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特表2022-525052薄膜中に金属または金属酸化物を含むシリコン金属酸化物封止膜およびその製造方法
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  • 特表-薄膜中に金属または金属酸化物を含むシリコン金属酸化物封止膜およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】薄膜中に金属または金属酸化物を含むシリコン金属酸化物封止膜およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
H01L21/316 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553164
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 KR2020003156
(87)【国際公開番号】W WO2020184910
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0026707
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0027865
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514145604
【氏名又は名称】ディーエヌエフ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DNF Co. Ltd.
【住所又は居所原語表記】142 Daehwa-ro 132beon-gil, Daedeok-gu, Daejeon 306-802 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミョン ウン
(72)【発明者】
【氏名】リ,サン イク
(72)【発明者】
【氏名】チャン,セ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,スン ギ
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウォン ムク
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ア ラ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ビョン イル
(72)【発明者】
【氏名】パク,チュン チン
(72)【発明者】
【氏名】パク,クン チュ
(72)【発明者】
【氏名】リ,サム トン
(72)【発明者】
【氏名】リム,ヘン ドン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,サン ヨン
【テーマコード(参考)】
5F058
【Fターム(参考)】
5F058BA07
5F058BC02
5F058BC03
5F058BC04
5F058BF07
5F058BF26
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF37
(57)【要約】
本発明は、金属または金属酸化物を含むシリコン酸化物封止膜およびその製造方法に関し、本発明に係るシリコン金属酸化物封止膜は、高い薄膜成長率、および水分および酸素の浸透率が低いため、薄い厚さでも密封効果に非常に優れるだけでなく、応力強度および屈折率の調節が可能であるため、フレキシブルディスプレイに適用可能な高品質のシリコン金属酸化物封止膜を容易に製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式1で表されるシリコン金属酸化物封止膜。
[化学式1]
Sixyz
(前記化学式1中、
Mは金属であり、
xは0.1<x<1であり、
yは0<y<2であり、
zは1≦z≦3であり、
x+yは1<x+y<3であり、
x+y+zは1.5<x+y+z<6である。)
【請求項2】
ディスプレイOLED用封止膜である、請求項1に記載のシリコン金属酸化物封止膜。
【請求項3】
前記化学式1中、Mは周期律表上の1B族~5B族および3A族~4A族からなる群から選択される1種以上の金属である、請求項1に記載のシリコン金属酸化物封止膜。
【請求項4】
シリコン金属酸化物の全体含量に対して、金属原子の含有率が1~50at%以内で含まれる、請求項1に記載のシリコン金属酸化物封止膜。
【請求項5】
透湿度が1.0×10-2~1.0×10-6g/m2-dayである、請求項1に記載のシリコン金属酸化物封止膜。
【請求項6】
応力が-700~+700MPaであり、屈折率が1.0~10である、請求項1に記載のシリコン金属酸化物封止膜。
【請求項7】
含フッ素化合物、NF3、およびBCl3から選択される1種以上のエッチングガスによりドライエッチングが可能である、請求項1に記載のシリコン金属酸化物封止膜。
【請求項8】
厚さが50~700Åである、請求項1に記載のシリコン金属酸化物封止膜。
【請求項9】
原子層蒸着法(ALD)を用いて、化学式1で表されるシリコン金属酸化物封止膜の製造方法。
[化学式1]
Sixyz
(前記化学式1中、
Mは金属であり、
xは0.1<x<1であり、
yは0<y<2であり、
zは1≦z≦3であり、
x+yは1<x+y<3であり、
x+y+zは1.5<x+y+z<6である。)
【請求項10】
前記化学式1で表されるシリコン金属酸化物は、金属前駆体およびシリコン前駆体が同時に反応器内に流入されて製造される、請求項9に記載のシリコン金属酸化物封止膜の製造方法。
【請求項11】
前記シリコン前駆体は、Si-N結合を含む有機アミノシラン化合物である、請求項10に記載のシリコン金属酸化物封止膜の製造方法。
【請求項12】
前記金属前駆体は、周期律表の1B族~5B族および3A族~4A族から選択される1つ以上の金属元素を中心金属として含む有機金属化合物である、請求項10に記載のシリコン金属酸化物封止膜の製造方法。
【請求項13】
前記シリコン金属酸化物封止膜は、
反応器内に金属前駆体およびシリコン前駆体を同時に流入して基板に接触させるステップと、
反応ガスを基板に接触させて基板上にシリコン金属酸化物封止膜を製造するステップと、
を含む、請求項9に記載のシリコン金属酸化物封止膜の製造方法。
【請求項14】
前記原子層蒸着法(ALD)は、プラズマ強化ALD(PEALD)である、請求項9に記載のシリコン金属酸化物封止膜の製造方法。
【請求項15】
反応ガスは、O2、N2O、NO2、H2O、H22、およびO3から選択される1つまたは2つ以上である、請求項13に記載のシリコン金属酸化物封止膜の製造方法。
【請求項16】
基板と、下記化学式1で表される第1シリコン金属酸化物を含む第1層と、前記第1層上に位置し、架橋性高分子を含む第2層と、前記第2層上に位置し、下記化学式1で表される第2シリコン金属酸化物を含む第3層と、を含み、前記第1シリコン金属酸化物および第2シリコン金属酸化物は同じであるかまたは異なるOLED用多層薄膜。
[化学式1]
Sixyz
(前記化学式1中、
Mは金属であり、
xは0.1<x<1であり、
yは0<y<2であり、
zは1≦z≦3であり、
x+yは1<x+y<3であり、
x+y+zは1.5<x+y+z<6である。)
【請求項17】
前記基板は、フレキシブル透明基板である、請求項16に記載のOLED用多層薄膜。
【請求項18】
前記多層薄膜の曲率半径は2R以下である、請求項16に記載のOLED用多層薄膜。
【請求項19】
請求項1から8の何れか一項に記載のシリコン金属酸化物封止膜を含むOLED素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜中に金属または金属酸化物を含むシリコン酸化物封止膜およびその製造方法に関し、より詳しくは、シリコン前駆体および金属前駆体を用いて形成されるシリコン金属酸化物封止膜およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、有機半導体素子は、水分や酸素に脆弱であって、空気中の水分や酸素によって酸化されやすく、電気的特性が劣化する。よって、素子の封止工程の核心は水分と酸素からの遮断であり、パネルの寿命を左右する重要技術であるといえる。かかる封止技術は、大きく、ガラス/金属容器を用いる方法(Can、 glass encapsulation)、薄膜封止方法(TFE、thin film encapsulation)、そして薄膜およびガラス容器を同時に用いるハイブリッド封止方法(hybridencapsulation)の3つに分けることができ、各方法は、気体遮断性を有する金属またはガラス材質のカバーおよび吸湿剤(getter)を有する容器を用いる方式、素子の上層に有無機または無機多層薄膜によってバリア性(barrier property)を実現する面封止(face sealing)法と称し得る薄膜封止方式、そしてプラスチックバリアフィルム(barrier film)をカバーとして用い、パッシベーション(passivation)薄膜との間に接着層を位置させるハイブリッド方式で説明することができる。
【0003】
現在まで広く用いられているガラス/金属容器を用いる方法(Can、 glass encap)は、基板およびカバーで構成された2個のガラス(glass)の間に有機半導体素子を置き、ガラスパウダーをレーザで溶かして密封するか、またはUV接着剤を用いて密封する技術であって、最も良い封止特性を示しているが、素子中の不活性ガスにより熱伝導特性が悪く、大面積化に応じたガラス加工による費用が増加するという短所があり、柔軟性が求められるフレキシブルパネルに適用するにも多くの問題を有している状態である。
【0004】
かかるガラス封止技術(Can、 glass encapsulation)の短所を補うために、有機半導体素子の全面を、酸素や水分に高い遮断性を有するAl23のような無機層と、ポリマーの有機層とを薄膜として交互に積層し、多層封止膜を形成する薄膜封止方法(TFE、thin film encapsulation)が活発に研究されている。
【0005】
最近の研究では高い膜密度、優れた透過率特性を有する薄膜封止技術が開発されているが、多層封止膜の有機層の成分は紫外線硬化物質が大半であり、紫外線硬化を用いた有機封止膜は、溶液工程を用いるため、溶媒による特性低下により電気的特性および柔軟性が低下し、寿命が減少するという短所がある。また、無機物層からなる封止膜は、厚さを厚くして良い特性を確保することができるが、柔軟性が低下するという短所がある。
【0006】
かかる問題を補うために、薄い厚さでも大気中の水分や酸素の浸透を防止することができる、密封特性に優れながらも高い柔軟性を有する封止膜の製造方法に対する研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するために、金属および金属酸化物がドープされたシリコン金属酸化物封止膜を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明のシリコン金属酸化物封止膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するために、下記化学式1で表されるシリコン金属酸化物封止膜を提供する。
【0009】
[化学式1]
Sixyz
(前記化学式1中、
Mは金属であり、
xは0.1<x<1であり、
yは0<y<2であり、
zは1≦z≦3であり、
x+yは1<x+y<3であり、
x+y+zは1.5<x+y+z<6である。)
【0010】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜は、ディスプレイOLED用封止膜であってもよい。
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜において、前記化学式1のMは周期律表上の1B族~5B族および3A族~4A族からなる群から選択される1種以上の金属であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜は、シリコン金属酸化物の全体含量に対して金属原子の含有率が1~50at%以内で含まれてもよい。
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜において、透湿度は1.0×10-2~1.0×10-6g/m2-dayであってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜において、応力は-700~+700MPaであってもよい。
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜において、屈折率は1.0~10の範囲を有してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜は、含フッ素化合物、NF3、およびBCl3から選択される1種以上のエッチングガスによりドライエッチングが可能であってもよい。
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜において、薄膜の厚さは50~700Åであってもよい。
【0014】
本発明は、原子層蒸着法(ALD)を用いて、化学式1で表されるシリコン金属酸化物封止膜の製造方法を提供する。
【0015】
[化学式1]
Sixyz
(前記化学式1中、
Mは金属であり、
xは0.1<x<1であり、
yは0<y<2であり、
zは1≦z≦3であり、
x+yは1<x+y<3であり、
x+y+zは1.5<x+y+z<6である。)
【0016】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法は、金属前駆体およびシリコン前駆体を同時に反応器内に流入させて製造されてもよい。
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法は、シリコン前駆体がSi-N結合を含む有機アミノシラン化合物であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法は、金属前駆体が周期律表の1B族~5B族および3A族~4A族から選択される1つ以上の金属元素を中心金属として含む有機金属化合物であってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法は、
金属前駆体およびシリコン前駆体を反応器内に同時に流入して基板に接触させるステップと、
反応ガスを基板に接触させて基板上にシリコン金属酸化物封止膜を製造するステップと、
を含んでもよい。
【0019】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法において、原子層蒸着法(ALD)は、プラズマ強化ALD(PEALD)であってもよい。
本発明の一実施形態に係る反応ガスは、O2、N2O、NO2、H2O、H22、およびO3から選択される1つまたは2つ以上であってもよい。
【0020】
本発明は、基板と、下記化学式1で表される第1シリコン金属酸化物を含む第1層と、前記第1層上に位置し、架橋性高分子を含む第2層と、前記第2層上に位置し、化学式1で表される第2シリコン金属酸化物を含む第3層と、を含むOLED用多層薄膜を提供する。
【0021】
[化学式1]
Sixyz
(前記化学式1中、
Mは金属であり、
xは0.1<x<1であり、
yは0<y<2であり、
zは1≦z≦3であり、
x+yは1<x+y<3であり、
x+y+zは1.5<x+y+z<6である。)
【0022】
本発明の一実施形態に係るOLED用多層薄膜は、フレキシブル透明基板であってもよい。
本発明の一実施形態に係るOLED用多層薄膜は、曲率半径が2R以下であってもよい。
本発明は、上述したシリコン金属酸化物封止膜を含むOLED素子を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明のシリコン金属酸化物封止膜は、薄膜の密度が非常に高いため、薄い厚さでも外部から浸透する水分および酸素を遮断する密封特性に非常に優れる。
また、本発明のシリコン金属酸化物封止膜は、屈折率の調節が容易であるため、光学的特性の調節が可能であり、また、応力の調節が容易であるため、フレキシブルディスプレイ用基板に適用できるという長所がある。
【0024】
また、本発明に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法は、高い薄膜成長率を有し、金属または金属酸化物を含んで蒸着時、ドライエッチング速度の調節を通じてパーティクル除去およびドライクリーニングが容易であるため、工程時間の短縮により生産性を増加させるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】比較例1~3のシリコン酸化物封止膜または金属酸化物封止膜、および実施例1~3で製造されたシリコン金属酸化物封止膜の透過率を示したグラフである。
図2】実施例4~9で製造されたシリコン金属酸化物封止膜の透過率を示したグラフである。
図3】実施例10~12で製造されたシリコン金属酸化物封止膜の透過率を示したグラフである。
図4】比較例1~3のシリコン酸化物封止膜または金属酸化物封止膜、および実施例1~3で製造されたシリコン金属酸化物封止膜の水蒸気透過度を示したグラフである。
図5】実施例4~9で製造されたシリコン金属酸化物封止膜の水蒸気透過度を示したグラフである。
図6】実施例10~12で製造されたシリコン金属酸化物封止膜の水蒸気透過度を示したグラフである。
図7】本発明の実施例7~12で製造されたシリコン金属酸化物封止膜の屈折率に対する金属含量を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の金属または金属酸化物がドープされて含むシリコン金属酸化物封止膜を詳しく説明する。この際、用いられる技術用語および科学用語において他の定義がなければ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明および添付図面において、本発明の要旨を不要に濁す恐れがある公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0027】
本発明は、下記化学式1で表されるシリコン金属酸化物封止膜を提供する。
[化学式1]
Sixyz
(前記化学式1中、
Mは金属であり、
xは0.1<x<1であり、
yは0<y<2であり、
zは1≦z≦3であり、
x+yは1<x+y<3であり、
x+y+zは1.5<x+y+z<6である。)
【0028】
前記化学式1で表されるシリコン金属酸化物封止膜は、金属または金属酸化物を含むシリコン酸化物封止膜であり、好ましくは、シリコン酸化物封止膜に金属または金属酸化物がドープされたものであってもよい。
【0029】
好ましくは、前記化学式1中、Mは金属であり、xは0.3<x<1であり、yは0.05<y<2であり、zは1.6≦z≦2.7であり、x+yは1<x+y<2であり、x+y+zは2.5<x+y+z≦5.0であってもよい。本発明のシリコン金属酸化物封止膜は、金属または金属酸化物が含まれることで、透湿度に優れるだけでなく、透過率、屈折率、および柔軟性にも優れるため、従来のシリコン酸化物封止膜に比べて向上した物性を有する。
【0030】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物は、前記化学式1中、Mが周期律表上の1B族~5B族および3A族~4A族からなる群から選択される1種以上の金属元素であってもよく、好ましくは、Ti、Zr、Hf、Al、Ga、In、Sn、Pb、V、Cu、Ag、Nb、Zn、およびCdから選択される1つまたは2つ以上であってもよく、より好ましくは、Zr、Hf、Al、Sn、およびZnから選択される1つまたは2つ以上の金属であってもよい。
【0031】
本発明に係るシリコン金属酸化物封止膜の好ましい態様により、前記金属元素がシリコン酸化物にドープされたシリコン金属酸化物封止膜は、より優れた効果を有するための面で、好ましくは、シリコン金属酸化物の全体含量に対して、金属原子の含有率が1~50at%以内、より好ましくは1~40at%、さらに好ましくは3~40at%で含まれてもよい。上記のようにシリコン酸化物にドープされる金属含量の範囲を満たす場合、前記シリコン金属酸化物封止膜が薄い厚さを有するにもかかわらず、優れたWVTR(Water Vapor Transmission Rate)を達成することができ、シリコン酸化物の非結晶性が維持され、基板に適用時に結晶粒界(grain boundary)が形成されない。また、封止膜が薄い厚さを有し、実質的に結晶粒界が封止膜に含まれないことにより、フレキシブル基板が繰り返し折り畳まれても、フレキシブル基板上に形成された封止膜は、損傷せずに優れた耐久性を有することができる。
【0032】
本発明の好ましい態様に係るシリコン金属酸化物封止膜は、含フッ素化合物、NF3、およびBCl3から選択される1種以上のエッチングガスを用いてドライエッチングが可能であってもよい。
【0033】
本発明の好ましい態様に係るシリコン金属酸化物封止膜のエッチングに用いられるガスは、炭素およびフッ素を含有したガスであるCxy系(x=1~5、y=4~12の整数)ガス、Cxyz系(x=1~5、y=1~4、z=2~10の整数、y+z=2x+2)のHFC(hydrofluorocarbon)ガス、HFE(hydrofluoro ether)ガス、IFC(iodine fluorinated carbon)ガス、NF3ガス、およびBCl3ガスを単独でまたはこれらの組み合わせからなる混合ガスであってもよい。好ましくは、エッチングに用いられるガスは、含フッ素化合物、特に過フッ素化合物(ペルフルオロシクロアルカン)、NF3、およびBCl3から選択される単独またはこれらの混合ガスであってもよい。前記エッチングガスを用いる場合、シリコン金属酸化物封止膜においてドライエッチング速度を調節することができるため、ドライクリーニングが可能であるだけでなく、パーティクル除去が非常に容易である。
【0034】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物は、金属前駆体に応じた金属含量の変更により、視野角、乱反射の防止、および色表現率のような光学的特性の調節が可能であり、1.0~10の範囲に屈折率を調節してもよく、好ましくは、屈折率は1.0~5.0、より好ましくは1.0~2.0、さらに好ましくは1.4~1.9の範囲であってもよい。
【0035】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜は、厚さが50~700Å、好ましくは50~400Åであってもよく、この際、透湿度は1.0×10-2~1.0×10-6g/m2-day、好ましくは1.0×10-2~1.0×10-5g/m2-dayであってもよい。
【0036】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜は、応力強度が圧縮(compressive)または引張(tensile)の形態を包括できる-700~+700MPa、好ましくは-500~+500MPa、より好ましくは-200~+200MPaであってもよい。前記範囲の応力調節を通じて、フレキシブルディスプレイにおいて、フレキシブルな基板により折り畳みや曲げによって発生する破壊を防止可能な柔軟性を確保することができる。
【0037】
本発明の好ましい態様により、シリコン金属酸化物封止膜は、フレキシブルディスプレイ装置に適用されてもよく、好ましくは、ディスプレイOLED用封止膜であってもよい。
【0038】
本発明の好ましい態様により、前記シリコン金属酸化物封止膜を含む場合、金属の含量範囲に応じて応力強度および屈折率の調節が容易であるため、有機物および無機物を繰り返し積んで非常に厚く形成される従来の有無機多層薄膜を代替することができる。すなわち、多層薄膜を本発明に係る1つのシリコン金属酸化物層に代替することで、薄膜封止工程を画期的に短縮できるだけでなく、非常に薄いながらも光学的特性および柔軟性を確保することができるため、フレキシブルOLEDのようなフレキシブルディスプレイに非常に好適な封止技術として高い応用可能性を有することができる。
【0039】
本発明は、原子層蒸着法(ALD)を用いて、下記化学式1で表されるシリコン金属酸化物封止膜の製造方法を提供する。好ましく且つ具体的な例として、原子層蒸着法(ALD)は、薄膜蒸着がさらに容易であり、製造された封止膜が優れた特性を有するための面で、プラズマ強化ALD(PEALD)であってもよい。
【0040】
[化学式1]
Sixyz
(前記化学式1中、
Mは金属であり、
xは0.1<x<1であり、
yは0<y<2であり、
zは1≦z≦3であり、
x+yは1<x+y<3であり、
x+y+zは1.5<x+y+z<6である。)
【0041】
本発明の一実施形態に係る製造方法において、前記化学式1で表されるシリコン金属酸化物封止膜は、金属前駆体およびシリコン前駆体を反応器内に同時に流入させて製造されてもよい。
【0042】
前記シリコン前駆体は、Si-N結合を含む有機アミノシラン化合物であり、好ましくは、(C1-C10)アルキルアミノシラン、より好ましくは、(C1-C6)アルキルアミノシラン、さらに好ましくは、(C1-C3)アルキルアミノシランであることが良い。本発明のアルキルは、直鎖または分岐鎖の何れも可能である。また、本発明のアルキルアミノシランは、トリアルキルアミノシラン、ジアルキルアミノシラン、またはモノアルキルアミノシランを何れも含み、好ましくは、ジ(C1-C6)アルキルアミノシラン、より好ましくは、ジ(C1-C3)アルキルアミノシランであってもよい。また、前記金属前駆体は、周期律表の1B族~5B族および3A族~4A族から選択される1つ以上の金属を含む有機金属化合物であり、好ましくは、Ti、Zr、Hf、Al、Ga、In、Sn、Pb、V、Cu、Ag、Nb、Zn、およびCdから選択される1つ以上の金属元素、より好ましくは、Zr、Hf、Al、Sn、およびZnから選択される1つ以上の金属元素を中心金属とする有機金属前駆体であることが良い。
【0043】
本発明の一実施形態に係る有機金属前駆体は、下記化学式2で表されてもよい。
【0044】
[化学式2]
(化学式2中、
1~R5は、互いに独立して、水素、または(C1-C3)アルキルであり;
11~R13は、互いに独立して、シクロペンタジエニル、カルボニル、(C1-C4)アルキル、(C3-C5)アリル、(C2-C4)アルケニルである。)
【0045】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法において、蒸着対象基材が内部に位置するチャンバに、金属前駆体およびシリコン前駆体を供給する前、供給する間、または供給した後に、含酸素ガス、含窒素ガス、含炭素ガス、またはこれらの混合ガスである反応ガスがチャンバに供給されてもよい。反応ガスは、製造しようとするシリコン金属酸化物封止膜の物質を考慮し、通常、金属前駆体およびシリコン前駆体とともに用いられるガスであればよく、具体的な一例として、含酸素ガスは、酸素(O2)、オゾン(O3)、蒸留水(H2O)、または過酸化水素(H22)などであってもよく、含窒素ガスは、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N2O)、二酸化窒素(NO2)、アンモニア(NH3)、窒素(N2)、ヒドラジン(N24)、または第3ブチルヒドラジン(C4122)などのヒドラジン誘導体であってもよく、含炭素ガスは、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、C1~C12の飽和または不飽和炭化水素などであってもよいが、これは一例にすぎず、これに制限されない。また、前記反応ガスは窒素、ヘリウム、またはアルゴンなどの不活性ガスと混合して用いられてもよく、その他の反応ガスとして水素が用いられてもよい。
【0046】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法において、プラズマ強化ALDは、前駆体の投入、前駆体パージ、プラズマおよび反応ガスの投入、反応ガスパージの4ステップを1周期として含む。前記1周期に蒸着時間が0.5~5.0秒未満であってもよく、蒸着対象基材の温度が20~150℃未満であってもよい。
【0047】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法において、金属前駆体およびシリコン前駆体は同時に供給され、反応ガスは、前駆体の供給とともに供給されてもよく、前駆体の供給とは独立にチャンバに供給されてもよい。また、反応ガスは、それぞれ連続的にまたは不連続的にチャンバに供給されてもよく、不連続的な供給は、パルス(pulse)形態を含んでもよい。また、反応ガスは、プラズマによって活性化された状態であってもよい。この際、上述したように、プラズマによって活性化された反応ガスは、含酸素ガス、含窒素ガス、またはこれらの混合ガスがプラズマによって活性化されたものであってもよく、具体的に、酸素(O2)、オゾン(O3)、蒸留水(H2O)、過酸化水素(H22)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N2O)、および二酸化窒素(NO2)から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合ガスが活性化されたものであってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0048】
具体的に、本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法は、a)チャンバ内に位置する蒸着対象基材(基板)を蒸着温度に加熱および維持するステップと、b)金属前駆体およびシリコン前駆体を反応器内に同時に投入するステップと、c)反応器内に流入された金属前駆体およびシリコン前駆体を基板に接触させて前記蒸着対象基材(基板)に吸着させるステップと、d)金属または金属酸化物が含まれたシリコンが吸着された蒸着対象基材に反応ガスを注入してシリコン金属酸化物封止膜を形成するステップと、を含んでもよい。
【0049】
より具体的に、前記b)ステップにおいて、金属前駆体およびシリコン前駆体は同時に供給されてもよい。この際、b)ステップまたはc)ステップの後、チャンバ内に不活性ガスを供給してパージ(purging)するステップがさらに行われてもよいことはいうまでもない。
【0050】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法は、目的とする薄膜の構造または熱的特性に応じて蒸着条件が調節されてもよい。具体的に、蒸着条件としては、金属前駆体およびシリコン前駆体の投入流量、反応ガス、キャリアガスの投入流量、圧力、蒸着対象基材の温度などを例示することができる。かかる蒸着条件の非限定的な一例としては、金属前駆体の投入流量は10~1000cc/min、キャリアガスは10~1000cc/min、反応ガスの流量は1~1500cc/min、圧力は0.5~10torr、および蒸着対象基材の温度は10~200℃の範囲、具体的には20~150℃未満の範囲に調節されてもよいが、これに限定されるものではない。さらに、有利な一例により、反応ガスがプラズマによって活性化された状態である場合、すなわち、プラズマ強化ALD(PEALD)を用いて蒸着が行われる場合、RFパワーは50~1000Wであってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0051】
本発明の一実施形態に係るシリコン金属酸化物封止膜の製造方法に用いられる蒸着対象基材は、Si、Ge、SiGe、GaP、GaAs、SiC、SiGeC、InAs、およびInPのうち1つ以上の半導体材料を含む半導体基板;SOI(Silicon On Insulator)基板;石英基板;またはディスプレイ用ガラス基板;ポリイミド(polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PolyEthyleneTerephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN、PolyEthyleneNaphthalate)、ポリメチルメタクリレート(PMMA、PolyMethylMethAcrylate)、ポリカーボネート(PC、PolyCarbonate)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエステル(Polyester)などのフレキシブルプラスチック基材;などであってもよいが、これに限定されるものではない。具体的且つ好ましい基材の一例としては、折り畳み(folding)特性を有してもよいフォルダブル(foldable)基材であってもよく、より具体的には、適宜の厚さを有する高分子フィルムであってもよい。前記高分子としては、ポリイミド(polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PolyEthylene Terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN、PolyEthyleneNaphthalate)、ポリメチルメタクリレート(PMMA、PolyMethylMethAcrylate)、ポリカーボネート(PC、PolyCarbonate)、ポリエーテルスルホン(PES)、またはポリエステル(Polyester)などの高分子であってもよい。
【0052】
また、前記シリコン金属酸化物は、蒸着対象基材に直ちに接して薄膜に直接形成されてもよく、また、蒸着対象基材と前記シリコン金属酸化物薄膜との間に多数の導電層、誘電層、または絶縁層などが介在してもよい。
【0053】
また、本発明は、OLED用多層薄膜を提供し、前記OLED用多層薄膜は、基板と、下記化学式1で表される第1シリコン金属酸化物を含む第1層と、前記第1層上に位置し、高分子を含む第2層と、前記第2層上に位置し、化学式1で表される第2シリコン金属酸化物を含む第3層と、を含む。
【0054】
[化学式1]
Sixyz
(前記化学式1中、
Mは金属であり、
xは0.1<x<1であり、
yは0<y<2であり、
zは1≦z≦3であり、
x+yは1<x+y<3であり、
x+y+zは1.5<x+y+z<6である。)
【0055】
前記第1シリコン金属酸化物および第2シリコン金属酸化物は同じであるかまたは異なってもよい。前記第1シリコン金属酸化物と第2シリコン金属酸化物が異なる場合、前記化学式1中、x、y、z値は互いに異なる値を有することを意味する。
【0056】
前記第2層の高分子は架橋性高分子であってもよく、前記多層薄膜は公知の硬化条件下で架橋され、前記第2層の架橋性高分子が硬化した架橋高分子であってもよい。
【0057】
本発明の一実施形態に係る第2層の高分子は、制限されるものではないが、ポリイミド系ブロック共重合体であってもよく、ポリイミド系ブロック共重合体は、100,000~5,000,000g/mol、好ましくは200,000~1,000,000g/mol、より好ましくは300,000~750,000g/mol、さらに好ましくは500,000~650,000g/molの重量平均分子量を有してもよい。本発明の一実施形態に係るポリイミド系ブロック共重合体フィルムは、前記ポリイミド系ブロック共重合体を用いて、乾式法、湿式法のような通常の方法により製造されてもよい。一例として、ポリイミド系ブロック共重合体フィルムは、前記共重合体を含む溶液を任意の支持体上にコーティングして膜を形成し、前記膜から溶媒を蒸発させて乾燥する方法により得られてもよく、必要に応じて延伸および熱処理が行われてもよい。
【0058】
本発明の一実施形態に係る第2層の高分子がポリイミド系ブロック共重合体フィルムであることにより、無色透明でありながらも優れた機械的物性を示すことができる。本発明の好ましい態様に係るOLED用多層薄膜は、フレキシブル多層薄膜であってもよく、有利な一態様としてフォルダブル(foldable)多層薄膜であってもよい。前記OLED用多層薄膜がフォルダブル特性を有する際、前記OLED用多層薄膜の曲率半径は3R以下、好ましくは2R以下であってもよく、好ましくはR超過~2R以下であってもよい。
【0059】
また、本発明は、前記化学式1で表されるシリコン金属酸化物封止膜を含むOLED素子を提供する。
【0060】
以下、本発明を下記の実施例によりさらに具体的に説明する。これに先立ち、本明細書および請求範囲で用いられた用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0061】
したがって、本明細書に記載された実施例および図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例にすぎず、本発明の技術的な思想を全て代弁するものではないため、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物および変形例が存在することを理解しなければならない。
【0062】
また、以下の全ての実施例は、商用化されたシャワーヘッド方式の200mmシングルウェハタイプ(single wafer type)のALD装置(CN1、Atomic Premium)を用いて、公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いて行った。また、商用化されたシャワーヘッド方式の200mmシングルウェハタイプ(single wafer type)のCVD(PECVD)装置(CN1、Atomic Premium)を用いて、公知のプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)を用いて行うことができる。
【0063】
蒸着されたシリコン金属酸化物封止膜は、エリプソメータ(Ellipsometer、OPTI-PROBE 2600、 THERMA-WAVE)を用いて厚さを測定し、赤外線分光器(Infrared Spectroscopy、IFS66V/S & Hyperion 3000、 Bruker Optics)、X-線光電子分光分析器(X-ray photoelectron spectroscopy)、透湿度測定器(Water Vapor Transmission Rate(WVTR、 MOCON、 Aquatran 2))を用い、測定時に用いた窒素の量は20ml/min・Airであり、透湿測定面積は50cm2に設定した。ドライエッチングはシリコン金属酸化物薄膜を形成した後に進行し、ドライエッチング速度はプラズマエッチング装置(Exelan HPT、 Lam research)を用いて通常のプラズマエッチング方法により進行した。この際、エッチングガスはC48(ペルフルオロシクロブタン)を含む混合ガスであり、温度は20℃、駆動圧力は70mTorr、プラズマパワーは上端250/下端250Wに設定した。応力の測定は応力測定器(Frontier Semiconductor、 FSM500TC)を用い、測定面積は160mm、シリコンウェハの厚さは0.725μmに設定し、薄膜特性を分析した。
【0064】
[実施例1]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはシクロペンタジエニルトリ(ジメチルアミノ)ジルコニウムを用い、シリコン前駆体は1.84×10-4Mol/秒で投入し、ジルコニウム前駆体は9.09×10-7Mol/秒で投入してシリコンジルコニウム酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は136サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0065】
蒸着した封止膜は、エリプソメータ(Ellipsometer)を介して厚さを測定し、赤外線分光光度計を用いてシリコン金属酸化物封止膜の形成を分析し、X-線光電子分光器を用いてシリコン金属酸化物封止膜の組成を分析し、表2に示した。また、プラズマエッチング装置を用いてシリコン金属酸化物封止膜のドライエッチング速度を測定し、応力測定器を用いてシリコン金属酸化物封止膜の応力を分析し、封止膜の水蒸気透過度の測定のために水分浸透評価装置を用いて透湿度を測定した。以下、表3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図1に赤外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図4に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0066】
[実施例2]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはシクロペンタジエニルトリ(ジメチルアミノ)ジルコニウムを用い、シリコン前駆体は1.84×10-4Mol/秒で投入し、ジルコニウム前駆体は1.82×10-6Mol/秒で投入してシリコンジルコニウム酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は116サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0067】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図1に赤外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図4に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0068】
[実施例3]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはシクロペンタジエニルトリ(ジメチルアミノ)ジルコニウムを用い、シリコン前駆体は1.84×10-4Mol/秒で投入し、ジルコニウム前駆体は3.64×10-6Mol/秒で投入してシリコンジルコニウム酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は112サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0069】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図1に赤外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図4に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0070】
[実施例4]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはトリメチルアルミニウムを用い、シリコン前駆体は1.84×10-4Mol/秒で投入し、アルミニウム前駆体は3.83×10-5Mol/秒で投入してシリコンアルミニウム酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は125サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0071】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図2に赤外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図5に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0072】
[実施例5]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはトリメチルアルミニウムを用い、シリコン前駆体は1.84×10-4Mol/秒で投入し、アルミニウム前駆体は5.1×10-5Mol/秒で投入してシリコンアルミニウム酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は125サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0073】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図2に赤外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図5に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0074】
[実施例6]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはトリメチルアルミニウムを用い、シリコン前駆体は1.84×10-4Mol/秒で投入し、アルミニウム前駆体は6.38×10-5Mol/秒で投入してシリコンアルミニウム酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は105サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0075】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図2に赤外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図5に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0076】
[実施例7]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはジメチルビス(ジメチルアミノ)スズを用い、シリコン前駆体は1.84×10-4Mol/秒で投入し、スズ前駆体は5.23×10-7Mol/秒で投入してシリコンスズ酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は140サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0077】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図2に赤外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図5に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0078】
[実施例8]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはジメチルビス(ジメチルアミノ)スズを用い、シリコン前駆体は1.84×10-4Mol/秒で投入し、スズ前駆体は3.38×10-6Mol/秒で投入してシリコンスズ酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は133サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0079】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図2に紫外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図5に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0080】
[実施例9]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはジメチルビス(ジメチルアミノ)スズを用い、シリコン前駆体は1.84×10-4Mol/秒で投入し、スズ前駆体は6.75×10-6Mol/秒で投入してシリコンスズ酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は133サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0081】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図2に紫外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図5に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0082】
[実施例10]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはジメチルビス(ジメチルアミノ)スズを用い、シリコン前駆体は1.84×10-4Mol/秒で投入し、スズ前駆体は9.15×10-6Mol/秒で投入してシリコンスズ酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は130サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0083】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図3に紫外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図6に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0084】
[実施例11]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはジメチルビス(ジメチルアミノ)スズを用い、シリコン前駆体は5.52×10-5Mol/秒で投入し、スズ前駆体は9.15×10-6Mol/秒で投入してシリコンスズ酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は125サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0085】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図3に紫外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図6に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0086】
[実施例12]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン金属酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、金属前駆体としてはジメチルビス(ジメチルアミノ)スズを用い、シリコン前駆体は1.97×10-5Mol/秒で投入し、スズ前駆体は1.31×10-5Mol/秒で投入し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は125サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0087】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図3に紫外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図6に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0088】
[比較例1]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはビス(ジメチルアミノメチルシリル)アミンを用い、シリコン前駆体を1.84×10-4Mol/秒で投入してシリコン酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は370サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0089】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン酸化物封止膜の分析結果を示し、図1に赤外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図1に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を図4に示した。
【0090】
[比較例2]プラズマ強化ALD(PEALD)によるシリコン酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、シリコン酸化物封止膜の形成のために、シリコン前駆体としてはジイソプロピルアミノシランを用い、シリコン前駆体を5.66×10-4Mol/秒で投入してシリコン酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は608サイクルを進行し、表1に具体的なシリコン酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0091】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的なシリコン酸化物封止膜の分析結果を示し、図1に赤外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図4に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0092】
[比較例3]プラズマ原子層蒸着法(PEALD)による金属酸化物封止膜の製造
公知のプラズマ強化ALD(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置において、金属酸化物封止膜の形成のために、金属前駆体としてはジメチルビス(ジメチルアミノ)スズを用い、スズ前駆体を3.38×10-6Mol/秒で投入してスズ酸化物封止膜を製造し、成膜評価を行った。反応ガスとしてはプラズマとともに亜酸化窒素(N2O)を用い、不活性ガスであるアルゴンはパージの目的で用いた。蒸着回数は241サイクルを進行し、表1に具体的な金属酸化物封止膜の蒸着方法を示した。
【0093】
蒸着した封止膜は実施例1と同様の分析方法により進行し、以下、表2および3に具体的な金属酸化物封止膜の分析結果を示し、図1に赤外線分光器を用いて測定した、蒸着された膜の透過率を示し、図4に透湿度測定器を用いて水蒸気透過度を測定した分析結果を示した。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
表1および表2から分かるように、実施例1~12の蒸着速度は、総蒸着時間を基準に分当たり83.6~114Åであり、蒸着サイクルを基準に2.09~2.85Å/Cycleであり、比較例1~3の蒸着速度は、総蒸着時間を基準に分当たり46~78Åであり、蒸着サイクルを基準に1.15~1.95Å/Cycleの範囲を有することが明らかになった。これは、実施例1~12が比較例1~3よりも最小1.1倍から最大2.5倍以上の優れた蒸着速度で薄膜が蒸着されることが分かり、最大値である実施例6に比べ、比較例1の蒸着速度は、蒸着時間を基準に分当たり36Å、蒸着サイクルを基準に0.90Å/cycle以上低いことを確認することができた。
【0098】
また、実施例1~3の屈折率はそれぞれ1.49、1.51、および1.53であり、実施例4~6の屈折率は何れも1.49であり、実施例7~12は1.52および1.88であり、比較例1~3の屈折率はそれぞれ1.48、1.48、および2.20であった。これは、実施例7~12の屈折率対金属含量を、図5で示したように同一金属を含んでいる際には、金属の含量が多いほど、高い屈折率が形成されることが分かり、金属の種類だけでなく、金属含量の変更によっても屈折率を調節可能であることを確認することができた。
【0099】
また、実施例1~実施例12の薄膜厚さが292~336Åである際、-662~192MPaの膜の応力を有することを確認することができ、薄膜厚さが298Åである際、7.05×10-4g/[m2-day]の顕著に低い透湿力を有することが分かった。
【0100】
さらに、実施例1~12の比較例1~3よりも顕著に優れた密封特性は図1~4から分かるように、比較例1~3に比べて実施例1~実施例12のシリコン金属酸化物封止膜が高い可視光線透過率を有していることを図1および2から確認し、図3および4に示されたように、薄膜厚さが700Åである比較例1~2よりも顕著に薄い厚さである300Åの実施例8が14倍以上低い透湿力を有することを確認することができた。
【0101】
これは、実施例1~8のシリコン金属酸化物封止膜が比較例1~3のシリコンまたは金属酸化物封止膜よりも薄膜成長率および低透湿度に顕著に優れるだけでなく、屈折率およびエッチング速度の調節が可能であり、応力の調節に応じた高い柔軟性の確保が容易であるため、フレキシブル基板が適用されたフレキシブルディスプレイ用封止膜として非常に優れた特性を有し得ることを確認した。
【0102】
すなわち、本発明により化学式1で表されるシリコン金属酸化物封止膜を含む場合、薄い厚さで低い透湿度を有する高品質のシリコン金属酸化物封止膜が驚くべき速い速度で形成されることが分かり、ドライエッチング速度に優れており、シリコン酸化物の蒸着時に発生するパーティクルを除去するのに容易であり、従来の金属酸化物の蒸着時に発生するクリーニングの難しさを克服することができるため、工程生産性を顕著に向上させることができる。
【0103】
また、本発明のシリコン金属酸化物封止膜は、金属含有量に応じて応力強度および屈折率を調節することができるため、有機物-無機物を繰り返し積んで非常に厚く形成される従来の薄膜封止工程を画期的に短縮できるだけでなく、非常に薄いながらも光学的特性および柔軟性を確保することができるため、フレキシブルディスプレイに好適な封止技術として非常に高い応用可能性を有することを確認した。
【0104】
[実験1]耐折強度の測定
実施例1~12および比較例1~3の封止膜に対し、ASTM規格D2176-16に準じて、MITタイプの耐折強度試験器(folding endurance tester)を用いて耐折強度を評価した。
【0105】
フィルムの試験片(1cm×7cm)を耐折強度試験器にロードし、試験片の左側と右側から、175rpmの速度で135°の角度、0.8mmの曲率半径、および250gの荷重で曲げて破断するまでの往復曲げ回数(cycle)を測定し、下記表4に示した。
【0106】
【表4】
【0107】
表4に示されているように、本発明のシリコン金属酸化物封止膜が比較例1~3の封止膜に比べて顕著に向上した耐折強度を有することが分かる。
【0108】
以上、特定の事項と限定された実施形態および図面により本発明を説明したが、これは、本発明のより全般的な理解のために提供されたものにすぎず、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形が可能である。
【0109】
したがって、本発明の思想は、説明された実施形態に限定されて決まってはならず、後述の特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的変形を有するものは、何れも本発明の思想の範囲に属するといえる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
蒸着されたシリコン金属酸化物封止膜は、エリプソメータ(Ellipsometer、OPTI-PROBE 2600、 THERMA-WAVE)を用いて厚さを測定し、赤外線分光器(Infrared Spectroscopy、IFS66V/S & Hyperion 3000、 Bruker Optics)、X-線光電子分光分析器(X-ray photoelectron spectroscopy)、透湿度測定器(Water Vapor Transmission Rate(WVTR、 MOCON、 Aquatran 2))を用い、測定時に用いた窒素の量は20ml/min・Airであり、透湿測定面積は50cm2に設定した。ドライエッチングはシリコン金属酸化物薄膜を形成した後に進行し、ドライエッチング速度はプラズマエッチング装置(Exelan HPT、 Lam research)を用いて通常のプラズマエッチング方法により進行した。この際、エッチングガスはC48(ペルフルオロシクロブタン)を含む混合ガスであり、温度は20℃、駆動圧力は70mTorr、プラズマパワーは上端250/下端250Wに設定した。応力の測定は応力測定器(Frontier Semiconductor、 FSM500TC)を用い、測定面積は160m 2 シリコンウェハの厚さは0.725μmに設定し、薄膜特性を分析した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
【表2】
【国際調査報告】