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特表2022-524782複合ベアリング、並びにそれを作製及び使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(54)【発明の名称】複合ベアリング、並びにそれを作製及び使用する方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/10 20060101AFI20220427BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20220427BHJP
   F16C 33/12 20060101ALI20220427BHJP
   F16C 33/14 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
F16C33/10 Z
F16C33/20 Z
F16C33/12 Z
F16C33/14 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553820
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(85)【翻訳文提出日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2020023489
(87)【国際公開番号】W WO2020197908
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/822,340
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディマルティーノ、ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】アリ、グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー、ブランドン エス.
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011AA07
3J011DA01
3J011DA02
3J011JA02
3J011MA02
3J011PA02
3J011QA05
3J011RA01
3J011RA02
3J011RA03
3J011SC01
3J011SC03
3J011SC12
3J011SC14
3J011SC20
3J011SD01
(57)【要約】
アセンブリは、内側部材と、外側部材と、平坦な部分、第1の凸状の軸線方向端部、及び第2の凸状の軸線方向端部を含むベアリング側壁を含むベアリングとを含み、内側部材又は外側部材の少なくとも1つは、ベアリングに対して軸線方向に並進するように適合され、第1の凸状の軸線方向端部又は第2の凸状の軸線方向端部の少なくとも1つは、内側部材又は外側部材の少なくとも1つの軸線方向の並進中にベアリング側壁においてフィルムの形成を誘発するように適合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側部材と、
外側部材と、
平坦な部分、第1の凸状の軸線方向端部、及び第2の凸状の軸線方向端部を備えるベアリング側壁を備えるベアリングと
を備えるアセンブリであって、
前記内側部材又は前記外側部材の少なくとも1つは、前記ベアリングに対して軸線方向に並進するように適合され、前記第1の凸状の軸線方向端部又は前記第2の凸状の軸線方向端部の少なくとも1つは、前記内側部材又は前記外側部材の少なくとも1つの前記軸線方向の並進中に前記ベアリング側壁においてフィルムの形成を誘発するように適合されている、アセンブリ。
【請求項2】
内側部材を提供するステップと、
外側部材を提供するステップと、
前記内側部材と前記外側部材との間に配置されたベアリングを提供するステップであって、前記ベアリングは、平坦な部分、第1の凸状の軸線方向端部、及び第2の凸状の軸線方向端部を備えるベアリング側壁を備える、ステップと、
前記ベアリング側壁においてフィルムの形成を誘発するために、前記ベアリングに対して前記内側部材又は前記外側部材の少なくとも1つを軸線方向に並進させるステップと
を含む方法。
【請求項3】
前記第1の凸状の軸線方向端部又は前記第2の凸状の軸線方向端部の少なくとも1つは、連続的に凸状である、請求項1又は2に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項4】
前記第1の凸状の軸線方向端部又は前記第2の凸状の軸線方向端部の少なくとも1つは、少なくとも0.05mmの曲率半径を有する、請求項1又は2に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項5】
前記ベアリングは、基板を備える、請求項1又は2に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項6】
前記基板は、プラスチック、金属、又はセラミックを含む、請求項5に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項7】
前記基板は、鋼又はステンレス鋼を含む、請求項5に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項8】
前記ベアリングは、前記基板上にある低摩擦層を更に含む、請求項5に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項9】
前記低摩擦層は、ポリケトン、ポリアラミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、熱可塑性フルオロポリマー、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項8に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項10】
前記低摩擦層は、フルオロポリマーを含む、請求項8に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項11】
前記ベアリングは、前記基板と前記低摩擦層との間に接着剤層を更に備える、請求項5に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項12】
前記接着剤層は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミドコポリマー、エチレン酢酸ビニル、ETFEコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項11に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項13】
前記フィルムは、水、グリース、又は油の少なくとも1つを含む潤滑剤を含む、請求項1又は2に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項14】
ベアリングは、軸線方向ギャップを備える、請求項1又は2に記載のアセンブリ又は方法。
【請求項15】
前記フィルムの前記形成は、前記ベアリング側壁の前記平坦な部分において誘発される、請求項1又は2に記載のアセンブリ又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベアリングアセンブリ、並びにそれを作製及び使用する方法に関する。非限定的な例として、アセンブリは、車両用のサスペンションアセンブリのベアリングに使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
重ね合わされた基板及び低摩擦層を含む複合材料で作製されたベアリングが一般的に既知である。このようなベアリングは、例えば、サスペンションアセンブリで使用されることができる。サスペンションアセンブリは、車両構成要素を別の車両構成要素に対して接続し、構成要素の動きを制御するための緩衝又は減衰を提供するために使用されてもよい。サスペンションアセンブリは、自転車、オートバイ、ATV、乗用車、トラック、SUV、航空機、船舶のような乗り物、又は他の車両で使用されることができる。典型的には、サスペンションシステムは、1つの構成要素が、内側構成要素(シャフト等)間のような別の構成要素を通過して、2つの構成要素間にベアリングを有する外側構成要素(ハウジング等)に移動することを可能にしてもよい。しかし、現在のベアリング設計は、車両サスペンションの構成要素内の振動、スティック-スリップ、及び摩擦のような望ましくない特性に寄与する場合があり、それは、サスペンションの弛み、不適切なバンプ吸収、又はサスペンションアセンブリの構成要素内のミスアライメントのような望ましくないサスペンション特性につながる場合がある。従って、サスペンションアセンブリに特に適した改良されたベアリングが必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
添付の図面を参照することによって、本開示はより良く理解され得、その多くの特徴及び利点が、当業者に明らかにされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】一実施形態による、ベアリングを製造する方法を含む。
図2A】一実施形態による、ベアリングの断面図の例示を含む。
図2B】一実施形態による、ベアリングの断面図の例示を含む。
図3】多くの実施形態による、ベアリングの例示を含む。
図4】多くの実施形態による、ベアリングの例示を含む。
図5A】多くの実施形態による、ベアリングの断面図の例示を含む。
図5B】多くの実施形態による、ベアリングの断面図の例示である。
図6】多くの実施形態による、アセンブリ内のベアリングの断面図の例示を含む。
図7】多くの実施形態による、アセンブリ内のベアリングの断面図の例示を含む。
図8】多くの実施形態による、アセンブリ内のベアリングの断面図の例示を含む。
図9】多くの実施形態による、既存の先行技術のベアリングと比較したベアリングの軸線方向における時間対動的摩擦力のグラフの例示を含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
当業者は、図面の要素が単純化及び明確化のために例示され、必ずしも縮尺通りに描写されていないことを理解する。例えば、図面の幾つかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を向上させるのに役立つように、他の要素に対して誇張されている場合がある。異なる図面における同じ参照記号の使用は、類似又は同一の項目を示す。
【0006】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を支援するために提供される。以下の議論は、教示の特定の実装及び実施形態に焦点を当てる。この焦点は、教示の説明を支援するために提供され、教示の範囲又は適用性についての制限として解釈されるべきではない。しかし、本願に開示されるような教示に基づいて、他の実施形態が使用されることができる。
【0007】
「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する」(having)」という用語、又はそれらの他の変形は、非排他的な包含に広がることが意図される。例えば、特徴のリストを含む方法、物品、又は装置は、必ずしもこれらの特徴にのみ限定されず、明示的に列挙されず、又はこのような方法、物品、若しくは装置に固有でない他の特徴を含んでもよい。更に、特に反対のことが明記されていない限り、「又は」は、排他的論理和ではなく、包括的論理和を指す。例えば、条件A又Bは、Aが真である(或いは存在する)及びBが偽である(或いは存在しない)、Aが偽である(或いは存在しない)及びBが真である(或いは存在する)、並びにA及びBの両方が真である(或いは存在する)の何れかによって満たされる。
【0008】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書で説明される要素及び構成要素を説明するために使用される。これは、単に便宜上、そして本発明の範囲の一般的な感覚を与えるために行われる。この説明は、別段の意味が明確でない限り、1つ、少なくとも1つ、若しくは複数形も含む単数形、又はその逆を含むように読解されるべきである。例えば、本明細書で単一の実施形態が説明される場合に、単一の実施形態の代わりに複数の実施形態が使用されてもよい。同様に、本明細書で複数の実施形態が説明される場合に、単一の実施形態が複数の実施形態に置き換えられてもよい。
【0009】
別段に画定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び例は、単なる例示であり、限定することが意図されない。本明細書で説明されない限り、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来通りであり、ベアリング及びベアリングアセンブリ技術内の教科書及び他の情報源で見出されてもよい。
【0010】
本明細書で説明される実施形態は、概して、ベアリング、及びアセンブリ内のベアリングを作り出し、使用する方法を対象とする。特定の実施形態においては、ベアリングは、ベアリングの軸線方向長さLを画定するベアリング側壁を有してもよく、側壁は、平坦な部分、第1の凸状の軸線方向端部、及び第2の凸状の軸線方向端部を含む。
【0011】
例示の目的のために、図1は、ベアリングを形成するための形成プロセス10を示す図を含む。形成プロセス10は、ベース材料を提供する第1のステップ12、複合材料を形成するためにベース材料を低摩擦コーティングで被覆する第2のステップ14、及び複合材料をベアリングに形成する第3のステップ16を含んでもよい。
【0012】
第1のステップ12を参照すると、ベース材料は、基板であってもよい。一実施形態においては、基板は、少なくとも部分的に金属を含むことができる。特定の実施形態によれば、金属は、鉄、銅、チタン、スズ、アルミニウム、それらの合金を含んでもよく、又は別のタイプの金属であってもよい。より具体的には、基板は、ステンレス鋼、炭素鋼、又はばね鋼のような鋼を少なくとも部分的に含むことができる。例えば、基板は、301ステンレス鋼を少なくとも部分的に含むことができる。301ステンレス鋼は、1/4硬度、1/2硬度、3/4硬度、又は完全硬度にアニールされてもよい。一実施形態においては、基板は、織りメッシュ又はエキスパンドメタルグリッドを含んでもよい。
【0013】
図2Aは、形成プロセス10の第1のステップ12及び第2のステップ14に従って成形さてもよい複合材料1000の例示を含む。例示の目的のために、図2Aは、第2のステップ14の後の複合材料1000の層ごとの構成を示す。多くの実施形態においては、複合材料1000は、基板1119(すなわち、上記で述べられ、第1のステップ12で提供されるベース材料)、及び低摩擦層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布される低摩擦コーティング)を含んでもよい。低摩擦層1104は、基板1119の少なくとも一部に結合されることができる。特定の実施形態においては、低摩擦層1104は、別の構成要素との低摩擦界面を形成するように、基板1119の表面に結合されることができる。概して円筒形の構成要素のような環状構成要素の場合には、低摩擦層1104は、別の構成要素との低摩擦界面を形成するように、基板1119の径方向内面又は外面に結合されることができる。基板1119は、約1ミクロン~約3000ミクロンの間、例えば、約50ミクロン~約1500ミクロンの間、例えば、約100ミクロン~約1000ミクロンの間、例えば、約200ミクロン~800ミクロンの間の厚さTを有することができる。多くの実施形態においては、基板1119は、約100~800ミクロンの間の厚さTを有してもよい。多くの実施形態においては、基板1119は、約200~550ミクロンの間の厚さTを有してもよい。基板1119の厚さTが、上記で述べられた最小値及び最大値の何れかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されるであろう。基板1119の厚さは、均一であってもよく、すなわち、基板1119の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さに等しくすることができる。基板1119の厚さは、不均一であってもよく、すなわち、基板1119の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さと異なることができる。多くの実施形態においては、基板1119は、少なくとも部分的に複合材料1000の長さに沿って延伸してもよい。
【0014】
多くの実施形態においては、低摩擦層1104は、低摩擦材料を含むことができる。低摩擦材料は、例えば、ポリケトン、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリファイレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、ポリエステル、液晶ポリマー(LCP)、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせのようなポリマーを含んでもよい。特定の例においては、低摩擦層1104は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトン、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせのようなポリケトンを含んでもよい。追加の例においては、低摩擦層1104は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのターポリマー(THV)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、又はエチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)のようなフルオロポリマーを含んでもよい。低摩擦層1104は、リチウム石鹸、グラファイト、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、窒化炭素、炭化タングステン、若しくはダイヤモンド様炭素、金属(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、スズ、プラチナ、チタン、タングステン、鉄、青銅、鋼、ばね鋼、ステンレス鋼)、合金(列挙された金属を含む)、陽極酸化された金属(列挙された金属を含む)、又はそれらの任意の組み合わせを含む固体ベースの材料を更に含んでもよい。
【0015】
多くの実施形態においては、低摩擦層1104は、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン、PEEK、芳香族ポリエステル、炭素粒子、青銅、フルオロポリマー、熱可塑性充填剤、酸化アルミニウム、ポリアミドイミド(PAI)、PPS、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、LCP、芳香族ポリエステル、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、グラフェン、膨張グラファイト、窒化ホウ素、タルク、フッ化カルシウム、BaSO、酸化鉄、又はそれらの任意の組み合わせを含む充填剤を更に含んでもよい。加えて、充填剤は、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、フッ化カルシウム、窒化ホウ素、マイカ、ウォラストナイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、カーボンブラック、顔料、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。充填剤は、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ、又はそれらの任意の組み合わせの形態にすることができる。
【0016】
一実施形態においては、低摩擦層1104は、約1ミクロン~約500ミクロンの間、例えば、約10ミクロン~約450ミクロンの間、例えば、約50ミクロン~約350ミクロンの間、例えば、約100ミクロン~約300ミクロンの間の厚さTFLを有することができる。多くの実施形態においては、低摩擦層1104は、約50~330ミクロンの間の厚さTFLを有してもよい。低摩擦層1104の厚さTFLが、上記で述べられた最小値及び最大値の何れかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されるであろう。低摩擦層1104の厚さは、均一であってもよく、すなわち、低摩擦層1104の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さに等しくすることができる。低摩擦層1104の厚さは、不均一であってもよく、すなわち、低摩擦層1104の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さと異なることができる。低摩擦層1104は、示される基板1119の1つの主表面の上にあってもよく、又は両方の主表面の上にあってもよい。基板1119は、低摩擦層1104によって少なくとも部分的に被包されてもよい。すなわち、低摩擦層1104は、基板1119の少なくとも一部を覆ってもよい。基板1119の軸線方向表面は、低摩擦層1104から露出されてもよく、露出されなくてもよい。
【0017】
一実施形態においては、複合材料1001はまた、低摩擦層1104を基板1119(すなわち、第1のステップ12で提供されるベース材料)に結合してもよい少なくとも1つの接着剤層1121、及び低摩擦層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布される低摩擦コーティング)を含んでもよい。別の代替実施形態においては、固体構成要素、織りメッシュ、又はエキスパンドメタルグリッドとしての基板1119は、低摩擦層1104と基板1119との間に含まれる少なくとも1つの接着剤層1121の間に埋め込まれてもよい。
【0018】
接着剤層1121は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミドコポリマー、エチレンビニルアセテート、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ETFEコポリマー、パーフルオロアルコキシ(PFA)、又はそれらの任意の組み合わせ(これらに限定されない)を含むベアリング技術に共通する任意の既知の接着剤材料を含んでもよい。加えて、接着剤は、-C=O、-C-O-R、-COH、-COOH、-COOR、-CF=CF-OR、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの官能基を含むことができ、Rは、1~20の間の炭素原子を含む環状又は線状有機基である。加えて、接着剤は、コポリマーを含むことができる。一実施形態においては、ホットメルト接着剤は、450℃以下、例えば、320℃以下の溶融温度を有することができる。別の実施形態においては、接着剤は、300℃より上、例えば、220℃より上で分解してもよい。更なる実施形態においては、ホットメルト接着剤の溶融温度は、250℃より高く、又は更には300℃より高くすることができる。接着剤層1121は、約1ミクロン~約100ミクロンの間、例えば、約10ミクロン~約50ミクロンの間の厚さTALを有することができる。多くの実施形態においては、接着剤層1121は、約20~50ミクロンの間の厚さTALを有してもよい。接着剤層1121の厚さTALは、上記で述べられた最小値及び最大値の何れかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されるであろう。接着剤層1121の厚さは、均一であってもよく、すなわち、接着剤層1121の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さに等しくすることができる。接着剤層1121の厚さは、不均一であってもよく、すなわち、接着層1121の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さと異なることができる。
【0019】
図2Bは、別の実施形態の例示を含む。この特定の実施形態によれば、複合材料1003は、この複合材料1003がまた、少なくとも1つの腐食保護層1704、1705、及び1708、並びに基板1119(すなわち、第1のステップ12で提供されるベース材料)及び低摩擦層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布される低摩擦コーティング)に結合してもよい、接着促進剤層1127及びエポキシ層1129を含むことができる耐食性層1125を含んでもよいことを除いて、図2Aの複合材料1000と同様であってもよい。
【0020】
基板1119は、処理前に基板1119の腐食を防止するために、腐食保護層1704及び1705で被覆されてもよい。加えて、腐食保護層1708が、層1704の上に塗布されることができる。層1704、1705、及び1708の各々は、約1~50ミクロン、例えば、約7~15ミクロンの厚さを有することができる。層1704及び1705は、亜鉛、鉄、マンガン、若しくはそれらの任意の組み合わせのリン酸塩、又はナノセラミック層を含むことができる。更に、層1704及び1705は、機能性シラン、ナノスケールのシランベースのプライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶剤/水ベースのシランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械/ガルバニック)、若しくは亜鉛-ニッケルコーティング、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。層1708は、機能性シラン、ナノスケールのシランベースのプライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水ベースのシランプライマーを含むことができる。腐食保護層1704、1706、及び1708は、処理中に除去又は保持されることができる。
【0021】
上記のように、複合材料1003は、耐食性層1125を更に含んでもよい。耐食性層1125は、約1~50ミクロン、例えば、約5~20ミクロン、及び例えば、約7~15ミクロンの厚さを有することができる。耐食性層1125は、接着促進剤層1127及びエポキシ層1129を含むことができる。接着促進剤層1127は、亜鉛、鉄、マンガン、スズ、若しくはそれらの任意の組み合わせのリン酸塩、又はナノセラミック層を含むことができる。接着促進剤層1127は、機能性シラン、ナノスケールのシランベースの層、加水分解シラン、有機シラン接着促進剤、溶剤/水ベースのシランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械/ガルバニック)、若しくは亜鉛-ニッケルコーティング、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。エポキシ層1129は、熱硬化エポキシ、UV硬化エポキシ、IR硬化エポキシ、電子ビーム硬化エポキシ、放射線硬化エポキシ、又は空気硬化エポキシにすることができる。更に、エポキシ層1129は、ポリグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、オキシラン、オキサシクロプロパン、エチレンオキシド、1,2-エポキシプロパン、2-メチルオキシラン、9,10-エポキシ-9,10-ジヒドロアントラセン、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。エポキシ層1129は、硬化剤を更に含むことができる。硬化剤は、アミン、酸無水物、フェノールノボラックポリ[N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド](PHPMI)のようなフェノールノボラック硬化剤、レゾールフェノールホルムアルデヒド、脂肪アミン化合物、無水ポリカーボネート、ポリアクリレート、イソシアネート、被包されたポリイソシアネート、三フッ化ホウ素アミン複合体、クロムベースの硬化剤、ポリアミド、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。概して、酸無水物は、化学式R-C=O-O-C=O-R’に従うことができ、Rは、上記で説明されるようにCにすることができる。アミンは、モノエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、等のような脂肪族アミン、脂環式アミン、環状脂肪族アミンのような芳香族アミン、シクロ脂肪族アミン、アミドアミン、ポリアミド、ジシアンジアミド、イミダゾール誘導体、等、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。概して、アミンは、第1級アミン、第2級アミン、又は化学式RNに従う第3級アミンにすることができ、Rは、上記で説明されるようにCにすることができる。一実施形態においては、エポキシ層1129は、導電性を改善するために、炭素充填剤、炭素繊維、炭素粒子、グラファイト、青銅、アルミニウム、及び他の金属、並びにそれらの合金のような金属充填剤、金属酸化物充填剤、金属被覆炭素充填剤、金属被覆ポリマー充填剤、又はそれらの任意の組み合わせのような充填剤を含むことができる。導電性充填剤は、電流がエポキシコーティングを通過することを許容することができ、導電性充填剤を有さない被覆ベアリングと比較して、被覆ベアリングの導電率を増加させることができる。
【0022】
一実施形態においては、複合材料1000、1003は、0.01mm~4mmの範囲、例えば、0.15mm~2.5mmの範囲、又は更には、0.2mm~1mmの範囲の厚さTSWを有することができる。複合材料1000、1003の厚さTSWが、上記で述べられた最小値及び最大値の何れかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されるであろう。複合材料1000、1003の厚さTSWは、均一であってもよく、すなわち、複合材料1000、1003の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さに等しくすることができる。複合材料1000、1003の厚さTSWは、不均一であってもよく、すなわち、複合材料1000、1003の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さと異なることができる。
【0023】
一実施形態においては、図1のステップ14の下で、上記で説明されたような複合材料1000、1003の層の何れも、それぞれ、互いに接合するために、ロール状に配置され、それから剥がされることができる。接合は、圧力下で、任意選択で高温において(例えば、熱間プレス)、接着剤で行われてもよい。上記で説明されたような複合材料1000の層の何れも、それらが少なくとも部分的に互いに重なり合うように共に積層されてもよい。
【0024】
図3は、概して100で指定されている、上記で説明されたような材料及び形成方法を使用している、完成したベアリングの実施形態を例示する断面図を示す。多くの特定の実施形態においては、ベアリング100は、プレーンベアリングであってもよい。多くの実施形態においては、ベアリング100は、滑りベアリングであってもよい。ベアリング100は、中心軸線500に対して軸線方向に延伸してもよい。中心軸線500は、ベアリング100の長さに沿って長手方向に延伸するように配向される。ベアリング100は、環状形状を形成するベアリング側壁102を含むことができる。ベアリング100は、第1の軸線方向端部又は縁部103及び第2の軸線方向端部又は縁部105を含んでもよい。ベアリングは、内側径方向端部104及び外側径方向端部又は縁部106を有してもよい。ベアリング側壁は、(長手方向断面で見ると)第1の軸線方向端部又は縁部103と第2の軸線方向端部又は縁部105との間に、平坦な部分110、第1の凸状の軸線方向端部120、及び第2の凸状の軸線方向端部130を含んでもよい。ベアリング100の第1の凸状の軸線方向端部120及び第2の凸状の軸線方向端部130は、ベアリング100の平坦な部分110において接触してもよい。本明細書で使用されるような平坦な部分100は、中心軸線500に平行に取られた軸線方向断面の状況においてである。三次元的に、平坦な部分110は、円筒形を形成する。ベアリング100の平坦な部分110は、中心軸線500に実質的に平行であってもよい。
【0025】
図4は、ベアリング100の実施形態の上面図を示す。図4に示されるように、ベアリング100の両端は、ベアリング側壁102に沿って軸線方向に延伸する軸線方向ギャップ170において接触してもよい。ベアリング100の中心軸線500に対して非線形及び/又は斜めに延伸する軸線方向ギャップ170がまた可能である。多くの特定の実施形態においては、軸線方向ギャップ170は、ベアリング100を形成するために、溶接され、又はさもなければ他の手段によって結合されてもよい。幾つかの実施形態においては、軸線方向ギャップ170は、ベアリング100の組み立てを容易にするために、結合されないままであってもよい。
【0026】
図3及び図4を参照すると、ベアリング100は、孔50を含んでもよい。孔50は、ベアリング100の軸線方向長さを下って延伸し、アセンブリの内部構成要素を収容するように適合されてもよい。孔50は、中心軸線500に平行であってもよい。孔50は、平面の複合材料1000、1003を概して円筒形に曲げることによって形成されてもよい。幾何学的な形成が、様々な手段によってベアリング側壁102に形成されてもよい。任意選択で、ベアリング100は、径方向フランジ(示されていない)を含んでもよい。
【0027】
多くの実施形態においては、図3に示されるように、ベアリング100は、厚さTを有することができ、Tは、0.01mm~3.5mmの範囲、例えば、0.15mm~2.5mmの範囲、又は更には0.2mm~1mmの範囲にすることができる。ベアリング100が、上記で述べられた最小値及び最大値の何れかの間の範囲内であってもよい厚さTを有することができることが理解されるであろう。ベアリングの厚さTは、複合材料1000、1001、1002の厚さTswと同じであってもよい。ベアリング100の厚さTは、均一であってもよく、すなわち、第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さに等しくすることができる。ベアリング100の厚さTは、不均一であってもよく、すなわち、第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さと異なることができる。ベアリング100の厚さTは、複合材料1000、1003の厚さTswと実質的に同じであってもよい。
【0028】
多くの実施形態においては、図3に示されるように、ベアリング100は、第1の軸線方向端部又は縁部103から第2の軸線方向端部又は縁部105までの全長Lを有することができ、Lは、5mm~100mmの範囲、例えば、10mm~50mmの範囲、又は更には15mm~30mmの範囲にすることができる。多くの実施形態においては、ベアリング100は、約5~100mmの間の全長Lを有することができる。ベアリング100が、上記で述べられた最小値及び最大値の何れかの間の任意の値であってもよい全長Lを有することができることが更に理解されるであろう。ベアリング側壁102は、ベアリング100の全長Lを画定してもよい。
【0029】
多くの実施形態においては、図3及び図4に示されるように、ベアリング100は、中心軸線500から外側径方向端部又は縁部106までの全外半径ORを有してもよく、ORは、1.5mm~100mmの範囲、例えば、3mm~50mmの範囲、又は更には4mm~20mmの範囲にすることができる。全外半径ORは、ベアリング100の円周に沿って変化してもよい。多くの実施形態においては、ベアリング100は、約1.5~50mmの間の全外半径ORを有することができる。ベアリング100が、上記で述べられた最小値及び最大値の何れかの間の任意の値であってもよい全外半径ORを有することができることが理解されるであろう。
【0030】
多くの実施形態においては、図3及び図4に示されるように、ベアリング100は、中心軸線500から内側径方向端部又は縁部104までの全内半径IRを有してもよく、IRは、1mm~100mmの範囲、例えば、2.5mm~50mmの範囲、又は更には3.5mm~20mmの範囲にすることができる。内半径IRは、ベアリング100の円周に沿って変化してもよい。多くの実施形態においては、ベアリング100は、約1~50mmの間の全内半径IRを有することができる。ベアリング100が、上記で述べられた最小値及び最大値の何れかの間の任意の値であってもよい全内半径IRを有することができることが理解されるであろう。
【0031】
図5A及び図5Bは、多くの異なる実施形態による、完成したベアリング100を例示する断面図を例示する。図5Aは、ベアリング側壁102又はベアリング100の第1の凸状の軸線方向端部120及び第2の凸状の軸線方向端部130が内側部材28に向かって内方に凸状であるベアリング100を例示する。或いは、図5Bは、ベアリング側壁102又はベアリング100の第1の凸状の軸線方向端部120及び第2の凸状の軸線方向端部130が外側部材30に向かって外方に凸状であるベアリング100を例示する。示されるように、第1の凸状の軸線方向端部120は、第1の凸状の軸線方向端部面R1を有してもよい。第1の凸状の軸線方向端部面R1は、軸線方向に外方又は内方に凸状であってもよい。更に、第2の凸状の軸線方向端部130は、第1の凸状の軸線方向端部面R2を有してもよい。第2の凸状の軸線方向端部面R2は、軸線方向に外方又は内方に凸状であってもよい。
【0032】
一実施形態においては、図5A及び図5Bに示されるように、平坦な部分110は、長さL1を含んでもよく、L1は、ベアリング100の軸線方向長さLの少なくとも2.5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも7.5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも10%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも15%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも20%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも25%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも30%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも40%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも50%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも60%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも70%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも80%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも90%、又は例えば、軸線方向長さLの少なくとも95%である。
【0033】
一実施形態においては、図5A及び図5Bに示されるように、第1の凸状の軸線方向端部120は、長さL2を含んでもよく、L2は、ベアリング100の軸線方向長さLの少なくとも2.5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも7.5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも10%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも15%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも20%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも25%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも30%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも40%、又は例えば、軸線方向長さLの少なくとも50%である。
【0034】
一実施形態においては、図5A及び図5Bに示されるように、第2の凸状の軸線方向端部130は、長さL3を含んでもよく、L3は、ベアリング100の軸線方向長さLの少なくとも2.5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも7.5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも10%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも15%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも20%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも25%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも30%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも40%、又は例えば、軸線方向長さLの少なくとも50%である。
【0035】
図6は、多くの実施形態による、アセンブリ1000内の完成したベアリング100を例示する側面図を示す。アセンブリ1000は、内側部材28及び外側部材30を更に含んでもよい。内側部材又は外側部材30の少なくとも1つは、シャフト、ロッド、又はチューブを含んでもよい。外側部材30は、アセンブリ内にハウジングを含んでもよい。図6に示されるように、ベアリング100は、内側部材28と外側部材30との間に配置される。
【0036】
一実施形態においては、内側部材28は、滑りアセンブリ技術で一般的に使用される任意の材料を含むことができる。内部構成要素28は、軸線方向及び長手方向の力に耐えるのに十分な剛性を有する任意の適切な材料を含むことができる。特定の実施形態においては、内側部材28は、ポリマーを含むことができる。別の実施形態においては、内側部材28は、金属又は合金(アルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、スズ、チタン、タングステン、鉄、青銅、鋼、ばね鋼、ステンレス鋼(これらに限定されない)のような)を含むことができる。内側部材28は、溶接、接着剤、留め具、ねじ切り、又は任意の他の適切な固定手段によって互いに接合された単一の部品、2つの部品、又は幾つかの部品から形成されることができる。
【0037】
一実施形態においては、外側部材30は、滑りアセンブリ技術で一般的に使用される任意の材料を含むことができる。外側部材30は、軸線方向及び長手方向の力に耐えるのに十分な剛性を有する任意の適切な材料を含むことができる。特定の実施形態においては、外側部材30は、ポリマーを含むことができる。別の実施形態においては、外側部材30は、金属又は合金(アルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、スズ、チタン、タングステン、鉄、青銅、鋼、ばね鋼、ステンレス鋼(これらに限定されない)のような)を含むことができる。外側部材30は、溶接、接着剤、留め具、ねじ切り、又は任意の他の適切な固定手段によって互いに接合された単一の部品、2つの部品、又は幾つかの部品から形成されることができる。
【0038】
一実施形態においては、ベアリング100は、内側部材28及び外側部材30のうちの少なくとも1つと一致して並進してもよい。例えば、ベアリング100は、外側部材30に位置的に固定されてもよく、内側部材28は、外側部材30及びベアリング100に対して長手方向に並進してもよい。或いは、ベアリング100は、内側部材28に位置的に固定されてもよく、外側部材30は、内側部材28及びベアリング100に対して長手方向に並進してもよい。
【0039】
一実施形態においては、内側部材28又は外側部材30の少なくとも1つは、ベアリング100に対して、ベアリング100の軸線方向長さLの少なくとも2.5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも7.5%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも10%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも15%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも20%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも25%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも30%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも40%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも50%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも60%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも70%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも80%、例えば、軸線方向長さLの少なくとも90%、又は例えば、軸線方向長さLの少なくとも100%、軸線方向に並進するように適合されてもよい。多くの実施形態においては、内側部材28又は外側部材30の少なくとも1つは、ベアリング100に対して、少なくとも0.01mm、例えば、少なくとも0.05mm、少なくとも0.1mm、少なくとも0.15mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.25mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.5mm、又は少なくとも1mm、軸線方向に並進するように適合されてもよい。多くの実施形態においては、内側部材28又は外側部材30の少なくとも1つは、ベアリング100に対して、500mm以下、例えば、400mm以下、300mm以下、200mm以下、150mm以下、100mm以下、50mm以下、25mm以下、又は10mm、軸線方向に並進するように適合されてもよい。
【0040】
図7は、多くの実施形態による、アセンブリ1000内の完成したベアリング100の第1の凸状の軸線方向端部120を例示する拡大図を示す。多くの実施形態においては、ベアリング100の第1の凸状の軸線方向端部120又は第2の凸状の軸線方向端部130の少なくとも1つは、連続的に凸状であってもよい。本明細書で使用されるように、「連続的に凸状」は、ベアリング100の第1の軸線方向端部103又は第2の軸線方向端部105の何れかから平坦な部分110に向かってそれぞれ漸近的に接する勾配で連続的に増加することとして画定されてもよい。ベアリング100の第1の凸状の軸線方向端部120又は第2の凸状の軸線方向端部130の少なくとも1つは、少なくとも0.05mm、例えば、少なくとも0.1mm、少なくとも0.15mm、少なくとも0.25mm、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも5mm、少なくとも15mm、少なくとも25mm、少なくとも50mm、少なくとも100mm、少なくとも250mm、少なくとも500mm、又は少なくとも100mmの曲率半径を有してもよい。多くの実施形態においては、ベアリング側壁102又はベアリング100の第1の凸状の軸線方向端部120又は第2の凸状の軸線方向端部130の少なくとも1つは、面取り、旋削、リーマ加工、鍛造、押し出し、成形、焼結、圧延、又は鋳造の少なくとも1つによって形成されてもよい。
【0041】
少なくとも1つの実施形態においては、アセンブリ1000は、その構成要素の何れかに潤滑剤の形態のフィルム55を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態においては、潤滑剤は、リチウム石鹸、二硫化リチウム、グラファイト、鉱物油若しくは植物油、シリコーングリース、フルオロエーテルベースのグリース、アピエゾン、食品グレードのグリース、石油化学グリースの少なくとも1つを含むグリースを含んでもよく、又は異なるタイプであってもよい。少なくとも1つの実施形態においては、潤滑剤は、グループI~グループIII+油、パラフィン油、ナフテン油、芳香族油、生体潤滑剤、ヒマシ油、キャノーラ油、パーム油、ヒマワリ種子油、菜種油、トール油、ラノリン、合成油、ポリアルファ-オレフィン、合成エステル、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、アルキル化ナフタレン、シリケートエステル、イオン流体、多重アルキル化シクロペンタン、石油化学ベースの油の少なくとも1つを含む油を含んでもよく、又は異なるタイプであってもよい。少なくとも1つの実施形態においては、潤滑剤は、リチウム石鹸、グラファイト、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、金属、金属合金の少なくとも1つを含む固体ベースの潤滑剤を含んでもよく、又は異なるタイプであってもよい。
【0042】
多くの実施形態においては、ベアリング100に対する内側部材28又は外側部材30の少なくとも1つの軸線方向並進は、内側部材28又は外側部材30の少なくとも1つの軸線方向並進中にベアリング側壁102においてフィルム55の形成を誘発してもよい。これは、ベアリング100の第1の凸状の軸線方向端部120又は第2の凸状の軸線方向端部130の少なくとも1つがフィルム55の形成を誘発することに起因してもよい。多くの実施形態においては、ベアリング100の第1の凸状の軸線方向端部120又は第2の凸状の軸線方向端部130の少なくとも1つは、ベアリング100のベアリング側壁102の平坦な部分110においてフィルム55の形成を誘発してもよい。流体フィルム55の誘発は、構成要素間の移動中に、内側部材28又は外側部材30の少なくとも1つの軸線方向並進中に起こってもよい。流体フィルム55の誘発は、構成要素間の振動的又は周期的な移動中に、内側部材28又は外側部材30の少なくとも1つの軸線方向並進中に起こってもよい。流体フィルム55の誘発は、内側部材28又は外側部材30の少なくとも1つの軸線方向並進中に、潤滑剤が、アセンブリ1000の軸線方向に近接する構成要素から、ベアリング100の第1の凸状の軸線機方向端部120及び第2の凸状の軸線方向端部130のうちの少なくとも1つに近接して内方に引っ張られてもよいときに起こってもよく、フィルム55が、ベアリングの平坦な部分110に伝播する。内側部材28又は外側部材30がベアリング100に対して並進するときに、潤滑剤55は、第1の凸状の軸線方向端部120又は第2の凸状の軸線方向端部130の何れかに沿ってベアリング100の平坦な部分110に引き込まれてもよい。図5A及び図5Bを参照すると、粘性楔が、平坦な部分110が第1の凸状の軸線方向端部120又は第2の凸状の軸線方向端部130の何れかと接触する点の近位に形成してもよい。粘性楔は、流体フィルム55がベアリング面R1、R2と並進する内側構成要素28又は外側構成要素30との間に展開することを可能にする。第1の凸状の軸線方向端部120又は第2の軸線方向端部130の何れかは、平坦な部分110が第1の凸状の軸線方向端部120又は第2の凸状の軸線方向端部130の何れかと接触する点において平坦な部分110に接してもよい。
【0043】
図8は、車両用のサスペンションアセンブリの形態のアセンブリ1000を例示する。この非限定的な実施形態においては、アセンブリ1000は、オートバイ又は自転車のような二輪車用の例示的なフロントフォークショックアブソーバーサスペンションアセンブリである。アセンブリ1000においては、ステアラー802は、2つの内側支柱806、808(又は本明細書で説明されるような内側部材28)を収容することができる頭頂部804と対にされてもよい。内側支柱806、808は、一対の上部キャップ810、812を介して頭頂部804と対をなしてもよい。2つのスライダー816、818(又は本明細書で説明されるような外側部材30)は、頭部チューブ804を通って内側支柱806、808の上に配置されることができる。スライダー816、818は、アーチ820によって接続されてもよい。ベアリング822、824は、アライメントを維持し、内側支柱806、808とスライダー816、818との間の接触を防止するために、内側支柱806、808とスライダー816、818との間に配置されることができる。ベアリング800及び824は、先に説明されたように、ベアリング100と実質的に同じにすることができる。任意選択で、ブーツ830が、汚れ及び他の粒子状物質によるベアリング100の滑り面の汚染を防止し、並びに/又は減衰効果を提供するのを助けるために、内側支柱806、808の1つの上に配置されてもよい。或いは、ベアリング100は、別のサスペンション構成要素用のアセンブリ1000で使用されてもよい。
【0044】
図9は、多くの実施形態による、既存の先行技術のベアリングと比較したベアリングの軸線方向における時間対動的摩擦力のグラフを例示する。ベアリングP1は、既知の先行技術のベアリングである。ベアリングP2は、既知の従来技術のベアリングである。ベアリングTR1は、本明細書で示される実施形態によるベアリング100である。示されるように、本明細書で示されるベアリング100の実施形態は、ベアリング100の凸状の軸線方向端部に起因して当技術分野で既知のベアリングと比較した場合に、改善された(低減された)動的摩擦性能を有する。
【0045】
本明細書で開示される様々な実施形態が、従来の解決策に対して重要な利点を有することができる。本明細書の実施形態によれば、改善された動的摩擦性能及びスティック-スリップ特性を有するベアリングが提供される。更に、様々なベアリングの実施形態が、アセンブリの他の構成要素間の改善された安定化を示す。更に、本明細書の実施形態によれば、様々なベアリングが、簡単な設置を提供し、既存のアセンブリを組み込んでもよい。更に、ベアリングにおける低摩擦層の使用が、並進中の内側構成要素と外側構成要素との間の摩擦を大幅に低減してもよい。様々な実施形態のベアリングが、嵌合構成要素間で使用される場合には、改善された滑り力制御を更に提供してもよい。本明細書の様々な実施形態のベアリングが、車両サスペンションの構成要素内の振動、スティック-スリップ、及び摩擦のような望ましくない特性を低減又は排除してもよい。
【0046】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態の一部が以下で説明される。本明細書を読解した後、当業者は、これらの態様及び実施形態が単なる例示であり、本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙されるような実施形態の何れか1つ以上に従ってもよい。
【0047】
実施形態1.アセンブリは、内側部材と、外側部材と、平坦な部分、第1の凸状の軸線方向端部、及び第2の凸状の軸線方向端部を備えるベアリング側壁を備えるベアリングとを備え、内側部材又は外側部材の少なくとも1つは、ベアリングに対して軸線方向に並進するように適合され、第1の凸状の軸線方向端部又は第2の凸状の軸線方向端部の少なくとも1つは、内側部材又は外側部材の少なくとも1つの軸線方向の並進中にベアリング側壁においてフィルムの形成を誘発するように適合されている。
【0048】
実施形態2.方法は、内側部材を提供するステップと、外側部材を提供するステップと、内側部材と外側部材との間に配置されたベアリングを提供するステップであって、ベアリングは、平坦な部分、第1の凸状の軸線方向端部、及び第2の凸状の軸線方向端部を備えるベアリング側壁を備える、ステップと、ベアリング側壁においてフィルムの形成を誘発するために、ベアリングに対して内側部材又は外側部材の少なくとも1つを軸線方向に並進させるステップとを含む。
【0049】
実施形態3.実施形態1又は2のアセンブリ又は方法において、第1の凸状の軸線方向端部又は第2の凸状の軸線方向端部の少なくとも1つは、連続的に凸状である。
【0050】
実施形態4.実施形態1~3の何れかのアセンブリ又は方法において、第1の凸状の軸線方向端部又は第2の凸状の軸線方向端部の少なくとも1つは、少なくとも0.05mmの曲率半径を有する。
【0051】
実施形態5.実施形態1~4の何れかのアセンブリ又は方法において、ベアリングは、基板を備える。
【0052】
実施形態6.実施形態5のアセンブリ又は方法において、基板は、プラスチック、金属、又はセラミックを含む。
【0053】
実施形態7.実施形態5のアセンブリ又は方法において、基板は、鋼又はステンレス鋼を含む。
【0054】
実施形態8.実施形態5のアセンブリ又は方法において、ベアリングは、基板上にある低摩擦層を更に含む。
【0055】
実施形態9.実施形態8のアセンブリ又は方法において、低摩擦層は、ポリケトン、ポリアラミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、熱可塑性フルオロポリマー、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0056】
実施形態10.実施形態8のアセンブリ又は方法において、低摩擦層は、フルオロポリマーを含む。
【0057】
実施形態11.実施形態5~10の何れかのアセンブリ又は方法において、ベアリングは、基板と低摩擦層との間に接着剤層を更に備える。
【0058】
実施形態12.実施形態11のアセンブリ又は方法において、接着剤層は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミドコポリマー、エチレン酢酸ビニル、ETFEコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0059】
実施形態13.実施形態1~12の何れかのアセンブリ又は方法において、フィルムは、水、グリース、又は油の少なくとも1つを含む潤滑剤を含む。
【0060】
実施形態14.実施形態1~13の何れかのアセンブリ又は方法において、アセンブリは、車両用のサスペンションアセンブリである。
【0061】
実施形態15.実施形態1~14の何れかのアセンブリ又は方法において、ベアリングは、軸線方向ギャップを備える。
【0062】
実施形態16.実施形態1~15の何れかのアセンブリ又は方法において、フィルムの形成は、ベアリング側壁の平坦な部分において誘発される。
【0063】
実施形態17.実施形態1~16の何れかのアセンブリ又は方法において、ベアリングの第1の凸状の軸線方向端部又は第2の凸状の軸線方向端部の少なくとも1つは、面取り、旋削、リーマ加工、鍛造、押し出し、成形、焼結、圧延、又は鋳造の少なくとも1つによって形成される。
【0064】
実施形態18.実施形態1~17の何れかのアセンブリ又は方法において、内側部材又は外側部材の少なくとも1つは、自転車アセンブリ内のロッド、シャフト、又はチューブである。
【0065】
実施形態19.実施形態1~18の何れかのアセンブリ又は方法において、長さLは、約5~100mmの間である。
【0066】
実施形態20.実施形態1~19の何れかのアセンブリ又は方法において、ベアリングは、約5~25mmの間の外半径IRを有する。
【0067】
上記で説明された特徴の全てが要求されず、特定の特徴の一部が要求されなくてもよく、説明された特徴に加えて、1つ以上の特徴が提供されてもよいことに留意すべきである。また更に、特徴が説明された順序が、特徴が設置される順序とは限らない。
【0068】
明確にするために、本明細書で別個の実施形態の文脈で説明された特定の特徴がまた、単一の実施形態に組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明された様々な特徴がまた、別個に、又は任意の部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0069】
利点、他の長所、及び課題の解決策が、特定の実施形態に関して上記で説明されているが、任意の利点、長所、及び解決策を生じさせ、又はより顕著にさせてもよい利点、長所、課題の解決策、及び任意の特徴が、請求項の何れか又は全ての重要な特徴、要求される特徴、又は本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0070】
本明細書で説明された実施形態の詳述及び例示は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することが意図される。詳述及び例示は、本明細書で説明された構造又は方法を使用する装置及びシステムの全ての要素及び特徴の網羅的且つ包括的な説明としての機能を果たすことが意図されない。別個の実施形態がまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明された様々な特徴がまた、別個に又は任意の部分的組み合わせで提供されてもよい。更に、範囲に記載された値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。多くの他の実施形態が、本明細書を読解した後にのみ当業者に明らかになってもよい。他の実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、又は任意の変更が行われてもよいように、使用され、本開示から導き出されてもよい。よって、本開示は、限定的ではなく例示的なものと見なされるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】