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特表2022-524852ラピッドプロトタイピングプロセスまたはラピッドマニュファクチャリングプロセスで使用するための放射線硬化性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(54)【発明の名称】ラピッドプロトタイピングプロセスまたはラピッドマニュファクチャリングプロセスで使用するための放射線硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 6/887 20200101AFI20220427BHJP
   A61K 6/15 20200101ALI20220427BHJP
   A61K 6/62 20200101ALI20220427BHJP
   C08F 236/22 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
A61K6/887
A61K6/15
A61K6/62
C08F236/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555160
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(85)【翻訳文提出日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 EP2020056346
(87)【国際公開番号】W WO2020182810
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】102019106152.0
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517275117
【氏名又は名称】クルツァー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kulzer GmbH
【住所又は居所原語表記】Leipziger Strasse 2, D-63450 Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルフレート ホーマン
【テーマコード(参考)】
4C089
4J100
【Fターム(参考)】
4C089AA02
4C089AA09
4C089BD02
4C089BD04
4C089CA10
4J100AL08S
4J100AL82P
4J100AL82Q
4J100AL82R
4J100BA08Q
4J100BA11P
4J100BC03Q
4J100BC03S
4J100BC08R
4J100BC08S
4J100BC43Q
4J100BC73P
4J100CA03
4J100DA49
4J100FA03
4J100HE20
4J100JA52
(57)【要約】
本発明の主題は、(i)少なくとも(a)1つの第1のモノマーであって、この第1のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が20℃以上である第1のモノマーと、少なくとも(b)1つの第2のモノマーであって、この第2のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下である第2のモノマーとを含み、少なくとも1つの第1のモノマーまたは少なくとも1つの第2のモノマーのうちの少なくとも1つは、脂環式基を有するものとするモノマーと、(ii)UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系を含む少なくとも1つのさらなる成分と、を含む、重合可能な放射線硬化性組成物である。さらに本発明の主題は、3次元成形体、例えば歯科用模型、歯科用補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームを製造するための、重合組成物、特に放射線硬化性組成物の3次元成形体の形態のブランク、ならびにラピッドプロトタイピングプロセスまたはラピッドマニュファクチャリングプロセスまたはラピッドツーリングプロセスで歯科用補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームを製造するための組成物の使用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)モノマーと、
(ii)少なくとも1つのさらなる成分と
を含む、重合可能な放射線硬化性組成物であって、
(i)前記モノマーは、少なくとも(a)1つの第1のモノマーであって、前記第1のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上である第1のモノマーと、少なくとも(b)1つの第2のモノマーであって、前記第2のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下である第2のモノマーとを含み、前記少なくとも1つの第1のモノマーまたは前記少なくとも1つの第2のモノマーのうちの少なくとも1つは、脂環式基を有しており、かつ
(ii)前記少なくとも1つのさらなる成分は、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系を含む
ことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
周囲室温(約20℃~23℃)での前記組成物の粘度が、3000mPas以下、特に500~2500mPas未満であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
(i)前記モノマーが、
(a)1,3,5-トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートから誘導される少なくとも1つのトリアクリレートであって、ここで、ヒドロキシアルキル基は、それぞれ独立して1~8個のC原子を含むものとするトリアクリレートと、任意に
(b)二価脂環式基を有する二官能性アクリレートおよび二価脂環式基を有する二官能性メタクリレートと、任意に
(c)脂環式基を有する少なくとも1つの単官能性アクリレートおよび/または脂環式基を有する単官能性メタクリレートと
を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
(i)前記モノマーが、
(a)少なくとも1つの第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、前記それぞれの第1のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)は120℃以上であり、前記第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物は、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとする少なくとも1つのジアクリレートエステル、またはその混合物を含むものとする、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物と、
(b)少なくとも1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、前記それぞれの第2のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)はそれぞれ100℃以下であり、前記第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする少なくとも1つの単官能性アクリレートエステル、またはその混合物、および任意に、二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むものとする、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物と
を含み、ここで、有利には
(i)前記組成物中に、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする単官能性アクリレートエステルが15~25重量%存在し、任意に、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとするジアクリレートエステルが5~15重量%存在し、ここで、全組成物は100重量%であるか、または
(ii)アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとするジアクリレートエステルが5~15重量%存在し、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする単官能性アクリレートエステルが15~25重量%存在し、特に(ii)では、1,3,5-トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートから誘導されるトリアクリレートが存在せず、ここで、全組成物は100重量%であるか、または
(iii)アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする単官能性アクリレートエステルと、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとするジアクリレートエステルとを含む混合物が15~45重量%存在し、特に(iii)では、1,3,5-トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートから誘導されるトリアクリレートが存在せず、ここで、全組成物は100重量%であることを特徴とする、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物中に、
- (i)(a)少なくとも1つの第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、対応する第1のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上である第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物が40~99.99重量%存在し、かつ
- 少なくとも(b)1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、対応する第2のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下である第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物が0~60重量%存在し、
- 前記少なくとも1つのさらなる成分であって、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系、ならびに任意にUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの安定剤、ならびに任意に少なくとも1つの顔料および/もしくは染料、ならびにさらなる慣用的な添加剤を含むさらなる成分が0.01~5重量%存在し、
ここで、全組成物は100重量%であり、特に、周囲室温(約20℃~23℃)での前記組成物の粘度が、3000mPas以下、特に500~2500mPas未満であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
(b)が、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジエタノールジアクリレート、トリシクロデカンジエタノールジメタクリレートおよび/またはその混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
(i)前記第1のモノマーが、
(e)二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、および/または
(f.1)少なくとも1つの単官能性、三官能性、四官能性または多官能性モノマーであって、特にウレタン(メタ)アクリレートではないもの、特にポリエーテルのアクリレートエステルおよび/またはメタクリレートエステルであり、ポリエーテルのジメタクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性または多官能性メタクリレートエステル、ポリエーテルのジアクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性および/または多官能性アクリレートエステルから選択されるもの
を含むことを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項8】
(i)前記第2のモノマーが、
(c)脂環式基を有する少なくとも1つの単官能性アクリレートおよび/または脂環式基を有する単官能性メタクリレートであって、特に(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)メタノールアクリレート、(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)メタノールメタクリレート、(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)エタノールアクリレートおよび(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)エタノールメタクリレートから選択されるもの、
(f.2)少なくとも1つの単官能性、三官能性、四官能性または多官能性モノマーであって、特にウレタン(メタ)アクリレートではないもの、特にポリエーテルのアクリレートエステルおよび/またはメタクリレートエステルであり、ポリエーテルのジメタクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性または多官能性メタクリレートエステル、ポリエーテルのジアクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性および/または多官能性アクリレートエステルから選択されるもの
を含むことを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物中に、(i)以下:
- (a)第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、対応する第1のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上であり、前記第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物は、二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性アクリレートおよび/または二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性メタクリレート、および任意に二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むものとする、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物70~99.99重量%と、
- 少なくとも(b)1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、対応する第2のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下であり、前記第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、それぞれのホモポリマーのTGが30℃以上である少なくとも1つのモノマーまたは第2のモノマーの混合物を含み、好ましくは、TGが30℃以上100℃以下の範囲である第2のモノマーが含まれており、特に好ましくは、TGが50℃以上100℃以下の範囲である第2のモノマーが含まれているものとする、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物0~30重量%と、
- 前記少なくとも1つのさらなる成分であって、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系、ならびに任意にUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの安定剤、ならびに任意に少なくとも1つの顔料および/もしくは染料、ならびにさらなる慣用的な添加剤を含むさらなる成分0.01~5重量%と
を含むモノマーが存在することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物中に、(i)以下:
- (a)第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、対応する第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物のそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上であり、前記第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物は、二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性アクリレートおよび/または二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性メタクリレート、および任意に二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むものとする、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物75~99.99重量%と、
- 少なくとも(b)1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、対応する第2のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下であり、前記第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、脂環式基を有する少なくとも1つの単官能性アクリレートおよび/または脂環式基を有する単官能性メタクリレートを含むものとする、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物0~25重量%と、
- 前記少なくとも1つのさらなる成分であって、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系、ならびに任意にUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの安定剤、ならびに任意に少なくとも1つの顔料および/もしくは染料、ならびにさらなる慣用的な添加剤を含むさらなる成分0.01~5重量%と
を含むモノマーが存在し、
ここで、全組成物は100重量%であり、特に、周囲室温(約20℃~23℃)での前記組成物の粘度が、3000mPas以下、特に500~2500mPas未満であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
前記(i)モノマーおよび前記(ii)少なくとも1つのさらなる成分が、以下の式
1/TG(合計)=w1/TG(1)+w2/TG(2)+w3/TG(3)+任意に、w4/TG(4)+任意に、w5/TG(5)+任意に、wn/TG(n)
にしたがって前記組成物中に存在し、ここで、
w1、w2、w3、w4、w5、およびwnはそれぞれ、前記第1および前記第2のモノマーならびに任意に第3のモノマーの全混合物100重量%中の前記モノマーの重量割合であり、n=6~50であり、TGは100℃以上であり、
- 周囲室温(約20℃~23℃)での前記組成物の粘度が、3000mPas以下、特に500~2500mPas未満であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
前記(i)モノマーが、以下の式
1/TG(合計)=w1/TG(1)+w2/TG(2)+w3/TG(3)+任意に、w4/TG(4)+任意に、w5/TG(5)+任意に、wn/TG(n)
にしたがって前記組成物中に存在し、ここで、
w1、w2、w3、w4、w5、およびwnはそれぞれ、前記第1および前記第2のモノマーならびに任意に前記第3のモノマーの全混合物100重量%中の前記モノマーの重量割合であり、n=6~50であり、TGは100℃以上であり、重合組成物は、特に水中にて55℃で測定した場合に40MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/またはb)特に水中にて55℃で測定した場合に800MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の重合組成物。
【請求項13】
前記重合組成物が、代替的または累積的に、
i)a)75MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)2000MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/または
ii)a)特に水中にて37℃で測定した場合に70MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)特に水中にて37℃で測定した場合に2000MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/または
iii)a)特に水中にて45℃で測定した場合に50MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)特に水中にて45℃で測定した場合に1500MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/または
iv)a)特に水中にて55℃で測定した場合に40MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)特に水中にて55℃で測定した場合に900MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の、または請求項12記載の重合組成物。
【請求項14】
歯科用補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームを製造するための、請求項1から13までのいずれか1項記載の重合組成物の3次元成形体の形態のブランクであって、前記ブランクが、a.1)75MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/またはb.1)2000MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ任意にa.2)特に水中にて45℃で測定した場合に50MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/またはb.2)特に水中にて45℃で測定した場合に1500MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有することを特徴とする、ブランク。
【請求項15】
解剖学的模型、解剖学的卓上型模型、歯科用作業用模型、歯科用完全模型、歯科用ダイ模型、解剖学的または歯科用ソーカット模型、特に状況模型、反対咬合模型、機能模型、プレ模型、修復用模型、精密模型、歯科用歯列石膏模型を代替するための解剖学的模型、アライナー、歯科用スプリント、補綴部品、歯科用補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームを製造するための、特にラピッドプロトタイピングプロセス、またはラピッドマニュファクチャリングプロセスまたはラピッドツーリングプロセスにおける、請求項1から11までのいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項16】
前記歯科用補綴部品が、補綴ベースまたはその部品、人工歯、一体的に歯間接続されている少なくとも2~16本の人工歯を有する歯列、クラウン、プロビショナルクラウン、全補綴物、全クラウン、歯科矯正補正用スプリント(インビザラインと同様)、歯科用ブリッジ、アバットメント、スープラストラクチャー、歯科用バー、インレー、アンレー、整形外科用器具、例えば咬合スプリント、人工歯の歯科用プリフォーム、インプラント歯科学のサージカルガイド、マウスガードおよび/またはインプラントを含むことを特徴とする、請求項15記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、(i)少なくとも(a)1つの第1のモノマーであって、この第1のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上である第1のモノマーと、少なくとも(b)1つの第2のモノマーであって、この第2のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下である第2のモノマーとを含み、少なくとも1つの第1のモノマーまたは少なくとも1つの第2のモノマーのうちの少なくとも1つは、脂環式基、特に二環式基、および任意に、二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを有するものとするモノマーと、(ii)UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系を含む少なくとも1つのさらなる成分と、を含む、重合可能な放射線硬化性組成物である。さらに本発明の主題は、3次元成形体、例えば歯科用模型、歯科用補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームを製造するための、重合組成物、特に放射線硬化組成物の3次元成形体の形態のブランク、ならびにラピッドプロトタイピングプロセスまたはラピッドマニュファクチャリングプロセスまたはラピッドツーリングプロセスで歯科用補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームを製造するための組成物の使用である。
【0002】
歯科分野では、手作業による製造方法に加えて、サブトラクティブプロセスやアディティブプロセス(材料積層プロセス)などのデジタル製造方法がますます重要になっている。アディティブプロセスの利点は、高価な原材料の節約およびオブジェクト製造の高速化である。ジェネレーティブプロセスは、歯科分野で、例えばCoCr、Tiまたはポリマーからクラウンおよびブリッジ、インプラント部品または模型を製造するためのレーザ焼結の形態ですでに知られている。
【0003】
DIN EN ISO 20795-2に準拠した歯科分野の機械的要件に関して相応する特性プロファイルを有する義歯を製造するためのアクリレートまたはアクリレート誘導体の組成物は、これまでに得られていない(Quintessenz Zahntechnik 2017-43(10): p.1325参照)。そのため、解剖学的模型、解剖学的卓上型模型の製造、特に患者の歯の状況および歯肉あるいは歯列の印象から製造される歯科用石膏模型の代替物としての解剖学的模型の製造や、補綴部品または最終的な義歯の製造のための材料が基本的に必要とされている。さらに、最終的な補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームを製造するための組成物も必要とされている。
【0004】
印象材および模型(本明細書では、解剖学的模型または作業用模型とも呼ぶ)は、正確な義歯の基礎となるものである。歯科医および歯科技工士が印象採得および模型製造時に材料固有の要件を順守した場合にのみ、1人1人に合わせた最適な修復物が得られる。
【0005】
通常、歯科技工士は模型の製造に石膏を使用する。石膏は、使いやすく、正確で寸法が安定し、表面が滑らかな模型の要件を満たしている。歯科用解剖学的石膏模型の要件は次のとおりである:特にワックス抽出時の、水と組み合わせて、または水なしでの、体積安定性、最小限の膨張、非収縮性、貯蔵安定性、消毒剤、断熱剤およびワックスとの適合性、滑らかで非多孔性の表面、十分な耐圧性、高いエッジ安定性、良好な耐摩耗性、高い耐熱性。
【0006】
本発明の課題は、良好な放射線硬化特性、特にUVおよび/またはVis放射線硬化特性を有するとともに、放射線硬化時に良好な重合深さを示す組成物を提供することであった。さらに、放射線硬化組成物は、周囲室温および高温の双方で良好な機械的特性を有することが望ましく、それにより該組成物を解剖学的模型、特に歯科用模型の製造に使用することができる。したがって、該組成物は、模型キャスティング、インプラント歯科学、ソーカットおよびマスター模型、ならびに正確な反対咬合模型を製造するための模型材料の要件を満たすことが望ましい。したがって、硬化状態の印刷された3D成形体として次の要件を満たす、アディティブ/ジェネレーティブプロセスで使用可能な光硬化性組成物を提供することも課題であった:加圧ポット内で45℃~55℃の温度での機械的特性および寸法安定性が保持されること、深絞りプロセスで、また例えばスチームジェット装置を使用した洗浄時にも寸法安定性を示すこと、貯蔵期間にわたって顕著な粘度変化なく光硬化性組成物が貯蔵安定性を示すこと、レーザ、LEDまたはDLPプロジェクタでの照射時に十分な反応性を示すこと、ワーク/成形体が十分な幾何学的精度/解像度で印刷可能であること、混合物が色安定性を示すこと、およびチキソトロピーを示さないか、またはわずかにしか示さないこと。したがって、本発明の課題は、重合状態で水中にて55℃で試験した場合に、少なくとも40MPaの曲げ強さと、少なくとも800MPaの、弾性率と同義の曲げ弾性率とを有する放射線硬化性組成物を提供することであった。
【0007】
歯科用石膏模型についてのさらなる要件を、以下に様々な作業ステップにて概説する。模型と、熱の作用および水との組み合わせ:模型キャスティング(水浴にて55℃で20分)でのプラスチックサドルのキャスティング、部分補綴物の完成/模型キャスティング(水浴にて55℃で20~30分)、全補綴物の完成(注入技術パラジェット/キュベット技術 - 水浴にて55℃で30分)、全補綴物の完成、タンピングプレス技術(水浴にて100℃で30~40分)、深絞りスプリント(55℃で20~30分)、洗浄用の水蒸気(70℃~110℃)、抽出(80℃~100℃で3~5分)、パラベニア(Pala Veneer)のベニアリング(55℃、2バール、20分)。
【0008】
模型と、断熱材および機械的作用との組み合わせ:咬合器への導入、つまり咬合器内で模型に機械的負荷をかける、補綴プラスチックに対する断熱、ベニアリングコンポジットに対する断熱、ワックスに対する断熱、UVプラスチックおよび/またはワックス、ディッピングワックスによる遮断。
【0009】
模型と、水なしでの熱の作用との組み合わせ:深絞り(155~170℃/1~2分)、ホットグルーガンによる模型の固定、接着ワックスによる模型の固定、UVプラスチックおよび/またはワックス、ディッピングワックス、深絞りシートによる遮断、およびHi Lite Power/3Dでのコンポジットの手動硬化(各90秒で2回、および180秒で1回)、Hi Lite Power/3Dでの咬合スプリントの硬化(各5分で2回)、ミリング技術用のミリング断端(蓄積された熱に対して耐熱性)。
【0010】
他の作業ステップでの重合組成物の挙動:イソプロパノールを含む超音波浴での寸法安定性および良好な洗浄特性、咬合箔(バウシュ(Bausch)、赤色、青色、黒色)における変色および洗浄、咬合用スプレーにおける変色および洗浄(様々なメーカー)、調製マージンでの耐摩耗性(クラウン、ブリッジ、模型キャスティングクランプ歯)、耐破損性/耐摩耗性(咬合器内 - 石膏対プラスチック、プラスチック対プラスチック)。
【0011】
状況模型およびすべての作業用模型は、その後のすべての歯科技術的作業の基礎となる。高い審美的要件を満たすために、例えば作業用模型、歯列矯正用模型などの最終的な義歯用のレジン混合物は、寸法安定性および熱安定性を有しなければならない。デジタルワークフローの利点を得るために石膏模型を印刷されたプラスチック模型に置き換えたい場合、プラスチック模型は、石膏と同一のポジティブな特性を有する必要がある。ただし、様々な物理的および化学的境界条件により、プラスチックは熱可塑性の影響を受ける。モノマーを最適に選択することによって、熱可塑性を制限内に抑えることが重要である。
【0012】
これまでのところ、言及されているすべての熱安定性を有する材料は存在しないため、これらを一部の歯科技術用途でしか使用することができない。
【0013】
したがって、本発明は、特に高い熱安定性および寸法安定性を有するモノマーを含む組成物を提供することで、重合組成物を加圧ポット内で成形部品として使用する際に、および咬合スプリントの深絞りの際に、高温に耐えるようにするという課題に基づいていた。アライナーの製造時には、高温に複数回耐える必要がある。
【0014】
本発明の課題は、請求項1記載の組成物、および請求項12記載の重合組成物、および請求項14記載のブランク、および請求項15記載の使用によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項で、および詳細には発明の詳細な説明で開示される。
【0015】
本発明の主題は、(i)モノマーにおいて、モノマーは、少なくとも(a)1つの第1のモノマーであって、この第1のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上である第1のモノマーを含み、かつ少なくとも(b)1つの第2のモノマーであって、この第2のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下である第2のモノマーを含み、少なくとも1つの第1のモノマーまたは少なくとも1つの第2のモノマーのうちの少なくとも1つは、脂環式基、特に少なくとも二環式の脂環式基を有するものとする、モノマーと、(ii)少なくとも1つのさらなる成分において、少なくとも1つのさらなる成分は、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系を含むものとする、少なくとも1つのさらなる成分とを含む、重合可能な放射線硬化性組成物である。
【0016】
モノマーという用語は、言及されたモノマーの混合物、例えば特に、第1のモノマーおよび第2のモノマーを含む混合物をも意味すると理解される。第1のモノマーとは、(i)第1のモノマーのみならず、(ii)第1のモノマーの混合物をも意味すると理解され、第2のモノマーとは、(i)第2のモノマーのみならず、(ii)第2のモノマーの混合物をも意味すると理解される。TGは、有利にはDSCによって決定される。
【0017】
特に好ましい組成物は、周囲室温で、ジェネレーティブ放射線硬化プロセスにおける該組成物の使用に適した粘度を有する。したがって、組成物は、有利には5000mPas未満の粘度を有する。特に好ましくは、周囲室温(約20℃~23℃)での組成物の粘度は、3000mPas以下、特に500~2500mPas未満である。
【0018】
好ましい実施形態によれば、組成物は、第1および第2のモノマーの混合物を有し、第1のモノマーは、二価脂環式基を有する二官能性アクリレート、および二価脂環式基を有する二官能性メタクリレート、特に二価二環式アクリレートまたは二価二環式メタクリレート、好ましくはそれぞれ二価テトラヒドロジシクロペンタジエンのものを含み、第2のモノマーは、脂環式基を有する少なくとも1つの単官能性アクリレートおよび/または脂環式基を有する単官能性メタクリレートを含み、特に好ましいのは、二環式脂環式基を有する単官能性アクリレートと二環式脂環式基を有する二官能性アクリレートとの混合物である。同様に好ましいのは、これらのモノマーのそれぞれのメタクリレートである。
【0019】
もう1つの好ましい実施形態によれば、(i)モノマーとして、
(a)特に少なくとも1つの第1のモノマーとして、1,3,5-トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートから誘導される少なくとも1つのトリアクリレートであって、ここで、ヒドロキシアルキル基は、それぞれ独立して1~8個のC原子を含み、特に3~8個のC原子を有し、直鎖状、分岐状および/または環状であり、特に1~6個のC原子、好ましくは1~4個のC原子、好ましくは1~3個のC原子を有し、特に好ましくはヒドロキシエチルであるものとするトリアクリレートと、任意に
(b)二価脂環式基を有する二官能性アクリレートおよび二価脂環式基を有する二官能性メタクリレートと、任意に
(c)特に少なくとも1つの第2のモノマーとして、脂環式基を有する少なくとも1つの単官能性アクリレートおよび/または脂環式基を有する単官能性メタクリレートと
を含む組成物が好ましい。
【0020】
任意に、(d)モノマーとして、有利には少なくとも1つの第3のモノマーとして、式Iの少なくとも1つの二置換4,4’-ジ(オキサベンゾール)ジアルキルメタンが組成物中に存在してもよく
【化1】
ここで、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、HまたはC~Cアルキルから選択され、RおよびRは、それぞれ二価のC~Cアルキレンであり、n=0~6であり、m=0~6である。置換パターンに応じて、この式Iの二置換4,4’-ジ(オキサベンゾール)ジアルキルメタンは、第1または第3のモノマーである。nおよびm=2であり、かつR、R、RおよびRがメチルであり、かつRおよびRがエチレンである場合には、これは第3のモノマーである。式Iにおいて、n=2およびm=2であり、R、R、RおよびRがメチルであり、RおよびRがエチレンである場合には、このモノマーは第3のモノマーであり、全組成物中に0~50重量%存在し得る。
【0021】
ここで、モノマー(d)が、基R~Rおよび添え字nおよびmの選択に応じて第1または第3のモノマーとなることができ、TGは120℃以上となり得るため、これは第1のモノマーである。第3のモノマーは、100℃以上で有利には120℃未満のTGを有し、全組成物中で有利には0~40重量%未満しか使用されない。TGが30℃以上50℃未満である場合、モノマーは、全組成物中に0~10重量%未満存在する。
【0022】
有利には、組成物は、追加のカルボキシ基を有する少なくとも1つのアクリル酸エステル、例えば、カルボキシ基の少なくとも1つの追加の無水物基を有する少なくとも1つのアクリル酸エステルおよび/または前述のアクリル酸エステルの少なくとも1つの誘導体を、0~7.5重量%しか有しておらず、好ましくは有意な割合を有しておらず、有利には0~0.05重量%しか有しない。
【0023】
組成物のさらに好ましい実施形態は、(i)モノマーを含み、該モノマーは、(a)少なくとも1つの第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、それぞれの第1のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)は120℃以上であり、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物は、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとする少なくとも1つのジアクリレートエステル、またはその混合物を含むものとする、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物と、(b)少なくとも1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、それぞれの第2のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)はそれぞれ100℃以下であり、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノール((オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)アルカノールと同義)をベースとする少なくとも1つの単官能性アクリレートエステル、またはその混合物、および任意に、二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むものとする、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物とを含み、ここで、任意に
(i)組成物中に、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする単官能性アクリレートエステルが15~25重量%存在し、任意に、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとするジアクリレートエステルが5~15重量%存在し、ここで、全組成物は100重量%であるか、または
(ii)アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとするジアクリレートエステルが5~15重量%存在し、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする単官能性アクリレートエステルが15~25重量%存在し、特に(ii)では、1,3,5-トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートから誘導されるトリアクリレートが存在せず、ここで、全組成物は100重量%であるか、または
(iii)アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする単官能性アクリレートエステルと、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとするジアクリレートエステルとを含む混合物が15~45重量%存在し、特に(iii)では、1,3,5-トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートから誘導されるトリアクリレートが存在せず、ここで、全組成物は100重量%である。
【0024】
さらに、組成物は、有利には、少なくとも第1のモノマー(a.1)として、1,3,5-トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートから誘導される少なくとも1つのトリアクリレートを含むことができ、これには、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシメチル)イソシアヌレートトリアクリレート、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシメチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、またはこれらのモノマーを少なくとも2つ含む混合物が含まれる。
【0025】
好ましい第1のモノマーは、(b)を含み、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジエタノールジアクリレート、トリシクロデカンジエタノールジメタクリレートおよび/またはその混合物から選択される。上記のトリシクロデカンモノマーは、これらのモノマーのすべての構造異性体を含み得る。
【0026】
他のモノマー、特に第3のモノマーは、100℃以上で有利には120℃未満のTGを有するモノマーを0~10重量%以下含む。したがって、組成物は、さらに、(d)式Iの少なくとも1つの二置換4,4’-ジ(オキサベンゾール)ジアルキルメタン[式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、HまたはCアルキルから選択され、RおよびRは、それぞれ二価のC~Cアルキレン、特にCアルキレンであり、n=1~6であり、m=1~6である]のようなモノマーを含むことができる。また、好ましくは、RおよびRは、それぞれメチルであり、RおよびRは、同じであり、H、メチルおよびエチルから選択され、特にRおよびRは、同じであり、Hおよびメチルから選択され、RおよびRは、それぞれ独立して、二価のエチレンまたはプロピレンであり、n=1~6であり、好ましくはn=2~4であり、m=1~6であり、好ましくはm=2~4であり、好ましくはn=2およびm=2であるか、またはn=4およびm=4であり、およびその混合物である。式Iの特別に置換された二置換4,4’-ジ(オキサベンゾール)ジアルキルメタンのそれぞれのTGの高さに応じて、このモノマーは、第1または第2または第3のモノマーであり得る。有利には、組成物は、特にnおよびmが4以上である式Iのモノマーを含まないか、またはこれを全組成物に対して0~7.5重量%以下しか含まない。
【0027】
以下に、式Iのいくつかのモノマーを、一部はそのTGとともに示す:エトキシル化(2)ビスフェノールAジメタクリレート(TG 105℃)、エトキシル化(2)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジメタクリレート(TG 115℃)、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート(TG 67℃)、エトキシル化(4)ビスフェノールAジメタクリレート(TG 90℃)、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート(TG 60℃)、エトキシル化(10)ビスフェノールAジメタクリレート(TG(-1℃))、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート(TG 2℃)。
【0028】
別の実施形態によれば、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、それぞれのホモポリマーのTGが30℃以上である少なくとも1つのモノマーまたは第2のモノマーの混合物を含むことができ、好ましくは、30℃以上100℃以下の範囲のTGを有する第2のモノマーが含まれており、特に好ましくは、50℃以上100℃以下の範囲のTGを有する第2のモノマーが含まれている。さらに好ましい組成物は、(i)第1のモノマー、第2のモノマーおよび第3のモノマーを含むモノマーと、有利には少なくとも1つのUV、VisまたはUV/Vis安定剤を含む追加の成分とを含む。
【0029】
別の実施形態によれば、組成物中に(i)モノマーが含まれており、
- (a)少なくとも1つの第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、対応する第1のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上である第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物が40~99.99重量%存在し、かつ
- (b)少なくとも1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、対応する第2のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下である第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物が0~60重量%、特に0~10重量%存在し、
- 少なくとも1つのさらなる成分であって、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系、ならびに任意にUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの安定剤、ならびに任意に少なくとも1つの顔料および/もしくは染料、ならびにさらなる慣用的な添加剤を含むさらなる成分が0.01~5重量%存在し、
ここで、全組成物は100重量%であり、特に、周囲室温(約20℃~23℃)での組成物の粘度は、3000mPas以下、特に500~2500mPas未満である。
【0030】
さらに別の実施形態によれば、組成物は、(i)第1のモノマーとして、
(e)二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、および/または
(f.1)少なくとも1つの単官能性、三官能性、四官能性または多官能性モノマーであって、特にウレタン(メタ)アクリレートではないもの、特にポリエーテルのアクリレートエステルおよび/またはメタクリレートエステルであり、ポリエーテルのジメタクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性または多官能性メタクリレートエステル、ポリエーテルのジアクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性および/または多官能性アクリレートエステルから選択されるもの
を含むことができる。
【0031】
(i)以下:
(c)脂環式基を有する少なくとも1つの単官能性アクリレートおよび/または脂環式基を有する単官能性メタクリレートであって、特に(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)メタノールアクリレート、(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)メタノールメタクリレート、(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)エタノールアクリレートおよび(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)エタノールメタクリレートから選択されるもの、
(f.2)少なくとも1つの単官能性、二官能性、三官能性、四官能性または多官能性モノマーであって、特にウレタン(メタ)アクリレートではないもの、特にポリエーテルのアクリレートエステルおよび/またはメタクリレートエステルであり、ポリエーテルのジメタクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性または多官能性メタクリレートエステル、ポリエーテルのジアクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性および/または多官能性アクリレートエステルから選択されるもの
を含む第2のモノマーを含む組成物が好ましい。
【0032】
トリメチロールプロパントリアクリレート(TG 60℃)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(TG 90℃)、エトキシル化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(TG 70℃)およびエトキシル化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(TG 70℃)も適している。三官能性モノマーは、さらに以下のものから選択されることができ、その際、これらは好ましくは、全組成物中で0~10重量%、特に0.01~5重量%しか使用されない:エトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート(TG -40℃)、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート(TG -10℃)、エトキシル化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート(TG -20℃)、プロポキシル化(3)グリセリルトリアクリレート(TG 20℃)、エトキシル化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート(TG -30℃)。ここで、組成物の粘度は、3000mPas未満であることが望ましい。
【0033】
同様に好ましい組成物は、第1のモノマーに加えて、(iii)特に0~15重量%、任意に1~10重量%の第3のモノマーも含むことができ、ここで、第3のモノマーは、
(f.3)少なくとも1つの単官能性、三官能性、四官能性または多官能性モノマーであって、特にウレタン(メタ)アクリレートではないもの、特にポリエーテルのアクリレートエステルおよび/またはメタクリレートエステルであって、ポリエーテルのジメタクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性または多官能性メタクリレートエステル、ポリエーテルのジアクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性および/または多官能性アクリレートエステルから選択されるもの
を含むことができる。
【0034】
第3のモノマーに含まれるテトラアクリレートの例:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(TG 105℃)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(TG 100℃)。
【0035】
さらに別の実施形態によれば、組成物は、(i)以下:
- (a)第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、対応する第1のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上であり、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物は、二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性アクリレートおよび/または二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性メタクリレート、および任意に二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むものとする、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物70~99.99重量%、特に80~99.99重量%と、
- 少なくとも(b)1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、対応する第2のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下であり、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、それぞれのホモポリマーのTGが30℃以上である少なくとも1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物を含み、好ましくは、TGが30℃以上100℃以下の範囲である第2のモノマーが含まれており、特に好ましくは、TGが50℃以上100℃以下の範囲である第2のモノマーが含まれているものとする、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物、特に単官能性および/または二官能性アクリレートおよび/またはメタクリレート、好ましくは二環式脂環式アクリレートおよび/またはメタクリレート0~30重量%、特に0~20重量%、好ましくは1~15重量%と、任意に、
- 第3のモノマーであって、それぞれのホモポリマーのTGが100℃超、特に105℃以上115℃以下、特に118℃以下である第3のモノマー0~10重量%と、
- 少なくとも1つのさらなる成分であって、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系、ならびに任意にUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの安定剤、ならびに任意に少なくとも1つの顔料および/もしくは染料、ならびにさらなる慣用的な添加剤を含むさらなる成分0.01~5重量%と
を含むモノマーを含むことができる。
【0036】
同様に、組成物は、
- (i)(a)第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、対応する第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物のそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上であり、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物は、二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性アクリレートおよび/または二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性メタクリレート、および任意に二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むものとする、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物75~99.99重量%、特に80~99.99重量%と、
- 少なくとも(b)1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、対応する第2のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下であり、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、脂環式基を有する少なくとも1つの単官能性アクリレートおよび/または脂環式基を有する単官能性メタクリレートを含むものとする、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物0~25重量%、特に0~20重量%、好ましくは1~20重量%と、
- 少なくとも1つのさらなる成分であって、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系、ならびに任意にUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの安定剤、ならびに任意に少なくとも1つの顔料および/もしくは染料、ならびにさらなる慣用的な添加剤を含むさらなる成分0.01~5重量%と
を含むことができ、ここで、全組成物は100重量%であり、特に、周囲室温(約20℃~23℃)での組成物の粘度は、3000mPas以下、特に500~2500mPas未満である。
【0037】
特に好ましい組成物において、組成物中に、第1のモノマーは、70~99.99重量%、特に80~99.99重量%含まれており、全組成物に対して、二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性アクリレートおよび/または二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性メタクリレートとしての、5~50重量%、特に5~25重量%、好ましくは5~20重量%を含む第1のモノマーと、任意に、二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレート5~50重量%、特に5~45重量%、好ましくは7.5~30重量%との混合物を含むことができる。任意に、さらなる第1のモノマーが、第1のモノマーの混合物に含まれていてもよい。
【0038】
さらに特に好ましい組成物は、(i)モノマーおよび(ii)少なくとも1つのさらなる成分を含み、ここで、TG(合計)は、モノマーの1/TG(合計)から求められ、1/TG(合計)は、以下の式
1/TG(合計)=w1/TG(1)+w2/TG(2)+w3/TG(3)+任意に、w4/TG(4)+任意に、w5/TG(5)+任意に、wn/TG(n)
にしたがって求められ、ここで、w1、w2、w3、w4、w5、およびwnはそれぞれ、少なくとも第1および第2のモノマーの全混合物100重量%中のそれぞれのモノマーの、特にそれぞれの第1のモノマーの、それぞれの第2のモノマーの、または任意にそれぞれの第3のモノマーの、重量割合であり、n=6~50であり、TG(合計)は、80℃以上、特に100℃以上、好ましくは120℃以上、有利には170℃以上であり、周囲室温(約20℃~23℃)での組成物の粘度は、3000mPas以下、特に500~2500mPas未満である。
【0039】
ここで、(i)モノマーは、少なくとも(a)1つの第1のモノマーであって、この第1のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)は120℃以上であるものとする第1のモノマーと、少なくとも(b)1つの第2のモノマーであって、この第2のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)は100℃以下であるものとする第2のモノマーとを含み、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、それぞれのホモポリマーのTGが30℃以上である少なくとも1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物を含み、好ましくは、TGが30℃以上100℃以下の範囲である第2のモノマーが含まれており、特に好ましくは、TGが50℃以上100℃以下の範囲である第2のモノマーが含まれており、(ii)少なくとも1つのさらなる成分は、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系を含む。
【0040】
一実施形態は、特に組成物の放射線硬化によって得られる重合組成物を含み、ここで、TG(合計)は、以下の式にしたがって1/TG(合計)により求められ、(i)モノマーは、以下の重量割合(w1、w2、w3、w4、w5およびwn)にしたがって全組成物中に存在する。
【0041】
1/TG(合計)=w1/TG(1)+w2/TG(2)+w3/TG(3)+任意に、w4/TG(4)+任意に、w5/TG(5)+任意に、wn/TG(n)
ここで、w1、w2、w3、w4、w5、およびwnはそれぞれ、第1および第2のモノマーならびに任意に第3のモノマーの全組成物100重量%中のモノマーの重量割合であり、n=6~50であり、TGは100℃以上であり、重合組成物は、特に水中にて55℃で測定した場合に40MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/またはb)特に水中にて55℃で測定した場合に800MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有する。
【0042】
コポリマーのガラス転移温度は、近似的にFoxの式で示すことができる。上記および[Bullentin of the American Physical Society 1,3 Page123 (1956)]参照。
【0043】
半結晶性プラスチック(多くの通常のプラスチックは、10~80%の結晶部分を有する)は、ガラス転移温度(これ以下では非晶質相が(脆化をともなって)凍結する)と、溶融温度(結晶相が消失する温度)との双方を有する。ガラス転移は一次相転移ではないため、結晶の場合の融点のような正確な温度とも関連していない。検出される値は、使用される測定方法(以下参照)が敏感である分子動力学の時間および長さのスケールあるいは運動モードに応じて体系的に変化する。プラスチックをそのガラス転移温度より上または下の温度で使用できるか否かは、プラスチックの種類に依存する(ここで、プラスチックのガラス転移温度は、その架橋密度とともに上昇する、つまり、熱硬化性プラスチックのガラス転移温度は、熱可塑性プラスチックのガラス転移温度よりも大幅に高いことに留意すべきである)。
【0044】
1/Tg=w1/Tg(1)+w2/Tg(2)、ここで、w1およびw2は、それぞれのコモノマーの重量割合であり、Tg(1)およびTg(2)は、モノマー1および2のホモポリマーのそれぞれのガラス転移温度である。さらなるコモノマーの場合、さらなる項(wn/Tg(n))がこの式に挿入される。開示されるガラス転移温度は、当業者に知られている「ポリマーハンドブック」、モノマーのメーカーのデータから引用することができる。ガラス転移温度に関するデータが入手できない場合には、これは、DSC、DMS(動的機械分析)、誘電緩和分光法、または膨張測定法によって決定することができる。DSC測定は、ホモポリマーのガラス転移温度を決定するための通常の方法である。その際、ホモポリマーを乾燥させ、120℃に加熱し、-100℃に急冷し、次いで20℃/分で150℃またはそれを上回って300℃まで加熱し、ガラス転移温度のデータを調べる。ガラス転移温度は平均値として測定される。
【0045】
好ましいのは、式I[式中、RおよびRは、それぞれメチルであり、RおよびRは、同一であり、かつH、メチルおよびエチルから選択され、特にRおよびRは、同一であり、かつHおよびメチルから選択され、RおよびRは、それぞれ独立して、二価エチレンまたはプロピレンであり、n=1~6であり、好ましくはn=2~4であり、m=1~6であり、好ましくはm=2~4であり、好ましくはn=2およびm=2であるか、またはn=4およびm=4である]の二置換4,4’-ジ(オキサベンゾール)ジアルキルメタンおよびその混合物である。
【0046】
ウレタン(メタ)アクリレートではない、好ましい少なくとも二官能性のモノマーは、(b)二価脂環式基を有する二官能性アクリレートおよび二価脂環式基を有する二官能性メタクリレートから選択される。特に好ましくは、(b)これらは、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(TCDDA)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジエタノールジアクリレート、トリシクロデカンジエタノールジメタクリレートおよび/またはその混合物(部分的にビス(メタクリロイルオキシメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエンまたはビス(アクリロイルオキシメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエンと同義である)から選択される。
【0047】
有利には、本発明によるすべてのモノマー(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f.1)、(f.2)および/または(f.3)は、2000g/モル未満の平均分子量(重量平均)を有し、特に好ましくは、モノマー(a)、(b)、(d)、(e)および(f.1)、(f.2)および/または(f.3)は、1000g/モル未満の平均分子量を有する。
【0048】
モノマーを選択する際にも、モノマーと任意に使用されるフィラーとが良好に結合するよう留意すべきである。通常、ポリウレタン、アクリレート、ポリエステル、およびその他のモノマーは、使用されるフィラーと良好に結合しない。したがって、フィラーは通常、モノマーとの結合を改善するために表面でシラン化または疎水化される。
【0049】
特定の歯科用途に基づいて、例えば組成物の目的の粘度のために、重合性組成物中で無機フィラーを使用できない場合には、放射線を反射させる、特に入射した放射線を拡散反射あるいは散乱させるための方法は、組成物において染料または顔料を使用することである。染料とは、重合性組成物に可溶であり、かつ有利には透明な溶液を形成する化合物であると見なされている。
【0050】
本発明による放射線硬化性組成物に、有利にはVisスペクトル領域で光を放出する放射線源で照射することができ、特に好ましいのは、360~750nm、特に約385nm、特に好ましくは約405nmで放射線を放出する放射線源である。特に好ましくは、本発明による組成物は、例えばDLPプロジェクタなどの多色放射線源を使用して、または有利には、例えばレーザプロジェクタなどの単色放射線源を使用して、380~660nmのVisスペクトル領域で照射することができる。
【0051】
こうした顔料および/または染料を添加した場合、組成物において光開始剤の含有量を減少させることができる。光開始剤の含有量が高すぎると、照射された組成物のいわゆる「オーバーキュア」、不正確さ、および/または形状変化が生じるおそれがあり、相応して製造された歯科用部品が使用できなくなる。
【0052】
任意に使用可能な本発明による無機フィラー、顔料または染料の使用によって、組成物のモノマーマトリックスにおける放射線源、特にUVおよびVis放射線源の均一な散乱が生じ、その結果、組成物の均一な硬化が想定される。その結果、重合組成物において達成される破壊エネルギーの値がより高くなる。
【0053】
本発明による組成物は、Visスペクトル領域、特に385~405nmの放射線源を使用して照射した後に、好ましくはステレオリソグラフィープロセスで照射して、重合組成物を、有利にはブランク、3D成形部品、歯科用補綴部品、解剖学的模型、解剖学的卓上型模型、歯科用作業用模型、歯科用完全模型、歯科用ダイ模型、解剖学的または歯科用ソーカット模型、特に状況模型、反対咬合模型、機能模型、プレ模型、修復用模型、精密模型、マスター模型、および精密反対咬合模型、歯科用歯列石膏模型を代替するための解剖学的模型、補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームの形態で得て、この重合組成物を任意に放射線源で後熱処理した後に、以下の特性を有する:DIN EN ISO 20795-2に準拠し、特に通常は周囲室温、有利には23℃±2℃で、好ましくは周囲室温から(水中で)55℃で、a)40MPa以上、特に75MPa以上の曲げ強さ、および/またはb)800MPa以上、特に1500MPa超、特に2000MPa以上の弾性率。有利には、放射線硬化組成物は、特に成形体またはブランクとして、以下に記載される曲げ強さおよび弾性率を有する。上記の歯科用模型の定義については、Zahntechnik, Band 3, Quintessenz Verlag, A- Hohmann, W. Hielscher, 5. Aufl., 2012の教示を参照のこと。後硬化あるいは後熱処理は、有利には、例えば実験用照明装置(HiLite Power 3D)を用いて、または有利には光スペクトルが390~540nmである光オーブン内で行うことができる。
【0054】
任意に、組成物は、(f.2)として、ウレタンアクリレートまたはウレタンメタクリレートではない少なくとも1つの二官能性モノマー、少なくとも1つのポリエーテルジアクリレート、例えばポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(アルキル)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジ(アルキル)アクリレート、または前述の少なくとも2つのモノマーの混合物をさらに含むことができる。好ましいポリエーテルジアクリレートは、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、および/またはテトラエチレングリコールジメタクリレートから選択することができる。あるいはまたはこれに加えて、組成物は、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキシルデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレートから選択されるジアクリレート、または少なくとも1つのアクリレートを含む混合物を含むことができる。
【0055】
(メチル)アクリレートまたは(アルキル)アクリレートという用語での括弧内の表記は、アクリレートがアクリレートまたはメチルアクリレートとして、あるいはアルキルアクリレートとして存在し得ることを意味する。
【0056】
単官能性モノマーとして、ヒドロキシエチルアクリレートを使用することができる。同様に、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートおよび/またはヒドロキシエチルアクリレートを、任意に前述の少なくとも2つのモノマーの混合物として使用することができる。
【0057】
さらに、組成物は、(d)二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレート(二官能性ウレタンアクリレートおよび/または二官能性ウレタンメタクリレート)から選択される、少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレートを含むことができる。含有量は、全組成物中で0~40重量%であってよく、ここで、含有量は、有利には1~35重量%、好ましくは5~35重量%であり、有利には、第1のモノマーの割合の成分は、70~99.99重量%である。
【0058】
二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートは、有利には、二価アルキレン基で官能化された直鎖状または分岐状ウレタンジメタクリレート、アルキレン基を有する官能化ポリエーテル、例えばビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレン、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)置換ポリアルキレンエーテル、有利には1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン、UDMAあるいはHEMA-TDMIから選択される。好ましいのは、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレンであり、ここで、アルキレンは、直鎖状または分岐状のC~C20、有利にはC~Cの、例えば、特に好ましくはメチル基で置換されたアルキレン、例えばHEMA-TMDIを含む。二価アルキレンは、有利には2,2,4-トリメチルヘキサメチレンおよび/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンを含む。
【0059】
任意に、組成物には、1つ以上のフィラー、例えば、ドープされた二酸化ケイ素フィラー、特に二酸化ジルコニウムと二酸化ケイ素との混合酸化物が含まれていてよい。特に好ましいのは、混合酸化物の全組成物に対して75~99重量%の二酸化ケイ素および1~25重量%の二酸化ケイ素を含む特に凝集した混合酸化物であり、特に混合酸化物は、85~90重量%の二酸化ケイ素および10~15重量%の二酸化ジルコニウムを含み、その際、凝集酸化物粒子の一次粒子が4~7nmの微結晶ドメインを含み、有利には、Windischらの方法(国際公開第01/30306号)により測定した場合に結晶性指数が0.6~0.7であり、かつ凝集酸化物粒子が、少なくとも1つのモノマーおよび/またはポリマー成分に対して反応性である少なくとも1つの有機官能性シランで表面修飾されていることがさらに好ましい。本発明により処理された凝集酸化物粒子は、摩耗測定において光沢レベルに関する卓越した特性、卓越した透明性、ならびに歯ブラシ試験後の反射および粗さ測定における非常に良好な値を有する。
【0060】
無機フィラー、例えば少なくとも1つの無機酸化物、混合酸化物、または例えば酸化バリウムアルミニウムを含む歯科用ガラスの粒子サイズは、本用途で平均して10μm未満の平均粒子径d50を有し、特に好ましくは、フィラーは、約3~70nm、特に10~50nm(ナノメートル)の粒子径を有し、任意に、粒子は、最大10μmの粒子として凝結または凝集し得る。任意に凝集および/または凝結した一次粒子として存在し得る無機フィラーの一次粒子径は、平均して約3~70nm、特に10~50nmの粒子径である。好ましくは、二酸化ジルコニウムと二酸化ケイ素との混合酸化物は、3~70nmの一次粒子径を有する。任意に凝結および/または凝集していてよい非常に小さな粒子径の利点は、放射線硬化の際にこれらの粒子によって光が実質的に拡散して散乱され、したがってステレオリソグラフィープロセスまたはDLPプロセスにおいてより良好な硬化が生じることである。
【0061】
さらに、組成物は非チキソトロピー性であることが好ましい。加えて、組成物が3000mPas未満、特に500~2500mPas未満、好ましくは500~2000mPas、特に好ましくは500~1600mPasの粘度を有することが特に好ましい。粘度は、有利には、DIN 1342-2;2003-11(ニュートン液体)またはDIN 1342-3;2003-11(非ニュートン液体)に準拠して、レオメーター(Anton Par、Physiker NCR 301、粘度範囲200~3000mPas、100/s 23℃)を用いて測定される。本発明による組成物は、チキソトロピーを示さないか、または有利にはごくわずかしかチキソトロピーを示さない。製造された組成物は構造粘性であり、組成物がフィラーの有無にかかわらず構造粘性であることが好ましい。さらなる実施形態によれば、比較的長い貯蔵期間にわたって粘度変化がほとんど起こらないことが好ましい。さらに、組成物は、レーザまたはDLPプロジェクタを使用して照射した際に非常に良好な反応性を示す。
【0062】
特に好ましい光開始剤には、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールまたは2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニル-ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル、および少なくとも2つの光開始剤の混合物、フェニルホスフィンオキシドの組み合わせ、ビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)が含まれる。
【0063】
典型的な安定剤には、2,6-ジ-tert.-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)またはヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、HALS(ヒンダードアミン系光安定剤)、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(UVA)およびヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)が含まれる。
【0064】
さらに好ましい実施形態によれば、組成物は、以下:
(ii)UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系0.01~2重量%、ならびに安定剤0.01~2重量%と、任意に
(g)無機酸化物または無機混合酸化物および/または歯科用ガラスを含む無機フィラー、特に二酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウムと二酸化ケイ素との混合酸化物、二酸化ケイ素0~10重量%、特に0.01~7.5重量%と
を含むことができ、ここで、全組成物は100重量%である。
【0065】
同様に、本発明の主題は、任意にフィラーを含む組成物であって、任意に凝集および/または凝結した一次粒子として存在する無機フィラーの一次粒子径が、平均して約3~70nm、特に10~50nmの粒子径である組成物である。あるいはまたはこれに加えて、0.4~10μmの粒子径を有する通常のフィラーを組成物に使用することができる。
【0066】
さらに、本発明の主題は、重合組成物、ならびに相応する3D成形体、ならびに以下に記載の歯科用模型、スプリント、歯列矯正用器具および補綴成形部品またはブランクであり、その際、重合組成物は、代替的または累積的に、i)a)75MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、特に80MPa以上、好ましくは90MPa以上が測定され(DIN EN ISO 139に準拠)、かつ/もしくはb)2000MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/または
ii)a)特に水中にて37℃で測定した場合に70MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)特に水中にて37℃で測定した場合に2000MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/または
iii)a)特に水中にて45℃で測定した場合に50MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)特に水中にて45℃で測定した場合に1500MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/または
iv)a)特に水中にて55℃で測定した場合に40MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)特に水中にて55℃で測定した場合に900MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、特に重合性組成物の照射によって得ることができる。
【0067】
ここで、重合組成物が7%未満の収縮率、有利には6.8%以下の収縮率、好ましくは6.5%以下、特に好ましくは6.0%以下の収縮率を有することが特に好ましい(ワッツ(Watts)により測定、Dent. Mater 7: 281-286, Okt. 1991、ボンデッドディスク法とも呼ばれる、周囲室温、Translux Energy、照射60秒)。
【0068】
さらに、本発明の主題は、歯科用補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームの製造に適した、重合組成物の3次元成形体の形態のブランクであり、ブランクは、a.1)75MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/またはb.1)2000MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ任意に
a.2)特に水中にて45℃で測定した場合に50MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/またはb.2)特に水中にて45℃で測定した場合に1500MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ任意に
iv)a)特に水中にて55℃で測定した場合に40MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/またはb)特に水中にて55℃で測定した場合に900MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有する。
【0069】
同様に本発明の主題は、解剖学的模型、解剖学的卓上型模型、歯科用歯列石膏模型を代替するための解剖学的模型、補綴部品、歯科用補綴部品、整形外科用器具、アライナー、歯科用スプリント、または歯科用プリフォームを製造するための組成物の使用、およびラピッドプロトタイピングプロセス、またはラピッドマニュファクチャリングプロセスまたはラピッドツーリングプロセスにおける本発明による組成物の使用である。好ましいのは、レーザビーム、LED光源、またはDLPプロジェクタによる組成物の放射線硬化である。
【0070】
さらに、本発明の主題は、補綴ベースまたはその部品、人工歯、一体的に歯間接続されている少なくとも2~16本の人工歯を有する歯列、クラウン、プロビショナルクラウン、全補綴物、全クラウン、歯科矯正補正用スプリント(インビザラインと同様)、歯科用ブリッジ、アバットメント、スープラストラクチャー、歯科用バー、インレー、アンレー、整形外科用器具、例えば咬合スプリント、人工歯の歯科用プリフォーム、インプラント歯科学のサージカルガイド、マウスガードおよび/またはインプラントを含む歯科用補綴部品を製造するための組成物の使用である。
【0071】
歯科用品とは、本発明において、特に重合性組成物から製造可能な歯科用品を意味すると理解され、すべてを網羅するものではないが、例えば、全補綴物、プロビショナルクラウンおよびブリッジ、インレー、アンレー、全クラウン、咬合スプリント、インプラント歯科学のサージカルガイド、歯科矯正補正用スプリント(インビザラインと同様)、マウスガード、人工歯である。
【0072】
高い審美的要件を満たすために、例えば作業用模型、歯列矯正用模型、サージカルガイド、補綴物およびスプリントなどの最終的な義歯を製造するための歯科分野で使用可能な組成物は、高い透明性を有する必要がある。この透明性は通常、フィラーの屈折率とポリマーマトリックスの屈折率とを最適に調整することで達成される。ただし、様々な物理的および化学的境界条件により、フィラーおよびモノマーの双方の選択には非常に狭い制限が設定されている。
【0073】
さらなる別の実施形態によれば、有利にはさらに全面で放射線硬化された、得られる重合組成物またはブランク、特に放射線硬化組成物、特にUV-Vis硬化組成物は、DIN EN ISO 20795-2に準拠したその曲げ強さおよび/または弾性率に関して上記の特性を有する。さらに全面で放射線硬化するとは、例えば3D光オーブンでの後熱処理を意味すると理解される。
【0074】
ここで、以下の方法 - ラピッドプロトタイピングプロセス、またはラピッドマニュファクチャリングプロセス、歯科用補綴部品などのワークの製造プロセス、またはラピッドツーリングプロセス、器具の製造プロセス - は、それぞれステレオリソグラフィープロセスおよびDLPプロセスを含む。任意に、前述のプロセスで重合性組成物を硬化させた後に、UV、VisまたはUV/Vis光による後熱処理を行ってもよい。有利には、重合組成物または歯科用補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームまたはブランクの後熱処理は、光オーブンにおいて可能であるように、少なくとも3面から、好ましくは5~6面から同時に行われる。あるいは重合組成物を、追加的または代替的に加熱処理してもよい。
【0075】
さらに、色を調整するために、着色顔料を組成物に加えることができる。加えて、歯肉の血管を模倣するために、赤色の繊維を組成物に加えることができる。適切な着色顔料は、例えば、PV Echtrot - CAS 4948-15-6、Indischblau 220943 - CAS 68186-87-8、Echtschwarz 100 - 68186-91-4、Kronos 2220 - CAS 13463-67-7、およびLichtgelb 3R - CAS 68186-90-3である。
【0076】
重合組成物において、硬化層1つあたり5μm、特に25μm~250μmの範囲の層厚を達成することができる。印刷層は、特に好ましくは30μm、50μm、70μm、100μm、120μm、および170μmである。
【0077】
処方成分をその屈折率に関して最適に選択することにより、高い透明性を達成することができる。
【0078】
光開始剤として、例えば、ベンゾインアルキルエーテルまたはベンゾインアルキルエステル、ベンジルモノケタール、アシルホスフィンオキシドまたは脂肪族および芳香族1,2-ジケト化合物、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、9,10-フェナントレンキノン、ジアセチル、フリル、アニシル、4,4’-ジクロロベンジルおよび4,4’-ジアルコキシベンジルまたはカンファーキノンが挙げられる。光開始剤は、有利には還元剤と一緒に使用される。還元剤の例としては、アミン、例えば、脂肪族または芳香族第三級アミン、例えば、N,N-ジメチル-p-トルイジンまたはトリエタノールアミン、シアンエチルメチルアニリン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルジフェニルアミン、N,N-ジメチル-sym.-キシリジン、N,N-3,5-テトラメチルアニリン、および4-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、または有機ホスフィットが挙げられる。一般的な光開始剤系は、例えば、カンファーキノン+エチル-4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-(エチルヘキシル)-4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエート、またはN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートである。
【0079】
特に、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドは、UV光により開始する重合の開始剤として適している。UV光開始剤は、単独で、または可視光の開始剤と組み合わせて使用することができる。
【0080】
特に好ましい光開始剤および/または開始剤系は、a)少なくとも1つのラジカル光開始剤、特に少なくとも1つの過酸化物および/またはアゾ化合物、特にLPO:ジラウロイルペルオキシド、BPO:ジベンゾイルペルオキシド、t-BPEH:tert.-ブチルペル-2-エチルヘキサノエート、AIBN:2,2’-アゾビス-(イソブチロニトリル)、DTBP:ジ-tert.-ブチルペルオキシド、またはα-ヒドロキシケトン、カンファーキノン、アシルホスフィンオキシドを含む。任意に、さらに安定剤を加えてもよく、任意にb)少なくとも1つの補助開始剤、例えば、アミン、通常はtert-アミン、特に少なくとも1つの芳香族アミン、例えば、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジヒドロキシエチル-p-トルイジンおよび/またはp-ジベンジルアミノ安息香酸ジエチルエステルを加えてもよい。
【0081】
特に好ましい光開始剤には、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールまたは2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニル-ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル、および少なくとも2つの光開始剤の混合物、フェニルホスフィンオキシドの組み合わせ、ビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)が含まれる。
【0082】
典型的な安定剤には、2,6-ジ-tert.-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)またはヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、HALS(ヒンダードアミン系光安定剤)、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(UVA)およびヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)が含まれる。
【0083】
本発明をこれらの例示的な実施形態に限定することなく、以下の実施例によってより詳細に説明する。
【0084】
本発明による組成物を用いて、ワーク、ブランクあるいは3次元成形体を非常に優れた幾何学的精度/解像度で印刷することができる。本発明による成形体は、高温下でも非常に良好な機械的特性を示す。さらに、ワークにおいて良好な色安定性を認めることができる。
【0085】
例示的な実施形態
全般的な製造例:開始剤を、(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)メチルアクリレートまたはトリシクロデカンジメタノールジアクリレートに事前に溶解させる。次いで他のモノマーを加え、この混合物を均質化する。顔料濃縮物または顔料を加えることができる。次いで、この組成物を有利には均質化する。製造したこの組成物は、3Dプリンターでの処理が可能である。感光性開始剤は、周囲光と反応して望ましくない重合を生じ得ることに留意すべきである(組成物を、有利には適切な措置の下で印刷浴に移す)。385~405nmで照射し、例えば実験用照明装置HiLite Power3Dを使用して後硬化または後熱処理を行う。
【0086】
製造したこの混合物を用いて、波長405nmの3D精密プリンター(Cara Print 4.0)で、試験片をISO 20795-2に準拠して(50μm)以下の試験のために印刷する。印刷プロセスの後、試験片をイソプロパノールですすぎ、後熱処理プロセスに供する。これを、両面にそれぞれ3~5分間照射することにより、または製造元の指定にしたがって実験用照明ランプHiLite Power 3D、200 W(Kulzer GmbH)で行う。DIN EN ISO 20795-2にしたがって、またはこの規格に準拠して試験した模型材料の本発明による混合物の特性:
【表1】
【0087】
比較例1および比較例2は、これらの比較例は周囲室温ですでに許容可能な機械的特性を示さないため、高い割合の4重の架橋剤だけでは良好な機械的特性が保証されないことを示している。確かに比較例の組成物は3D印刷用途に良好に使用可能な粘度を有しているが、ISO-20795に準拠した機械的特性の要件は満たされていない。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
【表7】
【手続補正書】
【提出日】2021-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)モノマーと、
(ii)少なくとも1つのさらなる成分と
を含む、重合可能な放射線硬化性組成物であって、
(i)前記モノマーは、少なくとも(a)1つの第1のモノマーであって、前記第1のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上である第1のモノマーを含み、前記組成物中に、
(i)(a)少なくとも1つの第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、対応する第1のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上である第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物が40~99.99重量%存在し、少なくとも1つの第1のモノマーとして、1,3,5-トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートから誘導される少なくとも1つのトリアクリレートが存在し、ここで、ヒドロキシアルキル基は、それぞれ独立して1~8個のC原子を含み、かつ任意に
- 二価脂環式基を有する二官能性アクリレートおよび/または二価脂環式基を有する二官能性メタクリレートが含まれており、かつ
(b)少なくとも1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、対応する第2のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下である第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物が0~60重量%存在し、かつ
(ii)前記少なくとも1つのさらなる成分であって、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系、ならびに任意にUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの安定剤、ならびに任意に少なくとも1つの顔料および/もしくは染料、ならびにさらなる慣用的な添加剤を含むさらなる成分が0.01~5重量%存在し、
ここで、全組成物は100重量%であり、周囲室温(約20℃~23℃)での前記組成物の粘度は、3000mPas以下であることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
周囲室温(約20℃~23℃)での前記組成物の粘度が、500~2500mPas未満であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
(i)前記モノマーが、
,3,5-トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートから誘導される少なくとも1つのトリアクリレートであって、ここで、ヒドロキシアルキル基は、それぞれ独立して1~8個のC原子を含むものとするトリアクリレートと、任意に
価脂環式基を有する二官能性アクリレートおよび二価脂環式基を有する二官能性メタクリレートと、任意に
環式基を有する少なくとも1つの単官能性アクリレートおよび/または脂環式基を有する単官能性メタクリレートと
を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
(i)前記モノマーが、
(a)少なくとも1つの第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、前記それぞれの第1のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)は120℃以上であり、前記第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物は、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとする少なくとも1つのジアクリレートエステル、またはその混合物を含むものとする、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物と、
(b)少なくとも1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、前記それぞれの第2のモノマーのホモポリマーのTG(ガラス転移点)はそれぞれ100℃以下であり、前記第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする少なくとも1つの単官能性アクリレートエステル、またはその混合物、および任意に、二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むものとする、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物と
を含むことを特徴とする、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
(i)前記組成物中に、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする単官能性アクリレートエステルが15~25重量%存在し、任意に、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとするジアクリレートエステルが5~15重量%存在し、ここで、全組成物は100重量%であるか、または
(ii)アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとするジアクリレートエステルが5~15重量%存在し、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする単官能性アクリレートエステルが15~25重量%存在し、ここで、全組成物は100重量%であるか、または
(iii)アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンアルカノールをベースとする単官能性アクリレートエステルと、アルカノールが1~6個のC原子を含むトリシクロデカンジアルカノールをベースとするジアクリレートエステルとを含む混合物が15~45重量%存在し、ここで、全組成物は100重量%であることを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
)が、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジエタノールジアクリレート、トリシクロデカンジエタノールジメタクリレートおよび/またはその混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
(i)前記第1のモノマーが、
(e)二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、および/または
(f.1)少なくとも1つの単官能性、三官能性、四官能性または多官能性モノマーであって、ポリエーテルのアクリレートエステルおよび/またはメタクリレートエステルであり、ポリエーテルのジメタクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性または多官能性メタクリレートエステル、ポリエーテルのジアクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性および/または多官能性アクリレートエステルから選択されるもの
を含むことを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項8】
(i)前記第2のモノマーが、
(c)脂環式基を有する少なくとも1つの単官能性アクリレートおよび/または脂環式基を有する単官能性メタクリレートであって、(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)メタノールアクリレート、(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)メタノールメタクリレート、(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)エタノールアクリレートおよび(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニル)エタノールメタクリレートから選択されるもの、
(f.2)少なくとも1つの単官能性、三官能性、四官能性または多官能性モノマーであって、ポリエーテルのアクリレートエステルおよび/またはメタクリレートエステルであり、ポリエーテルのジメタクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性または多官能性メタクリレートエステル、ポリエーテルのジアクリレートエステル、ポリエーテルの三官能性、四官能性および/または多官能性アクリレートエステルから選択されるもの
を含むことを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物中に、(i)以下:
- (a)第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、対応する第1のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上であり、前記第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物は、二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性アクリレートおよび/または二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性メタクリレート、および任意に二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むものとする、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物70~99.99重量%と、
- 少なくとも(b)1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、対応する第2のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下であり、前記第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、それぞれのホモポリマーのTGが30℃以上である少なくとも1つのモノマーまたは第2のモノマーの混合物を含むものとする、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物0~30重量%と、
- 前記少なくとも1つのさらなる成分であって、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系、ならびに任意にUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの安定剤、ならびに任意に少なくとも1つの顔料および/もしくは染料、ならびにさらなる慣用的な添加剤を含むさらなる成分0.01~5重量%と
を含むモノマーが存在し、ここで、全組成物は100重量%であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物中に、(i)以下:
- (a)第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物であって、対応する第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物のそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が120℃以上であり、前記第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物は、二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性アクリレートおよび/または二価脂環式基を有する少なくとも1つの二官能性メタクリレート、および任意に二価アルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むものとする、第1のモノマーまたは第1のモノマーの混合物75~99.99重量%と、
- 少なくとも(b)1つの第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物であって、対応する第2のモノマーのそれぞれのホモポリマーのTG(ガラス転移点)が100℃以下であり、前記第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物は、脂環式基を有する少なくとも1つの単官能性アクリレートおよび/または脂環式基を有する単官能性メタクリレートを含むものとする、第2のモノマーまたは第2のモノマーの混合物0~25重量%と、
- 前記少なくとも1つのさらなる成分であって、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の光開始剤系、ならびに任意にUVおよび/もしくはVisスペクトル領域の少なくとも1つの安定剤、ならびに任意に少なくとも1つの顔料および/もしくは染料、ならびにさらなる慣用的な添加剤を含むさらなる成分0.01~5重量%と
を含むモノマーが存在し、
ここで、全組成物は100重量%であり、周囲室温(約20℃~23℃)での前記組成物の粘度が、3000mPas以下であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
前記(i)モノマーおよび前記(ii)少なくとも1つのさらなる成分が、以下の式
1/TG(合計)=w1/TG(1)+w2/TG(2)+w3/TG(3)+任意に、w4/TG(4)+任意に、w5/TG(5)+任意に、wn/TG(n)
にしたがって前記組成物中に存在し、ここで、
w1、w2、w3、w4、w5、およびwnはそれぞれ、前記第1および前記第2のモノマーならびに任意に第3のモノマーの全混合物100重量%中の前記モノマーの重量割合であり、n=6~50であり、TGは100℃以上であり、
- 周囲室温(約20℃~23℃)での前記組成物の粘度が、3000mPas以下であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
前記(i)モノマーが、以下の式
1/TG(合計)=w1/TG(1)+w2/TG(2)+w3/TG(3)+任意に、w4/TG(4)+任意に、w5/TG(5)+任意に、wn/TG(n)
にしたがって前記組成物中に存在し、ここで、
w1、w2、w3、w4、w5、およびwnはそれぞれ、前記第1および前記第2のモノマーならびに任意に前記第3のモノマーの全混合物100重量%中の前記モノマーの重量割合であり、n=6~50であり、TGは100℃以上であり、重合組成物は、水中にて55℃で測定した場合に40MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/またはb)水中にて55℃で測定した場合に800MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の重合組成物。
【請求項13】
前記重合組成物が、代替的または累積的に、
i)a)75MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)2000MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/または
ii)a)水中にて37℃で測定した場合に70MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)水中にて37℃で測定した場合に2000MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/または
iii)a)水中にて45℃で測定した場合に50MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)水中にて45℃で測定した場合に1500MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/または
iv)a)水中にて55℃で測定した場合に40MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/もしくはb)水中にて55℃で測定した場合に900MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の、または請求項12記載の重合組成物。
【請求項14】
歯科用補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームを製造するための、請求項1から13までのいずれか1項記載の重合組成物の3次元成形体の形態のブランクであって、前記ブランクが、a.1)75MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/またはb.1)2000MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ任意にa.2)水中にて45℃で測定した場合に50MPa以上の曲げ強さ(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有し、かつ/またはb.2)水中にて45℃で測定した場合に1500MPa以上の弾性率(DIN EN ISO 20795-2に準拠)を有することを特徴とする、ブランク。
【請求項15】
解剖学的模型、解剖学的卓上型模型、歯科用作業用模型、歯科用完全模型、歯科用ダイ模型、解剖学的または歯科用ソーカット模型、状況模型、反対咬合模型、機能模型、プレ模型、修復用模型、精密模型、歯科用歯列石膏模型を代替するための解剖学的模型、アライナー、歯科用スプリント、補綴部品、歯科用補綴部品、整形外科用器具または歯科用プリフォームを製造するための、請求項1から11までのいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項16】
ラピッドプロトタイピングプロセス、またはラピッドマニュファクチャリングプロセスまたはラピッドツーリングプロセスにおける、請求項1から11までのいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項17】
前記歯科用補綴部品が、補綴ベースまたはその部品、人工歯、一体的に歯間接続されている少なくとも2~16本の人工歯を有する歯列、クラウン、プロビショナルクラウン、全補綴物、全クラウン、歯科矯正補正用スプリント(インビザラインと同様)、歯科用ブリッジ、アバットメント、スープラストラクチャー、歯科用バー、インレー、アンレー、整形外科用器具、例えば咬合スプリント、人工歯の歯科用プリフォーム、インプラント歯科学のサージカルガイド、マウスガードおよび/またはインプラントを含むことを特徴とする、請求項15または16記載の使用。
【国際調査報告】