(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(54)【発明の名称】一体化された電子機器を備えた陰圧創傷治療装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20220427BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20220427BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
A61M27/00
A61F13/00 301Z
A61F13/00 301C
A61F13/00 301J
A61F13/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555596
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(85)【翻訳文提出日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2020057407
(87)【国際公開番号】W WO2020187971
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケルビー、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】スチュワード、ダニエル、リー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA38
4C267BB05
4C267BB12
4C267BB24
4C267BB40
4C267BB42
4C267BB62
4C267CC01
4C267GG46
4C267JJ02
4C267JJ06
4C267JJ09
4C267JJ14
(57)【要約】
【解決手段】 本明細書では、創傷被覆材内に統合された電子構成要素を有する創傷治療装置の実施形態が開示される。一部の実施形態では、創傷被覆材装置は、創傷被覆材を備え得る。創傷被覆材は、吸収材料、陰圧源を含む電子ユニットを備え得、電子ユニットは、創傷被覆材内に統合され、予備成形されたフィルム材料またはフィルムによって少なくとも部分的に封入される。予備成形されたフィルム材料は、創傷被覆材中に組み込まれ得、吸収材料と陰圧源との間の流体連通を許可するように構成されたアパーチャを備え得る。
【選択図】
図11A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷被覆材装置であって、
近位の創傷に面する面および遠位面を含む創傷接触層であって、前記近位の創傷に面する面が創傷と接触して位置付けられるように構成される創傷接触層と、
前記創傷接触層上の少なくとも1つの吸収層と、
前記創傷接触層および前記少なくとも1つの吸収層を覆い、それらの上でシールを形成するように構成されるカバー層と、
電子組立品であって、
陰圧源を含む電子ユニット、および
プレートまたはラベルを含み、
前記カバー層が、前記電子組立品を受容するように構成された少なくとも1つの開口部を含む、電子組立品と、
予備成形されたフィルムであって、前記フィルムが、前記少なくとも1つの開口部に挿入されるように成形されている、予備成形されたフィルムと、を備え、
前記フィルムが、アパーチャを備え、前記少なくとも1つの吸収層が、前記アパーチャと流体連通するように構成されており、
前記電子組立品が、前記少なくとも1つの開口部内の前記フィルムの上に配置されるように構成され、前記電子ユニットが、前記フィルムおよび前記プレートまたはラベル内に囲い込まれている、創傷被覆材装置。
【請求項2】
前記予備成形されたフィルムが、熱成形されている、請求項1に記載の創傷被覆材装置。
【請求項3】
前記予備成形されたフィルムが、真空成形されている、請求項1~2のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの吸収層が、前記電子組立品を受容するように構成された少なくとも1つの開口部を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項5】
前記装置が、前記フィルムの前記アパーチャ内に多孔質材料を備え、前記多孔質材料は、創傷滲出液が前記陰圧源に入ることを防止するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項6】
前記装置は、前記アパーチャ内に、創傷滲出液が前記陰圧源に入ることを防止するように構成されている、疎水性材料を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項7】
前記アパーチャが、細菌フィルタを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項8】
前記装置が、前記アパーチャ内に三次元多孔質材料を備え、前記三次元多孔質材料が、前記陰圧源の入口を受容するように構成されており、前記三次元多孔質材料は、創傷滲出液が前記陰圧源に入ることを防止するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項9】
前記三次元多孔質材料が、前記フィルム内の前記アパーチャにシールされている、請求項8に記載の創傷被覆材装置。
【請求項10】
前記三次元多孔質材料が、相補的嵌合または摩擦嵌合係合で前記陰圧源の前記入口を受容するように構成されたポートを備える、請求項8~9のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項11】
前記三次元多孔質材料が、前記陰圧源の前記入口を周方向に取り囲む、請求項8~10のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項12】
前記三次元多孔質材料が、前記陰圧源の前記入口の幅、高さ、および/または長さを超える、幅、高さ、および/または長さを含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項13】
前記三次元多孔質材料が、立方体または略立方体形状を含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項14】
前記三次元多孔質材料は、前記ポートが通って延在する平坦な陰圧源に面する表面と、1つ以上の傾斜した縁部および/または角部と、を備える、請求項10~13のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項15】
前記創傷被覆材が、近位の創傷に面する面および遠位面を含む透過層をさらに含み、前記透過層が、前記創傷接触層の前記遠位面の上に位置付けられている、請求項1~14のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの吸収層が、
近位の創傷に面する面および遠位面を含む第1の吸収層であって、前記透過層の前記遠位面上に位置付けられている、第1の吸収層と、
近位の創傷に面する面および遠位面を含む第2の吸収層であって、前記第1の吸収層の前記遠位面上に位置付けられている、第2の吸収層と、を備える、請求項15に記載の創傷被覆材装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の創傷被覆材装置を使用または操作する方法。
【請求項18】
上記の説明に記載された特徴のうちの1つ以上を備える、創傷被覆材装置。
【請求項19】
上記の説明に記載された1つ以上の特徴を備える創傷被覆材装置を使用または操作する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月20日に出願された英国特許出願第1903774.6号に対する優先権を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本開示の一部を成す。
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、例えば、陰圧創傷療法と組み合わせて被覆材を使用する、創傷を治療する装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放創または慢性創傷の治療は、当該技術分野ではよく知られている。現在当該技術分野で知られている陰圧創傷療法(NPWT)システムは、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を置くことと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆をシールする、様々な手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧の源(真空ポンプなど)を被覆に接続することとを伴う。このような陰圧は、創傷部位における肉芽組織の形成を促進し、かつ人体の通常の炎症プロセスを補助しながら、同時に有害なサイトカインおよび/または細菌を含む可能性がある過剰な流体を除去することにより、創傷の治癒を促進すると考えられている。しかしながら、治療の便益を完全に実現するには、NPWTのさらなる改良が必要とされる。
【0004】
NPWTシステムに役立つ、多くの異なるタイプの創傷被覆材が知られている。これらの異なる種類の創傷被覆材には、異なる種類の材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷被覆材が含まれる。多層創傷被覆材の一例は、Smith&Nephew社製のPICO被覆材であり、これは、裏当て層の下に超吸収層を含み、NPWTによって創傷を治療するためのキャニスターレスシステムをもたらしている。創傷被覆材は、管材の長さに接続する吸引ポートに対してシールされ得、その吸引ポートは、被覆材から流体を吸い出し、および/または、ポンプから創傷被覆材に陰圧を伝達するのに使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の被覆材のような、陰圧を使用した従来の被覆材は、創傷被覆材から離れた場所に位置する陰圧源を具備してきた。創傷被覆材から離れて配置された陰圧源は、ユーザもしくはその他のポンプサポート機構によって保持されるか、または、ユーザもしくはその他のポンプ支持機構に取り付けられなければならない。さらに、管材またはコネクタで、離れた陰圧源を創傷被覆材に接続することが求められる。離れたポンプおよび管材は、患者の衣類の中に隠したり、取り付けたりするには取り扱いにくく、困難な場合がある。創傷被覆材の位置によっては、離れたポンプおよび管材を快適かつ便利に位置させるのが難しい場合がある。動作時、創傷滲出液が被覆材内に染み込む場合があり、創傷からの水分によって電子構成要素を被覆材内へ取り込むことが困難となっている。
【0006】
本開示の実施形態は、創傷治療のための装置および方法に関する。本明細書に記載の創傷治療装置のうちのいくつかは、創傷に陰圧をかけるための陰圧源またはポンプシステムを含む。また、創傷治療装置は、本明細書に記載の陰圧源およびポンプ組立品と組み合わせて使用され得る創傷被覆材を含み得る。一部の実施形態では、創傷被覆材および陰圧源が、創傷被覆材および陰圧源を同時に患者の創傷に適用する、不可欠な、または一体化した創傷被覆材構造の一部であるよう、陰圧源が創傷被覆材装置内に組み込まれる。陰圧源および/または電子構成要素は、創傷被覆材の創傷接触層とカバー層との間に配置され得る。電子組立品は、フィルムによって少なくとも部分的に形成される保護エンクロージャ内に組み込まれ得、フィルムは、多孔質材料のアパーチャを有し得る。これらの、および、本明細書に記載のその他の実施形態は、陰圧源および/または電子構成要素を創傷被覆材内に組み込むことに関する特定の問題点を克服することに関する。
【0007】
一実施形態によると、創傷被覆材装置は、近位の創傷に面する面および遠位面を含む創傷接触層であって、近位の創傷に面する面が、創傷と接触して位置付けられるように構成されている、創傷接触層と、創傷接触層上の少なくとも1つの吸収層と、創傷接触層および少なくとも1つの吸収層を覆い、それらの上でシールを形成するように構成されるカバー層と、電子組立品であって、陰圧源を含む電子ユニット、およびプレートまたはラベルを含み、カバー層が、電子組立品を受容するように構成された少なくとも1つの開口部を含む、電子組立品と、予備成形されたフィルムであって、フィルムが、少なくとも1つの開口部に挿入されるように成形されている、予備成形されたフィルムと、を備え得、フィルムが、アパーチャを備え、少なくとも1つの吸収層が、アパーチャと流体連通するように構成されており、電子組立品が、少なくとも1つの開口部内のフィルムの上に配置されるように構成され、電子ユニットが、フィルムおよびプレートまたはラベル内に囲い込まれている。
【0008】
上記の段落または他の実施形態の創傷被覆材装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。予備成形されたフィルムが、熱成形され得る。予備成形されたフィルムが、真空成形され得る。少なくとも1つの吸収層が、電子組立品を受容するように構成された少なくとも1つの開口部を備え得る。装置が、フィルムのアパーチャ内に多孔質材料を備え得、多孔質材料は、創傷滲出液が陰圧源に入ることを防止するように構成されている。装置は、アパーチャ内に、創傷滲出液が陰圧源に入ることを防止するように構成されている、疎水性材料を備え得る。アパーチャが、細菌フィルタを備え得る。装置が、アパーチャ内に三次元多孔質材料を備え得、三次元多孔質材料が、陰圧源の入口を受容するように構成されており、三次元多孔質材料は、創傷滲出液が陰圧源に入ることを防止するように構成されている。三次元多孔質材料が、フィルム内のアパーチャにシールされ得る。三次元多孔質材料が、相補的嵌合または摩擦嵌合係合で陰圧源の入口を受容するように構成されたポートを備え得る。三次元多孔質材料は、陰圧源の入口を周方向に取り囲み得る。三次元多孔質材料が、陰圧源の入口の幅、高さ、および/または長さを超える、幅、高さ、および/または長さを含み得る。三次元多孔質材料が、立方体または略立方体形状を含み得る。三次元多孔質材料は、ポートが通って延在する平坦な陰圧源に面する表面と、1つ以上の傾斜した縁部および/または角部と、を備え得る。創傷被覆材が、近位の創傷に面する面および遠位面を含む透過層をさらに含み得、透過層が、創傷接触層の前記遠位面の上に位置付けられている。少なくとも1つの吸収層が、近位の創傷に面する面および遠位面を含む第1の吸収層であって、透過層の遠位面上に位置付けられている、第1の吸収層と、近位の創傷に面する面および遠位面を含む第2の吸収層であって、第1の吸収層の遠位面上に位置付けられている、第2の吸収層と、を備え得る。
【0009】
以下に開示されるポンプの実施形態のいずれも、および、陰圧創傷療法の実施形態のいずれも含むがこれらに限定しないものとし、本出願に開示された配置または実施形態のいずれかの特徴、構成要素、または詳細のいずれも、新しい配置および実施形態を形成するよう本明細書に開示された配置または実施形態のいずれかのその他の特徴、構成要素、または詳細のいずれとも相互に組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、陰圧の供給源を組み込んだ創傷被覆材および/または創傷被覆材の中の他の電子構成要素を図示する。
【
図1B】
図1Bは、陰圧の供給源を組み込んだ創傷被覆材および/または創傷被覆材の中の他の電子構成要素を図示する。
【
図1C】
図1Cは、陰圧の供給源を組み込んだ創傷被覆材および/または創傷被覆材の中の他の電子構成要素を図示する。
【
図2A】
図2Aは、創傷被覆材に組み込まれた電子ユニットの実施形態を図示する。
【
図2B】
図2Bは、創傷被覆材に組み込まれた電子ユニットの実施形態を図示する。
【
図3A】
図3Aは、創傷被覆材内に電子構成要素を組み込んだ創傷被覆材層の一実施形態を図示する。
【
図3B】
図3Bは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の材料層の断面レイアウトを図示する。
【
図3C】
図3Cは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の一実施形態の上面図を図示する。
【
図4A】
図4Aは、中に電子ユニットを囲い込む電子組立品のハウジングの一実施形態を図示する。
【
図4B】
図4Bは、中に電子ユニットを囲い込む電子組立品のハウジングの一実施形態を図示する。
【
図5A】
図5Aは、創傷被覆材層のアパーチャ内に位置付けられた電子組立品の実施形態を図示する。
【
図5B】
図5Bは、創傷被覆材層のアパーチャ内に位置付けられた電子組立品の実施形態を図示する。
【
図6】
図6は、ハウジング内に電子ユニットを囲い込む電子組立品の一実施形態の分解斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、電子組立品の下側の創傷に面する表面の実施形態を示す。
【
図7C】
図7Cは、電子組立品の下側の創傷に面する表面の実施形態を示す。
【
図7D】
図7Dは、電子組立品の下側の創傷に面する表面の実施形態を示す。
【
図7H】
図7Hは、電子ユニットの可撓性回路基板の頂面の実施形態を図示する。
【
図7I】
図7Iは、電子組立品の実施形態の側面図を図示する。
【
図8】
図8は、電子組立品と共に使用するための、創傷被覆材の創傷被覆材層の一実施形態を図示する。
【
図9A】
図9Aは、創傷被覆材層内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。
【
図9B】
図9Bは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の材料層の断面レイアウトを図示する。
【
図10A】
図10Aは、電子組立品を組み込んだ、創傷被覆材の様々な形状およびサイズの実施形態を図示する。
【
図10B】
図10Bは、電子組立品を組み込んだ、創傷被覆材の様々な形状およびサイズの実施形態を図示する。
【
図10C】
図10Cは、電子組立品を組み込んだ、創傷被覆材の様々な形状およびサイズの実施形態を図示する。
【
図10D】
図10Dは、電子組立品を組み込んだ、創傷被覆材の様々な形状およびサイズの実施形態を図示する。
【
図10E】
図10Eは、電子組立品を組み込んだ、創傷被覆材の様々な形状およびサイズの実施形態を図示する。
【
図11A】
図11Aは、真空成形フィルムに統合された電子機器を組み込むための創傷被覆材の実施形態を図示する。
【
図11B】
図11Bは、真空成形フィルムに統合された電子機器を組み込むための創傷被覆材の実施形態を図示する。
【
図11C】
図11Cは、真空成形フィルムに統合された電子機器を組み込むための創傷被覆材の実施形態を図示する。
【
図11D】
図11Dは、真空成形フィルムに統合された電子機器を組み込むための創傷被覆材の実施形態を図示する。
【
図12】
図12は、ラベル上の印またはマーキングを含む、電子組立品のラベルの実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示された実施形態は、陰圧源および創傷被覆材構成要素および装置を含む、減圧によって創傷を治療する装置および方法に関する。創傷に重ね、パッキングする材料を含む装置および構成要素があれば、本明細書では集合的に被覆材として称される場合がある。
【0012】
本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。したがって、創傷は、流体が生成されるか、またはされない場合がある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。かかる創傷の例としては、腹部創傷、あるいは手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、または他の条件のいずれかの結果としての他の大規模なもしくは切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、圧迫潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)療法システムで使用するように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷治療は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを支援し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を減少させ得る。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援してもよい。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0014】
本明細書で使用される場合、-XmmHgなどの減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。さらに、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。一部の実施形態では、局所的な周囲気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0015】
本開示の一部の実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgの間であり得る。これらの圧力は、760mmHgであり得る、平常の周囲気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。一部の実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間であり得る。あるいは、最高-75mmHgまで、最高-80mmHgまで、または-80mmHgを上回る圧力範囲が使用され得る。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給され得る。
【0016】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスの一部の実施形態では、創傷の縮小の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。一部の実施形態では、陰圧は、例えば正弦波、方形波を使用して、および/または、1つ以上の患者の生理的指標(例えば、心拍)と同期して、経時的に変化させられ得る。前述に関するさらなる開示を見つけることができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0017】
2012年7月12日に出願されると共に2013年1月17日に国際特許公開第WO2013/007973A2号として公開された「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する国際特許出願第PCT/GB2012/000587号は、本書に組み込まれ、本明細書の一部であるとみなされる出願であり、これは、本明細書に記載された実施形態と組み合わせたり加えたりして使用され得る、実施形態、製造方法、および、創傷被覆材の構成要素と創傷治療装置に関する。さらに、また、本明細書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、および方法の実施形態は、2013年5月22日に出願されると共に2013年11月28日にWO2013/175306として公開された「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」と題する国際出願番号PCT/IB2013/001469と、2015年1月30日に出願され、米国公開番号第2015/0216733号として公開され、2015年8月6日に公開された、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する米国特許出願第14/418874号と、2015年1月30日に出願され、米国公開番号第2015/0190286号として公開され、2015年7月9日に公開された、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する米国特許出願第14/418908号と、2015年3月13日に出願された米国特許出願第14/658,068号と、2015年7月2日に公開された、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と題する米国出願第2015/0182677号とに開示された実施形態と組み合わせたり加えたりして使用されてもよく、それらは、それらの全体が参照によってここに組み込まれる。本明細書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、および方法の実施形態は、2011年4月21日に出願されると共に米国特許公開第2011/0282309号として公開された「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」と題する米国出願第13/092,042号に記載された実施形態と組み合わせたり加えたりして用いられてもよく、それは、その全体が参照によってここに組み込まれ、それは、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材構成要素と原理、および創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含んでいる。
【0018】
被覆材に組み込まれる電子機器を備えた創傷被覆材に関連する、本明細書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、および方法の実施形態は、2017年3月6日に出願された「WOUND TREATMENT APPARATUSES AND METHODS WITH NEGATIVE PRESSURE SOURCE INTEGRATED INTO WOUND DRESSING」と題する国際特許出願第PCT/EP2017/055225号に記載された実施形態と組み合わせたりまたそれに加えたりして用いられてもよく、それは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれ、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材構成要素と原理、および創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含む。
【0019】
一部の実施形態では、陰圧源(ポンプ等)および、電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェース構成要素(ボタン、スイッチ、スピーカ、スクリーン、等)等といった、TNPシステムのいくつかまたはすべてのその他の構成要素は、創傷被覆材と一体になり得る。創傷被覆材は、本明細書に記載される様々な材料層を含み得、2017年3月6日に出願された「WOUND TREATMENT APPARATUSES AND METHODS WITH NEGATIVE PRESSURE SOURCE INTEGRATED INTO WOUND DRESSING」と題された、国際特許出願EP2017/055225号にさらに詳細に記載される。材料層は、創傷接触層、1つ以上の吸収層、1つ以上のスペーサ層または透過層、および1つ以上の吸収層およびスペーサ層または透過層を覆う裏当て層またはカバー層を含み得る。創傷被覆材は、創傷の上に配置され、ポンプおよび/または創傷被覆材内のカバー層の下に含まれるその他の電子構成要素で創傷にシールされる。一部の実施形態では、被覆材はすべての創傷被覆材要素(ポンプを含む)があらかじめ取り付けられ、単一のユニットに一体化された、単一の物品として提供され得る。一部の実施形態では、創傷接触層の周辺は、
図1A~
図1Cに図示するように、すべての創傷被覆材要素を囲むカバー層の周辺に取り付けられ得る。
【0020】
一部の実施形態では、ポンプおよび/またはその他の電子構成要素が依然として、患者に適用される単一の物品であるように、ポンプおよび/またはその他の電子構成要素は、吸収層および/または透過層に隣接して、またはそれらの隣に配置されるよう構成され得る。一部の実施形態では、ポンプおよび/またはその他の電子機器は、創傷部位から離れて位置付けられ得る。
図1A~
図1Cは、陰圧の供給源を組み込んだ創傷被覆材および/または創傷被覆材の中の他の電子構成要素を図示する。
図1A~
図1Cは、ポンプおよび/またはその他の電子機器が創傷部位から離れて位置付けられた創傷被覆材100を図示する。創傷被覆材は、電子機器エリア161と、吸収エリア160とを含み得る。被覆材は、創傷接触層110(
図1A~
図1Bには図示せず)、ならびに接触層およびその他の被覆材の層の上に位置付けられた透湿性フィルムまたはカバー層113を備え得る。創傷被覆材層、ならびに電子機器エリアおよび吸収エリアの構成要素は、
図1A~
図1Cに示すように、1つの連続したカバー層113によって覆われ得る。
【0021】
被覆材は、創傷接触層110と、透過層111と、吸収層112と、創傷接触層、透過層、吸収層、またはその他の被覆材の層の上に配置された透湿性フィルムまたはカバー層113とを含み得る。創傷接触層は、創傷に接触するように構成され得る。創傷接触層は接着剤を、被覆材を周りの皮膚に固定するため、患者に対向する側に具備するか、または、創傷接触層をカバー層または被覆材のその他の層に固定するため、上側に具備し得る。動作時、創傷接触層は、滲出液が創傷に戻るのを阻止または実質的に防止しつつ、創傷から滲出液を取り除きやすくするよう、一方向流をもたらすように構成され得る。
【0022】
創傷接触層110は、ポリウレタン層、またはポリエチレン層、または、例えばホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、超音波プロセスを介すか、またはその他のいくつかの方法でパーフォレートされた、あるいは別の方法で液体および気体が透過するようにしたその他の可撓性のある層であってもよい。創傷接触層110は、下面と上面とを有する。パーフォレーションは、創傷接触層110において貫通孔を含み、それによって流体が層110を通って流れることが可能となるのが好ましい。創傷接触層110は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。パーフォレーションは、その中を通って流体が流れるのを可能にしつつ、この要件を満たすのに十分小さいことが好ましい。例えば、0.025mm~1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。一部の構成では、創傷接触層110は、陰圧を創傷に維持するために、吸収パッドの周りに気密シールをも作り出しながら、被覆材100全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。
【0023】
創傷接触層110の一部実施形態はまた、任意の上部および下部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、感低圧性接着剤が創傷被覆材100の下面に設けられ得、感高圧性接着剤が創傷接触層の上面に設けられ得る。シリコン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であってもよい感圧接着剤は、創傷接触層の両側面上、もしくは任意選択で選択された片側面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの側面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層が利用されるとき、それが創傷被覆材100を創傷部位の周りの皮膚に接着させる助けとなり得る。一部の実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを備えてもよい。フィルムの下面はシリコン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持するのを助けてもよい。一部の実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全三層は共に穿孔されていてもよい。
【0024】
多孔質材料の層111は、創傷接触層110の上方に位置し得る。本明細書で使用されるように、多孔質材、スペーサ、および/または透過層という用語は、被覆材内で、創傷エリア全体において陰圧を分配するよう構成された材料の層を言及するのに交換可能に使用され得る。この多孔質層または透過層111により、液体および気体を含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層111によって、吸収層が相当量の滲出液を吸収しても創傷エリアの上に陰圧を伝えるよう、外気チャネル(open air channel)が確実に維持され得ることが好ましい。層111は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層111は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。例えば、編みもしくは織りスペーサ布(例えば、Baltex 7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用され得る。
【0025】
透過層は、創傷部位の上に陰圧を分配し、創傷被覆材内へ創傷滲出液および流体を輸送しやすくするよう支援する。一部の実施形態では、透過層は、三次元(3D)繊維から少なくとも部分的に形成され得る。
【0026】
一部の実施形態では、透過層111は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、編まれたポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら2つの層の間に挟まれて形成される第三層とを含む、3Dポリエステルのスペーサ布層を備える。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用され得る。
【0027】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるものの、もちろん多糸の代替物が利用され得ることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ布は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ布層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0028】
間隔を置いて配置された層におけるフィラメント数のこの差は、透過層を横切る水分の流れを制御する一助となる。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作られることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中心領域中に引き寄せられるようになり、中心領域では、吸収層112が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得るカバー層113に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0029】
好ましくは、透過層111を横切る(すなわち、最上スペーサ層と底面スペーサ層との間に形成されたチャネル領域に垂直な)液体流を改善するために、3D繊維が、透過層の親水機能に干渉することがある、従来使用されている鉱物油、脂肪、またはろうのようなあらゆる工業製品を除去する一助となるように乾燥洗浄剤(ペルクロロエチレン等であるがそれに限定されない)によって、処理され得る。一部の実施形態では、続いて、3Dスペーサ布が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。この工程ステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0030】
さらに、創傷から吸引された滲出液を吸収および保持するための吸収層(層112等)が利用され得る。一部の実施形態では、超吸収材が、吸収層112に使用され得る。一部の実施形態では、吸収体は、形状設定された超吸収層形態を具備する。
【0031】
吸収材の層112は、透過層111の上に提供される。発泡体もしくは不織の自然または合成材料を含み、任意選択で超吸収材を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。一部の実施形態では、層111もまた、流体をカバー層113の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0032】
吸収層112の材料はまた、創傷被覆材内に収集された液体が被覆材内で自由に流れるのを防止し得、好ましくは、収集されたいかなる液体も被覆材内に含むよう作用する。吸収層112はまた、流体を創傷部位から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分配するのを助ける。これによって、吸収層の面積における凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層112は通常、ALLEVYN(商標)発泡体のFreudenberg 114-224-4またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。一部の実施形態では、吸収層112は、超吸収粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。好適な実施形態では、合成物は、風成(airlaid)の、熱結合合成物である。
【0033】
一部の実施形態では、吸収層112は、層中に渡って分散する乾燥粒子の形態である超吸収材を有する、不織セルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0034】
電子機器エリアの創傷被覆材層および吸収層は、一つの連続したカバー層または裏当て層113によって覆われ得る。本明細書に使用されるように、カバー層および/または裏当て層という用語は、下にある被覆材層を覆い、創傷接触層および/または創傷周りの皮膚にシールするよう構成された、被覆材内の材料の層を言及するのに互換可能に使用され得る。一部の実施形態では、カバー層は、ガスの通過を可能にしつつも、創傷から取り除かれた液体の滲出液およびその他の液体が通過するのを防止する透湿性材を具備し得る。
【0035】
カバー層113は、気体を透過させないが、透湿性であることが好ましく、創傷被覆材100の幅を横切って延在し得る。例えば、片方の側面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であってもよい、カバー層113は、気体に対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が置かれる創傷空洞をシールするように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、カバー層113と創傷部位との間に作られる。カバー層113は、例えば接着技術または溶接技術を介して、被覆材の周囲の境界領域内において、創傷接触層110に対してシールされ、境界領域に空気が吸い込まれないようにするのが好ましい。カバー層113によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。カバー層113は、2つの層、すなわちポリウレタンフィルムとこのフィルム上に広げられた接着パターンとを含むのが好ましい。ポリウレタンフィルムは透湿性であるのが好ましく、かつ、濡れると透水率が高くなる材料から製造されてもよい。一部の実施形態では、カバー層の透湿性は、カバー層が濡れると高くなる。濡れたカバー層の透湿性は、乾いたカバー層の透湿性の最大約十倍であってもよい。
【0036】
電子機器エリア161は、陰圧源(ポンプ等)および、電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェース構成要素(ボタン、スイッチ、スピーカ、スクリーン、等)等といった、創傷被覆材と一体になり得るTNPシステムのいくつかまたはすべてのその他の構成要素を具備し得る。例えば、電子機器エリア161は、
図1A~
図1Bに示すように、ボタンまたはスイッチ114を含み得る。ボタンまたはスイッチ114は、ポンプを動作させる(例えば、ポンプをオン/オフする)ために使用され得る。
【0037】
吸収エリア160は、吸収材112を具備し得、創傷部位の上に配置され得る。電子機器エリア161は、吸収エリア160から横にずらして配置すること等によって、創傷部位から離れて配置され得る。
図1A~
図1Cに示すように、電子機器エリア161は、吸収エリア160に隣接し、かつ吸収エリア160と流体連通して位置付けられ得る。一部の実施形態では、電子機器エリア161および吸収エリア160はそれぞれ、長方形状であってよく、互いに隣接して配置され得る。
図1Cでは、電子機器エリア161はエリア「A」として記載され、吸収エリア160はエリア「B」として記載されている。一部の実施形態では、
図1Cに図示するように、電子構成要素150は、吸収材112のくぼみまたは切り欠き部の中であるが、吸収エリアの側面から離れて位置付けられ得る。
図1Cにおける創傷被覆材層の断面図に示すように、吸収材112は、電子構成要素150の両側に位置付けられ得る。
【0038】
一部の実施形態では、被覆材材料の追加層は、電子機器エリア161、吸収エリア160、またはその両エリア内に具備され得る。一部の実施形態では、被覆材は、創傷接触層110の上方および被覆材のカバー層113の下方に位置付けられた、1つ以上の透過層もしくはスペーサ層、および/または1つ以上の吸収層を備え得る。
【0039】
一部の実施形態では、被覆材の電子機器エリア161は、電子構成要素150を備え得る。一部の実施形態では、被覆材の電子機器エリア161は、透過もしくはスペーサ材料および/または吸収材の1つ以上の層を備え得、電子構成要素150は、透過もしくはスペーサ材料および/または吸収材の1つ以上の層内に埋め込まれ得る。透過材料または吸収材の層は、崩壊を防止するための構造をもたらしつつ、電子構成要素150を内部に埋め込むためのくぼみまたは切り欠き部を有し得る。電子構成要素150は、ポンプ、電源、コントローラ、および/または電子機器パッケージを含み得る。
【0040】
ポンプ排出口は、ポンプから被覆材の外側へ空気を排出するよう設けられ得る。ポンプ排出口は、電子機器エリア161および被覆材の外部と連通し得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、上部層、最上層、または上方の層とは、被覆材が使用中で、創傷の上に位置付けられている間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。したがって、下面、下部層、最下層、または下方の層とは、被覆材が使用中で、創傷の上に位置付けられている間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。さらに、層は、皮膚または創傷に最も近い層の側面または表面と称される近位の創傷に面する面と、皮膚または創傷から最も遠い層の側面または面と称される遠位面を有し得る。
【0042】
図1A~
図1Cは、ポンプおよび/または創傷被覆材内のその他の電子構成要素を組み込み、吸収層からオフセットする、創傷被覆材装置を図示する。一部の実施形態では、
図1Cに示すように、吸収エリア160は、創傷接触層110の上方に配置された透過層111を含む。吸収層112は、透過層111の上方に提供され得る。一部の実施形態では、電子機器エリア161は、電子ユニット(
図2A~
図2Bに示す)を含み得る。一部の実施形態では、電子ユニットは創傷接触層の上に直接提供される。他の実施形態では、電子ユニットは、被覆材の創傷接触層110の上方に位置するウィッキング材料、吸収材、または透過材料の層の上方に配置され得る。例えば、
図1Cに示すように、電子ユニット150は、透過層111の上に配置され得る。一部の実施形態では、透過層111は、電子ユニット150および吸収材112の下に延在する材料の単一の層であり得る。したがって、一部の実施形態では、透過層111は、吸収エリア160および電子機器エリア161を通して連続的に延在する。代替的実施形態では、電子ユニットの下方の透過層は、吸収材112の下方の透過層とは異なる透過層とすることができる。
図1A~
図1Cに示すように、透過層111、吸収材112、および電子ユニット150は、創傷接触層110の周縁部にシールするカバー層113で被覆し得る。
【0043】
電子機器エリア161は、被覆材のカバー層113の下方に位置する電子ユニット150を含み得る。一部の実施形態では、電子ユニットは、電子機器を囲むことによって陰圧源および電子構成要素を囲い込むまたは封入するために、材料によって囲まれ得る。一部の実施形態では、この材料はケーシングとすることができる。一部の実施形態では、電子ユニットは、例えば、本明細書に記載の疎水性コーティングなどの保護コーティングによって封入または囲まれ得る。電子ユニットは吸収エリア160の被覆材層と接触し得、カバー層113によって被覆され得る。本明細書で使用される場合、電子ユニットは、創傷に最も近い下方または創傷に面する面、および創傷被覆材が創傷の上に置かれた時に創傷から最も遠い反対側の上面を含む。
【0044】
図1Cは、被覆材内に電子ユニット150を組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。一部の実施形態では、電子サブ組立品または電子ユニット150は、
図1Cに描かれるように、被覆材の一方の端部に向かって、吸収層112のアパーチャまたは孔の中に埋め込まれ得る。
【0045】
一部の実施形態では、吸収体構成要素および電子機器構成要素は、重なり合っているが、ずらされていてもよい。例えば、電子機器エリアの一部分が吸収エリア、例えば超吸収層に重なり合っていてもよいが、電子機器エリアが完全に吸収エリアの上にあるわけではない。そのため、電子機器エリアの一部分が吸収エリアからずらされてもよい。被覆材層および電子構成要素は、最下層の下方に位置付けられた創傷接触層110、ならびに吸収層112および電子機器150の上方に位置決めされたカバー層113内に囲い込まれ得る。創傷接触層110およびカバー層113は、被覆材構成要素を囲い込む周縁部でシールされ得る。一部の実施形態では、カバー層は、吸収材、および/または電子ユニットと直接、物理的に接触し得る。一部の実施形態では、カバー層は、例えば、電子構成要素(例えば、スイッチおよび/または排出口)を収容するために孔またはアパーチャが使用される領域で、電子ユニットおよび/またはケーシングの一部にシールされ得る。
【0046】
図2A~
図2Bは、創傷被覆材に組み込まれ得る電子ユニット267の実施形態を図示する。
図2Aは、電子ユニットの上面図を図示する。
図2Bは、電子ユニットの底面または創傷に面する面を図示する。電子ユニット267は、ポンプ272および1つ以上のバッテリー268を含み得る。電子ユニット267は、ポンプ272および/またはバッテリー268と電気的に通信するように構成された可撓性回路基板276を含み得る。
【0047】
図2Aに示すように、電子ユニット267は、ユニットの上面上に単一のボタンまたはスイッチ265を含み得る。単一のボタンまたはスイッチ265を、オン/オフボタンまたはスイッチとして使用して、ポンプおよび/または電子構成要素の操作を停止および開始することができる。スイッチ265は、ポンプの上に位置するように構成されたドーム型スイッチとし得る。スイッチは被覆材内に置かれているため、カバー層はスイッチの周りまたはその上に簡単にシールされ得る。一部の実施形態では、カバー層は、スイッチの上方に配置された開口部または孔を有し得る。カバー層は、スイッチ265の外周にシールされて創傷カバー下の陰圧を維持し得る。スイッチは、電子ユニットの任意の表面上に配置し得、ポンプと電気的に接続し得る。
【0048】
電子ユニット267はまた、ポンプから排出される空気を排出するための、可撓性回路基板上の1つ以上のベントまたは排気アパーチャ264を含み得る。
図2Bに示すように、ポンプ出口排気機構274は、ポンプ272の出口に取り付けられ得る。ベントまたは排気アパーチャ264は、ポンプの出口に位置付けられ、可撓性回路基板の下面に延在するポンプ排気機構274と流体連通し得る。一部の実施形態では、可撓性回路基板上の排気ベント264は、被覆材の頂面との連通を提供し、ポンプの排気が電子ユニットから出されることを可能にすることができる。一部の実施形態では、排気機構274は、ポンプの出口端部に取り付けられ得、可撓性回路基板の底面と連通するように、ポンプの向きから90度の角度でポンプから外に延在し得る。一部の実施形態では、排出機構274は、抗菌膜および/または逆止め弁を含み得る。一部の実施形態では、排出ベント264は、抗菌膜および/または逆止め弁を含み得る。ポンプから排出された空気は、ポンプ出口および排気機構274を通過し得る。一部の実施形態では、カバー層113は、排気ベント264および/または膜の上方に位置するアパーチャまたは孔を含み得る。カバー層113は、排出口264の外周にシールされ得、創傷カバー113下の陰圧を維持し得る。一部の実施形態では、排出された空気は、カバー層のガス透過性材料または透湿性材料を通して排出され得る。一部の実施形態では、カバー層は、排出口の上にアパーチャまたは孔を含む必要はなく、排出された空気はカバー層を通して排出される。一部の実施形態では、ポンプ出口機構274は、
図2Bに示すようにポンプの周りに嵌合するように形成されたカスタム部品とし得る。電子ユニット267は、吸収エリアに最も近い電子ユニットの部分上に位置し、ポンプの入口と整列されたポンプ入口保護機構280(ポンプ入口保護機構710を有する
図3Aに示されるように)を含み得る。ポンプ入口保護機構280は、ポンプ入口と被覆材の吸収エリアまたは吸収層との間に位置付けられる。ポンプ入口保護機構280は、疎水性材料で形成され、流体がポンプ272に入るのを防止し得る。
【0049】
一部の実施形態では、電子ユニットの上面は、ポンプの状態および/または被覆材内の圧力レベルを示すための1つ以上のインジケータ266を含み得る。インジケータは、小さなLEDライトまたはインジケータ上の被覆材構成要素または被覆材構成要素の貫通孔を通して見えるその他の光源とし得る。インジケータは、緑、黄、赤、橙、またはその他任意の色であり得る。例えば、1つの緑のライトおよび1つの橙のライトの2つのライトがあり得る。緑のライトは、デバイスが適切に作動しており、橙のライトは、ポンプ(例えば、被覆材の漏れ、被覆材の飽和レベル、および/または低バッテリー状態)に何らかの問題があることを示し得る。
【0050】
図2A~
図2Bは、電子ユニット267の実施形態を図示する。電子ユニット267は、ポンプ272、およびポンプ272およびその他の電子機器に電力供給するための1つ以上のバッテリー268またはその他の電源を含み得る。ポンプは、約27ボルト、または約30ボルトで動作し得る。2つのバッテリーは、単一のバッテリーで可能なよりもより効率的な電圧増加(6V~30V)を許容し得る。
【0051】
バッテリー268は、可撓性回路基板276と電気的に通信し得る。一部の実施形態では、1つ以上のバッテリー接続は、可撓性回路基板276の表面に接続される。一部の実施形態では、可撓性回路基板はその中にその他の電子機器を有し得る。可撓性回路基板は、例えば、限定するものでないが、1つ以上の圧力センサ、温度センサ、光学センサおよび/もしくはカメラ、ならびに/または飽和インジケータを含む様々なセンサを有し得る。
【0052】
こうした実施形態では、電子ユニット267の構成要素は、被覆材の流体から電子機器を保護するための保護コーティングを含み得る。コーティングは、電子ユニット267と被覆材の吸収材との間の流体分離の手段を提供し得る。コーティングは、シリコンコーティングまたはポリウレタンコーティングを含むがこれに限定されない疎水性コーティングとし得る。一部の実施形態では、電子ユニット267は、本明細書でより詳細に説明されるように、保護ハウジングまたはエンクロージャに封入され得る。ポンプ入口構成要素またはポンプ入口保護機構は、入口上の流体からポンプを保護するために使用し得、ポンプ出口機構は、流体が出口に流入するのから保護する逆止め弁を含み得、これは2017年3月6日に出願された「WOUND TREATMENT APPARATUSES AND METHODS WITH NEGATIVE PRESSURE SOURCE INTEGRATED INTO WOUND DRESSING」と題された国際特許出願第PCT/EP2017/055225号、および2017年4月26日に出願された「WOUND DRESSINGS AND METHODS OF USE WITH INTEGRATED NEGATIVE PRESSURE SOURCE HAVING A FLUID INGRESS INHIBITION COMPONENT」と題された国際特許出願第PCT/EP2017/059883号に関連してより詳細に説明され、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ポンプ入口構成要素またはポンプ入口保護機構は、流体の侵入を阻止する構成要素であってもよい。ポンプ入口構成要素またはポンプ入口保護機構は、ガス(例えば、空気)は通過させるが、液体(例えば、創傷滲出液)の通過は阻止することができる。ポンプ入口構成要素またはポンプ入口保護機構は、創傷被覆材の内部とポンプとの間に複数の流路を提供する多孔性構造であってもよい。複数の流路は、ポンプの閉塞(例えば、創傷滲出液からの)を阻止することができる。一部の実施形態では、構成要素は、創傷滲出液を弾く疎水性材から成るか、または疎水性材でコーティングされ得、それによって構成要素内への、そして最終的にはポンプ内への、流体の浸入を阻止する。
【0053】
電子ユニット267は、ポンプと2つのバッテリーとの間の1つ以上のスリット、溝またはくぼみ271を含む。スリット、溝またはくぼみ271は、電子ユニット267が柔軟に創傷の形状に適合することを可能にし得る。ユニット267は、電子ユニット267の3つのセグメントを形成する2つの平行なスリット、溝またはくぼみ271を有し得る。ユニット267のスリット、溝またはくぼみ271は、ヒンジ箇所またはそのヒンジ箇所での電子ユニットの可撓性を可能にする間隙を作る。ポンプ排気ベント264、スイッチ265、およびインジケータ266は、電子ユニット267の頂面上に示される。図示したように、電子ユニット267の1つの実施形態は、ユニットを、例えば1つはバッテリーを含み、1つはポンプを収容し、1つは別のバッテリーを収容する、3つの領域またはパネルに分離するための2つのヒンジ箇所を有する。一部の実施形態では、スリット、溝またはくぼみは、被覆材の吸収エリアを通る被覆材の電子機器エリアを通る被覆材の長さに沿って延在する被覆材の長手方向軸と平行に延在する。
【0054】
図3Aは、創傷被覆材内に電子構成要素を組み込んだ創傷被覆材層の一実施形態を図示する。
図3Aは、創傷に接触するように構成された創傷接触層310を有する創傷被覆材を図示する。創傷接触層310は、
図1A~
図1Cを参照して説明された、創傷接触層と類似の材料であってもよく、類似の機能を有し得る。透過層またはスペーサ層311が、創傷接触層の上に提供される。透過層またはスペーサ層311は、類似の材料であってもよく、
図1A~
図1Cを参照して説明された透過層またはスペーサ層と類似の機能を有し得る。透過層311は、創傷部位上に陰圧を送り、分配することを支援し得る。
【0055】
アパーチャを備えた吸収材351の第1の層は、透過層311の上に提供され得る。第1のアパーチャを備えた吸収層351は、1つ以上のアパーチャ329を含み得る。一部の実施形態では、アパーチャ329は、その中に電子ユニット350が嵌合するような寸法および形状とされ得る。第1のアパーチャを備えた吸収層351は、電子機器エリアの寸法に合わせた寸法および形状とされ得、吸収エリア内には延在しない。一部の実施形態では、アパーチャ329は、電子ユニット350の個々の構成要素が嵌合するような寸法および形状とされ得る。
【0056】
第2のアパーチャを備えた吸収層322は、第1の吸収層351の上に提供され得る。一部の実施形態では、第2の吸収層322は、1つ以上のアパーチャ328を含む。第2の吸収層322は、電子機器エリアおよび吸収エリアの寸法に合わせた寸法および形状とされ得る。一部の実施形態では、アパーチャ328は、電子ユニット350の個々の構成要素が嵌合するような寸法および形状とされ得る。第1および第2の吸収層351および322は、
図1A~
図1Cを参照して説明される吸収層と類似の材料であってもよく、類似の機能を有し得る。
【0057】
電子ユニット350は、第1および第2の吸収材351および322のアパーチャ328および329に位置付けられ得る。電子ユニット350は、
図2A~
図2Bを参照して説明された電子ユニットと同様であり得る。電子ユニット350は、ポンプ327、電源326、およびプリント基板381を含み得る。一部の実施形態では、ポンプ327は、ポンプ入口機構710および出口機構382を含み得る。一部の実施形態では、プリント基板381は、本明細書に説明されるスイッチ、センサ、およびLEDを含むがこれに限定されない電子機器を含み得る。一部の実施形態では、回路基板381は、本明細書でより詳細に説明されるように、出口機構382における1つ以上の排気ベント(図示せず)上に位置付けられる1つ以上の孔を含み得る。
【0058】
オーバーレイ層317は、電子構成要素350および吸収層322の上に提供され得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層317は、本明細書に説明される吸収材および/または透過材料の1つ以上の層とし得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層317は、透過材料および吸収材の下層の周縁部に重なり、境界を越える適合材料を含み得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層317は、被覆材層の縁部の周りの輪郭を減少させることによって、創傷被覆材層の縁部を軟化させ得る。オーバーレイ層317は、カバー層が下方の被覆材層の上にシールされた時に、下側層によってカバー層が穿刺されることを防止し得る。オーバーレイ層317は、下方に位置する電子ユニット350の少なくとも一部分へのアクセスを可能にするアパーチャ371を含み得る。
【0059】
カバー層または裏当て層313は、オーバーレイ層317の上に位置付けられ得る。カバー層または裏当て層313は、
図1A~
図1Cを参照して説明された、カバー層または裏当て層と類似の材料であってもよく、類似の機能を有し得る。一部の実施形態では、オーバーレイ層317が使用されないときは、カバー層または裏当て層313が、吸収層322および/または電子構成要素350の上方に提供され得る。カバー層313は、オーバーレイ層317、吸収層322および351、電子構成要素350、および透過層311を囲い込む周縁領域において、創傷接触層310に対してシールを形成し得る。一部の実施形態では、カバー層313は、被覆材構成要素が創傷に適用されるとき、その被覆材構成要素周りで形成および成型する、可撓性のある材料のシートであり得る。他の実施形態では、
図3Aに示されるように、カバー層313は、被覆材構成要素周りに嵌合するようあらかじめ形成され、または、あらかじめ成型された材料であり得る。本明細書に使用されるように、カバー層および裏当て層という用語は、被覆材層を覆ように構成された、被覆材内の材料の層に言及するのに互換可能に使用され得る。
【0060】
一部の実施形態では、カバー層または裏当て層313は、アパーチャ372を含み得る。アパーチャ372は、オーバーレイ層317のアパーチャ371の少なくとも一部分の上に位置付けられて、下方に位置する電子ユニット350の少なくとも一部分へのアクセスを可能とし得る。一部の実施形態では、アパーチャ371および372は、ポンプ排出口のスイッチおよび/またはベント孔へのアクセスを可能とし得る。
【0061】
ラベル341は、アパーチャ371および372の上に提供され、電子構成要素350の露出した部分の上に位置付けられ得る。ラベルは、ベント孔342、インジケータ部分344、および/またはスイッチカバー343を含み得る。インジケータ部分344は、ラベル341の下の、プリント基板381上の1つ以上のインジケータまたはLEDの上に配置するための孔または透明領域344を含み得る。孔または透明領域344は、インジケータまたはLEDがラベル341を通して見えるようにし得る。一部の実施形態では、スイッチカバー343は、プリント基板381上のスイッチの上に位置付けられたドーム型カバーを含み得る。一部の実施形態では、ラベル341は、スイッチカバー343のためのエンボス加工が施された特徴を含み得る。一部の実施形態では、スイッチカバー343のエンボス加工が施された特徴は、デバイスの偶発的な起動または停止を防止し得る。一部の実施形態では、スイッチまたはスイッチカバー343は、偶発的な起動または停止を防止するためにスイッチ上のタブを含み得る。ラベルのベント孔342は、ポンプ出口機構からの排気がラベルを通過し、創傷被覆材を出て大気中に排出することを可能とし得る。
【0062】
一部の実施形態では、ラベルは、カバー層または裏当て層313の上に位置付けられ得る。ラベルは、カバー層にシールして、創傷上にシールを形成することができる。他の実施形態では、ラベル341は、オーバーレイ層371の上およびカバー層または裏当て層313の下に位置付けられ得る。そのような実施形態では、カバー層313は、ラベル341の1つ以上の構成要素の上に1つ以上のアパーチャを有し得る。例えば、カバー層313は、ベント孔342、インジケータ部分344、および/またはスイッチカバー343の上にアパーチャを有し得る。
【0063】
図3Bは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の材料層の断面レイアウトを図示する。被覆材300は、複数の材料層および電子組立品350を含む。創傷被覆材300は、
図1A~
図1Cを参照して説明した通り、創傷に適用されるように意図された電子機器および吸収エリアまたは被覆材エリア360を含む電子機器エリア361を含み得る。
【0064】
本明細書に説明されるように、1つ以上の材料層は、電子機器エリア361および被覆材エリア360の両方に延在し得る。被覆材300は、
図3Bに図示されるように、創傷接触層310、透過層311、吸収層322および351、オーバーレイ層317、およびカバーまたは裏当て層313を含み得る。吸収層322および351は、本明細書で説明した電子組立品350の構成要素を受容するためのくぼみまたは切り欠き部を含み得る。一部の実施形態では、
図3Bに図示されるように、小さいアパーチャを備える吸収層351は、大きいアパーチャを備える吸収層322の上に位置付けられ得る。他の実施形態では、
図3Aに図示されるように、小さいアパーチャを備える吸収層351は、大きいアパーチャを備える吸収層322の下に位置付けられ得る。
【0065】
一部の実施形態では、オーバーレイ層317および/またはカバー層313は、電子組立品350のスイッチおよび/またはインジケータ上に切り欠き部またはアパーチャを含み得る。ラベルまたはカバー341は、電子組立品350の少なくとも一部分およびオーバーレイ層317および/またはカバー層313の任意の切り欠き部を覆うように位置付けられ得る。ラベルまたはカバー341は、
図3Aを参照して上述されたように、ラベルまたはカバー341と同様であり得る。
【0066】
使用前に、被覆材は、創傷接触層の底面に接着された送達層345を含み得る。送達層345は、創傷接触層310の底面上の接着剤またはアパーチャを覆い得る。一部の実施形態では、送達層345は、被覆材に支持を提供でき、滅菌および患者の創傷および皮膚の上に被覆材を適切に配置することを補助し得る。送達層345は、被覆材300を患者の創傷および皮膚に適用する前に、ユーザが送達層345を創傷接触層310から分離するために使用し得るハンドル346を含み得る。
【0067】
図3Cは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の実施形態の上面図を図示する。
【0068】
図3Cは、オーバーレイ層317ならびに下にある被覆材および電子構成要素を覆う、カバー層313および電子機器カバー341を示す。カバー層313は、創傷接触層310の周縁領域において、創傷接触層310にシールし得る。一部の実施形態では、ラベルまたは電子機器カバー341は、カバー層313の上に位置付けられ得る。一部の実施形態では、カバー層313は、電子機器カバー341の上にシールし得る。一部の実施形態では、カバー層313は、スイッチおよび/またはポンプ出口ベントの上に位置付けられたカバー層313の1つ以上の孔を含み得る。一部の実施形態では、カバー層313は、
図3Cに示されるように、カバーまたはラベル341のスイッチカバー343、視覚インジケータ344、および/またはポンプ出口ベント342の上に位置付けられた単一の孔を含み得る。一部の実施形態では、ラベルは、スイッチカバー343のためのエンボス加工が施された特徴を含み得る。一部の実施形態では、スイッチカバー343のエンボス加工が施された特徴は、デバイスの偶発的な起動または停止を防止し得る。一部の実施形態では、スイッチまたはスイッチカバー343は、偶発的な起動または停止を防止するためにスイッチ上のタブを含み得る。
【0069】
視覚インジケータ344は、陰圧源の動作および/または創傷に適用される陰圧のレベルの表示を提供し得る。一部の実施形態では、視覚インジケータは、1つ以上の光源またはLEDを含み得る。一部の実施形態では、視覚インジケータ光源は点灯して状態または状態の変化を示す。一部の実施形態では、光源は、状態を示す特定の配列および/または色を点灯し得る。例えば、一部の実施形態では、光源は、点滅してデバイスが適切に動作していることをユーザに通知し得る。一部の実施形態では、光源は自動で定期的に点滅し得、および/または光源はスイッチまたは他のボタンによって作動し点灯して状態を示し得る。
【0070】
一部の実施形態では、スイッチは押されておよび/または押し下げられて、被覆材および電子機器の電源を入れおよび切る。一部の実施形態では、スイッチが起動されると、ポンプおよび関連付けられたカラーLED、例えば、緑色のLEDを使用して、被覆材および組み込まれた陰圧源が作動中であることを確認し得る。一部の実施形態では、ポンプおよび被覆材の動作中、ポンプおよび被覆材は、例えば、橙色のLEDなどのカラーLEDで示される故障状態に入り得る。
【0071】
電子組立品
本明細書に説明される創傷被覆材は、被覆材の下に陰圧を生成するために、組み込み電子組立品を利用し得る。しかしながら、電子機器を腐食させる創傷滲出液または他の体液から組立品を保護することが重要であり得る。また、電気および電子構成要素から患者を保護することも重要であり得る。電子組立品は、必要な陰圧差を生成するために、被覆材から空気を引き込んで環境に排出するポンプを組み込み得る。それゆえに、電子組立品を保護し、電子組立品と、被覆材および被覆材を囲む環境との間の流体連通を可能にすることが困難であり得る。例えば、組立品の完全な封入またはポッティングは、被覆材および雰囲気からポンプへの空気の移動を防止し得る。本明細書で上記に説明された一部の実施形態では、電子組立品の電子構成要素は、部分封入、ポッティング、および/または適合性コーティングによって環境から保護され得る。一部の実施形態では、電子構成要素のポッティングは、衝撃および振動に対する耐性、水分の排除、および/または腐食剤の排除のために、固体またはゼラチン状化合物で完全な電子組立品を充填するプロセスを含み得る。
【0072】
図4Aに示されるように、創傷被覆材に組み込まれるエンクロージャまたはハウジング内に位置付けられた電子ユニットを含む電子組立品が使用され得る。ハウジング内に封入された電子ユニットは、
図2A~
図2Bを参照して説明される電子ユニットと同様であってもよいが、電子ユニットは、エンクロージャまたはハウジング内に位置付けられ得る。電子ユニットが封入されたハウジングは、被覆材内に配置され得る。
図4A~
図4Bは、電子ユニット403をハウジング内に封入する電子組立品400の実施形態を図示する。
【0073】
図4Aおよび4Bに図示されるように、電子組立品400のハウジングは、内部で電子ユニット403を囲むプレート401および可撓性フィルム402を含み得る。電子ユニット403は、ポンプ405、入口保護機構410(
図4Bに示される)、ポンプ排気機構406、電源407、および可撓性回路基板409を含み得る。一部の実施形態では、電子ユニット403およびポンプ405は、入口保護機構410なしで使用され得る。可撓性フィルム402は、溶接(熱溶接)または接着接合によってプレート401に取り付けられて、電子構成要素の周りに流体密封およびエンクロージャを形成し得る。一部の実施形態では、可撓性フィルム402は、熱溶接、接着接合、超音波溶接、RF溶接、または任意の他の取り付けもしくは接合技術によって、プレートの周縁部でプレートに取り付けられ得る。
【0074】
可撓性フィルム402は、可撓性プラスチック高分子フィルムであってもよい。一部の実施形態では、可撓性フィルム402は、任意の材料の可撓性高分子フィルム、または電子機器の周囲で確認される任意の可撓性材料から形成され得る。可撓性フィルムは、内部の構成要素を保護および絶縁しながら、適合性および可撓性を維持し得る。一部の実施形態では、可撓性フィルム402は、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコン、ポリカーボネート、ポリエチレン、メチル化ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテトラフタレート(PET)、ポリブタレンテトレアフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)のうちの1つ以上などの可撓性または伸縮性の材料から、様々なフッ素ポリマー(FEP)およびコポリマー、または別の好適な材料と共に、形成され得る。一部の実施形態では、可撓性フィルム402は、ポリウレタンから形成され得る。
【0075】
プレート401は、プラスチックポリマープレートであってもよい。一部の実施形態では、プレートは、創傷に適用されたときに、被覆材の移動または屈曲への適合性を可能にする可撓性材料であってもよい。一部の実施形態では、プレートは、
図3A~
図3Cを参照して説明したラベルの構成要素と一体化され得る。他の実施形態では、ラベルは、プレート401の頂面に取り付けられた別個の構成要素であってもよい。
【0076】
可撓性フィルム402およびプレート401は、被覆材内の流体から電子ユニット403を保護するために防水であってもよい。一部の実施形態では、可撓性フィルム402は、組立品の可撓性を制限しないように、適切にサイズ決めされ得る。一部の実施形態では、フィルム402の性状に応じて、電子組立品400を熱成形または真空形成して、組立品の可撓性を維持する機能を支援することができる。一部の実施形態では、電子ユニット403は、電子ユニット403が内部で移動することができないように、ハウジング内のプレート401に接合または接着され得る。
【0077】
一部の実施形態では、ハウジングは、1つ以上の窓404を含み得る。窓404は、気体が通過することを可能にし得る多孔質のフィルムまたは膜であってもよい。窓404は、疎水性のフィルムまたは膜であってもよい。一部の実施形態では、窓404の疎水性の性質により、創傷流体を弾き、電子組立品400内への流体の漏れを防止することができる。一部の実施形態では、窓404は、細菌フィルタを含み得る。一部の実施形態では、窓404は、多孔性を有し得、これにより、窓404が細菌フィルタとして作用し、細菌が体液から環境中に放出されるのを防止することを可能にする。窓404はまた、環境から創傷部位への細菌の侵入を防止することができる。
【0078】
電子組立品400は、中を通って移動する空気のための十分な大きさのエリアを提供するための2つ以上の窓404またはより大きな窓404を有し、それに伴って、膜にわたる圧力降下、ひいては、圧力差を達成する際のシステムの電力消費量を最小化することができる。一部の実施形態では、
図4A~
図4Bに図示されるように、電子組立品400は、小さなエリアを有するいくつかの窓を含み得る。他の実施形態では、電子組立品は、単一の大きなエリアを有する窓を含み得る。
【0079】
図4A~
図4Bに図示される電子組立品400は、被覆材が患者の体に適用されると、被覆材内からの空気が窓404を通過して、ポンプ405上の矢印によって示される方向に汲み出され得るように、創傷被覆材内に組み込まれ得る。ポンプから排気された空気は、ポンプ組立品からポンプ排気機構406を通過し、プレート401のアパーチャまたはベント408を通って電子組立品400のハウジングから排気され得るか、または出され得る。一部の実施形態では、可撓性回路基板409は、排気機構406とプレート401との間に位置付けられ得る。可撓性回路基板409はまた、
図2A~
図2Bを参照して説明したように、排気機構の排気孔と整列したアパーチャまたはベントを含み得る。排気機構406のベント孔またはアパーチャ、可撓性回路基板409、およびプレート401は、互いに整列してシールされ得る。このシールにより、ポンプ排気がプレート401のベント408を通って電子組立品400から排気されることを確実にすることができる。他の実施形態では、電子ユニット403の排気機構406は、プレート401の上に位置付けられ、気密シールによりプレート401に直接接合され得る。
【0080】
プレート401の頂部側(
図4A~
図4Bには図示せず)は、
図3A~
図3Cを参照して説明したラベルと同様のラベルを含み得る。他の実施形態では、プレート401の頂部側は、
図3A~
図3Cを参照して説明したラベルの構成要素をプレート401内に一体化することができる。かかる実施形態では、別個のラベルは不要である。例えば、ベント孔に加えて、プレート401は、本明細書で前述したインジケータ部分および/またはスイッチカバーを含み得る。
【0081】
一部の実施形態では、電子組立品400は、
図3A~
図3Cを参照して説明した電子ユニットと同じ方法で、創傷被覆材内に埋め込まれ得る。被覆材は、被覆材内に1つ以上の吸収層を有し得、吸収層は、中に電子組立品を受容するための単一のアパーチャまたはくぼみを有し得る。一部の実施形態では、電子組立品は、
図3A~
図3Cを参照して説明した電子ユニットと同様のオーバーレイ層の下に位置付けられ得る。かかる実施形態では、オーバーレイ層は、プレート401の頂面の少なくとも一部分へのアクセスを可能にするアパーチャを含むことになる。
【0082】
電子組立品400は、被覆材内に位置決めされる際、
図3A~
図3Cを参照して説明した電子ユニットと同様の創傷カバーおよびオーバーレイ層の下に位置付けられ得る。他の実施形態では、オーバーレイ層は使用されず、電子組立品400はカバー層または裏当て層のすぐ下に位置付けられる。
【0083】
カバー層または裏当て層は、プレート401の頂面の一部分、大部分、または全てを露出させるアパーチャを含み得る。カバー層のアパーチャは、プレート401の少なくとも一部分の上に位置付けられて、カバー層の下方に位置付けられたプレート401の少なくとも一部分へのアクセスを可能にし得る。一部の実施形態では、カバー層は、プレート401のラベルまたは頂面の1つ以上の構成要素の上に複数のアパーチャを有し得る。例えば、カバー層は、ベント孔、インジケータ部分、および/またはスイッチカバーの上にアパーチャを有し得る。他の実施形態では、カバー層は、ベント孔、インジケータ部分、および/またはスイッチカバーを含むがこれらに限定されない、プレート401のラベルまたは頂面の1つ以上の構成要素の上に単一のアパーチャを有することができる。
【0084】
別個のラベルを使用する場合、別個のラベルを、カバー層の上方または下方に、
図3A~
図3Cを参照して説明した被覆材およびプレート401の露出した部分に適用することができる。
【0085】
図5A~
図5Bは、創傷被覆材510層のアパーチャ内に位置付けられた電子組立品500の実施形態を図示する。
図5A~
図5Bに図示されるように、被覆材510は、
図1A~
図1Cおよび
図3A~
図3Cを参照して説明した対応する構成要素と同様の吸収エリア560および電子機器エリア561を含み得る。被覆材は、
図1A~
図1Cおよび
図3A~
図3Cを参照して説明した層と同様の1つ以上の被覆材層を有し得る。被覆材層は、中に電子組立品を受容するための単一のアパーチャまたはくぼみを有し得る。
【0086】
創傷被覆材510は、
図1A~Cおよび
図3A~
図3Cに示されるように、創傷接触層、透過層、および1つ以上の吸収層から形成され得る。1つ以上の吸収層は、電子組立品500を受容するための単一のアパーチャを有し得る。透過層および1つ以上の吸収材は、
図1A~
図1Cを参照して説明した創傷接触層の周縁部にシールするカバー層513で覆われ得る。
図5A~
図5Bに図示されるように、オーバーレイ層は使用されない。1つ以上の吸収層のアパーチャを、カバー層513のアパーチャ520と整列させることができる。
【0087】
図5Aは、被覆材510の電子機器エリア561内に位置付けられた電子組立品500の上面図を図示する。
図5Aは、被覆材510のカバー層513を図示しており、電子組立品500が被覆材のくぼみに位置付けられている。カバー層の下の創傷被覆材の他の層は示されていない。電子組立品500は、
図4A~
図4Bを参照して説明した電子組立品と同様であってもよい。電子組立品500は、プレート501および可撓性フィルム502を含むハウジング内に囲い込まれた電子ユニットを含み得る。
図5Aに示されるプレート501は、1つ以上のベント542、1つ以上のインジケータ部分544、および/またはボタンもしくはスイッチ543を含む、ラベルの特徴を含み得る。
図5Bは、被覆材510の電子機器エリア561から取り除かれた電子組立品500の一実施形態を図示する。電子組立品500は、窓が上を向く状態で上下逆さに示されている。
【0088】
電子組立品は、被覆材510が創傷の上に位置付けられるときに、電子組立品500の創傷に面する側面の上に位置付けられる第1の側面を有し得る。図示されるように、可撓性フィルム502および窓504は、被覆材が創傷の上に位置付けられるときに、被覆材層と接触し、創傷に面する、電子組立品500の第1の創傷に面する側面を形成し得る。電子組立品500は、第1の側面に対向する第2の側面を有し得る。プレート501は、電子組立品の第2の側面を形成し得、被覆材が創傷の上に位置付けられるときに、環境と接触し得る。
【0089】
図5Bに図示されるように、可撓性フィルム502は窓504を有し得る。
図5Aに示されるように電子組立品500が創傷被覆材の上または中に位置付けられるとき、窓504は、創傷被覆材内の層と流体連通し、電子組立品が被覆材510の下に陰圧を発生させることを可能にする。
【0090】
図6は、ハウジング内に電子ユニットを囲い込む電子組立品600の一実施形態を図示する。
図6に図示されるように、電子組立品600のハウジングは、中に電子ユニット603を囲い込むプレート601および可撓性フィルム602を含み得る。電子ユニット603は、ポンプ605、入口保護機構610、ポンプ排気機構606、電源607、および可撓性回路基板609を含み得る。
【0091】
ポンプ排気機構606は、ポンプ排気機構406と同様であってもよい。しかしながら、ポンプ排気機構606およびポンプ605は、拡張されたケーシング616内に位置し得る。
【0092】
可撓性フィルム602は、溶接(熱溶接)または接着接合によってプレート601に取り付けられて、電子構成要素の周りに流体密封およびエンクロージャを形成し得る。一部の実施形態では、可撓性フィルム602は、熱溶接、接着接合、超音波溶接、RF溶接、または任意の他の取り付けもしくは接合技術によって、プレートの周縁部でプレートに取り付けられ得る。
【0093】
可撓性フィルム602は、可撓性プラスチック高分子フィルムであってもよい。一部の実施形態では、可撓性フィルム602は、任意の材料の可撓性高分子フィルム、または電子機器の周りで確認される任意の可撓性材料から形成され得る。可撓性フィルムは、内部の構成要素を保護および絶縁しながら、適合性および可撓性を維持し得る。一部の実施形態では、可撓性フィルム602は、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコン、ポリカーボネート、ポリエチレン、メチル化ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテトラフタレート(PET)、ポリブタレンテトレアフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)のうちの1つ以上などの可撓性または伸縮性の材料から、様々なフッ素ポリマー(FEP)およびコポリマー、または別の好適な材料と共に、形成され得る。一部の実施形態では、可撓性フィルム602は、ポリウレタンから形成され得る。
【0094】
プレート601は、プラスチックポリマープレートであってもよい。一部の実施形態では、プレートは、創傷に適用されたときに、被覆材の移動または屈曲への適合性を可能にする可撓性材料であってもよい。一部の実施形態では、プレートは、
図3A~
図3Cを参照して説明したラベルの構成要素と一体化され得る。他の実施形態では、ラベルは、プレート601の頂面に取り付けられた別個の構成要素であってもよい。一部の実施形態では、プレートおよび/またはラベルは、可撓性フィルム602が可撓性回路基板および/または電子ユニットの周りのプレートおよび/またはラベルの外周にシールされ得るように、可撓性回路基板および/または電子ユニットよりも大きい表面積を有し得る。
【0095】
可撓性フィルム602およびプレート601は、被覆材内の流体から電子ユニット603を保護するために防水であってもよい。一部の実施形態では、可撓性フィルム602は、組立品の可撓性を制限しないように、適切にサイズ決めされ得る。一部の実施形態では、フィルム602の性状に応じて、電子組立品600を熱成形または真空形成して、組立品の可撓性を維持する機能を支援することができる。一部の実施形態では、電子ユニット603は、電子ユニット603が内部で移動することができないように、ハウジング内のプレート601に接合または接着され得る。
【0096】
一部の実施形態では、可撓性フィルム603は、アパーチャ611を含み得る。アパーチャ611は、入口保護機構610が創傷被覆材の吸収層および/または透過層と流体連通することを可能にすることができる。可撓性フィルム603のアパーチャ611の周縁部を、溶接(熱溶接)または接着剤接合して入口保護機構610の周りに流体密封シールおよびエンクロージャを形成することによって入口保護機構610にシールするか、または取り付けることにより、電子構成要素603を被覆材内の流体から保護されたままにすることができる。一部の実施形態では、可撓性フィルム602は、熱溶接、接着剤接合、超音波溶接、RF溶接、または任意の他の取り付けもしくは接合技術によって、入口保護機構610の周縁部において入口保護機構610に取り付けられ得る。入口保護機構610は、創傷からの、および創傷被覆材の吸収エリア660内に収集された創傷滲出液または液体が、電子組立品600のポンプおよび/または電子構成要素に入るのを防止することができる。
【0097】
図6に図示される電子組立品600は、本明細書に記載のように、ケーシング616および可撓性回路基板609のアパーチャと連通した状態で、被覆材が患者の体に適用されると、被覆材内からの空気が入口保護機構610を通過して、ポンプ排気機構606に向かって汲み出され得るように、創傷被覆材内に組み込まれ得る。
【0098】
一部の実施形態では、ケーシング616は、ポンプ排気機構606から排気された空気が通過することを可能にするアパーチャまたはベントを含み得る。ポンプから排気された空気は、ポンプ組立品からポンプ排気機構606およびケーシング616を通過し、プレート601のアパーチャまたはベントを通って電子組立品600のハウジングから排気され得るか、または出され得る。一部の実施形態では、可撓性回路基板609は、排気機構606とプレート601との間に位置付けられ得る。可撓性回路基板409はまた、
図2A~
図2Bを参照して説明したように、排気機構の排気孔と整列したアパーチャまたはベントを含み得る。排気機構606のベント孔またはアパーチャ、ケーシング616、可撓性回路基板609、およびプレート601は、互いに整列してシールされ得る。このシールにより、ポンプ排気がプレート601のベントを通って電子組立品600から排気されることを確実にすることができる。他の実施形態では、電子ユニット603の排気機構606は、プレート601の上に位置付けられ、気密シールによりプレート601に直接接合され得る。
【0099】
プレート601の頂部側(
図6には図示せず)は、
図3A~
図3Cを参照して説明したラベルと同様のラベルを含み得る。他の実施形態では、プレート601の頂部側は、
図3A~
図3Cを参照して説明したラベルの構成要素をプレート601内に一体化することができる。かかる実施形態では、別個のラベルは不要である。例えば、ベントに加えて、プレート601は、本明細書に説明されるインジケータ部分および/またはスイッチカバーを含み得る。
【0100】
図7A~
図7Dは、電子組立品700の下側の創傷に面する表面を示す。
図7A~
図7Dは、
図6を参照して本明細書に説明されたように、可撓性フィルム702の外部にシールされたポンプ入口保護機構710を含む電子組立品の実施形態を図示する。
【0101】
図7E~
図7Gは、電子組立品700のプレート701の上面を示す。プレートの上面は、オン/オフスイッチもしくはボタンカバー743、インジケータ部分744、および/またはベント孔742を含み得る。オン/オフスイッチカバーもしくはボタン743、インジケータ部分744、および/またはベント孔342は、
図3A~
図3C、
図4A~
図4B、ならびに
図5A~
図5Bを参照して説明したスイッチカバーまたはボタンおよびインジケータ部分と同様であってもよい。
【0102】
一部の実施形態では、
図7E、
図7F、および
図7Gに示されるように、スイッチまたはボタンカバー743は、本明細書に説明された電子構成要素の可撓性回路基板上のスイッチの上に位置付けられ得る。一部の実施形態では、プレートは、スイッチカバー743のためのエンボス加工が施された特徴を含み得る。一部の実施形態では、スイッチカバー743のエンボス加工が施された特徴は、デバイスの偶発的な起動または停止を防止し得る。一部の実施形態では、スイッチまたはスイッチカバー743は、偶発的な起動または停止を防止するためにスイッチ上のタブを含み得る。
【0103】
一部の実施形態では、
図7E、
図7F、および
図7Gに示されるように、インジケータ部分は、創傷被覆材および電子機器の状態を示すための視覚的な記号または言葉の合図を含み得る。例えば、
図7E、
図7F、および
図7Gに示されるように、1つのインジケータ部分は、「OK」と読み取れる場合がある。「OK」というインジケータ部分に関連付けられたLEDまたは光源が点灯すると、被覆材または電子機器が適切に機能していることを示す表示がユーザに提供される。インジケータ部分は、記号、例えば、
図7E~
図7Gに示される記号と同様の注意記号を有し得る。インジケータ部分上の注意記号に関連付けられたLEDまたは光源が点灯すると、被覆材または電子機器が適切に機能していない可能性があること、および/または漏れがある可能性があることの表示がユーザに提供される。
【0104】
プレートの1つ以上のベント孔742は、ポンプ出口機構からの排気がプレートを通過し、創傷被覆材を出て大気中に排気されることを可能とし得る。
【0105】
図7Hは、電子ユニットの可撓性回路基板の頂面の実施形態を図示する。可撓性回路基板の頂面は、
図7Hに図示され、本明細書により詳細に説明されるように、ライトまたはLEDインジケータ762、スイッチまたはボタン763、およびベントアパーチャ764を含み得る。
【0106】
図7Iは、電子組立品700およびポンプ入口保護機構710が視認可能である実施形態の側面図を図示する。
【0107】
フィルム702から延在し、フィルム702にシールされているポンプ入口保護機構710を有する電子組立品700は、
図5A~
図5Bに示され、本明細書でより詳細に説明されるように、カバー層513および吸収層(図示せず)のアパーチャ520内に位置付けられ得る。一部の実施形態では、電子組立品700の外周は、
図5A~
図5Bに示され、本明細書において
図9A~
図9Bを参照してより詳細に説明されるように、カバー層513のアパーチャ520の外側外周の頂面にシールされ得る。一部の実施形態では、電子組立品700は、シーラントガスケット、接着剤、熱溶接、接着剤接合、超音波溶接、RF溶接、または任意の他の取り付けもしくは接合技術を用いてカバー層513にシールされている。一部の実施形態では、電子組立品700は、カバー層513に永久的にシールされ得、被覆材を破壊することなくカバー層から取り外すことができない。
【0108】
一部の実施形態では、電子組立品700は、単一の被覆材で利用され、被覆材と共に廃棄され得る。他の実施形態では、電子組立品700は、一連の被覆材で利用され得る。
【0109】
創傷被覆材内に組み込まれた電子組立品
図8は、本明細書に説明される電子構成要素および/または電子組立品を組み込んで使用することができる創傷被覆材のための創傷被覆材層の一実施形態を図示する。
図8の被覆材層および構成要素は、
図3Aに説明される被覆材層および構成要素と同様であり得る。しかしながら、
図8に図示された創傷被覆材は、
図4A~
図4B、
図5A~
図5B、
図6、および
図7A~
図7Iを参照して説明された電子組立品400、500、600、および700と同様の電子組立品内に囲い込まれた電子構成要素および陰圧源を組み込み得る。
図8は、創傷に接触するように構成された創傷接触層810を有する創傷被覆材を図示する。透過層またはスペーサ層811が、創傷接触層の上に提供される。透過層811は、創傷部位上に陰圧を送り、分配することを支援し得る。
【0110】
アパーチャを備えた吸収材851の第1の層は、透過層811の上に提供され得る。第1のアパーチャを備えた吸収層851は、1つ以上のアパーチャ829を含み得る。一部の実施形態では、アパーチャ829は、その中に電子組立品および/または電子ユニットが嵌合するような寸法および形状とされ得る。第1のアパーチャを備えた吸収層851は、電子機器エリア861の寸法に合わせた寸法および形状とされ得、吸収エリア860内には延在しない。一部の実施形態では、アパーチャ829は、
図4A~
図7Iを参照して説明されるプレートおよびフィルムから形成される電子組立品が嵌合するような形状および寸法とされ得る。
【0111】
第2のアパーチャを備えた吸収層822は、第1の吸収層851の上に提供され得る。一部の実施形態では、第2の吸収層822は、1つ以上のアパーチャ828を含む。第2の吸収層822は、電子機器エリア861および吸収エリア860の寸法に合わせた寸法および形状とされ得る。一部の実施形態では、アパーチャ828は、
図4A~
図7Iを参照して説明されるプレートおよびフィルムから形成される電子組立品が嵌合するような形状および寸法とされ得る。
【0112】
カバー層または裏当て層813は、吸収層822の上に位置付けられ得る。カバー層813は、吸収層822および851、ならびに透過層811を囲い込む周縁領域において、創傷接触層810に対してシールを形成し得る。一部の実施形態では、カバー層813は、被覆材構成要素が創傷に適用されるとき、その被覆材構成要素周りで形成および成型する、可撓性のある材料のシートであり得る。他の実施形態では、カバー層813は、被覆材構成要素周りに嵌合するようあらかじめ形成され、または、あらかじめ成型された材料であり得る。本明細書に使用されるように、カバー層および裏当て層という用語は、被覆材層を覆ように構成された、被覆材内の材料の層に言及するのに互換可能に使用され得る。
【0113】
一部の実施形態では、カバー層または裏当て層813は、アパーチャ872を含み得る。アパーチャ372は、吸収層822内のアパーチャ828の少なくとも一部分の上に位置付けられて、下に位置付けられた吸収層822および851、透過層811、ならびに創傷接触層810の少なくとも一部分へのアクセスおよび流体連通を可能にし得る。創傷接触層、透過層、および/または吸収層は、任意の層とすることができ、創傷被覆材は、これらの層のいずれもなしで形成されてもよい。
【0114】
電子組立品は、第1および第2の吸収材851および822ならびにカバー層813のアパーチャ828、829、および872内に位置付けられ得る。電子組立品は、
図4A~
図5B、
図6、および
図7A~
図7Iを参照して説明されるように、ポンプ、電源、およびプリント基板を含み得る。
【0115】
使用前に、被覆材は、創傷接触層の底面に接着された1つ以上の送達層846を含み得る。送達層846は、創傷接触層810の底面上の接着剤またはアパーチャを覆い得る。一部の実施形態では、送達層846は、被覆材に支持を提供でき、滅菌および患者の創傷および皮膚の上に被覆材を適切に配置することを補助し得る。送達層846は、被覆材を患者の創傷および皮膚に適用する前に、ユーザが送達層846を創傷接触層810から分離するために使用し得るハンドルを含み得る。
【0116】
図9Aは、創傷被覆材層990内に電子組立品900を組み込んだ創傷被覆材の一実施形態を図示する。電子組立品900は、カバー層内のアパーチャ872、および第1および第2の吸収層のアパーチャ829および828内に提供され得る。一部の実施形態では、電子組立品900は、カバー層のアパーチャ872の外周にシールされ得る。
【0117】
電子組立品900は、
図6および
図7A~
図7Iに説明されるように、フィルムから延在し、フィルムにシールされたポンプ入口保護機構を含み得る。電子組立品900は、
図9Aに示されるように、カバー層および吸収層のアパーチャ872、829、828内に位置付けられ得る。一部の実施形態では、電子組立品900の周縁部は、
図9Aに示されるように、カバー層内のアパーチャ872の周縁部の頂面にシールされ得る。一部の実施形態では、電子組立品700は、シーラントガスケット、接着剤、熱溶接、接着剤接合、超音波溶接、RF溶接、または任意の他の取り付けもしくは接合技術を用いてカバー層813にシールされている。一部の実施形態では、電子組立品900は、カバー層813に永久的にシールされ得、被覆材を破壊することなくカバー層から取り外すことができない。
【0118】
一部の実施形態では、電子組立品900は、単一の被覆材で利用され、被覆材と共に廃棄され得る。他の実施形態では、電子組立品900は、一連の被覆材で利用または再使用(例えば、滅菌後)され得る。
【0119】
図9Bは、被覆材内に電子組立品を組み込んだ創傷被覆材の材料層の断面レイアウトを図示する。被覆材は、複数の材料層および電子組立品900を含む。創傷被覆材は、
図1A~
図1Cを参照して説明した通り、創傷に適用されるように意図された電子機器および吸収エリアまたは被覆材エリア960を含む電子機器エリア961を含み得る。
【0120】
本明細書に説明されるように、1つ以上の材料層は、電子機器エリア961および被覆材エリア960の両方に延在し得る。被覆材は、
図9Bに図示されるように、創傷接触層810、透過層811、吸収層822および851、ならびにカバーまたは裏当て層813を含み得る。吸収層822および851ならびにカバー層813は、
図9Aを参照して説明されたように、電子組立品900の構成要素を受容するためのくぼみまたは切り欠き部を含み得る。一部の実施形態では、小さいアパーチャを備える吸収層851は、大きいアパーチャを備える吸収層822の上に位置付けられ得る。他の実施形態では、
図9A~
図9Bに図示されるように、小さいアパーチャを備える吸収層851は、大きいアパーチャを備える吸収層822の下に位置付けられ得る。
【0121】
一部の実施形態では、電子組立品900は、被覆材層に挿入され、かつ固定され得る。
図9Aに図示されるように、電子組立品を囲い込むフィルムの下側の創傷に面する面は、被覆材のカバー層813の上面に直接シールされ得る。
【0122】
使用前に、被覆材は、創傷接触層810の底面に接着された送達層846を含み得る。送達層846は、創傷接触層810の底面上の接着剤またはアパーチャを覆い得る。一部の実施形態では、送達層846は、被覆材に支持を提供でき、滅菌および患者の創傷および皮膚の上に被覆材を適切に配置することを補助し得る。送達層846は、被覆材を患者の創傷および皮膚に適用する前に、ユーザが送達層846を創傷接触層810から分離するために使用し得るハンドルを含み得る。
【0123】
図10A~
図10Eは、電子組立品を組み込んだ、創傷被覆材の様々な形状および寸法の実施形態を図示する。電子組立品が埋め込まれた創傷被覆材は、様々なタイプの創傷に対応する任意の形状または寸法とされ得、患者の身体の形状および輪郭に順応し得る。例えば、電子機器が埋め込まれた創傷被覆材は、長方形、丸みのある長方形、正方形、T字型、またはその他任意の形状または設計を有し得る。創傷被覆材は、電子機器エリアおよび吸収エリアを通過する被覆材の長さを延在する長手方向軸に平行な長手方向長さを有し得る。吸収エリアは、被覆材の長手方向軸に平行に延在する長手方向軸を有し得る。一部の実施形態では、被覆材は、幅広であるよりも長手方向軸に平行により長い長さを有する。電子組立品は、吸収エリアの長手方向軸に垂直である長手方向軸を有し得る。一部の実施形態では、電子組立品は、幅広であるよりも長い、その長手方向軸に平行な長さを有し得る。一部の実施形態では、創傷被覆材の吸収エリアは、
図10A~
図10Cおよび
図10Eに図示される吸収エリアの幅を超える吸収領域の長さを含む、細長い長方形形状であってもよい。一部の実施形態では、創傷被覆材の吸収エリアは、
図10Dに例示されるように、吸収エリアの幅と実質的に等しいか、またはそれと等しい吸収領域の長さを含む正方形形状を有してもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載の電子機器が埋め込まれた創傷被覆材は、
図1A~
図2Bならびに
図5A~
図5Bを参照して図示した長方形または丸みのある長方形の形状であり得る。他の実施形態では、本明細書に説明される電子機器が埋め込まれた創傷被覆材は、
図3A~
図3Cおよび
図8~
図10Eを参照して図示されるように、T字形状であり得る。
【0124】
電子機器エリア内の保護フィルム
一部の実施形態では、
図8ならびに
図9A~
図9Bを参照して説明されるような創傷被覆材は、取り外し可能または交換可能な電子組立品と共に使用され得る。創傷被覆材は、
図4A~
図7Iを参照して説明された電子ユニットと同様の電子ユニットを組み込み得る。しかしながら、一部の実施形態では、可撓性フィルム(
図6および
図7A~
図7Iで602および702として示される)は、電子組立品の残部とは別個に、被覆材に組み込まれ得る。可撓性フィルムは、創傷被覆材の吸収層およびカバー層内で、本明細書に説明され、
図8および
図9Aの872、828、および829として示される、アパーチャまたは開口部内に配置され得る。本明細書に説明される創傷被覆材、創傷治療装置、および方法の実施形態はまた、2018年9月13日出願の国際特許出願第PCT/EP2018/074701号、2018年10月25日出願の国際特許出願第PCT/EP2018/079345号、および2018年9月13日出願の国際特許出願第PCT/EP2018/074694号に説明されるものと組み合わせてまたはそれらに追加して使用されてもよく、それらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0125】
一部の実施形態では、創傷被覆材の吸収およびカバー層のアパーチャまたは開口部内に配置されるフィルムは、可撓性材料であってもよく、またはフィルムを創傷被覆材に挿入する前に、成型または構造化されたフィルム材料にあらかじめ形成されるか、または予備成形され得る。本明細書に説明されるように、あらかじめ形成されるか、または予備成形された材料という用語は、永久的または半永久的物体にあらかじめ成形、形成、または成型される材料を指す。フィルムを創傷被覆材に挿入する前に、可撓性材料から形成されるか、または成型もしくは構造化されたフィルム材料にあらかじめ形成もしくは予備成形されたフィルムは、本明細書では、吸収材を含む、創傷滲出液または創傷被覆材中に貯蔵される液体から電子ユニットを分離および保護するために使用される、保護フィルムまたはフィルムと呼ばれ得る。フィルムは、カバー層813のアパーチャまたは開口部872の周縁部でカバー層にシールされ得る。フィルムは、電子ユニットを受容するために、被覆材のアパーチャまたは開口部内に配置され得る。フィルムが被覆材の開口部内にシールされると、フィルムは、空洞を形成して電子ユニットを受容し得る。これは、電子ユニットならびにプレートおよび/またはラベルを含む電子組立品が、被覆材の空洞内に配置されることを可能にし得る。一部の実施形態では、フィルムは、アパーチャまたは開口部872、828、および829内に嵌合するように真空成形されて、フィルムのアパーチャまたは開口部への相補的嵌合を可能にし得る。電子ユニットは、プレートおよび/またはラベルと一体化されて、開口部内に配置され得る電子組立品を形成し得る。他の実施形態では、電子ユニットは、開口部内に電子ユニットを挿入する前に、プレートおよび/またはラベルと一体化されない。そのような実施形態では、電子ユニットが開口部内に配置され得、次いで、プレートおよび/またはラベルが電子ユニット上に配置され得、開口部の外周に沿ってカバー層および/またはフィルムにシールされ得る。フィルムを被覆材のアパーチャまたは開口部内に組み込むことは、電子ユニットが、被覆材を変化させることを必要とせずに交換されることを可能にし得る。一部の実施形態では、アパーチャまたは開口部という用語は、
図8~
図9Bを参照して説明されたアパーチャもしくは開口部872、828、および829、または以下に説明される
図11A~
図11Dの開口部1190を参照して本明細書に説明される吸収材の被覆材層および/もしくはカバー層の同様のアパーチャおよび開口部を含むがこれに限定されない、吸収材の材料層および/またはカバー層の切り欠き部または孔を指すように互換的に使用され得る。
【0126】
被覆材内にシールされたフィルムは、電子ユニットが、創傷被覆材の吸収層と流体連通することを可能にするように、フィルム内に窓またはアパーチャを含み得る。フィルムは、
図4A~
図4Bならびに
図5A~
図5Bを参照して説明される可撓性フィルムの多孔質材料404および504の窓と同様の窓またはアパーチャに多孔質材料を含み得る。一部の実施形態では、窓またはアパーチャの多孔質材料は、創傷滲出液が電子ユニットの陰圧源に入るのを防止し得る。一部の実施形態では、創傷滲出液が陰圧源に入るのを防止するように、疎水性材料が窓またはアパーチャで使用され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、ポンプとすることができる。
【0127】
一部の実施形態では、被覆材内にシールされたフィルムは、
図6に示されるアパーチャ611と同様のアパーチャを含み得る。フィルムは、アパーチャ内に三次元多孔質材料を含み得る。一部の実施形態では、三次元多孔質材料は、
図6、
図7A~
図7D、および
図7Iを参照して説明されたポンプ入口保護機構610および710と同様であり得る。三次元多孔質材料は、電子ユニットの陰圧源の入口を受容するように構成されたポートを含み得る。三次元多孔質材料のポートは、相補的嵌合または摩擦嵌合係合において、陰圧源の入口を受け得る。三次元多孔質材料は、創傷滲出液が陰圧源に入るのを防止するように構成される。一部の実施形態では、三次元多孔質材料は、電子ユニットの陰圧源の入口とのプラグインタイプの接続を有し得る。三次元多孔質材料のポートは、相補的嵌合または摩擦嵌合係合において、陰圧源の入口を受容し得る。本明細書で使用される場合、アパーチャおよび窓という用語は、電子ユニットと、被覆材の吸収材、透過層、および/または創傷接触層との間の流体連通を提供する、フィルム内のアパーチャまたは孔を指すように、互換可能に使用され得る。
【0128】
図11A~
図11Dは、開口部内に配置されたフィルム上に、統合された電子機器を組み込むための開口部を有する、創傷被覆材の実施形態を図示する。一部の実施形態では、フィルムは、真空成形フィルムとすることができる。一部の実施形態では、フィルムは、熱成形フィルムとすることができる。
図11A~
図11Dは、創傷接触層(図示せず)、透過層(図示せず)、1つ以上の吸収層1122、および/またはカバー層1113を含む、創傷被覆材を図示する。これらの被覆層は、
図1~
図10Eを参照して説明される創傷被覆材層と同様であり得る。
図11A~
図11Bは、創傷被覆材1100の開口部1190内にシールされたフィルム1102を有する、創傷被覆材1100の上面斜視図を図示する。
【0129】
フィルム1102は、1つ以上のアパーチャまたは窓1180を含み得る。本明細書に説明されるように、創傷被覆材は、1つ以上のアパーチャまたは窓1180内に多孔質材料を含み得る。一部の実施形態では、多孔質材料は、
図4A~
図5Bを参照して説明される窓内で説明される1つ以上のフィルタまたは多孔質材料と同様であり得る。他の実施形態では、多孔質材料は、
図6~
図7Iを参照して説明されるように、可撓性フィルムのアパーチャ内に位置付けられた入口保護機構610、710と同様であり得る。
【0130】
図11A~
図11Bに図示されるように、創傷被覆材は、
図6~
図7Iを参照して説明された入口保護機構610、710と同様に、フィルム1102のアパーチャ1180内に位置付けられた三次元多孔質材料1110を含み得る。三次元多孔質材料1110は、ポート1181を含み得る。三次元多孔質材料1110は、電子組立品が、創傷被覆材1100の開口部1190内に挿入されると、陰圧源またはポンプのポンプ入口を覆うように形成され得る。一部の実施形態では、本明細書に説明される入口保護機構と同様に、ポンプの入口は、三次元多孔質材料1110に接着されてもよい。ポンプ入口は、三次元多孔質材料1110に覆われるか、または嵌合され得る。一部の実施形態では、陰圧源のポンプ入口は、
図11A~
図11Bに図示される三次元多孔質材料1110上に押し込まれ得る。これは、摩擦嵌合であってもよい。ポンプ入口の一部分を受容する三次元多孔質材料1110のポート1181は、ポンプ入口周りで相補的嵌合するような寸法および形状とされ得る。一部の実施形態では、三次元多孔質材料1110は、シリコンシール剤、または任意の他のシール剤もしくはシール技術を使用して、ポンプ入口上に結合され得る。
【0131】
一部の実施形態では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年3月26日出願の国際特許出願第PCT/EP2017/059883号、および2018年9月13日出願の国際特許出願第PCT/EP2018/074694号に説明されるように、三次元多孔質材料1110は、三次元多孔質材料1110が、電子ユニットのプリント基板の表面と接触しているときに、プリント基板上の1つ以上のセンサまたは他の特徴の周りに嵌合する空洞(図示せず)を含み得る。圧力センサが、陰圧源およびポンプの出口と連通している出口圧力センサと組み合わせて使用され得、これらの圧力センサは、ポンプによって生成される圧力レベル、ならびに大気圧と創傷被覆材の下の圧力との間の圧力差を測定および監視するために使用され得る。一部の実施形態では、圧力センサは、陰圧源またはポンプと創傷とに接続している流体流路の圧力、創傷での圧力、または陰圧源における圧力などの、創傷被覆材の下側の圧力を監視するために使用され得る。一部の実施形態では、圧力センサは、三次元多孔質材料1110の空洞と流体連通し得る。
【0132】
三次元多孔質材料は、ポンプの入口によって引き出される真空に利用可能な大きい表面積を提供し得る。ポンプ入口は、三次元多孔質材料1110のポート1181内に嵌合し得る。ポンプ入口は、摩擦嵌合であってもよく、および/または本明細書に説明される三次元多孔質材料1110のポート1181と相補的嵌合を形成してもよい。三次元多孔質材料は、丸みを帯びた傾斜した形状または任意の他の形状を有し得る。三次元多孔質材料は、空気またはガスが通過することを可能にする多孔質材料から形成され得、1つ以上の多孔性ポリマー成型構成要素を含み得る。一部の実施形態では、三次元多孔質材料は、疎水性とすることができる。一部の実施形態では、三次元多孔質材料は、およそ5ミクロン~およそ40ミクロンの範囲の細孔サイズを有し得る。一部の実施形態では、細孔サイズは、およそ10ミクロンであってもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、疎水性ポリエチレンまたは疎水性ポリプロピレンのうちの1つであってもよい。一部の実施形態では、三次元多孔質材料は、10ミクロンの細孔サイズを有するPorvair Vyon材料から形成され得る。
【0133】
1つ以上の多孔質ポリマー構成要素は、三次元形状を有し得る。例えば、三次元多孔質材料の1つ以上の多孔質ポリマー構成要素は、三日月形状、指貫形状、もしくは直方体または略直方体形状であってもよい。1つ以上の多孔質ポリマー構成要素はまた、湾曲しているか、または、傾斜した角部および/または縁部を有し得る。三次元多孔質材料の1つ以上の多孔質ポリマー構成要素は、入口と、創傷被覆材の入口および内部と流体連通する管状延長部の入口および端のうちの少なくとも1つに取り付くよう構成され得る。
【0134】
一部の実施形態では、三次元多孔質材料1110は、三次元形状を有し、電子組立品がフィルム1102によって覆われた開口部1190内に挿入され、ポンプ入口が三次元多孔質材料1110のポート1181内に挿入されるとき、ポンプ入口を周方向に取り囲み得る。三次元形状の三次元多孔質材料1110は、陰圧源またはポンプのポンプ入口の幅、高さ、および/または長さよりも大きい幅、高さ、および/または長さ寸法を有し得る。一部の実施形態では、三次元多孔質材料1110は、
図11A~
図11Dに示されるように立方体または略立方体形状であってもよい。例えば、三次元多孔質材料1110は、ポート1181が延在する、平平坦な、陰圧源が面する表面を有し得、1つ以上の傾斜した縁部および/または角部を有する。
【0135】
一部の実施形態では、三次元多孔質材料1110は、ポンプ入口が三次元多孔質材料1110のポート1181内に挿入されたときに、ポンプ入口を周方向に取り囲み得る。ポンプ入口を周方向に取り囲むことによって、三次元多孔質材料1110は、ポンプ入口で利用可能な表面積よりも大きい表面積を提供し得る。より大きい表面積は、三次元多孔質材料1110内に複数の流路を提供し得る。これは、空気が、三次元多孔質材料1110の一部分を通じて引き込まれることを、三次元多孔質材料1110の別の部分が流体によって取り囲まれているか、または別様に閉塞されているときでも可能にし得る。
【0136】
図11Cおよび
図11Dは、創傷被覆材1100、フィルム1102、および三次元多孔質材料1110の分解図を図示する。創傷被覆材1100は、創傷接触層(図示せず)、透過層(図示せず)、吸収層1122、および/またはカバー層1113を含み得る。吸収層1122は、カバー層1113の下に位置付けられ得るが、
図11A~
図11Dに図示されるように、カバー層1113の透明材料を通じて視認可能であり得る。一部の実施形態では、第2の吸収層(図示せず)は、
図8~
図9Bに示される吸収層851を参照して、本明細書に説明される電子組立品を挿入するためのアパーチャまたは開口部を有する電子機器エリア内で使用および提供され得る。フィルム1102は、被覆材内の電子組立品および/または電子ユニットの挿入前に、カバー層および/または創傷被覆材の1つ以上の吸収層のアパーチャまたは開口部1190内に配置され得る。一部の実施形態では、フィルム1102は、被覆材のアパーチャまたは開口部1190内への挿入のために予備成形され得、被覆材にシールされ得る。一部の実施形態では、フィルム1102は、被覆材のアパーチャまたは開口部1190への挿入のために熱成形され得、被覆材にシールされ得る。フィルム1102は、カバー層および/または吸収層のアパーチャまたは開口部1190内に挿入するために真空成形され得る。予備成形されたフィルム1102は、創傷被覆材のアパーチャまたは開口部1190内のフィルム1102の安全な、相補的な、および/または形成された嵌合を提供し得る。予備成形されたフィルム1102は、創傷被覆材のアパーチャまたは開口部1190内に嵌合するように形成され得る。予備成形されたフィルム1102は、電子ユニットを受容するための空洞を形成し得、陰圧源またはポンプを含む。
【0137】
真空成形されたフィルム1102は、真空成形技術を用いて、創傷被覆材のアパーチャまたは開口部1190内に嵌合するように形成され得る。フィルム102の真空成形は、熱成形の一種であり得る。一部の実施形態では、フィルム1102は、被覆材のアパーチャまたは開口部1190の寸法および形状にフィルムを形成し得る型を使用して真空成形され得る。一部の実施形態では、フィルム1102のプラスチック、ポリマー、または他の材料は、成形温度まで加熱され、単一表面型上に延伸され、真空によって型に対して押し付けられ得る。このプロセスは、フィルム材料を永久的物体に形成するために使用され得る。一部の実施形態では、特徴は、型からの成形された部品の取り出しを容易にするために、型の設計に特徴部が存在し得る。他の実施形態では、フィルムは、被覆材材料の下に配置された真空を使用することによって、アパーチャまたは開口部1190内に真空形成され得る。
【0138】
一部の実施形態では、フィルムの成形可能なシートは、成型表面と接触して真空を適用する前に、機械的にまたは空圧的に延伸され得る。一部の実施形態では、フィルムのシートは、木材、構造発泡体、または鋳造もしくは機械加工アルミニウム型の周りに成型され得る。
【0139】
一部の実施形態では、電子組立品の他の態様は、あらかじめ形成されてもよく、または予備成形されてもよい。一部の実施形態では、プレートおよび/またはラベルを含む電子組立品の頂部分は、成型または成形され得る。一部の実施形態では、プレートおよび/またはラベルは、電子ユニット上の特徴を収容するように成型または成形され得る。例えば、プレートおよび/またはラベルは、電子ユニット内またはプレート上の突出または隆起した構成要素を覆うように成形され得る。一部の実施形態では、スイッチもしくはボタン、および/またはインジケータ(例えば、LEDインジケータ)の構成要素は、プリント基板の周囲の頂面から突出し得、予備成形されたプレートおよび/またはラベルは、突出する構成要素上に嵌合するように成形され得る。
【0140】
一部の実施形態では、フィルム材料および/またはプレートもしくはラベル材料を含む電子組立品の材料は、耐火性および/または本質的に絶縁材料とすることができる。
【0141】
電子機器ラベル上の印またはマーキング
一部の実施形態では、
図4A~
図10Dを参照して本明細書に説明される電子組立品のラベルは、マーキングまたは印、例えば、インジケータ印、電源ボタンもしくはスイッチ印、ユーザ命令を提供する印、警告または使用情報、ならびに/または政府および規制印を含み得る。
図12は、創傷被覆材で使用するための電子組立品のラベルの実施形態を図示する。
図12に図示されるように、印は、電子組立品が創傷被覆材内に配置されたときにユーザによって視認可能であるように、デバイスの頂面から視認可能であり得る。印またはマーキングがラベルに印刷され得る。一部の実施形態では、印またはマーキングは、ラベル上にスクリーン印刷され得る。印またはマーキングは、ラベルの頂面(被覆材が創傷の上に適用されるときに創傷または患者の皮膚から離れた方に面するラベルの側)、および/またはラベルの底面(被覆材が創傷の上に適用されるときに創傷または患者の皮膚に面するラベルの側)上に印刷され得る。印がラベルの底面に印刷されるとき、ラベルは、印またはマーキングがラベルの上側のユーザによって見られることを可能にする、透明または実質的に透明な材料で作製され得る。
【0142】
一部の実施形態では、印およびマーキング用のインクは、試験および使用に起因してインクが摩耗または擦り落されるのを防止するように、ラベルの底面上に提供され得る。例えば、電気的安全性のための被覆材または規制試験の使用は、創傷被覆材上の印またはマーキングと関連付けられたインクが耐久性があることを要求し得る。例えば、使用中または使用前に、ラベルは、その頂面を横切って擦られるか、または様々な化学薬品を用いてその頂面上に通過され得るが、印またはマーキング用のインクは、ラベル材料の反対側の表面上に適用されるため、無傷のままであることができる。
【0143】
インクは、ラベルの透明材料の底面上に印刷され得、ラベルは、本明細書に説明されるように、電子ユニットのプリント基板の頂面上に配置され得る。一部の実施形態では、ラベルは、接着材料および/または両面テープ材料を用いて、電子ユニットのプリント基板に取り付けられ得る。一部の実施形態では、ラベルの底面に適用されるインクは、UV硬化性材料または接着材料であり得、ラベルの底面をプリント基板の頂面に固設するために使用され得る。そのような実施形態では、インクは、ラベルをプレートに接着するための接着剤として機能し得、他の接着剤は使用されない。一部の実施形態では、ラベルの底面は、感圧性接着剤、熱硬化性接着剤、UV硬化性接着剤、または任意の他の接着剤を用いて、プリント基板の頂面に接着され得る。
【0144】
他の実施形態では、印またはマーキング用のインクは、ラベルの頂面またはプリント基板の頂面に適用され得、フィルムまたは保護カバーは、インクの上に配置されて、使用中または試験中にインクを摩擦または摩耗から保護し得る。
【0145】
本明細書において開示された特徴の全て(あらゆる添付資料、特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)、および/またはそのように開示されるあらゆる方法もしくはプロセスのステップの全ては、そのような特徴および/またはステップのうちの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。開示対象は、いかなる前述の実施形態の詳細にも制限されない。開示は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のいずれか新規のもの、もしくはいずれか新規の組み合わせ、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのいずれか新規のもの、もしくはいずれか新規の組み合わせに及ぶ。
【0146】
本開示に記載する実装に対する様々な変形は、当業者には容易に明らかとなってもよく、本明細書に定義する全体的な原理は、本開示の精神または範囲を逸脱することなく、他の実装に適用されてもよい。それゆえ、開示は、本明細書に示す実装に限定することは意図していないが、本明細書に記載する原理および特徴と一致する、最も広い範囲が与えられるべきである。開示のある実施形態は、以下に列挙する、または後に提示する請求項の組に網羅される。
【国際調査報告】