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特表2022-524749スタンピングされたプレートの使用によるパワーコンバータの直接冷却
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  • 特表-スタンピングされたプレートの使用によるパワーコンバータの直接冷却 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(54)【発明の名称】スタンピングされたプレートの使用によるパワーコンバータの直接冷却
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021552619
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2020055139
(87)【国際公開番号】W WO2020178131
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】102019202902.7
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グラディンガー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アペルスマイアー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】セーンレ,ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】トッレジン,ダニエレ
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136CB06
5F136DA27
5F136GA04
5F136GA40
(57)【要約】
本発明は、ベースプレート(12)と冷却ハウジング(13)とを有する半導体モジュール(11)を備えるコンバータ(10)に関し、冷却ハウジング(13)は収容プレート(14)とカバー(15)とを含み、収容プレート(14)は、少なくとも1つの開口部(16)を有し、収容プレート(14)は、開口部(16)の周りにおいて半導体モジュール(11)のベースプレート(12)に接続され、カバー(15)は、開口部(16)の周りにおいて密閉経路に沿って収容プレート(14)に接続され、収容プレート(14)またはカバー(15)のいずれかは、スタンピングされたまたは深絞り加工されたプレートとして設計される。本発明はさらに、上記特徴に係るコンバータ(10)を製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレート(12)と冷却ハウジング(13)とを有する少なくとも1つの半導体モジュール(11)を備えるコンバータ(10)であって、
前記冷却ハウジング(13)は、収容プレート(14)とカバー(15)とを含み、前記収容プレート(14)は、少なくとも1つの開口部(16)を有し、前記収容プレート(14)は、前記少なくとも1つの開口部(16)の周りにおいて前記半導体モジュール(11)の前記ベースプレート(12)に接続され、前記カバー(15)は、前記少なくとも1つの開口部(16)の周りにおいて接続領域(23)に沿って前記収容プレート(14)に接続され、前記収容プレート(14)または前記カバー(15)のいずれかが、スタンピングされたまたは深絞り加工されたプレートとして設計されることを、特徴とする、コンバータ(10)。
【請求項2】
前記ベースプレート(12)、前記収容プレート(14)、および前記カバー(15)は、前記冷却ハウジング(13)を、または冷却液のための冷却路(17)を形成するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコンバータ(10)。
【請求項3】
前記ベースプレート(12)は冷却構造(18)を有し、前記収容プレート(14)の前記開口部(16)の中で冷却液が前記冷却構造に対して露出されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンバータ(10)。
【請求項4】
前記収容プレート(14)または前記カバー(15)のいずれかはトラフ形状になるように設計され、前記トラフ形状のスタンピングされた部分の深さが、前記冷却路(17)に必要な高さと、冷却構造(18)を、特に冷却リブを収容するのに必要な高さとを提供することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンバータ(10)。
【請求項5】
前記カバー(15)は、前記半導体モジュール(11)を流体接続するために入口ポート(19)と出口ポート(20)とを有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンバータ(10)。
【請求項6】
前記収容プレート(14)は、溶接により、特にレーザ溶接により、前記ベースプレート(12)に接続され、および/または前記カバー(15)は、溶接により、特にCMT接合技術により、前記収容プレート(14)に接続されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンバータ(10)。
【請求項7】
前記収容プレート(14)および前記ベースプレート(12)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンバータ(10)。
【請求項8】
前記収容プレート(14)は開口部を有し、前記収容プレート(14)は、前記開口部においてバイパスブロッカー(21)を収容するように構成および設計され、前記バイパスブロッカー(21)は、前記冷却構造(18)の上にわたって冷却液を案内するように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンバータ(10)。
【請求項9】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載のベースプレート(12)と冷却ハウジング(13)とを有する半導体モジュール(11)を備え、前記冷却ハウジング(13)は収容プレート(14)とカバー(15)とを含む、コンバータ(10)を製造する方法であって、前記方法は、
a)前記収容プレート(14)を前記ベースプレート(12)に溶接するステップと、
b)前記カバー(15)を前記収容プレート(14)に溶接するステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記カバーを前記収容プレート(14)に溶接する前に、バイパスブロッカー(21)を前記収容プレート(14)に挿入する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、ベースプレートと冷却ハウジングとを有する少なくとも1つの半導体モジュールを含むコンバータである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の急激な増加は、電気駆動系に使用されるパワー半導体モジュールのパワーおよびコストに対する大きなプレッシャーを生み出している。半導体モジュールの場合、これは特に、継続的な動作温度の上昇およびパワー密度の増加を伴う。
【0003】
許容される動作温度をより高いレベルに引き上げる方法として、半導体モジュールの上面の従来の鋳造を射出成形に置き換えることが考えられる。この場合、射出成形で形成されたモジュールは、成形材料において保持されるベースプレートを有することができる。最適な冷却のために、冷却構造を、ベースプレートと直接一体化されるように形成することができ、冷却構造は冷却液と接触する。
【0004】
半導体モジュールまたはハーフブリッジモジュールは、一般的に2つの機能的切換コンタクトを含む。3相コンバータを提供するためには、3つの半導体モジュールを組み合わせることが必要である。したがって、冷却器が入口ポートと出口ポートとを有し冷却器を通して導かれる冷却液が3つの半導体モジュールすべての冷却構造を通過する必要がある。
【0005】
6つの機能的切換コンタクトすべてを大きな1つの大きなプレート上に配置することが考えられる。しかしながら、圧縮成形の場合、一般的に成形材料が持ち得る最大の体積には限界がある。この体積よりも、3つの半導体モジュールを組み合わせたものの方が大きい。1つのベースプレート上に、テストされる前の半導体チップすべてをさらに設置した場合、結果として、チップまたは接続の不良が原因で製造歩留まりが大幅に低下することになる。そのため、高い生産量を実現するためには、ハーフブリッジモジュールを、組み合わせてコンバータを形成する前に、個別に製造し検査することが重要である。
【0006】
EP0831684A2から知られているパワーエレクトロニクスのパッケージングがある。このパッケージングは、深絞り加工された帽子形状のカバーと、平坦な封止されたベースとを有し、これらは、電子プリント回路基板を密閉するために、カバーの、下方向に垂下している周方向エッジを、周方向エッジ全体にわたって折り畳むことにより、相互に接続される。カバーはL字形の周方向エッジを有していてもよく、この場合、第1の部分が径方向外向きに突出し第2の部分が下向きに垂下している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、接近して組み合わされた異なるハーフブリッジモジュールの、信頼度が高くコンパクトで経済的な配置を、特に6収容構成を可能にする、コンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有するコンバータ、および、請求項9の特徴を有する方法によって、達成される。好都合な発展形態および実施形態は、明細書の、および図面の記載の主題である。
【0009】
本発明の主題は、ベースプレートと冷却ハウジングとを有する少なくとも1つの半導体モジュールを含むコンバータである。
【0010】
この発明に従うと、冷却ハウジングは収容プレートとカバーとを含み、収容プレートは少なくとも1つの開口部を有し、収容プレートは、少なくとも1つの開口部の周りにおいて半導体モジュールのベースプレートに接続され、カバーは、少なくとも1つの開口部の周りにおいて接続領域に沿って収容プレートに接続され、収容プレートまたはカバーのいずれかが、スタンピングされたまたは深絞り加工されたプレートとして設計される。
【0011】
一般的に、半導体モジュールは基板とベースプレートとを含み、ベースプレートは成形材料を用いて基板上に配置される。典型的には、冷却構造がベースプレート上に配置される。一般的に、ベースプレートは、アルミニウムで被覆された銅から、アルミニウムから、アルミニウム合金から、またはAlSiC(炭化ケイ素アルミニウム)から、形成される。
【0012】
収容プレートは、フレームとして設計され、一般的に、ベースプレートの少なくとも一部を収容するように構成された少なくとも1つの開口部を有する。開口部は、一般的に、ベースプレートの冷却構造を収容するように構成される。開口部は、一般的に、矩形となるように設計される。開口部は、任意で丸くされた角部を有し得る。ベースプレートは、ベースプレートの各開口部の周りに形成された接続領域を有する。ベースプレートは、この接続領域において収容プレートに溶接される。これは、半導体モジュールを溶接後にテストできるように配置することが可能であるという利点をもたらす。半導体モジュールを、特にベースプレートを、収容プレートに溶接すると、結果として、半導体モジュール/ハーフブリッジモジュールの冷却構造を冷却路の境界まで延ばすことができない。なぜなら、半導体の収容プレートとベースプレートとが重なる領域を、溶接装置からアクセスできるようにしなければならないからである。そのため、任意でバイパスブロッカーを冷却ハウジングの中に挿入してもよい。
【0013】
カバーは、収容プレートとともに冷却ハウジングまたは冷却路を形成するように構成される。この場合、カバーは一般的に収容プレート上に溶接される。カバーを上に溶接すると、結果として、冷却液を導くように構成された漏れのない冷却路または漏れのない冷却ハウジングが形成される。カバーは湾曲設計を有していてもよく、曲率は、カバーがベースプレートに向かって湾曲するように、またはベースプレートと反対側に向かって湾曲するように、またはベースプレートと平行になるように、設計することができる。ベースプレートに向かって湾曲するカバーの構成の場合、カバーの丸くされたエッジはベースプレートに対して直角で接触しないので、互いに直角をなすように配置した2つのプレートを相互に溶接するT溶接の代わりに、フランジ溶接を実行できるという利点をもたらす。フランジ溶接は、フランジ溶接部がより大きな圧力に耐えるので、溶接処置の機械的公差に対する感度を下げることができ、かつ、密閉された冷却ハウジングの頑強性および漏れ耐性を高めることができるという利点をもたらす。さらに他の利点は、収容プレートおよびカバーを深絞り加工またはスタンピングで製造できることである。この場合、スタンピングは深さがそれほど大きくない深絞り加工の特殊形態である。
【0014】
収容プレートをスタンピング設計にすると、さらに、製造コストを最小にすることができ、同時に、特にダイカストアルミニウムから作られた部品と比較して、優れた溶接可能性および漏れ耐性を保証できるという利点が得られる。このように、本発明は特に、電気自動車用のトラクションインバータ内の水冷され圧縮成形された半導体モジュールを直接一体化するのに好都合である。
【0015】
ある実施形態において、ベースプレート、収容プレート、およびカバーは、冷却ハウジングを、または冷却液のための冷却路を形成するように構成される。ベースプレート、収容プレート、およびカバーは、一般的に、これらの間に、ベースプレートの冷却構造を収容するように構成された空間が形成されるように、互いに接続される。冷却路または冷却ハウジングは、冷却液がこれらを通過できるように構成される。冷却液は、水、水とグリコールとの混合物、または別の冷却材であってもよい。
【0016】
カバーは、収容プレートに接続可能に構成される。カバーは、収容プレートに接続され、収容プレートとともに冷却ハウジングまたは冷却路を形成する。冷却ハウジングまたは冷却路に必要な高さ(容積)、特に、冷却構造または冷却路が冷却構造を収容するために必要な高さは、収容プレートおよび/またはカバーのいずれかまたは双方をスタンピングまたは深絞り加工することによって実現される。
【0017】
したがって、カバーは、任意でスタンピングされた部分または深絞り加工された部分を有する。たとえば、スタンピングされる部分は、湾曲したまたはトラフの形状になるように設計することができる。そのため、収容プレートは、任意でスタンピングされた部分または深絞り加工された部分を有する。たとえば、スタンピングされる部分は、湾曲したまたはトラフの形状になるように設計することができる。
【0018】
ある発展形態において、ベースプレートは冷却構造を有し、収容プレートの開口部の中で冷却液が冷却構造に対して露出される。冷却構造は、たとえば冷却リブまたは冷却ピンの形態で設計することができる。冷却構造は、一般的に、ベースプレート上の半導体チップに隣接して形成される。
【0019】
さらに他の発展形態において、収容プレートとカバーのいずれかが、トラフ形状になるように設計され、トラフ形状のスタンピングされた部分の深さが、冷却路に必要な高さと、冷却構造を、特に冷却リブを収容するのに必要な高さとを提供する。
【0020】
ある実施形態において、カバーは、半導体モジュールを、流体を導くように接続するために、入口ポートと出口ポートとを有する。冷却液は、入口ポートを通して冷却ハウジングに導入することができる。冷却液は、一般的に、入口ポートから出口ポートに流れる。この場合、冷却液は、プレートに配置された半導体モジュールの冷却構造のうちの少なくとも1つを通って流れる。入口ポートおよび出口ポートの各々は、別々の工程でカバーに設けることができる別々の部品として設計することができる。たとえば、入口ポートおよび出口ポートはカバー上に溶接することができる。これに代えて、入口ポートおよび出口ポートを、カバーの窪みとして設計してもよい。入口ポートおよび出口ポートは、典型的には、Oリングまたはシールを有するコネクタで接続可能となるように構成される。
【0021】
ある実施形態において、収容プレートは、溶接、特にレーザ溶接によってベースプレートに接続され、および/またはカバーは、溶接、特にCMT(コールドメタルトランスファー)溶接によって収容プレートに接続される。これに代わるものとして、収容プレートは、レーザ積層溶接(LMD:laser metal deposition)によってベースプレートに接続される。収容プレートは、一般的に、収容プレートの開口部の周りにおいて周方向に形成された接続領域内でベースプレートに接続される。
【0022】
ある発展形態において、収容プレートおよびベースプレートは、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成される。これに代わるものとして、収容プレートは、アルミニウムで被覆された銅から形成される。
【0023】
ある実施形態において、収容プレートは、スタンピングされた部分を有し、収容プレートは、スタンピングされた部分においてバイパスブロッカーを収容するように構成および設計され、バイパスブロッカーは、冷却構造の上にわたって冷却液を案内するように構成される。
【0024】
収容プレートは、任意でバイパスブロッカーを含み得る。バイパスブロッカーは、カバーを収容プレートに溶接して冷却路を形成する前に、収容プレートに与えればよい。そのため、バイパスブロッカーは挿入物として設計および構成される。
【0025】
バイパスブロッカーは、冷却液を導くように構成される。バイパスブロッカーは、冷却液を、半導体モジュールの冷却構造を通って流れるように導く。バイパスブロッカーは、そうすることにより、冷却液が半導体モジュールの冷却構造を迂回する(バイパスする)のを防止する、または、少なくともこの迂回が生じる程度を減じる。このことは、改善された冷却力に寄与する。加えて、バイパスブロッカーは、収容プレートに与えられたカバーを載せることができる座面として設計することができる。これは、カバーを収容プレートに溶接するときの、カバーの鉛直方向の位置合わせを確実にする。これに代えて、カバーは、溶接処置中、ベースプレートの冷却構造の上に単独で載っていてもよい。バイパスブロッカーは、プラスチックまたは金属から形成することができる。バイパスブロッカーの材料を、後のプロセスの温度上昇に応じて選択してもよい。さらに他の代替実施形態において、バイパスブロッカーは、カバーと一体化されるように設計される。
【0026】
本発明は、さらに、ベースプレートと冷却ハウジングとを有する半導体モジュールを含むコンバータを製造する方法に関し、冷却ハウジングは、上記特徴のうちの1つに係る収容プレートとカバーとを含む。
【0027】
第1のステップにおいて、収容プレートはベースプレートに溶接される。そのために、収容プレートとベースプレートの双方が、接続領域において、溶接可能材料を含む。収容プレートをベースプレートに接続するとき、冷却構造を、ベースプレートの開口部を通して収容プレートに導くまたは導くことができるように、したがって冷却液に対して露出させるまたは露出させることができるように、ベースプレートを収容プレートに接続する。
【0028】
さらに他のステップにおいて、一般的に、時間的に第1のステップに続いて、カバーが収容プレートに溶接される。このステップの結果、冷却ハウジングまたは冷却路が形成される。溶接の結果、冷却液を導くことができる漏れないハウジングが形成される。
【0029】
上記方法はさらに、収容プレートの材料、特にアルミニウムのみが必要であるという利点を提供する。加えて、製造にはスタンピング、切断および溶接の方法のみが必要である。収容プレートおよびカバーの材料ならびに入口ポートおよび出口ポートの材料は、一般的にアルミニウムである。収容プレートの開口部は、一般的に、切り抜いてまたは打ち抜いて形成された開口部である。
【0030】
収容プレートをハーフブリッジモジュールのベースプレートに接続するためおよび収容プレートをカバーに接続するためには、一般的に溶接手順が使用される。この手順は、生産量増大のために自動化されてもよい。
【0031】
ある代替実施形態において、冷却ハウジングまたは冷却路は、押出成形された材料から形成され、冷却ハウジングまたは冷却路は、少なくとも2つの部分から形成される。
【0032】
さらに他の代替実施形態において、冷却ハウジングまたは冷却路は、ダイカストアルミニウムから作られる。
【0033】
この方法のある発展形態では、カバーを収容プレートに溶接する前に、バイパスブロッカーを収容プレートに挿入する。バイパスブロッカーは、半導体モジュールの周りにおいて周方向に延びるフレームとして設計される。
【0034】
本発明は、実施形態に基づいて模式的に図面に示され、さらに図面を参照して説明され、同一の構成要素は同一の参照符号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】発明のコンバータの構造の分解斜視図を示す。
図2】ベースプレート、収容プレート、およびカバーの配置の3つの実施形態のコンバータの構造の側面図を示す。
図3】収容プレートに溶接された2つの半導体モジュールの斜視図を示す。
図4】収容プレートに溶接され、収容プレート内に配置されたバイパスブロッカーを有する、3つの半導体モジュールの斜視図を示す。
図5】ベースプレートと収容プレートとバイパスブロッカーとカバーとを有する発明のコンバータの構造の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、発明のコンバータ10の構造の分解斜視図を示す。3つの半導体モジュール11が示されており、各半導体モジュールは、基板22とベースプレート12とを有する。冷却リブ18がベースプレート12上に形成されている。これらの3つの半導体モジュール11は共通の収容プレート14に組み込まれ、収容プレート14は半導体モジュール11の数に対応する開口部16を有する。開口部16は、各々が、冷却リブ18が開口部16の中に配置されるように半導体モジュール11を受けるように構成されている。
【0037】
3つの半導体モジュール11の各々は、各開口部16の周りに形成された接続領域において収容プレート14に溶接される。収容プレート14はバイパスブロッカー21を収容するように構成されている。バイパスブロッカー21は、任意で収容プレート14に配置されてもよい。
【0038】
バイパスブロッカー21は、半導体モジュールの周りにおいて周方向に延びるフレームとして設計される。収容プレート14は、バイパスブロッカー21を組み込むことができる窪みを有する。収容プレート14はバイパスブロッカー21とともにカバー15で閉じることができ、そうすることで、冷却ハウジングまたは冷却路が形成される。カバー15は、入口兼出口ポート19、20を有し、各ポートを介して冷却液を冷却ハウジングまたは冷却路に導入することができる。
【0039】
図2は、図1に示されるコンバータ10の構造、ならびにベースプレート12、収容プレート14、およびカバー15の配置の3つの実施形態の側面図を示す。第1の実施形態の図2aにおいて、ベースプレート12だけでなく収容プレート14およびカバー15が示されている。この場合、収容プレート14およびカバー15の各々が、流れるような湾曲した形状を有する。収容プレート14は、ベースプレート12に、溶接ポイントとして形成された接続領域23を介して接続されている。湾曲したカバー15は、収容プレート14に、溶接ポイントとして形成された他の接続領域23を介して接続されている。
【0040】
第2の実施形態の図2bにおいて、ベースプレート12だけでなく収容プレート14およびカバー15が示されている。この場合、収容プレート14が湾曲した流れるような形態を有する一方で、カバー15は平坦または直線状になるように設計される。収容プレート14は、溶接ポイントとして形成された接続領域23を介してベースプレート12に接続されている。直線状のカバー15は、溶接ポイントとして形成された他の接続領域23を介して収容プレート14に接続されている。
【0041】
第3の実施形態の図2cにおいて、ベースプレート12だけでなく、収容プレート14およびカバー15が示されている。この場合、収容プレート14が直線状または線形の設計である一方で、カバー15は湾曲した流れるような形態を有する。直線状の収容プレート14は、溶接ポイントとして形成された接続領域23を介してベースプレート12に接続されている。湾曲したカバー15は、溶接ポイントとして形成されたさらに他の接続領域23を介して収容プレート14に接続されている。
【0042】
図3は、収容プレート14に溶接された2つの半導体モジュール11の斜視図を示す。半導体モジュール11の各々は、基板22とベースプレート12とを有する。冷却リブ18の形態の冷却構造が、各々のベースプレート12の上に形成されている。2つの半導体モジュール11の各々は、収容プレート14の開口部16に配置されている。これら2つの半導体モジュール11の各々は、各々が対応する開口部16の周りに形成された接続領域23を介して収容プレート14に接続、具体的には溶接されている。この場合、冷却リブ18は、収容プレート14の開口部16を通って延びている。
【0043】
図4は、収容プレート14に溶接された3つの半導体モジュール11および収容プレート14に配置されたバイパスブロッカー21の斜視図を示す。3つの半導体モジュール11の各々は、収容プレート14に接続、具体的には溶接されている。この場合、冷却リブ18が収容プレート14の開口部16を通って延びている。収容プレート14は、バイパスブロッカー21を収容するように構成された窪みを有する。バイパスブロッカー21は、3つの半導体モジュール11を取囲むフレームとして設計される。
【0044】
図5は、ベースプレート12と、収容プレート14と、バイパスブロッカー21と、カバー15とを有する発明のコンバータ10の構造の側面図を示す。カバー15および収容プレート14の各々が、流れるように湾曲した形状として設計されたスタンピングされた部分を有する。収容プレート14のスタンピングされた部分は、カバー15のスタンピングされた部分とは逆向きに形成されることで、半導体モジュール11の冷却構造18を収容することができる冷却ハウジング13または冷却路が形成される。
【0045】
収容プレート14は、溶接ポイントとして形成された接続領域を介してベースプレート12に接続されている。湾曲したカバー15は、溶接ポイントとして形成された接続領域を介して収容プレート14に接続されている。さらにバイパスブロッカー21が収容プレート14内に示されている。
【符号の説明】
【0046】
10 コンバータ
11 半導体モジュール
12 ベースプレート
13 冷却ハウジング
14 収容プレート
15 カバー
16 開口部
17 冷却路
18 冷却構造、冷却リブ
19 入口ポート
20 出口ポート
21 バイパスブロッカー
22 基板
23 接続領域
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2020-12-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレート(12)と冷却ハウジング(13)とを有する少なくとも1つの半導体モジュール(11)を備えるコンバータ(10)であって、前記冷却ハウジング(13)は、収容プレート(14)とカバー(15)とを含み、前記収容プレート(14)は、少なくとも1つの開口部(16)を有し、前記収容プレート(14)は、前記少なくとも1つの開口部(16)の周りにおいて前記半導体モジュール(11)の前記ベースプレート(12)に接続され、前記カバー(15)は、前記少なくとも1つの開口部(16)の周りにおいて接続領域(23)に沿って前記収容プレート(14)に接続され、前記収容プレート(14)または前記カバー(15)のいずれかが、スタンピングされたまたは深絞り加工されたプレートとして設計され、前記ベースプレート(12)は冷却構造(18)を有し、前記収容プレート(14)の前記開口部(16)の中で冷却液が前記冷却構造に対して露出され、
前記収容プレート(14)は開口部を有し、前記収容プレート(14)は、前記開口部においてバイパスブロッカー(21)を収容するように構成および設計され、前記バイパスブロッカー(21)は、前記冷却構造(18)の上にわたって前記冷却液を案内するように構成され、前記バイパスブロッカー(21)は、そうすることにより、前記冷却液が前記半導体モジュール(11)の前記冷却構造を迂回するのを防止する、またはこの迂回が生じる程度を減じることを、特徴とする、コンバータ(10)。
【請求項2】
前記ベースプレート(12)、前記収容プレート(14)、および前記カバー(15)は、前記冷却ハウジング(13)を、または前記冷却液のための冷却路(17)を形成するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコンバータ(10)。
【請求項3】
前記収容プレート(14)または前記カバー(15)のいずれかはトラフ形状になるように設計され、前記トラフ形状のスタンピングされた部分の深さが、前記冷却路(17)に必要な高さと、冷却構造(18)を、特に冷却リブを収容するのに必要な高さとを提供することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンバータ(10)。
【請求項4】
前記カバー(15)は、前記半導体モジュール(11)を流体接続するために入口ポート(19)と出口ポート(20)とを有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンバータ(10)。
【請求項5】
前記収容プレート(14)は、溶接により、特にレーザ溶接により、前記ベースプレート(12)に接続され、および/または前記カバー(15)は、溶接により、特にCMT接合技術により、前記収容プレート(14)に接続されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンバータ(10)。
【請求項6】
前記収容プレート(14)および前記ベースプレート(12)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンバータ(10)。
【請求項7】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載のべースプレート(12)と冷却ハウジング(13)とを有する半導体モジュール(11)を備え、前記冷却ハウジング(13)は収容プレート(14)とカバー(15)とを含む、コンバータ(10)を製造する方法であって、前記方法は、
a)前記収容プレート(14)を前記ベースプレート(12)に溶接するステップと、
b)前記カバー(15)を前記収容プレート(14)に溶接するステップとを含む、方法。
【請求項8】
前記カバーを前記収容プレート(14)に溶接する前に、バイパスブロッカー(21)を前記収容プレート(14)に挿入する、請求項7に記載の方法。
【国際調査報告】