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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-09
(54)【発明の名称】組織コアリングデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20220426BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
A61B10/02 110B
A61B17/56
A61B10/02 110K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554996
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 US2020022184
(87)【国際公開番号】W WO2020185961
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】62/816,699
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519313219
【氏名又は名称】エムエフアール テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MFR TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラフリン、トレバー ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】サラディノ、ジョセフ ジュード
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、ダニエル エム.
(72)【発明者】
【氏名】コー、ジェイソン エル.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL07
4C160LL24
4C160LL70
(57)【要約】
骨と骨髄の制御された反復可能な除去を可能にする自動組織コアリングデバイス。このデバイスは、ハンドル、前進機構に結合された付勢要素、アクチュエータ、および中空の貫通針を含む。骨および骨髄生検、骨髄吸引、および骨髄強化組織修復のための方法が、本明細書に記載のデバイスを使用して導入される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織コアリングデバイスであって、
ハンドルと、
デバイス本体内の中空シャフトと、
付勢要素であって、ハンドル内に収容され、線形前進機構に結合されている付勢要素と、
第1のアクチュエータと、
中空の貫通針であって、第1のアクチュエータが動作可能に接続されている中空の貫通針と、を備えている組織コアリングデバイス。
【請求項2】
前記貫通針が角度の付いた先端を有している、請求項1に記載の組織コアリングデバイス。
【請求項3】
前記中空シャフトの遠位部分がコアリング位置にアクセスするために湾曲している、請求項1に記載の組織コアリングデバイス。
【請求項4】
前記付勢要素が、インデックスおよびインパクタ機構に動作可能に接続されている、請求項1に記載の組織コアリングデバイス。
【請求項5】
前記付勢要素の線形前進機構が、線形インデックスジュネーブ機構、ラックアンドピニオン、スライダクランク、バレルカムおよびフォロア、スロット付きバークイックリターン機構、ウィットワース機構、振動ペネトレータ、または振動斜板機構から選択される、請求項4に記載の組織コアリングデバイス。
【請求項6】
後退のために前記貫通針に動作可能に接続されている第2のアクチュエータをさらに備えている、請求項1に記載の組織コアリングデバイス。
【請求項7】
トグルおよび前記第1のアクチュエータの二次モードをさらに備えている、請求項1に記載の組織コアリングデバイス。
【請求項8】
前記中空シャフトが前記ハンドルから取り外して、他の付属部品と交換することができる、請求項1に記載の組織コアリングデバイス。
【請求項9】
前記中空シャフトが、吸引用のポートを有する中空チューブと、第1のスライダーとを備えており、第1のスライダーが切断用先端を有している、請求項1に記載の組織コアリングデバイス。
【請求項10】
前記貫通針内に配置された長尺状のスライダをさらに備えている、請求項1に記載の組織コアリングデバイス。
【請求項11】
組織コアリングデバイスを使用した骨髄生検の方法であって、
対象部位に組織コアリングデバイスの貫通針の遠位先端を配置することと、
第1のアクチュエータを握ることによって付勢要素をチャージすることと、
骨表面に先端圧力を加え、第2のアクチュエータのトリガーを握ることによって第1の衝撃または前進を行うことと、
針上の印または組織コアリングデバイスのハンドルの窓によって先端の深さを監視することと、
所望の深さを得るまで、衝撃または前進を繰り返し行うことと、
中空シャフトの先端を所定の位置に配置することと、
前記ハンドルを引き戻して、前記貫通針を骨から後退させることと、
組織コアリングデバイスからコア付きの前記貫通針を取り外すことと、を含む方法。
【請求項12】
組織コアリングデバイスのアダプタに密封フィッティングを取り付けることと、
前記中空シャフトの最近位部を密閉し、前記フィッティングと中空シャフトの端部との間に連続チャネルを形成することと、
血液と骨髄を引き抜くために前記フィッティングに対して吸引を行うことと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィッティングを取り付ける前に、組織コアリングデバイスの後ろから第2の中空の長尺状本体を挿入することと、
長尺状のスライダでワイヤ開口部に骨組織コアを押し込むことにより、針から骨組織コアを取り出すことと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
骨髄強化組織修復のための方法であって、
対象部位に組織コアリングデバイスの貫通針の遠位先端を配置することと、
第1のアクチュエータを握って付勢要素をチャージすることと、
骨の表面に先端圧力を加えることと、
第2のアクチュエータのトリガーを握ることで針を前進させることと、
所望の深さに達するまでトリガーによる衝撃や前進を繰り返すことと、
組織コアリングデバイスのハンドルにあるトグルを操作して後退モードを起動することと、
第2のアクチュエータを握って針を後退させることと、
前進モードに切り替えて、骨に所望の数の穴が作られるまで繰り返すことと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療処置のためのデバイス、より詳細には、骨髄アクセスのためのデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療専門家は、トレフィン生検、骨髄穿刺、または骨髄強化組織修復のために骨髄にアクセスすることがある。骨髄穿刺およびトレフィン生検は、多くの場合、介入放射線科医および血液病理医によって実施または指示されるが、骨髄強化組織修復術は大抵整形外科医によって実施される。
【0003】
骨髄穿刺では、生検部位に穴を開けて針を刺し、液状の血液と骨髄を採取する。血液細胞と骨髄細胞を調べて、血液疾患、染色体異常、感染症がないか確認する。
骨髄トレフィン法では、患者の健康状態を評価し、リンパ腫、白血病、骨髄腫などの癌を診断するために、骨の解剖学的構造のコアを患者から取り出して骨髄構造を観察する。骨髄穿刺と骨髄トレフィンの併用が最もよく行われ、最初に骨髄穿刺が行われ、次にトレフィン摘出が行われる。
【0004】
本発明の第2の一般的な使用例は、軟骨下骨の骨髄を刺激して軟骨を修復することである。骨髄には、治癒力や再生力に優れた幹細胞が豊富に含まれている。他の例には、肘の外側上顆炎、膝蓋骨の腱鞘炎、股関節の大腿筋腱鞘炎、足首のアキレス腱鞘炎などの腱障害の治癒促進、膝の内側側副靭帯の捻挫などの靭帯治癒促進、肩の腱板の腱と骨の修復などの軟部組織と骨の治癒促進、骨折の際の骨の治癒促進、人工関節の治癒促進のための骨の調整(preparation)などが挙げられる。
【0005】
骨髄およびその関連細胞は、磨耗、損傷、または障害の領域において医学的に価値のある再生特性を有することが知られている。多くの場合、軟部組織や骨の治癒には、骨に小さな穴を開けて骨髄にアクセスする方法が有効である。その1つが、関節軟骨の修復である。関節軟骨は、骨の末端を覆う滑らかで摩擦の少ない組織で、健康な関節機能を実現する。関節軟骨は、スポーツでよく見られるように、過度の摩耗や外傷により損傷を受けやすい。関節軟骨が損傷すると、患者に痛みや運動能力の低下を招き、場合によってはその後の関節炎を引き起こすことがある。関節軟骨は、血流がないために自然に自己修復する能力が極めて限られている。
【0006】
マイクロフラクチャー術は、関節軟骨の修復を補助して関節機能を改善する方法である。マイクロフラクチャーは、皮質骨に小さな穴を開けることで、血液や骨髄に含まれる軟骨を作る細胞がその下の海綿骨から関節表面に移動するための経路を作る。マイクロフラクチャー法は通常、ハンマーで叩くオウル(awl)やピックを使用して行う。
【0007】
また、腱板断裂や、肘関節外側上顆炎、膝蓋腱症、アキレス腱炎などの様々な挿入型腱障害のように、軟部組織が骨に付着するような変性疾患では、治癒が制限されたり損なわれたりすることがよくある。このような状況では、やはり血流が限られているか、あるいは存在しないため、必要な細胞や成長因子にアクセスできず、治癒が損なわれてしまう。
【0008】
骨に穴を開けたり、穿孔したりして、骨髄や血液が損傷部位にアクセスできるようにする。同様に、骨折の治癒が遅れたり、なかったりする場合や、インプラント治療のために骨の表面を整える際には、比較的血行の悪い部分に骨髄や血液が届くように穴を開けることがよくある。いくつかの骨髄アクセス装置、例えば、特許文献1に開示された骨髄アクセス装置は、角度のついたカニューレにハンマーでワイヤを打ち込んで使用する。ハンマーとオウルの方法と同様に、この方法は操作に最低3人の手を必要とし、マイクロフラクチャー法で問題となる主観的で制御されていない外力の伝達により、安定した結果が得られない。マイクロフラクチャー法の報告された臨床結果は、一部の症例では非常に良好であるが、他の研究者は比較的不良な結果を報告している。これには、手動で行う技術のばらつきが関係していると思われる。手技の効果を高めるためには、視認性の良さなど、外科医の積極的なフィードバックが何よりも重要である。多くの骨髄アクセス処置は関節鏡を使って行われる。手術用スコープ(関節鏡)の操作には、集中力と正確さ、そして安定した手が必要であり、緻密な穴あけの調整もそのような能力に依存する。したがって、主たる操作者は、手術用スコープの制御を維持したいと考えることが多い。これにより、主たる操作者のもう一方の手は、2つの作業、すなわち、オウルを持つか、ハンマーを振るか、のどちらかに使える。どちらも効果的に操作するためには同等以上の技巧を必要とし、相互におよび手術用スコープに依存し合っている。
【0009】
今日まで、マイクロフラクチャー法を実行する典型的な方法は、先端に角度のついた長手方向のオウルと、オウルのハンドルの近位端に衝撃を与えるためのハンマーとを保持することを含む。同時に、外科医が先端の位置合わせ、貫通の深さ、および形成された各穴からのその後の血流を確認できるように、外科用スコープを保持および配置する必要がある。そのため、歴史的に認められた方法でこのような処置を行うには、少なくとも3人の手が必要であるという問題がある。各ツールは慎重に正確に操作しなければならず、各ツールからのフィードバックは相互に依存しているが、最低2人の操作者でマイクロフラクチャー法の手順を調整することは難しいことである。
【0010】
骨にマイクロフラクチャーの穴を開ける際には、いくつかの技術的な課題がある。比較的血管の少ない軟骨下骨の下にある骨髄要素に適切にアクセスするためには、貫通深度が十分でなければならない。このような穴には、骨髄や血液が骨の表面に到達するのに十分な幅が必要であるが、骨の耐荷重特性に大きな影響を与えるほどの大きさではない。穴の間隔は、表面を覆うように十分な流量を確保しつつ、互いにつぶれないようにする必要がある。理想的には、骨の表面にアクセスできるように最小限の組織に穴が開けられるように、穴は表面に対して垂直でなければならない。
【0011】
標準的な手法では、ハンマーを使用して、オウルの後端に手動で衝撃を与える。そのため、力の入れ具合が大きく変わり、結果的に穴の大きさや深さが予測できないことがある。また、過剰な負荷がかかると、患者に著しい骨の浮腫や痛み、機能低下を引き起こす可能性がある。さらに、ハンマーによって加えられる力の方向は、先端の向きとは実質的に一致しておらず、先端が骨の表面に対して垂直でないことがある。その結果、軟骨下の骨に斜めの穴や谷ができてしまい、望ましくない損傷を受けることがよくある。
【0012】
多くの場合、オウルの先端に伝達される横方向の力によって、先端が隣接する穴に入り込み、軟骨下骨が大きく破損してしまう。また、個々の穴が必要以上に広くなり、合併症や回復に時間がかかってしまうこともある。また、オウルの種類や大きさ、先端の形状も複数ある。これらの設計の多くは、斜めに加えられたハンマーの力に耐えられるように、先端が非常に太く頑丈に作られているが、これでは穴の大きさに問題が生じる。さらに、これらの器具は複数回使用するものが多く、時間の経過とともに先が鈍くなったり鋭利でなくなって、穴を開けるためにさらに力を加える必要がある。
【0013】
本発明の別の応用例としては、骨折の癒合、融合、人工関節の治癒など、軟部組織や骨の治癒を促進するために、骨髄や血液へのアクセスを向上させることである。前述の方法では、骨髄へのアクセスが不十分なため、前駆細胞や成長因子が減少し、最終的には標準以下の臨床結果となる可能性がある。現在、このアクセスには、先に述べたような欠陥のあるオウルを使用するか、骨に穴を開けるかのいずれかの方法が取られている。
【0014】
骨に穴をあけることにはいくつかの制限があり、一般的には、低侵襲手術ではなく切開手術で行われる。穴あけの角度は通常、まっすぐなドリルビットを使用して制限される。穴が大きいと、下にある骨組織が弱くなり、小さいドリルビットは、パワードリルの不便な位置とアンバランスな大きさのため、破損しやすくなる。また、穴開けは骨の熱壊死(死)にも関係しており、治癒環境では逆効果となる。これは、多くのドリルビットが再利用されているため、使い続けると鋭利でなくなってしまうことで悪化する。最後に、一般的な寸法のドリルとビットによる穴開けは、通常、隣接する組織を引っ込めるために補助者を必要とする二人で行う操作である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第9510840号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の複数の問題を解決する、マイクロフラクチャー法および他の骨髄アクセス処置で使用するための新規な器具を紹介するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この新規な器具は、片手で操作することができ、歴史的に受け入れられてきたマイクロフラクチャー法のハンマーとオウル、または安定したドリルとビットの両方を模している。そのような形態では、1人の操作者が、各必須の外科的要素を同時に正確に調整することができる。
【0018】
さらに、まっすぐなオウルやドリルビットとは異なり、このデバイスは骨にアクセスするための角度を変えることができる。本発明は、先端の向きに合わせてより良い方向に力を伝達する手段を例示する。このデバイスは、先端に正確な荷重と方向性を与えることができ、その結果、穴の大きさ、形状、深さをより適切に制御することができる。
【0019】
また、先端を使い捨てにすることで、使用時の平均的な切れ味を高めることができるという利点もある。
本発明は、組織に穴を開けるための片手でできる解決策を含む。本発明の一実施形態では、デバイスによって行われる安全で無菌の処置を保証するために、デバイス全体が使い捨てである。別の実施形態では、先端は取り外し可能であり、標準的な再処理方法によって洗浄することができる。
【0020】
さらに別の実施形態では、本発明は、エネルギー貯蔵要素を有する手持ち式外科用器具を含み、エネルギー貯蔵要素は、衝撃機構に結合されたばねであり、衝撃機構は、骨に衝撃を与えるように構成された先端具を有し、先端具は、先細状の先端を含み、動力伝達機構は、エネルギー貯蔵要素から衝撃機構にエネルギーを伝達するように構成され、動力伝達機構は、中空シャフトによって案内される半可撓性金属ワイヤを含み、中空シャフトは、遠位端を含み、半可撓性金属ワイヤは、遠位端に向かって屈曲部を有する。トリガー機構は、エネルギー貯蔵要素からエネルギーを放出するように構成され、屈曲部は角度を有し、トリガー機構は、作動すると、同時に先端具を引っ込めてエネルギー貯蔵要素をチャージする手動レバーを含む。
【0021】
代替の実施形態では、本発明は、エネルギー貯蔵要素を備える手持ち式手術器具の使用を含む手術を実施する方法であって、エネルギー貯蔵要素は、衝撃機構に結合されたばねである。衝撃機構は、骨に衝撃を与えるように構成された先端具を有し、先端具は先細状の先端を含む。動力伝達機構は、エネルギー貯蔵要素から衝撃機構にエネルギーを伝達するように構成され、動力伝達機構は、中空シャフトによって案内される半可撓性の金属ワイヤを含み、中空シャフトは遠位端を有する。半可撓性金属ワイヤは、遠位端に向かって屈曲部を有する。トリガー機構は、エネルギー貯蔵要素からエネルギーを放出するように構成され、屈曲部は角度を有し、トリガー機構は、作動すると、同時に先端具を引っ込めてエネルギー貯蔵要素をチャージする手動レバーを含む。
【0022】
本発明は、ハンドル、中空シャフト、付勢要素、第1のアクチュエータ、および長尺状の部分と鋭利な先端とを備えた中空の貫通針を含む自動組織コアリングデバイスである。中空シャフトの遠位部分は、低侵襲処置の際のアクセスを向上させるために、任意選択的に湾曲している。ハンドルは、任意選択的にインパクタおよびインデックス機構に構成された付勢要素を収容し、これにより、使用者が第1のアクチュエータを作動させる(trigger)することで、既知の力を加えおよび/または既知の距離を前進させることができる。付勢要素は、例えば、以下のリストなどにある1つまたは複数の線形前進機構と結合することができるが、これに限定されるものではない。線形インデックスジュネーブ機構、ラックアンドピニオン、スライダークランク、バレルカムおよびフォロア、スロット付きバークイックリターン機構、ホイットワース機構、振動ペネトレータ、振動斜板機構。
【0023】
貫通針の先端は、任意選択の第2のアクチュエータ、任意選択のトグル、第1のアクチュエータの二次モード、またはそれらのいくつかの組み合わせを使用して後退させることができる。限定ではなく例として、第1のアクチュエータの二次モードは、第1のアクチュエータを前方に押すことによって可能になり、それにより、当業者が作ったような第1のアクチュエータと中空針との間の内部キャッチを嵌合させ、その後、引き戻して針を後退させる。中空シャフトとその内部部品は、任意選択でハンドルから取り外して、他の付属部品と交換することができる。1つの例示的な実施形態では、システムは、吸引用のポートを備えた中空チューブを含み、切断用先端を備えた中実の取り外し可能な長尺状のスライダを収容する、吸引のための第1の構成と、中空針とカラム支持用の第2の長尺状のスライダとを含む、コアリング用の第2の構成とを含む。この例示的な実施形態では、皮質骨層の穴を第1の長尺状のスライダで形成し、第1の長尺状のスライダを穴から除去して吸引して液状の血液および骨髄を摘出し、第1の長尺状のスライダを近位側のハンドルから外し、中空シャフトを所定の位置に保ちながら、中空針と第2の長尺状のスライダに交換し、次に、針の先端を骨表面を越えて前進させてコアサンプルを採取するのに十分な深さに進める。
【0024】
本発明は、骨髄生検に利用可能な自動組織コアリングデバイスを含む。一実施形態では、骨髄生検は、以下の手順で実行される。遠位先端を対象部位に配置する。次に、レバーまたは第1のアクチュエータを握って(squeeze)、内部スプリングまたは付勢要素をチャージする。骨表面に先端圧力を加え、トリガーまたは第2のアクチュエータを握って第1の衝撃または前進を行う(actuate)。目的の深さに達していない場合は、衝撃または前進を再度行う。深さは、針上の印や、針がその開始位置からどれだけ移動したかを示すハンドルの窓で示すことができる。目的の深さになるまで、衝撃や前進を繰り返し行う。中空シャフトの先端が所定の位置にある状態で、ハンドルのトグルを引いて針を骨から引き抜く。コアが入った貫通針をデバイスの後ろから取り出す。付属の密封フィッティングをアダプタに取り付け、中空シャフトの最近位部を密封し、フィッティングとシャフトの端部との間に連続したチャネルを形成する。中空シャフトの先端を穴の入口にしっかりと固定した状態で、血液や骨髄を吸引する。フィッティングを取り付ける前に、第2の中空の長尺状の本体をデバイスの後ろから挿入して、近位部を密閉し、遠位端を先細りにして、骨の穴をしっかりと密封することができる。最後に、長尺状のスライダを用いてワイヤ開口部を介して針から骨組織コアを取り出す。
【0025】
別の実施形態において、本発明の自動組織コアリングデバイスは、骨髄強化組織修復に利用することができる。骨髄刺激は、以下の詳細な手順を実行することによって達成される。遠位先端を対象部位に配置し、次に、レバー(第1のアクチュエータ)を握って内部スプリング(付勢要素)をチャージする。骨表面に先端圧力を加え、トリガー(第2のアクチュエータ)を握って第1の衝撃または前進を行う。目的の深さに達していない場合は、衝撃または前進を再度行う。深さは、針上の印や、針がその開始位置からどれだけ移動したかを示すハンドルの窓で示すことができる。目的の深さになるまで、衝撃や前進を繰り返し行う。所望の深さに達したら、ハンドルのトグルを係合させて後退モードを作動させ、次に第2のアクチュエータを握って針を後退させる。アクチュエータがストロークの終わりに達すると、トグルは前進モードに戻される。必要な数の穴が骨に形成されるまで、手順を繰り返す。新しい穴を開けるたびに、コアを前の穴からさらに近位方向に中空の貫通針内に押し込む。別の実施形態では、各コアリング作業の後に長尺状のスライダを使用してコアを押し出して配置し、次のコアリング作業のために遮るものがない針の開口部を確保する。
【0026】
これらおよび他の様々な特徴は、本明細書に添付された特許請求の範囲において特に指摘され、本明細書の一部を形成する。また、本明細書のさらなる部分を形成する図面、および付随する説明事項も参照されるべきであり、そこには、システム、装置、および方法の代表的な例が示され、説明されている。
【0027】
上記した概要は、本明細書の主題の例示された各実施形態またはすべての実施形態を説明することを意図するものではない。
以下の図面および詳細な説明は、様々な実施形態をより具体的に例示している。
【0028】
本明細書の主題は、添付の図面に関連する様々な実施形態について以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】自動組織コアリングデバイスの側面図を示す。
図2】骨の表面に配置された中空シャフト内の中空針の断面を示す。
図3】中空シャフトに対して既知の距離だけ進んだ中空針の先端を示す。
図4】中空シャフトに対して既知の距離の倍だけ進んだ中空針の先端を示す。
図5】自動化された組織移植の方法を示し、固形の骨と液状の骨髄の両方が、除去または移植のために部位から得られる。
図6】コア保持要素を備えた中空の貫通針の断面を示す。
図7】血液または骨髄の吸引装置を示し、この装置によって穴が作成され、負圧を利用して流体が引き出される。
図8】マルチルーメンチューブを使用して骨から再生細胞を引き出すための吸引機構を示す。
図9】本発明を使用する生検方法を説明するブロック図を示す。
図10】本発明を使用する骨髄刺激方法を説明するブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
様々な実施形態は、様々な修正および代替の形態に従うが、それらの詳細は、例として図面に示され、詳細に説明される。
しかしながら、その意図は、特許請求の範囲に記載された発明を記載された特定の実施形態に限定するものではない。逆に、その意図は、特許請求の範囲によって定義される主題の精神および範囲内にあるすべての修正、同等物、および代替物を網羅することである。
【0031】
図1に示すように、自動組織コアリングデバイス1は、ハンドル11、中空シャフト12、付勢要素13、第1のアクチュエータ14、および長尺状部分と鋭利な先端152とを有する中空貫通針を備える。中空シャフトの遠位部分122は、低侵襲処置の際のアクセスを向上させるために、任意選択的に湾曲している。ハンドルは、任意選択でインパクタおよびインデックス機構131に合わせて形成された付勢要素13を収容し、これにより、使用者は、第1のアクチュエータ14を作動させて(trigger)、中空貫通針の先端に対して既知の力を加えおよび/または既知の距離を前進させることができる。付勢要素は、例えば、以下のリストなどにある1つまたは複数の線形前進機構と結合することができるが、これに限定されるものではない。線形インデックスジュネーブ機構、ラックアンドピニオン、スライダークランク、バレルカムおよびフォロア、スロット付きバークイックリターン機構、ホイットワース機構、振動ペネトレータ、振動斜板機構。貫通針の先端は、任意選択の第2のアクチュエータ16、任意選択のトグル132、第1のアクチュエータの二次モード、またはそれらのいくつかの組み合わせを使用することによって後退させることができる。
【0032】
限定ではなく例として、第1のアクチュエータの二次モードは、第1のアクチュエータを前方に押すことによって可能になり、それにより、当業者が作ったような第1のアクチュエータと中空針との間の内部キャッチを嵌合させ、次いで、引き戻して針を後退させる。中空シャフトとその内部部品は、任意選択でハンドルから取り外して、他の付属部品と交換することができる。1つの例示的な実施形態では、システムは、吸引用のポートを備えた中空チューブを含み、切断用先端を備えた中実の取り外し可能な長尺状のスライダを収容する、吸引のための第1の構成と、中空針とカラム支持用の第2の長尺状のスライダとを含む、コアリング用の第2の構成とを含む。この例示的な実施形態では、皮質骨層の穴を第1の長尺状のスライダで形成し、第1の長尺状のスライダを穴から除去し、吸引して液状の血液および骨髄を摘出し、第1の長尺状のスライダを近位側のハンドルから外し、中空シャフトを所定の位置に保ちながら、中空針と第2の長尺状のスライダに交換し、次に、針の先端を骨表面を越えて前進させてコアサンプルを採取するのに十分な深さに進める。
【0033】
図2に示すように、デバイスの遠位先端、より具体的には、中空シャフト12の遠位先端122は、対象部位で骨表面2に対して配置される。中空針15の前進が行われる前に、鋭利な先端152は、最初の実施形態では、骨表面22またはその近位に配置される。
【0034】
図3に示すように、デバイスの遠位先端、より具体的には、中空シャフト12の遠位先端122は、対象部位で骨表面22に対して配置される。使用者による1回の操作と、それに伴う付勢要素を介した中空貫通針15の前進により、鋭利な先端は、骨22の表面を越えて、血液や骨髄を含む下層の骨2の中へと既知の距離1311だけ前進する。あるいは、針の先端は、既知の力で、視覚的に測定可能な距離で前進させることができる。さらに、その既知の力は、必要に応じて使用者が調整することができる。限定ではなく例として、最初は比較的小さい力で始め、通常の骨よりも密度が高い場合、使用者はハンドルハウジングのダイヤルを調整して、ばねの変形を大きくし、より多くの力を出力することができる。
【0035】
図4に示すように、デバイスの遠位先端、より具体的には、中空シャフト12の遠位先端122は、対象部位で骨表面22に対して配置される。2回の使用者による操作と、付勢要素を介した中空貫通針15の関連する前進の後、鋭利な先端は、既知の距離1311の2倍の距離を進み、骨22の表面を越えて、血液および骨髄を含む下層の骨2内へと前進する。針の先端の前進は、コア21の摘出のために所望の深さに達するまで繰り返されてもよい。針の先端を段階的に進めることで、使用者は結果を正確に制御し、各動作の後にフィードバックを収集することができる。あるいは、針の先端は、最初の作動時に、付勢要素から供給される運動量および力を利用して、所定の最終深さまで前進させることができる。このような機構の速度は、診断に悪影響を与えるようなコアの粉砕や変形を伴わずに、スポンジ状の骨をせん断するのに有利である。
【0036】
図5に示すように、中空針15は、中空シャフト12内で、長尺状のスライダ17の周りに配置される。長尺状のスライダと中空シャフトが共に中空の貫通針を支持する。針は、液状の血液や骨髄を流すための追加の開口部153を含んでいてもよい。図示される中空針は、コア21を除去するために所望の深さまで骨表面の下に打ち込まれる。長尺状のスライダの近位端172は、皮質骨表面22を貫通するための切断用先端を備えて構成されてもよい。一実施形態では、針と長尺状のスライダは、皮質層を貫通するまで共に骨に打ち込まれ、その後、十分な深さが得られるまで針をさらに骨2に進めることができるように分離される。吸引は、内部プランジャ173または外部負圧要素を使用して、中空シャフト15内で近位側に対して行うことができる。一実施形態では、貫通針は、マルチルーメンチューブとして構成され、1つのルーメンは固形のコアを捕捉し、別のルーメンは負圧が加えられたときに液状の血液や骨髄を捕捉する。中空針が目的の組織と共に部位から引き戻された後、長尺状のスライダは、中空シャフトに対して遠位方向に押されることにより、コアを第2の部位または体外に排出するために使用することができる。
【0037】
図6に示すように、中空針15は、鋭利な先端152および1つまたは複数の内部突起1521を有するように構成され、内部突起1521は、骨2から針の先端の後退時に固形の骨コア21を保持するように構成される。長尺状のスライダ17は、新しいコア材料が針に入るときに近位に移動するように構成されてもよい。限定ではなく例として、骨コア21の近位側は、針の先端が骨に入るときに、使用者が長尺状のスライダの近位側17を針15に対して遠位側に押すことによってコアを針から除去したい地点まで、長尺状のスライダ171の遠位端を自由に押すことができる。
【0038】
図7に示すように、中空の貫通針15は、骨髄、血液、幹細胞、または他の望ましい流体を含む骨2に打ち込むことができる。負圧は、デバイスのハンドル11または中空シャフト12上のルアーフィッティングまたは他のアダプタ181にチューブを取り付け、ポンプ、注射器または他の負圧要素を作動させることによって得ることができる。図示する実施形態では、アダプタポートは、中空シャフトの近位部分121上にある。流体が骨を出て中空シャフトに入るためのアクセスポイント153は、図7に示すように針の側面に配置されるか、または図8に示すようにマルチルーメンチューブによって具体化されてもよい。
【0039】
図8に示すように、マルチルーメンチューブ153を含む中空針15が骨2に挿入される。次いで、負圧が器具18を介してカニューレ122を通って骨表面22を通過し、最終的に骨空洞に加えられる。一実施形態では、負圧18が第1のルーメンに加えられて液状の血液および骨髄を抜き取り、第2のルーメンがコア摘出に利用される。限定ではなく例として、取り外し可能な金属貫通アタッチメントを使用してパイロット穴を形成し、次に、硬いポリマーマルチルーメンチューブを挿入し、液状の血液、骨髄、および骨摘出のために付勢要素を介して前進させることができる。
【0040】
図9に示すように、本発明の自動組織コアリングデバイスは、骨髄生検に利用することができる。一実施形態では、骨髄生検は、以下の手順で実行される。31-遠位先端を対象部位に配置する。32-レバー(第1のアクチュエータ)を握ることによって内部スプリング(付勢要素)をチャージする。33-骨表面に先端圧力を加える。34-トリガー(第2のアクチュエータ)を握って第1の衝撃または前進を行う。目的の深さに達していない場合は、衝撃または前進を再度行う。深さは、針上の印や、針がその開始位置からどれだけ移動したかを示すハンドルの窓で示すことができる。目的の深さになるまで、衝撃や前進を繰り返し行う。中空シャフトの先端が所定の位置にある状態で、ハンドルのトグルを引いて針36を骨から引き抜く。コアが入った貫通針をデバイスの後ろから取り出す。付属の密封フィッティングをアダプタ181に取り付け、中空シャフトの最近位部を密封し、フィッティングとシャフトの端部との間に連続したチャネルを形成する。中空シャフトの先端を穴の入口にしっかりと固定した状態で、フィッティングに対して吸引18を行って、血液と骨髄を抜き取る。フィッティングを取り付ける前に、第2の中空の長尺状の本体をデバイスの後ろから挿入して、近位部を密閉し、遠位端を先細りにして、骨の穴をしっかりと密封することができる。最後に、長尺状のスライダ37を用いてワイヤ開口部を介して針から骨組織コアを取り出す。
【0041】
図10に示すように、本発明の自動組織コアリングデバイスは、骨髄強化組織修復のために利用することができる。1つの実施形態において、骨髄刺激は、以下の詳細な手順を実行することによって達成される。31-遠位先端を対象部位に配置する。32-レバー(第1のアクチュエータ)を握ることによって内部スプリング(付勢要素)をチャージする。33-骨表面に先端圧力を加える。34-トリガー(第2のアクチュエータ)を握って第1の衝撃または前進を行う。目的の深さに達していない場合は、衝撃または前進を再度行う。深さは、針上の印や、針がその開始位置からどれだけ移動したかを示すハンドルの窓で示すことができる。目的の深さになるまで、衝撃や前進を繰り返し行う。所望の深さに達したら、ハンドルのトグルを係合させて後退モードを作動させ、次に第2のアクチュエータを握って針を後退させる。アクチュエータがストロークの終わりに達すると、トグルは前進モードに戻される。必要な数の穴が骨に形成されるまで、手順31から繰り返す。新しい穴を開けるたびに、コアを前の穴からさらに近位方向に中空の貫通針内に押し込む。別の実施形態では、各コアリング作業の後に長尺状のスライダを使用してコアを押し出して配置し、次のコアリング作業のために遮るものがない針の開口部を確保する。
【0042】
システム、装置および方法の様々な実施形態を本明細書に記載してきた。これらの実施形態は、例としてのみ記載しており、特許請求の範囲に記載の発明を限定することを意図するものではない。さらに、記載した実施形態の様々な特徴を様々な方法で組み合わせて、多数の追加の実施形態を生成することができる。またさらに、開示された実施形態で使用するために様々な材料、寸法、形状、構成および位置などを記載しているが、開示されたもの以外の他のものは、特許請求の範囲に記載の発明を超えることなく利用できる。
【0043】
関連技術の当業者は、本明細書の主題が、上記の個々の実施形態に示すよりも少ない特徴を含んでも良いことを認識するであろう。本明細書に記載の実施形態は、本明細書の主題の様々な特徴を組み合わせることができる方法の網羅的な提示を意味するものではない。したがって、実施形態は、特徴の相互に排他的な組み合わせではない。むしろ、様々な実施形態は、当業者によって理解されるように、異なる個々の実施形態から選択される異なる個々の特徴の組み合わせを含むことができる。さらに、一実施形態に関して記載した要素は、特に断りのない限り、そのような実施形態に記載されていない場合でも、他の実施形態で実施することができる。
【0044】
従属請求項は、請求項において1つまたは複数の他の請求項との特定の組み合わせを参照することができるが、他の実施形態はまた、従属請求項と他の従属請求項の主題との組み合わせ、あるいは1つまたは複数の特徴と他の従属請求項または独立請求項との組み合わせを含むことができる。そのような組み合わせは、特定の組み合わせを意図していないことを述べていない限り、本明細書で提案される。
【0045】
上記の文書の参照による組み込みは、本明細書の明示的な開示に反する主題が組み込まれないように制限される。上記の文書の参照による組み込みは、文書に含まれる請求項が参照により本明細書に組み込まれないようにさらに制限される。上記の文書の参照による組み込みはさらに、本明細書に明示されていない限り、文書において提供された定義が参照により本明細書に組み込まれないように制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】