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特表2022-524845電気刺激を人間又は動物の被検体に印加するための医学療法装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(54)【発明の名称】電気刺激を人間又は動物の被検体に印加するための医学療法装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021555072
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(85)【翻訳文提出日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 US2020021018
(87)【国際公開番号】W WO2020190512
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】16/356,085
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】521412515
【氏名又は名称】エクソニューラル・ネットワーク・エービー
【氏名又は名称原語表記】EXONEURAL NETWORK AB
【住所又は居所原語表記】Svaerdvaegen 11D,18233 Danderyd,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】デルネボ、ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ルンドクビスト、フレデリック
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ13
4C053JJ24
(57)【要約】
患者着用式衣服は、患者の第1の筋肉又は第1の神経に配置された第1の電極及び第2の電極と、第2の筋肉又は第2の神経に配置された第3の電極及び第4の電極とに電気的に接続された第1のサブコントロールユニット又はマスタユニットを有する。衣服は、衣服に取り付けられたセンサを有する。センサは、衣服を着用している患者の位置、電気信号、又は動きを測定する。第1のサブコントロールユニット又はマスタユニットは、位置又は動きに関する情報を受信し、位置、電気信号、又は動きを予め記憶された望ましい位置の間隔、電気信号レベル、又は動きと比較する。位置、電気信号、又は動きが間隔外であるとき、マスタユニットは、第1の筋肉の収縮を引き起こす又は容易にするために、第1のサブコントロールユニットを通して刺激信号を第1の筋肉に送る。位置又は動きが間隔内であるとき、第1のサブコントロールユニットは、刺激信号を送らない。
【選択図】図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を治療するための方法であって、
前記患者によって着用される衣服(100)を提供することと、ここで、前記衣服(100)は、前記患者の第1の筋肉又は第1の神経(502)に配置された第1の電極(134)及び第2の電極(136)と、第2の筋肉又は第2の神経(508)に配置された第3の電極(138)及び第4の電極(140)とに電気的に接続された第1のサブコントロールユニット(122)又はマスタユニット(266)を有し、前記衣服(100)は、前記衣服(100)に取り付けられ、前記第1のサブコントロールユニット(122)又はマスタユニット(266)に電気的に接続されたセンサ(1308,1310,1312)を有し、
前記センサ(1308,1310,1312)が、前記衣服(100)を着用している前記患者の位置、電気信号、又は動きを測定することと、
前記第1のサブコントロールユニット(122)又は前記マスタユニット(266)が、前記位置又は動きに関する情報を受信し、前記位置、電気信号、又は動きを予め記憶された望ましい位置、電気信号レベル、又は動きの間隔と比較することと、
前記位置、電気信号、又は動きが前記間隔(1306)外であるとき、前記マスタユニット(266)が、前記第1の筋肉(502)の収縮を引き起こす又は収縮を容易にするために、前記第1のサブコントロールユニット(122)を通して刺激信号(512)を前記第1の筋肉(502)に送ることと、
前記位置、電気信号、又は動きが前記間隔内であるとき、前記第1のサブコントロールユニット(122)が、刺激信号を送らないことと、を備える方法。
【請求項2】
前記方法は、前記第1のサブコントロールユニット(122)を前記マスタユニット(266)に電気的に接続するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記センサが前記第1の筋肉(502)に関連する身体部分(1300)の加速度を測定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記センサが前記第1の筋肉(502)に関連する身体部分(1300)の角度を測定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記マスタユニット(266)が前記患者の身体部分(1300)を前記位置から予め記憶された望ましい位置の前記間隔内になるように移動させるために刺激信号を一組の筋肉に送るステップを更に備える、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記センサが前記患者の身体姿勢を測定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記センサが前記第1の筋肉又は第1の神経(502)が前記刺激信号(512)によって刺激された後の新しい位置を測定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記マスタユニット(266)が前記第1の筋肉(502)中の血流の増加を引き起こすために後続の刺激信号を送るステップを更に備える、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記センサが前記患者の呼吸を測定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、センサが前記患者の身体部分(1300)の動きをリアルタイムで測定及び分析するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学療法装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般に筋弛緩に関し、より具体的には、少なくとも筋刺激を使用することによる、中枢神経系(CNS)に対する損傷を有する患者の痙性筋のための筋弛緩に関する。
【0003】
中枢神経系(CNS)に対する損傷は、治療及び治癒が困難である。中枢神経系(CNS)への損傷によって引き起こされる病的に増加した筋緊張である痙性不全麻痺は、姿勢及び可動性の喪失の防止に対する重大な障害である。
【0004】
今日では、痙縮などのCNS損傷症状の逆転のための治療的代替物は、非常に限られている。治療法は、症状を軽減するのではなく、機能の更なる喪失を防止するように構築される。真に機能を回復させ、長期的には痙性筋の筋弛緩を通して損傷を逆転させる治療は見出されていない。
【0005】
痙攣自体に加えて、筋骨格痛が一般的な関連愁訴である。筋骨格系の機能障害に起因する疼痛は、ほとんどの場合、筋不均衡による筋痙攣によって引き起こされる。疼痛が適切に治療されない場合、患者は、治癒が困難な状態である慢性疼痛症候群を発症するリスクがある。
【0006】
人体の筋肉に影響を及ぼすために利用可能ないくつかの技術が存在する。神経筋電気刺激又は筋電図刺激としても知られる電気筋刺激(EMS)は、筋肉に電流を供給して収縮を引き起こすことにより、特定のエリアの筋量を増加させるための一般的に知られた方法であり、それにより、治療された筋肉の量が徐々に増加する。
【0007】
経皮的電気神経刺激(TENS)は、EMSと密接に関連しているが、筋肉を収縮させるように刺激する代わりに、電気刺激を使用して、他の身体部分の刺激を通して脳の気をそらすことによって、間接的に疼痛を治療する。米国特許第4,580,572号では、部位の電気的監視又はEMSなどの電気刺激用の衣服が開示されている。
【0008】
しかしながら、現在知られている筋刺激技法のいずれも、目標とする筋弛緩を提供するのに適していない。故に、増加した筋弛緩を可能にする衣服を含む新しい装置が有利であろう。
【0009】
一般に、身体の生理機能に類似したEMS電流信号のパラメータが選択され得る。神経系における信号は、シナプスへの電流インパルス(刺激)と比較され得る。ある特定の量の刺激が生じると、信号物質が分泌される。
【0010】
一般に、位相性EMS刺激は、2~50Hzの範囲の周波数で与えられ、5~300マイクロ秒の持続時間を有する。
【0011】
痙性筋における筋弛緩は、選択された弛緩筋において制御された機能的筋収縮を誘発する可能性を与える。筋収縮を誘発するのに必要とされる周波数は、最適な拮抗筋弛緩に使用される周波数(20Hz/30μs)よりも高い。機能的筋収縮用の刺激周波数は、25~50Hzの範囲であり、必要とされる持続時間は、50~300μsである。
【0012】
パルスEMS電流信号は、少なくとも以下のパラメータ、即ちパルス周波数、パルス持続時間、パルス強度によって制御される。
【0013】
実験は、筋肉が約15Hz~約35Hzのパルス周波数で収縮し始め、その周波数範囲で中枢神経系が電流信号の存在を感じることを示している。本発明者は、可能な限り低いが中枢神経系によって依然として検出可能な周波数を選択することによって、患者の不快感が低減され、その一方で痙性拮抗筋の自動弛緩が中枢神経系によって対処されることを認識した。約35Hzよりも高い周波数は、刺激された主動筋の短縮につながり、従って、拮抗筋における伸張反射の活性化につながり、それは、主動筋の相互痙攣につながるため、望ましくない。
【0014】
電流信号のパルス持続時間は、神経信号のパルス持続時間に類似するように選択される。例えば、30μsなどの約5~60マイクロ秒のパルス持続時間が適切であることが分かっている。しかしながら、更に短いパルス持続時間が有利となる可能性がある。EMS電流信号の長すぎるパルス持続時間は、身体の神経生理学的パラメータに対応しない。
【0015】
更に、より長いパルス持続時間はまた、筋肉不足のリスクを増加させ得るが、それは望ましくない。
【0016】
CNS損傷患者における痙性筋挙動は大きく異なるので、正しい主動筋にEMS電極が設けられ、それに対応する関節に振動器デバイスが設けられるように、使用前にシステムを較正するために神経筋系専門家の専門技能が必要とされる。全ての選択された筋刺激は、所望の弛緩効果を強化するために、解剖学的に関連する関節刺激と対にされる。更に、パルスEMS電流信号のパラメータが選択される必要があり、それらのパラメータは、患者間で異なり得る。
【0017】
上記で説明した刺激及び較正技法は、国際公開第2011/067327号に更に開示されており、それは、痙性筋の筋弛緩用のシステム及び衣服に関し、本出願の出願人に譲渡されている。特に、システムは、関節及び筋肉の刺激を通して筋痙縮を低減することによって筋弛緩を引き起こすように適合される。システムは、電極を有する衣服と、ハードウェアユニットと、刺激を制御するソフトウェアとから成る。
【0018】
国際公開第03/006106号は、身体上及び/又は身体中に位置付けられた電極のアレイを介して選択された組織を電気的に刺激するための方法及び装置に関する。各電極は、身体の組織の刺激された領域と刺激されていない領域との間の区別を提供するために、陽極、陰極のうちのいずれかとして接続され得るか、又はいずれにも接続されないことがある。
【0019】
今日では、外部電気刺激療法を行う場合、患者の皮膚に電極を取り付けるための粘着剤を設けられた電極パッチを使用することが一般的である。これらの電極パッチは使い捨てであり、電極を取り付け、電気ケーブルを電極パッチの各々に接続することは、非常に時間がかかることが多い。
【0020】
本発明の目的は、現在使用されている粘着性電極よりも使いやすく、使用に時間がかからない改善された刺激療法装置を達成することである。
【0021】
電気刺激療法は、好ましくは、持続効果を与えるために少なくとも30分間適用されなければならないので、刺激療法装置の1つの更なる重要な態様は、それが着用者にとって快適であり、使用が容易であることである。
【発明の概要】
【0022】
本発明による装置の1つの大きい利点は、使用が容易であることである。これは、とりわけ、パルス発生回路を含む制御ユニットが、衣服に一体化された接続ユニットに接続ボードを取り付けることによって、いくつかの少ない手動ステップによって衣服に容易に取り付けられることに関連する。
【0023】
衣服は弾性であり、患者によってぴったりと着用されることを意図される。衣服は、筋肉の外部電気刺激療法のために使いやすい方法で使用する準備ができている。電極、例えばシリコーン電極は、衣服の内面に配置され、その表面は患者の皮膚に面し、患者の皮膚に接触する。電極を接続ユニットに接続する電気接続部は、可撓性且つ弾性である。
【0024】
衣服は、衣服が従来の洗濯機で洗浄され得ように選択された材料から作られる。
【0025】
特に、衣服は、電極を1つ以上の接続ユニットに接続するように適合された電気接続部を含み、それは、衣服の全体的な可撓性/弾性に影響を及ぼさない。これは、一実施形態によると、例えば銀糸を弾性バンド若しくはリボン又は弾性片に織り込むことによって一体化することによって達成される。
【0026】
別の実施形態では、絶縁導体が弾性片に一体化される(例えば織り込まれる)。
【0027】
接続ユニットは、衣服に一体化され、例えば平坦な延長部を有し、可撓性である。好ましくは、それらは、ゴム材料から作られ、磁性材料を設けられる。特に、接続ユニットの各接続要素は、ゴム材料の下に磁石を設けられ、接続パッドが上面に取り付けられ、磁石によって適所に保持され得るように配置される。接続パッドも、当然ながら、取り付けを可能にする磁性材料を設けられる。
【0028】
接続パッドは、接続パッドの各々を接続ユニットの嵌合接続要素に正確に接続するために、予め定義された位置に配置された磁性材料を有する可撓性の平坦なボードに配置される。接続ボード及び接続ユニットは、それぞれの部分において磁性材料によって生じる磁力によって共に保持される。
【0029】
一実施形態によると、衣服における接続ユニット(複数可)及び接続ボード(複数可)の両方が可撓性材料で作られ、それは、衣服の着用をより快適にさせる重要な態様である。
【0030】
本発明によると、制御ユニットは、電極の各々の接続を制御して、陽極、陰極として機能する状態にするか又は切断された状態にするように適合される。
【0031】
この装置によって、例えば、印加された刺激パルスが時間的に分離されている場合、即ち電極のうちの1つが両方の筋肉に使用される場合、3つの電極によって2つの筋肉を刺激することが可能である。このことから、制御ユニットは、刺激パルスの印加の非常に柔軟な制御を可能にし、短い刺激持続時間を使用することによって、多くの筋肉及び筋肉群が療法中にカバーされ得るという点で、非常に複雑な刺激プログラムが使用され得る。
【0032】
制御ユニットは、好ましくは、いわゆる開ループ制御を適用し、即ち、印加される電流/電圧を制御するためにフィードバックが使用されない。フィードバックを使用しない利点は、電極が皮膚への接触を一時的に失う場合、又は電極面と皮膚との間の接触エリアが減少する場合に、残りの接触面の電流密度が疼痛を招かないはずであることである。
【0033】
電極を介して患者に供給されるエネルギーの量は、疼痛緩和用のデバイスによって使用されるエネルギーレベルよりも遙かに低い。そのようなデバイスの1つのリスク即ち欠点は、印加されたエネルギーが筋肉を刺激して収縮させ得ることである。
【0034】
本発明に関連して使用される刺激エネルギーのレベルは、例えば国際公開第03/006106号に記載されたデバイスで使用されるレベルよりも遙かに低い。
【0035】
本発明では、患者によって着用される衣服が提供される。衣服は、第2のモジュールに電気的に接続された第1のモジュールを有する。第1のモジュールは、患者の第1の筋肉に配置された第1の電極及び第2の電極と、第2の筋肉に配置された第3の電極及び第4の電極とに電気的に接続された第1のサブコントロールユニットを有する。サブコントロールユニットは、マスタユニットに電気的に接続される。第1のサブコントロールユニットは、マスタユニットから命令信号を受信する。第1のサブコントロールユニットは、命令信号中の命令に基づいて、刺激信号を第1、第2、第3、及び第4の電極に分配する。マスタユニットは、第1の刺激信号を第1のサブコントロールユニットに送る。第1のサブコントロールユニットは、第1の筋肉に配置された第1の電極に第1の刺激信号を送ることによって、第1の筋肉を短縮することなく、第1の刺激信号で第1の筋肉を刺激する。第1の筋肉の刺激は、第2の筋肉を弛緩させる。マスタユニットの測定ユニット(U1)は、第1の電極から第1の筋肉を通って第2の電極に流れる第1の電流値を決定し、第1の電流値をマスタユニット又は第1のサブコントロールユニット中の中央処理ユニット(CPU)に送る。CPUは、第1の電流値を電流基準値と比較し、第1電流値が電流基準値未満であるときに第1の刺激信号の電圧を増加させる。
【0036】
本発明の代替の実施形態では、マスタユニット又は第1のサブコントロールユニットのCPUは、第2の筋肉上に据え付けられた第3の電極と第4の電極との間の電圧信号を測定する。
【0037】
本発明の更に代替の実施形態では、マスタユニットのCPUは、第1の刺激信号の第1の刺激パルスを第1のサブコントロールユニットに送る前に、命令を有するデータユニットを第1のサブコントロールユニットに送る。
【0038】
本発明の別の実施形態では、測定ユニットU1は、パルス生成スイッチSW1より前に抵抗器R1の両端間の電圧降下を連続的に測定することによって第1の電流値を決定する。
【0039】
本発明の更に別の実施形態では、CPUは、第1の電流値が開始電流値を下回るときに第1の刺激信号の電圧を増加させる。
【0040】
本発明の代替の実施形態では、スイッチSW1は、第1の電流値が停止電流値に達したときに開かれ、スイッチSW1は、第1の電流値が停止電流値よりも低い開始電流値に達したときに閉じられる。
【0041】
本発明の別の実施形態では、第1の電流値が停止電流値と開始電流値との間で変動することを可能にすることによって刺激信号の電圧が設定される。
【0042】
本発明の代替の実施形態では、第1の電極及び第2の電極の極性が切り替えられる。
【0043】
本発明の更に代替の実施形態では、第1のサブコントロールユニットは、データパルスの命令に従って第1の刺激信号を第1及び第2の電極に分配する。
【0044】
本発明の別の実施形態では、マスタユニットは、第1の刺激信号を、定電圧を有する電圧モードから実質的に定電流を有する電流モードに切り替え、電流は、開始電流値と停止電流値との間で変動することのみを許容される。
【0045】
代替の実施形態では、CPUは、第1の刺激信号の周波数及びパルス長を変化させる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明による医学療法装置を例示する概略ブロック図である。
図2】本発明の実施形態による接続ボード及び接続ユニットの一部の概略断面図である。
図3】本発明による医学療法装置の別の実施形態を例示する概略ブロック図である。
図4】本発明によるボディスーツ又は衣服の概略正面図である。
図5】本発明によるサブコントロールユニットの概略上面図である。
図6図5に示すサブコントロールユニットの側断面図である。
図7】20Hzの刺激パルス信号の概略図である。
図8】200Hzの刺激パルス信号の概略図である。
図9】本発明による腕に接続されたサブコントロールユニットの概略図である。
図10】本発明による電圧モードと電流モードとの間で切り替え可能な装置の概略図である。
図11A】本発明による、図10に示す装置が電流モードにあるときの電流信号の概略図である。
図11B】本発明による、図10に示す装置が電流モードにあるときの電流信号の概略図である。
図11C】本発明による、図10に示す装置が電圧モードにあるときの電流信号の概略図である。
図11D】本発明による、図10に示す装置が電圧モードにあるときの電流信号の概略図である。
図12】本発明による電極の概略上面図である。
図13】本発明による図12に示す電極の概略断面図である。
図14】本発明によるデータパルスを含む刺激パルス信号の概略図である。
図15】本発明によるサブコントロールユニットの詳細な概略図である。
図16】本発明による電極に接続されたサブコントロールユニットの詳細な概略図である。
図17】本発明による分配ユニットの概略図である。
図18】本発明によるボディスーツを着用している人の頭部上に据え付けられたサブコントロールユニットを含む図4に示すボディスーツの一部分の概略正面図である。
図19】本発明によるマスタユニットのコンポーネントの概略図である。
図20】本発明による動きセンサに接続された図9に示すサブコントロールユニットの概略図である。
図21】本発明のボディスーツの代替の実施形態の概略図である。
図22A】装置が電圧モードにあるときの筋肉における電流の概略図である。
図22B】装置が電圧モードにあるときの筋肉における電圧の概略図である。
図22C】6500オームの内部抵抗を有する、筋肉上に据え付けられた100オームの電極の概略図である。
図22D図22Cに示す筋肉上に据え付けられた1000オームの電極の概略図である。
図23】本発明の修正されたサブコントロールユニットの概略図である。
図24】本発明のマスタユニットの修正された部分の概略図である。
図25】大きい電極を有する本発明のボディスーツの代替の実施形態の概略図である。
図26】本発明の腕モジュールの概略断面図である。
図27】本発明のボディスーツを着用している立っている人の側面図である。
図28】本発明の電極に電気的に接続された座っている人の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明を、ここから、添付の図面を参照して説明する。
【0048】
図1を参照すると、本発明は、人間又は動物の被検体に電気的刺激を印加するための、前記被検体にぴったりと配置されるように適合された衣服4を備え、被検体の皮膚に電気的に接触するように適合された複数の電極6を内面に設けられた、医学療法装置2に関する。
【0049】
装置は、所定の療法刺激プログラムに従って、陽極、陰極のうちの1つ又は多くとして機能するか又は切断されるように各電極6を提供するように適合された制御ユニット8を更に備える。
【0050】
少なくとも1つの接続ユニット10が設けられ、接続ユニット10は、可撓性及び弾性である別個の接続線14を介して電極6にそれぞれ電気的に接続された所定の数の接続要素12を備える。そして、制御ユニット8に電気的に接続された所定数の接続パッド18を備える少なくとも1つの接続ボード16が設けられる。
【0051】
接続ユニット10は、衣服4の一体化された部分であり、好ましくは、接続要素12が前記接続ボード16の接続パッド18への電気接続を確立するためにアクセス可能であるように配置される。その点に関して、接続パッド18を嵌合接続要素12に電気的に接続するために、接続ユニット10と接続ボード16とが互いに取り付けられたときに互いに対して位置付けられるように、接続ボード16は、締結手段20によって接続ユニット10に取り外し可能に取り付け可能である。
【0052】
一実施形態によると、締結手段20は、磁力によって接続ボード16を接続ユニット10に取り外し可能に取り付けるように適合される。図2は、接続ボード16及び接続ユニット10の一部の概略断面図である。図では、磁力は、接続ボード16及び接続ユニット10の予め定義された位置にそれぞれ配置された、図では別個の磁石として示す磁性材料によって生成されることを示している。図では、磁石は、電気的接続を確実にするために、パッド18及び要素12の各々の背後に配置される。代替として、磁石は、例えば1つおきのパッド及び要素の後ろ、又はパッド及び要素に近い位置に配置され得る。
【0053】
接続ボード16及び接続ユニット10における磁石の位置は、これらが互いに対して正確に位置付けられることを保証する。位置付けを更に改善するために、1つ以上の突起及び嵌合窪み(図示せず)が、接続ボード及び接続ユニットにそれぞれ配置され得る。
【0054】
代替として、締結手段20は、接続ボードを接続ユニットに取り外し可能に取り付けるように適合された機械的手段を備える。これらの機械的手段は、例えば、パッドと要素との間の電気的接続を確立するために接続ボードと接続ユニットとの間に必要な圧力を提供するように構成された1つ以上のベルクロストラップを備え得る。機械的手段はまた、何らかの種類のスナップ接続によって具現化され得る。
【0055】
好ましくは、接続ユニット10は、本質的に平面の延長部を有し、可撓性材料、例えば可撓性ゴム材料から作られる。
【0056】
また、一実施形態に従って、接続ボード16は、本質的に平面の延長部を有し、可撓性材料、例えば可撓性ゴム材料から作られる。
【0057】
しかしながら、衣服の着用を快適にするために、特に接続ユニット10が可撓性材料から作られることが有利であるが、本発明の範囲内で、接続ボード16及び/又は接続ユニット10が剛性材料から作られることも可能である。一実施形態によると、接続ユニットは、可撓性材料から作られるが、接続ボードは、より剛性の材料、例えば適切なプラスチック材料から作られる。
【0058】
接続ボード16及び接続ユニット10は、本質的に同じ大きさを有する。例証的な一実施形態では、形状は、8~12cmの間隔長が、1.5~3cmの幅、及び0.25~1.5cmの厚さを有するほぼ長方形である。
【0059】
当然ながら、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で、他のサイズ及び形状、例えば円形及び楕円形が可能である。
【0060】
各電極6をそれぞれの接続要素12に接続する接続線14は、衣服の着用者が妨げられずに動き得るように、可撓性且つ弾性である。
【0061】
一実施形態によると、接続線14は、導電体が一体化された弾性片中に含まれる。これは、例えば銀から作られた導電性糸を弾性片に織り込むことによって達成される。
【0062】
代替として、接続線14は、例えば織ることによって衣服の材料に直接一体化された絶縁導体である。
【0063】
制御ユニット8は、好ましくは、接続ボード16に関連する別個のユニットであり、接続パッド18は、電気ケーブル22を介して制御ユニット8に接続される。一実施形態によると、制御ユニット8は、刺激パルス発生器と、エネルギー源と、記憶手段と、入力/出力ユニットと、結合ユニットとを備える。典型的にはバッテリ、例えば再充電可能バッテリであるエネルギー源は、制御ユニットの回路、例えば刺激パルス発生器に通電するように適合される。所定の療法刺激プログラムは、記憶手段中に記憶され、治療されるべき特定の患者に関連する特定の命令が、インターフェースを介して医師によって入力される。入力/出力ユニットは、1つ以上のボタン及びディスプレイ、例えばタッチスクリーンを含み得る。
【0064】
制御ユニットは、好ましくは、容易にアクセスされるが動きを妨げない位置において、何らかの種類のストラップによって衣服着用者に取り付けられる。
【0065】
別の実施形態に従って、制御ユニットは代わりに、接続ボードの一体部分であり、そのため接続電気ケーブルは不要にされる。
【0066】
制御ユニットは、好ましくは、刺激パルスの印加を制御するときに開ループ制御を適用するように適合される。即ち、フィードバックが使用されず、それは、電極が皮膚への接触を失うか、又は接触が少ない状況において、より高い刺激電流が印加されることを回避するために有利である。
【0067】
衣服は、好ましくは、所定数の相互接続可能な部品から作られる。その理由は、衣服がより身に付けやすくなるからである。各部分は、次いで、接続ユニットを設けられ、接続ユニットは、次に、電極に接続される。
【0068】
患者によっては、身体の一部、例えば腕又は脚のみが刺激を受ける必要がある。その場合、その部分を包み込むように適合された衣服が使用される。そして、他の患者については、療法の完全な効果を得るために、全身が衣服によって包み込まれなければならない。
【0069】
衣服の全体的な要件は、電極が患者の皮膚に接触することを確実にするために、衣服が身体にぴったりと配置され得ることである。衣服は、通常の洗濯機で洗浄されることが可能でなければならない。好ましくは、衣服は、ポリウレタン-ポリ尿素コポリマー、例えばスパンデックス又はエラステインから作られた合成繊維を備える。
【0070】
実施形態によると、衣服は、5つの主要な織物及び支持材料を備える。筋肉を覆うエリア用の弾性スパンデックスと、このスパンデックス中に埋め込まれた皮膚接触用の筋肉電極、関節の安定性と埋め込まれた筋肉及び振動(含まれる場合)電極の特定の皮膚接触とを誘発するための関節エリアにおける頑丈な弾性スパンデックス織物、並びに衣服部分を連結し、関節の安定性及び電極の皮膚接触も誘導するベルクロ。ジッパーは、簡単な着装及び衣服の使用を可能にするために、異なる衣服部分中に配置される。安定性及び電極の皮膚接触を高めるために、織物層の間に詰め物及び他の支持材料が配置される。
【0071】
各患者に対する完全な衣服フィットを提供するために、各衣服は、各患者に合わせてテーラーメイドされ得る。故に、各患者は、個々に測定され得る。専門家によって行われた較正に基づいて、療法士は、どの筋肉を刺激するかを選択し、従って、対応する痙性筋の筋弛緩を誘発する。テーラーメイド衣服が製造され、制御ユニットは、振動器(含まれる場合)及びEMS刺激を規定された方法で実行するように、必要なパラメータでプログラムされる。
【0072】
電極は、衣服の内面に配置され、従って皮膚表面に適合するように可撓性でなければならない。一実施形態によると、電極は、例えば、シリコーン電極又は任意の他の導電性電極材料である。電極の数は、当然、適用される療法に依存するが、好ましくは、少なくとも10個の電極が含まれ、多くの場合、それよりも遙かに多い。
【0073】
別の実施形態によると、制御ユニットは、前記電極のうちの1つ以上によって感知された電気信号、例えばEMG信号を受信するように適合された感知ユニットを備える。次いで、受信された信号が分析され、療法を改善するために使用され得る。一態様によると、感知された電気信号は、どの療法が使用されるべきかを決定し、次いで、開ループ制御刺激療法に従ってその療法を適用するために使用される。別の態様によると、印加される刺激エネルギーが感知された電気信号に依存して適合される閉ループ制御刺激療法において装置を適用することも可能であろう。
【0074】
更なる実施形態では、本装置はまた、組み合わされた電気及び振動療法を提供する。この実施形態は図3に概略的に例示する。図1及び2において使用された同じ参照番号がここでも適用される。組み合わされた電気及び振動療法を使用することは、有利な療法であることが証明されており、この実施形態に従って、複数の振動ユニット7が衣服に、例えば衣服の内面に配置され、各振動ユニットは、可撓性且つ弾性の振動ユニット接続線15を介して接続ユニットに接続される。振動ユニットはまた、衣服の外面に配置され、衣服材料を通して振動を印加し得る。
【0075】
例えば、圧電技術、いわゆるDCモータ、又はソレノイドベースのユニットに基づく異なるタイプの振動ユニットが使用され得る。
【0076】
好ましくは、電気刺激電極の数と振動ユニットの数との間の関係は2:1である。しかしながら、更により少ない振動ユニットが使用され得る。
【0077】
図4は、本発明の弾性でぴったりとしたボディスーツ100の衣服の前側の概略図である。ボディスーツ100は、前側と実質的に同様である後側を有する。ボディスーツの後側は、前側と同一又は同様の方法でワイヤ、電極、サブコントロールユニットを用いて設計することができる。ボディスーツ100は、電極がボディスーツ100を着用している人の皮膚に面し、皮膚に向かって付勢されるように、布の内側に位置する複数の電極に電気的に接続された、布に一体化された複数のサブコントロールユニットを有する。サブコントロールユニットは、ボディスーツ100中の電極の数を実質的に増加させ、ボディスーツを着用している患者のより高度な治療を実行することを可能にする。
【0078】
本発明の重要な特徴は、電極が筋肉を活性化するだけでなく、筋肉及び皮膚センサからの感覚信号を脊髄に伝導し、腕又は脚などの身体部分の動きの制御を担う介在ニューロンネットワークへの入力として機能する筋肉の求心性(感覚)神経も活性化することである。これは、主動筋が収縮して動きを引き起こさないように、求心性神経が約20Hz且つ十分に低い電圧で刺激されるときに起こる。求心性神経から感覚信号を受信すると、脊髄は信号を主動筋に送り、筋肉を弛緩させる。介在ニューロンネットワークへの求心性入力を最適化するために、刺激信号の周波数範囲を変更することができることが重要である。筋肉の刺激へのいかなる言及も、筋肉の神経及び電極に隣接する他の神経の刺激を含むことが理解されるべきである。
【0079】
ボディスーツ100は、ボディスーツを着用している人の筋肉及び神経を刺激及び弛緩させるために使用され、電気パルス電流が、ボディスーツ100の布に据え付けられた電極間を流れ、電極が位置付けられた筋肉を通る。ボディスーツが多数の電極を有するがサブコントロールユニットを有さないとき、全ての電極はパルス及び電流及び他の情報をワイヤを介して電極に送信するコントローラ又はマスタユニットに接続されなければならないので、これは問題を生じる。多数のワイヤがスーツ中に一体化されることを必要とされることにより、ボディスーツが人によって着用されて着脱されるときに、ボディスーツは経時的に接続不良を生じやすくなる。この問題に対する1つの解決策は、サブコントロールユニットを使用して、ボディスーツ中のワイヤの数を低減し、電極に向かうワイヤの必要とされる長さ、即ちワイヤ長さも低減されることである。ボディスーツは、モジュールを含むことができ、各モジュール中のサブコントロールユニットは、マスタユニットから到達する刺激パルスを分配している。
【0080】
サブコントロールユニットは、マスタユニットによって制御される。必ずしも必要ではないが、好ましくは、各サブコントロールユニットは、サブコントロールユニットに進む電力電圧及びパルス信号を提供する2つのワイヤなどの少数のワイヤのみを介してマスタユニットに電気的に接続される。一対のワイヤはまた、データ命令をサブコントロールユニットに搬送することができる。マスタユニットとサブコントロールユニットとの間のワイヤレス通信によってデータ命令を送ることも可能である。
【0081】
以下で詳細に説明するように、サブコントロールユニットを使用することの1つの重要な利点は、より高い周波数及びより多くの電極をボディスーツ中で使用することができることである。一般に、サブコントロールユニットは、プログラム可能なマスタコントロールユニットから脈動する刺激信号を受信し、それをサブコントロールユニットが所定の電極に分配して、電極の下に位置する筋肉及び筋肉対を刺激及び/又は弛緩させる。筋肉を刺激するのと同様に神経を刺激することも可能である。筋肉は単に例示的な例として使用されているに過ぎないが、刺激は同様に神経にも適用される。マスタコントロールユニットは、ボディスーツ100の外側に位置するコネクタにおいてボディスーツに取り外し可能に且つ電気的に接続される。マスタコントロールユニットはまた、ボディスーツのモジュール中に位置するサブコントロールユニットに電力を供給するための電源を有する。モジュールは、サブコントロールユニットに電気的に接続されたコネクタを介して互いに電気的に接続される。重要な特徴は、マスタコントロールユニット又はマスタユニットをボディスーツの種々のコネクタ間で移動させることができるように、マスタコントロールユニットは、ボディスーツ上の第1のコネクタから取り外され、同じボディスーツ上の第2のコネクタに再接続され得ることである。各コネクタは、第1の側に正極及び負極を有し、コネクタの第2の反対側に対応する正極及び負極を有する。第1の側の正極は、第2の側の正極に電気的に接続され、第1の側の負極は、第2の側の負極に電気的に接続され、そのため、各コネクタは、電力、データ、及びパルスを1つのモジュールから隣接するモジュールに搬送する「ブリッジ」として機能する。シリアルデータバスを通してサブコントロールユニットに送られる命令を含む刺激プログラムが、マスタコントロールユニット中で実行される。
【0082】
衣服又はボディスーツ100は、好ましくは、治療されるべき患者の身体にぴったりとフィットする可撓性及び弾性の布材料で作られる。ボディスーツ100は、本発明の原理を例示するために概略的に示し、様々なコンポーネントの正確なロケーションは、治療されるべき患者の特定のニーズに合わせて変更又はカスタマイズするできることが理解されるべきである。ボディスーツ100がサブコントロールユニットを使用せずに多数の電極を含むべきである場合、これは、マスタユニットから全ての電極まで延在する多数のワイヤを必要とするであろう。以下で詳細に説明するように、多数のワイヤが必要とされることにより、時として、それらを全てボディスーツの布に収めることは非実用的となり、周波数範囲は低周波数に低減されなければならない。本発明の重要な特徴は、必要とされる配線を低減し、ボディスーツ100の機能性を改善し、より高い刺激周波数を可能にするために、ボディスーツモジュール中に位置するサブコントロールユニットにインテリジェンスのうちの一部を移動させるという考えである。
【0083】
より具体的には、ボディスーツ100は、右腕モジュール102、上半身モジュール104、左腕モジュール106、骨盤モジュール108、右脚モジュール110、及び左脚モジュール112などの取り外し可能且つ独立して機能するモジュールを含み得る。モジュールは、好ましくは、ジッパー、ベルクロ、又は容易に取り付け及び取り外しすることができる任意の他の手適した機構などの適切な締結機構114、116、118、120によって互いに取り付けられる。モジュールを使用する1つの利点は、患者が身体の異なる部分で異なるサイズを必要とし得ることである。いくつかの事例では、患者は、身体のある特定の部分が健康であり、治療される必要がないため、全てのモジュールを必要としないことがある。一般に、麻痺した身体部分は、麻痺していない身体部分よりもサイズが小さく、そのため、異なるサイズが必要とされ得る。同様に、痙性である腕などの身体部分は、一般に、非痙性身体部分よりも小さい。各モジュール中の電極及びサブコントロールユニットの数は変動し得、ボディスーツ100は、単に例示的な例として扱われるべきである。
【0084】
右腕モジュール102は、可撓性及び弾性ワイヤ124を介して第1のコネクタ128の負極126に電気的に接続され、可撓性及び弾性ワイヤ130を介して第1のコネクタ128の正極132に電気的に接続された第1のサブコントロールユニット122を有する。第1のコネクタ128の1つの重要な機能は、右腕モジュール102から上半身モジュール104への「ブリッジ」を提供し、そのため、それらが電気的に接続されるようにすることである。この機能は、ボディスーツ100の全ての他のコネクタに適用される。コネクタは、1つのモジュール上の正極を隣接するモジュール上の正極と電気的に接続し、1つのモジュール上の負極を隣接するモジュール上の負極と電気的に接続するための導電性ワイヤを含む可撓性布で作られ得る。サブコントロールユニット122は、可撓性及び弾性ワイヤ134a、136a、138a、140a、142a、144a、146a、及び148aを介して電極134、136、138、140、142、144、146、及び148にそれぞれ電気的に接続される。右腕モジュール102は、モジュール間に延在し、1つのモジュールを隣接するモジュールに接続するコネクタを介してボディスーツ100の全ての他のモジュールに電気的に接続される。
【0085】
上半身前側モジュール104は、好ましくは、2つのサブコントロールユニット、即ち第2のサブコントロールユニット150及び第3のサブコントロールユニット152を有する。モジュール104は、より多くの又はより少ないサブコントロールユニットを有し得、2つのモジュールの使用は、単なる例示的な例に過ぎない。サブコントロールユニット150は、可撓性及び弾性ワイヤ154を介して、第1のコネクタ128の正極156に接続された可撓性及び弾性ワイヤ155に電気的に接続され、可撓性及び弾性ワイヤ160を介して、第1のコネクタ128の負極162に電気的に接続された可撓性及び弾性ワイヤ157に電気的に接続される。ワイヤ155はまた、左腕モジュール106に接続されたコネクタ196の正極194に電気的に接続され、ワイヤ157は、コネクタ196の負極200に電気的に接続される。可撓性及び弾性ワイヤ175は、ワイヤ155に電気的に接続され、図4に示す前側と同一又は同様であるボディスーツ100の後側に至る。別の可撓性及び弾性ワイヤ177は、ワイヤ157に電気的に接続され、ボディスーツ100の背面に延在し、そのため、ワイヤ175、177は、ボディスーツの前側と同様に、ボディスーツの後側に電力、パルス、及び場合によってはデータを提供する。サブコントロールユニット150は、可撓性及び弾性ワイヤ164a、166a、168a、170a、172a、174a、176a、及び178aを介して電極164、166、168、170、172、174、176、及び178にそれぞれ電気的に接続される。身体モジュール104は、モジュール間に延在し、1つのモジュールを隣接するモジュールに接続するコネクタを介してボディスーツ100の全ての他のモジュールに電気的に接続される。
【0086】
サブコントロールユニット150と同様に、サブコントロールユニット152は、可撓性及び弾性ワイヤ192を介して、第2のコネクタ196の正極194に電気的に接続されたワイヤ155に電気的に接続され、可撓性及び弾性ワイヤ198を介して、第3のコネクタ196の負極200に電気的に接続されたワイヤ157に電気的に接続される。サブコントロールユニット152は、可撓性及び弾性ワイヤ202a、204a、206a、208a、210a、212a、214a、及び216aを介して電極202、204、206、208、210、212、214、及び216にそれぞれ電気的に接続される。
【0087】
右腕モジュール102と同様に、左腕モジュール106は、可撓性及び弾性ワイヤ230を介して第2のコネクタ196の正極232に電気的に接続され、可撓性及び弾性ワイヤ234を介して第3のコネクタ196の負極236に電気的に接続された第4のサブコントロールユニット228を有する。サブコントロールユニット228は、可撓性及び弾性ワイヤ238a、240a、242a、244a、246a、248a、250a、及び252aを介して電極238、240、242、244、246、248、250、及び252にそれぞれ電気的に接続される。
【0088】
骨盤モジュール108は、上半身モジュール104の下であるが、脚モジュール110、112の上に位置する。骨盤モジュール108は、サブコントロールユニットなしで示すが、モジュール108も、他のモジュールと同様のサブコントロールユニットを設けられ得る。モジュール108は、骨盤モジュール108を上半身モジュール104に電気的に接続する上部コネクタ184を有する。上部コネクタ184は、骨盤モジュール108上に正極268及び負極272を有し、上半身モジュール104の下端に正極182及び負極188を有する。正極268は、正極182に電気的に接続され、負極272は、負極188に電気的に接続される。正極182は、可撓性及び弾性ワイヤ159を介してワイヤ155に電気的に接続され、負極188は、可撓性及び弾性ワイヤ161を介してワイヤ157に電気的に接続される。正極268は、可撓性及び弾性ワイヤ163を介して第3のコネクタ278の正極276に電気的に接続される。負極272は、可撓性及び弾性ワイヤ165を介してコネクタ278の負極282に電気的に接続される。正極268はまた、可撓性及び弾性ワイヤ167を介して第5のコネクタ286の正極262に電気的に接続される。負極272は、可撓性及び弾性ワイヤ169を介して第5のコネクタ286の負極264に電気的に接続される。全てのコネクタ128、184、196、278、及び286は、1つのモジュールを別のモジュールと電気的に接続するための弾性配線を含む。
【0089】
右脚モジュール110は、可撓性及び弾性ワイヤ296を介して第4のコネクタ278の正極298に電気的に接続され、可撓性及び弾性ワイヤ300を介して第4のコネクタ278の負極302に電気的に接続された第5のサブコントロールユニット294を有する。正極298は、正極276に電気的に接続され、負極302は、負極282に電気的に接続される。サブコントロールユニット294は、可撓性及び弾性ワイヤ304a、306a、308a、310a、312a、314a、316a、及び318aを介して電極304、306、308、310、312、314、316、及び318にそれぞれ電気的に接続される。
【0090】
左脚モジュール112は、可撓性及び弾性ワイヤ322を介して第5のコネクタ286の正極324に電気的に接続され、可撓性及び弾性ワイヤ326を介して第5のコネクタ286の負極328に電気的に接続された第6のサブコントロールユニット320を有する。サブコントロールユニット320は、可撓性及び弾性を有するワイヤ330a、332a、334a、336a、338a、340a、342a、及び344aを介して、電極330、332、334、336、338、340、342、及び344にそれぞれ電気的に接続される。
【0091】
マスタユニット266は、多くの場所でボディスーツに接続可能である。図4は、可撓性及び弾性ワイヤ171を介してワイヤ155に電気的に接続されたマスタユニット266の正極264と、可撓性及び弾性ワイヤ173を介してワイヤ157に電気的に接続された負極262とを示す。右腕モジュール102などのモジュールのうちの1つが必要でない場合、マスタユニット266を第1のコネクタ128又は他のコネクタのうちの任意のものに接続することが可能である。患者が、例えば股関節にマスタユニットを取り付けることを困難にする障害を有する場合、又は患者が臥位にあるときに上肩にマスタユニットを取り付けることがより都合が良い場合に、患者に都合が良い場所でマスタユニットを接続することが可能であることは重要な特徴である。いくつかのコネクタをボディスーツ中の異なる場所に配置し、そのため、そこにマスタユニットを配置することができるようにすることも可能である。好ましくは、マスタユニットは、ボディスーツ100上の利用可能なコネクタのうちの任意のものに取り付けられるべきである。このことから、股関節などの1つの場所にのみ位置する別個の接続部を有する必要はない。このことから、マスタユニットのためにいくつかの異なる接続点又はコネクタを有することが可能である。
【0092】
図5は、サブコントロールユニット122の概略詳細上面図である。好ましくは、衣服又はボディスーツ100中の全てのサブコントロールユニットは、全てのサブコントロールユニットに適用される例示的な例としての役割を果たすユニット122と実質的に同様である。好ましくは、ユニット122は、耐水性材料で成形されて耐水性にされ、そのため、ボディスーツは、ユニット中の電子機器を損傷することなく機械洗浄することができる。ユニット122は、134a、136a、138a、140a、142a、144a、146a、及び148a(図4に最も良く図示)にそれぞれ電気的に接続された成形物から外側に延在する8つの延長ワイヤ、即ち延長部134b、136b、138b、140b、142b、144b、146b、及び148bを有し得る。これは、サブコントロールユニット当たり4対の電極に対応する。ユニット122は、8つよりも多い又は少ない延長部を有し得る。サブコントロールユニット122はまた、コネクタ128に延在するワイヤ124及び130にそれぞれ電気的に接続される延長部124b及び130bを有する(図4に最も良く図示)。電力、データ、及び刺激パルスは、マスタユニット266から延長部124b、130bを介してサブコントロールユニット122に入り得る。図5に示す電力、データ、及びパルス情報に加えて、より多くの接続部を有し、追加情報を送ることも可能である。任意の適切なシリアル通信技術も使用され得、直列に接続された2つよりも多くのワイヤ/コネクタを使用することができる。4つよりも多い組み合わせを得るために異なる方法で電極を組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。
【0093】
200Hzの周波数が刺激信号/パルスに使用されるとき、サブコントロールユニットが処理する全ての組み合わせを送出するために利用可能な5ミリ秒の総時間期間が存在する。例えば、8つの組み合わせが使用される場合、各パルスの開始の間に8で割られた5ミリ秒、即ち625マイクロ秒が存在する。パルス長が175マイクロ秒である場合、パルス間に625マイクロ秒-175マイクロ秒=450マイクロ秒の時間ギャップが存在し、即ち、次のパルスが開始する前にパルス信号が存在しないときである。言い換えれば、例えば8つの組み合わせが得られ、パルス長が175マイクロ秒であり、周波数が200Hzである場合、パルス間の時間ギャップは450マイクロ秒である。時間ギャップは、図9に関連して以下で詳細に説明するように、拮抗筋からのフィードバック信号を測定することなどの他のことを行うために、又は図14及び16で説明するようにデータを送るために使用することができる。各パルス間に時間ギャップが存在する限り、周波数を200Hzよりも高い周波数まで増加させることができることが理解されるべきである。
【0094】
図6は、衣服からサブコントロールユニットからのコネクタまでのワイヤを重ね合わせ、次いでそれらを共に縫合し、そのため電気的に接続されるようにすることによって、成形されたサブコントロールユニットから出てくる縫合可能な可撓性の導電性接続部又は延長部138b、146bを介して可撓性ワイヤ138a、146aにそれぞれ接続されたサブコントロールユニット122の概略詳細側面図である。この原理又は別の接続方法は、全てのサブコントロールユニット上の全てのワイヤ及び延長部上で使用され得る。
【0095】
安全予防措置として、ボディスーツ100を着用している患者にとって非常に不快であるか又は危険でさえある可能性がある意図しないパルスをサブコントロールユニットが送出することを防止するために、マスタユニットのみがサブコントロールユニットを介して刺激パルスを送出することが好ましい。サブコントロールユニットは、このことから、単にパルスを正しい電極対に単に誘導又は分配するに過ぎない。刺激パルス、パルス長(デューティサイクル)、及び電圧/電流等は、パルスがマスタユニットから送出される前に、全てのサブコントロールユニットとのシリアルデータ通信によって、マスタユニットの(中央処理ユニット)CPUによって制御される。
【0096】
以下でより詳細に説明するように、サブコントロールユニットは、正しいパルス長が電極に送出されるように所望のパルス長に関する情報を有し得る。パルス長が長いほど、刺激はより強力である。パルス長は、ボディスーツの療法士によって設定され得るか、又はマスタユニットによって設定され得る。一般に、マスタユニットからのパルスは、サブコントロールユニットによって分配される刺激パルスの最長パルス長よりも僅かに長いパルス長を有する。マスタユニットからのパルス長が所定のパルス出力期間よりも長いとき、サブコントロールユニットは、電極へのパルス長を制御又は低減することができる。マスタユニットはまた、マスタユニットにプログラムされた所定の時間期間よりも長い任意のパルスをオフにするための安全機構を有する。好ましい実施形態では、これらの安全機構は、CPUによって制御されるのではなく、より高い安全性のためにCPU及びソフトウェアとは別個のハードウェア中の回路によって制御される。
【0097】
より具体的には、上記で示したように、スーツ中の全てのサブコントロールユニットのコネクタ124b及び130bのうちの2つは、電力、データ、及び刺激パルスを搬送するために、導電性の可撓性及び弾性ワイヤを介してマスタユニットに接続可能であり得る。(マスタユニットとサブコントロールユニットとの間の)シリアルデータバス中のデータは、どの電極が活性化されるべきか、並びにどの順序及び組み合わせが使用されるべきかに関するサブコントロールユニットへの命令を含み得る。マスタユニットからサブコントロールユニットへの刺激パルスの到達は、サブコントロールユニットに接続された電極がいつ活性化されるべきかを示し、サブコントロールユニットは、刺激パルスを正しい電極に案内又は分配する。マスタユニットは、マイクロコントローラ(CPU)を有し得、サブコントロールユニットも各々、マイクロコントローラ(CPU)を有し得、そのため、ユニットは、互いに通信することができる。好ましくは、サブコントロールユニットは、マスタユニットからの命令と、また、測定された筋肉からの値とを保存することが可能であるべきであり、そのため、これらの値は、同じく値を保存するマスタユニットに送り返すことができ、そのため、マスタユニットは、パラメータが変更されるべきか否か(電圧、電流を増加/減少させるか、又はパルスデューティサイクル長を変更し、周波数を変更するか、又は異なる刺激プログラムが使用されるべきかどうかなど)を決定することができる。例えば、マスタユニットから特定のサブコントロールユニットへの命令は、サブコントロールユニットが第1のパルスを第1の電極対に送り、第2のパルスを異なる電極対に送り、以下同様であることを要求し得る。第1のサブコントロールユニットの電極から第2のサブコントロールユニットの別の電極に電流を流すことも可能である。
【0098】
ある特定の数の刺激パルスがサブコントロールユニットに送られた後、追加のパルスがマスタユニットから送られる前に、異なる又は同じ命令をサブコントロールユニットに送って、サブコントロールユニットが適切に同期されることを確実にして、パルスが正しい電極に送られることを保証することが必要であり得る。この同期は、シリアルデータバスを介して短い同期命令を送ることによって行われ得る。いくつかの事例では、刺激パルスが送られる前にサブコントロールユニットへのデータフローをオフにすることが必要であり得る。2線式バスが使用されるとき、刺激パルス及びデータは同時に送信されないことが理解されるべきである。サブコントロールユニットは、3V3ボルト(3.3V)又は5Vで電力供給されることを必要とし得る。他の電圧レベルが使用され得るが、電力の電圧が低いほど、システムは干渉に対してより敏感になる。
【0099】
刺激パルスは、5~100Vの範囲の電圧を使用することによって発生され得、より好ましくは15~80Vの範囲が使用される。最も好ましくは、20V又は40Vが使用される。以下で詳細に説明するように、電圧は、刺激中に増加又は減少され得る。安全予防措置として、マスタユニットのみが刺激パルスを送出し、サブコントロールユニットが誤動作して、ボディスーツを着用している患者にとって非常に不快である長すぎる高電圧信号を送出する場合には、サブコントロールユニットがそれ自体でそのような強いパルス信号を発生させることが可能であるべきではないことが望ましい。加えて、マスタユニットは、出力が刺激パルスを一度に1つ又は一度に2つのパルスを送出するような方法でそれらの出力を活性化するようにサブコントロールユニットに命令し得る。例えば、サブコントロールユニットが1から5までの命令を受信する場合、そのため、第1の刺激パルスが到達するとサブコントロールユニット1が第1のパルスを第1の電極対に送出し、第2のパルスが到達するとサブコントロールユニット2が第2のパルスを第2の電極対に送出し、第5のパルスが到達するとサブコントロールユニット5が第5のパルスを送出するまで以下同様である。このプロセスが次いで再開し、そのため、6番目のパルスがサブコントロールユニット1に到達すると、サブコントロールユニット1は、第1のパルスを第1の電極対に送出し、7番目のパルスが到達すると、サブコントロールユニット2は、第2のパルスを第2の電極対に送出し、10番目のパルスが到達するまで以下同様であり、更に以下同様である。言い換えれば、1つのサブコントロールユニットが5対の電極を活性化するための命令を受信した場合、6番目のパルスがサブコントロールユニットに到達すると、第1の電極対から再び開始する。マスタユニットがサブコントロールユニットを再同期させると、サブコントロールユニットは、第1の電極対への刺激パルスを再び送り始めることができる。例えば、マスタユニットが4つのサブコントロールユニットに接続され、各サブコントロールユニットが4対の電極に接続される場合、サブコントロールユニット1は、パルス1~4が到達すると刺激パルスを送出し得、サブコントロールユニット2は、パルス5~8が到達すると刺激パルスをその電極に送出する。サブコントロールユニット3は、パルス9~12が到達すると刺激パルスをその電極に送出し、サブコントロールユニット4は、パルス13~16が到達すると刺激パルスをその電極に送出する。この手順が次いで再開し、パルス17~32についてサブコントロールユニット1からサブコントロールユニット4まで同じ順序を繰り返し、マスタユニットがサブコントロールユニットの同期を変更するまで以下同様である。好ましくは、全てのサブコントロールユニットは、マスタユニットが情報/データを特定のサブコントロールユニットに送ることができるように、固有のアドレスを有する。全てのサブコントロールユニットが同時にパルスを送出するので、パルス1が到達すると全てのサブコントロールユニットが同時にこのパルスをその電極に送り、パルス2が到達すると全てのサブコントロールユニットが同時にパルス2をその電極に送出するように、全てのサブコントロールユニットを設定することも可能である。サブコントロールユニットがそれに接続された異なる数の電極を有する場合、それに接続された最も多い数の電極を有するサブコントロールユニットは、それに接続されたより少ない数の電極を有するサブコントロールユニット上にパルス1がいつ再び到達するかを決定する。最も多い数の電極に接続されたサブコントロールユニットについての最大数の電極及び刺激に関する情報は、全ての他のサブコントロールユニットに送られる。例えば、1つのサブコントロールユニットが実行すべき6つの異なる刺激を有し、別のサブコントロールユニットが実行すべき3つの刺激のみを有する場合、第2の制御ユニットは、最初の3つのパルスが到達すると、第1のサブコントロールユニットが6つの刺激のうちの最初の3つを送出するのと同時にそれらを送出するように、到達したパルスの数をカウントする。第2のサブコントロールユニットは、3つの刺激パルスを送出したときに停止し、パルス7が到達して別の3つの刺激パルスを送出し始めるのを待つ。第1のサブコントロールユニットは、到達する各パルスについて1つの刺激パルスを送出し、パルス7が到達すると再開し、そのため、パルス7は、パルス1と同じ電極対に送られる。
【0100】
サブコントロールユニットは、200マイクロ秒又は任意の他の適切なパルス長などのある特定の閾値よりも長い刺激パルスが電極まで通過することを許可しないように設計され得る。同様に、マスタユニットはまた、250マイクロ秒などの別の閾値よりも長い刺激パルスを送出することができないように設計され得る。マスタ制御ユニット266のプロセッサが閾値よりも長い刺激パルスを送出しようとする場合、ハードウェアの安全回路は、安全予防措置として刺激パルスを終了させる。閾値は、より長い及びより短いデューティサイクルを使用することができるように調整することができる。好ましくは、マスタ制御ユニット266からサブコントロールユニット122への刺激パルスは、刺激パルスが電極に分配される前に、電圧がサブコントロールユニットのCPU及び出力回路によって受け取られて、サブコントロールユニット上の出力回路をパワーアップする時間が存在するように、サブコントロールユニットから電極に分配される最大パルス長よりも僅かに長いべきである(数マイクロ秒から最大で30マイクロ秒までなど)。サブコントロールユニットは、サブコントロールユニット上の回路がマスタユニットから入ってくる刺激パルスを処理するのに十分な時間が存在することを保証するために、例えば10マイクロ秒で電極への刺激パルスの送信を遅延させるように設計され得る。サブコントロールユニットに、及びサブコントロールユニットからマスタユニットにデータを送るために、サブコントロールユニットを、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、1線式データバス、又は任意の他の適切なワイヤレス若しくはオンワイヤデータ技術を介してマスタユニットに接続することも可能であり得る。
【0101】
図7は、衣服中電極に送られる刺激パルス202の概略図200である。より具体的には、図7は、1つのユニットから全ての40個の電極を処理するシステムにおいて、40個の刺激パルスが20Hzで送られ、パルス周期が50ミリ秒の長さであるときの例を例示する。以下で詳細に説明するように、200Hzの周波数が使用されるとき、5ミリ秒のパルス期間中に40個の刺激パルス(175マイクロ秒のデューティサイクルを有する)に収まることは不可能である。サブコントロールユニットを使用することによって、図8に示すように、サブコントロールユニット当たりより少ない刺激パルスが存在するので、周波数を増加させることが可能である。20Hzの周波数では、1つのサイクルについての時間期間は、50ミリ秒(即ち0.05秒)である。図7は、40個のパルス又は刺激の組み合わせを示し、各パルスは、約175マイクロ秒のデューティサイクル(パルス長)を有する。各刺激パルスは一対の電極を活性化する。デューティサイクルは、175マイクロ秒より短いことも長いこともあり得るが理解されるべきである。20Hzで50mS後、新しい周波数サイクルが開始される。ボディスーツ100を着用している患者の治療は、典型的には1時間程度続き得るが、より短い及びより長い治療期間も使用され得る。20Hzの周波数は、拮抗筋を弛緩させるために主動筋を刺激するのに適しているが、パルス信号のより高い周波数及びより低い周波数も使用され得る。重要な利点は、治療が停止された後、拮抗筋が長時間、場合によっては数日間弛緩したままであることである。
【0102】
使用される周波数を患者の必要とされる治療に合わせてカスタマイズすることができるように、周波数範囲を変更するための能力を有することが望ましい。好ましくは、1Hz~200Hzの周波数範囲を変更することが可能であるべきである。使用される電圧を変えること、即ちパルスの振幅を変更することも可能であるべきである。1つの問題は、40個の刺激パルスが200Hzで所望される場合、5mSの時間期間のみが利用可能であり(200Hzで1つの周波数サイクルのとき)、パルス長が175マイクロ秒である場合、40個のパルスの総パルス長は、パルス間の時間ギャップを伴わない7mS(40×175マイクロ秒)であり、それは1つの周波数サイクルに利用可能な時間期間(5mS)を超えるので、システムを200Hzで動作させることが可能ではないことである。
【0103】
図8は、各刺激パルス494間に時間ギャップ498が存在するように、5mSの1つの周波数サイクル496で200Hz周波数の刺激パルス494を有する刺激信号512についての概略図である。刺激信号512のより高い又はより低い周波数も使用され得、200Hzは単なる例示的な例に過ぎない。各刺激パルス494は、パルス長又はデューティサイクル495を有する。これは、周波数が200Hzであり、パルス長又はデューティサイクル495が各パルスについて175マイクロ秒であるとき、最大の組み合わせとして約20個の刺激パルスを送出するのに十分な時間が存在することを意味する。出ていくパルス間に時間ギャップを有することが必要である。5ミリ秒が20個のパルスに分割される場合、各刺激パルスに対して250マイクロ秒が利用可能であり、パルス長が175マイクロ秒である場合、各刺激パルス間に75マイクロ秒の時間ギャップが存在する。上記に示したように、これは、図4に示すように、各モジュール中のサブコントロールユニットを使用することによって解決することができる。サブコントロールユニットがボディスーツ中で使用されるとき、各サブコントロールユニットは、例えば8つの電極に接続され得る。これは、20Hzよりも高い周波数が使用され得、サブコントロールユニット当たり8つよりも多い刺激の組み合わせを実行することが可能であることを意味する。言い換えれば、使用をある特定の予め設定された電極対に限定する必要はなく、刺激される電極の異なる組み合わせを使用する。例えば、腕の同じ側であるが互いに離れて位置する電極に刺激パルスを送ることが可能であり得る。また、腕の前側の一方の電極及び腕の後側に位置する他方の電極など、腕の両側に位置する電極に刺激パルスを送ることも可能である。例えば、上半身モジュール中のサブコントロールユニット(ユニット150など)が刺激パルスをそのモジュール中の正極(電極174など)に分配し、その一方で、上半身モジュール中の別のサブコントロールユニット(ユニット152など)が上半身モジュール中の電極(電極204など)を負に活性化し、そのため、電流が1つのサブコントロールユニットの正極から別のサブコントロールユニットの負極に進むように、サブコントロールユニットを組み合わせることも可能である。
【0104】
例えば、4つの電極が使用されるとき、各パルスが1対の電極に対応するか又は活性化するとき、2つよりも多くの方法で電極を刺激することが可能である。サブコントロールユニットを使用することによって、200Hzで利用可能な利用可能時間期間(5ms)は、各パルスについてのデューティサイクルが175マイクロ秒であるとき、8つの電極を刺激するのに十分な時間である。この時間期間中に少なくとも25個以下の異なるパルスを電極に発生させることが可能であり、それは、4対の電極の異なる組み合わせを刺激するのに十分すぎるほどである。実際には、例えば、パルス間の拮抗筋の測定を行う必要があり得る場合や、刺激パルス間の時間ギャップ中にマスタユニットと通信する必要があり得る場合には、各パルス間に時間ギャップを有することが重要であるので、25個未満のパルス未満を発生させることができる。ある特定の筋肉及び/又は神経(主動)に対する刺激パルスは、別の隣接する筋肉(拮抗)における電圧信号の測定に干渉する可能性が高いので、刺激パルスのデューティサイクル中に測定を行うことは望ましくない。
【0105】
図9は、ボディスーツ100の右腕モジュール102の内側の患者の腕509の例示的な例である。腕は、伸ばされた半直線位置で示すが、痙性患者にとっては、腕が屈曲した位置に固定されることが最も一般的であり、患者は、補助なしで腕を伸長する又は伸ばすことが困難又は不可能であることが分かる。電極134は、主動筋及び/又は神経502の付着点又は第1の端部500に配置され得、その一方で、電極136は、筋肉及び/又は神経502の起始点又は第2の反対側の端部504に配置され得、そのため、電流は、サブコントロールユニット122から刺激信号512を介して電極134に流れ、主動筋及び/又は神経502を介して及び通して電極136に、次いで帰還信号515を介してサブコントロールユニット122に戻る。電流の流れの方向は、図15に関して以下で詳細に説明するように、電流の流れが反対方向に進むように変更され得る。電極138は、拮抗筋508の付着点又は第1の端部506に配置され得、電極140は、拮抗筋508の起始点又は第2の端部510に配置され得る。筋肉又は神経の中央又は別の場所に電極を配置することも可能である。筋肉からの信号及びEMG信号などの他の信号を測定するために別個の電極を使用することも可能である。
【0106】
例えば、主動筋及び/又は神経502は、腕509を第1の方向に動かす機能を有し得、その一方で、拮抗筋及び/又は神経508は、腕を第1の方向とは反対の第2の方向に動かす機能を有する。筋肉は引張力を及ぼすことしかできず、元の位置に押し戻すことができないので、筋肉の主動/拮抗対が体内で必要とされる。例えば、上腕は、二頭筋及び三頭筋を有する。二頭筋が収縮しているとき、三頭筋は、正常に機能している人では、弛緩して元の位置に戻るように伸長される。反対のことが、三頭筋が収縮するときに起こる。収縮する筋肉は、主動筋とラベル付けされ得、弛緩/伸長される筋肉は、拮抗筋とラベル付けされ得る。
【0107】
本発明の重要な洞察は、主動筋の軽度の刺激が、主動筋を短縮することなく僅かな収縮(増加した緊張)と、相互抑制を通した拮抗筋の弛緩とをもたらすことである。拮抗筋が痙性であるとき、筋肉は、異常に緊張している。主動筋は、主動筋が例えば腕の動きを引き起こすことなく刺激されるべきである。主動筋が過度に刺激されると、腕の動きが形成され、拮抗筋が再び緊張することによって反応し得、それは望ましくない。高すぎる周波数、長すぎるパルス、又は高すぎる刺激信号の電流/電圧を使用することによって、主動筋の過度の刺激が引き起こされ得る。主動筋を短縮させることなく中枢神経系への信号を発生させるために主動筋が単に刺激されるとき、相互抑制は拮抗筋を弛緩させ、そのため、それは低減された痙性状態にある。痙性筋の弛緩は、時には、特に脳損傷を有さない患者の場合、痙性筋における疼痛を取り除くこともできる。刺激はまた、疼痛、振戦、筋変性を治療し、筋弛緩を誘発し、痙縮を低減し、疼痛を低減し、筋緊張を増加させ、筋収縮を促進し、筋収縮を誘発し、筋力/筋量を増加させ、筋肉/神経の再生を加速させ、血流/血行を増加させ、血液酸素化を増加させ、静脈緊張を低減し、弛緩を誘発し、睡眠を改善し、振戦を低減し、褥瘡を低減し(習慣の低減)、病的反射/中枢神経反射を低減し、鬱を治療し、トラウマを低減し、緊張低減療法として使用し、エンボディメントプラクティスを誘発し、多動性障害、自閉症スペクトラム障害、及びストレス障害を低減するために使用され得る。
【0108】
刺激された主動筋から中枢神経系に信号が送られ、次に拮抗筋に信号を送って拮抗筋の弛緩を開始する。中枢神経系からの反射のタイプである弛緩は、拮抗筋が痙性筋、即ち不随意又は異常収縮の影響を受けるときに特に重要である。神経系は主動筋の刺激を感知し、それによって拮抗筋は相互抑制を経験する。主動系から中枢神経系への信号は、このことから、まず主動筋を本発明のボディスーツ中の電極へのパルスで刺激することによって人工的に発生される。筋収縮を誘発するために必要とされる主動筋に対する刺激信号の周波数及び電圧/電流レベルは、拮抗筋の弛緩を引き起こすために主動筋に対して必要とされる周波数及び電圧/電流よりも高い。言い換えれば、刺激信号/パルスの選択された周波数及び電流は、主動筋の短縮/収縮を防止するために可能な限り低くあるべきだが、相互抑制をトリガするために中枢神経系によって検出されるのに十分に高くあるべきである。5~200Hzの周波数範囲、より好ましくは15~100Hzの範囲、最も好ましくは約20~60Hzが使用され得る。より高い周波数及び電流(パルス)レベルが主動筋に対して使用されてそれを動かす前に、拮抗筋がまず弛緩されなければならないことを認識することが重要である。より高い周波数、電流レベル、及びパルス長は、主動筋を非常に収縮させ、そのため、主動筋が短縮し、例えば腕の動きを引き起こすために使用され得る。言い換えれば、刺激(パルス)信号は、例えば療法士による外部からの物理的補助なしに、人工的に主動筋を能動的に収縮させるために使用することができる。上述したように、このタイプの刺激は、拮抗筋を弛緩させるために主動筋が穏やかな刺激で治療される前に行われるべきではない。
【0109】
治療中にボディスーツ100を着用している人の脳電圧信号(脳波(EEG)信号など)(詳細については図18を参照)又は活動を測定することも可能であり、そのため、人が腕を動かすことを考えているときに脳電圧信号が何であるかが記録される。この活動は、マスタユニット中に記憶することができるので、次に患者が腕を動かしたいと考えるときに、本発明のシステムは、測定された信号を記録された信号と比較することによって脳活動を認識し、例えば人の脳信号に従って人が望む方法で腕を能動的に動かすために正しい刺激信号を筋肉に人工的に提供する。システムが同様に認識することができる手を開くなどの他の何かを患者が行いたく、次いで(拮抗筋がまず弛緩した後に)適切な刺激信号を正しい主動筋に送って手を開くときに、別の異なる脳信号活動が存在し得る。マスタユニットは、まず脳信号を受信し、次いで、この情報を様々な筋肉への正しい刺激信号に変換し得る。図9に最も良く示すように、マスタユニット266は、主動筋502を短縮させることなく、脈動する刺激信号512をサブコントロールユニット122を介して電極対134、136に送出して、筋肉502を十分に刺激して、自然信号(筋肉508によってトリガされる)を筋肉508から中枢神経系に送らせる。
【0110】
信号512は、パルス494間に時間ギャップ498が存在するように、1~200Hzの任意の値などの所望のパルス周波数の、且つ短いパルス長(デューティサイクル)を有するパルス494(図8に図示)を含む。高感度測定デバイスを使用することによって、拮抗筋508又は別個のセンサ上に配置された電極138と140との間の電圧差を測定することが可能である。このようにして、電極138からの電圧信号は、電極140からの電圧信号と比較される。好ましくは、この電圧は、刺激パルス494が測定に干渉しないように、時間ギャップ498中に測定されるべきである。測定された電圧は、拮抗筋508からのフィードバック信号547又は549信号中に示される。フィードバック信号は、好ましくは、増幅器によって増幅される。より具体的には、測定デバイスは、刺激に使用されない拮抗筋508上に据え付けられた2つの電極間のマイクロボルトからミリボルトの差を測定することが可能であるべきである。筋肉からの自然電圧信号が非常に小さいというだけで、サブコントロールユニットが電極に近い(数デシメートル以下)ことが必要であることを認識することが重要である。そうでなければ、測定デバイスが股関節など遠く離れている場合、腕筋からのミリボルト信号はホワイトノイズに消え、及び/又はボディスーツ中の他の電気信号によって干渉される。これらの測定のために別個の又は異なる電極を使用することも可能である。このことから、このフィードバック電圧信号は、パルス494間の時間ギャップ498中にのみ測定され、そのため、主動筋502に送られる刺激パルスが、拮抗筋508における繊細な測定に干渉しないことが重要である。いくつかのサブコントロールユニットから信号が同時に活性化されるように、身体の多くの部分を同時に治療することも可能である。もちろん、パルス間で測定する時間が短すぎるときに、拮抗筋の測定中に刺激パルスの送信を停止することも可能である。547と549との間のフィードバック電圧信号は、拮抗筋508が主動筋502の軽度の刺激の間接的な結果としてより弛緩するにつれて減少する。フィードバック電圧信号は、以前に測定された値と比較することができ、そのため、拮抗筋508がどのようにより弛緩したか又はしなかったかを見ることが可能である。例えば、電圧値がまず例えば2mVまで測定される場合、及び電圧値が徐々に例えば1mVまで低減されるとき、これは、主動筋502の刺激効果が拮抗筋508に対して所望の効果を与えたことを意味する。主動筋502の治療前、治療中、及び治療後に測定されるのは、拮抗筋508中の中枢神経系によって引き起こされる自然発生電圧であることが理解されるべきである。
【0111】
拮抗筋508中の自然発生電圧は非常に小さく、検出及び測定されるには増幅器を必要とする。好ましい実施形態では、サブコントロールユニット122は、第1の増幅器123と、開位置と閉位置との間で切り替えることができるスイッチ制御部125とを有する。図9は、刺激信号512のパルス494が筋肉502に送信されて筋肉502を刺激するときに使用される位置である開位置にあるスイッチ制御部125を示す。スイッチ制御部125が閉位置にあるとき、電極134と136との間の電圧は、パルス間にあるとき、又はスイッチが閉じられ、刺激信号512が停止されたときに、線512、515を介して測定され得る。これは、電極134、136が筋肉502を刺激するだけでなく、筋肉が刺激パルス494に曝された後に筋肉の自然電圧を測定するためにも使用され得ることを意味する。筋肉502、508は単に例示的な例に過ぎず、サブコントロールユニットに関連する全ての筋肉を同様に刺激及び測定することができることが理解されるべきである。サブコントロールユニット122はまた、第2の増幅器127と、開位置と閉位置との間で切り替えることができるスイッチ制御部129とを有する。図9では、スイッチ制御部129は、閉位置に示し、それは、電極138と140との間の電圧が線547、549で連続的に測定され得るか、又はパルス494が筋肉508中の電圧の測定に干渉する場合に筋肉502に送られる信号512のパルス494間の時間ギャップ498中にのみ測定され得ることを意味する。このようにして、筋肉508上に配置された電極138と140との間の(中枢神経系からの信号によって引き起こされる)自然発生電圧が、筋肉502のパルス刺激の結果としてどのように変化するかを決定することができる。一般に、筋肉508がより弛緩するにつれて、電極138と140との間の自然発生電圧は減少する。上記に示したように、測定がパルス494のうちの1つのデューティサイクル中に行われる場合、パルスが筋肉508上に据え付けられた電極138と140との間の電圧測定に干渉するか又はそれを歪ませるであろうリスクが存在するので、筋肉502への信号512の刺激パルス494の時間ギャップ498中に電極138と140との間の電圧のみを測定することが重要である。筋肉502が刺激パルス494で治療されている間の時間ギャップ498中に、筋肉502上に据え付けられた電極134と136との間の電圧を測定することも可能である。これは、時間ギャップ498中にスイッチ制御部125を閉位置に切り替え、次いで、次のパルス494が筋肉502に送られる前にスイッチ制御部125を開位置に切り替えることによって行うことができる。このようにして、刺激されている筋肉502の自然電圧の変化も測定することができる。測定が行われている間、脈動する刺激信号を停止することも可能である。上記で説明した測定は、サブコントロールユニットに接続された全ての電極及びサブコントロールユニットに接続された電極を介した刺激の組み合わせに適用されることが理解されるべきである。
【0112】
測定中に主動筋502の刺激信号512が停止されなければならないことを意味する拮抗筋508におけるフィードバック信号を測定するために別個のデバイスを使用する代わりに、主動筋502の治療中に、即ち連続的に、又は主動筋502に送られる刺激信号512間の時間ギャップ498中に拮抗筋508を測定することを可能にすることが望ましい。筋肉508の測定は、筋肉502の刺激が異なるプログラムに変更されるべきであること、又は刺激信号512の電圧、電流、周波数、若しくはパルス長を変更することなどパラメータが修正されるべきであることをもたらし得る。筋肉502の刺激は、このことから、信号512中の刺激パルス494を電極134に送ることによって人工的に生成され、その一方で、測定されるのは、拮抗筋508の自然発生電圧(相互抑制)であり、主動筋502の人工刺激の結果として、筋肉508中の電流がどのように変化するかである。次に筋肉502が刺激される必要があるときに同じパラメータを使用することができるように、主動筋502を刺激した刺激信号512の電流/電圧の周波数、振幅も保存することが望ましい。以下に詳細に説明するように、筋肉の自然抵抗又は電極と皮膚との接触が、例えば異なる湿度若しくは患者の皮膚が以前の測定と比較してより多くの水分を含むことに起因して経時的に変化するか、又は電極とボディスーツを着用している人の皮膚との間の接続部において変化するので、電圧モードパルスである場合には信号512を較正することが必要であり得る。しかし、電流制御パルスであれば、固定電流(電流モード)に調整することができる。例えば、図10に詳細に説明するように、筋肉502を通って流れる同じ量の電流を提供するために、信号512の電圧を増加させることが必要であり得る。この情報は、正しい量の電流が主動筋502を通って流れて主動筋の正しい刺激を与えることをマスタユニット266が保証することができるように、ボディスーツ100に接続されたマスタユニット266中に保存され得る。マスタユニットはまた、刺激パルスの電流を連続的に測定し得るので、将来の刺激においてどれだけの電流が必要とされたかを知る。
【0113】
マスタユニットはまた、例えば、患者が治療中に発汗し始め、それが伝導性に影響を及ぼす場合、電圧又は電流を増加又は減少させるなど、治療中にパラメータを較正し得る。この調整機構は、外部条件が1つの治療から別の治療に又は治療の過程全体を通して変化する場合であっても、筋肉502が正しく刺激されることを確実にする。代わりに筋肉508を刺激するために刺激を逆にすることも可能である。スイッチ制御部129は、次いで、刺激パルスが位置508に送られたときに開位置に切り替えられ、その一方で、スイッチ制御部125は、筋肉508に送られた刺激パルス間の時間ギャップ中に線512、515を介して電極134、136間の電圧を測定することによって筋肉502からの自然発生電圧信号を測定することができるように、閉位置に切り替えられる。
【0114】
図10は、本発明のマスタユニット266中の適切な回路装置513の概略図であり、装置は、刺激パルス信号512の結果として筋肉を通って流れる電流を自動的に制御及び調整することを可能にする電流モード又は電圧モードのうちのいずれかの間で変更可能である。回路装置513の重要な特徴は、それが適応的であり、抵抗器R1の両端間の電圧降下によって示すように、刺激された主動筋502を通って流れる電流の推定量に関するフィードバック情報に基づいて刺激信号512の電圧及び他のパラメータを適合させることである。推定電流は、抵抗器R1の抵抗と増幅器767からの利得とによって分割された電圧降下の電圧(ΔV)から計算される。装置は、このことから、自己学習型又は自動式であり、マスタCPUへの入力であるパルス電流値信号752中のフィードバックに基づいて刺激信号の必要な調整を行う。言い換えれば、回路装置513は、図9の刺激信号512の結果として主動筋502を通って流れる電流の量を連続的に決定又は推定するために使用され得る。このことから、例えば、拮抗筋508を効果的に弛緩させるために主動筋502において必要とされる電流を正確に提供及び測定することが可能である。マスタユニットへのフィードバック信号752はまた、身体と電極との間の接触の不十分さ又は欠如を検出するために使用され得る。身体と電極との間に接触が存在しない場合、測定される電流は0である。
【0115】
図11Aは、電流が刺激される筋肉を通って進むときに電流が装置513によって測定及び調整されるときの刺激電流パルス531を示し、図11Bは、電流制御が活性化された状態で刺激パルスがスイッチSW1を離れてサブコントロールユニット及び電極に至るとき(即ち、装置513が電流モードにあるとき)に電圧(ΔV)が抵抗器R1の両端間で測定されるときの刺激パルス519を示す。図11A~Bのy軸はアンペア(A)で表され、x軸は時間で表されることに留意されたい。筋肉を通って移動するパルス531の結果として生じる電流は、電流レベルが最大値と最小値との狭い帯域の間で移動又は揺れるとき、低リップルで実質的に一定である。電流レベルのこの制御は、本発明の重要な特徴である。刺激パルスの実際の電流は、マスタユニット266のCPUからの電流制限器信号によって設定される低リップル電流によって決定される。本発明の重要な洞察は、実質的に一定の電流を達成するために、正しい電流レベルが達成されるまで電圧レベルを調整することによって電流を制御することが必要であるということである。これは、図10に示す装置513によって自動的に行われる。実質的に一定の電流(低リップルを有する)を使用する別の重要な特徴は、電極と皮膚との間の接触が不十分であるときに、安全の理由から予め設定された電圧最大値を超えないと仮定して、十分な量の電流が筋肉を通過するまで、定電流回路装置513がパルス電圧を自動的に増加させることである。しかしながら、電圧が一定であるとき(電圧モードのように)、この自動調整機能は可能ではない。
【0116】
図11Dは、電流制御が活性化されていない状態でパルスがスイッチSW1を離れてサブコントロールユニット及び電極に至るとき(即ち、回路装置513が電圧モードにあるとき)の電圧刺激パルス520(電圧は一定である)を示す。図11Cは、筋肉を通って移動するときに測定されたときの結果として生じる電流を示す。図11Cのy軸は、時間(x軸)に対するアンペア(A)で表され、図11Dのy軸は、時間(x軸)に対するボルト(V)で表されることに留意されたい。筋肉はまずキャパシタとして機能し、次いで抵抗器として機能し、そのため、電圧パルスのフランクは、パルスのフランク中に電極間の筋肉を充電しながら高電流ピーク521をもたらし(キャパシタンス)、筋肉抵抗は、次いで、充電が行われた後に終了電流レベル525を設定する。このようにして、電流は、筋肉の治療の開始時に非常に高く、これは、ボディスーツ100を着用している患者にとって非常に不快となる可能性がある。電流モード(図11A及び11B参照)を使用する1つの重要な利点は、電流が電流開始516と電流停止518との間でのみ変動するので、電流の初期ピークを防止することである。しかしながら、電極が経年劣化するにつれて、内部抵抗が増大し、そのため、電流は、最初に高いピークを有さない曲線523に従って変化する。電極の内部抵抗に起因して、曲線523における筋肉における電流は、電極が新しい(内部抵抗が非常に小さい)ときに達する電流レベル525よりも低い最大アンペアに達するので、電圧モードにあるときに、電極における内部抵抗を補償するために、そしてそのために曲線523における最大値が電流レベル525に達するように、パルス電力511における電圧を上昇させることが必要であり得ることにも留意されたい。
【0117】
出ていく刺激パルス512は、電流モードであるか電圧モードであるかにかかわらず、スイッチSW1からの出力を介してマスタユニット266の回路装置513からサブコントロールユニットに送られ、各サブコントロールユニットのCPUは、入ってくるパルスを感知し、パルスはまた、サブコントロールユニット122などのサブコントロールユニットの出力ユニット535(図15を参照)をパワーアップする。電極が経時的に経年劣化すると、それらの抵抗は増加することが多く、それは、電極における電圧降下の増加をもたらし、これは、筋肉の両端間の電圧の低下、及び筋肉を通る電流の降下をもたらすことが認識されている。これは、電圧モードにあるときに刺激パルスの電極への電圧入力が同じままであるにもかかわらず、筋肉を通る電流が減少する傾向を有することを意味する。別の要因は、治療/刺激される筋肉の内部抵抗が経時的に増大し得、それが次に、電圧が一定であるとき(即ち電圧モードであるとき)に筋肉を通って流れる電流を低減することである。
【0118】
回路装置513(図10)に電気的に接続されたマスタユニット266のCPUは、マスタユニットのCPUから回路装置513に送られた設定信号750に従って、回路装置513が電流モードにあるべきか電圧モードにあるべきかを決定する。設定信号750は、電圧モードを表し得る「0」モードにあり、そのため、出ていくパルスが図11Dのパルス520のように見えるか、又は電流モードを表し得る「1」モードにあり、そのため、出ていくパルス電流が図11Bのパルス519のように見えるかのうちのいずれかである。「1」モードは、パルス電力511の電圧よりも実質的に低い限り、3.3V、5V又は任意の他の所望の電圧レベルなどの任意の適切な電圧であり得る。回路装置513が電圧モードにあるとき、マスタユニットのCPUは、電圧511を所望のレベルに設定する。装置が電流モードにあるとき、マスタユニットのCPUは、好ましくは、パルス電力511の電圧を最大許容値(40Vなど)に設定する。これは、回路装置513が電流を自己調整し、定電流を維持するために必要な高電圧レベルを提供するので、実行が可能である。回路U1は、両方の場合において、即ち装置513が電流モードであるか電圧モードであるかにかかわらず、抵抗器R1にわたる電圧を測定するが、回路装置513が電圧モードであるときには電流を制御することができない。マスタユニットのCPUは、好ましくは、パーソナルコンピュータ、パッド、又は電話などのコンピューティングデバイス中のソフトウェアによって所望のモードにプログラムされる。刺激パラメータは、ワイヤード又はワイヤレス通信を介してマスタユニット266と通信する通常のコンピュータ、パッド、又は電話からマスタユニット中にインストールされる。電流モードを使用する1つの利点は、筋肉の内部抵抗が増加した場合、又は皮膚と電極との間に良好な接触が存在しない場合、回路装置513が、2つの電極間に所望の電流の流れが得られるまで、刺激信号又はパルス電力の電圧を増加させることである。好ましくは、及び安全上の理由から、パルス電力511における電圧をどの程度に設定することができるかの最大限度が存在する。回路装置が電圧モードにある場合、即ち刺激パルスの電圧が例えば20Vで一定である場合、及び筋肉における抵抗が増加するか又は電極が経時的に消耗すると、筋肉における電流の流れは降下し、いくつかの事例では電流は流れを停止し得る。
【0119】
より具体的には、図19に詳細に示すマスタユニット266の電力ユニットは、抵抗器R2を介して活性化パルス754(図10を参照)をスイッチSW1のスイッチコントローラ760上の入力に送る。活性化パルス754は、スイッチSW1を閉じるために「1」モードにあることができ、そのため、パルス電力電圧511は、サブコントロールユニットに続く刺激パルス信号512を生成するスイッチSW1を通過することができる。活性化パルス754は、スイッチSW1を「0」モードにすることができ、それは、パルス電力電圧511がスイッチSW1を通過することができないようにスイッチSW1を開く。好ましくは、活性化パルス754は、パルス電力電圧511の電圧レベル(例えば20~40V)よりも実質的に低い電圧レベル(例えば3.3V又は5V)である。信号又は活性化パルス754は、このことから、マスタユニットのCPUによって決定された所望のパルス間隔及びパルス長でスイッチSW1を開閉し、そのため、刺激信号512の脈動の周波数を設定するのはパルス754である。マスタユニット266中のCPUは、スイッチSW1に活性化パルスを送ることによってパルス長を決定する。活性化パルス信号754は、例えば20VのパルスとしてスイッチSW1を離れる刺激信号512の脈動を生成する。活性化パルスが「1」モードにある時間期間は、出ていく刺激信号512のパルスのパルス長又はデューティサイクルである。刺激パルス信号512は、次いで、サブコントロールユニットに進み、サブコントロールユニットは、入ってくる刺激パルスを正しい1つ以上の電極に転送又は分配し、マスタユニットによってサブコントロールユニットに以前に送られた正しいパルス長を送出する。刺激パルス信号512中の電圧パルス494の電圧レベル又は振幅は、電圧モードにあるとき、このことから、マスタユニットのCPUによって設定され得、例えば、10~100Vで変動することができる。20V又は40Vの電圧レベルが一般的に使用されるが、このように変動することができる。制御又は活性化信号754のうちの「1」信号が送られると、スイッチSW1が閉じ、そのため、パルス電力電圧511の電圧がスイッチSW1を通過することができ、刺激信号512の出ていくパルス長が、信号754が「0」モードに切り替わってスイッチSW1を開く前の「1」モードにある時間長によって制御される。スイッチSW1が開いているとき、抵抗器R1の両端間の電圧(ΔV)は0であり、即ち電流はそこを通って流れない。活性化信号754は、マスタユニットのCPUから来て、そのため、出力537における装置513から出ていく電圧刺激信号512は、パルス520のように見え、刺激信号のパルス長は、活性化パルス754によって決定されるが、それは、活性化パルスがスイッチSW1を開く、即ち「0」モードに切り替わると、パルス電力511はもはやスイッチSW1を通過することができず、これは、図9に示すように、パルス494間に時間ギャップ498を生成するためである。言い換えれば、スイッチSW1を閉じたままにするために、活性化パルス754が175マイクロ秒又は任意の他のパルス長などの「1」モードにある限り、刺激パルスは、スイッチSW1を通ってサブコントロールユニット及び電極上に流れることができる。このようにして、活性化パルス754は、再び「0」モードに切り替わって、時間ギャップ498を開始するスイッチSW1を開くまで、刺激信号の1つのパルス長を生成する。ボディスーツ中の全てのサブコントロールユニットはパルス494を受信し、各サブコントロールユニットは、マスタユニット266からサブコントロールユニットに送られたその命令に基づいて、電極にパルスを送出すべきか否かを決定する。
【0120】
パルス電力電圧511が抵抗器R1を通過し、電圧降下が低い値の抵抗器R1にわたって形成されるとき(電流が流れる場合)、この電圧降下は、回路U1によって連続的に測定されて、抵抗器R1を通過するパルス電力電圧511の電流の量を決定する。回路U1は、正極761の電圧、即ち、入ってくるパルス電力電圧511の電圧である抵抗器R1より前の電圧から抵抗器R1の後の負極763における電圧までの電圧差を(スイッチSW1を通過する各刺激パルスについて)測定する。電流がR1及び筋肉を通って流れ始めると、それは、抵抗器R1において電圧降下信号をもたらし、回路U1は、それを読み取り、信号765及びフィードバック信号752で送出する。電圧差に関する情報は、好ましくは、回路U1によって増幅され、電圧信号752としてパルス電流値でマスタユニットのCPUに送られる。CPU又はA/D変換器は、電流値電圧信号752をCPU用のデジタル値に変換する。抵抗器R1は非常に低いオーム値を有するので、電圧降下はミリボルトのオーダーである。抵抗器R1は、パルス電力511が抵抗器R1を通過し、スイッチSW1に進み、刺激パルスとして出力される際の電圧損失を最小限に抑えるために、非常に低い抵抗であるべきである。好ましくは、信号765及び752は、増幅器767によって増幅され、そのため、信号765及び752は、マスタユニットのCPUによって測定可能又は読み取り可能である。抵抗器R1の抵抗及び回路U1における増幅を知ることによって、電流を決定することが可能である。好ましくは、抵抗器R1は、パルス信号512における電圧の損失を最小限に抑えるために、0.1~10オームなどの低い抵抗を有するべきである。フィードバック信号752中の情報は、例えば、電極と皮膚との間の不十分な接触の結果であり得る不十分な電流が存在し、そのため、刺激された筋肉上に据え付けられた電極間及び筋肉を通って流れる電流が不十分であるか又は全くないときに、マスタユニット266のCPUに通知するので重要である。
【0121】
フィードバック信号752は、抵抗器R1の両端間の電圧降下によって決定されるように電流が減少していることをマスタユニット266のCPUに示すとき、信号750を「0」モードから「1」モードに変更してスイッチSW2を閉じるか又は活性化することによって電圧モードから電流モードに切り替えるためのトリガとして、又は電圧モードで電圧511を増加させて電流を増加させるためのトリガとして、CPUによって使用することができる。電圧モードでの電圧の変更は、各パルスについて行うことはできないことに留意されたい。代わりに、それは経時的でなければならず、電圧が上昇されるべきか否かを決定するのは、信号752の平均電流読み取り値の値である。例えば、筋肉における抵抗が増加したことが判明した場合、電圧モードにある間にパルス電力信号511の電圧を増加させて、筋肉を通って流れる電流を増加させることも可能である。しかしながら、装置が電圧モードにあるとき、回路U1が各パルスについての電流の流れを制御することは可能ではない。上記で説明したように、筋肉は、筋肉及び電極抵抗と直列のキャパシタのように挙動することが多く、そのため、電流は、パルスの開始時に急速に増加し、次いで急速に減少し、筋肉における抵抗は、刺激パルスのデューティサイクル中の電流の流れの下限を設定する。
【0122】
パルス電流値信号752は、抵抗器R1の両端間の電圧降下によって測定されるように、パルス電力電圧511における電圧の以前の増加が、刺激された筋肉を通って流れる電流に対して任意の効果を与えたかどうかを決定するためのフィードバック信号として、マスタユニットのCPUによって使用することができる。電極の経年劣化は、電極における内部抵抗が経時的に増加する可能性があるという点で問題を生じる。電圧モードを使用する別の問題は、筋肉における抵抗が線形ではないので、制御して、電圧モードにあるときに筋肉を通って流れる十分な電流があることを確実にすることが困難であることである。フィードバック信号752の平均値は、このことから、十分な電流が電極間を流れていることを確実にするためにパルス電圧511の電圧を増加させる必要性に関する情報をマスタユニット266のCPUに提供し得る。CPUは、装置513が電圧モードであるか電流モードであるかにかかわらず、パルス電力電圧511の電圧を増加させ得ることが理解されるべきである。活性化信号754の「1」モードは、3.3V、5V、又は任意の他の所望の電圧レベルなどの任意の適切な電圧であり得る。
【0123】
スイッチSW1は、パルス電力電圧511をサブコントロールユニットに接続するスイッチであり、サブコントロールユニットは、次いで、刺激パルス信号512を選択された電極対に転送する。上記で示したように、抵抗器R1の抵抗は非常に低く、そのため、出ていくパルス信号512の電圧に実際に影響を及ぼすことはない。制御又は活性化パルス754は、このことから、スイッチSW1を繰り返し開閉して、パルス電力511が刺激パルス信号512としてスイッチSW1を通過することをそれぞれ禁止又は許可し、回路U1は、電流が抵抗器R1において引き起こす低値抵抗器R1の両端間の電圧降下を連続的に測定して、治療される筋肉を通って流れる電流の量を間接的に決定する。
【0124】
回路U1は、回路装置513が電流モードであるか電圧モードであるかにかかわらず、電流(即ち、抵抗器R1を通る電流によって引き起こされる抵抗器R1の両端間の電圧降下)を測定することに留意されたい。スイッチSW2が開いているとき(「0」モード)、即ち装置が電圧モードにあるとき、回路U1は、単に抵抗器R1にわたる電圧降下を測定することができるが、出力537から離れてサブコントロールユニット122に進む出ていく刺激パルス信号512における出ていく電流を効果的に制御することはできない。マスタユニットのCPUから入ってくる活性化パルス754は、(「1」モードにあるときに)スイッチSW1を閉じることによって高電圧パルス電力511がスイッチSW1を通過して、出力537において出ていく刺激パルス信号512を生成することを可能にする低レベルパルスである。パルス電力511は、マスタユニットのCPUによって制御されるように、10~40Vなどの任意の適切な電圧を有し得る。
【0125】
スイッチSW2が閉じられると(「1」モード)、マスタユニット266のCPUから入ってくる設定信号750のデジタルモード(「0」又は「1」)によって設定されるように、回路U1は、刺激信号512の出ていく電流に影響を及ぼすことができる。回路U1は、抵抗器R1にわたる測定された電圧降下によって決定されるような電流が回路U1における上限閾値(停止電流)まで増加したときに、活性化信号754中にSW1制御ピンをGNDに接続することによって、スイッチSW1を一時的に開くことができる。回路U1が、抵抗器R1の両端間の電圧降下が増加し、そのため、対応する電流が上限閾値、即ち停止電流値(回路U1 759上の電流制限ピンによって設定される)に達したことを検出すると、回路U1は、SW1制御ピンをGNDに接続して活性化パルス754を停止し、そのためスイッチSW1が開く。スイッチSW1が回路U1によって一時的に開かれると、開始電流値516が、パルス754がスイッチSW1を閉じることを許可にすることによってパルス754がスイッチSW1を再び閉じるように、回路U1がSW1制御ピンをGNDから解放するときに達するまで、抵抗器R1の両端間の電位差ΔVは低下する。より具体的には、電圧降下(ΔV)が低下し、そのため、開始電流516値に達したことを回路U1が感知すると、回路U1はSW1制御ピンを解放し、スイッチSW1は再び閉じ、そのため、パルス電力電圧511はスイッチSW1を通過し続けることができ、抵抗器R1の両端間のΔVは、電流が再び筋肉を通って流れ始めるので増加し始める。回路U1が抵抗器R2の後の信号754をGNDに接続するとき、SW1制御ピンへの活性化パルス754の電流は抵抗器R2によって制限される。抵抗器R1の両端間の電圧降下が電流開始516に達するようなものであることを回路U1が検出すると、回路U1はSW1制御ピンを解放し、スイッチSW1は再び閉じ、パルスの電圧は電極に接続され、電流は筋肉及び電極を通って流れ始めることができ、電流は、積分ヒステリシスを有する比較器756が活性化信号754を再び停止するときに停止電流518まで増加し、そのためスイッチSW1が開く。このようにして、回路U1は、スイッチSW2が閉じられるか又はアクティブであるとき、刺激パルス512のパルスデューティサイクル中に刺激された筋肉における電流の流れを制御する。開始電流と停止電流との間の電流の変動は、CPUが関与するのに十分な時間がないほど急速であることが理解されるべきである。これが、比較器756が使用される理由である。スイッチSW1への電圧は、抵抗器R1と、マスタユニット266のCPUによって送られるスイッチSW1への活性化パルス754とを介して生成され、スイッチSW1は、活性化/制御信号754によって活性化又は非活性化される。活性化/制御信号754が回路U1によって一時的に停止され、スイッチSW2が電流モードにあるとき、これは次にスイッチSW1を開き、そのため、パルス電力電流511は、スイッチSW1を通って流れることができない。マスタユニット266のCPUが抵抗器R2を介して制御信号754中のパルス活性化コマンド(即ち「1」コマンド)を送出すると、スイッチSW1が閉じ、パルス電力電圧511は、スイッチSW1を通過することができる。サブコントロールユニット122が、次いで、選択された電極対及び筋肉にパルスを送ると、電流の流れが始まり、これは、抵抗器R1にわたって電圧降下を生成する。抵抗器R1の両端間のこの電圧降下は、回路U1によって連続的に測定され、回路U1は、この電圧降下をフィードバック信号に変換し、このフィードバック信号は、パルス電流値信号752としてマスタユニットのCPUに送られる。マスタユニット266中のCPUは、刺激信号512の出ていくパルスの電流の値として信号752中の電圧降下情報を読み取る。マスタユニットのCPUが電流モードを選択したとき(即ち、設定信号750が「1」モードにあるとき)、スイッチSW2は、活性化又は閉じられる。回路U1によって測定された対応する電流(抵抗器R1の両端間の電圧によって測定される)は、マスタユニットのCPUによって設定された電流の上限閾値又は電流制限と比較される。電流が上限閾値電圧値(図11Bの停止電流518)に達すると、トランジスタ又はスイッチ762は、SW1制御ピンをGNDに接続して、回路U1中の電流制限器比較器756によって決定されるように、抵抗器R2(抵抗器R2は電流制限器である)の後で制御/活性化信号754を短絡させる。これは、システム中の総抵抗を考慮して、パルス電力511の電圧が十分に高く、そのため、電流が停止電流518よりも高い値まで増加するであろうと仮定する。電流が上限閾値に達すると、電流制限器比較器756は、抵抗器R2の後で信号754を短絡し、そのため、スイッチSW1が開き、電流の流れが停止し、電流が減少し始める。電流が開始電流516まで減少すると(図11Bに示すように)、スイッチ762はSW1制御ピンを接地GNDから切断し、そのため、パルス電力511はスイッチSW1を通過することができ、電流は再び流れ始めることができる。パルス信号754は、抵抗器R2の前では「1」モード(3.3~5V)であるが、スイッチ762が閉じられ、パルス信号754を接地758に導くとき、抵抗器R2の後では「0」モード(即ち、電圧が0)である。抵抗器R2は、それを通って流れることができる電流の量を制限するので、接地への短絡が存在するときにCPUを保護する。抵抗器R2は、5~15オームの範囲内であり、より好ましくは約10オームであり得る。スイッチコントローラ760は、パルス信号754の「0」モードへの変化を感知し、スイッチSW1を開く。スイッチ/トランジスタ762の開閉は、電流制限比較器756によって制御される。比較器756は、CPUが電圧値759を送ることによって電流の値を設定することができるように、マスタユニットのCPUによって制御される電流制限入口757を有する。開始電流516と停止電流518との間の差は好ましくは一定であり、信号759は、例えば停止電流518のレベル又は制限を設定し、それは、開始電流と停止電流との間の差(デルタ)が好ましくは同じままであり、比較器756のヒステリシスによって決定されるので、信号759が開始電流516についての制限も間接的に設定することを意味する。好ましくは、電圧差は、典型的には、約20mVであるべきであるが、別の値に設定することもできる。このようにして、信号759は、信号752でマスタユニット266のCPUに送られる平均電圧値(平均電流値に等しい)を増加又は減少させることができる。比較器756は、増幅された電圧降下信号765の値を電圧値759の電流制限と比較し、電圧降下信号765が電流制限(図11Bの停止電流518)に達すると、比較器756は、スイッチ/トランジスタ762を閉じ、そのため、活性化パルス754は接地758に進み、スイッチSW1が開く。これは、抵抗器R1を通る電流が停止し、刺激信号512の電流が減少し、電圧(ΔV)が開始電流516(図11Bを参照)に等しいレベルまで減少し、次いで、比較器756がスイッチ762を開き、そのため、スイッチSW1が再び閉じ、回路U1からの電圧降下信号765の増加によって示すように、刺激信号の電流が増加し始める。スイッチ762は、抵抗器R1の両端間の電圧(ΔV)によって示す電流が停止電流値まで増加し、スイッチ762が比較器756によって再び閉じられるまで、開いたままにされる。比較器756は、比較器が電流値を比較する上限レベル及び下限レベルを有するように、予め設定されたヒステリシス値を有し得る。好ましくは、比較器は、電流開始値516(及び電流停止値518)に対応する1つの組み込みヒステリシス値を有し、マスタユニットのCPUは、停止電流518についての値を設定する。スイッチ762の開閉は極めて迅速(ナノ秒など)であり、パルス494のデューティサイクル中に生じ、そのため、スイッチ762はパルス中に何度も開閉される。回路装置が電流モードにあるときに電流が開始電流516から停止電流518まで増加することができるように、パルス電力512の電圧が十分に高いことが重要である。電流の量は、筋肉、電極、及び配線における抵抗によって決定される。
【0126】
電流は、このことから、図11Bのパルス519に示すように、上限停止電流518と下限閾値(開始電流516)値との間で変動する。スイッチSW1の開閉は、刺激パルス494のデューティサイクル中に生じ、そのため、時間フレームは非常に短く、即ちナノ秒である。筋肉を通って、即ち筋肉上に据え付けられた電極対の間を流れる電流のサイズは、筋肉における自然抵抗と、信号759によって選択される電流とによって部分的に決定されることに留意されたい。
【0127】
本発明の原理を、例えば、手が下方位置に固定され、患者が手を上方向に回転させることができないように、前腕に対して強張った手又は手首に適用することも可能であり得る。今日では、手は、上方向に強制的に動かさなければならない。これは患者にとって非常に不快である。本発明の重要な特徴は、まず前腕の上側に位置する主動筋に刺激信号を送り、前腕の下側に位置する緊張した拮抗筋を間接的に弛緩させることである。拮抗筋の弛緩の量は、拮抗筋における電圧出力(EMG)の量と、電極対に接続されたときにこれがどのように変化したかとを測定することによって決定され得る。伸ばされるべき筋肉の抵抗がより小さくなるように拮抗筋がある特定の時間期間にわたって弛緩された後、比較的高い電圧又は電流信号が前腕の上側に位置する主動筋に送られ、そのため、主動筋は十分に短縮して、主動筋の動き/収縮を引き起こして(弛緩した拮抗筋が伸びている間)、外部の機械的な力を使用せずに前腕に対して上方向に手首の手を持ち上げる。この刺激信号は、腕を動かすために刺激信号が刺激された筋肉を収縮させるように、(拮抗筋を弛緩させるために)主動筋を単に刺激するために使用されるパラメータよりも高い電圧、より高い所定の電流、又はより長いパルス長(デューティサイクル)を有し得る。
【0128】
図12は本発明の電極400の平面図であり、図13は電極の側断面図である。好ましくは、電極400は、金、銀、又は任意の他の導電性材料の導電層によって覆われた導電性ゴム材料を含む。電極は、鋭いエッジを有するべきではない。電極は、例えば、導電性織繊維又は銀糸、金糸、銅線、ステンレス鋼外科用ワイヤ、及びシリコンワイヤで作られ得る。
【0129】
電極400は、電極の例示的な例であり、図4のボディスーツ100に示す電極134、136などのうちの1つであり得る。電極400は、金又は任意の他の適切な導電性材料などの金属めっきを有する薄い導電性ゴムで作られた突出する中間セクション402を有する。中間セクション402は、柔軟な充填材料を含有し得、及び/又は膨張可能であり且つ議論の余地があるように中空であり得る。好ましくは、ボディスーツ100の布404は、布が中間セクション402の外側部分408に重なるように、中間セクション402の外縁406上に延在する。布404は、接着剤を使用するなどの適切な方法で外側部分408に取り付けられる。導電性金属めっきを使用することの1つの利点は、ボディスーツ100を着用している患者の皮膚上でより良好に摺動することである。ゴム材料で作られた従来の電極は、皮膚に対して、ボディスーツを着脱することをより困難にする高摩擦を有する。中間セクション402の低摩擦係数は、電極が皮膚上で摺動するようにボディスーツが患者に着脱されるときに重要である。電極400の後側は、ゴム材料の導電層を有し得る。好ましくは、外側部分408の外側の布404は、ボディスーツに縫合される。中間セクション402は、外側部分408を越えて外側に延在する導電性コネクタ410を有する。コネクタ410は、サブコントロールユニットのうちの1つに接続された可撓性導電性ワイヤ412と重なり得る。コネクタ410の外側部分414は、ワイヤ412の外側部分416に、それらを縫合することなどによって取り付けられ得る。中間セクション402は、皮膚と電極との間の接触を改善するためにボディスーツ100を着用している患者の皮膚422に対して付勢されるように、中間セクション402がボディスーツ100の布420から離れて突出するように、柔軟なスポンジ状材料418で充填され得る。電極400はまた、布404を通って延在する管状部分424を含み得る。管状部分424は、電極400の内側401を膨張させるために使用され得るバルーン形状ポンプ426に接続され得、そのため、電極400は、より拡張及び突出して、金属中間セクション402と皮膚422との間の電気的接触を更に改善する。重要な特徴は、管状部分424及び/又はバルーン形状ポンプ426が取り外し可能に取り付けられ得、そのため、それらは取り外され、ポンプアップすることによって拡張される必要がある別の電極に接続され得ることである。中間セクション402が硬くなりすぎたときに圧力/空気を解放するための弁を電極に設けることも可能であり、弁は、ポンプ426が取り外されたときにが自動的に閉じる。布404の後部は、電極をボディスーツ100の布に縫合することができるように縫合可能である。好ましくは、中間セクション402のみがポンピングされ、コネクタ410はポンピングされない。電極は、弾性ボディスーツに織り込むことができ、電極は、導電性糸で織り込まれる。サブコントロールユニットに対する導体はまた、導電性糸でボディスーツに織り込むことができ、そのため、導体をサブコントロールユニットに接続することができ、縫合可能な接続部が共に縫合される。
【0130】
図14は、シリアルデータバスを使用することによってサブコントロールユニットに電力、データ、及びパルスを送る1つの可能な解決策を示す。マスタユニットが、サブコントロールユニットが何をすべきかに関する命令を有するデータをサブコントロールユニットに送出することができるように、サブコントロールユニットに送られる電力(電力3V3、5V、及びGND)上にデータを重畳することが可能である。命令が特定のサブコントロールユニットによって受信されると、データ中の命令に基づいて、特定のサブコントロールユニットは、より高い電圧レベル(20~40Vなど)で第1のパルスを受信したときに、命令のプログラムされた送信リスト中にある第1の電極対にパルスを送るべきであることを知っている。第2のパルスがサブコントロールユニットに到達すると、第2のパルスを命令リスト等にリストされた次の電極対に送る。好ましくは、サブコントロールユニットが刺激パルスをデータパルス及び電力パルスから容易に区別することができるように、刺激パルスは、常に電力電圧及びデータパルスよりも高い電圧レベルである。データ情報は、好ましくは、サブコントロールユニットのCPUに高周波数で送られる。2つのワイヤのみを使用することは、単に適切な解決策の例に過ぎず、2つよりも多いワイヤも使用され得る。例えば、3つのワイヤは、各サブコントロールユニットに使用され得、2つのワイヤは、電力、正極及び負極、並びにデータに使用され、第3のワイヤは、パルスを送るために使用される。データ命令はまた、Wi-Fi、Bluetooth、等などのワイヤレス通信技術を使用することによって送られ得る。2つのワイヤを使用することも可能であり、2つのワイヤは、電力及びパルスの両方を送るために使用され、データは、Wi-Fi、Bluetooth、等などのワイヤレス通信技術によって送られる。パルス494及びデータパルスと刺激パルスとの間の時間ギャップ498を例示するために、サブコントロールユニット122へのパルス信号512の一部分を図14に示す。マスタユニット266が、高電圧刺激パルス間のデータユニット530を、マスタユニット266からそれぞれ延長部124b、130b及びワイヤ124a、130aを介してデータユニット530を受信するサブコントロールユニット122(図5を参照)などのサブコントロールユニットに送ることが可能である。データユニット530は、好ましくは、スタートアップ中にサブコントロールユニットに送られ、そのため、サブコントロールユニットは、どの電極がいつ活性化されるべきかに関するデータユニット中の命令を受信する。言い換えれば、データユニット530は、まず、データユニット530の後に来るパルス494で何をすべきかに関する命令と共にサブコントロールユニットに送られる。マスタユニット266は、マスタユニットからサブコントロールユニットに延在するワイヤを介してサブコントロールユニットに電力を供給し得る。データユニットは、パルス494がマスタユニット266のCPUから到達したときに、サブコントロールユニットがどの電極及び電極とパルス長との組み合わせにパルス494を分配すべきかに関する情報を含み得る。全てのサブコントロールユニットがデータを受信するが、それらは異なるアドレスを有し、そのため、マスタユニットは、データを正しいサブコントロールユニットにアドレス指定することができる。データ情報がサブコントロールユニットについて誤ったアドレスを有する場合、サブコントロールユニットはそれを読み取らない。刺激パルス中にデータは送られるべきではなく、好ましくは、サブコントロールユニットへの刺激パルスは、データフローも制御するマスタユニット266から生成される。上記に示したように、2つのワイヤを有するシリアルデータバスを使用する代わりに、3つのワイヤを使用することも可能であり、ワイヤのうちの2つは電力に使用され、第3のワイヤは刺激パルスを搬送するために使用され、そのデータは適切なワイヤレス技術を介して送ることができる。データがワイヤレス技術によって送られている間に電力を供給するために使用される2つのワイヤを使用することも可能である。正線又は負線でマスタユニットとサブコントロールユニットとの間でデータを送るような1線式データ送信を使用することも可能である。ボディスーツは、例えば、一方のマスタユニットが腕を刺激し、他方のマスタユニットが脚を刺激するために使用されるように、複数のマスタユニットを有することもできる。マスタユニットはまた、いくつかの電力、データ、及びパルス出力回路を有することができ、そのため、マスタユニットは、スーツの後側から独立したスーツの前部又はスーツの下部から独立したスーツの上部を動作させるなど、いくつかの独立した回路を駆動する。
【0131】
図15は、筋肉を介した2つの電極間の電流の方向を、正極が負極に変化し、逆もまた同様であるように、どのように変化させることができるかの概略図である。電流がまず筋肉の付着点又は第1の端部から筋肉の起始点又は第2の反対側の端部に流れ、次いで起始点又は第2の端部から付着点又は第1の端部に流れるように、即ち電流が筋肉を通って往復するように、電流の流れを断続的に切り替えることも可能であり得る。方向が反対方向に切り替えられる前に、1つよりも多くのサイクルにわたって一方向に流れることも可能であり得る。重要で驚くべき洞察は、電流の方向の切り替えが、治療/刺激された筋肉における自然抵抗の増大を経時的に低減することによって刺激の有効性を改善し、患者の皮膚状に赤い炎症が生じるリスクを低減することである。筋肉は、キャパシタと同様に、筋肉においてキャパシタ効果を有することが発見されている。好ましくは、サブコントロールユニット122のCPU531は、マスタユニット266から受信された命令に基づいて、どの電流方向が使用されるべきかを決定する。パルス長の50%後に極性がシフトされるか、又は1つのパルス中に数回シフトされるなど、各刺激パルス中に方向を切り替えることが可能である。電極に送られる各刺激パルスの後に方向を切り替えることが可能であるか、又は電流の方向が切り替えられる前に10個のパルスなどの多数のパルスが送られ得、次いで、例えば、方向が再び切り替えられる前に別の10個のパルスを送ることが可能である。もちろん、方向を切り替えることなく筋肉を通して同じ方向に電流を流すことが可能である。
【0132】
サブコントロールユニット122のCPU531は、パルスがサブコントロールユニットに到達したことをCPUが知るように、電力線533を介してマスタユニット266から電力を受け取り、パルス(図16のパルス入力782を参照)も受信する。図15を参照すると、ユニット122は、マスタユニット266の出力537から送られたパルス信号512を受信する出力ユニット535を有する。出力ユニット535は、接地706を有する。マスタユニット266からのパルス刺激信号512は、図10に示す装置513を介して送られる。サブコントロールユニット122のCPU531は、パルスを線543を介して出力ユニット535にいつ送出するかに関する命令を送るI/Oユニット539を有する。より具体的には、ユニット539は、「0」命令又は「1」命令のうちのいずれかを送出し得、「1」命令は、出力ユニット535が、マスタユニット266から入ってくる刺激パルス512を電極に転送するために、ある特定の時間期間にわたって刺激出力パルスを導出することを表し得る。「0」命令は、刺激パルス信号512が出力ユニット535を通過することができないように、出力ユニット535が閉位置に切り替えられて出力機能を閉じることを表し得る。CPUユニット531はまた、どの電流方向を使用するかに関する「0」又は「1」命令を線545を介して出力ユニット535に送出するI/Oユニット541を有する。「0」命令は一方向を表し得、「1」は反対の電流方向を表し得る。電極134が正極であり、電極136が負極である場合、電流は、出力ユニット535から電極134にワイヤ134aを介して筋肉を通って電極136に流れ、ワイヤ136aを介してサブコントロールユニット122の出力ユニット535に戻り、接地(GND)に流れる。電極134と136間との矢印702及び704は、電流の流れの方向を変更することができることを示す。図5に示すように、サブコントロールユニット122は、電極134a、136aにそれぞれ接続された延長部134b、136bだけに限定されず、好ましくは少なくとも8つのそのような延長部を有する。例えば、電極134又は136が1つ以上の他の電極と組み合わされるように組み合わせを作成することも可能であり、そのため、複雑な治療パターンが、マスタユニット266中のCPUからの命令を用いてCPU531によって作成され得る。
【0133】
図17は、分配ユニット770がどのように電力、データ、及びパルスを受け取り、サブコントロールユニット122(図15にも図示)などのサブコントロールユニットのCPU531及び出力ユニット535に信号を分配するかを例示する。一般に、例えば2つのワイヤ124、130で最終的に送信されるシリアルデータバス情報(即ち電力、データ、及びパルス)は、まず、サブコントロールユニットのCPU及び出力ユニットに接続された5つの別個の線に分けられるか又は分割される。好ましくは、分配ユニット770は、サブコントロールユニット122の一部及びマスタユニット266の一部である。図16図15と同様であるが、より詳細を示し、2つの電極134、136だけの代わりに8つの電極134、136、138、140、142、144、146、及び148と、図15に示す1つの出力ユニット535だけの代わりに4つの出力ユニット535a、535b、535c、535dとを含む。このシステムでは、マスタユニット266は、ボディスーツ中の全てのサブコントロールユニットに電気的に接続された図17のワイヤ124及び130などの2つのワイヤ及びマスタユニット266に向かう他のワイヤ対のみを使用することによってサブコントロールユニット及び電極と通信している。図17のワイヤ124などの1つのワイヤは、マスタユニット266から受け取られた例えば+3.3VのVCC電力、データ1パルス530及び刺激パルス494をサブコントロールユニット搬送することができる。ワイヤ130などの他のワイヤは、接地(GND)として機能し、データ2パルス772を搬送することができる。データ1パルス530及びデータ2パルス772は、マスタユニットと全てのサブコントロールユニットとの間の通信に関する。他のデータバス構成も使用され得る。ユニット770は、データがCPU531のデータ入力データIN1 774に進むように、データ1パルス530をユニットC1によってVCCから分離する(図16に最も良く図示)。データ2パルス772は、ユニット770によってユニットC2によってGNDからCPU531の入力データIN 2 776に分離される。電極への刺激信号512のパルス494は、データが送られないときにサブコントロールユニットに送られる。このパルス494は、CPU531によって入力782において抵抗780及びツェナーダイオードD1(図16)を介してパルス入力782に読み取られる。このパルス494はまた、サブコントロールユニットがパルスを送出するとき、電極へのパルス入力796及びパルス出力798として535a、535b、535c及び535dに進む。CPU531は、パルス出力許可機能794を活性化することによって、刺激信号512のパルス長を同じに保つか、又は短くすることができる。同じ原理が、全ての他の出力ユニット535b~dに適用される。
【0134】
図17の分配ユニット770は、高電圧パルスが高電圧に耐えることができない任意のコンポーネントを破壊しないように、電子コンポーネントの保護を提供する。分配ユニット770は、VCC電力信号784(+3.3Vなど)をサブコントロールユニット122に分配して、サブコントロールユニット122のコンポーネントに電力を供給し、GND786を介して接地する。CPUは、電極間の矢印によって例示するように、電極の電流方向788a、788b、788c、788dに関する出力ユニット535a、535b、535c、及び535dの電流方向と、図16の電極134、136、138、140、142、144、146、及び148の極性をどのように切り替えるかとを制御する。矢印790、791、792、及び793のみが、例えば電極134が電極136の代わりに電極138と対にされるように、電極対も変化し得ることを例示する。電極は任意の組み合わせで対にされ得、電極対134及び136並びに電極対134及び138は単なる例に過ぎないことが理解されるべきである。これは、電極134が例えば正極であり、その一方で電極138が負極であることを意味する。電極134は、任意の他の電極と対にされ得る。1つの電極は正極でなければならず、対にされた電極は負極でなければならないので、電極のうちの任意のものを互いに対にすることを可能にするために、電極が極性を変更し得ることが重要である。電極の極性の変更は、筋肉を新たらしい異なる方法で刺激することを可能にする。これは、電極の極性が固定されているときには可能ではない。
【0135】
マスタユニットとサブコントロールユニットとの間のシリアルデータ1及び2には、パルスがサブコントロールユニットから電極にどのように送出されるべきかに関する情報を含む。刺激パルスがパルス入力778を介してサブコントロールユニットに到達すると、CPU531はまず、サブコントロールユニットに到達した刺激パルスを認識するか、又はそれによって活性化されなければならない。これは入力782によって決定される。次いでサブコントロールユニットのCPUは、刺激パルスがどの電極対に送られるべきかを選択し、CPUは電流方向を設定し、次いでCPUは、刺激パルスが通過してユニット535a、535b、535c、又は535d上にパルス出力することを可能にする。好ましくは、線778を介してマスタユニットから受信される刺激パルスのパルス長又はデューティサイクル(200マイクロ秒など)は、出力ユニット535aから電極134及び136に送られる刺激パルスの最大パルス長(175マイクロ秒など)よりも僅かに長いべきである。入ってくるパルスのパルス長が電極への出ていくパルスよりも僅かに長い限り、パルス長の正確な値は重要ではない。サブコントロールユニットは、サブコントロールユニットが正しいパルス長を設定するように、刺激パルス長を知る。パルス長の差(25マイクロ秒など)は、出力ユニット535aが入ってくる刺激パルスを受信し、刺激パルスを正しい電極に正しい長さで送ることを可能にする。
【0136】
図18は、電極が脳からの微弱な電圧信号を測定するように、ボディスーツ100を着用する患者の脳信号800を読み取るボディスーツ100の概略図である。ボディスーツ100の上部のみを図18に示し、ボディスーツ100の他の部分は、同様に全ての参照番号を含む図4に示すボディスーツと同一である。スーツ100は、弾性及び可撓性ワイヤ806を介してワイヤ155に電気的に接続された正極804と、弾性及び可撓性ワイヤ810を介してワイヤ157に電気的に接続された負極808とを有する第6のコネクタ802を有する。第6のコネクタ802は、弾性及び可撓性ワイヤ816を介して第7のサブコントロールユニット814に電気的に接続される正極812と、弾性及び可撓性ワイヤ820を介してサブコントロールユニット814に電気的に接続される負極818とを有する。サブコントロールユニット814は、いかなる筋刺激機能も有さないという点で他のサブコントロールユニットとは異なるが、脳800の脳信号活動に関する情報を電極から受信し、この情報をシリアルデータバスを介してマスタユニット266に送信するために使用される。マスタユニット266は、情報を受信し、どの刺激が活性化されるべきかを決定する。サブコントロールユニット814は、システムに入力を提供することができ、そのため、システムは、これらの信号の助けを借りて、ボディスーツを着用している人がどの身体部分を動かしたいかを知覚することができる。これは、マスタユニット266が、腕を動かすことなどの所望の筋肉の動きを実行するためにどの筋肉が活性化されなければならないかを学習するために、ヘッドバンド832の内側又は下頸部の高さ若しくは上部脊髄における電極によって感知された脳電圧信号(EEG信号)を解釈するために介入するところである。本発明は、単に脳レベルで信号を読み取ることに限定されない。患者が電極を有するヘッドセット又はヘッドピースを着用することを必要とせずに、動きの要求を読み取るために、下頸部の高さ又は上部脊髄において脳が送る信号を読み取るためにボディスーツを使用することも可能である。ヘッドセットを必要とすることなく、上頸筋、顎筋、胸鎖乳突筋及び側頭筋における信号を測定して脳信号を読み取るために、ボディスーツを使用することができる。
【0137】
マスタユニット266は、様々な筋肉の動きについての以前に記録及び記憶された脳電圧波パターンを含むデータベースを有し得、そのため、ある特定の脳電圧波パターンが受信されると、マスタユニットは、まず、入ってくる脳信号のパターンを分析し、次いで、そのデータベースを検索して一致する脳信号パターンを見つけ、次いで、この一致する脳信号パターンは、どの電極が活性化されるべきか、及び、図9に例示する動きなどの所望の筋肉動き又は刺激をどの順序で実行すべきかに変換される。サブコントロールユニット814は、電極824、828から入ってくるデータを保存及び分析し、マスタユニット266にデータを送るCPUを含み、マスタユニット266は、どの電極がスーツ中で活性化されるべきかを決定する。マスタユニットがデータを要求すると、サブコントロールユニット814はシリアルデータバスを介してマスタユニット266にデータを送出することが理解されるべきである。
【0138】
モジュール中のサブコントロールユニットと同様に、サブコントロールユニット814は、ワイヤ822を介して電極824に電気的に接続され、ワイヤ826を介して別の電極828に電気的に接続される。サブコントロールユニット814とコネクタ802との間に2つよりも多くのワイヤが使用され得ることが理解されるべきである。電極は、好ましくは、弾性ヘッドバンド832によってヘッド830に対して付勢される。図18は、2つの電極のみを例示するが、脳800の脳電圧信号を監視して、人がどの筋肉を使用しようと考えているかを決定するために、より多くの電極が必要に応じて使用され得る。ボディスーツは、胸鎖乳突筋、側頭筋、咬筋、僧帽筋、後頭下筋、頸髄起立筋において信号を読み取るために使用され得る。ボディスーツは、頭部及び頸部の重要な筋肉の測定を行うために使用することができる。
【0139】
第1の筋肉におけるEMG測定値を記録及び記憶することができる。EMG活性化の記録は、スーツ中の電極を使用することによって、患者/使用者中の任意の他の筋肉の活性化と対にすることができる。スーツ電極を通した任意の他の筋肉の活性化は、第1の筋肉の活性化に接続することができる。例えば、使用者は、歯を食いしばるなどして、咬筋を活性化することができる。咬筋からのEMG信号は、膝伸筋の収縮を活性化するための開始信号とすることができる。四肢不全麻痺を有する患者/使用者は、頸髄損傷後に、顎閉鎖筋の活性化を通して立つ能力を回復することができる。別の例は、肩をすくめることが、ボディスーツ中のEMG電極によって測定される僧帽筋の活性化につながることである。僧帽筋の活性化は、腕を持ち上げる筋肉及び肘を曲げる筋肉の活性化と対にすることができる。この例では、肩をすくめることは、使用者が誰かを抱きしめることにつながり得る。
【0140】
図19は、マスタユニット266及び全てのサブコントロールユニットを電気的に駆動するために、好ましくは、6~10ボルト(又はそれ以上)などの使い捨て又は再充電可能なバッテリ850を含むマスタユニット266の概略図である。好ましくは、充電中にボディスーツ100に任意の望ましくない電圧が入ることを防止するために、バッテリは、マスタユニット中及びスーツ中にある間は充電することができない。外部バッテリ充電器が使用されるべきである。バッテリ850は、中央処理ユニット(CPU)854、ディスプレイ860、並びに全てのマスタユニット回路513(図10にも図示)及び全てのサブコントロールユニットに電力を供給する電源ユニット852に電気的に接続される。電力モジュール又はユニット852はまた、サブコントロールユニットに送られる刺激パルス512を生成するために使用される刺激パルス電圧511の電圧を、例えば約20V又は40Vにステップアップするステップアップ電圧回路856を有し、回路装置513及びCPUへの電力電圧は、例えば3.3V又は5Vであり得る。言い換えれば、回路856は、3~10Vなどのバッテリの電圧を約20~40Vまで増加させる。刺激パルス512において使用される正確な電圧は、CPU854及びそのソフトウェアによって決定される。マスタユニット266はまた、刺激パルスにおけるパルス長が所定の最大時間期間よりも長くないことを確実にする安全回路モジュールをハードウェア858中に有する。図10の装置513中のCPUへの言及は、装置513から情報を受信し、装置513に情報を送るために入力/出力を制御するCPU854への電気接続が存在することを意味する。マスタユニットは、療法士がマスタユニットのパラメータ及びプログラムを設定し、見て、変更し、また、以前の刺激実行中に収集されたマスタユニットからのデータを受信することができるようなインターフェースである使用者インターフェースユニット860を有する。表示ユニット860は、表示ウィンドウ862を含み得、刺激プログラムなどの刺激プログラムの実行を開始又は停止する開始/停止部864として切り替え、刺激プログラムを選択及び変更し、刺激プログラムの実行を一時停止することを可能にする。ユニット860は、音/警告信号を提供するブザー866と、インジケータとしてのLEDダイオード868とを有する。マスタユニット266はまた、ボディスーツ100中のサブコントロールユニットと、PC、パッド又は電話のようなコンピュータと、インターネット及びクラウドサービスと通信するために、Bluetooth、Wi-Fi、及びUSBデータ接続用の通信モジュール870を有する。マスタユニット266は、図17と同等の電力、正極、負極、重畳データ、及び刺激パルスを含む5つのタイプの信号を送るために、サブコントロールユニットに至る全ての配線を接続するインターフェース872を有する(参照番号770を参照)。
【0141】
図20は、図9と実質的に同様であるが、腕509の動きを登録する動きセンサ517を含む。動きセンサは、動きの測定が所望されるボディスーツ100の任意の部分上に配置され得、腕509の肘上のセンサ517の配置は、単なる例示的な例に過ぎない。センサ517によって感知された動きに関する情報は、ワイヤ519、521を介してサブコントロールユニット122に送られ、信号512が、腕509を動かすために筋肉502を収縮させるのに十分強いとき、又はボディスーツの使用者が腕を動かすことができるときに、身体の動きに対する刺激信号512の影響に関するフィードバックをサブコントロールユニット122に提供する。このようにして、サブコントロールユニットは、腕が動いたかどうか、及びどの程度動かされたかに関する情報を受信する。動きセンサにより、システムは、刺激パルスで生成された微細な動きであっても動きに関する情報を得ることができる。この情報はまた、刺激信号512のパラメータをそれに応じて調整することができるように、マスタユニット266に送られる。「スイートスポット」に到達したかどうか、即ち、例えば腕の物理的な動きを引き起こすことなく、脊髄からの応答をトリガする筋肉の正しい刺激に到達したかどうかを決定するために、筋肉レベルでの微細な動きを単に読み取ることも可能である。
【0142】
図21は、本発明の弾性でぴったりとしたボディスーツ1000の衣服の前側の概略図である。ボディスーツ1000は、ボディスーツ1000が右手グローブモジュール1002、左手グローブモジュール1004、右ソックスモジュール1006、及び左ソックスモジュール1008も含むことを除いて、図4及び18に示すボディスーツ100と実質的に同様である。ボディスーツ100の詳細な説明は、ボディスーツ1000にも適用される。明確にするために、ボディスーツ1000とボディスーツ100との間の違いのみがここで説明される。ボディスーツ1000の1つの重要な特徴は、上記で詳細に説明したように、それが、脳信号を読み取ることによって、並びに筋肉を電気的に弛緩及び刺激することによって、スーツを着用している患者が手、指、足、及び爪先を動かすことを可能にすることである。右腕モジュール102のサブコントロールユニット122は、右手コネクタ1014の正極1012に電気的に接続された弾性及び可撓性ワイヤ1010と、右手コネクタ1014の負極1018に電気的に接続された弾性及び可撓性ワイヤ1016とを有する。上記で詳細に説明した他のコネクタと同様に、右手コネクタ1014は、右手グローブモジュール1002を右腕モジュール102に電気的に接続する。
【0143】
右手グローブモジュール1002は、上記で詳細に説明したように、手1028の筋肉を弛緩及び刺激するために弾性及び可撓性ワイヤ1022a、1024a、及び1026aを介して電極1022、1024、及び1026に電気的に接続された右手サブコントロールユニット1020を有する。サブコントロールユニット1020は、正極1030及び負極1032に電気的に接続される。サブコントロールユニットは、ここでは3つの電極を有して示されているが、より多くの又はより少ない電極を有することができる。これは、図21の全てのサブコントロールユニットに当てはまる。
【0144】
左腕モジュール106のサブコントロールユニット228は、左手コネクタ1038の正極1036に電気的に接続された弾性及び可撓性ワイヤ1034と、左手コネクタ1038の負極1042に電気的に接続された弾性及び可撓性ワイヤ1040とを有する。左手コネクタ1038は、左手グローブモジュール1004を左腕モジュール106に電気的に接続する。左手グローブモジュール1004は、上記で詳細に説明したように、手1052の筋肉を弛緩及び刺激するために弾性及び可撓性ワイヤ1046a、1048a、及び1050aを介して電極1046、1048、及び1050に電気的に接続された左手サブコントロールユニット1044を有する。サブコントロールユニット1044は、正極1054及び負極1056に電気的に接続される。
【0145】
右脚モジュール110のサブコントロールユニット294は、右足コネクタ1062の正極1060に電気的に接続された弾性及び可撓性ワイヤ1058と、右足コネクタ1062の負極1066に電気的に接続された弾性及び可撓性ワイヤ1064とを有する。右足コネクタ1062は、右ソックスモジュール1006を右脚モジュール110に電気的に接続する。右ソックスモジュール1006は、上記で詳細に説明したように、右足1078の筋肉を弛緩及び刺激するために弾性及び可撓性ワイヤ1070a、1072a、1074a、及び1076aを介して電極1070、1072、1074、及び1076に電気的に接続された右足サブコントロールユニット1068を有する。サブコントロールユニット1068は、正極1080及び負極1082に電気的に接続される。
【0146】
左脚モジュール112のサブコントロールユニット320は、左足コネクタ1088の正極1086に電気的に接続された弾性及び可撓性のワイヤ1084と、左足コネクタ1088の負極1092に電気的に接続された弾性及び可撓性のワイヤ1090とを有する。左足コネクタ1088は、左ソックスモジュール1008を左脚モジュール112に電気的に接続する。左ソックスモジュール1008は、上記で詳細に説明したように、右足1104の筋肉を弛緩及び刺激するために弾性及び可撓性ワイヤ1096a、1098a、1100a、及び1102aを介して電極1096、1098、1100、及び1102に電気的に接続された左足サブコントロールユニット1094を有する。サブコントロールユニット1094は、正極1106及び負極1108に電気的に接続される。このことから、ボディスーツを着用している患者の足及び手からの動き及び電圧信号を測定することも可能である。
【0147】
本発明のボディスーツ1000はサブコントロールユニットを有するので、グローブ及びソックスモジュール上の電極を活性化することによって、手及び足への刺激を拡張することが可能である。マスタユニット266がサブコントロールユニット1020と通信してサブコントロールユニット1020に接続された電極を制御することができるように、腕モジュール102などの1つのモジュールを取り外し、コネクタ128を右手コネクタ1014に直接電気的に接続することも可能である。モジュールの取り外しのこの原理は、全ての他のモジュールに適用され、即ち、1つのモジュールを取り外し、次いでコネクタを互いに直接接続することができる。
【0148】
動作中、刺激治療の開始時などに、パルス長、刺激パルスの電圧レベル、及び電流レベルを増大又は徐々に増加させて、治療を患者にとってより快適にすることが可能である。言い換えれば、治療は、軽度の刺激で開始し、それは、患者が刺激信号を感じるのに慣れたときに刺激信号をより強力にするために徐々に増加される。必要に応じて、治療の終了時、又は刺激パルスが患者にとって強すぎるか又は強力すぎるとき(即ち、刺激信号が例えば腕の望ましくない動きを引き起こすとき)などに、パルス長、刺激パルスの電圧レベル、及び電流を低減することも可能である。より具体的には、装置513が電流モードにあるとき、パルス電力511の電圧が停止制限電流518における電流に対して十分に高いと仮定して、信号759における電流制限によって設定された電流を徐々に増加させることが効果的である。増大期間は、完全な治療電流に達する前の5~10分間であり得る。治療期間は、40~60分であり得る。治療期間は、これより長いことも短いこともあり得る。治療期間が終了すると、患者にとって快適にするために、信号759における電流制限を徐々に下げることによって低減する、即ち5~10分にわたって電流を徐々に低減することが可能である。パルス長も同様に増大され得るので、パルス長が175マイクロ秒である場合、第1のパルスは30~50マイクロ秒長であり得、これは5~10分で完全なパルス長に達するまで徐々に増加される。パルス長はまた、5~10分にわたって同様の方法で治療の終了時に低減することができる。パルス長の増減は、電圧モード及び電流モードの両方に適用される。装置513が電流モードにあるときにパルス電力511の電圧を上昇させることは、装置513が次いで自己調整し、比較器756が信号759で提供される電流制限レベルの結果として電流を設定するので、より効果的ではない。電流モードにあるときの唯一の電圧要件は、停止電流518を達成するのに十分に高くなければならないことである。刺激信号512の電流が増大されると、これは、マスタユニット266のCPUに進むパルス電流値信号752(図10を参照)に反映され、そのため、CPUは、同様にマスタユニット266のCPUによって送られる信号759における電流制限を上昇させた結果として電流が実際に徐々に増加しているというフィードバックを受信する。電流開始516と電流停止518との間の変動は、パルス長495よりも(ナノ秒範囲で)短いので、信号752における電圧値は、電流開始516と電流停止518との間で変動する電圧又は等価電流の平均を表す。このようにして、パルス電流平均値信号752は、信号759における電流レベルの変化に対するフィードバック信号として機能する。信号752における対応する電流値は、図11Cに示すように、筋肉を通って1つのパルスで流れる実際の電流の値が未知であるか、又は少なくとも制御が困難であるので、装置513が電圧モードにあるときに特に重要である。電圧モードにあるとき、及び信号752における対応する平均電流が高すぎるとき、マスタユニット266のCPUは、パルス電力511の電圧を下げることができる。同様に、信号752で報告されるように平均電流が低すぎるとき、CPUは、図11Cに示すように、各パルスにおいて筋肉を通って流れる正確な電流を知ることは困難であるが、所望の電流に達するまで、電圧モードにあるときにパルス電力511の電圧を増加させることができる。
【0149】
電流モードにあるとき、及び刺激信号512の電流が高すぎる場合、動きセンサ517(図20を参照)は、筋肉の動き又は収縮、例えば、腕509をサブコントロールユニット122に進む信号519、521で報告するものとして感知することができ、サブコントロールユニット122は、装置513が電流モードにあるとき(図10を参照)、回路U1の比較器756に進む信号759の電流制限を下げる動き情報をマスタユニット266に転送し、サブコントロールユニットはまた、パルス長を短縮して刺激を下げることができる。電流が高すぎ、装置513が電流モードにある(信号750が「1」モードにある)とき、マスタユニット266のCPUが刺激信号512の各パルス494のデューティサイクル又はパルス長495を短縮するか、又は電流制限レベル759を下げることも効果的であり得る。マスタユニット266のCPUは、装置513が電圧モードであるときにパルス長を短縮することも可能であるが、筋肉を通って流れる電流は、パルスの先頭にピーク521(図11Cを参照)を含むので、パルス長を僅かに短縮してもピーク521が取り除かれないので、パルス494の先頭に電流ピーク521が発生してからパルス長が175マイクロ秒から100マイクロ秒などに僅かに短縮されたとしても、ボディスーツを着用している患者にとって刺激信号は依然として不快であり得る。電流モードは、電流が電流開始516と電流停止518との間でのみ変動するので、この欠点を有さない(図11Bを参照)。
【0150】
拮抗筋508上に据え付けられた電極138、140からの電圧信号間の差を測定することも可能である。この電圧差は、増幅器127(図9を参照)によって増幅され、サブコントロールユニット122中に記憶される。サブコントロールユニット122は、次いで、時間間隔を置いて電圧差をマスタユニット266に報告し得、そのため、マスタユニットは、筋肉502の刺激信号512のパラメータが変更されるべきかどうかを決定することができる。電圧差が高い場合、これは、筋肉508が十分に弛緩していないことを意味し、筋肉502の刺激は、装置513が電流モードであるときに電流を上昇させるか、又は装置513が電圧モードであるときに電圧を上昇させるなど、信号512のパラメータを上昇させることによって増加すべきである。
【0151】
1つのマスタユニットがボディスーツの第1のモジュール中で第1のプログラムを実行し、第2のマスタユニットが第2のモジュール中で第2のプログラムを実行するように、1つよりも多くのマスタユニットをボディスーツに接続することも可能であり、第2のプログラムは第1のプログラムとは異なる。このようにして、第1のプログラムに関連する刺激パルス、周波数、等は、第2のプログラムに関連する刺激パルス、周波数とは無関係である。多くのマスタユニットをボディスーツのコネクタに接続することができる。腕モジュールのみが使用される場合、マスタユニット266は、コネクタ128又はコネクタ194において接続することができる。好ましくは、1つ以上のマスタユニットは、ボディスーツ上のコネクタのうちの任意のものに接続可能である。
【0152】
図22A~22Cは、電圧モードを使用することの欠点を例示する。電極及び筋肉の抵抗値は、本発明の原理を説明するための単なる例示的な例に過ぎないことが理解されるべきである。他の抵抗値も使用され得る。図22Aを参照すると、及び図11C~11Dに関して詳細に説明したように、筋肉を通って流れる初期電流(装置513が電圧モードにあるとき)は、パルスフランク中にピーク値521に達し、これは例えば約25mAであり得、これは急速に作動電流レベル525まで減少し、これは例えば、電極における内部抵抗が約100オームであり、筋肉抵抗が約6500オームであり、パルス電圧が20Vであるときに約3mAであり得る。この例では、約0.3Vが各電極で失われる。各電極における内部抵抗は、約1000オーム又は1000オームよりも実質的に高い任意の値まで増加し得る。抵抗が1000オームであるとき、電流は20V/8500オーム=2.35mAであり、それは筋肉を通って進む最大電流である。筋肉はキャパシタのようなものであるので、筋肉を通して電極間にキャパシタンスが存在するので、最大充電電流は10mA(20V/2000オーム=10mA)以下である。ピーク521の後の電流最大値のレベルは、総抵抗(即ち電極の抵抗+筋肉抵抗)に依存する。上記の例では、抵抗は筋肉で約6500オームであり、各電極で1000オームであり、そのため、最大電流は図22Aの曲線523によって示すように2.35mA(20V/8500オーム=2.35mA)である。
【0153】
図22Bは、電極が各々100オームの内部抵抗を有するときの電極の両端管の電圧と、電圧20Vよりも低い19.4Vなどの電圧レベル527まで電圧がどのように徐々に増加するかを例示する。これは、電極における電圧降下が、刺激信号512のパルス494の各電極(3mA×100オーム=0.3V)において0.3Vであるためである。電流ピークの低減は、電極における電圧降下を増加させる。図22Cは、電圧モードが使用されるときの各100オームの抵抗を有する筋肉及び電極を例示する。ピーク電流が25mA(キャパシタンスを充電する)であり、各電極134、136が100オームの電極抵抗を有する場合、ピークトップ中に各電極134、136において2.5Vの電圧が失われ、そのため、図22Bに示すように、電圧は電極間及び筋肉において15Vである。電流がパルス中に減少すると、図22Bに例示するように、電極間及び筋肉502上で電圧が増加する。3mAの電流レベルでは、各電極の抵抗が100オームであるときに各電極134、136において約0.3Vが失われ、それは、筋肉502の両端間の電圧527が図22Bではなぜ19.4Vにしか達しないのかを説明する。筋肉502を通る総抵抗が約6500オームであり、電極134、136が各々1000オームの抵抗を各々有する場合、回路には8500オームの総抵抗が存在する。結果として生じる最大電流は、パルス494の電圧が20Vであり、総抵抗が8500オームであるとき、図22Aの曲線523によって示され、図22Dに例示するように、2.35mAである。図22Dは、電極134、136の抵抗が100オームから1000オームに増加したことを除いて、図22Cと同一である。繰り返すが、筋肉はキャパシタのようなものであるので、充電電流は、電極が各々1000オームの抵抗を有するときに最大10mAである(20Vパルス/電極抵抗2000オーム=10mAであり、これは筋肉を通して電極間にキャパシタンスが存在するためである)。図22A及び22Bは、装置513が電流モードにあるときに可能なように電流を制御することができないので、電圧モードを使用することの欠点を例示する。
【0154】
本発明の別の非常に重要な特徴は、回路装置513(図10に図示)が、図23に示すサブコントロールユニット122などの各サブコントロールユニット中に含まれ得ることである。この信号750、754、及び759は、マスタユニットのCPUの代わりにサブコントロールユニットのCPUから来る。好ましくは、サブコントロールユニットのCPUは、信号750、754、及び759がどのように調整又は設定されるべきかに関する命令をマスタユニットのCPUから受信する。各サブコントロールユニットにおける回路装置513の包含は、各サブコントロールユニットにおける信号759が図10に関して上記で詳細に説明したように電流制限を設定するので、第2のサブコントロールユニットにおける第2の電流とは異なる第1の電流を第1のサブコントロールユニットにおいて流すことを可能にする。加えて、各サブコントロールユニットのCPUはまた、上記で詳細に説明したように、スイッチSW1を介してパルス長を設定することができる。
【0155】
サブコントロールユニット中に電圧調整回路を追加し、そのため、サブコントロールユニットがマスタユニットから受信されたパルス512の電圧を調整し得る(下げ得る)ようにすることが可能である。例えば、装置が電圧モードにあるとき、サブコントロールユニットは、スイッチSW1を通してユニット535a、535b、535c、及び535dに進むパルス電圧の最大レベルを設定することができる。装置が電流モードにあるとき、電圧は最大値に設定され、電流は装置によって設定され、装置は次に、図10に関連して説明したように、電流が一定であるように刺激信号の電圧に影響を及ぼす。サブコントロールユニットが何をすべきかに関する全ての情報は、マスタユニットから命令として受信され、マスタユニットは次に、命令をマスタユニットに送るPC刺激ソフトウェアプログラムから、患者についての刺激パターンを設定する療法士からの入力情報を受信する。
【0156】
図23は、回路装置513(図10に図示)と実質的に同様である装置513’を含む修正されたサブコントロールユニット122’を示し、そのため、ユニット122’は、電圧、パルス長、及び電流(電流モードにあるとき)を調整する(下げる)ことができる。より具体的には、刺激パルス信号512は、図24に示すスイッチSW1からマスタユニット266から到達する。CPU531は、パルス入力782において刺激信号512を受信する。CPU531は、出力ユニット535a、535b、535c、535dに電気的に接続される。出力ユニットの詳細は、図16に関連して説明し、図23の出力ユニットにも当てはまる。CPU531は、パルス電圧レベル制御信号1110をパルス電圧制御回路1112に送ることによって刺激パルス信号512の電圧を維持し得るか又は下げ得、そのため、パルス入力1114における刺激パルス信号512の電圧が同じままであるか、又はパルス出力1116において下げられる。例えば、回路1112は、刺激信号の電圧を例えば60Vから20Vなどの別の電圧値に下げることができる。回路1112はまた、刺激信号512の電圧を変化させずに保つことができる。図10で詳細に説明したように、装置513’が電流モードにあるときに電圧を変化させることは重要ではない。
【0157】
CPU531は、パルス制御信号754’を送って、図10で詳細に説明した信号754と同様にスイッチSW1を開位置と閉位置との間で切り替え得、パルス制御信号754’はまた、マスタユニットから来るパルスであるので、常時オンになるように切り替えることもできる。このようにして、CPU531は、スイッチSW1を離れる刺激信号512’がより短いパルス長498’を有するように、刺激信号512のパルス長495を短縮することができる。スイッチSW1はまた、スイッチを常時オンになるように活性化することによって、パルス長を同じに、即ち刺激信号512のパルス長と同じに保つことができる。出力ユニット535a、535b、535c、535dは、刺激信号512’を受信し、図16で説明したように、パルス出力許可機能794a、794b、794c、及び794dをそれぞれ活性化することによって、パルス長を同じに保つか、又はCPUから受信されたパルス長を更に短縮することができる。CPU531は、図10で説明したように、制御信号750’をスイッチSW2に送ることによって、装置513’を電流モードと電圧モードとの間で切り替えることができる。CPU531は、信号759’を比較器756’に送ることによって電流制限を設定することができ、フィードバック信号752’がCPU531に送り返されて、CPU531に電流レベルに関して知らせる。装置513に適用される全ての原理は装置513’にも適用され、従ってここでは説明しない。
【0158】
出力ユニット535a~dは、電極134~148に電気的に接続される。詳細は図16に示し、図16の全ての詳細は図23にも当てはまるが、明確にするために図23からいくつかの詳細が省略されている。ユニット535a~dは、フィードバック回路1118a、1118b、1118c、及び1118dに電気的に接続されており、これらのフィードバック回路は、図9で説明したように、EMG信号、即ち筋肉からの自然の非常に小さい電圧信号を測定する。好ましくは、各フィードバック回路は、筋肉からの自然電圧信号を測定する増幅器をイン及びアウトに切り替えるためのスイッチ及び増幅器を含む。回路1118a~dは、フィードバック信号1120a、1120b、1120c、及び1120dをCPU531に送り、そのため、CPUは、刺激信号512’の電圧、パルス長、又は電流を変化させるかを決定することができる。
【0159】
図24は、サブコントロールユニットが装置513’を含むときに使用することができるマスタユニットの簡略化されたスイッチ装置513”を示す。言い換えれば、マスタユニットは、刺激パルスを単に送出するように簡略化することができる。スイッチ装置513”の主な機能は、パルス電力511から刺激信号512のパルスを生成することである。例えば、スイッチ装置513”は、電流モードと電圧モードとの間で装置を切り替えるための回路U1又はスイッチSW2を含まない。スイッチ装置513”は常に電圧モードにあり、図10に関連して説明したように、スイッチSW1を開閉することによって刺激パルス512を生成する。好ましくは、マスタユニット266は依然として、安全上の理由から、脈動する刺激信号512をサブコントロールユニットに送出する。各サブコントロールユニットが40Vなどの刺激電圧を生成するであろう場合、何かが故障し得るリスクが増加し、それは使用者にとって非常に不快である。マスタユニットに刺激電圧を生成させることは、そのような電圧がある特定の予め設定された限界を超えないようにする別個のハードウェアを有するので、より安全である。マスタユニットはまた、パルス長が予め設定された限界を超えないことを確実にするようにパルス長を制御するハードウェアを有する。これは、各サブコントロールユニットにおいて高電圧信号を生成することと比較して、より良好な安全性を提供する。
【0160】
好ましくは、信号512の電圧は、各サブコントロールユニットにおける回路1112が電圧を所望のレベルまで下げることができるので、筋肉を刺激するのに必要とされる電圧よりも高い。このようにして、第1のサブコントロールユニットにおける第1の電圧レベルと、第1の電圧レベルとは異なる第2のサブコントロールユニットにおける第2の電圧レベルとを使用することが可能である。しかし、マスタユニットは刺激信号における最大パルス長及び最大電圧を設定し、サブコントロールユニットにおけるローカルCPUは、同じ値を維持するか、又は電圧を下げるか、又はパルス長を短縮することしかできない。加えて、サブコントロールユニットのCPUは、電流制限を設定することができ、即ち、マスタユニットからの刺激信号に十分な電圧が存在する限り、所望されるように電流を増加又は減少させることができる。各出力ユニットはそれ自体のパルス出力許可機能を有するので、パルス出力許可機能を各出力ユニット535に対して異なる値に設定することができるので、第1の電極対(即ち、電極134、136)に対して第1のパルス長を使用し、第2の電極対(即ち、電極138、140)に対して第2の異なるパルス長を使用することが可能である。例えば、刺激パルス512のパルス長が200マイクロ秒である場合、パルス長をまず、スイッチSW1において例えば180マイクロ秒に短縮し、次いで出力ユニットのパルス出力許可機能794を使用することによって例えば175マイクロ秒に更に短縮することができる。刺激信号512における各パルスは、全てのサブコントロールユニットに送られ、そのため、パルス1は、サブコントロールユニット1及び3によって使用され、第2のパルスは、サブコントロールユニット2によって使用され、以下同様である。これは、マスタユニットがサブコントロールユニットへのシリアルデータ通信により選択した電極にサブコントロールユニット2がパルス1を送出しないことを意味する。
【0161】
マスタユニットは、全てのサブコントロールユニットにデータを送り、サブコントロールユニットが別個のアドレスを有するときには各々にデータを送る。サブコントロールユニットは、どの1つ以上の電極が刺激信号をどの順序で受信すべきかに関する情報を受信する。例えば、サブコントロールユニット1及び3は、パルス1を電極に同時に送るように命令され得、サブコントロールユニット2は、電極に送られるべき刺激パルスのそのリストの刺激1に従ってパルス2をその電極に送出し得る。この原理は全てのサブコントロールユニットに適用され、全てのサブコントロールユニットは、マスタユニットが送った刺激のリストに従って、どのパルスを送出すべきかに関する命令を受信する。サブコントロールユニット1が第1の刺激パルス信号としてパルス1及び2を使用し、サブコントロールユニット2がパルス3及び4を使用してパルスを送出し、その一方でサブコントロールユニット3がパルス5及び6を使用してパルスを送出する場合、及び使用中のサブコントロールユニットが3つしか存在しないとき、サブコントロールユニット1によって再び7つのパルスが送出される。各サブコントロールユニットは、複数の電極に接続されているため、マスタユニットから受信された命令に従って刺激パルスを送出する。
【0162】
全てのサブコントロールユニットがマスタユニットから刺激信号を受信するので、いくつかのサブコントロールユニットが電極に刺激信号を同時に送出することも可能である。パルス1が例えば200マイクロ秒であり、その一方で第2のパルスが例えば175マイクロ秒であり、第3のパルスが例えば180マイクロ秒であるように、マスタユニットが刺激信号における各パルスのパルス長を変化させることも可能である。同様に各パルスについて電圧レベルを変化させることも可能である。これは主に、ある特定のノードが装置513、パルス出力許可機能794、及びパルス長を局所的に制御する能力を欠いているときに使用されるであろう。
【0163】
筋肉/神経の治療を開始するために、軽度の筋収縮プログラムを含むボディスーツ中のマルチプログラムを利用し、次いで、刺激信号が送られる直前に筋収縮が起こる皮膚上に局所的に適用されるべき保湿及び/又は導電性クリーム/ゲルを使用することも可能である。
【0164】
刺激信号の適切な周波数範囲は、1Hz~120Hzの範囲中であり得、これは、ほとんどの興奮性及び抑制性の介入の必要性をカバーする。周波数範囲の下端は、試験及び触診又は自動化された強度調整に有用であろう。個々の病変プロファイルにおける異なる要件に適合させるために、異なるチャネルにおいて異なる周波数を使用することが可能であることも本発明の重要な特徴である。
【0165】
皮膚求心性神経を刺激することも可能であるが、サイズ及び感度範囲は、有髄の速いII群から無髄の非常に遅いIV群まで非常に広く、伝導速度は約1~70m/sであり、速度は人工刺激に比例して敏感である。
【0166】
ほとんどの脊髄損傷患者が発汗する能力も失い(病変が自律神経系にも影響を及ぼす)、次いで、電気接触抵抗が送達された水分に適合することができないため、上述したように、ドライ電極を使用するときには、筋収縮を誘発するための強い刺激を制限することができる。従って、本発明が、電圧、電流、及びパルス長、等の制御及び調整を可能にして、刺激信号を皮膚及び患者の状態に調整することが特に重要である。
【0167】
本発明のボディスーツを使用することによる筋肉及び神経などの体内の多くのロケーションの刺激は、オピオイド受容体の放出を増加させ、そのため、多焦点刺激は、一般に疼痛を低減し、患者がオピオイドピルなどの鎮痛剤を摂取する必要性を低減するための方法であり得ることが認識されている。
【0168】
図25は、大きい電極1202を有する本発明のボディスーツ1200の代替の実施形態の概略図である。ボディスーツ1200は、図4及び18に示すボディスーツと実質的に同様であり、同様に動作する。図4及び18に示す実施形態に関連して説明した全ての特徴がボディスーツ1200にも当てはまるので、ボディスーツ1200については詳細に説明しない。ボディスーツ1200と図4及び18に示す実施形態との間の唯一の違いは、ボディスーツ1200が、サブコントロールユニット1204に接続された非常に大きい電極1202を有することである。電極1202は、ボディスーツ1200上の実質的に全ての表面を覆うように大きく作ることができる。また、サブコントロールユニット1204の数は、スーツ中のより多くの電極を可能にするためにボディスーツ100と比較してより多い。ボディスーツの一部分のみを図25に示し、ボディスーツ1200は、図4に示すように全身を覆うように作ることができる。
【0169】
本発明は、図4及び他の図に示すボディスーツに関連して使用されることに限定されないことが理解されるべきである。ボディスーツ100は単に例示的な例に過ぎない。サブコントロールユニット及び電極は、任意の衣服又は布片に関連して使用することができる。衣服は、電極を含む別個の布片であり得る。電極を適所に保持する衣服又は布なしで、患者の皮膚上に直接電極を配置することさえ可能である。上半身、腕、骨盤、及び脚モジュールに加えて、ボディスーツは、身体の特定のエリアが刺激されるように他の方法で分割することもできる。例えば、治療されるべき患者がボディスーツを使用することを困難にする障害を有するとき、電極を含むより小さい弾性又は非弾性材料片は、材料片が刺激を必要とする患者の身体の部分上に配置されるように使用され得る。別の例は、患者が褥瘡を患っているときであり、電極を含む小さい衣服片又は布片が患者の身体/皮膚上に配置され得、そのため、傷口及びその周囲を刺激することができる。電極を有する小さい弾性布片は、マスタユニットによって制御され、各小片は、サブコントロールユニットによって制御され、サブコントロールユニットは次に、上記で説明したのと同じ方法で電極を制御する。サブコントロールユニットの数は、小片における電極の数によって決定される。患者がボディスーツに入る必要なしに異なる筋肉/神経を刺激するために、患者/人が大きい衣服片上に横たわることができるように、又は衣服上に患者の身体の一部が横たわることができるように、同じ技術で全身サイズの衣服片を使用することも可能である。電極が身体の筋肉上に配置されたときに電極との良好な接触が得られるように、小片は余分な重量を含むように作ることができる。
【0170】
生理的徴候を読み取るために衣服中の電極を使用することに加えて、加速度、相対位置、角度、及びそれによるボディスーツ100を着用している人の身体部分の動きを読み取るために、衣服又はボディスーツ100中にセンサを追加することも可能である。本発明は、ボディスーツ又はそのモジュールの使用に限定されない。ボディスーツは、単に例示的な例として使用されているに過ぎない。電極及び他のセンサはまた、使用者の身体の皮膚に向かって保持されるベルト、バンド、又は他のデバイスに適用され得る。衣服100を着用している人の身体部位の活動を測定するために、モーションセンサと、角度センサと、温度センサ及び加速度センサと、圧力センサと、ボディスーツ上に配置された電極で心臓からのECG信号(心電図-EKG又はECGと略称する)を読み取るためのセンサとが使用され得る。これらの読み取り値に基づいて、筋肉をどのように刺激するか(収縮を促進することによって、又はある特定の筋肉の収縮を引き起こすことによってのうちのいずれか)を決定し、それによって、衣服100を着用している人の身体又は身体姿勢の呼吸、動き、及び相対位置に影響を及ぼす/改善する又は変更することが可能である。例えば、ボディスーツ100の様々なモジュールの動き及び位置を測定し、ボディスーツ100を着用している人の姿勢及び動きが正しいことを確認するためのセンサを含む、衣服若しくはボディスーツ100、又は図4で説明したような右腕モジュール102、上半身モジュール104、左腕モジュール106、骨盤モジュール108、右脚モジュール110、及び左脚モジュール112などのボディスーツのモジュールを使用することができる。身体姿勢がずれている場合、マスタユニットは、姿勢を改善するために筋肉を刺激又は活性化するために使用することができる。同様に、ボディスーツ又はボディスーツのモジュール(モーション及び位置付けセンサを含む)は、患者が同じ位置に長く座りすぎているか又は立ちすぎているかを測定するために使用することができる。この例では、マスタユニットは、ハムストリング及び臀筋などのある特定の筋肉を刺激して血流を増加させ、褥瘡を防止するための信号を送ることができる。
【0171】
ボディスーツ100又はモジュール102~112はまた、呼吸を測定し、心臓から受信されたECG信号を測定し、いびきによって引き起こされる振動を測定するためのセンサを含むことができる。マスタユニットは、次いで、筋肉を刺激して呼吸を容易にするために刺激信号を送るか、又は使用者が呼吸を停止した場合に使用者に警告信号を送ることができる。いびきを低減するために仰向けで眠ることとは対照的に、使用者がうつ伏せ又は横向きで眠ることに影響を及ぼす又は促すために、ボディスーツ又はモジュールの使用者に迷惑を生じさせる信号を送ることも可能である。同じボディスーツ又はモジュールは、性器神経を刺激し、筋肉を活性化して、失禁又は産後尿失禁を改善し、性的オルガスム障害さえ予防又は低減するために使用することできる。衣服100はまた、リアルタイムの歩行分析を実行し、筋肉の刺激を調整して、ウォーキング、ランニング、及び呼吸を改善し、また、リアルタイムで改善を測定するために使用され得る。足底下の圧力エリアを測定して、より正確な歩行分析を可能にするために、刺激ソックス(センサを含む)が使用され得る。
【0172】
異なるセンサを使用し、衣服/ボディスーツ100中に配置されたセンサとして電極を使用することによって、又は全てがセンサを含むジャケット、スリーブ、グローブ、パンツ、下着、脚用衣服部分、ソックス、及びヘッドギアなどのボディスーツの別個のモジュール102、104、106、108、110、112(図4に図示及び説明)を使用することによって、衣服を着用している使用者の筋肉が刺激されたときに、異なる刺激が衣服100の着用者の身体にどのように影響を及ぼすかを分析することが可能である。異なるセンサ/電極から受信された測定信号を分析し、どの刺激が実行されているかを知ることによって、マスタユニット266は、図4で説明したように、衣服若しくはボディスーツ100又はボディスーツのモジュールを着用している使用者の身体に刺激が作用しているときに最適な効果が得られるように、刺激を自動的に調整することができる。センサからの測定された入力を使用することによって、より良好な結果のために経時的にセンサ/電極からの信号を読み取ることによって刺激を自動的に調整する、マスタユニット266のソフトウェアにおける調節ループを作成することが可能である。
【0173】
好ましくは、ソフトウェアは、使用者の身体部分の所望の動きを達成するように使用者の身体を補助するために、最適な刺激に向けて自己調整する。ある特定の問題を解決するために異なる刺激を達成するようにマスタユニット中で異なるプログラムを実行することが可能である。所定の刺激を実行し、特定の障害に対する刺激を自動的に調整することも可能である。センサは、衣服又は衣服のモジュールに一体化することができる。衣服の一部ではない別個の刺激ユニットを使用し、刺激を必要とする筋肉上に刺激ユニットを適用することも可能である。
【0174】
衣服若しくはボディスーツ100又は衣服のモジュールに一体化されたセンサを使用することによって、衣服100を着用している人の身体の位置を感知又は決定することが可能である。次いで、身体位置を変更するために、使用者の筋肉への刺激信号を使用することができるか、又は身体位置を変更若しくは矯正する必要性に関して使用者に示すか若しくは警告するために、刺激信号が使用され得る。例えば、身体上の過度の摩耗及び裂傷を引き起こす可能性がある位置を人に変更させることが望ましくあり得る。最適な位置からの身体位置の任意の変化を測定することも可能であり、現在の位置が最適な位置から過度に逸脱しているとき、マスタユニットは、使用者の筋肉に刺激を送って、使用者に位置を最適な位置により近くなるように変更させることができる。
【0175】
位置を変更する必要性に関して使用者に単に通知することも可能である。これは、身体上の摩耗及び裂傷を防止するために使用することができる。例えば、ベルトコンベアにおける作業者又は長い時間期間にわたって運転する運転者は、矯正されるべき間違った身体位置に立っている又は座っていることがある。作業者/運転者が衣服を着用している場合、作業者/運転者が良好な身体姿勢に戻るように筋肉を刺激することができる。また、衣服100の使用は、身体の位置の変化又は使用者が眠りに落ちようとしていることを示す他の信号を感知することによって、使用者が眠りに落ちようとしているときを感知することを可能にする。そのため、使用者が眠りに落ちないように使用者の筋肉を刺激することが可能である。
【0176】
衣服を着用している使用者の身体の動きを測定し、異なるタイプの刺激を使用して使用者の身体部分の動きを制御することによって、動きを改善し、それらをより最適にすることが可能である。刺激は、使用者の筋肉に送られる電気刺激パルスであり得、パルスは、異なる周波数並びに可変振幅、電流、及びパルス長を有する。身体又は身体部分の位置が正しくないことを使用者に知らせるために振動器又は音響信号を使用することも可能である。
【0177】
脳から送られた電気信号を受信及び測定することも可能であり、センサは、次いで、モーションセンサ、角度センサ、温度センサ、加速度センサ、及び異なる身体部分から感知された心臓からのECG信号を使用することによって、身体部分の実際の物理的な動きを感知及び比較し、それらを脳から受信された電気信号と比較することができる。より具体的には、拮抗筋を弛緩させるためのスイートスポット及び主動筋をどのように安全に収縮させるかを決定することが可能である。これは、脳からのEEG信号と、呼吸を測定し、心臓ECG信号を測定することからの信号とを読み取ることを伴うことができる。
【0178】
脳波記録(EEG)は、電極を使用して大脳皮質の自発的電気活動を記録する方法である。言い換えれば、頭部からの信号を感知及び受信する使用者の頭部上のセンサを使用することによって、筋肉が1つ以上の最適な刺激に近づくように弛緩又は刺激されている間の頭部からのEEG信号の変化を決定することが可能である。EEG信号を登録しながら、一度に1つの筋肉又は神経に対する刺激信号の強度をゆっくりと増加させることによって、筋刺激又は弛緩中のEEG信号の変化を決定することが可能である。EEG信号の変化が生じるとき、EEG信号を変化させ続けないように、刺激のレベルを停止させるか又は僅かに下げることが望ましくあり得る。EEG信号を変化させ始める刺激レベルは、刺激されている筋肉/神経にとって最適な「スイートスポット」刺激強度として扱われ得る。次いで、第1の筋肉の刺激を停止し、第2の筋肉に対するスイートスポットも見つかるまで同じ方法で第2の神経/筋肉を刺激し始めることが可能である。次いで、同じ方法で使用者の選択された筋肉を通って進み且つ刺激し、各筋肉に望まれる刺激強度を決定することが可能である。この情報は、選択された筋肉/神経を刺激するために使用することができる刺激プログラムにおいて使用することができる。
【0179】
最適な刺激(スイートスポット)は、例えば、最適な筋収縮若しくは筋弛緩を達成することに関連し得るか、又は疼痛緩和若しくは再生/回復として関連し得る。プログラムが各筋肉/神経に対する刺激強度を変化させて、各筋肉/神経に対するスイートスポットを見つけることができるように、同時に筋肉を刺激しながらEEG信号を測定することによって、患者の選択された筋肉/神経に対する最適な刺激強度を自動的に検索するソフトウェアを作成することも可能である。心臓ECGからの信号を読み取り、呼吸機能を高めるように刺激するプログラムを作成することも可能である。例えば、ECG信号の周波数が、即ち、息を吐く間に心拍数(周波数)がどのように増加し、息を吐く間に心拍数(周波数)がどのように減少するかを測定するために測定され得る。例えば、電気的刺激によって衣服又はボディスーツの使用者に補助を提供して、息を吸う間に刺激することによって呼吸を改善し、息を吐く間に刺激を停止することが可能である。
【0180】
図26を参照すると、腕509が示されている。図26図9と実質的に同様であり、図9に適用される全ての情報は図26にも適用される。主な違いは、図26が腕509の位置及び動きを測定することに焦点を当てていることである。腕509の前腕1300は、伸長位置1302と直立角度位置1304との間で動かすことが可能であり、両矢印1306によって示されている。使用者は、好ましくは、多くの電極を含む腕モジュール102を腕509上に着用する。モジュール102は、位置と神経/筋肉502が動いたかどうかとを感知する上部モーション及び位置センサ1308と、位置と筋肉/神経508が動いたかどうかとを感知する下部モーション及び位置センサ1310とを含む。モジュール102はまた、モジュール102の肘1314に、位置と腕が肘1314において屈曲されているか又はされていたかとを感知するセンサ1312を含む。例えば、センサは、図9で詳細に説明したように、電極134、136及び電極138、140に信号を送ることによって、上腕1301上の筋肉/神経502、508の刺激の結果として、前腕1300を含む腕509がどのように動いたかを感知及び測定することを可能にする。言い換えれば、センサは、筋肉/神経502、508の刺激の結果として生じる動きを示し、これらの結果を、次いで、電極が刺激されたときに意図された動きと比較することができる。以前に説明したように、筋肉を、弛緩するように刺激することができ、刺激を増加させることによって、筋肉は、腕509及び前腕1300の変化又は動きを引き起こすことができる。マスタユニット266は、どの刺激信号が腕509及び前腕1300の意図された動きを達成するために最良に機能するかを比較して実際の動きを分析することによってマスタユニットが学習することができるように、使用することができるアルゴリズムを含み得る。センサ1308、1310、及び1312を使用することによって、例えば、腕の位置又は筋肉における表面の緊張(圧力センサ)又は筋肉が拡張されたか若しくは折り畳まれたかを測定することによって、筋肉の弛緩の量を測定することも可能であり得る。刺激信号の強度、周波数、長さは、図9に関して詳細に説明したように、調節され得る。例えば、第1の刺激後に腕の動きがない場合、腕又は前腕を意図したように動かすために、第2のより強い刺激が使用され得る。腕は、角度付き位置1304内で非常に緊張又は固定され得、正しい筋肉(筋肉502又は筋肉508など)を弛緩させることによって、腕は、前腕1300が位置1302に向かって動くように弛緩する。刺激信号の強度及び他の変数は、結果として生じる腕の筋弛緩又は動きに基づいて調整することができる。上述したように、EEG信号の変化を最小限に抑えるために、脳からEEG信号を受信及び分析し、受信されたEEG信号に基づいて筋肉の刺激を連続的に調整することも可能であり得る。次いで、この情報をデータベース中に保存して、様々な筋弛緩及び筋肉の動きについての統計データに基づいて標準刺激信号基準を展開することができる。
【0181】
図27は、両矢印1326によって示すように、人1320の上半身1319の身体姿勢が直立身体姿勢1322から望ましくない前傾身体姿勢1324にどのように変化し得るかを例示する。矢印1326の長さは、予め記憶された望ましい位置の許容可能な身体姿勢の範囲1325を表し得る。上半身1319が、ソフトウェアに設定されているように、この範囲1325の外側にあるとき、身体姿勢は、上半身1319が、マスタユニット又はサブコントロールユニット中のソフトウェアに設定されているように、範囲1325の内側になるまで矯正されるべきである。1つの目標は、ボディスーツ100又は衣服若しくはボディスーツのモジュール(上半身モジュールなど)を着用している人1320の筋肉を刺激し、そのため、その人の身体姿勢が(範囲1325の僅かに外側にある)姿勢1324から最も望ましい姿勢1322に向かって範囲1325内に移動するようにすることである。例えば、腹部1328及び背部1330の筋肉が刺激されて、直立位置1322に向かう移動が達成され得る。位置及び/又はモーションセンサ1332、1334は、人の動きを検出及び測定するためにスーツ100上に配置され得る。不正確な身体姿勢、即ち上半身1319が許容範囲1325の外側にあることをまず検出し、身体姿勢が矯正されるべきであることを、音又は振動を使用することなどによる電気的刺激なしに単に人1320に通知することも可能であり得る。刺激を開始するための下限及び刺激を停止するための上限を使用することも可能である。これらの限度は、マスタユニット又はサブコントロールユニット上のソフトウェアにおいて設定され得る。刺激がボディスーツ又は衣服100を着用している人を矯正又は補助し始める前に、制限エリアの外側である特定の時間量を可能にする時間をソフトウェアに追加することも可能である。
【0182】
図28は、両矢印1346によって示すように、人1340の身体姿勢が直立座位1342から前傾位置1344にどのように変化し得るかを例示する。例えば、前傾位置1344は、人が車1348を運転している間に眠りに落ちようとしていることを示し得る。上記で説明した電子機器及びマスタユニットは、筋肉を刺激して人1340を位置1344から直立位置1342に移動させることができるか、又は振動若しくは音によって人が警告され得るかのうちのいずれかである。人1340は、人1340の上半身の位置及び動きを測定するために、衣類若しくはボディスーツ100又はボディスーツモジュールのうちの1つの上に配置されたセンサ1350、1352を有し得る。センサは、このことから、人が望ましくない位置にいることをまず決定するために使用することができる。センサはまた、筋肉が刺激された後、又は人が正しくない位置について警告された後のフィードバックとして、人の位置を決定するために使用することができる。まず正しくない身体姿勢を検出し、身体姿勢が矯正されるべきであることを、音又は振動を使用することなどによる電気的刺激なしで人1340に単に通知することも可能であり得る。
【0183】
動作中、患者によって着用される衣服又はボディスーツ100が提供される。衣服100は、患者の第1の筋肉又は第1の神経502に配置された第1の電極134及び第2の電極136と、第2の筋肉又は第2の神経508に配置された第3の電極138及び第4の電極140とに電気的に接続された第1のサブコントロールユニット122(図4を参照)を有する。第1のサブコントロールユニット122は、好ましくは、マスタユニット266に電気的に接続される。衣服100は、衣服に取り付けられ、第1のサブコントロールユニット122に電気的に接続されたセンサ1308、1310、1312、1314を有する。センサは、衣服100を着用している患者の位置又は動きを測定する。マスタユニット266又は第1のサブコントロールユニット122は、位置又は動きに関する情報を受信し、位置又は動きを予め記憶された望ましい位置又は動きの許容可能な間隔1325と比較する。間隔は、マスタユニット266又は第1のサブコントロールユニット122中に記憶され得、許容可能範囲内又は許容不可能範囲内である身体位置又は身体姿勢を表し得る。例えば、測定された位置又は動きが間隔外である(又は許容不可能な範囲にある)とき、マスタユニット266又は第1のサブコントロールユニット122は、図25で、第1の筋肉502の収縮を引き起こす又は容易にするために、刺激信号512を第1の筋肉502に送る。測定された位置又は動きが間隔内にあるとき、患者又は使用者の身体位置又は身体姿勢が許容可能であり、矯正の必要がないので、マスタユニット又は第1のサブコントロールユニットは刺激信号を送らない。
【0184】
代替の実施形態では、方法は、第1の筋肉502に関連する前腕1300などの身体部分の加速度を測定するセンサのステップを更に備える。
【0185】
更に別の実施形態では、方法は、第1の筋肉502に関連する上腕1301と身体部分(前腕)1300との間の角度を測定するセンサ1314のステップを更に備える。
【0186】
別の実施形態では、方法は、患者の身体部分を位置から予め記憶された望ましい位置の間隔内になるように移動させるために刺激信号を一組の筋肉に送るマスタユニット266のステップを更に備える。
【0187】
更に別の実施形態では、方法は、患者の身体姿勢を測定するセンサのステップを更に備える。
【0188】
代替の実施形態では、方法は、第1の筋肉又は第1の神経が刺激信号によって刺激された後の新しい位置を測定するセンサのステップを更に備える。マスタユニット266は、次いで、新しい位置に応じて、即ち、第1の刺激信号が位置にどれだけ影響を及ぼしたかに応じて、第2の刺激信号を第1の筋肉又は第1の神経に送り得る。第2の後続する刺激信号は、より高い電圧/電流、より高い周波数、又はより長いパルス長を使用することなどによって、第1の刺激信号よりも強くなり得る。第1の刺激信号から結果として生じる動きに関連するフィードバック信号に基づく、第2の後続する刺激信号の特定の特性は、マスタユニット266によって決定される。マスタユニット266はまた、刺激信号を追加の電極に送ることによって、他の筋肉を刺激することを決定し得る。
【0189】
別の実施形態では、方法は、第1の筋肉中の血流の増加を引き起こすために第2の後続の刺激信号を送るマスタユニットのステップを更に備える。
【0190】
更に別の実施形態では、方法は、患者の呼吸を測定するセンサのステップを更に備え、刺激は、身体が正しく呼吸するのを助ける。
【0191】
別の実施形態では、方法は、患者の身体部分の動きをリアルタイムで測定及び分析するセンサのステップを更に備える。
【0192】
好ましい構成及び実施形態に従って本発明を説明してきたが、以下の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、ある特定の置換及び変更が成され得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【手続補正書】
【提出日】2021-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を治療するための方法であって、
前記患者によって着用される衣服(100)を提供することと、ここで、前記衣服(100)は、前記患者の第1の主動筋又は第1の神経(502)に配置された第1の電極(134)及び第2の電極(136)と、第2の拮抗筋又は第2の神経(508)に配置された第3の電極(138)及び第4の電極(140)とに電気的に接続された第1のサブコントロールユニット(122)又はマスタユニット(266)を有し、前記衣服(100)は、前記衣服(100)に取り付けられ、前記第1のサブコントロールユニット(122)又はマスタユニット(266)に電気的に接続されたセンサ(1308,1310,1312)を有し、
前記センサ(1308,1310,1312)が、前記衣服(100)を着用している前記患者の位置、電気信号、又は動きを測定することと、
前記第1のサブコントロールユニット(122)又は前記マスタユニット(266)が、前記位置又は動きに関する情報を受信し、前記位置、電気信号、又は動きを予め記憶された望ましい位置、電気信号レベル、又は動きの間隔と比較することと、
前記位置、電気信号、又は動きが前記間隔(1306)外であるとき、前記マスタユニット(266)が、前記第1の主動筋(502)の収縮を引き起こす又は収縮を容易にするために、前記第1のサブコントロールユニット(122)を通して刺激信号(512)を前記第1の主動筋(502)に送ることと、
前記位置、電気信号、又は動きが前記間隔内であるとき、前記第1のサブコントロールユニット(122)が、刺激信号を送らないことと、
前記第2の拮抗筋(508)からフィードバック電圧信号(547,549,752)を得ることと、ここで、前記第2の拮抗筋(508)は前記第1の主動筋(502)に対する拮抗筋であり、
前記第2の拮抗筋(508)の弛緩のレベルを決定するために、前記第1のフィードバック電圧信号(547,549,752)を、前記第1の刺激信号(512)を送るのに先立って以前に測定された値と比較することと、を備える方法。
【請求項2】
前記方法は、前記第1のサブコントロールユニット(122)を前記マスタユニット(266)に電気的に接続するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記センサが前記第1の主動筋(502)に関連する身体部分(1300)の加速度を測定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記センサが前記第1の主動筋(502)に関連する身体部分(1300)の角度を測定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記マスタユニット(266)が前記患者の身体部分(1300)を前記位置から予め記憶された望ましい位置の前記間隔内になるように移動させるために刺激信号を一組の筋肉に送るステップを更に備える、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記センサが前記患者の身体姿勢を測定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記センサが前記第1の主動筋又は第1の神経(502)が前記刺激信号(512)によって刺激された後の新しい位置を測定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記マスタユニット(266)が前記第1の主動筋(502)中の血流の増加を引き起こすために後続の刺激信号を送るステップを更に備える、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記センサが前記患者の呼吸を測定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、センサが前記患者の身体部分(1300)の動きをリアルタイムで測定及び分析するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0192
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0192】
好ましい構成及び実施形態に従って本発明を説明してきたが、以下の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、ある特定の置換及び変更が成され得ることが理解されるべきである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 患者を治療するための方法であって、
前記患者によって着用される衣服(100)を提供することと、ここで、前記衣服(100)は、前記患者の第1の筋肉又は第1の神経(502)に配置された第1の電極(134)及び第2の電極(136)と、第2の筋肉又は第2の神経(508)に配置された第3の電極(138)及び第4の電極(140)とに電気的に接続された第1のサブコントロールユニット(122)又はマスタユニット(266)を有し、前記衣服(100)は、前記衣服(100)に取り付けられ、前記第1のサブコントロールユニット(122)又はマスタユニット(266)に電気的に接続されたセンサ(1308,1310,1312)を有し、
前記センサ(1308,1310,1312)が、前記衣服(100)を着用している前記患者の位置、電気信号、又は動きを測定することと、
前記第1のサブコントロールユニット(122)又は前記マスタユニット(266)が、前記位置又は動きに関する情報を受信し、前記位置、電気信号、又は動きを予め記憶された望ましい位置、電気信号レベル、又は動きの間隔と比較することと、
前記位置、電気信号、又は動きが前記間隔(1306)外であるとき、前記マスタユニット(266)が、前記第1の筋肉(502)の収縮を引き起こす又は収縮を容易にするために、前記第1のサブコントロールユニット(122)を通して刺激信号(512)を前記第1の筋肉(502)に送ることと、
前記位置、電気信号、又は動きが前記間隔内であるとき、前記第1のサブコントロールユニット(122)が、刺激信号を送らないことと、を備える方法。
[2] 前記方法は、前記第1のサブコントロールユニット(122)を前記マスタユニット(266)に電気的に接続するステップを更に備える、[1]に記載の方法。
[3] 前記方法は、前記センサが前記第1の筋肉(502)に関連する身体部分(1300)の加速度を測定するステップを更に備える、[1]に記載の方法。
[4] 前記方法は、前記センサが前記第1の筋肉(502)に関連する身体部分(1300)の角度を測定するステップを更に備える、[1]に記載の方法。
[5] 前記方法は、前記マスタユニット(266)が前記患者の身体部分(1300)を前記位置から予め記憶された望ましい位置の前記間隔内になるように移動させるために刺激信号を一組の筋肉に送るステップを更に備える、[2]に記載の方法。
[6] 前記方法は、前記センサが前記患者の身体姿勢を測定するステップを更に備える、[1]に記載の方法。
[7] 前記方法は、前記センサが前記第1の筋肉又は第1の神経(502)が前記刺激信号(512)によって刺激された後の新しい位置を測定するステップを更に備える、[1]に記載の方法。
[8] 前記方法は、前記マスタユニット(266)が前記第1の筋肉(502)中の血流の増加を引き起こすために後続の刺激信号を送るステップを更に備える、[2]に記載の方法。
[9] 前記方法は、前記センサが前記患者の呼吸を測定するステップを更に備える、[1]に記載の方法。
[10] 前記方法は、センサが前記患者の身体部分(1300)の動きをリアルタイムで測定及び分析するステップを更に備える、[1]に記載の方法。
【国際調査報告】