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特表2022-524952移植可能な医療デバイスを再配置又はエクスプラントするためのカテーテル・デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】移植可能な医療デバイスを再配置又はエクスプラントするためのカテーテル・デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
A61M25/00 540
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549992
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 EP2020056514
(87)【国際公開番号】W WO2020187666
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/818,776
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デビッチ、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】オースティン、エリック
(72)【発明者】
【氏名】クレッチマー、ハンネス
(72)【発明者】
【氏名】タフ、ブライアン エム.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267BB02
4C267BB07
4C267BB11
4C267CC08
4C267HH08
4C267HH09
(57)【要約】
移植可能な医療デバイス2を再配置又はエクスプラントするためのカテーテル・デバイス1が、外側カテーテル10と、外側カテーテル10を通って延在する操縦可能カテーテル11とを備え、外側カテーテル10が操縦可能カテーテル11を基準として軸方向に移動可能である。スネア・カテーテル12が操縦可能カテーテル11を通って延在し、スネア・カテーテル12が操縦可能カテーテル11を基準として軸方向に移動可能である。マンドレル13がスネア・カテーテル12を通って延在することができ、遠位端130を備え、マンドレル13がスネア・カテーテル12を基準として軸方向に移動可能である。スネア14が移植可能な医療デバイス2との接続を確立するためにマンドレル13の遠位端12上に配置され得、スネア・カテーテル12を基準としてマンドレル13を移動させることにより、スネア14がスネア・カテーテル12の中へ少なくとも部分的に後退させられ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植可能な医療デバイス(2)を再配置又はエクスプラントするためのカテーテル・デバイス(1)において、
外側カテーテル(10)と、
前記外側カテーテル(10)を通って延在する操縦可能カテーテル(11)であって、前記外側カテーテル(10)が前記操縦可能カテーテル(11)を基準として軸方向に移動可能である、操縦可能カテーテル(11)と
を備える、
カテーテル・デバイス(1)であって、
前記操縦可能カテーテル(11)を通って延在するスネア・カテーテル(12)であって、前記スネア・カテーテル(12)が前記操縦可能カテーテル(11)を基準として軸方向に移動可能であり、前記スネア・カテーテル(12)が、スネア(14)を担持するマンドレル(13)を受けるように構成され、その結果、前記マンドレル(13)が前記スネア・カテーテル(12)を基準として軸方向に移動可能となる、スネア・カテーテル(12)
を特徴とするカテーテル・デバイス(1)。
【請求項2】
前記外側カテーテル(10)が予め成形される湾曲部を有することを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項3】
前記移植可能な医療デバイス(2)を覆うための保護カップ(101)であって、前記保護カップ(101)が前記外側カテーテル(10)上に配置される、保護カップ(101)を特徴とする、請求項1又は2に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項4】
前記移植可能な医療デバイス(2)が、前記操縦可能カテーテル(11)を基準として前記外側カテーテル(10)を移動させることにより前記保護カップ(10)を使用して覆われ得ることを特徴とする、請求項3に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項5】
前記外側カテーテル(10)の近位端(102)上に配置される弁デバイス(104)であって、前記弁デバイス(104)が、前記外側カテーテル(10)の前記近位端(102)のところにおける前記外側カテーテル(10)と前記操縦可能カテーテル(11)との間の漏洩を防止するように、及び前記弁デバイス(104)のロック位置において前記操縦可能カテーテル(11)を基準として前記外側カテーテル(10)を軸方向でロックするように、構成される、弁デバイス(104)を特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項6】
前記移植可能な医療デバイス(2)を受けるための、及び前記カテーテル・デバイス(1)に対して前記移植可能な医療デバイス(2)が接続されている場合に、前記カテーテル・デバイス(1)を基準として前記移植可能な医療デバイス(2)を位置合わせするための、位置合わせ構成要素(16)を特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項7】
前記操縦可能カテーテル(11)が遠位端(110)を備え、前記位置合わせ構成要素(16)が前記操縦可能カテーテル(11)の前記遠位端(110)上に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項8】
前記スネア・カテーテル(12)が遠位端(120)を備え、前記位置合わせ構成要素(16)が前記スネア・カテーテル(12)の前記遠位端(120)上に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項9】
遠位端(130)を備える、前記スネア・カテーテル(12)を通って延在するマンドレル(13)であって、前記マンドレル(13)が前記スネア・カテーテル(12)を基準として軸方向に移動可能である、マンドレル(13)と、前記移植可能な医療デバイス(2)との接続を確立するための、前記マンドレル(13)の前記遠位端(120)上に配置されるスネア(14)であって、前記スネア・カテーテル(12)を基準として前記マンドレル(13)を移動させることにより、前記スネア(14)が前記スネア・カテーテル(12)の中へ少なくとも部分的に後退することが可能となる、スネア(14)とを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項10】
前記スネア(14)が放射線不透過性材料で作られるワイヤによって形成されることを特徴とする、請求項9に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項11】
前記スネア(14)が、前記移植可能な医療デバイス(2)のコネクタ(21)の周りに到達するための1つ又は複数のループ(141)を形成することを特徴とする、請求項9又は10に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項12】
前記スネア(14)が、前記移植可能な医療デバイス(2)との前記接続を確立するための輪状ロープ(140)を備えることを特徴とする、請求項9から11までのいずれか一項に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項13】
前記カテーテル・デバイス(1)を制御するためのハンドル部片(15)であって、前記ハンドル部片(15)が、前記操縦可能カテーテル(11)の偏向を制御するための制御デバイス(150)を備える、ハンドル部片(15)を特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項14】
前記ハンドル部片(15)が、前記操縦可能カテーテル(11)を基準として前記スネア・カテーテル(12)を軸方向にロックするためのロック機構(151)を備えることを特徴とする、請求項13に記載のカテーテル・デバイス(1)。
【請求項15】
移植可能な医療デバイス(2)を再配置又はエクスプラントするための、カテーテル・デバイス(1)を操作する方法において、前記方法が、
外側カテーテル(10)、及び前記外側カテーテル(10)を通って延在する操縦可能カテーテル(11)を備えるカテーテル・デバイス(1)を提供するステップであって、前記外側カテーテル(10)が前記操縦可能カテーテル(11)を基準として軸方向に移動可能である、提供するステップ
を含む方法であって、
前記操縦可能カテーテル(11)を通って延在するスネア・カテーテル(12)、遠位端(130)を備える、前記スネア・カテーテル(12)を通って延在するマンドレル(13)、及び前記マンドレル(13)の前記遠位端(120)上に配置されるスネア(14)を使用して、前記移植可能な医療デバイス(2)に対しての接続を確立するステップであって、前記接続を確立するステップが、前記操縦可能カテーテル(11)を基準として前記スネア・カテーテル(12)を軸方向に移動させるステップ、前記スネア・カテーテル(12)を基準として前記マンドレル(13)を軸方向に移動させるステップ、及び前記スネア・カテーテル(12)を基準として前記マンドレル(13)を移動させることにより、前記スネア(14)を前記スネア・カテーテル(12)の中へ少なくとも部分的に後退させるステップ、を含む、確立するステップ
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1のプリアンブルによる移植可能な医療デバイスを再配置又はエクスプラント(explant)するためのカテーテル・デバイス及びカテーテル・デバイスを操作するための方法に関する。
【0002】
この種類のカテーテル・デバイスは、外側カテーテル、及び外側カテーテルを通って延在する操縦可能カテーテルを備える。本明細書の外側カテーテルは軸方向に移動可能であり、したがって、外側カテーテルが、操縦可能カテーテルを基準として、カテーテルの作業範囲の長さの長手方向軸に沿って平行移動することができる。
【0003】
本開示は、詳細には、鋭角である(acute)リードレス・ペースメーカーをエクスプラント及び再配置するのに適するカテーテル・デザインに関する。
【0004】
本明細書に関連する移植可能な医療デバイスは例えば、例えば患者の心臓の右心室又は右心房などで、患者の心臓に移植されることになるリードレス・ペースメーカー・デバイスであってよい。しかし本明細書に関連する種類の移植可能な医療デバイスはセンサ・デバイスなどであってもよい。
【背景技術】
【0005】
リードレス・ペースメーカーなどの移植可能な医療デバイスの移植は、例えば心臓の特定のロケーションなどの、特定のロケーションにインプラントを適切に配置及び送達するのを必要とする。移植手技中、デバイスが例えば心臓の中に移植され、心臓において、デバイスが、例えば、可撓性を有する多数の金属製の櫛歯(tine)である、適切な固定機構によって固着される。インプラントを切り離す前に移植部位が適切であるかを確認するために電気測定又は固定状態の測定が医者によって実施される。しかし、一部の事例では、移植部位の適合性を判断してインプラントを切り離した後でも、インプラントの部位のロケーションがインプラントを適切に機能させるのを許容しないと判断される可能性がある。この評価は、移植後の、数時間、数日、数週間、及び可能性として数カ月行われる可能性がある。これらの状況では(インプラントの内方成長及び封入(encapsulation)がまだ起こっていない(又は、少なくとも、インプラントの内方成長及び封入が状況を悪化させる程度には起こっていない))、医者が患者からインプラントを取り外すか又は適切に機能させる新しいロケーションまでインプラントを再配置することが必要となる。
【0006】
したがって、一般に、使用者により、例えば右心室の心尖又は中隔の中に鋭角(acutely)に移植された移植可能な医療デバイス、具体的にはリードレス・ペースメーカーまで容易に且つ高い信頼性で誘導されること、この移植可能な医療デバイスを再捕捉すること、及び、例えば右心室などの新たな所望されるロケーションにこの移植可能な医療デバイスを再配置して切り離すか又は患者の解剖学的構造からデバイス及びカテーテルをエクスプラントすること、を可能にするカテーテル・デバイスが必要である。
【0007】
米国特許出願公開第2018/0303514(A1)号で説明されるカテーテル・デバイスはリードレス・ペースメーカーを送達及び回収するのに適し、これのため、カテーテルの操作並びにリードレス・ペースメーカーの捕捉・合体の機能性を促進するための特徴を有する。このような機能性には、偏向可能カテーテルを偏向させること及び偏向可能カテーテルをロックすること、回収用の構造部の張力を維持すること、回転を妨げるものから保護すること、並びにキャップ組立体と駆動装置組立体を合体させること、を対象とする機構が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0303514(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、例えば患者の心臓に移植されているなどといったように、既に移植されたリードレス・ペースメーカーまで容易に且つ高い信頼性で誘導されること、このリードレス・ペースメーカーを再捕捉すること、及び、新たな所望されるロケーションにこのリードレス・ペースメーカーを再配置して切り離すか又はデバイスをエクスプラントして患者の解剖学的構造からカテーテルを取り外すこと、を可能にする、カテーテル・デバイス、及びカテーテル・デバイスを操作するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有するカテーテル・デバイスによって達成される。
【0011】
したがって、このカテーテル・デバイスが、操縦可能カテーテルを通って延在するスネア・カテーテルを備え、ここでは、スネア・カテーテルが操縦可能カテーテルを基準として軸方向に移動可能であり、スネア・カテーテルが、スネアを担持するマンドレルを受けるように構成され、その結果、マンドレルがスネア・カテーテルを基準として軸方向に移動可能となる。
【0012】
一実施例では、カテーテル・デバイスが、遠位端を備える、スネア・カテーテルを通って延在するマンドレルを備え、マンドレルがスネア・カテーテルを基準として軸方向に移動可能である。さらに、加えて、カテーテル・デバイスが、移植可能な医療デバイスとの接続を確立するための、マンドレルの遠位端上に配置されるスネアを備えることができ、スネア・カテーテルを基準としてマンドレルを移動させることにより、スネアがスネア・カテーテルの中へ少なくとも部分的に後退することが可能となる。スネア・カテーテルを基準としたスネアのマンドレルの相対的な移動が、スネアの全体寸法を調節するように作用する締め付け挙動を促進する。したがって、これらの相対モーションが、再捕捉を支援するときにスネアを締め付けるように作用することができる。
【0013】
したがって、カテーテル・デバイスが、互いを基準として軸方向に移動可能である複数のカテーテルによって形成される。操縦可能カテーテルが全体として外側カテーテル内で受けられ、外側カテーテルが、一実施例では、非操縦可能であり、操縦可能カテーテル上で案内される。操縦可能カテーテルがカテーテル・デバイスの遠位端を誘導するように機能し、その結果、遠位端が移植可能な医療デバイスに位置合わせされる。スネア自体の操作(操縦可能カテーテル及び/又はスネア・カテーテルの相対的な平行移動と連動しても又は連動しなくてもよい)が、カテーテル・デバイスと移植可能医療デバイスとの間での接続を確立するように作用する。この接続が確立すると、カテーテル・デバイスが移植可能な医療デバイスを再配置又はエクスプラントするのに使用され得る。操縦可能カテーテルの中でスネア・カテーテルが受けられ、スネア・カテーテルが操縦可能カテーテルを基準として軸方向に移動可能である。スネア・カテーテルが、スネアを担持するマンドレルを案内するように機能し、スネアが移植可能な医療デバイスとの物理的な接続を確立するように機能可能である。
【0014】
一実施例では、スネアが特には、パッケージとしてエンド・ユーザに販売される物から締め出され、スネア自体によって供給され得るスネアの種類ごとの特性のためのインストラクション及びガイダンスが医者に提供され、医者がカテーテル内に装着し、移植可能な医療デバイスのための完全な形の意図される再配置及び/又はエクスプラントの支援を実現するために周囲のカテーテルと共に操作する。
【0015】
一実施例では、販売/流通フォーマットのままで使用者にとって入手可能であるカテーテル・デバイスが、関連の移植可能な医療デバイス(例えば、リードレス・ペースメーカー)を同一パッケージにすることを排除し、したがって、名目的にカテーテル・デバイスが移植手技を意図される実施例を意味するような変形形態のための保護を排除し、さらには、移植可能な医療デバイスと共に流通させることを排除する(カテーテル・デバイスが、再配置手技又はエクスプラント手技で使用されるために病院での修正を受け入れるように設計される)。
【0016】
スネア・カテーテルが、販売時又は流通時にカテーテルを含むスネアを囲むのを可能にするように、又はスネアを一切有さない形でカテーテルを販売する/流通させるのを可能にするように、設計され得、後者の場合、後で医者が、指定の特性(公称の長さ、及び作業範囲の長さにおける公称の直径)を有する市販のスネアを装着することができ、それにより完全な形の意図される再配置又はエクスプラントの機能性を得ることが可能となる。
【0017】
このスネアにより、移植可能な医療デバイスとのローブで拘束される形の接続が確立され得、ここでは、スネアが、移植可能な医療デバイスのコネクタに係合されてそれにより移植可能な医療デバイスをカテーテル・デバイスに連結することになるように、移植可能な医療デバイスのコネクタの上に配置される。操縦可能カテーテルを基準としてスネア・カテーテルを遠位側に前進させることにより、スネアが移植可能な医療デバイスの方に前進させられ得、ここでは、スネア・カテーテルがスネアの誘導式の制御下の軸方向の移動を実現する。スネアが移植可能な医療デバイスのコネクタ上に配置されると、スネアがスネア・カテーテルの中へ後退させられ得、その結果、移植可能な医療デバイスとの接続が強化されて固定され、その結果、移植可能な医療デバイスがカテーテル・デバイスに安全に接続される。
【0018】
カテーテル・デバイスが、具体的には、リードレス・ペースメーカーの鋭角のエクスプラント及び/又は再配置の促進することができる。
【0019】
カテーテル・デバイスが、具体的には、直近で患者の心臓に移植されてしたがって患者の免疫反応によるデバイスの封入状態には至らないくらいの短い期間しか留まっていないリードレス・ペースメーカーまで誘導するための及びこのリードレス・ペースメーカーを再捕捉するための手段を提供する。通常、この期間は、リードレス・ペースメーカーの最初の移植後の、数日、数週間、又は可能性として数カ月を表す。
【0020】
さらに、カテーテル・デバイスが、使用者が望む場合には再捕捉後に患者の心臓内でリードレス・ペースメーカーを再配置する手段を提供することができる。
【0021】
具体的には、カテーテル・デバイスが、使用者により、右心室の心尖又は中隔の中に配置されたリードレス・ペースメーカーまで誘導されるための、鋭角に移植されている場合にこのリードレス・ペースメーカーを再捕捉するための、及び、新たな所望されるロケーションにこのリードレス・ペースメーカーを再配置して切り離すか又はデバイス及びカテーテルを患者の解剖学的構造からエクスプラントするための、高水準の有用性、高水準の信頼性、及び手段を実現することができる。
【0022】
一実施例では、外側カテーテルが予め成形される湾曲部を有する。外側カテーテルが、具体的には、非操縦可能であってよく、その結果、単に、外側カテーテル内で受けられる操縦可能カテーテルを偏向させることによりカテーテル・デバイスの操縦が達成される。予め成形される湾曲部を有させるように外側カテーテルを形成することにより、具体的には操縦可能カテーテルが窮屈な角度及び幾何形状で連接される状況において、外側カテーテルが、外側カテーテル内で受けられる操縦可能カテーテルに沿って軸方向に容易に移動させられ得る。
【0023】
予め成形される湾曲部が、具体的には、外側カテーテルに荷重をかけない弛緩状態において外側カテーテルに所定の領域において又はその全長に沿って所定の曲率を有させるものであってよく、その結果、外側カテーテルが例えば外側カテーテルの少なくとも一部分に所定の屈曲部を形成する。
【0024】
一実施例では、カテーテル・デバイスが、移植可能な医療デバイスをその中へ後退させることにより移植可能な医療デバイスを受けるための保護カップを備え、保護カップが外側カテーテル上に配置される。したがって、外側カテーテル内で受けられる操縦可能カテーテルを基準として外側カテーテルを軸方向に移動させることにより、保護カップが操縦可能カテーテルを基準として移動させられ得、具体的には、移植可能な医療デバイスを覆うために操縦可能カテーテルを基準として遠位側に前進させられ得る。
【0025】
具体的には、保護カップを使用することにより、患者の解剖学的構造から安全に取り外すためにインプラントを高い信頼性で再び覆うことにより、移植可能な医療デバイスを例えば心臓壁から安全に取り外すことが促進され得る。移植可能な医療デバイスを例えば心臓壁から安全に取り外すことが、具体的には、スネア・カテーテルとの組み合わせでスネアを使用してカテーテル・デバイスと移植可能な医療デバイスとの間の接続を確立した後で保護カップを前進させることにより、及び鋭角のエクスプラント状況において保護カップを使用して移植可能な医療デバイスを再び覆うことにより、達成され得る。エクスプラントのために、保護カップの中で受けられた状態の移植可能な医療デバイスが例えば心臓などのその移植部位から引きずり出され得、保護カップ内で安全に受けられているその固定機構を用いて大腿静脈に沿って移動させられ得、最終的に、移植可能な医療デバイスが患者の解剖学的構造から取り外される。
【0026】
保護カップが可撓性材料で作られていてよいが、ダメージを受けることなく櫛歯の後退の力に抵抗するのに十分な剛性を有さなければならない。保護カップが細長い形状を有することができ、移植可能な医療デバイスを受けるための内側ルーメンを形成することができ、その結果、外側カテーテルが保護カップと共に遠位側に前進させられて移植可能な医療デバイスを覆った後で、移植可能な医療デバイスの遠位端上に配置される固定用櫛歯などの固定要素を有する移植可能な医療デバイスが保護カップ内で受けられ、それにより移植可能な医療デバイスの安全な取り外し及び/又は再配置が可能となる。
【0027】
一実施例では、弁デバイスが外側カテーテルの近位端上に配置される。弁デバイスが、外側カテーテルの近位端のところにおける外側カテーテルと操縦可能カテーテルとの間の漏洩を防止するように構成され得、その結果、弁デバイスが外側カテーテルと内側の操縦可能カテーテルとの間でルーメンを液密的に閉じるように機能する。加えて、弁デバイスが、外側カテーテルと操縦可能カテーテルとの間でロック作用を実現するように機能することができ、その結果、弁デバイスがロック位置にあるとき、外側カテーテルが操縦可能カテーテルを基準として移動させられ得ないが、操縦可能カテーテルを基準としてその軸方向位置で安全にロックされる。
【0028】
弁デバイスが具体的にはTuohy-Borst弁の形状を有することができる。Tuohy-Borst弁は、外側ガイド・デバイスの内側ルーメン内で受けられる器具の周りでの流体の逆流を防止するように、また本事例では外側カテーテル内で受けられる内側の操縦可能カテーテルの周りでの流体の逆流を防止するように、設計されるものである。
【0029】
弁デバイスが、具体的には、弁デバイスを捻じることにより作動可能となり得、こうすることで、ロック位置からロック解除位置まで移動させられ得る。ロック解除位置では、外側カテーテルが内側の操縦可能カテーテルを基準として軸方向に移動可能となり得、その結果、外側カテーテル上に配置される保護カップが移植可能な医療デバイスを覆うように遠位側に前進させられ得るか又は移植可能な医療デバイスを露出させるように近位側に移動させられ得る。
【0030】
一実施例では、カテーテル・デバイスが、移植可能な医療デバイスを受けるための、及びカテーテル・デバイスに対して移植可能な医療デバイスが接続されている場合に、カテーテル・デバイスを基準として移植可能な医療デバイスを位置合わせするための、位置合わせ構成要素を備える。位置合わせ構成要素が、例えば、移植可能な医療デバイスの近位端のところで移植可能な医療デバイスを受けるように設計され得るカップ形状又は円錐形状を有することができる。位置合わせ構成要素が、具体的には、カテーテル・デバイスを基準として移植可能な医療デバイスを位置合わせするように機能し、その結果、移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続が確立されると、移植可能な医療デバイスが所定の位置合わせ位置でカテーテル・デバイス上で堅固に保持される。
【0031】
位置合わせ構成要素が、一実施例では、操縦可能カテーテルの遠位端上に配置され得る。この事例では、スネアを使用して接続を確立することにより、及び移植可能な医療デバイスをその近位端において位置合わせ構成要素に係合させるまで操縦可能カテーテルを基準としてスネア・カテーテルを近位方向に移動させることにより、位置合わせ構成要素が移植可能な医療デバイスに動作可能に接続され得る。
【0032】
別の実施例では、位置合わせ構成要素がスネア・カテーテルの遠位端上に配置され得る。この事例では、スネアを移植可能な医療デバイスのコネクタの周りに配置することにより、及びスネアをスネア・カテーテルの中へ後退させることにより、移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の動作可能な接続が確立され、ここでは、スネアをスネア・カテーテルの中へ後退させることにより、移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続が強化されること、及び移植可能な医療デバイスがその近位端において、スネア・カテーテルの遠位端上に配置される位置合わせ構成要素に動作可能な接続されるように移動させられること、の両方が行われる。
【0033】
一実施例では、スネアが、放射線不透過性材料で作られるワイヤによって形成される。一般に、再配置又はエクスプラントされることになる移植可能な医療デバイスの方にカテーテル・デバイスを前進させるとき、スネアが移植可能な医療デバイスのコネクタの方に前進させられることになり、コネクタ上に配置されることになり、その結果、移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続が確立され得る。本明細書では、再配置及びエクスプラントが医療デバイスの移植状態で行われることを理由として、カテーテル・デバイスの、また具体的にはカテーテル・デバイスのスネアの、誘導が、具体的にはX線撮像に基づく、医療撮像を利用する支援の下で行われることになり、したがってスネアが医療撮像において可視であることが必要となる。このため、スネアが放射線不透過性材料から形成され、その結果、移植可能な医療デバイスのコネクタ上にスネアを配置するように、スネアが誘導され得る。
【0034】
スネアが例えばニチノール・コア・ワイヤから作られ得、例えば織物の金のワイヤを有するか又はその周りに金のワイヤが巻き付けられる。
【0035】
一実施例では、スネアが、移植可能な医療デバイスのコネクタ上に配置され得る単一ループを形成する。このループが例えば、例えば25mmから30mmの間といったように、15mmから40mmの間の直径を有することができる。ループがスネア・カテーテルの中へ後退させられ得、その結果、こうすることで、ループが移植可能な医療デバイスのコネクタ上に配置されると、移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続が強化されて固定され得る。
【0036】
一実施例では、ループが、スネアをその上に配置しているところのマンドレルから一定の角度でオフセットされる。ループが例えば一平面に沿って延在することができる。本明細書では、この平面がマンドレルを基準として一定の傾斜角のところに配置され、その結果、ループが、マンドレルから斜めに延在することになるようにマンドレルに接続される。これにより移植可能な医療デバイスのコネクタを容易に捕捉することが可能となる。その理由は、スネア・カテーテルを軸方向において移植可能な医療デバイスの方に接近させることによりループがコネクタ上に配置され得、それにより制御・捕捉オペレーションを改善するのを可能にする、からである。
【0037】
一実施例では、スネアが、具体的にはマンドレルを基準とした遠位側のロケーションにおいて、移植可能な医療デバイスとの接続を確立するための輪状ロープを備える。輪状ロープが概略三角形形状を有することができ、スネアのループを形成するワイヤによって形成され得る。輪状ロープが、具体的には、カテーテル・デバイスと移植可能な医療デバイスとの間で高い信頼性の堅固な接続を実現するために及び移植可能な医療デバイスのコネクタを再び失うリスクを低減しながら容易な捕捉を可能にするために、輪状ロープ内でコネクタを受けるのを可能にするように、成形され得る。
【0038】
一実施例では、カテーテル・デバイスが、カテーテル・デバイスを制御するためのハンドル部片を備える。ハンドル部片がカテーテル・デバイスの近位端のところに配置され得、その結果、カテーテル・デバイスの使用中にハンドル部片が患者の外に留まることになる。ハンドル部片を作動させることにより、カテーテル・デバイスが、具体的には、移植可能な医療デバイスの方に誘導されるために、及び医療デバイスを捕捉するために、制御され得る。
【0039】
一実施例では、ハンドル部片が、操縦可能カテーテルの偏向を制御するための制御デバイスを備え、その結果、ハンドル部片により、操縦可能カテーテルが、カテーテル・デバイスを移植可能な医療デバイスの方に誘導するために偏向させられ得る。制御デバイスが、具体的には、操縦可能カテーテルのところで偏向を行うために旋回させられ得るホイール形状を有することができる。
【0040】
操縦可能カテーテルが、一実施例では、ハンドル部片を基準として操縦可能カテーテルの軸方向位置を固定するように、ハンドル部片に固定的に接続される。
【0041】
一実施例では、ハンドル部片が、操縦可能カテーテルを基準としてスネア・カテーテルを軸方向にロックするためのロック機構を備える。ロック機構のロック位置では、スネア・カテーテルがハンドル部片を基準として拘束され、その結果、スネア・カテーテルの軸方向位置が操縦可能カテーテルを基準として固定される。ロック機構のロック解除位置では、さらに、スネア・カテーテルが操縦可能カテーテルを基準として軸方向に移動可能であり、その結果、スネア・カテーテルが移植可能な医療デバイスの方に遠位側に前進させられ得るか又はカテーテル・デバイスに対しての移植可能な医療デバイスの接続を確立するために操縦可能カテーテル内で近位側に移動させられ得る。
【0042】
本出願の目的は、移植可能な医療デバイスを再配置又はエクスプラントするための、カテーテル・デバイスを操作する方法によっても達成され、この方法が、外側カテーテル、及び外側カテーテルを通って延在する操縦可能カテーテルを備えるカテーテル・デバイスを提供することであって、外側カテーテルが操縦可能カテーテルを基準として軸方向に移動可能である、提供することと、操縦可能カテーテルを通って延在するスネア・カテーテル、遠位端を備える、スネア・カテーテルを通って延在するマンドレル、及びマンドレルの遠位端上に配置されるスネアを使用して、移植可能な医療デバイスに対しての接続を確立することと、を含み、上記接続を確立することが、操縦可能カテーテルを基準としてスネア・カテーテルを軸方向に移動させること、スネア・カテーテルを基準としてマンドレルを軸方向に移動させること、及びスネア・カテーテルを基準としてマンドレルを移動させることにより、スネアをスネア・カテーテルの中へ少なくとも部分的に後退させること、を含む。
【0043】
カテーテル・デバイスのために上述した利点及び有利な実施例がこの方法にも同様に適用され、したがってこの点に関しては上記を参照することになる。
【0044】
図面に示される実施例を参照して、本発明の根底にある発想を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】移植可能な医療デバイスを再配置又はエクスプラントするためのカテーテル・デバイスの実施例を示す概略図である。
図2】カテーテル・デバイスの遠位側部分を示す拡大図である。
図3】カテーテル・デバイスの近位側部分を示す拡大図である。
図4】カテーテル・デバイスの外側カテーテル上に配置される保護カップ内で受けられる移植可能な医療デバイスを示す概略図である。
図5】移植可能な医療デバイスを再配置又はエクスプラントするためのカテーテル・デバイスの別の実施例を示す概略図である。
図6A】多様な移植部位にある移植可能な医療デバイスを示す図である。
図6B】多様な移植部位にある移植可能な医療デバイスを示す図である。
図7A】移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続を確立するために、移植可能な医療デバイスの移植部位までカテーテル・デバイスを誘導するステップを示す図である。
図7B】移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続を確立するために、移植可能な医療デバイスの移植部位までカテーテル・デバイスを誘導するステップを示す図である。
図7C】移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続を確立するために、移植可能な医療デバイスの移植部位までカテーテル・デバイスを誘導するステップを示す図である。
図7D】移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続を確立するために、移植可能な医療デバイスの移植部位までカテーテル・デバイスを誘導するステップを示す図である。
図7E】移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続を確立するために、移植可能な医療デバイスの移植部位までカテーテル・デバイスを誘導するステップを示す図である。
図7F】移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続を確立するために、移植可能な医療デバイスの移植部位までカテーテル・デバイスを誘導するステップを示す図である。
図7G】移植可能な医療デバイスとカテーテル・デバイスとの間の接続を確立するために、移植可能な医療デバイスの移植部位までカテーテル・デバイスを誘導するステップを示す図である。
図8A】カテーテル・デバイスを使用して移植可能な医療デバイスを再配置するステップを示す図である。
図8B】カテーテル・デバイスを使用して移植可能な医療デバイスを再配置するステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1に示される実施例では、カテーテル・デバイス1が、外側カテーテル10、内側の操縦可能カテーテル11、スネア・カテーテル12、スネア・カテーテル12内で案内されるマンドレル13、及びマンドレル13上に形成されるスネア14を備える。カテーテル・デバイス1が、図1に示されるように、移植可能な医療デバイス1を再配置又はエクスプラントするために、例えば患者の心臓内において(例えば、患者の心臓の右心室内において)、移植部位において鋭角に移植された状態の移植可能な医療デバイス2を捕捉するのに使用され得る。
【0047】
図1の実施例では、操縦可能カテーテル11が外側カテーテル10の内側ルーメン内で受けられて外側カテーテル10の内側ルーメンを通って延在する。本明細書の外側カテーテル10が操縦可能カテーテル11を基準として軸方向に移動可能である。
【0048】
スネア・カテーテル12が操縦可能カテーテル11の内側ルーメンを通って延在し、その結果、スネア・カテーテル12が操縦可能カテーテル11を基準として軸方向に移動可能となる。
【0049】
マンドレル13がスネア・カテーテル12の内側ルーメンを通って延在し、その結果、マンドレル13がスネア・カテーテル12を基準として軸方向に移動可能となる。
【0050】
次に図2を参照すると、外側カテーテル10が、その遠位端100において、移植可能な医療デバイス2を中で受けるように動作可能である中空の細長い形状を有する保護カップ101を担持する。操縦可能カテーテル11を基準として外側カテーテル10を移動させることにより、保護カップ101が、移植可能な医療デバイス2を再配置又はエクスプラントするために移植可能な医療デバイス2を覆うために、操縦可能カテーテル11の上を前進させられ得る。
【0051】
図2の実施例では、操縦可能カテーテル11が、その遠位端10において、移植可能な医療デバイス2のボディ20の遠位端(すなわち、コネクタ21)を受けるように構成されるカップ形状又は円錐形状の位置合わせ構成要素16を担持する。位置合わせ構成要素16が、具体的には、移植可能な医療デバイス2をカテーテル・デバイス1に接続した後でカテーテル・デバイス1を基準として移植可能な医療デバイス2の位置を固定するように構成され、その結果、接続状態において、移植可能な医療デバイス2がカテーテル・デバイス1の遠位端上で位置合わせされる形で保持される。
【0052】
操縦可能カテーテル11内で軸方向に移動可能であるスネア・カテーテル12がその中でマンドレル13を案内する。マンドレル13がスネア・カテーテル12を通ってスネア・カテーテル12の遠位端120を越えるように延在するが、カテーテル12の中へ近位側に後退させられ得る。
【0053】
マンドレル13の遠位端130上に、一実施例では単一ループ141の形状のスネア14が配置され、スネア14が具体的には放射線不透過性のワイヤで作られ、その結果、スネア14がX線に基づく医療撮像を利用して可視及び追跡可能となる。例えば、ループ141がニチノール・コアで作られ、ニチノール・コアの周りに金のワイヤが織物として存在するか又は巻き付けられ、それにより十分な弾性及び耐久性さらには放射線不透過性による可視性(radiopaque visibility)を提供する。
【0054】
スネア14のループ141が、移植可能な医療デバイス2のボディ20上に形成されるT形のコネクタ21上に配置されるように動作可能である。スネア・カテーテル12を基準としてマンドレル13を近位側に移動させることにより、本明細書のスネア14がスネア・カテーテル12の中へ後退させられ得、それによりループ141が締め付けられ、移植可能な医療デバイス2がカテーテル・デバイス1に固定される。
【0055】
輪状ロープ140がスネア14のループ141上に形成され、輪状ロープ140が概略三角形形状などの概してより先の尖った形状を有し、輪状ロープ140内でコネクタ21を受けるのを可能にするように形成され、それによりスネア14と移植可能な医療デバイス2との間での堅固な接続を実現する。
【0056】
次に図3を参照すると、カテーテル・デバイス1が、その近位端において、操縦可能カテーテル11に接続されるハンドル部片15を備え、その結果、操縦可能カテーテル11がハンドル部片15を基準として近位端111のところで軸方向において固定される。
【0057】
本明細書では、制御デバイス150がハンドル部片15上に配置され、それにより操縦可能カテーテル11を制御するのを可能にする。その理由は、制御デバイス150により、操縦可能カテーテル11の遠位側領域における偏向が、カテーテル・デバイス1を血管を通して移植部位の方に誘導するように、制御され得る、からである。
【0058】
制御デバイス150が、操縦可能カテーテル11の偏向を制御するのを可能にする操縦機構を提供する回転可能なホイールの形状を有することができる。
【0059】
ハンドル部片15が、ハンドル部片15を基準として及びひいては操縦可能カテーテル11を基準としてスネア・カテーテル12をロック又はロック解除するように作動させられ得るロック機構151をさらに備える。具体的には、ロック機構151のロック位置において、スネア・カテーテル12がハンドル部片15を基準として及びひいては操縦可能カテーテル11を基準として軸方向において固定される。さらに、ロック解除位置において、スネア・カテーテル12を遠位側に移動させることにより、又は移植可能な医療デバイス2を捕捉した後で操縦可能カテーテル11の遠位端110上に配置される位置合わせ構成要素16に対して移植可能な医療デバイス2を当接させることにより、スネア・カテーテル12がハンドル部片15を基準として及びひいては操縦可能カテーテル11を基準として軸方向に移動させられ得、それにより具体的には移植可能な医療デバイス2に接近する。
【0060】
スネア・カテーテル12がハンドル部片15を通って延在する。本明細書のスネア・カテーテル12の近位端121に、スネア・カテーテル12のフラッシングを実現するためのフラッシュ・ポート122が配置される。
【0061】
加えて、スネア・カテーテル12の近位端121のところに配置されるロック・デバイス123が、スネア・カテーテル12とマンドレル13との間でのロックを実現する。ロック・デバイス123のロック位置において、マンドレル13がスネア・カテーテル12を基準として軸方向において固定される。ロック・デバイス123をロック解除することにより、マンドレル13がスネア・カテーテル12を基準として軸方向に移動させられ得る。その理由は、使用者が、スネア・カテーテル12を基準としてマンドレル13を遠位側又は近位側に前進させるためにマンドレル13の近位端131のところに配置されるグリップ・デバイス132を握持することができるからである。
【0062】
操縦可能カテーテル11のフラッシングを可能にするためのフラッシュ・ポート112がハンドル・デバイス15上に配置される。
【0063】
外側カテーテル10が操縦可能カテーテル11上に配置され、その結果、外側カテーテル10が操縦可能カテーテル11に沿って軸方向に移動可能となる。本明細書では、外側カテーテル10の近位端102のところにTuohy-Borst弁の形状の弁デバイス104が配置され、弁デバイス104が、外側カテーテル10の近位端102のところでの漏洩を防止すること、及び操縦可能カテーテル11を基準として外側カテーテル10を軸方向にロックすること、を実現する。弁デバイス104が、例えば弁デバイス104を捻じることにより、操縦可能カテーテル11を基準として外側カテーテル10の軸方向の移動を可能にするためにロック解除され得る。
【0064】
弁デバイス104が、一実施例では、弁デバイス104を特にロック解除することを必要とすることなく、操縦可能カテーテル11を基準とした外側カテーテル10の軸方向の移動を可能にするようにも機能可能となり得る。
【0065】
加えて、外側カテーテル10のフラッシングを可能にするためにフラッシュ・ポート103が外側カテーテル10の近位端102のところに配置される。
【0066】
外側カテーテル10の遠位端100のところに配置される保護カップ101が、移植可能な医療デバイス2を再配置又はエクスプラントするために移植可能な医療デバイス2を受けるのを可能にするように機能する。
【0067】
次の図4を参照すると、スネア14により移植可能な医療デバイス2のコネクタ21を捕捉した後、及びマンドレル13を近位側に移動させることによりスネア・カテーテル12の中へスネア14を後退させた後、さらには操縦可能カテーテル11内でスネア・カテーテル12を近位側に移動させることにより移植可能な医療デバイス2を位置合わせ構成要素16に動作可能に接続した後で、外側カテーテル10が、図4に示されるように、保護カップ101の中へ移植可能な医療デバイス2を後退させるために遠位側に前進させられ得る。
【0068】
覆われた状態において、移植可能な医療デバイス2が中空保護カップ101の内側ルーメン内で受けられ、その結果、移植可能な医療デバイス2の遠位端から突出する例えば固定用の櫛歯の形状の固定要素22が、図4に示されるように、保護カップ101内で受けられる。したがって、固定要素22を組織に意図せず係合させるリスクなしで、移植可能な医療デバイス2を安全に取り外したり又は再配置したりすることが可能となる。
【0069】
図2の実施例では、位置合わせ構成要素16が操縦可能カテーテル11の遠位端10上に配置される。別の実施例では、図5に示されるように、位置合わせ構成要素16がスネア・カテーテル12の遠位端120上に配置され、その結果、上に配置されるスネア14を共にマンドレル13をスネア・カテーテル12の中へ近位側に後退させるとき、移植可能な医療デバイス2とカテーテル・デバイス1との間の接続が強化され、さらには移植可能な医療デバイス2が位置合わせ構成要素16に動作可能に接続され、ひいてはカテーテル・デバイス1を基準として位置合わせされる。
【0070】
カテーテル・デバイス1が、図6A及び図6Bで見ることができるように、例えば右心室の心尖の中(図6A)又は右心室の中隔の中(図6B)などといったように、患者の中の多様な移植部位のところに配置される移植可能な医療デバイス2を再配置又はエクスプラントするのに使用され得、ここでは、移植可能な医療デバイス2が具体的にどの場所に移植されるかに関わらず同じカテーテル・デバイス1が使用され得る。
【0071】
次に図7から7Gを参照すると、例えば患者の心臓の右心室の心尖といったように、例えば患者の心臓の中に移植された移植可能な医療デバイス2が再配置又はエクスプラントされることになる場合、操縦可能カテーテル11を使用してカテーテル・デバイス1を適切に操縦することによりカテーテル・デバイス1が移植部位の方に前進させられる(図7A)。
【0072】
カテーテル・デバイス1の遠位端が移植可能な医療デバイス2の近傍に送られると(図7B)、図7Aから7Gでは図5の実施例と同様に位置合わせ構成要素16を担持するスネア・カテーテル12が遠位側に前進させられる。したがって、スネア・カテーテル12の遠位端120から延在するスネア14が、移植可能な医療デバイス2のボディ20上に形成されるコネクタ21の方に前進させられてコネクタ21上に配置され(図7C)、それにより、移植可能な医療デバイス2を位置合わせ構成要素に動作可能に接続するためにスネア14をスネア・カテーテル12の中へ後退させる(図7D及び7E)。
【0073】
位置合わせ構成要素16と移植可能な医療デバイス2との間の動作可能な接続が達成されると、外側カテーテル10が、保護カップ101を位置合わせ構成要素16の上を及びひいては移植可能な医療デバイス2の上を移動させるために遠位側に前進させられる(図7F)。したがって、移植可能な医療デバイス2が再び覆われ、固定要素22が、移植可能な医療デバイス2を配置した場所である組織から取り外される。
【0074】
次いで、カテーテル・デバイス1を移動させることにより(図7G)、移植可能な医療デバイス2が再配置又はエクスプラントされ得る。
【0075】
次に図8A及び8Bを参照すると、移植可能な医療デバイス2の再配置が操縦可能カテーテル11を使用して制御され得る。具体的には、移植可能な医療デバイス2に対しての接続が確立された後、操縦可能カテーテル11が、例えば右心室(図8A)の中隔などの、前の移植部位から、例えば右心室の心尖(図8B)などの新たな移植部位まで移植可能な医療デバイス2を移動させるために操縦可能カテーテル11を偏向させるように、制御され得る。
【0076】
一実施例では、カテーテル・デバイスが、インプラント及びその固定機構を覆ったり露出したりするのに使用されるカップに接続される非操縦可能な一定形状(shape set)の外側カテーテルを備える。カテーテル・デバイスが、患者の心臓の中に位置する移植可能な医療デバイスに対してカテーテル・デバイスの遠位端を位置合わせするのに使用される内側の操縦可能カテーテルをさらに備える。さらに、操縦可能カテーテルの内径の中に配置される非操縦可能カテーテルが存在してよく、この非操縦可能カテーテルが、上記カテーテルと上記カテーテル内を通過するスネア接続マンドレルとの間の相対的な平行移動により放射線不透過性の一定形状のインプラント再捕捉用スネアの開閉状態を調整するように機能する。スネアの開閉状態をこのように調節することにより、本デザインの解決策が、インプラントの近位側に位置するコネクタ(つまり、連結棒の形態)との標的の機械的係合を介する、封入されていないが移植された状態のリードレス・ペースメーカーに対しての接続を確立/再確立ための手段を提供する。
【0077】
一実施例では、ハンドルの近位端においてスネアに接続されるマンドレルを押すか又は引くことにより、スネアが遠位側に及び近位側に前進させられ得る。ワイヤ・クランプ機構又はトルク機構がマンドレルを握持するのに利用され、その結果、使用者がマンドレル/スネアを容易に押したり引いたりすることができるようになる。ハンドルが、再捕捉が行われた後の閉状態においてスネアを保持するのを支援するロック/ロック解除アクチュエータを有する。このロック作用により、スネアリング・カテーテルが存在する事例では、スネアのマンドレルとのスネアリング・カテーテルの相対的位置が固定されるか、又はスネアリング・カテーテルが存在しない事例では、スネアのマンドレルとの内側の操縦可能カテーテルの相対的位置が固定される。さらに、この能力が、インプラントを再び覆うのを支援するように作用する。ハンドルが、内側の操縦可能カテーテルを操縦する操縦制御装置をさらに有する。ハンドルが、ハンドル又はハンドルの操縦アクチュエータから使用者の手が離されるときに操縦位置を固定したままにして、緩めたりすることがないように、或いはその公称の位置/開始位置に戻したりすることがないように、機械的に設計される。外側の非操縦可能の/一定形状のカテーテルが、漏洩を防止するために、及び内側の操縦可能カテーテルの位置を基準として外側カテーテルの位置を安定させるためのロック機構として機能するために、その近位端に接続されるTuohy-Borst弁を利用する。Tuohy-Borst弁が、使用者による捻じれ操作を介して、又は弁のシールに固有の摩擦によるロック作用に打ち勝つための押圧操作を介して、内側の操縦可能カテーテル上の固定の位置に弁を留めるのを可能にする。次いで、弁を逆に捻じることにより(実施例によって必要とされる場合)、又は内蔵の弁の摩擦ロック挙動に打ち勝つのに十分な押圧力により、外側カテーテルが固定位置からロック解除され、その結果、使用者が外側カテーテルを近位側又は遠位側に前進させることができるようになる。インプラントを再び覆うためには、使用者が内側の操縦可能カテーテルの上で外側カテーテルを遠位側に前進させることが必要となり、デバイスを再配置する場合にインプラントの配備するためには、使用者が外側の操縦可能カテーテルを近位側に後退させることが必要となる。
【0078】
内側の操縦可能カテーテルが、移植部位まで容易に且つ高い信頼性で誘導されることが可能となるように設計され得る。この場合、スネアが、インプラントを種々の向きから握持するのに利用され得る。カテーテルとインプラントとの間の接続が確立されると、外側カテーテルが操縦可能カテーテルの上で前進させられる。外側カテーテルが外側カテーテルに組み込まれる操縦機能を有さないが、一定形状のカーブを有する。この一定形状のカーブが、外側カテーテルの材料の可撓性との組み合わせで、外側カテーテルが操縦可能カテーテルの上を進んでインプラントまで到達するのを可能にする。
【0079】
使用者がエクスプラント後にリードレス・ペースメーカーを再配備することを望む事例では、使用者が、インプラントを右心室内の新たなロケーションに再配置してインプラントを再配備するために内側の操縦可能カテーテルの操縦の機能性を利用することができる。
【0080】
カテーテル・デバイスが以下の特徴のうちの1つ又は複数の特徴(或いはすべての特徴)を有することができる:
- 心臓内の移植部位に容易にアクセスするのを可能にする、及びデバイスにスネア・カテーテルが組み込まれない場合には中に収容されるスネアの開閉状態を調節するようにさらに機能するのを可能にする、高水準の制御能力及び操作性を有する内側の操縦可能カテーテル、
- 心臓内の解剖学的ストレスを最小にするような及びデバイス固定用の構造部に対しての露出から患者の解剖学的構造を保護するような手法でインプラントを再び覆うために窮屈な角度及び幾何形状で内側の操縦可能なカテーテルが連接される場合でも、内側の操縦可能なカテーテルの上で遠位側及び近位側に前進させられ得る外側の非操縦可能カテーテル(一定形状のカーブ、及びその遠位端に位置するプロテクタ・カップを有する)、
- 存在する場合、スネアの支持マンドレルを基準としたスネア・カテーテルの相対的な平行移動モーションを介して、中に収容されるスネアの開閉状態を調節するのを容易にすることができる任意選択の内側の非操縦可能スネア・カテーテル、
- 再捕捉及び再配置の要求時にインプラントのコネクタ(つまり、連結棒の形態)とのローブで拘束される形の接続を確立するのを支援する任意選択の単一ループ又は複数のループのスネア(すなわち、規定の特性を有する市販のスネアを医者により装着するのを受け入れる)、
- 明確なロック用構造部、又は慎重に管理される内側カテーテルと外側カテーテルとの間の密閉機構内での摩擦係合のいずれかによる、内側の操縦可能カテーテル上の固定位置に外側の操縦可能カテーテルをロックする能力、
- 内側の操縦可能カテーテルに対しての使用者による高水準の操縦制御を可能にする操縦機構又はアクチュエータ(使用者が操縦機構又はアクチュエータから手を離すときに、必ず、操縦機構又はアクチュエータがカテーテルの固定の操縦位置を維持する)
- 使用者により、外側カテーテルのインプラント保護カップの中で安全に且つ高い信頼性でインプラントを再び覆うための能力、
- 再び覆った後でインプラントの再配置するために、及び新たに選定された移植部位内にインプラントを再配備するために、内側の操縦可能カテーテルの操縦機構又はアクチュエータを使用者が使用するための能力、
- インプラントを切り離してスネアとインプラントのコネクタ(つまり、連結棒の形態)との間のロープによる拘束を係合解除する前に、新たな移植部位内での櫛歯の固定を評価するために、使用者によりインプラントの機械的な引っ張り試験(mechanical tug test)を実施するための能力、
- 使用者が患者の心臓の中の新たなロケーションにインプラントを再配置することを望まない場合、インプラント及びカテーテルのツールを解剖学的構造から安全に取り外すための能力。
【0081】
本開示に関連する概念は、患者の心臓の中に配置されるリードレス・ペースメーカーまで安全に且つ高い信頼性で誘導されること、スネアを介してのリードレス・ペースメーカーに対してのロープで拘束される形の接続を確立した後でリードレス・ペースメーカーをエクスプラントすること、及び心臓の新たなロケーションにリードレス・ペースメーカーを再配置するか又は患者の解剖学的構造からインプラント及びカテーテルを安全に取り外すこと、のために特には設計される専用のツールを実現するのを可能にすることができる。
【0082】
提案されるカテーテル・デバイスの1つの利点は、内側の操縦可能カテーテルが、移植ロケーションまで安全に、高い信頼性で、容易に誘導されるための手段として利用されることである。これは、内側の操縦可能カテーテルが、内側の操縦可能カテーテルに取り付けられるインプラント保護カップを有さないことにより、達成される。インプラント保護カップは長い線形構成要素又は非連接式の構成要素として機能するものであり、窮屈な幾何形状及び半径を通って移動するのを阻害する可能性がある。リードレス・ペースメーカーが鋭角に移植されている場合、使用者が可能な限り制御できる形でカテーテルをインプラントまで誘導するのを可能にすることが重要である。内側の操縦可能カテーテルと、スネアと、インプラントとを介して、ロープで拘束される形の接続が確立された後、一定形状の(非操縦可能な)外側カテーテルが内側の操縦可能カテーテルの外径の上のみでインプラントまで前進させられる。インプラントとの接続が既に確立されていることから、大きい線形方向の長さを有するインプラント保護カップが内側の操縦可能カテーテルの外径の上で非常に容易に進められ、この作業を実施するのに操縦を一切必要としない。インプラント保護カップがインプラントに到達すると、インプラントが容易に後退させられてカップの中で再び覆われる。
【0083】
この時点で、使用者が、インプラントを新たな配備ロケーションに再配置するか、又はインプラント及びツールを患者の解剖学的構造から取り外すかを選択することができる。したがって、特には安全で且つ高い信頼性の手法で、鋭角に移植されたリードレス・ペースメーカーをエクスプラントする及び/又は再配置して再配備するために、使用者がこの手技を実施するのを可能にするツールが提供される。
【0084】
本システム(エクスプラント/再配置カテーテル)に関連して開示される特徴は方法(例えば、リードレス・ペースメーカーをエクスプラント及び/又は再配置するための方法)にも適用され得、逆もまた同様である。
【符号の説明】
【0085】
1 カテーテル・デバイス
10 外側カテーテル
100 遠位端
101 保護カップ
102 近位端
103 フラッシュ・ポート
104 弁デバイス(Tuohy-Borst弁)
11 操縦可能カテーテル
110 遠位端
111 近位端
112 フラッシュ・ポート
12 スネア・カテーテル
120 遠位端
121 近位端
122 フラッシュ・ポート
123 ロック・デバイス
13 マンドレル
130 遠位端
131 近位端
132 握持デバイス
14 スネア
140 輪状ロープ
141 ループ
15 ハンドル部片
150 制御デバイス
151 制御デバイス
16 位置合わせ構成要素(カップ)
2 移植可能な医療デバイス(リードレス・ペースメーカー)
20 ボディ
21 コネクタ
22 固定要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8A
図8B
【国際調査報告】