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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(54)【発明の名称】蝶番式ガラス扉用などのヒンジ装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 3/20 20060101AFI20220427BHJP
   E05D 11/10 20060101ALI20220427BHJP
   E05F 5/08 20060101ALI20220427BHJP
   E05F 5/06 20060101ALI20220427BHJP
   E05F 5/10 20060101ALI20220427BHJP
   E05F 5/02 20060101ALI20220427BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20220427BHJP
   E05F 1/06 20060101ALN20220427BHJP
【FI】
E05F3/20 Z
E05D11/10
E05F5/08
E05F5/06
E05F5/10
E05F5/02 E
F16C11/04 F
E05F1/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537806
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 IB2020051429
(87)【国際公開番号】W WO2020201846
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】102019000004791
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519224155
【氏名又は名称】コルコム グループ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベネデッティ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】メサロス,ミハイ
【テーマコード(参考)】
2E032
2E050
3J105
【Fターム(参考)】
2E032BA01
2E032CA02
2E032EA00
2E032EC05
2E050LA01
2E050LB02
2E050LC03
3J105AA01
3J105AB11
3J105AC06
3J105BB15
3J105BB21
3J105BC02
3J105BC14
3J105DA50
(57)【要約】
好ましくはガラス製の蝶番式扉などの閉鎖要素(A)が、好ましくはガラス製のフレームなどの固定支持構造体(S)に固定されて、制御された回転開閉運動を行うためのヒンジ装置。本装置は、固定支持構造体(S)に固定することができる固定要素(10)と、閉鎖要素(A)に固定することができ、少なくとも1つの第1の開位置と1つの閉位置との間で長手方向軸(X)の周りを回転するように相互に結合された可動要素(20)とを備える。可動要素(20)は、端部(22)と、少なくとも1つの作動室(21)と、後者に挿入されたシャフト(30)と、シャフト(30)に挿入されて軸(X)に沿ってスライドする心棒(40)とを備える。さらに、端部(22)、シャフト(30)、および心棒(40)を動作可能に接続するためのピン(41)が設けられ、それにより、第1の軸(X)またはそれに平行な軸に沿った心棒(40)のスライドは、軸(X)の周りの可動要素(20)および固定要素(10)の回転に対応する。作動室(21)は、心棒(40)から空間的関係の中で固定および可動要素(10,20)と弾性制動手段(50)との相互運動を液圧制動するための作動流体を含み、それにより、後者は、心棒(40)が端部停止位置にあるときにのみ前者に当接するため、閉鎖要素(A)を動かすユーザは、少なくとも第1の開位置に達したときにのみ弾性制動手段(50)の抵抗を感じる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくはガラス製のフレームなどの固定支持構造体(S)に固定された好ましくはガラス製の蝶番式扉などの閉鎖要素(A)の、制御された回転式の開閉運動を行うための液圧ヒンジ装置において、
-前記固定支持構造体(S)に固定することができる固定要素(10)と、
-前記閉鎖要素(A)に固定することができる可動要素(20)であって、該可動要素(20)および前記固定要素(10)は、少なくとも1つの第1の開位置と1つの閉位置との間で第1の長手方向軸(X)の周りを回転するように相互に結合され、前記可動要素(20)および前記固定要素(10)のうちの一方は、前記第1の軸(X)を規定する少なくとも1つの作動室(21)を備える、可動要素(20)と、
-前記少なくとも1つの作動室(21)内に同軸に挿入されるシャフト(30)であって、前記固定および可動要素(10,20)を動作可能に相互接続するための接続部分(31)を備え、さらに管状作用部(32)を備える、シャフト(30)と、
-前記少なくとも1つの開位置および1つの閉位置のうちの一方に対応する、前記シャフト(30)の前記接続部分(31)に近位の第1の端部停止位置と、前記少なくとも1つの開位置および1つの閉位置の他方に対応する、前記シャフト(30)の前記接続部分(31)から遠位の第2の端部停止位置との間で、前記第1の軸(X)に沿ってスライドするように前記管状作用部(32)に伸縮自在に挿入された心棒(40)であって、ここで前記管状作用部(32)および該心棒(40)を動作的に接続するピン(41)が、前記第1の軸(X)またはそれに平行な軸の1つに沿った前記心棒(40)のスライドによって、前記可動要素(20)および前記固定要素(10)の1つが前記第1の軸(X)の周りを回転することに対応するように提供される、心棒(40)と、
を含むヒンジ装置であって、
前記少なくとも1つの作動室(21)は、前記固定および可動要素(10,20)の相互運動の液圧制動のための作動流体および前記第1の軸(X)に沿って一体的に動くように前記心棒(40)と結合された少なくとも一つのプランジャ要素(42)を含み、ここで、少なくとも1つの該プランジャ要素(42)は、前記少なくとも1つの作動室(21)を、互いに流体連通した好ましくは隣接する少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(23´,23´´)に分割し、弁手段(60)が、前記第1及び第2の可変容積区画(23´、23´´)の間の作動流体の流れを制御するために提供され、
さらに、前記少なくとも1つの作動室(21)は、前記心棒(40)と空間的関係にある弾性制動手段(50)を含み、心棒(40)が前記第2の端部停止位置にあるときにのみ後者または前記プランジャ要素(42)が前者に当接するため、閉鎖要素(A)を動かすユーザは、前記閉位置と第1の開位置のうちの一つに到達するときにのみ前記弾性制動手段(50)の抵抗を感じる、
ヒンジ装置。
【請求項2】
前記心棒(40)は、前記ピン(41)を含む前記シャフト(30)の管状作用部(32)に挿入された端部(40´´)を備え、後者ならびに前記可動要素(20)および前記固定要素(10)のうちの1つの中から1つが、前記第1の軸(X)の周りを回転する少なくとも1対の第1のアクチュエータスロット(24)を備え、前記ピン(41)は、前記第1の軸(X)の周りで前記固定要素および可動要素(10,20)が相互回転するときそこを通ってスライドするように前記第1のアクチュエータスロット(24)に挿入される、請求項1に記載のヒンジ装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの作動室(21)は、前記可動要素(20)および前記固定要素(10)の他方に互いに面する少なくとも1つの端部(22)を含み、前記シャフト(30)は、前記端部(22)において前記少なくとも1つの作動室(21)に同軸に挿入され、前記作動室(21)の少なくとも1つの端部(22)および前記シャフト(30)の管状作用部(32)のうちの一方が前記第1のアクチュエータスロット(24)を備え、前記作動室(21)の少なくとも1つの端部(22)および前記シャフト(30)の管状作用部(32)のうちの他方が少なくとも1対の第2のガイドスロット(34)を備え、前記ピン(41)は、前記第1のアクチュエータスロット(24)および前記第2のガイドスロット(34)を通ってスライドする、請求項2に記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記第1のアクチュエータスロット(24)は、右方向または左方向の展開部を有し、前記第2のガイドスロット(34)は、前記第1の軸(X)に対して実質的に平行またはわずかに傾斜した第2の軸(C´)を規定する少なくとも1つの第1の部分(35)を備え、前記ピン(41)は、前記第2のガイドスロット(34)の少なくとも1つの第1の部分(35)を通ってスライドして、前記第1の開位置と前記閉位置との間を前記閉鎖要素が動くのを可能にする、請求項3に記載のヒンジ装置。
【請求項5】
前記第2のガイドスロット(34)は、第3の軸(Y)を規定するように前記第1の部分(35)に対して角度的に離間された第2の部分(37)をさらに備え、前記ピン(41)は、前記第1の開位置を通って第2の開位置と前記閉位置との間を前記閉鎖要素が動くのを可能にするように、前記少なくとも1つの第1の部分(35)を通って前記第2のガイドスロット(34)の第2の部分(37)内をスライドし、前記第3の軸(Y)は、前記閉鎖要素が前記第2の開位置にあるときに、前記ピン(41)が前記弾性制動手段(50)の推力の下で前記第2の部分(37)の当接面(37´)に当接するように前記第の軸(X)に対して実質的に垂直またはわずかに傾斜している、請求項4に記載のヒンジ装置。
【請求項6】
前記第2のガイドスロット(34)は、前記第1および第2の部分(35,37)の間に介在する第3の部分(36)をさらに備え、前記ピン(41)は、前記第2のガイドスロット(34)の第1、第2および第3の部分(35,36,37)内をスライドして、前記第1の開位置ならびに前記第1および第2の開位置の間に介在する少なくとも1つの第3の開位置を通過する、前記第2の開位置と前記閉位置との間の前記閉鎖要素の移動を可能にし、前記第3の部分(36)は、前記第2および第3の軸(X´,Y)に対して横方向の第4の軸(Z)を規定し、それにより、前記閉鎖要素が前記第3の開位置にあるとき、前記閉鎖要素が前記第1の開位置に向かって閉じ、前記ピン(41)は、前記弾性制動手段(50)によって前記第1の部分(35)に向かって自動的に押し込まれるように前記第4の軸(Z)に対応して傾斜した前記第3の部分(36)のガイド面(36´)に当接する、請求項5に記載のヒンジ装置。
【請求項7】
前記心棒(40)は、前記ピン(41)に一体的に結合された第1の端部(43´)および前記プランジャ要素(42)に相互に結合された反対側の第2の端部(43´´)を含んだ第1の部分(43)を備え、さらに前記心棒(40)は、前記プランジャ要素(42)に相互に結合された第3の端部(44´)を含んだ第2の部分(44)および前記弾性制動手段(50)に当接可能な反対側の第4の端部(44´´)を備え、前記第1の部分(43)、前記プランジャ要素(42)、および前記第2の部分(44)は、前記第1の軸(X)に沿って一体的に動く、請求項1から6のいずれか一項に記載のヒンジ装置。
【請求項8】
前記作動室(21)は、前記弾性制動手段(50)のためのハウジング領域(51)を備え、後者は、少なくとも1つの押圧部材(52)および制動要素(53)を備え、該少なくとも1つの押圧部材(52)は、前記閉鎖要素(A)が前記第1の開位置に到達したときに前記心棒(40)の前記第2の部分(44)の前記第2の端部(44´´)に相互に当接することができ、前記制動要素(53)は、好ましくは皿ばね座金またはポリウレタンエラストマー体である、請求項7に記載のヒンジ装置。
【請求項9】
前記制動要素(53)は、前記ポリウレタンエラストマー体が前記少なくとも1つの押圧部材(52)によっていったん圧縮されると、前記ハウジング領域(51)を完全に占有するのに適したポリウレタンエラストマー体である、請求項8に記載のヒンジ装置。
【請求項10】
前記弁手段(60)は、前記第1および第2の可変容積区画(23´、23´´)を流体連通させるように少なくとも1つの第1および少なくとも1つの第2の開口部(61,62)を備え、前記少なくとも1つの第1の開口部(61)は、前記閉鎖要素(A)の開放時に開くことができ、前記閉鎖要素(A)の閉鎖時に前記作動流体を前記第2の開口部(62)のみを通って強制的に流すように閉じることができる、少なくとも1つのシャッタ(61´)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のヒンジ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ショーケースまたは類似の閉鎖要素の蝶番式扉を閉鎖および制御するためのヒンジの技術分野に適用可能であり、特に、例えばフレームなどの固定支持構造体に固定された、例えばショーケースとかの蝶番式ガラス扉などの閉鎖要素の動作および制御された回転式開閉のためのヒンジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパンなどの食料品を収容するために使用されるプレキシガラス製のショーケースを使用することが知られており、水平または垂直のヒンジ軸の周りで蝶番式扉を回転させることによってユーザが簡単に食料品を取ることができる。
【0003】
既知の通り、ヒンジは、通常はショーケースの蝶番式扉などに固定され、ショーケースの支持フレームに通常固定された固定要素にヒンジ止めされた可動要素を備える。
そのようなヒンジは主に機械式であり、いかなる種類の開閉制御も提供されない場合が多い。
そのような蝶番式扉が、不注意なユーザの使用により、無理やり開けられる可能性があることも知られている。
【0004】
実際のところ、そのような既知の装置では、開口防止が提供されず、したがって、蝶番式扉のヒンジの取り外しおよび/または損壊を受ける可能性がある。
さらに、前述の不都合に照らして、同じものを作るために用いる材料のその後の制約もあり、問題のショーケースの蝶番式扉を製造するためにガラスを使用することは知られていない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、高機能で製造が容易で安価なヒンジ装置を提供することによって、上述の欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【0006】
本発明の別の目的は、拘束される閉鎖要素の開閉の簡単で実用的な調整を可能にするヒンジ装置を提供することである。
本発明の別の目的は、開閉中の両方で、拘束された蝶番式扉の制御された動きを保証することができるヒンジを提供することである。
本発明の別の目的は、ガラス製蝶番式扉の制御された開閉に適したヒンジ装置を提供することである。
本発明の別の目的は、最小の部品数を有するヒンジ装置を提供することである。
本発明の別の目的は、長時間にわたって正確な閉鎖位置を維持することができるヒンジ装置を提供することである。
本発明の別の目的は、極めて安全なヒンジ装置を提供することである。本発明の別の目的は、組み付けが極めて容易なヒンジ装置を提供することである。
これらおよび以下でさらに明確にされる他の目的は、本明細書に記載および/または特許請求および/または図示されている特性のうちの1または複数を有するヒンジ装置によって達成される。
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に従って規定される。
【0007】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として示される、本発明によるヒンジ装置のいくつかの好ましいが非排他的な実施形態の詳細な説明に照らしてより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】ヒンジ装置1の分解図である。
図1B】シャフト30の軸側斜視図である。
図1C図1Bの側面図である。
図2A】閉鎖要素Aが閉位置にある図1Aのヒンジ装置1の側面図である。
図2B図2AのI-I平面に沿った断面図である。
図3A】閉鎖要素Aが180°の角度βだけ開いている図1Aのヒンジ装置1の側面図である。
図3B図3AのII-II平面に沿った断面図である。
図4A図1Aのヒンジ装置1の正面図である。
図4B図4AのIII-III平面に沿った断面図である。
図5】ヒンジ装置1およびヒンジ装置1に直接結合可能な閉鎖要素Aの一部の軸側斜視図である。
図6A】ヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の正面図である。
図6B図6Aの上面図である。
図6C図6Aの側面図である。
図7A】閉鎖要素Aが閉位置にあるヒンジ装置1の軸側斜視図である。
図7B】1対のヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の対応する軸側斜視図である。
図7C】1対のヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の対応する上面図である。
図8A】閉鎖要素Aが第1の開位置にあるヒンジ装置1の軸側斜視図である。
図8B】1対のヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の対応する軸側斜視図である。
図8C】1対のヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の対応する上面図である。
図9A】閉鎖要素Aが第3の開位置(ここで、角度βは、85°~110°の値、この場合は特に110°を有する)にあるヒンジ装置1の軸側斜視図である。
図9B】1対のヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の対応する軸側斜視図である。
図9C】1対のヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の対応する軸側斜視図および上面図である。
図10A】閉鎖要素Aが第2の開位置(ここで、角度βは、110°~180°の値、特にこの場合は165°~180°の値を有する)にあるヒンジ装置1の軸側斜視図である。
図10B】1対のヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の対応する軸側斜視図である。
図10C】1対のヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の対応する上面図である。
図11A】閉鎖要素Aが第2の開位置(ここで、角度βは、110°~180°の値、特にこの場合は165°~180°の値を有する)にあるヒンジ装置1の軸側斜視図である。
図11B】1対のヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の対応する軸側斜視図である。
図11C】1対のヒンジ装置1および閉鎖要素Aからなる組立品の対応する上面図である。
図12A】弁手段60がさらなる実施形態にある、図1Aのヒンジ装置1の側面図である。
図12B図12Aの実施形態のIV-IV平面に沿った断面図である。
図12C図12AのV-V平面に沿った断面図である。
図13A図12Bに示す実施形態の弁手段60の上面図である。
図13B】VI-VI平面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述の図を参照して、本明細書では、好ましくはガラス製の蝶番式扉などの閉鎖要素Aを、好ましくはガラス製のフレームなどの固定支持構造体Sに固定され制御された回転式開閉動作のためのヒンジ装置1について説明する。
【0010】
本発明は、様々な部品および/または類似もしくは同一の要素を含むことができる。特に明記しない限り、記載された技術的特徴は、すべての類似もしくは同一の部品および/または要素に共通であることは明らかであるので、類似もしくは同一の部品および/または要素は、単一の参照番号を使用して示される。
【0011】
一般に、ヒンジ装置1は、フレームSに固定することができる固定要素10および蝶番式扉Aに固定することができる可動要素20を含むことができる。
好適には、固定要素10および可動要素20は、例えば図7Aに示す閉位置と、例えば図8Aに示す少なくとも1つの開位置との間で長手方向軸Xの周りを回転するように互いに結合される。
【0012】
好適には、固定要素10および可動要素20は、フレームSおよび蝶番式扉Aに固定するためのそれぞれの第1および第2固定部15、25を含むことができる。
好ましくは、可動要素20は、軸Xを規定する作動室21および少なくとも2つの端部停止位置の間でその中をスライド可能な心棒40を含むことができる。
【0013】
作動室21はまた、以下でより詳細に説明するように、ユーザによる蝶番式扉Aの動きに抗するように反発力を与えることによってその動きを制動するように心棒40に当接可能な弾性制動手段50を備えることができる。
好ましいが排他的ではない実施形態によれば、心棒40は、プランジャ要素42に結合することができて、それらが軸Xに沿って一体的にスライドする。
【0014】
心棒40は、ピン41を挿入することができるハウジング穴43´´´を設けることが可能な端部43´を含む部分43を備えることができる。
部分43は、プランジャ要素42に、好ましくはねじ止めによって結合された端部43´´をさらに含むことができる。
【0015】
好適には、心棒40は、好ましくはねじ止めによってプランジャ要素42に結合された端部44´および弾性制動手段50に当接するのに適した反対側の端部44´´を含む部分44をさらに備えることができる。
【0016】
特に図2Bに示すように、作動室21は、弾性制動手段50を収容することができるハウジング領域51を備えることができる。
これらは、押圧部材52と、例えば図4Bに示すような皿ばね座金または図2Bに示すようなポリウレタンエラストマー体など、圧縮時にハウジング領域51を占めるのに適した制動要素53と、を備えることができる。
【0017】
このような制動要素53は、最小限の圧縮で高い反発力を与えることができる。
好都合には、作動室21は、軸Xを中心とする可動要素20の動きの液圧制動のための作動流体を含むことができる。
好都合には、プランジャ要素42は、作動室21を、第1および第2可変容積区画23´、23´´に分割することができ、それらは、弁手段60を使用して流体連通するように配置することができる。
【0018】
そのような弁手段60は、国際出願PCT/IB2015/050603号明細書、国際出願PCT/IB2017/05836号明細書またはイタリア国出願102,018,000,008,233号明細書に開示されているように、作動流体が第2の較正された開口部62を排他的に流れるように強制するために、蝶番式扉が開いているときに開き、蝶番式扉Aが閉まっているときに閉じることができるシャッタ61´を備える較正された開口部62と開口部61を備えることができる。
【0019】
好ましくは、開口部61およびシャッタ61´は、逆止弁の一部とすることができる。
さらにより好ましくは、較正された開口部62は、所望の程度に応じて、蝶番式扉Aの閉鎖を制動するように、適切なサイズの、場合によっては小さい直径を有することができる。
好都合には、ヒンジ装置1は、軸Xに沿って作動室21に挿入されるシャフト30を備えることができる。
【0020】
シャフト30は、固定要素10および可動要素20を接続するための接続部分31を備えることができる。
シャフト30はまた、接続部分31の反対側に管状作用部32を備えることができる。
好適には、管状作用部32は、互いに対向する1対のスロット34を備えることができる。
【0021】
各スロット34は、軸Xに平行な軸X´に沿って延びる部分35と、軸Yに沿って延びる部分37とを備えることができる。
好ましくは、軸Yは、特に図1Cに示すように、部分35と部分37との間に90°より大きい角度αを設定できるように、軸X´に投射することができる。
【0022】
添付の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、角度αが90°に実質的に等しくなり得ることは明らかである。
好適には、軸X´および軸Yに対して実質的に横方向の軸Zを規定する部分36を、部分35と部分37との間に介在させることができる。
【0023】
部分36は、軸Zに対応して傾斜したガイド面36´を含むことができる。
好ましいが非排他的な実施形態によれば、作動室21は、1対のアクチュエータスロット24を備える端部22をさらに備えることができる。
好ましくは、スロット24は、互いに対向し、軸Xの周りを回転するように配置することができる。
【0024】
より具体的には、スロット24は、右方向または左方向に展開することができる。
図1Aに示される実施形態によれば、スロット24は、左方向の展開を有することができる。
好都合には、ピン41がスロット24および34に沿ってスライドすることができるように、心棒40を管状作用部32に挿入することができる。
【0025】
特に、スロット24および34の各対は、ピン41のための単一のガイド要素を構成することができる。
より具体的には、蝶番式扉Aが動いている間、したがって軸Xの周りを固定要素10および可動要素20が回転する時に、スロット24は、スロット34に沿ったピン41の移動をガイドすることができる。
【0026】
しかしながら、添付の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、管状作用部32または可動要素20に単一の対のスロットを形成することができることは明らかである。
さらに、添付の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、管状作用部32および/または端部22に2つ以上のスロットを形成することができることは明らかである。
【0027】
動作的には、特に図8Aに示されるように、蝶番式扉Aが、例えば0°~85°の角度βだけ開くように動かされると、ピン41は、部分35に沿ってスライドすることができ、心棒40は、端部43´がシャフト30の接続部分31の近位にある第1の端部停止位置から、端部43´がそこから遠位にある第2の端部停止位置まで動くことができる。
【0028】
より具体的には、蝶番式扉Aが、例えば85°の角度βに対応する第1の開位置にあるとき、心棒40の端部44´´は、押圧部材52と接触する。
この角度から開始すると、蝶番式扉Aは、前述の液圧回路の作用のみで制動されて自動的に閉じることができる。
【0029】
図9Aに示すように、蝶番式扉Aが、第3の開位置に対応する85°~110°の角度βだけ開くように動かされると、ピン41は、部分36に沿ってスライドすることができ、心棒40は、制動要素53のその後の圧縮によって第2の端部停止位置から第3の端部停止位置へ移動することができる。
【0030】
したがって、85°~110°のβの値から始まると、蝶番式扉Aは、部分35に沿ってピン41を誘導し前述の第1の開位置に到達させるガイド面36´に当接させるようにピン41を押す制動手段50の作用によって、自動的に閉じることができる。
そのような位置から開始して、蝶番式扉Aは前述のように閉位置に到達することができる。
【0031】
さらに、そのような閉鎖は、前述の液圧回路によって適切に制動させることができる。
図10A図11Aに示されるように、蝶番式扉Aが、第2の開位置に対応する110°~180°の角度βだけ開くように動かされると、ピン41は、部分36に沿ってスライドすることができ、心棒40は、制動要素53のその後のさらなる圧縮によって第3の端部停止位置から第4の端部停止位置まで移動することができる。
【0032】
特に、開き角度βが110°を超えると、蝶番式扉Aは、特に図10A図11Aに示されるように、ピン41を押して部分37の当接面37´に当接させる制動要素53が生む反発力のため到達した位置でロックされる。
【0033】
その後、ユーザは、蝶番式扉Aを110°の角度βまで手動で戻さなければならず、この角度βからの開始で、前述のように蝶番式扉Aを自動的に閉じることができる。
蝶番式扉Aが開いている中で、85°~180°の開き角度βに関しては、ユーザは、制動要素53の累進的な圧縮で生じる徐々に増加する反発力のおかげで、大きくなる動きに対する抵抗を感じることができることは明らかである。
この抵抗により、ユーザが蝶番式扉Aを無理やり開かないようにし、蝶番式扉Aがヒンジから外れないようにする。
【0034】
記載されたヒンジ装置1が、閉鎖要素A、特にガラス製蝶番式扉の制御された回転式開閉動作を保証できることは明らかである。
【0035】
上記に照らして、本発明が所定の目的を達成することは明らかである。
本発明は、添付の特許請求の範囲に概説されている本発明の概念にすべて含まれる多数の修正および変形が可能である。添付の特許請求の範囲によって定義される保護の範囲から逸脱することなく、すべての詳細を他の技術的に等価な要素に置き換えることができ、材料は技術的必要性に応じて異なり得る。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
【国際調査報告】