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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/20 20200101AFI20220428BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20220428BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20220428BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20220428BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A24F40/20
A24F40/465
A24F40/42
A24D1/20
A24D1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554580
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-10-27
(86)【国際出願番号】 GB2020050601
(87)【国際公開番号】W WO2020183167
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】1903264.8
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヘップワース, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】オースティン, マーク
(72)【発明者】
【氏名】テイラー, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】トラーニ, マリーナ
(72)【発明者】
【氏名】アシュラフ, ムハンマド ファヒム
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B045AB11
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB22
4B162AC12
4B162AC14
4B162AC22
(57)【要約】
不燃式エアロゾル供給システムが、19mmより大きい円周を有するエアロゾル生成材料のロッドを備える物品と、物品のエアロゾル生成材料を加熱するための不燃式エアロゾル供給デバイスとを含み、不燃式エアロゾル供給デバイスは、コイルを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
19mmより大きい円周を有するエアロゾル生成材料のロッドを備える物品と、
前記物品の前記エアロゾル生成材料を加熱するための不燃式エアロゾル供給デバイスとを備え、前記不燃式エアロゾル供給デバイスがコイルを備える、
不燃式エアロゾル供給システム。
【請求項2】
前記エアロゾル生成材料のロッドが、20mmより大きい円周及び/又は23mm未満の円周を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エアロゾル生成材料のロッドが、100コレスタ単位未満、60コレスタ単位未満、又は20コレスタ単位未満の透過性を有する巻取紙内に包まれている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
巻取紙が金属層を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記金属層がアルミニウムを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記金属層の厚さが2μm~16μmである、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記エアロゾル生成材料が、紙キャスト再生タバコ材料を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記再生タバコ材料が、約700ミリグラム毎立方センチメートル未満の密度を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記再生タバコ材料が、少なくとも約350ミリグラム毎立方センチメートルの密度を有する、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記エアロゾル生成材料が、エアロゾル形成材料を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記エアロゾル形成材料が、グリセロール、プロピレングリコール、グリセロール及びプロピレングリコールの組合せ、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、炭酸プロピレン、並びにこれらの組合せから選択された少なくとも1つを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記エアロゾル生成材料が、約0.5mm~2.0mm、又は約0.6mm~1.7mm、又は約0.6mm~1.5mm、又は約1.0mm~1.5mmの幅に切断されたタバコ材料を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記エアロゾル生成材料が、紙再生タバコ材料と、バンドキャスト再生タバコ材料、粒状タバコ材料、及び薄片タバコ材料のうちの少なくとも1つとを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記エアロゾル生成材料が、200mgより大きい重量、又は約200mg~約400mg若しくは約230mg~約360mgの重量、又は約250mg~360mgの重量を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記不燃式エアロゾル供給デバイスが、前記エアロゾル生成材料を少なくとも約160℃、又は少なくとも約200℃、又は少なくとも約220℃、又は少なくとも約240℃の最大温度まで加熱するように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記不燃式エアロゾル供給デバイスが、前記エアロゾル生成材料を少なくとも270℃の最大温度まで加熱するように配置されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記物品がマウスピースを備える、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
40mmHO未満又は32mmHO未満の前記マウスピースにおける圧力降下を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
少なくとも15mmHOの前記マウスピースにおける圧力降下を含む、請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記物品が、150mmHO~300mmHO、又は150mmHO~220mmHO、又は150mmHO~200mmHOの閉鎖圧力降下を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記エアロゾル生成材料が、長さ約10mm~100mmの実質的に円筒形のロッドの形態、又は長さ約10mm~15mm若しくは長さ約15mm~約100mmの実質的に円筒形のロッドの形態である、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記コイルが誘導コイルを備える、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記エアロゾル生成材料を加熱するための少なくとも1つの導電加熱要素を備え、前記コイルが、使用中、少なくとも1つの導電加熱要素の加熱を引き起こすように構成されている、請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不燃式エアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のタバコ工業製品は、使用中にエアロゾルを生じさせ、このエアロゾルが使用者によって吸入される。たとえば、タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル生成基質を加熱し、基質の非燃焼加熱によってエアロゾルを形成する。そのようなタバコ工業製品は一般にマウスピースを含み、エアロゾルはマウスピースを通過して、使用者の口に到達する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態によれば、19mmより大きい円周を有するエアロゾル生成材料のロッドを備える物品と、物品のエアロゾル生成材料を加熱するための不燃式エアロゾル供給デバイスとを備える不燃式エアロゾル供給システムが提供され、不燃式エアロゾル供給デバイスは、コイルを備える。
【0004】
本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示のみを目的として次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】マウスピースを含む、不燃式エアロゾル供給デバイスと使用するための物品の側面断面図である。
図2a】不燃式エアロゾル供給デバイスと使用するためのさらなる物品、この例ではカプセル収納マウスピースを含む物品の側面断面図である。
図2b図2aに示すカプセル収納マウスピースの断面図である。
図3図1図2a及び図2bの物品のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するための不燃式エアロゾル供給デバイスの斜視図である。
図4】外側カバーが取り除かれており、物品が存在しない状態の図3のデバイスを示す図である。
図5図3のデバイスの部分断面側面図である。
図6】外側カバーが省略された状態の図3のデバイスの分解図である。
図7A図3のデバイスの一部分の断面図である。
図7B図7Aのデバイスの一領域の拡大図である。
図8】不燃式エアロゾル供給デバイスと使用するための物品を製造する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書では、「送達システム」という用語は、使用者へ物質を送達するシステムを包含することを意図したものであり、これには、
シガレット、シガリロ、シガー、及びパイプ用又は手巻き若しくは手作りシガレット用のタバコなどの可燃性エアロゾル供給システム(タバコ、タバコ派生品、膨化タバコ、再生タバコ、タバコ代替品、又は他の喫煙材に基づくかどうかにかかわらない)、
エアロゾル化可能な材料の組合せを使用してエアロゾルを生成するための電子タバコ、タバコ加熱製品、及び混合システムなど、エアロゾル化可能な材料を燃焼させることなくエアロゾル化可能な材料から化合物を解放する不燃式エアロゾル供給システム、
エアロゾル化可能な材料を備えており、これらの不燃式エアロゾル供給システムのうちの1つで使用されるように構成された物品、並びに
材料がニコチンを含むか含まないかにかかわらず、エアロゾルを形成することなく使用者へ材料を送達する、ロゼンジ、ガム、パッチ、吸入可能な粉末を含む物品、及びスヌース及びスナッフなどの無煙のタバコ製品など、エアロゾルを含まない送達システムが含まれる。
【0007】
本開示によれば、「可燃性」エアロゾル供給システムは、使用者への送達を容易にするために、エアロゾル供給システムのエアロゾル化可能な構成材料(又はその成分)が燃焼され又は燃やされるシステムである。
【0008】
本開示によれば、「不燃式」エアロゾル供給システムは、使用者への送達を容易にするために、エアロゾル供給システムのエアロゾル化可能な構成材料(又はその成分)が燃焼されない又は燃やされないシステムである。本明細書に記載する実施形態では、送達システムは、動力供給式の不燃式エアロゾル供給システムなどの不燃式エアロゾル供給システムである。
【0009】
一実施形態では、不燃式エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END)としても知られている電子タバコであるが、エアロゾル化可能な材料内のニコチンの存在は要件ではないことに留意されたい。
【0010】
一実施形態では、不燃式エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られているタバコ加熱システムである。
【0011】
一実施形態では、不燃式エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能な材料の組合せを使用してエアロゾルを生成するための混合システムであり、エアロゾル化可能な材料の1つ又は複数を加熱することができる。エアロゾル化可能な材料の各々は、たとえば、固体、液体、又はゲルの形態とすることができ、ニコチンを含有しても又は含有しなくてもよい。一実施形態では、混合システムは、液体又はゲルのエアロゾル化可能な材料と、固体のエアロゾル化可能な材料とを含む。固体のエアロゾル化可能な材料は、たとえば、タバコ又は非タバコ製品を含むことができる。
【0012】
典型的には、不燃式エアロゾル供給システムは、不燃式エアロゾル供給デバイスと、不燃式エアロゾル供給システムと使用するための物品とを備えることができる。しかし、エアロゾル生成構成要素に動力供給するための手段を備える物品自体が、不燃式エアロゾル供給システムを形成することができることも想定される。
【0013】
一実施形態では、不燃式エアロゾル供給デバイスは、動力源及びコントローラを備えることができる。動力源は、電源又は発熱源とすることができる。一実施形態では、発熱源は、発熱源の近傍のエアロゾル化可能な材料又は熱伝達材料に熱の形態で動力を分散させるために励磁することができる炭素基質を備える。一実施形態では、発熱源などの動力源は、不燃式エアロゾル供給を形成するために物品内に提供される。
【0014】
一実施形態では、不燃式エアロゾル供給デバイスと使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料、エアロゾル生成構成要素、エアロゾル生成区域、マウスピース、及び/又はエアロゾル化可能な材料を受け取るための区域を備えることができる。
【0015】
一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能な材料と相互作用して、エアロゾル化可能な材料から1つ又は複数の揮発性物質を解放し、エアロゾルを形成することが可能な加熱器である。一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、加熱することなくエアロゾル化可能な材料からエアロゾルを生成することが可能である。たとえば、エアロゾル生成構成要素は、たとえば振動、機械、加圧、又は静電手段のうちの1つ又は複数によって熱を加えることなく、エアロゾル化可能な材料からエアロゾルを生成することが可能とすることができる。
【0016】
一実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、活性材料、エアロゾル形成材料、及び任意選択で1つ又は複数の機能材料を含むことができる。活性材料は、ニコチン(任意選択で、タバコ又はタバコ派生品に含有される)、又は1つ若しくは複数の他の非嗅覚の生理活性材料を含むことができる。非嗅覚の生理活性材料は、嗅覚以外の生理学的応答を実現するためにエアロゾル化可能な材料に含まれる材料である。
【0017】
エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0018】
1つ又は複数の機能材料は、香料、担体、pH調節剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0019】
一実施形態では、不燃式エアロゾル供給デバイスと使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料、又はエアロゾル化可能な材料を受け取るための区域を備えることができる。一実施形態では、不燃式エアロゾル供給デバイスと使用するための物品は、マウスピースを備えることができる。エアロゾル化可能な材料を受け取るための区域は、エアロゾル化可能な材料を貯蔵するための貯蔵区域とすることができる。たとえば、貯蔵区域は、リザーバとすることができる。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料を受け取るための区域は、エアロゾル生成区域とは別個とすることができ、又はエアロゾル生成区域と組み合わせることができる。
【0020】
エアロゾル化可能な材料は、本明細書ではエアロゾル生成材料と呼ぶこともあり、たとえば加熱、照射、又は任意の他の方法で励磁されたとき、エアロゾルを生成することが可能な材料である。エアロゾル化可能な材料は、たとえば固体、液体、又はゲルの形態とすることができ、ニコチン及び/又は香味料を含有しても又は含有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、「非晶質固体」を含むことができ、別法として非晶質固体を「モノリシック固体」(すなわち、非繊維性)と呼ぶこともできる。いくつかの実施形態では、非晶質固体は、乾燥ゲルとすることができる。非晶質固体は、いくらかの液体などの流体を中に保持することができる固体材料である。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、たとえば、非晶質固体の約50重量%、60重量%、又は70重量%~非晶質固体の約90重量%、95重量%、又は100重量%を含むことができる。
【0021】
エアロゾル化可能な材料は、基質に存在することができる。基質は、たとえば、紙、カード、ボール紙、厚紙、再生されたエアロゾル化可能な材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属、若しくは金属合金とすることができ、又はこれらを含むことができる。
【0022】
エアロゾル変性剤は、使用中のエアロゾルを変性させることが可能な物質である。エアロゾル変性剤は、生理学的又は感覚的な作用を人体に与えるように、エアロゾルを変性させることができる。例示的なエアロゾル変性剤は、香味料及びセンセートである。センセートは、冷たい又は酸っぱい知覚など、感覚によって知覚することができる感覚刺激性の知覚を生じさせる。
【0023】
サセプタは、交番磁界などの変動磁界による侵入によって加熱可能な材料である。加熱材料は、導電性材料とすることができ、したがって変動磁界による導電性材料の侵入は、加熱材料の誘導加熱を引き起こす。加熱材料は、磁性材料とすることができ、したがって変動磁界による磁性材料の侵入は、加熱材料の磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。加熱材料は、導電性及び磁性の両方を有することができ、したがって加熱材料は、どちらの加熱機構によっても加熱可能である。
【0024】
誘導加熱とは、変動磁界が物体に侵入することによって導電性の物体が加熱されるプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導加熱器は、電磁石と、交番電流などの変動電流を電磁石に通すためのデバイスとを備えることができる。電磁石及び加熱される物体が、結果として電磁石によってもたらされる変動磁界が物体に侵入するように、好適に相対的に配置されたとき、物体内に1つ又は複数の渦電流が生成される。物体は、電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、そのような渦電流が物体内で生成されたとき、物体の電気抵抗に逆らう流れにより、物体が加熱される。このプロセスは、ジュール、オーム、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することが可能な物体が、サセプタとして知られている。
【0025】
一実施形態では、サセプタは閉回路の形態である。サセプタが閉回路の形態であるとき、使用中のサセプタと電磁石との間の磁気結合が促進され、その結果、ジュール加熱がより大きくなり又は改善されることが判明した。
【0026】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料から作られた物体が、変動磁界が物体に侵入することによって加熱されるプロセスである。磁性材料は、多くの原子スケールの磁石又は磁気双極子を含むと考えることができる。磁界がそのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁界と位置合わせされる。したがって、たとえば電磁石によってもたらされる交番磁界などの変動磁界が磁性材料に侵入すると、印加磁界の変動とともに磁気双極子の向きが変化する。そのように磁気双極子が向きを変えることで、磁性材料内に熱が生成される。
【0027】
物体が導電性及び磁性の両方を有するとき、変動磁界が物体に侵入することで、物体でジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料の使用により磁界を補強することができ、それによりジュール加熱を促進することができる。
【0028】
上記のプロセスの各々において、熱伝導による外部熱源ではなく、物体自体で熱が生成されるため、特に好適な物体の材料及び幾何形状並びに物体に対する好適な変動磁界の大きさ及び向きを選択することによって、物体における急速な温度上昇及びより均一の熱分布を実現することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱は、変動磁界源と物体との間に物理的な接続を提供することを必要としないため、加熱プロファイルに比べて設計の自由及び制御をより大きくすることができ、コストを下げることができる。
【0029】
物品、たとえばロッド状の物品は、製品の長さに従って、「レギュラー」(典型的には、68~75mm、たとえば約68mm~約72mmの範囲内)、「ショート」又は「ミニ」(68mm以下)、「キングサイズ」(典型的には、75~91mm、たとえば約79mm~約88mmの範囲内)、「ロング」又は「スーパーキング」(典型的には、91~105mm、たとえば約94mm~約101mmの範囲内)、及び「ウルトラロング」(典型的には、約110mm~約121mmの範囲内)と命名されることが多い。
【0030】
物品はまた、製品の円周に従って、「レギュラー」(約23~25mm)、「ワイド」(25mm超)、「スリム」(約22~23mm)、「デミスリム」(約19~22mm)、「スーパースリム」(約16~19mm)、及び「マイクロスリム」(約16mm未満)と命名される。
【0031】
したがって、キングサイズでスーパースリム形式の物品は、たとえば約83mmの長さ及び約17mmの円周を有する。
【0032】
各形式は、異なる長さのマウスピースとともに作製することができる。マウスピースの長さは、約30mm~50mmである。チップペーパーが、マウスピースをエアロゾル生成材料に接続しており、チップペーパーは通常、マウスピースより大きい長さを有し、たとえば3~10mm長く、したがってチップペーパーはマウスピースを覆い、たとえば基質材料ロッドの形態のエアロゾル生成材料に重なって、マウスピースをロッドに接続する。
【0033】
本明細書に記載する物品並びにそのエアロゾル生成材料及びマウスピースは、それだけに限定されるものではないが、上記の形式のいずれかで作ることができる。
【0034】
本明細書で使用される「上流」及び「下流」という用語は、主流エアロゾルが使用中の物品又はデバイスを通って吸い込まれる方向に関連して定義される相対的な用語である。
【0035】
本明細書に記載するフィラメントトウ材料は、酢酸セルロースの繊維トウを含むことができる。フィラメントトウはまた、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(1-4ブタンジオールスクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT)、デンプン系材料、綿、脂肪族ポリエステル材料、及び多糖ポリマー、又はこれらの組合せなど、繊維を形成するために使用される他の材料を使用して形成することができる。フィラメントトウは、材料が酢酸セルローストウである場合はトリアセチンなど、トウにとって好適な可塑剤によって可塑化することができ、又はトウは非可塑化することができる。トウは、「Y」字形又は「X」字形などの他の断面、2.5~15のフィラメント当たりデニール、たとえば8.0~11.0のフィラメント当たりデニールというフィラメントデニール値、及び5,000~50,000、たとえば10,000~40,000の総デニール値を有する繊維など、任意の好適な仕様を有することができる。
【0036】
本明細書では、「タバコ材料」という用語は、タバコ又はその派生品若しくは代替品を含む任意の材料を指す。「タバコ材料」という用語は、タバコ、タバコ派生品、膨化タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含むことができる。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコ茎、タバコ葉、再生タバコ、及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0037】
本明細書では、「香料」及び「香味料」という用語は、現地の規制が許す場合、成人消費者向けの製品に所望の味又は香りを生じさせるために使用することができる材料を指す。1つ又は複数の香料は、本明細書に記載するエアロゾル変性剤として使用することができる。
【0038】
香料は、抽出物(たとえば、リコリス、アジサイ、ホオノキ葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、モモ、リンゴ、ドランビュイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤又は刺激剤、糖類及び/又は代替糖(たとえば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びにチャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤などの他の添加物を含むことができる。香料は、模倣品、合成若しくは天然成分、又はその混合物とすることができる。香料は、任意の好適な形態、たとえば油、液体、又は粉末とすることができる。
【0039】
本明細書に記載する図では、同等の特徴、物品、又は構成要素について説明するために、同じ参照番号を使用する。
【0040】
図1は、不燃式エアロゾル供給システムと使用するための物品1の側面断面図である。
【0041】
物品1は、マウスピース2と、エアロゾル生成材料3の円筒形のロッドとを備えており、この場合、エアロゾル生成材料3は、マウスピース2に接続されたタバコ材料である。エアロゾル生成材料3は、たとえばシステムを形成する本明細書に記載する不燃式エアロゾル供給デバイス、たとえばコイルを備える不燃式エアロゾル供給デバイス内で、加熱されるとエアロゾルを供給する。他の実施形態では、物品1は、別個のエアロゾル供給デバイスを必要とすることなく、エアロゾル供給システムを形成する独自の熱源を含むことができる。この例では、物品1は、約21mmの外周を有する(すなわち、物品はデミスリム形式である)。好ましくは、物品1は、19mmより大きい円周を有するエアロゾル生成材料のロッドを有する。これにより、消費者にとって好ましい通常のエアロゾル生成セッションにおいて改善された持続的なエアロゾルを生成するのに十分な円周を提供することが判明した。物品が加熱されると、熱はエアロゾル生成材料のロッド3を通って伝達されて、ロッドの構成要素を揮発させ、19mmより大きい円周は、このようにしてエアロゾルを生じさせるのに特に効果的であることが判明した。物品が加熱されてエアロゾルを解放するため、約23mm未満の円周を有する物品を使用して、改善された加熱効率を実現することができる。加熱を介して改善されたエアロゾルを実現しながら、好適な製品長さを維持するために、19mmより大きく23mmより小さいロッドの円周が好ましい。いくつかの例では、ロッドの円周は、20mm~22mmとすることができ、これは、効果的なエアロゾル送達を提供しながら効率的な加熱を可能にする良好な均衡を提供することが判明した。
【0042】
本明細書でエアロゾル生成基質3とも呼ばれるエアロゾル生成材料3は、少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含む。この例では、エアロゾル形成材料はグリセロールである。代替例では、エアロゾル形成材料は、本明細書に記載する別の材料又はこれらの組合せとすることができる。エアロゾル形成材料は、エアロゾル生成材料から消費者への香料化合物などの化合物の伝達を助けることによって、物品の知覚性能を改善することが判明した。しかし、不燃式エアロゾル供給システムで使用するための物品内のエアロゾル生成材料にそのようなエアロゾル形成材料を加えることに伴う問題は、エアロゾル形成材料が加熱時にエアロゾル化されるとき、物品によって送達されるエアロゾルの質量を増大させる可能性があり、こうして質量が増大することで、エアロゾルがマウスピースを通過するときにより高い温度を維持し得ることである。エアロゾルがマウスピースを通過するとき、エアロゾルはマウスピース内へ熱を伝達し、これにより使用中に消費者の唇に接触する区域を含むマウスピースの外面が温められる。マウスピース温度は、消費者がたとえば従来のシガレットを吸うときに慣れることができる温度より著しく高くなる可能性があり、そのようなエアロゾル形成材料の使用によって望ましくない影響が引き起こされる可能性がある。
【0043】
通常、マウスピースのうち消費者の唇に接触する部分は紙管であり、紙管は中空であり、又はフィルター材料の円筒体を取り囲む。
【0044】
図1に示すように、物品1のマウスピース2は、エアロゾル生成基質3に隣り合う上流端2aと、エアロゾル生成基質3から離れた下流端2bとを備える。マウスピース2は、フィラメントトウから形成された中空の管状要素4を下流端2bに有する。これにより、物品1が使用中であるとき、消費者の口に接触するマウスピースの下流端2bにおけるマウスピース2の外面の温度が著しく低減することが判明したことが有利である。加えて、管状要素4の使用もまた、管状要素4のさらに上流のマウスピース2の外面の温度を著しく低減させることが判明した。理論によって拘束されることを望むものではないが、これは、管状要素4によりエアロゾルがマウスピース2の中心のより近くを通過し、したがってエアロゾルからマウスピース2の外面への熱の伝達が低減することに起因すると仮定される。
【0045】
マウスピース2の外周は、エアロゾル生成材料のロッド3の外周と実質的に同じであり、したがってこれらの構成要素間の遷移は平滑である。この例では、マウスピース2の外周は約20.8mmである。マウスピース2の全長にわたって、エアロゾル生成材料のロッド3の一部の上に、チップペーパー5が巻き付けられており、チップペーパー5は、マウスピース2及びロッド3を接続するために、接着剤を内面に有する。この例では、チップペーパー5は、エアロゾル生成材料のロッド3の上に5mm延びているが、別法として、マウスピース2とロッド3との間の確実な取付けを提供するために、ロッド3の上に3mm~10mm、又はより好ましくは4mm~6mm延びることもできる。チップペーパー5は、物品1で使用されるプラグラップの坪量より大きい坪量、たとえば40gsm~80gsm、より好ましくは50gsm~70gsm、この例では58gsmの坪量を有することができる。これらの範囲の坪量の結果、許容できる引張り強度を有しながら、物品1を巻き込んで紙の長手方向ラップシームに沿ってチップペーパー自体に付着するのに十分な可撓性を有するチップペーパーが得られることが判明した。マウスピース2に巻き付けられた後、チップペーパー5の外周は約21mmである。
【0046】
中空の管状要素4の「壁厚さ」は、径方向の管4の壁の厚さに対応する。これは、たとえばカリパスを使用して測定することができる。壁厚さは、0.9mmより大きく、より好ましくは1.0mm以上であることが有利である。壁厚さは、中空の管状要素4の壁全体で実質的に一定であることが好ましい。しかし、壁厚さが実質的に一定でない場合、壁厚さは、中空の管状要素4の周りの任意の点で、好ましくは0.9mmより大きく、より好ましくは1.0mm以上である。
【0047】
中空の管状要素4の長さは、約20mm未満であることが好ましい。中空の管状要素4の長さは、約15mm未満であることがより好ましい。中空の管状要素4の長さは、約10mm未満であることがさらにより好ましい。追加又は代替として、中空の管状要素4の長さは少なくとも約5mmである。中空の管状要素4の長さは、少なくとも約6mmであることが好ましい。いくつかの好ましい実施形態では、中空の管状要素4の長さは、約5mm~約20mm、より好ましくは約6mm~約10mm、さらにより好ましくは約6mm~約8mm、最も好ましくは約6mm、7mm、又は約8mmである。この例では、中空の管状要素4の長さは6mmである。
【0048】
中空の管状要素4の密度は、好ましくは少なくとも約0.25グラム毎立方センチメートル(g/cc)、より好ましくは少なくとも約0.3g/ccである。中空の管状要素4の密度は、好ましくは約0.75グラム毎立方センチメートル(g/cc)未満、より好ましくは0.6g/cc未満である。いくつかの実施形態では、中空の管状要素4の密度は、0.25~0.75g/cc、より好ましくは0.3~0.6g/cc、より好ましくは0.4g/cc~0.6g/cc又は約0.5g/ccである。これらの密度は、より高密度の材料によって与えられる改善された堅さと、より低密度の材料のより低い熱伝達特性との間で、良好な均衡を提供することが判明した。本発明の目的で、中空の管状要素4の「密度」は、何らかの可塑剤が組み込まれた要素を形成するフィラメントトウの密度を指す。密度は、中空の管状要素4の総重量を中空の管状要素4の総体積で割ることによって判定することができ、総体積は、たとえばカリパスを使用して得られる中空の管状要素4の適当な測定を使用して計算することができる。必要な場合、適当な寸法は、顕微鏡を使用して測定することができる。
【0049】
中空の管状要素4を形成するフィラメントトウは、好ましくは45,000未満、より好ましくは42,000未満の総デニールを有する。この総デニールは、密度が高すぎない管状要素4の形成を可能にすることが判明した。総デニールは、好ましくは少なくとも20,000、より好ましくは少なくとも25,000である。好ましい実施形態では、中空の管状要素4を形成するフィラメントトウは、25,000~45,000、より好ましくは35,000~45,000の総デニールを有する。トウのフィラメントの断面形状は、「Y」字形であることが好ましいが、他の実施形態では、「X」字形のフィラメントなどの他の形状を使用することもできる。
【0050】
中空の管状要素4を形成するフィラメントトウは、3より大きいフィラメント当たりデニールを有することが好ましい。このフィラメント当たりデニールは、密度が高すぎない管状要素4の形成を可能にすることが判明した。フィラメント当たりデニールは、好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5である。好ましい実施形態では、中空の管状要素4を形成するフィラメントトウは、4~10、より好ましくは4~9のフィラメント当たりデニールを有する。一例では、中空の管状要素4を形成するフィラメントトウは、酢酸セルロースから形成された8Y40,000トウを有し、18%の可塑剤、たとえばトリアセチンを含む。
【0051】
中空の管状要素4は、3.0mmより大きい内径を有することが好ましい。これより小さい直径は、マウスピース2を通って消費者の口に届くエアロゾルの速度を、所望される以上に増大させる可能性があり、その結果、エアロゾルが温かくなりすぎ、たとえば40℃より大きい又は45℃より大きい温度に到達する。中空の管状要素4は、より好ましくは3.1mmより大きい、さらにより好ましくは3.5mm又は3.6mmより大きい内径を有する。一実施形態では、中空の管状要素4の内径は約3.9mmである。
【0052】
中空の管状要素4は、15%~22重量%の可塑剤を含むことが好ましい。酢酸セルロースのトウの場合、可塑剤は、トリアセチンであることが好ましいが、ポリエチレングリコール(PEG)などの他の可塑剤を使用することもできる。管状要素4は、16%~20重量%の可塑剤、たとえば約17%、約18%、又は約19%の可塑剤を含むことがより好ましい。
【0053】
マウスピースにおける圧力降下又は差圧(吸込み抵抗とも呼ばれる)、たとえば物品1のうちエアロゾル生成材料3の下流の部分は、約40mmHO未満であることが好ましい。そのような圧力降下は、香料化合物などの望ましい化合物を含む十分なエアロゾルがマウスピース2を通って消費者に届くことを可能にすることが判明した。マウスピース2における圧力降下は、約32mmHO未満であることがより好ましい。いくつかの実施形態では、31mmHO、たとえば約29mmHO、約28mmHO、又は約27.5mmHO未満の圧力降下を有するマウスピース2を使用することで、特に改善されたエアロゾルが実現される。別法又は追加として、マウスピースの圧力降下は、少なくとも10mmHO、好ましくは少なくとも15mmHO、より好ましくは少なくとも20mmHOとすることができる。いくつかの実施形態では、マウスピースの圧力降下は、約15mmHO~40mmHOとすることができる。これらの値は、エアロゾルがマウスピース2を通過するとき、マウスピース2がエアロゾルを減速させることを可能にし、したがってマウスピース2の下流端2bに到達するまでに、エアロゾルの温度が低下する時間が得られる。
【0054】
この例では、マウスピース2は材料本体6を含み、材料本体6は、中空の管状要素4の上流に位置し、この例では中空の管状要素4に隣り合っており、中空の管状要素4と当接関係にある。材料本体6及び中空の管状要素4は各々、実質的に円筒形の全体的な外側形状を画定し、共通の長手方向軸線を共有する。材料本体6は、第1のプラグラップ7内に巻き込まれる。第1のプラグラップ7は、好ましくは50gsm未満、より好ましくは約20gsm~40gsmの坪量を有する。第1のプラグラップ7は、好ましくは30μm~60μm、より好ましくは35μm~45μmの厚さを有する。第1のプラグラップ7は、非多孔質のプラグラップであり、たとえば100コレスタ単位未満、たとえば50コレスタ単位未満の透過性を有することが好ましい。しかし、他の実施形態では、第1のプラグラップ7は、多孔質のプラグラップとすることができ、たとえば200コレスタ単位より大きい透過性を有する。
【0055】
材料本体6の長さは、約15mm未満であることが好ましい。材料本体6の長さは、約10mm未満であることがより好ましい。追加又は代替として、材料本体6の長さは少なくとも約5mmである。材料本体6の長さは、少なくとも約6mmであることが好ましい。いくつかの好ましい実施形態では、材料本体6の長さは、約5mm~約15mm、より好ましくは約6mm~約12mm、さらにより好ましくは約6mm~約12mm、最も好ましくは約6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mmである。この例では、材料本体6の長さは10mmである。
【0056】
この例では、材料本体6は、フィラメントトウから形成される。この例では、材料本体6で使用されるトウは、8.4のフィラメント当たりデニール(d.p.f.)及び21,000の総デニールを有する。別法として、トウは、たとえば9.5のフィラメント当たりデニール(d.p.f.)及び12,000の総デニールを有することができる。この例では、トウは、可塑化された酢酸セルロースのトウを含む。トウで使用される可塑剤は、トウの約7重量%を占める。この例では、可塑剤はトリアセチンである。他の例では、異なる材料を使用して、材料本体6を形成することができる。たとえば、トウではなく、本体6は、紙から、たとえばシガレットでの使用が知られている紙フィルターと類似の方法で形成することができる。別法として、本体6は、酢酸セルロース以外のトウ、たとえばポリ乳酸(PLA)、フィラメントトウに関して本明細書に記載する他の材料、又は類似の材料から形成することができる。トウは、酢酸セルロースから形成されることが好ましい。トウは、酢酸セルロースから形成されたか、又は他の材料から形成されたかにかかわらず、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6、さらにより好ましくは少なくとも7のd.p.f.を有する。これらのフィラメント当たりデニールの値は、表面積がより小さい比較的粗くて太い繊維を有するトウを提供し、その結果、マウスピース2における圧力降下が、より小さいd.p.f.値を有するトウより小さくなる。十分に均一の材料本体6を実現するために、トウは、12d.p.f.以下、好ましくは11d.p.f.以下、さらにより好ましくは10d.p.f.以下のフィラメント当たりデニールを有することが好ましい。
【0057】
材料本体6を形成するトウの総デニールは、好ましくは多くとも30,000、より好ましくは多くとも28,000、さらにより好ましくは多くとも25,000である。これらの総デニールの値は、マウスピース2の断面積のうちより小さい割合を占めるトウを提供し、その結果、マウスピース2における圧力降下が、より高い総デニール値を有するトウより小さくなる。適当な堅さの材料本体6の場合、トウは、好ましくは少なくとも8,000、より好ましくは少なくとも10,000の総デニールを有する。フィラメント当たりデニールは5~12であり、総デニールは10,000~25,000であることが好ましい。フィラメント当たりデニールは6~10であり、総デニールは11,000~22,000であることがより好ましい。トウのフィラメントの断面形状は、「Y」字形であることが好ましいが、他の実施形態では、本明細書に提供する同じd.p.f.及び総デニール値を有する「X」字形のフィラメントなどの他の形状を使用することもできる。
【0058】
この例では、中空の管状要素4は第1の中空の管状要素4であり、マウスピースは、第1の中空の管状要素4の上流に、冷却要素とも呼ばれる第2の中空の管状要素8を含む。この例では、第2の中空の管状要素8は、材料本体6の上流に位置し、材料本体6に隣り合っており、材料本体6と当接関係にある。材料本体6及び第2の中空の管状要素8は各々、実質的に円筒形の全体的な外側形状を画定し、共通の長手方向軸線を共有する。第2の中空の管状要素8は、複数の層の紙から形成されており、これらの紙は、平行に巻かれて継ぎ目で当接し、管状要素8を形成する。この例では、第1及び第2の紙層は2重の管として提供されているが、他の例では、3つ、4つ、又はそれ以上の紙層を使用して、3重、4重、又はそれ以上の管を形成することもできる。螺旋形に巻かれた紙の層、厚紙管、紙張り子タイプのプロセスを使用して形成された管、成形又は押出成形されたプラスチック管など、他の構造を使用することもできる。第2の中空の管状要素8はまた、堅いプラグラップ及び/又はチップペーパーを、本明細書に記載する第2のプラグラップ9及び/又はチップペーパー5として使用して形成することができ、これは、別個の管状要素が必要とされないことを意味する。堅いプラグラップ及び/又はチップペーパーは、製造中及び物品1の使用中に生じ得る軸線方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有するように製造される。たとえば、堅いプラグラップ及び/又はチップペーパーは、70gsm~120gsm、より好ましくは80gsm~110gsmの坪量を有することができる。追加又は別法として、堅いプラグラップ及び/又はチップペーパーは、80μm~200μm、より好ましくは100μm~160μm、又は120μm~150μmの厚さを有することができる。第2の中空の管状要素8に対して許容できる全体的な剛性レベルを実現するために、第2のプラグラップ9及びチップペーパー5の両方に対してこれらの範囲内の値を有することが所望され得る。
【0059】
第2の中空の管状要素8は、第1の中空の管状要素4と同様に測定することができる壁厚さを有することが好ましく、第2の中空の管状要素8の壁厚さは、少なくとも約100μm~最大約1.5mm、好ましくは100μm~1mm、より好ましくは150μm~500μm、又は約300μmである。この例では、第2の中空の管状要素8は、約290μmの壁厚さを有する。
【0060】
第2の中空の管状要素8の長さは、約50mm未満であることが好ましい。第2の中空の管状要素8の長さは、約40mm未満であることがより好ましい。第2の中空の管状要素8の長さは、約30mm未満であることがさらにより好ましい。追加又は代替として、第2の中空の管状要素8の長さは、少なくとも約10mmであることが好ましい。第2の中空の管状要素8の長さは、少なくとも約15mmであることが好ましい。いくつかの好ましい実施形態では、第2の中空の管状要素8の長さは、約20mm~約30mm、より好ましくは約22mm~約28mm、さらにより好ましくは約24~約26mm、最も好ましくは約25mmである。この例では、第2の中空の管状要素8の長さは25mmである。
【0061】
第2の中空の管状要素8は、冷却セグメントとして作用するマウスピース2内の空隙の周りに位置し、この空隙を画定する。空隙は、エアロゾル生成材料3によって生成された加熱揮発成分が流れるチャンバを提供する。第2の中空の管状要素8は中空であり、製造中及び物品1の使用中に生じ得る軸線方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのになお十分な剛性を有するエアロゾル蓄積物のためのチャンバを提供する。第2の中空の管状要素8は、エアロゾル生成材料3と材料本体6との間の物理的変位を提供する。第2の中空の管状要素8によって提供される物理的変位は、第2の中空の管状要素8の長さにわたって温度勾配を提供する。
【0062】
マウスピース2は、450mmより大きい内部体積を有する空洞を備えることが好ましい。少なくともこの体積の空洞を提供することで、改善されたエアロゾルの形成が可能になることが判明した。そのような空洞サイズは、温かすぎるエアロゾルが生じ得るため、加熱揮発成分が冷めることを可能にするのに十分な空間をマウスピース2内に提供し、したがってそれ以外の場合に可能とされるはずの温度より高い温度へのエアロゾル生成材料3の露出を可能にする。この例では、空洞は、第2の中空の管状要素8によって形成されているが、代替構成では、マウスピース2の異なる部分内に形成することもできる。マウスピース2は、たとえば第2の中空の管状要素8内に形成された空洞を備えることがより好ましく、この空洞は、500mmより大きい、さらにより好ましくは550mmより大きい内部体積を有し、エアロゾルのさらなる改善を可能にする。いくつかの例では、内部空洞は、約550mm~約750mm、たとえば約600mm又は700mmの体積を含む。
【0063】
第2の中空の管状要素8は、第2の中空の管状要素8の第1の上流端に入る加熱揮発成分と、第2の中空の管状要素8の第2の下流端を出る加熱揮発成分との間に、少なくとも摂氏40度の温度差を提供するように構成することができる。第2の中空の管状要素8は、第2の中空の管状要素8の第1の上流端に入る加熱揮発成分と、第2の中空の管状要素8の第2の下流端を出る加熱揮発成分との間に、少なくとも摂氏60度、好ましくは少なくとも摂氏80度、より好ましくは少なくとも摂氏100度の温度差を提供するように構成されることが好ましい。第2の中空の管状要素8の長さにおけるこの温度差は、温度の影響を受けやすい材料本体6を、加熱されたときのエアロゾル生成材料3の高い温度から保護する。
【0064】
代替の物品では、第2の中空の管状要素8を代替の冷却要素に、たとえばエアロゾルが長手方向に通過することを可能にしながらエアロゾルを冷却する機能を実行する材料本体から形成された要素に置き換えることができる。
【0065】
この例では、第1の中空の管状要素4、材料本体6、及び第2の中空の管状要素8は、3つすべての区分の周りに巻き付けられた第2のプラグラップ9を使用して組み合わせられる。第2のプラグラップ9は、好ましくは50gsm未満、より好ましくは約20gsm~45gsmの坪量を有する。第2のプラグラップ9は、好ましくは30μm~60μm、より好ましくは35μm~45μmの厚さを有する。第2のプラグラップ9は、100コレスタ単位未満、たとえば50コレスタ単位未満の透過性を有する非多孔質のプラグラップであることが好ましい。しかし、代替実施形態では、第2のプラグラップ9は、たとえば200コレスタ単位より大きい透過性を有する多孔質のプラグラップとすることもできる。
【0066】
この例では、エアロゾル生成材料3は、巻取紙10内に巻き込まれる。巻取紙10は、たとえば、紙又は紙で裏打ちした箔の巻取紙とすることができる。この例では、巻取紙10は、空気に対して実質的に不透過性を有する。代替実施形態では、巻取紙10は、好ましくは100コレスタ単位未満、より好ましくは60コレスタ単位未満の透過性を有する。たとえば100コレスタ単位未満、より好ましくは60コレスタ単位未満の透過性を有する低透過性の巻取紙は、エアロゾル生成材料3内のエアロゾル形成の改善をもたらすことが判明した。理論によって拘束されることを望むものではないが、これは巻取紙10におけるエアロゾル化合物の損失が低減されたことに起因すると仮定される。巻取紙10の透過性は、シガレットペーパー、フィルタープラグラップ、及びフィルター接合紙として使用される材料の透気性の判定に関するISO2965:2009に従って測定することができる。
【0067】
この実施形態では、巻取紙10は、アルミニウム箔を含む。アルミニウム箔は、エアロゾル生成材料3内でのエアロゾルの形成を促進するのに特に効果的であることが判明した。この例では、アルミニウム箔は、約6μmの厚さを有する金属層を有する。この例では、アルミニウム箔は、紙の裏打ちを有する。しかし、代替構成では、アルミニウム箔は、他の厚さ、たとえば4μm~16μmの厚さとすることもできる。アルミニウム箔はまた、紙の裏打ちを有する必要はなく、たとえば適当な引張り強度を箔に提供することを助けるために、他の材料から形成された裏打ちを有することもでき、又は裏打ち材料を有していなくてもよい。アルミニウム以外の金属層又は箔を使用することもできる。巻取紙の総厚さは、好ましくは20μm~60μm、より好ましくは30μm~50μmであり、これにより適当な構造的完全性及び熱伝達特性を有する巻取紙を提供することができる。巻取紙が破れるまでに巻取紙に加えることができる引張り力は、3,000重量グラムより大きくすることができ、たとえば3,000~10,000重量グラム、又は3,000~4,500重量グラムとすることができる。
【0068】
物品は、物品を通って吸い込まれるエアロゾルの約75%の通気レベルを有する。代替実施形態では、物品は、物品を通って吸い込まれるエアロゾルの50%~80%、たとえば65%~75%の通気レベルを有することができる。これらのレベルの通気は、マウスピース2を通って吸い込まれるエアロゾルの流れを減速させ、以てエアロゾルがマウスピース2の下流端2bに到達する前に十分に冷めることを可能にするのを助ける。通気は、物品1のマウスピース2内へ直接提供される。この例では、通気は、第2の中空の管状要素8内へ提供されており、これは、エアロゾル生成プロセスを支援するのに特に有益であることが判明した。通気は、第1及び第2の平行な列の穿孔12を介して提供され、この場合、穿孔12は、マウスピース2の下流の口端2bからそれぞれ17.925mm及び18.625mm離れた位置に、レーザ穿孔として形成される。これらの穿孔は、チップペーパー5、第2のプラグラップ9、及び第2の中空の管状要素8を通過する。代替実施形態では、通気は、他の箇所でマウスピース内へ、たとえば材料本体6又は第1の管状要素4内へ提供することができる。
【0069】
この例では、エアロゾル生成基質3に加えられるエアロゾル形成材料は、エアロゾル生成基質3の14重量%を占める。エアロゾル形成材料は、好ましくはエアロゾル生成基質の少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10%を占める。エアロゾル形成材料は、好ましくはエアロゾル生成基質の25重量%未満、より好ましくは20%未満、たとえば10%~20%、12%~18%、又は13%~16%を占める。
【0070】
エアロゾル生成材料3は、エアロゾル生成材料の円筒形ロッドとして提供されることが好ましい。エアロゾル生成材料の形成にかかわらず、エアロゾル生成材料3は、約10mm~100mmの長さを有することが好ましい。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料の長さは、好ましくは約25mm~50mmの範囲内、より好ましくは約30mm~45mm、さらにより好ましくは約30mm~40mmの範囲内である。
【0071】
提供されるエアロゾル生成材料3の体積は、約200mm~約4300mm、好ましくは約500mm~1500mm、より好ましくは約1000mm~約1300mmで変動することができる。これらの体積、たとえば約1000mm~約1300mmのエアロゾル生成材料を提供することで、この範囲の下端から選択された体積で実現されるものと比較すると、さらなる可視性及び知覚性能を有する優れたエアロゾルを実現することが示されていることが有利である。
【0072】
提供されるエアロゾル生成材料3の質量は、200mgより大きくすることができ、たとえば約200mg~400mg、好ましくは約230mg~360mg、より好ましくは約250mg~360mgとすることができる。より大きい質量のエアロゾル生成材料を提供する結果、より小さい質量のタバコ材料から生成されたエアロゾルと比較すると、知覚性能が改善されることが判明したことが有利である。
【0073】
エアロゾル生成材料又は基質は、タバコ成分を含む本明細書に記載するタバコ材料から形成されることが好ましい。
【0074】
本明細書に記載するタバコ材料では、タバコ成分は、紙再生タバコを含有することが好ましい。このタバコ成分はまた、葉タバコ、押出タバコ、及び/又はバンドキャストタバコを含有することができる。
【0075】
エアロゾル生成材料3は、約700ミリグラム毎立方センチメートル(mg/cc)未満の密度を有する再生タバコ材料を含むことができる。そのようなタバコ材料は、より高密度の材料と比較すると、迅速に加熱されてエアロゾルを解放することができるエアロゾル生成材料を提供するのに特に効果的であることが判明した。たとえば、本発明者らは、バンドキャスト再生タバコ材料及び紙再生タバコ材料など、加熱されたときの様々なエアロゾル生成材料の特性を試験した。所与の各エアロゾル生成材料に対して、特定のゼロ熱流温度が存在することが判明し、熱が材料に加えられている間に、このゼロ熱流温度を下回ると、正味熱流が吸熱を伴い、言い換えれば材料を離れるより多くの熱が材料に入り、このゼロ熱流温度を上回ると、正味熱流が発熱を伴い、言い換えれば材料に入るより多くの熱が材料を離れる。700mg/cc未満の密度を有する材料は、より低いゼロ熱流温度を有した。材料を出る熱流の大部分がエアロゾルの形成によるものであるため、より低いゼロ熱流温度を有することは、エアロゾル生成材料からエアロゾルを最初に解放するのにかかる時間に有益な影響がある。たとえば、700mg/ccを上回る密度を有する材料が、164℃より高いゼロ熱流温度を有することと比較すると、700mg/cc未満の密度を有するエアロゾル生成材料は、164℃未満のゼロ熱流温度を有することが判明した。
【0076】
エアロゾル生成材料の密度はまた、熱が材料を伝導する速度に影響を与え、より低い密度の場合、たとえば700mg/ccを下回る場合、熱は材料をよりゆっくりと伝導し、したがってより持続的なエアロゾルの解放が可能になる。
【0077】
エアロゾル生成材料3は、約700mg/cc未満の密度を有する再生タバコ材料、たとえば紙再生タバコ材料を含むことが好ましい。エアロゾル生成材料3は、約600mg/cc未満の密度を有する再生タバコ材料を含むことがより好ましい。別法又は追加として、エアロゾル生成材料3は、少なくとも350mg/ccの密度を有する再生タバコ材料を含むことが好ましく、これは、材料において十分な量の熱伝導を可能にすると考えられる。
【0078】
タバコ材料は、刻みラグタバコの形態で提供することができる。刻みラグタバコは、少なくとも1インチ当たり15刻み(1cm当たり約5.9刻み、約1.7mmの刻み幅と同等)の刻み幅を有することができる。刻みラグタバコは、好ましくは少なくとも1インチ当たり18刻み(1cm当たり約7.1刻み、約1.4mmの刻み幅と同等)、より好ましくは少なくとも1インチ当たり20刻み(1cm当たり約7.9刻み、約1.27mmの刻み幅と同等)の刻み幅を有する。一例では、刻みラグタバコは、1インチ当たり22刻み(1cm当たり約8.7刻み、約1.15mmの刻み幅と同等)の刻み幅を有する。刻みラグタバコは、1インチ当たり40刻み(1cm当たり約15.7刻み、約0.64mmの刻み幅と同等)以下の刻み幅を有することが好ましい。0.5mm~2.0mm、たとえば0.6mm~1.5mm、又は0.6mm~1.7mmの刻み幅の結果、特に加熱されたときの表面積と体積との比、並びに基質3の全体的な密度及び圧力降下に関して好ましいタバコ材料が得られることが判明した。刻みラグタバコは、タバコ材料の形態の混合物、たとえば紙再生タバコ、葉タバコ、押出タバコ、及びバンドキャストタバコのうちの1つ又は複数の混合物から形成することができる。タバコ材料は、紙再生タバコ、又は紙再生タバコ及び葉タバコの混合物を含むことが好ましい。
【0079】
本明細書に記載するタバコ材料では、タバコ材料は、充填剤成分を含有することができる。充填剤成分は、概して非タバコ成分であり、すなわちタバコ由来の原料を含まない成分である。充填剤成分は、木材繊維若しくはパルプ又は小麦繊維などの非タバコ繊維とすることができる。充填剤成分はまた、チョーク、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイダルシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムなどの無機材料とすることができる。充填剤成分はまた、非タバコ鋳込材料又は非タバコ押出材料とすることができる。充填剤成分は、タバコ材料の0~20重量%の量で、又は組成物の1~10重量%量で存在することができる。いくつかの実施形態では、充填剤成分は存在しない。
【0080】
本明細書に記載するタバコ材料では、タバコ材料は、エアロゾル形成材料を含有する。この文脈で、「エアロゾル形成材料」は、エアロゾルの生成を促す作用物質である。エアロゾル形成材料は、最初の気化並びに/又はガスから吸入可能な固体及び/若しくは液体エアロゾルへの凝縮を促すことによって、エアロゾルの生成を促すことができる。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成材料は、エアロゾル生成材料からの香料の送達を改善することができる。概して、任意の好適なエアロゾル形成材料又は作用物質は、本明細書に記載するものを含めて、本発明のエアロゾル生成材料内に含むことができる。他の好適なエアロゾル形成材料には、それだけに限定されるものではないが、ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールのようなグリコールなどのポリオール、一価アルコール、高沸点炭化水素などの非ポリオール、乳酸などの酸、グリセロール誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチルなどのエステル、又はミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸、並びにステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステルが含まれる。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成材料は、グリセロール、プロピレングリコール、又はグリセロール及びプロピレングリコールの混合物とすることができる。グリセロールは、タバコ材料の10~20重量%、たとえば組成物の13~16重量%、又は組成物の約14%若しくは15重量%の量で存在することができる。プロピレングリコールは、存在する場合、組成物の0.1~0.3重量%の量で存在することができる。
【0081】
エアロゾル形成材料は、タバコ材料の任意の成分、たとえば任意のタバコ成分、及び/又は存在する場合、充填剤成分に含むことができる。別法又は追加として、エアロゾル形成材料は、タバコ材料に別個に加えることができる。どちらの場合も、タバコ材料内のエアロゾル形成材料の総量は、本明細書に画定されたものとすることができる。
【0082】
タバコ材料は、10%~90重量%のタバコ葉を含有することができ、エアロゾル形成材料は、葉タバコの最大約10重量%の量で提供される。タバコ材料の10%~20重量%のエアロゾル形成材料の全体的なレベルを実現するために、再生タバコ材料などのタバコ材料の別の成分より大きい重量パーセントでこれを加えることができることが判明したことが有利である。
【0083】
本明細書に記載するタバコ材料は、ニコチンを含有する。ニコチン含有量は、タバコ材料の0.5~1.75重量%であり、たとえばタバコ材料の0.8~1.5重量%とすることができる。追加又は別法として、タバコ材料は、10%~90重量%のタバコ葉を含有し、タバコ葉の1.5重量%より大きいニコチン含有量を有する。1.5%より高いニコチン含有量を有するタバコ葉を、紙再生タバコなどのより少ないニコチン母材と組み合わせて使用することで、適当なニコチンレベルを有しながら、紙再生タバコを単独で使用した場合より良好な知覚性能を有するタバコ材料を提供することが判明したことが有利である。タバコ葉、たとえば刻みラグタバコは、たとえば、タバコ葉の1.5%~5重量%のニコチン含有量を有することができる。
【0084】
本明細書に記載するタバコ材料は、本明細書に記載する香料のいずれかなどのエアロゾル変性剤を含有することができる。一実施形態では、タバコ材料はメンソールを含有し、メンソール入りの物品を形成する。タバコ材料は、3mg~20mgのメンソール、好ましくは5mg~18mg、より好ましくは8mg~16mgのメンソールを含むことができる。この例では、タバコ材料は16mgのメンソールを含む。タバコ材料は、2%~8重量%のメンソール、好ましくは3%~7重量%のメンソール、より好ましくは4%~5.5重量%のメンソールを含有することができる。一実施形態では、タバコ材料は、4.7重量%のメンソールを含む。そのような高いレベルのメンソールの装填は、高い割合の、たとえばタバコ材料の50重量%より大きい再生タバコ材料を使用して実現することができる。別法又は追加として、大量のエアロゾル生成材料、たとえばタバコ材料を使用することで、実現することができるメンソール装填レベルを増大させることができ、たとえば約500mmより多く、又は好適には約1000mmより多くのタバコ材料などのエアロゾル生成材料が使用される。
【0085】
本明細書に記載する組成物では、量が重量%で与えられる場合、誤解を避けるために、逆の内容が具体的に示されない限り、これは乾燥坪量を指す。したがって、重量%の判定の目的で、タバコ材料又はそのあらゆる成分内に存在し得るあらゆる水は完全に無視される。本明細書に記載するタバコ材料の水分量は変動することがあり、たとえば5~15重量%とすることができる。本明細書に記載するタバコ材料の水分量は、たとえば組成物が維持される温度、圧力、及び湿度条件に従って変動することがある。水分量は、当業者には知られているように、カールフィッシャー分析によって判定することができる。他方では、誤解を避けるために、エアロゾル形成材料が、グリセロール又はプロピレングリコールなどの液相の成分であるときでも、水以外のあらゆる成分は、タバコ材料の重量に含まれる。しかし、エアロゾル形成材料が、タバコ材料に別個に追加される代わりに又はそれに加えて、タバコ材料のタバコ成分内又はタバコ材料の充填剤成分(存在する場合)内に提供されるとき、エアロゾル形成材料は、タバコ成分又は充填剤成分の重量に含まれるのではなく、本明細書に画定する重量%で「エアロゾル形成材料」の重量に含まれる。タバコ成分に存在するすべての他の原料は、非タバコ(たとえば、紙再生タバコの場合の非タバコ繊維)に由来する場合でも、タバコ成分の重量に含まれる。
【0086】
一実施形態では、タバコ材料は、本明細書に画定するタバコ成分、及び本明細書に画定するエアロゾル形成材料を含む。一実施形態では、タバコ材料は、本質的に本明細書に画定するタバコ成分、及び本明細書に画定するエアロゾル形成材料からなる。一実施形態では、タバコ材料は、本明細書に画定するタバコ成分、及び本明細書に画定するエアロゾル形成材料からなる。
【0087】
紙再生タバコは、本明細書に記載するタバコ材料のタバコ成分内に、タバコ成分の10%~100重量%の量で存在する。実施形態では、紙再生タバコは、タバコ成分の10%~80重量%又は20%~70重量%の量で存在する。さらなる実施形態では、タバコ成分は、本質的に紙再生タバコからなり、又は紙再生タバコからなる。好ましい実施形態では、葉タバコは、タバコ材料のタバコ成分内に、タバコ成分の少なくとも10重量%の量で存在する。たとえば、葉タバコは、タバコ成分の少なくとも10重量%の量で存在することができ、タバコ成分の残りは、紙再生タバコ、バンドキャスト再生タバコ、又はバンドキャスト再生タバコ及びタバコ顆粒などの別の形態のタバコの組合せを含む。
【0088】
紙再生タバコは、タバコ原材料が溶剤で抽出されて可溶性物質及び繊維性材料を含む残留物の抽出物を与えるプロセスによって形成されるタバコ材料を指し、次いで抽出物(通常は濃縮後、任意選択でさらなる処理後)は、抽出物を繊維性材料に堆積させることによって、残留物からの繊維性材料と再結合される(通常は、繊維性材料の精製後、任意選択で非タバコ繊維の一部分が追加される)。再結合プロセスは、製紙プロセスに類似している。
【0089】
紙再生タバコは、当技術分野では知られている任意のタイプの紙再生タバコとすることができる。特定の実施形態では、紙再生タバコは、タバコストリップ、タバコ茎、及び全葉タバコのうちの1つ又は複数を含む原材料から作られる。さらなる実施形態では、紙再生タバコは、タバコストリップ及び/又は全葉タバコ、並びにタバコ茎からなる原材料から作られる。しかし、他の実施形態では、別法又は追加として、断片、細粒、及び殻を原材料で用いることもできる。
【0090】
本明細書に記載するタバコ材料で使用するための紙再生タバコは、紙再生タバコを準備するための当業者には知られている方法によって準備することができる。
【0091】
図2aは、カプセル収納マウスピース2’を含むさらなる物品1’の側面断面図である。図2bは、線A-A’で切り取った、図2aに示すカプセル収納マウスピースの断面図である。物品1’及びカプセル収納マウスピース2’は、材料本体6内にエアロゾル変性剤が、この例ではカプセル11の形態で提供され、耐油性の第1のプラグラップ7’が材料本体6を取り囲むことを除いて、図1に示す物品1及びマウスピース2と同じである。他の例では、材料本体6に注入された材料、又は糸に提供された材料など、エアロゾル変性剤を他の形態で提供することができ、たとえば糸は、香味料又は他のエアロゾル変性剤を保持することができ、エアロゾル変性剤もまた、材料本体6内に配置することができる。
【0092】
カプセル11は、破壊可能なカプセル、たとえば液体ペイロードを取り囲む固体の脆いシェルを有するカプセルを構成することができる。この例では、単一のカプセル11が使用される。カプセル11は、材料本体6内に全体的に埋め込まれる。言い換えれば、カプセル11は、本体6を形成する材料によって完全に取り囲まれる。他の例では、複数の破壊可能なカプセル、たとえば2つ、3つ、又はそれ以上の破壊可能なカプセルを、材料本体6内に配置することができる。必要とされるカプセルの数に対応するために、材料本体6の長さを増大させることができる。複数のカプセルが使用される例では、サイズ及び/又はカプセルペイロードに関して、個々のカプセルを互いに同じものにすることができ、又は互いに異なるものにすることができる。他の例では、複数の材料本体6を提供することができ、各本体が、1つ又は複数のカプセルを収納する。
【0093】
カプセル11は、コアシェル構造を有する。言い換えれば、カプセル11は、液状剤、たとえば香味料又は他の作用物質を包むシェルを備えており、液状剤は、本明細書に記載する香味料又はエアロゾル変性剤のうちのいずれか1つとすることができる。カプセルのシェルは、香味料又は他の作用物質を材料本体6内へ解放するために、使用者が破裂させることができる。第1のプラグラップ7’は、プラグラップの材料をカプセル11の液体ペイロードに対して実質的に不透過性にするための障壁被覆を構成することができる。別法又は追加として、第2のプラグラップ9及び/又はチップペーパー5が、そのプラグラップ及び/又はチップペーパーの材料をカプセル11の液体ペイロードに対して実質的に不透過性にするための障壁被覆を構成することができる。
【0094】
この例では、カプセル11は球形であり、約3mmの直径を有する。他の例では、他の形状及びサイズのカプセルを使用することもできる。カプセル11の総重量は、約10mg~約50mgの範囲内とすることができる。
【0095】
この例では、カプセル11は、材料本体6内の長手方向中心位置に配置される。すなわち、カプセル11は、その中心が材料本体6の各端から4mm離れるように配置される。他の例では、カプセル11は、材料本体6内の長手方向中心位置以外の位置に配置することができ、すなわち材料本体6の上流端より下流端の近くに、又は材料本体6の下流端より上流端の近くに配置することができる。マウスピース2’は、カプセル11及び通気孔12がマウスピース2’内で互いから長手方向にずれるように構成されることが好ましい。
【0096】
マウスピース2’の断面図が図2bに示されており、これは図2aの線A-A’で切り取ったものである。図2bは、カプセル11、材料本体6、第1のプラグラップ7’及び第2のプラグラップ9、並びにチップペーパー5を示す。この例では、カプセル11は、マウスピース2’の長手方向軸線(図示せず)の中心に位置する。第1のプラグラップ7’及び第2のプラグラップ9並びにチップペーパー5は、材料本体6の周りに同心円状に配置される。
【0097】
破壊可能なカプセル11は、コアシェル構造を有する。すなわち、カプセル化材料又は障壁材料が、エアロゾル変性剤を含むコアの周りにシェルを作製する。シェル構造は、物品1’の貯蔵中にエアロゾル変性剤の移動は阻止するが、使用中のエアロゾル変性剤(aerosol modifier)とも呼ばれるエアロゾル変性剤の制御された解放は可能にする。
【0098】
いくつかの場合、障壁材料(本明細書では、カプセル化材料とも呼ばれる)は脆い。カプセルは、カプセル化されたエアロゾル変性剤を解放するために、使用者によって破砕され又は他の形で破損若しくは破壊される。典型的には、カプセルは、加熱が開始される直前に破壊されるが、使用者は、エアロゾル変性剤をいつ解放するかを選択することができる。「破壊可能なカプセル」という用語は、コアを解放するためにシェルを圧力によって破壊することができるカプセルを指し、より具体的には、使用者がカプセルのコアを解放したいと考えたとき、使用者の指によって与えられる圧力下でシェルを破裂させることができる。
【0099】
いくつかの場合、障壁材料は耐熱性を有する。すなわち、いくつかの場合、障壁は、エアロゾル供給デバイスの動作中にカプセル部位で到達する温度で、破裂する、溶融する、又は他の形でつぶれることはない。説明的には、マウスピース内に配置されたカプセルは、たとえば30℃~100℃の範囲内の温度に露出させることができ、障壁材料は、少なくとも約50℃~120℃まで、液体コアを引き続き保持することができる。
【0100】
他の場合、カプセルは、加熱されると、たとえば障壁材料が溶融すること、又はカプセルが膨張して障壁材料が破裂することによって、コア組成物を解放する。
【0101】
カプセルの総重量は、約1mg~約100mg、好適には約5mg~約60mg、約8mg~約50mg、約10mg~約20mg、又は約12mg~約18mgの範囲内とすることができる。
【0102】
コア調合物の総重量は、約2mg~約90mg、好適には約3mg~約70mg、約5mg~約25mg、約8mg~約20mg、又は約10mg~約15mgの範囲内とすることができる。
【0103】
本発明によるカプセルは、上述したコアと、シェルとを備える。カプセルは、約4.5N~約40N、より好ましくは約5N~約30N又は約28N(たとえば、約9.8N~約24.5N)の破砕強度を提示することができる。カプセル破裂強度は、カプセルが材料本体6から取り外されるときに測定することができ、力ゲージを使用して、カプセルが2つの平坦な金属板間に押圧されて破裂するときの力を測定する。好適な測定デバイスは、ヘッド部が平坦な付属品を有するSauter FK50の力ゲージであり、これを使用して、付属品に類似した表面を有する平坦な硬質の表面にカプセルを押し付けることができる。
【0104】
カプセルは、実質的に球形とすることができ、少なくとも約0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、2.0mm、2.5mm、2.8mm、又は3.0mmの直径を有することができる。カプセルの直径は、約10.0mm、8.0mm、7.0mm、6.0mm、5.5mm、5.0mm、4.5mm、4.0mm、3.5mm、又は3.2mm未満とすることができる。説明的には、カプセル径は、約0.4mm~約10.0mm、約0.8mm~約6.0mm、約2.5mm~約5.5mm、又は約2.8mm~約3.2mmの範囲内とすることができる。いくつかの場合、カプセルは、約3.0mmの直径を有することができる。これらのサイズは、本明細書に記載する物品にカプセルを組み込むのに特に好適である。
【0105】
その最大断面積の位置でのカプセル11の断面積は、いくつかの実施形態では、マウスピース2’のうちカプセル11が提供された部分の断面積の28%未満、より好ましくは27%未満、さらにより好ましくは25%未満である。たとえば、3.0mmの直径を有する球形のカプセルの場合、カプセルの最大断面積は7.07mmである。本明細書に記載する21mmの円周を有するマウスピース2’の場合、材料本体6は20.8mmの外周を有し、この構成要素の半径は3.31mmであり、34.43mmの断面積に対応する。カプセルの断面積は、この例では、マウスピース2’の断面積の20.5%である。別の例として、カプセルが3.2mmの直径を有した場合、その最大断面積は8.04mmになるはずである。この場合、カプセルの断面積は、材料本体6の断面積の23.4%になるはずである。カプセルの最大断面積が、マウスピース2’のうちカプセル11が提供された部分の断面積の28%未満であることには、より大きい断面積を有するカプセルと比較すると、マウスピース2’における圧力降下が低減され、カプセルの周りにエアロゾルが通過するのに十分な空間が残り、材料本体6は、エアロゾルがマウスピース2’を通過するとき、多量のエアロゾル質量を除去しないという利点がある。
【0106】
カプセルが破壊されたとき、開放圧力降下(すなわち、通気開口が開いた状態)として測定される物品内の圧力降下又は差圧(吸込み抵抗とも呼ばれる)は、8mmHO未満だけ低下することが好ましい。開放圧力降下は、6mmHO未満、より好ましくは5mmHO未満だけ低下することがより好ましい。これらの値は、同じ設計で作られた少なくとも80個の物品によって実現される平均として測定される。そのような圧力降下のわずかな変化は、消費者がカプセルを破壊することを選ぶか否かにかかわらず、所与の製品圧力降下に対する適正な通気レベルの設定などの製品設計の他の態様を実現することができることを意味する。
【0107】
いくつかの実施形態では、たとえば本明細書に記載する不燃式エアロゾル供給デバイス内で、エアロゾル生成材料3が加熱されてエアロゾルを供給するとき、マウスピース2のうちカプセルが配置された部分は、システムの使用中に摂氏58~70度の温度に到達してエアロゾルを生成する。この温度の結果、カプセル内容物は、エアロゾルがマウスピース2を通過するとき、システムによって形成されたエアロゾルへのカプセル内容物、たとえばエアロゾル変性剤の揮発を促すように十分に温められる。カプセル11の内容物を温めることは、たとえばカプセル11が破壊される前に行うことができ、したがってカプセル11が破壊されたとき、マウスピース2を通過するエアロゾル中へカプセル11の内容物がより容易に解放される。別法として、カプセル11の内容物は、カプセル11が破壊された後にこの温度まで温めることができ、この場合も、エアロゾルへの内容物の解放が増大する。摂氏58~70度の範囲内のマウスピース温度は、カプセル内容物をより容易に解放することができるように十分に高いが、マウスピース2のうちカプセルが配置された部分の外面が、マウスピース2を締め付けることによってカプセル11を破裂させるために消費者が触れるには不快な温度に到達しないように十分に低いことが判明したことが有利である。
【0108】
マウスピース2のうちカプセル11が配置された部分の温度は、侵入プローブを有するデジタル温度計を使用して測定することができ、デジタル温度計は、プローブがマウスピース2の壁を通ってマウスピース2に入り(プローブの周りからマウスピース内へ漏れ得る外気の量を制限するための封止を形成する)、カプセル11の箇所に近接して位置するように配置される。同様に、外面の温度を測定するために、マウスピース2の外面に温度プローブを配置することができる。
【0109】
以下の表1.0は、最初の5回の吸煙中にエアロゾル供給システムで使用される物品のマウスピース2内のカプセルの箇所における温度を示す。データは、図3図7を参照して本明細書に記載するコイル加熱デバイスを使用して「標準」加熱プロファイルを使用して加熱されたときの物品、及び同じデバイスを使用して「ブースト」加熱プロファイルを使用して加熱されたときの同じ物品に対して提供される。「ブースト」加熱プロファイルは、使用者によって選択可能であり、より高い加熱温度を実現することを可能にする。
【0110】
表1.0に示すように、カプセル11の箇所におけるマウスピース2の温度は、「標準」加熱プロファイル下で61.5℃の最大温度に到達し、「ブースト」加熱プロファイル下で63.8℃の最大温度に到達する。58℃~70℃の範囲内、好ましくは59℃~65℃の範囲内、より好ましくは60℃~65℃の範囲内の最大温度が、マウスピース2の好適な外面温度を維持しながらカプセル11の内容物の揮発を助けることに関して特に有利であることが判明した。
【0111】
【表1】

カプセル11は、マウスピース2に印加される外力によって、たとえば消費者が指又は他の機構を使用してマウスピース2を締め付けることによって破壊可能である。上述したように、マウスピースのうちカプセルが配置された部分は、エアロゾル供給システムの使用中に58℃より大きい温度に到達してエアロゾルを生成するように配置される。エアロゾル生成材料3の加熱前のマウスピース2内に配置されたカプセル11の破裂強度は、1500~4000重量グラムであることが好ましい。エアロゾルの生成のためのエアロゾル供給システムの使用から30秒以内のマウスピース2内に配置されたカプセル11の破裂強度は、1000~4000重量グラムであることが好ましい。したがって、58℃を上回る温度、たとえば58℃~70℃の温度にさらされるかどうかにかかわらず、カプセル11は破裂強度を維持することが可能であり、この破裂強度の範囲内では、カプセル11が破壊されたという十分な触覚フィードバックを消費者に提供しながら、カプセル11を消費者によって容易に破砕可能とすることが可能になることが判明した。そのような破裂強度を維持することは、本明細書に記載するように、たとえばアラビアガム、ゲランガム、アカシアガム、キサンタンガム、又はカラギーナンを単独又はゼラチンとの組合せで含む多糖など、カプセルに対して適当なゲル化剤を選択することによって実現される。加えて、カプセルシェルにとって好適な壁厚さが選択されるべきである。
【0112】
エアロゾル生成材料の加熱前のマウスピース内に配置されたカプセルの破裂強度は、2000~3500重量グラム又は2500~3500重量グラムであることが好適である。エアロゾルの生成のためのシステムの使用から30秒以内のマウスピース内に配置されたカプセルの破裂強度は、1500~4000重量グラム又は1750~3000重量グラムであることが好適である。一例では、エアロゾル生成材料の加熱前のマウスピース内に配置されたカプセルの平均破裂強度は約3175重量グラムであり、エアロゾルの生成のためのシステムの使用から30秒以内のマウスピース内に配置されたカプセルの平均破裂強度は約2345重量グラムである。
【0113】
カプセルの破裂強度は、テキスチャ分析器などの力測定機器を使用して試験することができる。これらの破裂強度に対して、Type TA.XTPlus Texture Analyserを使用しており、直径6mmの円形の金属プローブを、カプセルの箇所の中心(すなわち、マウスピース2の口端から12mm)に配置した。プローブの試験速度は0.3mm/秒であり、5.00mm/秒の試験前速度及び10mm/秒の試験後速度を使用した。使用した力は5000gであった。試験した物品は、Borgwaldt A14のシリンジ駆動ユニットを使用して、周知のカナダ保健省の喫煙方式(30秒ごとに2秒間にわたって適用される吸煙量55ml)に従って、標準的な試験機器を使用して吸い込まれた。この吸煙方式を使用して3回の吸煙が実行され、3回目の吸煙から30秒以内のカプセル破裂強度が測定された。試験した物品は、ともに貼り合わせた2層の紙から形成された8mmの中空の管状要素4が口端に設けられ、各紙が平行に巻き付けられて継ぎ目で当接しており、300μmの総厚さを有することを除いて、以下にさらに詳細に記載する図1a及び図1bに示す物品1と同等であった。カプセルは、直径3mmのカプセルであり、9.5Y12,000のトウ仕様及び標的9%のトリアセチン可塑剤を有する長さ8mmの酢酸セルローストウの本体内に配置された。
【0114】
障壁材料は、ゲル化剤、増量剤、緩衝剤、着色剤、及び可塑剤のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0115】
ゲル化剤は、たとえば、多糖若しくはセルロースのゲル化剤、ゼラチン、ゴム、ゲル、ワックス、又はこれらの混合物とすることができることが好適である。好適な多糖には、アルギン酸、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、及びペクチンが含まれる。好適なアルギン酸には、たとえば、アルギン酸塩、エステル型アルギン酸、又はアルギン酸グリセリルが含まれる。アルギン酸塩には、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミン、並びにアルギン酸ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムのような第I属又は第II属のアルギン酸金属イオンが含まれる。エステル型アルギン酸には、アルギン酸プロピレングリコール及びアルギン酸グリセリルが含まれる。一実施形態では、障壁材料としては、アルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カルシウムが挙げられる。好適なセルロース材料には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、及びセルロースエーテルが含まれる。ゲル化剤は、1つ又は複数の加工デンプンを含むことができる。ゲル化剤は、カラギーナンを含むことができる。好適なガムには、アガー、ゲランガム、アラビアガム、プルランガム、マンナンガム、ガティガム、トラガカントガム、カラヤ、ローカストビーン、アカシアガム、グアー、クインスシード、及びキサンタンガムが含まれる。好適なゲルには、アガー、アガロース、カラギーナン、フコイダン、及びファーセレランが含まれる。好適なワックスには、カルナウバロウが含まれる。いくつかの場合、ゲル化剤は、カラギーナン及び/又はゲランガムを含むことができ、これらのゲル化剤は、結果として得られるカプセルを破壊するために必要とされる圧力が特に好適になるようにゲル化剤として含むのに特に好適である。
【0116】
障壁材料は、デンプン、加工デンプン(酸化デンプンなど)、及びマルチトールなどの糖アルコールなどの1つ又は複数の増量剤を含むことができる。
【0117】
障壁材料は、エアロゾル生成デバイスの製造プロセス中にエアロゾル生成デバイス内のカプセルの位置特定をより容易にする着色剤を含むことができる。着色剤は、染料及び顔料の中から選択されることが好ましい。
【0118】
障壁材料は、クエン酸塩又はリン酸塩化合物などの少なくとも1つの緩衝剤をさらに含むことができる。
【0119】
障壁材料は、少なくとも1つの可塑剤をさらに含むことができ、可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、マルチトール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、又は可塑化特性を有する別のポリアルコール、及び任意選択で1酸塩基、2酸塩基、又は3酸塩基型の酸、特にクエン酸、フマル酸、リンゴ酸などとすることができる。可塑剤の量は、シェルの総乾燥重量の1~30重量%、好ましくは2~15重量%、さらにより好ましくは3~10重量%の範囲である。
【0120】
障壁材料はまた、1つ又は複数の充填材料を含むことができる。好適な充填材料には、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン(α、β、又はγ)などのデンプン誘導体、若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリオール、又はこれらの混合物が含まれる。デキストリンが好ましい充填剤である。シェル内の充填剤の量は、シェルの総乾燥重量の多くとも98.5重量%、好ましくは25~95重量%、より好ましくは40~80重量%、さらにより好ましくは50~60重量%である。
【0121】
カプセルシェルは、湿気に誘起される劣化に対するカプセルの感受性を低減させる疎水性の外層をさらに含むことができる。疎水性の外層は、ワックス、特にカルナウバロウ、カンデリラロウ、若しくはミツロウ、カーボワックス、シェラック(アルコール溶液又は水溶液中)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ラテックス組成物、ポリビニルアルコール、又はこれらの組合せを含む群から選択されることが好適である。少なくとも1つの防湿剤は、エチルセルロース又はエチルセルロース及びシェラックの混合物であることがより好ましい。
【0122】
カプセルコアは、エアロゾル変性剤を含む。このエアロゾル変性剤は、エアロゾルの少なくとも1つの特性を変性する任意の揮発性物質とすることができる。たとえば、エアロゾル物質は、pH、感覚特性、水分量、送達特徴、又は香料を変性することができる。いくつかの場合、エアロゾル変性剤は、酸、塩基、水、又は香味料から選択することができる。いくつかの実施形態では、エアロゾル変性剤は、1つ又は複数の香味料を含む。
【0123】
香味料は、リコリス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ペパーミント油及び/若しくはスペアミント油などのハッカ属の任意の種からのミント香料、好適にはメンソール、及び/若しくはミント油、又はラベンダー、フェンネル、若しくはアニスとすることができることが好適である。
【0124】
いくつかの場合、香味料はメンソールを含む。
【0125】
いくつかの場合、カプセルは、少なくとも約25%w/wの香味料(カプセルの総重量に基づく)、好適には少なくとも約30%w/wの香味料、35%w/wの香味料、40%w/wの香味料、45%w/wの香味料、又は50%w/wの香味料を含むことができる。
【0126】
いくつかの場合、コアは、少なくとも約25%w/wの香味料(コアの総重量に基づく)、好適には少なくとも約30%w/wの香味料、35%w/wの香味料、40%w/wの香味料、45%w/wの香味料、又は50%w/wの香味料を含むことができる。いくつかの場合、コアは、約75%w/w以下の香味料(コアの総重量に基づく)、好適には約65%w/w以下の香味料、55%w/w以下の香味料、又は50%w/w以下の香味料を含むことができる。説明的には、カプセルは、25~75%w/w(コアの総重量に基づく)、約35~60%w/w、又は約40~55%w/wの範囲内の量の香味料を含むことができる。
【0127】
カプセルは、少なくとも約2mg、3mg、又は4mgのエアロゾル変性剤、好適には少なくとも約4.5mgのエアロゾル変性剤、5mgのエアロゾル変性剤、5.5mgのエアロゾル変性剤、又は6mgのエアロゾル変性剤を含むことができる。
【0128】
いくつかの場合、消耗品は、少なくとも約7mgのエアロゾル変性剤、好適には少なくとも約8mgのエアロゾル変性剤、10mgのエアロゾル変性剤、12mgのエアロゾル変性剤、又は15mgのエアロゾル変性剤を含む。コアはまた、エアロゾル変性剤を溶解する溶剤を含むことができる。
【0129】
任意の好適な溶剤を使用することができる。
【0130】
エアロゾル変性剤が香味料を含む場合、溶剤は、短鎖又は中鎖脂肪及び油を含むことができることが好適である。たとえば、溶剤は、C2-C12トリグリセリド、好適にはC6-C10トリグリセリド、又はCs-C12トリグリセリドなどのグリセロールのトリエステルを含むことができる。たとえば、溶剤は、パーム油及び/又はココナッツ油から導出することができる中鎖トリグリセリド(MCT-C8-C12)を含むことができる。
【0131】
エステルは、カプリル酸及び/又はカプリン酸とともに形成することができる。たとえば、溶剤は、トリカプリル酸グリセリル及び/又はトリカプリン酸グリセリルの中鎖トリグリセリドを含むことができる。たとえば、溶剤は、CAS登録番号73398-61-5、65381-09-1、85409-09-2で識別される化合物を含むことができる。そのような中鎖トリグリセリドは、無臭及び無味である。
【0132】
溶剤の親水性親油性バランス(HLB)は、9~13、好適には10~12の範囲内とすることができる。カプセルを作製する方法は共押出を含み、任意選択でそれに続いて、遠心分離並びに硬化及び/又は乾燥が行われる。国際公開第2007/010407号明細書の内容が、全体として参照により組み込まれている。
【0133】
上述した例では、マウスピース2、2’は各々、単一の材料本体6を備える。他の例では、図1又は図2a及び図2bのマウスピースは、複数の材料本体を含むことができる。マウスピース2、2’は、材料本体間に空洞を備えることができる。
【0134】
いくつかの例では、エアロゾル生成材料3の下流のマウスピース2、2’は、巻取紙、たとえば第1のプラグラップ7若しくは第2のプラグラップ9又はチップペーパー5を備えることができ、巻取紙は、本明細書に記載するエアロゾル変性剤又は他のセンセート材料を含む。エアロゾル変性剤は、マウスピース巻取紙の内向き又は外向きの表面に配置することができる。たとえば、エアロゾル変性剤又は他のセンセート材料は、チップペーパー5の外向きの表面など、巻取紙のうち使用中に消費者の唇に接触する区域に提供することができる。マウスピース巻取紙の外向きの表面にエアロゾル変性剤又は他のセンセート材料を配置することによって、使用中にエアロゾル変性剤又は他のセンセート材料を消費者の唇へ伝達することができる。物品の使用中の消費者の唇へのエアロゾル変性剤又は他のセンセート材料の伝達は、エアロゾル生成基質3によって生成されるエアロゾルの感覚刺激特性(たとえば、味)を変性することができ、又は他の方法で代替の知覚体験を消費者に提供することができる。たとえば、エアロゾル変性剤又は他のセンセート材料は、エアロゾル生成基質3によって生成されるエアロゾルに香りを与えることができる。エアロゾル変性剤又は他のセンセート材料は、消費者の唾液によって使用者へ伝達されるように、少なくとも部分的に水溶性を有することができる。エアロゾル変性剤又は他のセンセート材料は、エアロゾル供給システムによって生成される熱によって揮発するものとすることができる。これにより、エアロゾル生成基質3によって生成されるエアロゾルへのエアロゾル変性剤の伝達を容易にすることができる。好適なセンセート材料は、本明細書に記載する香料、スクラロース、又はメンソールなどの冷却剤などとすることができる。
【0135】
不燃式エアロゾル供給デバイスは、本明細書に記載する物品1、1’のエアロゾル生成材料3を加熱するために使用される。不燃式エアロゾル供給デバイスは、他の構成と比較すると、物品1、1’への改善された熱伝達を可能にすることが判明したため、コイルを備えることが好ましい。
【0136】
いくつかの例では、コイルは、使用中、少なくとも1つの導電加熱要素の加熱を引き起こすように構成され、したがって少なくとも1つの導電加熱要素からエアロゾル生成材料へ熱エネルギーが伝導可能になり、以てエアロゾル生成材料の加熱を引き起こす。
【0137】
いくつかの例では、コイルは、使用中に少なくとも1つの加熱要素に侵入する変動磁界を生成し、以て少なくとも1つの加熱要素の誘導加熱及び/又は磁気ヒステリシス加熱を引き起こすように構成される。そのような構成では、本明細書に画定するように、この加熱要素又は各加熱要素を「サセプタ」と呼ぶことができる。使用中に少なくとも1つの導電加熱要素に侵入する変動磁界を生成し、以て少なくとも1つの導電加熱要素の誘導加熱を引き起こすように構成されたコイルを、「誘導コイル」又は「インダクタコイル」と呼ぶことができる。
【0138】
デバイスは、加熱要素(複数可)、たとえば導電加熱要素(複数可)を含むことができ、加熱要素(複数可)は、加熱要素(複数可)のそのような加熱を可能にするように、コイルに対して配置することができ、又は配置可能とすることができることが好適である。加熱要素(複数可)は、コイルに対して固定の位置とすることができる。別法として、少なくとも1つの加熱要素、たとえば少なくとも1つの導電加熱要素は、デバイスの加熱区間に挿入されるように物品1、1’内に含むことができ、物品1、1’はまた、エアロゾル生成材料3を備えており、使用後に加熱区間から取外し可能である。別法として、デバイス及びそのような物品1、1’の両方が、少なくとも1つのそれぞれの加熱要素、たとえば少なくとも1つの導電加熱要素を備えることができ、コイルは、物品が加熱区間内にあるとき、デバイス及び物品の各々の加熱要素(複数可)の加熱を引き起こすためのものとすることができる。
【0139】
いくつかの例では、コイルは螺旋形である。いくつかの例では、コイルは、エアロゾル生成材料を受け取るように構成されたデバイスの加熱区間の少なくとも一部分を取り囲む。いくつかの例では、コイルは、加熱区間の少なくとも一部分を取り囲む螺旋形コイルである。
【0140】
いくつかの例では、デバイスは、加熱区間を少なくとも部分的に取り囲む導電加熱要素を備え、コイルは、導電加熱要素の少なくとも一部分を取り囲む螺旋形コイルである。いくつかの例では、導電加熱要素は管状である。いくつかの例では、コイルはインダクタコイルである。
【0141】
いくつかの例では、コイルを使用することで、不燃式エアロゾル供給デバイスが非コイルエアロゾル供給デバイスより迅速に動作温度に到達することが可能になる。たとえば、上述したコイルを含む不燃式エアロゾル供給デバイスは、デバイス加熱プログラムの開始から30秒未満で、より好ましくは25秒未満で、第1の吸煙を提供することができるように、動作温度に到達することができる。いくつかの例では、デバイスは、デバイス加熱プログラムの開始から約20秒で動作温度に到達することができる。
【0142】
エアロゾル生成材料の加熱を引き起こすために、デバイスで本明細書に記載するコイルを使用することで、得られるエアロゾルが促進されることが判明した。たとえば、消費者は、本明細書に記載するものなどのコイルを含むデバイスによって生成されるエアロゾルが、他の不燃式エアロゾル供給システムによって得られるエアロゾルより、工場で作られたシガレット(FMC)製品で生成されるものに感覚的に近いと報告している。理論によって拘束されることを望むものではないが、これは、コイルが使用されるときに必要とされる加熱温度に到達する時間が削減されたこと、コイルが使用されるときに実現可能な加熱温度がより高いこと、及び/又はコイルによりそのようなシステムがエアロゾル生成材料の比較的大きい体積を同時に加熱することが可能になることの結果であり、その結果、エアロゾル温度がFMCエアロゾル温度に類似していると仮定される。FMC製品では、燃焼している石炭によって高温エアロゾルが生成され、それによりエアロゾルがロッドを通って吸い込まれるとき、石炭の後ろのタバコロッド内でタバコが加熱される。この高温エアロゾルは、燃焼している石炭の後ろのロッド内のタバコから香料化合物を解放すると理解される。本明細書に記載するコイルを含むデバイスはまた、本明細書に記載するタバコ材料などのエアロゾル生成材料を加熱して、香料化合物を解放することが可能であると考えられ、その結果エアロゾルは、FMCエアロゾルにより類似していると報告されている。コイルを含むデバイスを使用して、19mmより大きい円周、たとえば約19mm~約23mmの円周を有するエアロゾル生成材料のロッドを備える物品を加熱することによって、エアロゾルの特定の改善を実現することができる。
【0143】
本明細書に記載するコイル、たとえばエアロゾル生成材料の少なくとも一部を少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも220℃まで加熱する誘導コイルを含むエアロゾル供給システムを使用することで、FMC製品の特性により類似していると考えられる特定の特性を有するエアロゾルをエアロゾル生成材料から生成することを可能にすることができる。たとえば、誘導加熱器を使用して、2秒の期間にわたってこの期間中に少なくとも1.50L/mの空気流下で少なくとも250℃まで加熱されたニコチンを含むエアロゾル生成材料を加熱するとき、以下の特性のうちの1つ又は複数が観察される。
【0144】
少なくとも10μgのニコチンが、エアロゾル生成材料からエアロゾル化される。
【0145】
エアロゾル形成材料の生成されたエアロゾルとニコチンとの重量比が、少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1になる。
【0146】
少なくとも100μgのエアロゾル形成材料をエアロゾル生成材料からエアロゾル化することができる。
【0147】
生成されたエアロゾル内の平均粒子又は液滴サイズは、約1000nm未満である。
【0148】
エアロゾル密度は、少なくとも0.1μg/ccである。
【0149】
いくつかの場合、少なくとも10μgのニコチン、好適には少なくとも30μg又は40μgのニコチンが、期間中に少なくとも1.50L/mの空気流下でエアロゾル生成材料からエアロゾル化される。いくつかの場合、約200μg未満、好適には約150μg未満、又は約125μg未満のニコチンが、期間中に少なくとも1.50L/mの空気流下でエアロゾル生成材料からエアロゾル化される。
【0150】
いくつかの場合、少なくとも100μgのエアロゾル形成材料、好適には少なくとも200μg、500μg、又は1mgのエアロゾル形成材料が、期間中に少なくとも1.50L/mの空気流下でエアロゾル生成材料からエアロゾル化される。エアロゾル形成材料は、グリセロールを含むことができ、又はグリセロールからなることができることが好適である。
【0151】
本明細書に画定するように、「平均粒子又は液滴サイズ」という用語は、エアロゾルの固体又は液体成分(すなわち、ガス中に浮遊する成分)の平均サイズを指す。エアロゾルが浮遊した液滴及び浮遊した固体粒子を含有する場合、この用語は、すべて合わせた成分の平均サイズを指す。
【0152】
いくつかの場合、生成されたエアロゾル内の平均粒子又は液滴サイズは、約900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、450nm、又は400nm未満とすることができる。いくつかの場合、平均粒子又は液滴サイズは、約25nm、50nm、又は100nmより大きくすることができる。
【0153】
いくつかの場合、期間中に生成されるエアロゾル密度は、少なくとも0.1μg/ccである。いくつかの場合、エアロゾル密度は、少なくとも0.2μg/cc、0.3μg/cc、又は0.4μg/ccである。いくつかの場合、エアロゾル密度は、約2.5μg/cc、2.0μg/cc、1.5μg/cc、又は1.0μg/cc未満である。
【0154】
不燃式エアロゾル供給デバイスは、物品1、1’のエアロゾル生成材料3を少なくとも160℃の最大温度まで加熱するように配置されることが好ましい。不燃式エアロゾル供給デバイスは、不燃式エアロゾル供給デバイスによる加熱プロセス中に少なくとも一度、物品1、1’のエアロゾル形成材料3を少なくとも約200℃、又は少なくとも約220℃、又は少なくとも約240℃、より好ましくは少なくとも約270℃の最大温度まで加熱するように配置されることが好ましい。
【0155】
本明細書に記載するコイル、たとえばエアロゾル生成材料の少なくとも一部を少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも220℃まで加熱する誘導コイルを含むエアロゾル供給システムを使用することで、エアロゾルがマウスピース2、2’の口端を離れるときに以前のデバイスより高い温度を有する本明細書に記載する物品1、1’内のエアロゾル生成材料からのエアロゾルの生成を可能にすることができ、これはFMC製品により近いと考えられるエアロゾルの生成に寄与することができる。たとえば、物品1、1’の口端で測定される最大エアロゾル温度は、好ましくは50℃より大きく、より好ましくは55℃より大きく、さらにより好ましくは56℃又は57℃より大きくすることができる。追加又は別法として、物品1、1’の口端で測定される最大エアロゾル温度は、62℃未満、より好ましくは60℃未満、より好ましくは59℃未満とすることができる。いくつかの実施形態では、物品1、1’の口端で測定される最大エアロゾル温度は、好ましくは50℃~62℃、より好ましくは56℃~60℃とすることができる。
【0156】
図3は、本明細書に記載する物品1、1’のエアロゾル生成材料3などのエアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するための不燃式エアロゾル供給デバイス100の一例を示す。概要では、デバイス100を使用して、エアロゾル生成媒体を備える交換可能な物品110、たとえば本明細書に記載する物品1、1’を加熱し、デバイス100の使用者によって吸入されるエアロゾル又は他の吸入可能な媒体を生成することができる。デバイス100及び交換可能な物品110はともに、システムを形成する。
【0157】
デバイス100は、デバイス100の様々な構成要素を取り囲んで収容するハウジング102(外側カバーの形態)を備える。デバイス100は、一端に開口104を有しており、加熱アセンブリによる加熱のために、開口104を通して物品110を挿入することができる。使用の際、物品110は、加熱アセンブリに完全又は部分的に挿入することができ、加熱アセンブリ内で、加熱器アセンブリの1つ又は複数の構成要素によって加熱することができる。
【0158】
この例のデバイス100は、第1の端部材106を備えており、第1の端部材106は、物品110が定位置にないときは開口104を閉じるように第1の端部材106に対して可動の蓋108を備える。図3で、蓋108は開構成で示されているが、蓋108は閉構成へ動かすこともできる。たとえば、使用者は、矢印「B」の方向に蓋108を摺動させることができる。
【0159】
デバイス100はまた、押下されるとデバイス100を動作させるボタン又はスイッチなどの使用者が操作可能な制御要素112を含むことができる。たとえば、使用者は、スイッチ112を操作することによって、デバイス100をオンにすることができる。
【0160】
デバイス100はまた、デバイス100のバッテリーを充電するためにケーブルを受け取ることができるソケット/ポート114などの電気構成要素を備えることができる。たとえば、ソケット114は、USB充電ポートなどの充電ポートとすることができる。
【0161】
図4は、外側カバー102が取り除かれており、物品110が存在しない状態の図3のデバイス100を示す。デバイス100は、長手方向軸線134を画定する。
【0162】
図4に示すように、第1の端部材106は、デバイス100の一端に配置され、第2の端部材116は、デバイス100の反対側の端部に配置される。第1の端部材106及び第2の端部材116はともに、デバイス100の端面を少なくとも部分的に画定する。たとえば、第2の端部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に画定する。外側カバー102の縁部はまた、端面の一部分を画定することができる。この例では、蓋108はまた、デバイス100の上面の一部分を画定する。
【0163】
開口104に最も近いデバイスの端部は、使用の際に使用者の口に最も近くなるため、デバイス100の近位端(又は口端)と呼ぶことができる。使用の際、使用者は、物品110を開口104に挿入し、使用者制御部112を操作して、エアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイス内で生成されたエアロゾルを吸い込む。これによりエアロゾルは、流路に沿ってデバイス100を通ってデバイス100の近位端の方へ流れる。
【0164】
開口104から最も遠いデバイスの他端は、使用の際に使用者の口から最も遠い端部であるため、デバイス100の遠位端と呼ぶことができる。使用者がデバイス内で生成されたエアロゾルを吸い込むと、エアロゾルは、デバイス100の遠位端から離れる方へ流れる。
【0165】
デバイス100は、動力源118をさらに備える。動力源118は、たとえば、再充電可能なバッテリー又は再充電不可のバッテリーなどのバッテリーとすることができる。好適なバッテリーの例には、たとえば、リチウムバッテリー(リチウムイオンバッテリーなど)、ニッケルバッテリー(ニッケルカドミウムバッテリーなど)、及びアルカリバッテリーが含まれる。バッテリーは、加熱アセンブリに電気的に結合されて、必要とされるとき、コントローラ(図示せず)の制御下で、エアロゾル生成材料を加熱するための電力を供給する。この例では、バッテリーは、中心支持体120に接続されており、中心支持体120は、バッテリー118を定位置で保持する。
【0166】
デバイスは、少なくとも1つの電子モジュール122をさらに備える。電子モジュール122は、たとえばプリント回路基板(PCB)を備えることができる。PCB122は、プロセッサなどの少なくとも1つのコントローラ及びメモリを支持することができる。PCB122はまた、デバイス100の様々な電子構成要素をともに電気的に接続するための1つ又は複数の電気トラックを備えることができる。たとえば、デバイス100全体にわたって動力を分散させることができるように、バッテリー端子をPCB122に電気的に接続することができる。ソケット114はまた、電気トラックを介してバッテリーに電気的に結合することができる。
【0167】
例示的なデバイス100では、加熱アセンブリは誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスによって物品110のエアロゾル生成材料を加熱するための様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電体(サセプタなど)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素、たとえば1つ又は複数のインダクタコイルと、交流などの変動電流を誘導要素に通すためのデバイスとを備えることができる。誘導要素内の変動電流は、変動磁界を生じさせる。変動磁界は、誘導要素に対して好適に配置されたサセプタに侵入し、サセプタ内に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対して電気抵抗を有し、したがってこの抵抗に逆らう渦電流の流れのため、サセプタがジュール加熱によって加熱される。サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、サセプタ内の磁気ヒステリシス損失によって、すなわち変動磁界との位置合わせの結果として磁性材料内の磁気双極子の向きが変動することによって、熱を生成することもできる。誘導加熱では、たとえば伝導による加熱と比較すると、サセプタ内で熱が生成され、それにより急速な加熱が可能になる。さらに、誘導加熱器とサセプタとの間のいかなる物理的な接触も必要なく、構造及び適用に関してさらなる自由が可能になる。
【0168】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ構成体132(本明細書では、「サセプタ」と呼ぶ)、第1のインダクタコイル124、及び第2のインダクタコイル126を備える。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、導電性材料から作られる。この例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、螺旋形インダクタコイル124、126を提供するように螺旋形に巻かれたリッツ線/ケーブルから作られる。リッツ線は、複数の個別のワイアを含み、これらのワイアは個々に絶縁されており、これらが撚り合わされて単一のワイアを形成する。リッツ線は、導体の表皮効果損失を低減させるように設計される。例示的なデバイス100では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、方形の断面を有する銅のリッツ線から作られる。他の例では、リッツ線は、円形などの他の形状の断面を有することもできる。
【0169】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1の区分を加熱するための第1の変動磁界を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2の区分を加熱するための第2の変動磁界を生成するように構成される。この例では、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸線134の方向に第2のインダクタコイル126に隣り合っている(すなわち、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は重なっていない)。サセプタ構成体132は、単一のサセプタ、又は2つ以上の別個のサセプタを備えることができる。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の端部130は、PCB122に接続することができる。
【0170】
いくつかの例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、互いに異なる少なくとも1つの特性を有することができることが理解されよう。たとえば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる少なくとも1つの特性を有することができる。より具体的には、一例では、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なるインダクタンス値を有することができる。図4で、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は異なる長さであり、したがって第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126よりサセプタ132の小さい区分に巻かれている。したがって、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる数の巻きを含むことができる(個々の巻き間の間隔は実質的に同じであると仮定する)。さらに別の例では、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる材料から作ることができる。いくつかの例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126を実質的に同一とすることができる。
【0171】
この例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、反対の方向に巻かれている。これは、インダクタコイルが異なる時点で活動状態となるときに有用となり得る。たとえば、最初に第1のインダクタコイル124が動作して、物品110の第1の区分/部分を加熱することができ、後に第2のインダクタコイル126が動作して、物品110の第2の区分/部分を加熱することができる。コイルを反対の方向に巻くことで、特定のタイプの制御回路とともに使用されるときに不活動状態のコイルで誘起される電流を低減させるのを助ける。図4で、第1のインダクタコイル124は右巻きの螺旋であり、第2のインダクタコイル126は左巻きの螺旋である。しかし、別の実施形態では、インダクタコイル124、126を同じ方向に巻くこともでき、又は第1のインダクタコイル124を左巻きの螺旋にすることができ、第2のインダクタコイル126を右巻きの螺旋にすることもできる。
【0172】
この例のサセプタ132は中空であり、したがってエアロゾル生成材料が受け取られるレセプタクルを画定する。たとえば、物品110をサセプタ132に挿入することができる。この例では、サセプタ120は管状であり、円形の断面を有する。
【0173】
サセプタ132は、1つ又は複数の材料から作ることができる。サセプタ132は炭素鋼を含み、ニッケル又はコバルトの被覆を有することが好ましい。
【0174】
いくつかの例では、サセプタ132は、少なくとも2つの材料を含むことができ、これら2つの材料は、少なくとも2つの材料の選択的なエアロゾル化のために2つの異なる周波数で加熱することが可能である。たとえば、サセプタ132の第1の区分(第1のインダクタコイル124によって加熱される)は、第1の材料を含むことができ、第2のインダクタコイル126によって加熱されるサセプタ132の第2の区分は、第2の異なる材料を含むことができる。別の例では、第1の区分は、第1及び第2の材料を含むことができ、第1及び第2の材料は、第1のインダクタコイル124の動作に基づいて、異なる形で加熱することができる。第1及び第2の材料は、サセプタ132によって画定された軸線に沿って隣り合うことができ、又はサセプタ132内に異なる層を形成することができる。同様に、第2の区分は、第3及び第4の材料を含むことができ、第3及び第4の材料は、第2のインダクタコイル126の動作に基づいて、異なる形で加熱することができる。第3及び第4の材料は、サセプタ132によって画定された軸線に沿って隣り合うことができ、又はサセプタ132内に異なる層を形成することができる。たとえば、第3の材料は、第1の材料と同じとすることができ、第4の材料は、第2の材料と同じとすることができる。別法として、これらの材料の各々が異なってもよい。サセプタは、たとえば炭素鋼又はアルミニウムを含むことができる。
【0175】
図4のデバイス100は、絶縁部材128をさらに備えており、絶縁部材128は、略管状とすることができ、サセプタ132を少なくとも部分的に取り囲むことができる。絶縁部材128は、たとえばプラスチックなどの任意の絶縁材料から構築することができる。この特定の例では、絶縁部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構築される。絶縁部材128は、デバイス100の様々な構成要素をサセプタ132内で生成される熱から絶縁するのを助けることができる。
【0176】
絶縁部材128はまた、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126を完全又は部分的に支持することができる。たとえば、図4に示すように、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、絶縁部材128の周りに配置されており、絶縁部材128の径方向外向きの表面に接触する。いくつかの例では、絶縁部材128は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126に当接しない。たとえば、絶縁部材128の外面と第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の内面との間にわずかな間隙が存在することができる。
【0177】
特有の例では、サセプタ132、絶縁部材128、並びに第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の中心の長手方向軸線の周りで同軸である。
【0178】
図5は、デバイス100の部分断面側面図を示す。この例では、外側カバー102が存在している。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の方形の断面形状をよりはっきりと見ることができる。
【0179】
デバイス100は、サセプタ132の一端に係合してサセプタ132を定位置に保持するための支持体136をさらに備える。支持体136は、第2の端部材116に接続される。
【0180】
デバイスはまた、制御要素112内に付随する第2のプリント回路基板138を備えることができる。
【0181】
デバイス100は、デバイス100の遠位端に配置された第2の蓋/キャップ140及びばね142をさらに備える。ばね142は、サセプタ132へのアクセスを提供するために、第2の蓋140を開くことを可能にする。使用者は、サセプタ132及び/又は支持体136を清浄にするために、第2の蓋140を開くことができる。
【0182】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から離れてデバイスの開口104の方へ延びる拡張チャンバ144をさらに備える。拡張チャンバ144内には、保持クリップ146が、デバイス100内に受け取られたときに物品110に当接して保持するように、少なくとも部分的に配置される。拡張チャンバ144は、端部材106に接続される。
【0183】
図6は、図5のデバイス100の分解図であり、外側カバー102は省略されている。
【0184】
図7Aは、図5のデバイス100の一部分の断面図を示す。図7Bは、図7Aの一領域の拡大図を示す。図7A及び図7Bは、サセプタ132内に受け取られた物品110を示し、物品110は、物品110の外面がサセプタ132の内面に当接するように寸法設定されている。これにより、加熱が最も効率的になることが確実になる。この例の物品110は、エアロゾル生成材料110aを備える。エアロゾル生成材料110aは、サセプタ132内に配置される。物品110はまた、フィルター、包装材料、及び/又は冷却構造などの他の構成要素を備えることができる。
【0185】
図7Bは、サセプタ132の長手方向軸線158に直交する方向に測定される距離150だけ、サセプタ132の外面がインダクタコイル124、126の内面から隔置されていることを示す。1つの特定の例では、距離150は約3mm~4mm、約3~3.5mm、又は約3.25mmである。
【0186】
図7Bは、サセプタ132の長手方向軸線158に直交する方向に測定される距離152だけ、絶縁部材128の外面がインダクタコイル124、126の内面から隔置されていることをさらに示す。1つの特定の例では、距離152は約0.05mmである。別の例では、距離152は実質的に0mmであり、したがってインダクタコイル124、126は絶縁部材128に当接して接触している。
【0187】
一例では、サセプタ132は、約0.025mm~1mm、又は約0.05mmの壁厚さ154を有する。
【0188】
一例では、サセプタ132は、約40mm~60mm、約40mm~45mm、又は約44.5mmの長さを有する。
【0189】
一例では、絶縁部材128は、約0.25mm~2mm、0.25mm~1mm、又は約0.5mmの壁厚さ156を有する。
【0190】
使用の際、本明細書に記載する物品1、1’は、図3図7を参照して説明したデバイス100などの不燃式エアロゾル供給デバイスに挿入することができる。物品1、1’のマウスピース2、2’の少なくとも一部分は、不燃式エアロゾル供給デバイス100から突出しており、使用者の口に入れることができる。エアロゾルは、デバイス100を使用してエアロゾル生成材料3を加熱することによって生成される。エアロゾル生成材料3によって生成されるエアロゾルは、マウスピース2を通って使用者の口に届く。
【0191】
本明細書に記載する物品1、1’には、たとえば図3図7を参照して説明したデバイス100などの不燃式エアロゾル供給デバイスとともに使用されるとき、特定の利点がある。特に、驚くべきことに、フィラメントトウから形成された第1の管状要素4は、物品1、1’のマウスピース2の外面の温度に著しい影響を与えることが判明した。たとえば、フィラメントトウから形成された中空の管状要素4が外側巻取紙、たとえばチップペーパー5内に巻き込まれる場合、中空の管状要素4の箇所に対応する長手方向位置にある外側巻取紙の外面は、使用中に42℃未満、好適には40℃未満、より好適には38℃未満又は36℃未満の最大温度に到達することが判明した。
【0192】
以下の表2.0は、本明細書に図3図7を参照して説明したデバイス100を使用して加熱されたときの本明細書に図1を参照して説明した物品1の外面の温度を示す。第1、第2、及び第3の温度測定プローブを、物品1のマウスピース2に沿って対応する第1、第2、及び第3の位置として使用した。第1の位置(表2.0に位置1と示す)は、マウスピース2の下流端2bから4mm離れており、第2の位置(表2.0に位置2と示す)は、マウスピース2の下流端2bから8mm離れており、第3の位置(表2.0に位置3と示す)は、マウスピース2の下流端2bから12mm離れている。
【0193】
したがって、第1の位置は、マウスピース2のうち第1の管状要素4が配置された部分の外面にあり、第2及び第3の位置は、マウスピース2のうち材料本体6が配置された部分の外面にある。
【0194】
本明細書に記載するフィラメントトウ管状要素4と比較して制御物品を試験し、フィラメントトウ管状要素4の代わりに、本明細書に記載する第2の中空の管状要素8と同じ構造を有するが長さ25mmではなく6mmの周知の螺旋形に巻かれた紙管を使用した。
【0195】
5回目の吸煙により温度が概して最高になり、下降し始めるため、近似最大温度を観察することができるように、物品における最初の5回の吸煙に関して試験を実行した。各サンプルを5回試験しており、提供された温度はこれらの5回の試験の平均である。標準的な試験機器を使用して、周知のカナダ保健省の喫煙方式を適用した(30秒ごとに2秒間にわたって適用される吸煙量55ml)。
【0196】
下表に示すように、驚くべきことに、マウスピース2におけるすべての吸煙及びすべての試験位置で制御物品と比較すると、フィラメントトウから形成された管状要素4を使用することで、マウスピース2の外面温度が低下することが判明した。フィラメントトウから形成される管状要素4は、物品1を使用するときに消費者の唇が配置される第1のプローブ位置で温度を低下させるのに特に効果的であった。特に、第1のプローブ位置におけるマウスピース2の外面の温度は、最初の3回の吸煙で7℃超、4回目及び5回目の吸煙で5℃超低下した。
【0197】
【表2】

図8は、不燃式エアロゾル供給システムで使用するための物品を製造する方法を示す。ステップS101で、エアロゾル形成材料を各々含むエアロゾル生成材料の第1及び第2の部分が、マウスピースロッドのそれぞれの第1及び第2の長手方向端に隣り合って配置され、マウスピースロッドは、第1の端部と第2の端部との間に配置されたフィラメントトウから形成された中空の管状要素ロッドを構成する。この例では、中空の管状要素ロッドは、第1及び第2のそれぞれの材料本体6間に配置された2倍長の第1の中空の管状要素4を備える。各材料本体6の外端には、それぞれの第2の管状要素8が配置され、エアロゾル生成材料の第1及び第2の部分が配置されたこれらの第2の管状要素8の外端に隣り合う。マウスピースロッドは、本明細書に記載する第2のプラグラップ内に巻き込まれる。
【0198】
ステップS102で、エアロゾル生成材料の第1及び第2の部分は、マウスピースロッドに接続される。この例では、これは、本明細書に記載するチップペーパー5をマウスピースロッド及びエアロゾル生成材料3の部分の各々の少なくとも一部に巻き付けることによって実行される。この例では、チップペーパー5は、エアロゾル生成材料3の部分の各々の外面の上へ長手方向に約5mm延びる。
【0199】
ステップS103で、中空の管状要素ロッドを切断して第1及び第2の物品を形成し、マウスピースを備える各物品は、マウスピースの下流端に中空の管状要素ロッドの一部分を備える。この例では、マウスピースロッドの2倍長の第1の中空の管状要素4を、その長さに沿ってほぼ中間の位置で切断して、第1及び第2の実質的に同一の物品を形成する。
【0200】
本明細書に記載する様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を支援するためにのみ提示される。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供されており、網羅的及び/又は排他的ではない。本明細書に記載する利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に対する限定又は特許請求の範囲の均等物に対する限定であると見なされるべきではないこと、並びに特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、修正を加えることができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的には記載したもの以外の開示する要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの適当な組合せを含むことができ、そのような組合せからなることができ、又は本質的にそのような組合せからなることができることが好適である。加えて、本開示は、本明細書に特許請求されていないが将来特許請求され得る他の発明も含むことができる。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
【国際調査報告】