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特表2022-524778単軸移動を使用した非接触センサの較正
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(54)【発明の名称】単軸移動を使用した非接触センサの較正
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
G01B11/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553371
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 US2020021303
(87)【国際公開番号】W WO2020185531
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】62/815,565
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513059548
【氏名又は名称】グリーソン メトロロジー システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーサン ジェームズ シェパード
(72)【発明者】
【氏名】パラグ ピー.ワガジ
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA04
2F065BB06
2F065BB07
2F065FF61
2F065GG04
2F065MM03
2F065MM04
(57)【要約】
較正球(40)に対するプローブの三次元位置決めが可能な機械軸の使用を伴うことなく、較正を実施することができる、プローブ較正方法および較正アーチファクト(30、70)。本方法は、較正アーチファクト本体(30、70)を備えている剛性構造を介して、互いに対して固定された複数の較正球を含む。球は、機械軸(W、N)のいくつかの位置においてプローブによって各々が検知されるように取り付けられている。換言すれば、球は、機械軸の移動を通じてセンサ視野(8、78)によってスイープされる領域内に位置する。較正球は、既知の位置(A、B、C)に位置付けられ、較正アーチファクト本体は、被加工物の代わりにそれが既知の位置に取り付けられ得るように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関連する視野を設けたレーザセンサを有する、機械のための較正アーチファクトであって、
前記較正アーチファクトが、前記機械の回転軸を中心に回転可能であるか、または前記機械の方向に直線的に並進可能であり、前記較正アーチファクトが、頂部側を備えていること、
前記較正アーチファクトが、複数の成形較正面を備え、前記較正面が、前記較正アーチファクトの前記頂部側の少なくとも1つの表面に配設されていること、
前記較正面が、前記レーザセンサの前記視野に対して、前記少なくとも1つの頂面の異なる位置に配設されていること、を含む、較正アーチファクト。
【請求項2】
前記アーチファクトが、円形であり、回転軸を中心に回転可能である、請求項1に記載の較正アーチファクト。
【請求項3】
前記アーチファクトが、外周面部分を前記頂部側にさらに含み、前記外周面部分が、前記アーチファクト回転軸から半径方向外方に、かつ前記アーチファクトの外周に隣接して位置付けられている、請求項2に記載の較正アーチファクト。
【請求項4】
前記複数の較正面が、前記外周面部分に配設されている、請求項3に記載の較正アーチファクト。
【請求項5】
前記較正面の一部分が、前記回転軸から半径方向距離に、または前記半径方向距離もしくは残りの較正面の軸方向位置とは異なる前記回転軸に対する軸方向位置に位置付けられている、請求項4に記載の較正アーチファクト。
【請求項6】
前記複数の較正面が、円周面部分を中心に円周方向に離間されている少なくとも3つの較正面群を備える、請求項4に記載の較正アーチファクト。
【請求項7】
前記少なくとも3つの較正面群が、前記円周面部分を中心に円周方向に等距離に離間されている、請求項6に記載の較正アーチファクト。
【請求項8】
前記少なくとも3つの較正面群の各々が、複数の較正面を備える、請求項6に記載の較正アーチファクト。
【請求項9】
較正面群内の前記複数の較正面の各々が、前記群内の他の較正面の前記半径方向距離位置とは異なる前記回転軸からの半径方向距離に位置決めされている、請求項8に記載の較正アーチファクト。
【請求項10】
前記外周面部分が、複数の段付き部分を備え、前記段付き部分の各々が、前記アーチファクトの前記回転軸に対して軸方向位置に位置付けられ、前記段付き部分の各々が、他の段付き部分とは異なる軸方向位置に位置付けられている、請求項3に記載の較正アーチファクト。
【請求項11】
前記段付き部分の各々が、較正面群を備える、請求項10に記載の較正アーチファクト。
【請求項12】
各較正面群が、複数の較正面を備える、請求項11に記載の較正アーチファクト。
【請求項13】
較正面群内の前記複数の較正面の各々が、前記群内の他の較正面の前記半径方向距離位置とは異なる前記回転軸からの半径方向距離に位置決めされている、請求項12に記載の較正アーチファクト。
【請求項14】
各郡内の前記複数の較正面が、同じ数の較正面である、請求項11に記載の較正アーチファクト。
【請求項15】
各群が、少なくとも3つの較正面を備え、各群内の第1の較正面が、前記回転軸に対して半径方向位置Aに位置付けられ、各群内の第2の較正面が、前記回転軸に対して半径方向位置Bに位置付けられ、各群内の第3の較正面が、前記回転軸に対して半径方向位置Cに位置付けられ、前記半径方向位置A、B、およびCが、互いに異なる、請求項14に記載の較正アーチファクト。
【請求項16】
前記較正面が、球を備える、請求項1に記載の較正アーチファクト。
【請求項17】
前記較正面が、ピンまたはポストの一方の端部に位置決めされ、前記ピンまたはポストの他方の端部が、前記頂部側に取り付けられ、それによって、前記頂部側から前記較正面を離間している、請求項1に記載の較正アーチファクト。
【請求項18】
関連する視野を設けたレーザセンサを有する歯車検査機械を較正する方法であって、
較正アーチファクトを前記機械に位置決めすることであって、前記較正アーチファクトが、前記機械の回転軸を中心に回転可能であるか、または前記機械の方向に直線的に並進可能であり、前記較正アーチファクトが、頂部側を備え、前記較正アーチファクトが、複数の成形較正面を備え、前記較正面が、前記較正アーチファクトの前記頂部側の少なくとも1つの表面に配設され、前記較正面が、前記レーザセンサの前記視野に対して、前記少なくとも1つの頂面の異なる位置に配設されている、位置決めすることと、
前記センサを作動させて、前記視野を生成することと、
前記較正アーチファクトを前記視野に対して移動させて、前記較正面を前記視野に通過させることと、
前記較正面を前記視野に通過させている間、機械軸およびセンサデータを収集することと、
それぞれの較正面に関する前記収集した機械軸およびセンサデータを、前記それぞれの較正面に関する既知の機械軸およびセンサデータと比較することと、
前記収集した機械軸およびセンサデータと、既知の機械軸およびセンサデータとの間の差に基づいて、前記機械を較正することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記方法を実行するために、1台の機械に沿った、またはそれを中心とした移動が必要である、請求項19に記載の方法。
【請求項20】
関連する視野を設けたレーザセンサを有する歯車検査機械であって、前記機械が、被加工物回転軸および被加工物直線運動軸のうちの少なくとも1つを備え、それによって、被加工物が、前記視野に対して、およびそれを通して移動可能であり、前記機械が、
被加工物が前記機械に位置決めされるのと同じ方法で、前記機械に位置決めされた較正アーチファクトであって、前記機械被加工物回転軸を中心とする前記較正アーチファクトの回転を介して飛行図に対して、およびそれを通して、または前記機械被加工物の直線運動軸を介した前記飛行図に対して、およびそれを通した直線並進を介して移動可能である、較正アーチファクトをさらに備える、歯車検査機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に分析試験結果を生成する機能測定プラットフォーム上で、歯車および他の歯付き物品を含む被加工物を検査するための非接触センサの較正に関する。本発明は、較正のために単軸移動を使用する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたって、歯車の分析試験は、CMM(座標測定機械)またはGMM(歯車測定機械)を使用して行われてきた。典型的なCMMまたはGMMは、少なくとも1つの接触プローブを利用する。近年では、本開示が参照により本明細書に組み込まれるWO2018/048872に開示されているように、同じ歯車を検査するために、非接触センサ(例えば、レーザ)が使用されている。これらの機械に対する両方のプローブ技術(すなわち、接触および非接触)も、通常は単一の球の使用を伴う較正方法を利用する。
【0003】
歯車の分析試験は、GMMまたはCMMのいずれかによって行われ得る。これらの機械は、高解像度タッチセンサ(例えば、触覚プローブ)および/または非接触プローブを含む、コンピュータ制御された装置を含む。WO2018/048872の機械は、検査のためにタッチセンサおよび/またはレーザセンサを利用する、歯車被加工物を検査するための分析機械の一例である。両方のセンサも、歯車を検査する前に較正を必要とする。
【0004】
CMMおよびGMM機械は両方とも、、被加工物の表面の点の位置を測定することが可能なプローブを備えている。これは、これらの機械の中心的な機能の1つであり、これらの機械に利用可能なあらゆる機能(例えば、サイズ、位置、幾何学形状の理論的表面および理論的形態からの逸脱の測定)を実装するために使用される。これらの測定値は、特定の許容限度に対して確認されて、測定される被加工物の正しい嵌合および機能を確実にする。
【0005】
被加工物を測定するために、機械は、そのプローブ(複数可)から出力された信号および関連する機械軸のそれぞれの位置を、被加工物の表面の点の位置に変換しなければならない。これは多くの場合、プローブ信号を出力として利用し、機械データを入力として利用する数学関数またはモデルとして実装される。モデルは、最終的に、被加工物の表面の点の位置を出力するために使用される。このモデルは、プローブおよび機械のアセンブリおよび製造のばらつきを補償するパラメータ(例えば、プローブ配向、オフセット、およびスケールファクタ)を使用する。これらのパラメータは多くの場合、プローブ較正パラメータ(または係数)と称される。これらのパラメータを正確に決定することは、機械の動作に極めて重要である。これらのパラメータを決定するプロセスは、プローブ較正として知られている。
【0006】
触覚プローブを備えたCMMおよびGMM機械は、典型的に、プローブ較正パラメータを決定するための基準として単一球(較正球として知られている)を使用する。例えば、図1の機械1を参照されたい。プローブ較正中に、機械軸(X、Y、Z、P)が移動して、いくらかのプローブの偏向を伴う複数の位置で、プローブ先端部2を較正球4に接触させる。プローブ先端部の較正パラメータは、このプロセス中に収集されたデータ(プローブの偏向信号、軸位置)を使用して、高精度に計算される。
【0007】
非接触二次元(2D)プロファイルセンサ(例えばレーザ)6を備えたCMMおよびGMM機械は、触覚プローブ較正と類似の方法を利用する。例えば、図2の機械3を参照されたい。そのような機械は、典型的に、プローブの位置、配向、およびスケールを決定するための基準として単一球4(較正球として知られている)を使用する。これらのパラメータ(プローブの位置、配向、およびスケール係数)は、プローブ較正パラメータと称され、パラメータは、プローブによって出力されたデータ(センサの視野を横断する深さ測定のリスト)を、測定を実施するために必要とされる正確な三次元(3D)点-クラウドデータに変換するために極めて重大である。これらのパラメータを決定するプロセスは、プローブ較正として知られている。
【0008】
プローブ較正プロセス中に、機械軸(X、Y、Z、P)は、プローブの視野8が球を横断して移動するようにプローブを移動させる。機械は、いくつかのそのような移動を実施し、各々、球4がプローブ6の視野8内の異なる領域を占有するように僅かに異なる。例えば、図3は、球4のごく一部分が視野よりも上に突出した状態で視野8の左上部分に位置決めされた球4を示す。図4は、球4の大部分が視野よりも上に突出するような、視野8のZ方向における再位置決めを示す。図5は、球4のごく一部分が視野よりも上に突出した状態で視野8の右上部分に位置付けられた球4を示す。図4と比較して、Z方向およびY方向の移動を介して図5の位置に到達している。最後に、図6は、球4のごく一部分が視野よりも上に突出した状態で視野8の右下部分に位置付けられた球4を示す。図5と比較して、X方向の移動を介して図6の位置に到達している。プローブ較正パラメータは、このプロセス中に収集されたデータ(プローブデータ、軸位置)を使用して、高精度に計算される。
【0009】
上で論じた方法は、少なくとも1つの直線軸を利用して、非接触センサを較正することを含む。較正プロセスを実施するために、機械は、そのような移動を実施することを可能にする直線軸運動を備えていなければならない。機械軸を介してプローブを再位置決めする能力がなければ、球は、プローブの視野のごく一部分に制限される。そのような制限を伴って収集され得るデータ(プローブデータ、軸位置)は、プローブ較正パラメータを正確に決定するのに十分ではない。
【0010】
図7図8、および図9は、被加工物の検査および/または測定のための機能試験プラットフォーム上に少なくとも1つの非接触センサ52を備えている機械50を示す。機械自体は、その開示が参照により本明細書に組み込まれるWO2019/083932に開示されているタイプのものである。機械50は、当業者に知られているような機械アーバ、油圧アーバ、または空気アーバなどの、それぞれのワーク保持アーバ18および12に取り付けられた生産歯車16(すなわち、被加工物)と、マスター歯車14と、を備えている。生産歯車16は、マスター歯車14の左側または右側のいずれかに位置付けられ得るが、図7では、左側に示されている。歯車16は、モータ駆動される軸W上で回転する。マスター歯車14は、右手側(軸T)に取り付けられており、モータ駆動されていない。マスター歯車14の回転は、軸Wのための駆動モータ、および生産歯車16との噛み合いによって提供される。
【0011】
機能試験のために、マスター歯車14は、歯車の結合および結合解除を可能にするように、スライド26(X軸)上にあり、X軸の方向に移動可能である。手動または自動手段のいずれかを介して、生産歯車16を取り外して、異なる被加工物と交換することができるように、結合解除が必要とされる。リニアスケール7(図9)は、動作中のX軸方向におけるスライド26の移動を取り込むように取り付けられている。ロータリエンコーダ(図示せず)が、モータ駆動される生産歯車16(軸W)の下に取り付けられて、被加工物歯車の回転移動を取り込む。ロータリエンコーダおよびリニアスケールの入力が取り込まれると、歯車対の回転中に、歯車の相対的な移動(X方向への)が、被加工物歯車16の回転位置に対して測定される。
【0012】
図7に示すように、レーザアセンブリ52などの非接触センサは、分析試験のために、機械の左側に位置決めされている。単一のレーザ54は、調整可能な取り付け機構58を有する直線的に調整可能なポスト56に取り付けられており、それによって、レーザ54は、レーザの動作位置を手動で設定するための、最大で3つの直線方向X、Y、Z(好ましくは、相互に垂直に)に、かつ最大で3つの回転方向、すなわち、X、Y、およびZの各々を中心に、移動可能かつ位置決め可能である。換言すれば、レーザ54は、好ましくは6自由度の移動が可能であるが、設定の目的のためだけである。このような調節機能は、歯車の歯のスペースにレーザライン60を配向させるために好ましく、その調節によって、レーザラインは、隣接する歯の両方の歯フランクに対する歯底から先端までの歯インボリュートの少なくとも一部(すなわち、プロファイル方向)を取り込むことができる。
【0013】
しかしながら、分析試験のための、図7の機械上の唯一のコンピュータ制御された軸は、被加工物回転軸Wである。機械は、1つ以上の直線軸を介してプローブを再位置決めするための能力が欠如している。相互に垂直な方向X、Y、およびZ(すなわち、さん次元)におけるレーザ54に対する被加工物16のコンピュータ制御された位置決めが不可能であり、そのため、レーザ54の較正は、上で論じた技術を使用することが不可能である。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、プローブ較正方法および較正アーチファクトを含み、それらにより、較正球に対するプローブの三次元位置決めが可能な機械軸の使用を伴うことなく、較正を実施することができる。
【0015】
本発明は、関連する視野を設けたレーザセンサを有する、機械のための較正アーチファクトを備えている。較正アーチファクトは、機械の回転軸を中心に回転可能であるか、または機械の方向に直線的に並進可能である。較正アーチファクトは、頂部側と、較正アーチファクトの頂部側の少なくとも1つの表面に配設された複数の成形較正面と、を備えている。較正面は、当該レーザセンサの視野に対して、少なくとも1つの頂部側面の異なる位置に配設されている。
【0016】
本発明の方法は、較正アーチファクト本体を備えている剛性構造を介して、互いに対して固定された複数の較正球を含む。球は、機械軸のいくつかの位置においてプローブによって各々が検知されるように取り付けられている。換言すれば、球は、機械軸の移動を通じてセンサ視野によってスイープされる領域内に位置する。較正球は、既知の位置に位置付けられ、較正アーチファクト本体は、被加工物の代わりにそれが既知の位置に取り付けられ得るように設計されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】触覚プローブと、プローブ較正パラメータを決定するための基準としての単一球(較正球として知られている)と、を備えている、多軸CMMおよびGMMの概略表現である。
図2】1は非接触プローブと、プローブ較正パラメータを決定するための基準としての単一球(較正球として知られている)と、を備えている、多軸CMMおよびGMMの概略表現である。
図3図2の機械の非接触プローブの較正中にプローブの視野内の領域を占有している較正球を示す。
図4図2の機械の非接触プローブの較正中にプローブの視野内の別の領域を占有している較正球を示す。
図5図2の機械の非接触プローブの較正中にプローブの視野のさらに別の領域を占有している較正球を示す。
図6図2の機械の非接触プローブの較正中にプローブの視野のなお別の領域を占有している較正球を示す。
図7】被加工物、特に歯車の検査および/または測定のための機能試験プラットフォーム上に少なくとも1つの非接触センサを備えている機械を示す。
図8図7の機械上の非接触センサの拡大図を示す。
図9図7の機械の上面図を示す。
図10】レーザセンサおよびその関連する視野の拡大図である。
図11】分析歯車試験機械の簡略図を示す。
図12】本発明による較正アーチファクトを示す。
図13図11に示すタイプの分析歯車試験機械上で動作可能な図12の較正アーチファクトを示す。
図14】プローブの較正中に球が非接触プローブの視野に進入したときの、較正アーチファクト上の定義された位置に位置付けられた球を示す。
図15】プローブの較正中に球が非接触プローブの視野から出ようとしているときの、図14の球を示す。
図16】プローブの較正中に球が非接触プローブの視野に進入したときの、較正アーチファクト上の別の定義された位置に位置付けられた球を示す。
図17】プローブの較正中に球が非接触プローブの視野から出ようとしているときの、図16の球を示す。
図18】プローブの較正中に球が非接触プローブの視野に進入したときの、較正アーチファクト上のさらに別の定義された位置に位置付けられた球を示す。
図19】プローブの較正中に球が非接触プローブの視野の中央の近くにあるときの、図18の球を示す。
図20】類似の半径および軸方向位置に保持された複数の較正球を含む較正球を示す。
図21】並進移動のための、および少ないオフセットで保持された複数の較正球を備える、較正アーチファクトおよびセンサ配設の代替の実施形態を示す。視野は、アーチファクトの球とのその初期接触で示す。
図22】アーチファクトの第1の平坦面部分の内側端部の近くで視野が最後の球に接触している、図21の実施形態を示す。
図23】アーチファクトの後続の平坦面部分の中央の近くで視野が球に接触している、図21の実施形態を示す。
図24】アーチファクトの後続の平坦面部分の外端部の近くで視野が最後の球に接触している、図21の実施形態を示す。
図25】非接触センサを移動させるための機構、および図21の代替の実施形態アーチファクトに対するその関連する視野の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で使用される「発明(invention)」、「本発明(the invention)」、および「本発明(the present invention)」という用語は、本明細書の主題のすべて、および以下の任意の特許請求項を広く指すことを意図するものである。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載された主題を限定するもの、または以下のいかなる特許請求項の意味もしくは範囲も限定するものと理解されるべきではない。さらに、本明細書は、本出願のいかなる特定部分、段落、記述、または図面においても、いずれかの請求項によってカバーされる主題を説明または限定しようと努めるものではない。本主題は、本明細書全体、すべての図面、および以下のいずれかの請求項を参照することによって理解されるはずである。本発明は、他の構成が可能であり、様々な方法で実践されるか、または実行されることが可能である。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明のためのものであり、限定的であると見なされるべきではないことが理解される。
【0019】
ここで、本発明の詳細を、単に例として、本発明を図示する添付図面を参照して考察する。図面において、類似の特徴または構成要素は、同様の参照番号によって言及される。本発明をより良く理解し、かつ見やすくするため、ドア、および任意の内部または外部の防護物は、図面から省略されている。
【0020】
本明細書での「含む」、「有する」、および「備える」、ならびにこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物、ならびに追加の項目をも包含することを意味する。「a」および「an」という単語は、1つだけに限定するという明確な意図が具体的に記載されていない限り、「1つ以上」を意味すると理解される。方法またはプロセスの要素を識別するための文字の使用は、単に識別のためのものであり、要素が特定の順序で実施されるべきであることを示すことを意味するわけではない。
【0021】
以下で、図面を説明する際、上部、下部、上方、下方、後方、底部、頂部、前、後などの方向に言及する場合があるが、これらは、便宜上、図面に対して(通常、見られるように)言及される。これらの方向は、文字通りに解釈されること、またはいかなる形でも本発明を限定することを意図しない。加えて、「第1」、「第2」、「第3」などのような用語は、説明の目的で本明細書に使用されており、特に詳述されていない限り、重要性または有意性を示すまたは暗示することを意図していない。
【0022】
本発明は、プローブおよび較正アーチファクトを互いに対して移動させることが可能な機械軸を備えている。好ましい実施形態は、回転軸を備えているが、十分な精度を有する湾曲部に沿った位置が採用され得る(例えば、線形スライド、コンベア、リンケージ、螺旋軸、円弧など)、並進軸または(より一般的には)任意の軸を備える。
【0023】
図10は、上で論じた実施形態において強調したようなレーザセンサ6およびその関連する視野8の拡大図である。図11は、図7の機械などの機械に見出され得るような、分析試験配設の簡略図である。図11の分析歯車試験機械の簡略図では、歯車被加工物11は、機械被加工物軸Wを中心に回転可能であり、歯車10が矢印によって示されるように方向Rに回転すると、歯車10の歯12が、レーザセンサ6の視野8を通過する。レーザセンサ6は、垂直構成要素を視野8に提供するように僅かに傾斜している。図11において利用可能な唯一の機械運動は、W軸を中心とする被加工物の回転である。図7と類似して、レーザセンサ6は、機械の被加工物スピンドル20であるように、固定位置に設定される。
【0024】
本発明は、上で論じたような較正球または他の成形較正面に対して、好ましくは、限られた数の制御された軸(例えば、1つの回転軸)を有する分析歯車試験機械に対して、プローブ、特にレーザセンサなどの非接触センサを適切に再位置決めすることに対処する。
【0025】
図12は、頂部側および底部側(図示せず)を有する形状(例えば、略円盤形)であり、軸(例えば、軸D)を中心に回転可能である、円形の較正アーチファクト30を示す。較正アーチファクト30は、分析歯車試験機械などの機械の被加工物スピンドル上で回転するように位置決めすることが可能である。図12では、アーチファクト30は、当業者によって良く理解されている適切なワーク保持装置を介して機械の被加工物スピンドル上に位置付け可能である、中央ハブ32を備える。アーチファクト30は、ハブ32から外周部分36へと半径方向に延在している複数のアーム34(図12に3つ示す)をさらに備え、その少なくとも一部分は、アーチファクトの外周44に隣接してアーチファクトの一方の側(すなわち、図12の頂部側)に位置付けられた円周面部分38を備えている。面部分38は、好ましくは、複数の異なる平坦面(例えば、地面)表面、好ましくは3つの平坦面39、41、および43を備え、その各々が、回転軸Dの方向において互いに対して異なる軸方向位置に位置付けられている。当然ながら、他のタイプの構造のアーチファクト30(例えば、中実ディスク)が可能である。
【0026】
アーチファクト30は、好ましくはねじ込み接続を介してアーチファクト30の面部分38に、特に平坦面39、41、および43に取り付けられたピンまたはポストなどの剛性構造42互いを介して互いに対して固定された複数の較正球40(3つ示す)を備える。球40は、好ましくは、各球がレーザの視野8内に位置付けられたときに、各球がアーチファクトの他の球のそれぞれの位置とは異なる視野内の位置を占有するように、互いに対して位置決めされる。例えば、図12では、A、B、およびCと記されたねじ付き/タップ付き孔の3つの群、平坦面39、41、および43につき1つの孔の群が提供され、ピンまたはポスト42をアーチファクト30の平坦面39、41、43に接続する。
【0027】
すべての位置Aは、軸Dから同じ半径方向距離に位置決めされている。同様に、すべての位置Bは、軸Dから同じ半径方向距離に位置決めされ、すべての位置Cは、軸Dから同じ半径方向距離に位置決めされている。しかしながら、A、B、およびCのそれぞれの半径方向距離は、互いに異なる。したがって、A、B、およびCの各群の球の半径方向位置は、同じではない。さらに、「段付き」平坦面39、41、および43が各々異なる軸方向位置にあることによって、アーチファクト30の各球40は、異なる軸方向位置にあり、そのため、球が視野を通過するときに、視野8の上側に、または下側に異なる量だけ突出する。3つの位置A、B、およびCが好ましいが、4つ以上が想到されるので、本発明は、それに限定されない。
【0028】
好ましくは、アーチファクト30は、好ましくは120度の等間隔で、アーチファクトの頂面を中心に離間された3つの孔群A、B、Cを備え、好ましくは、1つの孔群が、「段付き」平坦面39、41、および43の各々にある。追加的に、孔A、B、Cの半径方向位置は、好ましくは、歯車上の対応する特定の位置でサイズが一致する。「B」までの半径方向距離の2倍(rB×2)は、好ましくは、対応する歯車のピッチ円直径(すなわち、ピッチ線)と一致する。同様に、「A」までの半径方向距離の2倍(rA×2)は、好ましくは、対応する歯車のピッチ円直径よりも大きい直径を表し、「C」までの半径方向距離の2倍(rC×2)は、好ましくは、対応する歯車のピッチ円直径よりも小さい直径を表す。アーチファクトの実直径は、較正プロセスに関連していないが、直径は、アーチファクトがレーザ6または任意の他の機械構成要素に干渉しないようにしなければならない。
【0029】
アーチファクトの面部分38の「段付き」構成(39、41、43)によって、単一のサイズの球40およびピン/ポスト42が利用され得る。好ましくは、ねじ付きポストおよび球を備える市販のプローブ先端部がアーチファクト上で利用される。代替的に、アーチファクトの面部分38は、異なる軸方向位置の球を可能にするように提供された、異なる長さの単一の平面およびポストに位置し得る。
【0030】
球40は、アーチファクトが試験機械の被加工物回転の軸などの軸を中心に回転し、各球が視野8を通過するときに、各球がプローブ(例えば、レーザ)によって検知されるように取り付けられている。図13を参照されたい。換言すれば、球40は、(較正アーチファクト30が機械スピンドルに位置決めされたときに軸Dと一致する)機械被加工物回転軸Wの移動を通じてセンサ視野8によってスイープされる領域内に位置する。較正球40は、精密な構築によるか、または好適な座標測定機械での検査によって、既知の位置に位置付けられる。較正アーチファクトの本体は、被加工物の代わりに既知の位置に取り付けられ得るように設計されている。
【0031】
図14図19は、機械較正プロセスにおいてアーチファクト30を利用する実施例を示す。図14は、僅かに傾斜した視野8(図13の傾斜したセンサ6を参照されたい)に球が進入したときに位置Aに位置付けられた球40を示す。破線は、傾斜させた視野8の平面を表す。図15は、アーチファクト30の回転のため視野8の縁部の近くに位置付けられ、軸Wを中心としたアーチファクトの回転が続いたときに視野を出ようとしている、位置Aに位置付けられた球40を示す。傾斜させた視野のため、球が視野8に進入して出るように移動するときに、視野を通過する球の断面が減少する。図14および図15において球40が視野8よりも上に突出している量に留意されたい。
【0032】
図16は、僅かに傾斜した視野8(図13の傾斜したセンサ6を参照されたい)に球が進入したときに位置Bに位置付けられた球40を示す。破線は、傾斜させた視野8の平面を表す。図17は、アーチファクト30の回転のため視野8の縁部の近くに位置付けられ、軸Wを中心としたアーチファクトの回転が続いたときに視野を出ようとしている、位置Bに位置付けられた球40を示す。傾斜させた視野のため、球が視野8に進入して出るように移動するときに、視野を通過する球の断面が減少する。図16および図17において球40が視野8よりも上に突出している量に留意されたい。
【0033】
また、アーチファクト30上のAおよびBの位置の半径方向距離の差のため、球40が、図16図17(位置B)の球40の経路よりも右側に(図面を普通に見たときに)さらに遠くに位置付けられた経路に沿って、図14図15(位置A)の視野8を通過することに留意することも重要である。
【0034】
図18は、僅かに傾斜した視野8(図13の傾斜したセンサ6を参照されたい)に球が進入したときに位置Cに位置付けられた球40を示す。破線は、傾斜させた視野8の平面を表す。図19は、アーチファクト30の回転のため視野8の中央の近くに位置付けられ、軸Wを中心としたアーチファクトの回転が続いたときに位置Cに位置付けられた球40を示す。傾斜させた視野のため、球が視野8に進入して出るように移動するときに、視野を通過する球の断面が減少する。図19および図19において球40が視野8よりも上に突出している量に留意されたい。
【0035】
また、アーチファクト30上のBおよびCの位置の半径方向距離の差のため、球40が、図1図19(位置C)の球40の経路よりも(図面を普通に見たときに)右側にさらに遠くに位置付けられた経路に沿って、図16図17(位置B)の視野8を通過することに留意することも重要である。
【0036】
較正方法のステップは、以下を含む。
【0037】
・較正アーチファクトを機械に取り付ける。
【0038】
・較正アーチファクトがセンサプローブ(例えば、レーザ)に対して移動し、それにより、較正球がプローブの(センサ)視野を通過するように、機械軸を回転させる。各較正球は、プローブの視野内の異なる領域を通過する。このステップ中に、機械は、進行に沿った複数の点において、軸位置およびプローブセンサのデータを収集する。これは、軸が移動している間に(スキャンとして知られる)、または移動させて複数の位置に停止させて、静止している間にデータを収集することによって行われ得る。
【0039】
・軸位置データ、プローブデータ、および較正アーチファクトの既知の幾何学形状に対する収集したデータの逸脱から、較正パラメータを決定する。プローブ較正パラメータは、以下のうちの1つ以上を含み得る。
oオフセット
o方向
oスケール
oスキュー
【0040】
本発明は、プローブを三次元(3D)に位置決めすることが可能な軸を機械が備えている場合であっても使用され得る。本方法は、3D位置決めシステムが静止している(または大幅な移動を伴わない)間でも、上で説明したように実施され得る。例えば、本発明は、以下の状況のうちのいずれか1つの下で有用であり得る。
【0041】
・軸の進行が制限されるか、または不十分である。
【0042】
・軸が、必要な精度の較正結果を生成するのに十分な精度のものではない。
【0043】
・本方法を実施するために必要な時間が、代替例よりも短くなる。例えば、例えば単一球を使用する、図2に示されるタイプの機械のレーザ較正は、1つの位置について約120秒以上がかかり得る。本発明の方法は、較正に約55秒かかる。
【0044】
図20は、上で論じたものと類似の半径(A、B、C)および軸方向位置(39、41、43)に保持された複数の較正球40を含む、較正アーチファクト30を示す。この配設によって、上で説明した較正パラメータに加えて、アーチファクト30の偏心および/または傾斜が決定され得る。一例として、偏心および/またはアーチファクト30の傾斜は、位置「A」のすべての球を互いに比較すること、および/または位置「B」のすべての球を互いに比較すること、および/または位置「C」のすべての球を互いに比較することによって決定され得る。球40は、すべての半径方向位置A、B、およびCにおいて示されているが、偏心および傾斜を決定するための球40の最小数は、A、B、またはCの位置の各々において1つの球となる。したがって、例えば図20では、各「A」位置の球40は、偏心および傾斜を決定するのに十分となる。偏心および傾斜を使用して、同様に取り付けられた被加工物の測定を補償することができる。
【0045】
図21図25は、本発明の別の実施形態を示し、機械68が非接触センサ77(例えば、レーザ)およびその関連する視野78の並進(例えば、直線)移動軸として使用される軸Mを含む。較正アーチファクト70は、移動軸Mと平行な線から小さなオフセット74で保持された複数の較正球72からなる。アーチファクト70は、2つの平坦面71、73を備えるが、追加的なオフセット面が含まれ得る。較正球72は、表面71および73に同じパターンで群化または配設され得、複数の球が視野78内に同時にあり得るように接近して離間され得る。代替的に、アーチファクト70は、任意の他の群の球とは異なる高さでアーチファクト70の表面の上側に位置決めされた1つの群の較正球72と面一であり得る。
【0046】
図21図24は、方向Mにおけるアーチファクト70および球72に対する視野78の移動(普通に見たときに、図21図24の右から左)の実施例を示す。図21は、アーチファクト70の球72とのその初期接触での視野78を示す。図22は、アーチファクト70の第1の平坦面部分73の内側端部の近くで最後の球に接触している視野78を示す。図23は、アーチファクト70の後続の平坦面部分71の中央の近くで球に接触している視野78を示す。図24は、アーチファクト70の後続の平坦面部分71の外端部の近くで最後の球に接触している視野78を示す。
【0047】
データ(例えば、軸位置およびプローブデータ)は、軸Mに沿って連続的に移動している間に(スキャンとして知られる)、または移動させて複数の位置に停止させて、静止している間にデータを収集することによって収集され得る。図25は、センサ77および視野78に対して異なる高さに位置付けられた複数の平坦面に配設された複数の球72を備えているアーチファクト70に対して、非接触センサ77(例えば、レーザ)およびその関連する視野78を移動させるための機構の概略図を示す。
【0048】
較正アーチファクト70は、複数の球を備え得、各球は、上で説明したように取り付けられて、精密な取り付けシステム(運動学的マウントなど)を介して次々にプローブされる。各球(またはその群)は、取り付け後に次々にプローブされる。次いで、各々について収集されたデータをまとめて使用して、較正パラメータが決定され得る。そのような取り付けシステムを使用することで、単一較正球が使用され、複数回プローブされ、次いで、異なる位置に取り付けられ得る。
【0049】
本発明は、上で説明した較正アーチファクトを追加的に想到するが、球の代わりに、またはそれに加えて、ピンまたは円筒、インボリュート螺旋曲面または他の幾何学形状を使用することが理解されるべきである。
【0050】
本発明は、複数のセンサによって同時に(並行して)または逐次的に実施され、それによって、他のセンサに関連して各センサの正確な較正を可能にし得る。これは、複数のプローブによって収集されたデータを組み合わせて、まとめて正確に使用すること(例えば、別個のプローブによって測定される2つの特徴の間の関係を測定すること)を可能にする。
【0051】
本発明は、2D表面での位置決めが可能な2つの軸の利用をさらに含む。
【0052】
本発明は、好ましい実施形態を参照しながら説明されてきたが、本発明は、これらの特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、本主題が属する、当業者には明らかになるであろう、本明細書で特に詳述されない修正を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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【国際調査報告】