ130のサイズに対応することに留意されたい。特に、いくつかの例では、ピクセルサイズは、ライトバルブ130のサイズに等しくてもよい。他の例では、ピクセルサイズは、ライトバルブアレイの隣接するライトバルブ130間の距離(例えば、中心間距離)として定義することができる。特に、ライトバルブ130自体は、ライトバルブアレイ内のライトバルブ130間の中心間距離よりも小さくてもよい。ただし、ピクセルサイズは、中心間距離として定義することができる。
【0054】
本明細書における説明の目的で、「ライトバルブ」(例えば、ライトバルブ130)及び「ピクセル」(例えば、ビューピクセルとは対照的にディスプレイピクセルを説明する場合)という用語は、適切な理解のために区別が必要でない限り、互換的に使用することができる。さらに、説明の目的で、別段明記しない限り、ライトバルブアレイ、又は同等に、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルアレイは、概して、行及び列を有する長方形アレイを備え、列は行に直交している。限定ではなく例示として示すように、行はx方向(又はx軸)に沿って延在し、列は概してy方向(又はy軸)に整列する。
【0055】
様々な実施形態では、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(slanted multibeam column)120は、傾斜を含む。すなわち、図示のように、傾斜マルチビーム列120は、y軸に対してある角度をなして、導光体110の幅にわたって延在することができる。同等に、傾斜マルチビーム列120は、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルの列又は同等にライトバルブ130の列に対してある角度をなして延在することができる。傾斜マルチビーム列120の傾斜は、図示のように、ライトバルブ130の列に対する傾斜マルチビーム列120の急峻度もしくは傾斜の程度、又は同等に、y軸に対する急峻度もしくは傾斜の程度を表すものである。特に、傾斜は、傾斜マルチビーム列120がまたがるライトバルブ130の各行ごとの傾斜マルチビーム列120の水平距離として表すことができる。いくつかの実施形態では、傾斜マルチビーム列120の傾斜は、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセル幅及びピクセルビュー配置の関数である。ここで、「ピクセル幅」は、ピクセル行に対応する方向に沿ったピクセルサイズであると理解することができる。さらに、本明細書の定義によるピクセルビュー配置は、ライトバルブ130の1つ又はそれ以上の集合(例えば、図3Aに示すライトバルブの集合130a、130b)に対応するピクセルを含む。
【0056】
特に、いくつかの実施形態では、傾斜マルチビーム列120の傾斜は、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置において、ピクセル幅をピクセル(又はライトバルブ130)の行数で除算したものである。例えば、いくつかの実施形態では、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置は、2つの行を含んでもよく、傾斜マルチビーム列120の傾斜は、ピクセル幅の2分の1であってもよい。別の実施形態では、水平視差マルチビューディスプレイのピクセルビュー配置は、単一の行を含んでもよく、傾斜マルチビーム列120の傾斜は、例えば、1ピクセル幅であってもよい。さらに、複数の傾斜マルチビームの傾斜マルチビーム列(slanted multibeam columns)120間の間隔は、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置の関数であってもよい。特に、隣接する傾斜マルチビーム列120の中心線間の間隔は、いくつかの実施形態によれば、ピクセルビュー配置におけるピクセルの行数で除算した、マルチビューディスプレイのピクセルビュー配置におけるピクセル数の関数であってもよい。いくつかの実施形態では、ピクセルアレイのピクセル、又は同等に、ピクセルビュー配置のピクセルは、カラーサブピクセルを表してもよく、水平視差マルチビューディスプレイは、カラーマルチビューディスプレイである。
【0057】
図4は、本明細書で開示される原理と一致する実施形態による、一例におけるピクセルビュー配置132及び傾斜マルチビーム列120を含む水平視差マルチビューディスプレイ100の一部分の平面図を示す。図4に示す水平視差マルチビューディスプレイ100は、限定ではなく例示として、9×1のビュー構成を有する。すなわち、図示の水平視差マルチビューディスプレイ100は、水平方向(すなわち、図示のように、x軸に沿って、又はx-z平面内)に、マルチビュー画像の9つのビューを提供する。9つのビューのいずれも、垂直方向(すなわち、図示のように、y軸に沿って、又はx-y平面内)に、垂直方向の広い角度範囲にわたって(例えば、「単一」ビューとして)見ることができる。このように、水平視差マルチビューディスプレイ100は、「9×1」水平視差マルチビューディスプレイ、又は9×1ビュー構成を有するものと呼ばれることがある。様々な実施形態によれば、水平視差マルチビューディスプレイ100は、全方向視差ディスプレイとほぼ同一の、又は同様の水平方向の実質的に均衡した解像度を提供することができる。
【0058】
さらに、図4に示すように、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置132は、9つのピクセルを含むことができ、各ピクセルは、9つのビューのうちの異なる1つのビューに対応する。図4に示す水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置132は、2つの隣接するピクセル行を含む。さらに、図示のように、ピクセル行のピクセルは、異なる番号のビューに対応して番号が付されている。例えば、図4に示すピクセルビュー配置132の第1の行は、順次配置された奇数番号のビュー(すなわち、番号1、3、5、7及び9の番号が付されたビュー)に対応する番号のピクセルを含み、第2の行は、同じく順次配置された偶数番号のビュー(すなわち、2、4、6、及び8の番号が付されたビュー)に対応するピクセルを含む。さらに、第2の行のピクセルは、第2の行の「2」とラベル付けされたピクセル(ビュー2に対応する)が第1の行の「3」とラベル付けされたピクセル(ビュー3に対応する)と垂直に整列するようなピクセル幅だけ、第1の行のピクセルからずらされている(すなわち、図示のように、ピクセル2及び3は、ピクセル列内の隣接ピクセルである)。図4に示すように、ピクセルビュー配置132のピクセル行の各々は、(例えば、図3Aに示すように)ライトバルブアレイの異なる集合のライトバルブ130に対応していてもよい。
【0059】
図4はまた、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置132にわたって延在する傾斜マルチビーム列120を示している。具体的には、傾斜マルチビーム列120は、水平視差マルチビューディスプレイ100の幅にわたって延在しており、ピクセルビュー配置132の中心付近又は中心を通過する。図示のように、傾斜マルチビーム列120の傾斜は、ピクセル幅及びピクセルビュー配置132の関数である。特に、図4に示す傾斜マルチビーム列120の傾斜は、ピクセルビュー配置132において、ピクセル幅をピクセルの行数で除算したものに等しい。したがって、図4では、傾斜マルチビーム列120の傾斜は、ピクセル幅を2で除算したもの、又は同等に、ピクセル幅の2分の1で与えられる。すなわち、傾斜マルチビーム列120は、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセル(又はライトバルブ130)の各行のピクセル幅の2分の1だけずらされている。したがって、図示のように、傾斜マルチビーム列120は、ピクセルビュー配置132の第1の行に位置するピクセル5の中心線を通って延在し、次いで第2の行のピクセル4とピクセル6との間に延在する。その結果、傾斜マルチビーム列120は、その中心線で、又はその中心線付近でピクセルビュー配置を通過することができる。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、ピクセルビュー配置132及びピクセルビュー配置132の中心を横切る傾斜マルチビーム列120の配置は、水平視差マルチビューディスプレイ100に実質的に均衡した解像度を提供してもよい。すなわち、ピクセルビュー配置132によって表されるビューは、2つの行にわたって広がっており、これにより、有効な水平解像度は低下する可能性があるが、垂直解像度は増加する。このように、いくつかの実施形態では、垂直解像度と水平解像度との間のギャップを低減することができ、垂直軸及び水平軸に沿ってほぼ同一の、又は同様の解像度が提供される。さらに、いくつかの実施形態では、傾斜マルチビーム列120は、対応する全方向視差ディスプレイの光要素と同じ効果的な照明を提供することができる。これは、傾斜マルチビーム列120が、全方向視差ディスプレイの光要素と比較して、水平視差マルチビューディスプレイ100の表面積のほぼ同じ割合をカバーするか、又はそのほぼ同じ割合重畳されているためである。特に、全方向視差ディスプレイの光要素は、マルチビューピクセルの9つのビューピクセルのうちの1つのビューピクセル、又は同等に、マルチビューピクセルの27個のカラーサブピクセルのうちの3つのカラーサブピクセルをカバーすることができる。したがって、光要素は、マルチビューピクセルの表面積の約9分の1(1/9)をカバーし、全方向視差マルチビューディスプレイの複数の光要素は、全視差マルチビューディスプレイの表面積の約9分の1をカバーすることができる。同等の解像度を有する水平視差マルチビューディスプレイ100は、全方向視差マルチビューディスプレイと同一の、又はほぼ同一の光要素とピクセルの比を維持することができる。その結果、傾斜マルチビーム列120は、図4に示す水平視差マルチビューディスプレイ100の実施形態のピクセルビュー配置132内の9つのピクセルのうちの約1つをカバーする。この実施形態に関して示された2つの行のピクセルビュー配置132では、傾斜マルチビーム列120は結果的に半ピクセルの幅を有し、傾斜マルチビーム列120の2つの行の半ピクセル幅は、ピクセルビュー配置132内の9つのピクセルの集合ごとに、傾斜マルチビーム列120の1つの完全なピクセルになる。他の実施形態では、水平視差マルチビューディスプレイ100の傾斜マルチビーム列120は、対応する全方向視差ディスプレイの光要素よりも多くの照明を提供することができる。
【0061】
したがって、隣接する傾斜マルチビーム列120は、ピクセルビュー配置132の幅にほぼ等しい距離だけ分離されている。特に、隣接する傾斜マルチビーム列120の中心線を分離する距離は、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置132内のピクセル数をピクセルビュー配置132内の行数で除算することによって与えることができる。この式を図4に示す実施形態に適用すると、傾斜マルチビーム列120間の距離は、4.5ピクセル幅である。
【0062】
上述のように、様々な実施形態では、傾斜マルチビーム列120は、複数のマルチビーム要素122を含む。いくつかの実施形態では、複数のマルチビーム要素122は、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセル行又はライトバルブ130の行ごとに異なる離散的なマルチビーム要素122’を有する離散的マルチビーム要素122’を含む。例えば、再び図4を参照すると、傾斜マルチビーム列120は、複数の離散的マルチビーム要素122’として示されている。複数の離散的マルチビーム要素の各離散的マルチビーム要素122’は、傾斜マルチビーム列120の傾斜を提供するために、傾斜マルチビーム列120の隣接する離散的マルチビーム要素122’に対してずらされている。図4に示すように、マルチビーム列120の傾斜はピクセルの半分の幅に等しく、各離散的マルチビーム要素122’は、隣接する離散的マルチビーム要素122’からピクセルの半分の幅だけ水平方向(図示のようにx方向)にずらされている。したがって、ピクセルビュー配置132の第2の行の離散的マルチビーム要素122’は、同じピクセルビュー配置132の第1の行の離散的マルチビーム要素122’から水平方向にずらされている。さらに、傾斜マルチビーム列120に沿った次のピクセルビュー配置132の第1の行の離散的マルチビーム要素122’は、前のピクセルビュー配置132の第2の行の離散的マルチビーム要素122’から半ピクセルだけずらされている。いくつかの実施形態では、離散的マルチビーム要素122’間の間隔は、ピクセルアレイ又はライトバルブアレイの隣接する行間の間隔にほぼ等しい。
【0063】
他の実施形態では、傾斜マルチビーム列120は、実質的に連続するマルチビーム要素122’’として配置された複数のマルチビーム要素122を含む。例えば、複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素(multibeam elements)122がそれぞれ回折格子を含む場合、マルチビーム要素122の回折格子は、連続マルチビーム要素122’’を効果的に提供するために端部と端部をつなげて配置されてもよい。図5は、本明細書で開示される原理と一致する実施形態による、一例における連続マルチビーム要素122’’を含む傾斜マルチビーム列120を有する水平視差マルチビューディスプレイ100の一部分を示す。図4と同様に、図5に示す水平視差マルチビューディスプレイ100の実施形態は、水平方向に9つのビューを提供するように構成される(すなわち、9×1ビュー構成)。さらに、図示のように、ピクセルビュー配置132は、図4の実施形態と同一である。しかしながら、互いにずらされて傾斜を形成する複数の離散的マルチビーム要素122’を含む傾斜マルチビーム列120を有した前述の実施形態とは異なり、図5に示す傾斜マルチビーム列120は、連続マルチビーム要素122’’を含む。連続マルチビーム要素122’’は、複数のマルチビーム要素122として端部と端部をつなげて接続された回折格子又は同様のマルチビーム要素構造を含んでもよく、図示のように傾斜マルチビーム列120として導光体の幅にわたって延在する。図5に示す連続マルチビーム要素122’’を含む傾斜マルチビーム列120の傾斜は、ピクセル幅をピクセルビュー配置132の行数で除算することによって与えられ、行ごとに2分の1のピクセル幅をもたらす。
【0064】
図6は、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における傾斜マルチビーム列120を含む水平視差マルチビューディスプレイ100の一部分の平面図を示す。図示された水平視差マルチビューディスプレイ100は、水平方向にマルチビュー画像の8つのビューを提供するように構成される(すなわち、8×1ビュー構成)。図4及び図5のディスプレイとは異なり、図6の水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置132は、8つの連続的に配置されたピクセルの単一の行を含む。水平視差マルチビューディスプレイ100は、傾斜マルチビーム列120をさらに含む。傾斜マルチビーム列120は、傾斜を形成するために、他のもう1つに対してずらされた複数のマルチビーム要素122を含む。特に、図示のような傾斜マルチビーム列120の傾斜は、ピクセル幅に等しい。したがって、傾斜マルチビーム列120を形成する複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素(multibeam elements)122は、ピクセルの幅だけ互いにずらされている。前述のように、複数の傾斜マルチビームの傾斜マルチビーム列(slanted multibeam columns)120の中心線間の間隔Sは、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置132の関数である。特に、間隔Sは、ピクセルビュー配置132のピクセルの行数で除算した、図示の水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置132におけるピクセル数(すなわち、ライトバルブ130の数)の関数である。したがって、図6の水平視差マルチビューディスプレイ100において、8つのピクセルは、傾斜マルチビーム列120の中心線を分離する。
【0065】
いくつかの実施形態では、水平視差マルチビューディスプレイ100は、カラーマルチビュー画像を提供又は表示するように構成されたカラーマルチビューディスプレイである。カラーマルチビューディスプレイでは、異なるピクセルが(例えば、カラーフィルタを使用して)異なる色を提供してもよく、したがって、カラーサブピクセルと呼ばれることがある。特に、赤-緑-青(RGB)を表すカラーサブピクセルの集合は、ライトバルブアレイ内の異なる色のライトバルブ130として互いに隣接して設けられてもよい。例えば、異なる色を表すカラーサブピクセルは、ピクセルの行に沿って(例えば、赤、緑、青、赤、緑、青などのように)交互になってもよい。これらの実施形態では、カラーマルチビューディスプレイのマルチビューピクセルは、ピクセルビュー配置における異なるピクセルの集合(例えば、3つ)によって表されてもよい。例えば、図4では、図示のように、ピクセルビュー配置132内に3つの異なるピクセルの集合が存在し得る。さらに、異なる集合の各々は、ビューごとに異なる色の光を表すカラーサブピクセルを有する。したがって、マルチビューピクセルの第1のピクセル集合(すなわち、第1のピクセルビュー配置132)は、ビュー1の緑色のカラーサブピクセルを含んでもよく、第2のピクセル集合(すなわち、第2のピクセルビュー配置132)は、ビュー1の青色のカラーサブピクセルを含んでもよく、第3のピクセル集合(すなわち、第3のピクセルビュー配置132)は、ビュー1の赤色のカラーサブピクセルを含んでもよい。同時に、3つのピクセル集合(すなわち、3つのピクセルビュー配置132)は、3つの全ての色(赤、緑、青)を有するビュー1にカラービューピクセルを提供する。同様に、図6では、カラーマルチビューピクセルの3つのピクセル集合は、図示のように、ピクセルの3行のピクセルビュー配置132によって提供することができる。
【0066】
再び図3A図3Cを参照すると、水平視差マルチビューディスプレイ100は、図示のように、光制御フィルム140をさらに含む。様々な実施形態によれば、光制御フィルム140は、傾斜マルチビーム列120と整列している傾斜光制御軸を有する。すなわち、光制御フィルム140の光制御軸の傾斜又は傾斜角は、傾斜マルチビーム列120の傾斜又は傾斜角と整列しているか、又は対応している。したがって、様々な実施形態によれば、光制御軸は、傾斜マルチビーム列120に実質的に平行である。さらに、様々な実施形態によれば、光制御フィルム140は、水平視差と直交する方向のマルチビュー画像のビュー角度を制御するように構成される。あるいは、光制御フィルム140は、水平視差に対応する方向のマルチビュー画像のビュー角度にほとんど又は全く影響を与えなくてもよい。
【0067】
図7Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における傾斜マルチビーム列120及び光制御フィルム140を含む水平視差マルチビューディスプレイ100の平面図を示す。図示のように、光制御フィルム140の光制御軸142は、傾斜マルチビーム列120と整列している(すなわち、傾斜マルチビーム列120に実質的に平行である)。いくつかの実施形態では、光制御フィルム140は、例えば、図3B図3Cに示すように、ライトバルブ130のアレイと導光体110の表面(例えば、第1の表面110’)との間に配置されてもよい。他の実施形態では、ライトバルブ130のアレイは、限定ではなく例示として、例えば図3A及び図7Aに示すように、導光体110と光制御フィルム140との間に配置されてもよい。
【0068】
様々な実施形態によれば、光制御フィルム140は、様々な光制御フィルム、プライバシーフィルタ、及び同様のプライバシーフィルムのいずれかを含むことができる。図7Bは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における光制御フィルム140の斜視図を示す。図示のように、光制御フィルム140は、光制御フィルム140を通過する光に対して不透明であるように構成された複数の平行なマイクロルーバ又はマイクロバッフル144を含む。平行なマイクロバッフル144の間において、光制御フィルム140は、光に対して実質的に透明である。平行なマイクロバッフル144は、平行なマイクロバッフル144の長さ方向に垂直な方向に最大量の角度制御を提供する。このように、定義により、光制御軸142は、図示のように、平行なマイクロバッフル144の長さ方向に対して垂直である。光制御フィルム140として使用され得る光制御フィルムの例には、光学的透明シリコンゴムと黒色シリコンゴムの層とが交互になった光学ルーバフィルムを含む、Shin-Etsu Polymers Europe B.V.によって製造された様々なビュー制御フィルム(VCフィルム)(例えば、www.shinetsu.info/vc_filmを参照)が含まれるが、これらに限定されない。別の非限定的な例では、光制御フィルム140は、ミネソタ州セントポールの3M Display Materials&Systems Divisionによって製造された高度光制御フィルム(例えば、ALCF-P又はALCF-A)を含むことができる。
【0069】
様々な実施形態によれば、光制御フィルム140は、光制御軸142の方向におけるマルチビュー画像の角度的な視認性(angular visibility)を最小限に抑えることができる。このように、反射が問題となり得る状況では、光制御フィルム140を有する水平視差マルチビューディスプレイ100が使用され得る。図7Cは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における光制御フィルム140を有する水平視差マルチビューディスプレイ100の側面図を示す。図示のように、水平視差マルチビューディスプレイ100は、自動車の計器盤に搭載されている。運転手106は、水平視差マルチビューディスプレイ100の水平視差の対応する平面の方向102aでマルチビュー画像を容易に見ることができる。一方、光制御フィルム140は、ビュー方向102bによって示すように、自動車のフロントガラス108から反射する水平視差マルチビューディスプレイ100のビューを本質的に遮断することができる。
【0070】
図8は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における水平視差マルチビューディスプレイ200のブロック図を示す。様々な実施形態によれば、図示の水平視差マルチビューディスプレイ200は、傾斜マルチビーム列及びピクセルビュー配置を使用して、水平視差を有するマルチビュー画像を表示する。いくつかの実施形態では、水平視差マルチビューディスプレイ200は、対応する全方向視差ディスプレイに相当する均衡した解像度を提供することができる。
【0071】
図8に示すように、水平視差マルチビューディスプレイ200は、バックライト210を備える。バックライト210は、互いに離間した複数の傾斜マルチビーム列212を備える。いくつかの実施形態では、バックライト210の複数の傾斜マルチビーム列212は、上述の水平視差マルチビューディスプレイ100の複数の傾斜マルチビーム列120と実質的に同様であってもよい。例えば、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(a slanted multibeam column)212は、バックライト210の幅にわたって延在してもよい。いくつかの実施形態では、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(slanted multibeam columns)212は、バックライト210の長さにわたって離間され、互いに平行であってもよい。いくつかの実施形態では、隣接する傾斜マルチビーム列212は、一定の間隔又は距離だけ互いに分離されている。
【0072】
様々な実施形態によれば、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(a slanted multibeam column)212は、マルチビュー画像のビュー方向に対応する異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビーム202として、バックライト210の光を散乱させるように構成される。例えば、バックライト210は、水平視差マルチビューディスプレイ100に関して上述した導光体110と実質的に同様の導光体を含んでもよく、傾斜マルチビーム列212は、導光体内で導かれた光の一部分を散乱させてもよい。傾斜マルチビーム列212は、回折格子、マイクロ反射要素、マイクロ屈折要素、又はそれらの様々な組み合わせを含む、バックライトの光を散乱させるように構成されたいくつかの異なる構造のうちの任意のものを含んでもよい。例えば、傾斜マルチビーム列212は、回折格子を含んでもよい。回折格子は、前述の水平視差マルチビューディスプレイ100の回折格子と実質的に同様であり得る。
【0073】
図8に示すように、水平視差マルチビューディスプレイ200は、複数の指向性光ビームの指向性光ビーム(directional light beams)を変調してマルチビュー画像を提供するように構成されたライトバルブ220のアレイをさらに含む。様々な実施形態において、アレイのライトバルブ220は、水平視差マルチビューディスプレイ200のマルチビューピクセルのピクセルに対応する。様々な実施形態では、異なるタイプのライトバルブが、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、及びエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されないライトバルブアレイのライトバルブ220として使用されてもよい。特に、バックライト210上の傾斜マルチビーム列212のアレイからの指向性光ビーム202は、変調された指向性光ビーム202を提供するために、ライトバルブアレイの個々のライトバルブ220を通過して変調されてもよい。異なる主角度方向(different principal angular directions)を有する指向性光ビーム(directional light beams)202の異なる指向性光ビーム(different ones)は、ライトバルブアレイ内のライトバルブ(light valves)220の異なるライトバルブ(different onves)を通過して変調されるように構成される。図8の破線の矢印は、変調された指向性光ビーム202を示し、その変調を強調するために使用される。さらに、水平視差マルチビューディスプレイ200のピクセルのサイズは、アレイのライトバルブ220のサイズに対応し得る。いくつかの実施形態では、ライトバルブのアレイは、水平視差マルチビューディスプレイ100に関して上述したライトバルブ130のアレイと実質的に同様であってもよい。
【0074】
様々な実施形態において、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(slanted multibeam column)212は、ライトバルブアレイのライトバルブ(light valves)220の列に対して傾斜を有する。さらに、様々な実施形態によれば、傾斜は、水平視差マルチビューディスプレイ200のピクセル幅及びピクセルビュー配置の関数である。特に、傾斜は、傾斜マルチビーム列212がまたがるピクセルの行又はライトバルブ220の行ごとのライトバルブの列に対する傾斜マルチビーム列212の局所的水平位置の変化として表すことができる。したがって、傾斜マルチビーム列212の傾斜は、上述の水平視差マルチビューディスプレイ100の傾斜マルチビーム列120の傾斜と実質的に同様であり得る。すなわち、いくつかの実施形態では、傾斜マルチビーム列212の傾斜は、水平視差マルチビューディスプレイ200のピクセルビュー配置において、ピクセル幅をピクセルの行数で除算したものに等しい。例えば、水平方向に9つのビューを提供するように構成された水平視差マルチビューディスプレイ200のピクセルビュー配置は、9つのピクセルを含むことができ、各ピクセルは、9つのビューのうちの異なる1つに対応する。さらに、水平視差マルチビューディスプレイ200のピクセルビュー配置は、ピクセルの2つの隣接する行を含むことができ、例えば、第1の行は、順次配置された奇数番号のビュー(例えば、1、3、5、7及び9の番号が付されたビュー)を含み、第2の行は、同じく順次配置された偶数番号のビュー(例えば、2、4、6、及び8の番号が付されたビュー)を含む。さらに、上述の図4に示すように、第2の行を第1の行からずらしてもよい。この例では、傾斜マルチビーム列212の傾斜は、ピクセル幅を2で除算したものと等しくてもよく、これにより、ピクセル幅の2分の1の傾斜が得られる。
【0075】
いくつかの実施形態では、複数の傾斜マルチビームの傾斜マルチビーム列212の中心線間の間隔は、ピクセルビュー配置のピクセルの行数で除算した、水平視差マルチビューディスプレイ100のピクセルビュー配置におけるピクセル数によって与えられる。例えば、前述の実施形態に関して、傾斜マルチビーム列212間の距離は、約4.5ピクセル(すなわち、4.5ピクセル幅)であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、傾斜マルチビーム列212は、複数の離散的マルチビーム要素を含むことができ、複数の離散的マルチビーム要素の各離散的マルチビーム要素は、ライトバルブアレイのライトバルブ220の隣接する行間の間隔に対応する距離だけ、隣接する離散的マルチビーム要素からずらされている。さらに、複数の離散的マルチビーム要素の各離散的マルチビーム要素は、隣接する離散的マルチビーム要素に対してずらされて、傾斜マルチビーム列212の傾斜を提供することができる。例えば、上述のようにピクセル幅の2分の1の傾斜を有する傾斜マルチビーム列において、いくつかの実施形態では、各離散的マルチビーム要素は、隣接するマルチビーム要素からピクセル幅の2分の1だけずらされてもよい。いくつかの実施形態では、離散的マルチビーム要素は、マルチビーム要素122、より具体的には、水平視差マルチビューディスプレイ100の傾斜マルチビーム列120に関して上述した離散的マルチビーム要素122’と実質的に同様であり得る。いくつかの実施形態では、傾斜マルチビーム列212は、連続マルチビーム要素を含んでもよい。連続要素は、いくつかの実施形態では、前述の水平視差マルチビューディスプレイ100の連続マルチビーム要素122’’と実質的に同様である。
【0077】
図8に示す水平視差マルチビューディスプレイ200は、水平視差に直交する方向のマルチビュー画像のビュー角度を制御するように構成された光制御フィルム230をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、光制御フィルム230は、水平視差マルチビューディスプレイ100に関して上述した光制御フィルム140と実質的に同様であってもよい。特に、光制御フィルム230は、傾斜マルチビーム列212と整列している傾斜光制御軸を有する。すなわち、様々な実施形態によれば、光制御フィルム230の傾斜光制御軸は、バックライト210の傾斜マルチビーム列212に平行である。いくつかの実施形態では、ライトバルブ220のアレイは、図8に示すように、光制御フィルム230と複数の傾斜マルチビーム列212を有するバックライト210との間にある。水平視差マルチビューディスプレイ200に関して明示的に示されていない他の実施形態では、光制御フィルム230は、ライトバルブ220のアレイとバックライト210との間に配置されてもよい。
【0078】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、水平視差マルチビューディスプレイを使用するマルチビューディスプレイの動作の方法が提供される。図9は、本明細書の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの動作の方法300のフローチャートを示す。図9に示すように、マルチビューディスプレイの動作の方法300は、導光体の長さに沿って導波光として光を導くステップ310を含む。様々な実施形態によれば、導波光は、導光体内で非ゼロ伝播角度で導かれてもよい。いくつかの実施形態では、導光体は、水平視差マルチビューディスプレイ100に関して上述した導光体110と実質的に同様であってもよい。例えば、導波光が導かれてもよく、したがって、導光体内の内部全反射を使用して導光体に沿って伝播してもよい。
【0079】
マルチビューディスプレイの動作の方法300は、導光体の長さに沿って配置され、互いに離間した複数の傾斜マルチビーム列を使用して、指向性光ビームとして導波光の一部分を導光体から散乱させるステップ320をさらに含む。様々な実施形態によれば、指向性光ビームは、マルチビュー画像又はマルチビューディスプレイの同等物のビュー方向に対応する方向を有する。いくつかの実施形態では、導光体の傾斜マルチビーム列は、上述の水平視差マルチビューディスプレイの傾斜マルチビーム列120と実質的に同様であってもよい。例えば、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(slanted multibeam column)は、導光体の幅に沿って延在し、導光体のy軸に実質的に沿って配向されている。さらに、いくつかの実施形態では、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列は、導光体の長さにわたって離間していてもよく、また、互いに平行であってもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、複数のマルチビーム列の隣接するマルチビーム列(adjacent multibeam columns)は、同じ間隔又は距離だけ互いに分離されている。傾斜マルチビーム列は、回折格子、マイクロ反射要素、マイクロ屈折要素、又はそれらの様々な組み合わせを含む、導波光の一部分を導光体から散乱するように構成されたいくつかの異なる構造のうちの任意のものを含んでもよい。例えば、傾斜マルチビーム列は、回折格子を含んでもよい。回折格子は、前述の水平視差マルチビューディスプレイ100の回折格子と実質的に同様であり得る。
【0081】
図9に示すように、マルチビューディスプレイの動作の方法300は、水平視差を有するマルチビュー画像を提供するために、ライトバルブのアレイを使用して指向性光ビームを変調するステップ330をさらに含み、アレイのライトバルブは、マルチビューディスプレイのピクセルに対応する。いくつかの実施形態では、ライトバルブのアレイは、上述の水平視差マルチビューディスプレイ100のライトバルブ130のアレイと実質的に同様であってもよい。様々な実施形態では、異なるタイプのライトバルブが、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、及びエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されないライトバルブアレイのライトバルブとして使用されてもよい。
【0082】
様々な実施形態では、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(slanted multibeam column)は、水平視差マルチビューディスプレイのピクセル幅及びピクセルビュー配置の関数である傾斜を有する。傾斜は、傾斜マルチビーム列がまたがるピクセルの行又はライトバルブの行ごとの傾斜マルチビーム列の局所的水平位置の変化として表すことができる。いくつかの実施形態では、傾斜マルチビーム列の傾斜は、水平視差マルチビューディスプレイのピクセルビュー配置において、ピクセル幅をピクセルの行数で除算したものに等しい。いくつかの実施形態では、傾斜は、上述の傾斜マルチビーム列120の傾斜と実質的に同様である。例えば、傾斜マルチビーム列の傾斜は、ピクセルビュー配置が2つの行のピクセル、又は同等に2つの行のライトバルブを有する場合、ピクセル幅の2分の1に対応し得る。別の例では、傾斜マルチビーム列の傾斜は、ピクセルビュー配置が1つの行のピクセル又はライトバルブを有する場合、ピクセル幅に対応し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜マルチビーム列(a slanted multibeam column)は、複数の離散的マルチビーム要素を含み、各離散的マルチビーム要素は、傾斜マルチビーム列の長さに沿って、複数の離散的マルチビーム要素のうちの他の離散的マルチビーム要素から離間している。さらに、複数の離散的マルチビーム要素の各離散的マルチビーム要素は、隣接する離散的マルチビーム要素に対してずらされて、傾斜マルチビーム列の傾斜を提供することができる。例えば、ピクセル幅の2分の1の傾斜を有する傾斜マルチビーム列において、各離散的マルチビーム要素は、隣接するマルチビーム要素からピクセル幅の2分の1だけずらされてもよい。いくつかの実施形態では、離散的マルチビーム要素は、マルチビーム要素122、より具体的には、水平視差マルチビューディスプレイ100の傾斜マルチビーム列120に関して上述した離散的マルチビーム要素122’と実質的に同様であり得る。
【0084】
他の実施形態では、複数の傾斜マルチビーム列の1つの傾斜マルチビーム列は、傾斜マルチビーム列の長さに沿って延在する連続マルチビーム要素を含む。いくつかの実施形態では、連続要素は、前述の水平視差マルチビューディスプレイ100の連続マルチビーム要素122’’と実質的に同様であってもよい。
【0085】
図9に示すように、マルチビューディスプレイの動作の方法300は、複数の傾斜マルチビーム列の傾斜と整列している傾斜光制御軸を有する光制御フィルムを使用して、水平視差に直交する方向にマルチビュー画像のビュー角度を制御するステップ340をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、光制御フィルムは、水平視差マルチビューディスプレイ100の上述の光制御フィルム140と実質的に同様であってもよい。例えば、光制御フィルムは、マイクロルーバを備えてもよく、光制御軸は、マイクロルーバの方向に垂直な方向として規定されてもよい。いくつかの実施形態では、光制御フィルムは、ライトバルブのアレイと導光体の表面との間に配置されてもよく、他の実施形態では、ライトバルブアレイは、光制御フィルムと導光体表面との間に配置されてもよい。
【0086】
このように、傾斜光制御軸を備えた光制御フィルムを有する水平視差マルチビューディスプレイを用いて、マルチビュー画像を表示する水平視差マルチビューディスプレイ及びマルチビューディスプレイの動作の方法の例及び実施形態を説明してきた。上述の例は、本明細書に記載の原理を表す多くの特定の例のうちのいくつかの単なる例示であることを理解されたい。当分野の技術者は明らかに、以下の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、多数の他の構成を容易に考案することができる。
【符号の説明】
【0087】
10 マルチビューディスプレイ
12 スクリーン
14 ビュー
16,102b ビュー方向
20 光ビーム
30 回折格子
40,110 導光体
50 光ビーム
60,102,202 指向性光ビーム
100,200 水平視差マルチビューディスプレイ
102a 方向
103 伝播方向
104 導波光、導波光ビーム
106 運転手
108 フロントガラス
110’ 第1の表面
110” 第2の表面
120,212 傾斜マルチビーム列
120a 第1の傾斜マルチビーム列
120b 第2の傾斜マルチビーム列
122 マルチビーム要素
122’ 離散的マルチビーム要素
122” 連続マルチビーム要素
130,220 ライトバルブ
130a 第1のライトバルブの集合
130b 第2のライトバルブの集合
132 ピクセルビュー配置
140,230 光制御フィルム
142 光制御軸
144 マイクロバッフル
210 バックライト
300 マルチビューディスプレイの動作の方法
310 光を導くステップ
320 散乱させるステップ
330 変調するステップ
340 ビュー角度を制御するステップ
θi 入射角
θm 回折角
θ,φ 角度成分
θ 仰角
φ 方位角
О 原点
S 間隔
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
【国際調査報告】