(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(54)【発明の名称】癌治療のための標準的な化学療法または免疫療法と組み合わせたカテケンチニブ(アンロチニブ)の順次使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4709 20060101AFI20220427BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220427BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20220427BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20220427BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20220427BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20220427BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20220427BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220427BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20220427BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220427BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220427BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20220427BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220427BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20220427BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20220427BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20220427BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20220427BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220427BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20220427BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220427BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220427BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220427BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20220427BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220427BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220427BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220427BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220427BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220427BHJP
A61K 31/65 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
A61K31/4709
A61K45/00
A61K33/24
A61K31/282
A61K31/337
A61K31/7068
A61K31/4745
A61P35/00
A61P1/02
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P11/00
A61P11/02
A61P11/04
A61P13/08
A61P13/10
A61P13/12
A61P15/00
A61P17/00
A61P21/00
A61P25/00
A61P27/16
A61P35/02
A61P43/00 121
A61P37/02
A61P37/04
A61K39/395 N
A61K31/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553037
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 US2020021457
(87)【国際公開番号】W WO2020181214
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515146419
【氏名又は名称】アドヴェンチェン ファーマスーティカルズ,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】521399973
【氏名又は名称】チェン,グオチーン,ポール
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グオチーン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジュディ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジェ
(72)【発明者】
【氏名】リ,インイン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA14
4C085CC23
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
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4C086EA10
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4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
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4C206AA01
4C206AA02
4C206JB16
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4C206MA04
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(57)【要約】
本発明は、癌を治療するための化学療法併用療法レジメンに関する。より具体的には、本発明は、化合物AL3818(アンロチニブ、カテケンチニブ)またはその薬学的に許容される塩と標準的なプラチナベース及び他の化学療法剤または免疫療法剤との組み合わせに関する新規化学療法併用療法レジメンに関する。これらの剤の組み合わせは、任意の剤を個別に使用するよりも高い有効性を提供できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象における癌を治療するためのレジメン方法であって、
AL3818またはその薬学的に許容される塩の維持単剤療法を投与する選択肢を含む反復サイクルにおいて、標準的なプラチナベースの化学療法剤及び別の化学療法剤、またはそれぞれ個別に;または免疫療法剤;AL3818またはその薬学的に許容される塩と組み合わせと、を含む、方法。
【請求項2】
化学療法剤または免疫療法剤とAL3818またはその薬学的に許容される塩との前記投与が、その後の順序で定期的に繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化学療法剤または免疫療法剤とAL3818またはその薬学的に許容される塩との前記投与が、患者が耐え難いかまたは疾患が進行するまで、21日サイクルで1~10サイクル定期的に繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
標準的なプラチナベース化学療法用の前記化学療法剤及び別の化学療法剤または免疫療法剤を、21日サイクルの初日(1日目)に1回投与し、その後、別の21日サイクルを6サイクル投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
標準的なプラチナベース化学療法用の前記化学療法剤及び別の化学療法剤または免疫療法剤を、21日サイクルの初日(1日目)に1回投与し、その後、別の21日サイクルを、患者が耐え難いかまたは疾患が進行するまで連続投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
AL3818またはその薬学的に許容される塩が、各サイクルで14日間治療及び7日間無治療のパターンで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
AL3818またはその薬学的に許容される塩が、21日サイクルのうち、各サイクルの1日目から14日目まで毎日14日間治療し、15日目から21日目まで7日間無治療であるパターンで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
AL3818またはその薬学的に許容される塩が、21日サイクルのうち、各サイクルの8日目から21日目まで毎日14日間治療し、1日目から7日目まで7日間無治療であるパターンで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
標準的なプラチナベースの化学療法のための前記化学療法剤が、カルボプラチン、シスプラチンから選択され、別の化学療法剤はパクリタキセルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記治療において使用される前記化学療法剤が、カルボプラチン及びパクリタキセルを一緒にまたは毎週のパクリタキセルから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記化学療法剤が、ゲムシタビン、ゲムシタビン/ドセタキセル、パクリタキセル、peg化リポソームドキソルビシン(PLD)及びトポテカンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
1~6サイクルで標準的なプラチナベースの化学療法剤及び別の化学療法剤または免疫療法剤;AL3818またはその薬学的に許容される塩と組み合わせた後、患者が耐え難いかまたは疾患が進行するまで、AL3818またはその薬学的に許容される塩の維持単剤療法を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
化合物AL3818またはその薬学的に許容される塩の1日投薬量が、併用期間で8mgであり、維持単剤療法期間で8mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
化合物AL3818またはその薬学的に許容される塩の1日投薬量が、併用期間で8mgであり、維持単剤療法期間で10mgまたは12mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
化合物AL3818またはその薬学的に許容される塩の1日投薬量が、14mgまたは16mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記癌としては、肺癌、腎癌、結腸直腸癌、胃癌、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、膵癌、肝癌、前立腺癌、膀胱癌、脳癌、肉腫癌、乳癌、卵巣癌、及び子宮頸癌、及び血液癌(ALL、CLL、AML、CML及び多発性骨髄腫)が挙げられる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記癌としては、再発性または進行性の子宮内膜癌、卵巣癌、及び子宮頸癌が挙げられる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記免疫療法剤は、PD-1またはPD-L1抗体であり、これらのPD-1またはPD-L1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、ブリナツモマブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、セミプリマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、トリパリマブ、シンチリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、AK105、KN035、CS1001、タリモジンラヘルパレプベックから選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年3月7日に出願の米国仮出願第62/815,266号及び2019年7月19日に出願の第62/876,181号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、癌を治療するための化学療法併用療法レジメンに関する。より具体的には、本発明は、化合物AL3818(アンロチニブ、カテケンチニブ)またはその薬学的に許容される塩と標準的なプラチナベース及び他の化学療法剤または免疫療法剤との組み合わせに関する新規化学療法併用療法レジメンに関する。これらの剤の組み合わせは、任意の剤を個別に使用するよりも高い有効性を提供できる。
【背景技術】
【0003】
現在、癌は典型的には、外科手術、放射線療法、化学療法、及び免疫療法などの方法論の1つまたは組み合わせによって治療される。過去数十年で、化学療法の急速な進歩が観察され、これは、癌によって引き起こされる死亡率を低下させるためのはるかに多くの可能性をもたらし得る。近年では、免疫療法は癌治療法においても大きな進歩を遂げている。
【0004】
パクリタキセルは、複数の種類の癌を治療するために使用される周知の化学療法医薬品である。パクリタキセルの作用機序は、パクリタキセルが細胞内の微小管ポリマーを安定化し、細胞を分解から保護できることである。この機能は、癌細胞の有糸分裂プロセスをブロックし得る。
【0005】
カルボプラチン及びシスプラチンは両方とも、様々な種類の癌の治療に使用される従来のプラチナベース化学療法剤である。それらの作用機序は、プラチナベース剤が細胞内でDNAの分子内連結または分子間連結を形成できることである。この操作は、特に癌細胞において、DNA構造を変更し、その合成を阻害することができる。
【0006】
プロテインチロシンキナーゼ(PTK)は、タンパク質中のチロシン残基のリン酸化を触媒する一連の酵素である。それらは、細胞外シグナルから膜を介して細胞質、さらには核への細胞シグナル伝達カスケードにおいて重要な役割を果たす。細胞外ドメインの異なる構造によれば、それらは上皮成長因子受容体(EGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)などとして分類され得る。多くの研究により、正常細胞は通常PTKの活性を示さないか、活性が低いことが明らかになっているが、多くの癌細胞は、PTKの過剰発現を特徴とする。PTKの異常な活動亢進は、明らかに、腫瘍細胞の成長及び血管新生と密接に関連している。このため、PTKの活動を中断するかまたはブロックすることにより、腫瘍細胞の成長が劇的に抑制され得る。その結果、有効性及び安全性プロファイルが改善されたPTK阻害剤を求めることは、潜在的な新規抗癌剤を設計するため及び開発するための重要な標的になっている。
【0007】
AL3818(アンロチニブ、INN:カテケンチニブ)は、新規マルチターゲット受容体型チロシンキナーゼ阻害剤である。研究結果は、化合物AL3818が血管内皮成長因子受容体(VEGFR1、VEGFR2/KDR、及びVEGFR3)などのチロシンキナーゼの活性を阻害し得ることを示している。また、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR1、FGFR2、及びFGFR3)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR-α)、さらには幹細胞因子受容体(c-KIT)の強力な阻害剤であることも示されている。この強力な併用阻害能力により、AL3818(アンロチニブ)は、すでに承認されているかまたは開発中である任意の他の競合産生物よりも高い有効性及び低い毒性を発現する可能性を有するマルチターゲットキナーゼ阻害剤の優れた候補となる(Shen et al.Journal of Hematology & Oncology 2018 11:120を参照のこと)。
【0008】
米国特許第8148532号明細書では、化合物AL3818を開示し、米国特許第2019/0002435号明細書では、化学療法剤をAL3818と組み合わせて相乗的な抗腫瘍効果を示すマウスモデルを開示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第8148532号明細書
【特許文献2】米国特許第2019/0002435号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Shen et al.Journal of Hematology & Oncology 2018 11:120
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、標準的なプラチナベースの化学療法(または免疫療法)及び化合物AL3818またはその薬学的に許容される塩の連続投与をベースとした併用療法レジメンについて記載する。この作用は、化合物AL3818またはその薬学的に許容される塩を使用して、プロテインチロシンキナーゼ(PTK)の活性を阻害し、それによって腫瘍の発生、浸潤、及び転移に密接に関連する血管新生を阻害することを試みる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、それを必要とする対象における癌を治療するためのレジメン方法を提供し、本方法は、AL3818またはその薬学的に許容される塩の維持単剤療法を投与する選択肢を含む反復サイクルにおいて、標準的なプラチナベースの化学療法剤及び別の化学療法剤;またはそれぞれ個別に;または免疫療法剤;AL3818またはその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む。
【0013】
より具体的には、本発明は、ヒトにおいて癌を治療するために使用される化学療法または免疫療法併用療法レジメンを提供する。
【0014】
したがって、この化学療法または免疫療法併用療法レジメンは、それを必要とする対象に、一種のチロシンキナーゼ阻害剤と化学療法剤または免疫療法剤を一緒に投与する。
【0015】
いくつかの実施形態では、化学療法剤または免疫療法剤及びチロシンキナーゼ阻害剤は、順番に定期的に投与される。
【0016】
化学療法剤または免疫療法剤の投与の1サイクルは、2~6週間(例えば、3週間、4週間、5週間及び6週間)の範囲であり得る。提示された化学療法併用療法レジメンでは、化学療法剤または免疫療法剤は、1サイクル3週間サイクル(21日サイクル)、または1サイクルもしくは2サイクルで4週間(28日サイクル)で定期的に投与される。提示された併用療法レジメンでは、化学療法剤または免疫療法剤は、好ましくは、1サイクルで1回3週間サイクル(21日サイクル)で投与される。
【0017】
チロシンキナーゼ阻害剤の投与サイクルは、1~4週間の範囲であり得る。提示された化学療法併用療法レジメンでは、チロシンキナーゼ阻害剤は、好ましくは、3週間サイクル(21日サイクル)で定期的に投与される。
【0018】
記載されている21日サイクルには、投与期間及び無治療期間を含む。化学療法剤または免疫療法剤は、21日サイクルの初日(1日目)に対象に投与される。チロシンキナーゼ阻害剤は、1日目から21日目まで1日1回または2回投与される。チロシンキナーゼ阻害剤は、好ましくは、1日目~14日目または8日目~21日目までの2週間、1日1回対象に投与され、休薬期間7日間(15日目~21日目または1日目~7日目)を有する。したがって、この記載された投与レジメンは、化学療法剤または免疫療法剤または2~3剤の組み合わせの初期投与、2週間のチロシンキナーゼ阻害剤投与期間及び7日間のチロシンキナーゼ阻害剤休薬期間を特徴とする。この投与プロセスが繰り返され、同じレジメンが続く。
【0019】
いくつかの実施形態では、記載された定期的な化学療法併用療法は、少なくとも1~10サイクルの化学療法または免疫療法剤(複数可)、好ましくは1~6サイクルの化学療法または免疫療法剤(複数可)を含む。1~10サイクルの化学療法併用療法完了後、1~2年間、好ましくは0.5~1年間使用できる維持療法に化学療法剤または免疫療法剤(複数可)を使用せずに、チロシンキナーゼ阻害剤を個別に投与することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、記載された定期的な化学療法併用療法は、患者が耐え難いかまたは疾患が進行するまで、チロシンキナーゼ阻害剤による化学療法または免疫療法剤(複数可)の治療を継続することを含む。
【0021】
チロシンキナーゼ阻害剤は、AL3818もしくはその薬学的に許容される塩であるか、またはその結晶は、これらに限定されないが、化学療法または免疫療法併用療法期間中は12mg/日以下であり、維持療法期間中16mg/日以下で投与することができる。好ましくは、化学療法または免疫療法併用療法期間中は、8mg/日であり、維持療法期間中は8mg/日、10mg/日または12mg/日である。いくつかの特別な状況では、化合物AL3818またはその薬学的に許容される塩の投与強度は、16mgにおいて許容され得る。
【0022】
本明細書に記載している投薬量は、遊離塩基の形態に従って計算した。
【0023】
特定の実施形態では、化学療法剤は、ゲムシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセルまたはカルボプラチン+パクリタキセル及びシスプラチン+パクリタキセルなど、標準的な化学療法剤である。
【0024】
記載された化学療法または免疫療法併用療法レジメンは、これらに限定されないが、卵巣癌、子宮内膜癌または子宮頸癌など腫瘍を治療するために適用することができる。
【0025】
卵巣癌または子宮内膜癌の実施形態では、化学療法剤はパクリタキセル及びカルボプラチンである。子宮頸癌の実施形態では、化学療法剤はパクリタキセル及びシスプラチンである。プラチナ耐性卵巣癌の実施形態では、化学療法剤は、パクリタキセル(毎週)、peg化リポソームドキソルビシン(PLD)及びトポテカンから選択される。
【0026】
この記載された化学療法併用療法レジメンにおいて、チロシンキナーゼ阻害剤は、これらに限定されないが、メシル酸イマチニブ、リンゴ酸スニチニブ、塩酸エルロチニブ、ダサチニブ、メシル酸ラパチニブ、ニロチニブ、ゲフィチニブ、及び塩酸イコチニブが挙げられる。特定の実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤は、化合物AL3818(アンロチニブ)である。
【0027】
いくつかの実施形態では、化合物AL3818の1日投薬量は、遊離塩基の含有量に対して計算される6mg~16mgである。より具体的な実施形態では、化合物AL3818の1日投薬量は、6mg、8mg、10mg、12mg、14mg及び16mgから選択される。化学療法併用療法の段階における化合物AL3818の好ましい1日投薬量は、8mgである。維持期間の単剤療法の段階における化合物AL3818の好ましい1日投薬量は、8mg、10mg及び12mgから選択することができ、その後、2週間の治療及び1週間の無治療のパターンが続く。いくつかの特別な状況では、化合物AL3818またはその薬学的に許容される塩は、16mgの投薬量に耐性があり得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】マウスPD-1抗体と組み合わせた腫瘍異種移植モデルを実施して、組み合わせた結果を示す表である。
【
図3】マウスPD-1抗体と組み合わせた腫瘍異種移植モデルを実施して、組み合わせた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、
図1に記載している。本発明の他の必要な目的及び特徴は、説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0030】
化合物AL3818
本発明は、癌を治療するための治療レジメンを提供し、これは、患者に任意の1日投薬量の化合物AL3818(アンロチニブ、INN:カテケンチニブ)を投与することに関する。
【0031】
AL3818(アンロチニブ)の化学名は(1-[[4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキノリン-7-イル]オキシ]メチル]シクロプロパンアミンであり、次の化学構造を特徴とする。
【0032】
【0033】
化合物AL3818(アンロチニブ)は、遊離塩基の形態で患者に投与できる。また、塩、水和物、及びプロドラッグの形態で投与することもできる(in vivoで遊離塩基の形態に変換される)。この記載された実施形態において、AL3818は、薬学的に許容される塩の形態で投与される。
【0034】
「薬学的に許容される塩」の概念としては、これらに限定されないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸から形成される酸付加塩;または1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳酸(+)、カンファー-10-スルホン酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸(-L)、マロン酸、マンデル酸(DL)、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(-L)、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(p)、ウンデシレン酸などの有機酸から形成される酸付加塩が挙げられる(P.H.Stahl and C.G.Wermuth,editors,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA,2002を参照のこと)。
【0035】
化合物AL3818の好ましい薬学的に許容される塩は塩酸塩である。この記載された実施形態において、化合物AL3818(アンロチニブ)は、二塩酸塩の形態で投与される。化合物AL3818の別の好ましい薬学的に許容される塩はマレイン酸塩である。この記載された実施形態において、化合物AL3818は、マレイン酸塩の形態で投与される。
【0036】
化合物AL3818(アンロチニブ)またはその薬学的に許容される塩は、様々な投与経路を介して患者に投与することができ、これらの経路としては、これらに限定されないが、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮的、舌下、筋肉内、直腸的、経頬的、鼻腔内、吸入による、経膣的、眼内、局所投与による、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内または髄腔内が挙げられる。この記載された実施形態では、投与は経口で行われる。
【0037】
経口投与に好適である化合物AL3818(アンロチニブ)またはその薬学的に許容される塩の医薬組成物としては、これらに限定されないが、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、点滴剤、ペースト剤、粉末剤及びチンキ剤が挙げられる。錠剤及びカプセル剤は、それらの中で好ましい医薬組成物である。特定の実施形態では、カプセル剤は、より好ましい医薬組成物である。
【0038】
本発明は、癌を治療するための治療レジメンを提供し、これは、患者に1日経口投薬量6~16mgの化合物AL3818(アンロチニブ)またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。一実施形態では、化合物AL3818(アンロチニブ)は、薬学的に許容される塩の形態で患者に投与される。さらなる実施形態では、化合物AL3818(アンロチニブ)は、二塩酸塩の形態で患者に投与される。さらなる実施形態では、化合物AL3818(アンロチニブ)は、カプセル内に二塩酸塩の形態で患者に投与される。化合物AL3818二塩酸塩の1日の経口投薬量としては、これらに限定されないが、遊離塩基の含有量に対して計算された6mg、8mg、10mg、12mg、14mg及び16mgが挙げられる。化合物AL3818の別の好ましい薬学的に許容される塩はマレイン酸塩である。化合物AL3818のマレイン酸塩は、医薬賦形剤の有無にかかわらず患者に投与される。医薬賦形剤と共にカプセルとして使用することが好ましい。
【0039】
「患者」は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。
【0040】
21日サイクル
既存の必要性を満たすために、本発明は、癌を治療するための化学療法併用療法レジメンを提供し、これは、化合物AL3818(アンロチニブ)またはその薬学的に許容される塩を、標準的なプラチナベースの化学療法または免疫療法と組み合わせて患者に間隔を置いて順次投与することを含む。
【0041】
標準的な化学療法または免疫療法では、好ましくは、21日が1つの治療サイクルとして選択される。この提示された化学療法併用療法レジメンは、21日サイクルを利用し、休薬期間中に化合物AL3818(アンロチニブ)またはその薬学的に許容される塩を患者に間隔を置いて投与する。
【0042】
一種の新規マルチターゲット受容体チロシンキナーゼ阻害剤として、化合物AL3818またはその薬学的に許容される塩は、癌細胞におけるプロテインチロシンキナーゼ(PTK)の異常な活動亢進を抑制し得る。この作用は、転移性癌の血管新生プロセスを阻害し、したがって、標準的な化学療法または免疫療法の無治療期間における腫瘍の発生、浸潤、及び転移を阻害する可能性がある。
【0043】
実施例1:婦人科腫瘍学患者を対象としたAL3818二塩酸塩第1相化学療法併用投与の段階的縮小試験(de-escalation trial)
【0044】
第1相試験は、試験のパート2(第2a相)の推奨第2相用量(RP2D)を決定するために設計した。これとは別に、この試験は、用量制限毒性(DLT)イベントの評価を介して、患者の標準的なプラチナベースの化学療法(カルボプラチン及びパクリタキセル)に経口AL3818二塩酸塩を追加することの安全性及び耐容性を調査するためにも設計した。
【0045】
この試験の患者は、再発または進行した子宮内膜癌、卵巣癌、及び子宮頸癌の女性であった。
【0046】
この提示された化学療法併用療法レジメンでは、21日サイクルの初日に、標準的なプラチナベースの化学療法剤を患者に静脈内投与した。子宮内膜癌または卵巣癌または子宮頸癌の実施形態では、パクリタキセル(3時間にわたる175mg/m2の注入)及びカルボプラチン(約30分にわたる局所標準によるAUC5/6)を化学療法剤として選択した。子宮頸癌の実施形態では、カルボプラチンの代わりにシスプラチン(推奨用量75mg/m2)を使用することができる。毎週のパクリタキセルは、プラチナ耐性卵巣患者のSOC(標準治療)治療として使用した。個々の患者ごとに1~6サイクルの化学療法を適用した。
【0047】
全体として、提示された化学療法併用療法レジメンでは、化合物AL3818二塩酸塩カプセルを各サイクルで14日間治療及び7日間無治療のパターンで患者に経口投与した。1日目の静脈内(IV)化学療法後、2日目から7日目は無治療期間であった。第2週の1日目(8日目)から、化合物AL3818(アンロチニブ)二塩酸塩カプセルを、最初の21日サイクル(8日目から21日目)の終わりまで2週間連続して1日1回経口投与する。
【0048】
22日目(C2D1)から(CXDYはサイクルX Y日目の略語である。例えば、C2D1はサイクル2第1日目を表わす)新しいサイクルが始まり、パクリタキセル及びカルボプラチン(または子宮頸癌の場合はシスプラチン)が患者に投与され、23日目から28日目(C2D2~C2D7)が、再び無治療期間であった。
【0049】
このレジメンでは、最初の21日サイクル及び7日(C1D1~C2D8または1日目~28日目)が重要であり、主要な安全性評価期間と称した。推奨される第2相用量(RP2D)は、この期間における患者の用量制限毒性(DLT)イベントの基準に従って評価することによって得た。
【0050】
この評価期間は、一次安全性評価期間を通過した患者の第2サイクルの終わりまで延長することができる。29日目(C2D9)から42日目(C2D21)までの2週間、化合物AL3818(アンロチニブ)二塩酸塩カプセルを、再び患者に経口投与した。サイクル3(C3D1)の開始後、患者は化学療法及びAL3818を最大6サイクル継続し、その後、維持療法として、AL3818二塩酸塩を単剤療法で合計最大12ヶ月継続する選択肢があった。研究全体の任意の時点において、臨床的利益、疾患の進行がないこと、及び薬物投与後の耐容性が示されているかを確認するための調査が必要であった。
【0051】
この実施形態では、深刻な用量制限毒性(DLT)イベントまたは他の深刻な副作用が発生した場合、深刻なレベルに応じて、患者は、治療を中止するか、医薬品の用量を減少させるか、または他の医薬品に切り替える必要があり得る。
【0052】
合計9名の患者がこの研究に登録され、化合物AL3818二塩酸塩の投与強度は、12mg、10mg、及び8mg(遊離塩基の形態に従って計算)から選択した。その結果、それに応じて3名の患者を各群に割り当てた。
【0053】
第1の群(12mg AL3818二塩酸塩)では、3名中2名の患者が一次安全性評価期間中に用量制限毒性(DLT)イベントが観察された。この結果として、1名の患者はこの研究から永久に離脱し、他の1名は投薬量を10mgまで減少するように選択し、さらに2サイクル続けた。患者1名のみは、用量制限毒性(DLT)イベントに直面しなかったが、耐え難い化学療法の副作用のために、C3D1で化合物AL3818の投薬量を10mgまで減少させるように選択した。
【0054】
第2の群(AL3818二塩酸塩10mg)では、患者の1名が最初のサイクル(C1D16)でパクリタキセル化学療法及び8回のAL3818投与を受けた後、用量制限毒性(DLT)イベントに直面し、この患者への研究は永久に中止した。この群の他の2名の患者は、一次安全性評価期間を問題なく通過したが、いくつかの非重篤な副作用を示している(DLTイベント基準を満たさなかった)。このため、研究を進めることができるように、これら2名の患者について、AL3818の投薬量を8mgまで減少させた。
【0055】
第3の群(AL3818 8mg)では、いずれの患者も深刻な制限毒性(DLT)イベントに直面しなかった。これらはすべて一次安全性評価期間を順調に通過し、この化学療法併用療法レジメンで治療を継続することができた。
【0056】
上記の結果から、21日サイクル(治療14日、休薬7日)において、パクリタキセル及びカルボプラチン(または子宮頸癌の実施形態ではシスプラチン)などの化学療法剤の投与と組み合わせた場合、化合物AL3818二塩酸塩の安全な1日投薬量は8mgであると結論付けた。したがって、この化学療法併用療法レジメンの推奨される第2相用量(RP2D)は、8mgと決定した。プラチナ耐性卵巣患者には、毎週のパクリタキセルSOC治療と組み合わせて8mgのレジメンも推奨された。
【0057】
プラチナベースの化学療法と一緒に投与した場合、AL3818の1日投薬量12mgは過多であった。しかし、化学療法併用療法を6サイクル完全に行った後、この投薬量は、一種の維持として単剤療法期間中に許容できるようになり得る。
【0058】
この研究に登録された合計9名の対照(9/9、100%)が、治療の緊急有害事象(TEAE)を報告した。すべての対象が、少なくとも1回AL3818の投与を受けた。最も一般的なTEAEは、悪心(9.62%)、嘔吐(5.77%)、下痢(4.81%)、疲労(4.81%)、脱毛症(2.91%)、腹痛(2.88%)、高血圧(2.88%)、めまい(2.88%)、尿路感染症(2.88%)、及び全身倦怠感(2.88%)であった。1%を超える頻度で発生する他のTEAEとしては、胸痛(1.92%)、脱水症(1.92%)、肺塞栓症(1.92%)、喉痛(1.92%)、及び血小板減少症(1.94%)が挙げられた。
【0059】
この化学療法併用療法の有効性は、以下の表にまとめた。この記述された研究では、すべての患者が少なくとも1回のAL3818二塩酸塩の経口投与を受けた。重篤な有害事象(SAE)のためにこの研究から永久に離脱した3名の患者を除いて、他の6名の患者の最良の応答は、安定した疾患(SD)(1/6、16.7%)、部分奏効(PR)(4/6、66.6%)完全奏効(CR)(1/6、16.7%)の範囲であった。
【0060】
【0061】
1.化合物AL3818の1日投薬量は、患者に投与された初期投薬量であり、重篤な副作用が観察された場合、投薬量の減少となり得る。
2.最良の応答は、その後の疾患進行(PD)の可能性に関係なく、治療全体の間に最も好ましい結果を表すものであった。
【0062】
実施例2:第1相の代表的対象004
2016年6月17日に登録された子宮内膜癌の対象004は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。用量は第3サイクルで8mgまで減少させて、同様の前述の治療レジメンを次のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を2018年3月14日に無治療まで進行させて、治療の最良の応答はPRであった。
【0063】
実施例3:第1相の代表的対象010
2016年12月5日に登録された子宮内膜癌の対象010は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。同様の前述の治療レジメンを以下のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を2017年6月29日に無治療まで進行させて(耐え難い)、治療の最良の応答はPRであった。
【0064】
実施例4:第1相の代表的対象011
2016年12月6日に登録された子宮内膜癌の対象011は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。同様の前述の治療レジメンを以下のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を2017年9月13日に無治療まで進行させて、治療の最良の応答はPRであった。
【0065】
実施例5:第1相の代表的対象002
2016年3月11日に登録された卵巣癌の対象002は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩12mgを1日1回経口投与した。用量は第3サイクルで8mgまで減少させ、同様の前述の治療レジメンを次のサイクルで使用している。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回12mgであった。対象は2016年9月6日に耐えられず無治療にし、この治療の最良の応答はPRであった。
【0066】
実施例6:第1相の代表的対象012
2016年12月13日に登録された卵巣癌の対象012は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。同様の前述の治療レジメンを以下のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を、2017年4月3日に無治療まで進行させて、治療の最良の応答はSDであった。
【0067】
実施例7:婦人科腫瘍学患者においてAL3818二塩酸塩第2a相化学療法併用初期有効性評価試験
第1相は、推奨される第2相用量(RP2D)を決定するために、1つの研究部位で2017年第1四半期に完了した。RP2Dは、21日サイクル(14日間治療、7日間無治療)で、サイクルの8日目から21日目に、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与し、サイクルの1日目にプラチナベースの化学療法となるように決定した。
【0068】
第2a相は現在、米国の4つの研究サイトで進行中であり、第1の対象は2017年4月に登録された。2018年12月の時点で、再発性または転移性の子宮内膜癌、卵巣癌、及び子宮頸癌の48名の対象が登録されている。24名の対象は依然として治療中であり、24名の対象は治療を中止している。21名の子宮内膜癌対象が登録され、9名の対象が治療を中止している。8名の対象が疾患の進行のために中止し、1名の対象が毒性のために中止した。12名の対象が治療を継続している。
【0069】
【0070】
第1相及び第2a相の対象を合わせて、子宮内膜癌の24名の対象がAL3818-US-002試験に登録された。2018年12月の時点で、19名の対象が評価可能な応答を有している。一次治療として、8名の対象が本研究の第2a相に登録された。客観的奏効率(ORR)は62.5%(5/8)であり、病勢コントロール率(DCR)は75%(6/8)であった。最良の応答として5名が部分奏効(PR)であった。
【0071】
11名の対象が二次治療及びさらなる治療として本研究の第1相及び第2a相に登録された。客観的奏効率(ORR)は54.5%(6/11)であり、病勢コントロール率(DCR)は82%(9/11)であった。最良の応答として、1名の完全奏効(CR)及び5名の部分奏効(PR)であった。
【0072】
最も一般的なTEAEは、腹痛(全TEAEの4.20%)、脱毛症(1.3%)、貧血(1.8%)、関節痛(1.6%)、無力症(2.2%)、腰痛(1.5%)、便秘(2.7%)、食欲不振(2.7%)、下痢(6.3%)、呼吸困難(1%)、鼻血(3%)、疲労(4.5%)、鼓腸(1.5%)、頭痛(3.2%)、高血圧(3.3%)、低カリウム血症(1.3%)、低マグネシウム血症(1%)、不眠症(1.3%)、悪心(4.7%)、末梢神経障害(2%)、好中球減少症(2%)、好中球数の減少(1%)、四肢の疼痛(1.7%)、発熱(1.2%)、血小板減少症(1.7%)、尿路感染症(1.3%)、嘔吐(2.8%)、及び体重の減少(1%)であった。
【0073】
すべての有効性の結果を表3及び表4に示した。
【0074】
【0075】
【0076】
実施例8:第2a相の代表的対象015
2017年4月9日に登録された子宮内膜癌の対象015は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。同様の前述の治療レジメンを以下のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を、2017年11月3日に無治療まで進行させて、この治療の最良の応答はPRであった。
【0077】
実施例9:第2a相の代表的対象017
2017年4月24日に登録された子宮内膜癌の対象017は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。同様の前述の治療レジメンを以下のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を、2018年8月1日に無治療まで進行させて、この治療の最良の応答はSDであった。
【0078】
実施例10:第2a相の代表的対象026
2017年7月12日に登録された子宮内膜癌の対象026は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。同様の前述の治療レジメンを以下のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を2018年3月19日に無治療まで進行させて、この治療の最良の応答はSDであった。
【0079】
実施例11:第2a相の代表的対象037
2017年10月19日に登録された子宮内膜癌の対象037は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。同様の前述の治療レジメンを以下のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を2018年7月16日に無治療まで進行させて、この治療の最良の応答はSDであった。
【0080】
実施例12:第2a相の代表的対象038
2017年10月29日に登録された子宮内膜癌の対象038は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。同様の前述の治療レジメンを以下のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を2018年7月9日に無治療まで進行させて、治療の最良の応答はCRであった。
【0081】
実施例13:第2a相の代表的対象046
2018年3月16日に登録された子宮内膜癌の対象046は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。同様の前述の治療レジメンを以下のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を2018年9月9日に無治療まで進行させて、治療の最良の応答はPRであった。
【0082】
実施例14:第2a相の代表的対象024
2017年8月14日に登録された卵巣癌の対象024は、1日目に標準的なパクリタキセル及びカルボプラチンの化学療法と併用し、21日サイクル(サイクル1では、8日目~21日目まで14日間治療、1日目~7日目まで7日間無治療)で、AL3818二塩酸塩8mgを1日1回経口投与した。同様の前述の治療レジメンを以下のサイクルで使用した。維持単剤療法は、21日サイクル(14日間治療及び7日間無治療)で1日1回8mgであった。対象を、2018年2月27日に無治療まで進行させて、この治療の最良の応答はSDであった。
【0083】
実施例15:免疫療法剤とのAL3818併用療法を順次使用する
AL3818遊離塩基、そのHCl塩(モノ-またはビス-)、そのビスマレイン酸塩及びそのコハク酸塩を使用した発明者の研究経験に基づいて、これらに限定されないが、肺、腎臓、結腸直腸、胃、黒色腫、頭頸部、甲状腺、膵臓、肝臓、前立腺、膀胱、脳、肉腫、胸、卵巣、子宮頸癌及び子宮内膜癌;ならびにALL、CLL、AML、CML及び多発性骨髄腫から選択される血液癌から選択される固形腫瘍の治療において、以下の臨床的的組み合わせ効果が期待される。PD-1またはPD-L1、SLAM7、腫瘍溶解性ウイルス療法、二重特異性T細胞エンゲージメント(BiTE)及びキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法をベースにした剤、例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、ブリナツモマブ、エロツズマブ、ダラツムマブ、セミプリマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、トリパリマブ、シンチリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、AK105、KN035、CS1001、タリモジンラヘルパレプベックから選択される免疫療法剤との組み合わせ。併用療法の方法として、上記の免疫療法剤の投与後にAL3818またはその薬学的に許容される塩を投与するために、0~7日、好ましくは0日または7日間待機する同様の順次治療レジメンは、相乗的及び複合抗腫瘍活性を生じ得る。マウスPD-1抗体と組み合わせた腫瘍異種移植モデルを実施して、
図2及び
図3に組み合わせた結果を示した。通常、肺(これらに限定されないが、NSCLC及びSCLCなど)、腎臓、結腸直腸、胃、黒色腫、頭頸部、甲状腺、膵臓、肝臓、前立腺、膀胱、脳、肉腫、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、及びALL、CLL、AML、CML、及び多発性骨髄腫などの血液癌など、様々な固形腫瘍細胞株で、in vivo腫瘍阻害活性の50%から100%超の退縮が期待される。
【0084】
実施例16:免疫療法剤ニボルマブとのAL3818併用療法
AL3818及びニボルマブの投与は、両方とも1日目に開始される。ニボルマブは、28日ごとに2回、1日目及び15日目に注入により投与され、これは、1サイクルとして21日間併用療法が引き続き適用される。ニボルマブは、28日ごとに1回、1日目に注入により投与でき、併用療法には1サイクルとして21日が引き続き適用される。AL3818は、21日間1サイクルとして、1日目から14日目まで経口投与され、15日目から21日目まで無治療となる。ニボルマブは、28日ごとに2回、1日目及び15日目に、28日ごとに2回開始用量240mgを注入により投与する。ニボルマブは、任意により、28日ごとに1回、1日目に480mgを注入により投与できる。AL3818は、1日目~14日目に開始用量12mgで経口投与される。
【0085】
実施例17:ニボルマブとのAL3818併用療法第I相試験
対象001(脂肪肉腫)、002(滑膜肉腫)、003(血管肉腫)、004(平滑筋肉腫)、005(未分化多形性肉腫)及び006(平滑筋肉腫)の1日目から14日目の10mg経口投与、1日目及び15日目にニボルマブと組み合わせたものを28日ごとに2回開始用量240mgの注入では、DLT1つ(対象002)で完了した。子宮頸癌の対象及び他の肉腫の対象でのニボルマブとの12mg併用療法への用量漸増を進めている。
【国際調査報告】