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特表2022-524629抗腫瘍薬の調製におけるキノリン誘導体と免疫調節剤の組み合わせの使用
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  • 特表-抗腫瘍薬の調製におけるキノリン誘導体と免疫調節剤の組み合わせの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-09
(54)【発明の名称】抗腫瘍薬の調製におけるキノリン誘導体と免疫調節剤の組み合わせの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/47 20060101AFI20220426BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220426BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220426BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
A61K31/47
A61P35/00
A61P37/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 M
A61K39/395 D
A61K39/395 U
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555080
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 CN2020079540
(87)【国際公開番号】W WO2020187188
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】201910198729.7
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】508269363
【氏名又は名称】重▲慶▼医葯工▲業▼研究院有限責任公司
(71)【出願人】
【識別番号】521412559
【氏名又は名称】重▲慶▼葯友制葯有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】YAOPHARMA CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲楊▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 正霞
(72)【発明者】
【氏名】黎 健
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 曙▲輝▼
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、抗腫瘍薬物の調製におけるキノリン誘導体と免疫調節剤の組み合わせの使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を治療するための薬物の調製における式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と免疫調節剤の組み合わせの使用。
【化1】
式中、
は、1つ、2つ又は3つのRで任意選択的に置換されるC1-6アルコキシ基から選ばれ、
は、-C(=O)NH及び-C(=O)NH-C1-3アルキル基から選ばれ、
環Bは、C3-6シクロアルキル基から選ばれ、
Rは、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれる。
【請求項2】
免疫調節剤と組み合わせて腫瘍を治療するための薬物の調製における式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項3】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて腫瘍を治療するための薬物の調製における免疫調節剤の使用。
【請求項4】
環Bは、シクロプロピル基から選ばれる、請求項1~3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
は、
【化2】
から選ばれる、請求項1~3のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
は-C(=O)NHから選ばれる、請求項1~3のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩は、
【化3】
式中、R、Rは請求項1~3のいずれかに定義される)から選ばれる、請求項1~6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
前記式(I)で示される化合物は、下記の構造又はその薬学的に許容される塩を有する、請求項1~3のいずれかに記載の使用。
【化4】
【請求項9】
前記免疫調節剤は、PD-1阻害剤及びPDL-1阻害剤から選ばれる、請求項1~3のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
前記免疫調節剤は、PD-1抗体及びPDL-1抗体から選ばれる、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記免疫調節剤は、PD-1抗体から選ばれる、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(pembrolizumab)、ニボルマブ(nivolumab)、シンチリマブ(sintilimab)、トリパリマブ(toripalimab)、RMP1-14、カムレリズマブ(camrelizumab)、チスレリズマブ(tislelizumab)、及びセミプリマブ(Cemiplimab)から選ばれる、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記免疫調節剤は、PDL-1抗体から選ばれる、請求項1~3のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
前記PDL-1抗体は、アベルマブ(Avelumab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、及びデュルバルマブ(Durvalumab)から選ばれる、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と前記免疫調節剤を別々に投与する、請求項1~14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と前記免疫調節剤を同時に投与する、請求項1~14のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
前記免疫調節剤の後に、前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記免疫調節剤の前に、前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩の投与が前記免疫調節剤の投与前の24時間(1日)、2日、3日、4日又は5日に行われる、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と前記免疫調節剤は、相乗的に作用して腫瘍を治療する、請求項1~14のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
式(I)で示される化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩と免疫調節剤を含む組成物。
【請求項22】
前記式(I)で示される化合物は、下記の構造又はその薬学的に許容される塩を有する、請求項21に記載の組成物。
【化5】
【請求項23】
前記免疫調節剤は、PD-1抗体から選ばれる、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
腫瘍性疾患を治療するための薬物の調製における、請求項21~23に記載の組成物の使用。
【請求項25】
前記腫瘍は、肝細胞がん、腎細胞がん、子宮内膜がん、胃がん、胆管がん、非小細胞肺がん、黒色腫、尿路上皮細胞がん、悪性神経膠腫、食道がん、膵臓がん、乳がん、腸がん、リンパ腫、子宮頸がん、及び脳がんから選ばれる、請求項1~20に記載の使用、請求項21~23に記載の組成物又は請求項24に記載の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2019年03月15日に提出されたCN201910198729.7に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、抗腫瘍薬の調製における一種類のキノリン誘導体と免疫調節剤の組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)は、基質としてのATPとともにペプチドおよびタンパク質のチロシン残基をリン酸化する酵素である。これらの酵素は、細胞の増殖や分化などの細胞のシグナル伝達を調節する肝心な要素である。PTKには特に、肝細胞増殖因子(HGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)及び血管新生に関与するキナーゼ(FGF及びVEGF)を含む受容体型チロシンキナーゼが含まれ、さらに、LCKやABLなどの非受容体型チロシンキナーゼも含まれる。
【0004】
c-Metタンパク質(肝細胞増殖因子(HGF)受容体とも言う)は、c-Met腫瘍遺伝子によってコードされるチロシンキナーゼ活性を持つ膜貫通型190kDaヘテロ二量体である。HGF/c-Metシグナル経路はマイトジェン活性、増殖活性、形態形成活性および血管新生活性を含む様々な細胞応答を示すことが示されている。HGF/c-Met経路の阻害剤は癌を治療する大きな潜在力を持つ。
【0005】
ABLは、がん原遺伝子によってコードされるチロシンキナーゼであり、活性化されたABLは、細胞の増殖、分化、およびEMTなどを促進することができる。血液腫瘍では、主にBCR-ABLなどの遺伝子融合によって活性化される。固形腫瘍では、主に遺伝子増幅、過剰発現、PDGFRやEGFRなどの上流の受容体型チロシンキナーゼによって活性化される。TNIKは、wntシグナル経路におけるβ-catenin/TCFに結合し、wntシグナルの下流の標的遺伝子を活性化し、腫瘍の成長を促進することができるセリン/スレオニンキナーゼである。MINKは、STE20タンバク質キナーゼファミリーのメンバーであり、中枢神経系で高度に発現しており、JNKおよびp38シグナル経路を活性化することができる。
【0006】
FGFRは、生物学的シグナルを伝達し、細胞増殖を調節し、組織修復に関与する機能などを有する生物活性物質の一種である。近年、多くのFGFRファミリーメンバーが、腫瘍の発生および進展において重要な役割を果たすことが見出されている。線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)は、線維芽細胞増殖因子(FGF)特異的に結合できる受容体タンパク質の一種である。FGFRsファミリーには、FGFR1b、FGFR1c、FGFR2b、FGFR2c、FGFR3b、FGFR3c、FGFR4が含まれる。異なるサブタイプのFGFRは、それに結合するFGFが異なり、FGFsがFGFRsと結合した後、細胞内の複数のチロシン残基の自己リン酸化が引き起こされ、リン酸化されたFGFRsがMEK/MAPK、PLCy/PKC、PI3K/AKT、STATSなどを含む下流のシグナル経路を活性化する。その中で、FGFR4は、肝臓がん、結腸がん、胃がん、食道がん、精巣がんで高発現し、FGFR4に特異的に結合するFGF19は、ヒトの結腸がん、肝臓がんおよび肺がん細胞で高発現する。FGFR4とFGF19の特異的な結合の異常なシグナルは、多くの腫瘍の発生と転移における重要な要因である。
【0007】
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)及び血小板由来増殖因子(PDGF)は、腫瘍の血管新生の形成に重要な役割を果たす。それらは、受容体であるVEGFR、PDGFRと結合し、シグナルを細胞内領域に伝達し、ひいては二量体をリン酸化し、このシグナル経路を活性化し、エネルギーを下流へ伝達することで、腫瘍細胞の成長、転移、および増殖が制御されないことになる。
【0008】
上記のように、例えばABL、C-Met、TNIK、FGFR1-4、VEGFR(FLT1、KDR、FLT4)、PDGFRのような幾つかの標的による腫瘍細胞の治療においては、分子作用のメカニズムから、標的は相乗的で相互に補完し合い、腫瘍細胞の脱出を減らし、薬剤耐性を減らし、治療効果を向上させることができるため、これらの標的に同時に作用する薬物が非常に期待されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、腫瘍を治療するための薬物の調製における式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と免疫調節剤の組み合わせの使用を提供する。
【化1】
式中に、
は、1つ、2つ又は3つのRで任意選択的に置換されるC1-6アルコキシ基から選ばれ、
は、-C(=O)NH及び-C(=O)NH-C1-3アルキル基から選ばれ、
環Bは、C3-6シクロアルキル基から選ばれ、
Rは、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれる。
【0010】
本発明は、免疫調節剤と組み合わせて腫瘍を治療するための薬物の調製における式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0011】
本発明は、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて腫瘍を治療するための薬物の調製における免疫調節剤の使用を提供する。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の環Bはシクロプロピル基から選ばれる。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態において、上記のR
【化2】
から選ばれる。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態において、上記のRは-C(=O)NHから選ばれる。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩は、
【化3】
(式中、R、Rは本明細書で定義される通りである。)から選ばれる。
【0016】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の式(I)で示される化合物は、下記の構造又はその薬学的に許容される塩を有する。
【化4】
【0017】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の免疫調節剤はPD-1阻害剤又はPDL-1阻害剤から選ばれる。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の免疫調節剤はPD-1抗体又はPDL-1抗体から選ばれる。
【0019】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の免疫調節剤はPD-1抗体から選ばれる。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態において、上記のPD-1抗体はペムブロリズマブ(pembrolizumab)、ニボルマブ(nivolumab)、シンチリマブ(sintilimab)、トリパリマブ(toripalimab)、RMP1-14、カムレリズマブ(camrelizumab)、チスレリズマブ(tislelizumab)、及びセミプリマブ(Cemiplimab)から選ばれる。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態において、上記のPD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、RMP1-14、camrelizumab、tislelizumab、spartalizumab、relatlimab+nivolumab(solid tumors)、Bristol-Myers Squibb、BCD-100、Biocad、genolimzumab、durvalumab+MEDI-0680(solid tumor)、MedImmune/AstraZeneca pazopanib+pembrolizumab(renal cell cancer)、Merck/Novartis、dostarlimab、NANT Hepatocellular Carcinoma Vaccine、BAT-1306、AGEN-2034、JNJ-63723283、GLS-010、MGA-012、AK-104、AK-103、JTX-4014、PF-06801591、HLX-10、RG-7769、PF-06936308、MEDI-5752、PD-1checkpoint inhibitor(cancer)、Sinocelltech、CS-1003、Sym-021、LZM-009、MGD-019、REGN-1979+REGN-2810、BI-754091、XmAb-20717、ABBV-181、PF-06753512、anti-PD1mAb、Fujian Haixi Pharmaceuticals、IBI-318、nivolumab biosimilar、BioXpress Therapeutics、pembrolizumab biosimilar,BioXpress Therapeutics、PD-1checkpoint inhibitor(cancer)、Harvard/Zateras、PD-1checkpoint inhibitor+A2aRcheckpoint inhibitor(cancer)、Domain Therapeutics/Merck KGaA、PD-1checkpoint inhibitor(cancer)、Waterstone Pharmaceuticals、dual targeting anti-PD-1/LAG-3mAbs(cancer)、TESARO、dual targeting anti-PD-1/TIM-3mAbs(cancer)、TESARO、STI-1110、ADU-1503、及びCemiplimabから選ばれる。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の免疫調節剤はPDL-1抗体から選ばれる。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態において、上記のPDL-1抗体はアベルマブ(Avelumab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、及びデュルバルマブ(Durvalumab)から選ばれる。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態において、上記のPDL-1抗体は、durvalumab、avelumab、atezolizumab、KN-035、durvalumab+tremelimumab(solid tumor)、AstraZeneca/MedImmune、CS-1001、bintrafusp alfa、durvalumab+AZD-5069(SCCHN)、AstraZeneca、durvalumab+MEDI-0680(solid tumor)、MedImmune/AstraZeneca、durvalumab+dabrafenib+trametinib(cancer)、MedImmune/AstraZeneca、CX-072、BGB-A333、BMS-936559、NANT Colorectal Cancer Vaccine containing aldoxorubicin、NANT Hepatocellular Carcinoma Vaccine、NANT Squamous Cell Carcinoma Vaccine、NANT Triple Negative Breast Cancer Vaccine、NANT Merkel Cell Carcinoma Vaccine、NANT Pancreatic Cancer Vaccine、KL-A167、durvalumab+oleclumab(solid tumor/NSCLC)、Medimmune/AstraZeneca、durvalumab+monalizumab(solid tumor/NSCLC)、Medimmune/Astrazeneca、SHR-1316、durvalumab+danvatirsen(SCCHN/solid tumor/NSCLC)、MedImmune/Astrazeneca、TQB-2450、CK-301、STI-A1014、durvalumab+gefitinib(NSCLC)、MedImmune/AstraZeneca、BCD-135、KN-046、INBRX-105、IMC-001、HLX-20、trabectedin+durvalumab(iv,ovarian cancer/soft tissue sarcoma)、AstraZeneca/PharmaMar、FAZ-053、durvalumab+AZD-1775(solid tumor),Medimmune/AstraZeneca、selumetinib+durvalumab(solid tumors)、AstraZeneca、FS-118及びLY-3300054から選ばれる。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と前記免疫調節剤は、別々に投与する。
【0026】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と前記免疫調節剤は同時に投与する。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の免疫調節剤の後に、前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の免疫調節剤の前に、前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩の投与が前記免疫調節剤の投与前の24時間(1日)、2日、3日、4日又は5日に行われる。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩の単独使用又は前記免疫調節剤の単独使用と比べて、上記の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と上記の免疫調節剤は、相乗的に作用して腫瘍を治療する。
【0031】
さらに、本発明は、式(I)で示される化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩と免疫調節剤を含む組成物を提供する。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の式(I)で示される化合物は、下記の構造又はその薬学的に許容される塩を有する。
【化5】
【0033】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の免疫調節剤はPD-1抗体から選ばれる。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態において、腫瘍性疾患を治療するための薬物の調製における上記の組成物の使用である。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態において、上記の腫瘍は肝細胞がん、腎細胞がん、子宮内膜がん、胃がん、胆管がん、非小細胞肺がん、黒色腫、尿路上皮細胞がん、悪性神経膠腫、食道がん、膵臓がん、乳がん、腸がん、リンパ腫、子宮頸がん、及び脳がんから選ばれる。
定義及び説明
【0036】
特に断りがない限り、本明細書で使用される以下の用語及び略語は、以下の意味を有することを意図している。特定の用語又は略語は、特に定義されていない限り不確実または不明確であると見なされるべきではないが、通常の意味で理解すべきである。本明細書に商品名が示される場合には、それに対応する製品又はその有効成分を指すことを意味する。本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語とは、化合物、材料、組成物及び/又は剤形については、信頼できる医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織との接触での使用に適するが、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応又はその他の問題又は合併症がなく、合理的な利益/リスク比に見合うことを意味する。
【0037】
「薬学的に許容される塩」という用語とは、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的非毒な酸又は塩基から調製された本発明に係る化合物の塩を指す。本発明に係る化合物に比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、化合物の中性形態を、純粋な溶液または適切な不活性溶媒中で十分な量の塩基と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アンモニア又はマグネシウム塩、又は類似する塩を含む。本発明に係る化合物に比較的塩基性の官能基を含む場合には、酸付加塩は、化合物の中性形態を、純粋な溶液または適切な不活性溶媒中で十分な量の酸と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無機酸の塩;酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの類似する有機酸の塩;その他、アミノ酸(例えば、アルギニン等)の塩、及びグルクロン酸などの有機酸の塩を含む。本発明のある特定の化合物は塩基性及び酸性の官能基が含まれているため、任意の塩基又は酸付加塩に変換されることができる。
【0038】
本発明の薬学的に許容される塩は、酸イオン又は塩基性官能基を含む親化合物から従来の化学的方法によって合成することができる。一般的には、そのような塩は、遊離酸または塩基形態としてのこれらの化合物を、水又は有機溶媒又は両方の混合物中で化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることにより調製される。
【0039】
本発明の化合物は、特定の幾何学的又は立体異性体として存在することができる。本発明では、そのような化合物にシス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそれらのラセミ混合物、他の混合物、例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマーリッチな混合物を含み、それらの混合物の全ては、本発明の範囲内に属することを想定する。アルキル基などの置換基には、他の非対称炭素原子が存在することができる。これらの異性体及びそれらの混合物は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0040】
光学的に活性な(R)-及び(S)-異性体、D及びL異性体は、キラル合成またはキラル試薬または他の従来の技術により調製することができる。本発明の化合物のエナンチオマーを得たい場合には、非対称合成又はキラル補助剤による誘導体化で調製することができ、得られたジアステレオマー混合物が分離され、補助基が切断されて純粋で望ましいエナンチオマーが得られる。或いは、分子が塩基性官能基(アミノ基など)または酸性官能基(カルボキシル基など)を含む場合、適切な光学活性酸または塩基とジアステレオマー塩を形成し、次に当技術分野で知られている従来の方法によってジアステレオマーの分離を行った後、回収して純粋なエナンチオマーを得る。さらに、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常、キラル固定相を使用して任意選択で化学的誘導体化法と組み合わせるクロマトグラフィーを使用することにより達成される(例えば、アミンからカルバメートへの生成)。
【0041】
本発明の化合物は、該化合物を構成する1つ又は複数の原子において天然に存在しない割合の原子同位体を含んでもよい。例えば、化合物は、放射性同位元素、例えば、三重水素(H)、ヨウ素-125(125I)又はC-14(14C)で標識されることができる。別の例として、重水素化薬物は、水素を重水素に置き換えることによって形成することができ、重水素と炭素の結合が通常の水素と炭素の結合よりも強く、非重水素化薬物と比較して、重水素化薬物は、毒性及び副作用を減らし、薬物の安定性を高め、治療効果を高め、薬物生物学的半減期を延長するなどの利点がある。本発明の化合物の同位体組成のすべての変更は、放射性であるかどうかにかかわらず、本発明の範囲に含まれる。「任意選択的に」又は「任意選択で」とは、後に説明するイベント又は状況は、発生する可能性があるが、必ずしも発生しないことを意味し、しかも、その説明は、前記イベント又は状況が発生する場合、及び前記イベント又は状況が発生しない場合がある。
【0042】
「置換されている」という用語とは、特定の原子上のいずれか1つ又は複数の水素原子が置換基によって置換され、特定の原子の価数が正常であり、置換後の化合物が安定している限り、重水素及び水素のバリアントを含んでもよく。置換基が酸素(=O)である場合には、2つの水素原子が置換されていることを意味する。酸素は芳香族基上で置換が起こらない。「任意選択的に置換されている」という用語とは、置換であってもよく、非置換であってもよく、特に断らない限り、置換基の種類及び数は、化学的に達成可能であることに基づいて任意であり得る。
【0043】
変数(例えば、R)が化合物の組成又は構造に複数回出現する場合、それぞれの場合の定義は独立している。従って、例えば、ある基が0~2つのRで置換されると、前記基は、多くとも2つのRで任意選択で置換され、且ついずれの場合にもRは独立した選択がある。さらに、置換基及び/又はそのバリアントの組み合わせは、そのような組み合わせが安定した化合物を生成する場合にのみ許可される。
【0044】
連結基の数が0である場合には、例えば、-(CRR)-では、該連結基は単結合であることを意味する。
【0045】
そのうちの1つの変数が単結合から選ばれた場合には、それに連結された2つの基は直接に連結されることを意味し、例えば、A-L-Z中のLが単結合を示す場合には、該構造は、実際にA-Zであることを意味する。
【0046】
置換基が空いている場合には、該置換基が存在しないことを意味し、例えば、A-XのXが空いている場合には、該構造は実際にAであることを意味する。挙げられた置換基は、どの原子を介して置換される基に連結することを示さない場合、このような置換基は、いずれの原子を介して結合することができ、例えば、ピリジル基は置換基としてピリジン環のいずれか1つの炭素原子によって置換されている基に連結される。
【0047】
特に断りがない限り、ある基に1つ又は複数の連結可能なサイトがある場合、該基の任意の1つ又は複数のサイトが化学結合を介して他の基と連結することができる。前記サイトが他の基と連結する化学結合は、直線実線の結合
【化6】
、直線破線の結合
【化7】
又は波線
【化8】
で表すことができる。例えば、-OCHにおける直線実線の結合は、該基の酸素原子を介して他の基と連結することを意味する。
【化9】
における直線破線の結合は、該基の窒素原子の両端を介して他の基と連結することを意味する。
【化10】
における波線は、該フェニル基の1及び2位の炭素原子を介して他の基と連結することを意味する。
【0048】
特に断りがない限り、環における原子の数は、一般に環員数として定義され、例えば、“5~7員環”とは、5~7個の原子が環状に並べてなる“環”を指す。
【0049】
特に断らない限り、「C1-3アルキル基」という用語は、1~3個の炭素原子からなる直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基を示すために使用される。前記C1-3アルキル基は、C1-2及びC2-3アルキル基などを含み、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)又は多価(例えば、メチン基)を含む。C1-3アルキル基の例は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基及びイソプロピル基を含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0050】
特に断らない限り、「C1-6アルコキシ基」という用語とは、1つの酸素原子を介して分子の残りの部分に連結する1~6個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。前記C1-6アルコキシ基は、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-4、C、C、C及びCアルコキシ基などを含む。C1-6アルコキシ基の実例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n-プロポキシ基及びイソプロポキシ基を含む)、ブトキシ基(n-ブトキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基及びt-ブトキシ基を含む)、ペントキシ基(n-ペントキシ基、イソペントキシ基及びネオペントキシ基を含む)、ヘキソキシ基などを含むが、これらに限定されない。
【0051】
特に断らない限り、「C3-6シクロアルキル基」とは、3~6個の炭素原子からなる飽和環状炭化水素基を意味し、単環式環系および二環式環系であり、前記C3-6シクロアルキル基は、C3-5、C4-5及びC5-6シクロアルキル基などを含み、一価、二価又は多価であってもよい。C3-6シクロアルキル基の実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを含むが、これらに限定されない。
【0052】
特に断らない限り、Cn-n+m又はC-Cn+mは、n~n+m個の炭素のいずれか1つの具体的な場合を含み、例えば、C1-12は、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、及びC12を含み、n~n+mのいずれか1つの範囲も含み、例えば、C1-12は、C1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、及びC9-12などを含み、同様に、n員~n+m員は、環上の原子数がn~n+m個であることを意味し、例えば、3~12員環は、3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、及び12員環を含み、n~n+m個のいずれか1つの範囲も含み、例えば3~12員環は、3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、及び6~10員環などを含む。
【0053】
「脱離基」という用語とは、置換反応(求核置換反応など)によって別の官能基または原子に置換されることができる官能基または原子を指す。例えば、代表的な脱離基は、トリフルオロメタンスルホネート;塩素、臭素、ヨウ素;メシレート、トシレート、p-ブロモベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネートなどのスルホネート基;アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基などのアシルオキシ基を含む。
【0054】
「保護基」という用語は、「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」又は「チオール保護基」を含むが、これらに限定されない。「アミノ保護基」という用語は、アミノ窒素原子上の副反応を防ぐのに適した保護基を指す。代表的なアミノ保護基は、ホルミル基;アルカノイル基(例えば、アセチル、トリクロロアセチル又はトリフルオロアセチル)などのアシル基;tert-ブトキシカルボニル(Boc)などのアルコキシカルボニル;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)及び9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などのアリールメチルオキシカルボニル;ベンジル(Bn)、トリチル(Tr)、1,1-ジ-(4’-メトキシフェニル)メチルなどのアリールメチル;トリメチルシリル(TMS)及びtert-ブチルジメチルシリル(TBS)などのシリル基を含むが、これらに限定されない。「ヒドロキシ保護基」という用語とは、ヒドロキシ基の副反応を防ぐのに適した保護基を指す。代表的なヒドロキシ保護基は、メチル基、エチル基及びtert-ブチル基のようなアルキル基;アルカノイル基(アセチルなど)などのアシル基;ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)、9-フルオレニルメチル(Fm)及びジフェニルメチル(DPM)のようなアリールメチル;トリメチルシリル(TMS)及びtert-ブチルジメチルシリル(TBS)のようなシリルなどを含むが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の化合物は、当業者に周知の様々な合成方法によって調製することができ、以下に列挙する具体的な実施形態、他の化学合成方法との組み合わせによって形成される実施形態、及び当業者に周知の同等の代替物を含み、好ましい実施態様は、本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0056】
本発明で使用される溶媒は、市販として取得されることができる。本発明では、以下の略語を使用する。即ち、aqは、水を表し、HATUは、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを表し、EDCは、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩を表し、m-CPBAは、3-クロロペルオキシ安息香酸を表し、eqは、当量、等量を表し、CDIは、カルボニルジイミダゾールを表し、DCMは、ジクロロメタンを表し、PEは、石油エーテルを表し、DIADは、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートを表し、DMFは、N,N-ジメチルホルムアミドを表し、DMSOは、ジメチルスルホキシドを表し、EtOAcは、酢酸エチルを表し、EtOHは、エタノールを表し、MeOHは、メタノールを表し、CBzは、アミン保護基であるベンジルオキシカルボニルを表し、BOCは、アミン保護基であるtert-ブトキシカルボニルを表し、HOAcは、酢酸を表し、NaCNBHは、シアノボロ水素化ナトリウムを表し、r.t.は、室温を表し、O/Nは、一晩を表し、THFは、テトラヒドロフランを表し、BocOは、ジ-tert-ブチルジカルボナートを表し、TFAは、トリフルオロ酢酸を表し、DIPEAは、ジイソプロピルエチルアミンを表し、SOClは、チオニルクロリドを表し、CSは、二硫化炭素を表し、TsOHは、p-トルエンスルホン酸を表し、NFSIは、N-フルオロ-N-(ベンゼンスルホニル)ベンゼンスルホンアミドを表し、NCSは、1-クロロピロリジン-2,5-ジオンを表し、n-BuNFは、テトラブチルフルオリドアンモニウムを表し、iPrOHは、2-プロパノールを表し、mpは、融点を表し、LDAは、リチウムジイソプロピルアミドを表す。
【0057】
化合物は、当技術分野における従来の命名規約又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアによって名前が付けられ、市販の化合物は、サプライヤーのカタログ名を使用する。
【発明の効果】
【0058】
本発明に係る化合物は、マウスCT26腫瘍モデルでPD-1抗体と併用すると、有意な抗腫瘍活性を示し、PD-1抗体の抗腫瘍効果を有意に増強した。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】実施例1によるマウスCT26結腸がん腫瘍モデルの腫瘍体積への影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明に不利な限定があることを意図するものではない。本明細書では、本発明を詳しく説明しているが、その具体的な実施形態も開示されており、当業者にとっては、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態に様々な変更及び改良を加えることは、自明である。
【0061】
【化11】
【0062】
【化12】
【0063】
20~30℃で、4-クロロ-7-メトキシキノリン-6-カルボキサミド(550.0g)を反応釜に加えた。20~30℃で、DMSO(16.5L)を反応釜に加えた。20~30℃で、2-フルオロ-3-クロロ-4-アミノフェノールを反応釜に加えた。20~35℃で、撹拌しながら、10~15分間以内にナトリウムt-ブトキシド(229g)を反応釜にゆっくりと加えた。反応釜を1.5時間をかけて96℃(内部温度)に加熱した。96~100℃で6.5時間攪拌しながら、4-アミノ-3-クロロ-2-フルオロフェノールがなくなるまで反応させた。反応を20~30℃に冷却した。撹拌しながら、反応液へ23.1L水をゆっくりと加え、その過程で暗褐色の固体が析出し、内部温度を40℃未満に保持した。30~40℃で0.5時間攪拌した。20~30℃に冷却し、ろ過した。20~30℃で、フィルターケーキ及び3.5L水を反応釜に加えた。20~30℃で、0.5時間攪拌し、ろ過した。20~30℃で、フィルターケーキ及び4.0L水を反応釜に加えた。20~30℃で、0.5時間攪拌し、ろ過した。フィルターケーキを真空乾燥器で40℃で18時間乾燥させた(五酸化二リンを乾燥剤とし、オイルポンプで真空引きをした)。固体を粉砕し、758gのオフホワイトの固体を得、それを引き続き40℃で18時間乾燥させ(五酸化二リンを乾燥剤とし、オイルポンプで真空引きをした)、実施例1Aを得た。
【0064】
LCMS(ESI)m/z:362.0[M+1]
【0065】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm 8.68(br s,2H),7.82-7.96(m,1H),7.67-7.82(m,1H),7.46-7.59(m,1H),7.12-7.26(m,1H),6.67-6.80(m,1H),6.43-6.58(m,1H),5.84(s,2H),4.04(s,3H)。
【0066】
【化13】
【0067】
実施例1A(6.05g)をNMP(60mL)の入れた三口フラスコに加え、ピリジン(1.32g)、クロロギ酸フェニル(5.20g)を反応系に加え、反応系を室温で(25~30℃)1時間攪拌し、中間体の生成反応が完了し、シクロプロピルアミン(2.84g)も反応系に加え、反応液を室温で(25~30℃)0.5時間攪拌し、反応を完了させた。反応系に20mLエタノールを加え、撹拌しながら、反応系に水道水(500mL)を加え、固体が析出し、ろ過し、フィルターケーキを減圧下でスピン乾燥させ、粗生成物(黄土色の固体,5.26g)を得た。粗生成物をクロマトグラフィーカラム(DCM:MeOH=20/1~10/1)で精製し、生成物(黄土色の固体,3.12g)を得た。生成物に4mL無水エタノールを加え、常温で18時間攪拌し、ろ過し、フィルターケーキを1mLエタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させ、実施例1Bを得た。この化合物は、アセトン又はエタノール溶液に1当量の塩酸又は硫酸又はメタンスルホン酸を加えて、対応する塩を得た。
【0068】
LCMS(ESI)m/z:445.0[M+1]
【0069】
H NMR(400MHz,DMSO-d)ppm 8.66-8.71(m,2H),8.12-8.20(m,2H),7.72-7.93(m,2H),7.45(t,J=9.16Hz,1H),7.28(d,J=2.76Hz,1H),6.58(d,J=5.02Hz,1H),4.05(s,3H),2.56-2.64(m,1H),0.38-0.77(m,4H)。
【0070】
【化14】
【0071】
実施例1B(1.5g,3.37mmol)をEtOH(45mL)に加え、反応の温度を60℃に昇温し、同温度で、CHSOH(324.07mg、3.37mmol、240.05μL)を反応液に滴下し、滴下が終了した後、反応液が透明になるまで溶解し、撹拌しながら、反応液の温度が15~20℃に自然に冷却し、同温度で2時間攪拌した。多量の茶褐色の固体が析出し、ろ過し、フィルターケーキを無水エタノール(5mL)で濯ぎ、得られたフィルターケーキを、精製せずに、50℃で減圧下でスピン乾燥させ、実施例1を得た。
【0072】
LCMS(ESI)m/z:445.0[M+1]
【0073】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm 9.02(d,J=6.53Hz,1H),8.72(s,1H),8.18-8.27(m,2H),7.87-8.03(m,2H),7.65(s,1H),7.53(t,J=9.03Hz,1H),7.32(br s,1H),7.11(d,J=6.27Hz,1H),4.08(s,3H),2.55-2.62(m,1H),2.35(s,3H),0.34-0.75(m,4H)。
生物学的試験データ:
実験例1:本発明に係る化合物のインビボでの動物腫瘍モデルにおける抗腫瘍活性の測定
【0074】
実験の目的:
マウス結腸がんCT26インビボ腫瘍モデルで検査待ち化合物をマウス抗PD-1抗体と併用した場合の抗腫瘍効果を調査した。
【0075】
実験方法:
雌性のBalb/cマウスにCT26マウス結腸がん細胞株を皮下接種し、接種後、体重に応じてランダムに群分けし、また、以下の説明に従って投与した。
【0076】
第1群(対照群):接種日の午後に投与を開始し、溶媒1(10%DMSO+10%Solutol+80%DDH2O)を毎日2回に、毎回0.1mL/10g体重の用量で胃内投与した。接種後、腫瘍が60mm程度の体積に成長した時点で投与を開始し、溶媒2(DPBS)を毎週2回に、毎回0.1mL/10g体重の用量で腹腔注射により投与した。
【0077】
第2群:接種後、腫瘍が60mm程度の体積に成長した時点で投与を開始し、抗マウスPD-1抗体(RMP1-14、BioXcellより提供)を毎週2回に、毎回3mg/kg体重の用量で腹腔注射により投与した。
【0078】
第3群:接種日の午後に投与を開始し、実施例1(0.5%MC+0.2%Tween 80に混合懸濁)を毎日1回に10mg/kg体重の用量で胃内投与した。接種後、腫瘍が60mm程度の体積に成長した時点で投与を開始し、抗マウスPD-1抗体(RMP1-14、BioXcellより提供)を毎週2回に、毎回3mg/kg体重の用量で腹腔注射により投与した。
【0079】
実験の間に、マウスの体重を週3回測定し、腫瘍形成後、体重に合わせて腫瘍体積を週3回測定し、長さ×幅/2の式に従って腫瘍体積を算出した。以下の式:腫瘍の増殖率=治療群の腫瘍体積/対照群の腫瘍体積×100%に従って腫瘍の増殖率を算出した。
【0080】
群間の統計分析には、スチューデントのt検定(Student’s t-test)が使用され、p<0.05が有意差と見なされた。
【0081】
実験結果:
マウスCT26腫瘍モデル(図1に示すように)では、実施例1とPD-1抗体との併用は、有意的な抗腫瘍活性を示し、25日目の腫瘍増殖率が15.38%であり(p<0.01)、抗体単剤群(抗体単剤群の腫瘍増殖率は59.44%であった)より有意に高かった。25日目に、併用群の腫瘍体積が抗体単剤群と比較すると、有意差があり(p<0.05)、この実験において実施例1がPD-1抗体の抗腫瘍効果を有意に増強したことが示される。

図1
【国際調査報告】