(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(54)【発明の名称】歯列弓の一部分に沿って異常を検出する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/08 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
A61B8/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541252
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(85)【翻訳文提出日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2020051062
(87)【国際公開番号】W WO2020148406
(87)【国際公開日】2020-07-23
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508143775
【氏名又は名称】トロフィー エスアーエス
(71)【出願人】
【識別番号】521154774
【氏名又は名称】ケアストリーム デンタル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カプリ アルノー
(72)【発明者】
【氏名】ルデルグ ディビッド
(72)【発明者】
【氏名】イングレーゼ ジーン マルク
(72)【発明者】
【氏名】シェラード エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ジョソ エルベ
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB09
4C601DE03
4C601EE09
4C601EE10
4C601EE11
4C601GB03
4C601GD04
4C601HH21
4C601JC06
4C601JC11
4C601KK12
4C601KK13
4C601KK14
4C601KK15
(57)【要約】
歯列弓の一部分に沿った異常を、素材をスキャニングすることを用いて検出する方法であって、少なくとも1つの放出コーン内で超音波信号を放出し、かつ対応するエコー超音波信号を受信するように構成された超音波歯周プローブを含んでいる、方法の少なくとも1つの実施形態は、歯列弓の一部分に沿ってプローブを動かし、歯列弓の一部分に沿ってプローブを動かしながら、超音波信号を放出コーン内で放出し、エコー超音波信号を測定し、調査する少なくとも1つの解剖学的構造を検出し、少なくとも1つの検出された解剖学的構造の少なくとも1つの所定の特徴を測定して、検出された解剖学的構造を特徴付ける少なくとも1つの所定の特徴の測定値を取得し、少なくとも1つの検出された解剖学的構造の所定の特徴の閾値と測定値の関数として異常を検出すること、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯列弓の一部分に沿った異常を、素材をスキャニングすることを用いて検出する方法であって、少なくとも1つの放出コーン内で超音波信号を放出し、かつ対応するエコー超音波信号を受信するように構成された超音波歯周プローブ(300)を含み、
前記歯列弓(500、505)の一部分に沿って前記プローブ(300)を動かし、前記歯列弓(500、505)の前記部分に沿って前記プローブ(300)を動かしながら、
超音波信号を前記放出コーン内で放出し、
エコー超音波信号を測定し、
調査する少なくとも1つの解剖学的構造を検出し、
前記少なくとも1つの検出された解剖学的構造の少なくとも1つの所定の特徴を測定して、前記検出された解剖学的構造を特徴付ける前記少なくとも1つの所定の特徴の測定値を取得し、
前記少なくとも1つの検出された解剖学的構造の前記所定の特徴の閾値と前記測定値の関数として異常を検出すること、を含む、方法。
【請求項2】
調査される少なくとも1つの解剖学的構造を検出することは、
前記測定されたエコー信号に基づいて連続的に画像を構築することと、
前記構築された画像を分析して少なくとも1つの解剖学的構造を検出すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの検出された解剖学的構造に関連する物理量は、寸法、エコー輝度インジケータ、テクスチャの不均一性、テクスチャの複雑性のうちの1つである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記構築された画像を分析することは、前記構築された画像をセグメント化して、前記構築された画像内の少なくとも1つの解剖学的構造を検出することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの解剖学的構造は、歯及び/又は歯肉及び/又は歯周ポケット及び/又は皮質骨を単独で、又は組み合わせて、含み得る、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
検出された歯周ポケットに関連する物理量は、深度などの寸法である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各測定値を前記オペレータに通知するのと同時に、前記歯列弓(500、505)の前記部分に沿って前記プローブ(300)を動かす、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
最大測定値及び/又は最小測定値を前記オペレータに通知するのと同時に、前記歯列弓(500、505)の前記部分に沿って前記プローブ(300)を動かす、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
超音波信号を放出することは、前記プローブ(300)の角形成を記録すること、及び/又は前記プローブ(300)の前記位置を記録することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記超音波歯周プローブ(300)は、異なる方向に延びるいくつかの放出コーンのうちの少なくとも1つ内で超音波信号を放出するように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
超音波信号を放出することは、前記いくつかの放出コーンのうちの少なくとも1つを選択し、前記少なくとも1つの選択された放出コーン内で超音波信号を放出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プローブが、識別された異常に関する情報の項目を提供するように構成された少なくともインジケータを含み、前記方法が、
前記インジケータを通電して、検出された異常を示すこと、を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記インジケータは、1つ以上の発光装置(330)及び/又はLCDスクリーン及び/又は振動手段及び/又は効果音を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブ及び患者の口内の歯周組織又は歯茎領域などの関心のある領域をスクリーニングするための超音波歯科用プローブの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波撮像は、多くの実装において口腔内使用に適合しており、歯周ポケット深度の測定などの作業に特に有用であることが判明している。歯肉炎などの歯周病は、例えば、組織の音響応答を感知することによって検出され得る。超音波はまた、病変の病理学的性質に関する正確な情報を提供し得る。
【0003】
歯周ポケットの評価に使用される従来方法と比較すると、超音波プロービングは比較的快適で、より正確であり得る。超音波信号のみを使用するため、超音波プロービングは電離放射線を使用する方法よりも本質的に安全である。超音波撮像は、様々なタイプの放射線撮影(コーンビームコンピュータ断層撮影又はCBCT、パノラマX線、あるいは口腔内X線撮像)、磁気共鳴撮像(MRI)、又は核医学の代替又は補足として使用され得る。
【0004】
構造を観察するために、超音波撮像は、1~100MHzの高周波音波を使用し得る。高周波音波は、歯周ポケットの調査のために、好ましくは20~50MHzの間であってもよい。
【0005】
超音波撮像装置は、一般に、1つ以上のトランスデューサを含み、それは超音波ビームエミッタ及び/又は超音波ビームレシーバとして機能し、放出された信号からエコーを受信する。更に、超音波撮像装置は、様々な処理及び表示構成要素を含み得て、それらは取得された信号から画像を生成して提示するために使用される。超音波ビームエミッタは電気信号から超音波信号を生成し、逆に、超音波レシーバは機械的超音波信号から電気パルスを生成する。
【0006】
放出された超音波信号の経路にある物体は、超音波エネルギーの一部分をトランスデューサに戻し、トランスデューサは検出された構造を示す電気信号を生成する。受信された超音波信号から生成された電気信号は、各トランスデューサに固有の選択された時間、遅延され得て、その結果、選択された領域から散乱された超音波エネルギーはコヒーレントに追加されるが、別の領域からの超音波エネルギーには知覚可能な影響がない。更に、超音波信号の放出は適応可能なフォーカシングを可能にするために遅延され得る。電子的適応可能なフォーカシングにより、撮像される器官の深度に応じて解像度を向上することが可能になる。
【0007】
受信された信号をこの方法で生成及び処理するために使用されるアレイ処理技術は、「ビーム形成」と呼ばれる。
【0008】
口腔内超音波撮像の特定の課題は、プローブの設計に関連し、それは口腔内構造の十分なセットを撮像するために、つまり、歯周検査の間、頬側面と舌側面の両方で口内の各歯の垂直軸に沿って超音波ファンビームを配置するために使用され得て、プローブ先端又は別の構成要素を大幅に修正、再構成、又は変更する必要がない。実際、効率的にするため、超音波プローブウィンドウが撮像される領域に面している必要がある。トランスデューサと撮像される領域との間の音響経路は、水性ゲルなどのカップリング材料を介して、最小の減衰で確保される。
【0009】
歯周検診又はスクリーニング検査は、既存の歯周ポケットを測定して歯周病を追跡することからなる。
図1は、歯周ポケット105を含む歯科構造100の例を示す。歯110は、エナメル質115で覆われた歯冠表面と、上顎骨又は下顎骨に取り付けられた歯根とを有する石灰化構造である。各歯110は、歯周組織によって囲まれて支持され、それらを上顎骨と下顎骨に維持している。
【0010】
歯周組織は、歯茎(歯肉)125を含み、歯110を取り囲み、それらの周りにシールを供給している。歯周組織はまた、歯根膜(図示せず)、セメント質(歯の根を覆う石灰化物質、図示せず)、及び固有歯槽骨(顎、上顎及び下顎の骨の部分、歯槽を含む)を含む。セメントエナメル接合部(CEJ)130は、歯冠を覆うエナメル質115と歯110の根を覆うセメント質との間の解剖学的境界である。CEJ130はまた、通常、歯茎125が歯肉線維によって健康な歯に付着された領域でもある。
【0011】
歯周組織の潜在的な異常は、歯周ポケット105の発生であり、これは、歯茎125と歯110との間の空間を意味する。ポケット105は、
図1に示されるように、ポケット基部170とセメントエナメル接合部(CEJ)130によって特徴付けられる。ポケット深度は、ポケット基部170とセメントエナメル接合部(CEJ)130との間の距離140である。歯肉145の上部がCEJ130の位置より垂直方向で上にある場合、距離140は、標準的な歯周プロービングによって検出できず、距離135のみが測定可能であり、したがって、ポケット深度と見なされる。歯周ポケット105の基部170において、歯茎125は歯110に付着され、歯周ポケットの底を形成する。
【0012】
歯周ポケット105の深度135、140を測定するために、歯周プローブを使用して、少なくとも部分的に、歯周ポケット105の内側に歯110に沿って挿入してもよい(矢印150によって示されるように)。理想的には、歯肉の下のCEJ130(固定リファレンス)を検出することに関連され得て、これは距離140(アタッチメントレベル)がポケット深度の進化を定量化するのに最も関連性があるためである。
図2に示されるように、所与の歯110の歯周ポケット深度135を正しく評価するために、1本の歯110の歯周ポケット105は、評価された歯の周辺のいくつかの場所、例えば6つの場所で測定される必要がある。言い換えると、所与の歯110の歯周ポケット105を正しく検査するために現在のプロービングシステム(図示の手動プローブ160など)を使用して、異なる位置155a、155b、155c、155d、155e、155f(例えば6つ)が、単一の歯110をチェックするのに必要である。
【0013】
歯周ポケット105は、歯茎125の感染をチェックするために定期的に実施する必要がある。更なる歯周評価は、CEJ130と歯肉145の上部との間の歯肉退縮165の測定を伴ってもよい(
図1に示される)。
【0014】
歯周素因のない若年成人の場合、歯科医は、時間がかかり、かつ少なくとも2人のオペレータが関わることの多い完全な歯周検査を行うか、又は検査されていない歯の近くで歯周の問題を見逃すリスクがある部分的な歯周検査を行うかを選ぶ。
【0015】
別の異常が、患者の歯周組織又は歯茎領域に発生する可能性があり、例えば腫瘍及び/又は膿瘍である。現在、歯科医は、歯周組織を肉眼で観察することによって、又は生検によって、そのような異常を検出し得る。しかし、このような方法は時間がかかり、異常をほぼ即座に検出することができない。本発明は、これらの欠点を克服することに関する。提供される技術的解決策は、歯周スクリーニング検査又は定期的な歯周若しくは歯茎検診を簡素化し、高速化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前述の懸念の1つ以上に対処するために考案された。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これに関して、歯列弓の一部分に沿った異常を、素材をスキャニングすることを用いて検出する方法は、少なくとも1つの放出コーン内で超音波信号を放出し、かつ対応するエコー超音波信号を受信するように構成された超音波歯周プローブを含んで提供されており、その方法は、
歯列弓の一部分に沿ってプローブを動かし、歯列弓の一部分に沿ってプローブを動かしながら、
超音波信号を放出コーン内で放出し、
エコー超音波信号を測定し、
調査する少なくとも1つの解剖学的構造を検出し、
少なくとも1つの検出された解剖学的構造の少なくとも1つの所定の特徴を測定して、検出された解剖学的構造を特徴付ける少なくとも1つの所定の特徴の測定値を取得し、
少なくとも1つの検出された解剖学的構造の所定の特徴の閾値と測定値の関数として異常を検出すること、を含む。
【0018】
そのような方法は、歯周組織及び/又は歯茎の異常の検出を、患者の歯茎又は歯周組織の高速スキャン中に超音波歯周プローブを用いて可能にする。したがって、この方法は、歯周検査を簡素化及び高速化するのに役立ち、また、腫瘍などの異常の検出を可能にする。したがって、同じ検査中に、異なる性質の異常を検出できる可能性がある。
【0019】
いくつかの実施形態によると、調査される少なくとも1つの解剖学的構造を検出することは、
測定されたエコー信号に基づいて連続的に画像を構築することと、
構築された画像を分析して少なくとも1つの解剖学的構造を検出すること、を含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの検出された解剖学的構造に関連する物理量は、寸法、エコー輝度インジケータ、テクスチャの不均一性、テクスチャの複雑性のうちの1つであり得る。
【0021】
いくつかの実施形態によると、構築された画像を分析することは、構築された画像をセグメント化して、構築された画像内の少なくとも1つの解剖学的構造を検出することを含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの解剖学的構造は、歯及び/又は歯肉及び/又は歯周ポケット及び/又は皮質骨を単独で、又は組み合わせて、含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態によると、検出された歯周ポケットに関連する物理量は、深度などの寸法であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態によると、各測定値をオペレータに通知するのと同時に、歯列弓の部分に沿ってプローブを動かし得る。
【0025】
いくつかの実施形態によると、最大測定値及び/又は最小測定値をオペレータに通知するのと同時に、歯列弓の部分に沿ってプローブを動かし得る。
【0026】
いくつかの実施形態によると、超音波信号を放出することは、プローブの角形成を記録すること、及び/又はプローブの位置を記録することを含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態によると、超音波歯周プローブは、異なる方向に延びるいくつかの放出コーンのうちの少なくとも1つ内で超音波信号を放出するように構成され得る。
【0028】
いくつかの実施形態によると、超音波信号を放出することは、いくつかの放出コーンのうちの少なくとも1つを選択し、少なくとも1つの選択された放出コーン内で超音波信号を放出することを含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態によると、プローブは、識別された異常に関する情報の項目を提供するように構成された少なくともインジケータを含み得て、ここで、方法は、
インジケータを通電して、検出された異常を示すことを更に含む。
【0030】
いくつかの実施形態によると、インジケータは、1つ以上の発光装置及び/又はLCDスクリーン及び/又は振動手段及び/又は効果音を含み得る。
【0031】
本発明の別の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】従来技術による、歯周ポケットを評価する場所の例である。
【
図3a】本発明のいくつかの実施形態による超音波撮像プローブの使用例である。
【
図3b】本発明のいくつかの実施形態による超音波撮像プローブの使用例である。
【
図3c】本発明のいくつかの実施形態による超音波撮像プローブの使用例である。
【
図4】超音波撮像プローブの電子システムの例を示す概略図である。
【
図5a】歯周組織のスクリーニングを実施するためのプローブの動きの例である。
【
図5b】歯周組織のスクリーニングを実施するためのプローブの動きの例である。
【
図6】歯周ポケットをスクリーニングするためのプロトコルの例である。
【
図7】歯周ポケットをスクリーニングするためのプロトコルの例である。
【
図8】本発明のいくつかの実施形態による、歯列弓の一部分に沿った異常を検出するために素材をスキャニングする方法の例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明のいくつかの実施形態は、歯周組織及び/又は歯茎を、例えば、歯周ポケットの発生及び/又は腫瘍塊の追跡調査に対してスクリーニングするために超音波プローブを使用する方法を提供することを目的とする。本発明による方法は、関心のある領域の迅速なスキャンを実行し、検出された解剖学的構造の異常の所定の特徴をリアルタイムで計算し位置合わせすることを目的とする。スキャンは、歯列弓又は象限で実行されてもよい。例えば、歯周組織の歯周ポケット調査の場合、スキャンにより、評価された領域の歯周ポケットの深度の最大値を取得し得る場合がある。その例では、スキャンは、プローブの動きが歯肉線に沿ってではなく、歯周領域のレベルまで歯列弓曲線に沿うことから、オペレータによって容易に実行される。
【0034】
以下は、本発明の特定の実施形態の詳細な説明であり、図面が参照され、図面において同じ参照番号は各図の構造の同じ要素を識別する。
【0035】
以下の図面及び本文において、同様の構成要素は、同様の参照番号で指定され、構成要素に関する同様の説明、及び既に説明した構成要素の配置又は相互作用は省略される。それらが使用される場合、「第1」、「第2」などの用語は、必ずしも任意の順序関係、優先関係を示すわけではなく、特に明記しない限り、単に1つの要素を別の要素からより明確に区別するために使用され得る。
【0036】
装置の形状に言及する場合、「剛性」という用語は、通常の使用において、装置の実質的に変形不可能な性質として理解されるべきであり、これは、装置の主要要素の相対位置が実質的に一定であることを意味する(すなわち、使用中に有意な形状変形はない)。例えば、剛性超音波撮像プローブのグリップ部分、支持部材、及び超音波装置の相対位置は、撮像プローブが口腔内構造を撮像するために使用される場合、実質的に一定である。これは、装置が構成ステップの間、例えば、装置の2つの要素がロック可能なヒンジを用いて固定されている場合などに、変形可能であることを妨げない。加えて、これは、装置がわずかに変形可能な部品を含むことを妨げない。例えば、剛性超音波撮像プローブのグリップ部分は、弾性フォームを含むハンドグリップなどの変形可能なハンドグリップを含んでもよい。
【0037】
本開示の文脈において、用語「観察者(viewer)」、「オペレータ(operator)」、及び「ユーザ(user)」は、同等であるとみなされ、観察中の施術者、技師、又はディスプレイモニタで歯科画像などの超音波画像を取得、観察、操作する他の人物を指す。「オペレータの指示(operator instruction)」、「ユーザの指示」又は「観察者の指示」は、観察者によって、例えば、超音波プローブ若しくはシステムハードウェアのボタンをクリックすることによって、又はコンピュータマウスを使用することによって、又はタッチスクリーン若しくはキーボード入力を使用することによって入力される明示的なコマンドから得られる。
【0038】
本開示の文脈において、語句「信号通信状態にある(in signal communication)」は、2つ以上の装置及び/又は構成要素が、何らかのタイプの信号経路を伝わる信号によって相互に通信可能であることを示す。信号通信は有線であってもよく、又は無線であってもよい。信号は、通信信号、電力信号、データ信号、又はエネルギー信号であり得る。信号経路は、第1の装置及び/又は構成要素と第2の装置及び/又は構成要素との間の物理的接続、電気的接続、磁気的接続、電磁的接続、光学的接続、有線接続及び/又は無線接続を含み得る。信号経路は、また、第1の装置及び/又は構成要素と第2の装置及び/又は構成要素との間に、追加の装置及び/又は構成要素を含み得る。
【0039】
用語「対象(subject)」は、撮像されている患者の歯又は別の部分を指し、光学的用語では、対応する撮像システムの「物体(object)」と同等であると見なし得る。
【0040】
歯周プローブ
図3a、
図3bと
図3cは、本発明の方法の特定の実施形態と併せて使用し得る剛性超音波撮像プローブの概略図である。
図3aは、測定構成における剛性超音波撮像プローブの側面図であり、
図3bと
図3cは、それぞれ、初期構成における同じ剛性超音波撮像プローブの上面図及び正面図を表す。説明のために、初期構成は別の測定構成と区別されるが、測定が初期位置にあるプローブを用いて実行されることを排除するものではない。
【0041】
プローブは、放出コーン内で超音波ビームを生成するための超音波パルス信号放出及び/又は機械的構成要素を提供する。超音波ビームは、放出コーンに含まれる円錐形のビーム又は扇形のビームであってもよい。円錐形の超音波ビームは、放出コーンに対応するか、又は放出コーンよりも小さくてもよい。扇形のビームは平面である。
【0042】
プローブはまた、ビーム形成機能の取得ロジックを提供する。プローブ又は遠隔コンピュータ(図示せず)は、受信されたパルスエコーに対応する獲得された信号データを、処理されたかどうかにかかわらず取得し、検査された物体の画像をディスプレイでレンダリングし、ディスプレイはプローブのLCDディスプレイであってもよく、又は遠隔コンピュータのディスプレイであってもよい。画像コンテンツは、その後の使用のために記憶され、又は、別のシステム又はデータ記憶装置に送信され得る。
【0043】
図示のように、超音波撮像プローブ300は、グリップ部分305、支持部材310、及び超音波装置315(超音波センサとも呼ばれる)を含む。図示の例によると、支持部材310は、310-1及び310-2で示される2つの主要部品を含み、部品310-2の長手方向軸は、グリップ部分305の長手方向軸とは異なる。別の例によると、部品310-2は、グリップ部分305に直接固定されることに留意する(すなわち、部品310-1を使用しない)。したがって、図示の例によると、超音波装置315は、グリップ部分からその長手方向軸に関してオフセットされるように、グリップ部分305に強固に固定される。
図3aから明らかなように、超音波装置315は、グリップ部分305の長手方向軸(a)から距離dに配置される。距離dは、0~5cmの間で選択されてもよい。説明のために、それは2cmと同等であってもよい。超音波装置315とグリップ部分305との間の距離Dは、4~25cmの間で選択され得る。説明のために、それは10cmと同等とされ得る。
【0044】
特定の実施形態によると、支持部材310は、それらの長手方向軸との間に角度δを形成する2つの管状部材を含んでもよく、1つ以上の管状部材及び環状部材の一部分を含んでもよく、又は超音波装置をグリップ部分から軸方向にオフセットすることを可能にする任意の部材の構成要素を含んでもよい。
【0045】
図示のように、グリップ部分305は、ユーザが超音波撮像プローブ300の機能と、及び/又は超音波撮像プローブ300によって取得された信号を処理するコンピュータシステムとインタフェースすることを可能にする要素を含み得る。そのような要素は、一般的に320で参照されるディスプレイ(例えば、標準的なディスプレイ又はタッチスクリーン)及び一般的に325で参照されるボタンを含み得る。特定の実施形態によると、これらすべての要素又はこれらの要素のサブセットは重複されてもよく(320-1/320-2及び325-1/325-2)、その結果、ユーザは、超音波撮像プローブ300及び/又は超音波撮像プローブ300によって取得された信号を処理するコンピュータシステムと、超音波撮像プローブ300の位置が第1の位置及び第2の位置の間でどのようであっても同様に相互作用し得る(第2の位置は、水平面の反対側で第1の位置に対して配置されている)。
【0046】
更に、グリップ部分305は、1セットのLED(発光装置の頭文字)、例えば、LED330のリングを含み得る。以下に説明するように、これらのLEDは、選択された放出コーンを示してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態によると、LED又はLEDのリングは、超音波装置上又は支持部材上に超音波センサの近くで配置される。
【0048】
図3bに示されるように、超音波装置315は、グリップ部分305の長手方向軸(a)を含む水平面に垂直な垂直面を参照して、2つの反対方向に従って測定を行うように構成されてもよい。超音波ファンビームは、
図3bと
図3cに示すように、角度コーンα
1及びα
2と、角度コーンβ
1及びβ
2とを有する放出コーンに属し得て、それらは20°~160°の範囲にあり得る。以下、「放出コーン」という表現は、前述のように放出コーンを構成する2つの角度付きコーンに関する。
【0049】
超音波撮像プローブ300のトランスデューサは、Aモード、Bモード(又は2Dモード)、Cモード、Mモード、ドップラモード、カラードップラモード、連続ドップラモード、パルス波ドップラモード、二重モード、パルス反転モード、又は高調波モードタイプであり得て、これらはそれぞれ、当業者によく知られている。
【0050】
いくつかの実施形態によると、各放出コーンは所与のトランスデューサに関連付けられる。
【0051】
特定の実施形態によると、超音波撮像プローブ300は、移動素子(例えば、移動トランスデューサ及び/又は移動リフレクタ)を備える単一のトランスデューサ、2つ以上のトランスデューサ、又はトランスデューサの2つ以上のアレイを含み、それらはグリップ部分の長手方向軸に平行な超音波装置の軸の周りに、少なくとも超音波装置の両側に配置される(プローブ300の測定位置を考慮する場合)。したがって、移動素子(トランスデューサ又はリフレクタ)の各位置は、放出コーンに関連付けられる。一般に、移動素子は、超音波装置315のキャビティ内に回転可能に取り付けられる。移動素子は、移動素子の回転方向であるその取得スキャン方向によって特徴付けられる。取得スキャン方向は、取得した画像の向きを規定する。
【0052】
トランスデューサは、超音波ビームエミッタのように機能するのみでなく、エコー超音波を測定するように構成された超音波ビームレシーバとしても機能する。文献の残りの部分では、トランスデューサは超音波ビームエミッタとレシーバの両方である。別の実施形態では、いくつかのトランスデューサは、超音波ビームエミッタ又は超音波ビームレシーバとしてのみ機能すると考えられ得る。
【0053】
エミッタとして機能する場合、トランスデューサは、放出コーンに関連付けられ、放出コーンは関連付けられたトランスデューサが超音波信号を放出できるボリュームを規定する。
【0054】
レシーバとして機能する場合、トランスデューサは受動型であり、センサとして機能して、受信したエコー超音波信号を検出及び測定するように構成される。言い換えれば、トランスデューサは入射波を検出して測定する。
【0055】
いくつかの実施形態によると、各トランスデューサは、いくつかの放出要素及び/又はいくつかの受信要素を含んでもよい。複数の受信要素を有することは、超音波ビームの受信を改善し、同時に受信した超音波信号へのノイズの影響を減少するのに役立つ。
【0056】
図3bと
図3aに示される2つの放出コーン(すなわち、超音波ファンビームが放出され得るコーン)の方向は、グリップ部分305の長手方向軸と垂直面に垂直であるが、これらの方向は異なる場合があることに留意する。これらの方向は、グリップ部分305の長手方向軸に対して角度θ
1及びθ
2を、グリップ部分305の長手方向軸に垂直な垂直軸に対して角度γ
1及びγ
2を、それぞれ約20°~160°まで変化させて形成してもよく、ただし、これらの方向は、グリップ部分305の長手方向軸を含む平面に関してそれぞれ互いに反対である。
【0057】
いくつかの実施形態によると、プローブは、1つの放出コーン内で超音波信号を放出するように構成されてもよい。その結果、超音波信号は一方向に沿って放出され、それは超音波装置315の1つの放出コーンに含まれる。
【0058】
超音波撮像プローブの電子要素
図4は、超音波撮像プローブ300の電子システムの例を示す概略図である。
【0059】
図示のように、電子システム400はバス及び/又は電気接続を含み、
マイクロコントローラ405、
超音波撮像プローブ300を操作するための実行可能なコードと、変数及びパラメータを記録するように適合されたレジスタを記憶するための、RAMで示されるランダムアクセスメモリ410、
超音波撮像プローブ300及び/又は構成パラメータを操作するコンピュータプログラムを記憶するための、ROMで示される読み取り専用メモリ415、
超音波撮像プローブ300を遠隔コンピュータと信号通信状態にするように設定し、超音波撮像プローブ300を遠隔コンピュータとインタフェースして、例えば、測定された信号を送信し、及び/又は超音波撮像プローブ300の操作のいくつかを制御するためのコマンドを受信する、入力/出力インタフェース420であって、有線又は無線インタフェース、例えば、WiFi及び/又はBluetooth規格に準拠する無線インタフェース(WiFi及びBluetoothは商標)である、入力/出力インタフェース、
例えば、超音波撮像プローブ300の状態、実行するステップ若しくは次のステップ、及び/又は測定が行われる、若しくは行われる予定の方向、あるいは測定値、又はある測定値が閾値より大きいかどうかをユーザに示唆する、ディスプレイ及び/又はLED425、
例えば、加速度計及びジャイロスコープを含み、超音波撮像プローブ300の位置、向き、速度、及び/又は加速度を決定することを可能にし、例えば、ジェスチャタイプによってコマンドを識別するために使用されてもよい(例えば、特定のジェスチャを使用して、測定を行う方向を選択してもよい)動きセンサ、位置センサ、及び/又は方位センサ430、
上記のような1つ以上のトランスデューサ又はトランスデューサのアレイを含む超音波装置435、
超音波センサの部品、例えば、トランスデューサ、トランスデューサのアレイ、又は反射素子を移動するためのモータ440、
電子システムの構成要素に電力を供給するための、充電式又はそうではない電池445、
例えば、現在値及び/又は最大測定値及び/又は最小測定値を、歯周ポケットの測定された深度及び/又は測定された寸法、及び/又は腫瘍塊のテクスチャの複雑性及び/又はテクスチャの不均一性などについて示すための1つ以上のタコメータ450、及び、
スクリーニングされた部分に沿って異常の検出性を示すためのスピーカ(ラウドスピーカ)455、と接続される。
【0060】
超音波撮像装置は、別の電子要素を含んでもよく、その結果、上記の電子構成要素のいくつかは必要とされ得ないことに留意する。例えば、モータは、超音波撮像プローブ300が複数の固定トランスデューサ又はトランスデューサのアレイを含む場合、必要とされない。同様に、内部電力は、超音波撮像プローブ300が有線で遠隔コンピュータに接続されている場合、必要とされなくてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態によると、実行可能なコードは、読み取り専用メモリ415、又は例えばマイクロメモリカードなどの取り外し可能なデジタル媒体のいずれかに記憶され得る。変形例によると、プログラムの実行可能なコードは、入力/出力インタフェースを介して遠隔コンピュータから受信され得て、通信装置400の記憶手段の1つに記憶される。
【0062】
マイクロコントローラ405は、本発明の特定の実施形態による、超音波撮像プローブ300を操作するためのプログラム又は複数のプログラムの命令又はソフトウェアコードの一部分の実行を制御及び示すように適合され、命令は、前述の記憶手段の1つに記憶される。電源を入れた後、マイクロコントローラ405は、ソフトウェアアプリケーションに関連するメインRAMメモリ410からの命令を、例えば、それらの命令がROM415から、又は遠隔コンピュータからロードされた後に実行することができる。
【0063】
マイクロコントローラ405、RAM410、及び/又はROM415は、機械又は専用構成要素、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によってハードウェアに実装され得る。
【0064】
受信により、取得された超音波信号は、電子システム400によって、例えばマイクロコントローラ405によって処理され、例えばフィルタリングされ得て、その後、遠隔コンピュータに入力/出力インタフェース420を介して送信される。特定の実施形態によると、取得された超音波信号は処理され、遠隔コンピュータに送信される画像を生成し得る。代替的に、取得された超音波信号は遠隔コンピュータに生データとして直接送信されてもよい。電子システム400の処理力及び能力は、取得された超音波信号に適用される処理に依存し得る。
【0065】
動きセンサ及び/又は方位センサを使用して、所定のコマンドを検出し得る。例えば、超音波撮像プローブ300の右への動きは、測定が超音波撮像プローブ300の右側で行われることを示し得る。同様に、超音波撮像プローブ300の左への動きは、測定が超音波撮像プローブ300の左側で行われることを示し得る。
【0066】
動きセンサ及び/又は方位センサを使用して、超音波撮像プローブ300の位置をデフォルト位置に関して決定することもできる。超音波撮像プローブ300の決定された位置を使用して、受信された超音波信号から生成された画像を適切に配向し得る。
【0067】
上記のように、表示は、ディスプレイ上に、又は1つ以上のLEDのサブセットとして表示されて、測定が行われる方向に関する表示を提供し得る。いくつかの実施形態によると、受信領域を囲む圧電素子を使用して、エネルギーを生成し、プローブ先端315の近くの局所インジケータ(例えば、小さなLED)に通電する。
【0068】
そのために、トランスデューサで使用されるような、電気的励起によって機械的波を生成し、逆に、機械的ストレス下に置かれると電気パルスを生成する両方の能力を有する圧電素子が使用される。超音波撮像プローブ300を使用する場合、トランスデューサは、観察された組織によって反射され偏向される多数の超音波を生成する。信号の取得中、画像を生成するために、入射波はトランスデューサに影響を与えるのみでなく、トランスデューサ表面の外側の領域にも影響を与え、そこは信号のキャプチャリングに使用されない圧電材料の部分を含み、明確化のために圧電ウェルと呼ばれる。したがって、その他の方法で失われる余剰のエネルギーの一部を、実際に測定に使用されるエミッタとレシーバの近くで、環境発電用の圧電ソースの数を考慮することにより、使用することができる。これらの圧電ウェルは、反射された音響信号の一部としてキャプチャされない余剰のエネルギーをキャプチャし、小さなLEDと関連する容量素子に通電するのに十分な電流を生成し得る。上記のように、この環境発電から生成された照明は、ユーザに情報を提供して、放出された超音波ビームの位置又は角度方位を視覚的に強調し得る。生成された照明は、スキャンされた領域を照らすのに十分な強さでさえあり得る。
【0069】
いくつかの実施形態によると、プローブは自律的であり得る。言い換えると、プローブは、遠隔コンピュータなどの別のシステムなしで使用可能であってもよい。この場合、プローブは、超音波信号を放出し、エコー超音波信号を取得し、超音波画像を構築し、測定を実行し、次に超音波プローブのLCDディスプレイに通知を表示するように構成され得る。その結果、プローブは、取得されたエコー超音波信号を処理するように構成されたメモリ(RAM及びROMなど)に関連付けられたマイクロコントローラを含んでもよい。したがって、プローブのマイクロコントローラは、プローブの組み込みメモリに記録されたソフトウェアアプリケーションの指示を実行するように構成される。そのようなプローブは、超音波画像の再構築、エコー超音波の測定、及び測定の通知及び/又はオペレータへの再構築のために自律的である。
【0070】
関心のある領域をスクリーニングするためのプローブの初期化と配置
図5aと
図5bは、軟組織及び硬組織を含む歯列弓の一部分をスクリーニングするための、本発明の特定の実施形態による超音波撮像プローブの使用例を示す。
【0071】
図5aは、プローブ300を用いて患者の口内の関心のある領域をスクリーニングする場合のプローブ300の動きを示す。オペレータは、プローブ300のグリップ部分305を扱い、関心のある領域を観察するために、プローブ300の超音波装置315を配置する。
【0072】
異常を検出するための関心のある領域の例は、
図5aに示される歯茎領域515である。歯茎領域515は、歯周組織を覆う目に見える部分として規定され得る。この領域はまた、歯周ポケットが発生する可能性が高い口内のセクタに対応する。
図1を参照して前述したように、歯周ポケット105は、歯110と歯110の円周領域の歯肉125との間に生じる場合があり、歯肉125は通常、環状に歯110を取り囲む。歯茎領域515は、歯列弓500、505の両方に沿って延びるセクタである。歯列弓500、505は、歯110を含む2つの歯列弓であり、各顎に1つであり、一緒に歯列510を構成する。上顎(又は上部顎)の上部歯列弓505及び下顎(又は下部顎)の下部歯列弓500は、それぞれ、上顎及び下顎の歯を維持する歯周組織を含む。
【0073】
同じ歯茎領域はまた、腫瘍塊が発生する可能性が高い口内のセクタに対応する。実際に、腫瘍塊は歯茎上皮に現れる場合がある。腫瘍塊は、超音波プローブを用いて、この領域に沿って動かす場合に検出され得る。実際に、生のエコー超音波信号のエコー輝度応答の変化又は再構成された画像に見える特定の塊の検出は、腫瘍塊を検出することを可能にし得る。
【0074】
図5aに見られるように、各歯列弓500、505は弧状であり、つまり曲線を有する。
【0075】
歯茎領域515の一部分を観察するために、超音波装置315は、放出コーン内で放出された円錐形又は扇形のビームが、観察される関心のある領域の部分で反射されるように配置される。
【0076】
そうするために、超音波装置315は、関心のある領域の部分が放出コーンに含まれるように、及び/又はファンビームを含む放出コーンの平面と交差するように配置されてもよく、
図5bに関連して更に説明する。
【0077】
更に、歯茎領域515が歯列弓500、505に沿って延びるため、歯茎領域515の包括的な調査を行うために、オペレータは、超音波装置315を歯列弓500、505に沿っていくつかの超音波信号及び/又は再構築された画像を取得するように動かしてもよい。
【0078】
言い換えると、プローブ300を保持するとき、オペレータは、プローブ300を観察される歯茎領域515の一部分に沿って動かす。
【0079】
下顎の下部歯茎領域の画像を取得するためのプローブの動きの例は、
図5aに矢印520によって示される。
図5aに見られるように、超音波装置315は、トランスデューサ525が歯茎領域515に面し、矢印520に従い歯列弓に沿って動くように配置される。
【0080】
図5bは、歯列弓500、505に沿った歯茎領域515の解剖学的構造を測定するための、プローブ300の超音波装置315の位置決めを示す。
【0081】
取得プロセスの間、解剖学的構造の測定が正しく実行されることを確実にするために、プローブ300、特にプローブ300の放出コーンは、観察される歯茎領域515が存在する歯列弓500、505に対して配置される。
【0082】
そうするために、
図5bに見られるように、プローブ300の角度位置は歯の軸535により監視され得る。したがって、所与の歯周ポケット105の正しい測定を得るために、オペレータは、歯茎領域515を観察するための超音波ビームが、歯列弓曲線の接線ベクトル530に可能な限り直交して歯の軸535に従うように、プローブ300を保持する。使用可能な測定を確実にするために、超音波装置315の最大偏差角形成540に対応する閾値が特定されてもよい。
【0083】
腫瘍塊の検出のためのスクリーニングの間、角形成監視は必要でない。実際に、腫瘍塊には調査の好ましい方向がないため、プローブの位置を監視することの利点は限定されているようである。
【0084】
いくつかの実施形態によると、最大偏差角形成閾値は、ソフトウェアアプリケーションによって供給され得て、それは、プローブ300に(入力/出力インタフェースを介して)接続された遠隔コンピュータでホストされるか、又はプローブ自体でホストされる。
【0085】
最大偏差角形成閾値は、プローブの初期位置に対する偏差角形成であり得る。例えば、ソフトウェアアプリケーションは、初期化手順を含み、それはプローブの少なくとも1つの放出コーンを、患者の最もアクセスしやすい歯(例えば、切歯の1つ)の前で、正しい位置に配置するようにオペレータに指示することからなる。次に、プローブの初期位置の角形成が位置合わせされる。
【0086】
次に、取得プロセスの間、プローブの偏差角形成はソフトウェアアプリケーションによって監視され、その結果、プローブ300の角形成が最大偏差値よりも大きくなるとすぐに、ソフトウェアアプリケーションはオペレータに通知する。最大偏差値は、15°以下、好ましくは10°以下、より好ましくは5°以下に設定され得て、歯周ポケットの軸に沿った正確な測定を保証する。いくつかの実施形態によると、プローブのライブ偏差角形成は、患者の検査の間、プローブのLCDスクリーン又は(遠隔ワークステーションの)コンピュータのスクリーンに記録、転送、又は表示され得る。
【0087】
いくつかの実施形態によると、ソフトウェアアプリケーションは、最大偏差値よりも大きい角形成偏差に関連する患者の口内の取得された画像を自動的に、又は半自動的に破棄することを可能にする特徴を含み得る。
【0088】
いくつかの実施形態によると、プローブ300の角形成は、
図4を参照して言及されたセンサ430により監視される。
【0089】
歯列弓の関心のある領域のスクリーニング
本明細書に詳述するように、歯列弓をスクリーニングするように適合されたプローブ300は、放出コーン内で超音波信号を放出し、かつ対応するエコー超音波信号を受信するように構成された超音波歯周プローブ300を有利に含み、
図3a、
図3b、
図3c、
図4、
図5a及び
図5bに示される。
【0090】
異なる方向に延びる2つ以上の放出コーンを有するプローブ300を使用する場合、消費電力を削減し、寄生信号を回避することによって結果の品質を改善するために、使用される放出コーン(複数可)を選択することは有利である。選択は手動又は自動であり得る。
【0091】
しかしながら、歯周検査又は腫瘍検査の時間を短縮するために、歯周組織又は歯茎上皮の異常の検出を、プローブを歯茎領域で歯列弓の部分に沿って連続的に動かしながら提案することは有利である。
【0092】
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、歯列弓の一部分に沿った異常を検出するために素材をスキャニングする一般的な方法のステップの例を示す図である。
【0093】
図示のように、一般的な方法800は、プローブ300が、
図5aに図示されたものなどの複数の歯を含む歯列弓の一部に沿って移動するステップ805の間に実行される。
【0094】
図5bを参照して説明したように、いくつかの実施形態によると、この方法は、ユーザが上記のような初期化手順を実行してプローブの初期位置を位置合わせした後に、実行され得る。
【0095】
方法800は、超音波信号を観察される組織に面する放出コーンのうちの少なくとも1つ内で放出するステップ810を含む。
【0096】
いくつかの実施形態によると、放出するステップは、取得プロセスの一部として実行される。取得プロセスは、以下に詳述するように、随意、半自動、又は自動であり得る。
【0097】
2つの放出コーンを有する
図3aに示されたプローブを使用する場合、放出するステップは、2つの放出コーンのうちの少なくとも1つを選択し、次に超音波信号を選択された放出コーン内で放出するステップを含み得る。
【0098】
同じことは、異なる方向に延びる複数の放出コーンを有するプローブを使用する場合にも適用される。
【0099】
2つの異なる放出コーン内で放出される超音波信号間の干渉を回避するために、プローブは、一度に1つの放出コーンのみを放出モードと受信モードの両方で選択するように構成され得る。取得サイクル(すなわち、超音波信号の放出とエコー超音波信号の受信)は、同じ又は異なる放出コーンのいずれかに関わる別の取得サイクルを開始する前に完了する必要がある。プローブは、取得サイクルが別の取得サイクルを開始する前に完了していることを確認するように構成され得る。
【0100】
したがって、プローブが領域から領域へ、1本の歯ずつ移動する間、超音波信号はステップ810で連続的に放出され、エコー超音波信号はプローブのトランスデューサによってステップ815で連続的に測定される。
【0101】
ステップ810とステップ815は、一緒に取得サイクルを形成する。取得プロセス中に、いくつかの取得サイクルが発生してもよい。
【0102】
次に、この方法は、調査される少なくとも1つの解剖学的構造を検出するステップ820を含む。
【0103】
いくつかの実施形態によると、そうするために、スキャンされた領域(歯を次々と)の画像は、測定されたエコー信号に基づいて連続的に構築され、次いで分析される。この分析により、歯茎領域の関心のある領域の異常、例えば歯周組織の歯周ポケット又は歯茎上皮とは異なるエコー輝度を有する塊の検出を可能にする。
【0104】
いくつかの実施形態によると、構築された画像の分析は、2つの連続するステップを含んでもよい。最初のステップは、構築された画像をフィルタリングして、構築された画像の解剖学的構造を識別することである。このステップは、構築された画像で見られる物体を識別することを目的とし、解剖学的構造、例えば、歯、歯肉、歯茎上皮、皮質骨、歯周ポケットを意味する。
【0105】
いくつかの実施形態によると、オペレータが観察したい解剖学的構造に応じて、フィルタリングのステップを使用して、意味のある画像を識別し得る。例えば、歯周ポケットをスクリーニングする場合、歯周ポケットが検出された画像のみが引き続きこの方法で使用される。同じことは、腫瘍検査の場合、腫瘍組織を示さない超音波画像に適用される。したがって、オペレータにとって関心のない画像は、オペレータに通知することなく自動的に破棄され得る。
【0106】
次に、方法は、ステップ825を含み、少なくとも1つの検出された解剖学的構造の所定の特徴を測定して、構造を特徴付ける測定された所定の特徴の値を得る。
【0107】
所定の特徴は、検出された解剖学的構造に依存し得る。実際、検出された解剖学的構造が歯周ポケットであるかどうかにかかわらず、所定の特徴は、検出された歯周ポケットの特徴の深度又は任意の別の寸法であり得る。検出された解剖学的構造が歯肉と歯茎上皮であるかどうかにかかわらず、所定の特徴は、エコー輝度、テクスチャの複雑性及び不均一性であり得る。実際に、歯茎の上皮に現れる可能性が高い腫瘍塊は、健康な歯茎の上皮とは異なるエコー輝度と、異なるテクスチャの複雑性及び不均一性を有する。
【0108】
言い換えると、ステップ825は、以前に検出された解剖学的構造の特徴の測定(すなわち、例えば、識別された歯周ポケットの深度又は歯茎の上皮のテクスチャの複雑性の測定)を目的とする。そうするために、測定は、特徴付けられる構造が検出された、構築された画像に対して実行される(ステップ820において)。
【0109】
次に、方法800は、少なくとも1つの検出された解剖学的構造の所定の特徴の閾値と測定値との関数として、異常を検出するステップ830を含む。
【0110】
この閾値は、プローブに接続された遠隔コンピュータでホストされるソフトウェアアプリケーションの入力/出力インタフェースを介して、又はプローブのLCDに表示される装置ヒューマンインタフェースを介して直接に、オペレータにより事前に決定又は設定され得る。閾値は、スクリーニング検査中に動的に決定されてもよい。
【0111】
複数のタイプの解剖学的構造が同じスクリーニング検査中に調査される場合、いくつかの閾値はオペレータによって規定され、変更され得て、各閾値は、特定のタイプの解剖学的構造(歯周ポケットの深度の最大値、軟組織の最大/最小テクスチャの不均一性)に関連付けられている。
【0112】
したがって、検出された解剖学的構造の所定の特徴の各測定値は、閾値と比較され得る。プローブのインジケータは、識別された異常に関する情報の項目を提供するように構成されてもよい。例えば、閾値を超えるエコー輝度を有する歯茎の一部分が検出された場合、インジケータを作動させて、腫瘍の存在の可能性を通知し得る。同じことは、異常な深度を有する歯周ポケットに適用される。
【0113】
次に、いくつかの実施形態によると、方法は、インジケータに通電して検出の場合に関心のある領域の異常を示すステップ835を更に含む。インジケータは、
図4を参照して説明されたように、プローブの発光装置425、LCDスクリーン425、振動手段又はスピーカ455のうちの1つであり得る。
【0114】
例えば、オペレータは、コンピュータディスプレイ及び/又はプローブのLCDディスプレイに表示される警告メッセージ、プローブの振動、少なくとも1つのLEDの照明(連続的又は不連続的に、色変化を伴い)、又はスピーカを介した効果音の拡散を用いてシステムによって通知され得る。
【0115】
一般的な方法800のステップが実行されると、遠隔コンピュータ又はプローブに埋め込まれたマイクロコントローラでホストされるソフトウェアアプリケーションは、取得データを記録するように命令されてもよい。いくつかの実施形態によると、すべての取得データ、又は関心のある取得データのみが記録されてもよい。例えば、歯周ポケットの閾値を超える深度を有する歯周ポケットに関連するデータ、又は閾値を超えるテクスチャの不均一性及び/又は複雑性を有する腫瘍塊の検出のみが記録され得る。いくつかの実施形態によると、解剖学的構造測定及び関連する画像(複数可)(測定に使用される)の両方は、オペレータ及び/又はシステムのオプションメモ(歯の数、プローブの位置、プローブの角度方位など)を含めて、コンピュータに保存されてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態によると、プローブを1本の歯ずつ動かしている間、プローブの角形成は監視され、連続的に初期位置と比較されて、測定が正しく実行されることを確実にする。その結果、取得プロセスの間、プローブの角形成偏差は監視され、また保存された画像のオプションメモとして記録されてもよい。
【0117】
この方法により、歯列弓の一部分に沿ってプローブを動かしながら、プローブは歯茎領域の画像を連続的かつ中断することなく収集する。その結果、歯周検診の場合、歯周評価を実行するための時間が大幅に短縮される。
【0118】
歯列弓の関心のある領域の手動スクリーニング
手動モードでは、オペレータは、自分が選択した歯列弓の1つ以上の部分に沿ってプローブを自由に動かす。言い換えると、歯茎領域の評価中に、オペレータは評価される領域を自由に選択し、歯周ポケット及び/又は腫瘍塊の評価を完了し得る。この場合、オペレータは患者の口内の歯茎領域を自由に調査する。
【0119】
最初に、オペレータは、超音波信号を放出するトランスデューサを選択して作動し、患者の関心のある領域の解剖学的構造を観察する。
【0120】
いくつかの実施形態によると、1つの放出コーンを有するプローブを使用する場合、オペレータは、トランスデューサを作動して、超音波信号を放出させ得る。次に、方法800が実行され得て、プローブが連続的に歯列弓の部分のいくつかの画像を取得することを可能にする。
【0121】
言い換えると、患者の歯列弓の歯茎領域の一部分を調査するとき、オペレータは、いくつかの部分の画像を取得し得て、それらは方法800のステップ820、825、及び830によって自動的に分析され解釈される(例えば、検出された歯周ポケットの深度を評価するため、又は腫瘍塊の存在を検出するため)。
【0122】
いくつかの実施形態によると、オペレータは、患者の口内の離れた解剖学的領域間でプローブを動かすときに、プローブを電源オフにしてもよい。
【0123】
いくつかの実施形態によると、プローブを離れた解剖学的領域間で動かすときに、方法は連続的に実行され得て、関心のある解剖学的構造がフィルタリングのステップ中に検出されない画像は、自動的又は半自動的に破棄され得る。
【0124】
いくつかの実施形態によると、
図3a、
図3bと
図3cに示されるようなプローブを使用する場合、オペレータは、場合によっては、プローブのいくつかの放出コーンから1つの放出コーンを選択した後に、トランスデューサを作動させて、関連する放出コーンで超音波信号を放出させてもよい。オペレータは、放出コーンを観察する関心のある領域に応じて選択し得る。したがって、患者の口腔内を調査するとき、オペレータは、作動したトランスデューサを、関心のある領域を観察するのにより適した配置を有する別のトランスデューサに変更し得る。
【0125】
いくつかの実施形態によると、トランスデューサ(複数可)の作動は、超音波撮像プローブ300に配置された物理的ボタンの作動から生じる。
図3a、
図3b及び
図3cに関連して説明されるように、各ボタン325-1、325-2は、放出コーンに関連付けられたトランスデューサにリンクされるように構成され得る。
【0126】
タッチセンサ式スクリーンの場合、ユーザは指を用いて1つのトランスデューサを選択し、使用するトランスデューサを示してもよい。
【0127】
いくつかの実施形態によると、オペレータは、プローブのLCDスクリーン又は超音波撮像プローブ300に接続されたコンピュータでホストされたソフトウェアグラフィックインタフェースのいずれかに表示される項目を選択することによって、トランスデューサ(複数可)を作動させ得る。
図4に示されるように、撮像プローブ300の電子システムは、入力/出力インタフェースを介して遠隔コンピュータ(遠隔ワークステーションに含まれる)とインタフェースされ得る。この場合、コンピュータは、プローブ300を操作するように、特に、タッチスクリーンについて前述したように、ユーザが測定を行いたい方向を示すように構成されたプログラムをホストする。
【0128】
いくつかの実施形態によると、選択された放出コーンに関連付けられた作動されるトランスデューサは、例えば、プローブ300及び/又は遠隔コンピュータの取得インタフェース上のLEDの補助を用いて、オペレータに示されてもよい。
【0129】
トランスデューサの1つが作動されると、オペレータは、プローブを歯列弓に沿って動かし、方法800が実行されて、患者の歯列弓の関心のある領域をスクリーニングする。前述のように、異常を検出した後、プローブのインジケータを通電して、調査される関心のある領域で識別された異常を示し得る。インジケータは、
図4を参照して説明したように、プローブの発光装置425、LCDスクリーン425、振動手段又はスピーカ455のうちの1つであり得る。
【0130】
例えば、オペレータは、コンピュータディスプレイ及び/又はプローブのLCDディスプレイに表示される警告メッセージ、プローブの振動、LEDの1つの照明(連続的又は不連続的に、あるいは色変化を伴い)、又はスピーカを介して拡散される効果音を用いてシステムによって通知され得る。
【0131】
歯列弓の関心のある領域の半自動又は自動スクリーニング
関心のある領域(歯茎領域など)の半自動及び自動スクリーニングでは、オペレータは取得プロセスを通じてソフトウェアによって案内される。ソフトウェアアプリケーションは、取得シーケンス(シナリオ)を含み、領域がスキャンされる順序を示し、取得が開始及び終了し得る歯列弓の位置を意味している(例えば、歯周評価のための所与の歯)。
【0132】
いくつかの取得プロセスはユーザに利用可能であり得て、歯列弓の歯茎領域、又は半歯列弓若しくは歯列弓象限などの部分を完全にスクリーニングすることを提供してもよい。当然、ソフトウェアアプリケーションは、オペレータによる取得プロセスのカスタマイズ及び/又は作成を可能にし得る。
【0133】
評価される解剖学的構造に応じて、いくつかの取得プロセスが利用可能であり得る。ソフトウェアアプリケーションは、予想される領域をスキャンするようにユーザを案内し得る。
【0134】
したがって、歯周検査用と腫瘍検査用の取得プロセスは異なってもよい。
【0135】
いくつかの実施形態によると、ユーザがソフトウェアグラフィックインタフェースで取得プロセスを選択すると、ソフトウェアアプリケーションは、プローブのトランスデューサの1つを作動させて、超音波信号を関連する放出コーン内で放出させ得る。作動されたトランスデューサは、次にソフトウェアのグラフィックインタフェースに表示され、オペレータがプローブを正しく配置するのを補助する。
【0136】
いくつかの実施形態によると、選択された放出コーンに関連付けられた作動するトランスデューサは、オペレータに、例えば、プローブ300上の、及び/又は遠隔コンピュータの取得インタフェース上のLEDの補助を用いて示されてもよい。
【0137】
したがって、プローブ300を保持しているオペレータは、次に、取得プロセスを通してソフトウェアアプリケーションによって案内される。ソフトウェアアプリケーションは、患者の口腔内のスキャンを、ある放出コーンから別の放出コーンへの切り替えを制限することにより、最も効率的な方法で確実にするプロトコルを供給し得る。オペレータが選択されたプロトコルに従ってプローブを動かす間、方法800が実行される。
【0138】
いくつかの実施形態によると、手動又は自動モードでの解剖学的構造評価の後、各所定の特徴に対して、スクリーニングされた領域の最大及び/又は最小の測定された特徴値は、コンピュータスクリーン又はプローブのLCDスクリーンのいずれかに表示される。
【0139】
異常な歯周ポケットの自動スクリーニングのためのプロトコルの例
方法800が異常な歯周ポケットを検出するために実行される場合、所定の特徴は、例えば、
図1に関連する記述で説明されるように、歯周ポケットの深度であり得る。当然、歯周ポケットの別の寸法は所定の特徴として使用され得る。
【0140】
歯周ポケット評価の期間を最適化するプロトコルの例を、プローブ300を使用して
図6a、
図6b、
図6c及び
図7a、
図7b、
図7cに示し、プローブ300は
図3a、
図3b、及び
図3cに記述するように、反対方向に延びる2つの放出コーンで放出するように構成される。
【0141】
したがって、プローブは、ソフトウェアアプリケーションによって作動され得る2つのトランスデューサ340、345を含む超音波装置315を含み、ソフトウェアアプリケーションはプローブ300を操作し、かつトランスデューサに超音波信号を放出させるように構成される。
【0142】
図示されたプロトコルは、2つのフェーズで実行され、それぞれ、
図6a、
図6b、
図6c及び
図7a、
図7b、
図7cに示され、それぞれ、トランスデューサ340及び345の作動に対応する。
【0143】
最初に、トランスデューサ340は、ソフトウェアアプリケーションによって作動され、オペレータは、プローブを動かし始める。プロトコルは、最初にプローブ300を、左舌側の下顎600に配置された歯茎領域に沿って、次に右前庭の下顎605に配置された歯茎領域に沿って動かすようにオペレータに示す。各歯列弓象限600、605について、オペレータは、象限の下の歯から開始し、プローブ300を1本の歯ずつ動かして、これらの2つの領域600、605を完全にスキャンしてもよい。
【0144】
プローブ300をこれらの2つの領域600、605に沿って動かすとき、方法800が実行され、その結果、領域のいくつかの画像が連続的に取得され、存在する歯周ポケット又は腫瘍塊が測定される。
図6bは、生物学的構造の測定に使用される作業可能な画像を得るための、左舌側の下顎600又は右前庭605のいずれかの所与の歯635に関して放出された超音波ファンビーム620の位置決めを示す。
【0145】
高速歯周検診の状況において、この例では、プローブ300は、歯の軸630に平行な平面内に延びる超音波ファンビーム620を放出する。したがって、超音波ファンビーム620は、考慮される歯列弓曲線の接線ベクトルにかなり直交する。ベクトル625は、移動素子(トランスデューサ又はデフレクタ)によって生成されたファンビーム超音波信号の場合では取得スキャン方向を表す。
【0146】
得られた画像640は、所与の歯635の歯周領域が観察され得る画像の一例である。見られるように、取得された画像640は、歯肉が歯635を取り囲む領域、すなわち歯周ポケットが形成される可能性が高い領域を示す。
【0147】
次に、オペレータは、プローブ300をプロトコルに従って動かし始め、それはオペレータにプローブ300を、最初に右舌側の上顎610の歯茎領域に沿って、次に左前庭の上顎615の歯茎領域に沿って動かすように指示する。プローブ300の動きは、歯列弓の象限600、605のスキャンに関連して説明されたものと同じである。
【0148】
トランスデューサ340は、歯の軸655に関してファンビーム620と同様に配向された超音波ファンビーム650を放出し、右舌側の上顎610又は左前庭の上顎615のいずれかの歯660に関して
図6cに示される。超音波ファンビーム650は、考慮される歯列弓曲線の接線ベクトルにかなり直交する。ベクトル665は、移動素子(トランスデューサ又はデフレクタ)によって生成されたファンビーム超音波信号の場合において取得スキャン方向を表す。
【0149】
得られた画像670の例は、スキャンされた歯660の歯周領域を示す。
【0150】
プロトコルの第2のフェーズは、歯列弓の残りの部分を第2のトランスデューサ345を用いて測定することを目的とする。
【0151】
最初に、トランスデューサ345は、ソフトウェアアプリケーションによって作動され、オペレータは、プローブ300を動かし始める。プロトコルは、最初にプローブ300を、左前庭の下顎700の歯茎領域に沿って、次に右舌側の下顎705の歯茎領域に沿って動かすようにオペレータに示す。同様に、
図6a、
図6b、
図6cを参照して説明したように、オペレータは、各象限の下の歯から開始し、プローブ300を1本の歯ずつ動かし、同時にプローブ300を正しい位置に維持して、作業可能な画像を取得する。歯周ポケット調査のためのプローブの正しい位置は、
図7bに示され、超音波ファンビーム720を放出するプローブ300の超音波装置315を示しており、超音波ファンビームが歯735の軸730に平行であり、歯列弓曲線の接線ベクトルに直交するように配置されている。
【0152】
次に、プロトコルは、プローブ300を右前庭の上顎715の歯茎領域に沿って動かし、次に左舌側の上顎710の歯茎領域に沿って動かすようにオペレータに指示する。
【0153】
オペレータはそれぞれ、トランスデューサ345によって供給される超音波信号を用いてこれらの領域に沿ってプローブを動かす。
【0154】
得られた画像740及び770の例は、歯周領域、特に、歯肉が歯735、760を取り囲む領域を示す。
【0155】
この図示されたプロトコルは、ソフトウェアアプリケーションがトランスデューサ340、345の間で切り替える必要のある回数を制限することを可能にする。
【0156】
評価のプロトコルの間、ソフトウェアグラフィックインタフェースは、オペレータが実行すべきプローブの動きに関する表示を含み得る。更に、ソフトウェアアプリケーションは、プローブの位置決め、特にプローブの角形成が、得られた画像で検出され得る生物学的構造を正確に測定できない場合に、ユーザに通知し得る。プローブ偏差の監視は、
図5bを参照して前述したように、解剖学的構造の評価中に実行され得る。
【0157】
したがって、スキャニングプロセスが最適化され、患者の口腔内の完全な検査を行うための時間の量が低減される。
【0158】
いくつかの実施形態によると、プロトコルは、上部及び下部歯列弓の前庭部分、次に上部及び下部歯列弓の舌側部分の測定を実行するように指定し得る。
【0159】
いくつかの実施形態によると、ソフトウェアアプリケーションは、追加のプロトコルがオペレータによって確立されることを可能にし得る。
【0160】
前に説明したように、調査した関心のある領域の異常を検出した後、プローブのインジケータを通電して、識別された解剖学的構造の異常を示し得る。インジケータは、
図4を参照して説明したように、プローブの発光装置425、LCDスクリーン425、振動手段及びスピーカ455のうちの1つであり得る。
【0161】
例えば、オペレータは、コンピュータディスプレイ及び/又はプローブのLCDディスプレイに表示される警告メッセージ、プローブの振動、又は少なくとも1つのLEDの照明(連続的又は不連続的に、あるいは色変化を伴い)、又はスピーカを介して拡散された特定の効果音を用いてシステムによって通知され得る。
【0162】
もちろん、物理的なボタンの補助を用いて、及び/又はプローブ300を操作するソフトウェアアプリケーションのグラフィカルインタフェース上で、オペレータは、手動、半自動、及び自動モードを切り替えることが可能である。
【0163】
患者の口内の腫瘍塊のスクリーニング
腫瘍塊のスクリーニングの間、いくつかの所定の特徴が測定され得る。
【0164】
前述のように、方法がスクリーニング検査中に腫瘍塊を検出するために実行される場合、検出された軟組織、すなわち歯肉、検出された歯茎の上皮の所定の特徴が測定される。
【0165】
所定の特徴は、例えば、エコー輝度インジケータ、テクスチャの不均一性、テクスチャの複雑性であり得る。
【0166】
組織のエコー輝度は、エコーを返す組織の能力である。したがって、組織によって反射される超音波信号の振幅が大きい場合、これらの組織は高いエコー輝度インジケータ(高エコー)を有する。これらの組織は、エコー超音波信号から構築された画像において明るい色で表される。逆に、組織は、反射された超音波信号の振幅が小さい場合、低エコーである。例えば、構築された画像の異常なコントラストの変化は、したがって腫瘍塊の存在を示し得る。病的状態では、器官のエコー輝度は変化されて、多かれ少なかれエコー源性(高エコー又は低エコー)になり得る。
【0167】
組織のテクスチャの複雑性及び/又は不均一性もまた、腫瘍塊を構成する組織の内部構造を特徴付け得る。例えば、腫瘍塊の複雑性は、テクスチャのフラクタル次元によって評価され得る。これらの2つの特徴は、個別に又は一緒に、腫瘍を構成する組織のテクスチャを評価することを可能にする。更に、これらの特徴により、腫瘍の進化を経時的に追跡できる。
【0168】
全体として、所定の特徴、エコー輝度、テクスチャの複雑性、及びテクスチャの不均一性は、プローブを用いて関心のある領域をスクリーニングする場合に腫瘍塊を特徴付けるのに役立ち得る。
【0169】
結果として、いくつかの実施形態によると、これらの3つの所定の特徴の測定を実行し、測定値をそれぞれ、各所定の特徴に関連する3つの閾値と比較することが可能であり得る。
【0170】
したがって、腫瘍塊は、これらの所定の特徴の測定値と閾値の関数として検出され、特徴付けられてもよい。
【0171】
異常ないくつかのタイプの解剖学的構造(歯周ポケット又は腫瘍塊の存在のいずれかであり得る)のスクリーニング
超音波プローブを患者の歯列弓に沿って動かしながら、方法を実行して、検出された解剖学的構造の異常、つまり、異常な歯周ポケット又は腫瘍塊の存在のいずれかを検出し得る。
【0172】
次に、方法800のステップ825の間に、いくつかの所定の特徴は構築された画像で測定され、例えば、検出された歯周ポケットの深度、高エコー輝度インジケータ、テクスチャの複雑性及びテクスチャの不均一性である。
【0173】
同じ検査中に複数の評価を行う場合、測定値はすべて同じページに同時に、又は連続して1つずつ表示される。これらの表示は、プローブのLCDスクリーンに直接、又は遠隔ワークステーションのコンピュータの取得インタフェースに表示される。オペレータの介入がない場合、この表示は数秒間、例えば5秒間継続する。
【0174】
いくつかの実施形態によると、検査中に実行された測定は、コンピュータファイルで報告され得る。そのようなコンピュータファイルは、遠隔ワークステーションのコンピュータのメモリ又はプローブのメモリのいずれかで、取得ワークステーションに生成されて記憶され得る。
【国際調査報告】