(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】人間とロボット車両との協働タスク実行
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220428BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G05D1/02 H
B25J5/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553074
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 US2020021551
(87)【国際公開番号】W WO2020181255
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521400279
【氏名又は名称】スカイラ テクノロジーズ, インク.
【氏名又は名称原語表記】SKYLLA TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】24 Hartwell Avenue, Lexington, MA 02421 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー, コータ
【テーマコード(参考)】
3C707
5H301
【Fターム(参考)】
3C707CS08
3C707KS36
3C707KT03
3C707KT04
3C707LS15
3C707LV01
3C707MS08
3C707WA16
5H301AA01
5H301BB05
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
(57)【要約】
人間およびロボットシステムによる複雑なタスクの協働の実行のための方法およびシステムが本明細書において説明される。1つの態様では、協働ロボットシステムは、協働作業者と共有されるペイロードを搬送するように構成された積載面を有するペイロードプラットフォームを含む。協働ロボットシステムは、協働作業者とペイロードを共有しながら、混雑した環境をナビゲートする。もう1つの態様では、協働ロボットシステムは、ペイロードプラットフォームの積載面に平行な平面内の力を測定して、協働作業者からのナビゲーショナルキューを推測する。いくつかの事例では、協働ロボットシステムは、環境内の物体と、ロボットシステム、協働作業者、および共有ペイロードのうちのいずれかとの間の衝突を避けるために協働作業者のナビゲーショナルキューを無視する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪付きロボット車両であって、
フレームに取り付けられた1または複数の作動型車輪と、
前記フレームに搭載された1または複数の荷重センサと、
協働作業者と共有されるペイロードを搬送するように構成されたペイロードプラットフォームであって、前記1または複数の荷重センサに結合されたペイロードプラットフォームと、
前記フレーム、前記ペイロードプラットフォーム、またはそれら両方に結合された1または複数の近接センサと、
を含む、車輪付きロボット車両と、
前記車輪付きロボット車両に通信可能に結合された計算システムであって、
前記1または複数の荷重センサから受信される力信号に基づいて、前記協働作業者によって前記ペイロードに加えられた力を決定し、
前記協働作業者により前記ペイロードに加えられた前記決定した力から所望の移動方向を決定し、
前記1または複数の近接センサから受信される信号に基づいて、前記協働作業者、前記ペイロード、および前記車輪付きロボット車両の周囲の環境内の物体と、前記車輪付きロボット車両、前記ペイロード、前記協働作業者、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかの周囲の空間バッファゾーンとの間の距離を決定し、
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が所定のしきい値よりも小さい場合、修正した移動方向を決定し、
前記修正した移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両の前記1または複数の作動型車輪へコマンド信号を伝達し、前記修正した移動方向が、前記物体から離れるよう前記車輪付きロボット車両および前記ペイロードを動かす、
ように構成される、計算システムと、
を備える、協働ロボットシステム。
【請求項2】
前記1または複数の荷重センサが、前記ペイロードプラットフォームの積荷搬送面に平行な方向の力を測定する、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項3】
前記1または複数の作動型車輪が、メカナムホイール、全方向ホイール、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項4】
前記フレームおよび前記ペイロードプラットフォームに取り付けられた1または複数のペイロードプラットフォームアクチュエータであって、前記ペイロードプラットフォームの積荷搬送面に垂直な方向に前記ペイロードプラットフォームを移動させるように構成される、1または複数のペイロードプラットフォームアクチュエータ
をさらに備える、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項5】
前記環境内の前記物体は動いている、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項6】
1または複数の画像取込みデバイスをさらに備え、前記環境内の前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離を前記決定することが、前記1または複数の画像取込みデバイスから受信される画像情報にも基づく、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項7】
前記計算システムは、
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が前記所定のしきい値の値よりも大きい場合、前記所望の移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両の前記1または複数の作動型車輪へコマンド信号を伝達する
ようにさらに構成される、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項8】
協働作業者と共有されるペイロードを搬送するように構成されたペイロードプラットフォームを有する車輪付きロボット車両を用意することと、
1または複数の荷重センサから受信される力信号に基づいて、前記協働作業者によって前記ペイロードに加えられた力を決定することと、
前記協働作業者によって前記ペイロードに加えられた前記決定した力から所望の移動方向を決定することと、
1または複数の近接センサから受信される信号に基づいて、前記協働作業者、前記ペイロード、および前記車輪付きロボット車両の周囲の環境内の物体と、前記車輪付きロボット車両、前記ペイロード、前記協働作業者、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかの周囲の空間バッファゾーンとの間の距離を決定することと、
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が所定のしきい値よりも小さい場合、修正した移動方向を決定することと、
前記修正した移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両の前記1または複数の作動型車輪へコマンド信号を伝達することであって、前記修正した移動方向が、前記物体から離れるよう前記車輪付きロボット車両および前記ペイロードを動かす、伝達することと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記1または複数の荷重センサが、前記ペイロードプラットフォームの積荷搬送面に平行な方向の力を測定する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記環境内の前記物体は動いている、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記環境内の前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離を前記決定することが、1または複数の画像取込みデバイスから受信される画像情報にも基づく、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が前記所定のしきい値よりも大きい場合、前記所望の移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両へコマンド信号を伝達すること、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記修正した移動方向を前記決定することが、前記空間バッファゾーンへの前記物体の侵害の大きさに基づく、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
車輪付きロボット車両であって、
フレームに取り付けられた1または複数の作動型車輪と、
前記フレームに搭載された1または複数の荷重センサと、
協働作業者と共有されるペイロードを搬送するように構成されたペイロードプラットフォームであって、前記1または複数の荷重センサに結合されたペイロードプラットフォームと、
前記フレーム、前記ペイロードプラットフォーム、またはそれら両方に結合された1または複数の近接センサと、
を含む、車輪付きロボット車両と、
命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令が計算システムよって実行されたときに前記計算システムに、
前記1または複数の荷重センサから受信される力信号に基づいて、前記協働作業者によって前記ペイロードに加えられた力を決定させ、
前記協働作業者により前記ペイロードに加えられた前記決定した力から所望の移動方向を決定させ、
前記1または複数の近接センサから受信される信号に基づいて、前記協働作業者、前記ペイロード、および前記車輪付きロボット車両の周囲の環境内の物体と、前記車輪付きロボット車両、前記ペイロード、前記協働作業者、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかの周囲の空間バッファゾーンとの間の距離を決定させ、
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が所定のしきい値よりも小さい場合、修正した移動方向を決定させ、
前記修正した移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両の前記1または複数の作動型車輪へコマンド信号を伝達させ、前記修正した移動方向が、前記物体から離れるよう前記車輪付きロボット車両および前記ペイロードを動かす、非一時的なコンピュータ可読媒体と、
を備える、協働ロボットシステム。
【請求項15】
前記1または複数の荷重センサが、前記ペイロードプラットフォームの積荷搬送面に平行な方向の力を測定する、請求項14に記載の協働ロボットシステム。
【請求項16】
前記1または複数の作動型車輪が、メカナムホイール、全方向ホイール、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項14に記載の協働ロボットシステム。
【請求項17】
前記フレームおよび前記ペイロードプラットフォームに取り付けられた1または複数のペイロードプラットフォームアクチュエータであって、前記ペイロードプラットフォームの積荷搬送面に垂直な方向に前記ペイロードプラットフォームを移動させるように構成される、1または複数のペイロードプラットフォームアクチュエータ
をさらに備える、請求項14に記載の協働ロボットシステム。
【請求項18】
前記環境内の前記物体は動いている、請求項14に記載の協働ロボットシステム。
【請求項19】
1または複数の画像取込みデバイスをさらに備え、前記環境内の前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離を前記決定することが、前記1または複数の画像取込みデバイスから受信される画像情報にも基づく、請求項14に記載の協働ロボットシステム。
【請求項20】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、
命令が計算システムよって実行されたときに前記計算システムに、
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が前記所定のしきい値よりも大きい場合、前記所望の移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両の前記1または複数の作動型車輪へコマンド信号を伝達させる
前記命令をさらに記憶する、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2019年3月7日出願の米国特許第16/296,188号、名称「Collaborative Task Execution With Humans And Robotic Vehicles」の優先権を主張し、その主題全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
記載した実施形態は、サービス環境におけるペイロード(payload)搬送のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ロボットシステムは、典型的にはよく制御された工場環境において、繰返し性の高いタスクを実行するために広く展開されている。ファクトリーオートメーションのいくつかの例では、ロボットは、長い期間(例えば、月または年)にわたって単一のタスクを繰り返して実行する。しかしながら、ロボットシステムは、人間の日常生活の一部であるタスクを実行することにはまだ広く展開されていない。人間の日常生活ならびにカスタムワークフローへとロボットシステムを上手く組み込むために、ロボットシステムは、新たなタスクおよび環境条件に適応することができなければならない。
【0004】
いくつかの例では、ロボットシステムは、構造化されていない環境において広範囲のタスクをロボットシステムが実行することを可能にするために高い知能で開発されてきている。知能ロボットシステムは、複雑なタスクを上手く理解することが可能であり、そして少ない命令を用いて手元のタスクを実行することが可能である。加えて、ユーザインターフェースの改善が、人間とロボットシステムとの間のコミュニケーションを高め、協働ロボットシステムが手元のタスクをよく理解することを可能にする。ユーザインターフェースに対する最近の改善は、ロボットの使いやすさを改善するためのナチュラルユーザインターフェースの使用および会話や身振りに基づく技術の使用を含む。しかしながら、これらの手法は、ロボットシステムによる単独の実行のため協働ロボットシステムに対するタスクゴールおよび制約を伝達することに焦点を当てている。このことは、ロボットシステムの物理的および知的能力の限界ならびにロボットシステムへのタスクパラメータおよび制約を伝達する能力の限界のためにロボットシステムによって達成され得るタスクの複雑さを制限する。
【0005】
要約すると、高度には構造化されていない環境において複雑なタスクの実行を可能にするために、ロボットシステムの改善が望まれている。
【発明の概要】
【0006】
複雑なタスクを協働して実行するための人間とロボットシステムとの間の協働作業のための方法およびシステムが本明細書において説明される。協働タスク実行は、人間の適応性の利点を利用し、そうでなければ複雑性の低いタスクの実行に限定されるはずの協働ロボットシステムのより効果的な使用を可能にする。
【0007】
1つの態様では、協働ロボットシステムは、協働作業者と共有されるペイロード(payload)を搬送するように構成された積載面を有するペイロードプラットフォームを含む。
【0008】
もう1つの態様では、協働ロボットシステムの荷重センサは、ペイロードプラットフォームの積載面に平行な平面内の力を測定する。協働ロボットシステムは、測定した力に基づいて協働作業者からのナビゲーショナルキュー(cue)を推測する。
【0009】
もう1つの態様では、協働ロボットシステムは、ロボットシステムまでの物体の近接度を推定するように構成された1または複数の近接センサを含む。
【0010】
もう1つの態様では、協働ロボットシステムは、混雑した環境をナビゲートしつつ、協働作業者とペイロードを共有する。いくつかの事例では、協働ロボットシステムは、環境内の物体と、ロボットシステム、協働作業者、および共有ペイロードのうちのいずれかとの間の衝突を避けるために協働作業者のナビゲーショナルキューを無視(override)する。
【0011】
前述は、概要であり、したがって、必要性によっては、単純化、一般化、および詳細の省略を含み、その結果、当業者なら、概要が単に例示に過ぎず、そして決して限定しないことを認識するだろう。本明細書において説明されるデバイスおよび/またはプロセスの他の態様、独創的な特徴、および利点は、本明細書で述べられる非限定的な詳細な説明において明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】車輪付きロボット車両およびペイロードプラットフォームを含んでいる協働ロボットシステム100の実施形態を例示する側面図である。
【0013】
【
図2】車輪付きロボット車両およびペイロードプラットフォームを含んでいる協働ロボットシステム100の実施形態を例示する上面図である。
【0014】
【
図3】協働ロボットシステム100のいくつかの構成要素を例示する模式図である。
【0015】
【
図4A】混雑した環境を通って物体を移動させることを含む協働作業者と協働してタスクを実行している協働ロボットシステムを示す図である。
【
図4B】混雑した環境を通って物体を移動させることを含む協働作業者と協働してタスクを実行している協働ロボットシステムを示す図である。
【
図4C】混雑した環境を通って物体を移動させることを含む協働作業者と協働してタスクを実行している協働ロボットシステムを示す図である。
【
図4D】混雑した環境を通って物体を移動させることを含む協働作業者と協働してタスクを実行している協働ロボットシステムを示す図である。
【0016】
【
図5】協働ロボットシステムと周囲環境内の物体との間の相互作用を示す図である。
【0017】
【
図6】本明細書において説明するような協働ロボットシステムおよび協働作業者による協働タスク実行機能を実施する方法300のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の背景例およびいくつかの実施形態をここで詳細に参照し、その例が、添付の図面に図示されている。
【0019】
複雑なタスクを協働して実行する人間とロボットシステムとの間の協働作業のための方法およびシステムが本明細書において説明される。協働タスク実行は、人間の適応性の利点を利用し、そうでなければ複雑でないタスクの実行に制限されるはずの協働ロボットシステムのより効果的な使用を可能にする。
【0020】
図1および
図2は、1の実施形態における、それぞれ協働ロボットシステム100の側面図および上面図を描いている。協働ロボットシステム100は、車両101のフレーム103に取り付けられた1または複数の作動型車輪(actuated wheel)(例えば、作動型車輪102A~102D)を有する車輪付きロボット車両(wheeled, robotic vehicle)101を含む。いくつかの実施形態では、車輪付きロボット車両101は、xy平面内の任意の方向に移動することおよびz軸に平行な任意の軸の周りを回転することが可能である全方向性ロボット車両である。これらの実施形態のうちのいくつかでは、車輪付きロボット車両101がまた、ホロノミックであり、したがって独立してxy平面内を移動することおよびz軸に平行な任意の軸の周りを回転することが可能である。いくつかの実施形態では、1または複数の作動型車輪は、メカナムホイール、全方向ホイール、またはこれらの任意の組み合わせを含む。1つの実施形態では、車輪付きロボット車両101は、ダイレクトドライブの4つのメカナムホイールを利用する。計算システム200は、車輪付きロボット車両をxy平面内の所望の方向に移動させそしてz軸に平行な所望の軸の周りを回転させる車輪付きロボット車両の作動型車輪へ制御コマンドを伝達する。
【0021】
1つの態様では、協働ロボットシステムは、協働作業者と共有されるペイロードを搬送するように構成された積載面を有するペイロードプラットフォームを含む。
図1および
図2に描かれたように、協働ロボットシステム100はまた、ペイロード110を搬送するように構成されたペイロードプラットフォーム106も含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、協働ロボットシステム100は、フレームおよびペイロードプラットフォームに取り付けられた1または複数のペイロードプラットフォームアクチュエータ(図示せず)を含む。ペイロードプラットフォームアクチュエータは、ペイロードプラットフォーム106の積荷搬送面111に垂直な方向にペイロードプラットフォームを移動させるように構成される。このようにして、協働ロボットシステム100は、様々な輸送タスクの必要条件を満足するようにペイロードプラットフォーム106の高さを調節することが可能である。
【0023】
図1に描かれたように、協働ロボットシステム100は、荷重センサ(例えば、荷重センサ104A~104D)を含む。
図1に描かれた実施形態では、荷重センサ104A~104Dは、ペイロードプラットフォーム106およびフレーム103に結合される。一般に、荷重センサ104A~104Dを、ペイロードプラットフォーム106と作動型車輪(例えば、作動型車輪102A~102D)との間の荷重経路内の任意の適切な場所に設置することができる。荷重センサは、ペイロードプラットフォーム上の荷重の分布を解析するために利用される。
【0024】
もう1つの態様では、協働ロボットシステム100の荷重センサは、ペイロードプラットフォームの積載面に平行な面内の力を測定する。
図1および
図2に描かれた実施形態では、荷重センサ104A~104Dは、xy平面に平行な平面内の力を測定する。荷重センサ104A~104Dによって生成された信号は、さらなる処理のために計算システム200へ伝達される。
【0025】
もう1つの態様では、協働ロボットシステムは、ロボットシステムまでの物体の近接度を推定するように構成された1または複数の近接センサを含む。一般に、協働ロボットシステム100は、いずれかの適切なタイプの近接センサを得る。非限定的な例として、協働ロボットシステム100は、容量センサ、ドップラ効果センサ、渦電流センサ、誘導センサ、磁気センサ、光学センサ、光電センサ、光電セルセンサ、レーザ距離計センサ、受動型センサ(例えば、電荷結合デバイス)、受動型熱赤外線センサ、レーダセンサ、イオン化放射線の反射に基づくセンサ、ソナーに基づくセンサ、超音波センサ、光ファイバセンサ、ホール効果センサ、またはこれらの任意の組み合わせなどの近接センサを含み得る。いくつかの実施形態では、近接センサは、ロボットシステム100の周囲に沿って(例えば、ロボットシステム100の前面、側面、背面、またはこれらの任意の組み合わせに沿って)配置された三次元センサ(例えば、三次元LIDARセンサ、ステレオカメラ、タイムオブフライトカメラ、単眼深度カメラ、等)を含む。いくつかの実施形態では、RGBカラー情報が、ロボットシステム100に対する物体の近接度を推定するために深度(depth)データとともに利用される。
【0026】
協働ロボットシステム100の近接センサを、いずれかの適切な方式で車輪付きロボット車両101に結合することができる。いくつかの例では、近接センサは、フレーム103に結合される。
図1および
図2に描かれた実施形態では、近接センサ104A~104Dは、ペイロードプラットフォーム106に結合される。近接センサ105A~105Dによって生成された信号は、さらなる処理のために計算システム200へ伝達される。
【0027】
いくつかの実施形態では、協働ロボットシステム100は、さらにロボットシステムまでの物体の近接度を推定するようにも構成された1または複数の画像取込みデバイス(例えば、電荷結合デバイス(CCD)カメラ、相補型金属オンシリコン(CMOS)カメラ、等)を含む。画像取込みデバイスにより生成された信号は、さらなる処理のために計算システム200へ伝達される。
【0028】
図2は、協働ロボットシステム100の車輪付きロボット車両101およびペイロードプラットフォーム106の上面図を描いている。
図2に描かれたように、車輪付きロボット車両101は、作動型駆動輪(actuated drive wheel)102A~102Dを含む。作動型駆動輪102A~102Dの各々の相対角速度は、車輪付きロボット車両101の走行経路の方向および走行経路に沿った速度の両方を制御する。計算システム200により生成された信号は、作動型駆動輪102A~102Dへ伝達され、これが作動型駆動輪に所望の速度で所望の走行経路に沿って車輪付きロボット車両101を移動させる。
【0029】
いくつかの他の実施形態では、車輪付きロボット車両101の1または複数の車輪は、多数の軸の周りを回転することが自由である受動車輪である。これらの実施形態では、受動車輪は、地表面に垂直な荷重を支持するように主に機能し、一方で、作動型駆動輪の回転が車輪付きロボット車両101の走行経路を規定する。いくつかの他の実施形態では、地表面に垂直な軸の周りの1または複数の受動車輪の向きが、積極的に制御される。これらの実施形態では、これらの操舵車輪(steering wheel)もまた、車輪付きロボット車両101の走行経路の方向を制御するように機能する。いくつかの他の実施形態では、地表面に垂直な軸の周りの操舵車輪の回転およびハンドルの向きの両方が、積極的に制御される。これらの実施形態では、操舵車輪は、車輪付きロボット車両101の走行経路の方向および走行経路に沿った速度の両方を制御するように機能する。
【0030】
図3は、計算システム200、プラットフォーム荷重検知デバイス104、車輪検知デバイス107(例えば、各々の作動型車輪に設置されたエンコーダ、車輪速度センサ、等)、近接度検知デバイス105、画像取込みデバイス108、および車輪アクチュエータ102を含め、協働ロボットシステム100の構成要素を説明する図である。
図3に描かれた実施形態では、計算システム200は、有線通信リンクによってプラットフォーム荷重検知デバイス104、車輪検知デバイス107(例えば、各々の作動型車輪に設置されたエンコーダ)、近接度検知デバイス105、画像取込みデバイス108、および車輪アクチュエータ102に通信可能に結合される。しかしながら、一般に、計算システム200を、有線通信リンクまたは無線通信リンクのいずれかによって本明細書において説明されるセンサおよびデバイスのうちのいずれかに通信可能に結合することができる。
【0031】
一般に、協働作業者と音響的に、視覚的に、および物理的に相互に作用するセンサおよびデバイスを含め協働ロボットシステム100に取り付けられた任意の数のセンサおよびデバイスもまた、計算システム200に通信可能に結合することができる。
【0032】
図3に描かれたように、計算システム200は、センサインターフェース210、少なくとも1つのプロセッサ220、メモリ230、バス240、無線通信トランシーバ250、および制御されたデバイスインターフェース260を含む。センサインターフェース210、プロセッサ220、メモリ230、無線通信トランシーバ250、および制御されたデバイスインターフェース260は、バス240を通して通信するように構成される。
【0033】
センサインターフェース210は、アナログ-デジタル変換(ADC)電子機器211を含む。加えて、いくつかの実施形態では、センサインターフェース210は、デジタル入力/出力インターフェース212を含む。いくつかの他の実施形態では、センサインターフェース210は、センサから測定データを受信するためにセンサと通信するように構成された無線通信トランシーバ(図示せず)を含む。
【0034】
図3に描かれたように、ADC211は、画像取込みデバイス108から信号202を受信するように構成される。もう1つの非限定的な例では、ADC211は、近接度検知デバイス105から信号203を受信するように構成される。もう1つの非限定的な例では、ADC211は、プラットフォーム荷重検知デバイス104から信号204を受信するように構成される。ADC211は、アナログ信号202~204を、デジタル記憶およびさらなるデジタル処理のために適した等価なデジタル信号へと変換するようにさらに構成される。ADC211は、得られるデジタル信号が着信アナログ信号の適切で正確な表現である(すなわち、量子化誤差および時間離散化誤差が許容可能な誤差レベル内である)ことを確実にするように選択される。いくつかの他の実施形態では、画像取込みデバイス108、近接度検知デバイス105、およびプラットフォーム荷重検知デバイス104は、オンボードの信号取得および処理能力を含む。これらの実施形態では、画像データ、近接度データ、および荷重データは、計算システム200へデジタルで伝送される。
【0035】
図3に描かれたように、デジタルI/O212は、車輪検知デバイス107からデジタル信号201を受信するように構成される。この例では、車輪検知デバイス107は、車輪付きロボット101の各々の作動型車輪の測定した変位、速度、等を示すデジタル信号201を生成するためのオンボード電子機器を含む。このようにして、計算システム200は、アナログセンサおよびデジタルセンサの両方とインターフェースで接続されるように構成される。一般に、本明細書において説明するセンサのうちのいずれかを、デジタルセンサまたはアナログセンサとすることができ、そして適切なインターフェースによって計算システム200に通信可能に結合することができる。
【0036】
制御されたデバイスインターフェース260は、適切なデジタルアナログ変換(DAC)電子機器を含む。加えて、いくつかの実施形態では、制御されたデバイスインターフェース260は、デジタル入力/出力インターフェースを含む。いくつかの他の実施形態では、制御されたデバイスインターフェース260は、制御信号の伝送を含め、デバイスと通信するように構成された無線通信トランシーバを含む。
【0037】
図3に描かれたように、制御されたデバイスインターフェース260は、協働ロボットシステム100を、例えば、所望の走行経路に沿って移動させる1または複数の車輪アクチュエータ102へ制御コマンド205を伝送するように構成される。もう1つの非限定的な例では、制御されたデバイスインターフェース260は、スピーカに協働作業者と音響的に通信させるスピーカなどのオーディオ出力デバイスへコマンド信号(図示せず)を伝送するように構成される。さらにもう1つの非限定的な例では、制御されたデバイスインターフェース260は、画像ディスプレイデバイスに協働作業者と視覚的に通信させる画像ディスプレイデバイスへディスプレイ信号(図示せず)を伝送するように構成される。一般に、オーディオ/ビジュアル入力および出力デバイスの任意の組み合わせが、本明細書において説明したような協働タスク実行を容易にするために、協働ロボットシステム100と協働作業者との間の自然言語通信インターフェースを実装するために考えられることがある。
【0038】
メモリ230は、協働作業者とタスクを協働して実行しながら環境をナビゲートするために協働ロボットシステム100によって利用されるセンサデータを記憶するある量のメモリ231を含む。メモリ230はまた、プロセッサ220により実行されたときに、本明細書において説明したような協働タスク実行機能をプロセッサ220に実行させるプログラムコードを記憶するある量のメモリ232を含む。
【0039】
いくつかの例では、プロセッサ220は、センサインターフェース210によって生成されたデジタル信号をメモリ230へと記憶するように構成される。加えて、プロセッサ220は、メモリ230に記憶されたデジタル信号を読み出すように、そして無線通信トランシーバ250へデジタル信号を送信するように構成される。いくつかの実施形態では、無線通信トランシーバ250は、計算システム200から無線通信リンクを通して外部計算デバイス(図示せず)へデジタル信号を伝送するように構成される。
図3に描かれたように、無線通信トランシーバは、アンテナ251を介した無線周波数信号252を送信する。無線周波数信号252は、計算システム200から外部計算デバイスへ伝達されるべきデジタル信号を示すデジタル情報を含む。1つの例では、コンピュータシステム200によって生成されたセンサデータは、センサデータに基づいて協働ロボットシステム100をモニタし向きを変える目的で外部計算システム(図示せず)へ伝達される。
【0040】
いくつかの実施形態では、無線通信トランシーバ250は、無線通信リンクを通して外部計算デバイス(図示せず)からデジタル信号を受信するように構成される。無線周波数信号253は、外部計算システム(図示せず)および計算システム200から伝達されるべきデジタル信号を示しているデジタル情報を含む。1つの例では、外部計算システムによって生成された制御コマンドは、協働ロボットシステム100による実施のために計算システム200へ伝達される。いくつかの実施形態では、制御コマンドは、協働ロボットシステム100および協働作業者により協働して実行された協働タスクの評価に基づいて協働ロボットシステム100へ提供される。いくつかの例では、外部計算システムは、協働ロボットシステム100にはそうでなければ利用できない追加のセンサデータ(例えば、画像データ)にアクセスする。この追加のセンサデータは、例えば、協働ロボットシステム100の視野内にはない障害物を避けるために、協働ロボットシステム100の走行経路を更新するために外部計算システムによって利用される。
【0041】
1つの例では、協働ロボットシステム100は、混雑した環境(例えば、事務所)を通って大きな物体(例えば、机)を搬送するために協働作業者と作業する。
図4A~
図4Dは、物体125を含んでいる混雑した環境を通って協働作業者120と机130を協働して移動する協働ロボットシステム100の図を描いている。
【0042】
図4Aに描かれたように、ロボットシステム100は、そのペイロードプラットフォーム上で机130の一部分を搬送し、そして協働作業者120が机130の残りの部分を搬送する。
図4Aに描かれたシナリオでは、ロボットシステム100および協働作業者120は、Y方向に(すなわち、図面ページを横切って右から左へ)机125を移動する。協働作業者120は、XY平面に平行な平面内で机130に力を加えることによって一般的なナビゲーション命令を与える。ロボットシステム100は、荷重センサ104A~104Dから受信される力信号に基づいて、協働作業者120によってXY平面に平行な平面内でペイロードに加えられた力を測定する。計算システム200は、XY平面に平行な平面内で協働作業者によってペイロードに加えられた測定した力ベクトルの方向である所望の移動方向を決定する。例えば、XY平面に平行な平面内で机130に加えられた力がY方向に合わせられる場合には、ロボットシステム100は、所望の移動方向がY方向になると決定する。しかしながら、XY平面に平行な平面内で机130に加えられた力がX方向に合わせられる場合には、ロボットシステム100は、所望の移動方向がX方向に合わせられると決定する。
【0043】
例えば、
図4Aに描かれたように、協働作業者120は、Y方向に合わせた方向に机130に横方向の力を加える。このとき、ロボットシステム100は、Y方向に移動することにより応じる。しかしながら、
図4Bに描かれたように、協働作業者120は、X成分およびY成分の両方を含む方向に机130に力を加える。このとき、ロボットシステム100は、協働作業者120によって机130に加えられた力に合わせた方向に移動することによって応じる。
【0044】
図4Bおよび
図4Cに描かれたように、協働作業者120によって机130に加えられた力(すなわち、ナビゲーショナルキュー)は、物体125との衝突コースに机130を導く。
【0045】
もう1つの態様では、ロボットシステム100は、環境内の物体と、ロボットシステム自体、協働作業者、共有ペイロード、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかとの間の衝突を避けるために協働作業者のナビゲーショナルキューを無視(override)する。
【0046】
図4A~
図4Dに描かれたように、ロボットシステム100は、近接センサ105A~105D、画像取込みデバイス108、またはこれらの組み合わせからのフィードバックに基づいてロボットシステム100、共有ペイロード、および協働作業者に対する周囲の環境の物体の位置をモニタする。
図4A~
図4Dに描かれた実施形態では、ロボットシステム100は、ロボットシステム100、共有ペイロード130、および協働作業者120の周りに保持された2つの仮想境界135および140に対して物体125の測定した位置を比較する。仮想境界135は、「ハード」境界と考えられ、すなわち、ロボットシステム100は、周囲の環境の物体が仮想境界135に入り込むことを認めるはずのいずれの位置へもナビゲートすべきではない。仮想境界140は、「ソフト」境界と考えられる、すなわち、ロボットシステム100は、仮想境界140内の周囲の環境の物体の侵入(penetration)を減らす位置へナビゲートすべきである。仮想境界135および140は、ロボットシステム100、共有ペイロード130、および協働作業者120からの所定のしきい値距離の値によって規定される。仮想境界140は、仮想境界135よりも大きなセットの所定のしきい値距離の値によって規定される。
【0047】
物体125が仮想境界140の外であることをロボットシステム100が判断するときには、ロボットシステム100は、障害物回避対策を取らない。これらのときには、ロボットシステム100は、荷重センサ104A~104Dによって測定されるような協働作業者120によって机130に加えられた力によって決定されるように、協働作業者120によって望まれる移動方向に沿って車輪付きロボット車両101を移動させる車輪付きロボット車両101の作動型車輪102A~102Dへコマンド信号を伝達する。これらのときには、ロボットシステム100の速度ベクトル、
【数1】
は、式(1)により示されたように、協働作業者120により指示されたような所望の速度ベクトル、
【数2】
に等しい。
【数3】
【0048】
しかしながら、物体125が仮想境界140を侵害(impinge)し始めると、ロボットシステム100は、違ったふうに振る舞う。むしろ、協働作業者120により提供されるナビゲーショナルキューに完全に従うよりも、ロボットシステム100は、物体125との衝突を避けるために望まれた経路を修正する。いくつかの実施形態では、式(2)により示されるような比例制御アルゴリズムが利用される、
【数4】
【0049】
ここでは、
【数5】
が協働作業者120により指示された所望の速度であり、d
OBが物体125と仮想境界135との間の最も近い距離であり、d
bufferが仮想境界140の中への物体125の最も深い侵害の場所における仮想境界135と140との間の距離であり、
【数6】
がロボットシステム100の経路を制御するためにロボットシステム100により実装される修正した速度ベクトルであり、
【数7】
が仮想境界135と140との間のバッファゾーンに当たる物体125の表面の法線に沿った単位ベクトルであり、そしてK
pが、一定値(すなわち、式(2)により示される制御法則に関係する比例ゲイン)である。一般に、K
pは、安定性を維持するためおよび仮想境界135によって規定される障害物までの最小の許容される距離よりも近くに物体125をロボットシステム100がナビゲートすることを可能にすることを避けるためにオーバーダンプされたシステム応答という結果になるように選択されるべきである。いくつかの実施形態では、d
bufferの値、すなわち、仮想境界135および140によって規定されるバッファゾーンの深さが、ベクトル、
【数8】
の方向にロボットシステム100の速度でスケーリングされる。このようにして、ロボットシステム100が比較的速い速度で物体125に近付いている場合には、バッファゾーンの深さは、物体125を迂回してナビゲートするための時間を提供するために大きくされる。同様に、ロボットシステム100が比較的遅い速度で物体125に近付いている場合には、バッファゾーンの深さは、協働作業者120により提供されるナビゲーショナルキューをロボットシステム100が無視せずに協働作業者120が物体125のより近くに机130を移動させることを可能にするために小さくされる。
【0050】
図5は、式(2)により示された制御法則を図示している。
図5に図示された事例において、物体125は、仮想境界140を侵害している。侵害の大きさは、バッファ距離、D
buffer、と、物体125と仮想境界135との間の距離、D
OB、との間の差で
ある。協働作業者120により指示された所望の速度、V
desired、は、物体125が仮想境界135と140との間のバッファゾーンを侵害する物体125の表面に垂直な方向、V
x、の成分および物体125が仮想境界135と140との間のバッファゾーンを侵害する物体125の表面に接する方向、V
y、の成分を含む。衝突を避けるためには、V
desiredのV
y成分は、重要ではない、しかしロボットシステム100は、例えば、式(2)に示された制御法則により示されるように、V
desiredのV
x成分を打ち消す修正した制御速度、V
mod、を決定する。
【0051】
図4Cおよび
図4Dに描かれたように、ロボットシステム100は、物体125から離れるようロボットシステム100および机130をナビゲートするために修正した制御速度を実行する。一般に、周囲の環境の物体、例えば、物体125、は、地面に対して静止していても動いていてもよい。
【0052】
図6は、本明細書において説明したような協働ロボットシステムによる実施のために適した方法300のフローチャートを図示している。いくつかの実施形態では、協働ロボットシステム100は、
図6に図示された方法300にしたがって動作可能である。しかしながら、一般に、方法300の実行は、
図1~
図5を参照して説明した協働ロボットシステム100の実施形態に限定されない。これらの図および対応する説明は、多くの他の実施形態および動作例がこの発明文書の範囲内で考えられるので例として提供される。
【0053】
ブロック301では、車輪付きロボット車両が用意される。車輪付きロボット車両は、協働作業者と共有されるペイロードを搬送するように構成されたペイロードプラットフォームを含む。
【0054】
ブロック302では、協働作業者によってペイロードに加えられた力が、1または複数の荷重センサから受信される力信号に基づいて決定される。
【0055】
ブロック303では、所望の移動方向が、協働作業者によりペイロードに加えられた決定した力から決定される。
【0056】
ブロック304では、協働作業者、ペイロード、および車輪付きロボット車両の周囲の環境内の物体と、車輪付きロボット車両、ペイロード、協働作業者、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかの周囲の空間バッファゾーンとの間の距離が、1または複数の近接センサから受信される信号に基づいて決定される。
【0057】
ブロック305では、物体と空間バッファゾーンとの間の距離が所定のしきい値よりも小さい場合、修正した移動方向が決定される。
【0058】
ブロック306では、コマンド信号が、修正した移動方向に沿って車輪付きロボット車両を移動させる、車輪付きロボット車両の1または複数の作動型車輪へ伝達される。修正した移動方向は、物体から離れるよう車輪付きロボット車両およびペイロードを動かす。
【0059】
計算システム200は、限定されないが、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、または本技術で知られているいずれかの他の計算デバイスを含み得る。一般に、「計算システム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1または複数のプロセッサを有する任意のデバイスまたは複数のデバイスの組み合わせを包含するように広く規定されてもよい。一般に、計算システム200は、ロボットシステム100などのロボットとともに集積されることがある、あるいは、いずれかのロボットから完全にまたは一部が分離されてもよい。この意味で、計算システム200は、遠隔地に設置されてもよく、そしてデータを受信することができ、ロボットシステム100のいずれかの構成要素へコマンド信号を送信することができる。
【0060】
1または複数の例示的な実施形態では、説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせに実装されることがある。ソフトウェアに実装される場合には、機能は、コンピュータ可読媒体に記憶されることがある、または1または複数の命令もしくはコードとしていたるところに送信されることがある。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの伝送を容易にするいずれかの媒体を含んでいる通信媒体の両方を含む。記録媒体を、汎用コンピュータまたは専用コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体とすることができる。例として、そして限定ではなく、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、あるいは命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコード手段を搬送するもしくは記憶するために使用することができそして汎用コンピュータもしくは専用コンピュータまたは汎用プロセッサもしくは専用プロセッサによりアクセスされ得る任意の他の媒体を含むことができる。また、任意の接続が、コンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚線対、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、そのときには、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚線対、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術が、媒体の定義に含まれる。ディスク(disk)およびディスク(disc)は、本明細書において使用されるように、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピディスク、およびブルーレイディスクを含み、ここでは、ディスク(disk)は通常磁気的にデータを再生し、一方でディスク(disc)はレーザを用いて光学的にデータを再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0061】
ある種の具体的な実施形態が教育的な目的で上に説明されているが、この特許文書の教示は、汎用的な適用可能性を有し、そして上に説明した具体的な実施形態に限定されない。したがって、説明した実施形態の様々な特徴の様々な変形、改造、および組み合わせを、特許請求の範囲に記述されたような発明の範囲から逸脱せずに実行することができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪付きロボット車両であって、
フレームに取り付けられた1または複数の作動型車輪と、
前記フレームに搭載された1または複数の荷重センサと、
協働作業者と共有されるペイロードを搬送するように構成されたペイロードプラットフォームであって、前記1または複数の荷重センサに結合されたペイロードプラットフォームと、
前記フレーム、前記ペイロードプラットフォーム、またはそれら両方に結合された1または複数の近接センサと、
を含む、車輪付きロボット車両と、
前記車輪付きロボット車両に通信可能に結合された計算システムであって、
前記1または複数の荷重センサから受信される力信号に基づいて、前記協働作業者によって前記ペイロードに加えられた力を決定し、
前記協働作業者により前記ペイロードに加えられた前記決定した力から所望の移動方向を決定し、
前記1または複数の近接センサから受信される信号に基づいて、前記協働作業者、前記ペイロード、および前記車輪付きロボット車両の周囲の環境内の物体と、前記車輪付きロボット車両、前記ペイロード、前記協働作業者、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかの周囲の空間バッファゾーンとの間の距離を決定し、
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が所定のしきい値よりも小さい場合、修正した移動方向を決定し、
前記修正した移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両の前記1または複数の作動型車輪へコマンド信号を伝達し、前記修正した移動方向が、前記物体から離れるよう前記車輪付きロボット車両および前記ペイロードを動かす、
ように構成される、計算システムと、
を備える、協働ロボットシステム。
【請求項2】
前記1または複数の荷重センサが、前記ペイロードプラットフォームの積荷搬送面に平行な方向の力を測定する、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項3】
前記環境内の前記物体は動いている、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項4】
1または複数の画像取込みデバイスをさらに備え、前記環境内の前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離を前記決定することが、前記1または複数の画像取込みデバイスから受信される画像情報にも基づく、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項5】
前記計算システムは、
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が前記所定のしきい値の値よりも大きい場合、前記所望の移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両の前記1または複数の作動型車輪へコマンド信号を伝達する
ようにさらに構成される、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【請求項6】
協働作業者と共有されるペイロードを搬送するように構成されたペイロードプラットフォームを有する車輪付きロボット車両を用意することと、
1または複数の荷重センサから受信される力信号に基づいて、前記協働作業者によって前記ペイロードに加えられた力を決定することと、
前記協働作業者によって前記ペイロードに加えられた前記決定した力から所望の移動方向を決定することと、
1または複数の近接センサから受信される信号に基づいて、前記協働作業者、前記ペイロード、および前記車輪付きロボット車両の周囲の環境内の物体と、前記車輪付きロボット車両、前記ペイロード、前記協働作業者、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかの周囲の空間バッファゾーンとの間の距離を決定することと、
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が所定のしきい値よりも小さい場合、修正した移動方向を決定することと、
前記修正した移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両の前記1または複数の作動型車輪へコマンド信号を伝達することであって、前記修正した移動方向が、前記物体から離れるよう前記車輪付きロボット車両および前記ペイロードを動かす、伝達することと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記1または複数の荷重センサが、前記ペイロードプラットフォームの積荷搬送面に平行な方向の力を測定する、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記環境内の前記物体は動いている、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記環境内の前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離を前記決定することが、1または複数の画像取込みデバイスから受信される画像情報にも基づく、請求項
6に記載の方法。
【請求項10】
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が前記所定のしきい値よりも大きい場合、前記所望の移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両へコマンド信号を伝達すること、
をさらに含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項11】
前記修正した移動方向を前記決定することが、前記空間バッファゾーンへの前記物体の侵害の大きさに基づく、請求項
6に記載の方法。
【請求項12】
車輪付きロボット車両であって、
フレームに取り付けられた1または複数の作動型車輪と、
前記フレームに搭載された1または複数の荷重センサと、
協働作業者と共有されるペイロードを搬送するように構成されたペイロードプラットフォームであって、前記1または複数の荷重センサに結合されたペイロードプラットフォームと、
前記フレーム、前記ペイロードプラットフォーム、またはそれら両方に結合された1または複数の近接センサと、
を含む、車輪付きロボット車両と、
命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令が計算システムよって実行されたときに前記計算システムに、
前記1または複数の荷重センサから受信される力信号に基づいて、前記協働作業者によって前記ペイロードに加えられた力を決定させ、
前記協働作業者により前記ペイロードに加えられた前記決定した力から所望の移動方向を決定させ、
前記1または複数の近接センサから受信される信号に基づいて、前記協働作業者、前記ペイロード、および前記車輪付きロボット車両の周囲の環境内の物体と、前記車輪付きロボット車両、前記ペイロード、前記協働作業者、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかの周囲の空間バッファゾーンとの間の距離を決定させ、
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が所定のしきい値よりも小さい場合、修正した移動方向を決定させ、
前記修正した移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両の前記1または複数の作動型車輪へコマンド信号を伝達させ、前記修正した移動方向が、前記物体から離れるよう前記車輪付きロボット車両および前記ペイロードを動かす、非一時的なコンピュータ可読媒体と、
を備える、協働ロボットシステム。
【請求項13】
前記1または複数の荷重センサが、前記ペイロードプラットフォームの積荷搬送面に平行な方向の力を測定する、請求項
12に記載の協働ロボットシステム。
【請求項14】
1または複数の画像取込みデバイスをさらに備え、前記環境内の前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離を前記決定することが、前記1または複数の画像取込みデバイスから受信される画像情報にも基づく、請求項
12に記載の協働ロボットシステム。
【請求項15】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、
命令が計算システムよって実行されたときに前記計算システムに、
前記物体と前記空間バッファゾーンとの間の前記距離が前記所定のしきい値よりも大きい場合、前記所望の移動方向に沿って前記車輪付きロボット車両を移動させる、前記車輪付きロボット車両の前記1または複数の作動型車輪へコマンド信号を伝達させる
前記命令をさらに記憶する、請求項1に記載の協働ロボットシステム。
【国際調査報告】