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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】エアロゾルの発生
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20220428BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20220428BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554644
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2020056261
(87)【国際公開番号】W WO2020182765
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】1903260.6
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1903263.0
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】パトン、デヴィッド
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC22
4B162AD02
4B162AD06
4B162AD08
4B162AD22
4B162AD25
(57)【要約】
ここに開示されているのは(i)ニコチンおよび/またはエアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品と、(ii)誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、少なくとも(i)10μgのニコチンおよび/または(ii)10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生システムである。。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ニコチンおよび/またはエアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品と、(ii)誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、少なくとも(i)10μgのニコチンおよび/または(ii)10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生システム。
【請求項2】
エアロゾル発生材は固体であり、タバコを含むことを特徴とする請求項1記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
エアロゾル発生材はニコチンを含み、作動中、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、2秒間を少なくとも7回の間に少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるニコチンの総量は少なくとも約0.20mgであることを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
エアロゾル発生材はニコチンを含み、作動中、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、2秒間を少なくとも7回の間に少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるニコチンの総量は少なくとも約0.43mgであることを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
エアロゾル発生材はエアロゾル発生剤を含み、作動中、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、2秒間を少なくとも7回の間に少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生剤の総量は少なくとも約2mgであることを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
エアロゾル発生材はエアロゾル発生剤を含み、作動中、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、2秒間を少なくとも9回の間に少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生剤の総量は少なくとも約5mgであることを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、少なくとも10μgのニコチンが2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される、ニコチンを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法。
【請求項8】
少なくとも30μg、好適には少なくとも40μgのニコチンが2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されることを特徴とする請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
約200μg未満のニコチン、好適には約150μg未満のニコチンまたは約125μg未満のニコチンが2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されることを特徴とする請求項7乃至9いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、少なくとも10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される、エアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法。
【請求項12】
少なくとも100μgのエアロゾル発生剤、好適には少なくとも1mgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されることを特徴とする請求項7乃至11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
エアロゾル発生剤はグリセリンを含むことを特徴とする請求項9、11または12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
エアロゾル発生材はエアロゾル発生剤とニコチンとを含み、2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1であることを特徴とする請求項7乃至13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
エアロゾル発生材は固体であり、タバコを含むことを特徴とする請求項7乃至14いずれか1項記載の方法。
【請求項16】
2秒間のエアロゾル密度は少なくとも0.1μg/ccであることを特徴とする請求項7乃至15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
発生したエアロゾル中の平均粒径または滴径は、約1000nm未満、好適には約400nm未満、好適には約100nm超であることを特徴とする請求項7乃至16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材を少なくとも150℃に誘導加熱することによって得られる少なくとも10μgのニコチンおよび/または少なくとも10μgのエアロゾル発生剤を含むエアロゾル。
【請求項19】
誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1である、ニコチンとエアロゾル発生剤とを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法。
【請求項20】
(i)ニコチンとエアロゾル発生剤とを含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品と、(ii)誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱してエアロゾルを発生させ、2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1であるエアロゾル発生システム。
【請求項21】
エアロゾル発生剤とニコチンとを含み、ニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1であり、2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材を少なくとも150℃に誘導加熱することによって得られるエアロゾル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾルの発生方法およびエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やし、煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創ることによってこれら喫煙品に代わるものが提供されている。そのような製品としてはその材料を燃焼させずに加熱によって化合物を放出する加熱装置が挙げられる。基材は、タバコまたはニコチンを含むまたは含まない非タバコ製品であってもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、(i)ニコチンを含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品と、(ii)誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、少なくとも10μgのニコチンが2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生システムを提供する。
【0004】
本発明の第2の態様は誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、少なくとも10μgのニコチンが2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される、ニコチンを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法を提供する。
【0005】
本発明の第3の態様は誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1である、ニコチンとエアロゾル発生剤とを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法を提供する。
【0006】
本発明の第4の態様は、(i)ニコチンとエアロゾル発生剤とを含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品と、(ii)誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱してエアロゾルを発生させ、2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1であるエアロゾル発生システムを提供する。
【0007】
本発明の別の態様は、2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材を少なくとも150℃に誘導加熱することによって得ることができるまたは得た少なくとも10μgのニコチンを含むエアロゾルを提供する。
【0008】
本発明の別の態様は、エアロゾル発生剤とニコチンとを含み、ニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1であり、2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材を少なくとも150℃に誘導加熱することによって得ることができるまたは得たエアロゾルを提供する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、(i)エアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生物品と、(ii)誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱してエアロゾルを発生させ、少なくとも10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生システムを提供する。
【0010】
本発明の別の態様は、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、少なくとも10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される、エアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法を提供する。
【0011】
本発明の別の態様は、2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材を少なくとも150℃に誘導加熱することによって得ることができるまたは得た少なくとも10μgのエアロゾル発生剤を含むエアロゾルを提供する。
【0012】
本発明の1つの態様に関して本明細書で説明した特徴は、それらが矛盾しない範囲で他の態様と組み合わせて明確に開示されているものとする。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を参照して単に一例として挙げられる本発明の好ましい実施態様の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】エアロゾル発生デバイスの一例の前面を示している。
図2】外方カバーが取り除かれている図1のエアロゾル発生デバイスの前面を示している。
図3図1のエアロゾル発生デバイスの断面を示している。
図4図2のエアロゾル発生デバイスを分解して示している。
図5A】エアロゾル発生デバイス内の加熱集合体の断面を示している。
図5B図5Aの加熱集合体の一部を拡大して示している。
図6A】エアロゾル発生物品の一例の一部切り欠いて示した断面を示している。
図6B図6Aの例のエアロゾル発生物品の斜視図である。
図7A】エアロゾル発生デバイスの一例にプログラムされた熱プロファイルを示している。
図7B】エアロゾル発生デバイスの一例にプログラムされた熱プロファイルを示している。
図8A図7Aのプログラムされたエアロゾル発生デバイスによって加熱されたエアロゾル発生物品のタバコ温度を示している。
図8B図7Bのプログラムされたエアロゾル発生デバイスによって加熱されたエアロゾル発生物品のタバコ温度を示している。
図9】本発明の実施態様によって加熱されたエアロゾル発生物品から供給されるニコチンを示している。
図10】本発明の実施態様によって加熱されたエアロゾル発生物品から供給されるグリセリンを示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書中では「エアロゾル発生材」なる用語は、加熱すると揮発成分を典型的にはエアロゾルの形体で供する材料を含む。エアロゾル発生材として、あらゆるタバコ含有材が上げられ、例えばタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル発生材は、製品によってニコチンを含むまたは含まない他の非タバコ製品を含んでもよい。エアロゾル発生材は、例えば固体、液体、ゲル、ワックスなどの形体であってもよい。またエアロゾル発生材は、例えば材料の組み合わせまたはブレンドであってもよい。エアロゾル発生材は、「喫煙材」または「エアロゾル化可能な材料」としても知られている。
【0016】
エアロゾル発生材を燃やさずまたは燃焼させずにエアロゾル発生材を加熱してエアロゾル発生材の少なくとも1つの成分を揮発させて、典型的には吸入可能なエアロゾルを形成する装置が知られている。そのような装置は、場合によっては「エアロゾル発生デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」または「タバコ加熱デバイス」またはそれに類似するものとして記載される。同様に通常はニコチンを含むまたは含まない液体の形体のエアロゾル発生材を気化する電子タバコデバイスと呼ばれているものがある。エアロゾル発生材は、ロッド、カートリッジまたはカセットの形体またはそれらの一部として供されてもよい。エアロゾル発生材を加熱し、揮発させるヒーターは、装置の「永久」部品として設けられてもよい。
【0017】
エアロゾル発生デバイスは加熱のためのエアロゾル発生材を含む物品を収容することができる。本文脈において「物品」は、使用時に加熱されてエアロゾル発生材および任意に他の成分を揮発させるエアロゾル発生材を使用時に含むまたは含有する部品である。ユーザーはエアロゾル発生材が加熱されてエアロゾルを発生させ、その後ユーザーが吸入する前に物品をエアロゾル発生デバイス内に挿入する。物品は、例えば物品を収容する大きさのデバイスの加熱チェンバー内に設置されるように構成された予め定められたまたは特定の大きさであってもよい。
【0018】
本発明者は、誘導ヒーターを使用することによってより迅速な加熱およびその熱プロファイルを良好に制御することができることを発見した。熱プロファイルはエアロゾルの成分および組成に影響を与える。
【0019】
上記のように本発明の1つの態様は、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、少なくとも10μgのニコチンが2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される、ニコチンを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法を提供する。
【0020】
上記のように本発明の別の態様は、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、少なくとも10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される、エアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法を提供する。
【0021】
場合によっては少なくとも30μg、好適には少なくとも40μgのニコチンが2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。場合によっては約200μg未満、好適には約150μg未満または約125μg未満のニコチンが2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。
【0022】
場合によっては少なくとも10μgのエアロゾル発生剤、好適には少なくとも100μg、200μg、500μgまたは1mgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。好適には, エアロゾル発生剤はグリセリンを含む(またはグリセリンからなる)。場合によっては約2mg未満、1.7mg未満、1.5mg未満または1mg未満のエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。
【0023】
好適には本明細書で考察する本発明の各態様および実施態様では空気流は、少なくとも1.55L/mまたは1.60L/mであってもよい。場合によっては空気流は約2.00L/m未満、1.90L/m未満、1.80L/m未満または1.70L/m未満であってもよい。場合によっては空気流は、約1.65L/mであってもよい。
【0024】
場合によってはエアロゾル発生剤は、グリセリンを含む、または実質的にグリセリンからなる、またはグリセリンからなる。
【0025】
場合によってはエアロゾル発生材は、エアロゾル発生剤を含み、2秒間で発生させるエアロゾルにおいて、ニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比は、少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも3:1、3.5:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、8.5:1、9:1または10:1である。場合によってはその比は、約15:1未満であってもよい。
【0026】
場合によってはエアロゾル発生材は、固体またはゲル材料である。即ち、本発明の方法は、非燃焼加熱装置としても知られているタバコ加熱製品からエアロゾルを発生させる方法であってもよい。場合によってはエアロゾル発生材は、タバコを含む。場合によってはエアロゾル発生材は、固体であり、タバコを含む。
【0027】
場合によってはエアロゾル発生材は、再生タバコ材を含む。場合によってはそれは約220mg~約400mgの再生タバコ材を含むまたは再生タバコ材からなる。場合によってはそれは約220mg~約300mg、好適には約240mg~約280mg、好適には約260mgの再生タバコ材を含む。一部のそれ以外の場合、それは約320mg~約400mg、好適には約320mg~約370mg、好適には約340mgの再生タバコ材を含む。
【0028】
場合によっては上記段落で考察したタバコ材、好適には再生タバコ材を含むエアロゾル発生材は、約5mg/g~15mg/g(乾式重量基準)、好適には約7mg/g~12mg/gのニコチンを含む。場合によってはタバコ材を含んでもよいエアロゾル発生材は、エアロゾル発生剤(好適にはグリセリン)の含有量が約130mg/g~170mg/g、好適には約145mg/g~155mg/g(すべて乾燥重量基準)であってもよい。場合によってはエアロゾル発生材は、水分量(湿式重量基準)が約5~8wt%であってもよい。場合によってはエアロゾル発生材は、少なくとも約1.5mgのニコチン、好適には少なくとも約1.7mg、1.8mgまたは1.9mgのニコチンを含む。場合によってはエアロゾル発生材は、少なくとも約25mgの一部の例ではグリセリンを含んでもよいまたはグリセリンからなるエアロゾル発生剤、好適には少なくとも約30mg、32mg、34mgまたは36mgのエアロゾル発生剤を含む。場合によってはエアロゾル発生材は、エアロゾル発生剤とニコチンを重量比で少なくとも10:1、好適には少なくとも12:1、14:1または16:1で含む。
【0029】
場合によってはエアロゾル密度は、少なくとも0.2μg/cc、0.3μg/ccまたは0.4μg/ccである。場合によってはエアロゾル密度は約2.5μg/cc未満、2.0μg/cc未満、1.5μg/cc未満または1.0μg/cc未満である。
【0030】
本明細書で定義される「平均粒径または滴径」なる用語は、エアロゾルの固体または液体成分(即ち、気体中に懸濁している成分)の大きさの平均を意味する。エアロゾルが懸濁した液滴および懸濁した固体粒子を含む場合、その用語はすべての成分を合わせた大きさの平均を意味する。
【0031】
場合によっては発生したエアロゾルの平均粒径または滴径は、約900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、450nmまたは400nm未満であってもよい。一部の例では平均粒径または滴径は、約50nm超または100nmであってもよい。
【0032】
本発明の別の態様は(i)ニコチンを含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品と、(ii)誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、少なくとも10μgのニコチンが2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生システム提供する。
【0033】
本発明の別の態様は、(i)エアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生物品と、(ii)誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱してエアロゾルを発生させ、少なくとも10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50L/mの空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生システムを提供する。
【0034】
場合によってはエアロゾル発生材は、固体またはゲル材料である。即ち、本発明のシステムは、非燃焼加熱装置としても知られているタバコ加熱製品である。場合によってはエアロゾル発生材はタバコを含む。場合によってはエアロゾル発生材は、固体であり、タバコを含む。
【0035】
場合によっては物品は作動中デバイス内に挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱してエアロゾルを発生させ、少なくとも1.50L/mの空気流下で2秒間を少なくとも7回の間にエアロゾル発生材からエアロゾル化されるニコチンの総量は、少なくとも約0.20mgである。好適には少なくとも1.50L/mの空気流下で2秒間を少なくとも9回の間にエアロゾル発生材からエアロゾル化されるニコチンの総量は、約0.30mg、0.35mg、0.40mgまたは0.43mgである。場合によってはエアロゾル化されたニコチンの総量は、エアロゾル発生材の総ニコチン含有量の少なくとも約10wt%、好適には少なくとも約20%である。
【0036】
場合によってはエアロゾル発生材はエアロゾル発生剤を含む。そのような一部の場合において、物品は作動中デバイス内に挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱してエアロゾルを発生させ、少なくとも1.50L/mの空気流下で少なくとも2秒間を7回の間にエアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生剤の総量は、少なくとも約2mgである。好適には少なくとも1.50L/mの空気流下で2秒間を少なくとも9回の間にエアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生剤の総量は、少なくとも約3.5mg、4mg、4.5mgまたは5mgである。
【0037】
従って、場合によっては7または9回の2秒間でのエアロゾル化されたニコチンに対するエアロゾル発生剤の比は、少なくとも約8.5:1、好適には少なくとも約10:1であってもよい。
【0038】
場合によっては作動中、物品はデバイス内に挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱してエアロゾルを発生させ、少なくとも1.50L/mの空気流下で少なくとも2秒間を7回の間に発生するエアロゾルにおいて、平均エアロゾル密度は、少なくとも0.6μg/cc、好適には少なくとも0.8μg/ccである。言い換えれば、物品は7回の2秒間に亘って少なくとも4.2μg/cc、好適には少なくとも5.6μg/ccのエアロゾルを発生させてもよい。。
【0039】
場合によっては作動中、物品はデバイス内に挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱してエアロゾルを発生させ、少なくとも1.50L/mの空気流下で少なくとも2秒間を9回の間に発生するエアロゾルにおいて、平均エアロゾル密度は、少なくとも0.4μg/cc、好適には少なくとも0.6μg/ccである。言い換えれば、物品は9回の2秒間に亘って少なくとも3.6μg/cc、好適には少なくとも5.4μg/ccのエアロゾルを発生させる。
【0040】
デバイス内のヒーターは、誘導ヒーターである。サセプタは、使用時に物品が挿入される円筒状のチェンバーを画定し、エアロゾル発生材がサセプタによって加熱されるようになっている。円筒状チェンバーの長さは、約40mm~60mm、約40mm~50mmまたは約40mm~45mmまたは約44.5mmであってもよい。円筒状チェンバーの直径は、約5.0mm~6.5mm、好適には約5.35mm~6.0mm、好適には約5.5mm~5.6mm、好適には約5.55mmであってもよい。
【0041】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生材と、エアロゾル発生材の周囲に配されたラッパー材とを含んでもよい。場合によってはエアロゾル発生材はタバコを含む。タバコは、シングルグレードまたはブレンド、刻まれたくずまたは全葉、粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出タバコ、タバコ葉柄および/または再生タバコなどのあらゆる好適な固体タバコであってもよい。タバコはバージニアおよび/またはバーレーおよび/またはオリエンタルタバコなどの任意の種類のものであってもよい。
【0042】
エアロゾル発生材はエアロゾル発生材からなるロッドであってもよい。ラッパーはエアロゾル発生材のロッドの周囲に配置された管を形成してもよい。本明細書中では「ロッド」なる用語は、一般にエアロゾル発生デバイスに使用するためのあらゆる好適な形状の長尺体を意味する。場合によってはロッドは実質的に円筒状である。エアロゾル発生材からなる円筒状体は、長さが約34mm~50mm、好適には約38mm~46mm、好適には約42mmであってもよい。エアロゾル発生材からなる円筒状体は、直径が約5.0mm~6.0mm、好適には約5.25mm~5.45mm、好適には約5.35mm~5.40mm、好適には約5.39mmであってもよい。場合によってはエアロゾル発生材は、サセプタによって画定された空隙の少なくとも約85%を満たす。
【0043】
エアロゾル発生材は、ニコチンに加えて、1つ以上のエアロゾル発生剤、バインダー、充填材および風味剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0044】
場合によってはエアロゾル発生材は、WO2017/097840に記載されているようなタバコ組成物を含んでもよく、その内容を参照することでここで引用したものとする。
【0045】
エアロゾル発生物品は、追加でフィルター、冷却部材およびマウスピースのうちの1つ以上を含む。
【0046】
場合によってはエアロゾル発生物品は、フィルター、冷却部材、マウスピースおよびエアロゾル発生材のうちの1つ以上を含む物品の他の部材を少なくとも部分的に囲むラッパーを含む。場合によってはラッパーは、これらの部材のそれぞれの周囲を囲んでもよい。ラッパーは、厚さが約10μm~50μm、好適には約15μm~45μmまたは約20μm~40μmである。場合によってはラッパーは、紙の層を含んでもよく、場合によってはその坪量は、少なくとも約10g.m-2、15g.m-2、20g.m-2または25g.m-2~約50g.m-2、45g.m-2、40g.m-2または35g.m-2であってもよい。場合によってはラッパーは、金属箔などの非燃焼性層を含んでもよい。好適にはラッパーは、厚さが約3μm~15μm、好適には約5μm~10μm、好適には約6μmのアルミニウム箔層を含んでもよい。ラッパーは、積層構造を含んでもよく、場合によってはその積層構造は、少なくとも1つの紙の層と少なくとも1つの非燃焼性層を含んでもよい。
【0047】
そのような一部の場合において、換気開口部がラッパーに設けられる。場合によってはその穴によって供される換気率(即ち、エアロゾルの容量のパーセンテージとしての換気穴を流れる吸入空気の量)は、約5%~85%、好適には少なくとも20%、35%、50%または60%であってもよい。換気開口部は、フィルター、冷却部材およびマウスピースのうちの1つ以上を囲むラッパーの部分に設けられてもよい。
【0048】
ここで図面を参照すると、図1にはエアロゾル発生媒体/エアロゾル発生材を発生させるエアロゾル発生デバイスの一例が示されている。大筋において、デバイス100は、エアロゾル発生媒体を含む交換可能な物品110を加熱して、デバイス100のユーザーによって吸い込まれるエアロゾルまたは他の吸入可能な媒体を発生させるために使用してもよい。
【0049】
デバイス100は、デバイス100の種々の部品を囲み、収容するハウジング102(外方カバーの形体)を含む。デバイス100は、一端部に開口部104を有し、それを介して物品110が加熱集合体による加熱のために挿入される。使用時、物品110は、加熱集合体に完全にまたは部分的に挿入され、そこで加熱集合体の1つ以上の部品によって加熱される。
【0050】
この例のデバイス100は、第1端部部材106を含み、これは蓋108を含み、この蓋は、物品110が所定の位置に無いときに開口部104を閉じるために第1端部部材106に対して可動である。図1では蓋108は開放構造に示されているが、蓋108は、閉鎖構造に移動してもよい。例えば、ユーザーは、蓋108を矢印Aの方向にスライドさせてもよい。
【0051】
デバイス100は、押されるとデバイス100を作動させるボタンまたはスイッチなどのユーザーが操作できる調整部材112を含んでもよい。例えば、ユーザーは、スイッチ112を操作してデバイス100の電源を入れてもよい。
【0052】
またデバイス100は、ソケット/ポート114などの電機部品を含み、これらはデバイス100のバッテリーを充電するためのケーブルを収容してもよい。ソケット114は、USB充電ポートなどの充電ポートであってもよい。一部の例ではソケット114は、追加でまたはこれとは別にデバイス100とコンピューターデバイスなどの別のデバイスとの間でデータを転送するために使用してもよい。
【0053】
図2は、図1のデバイス100を外方カバー102が外され、物品110が存在しない状態を示している。デバイス100は、長手方向軸134を画定する。デバイス100は、長手方向軸134を画定している。
【0054】
図2に示すように第1端部部材106は、デバイス100の一端に配され、第2端部部材116は、デバイス100の反対の端部に配置されている。第1および第2の端部部材106、116は、共にデバイス100の端部面を少なくとも部分的に画定している。例えば、第2端部部材116の底部面は、少なくとも部分的にデバイス100の底部面を画定している。外方カバー102の縁部も端部面の一部を画定している。この例では蓋108もデバイス100の上面の一部を画定している。
【0055】
開口部104に近い方のデバイスの端部は、使用時にユーザーの口に近くなるのでデバイス100の近位端(または吸い口端)としても知られている。使用時、ユーザーは、開口部104に物品110を挿入し、ユーザー制御部を操作してエアロゾル発生材の加熱を開始し、デバイスに発生したエアロゾルを吸い込む。これによりデバイス100の近位端に向かう流路に沿ってデバイス100内をエアロゾルが流れるようにする。
【0056】
開口部104から離れている装置の他端部は、使用時にユーザーの口から離れる方の端部となるので、デバイス100の遠位端としても知られている。ユーザーがデバイスに発生したエアロゾルを吸い込むと、エアロゾルは、デバイス100の遠位端から離れるように流れる。
【0057】
デバイス100は、電源118をさらに含む。電源118は、例えば充電可能なバッテリーまたは充電不可のバッテリーなどのバッテリーであってもよい。好適なバッテリーの例としては、リチウムバッテリー(リチウムイオンバッテリーなどの)、ニッケルバッテリー(ニッケル-カドミウムバッテリーなどの)およびアルカリバッテリーなどが挙げられる。バッテリーは、加熱集合体に電気的に接続され、エアロゾル発生材を加熱するために必要に応じてそしてコントローラ(図示せず)の制御の下電力を供給する。この例ではバッテリーは、バッテリー118を所定の位置に保持する中央支持部120に接続される。
【0058】
デバイスは、少なくとも1つの電子モジュール122をさらに含む。電子モジュール122は、例えば印刷回路板(PCB)を含んでもよい。PCB122は、少なくとも1つのプロセッサーおよびメモリーなどのコントローラを支持してもよい。またPCB122は、デバイス100の種々の電子部品を共に電気的に接続する1つ以上の電気トラックを含んでもよい。例えば、バッテリー端子がPCB122に電気的に接続され、電力をデバイス100全体に配分することができるようになっている。またソケット114は、電気トラックを介してバッテリーに電気的に結合されてもよい。
【0059】
デバイス100の例では加熱集合体は、誘導加熱集合体であり、誘導加熱工程を介して物品110のエアロゾル発生材を加熱するための種々の部材を含む。誘導加熱は、電磁誘導によって導電性の物体(サセプタなどの)を加熱する工程である。誘導加熱集合体は、誘導部材、例えば1つ以上のインダクタコイルと、交流電流などの変動電流を誘導部材に通すためのデバイスとを含んでもよい。誘導部材内の変動電流は、変動磁場を発生させる。変動磁場は、好適には誘導部材に対して位置決めされたサセプタに侵入し、サセプタの内側に渦電流を発生させる。サセプタは渦電流に対して電気抵抗を有し、従って、この抵抗に対する渦電流の流れによってサセプタがジュール加熱によって加熱されるようにする。サセプタが鉄、ニッケルまたはコバルトなどの強磁性材を含む場合、熱がサセプタ内の磁気ヒステリシス損失によって、即ち変動磁場と合致することの結果として磁性材の磁気双極子の向きの変化によって発せられてもい。誘導加熱では例えば伝導による加熱に較べて熱がサセプタの内側に発せられ、素早い加熱を可能にする。さらに誘電ヒーターとサセプタとの間になんら物理的な接触の必要が無く、構造および用途の自由度を高めることができる。
【0060】
デバイス100の例の誘導加熱集合体は、サセプタ構造体132(以下、「サセプタ」とする)、第1のインダクタコイル124と、第2のインダクタコイル126とを含む。第1および第2インダクタコイル124、126は、導電性材料から作製される。この例では第1および第2インダクタコイル124、126は、リッツ線/ケーブルから作製され、これは螺旋状に巻かれ、ヘリカルインダクタコイル124、126を供する。リッツ線は、複数の個別の線を含み、これらは個別に絶縁され、一緒にねじられて1本の線を形成する。リッツ線は、導体中の表皮効果損失を減らすように設計されている。デバイス100の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、矩形断面の銅リッツ線から作製される。他の例ではリッツ線は円形などの他の形状の断面を有してもよい。
【0061】
第1インダクタコイル124は、サセプタ132の第1セクションを加熱するための第1の変動磁場を発生させるように構成され、第2インダクタコイル126は、サセプタ132の第2セクションを加熱するための第2の変動磁場を発生させるように構成されている。この例では第1インダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸134に沿った方向に第2インダクタコイル126と隣接する(即ち、第1および第2インダクタコイル124、126は、重ならない)。サセプタ構造体132は、単独のサセプタまたは2つ以上のサセプタを含んでもよい。第1および第2インダクタコイル124、126の端部130は、PCB122に接続される。
【0062】
当然のことながら一部の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、少なくとも1つの互いに異なる特徴を有してもよい。例えば、第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは少なくとも1つの異なる特徴を有してもよい。より具体的には1つの例では第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは異なるインダクタンスの値を有してもよい。図2では第1および第2インダクタコイル124、126は、第1インダクタコイル124が第2インダクタコイル126よりサセプタ132の小さいセクションに巻かれるように長さが異なる。従って、第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは巻き数が異なってもよい(個々の巻き間の間隔は実質的に同じだと仮定して)。さらに別の例では第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは異なる材料から作製されてもよい。一部の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、実質的に同じであってもよい。
【0063】
この例では第1および第2インダクタコイル124、126は、反対方向に巻かれて示されている。これはインダクタコイルが異なる時間にアクティブな時に役に立つ。例えば、最初に第1インダクタコイル124が物品110の第1セクションを加熱するために作動してもよく、その後に第2インダクタコイル126は、物品110の第2セクションを加熱するために作動してもよい。異なる方向にコイルを巻くことは、特定の種類の制御回路と使用する場合にインダクタコイルに誘導される電流の減少の補助をする。図2では第1インダクタコイル124が右巻き螺旋で、第2インダクタコイル126は左巻き螺旋である。しかしながら、別の実施態様ではインダクタコイル124、126は、同じ方向に巻かれてもよく、あるいは第1インダクタコイル124は、左巻き螺旋で、第2インダクタコイル126は、右巻き螺旋であってもよい。
【0064】
この例のサセプタ132は中空であり、従って中にエアロゾル発生材が収容される受け部を画定する。例えば、物品110は、サセプタ132内に挿入される。この例ではサセプタ120は、管状で円形の断面を有する。
【0065】
この例では第1コイル124(吸い口端に近い方)は、サセプタ132の長さの約3分の1に巻かれ、第2コイル126(遠位端に近い方)は、サセプタ132の長さの約3分の2に巻かれる。即ち、コイルの長さの比は、1:2であり、コイルの長さは、軸方向の距離であり、軸はコイルが巻かれる軸である。他の長さの比を採用してもよい。例えば、場合によっては第2のコイルに対する第1のコイル124のコイル長さの比は、約1:4~約4:1の範囲内であってもよい。
【0066】
図2のデバイス100は、一般に管状であり、少なくとも部分的にサセプタ132を囲む絶縁部材128をさらに含む。絶縁部材128は、例えばプラスチックなどの任意の絶縁材から構成されてもよい。この特定の例では絶縁部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成される。絶縁部材128は、デバイス100の種々の部品をサセプタ132内に発せられる熱から絶縁するのに役立つ。
【0067】
また絶縁部材128は、完全にまたは部分的に第1および第2インダクタコイル124、126を支持してもよい。例えば、図2に示すように第1および第2インダクタコイル124、126は、絶縁部材128の周囲で位置決めされ、絶縁部材128の半径方向外方の面と接触する。一部の例では絶縁部材128は、第1および第2インダクタコイル124、126と当接しない。例えば、小さい隙間が絶縁部材128の外面と第1および第2インダクタコイル124、126の内面の間に存在してもよい。
【0068】
具体的な例ではサセプタ132、絶縁部材128および第1および第2インダクタコイル124、126は、サセプタ132の中央長手方向軸を中心に同軸である。
【0069】
図3はデバイス100の一部断面にて示した側面図である。外方カバー102がこの例では示されている。第1および第2インダクタコイル124、126の矩形の断面形状がより明らかに視認できる。
【0070】
デバイス100は、サセプタ132を所定の位置に保持するためにサセプタ132の一端と係合する支持体136をさらに含む。支持体136は、第2端部部材116に接続されている。
【0071】
またデバイスは、調整部材112に関連付けられた第2プリント基板138を含む。
【0072】
デバイス100は、デバイス100の遠位端の方に配置された第2の蓋/キャップ140およびバネ142をさらに含む。バネ142は、第2の蓋140を開けて、サセプタ132に触れられるようにする。ユーザーは、第2の蓋140を開けてサセプタ132および/または支持体136を掃除してもよい。
【0073】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から離れてデバイスの開口部104の方に延びた膨張チェンバー144をさらに含む。少なくとも部分的に膨張チェンバー144内に配置されているのは、デバイス100内に収容された際に物品110と当接し、保持する保持クリップ146である。膨張チェンバー144は、端部部材106に接続されている。
【0074】
図4は外方カバー102が省略されている図1のデバイス100の分解図である。
【0075】
図5Aは、図1のデバイス100の一部の断面を示している。図5Bは、図5Aのある領域を拡大して示している。図5Aおよび5Bは、サセプタ132内に収容された物品110を示し、物品110は、その外面がサセプタ132の内面と当接するような寸法になっている。これにより加熱が最も効率的になる。この例の物品110は、エアロゾル発生材110aを含む。エアロゾル発生材110aはサセプタ132内に位置決めされる。また物品110は、フィルター包装材および/または冷却構造体などの他の部材を含んでもよい。
【0076】
図5Bは、サセプタ132の外面がサセプタ132の長手方向軸158に垂直な方向に測定して距離150の分だけインダクタコイル124、126の内面から離れていることを示している。1つの特定の例では距離150は、約3mm~4mm、約3~3.5mmまたは約3.25mmである。
【0077】
図5Bは、絶縁部材128の外面がサセプタ132の長手方向軸158に垂直な方向に測定して距離152の分だけインダクタコイル124、126の内面から離れていることをさらに示している。1つの特定の例では距離は、約0.05mmである。別の例ではその距離152は、インダクタコイル124、126が絶縁部材128と当接し、触れるように実質的には0mmである。
【0078】
1つの例ではサセプタ132の壁厚154は、約0.025mm~1mm、または約0.05mmである。
【0079】
1つの例ではサセプタ132の長さは、約40mm~60mm、約40mm~45mmまたは約44.5mmである。
【0080】
1つの例では絶縁部材128の壁厚156は、約0.25mm~2mm、0.25mm~1mmまたは約0.5mmである。
【0081】
端部部材116は、ソケット/ポート114などの1つ以上の電機部品をさらに収容してもよい。この例のソケット114は、雌USB充電ポートである。
【0082】
図6Aおよび6Bを参照すると、エアロゾル発生物品110の一例が一部切り欠いて断面図と斜視図にて示されている。使用時、物品110は図1に示すデバイス100の開口部104でデバイス100に取り外し自在に挿入される。
【0083】
一例の物品110は、エアロゾル発生材からなる本体303と、ロッド状のフィルター集合体305とを含む実質的に円筒状のロッド形状である。フィルター集合体305は、3つのセグメント、即ち冷却セグメント307、フィルターセグメント309および吸い口端セグメント311を含む。物品110は、吸い口端または近位端としても知られている第1端部313および遠位端としても知られている第2端部315を有する。エアロゾル発生材からなる本体303は、物品110の遠位端315の方に位置している。1つの例では冷却セグメント307は、冷却セグメント307がエアロゾル発生材303とフィルターセグメント309と当接した関係になるようにエアロゾル発生材からなる本体303とフィルターセグメント309の間でエアロゾル発生材からなる本体303に隣接して位置する。他の例では、エアロゾル発生材からなる本体303と冷却セグメント307の間およびエアロゾル発生材からなる本体303とフィルターセグメント309の間は離れていてもよい。フィルターセグメント309は、冷却セグメント307と吸い口端セグメント311の間に位置する。吸い口端セグメント311は、物品110の近位端313の方にフィルターセグメント309に隣接して位置する。1つの例ではフィルターセグメント309は、吸い口端セグメント311と当接関係にある。1つの実施態様ではフィルター集合体の305の全長は、37mm~45mm、より好ましくはフィルター集合体305の全長は41mmである。
【0084】
1つの実施態様ではエアロゾル発生材からなる本体303はタバコを含む。しかしながら、他の対応する実施態様ではエアロゾル発生材からなる本体303は、タバコからなってもよい、実質的に全体的にタバコからなってもよい、タバコとタバコ以外のエアロゾル発生材とを含んでもよい、タバコ以外のエアロゾル発生材を含んでもよいまたはタバコを含まなくてもよい。エアロゾル発生材は、グリセリンなどのエアロゾル発生剤を含んでもよい。
【0085】
1つの例ではエアロゾル発生材からなる本体303の長さは、34mm~50mm、より好ましくはエアロゾル発生材からなる本体303の長さは、38mm~46mm、さらにより好ましくはエアロゾル発生材からなる本体303の長さは、42mmである。
【0086】
1つの例では物品110の全長は、71mm~95mm、より好ましくは物品110の全長は、79mm~87mm、さらにより好ましくは物品110の全長は、83mmである。
【0087】
エアロゾル発生材からなる本体303の軸方向端部は物品110の遠位端315で見えている。しかしながら、他の実施態様では物品110の遠位端315は、エアロゾル発生材からなる本体303の軸方向端部を覆う端部部材(図示せず)を含んでもよい。
【0088】
エアロゾル発生材からなる本体303は、環状のチッピング紙(図示せず)によってフィルター集合体305に接合され、このチッピング紙は、フィルター集合体305を囲むように実質的にフィルター集合体305の円周の周囲に位置し、エアロゾル発生材からなる本体303の長さに沿って部分的に延びている。1つの例ではチッピング紙は、58GSM標準チッピングベース紙から作製される。1つの例ではチッピング紙の長さは、42mm~50mm、より好ましくはチッピング紙の長さは、46mmである。
【0089】
1つの例では冷却セグメント307は、環状の管であり、冷却セグメントの周囲に位置し、冷却セグメント内に空隙を画定する。空隙は、エアロゾル発生材からなる本体303から発生した加熱されて揮発した成分が流れるチェンバーを供する。冷却セグメント307は、エアロゾルの堆積のためのチェンバーを供するために中空であり、それでも製造中そして物品110が使用時にデバイス100に挿入されている間に生じるかもしれない軸方向の圧縮力および曲げ運動に充分耐える堅さを有する。1つの例では冷却セグメント307の壁の厚さは、約0.29mmである。
【0090】
冷却セグメント307は、エアロゾル発生材303とフィルターセグメント309の間を物理的に移動する。冷却セグメント307による物理的移動は、冷却セグメント307の長さに亘って温度勾配を供する。1つの例では冷却セグメント307は、冷却セグメント307の第1端部に入る加熱されて揮発した成分と冷却セグメント307の第2端部を出る加熱されて揮発した成分との間の温度差が少なくとも40℃になるように構成されている。1つの例では冷却セグメント307は、冷却セグメント307の第1端部に入る加熱されて揮発した成分と冷却セグメント307の第2端部を出る加熱されて揮発した成分との間の温度差が少なくとも60℃になるように構成されている。冷却セグメント307の長さに亘るこの温度差は、デバイス100の加熱装置によって加熱された際のエアロゾル発生材303の高温から感温フィルターセグメント309を保護する。フィルターセグメント309およびエアロゾル発生材からなる本体303とデバイス100の加熱エレメントとの間で物理的移動が行われないと、感温フィルターセグメント309は、使用時に損傷し、その必要とされる機能を効率よく実行することができなくなる。
【0091】
1つの例では冷却セグメント307の長さは、少なくとも15mmである。1つの例では冷却セグメント307の長さは、20mm~30mm、特に好ましくは23mm~27mm、特に好ましくは25mm~27mmおよびより特に好ましくは25mmである。
【0092】
冷却セグメント307は紙で作製され、これは、デバイス100のヒーター装置に隣接して使用される際に例えば毒性のある化合物などの問題となる化合物を発生させない材料から構成されていることを意味する。1つの例では冷却セグメント307は、機械的剛性を維持しつつ中空の内部チェンバーを供する螺旋状に巻かれた紙の管から製造される。螺旋状に巻かれた紙の管は、高速で行われる製造工程の管の長さ、外径、丸みおよび真直度に関する厳密な寸法精度要件を満たすことができる。
【0093】
別の例では冷却セグメント307は堅いプラグラッパーまたはチッピング紙から生じる凹部である。堅いプラグラッパーまたはチッピング紙は、製造時に生じるそして物品110が使用の際にデバイス100内に挿入される間の軸方向の圧縮力および曲げモーメントに充分に耐えられる剛性を有するように製造される。
【0094】
冷却セグメント307の例のそれぞれの場合、冷却セグメントの寸法精度は、高速の製造工程の寸法精度の要件を満たすのに充分である。
【0095】
フィルターセグメント309は、管状基材から加熱されて揮発した成分からの1つ以上の揮発した化合物を除去するのに充分な任意のフィルター材から形成してもよい。1つの例ではフィルターセグメント309は、セルロースアセテートなどのモノアセテート材製である。フィルターセグメント309は、加熱されて揮発した成分の質をユーザーが満足しないレベルに落とすことなく加熱されて揮発した成分から冷たい刺激を減少させる。
【0096】
フィルターセグメント309のセルロースアセテートトウ材料の密度は、フィルターセグメント309全体の圧力降下を制御し、次に物品110の吸引抵抗を制御する。従って、フィルターセグメント309の材料の選択は、物品110の吸引抵抗を制御する上で重要である。さらにフィルターセグメント309は、物品110においてろ過機能を行う。
【0097】
1つの例ではフィルターセグメント309は、8Y15グレードのフィルター材で作製され、これは加熱されて揮発した材料のろ過効果を供し、また加熱されて揮発した材料に起因する縮合したエアロゾル滴の大きさを小さくし、その結果加熱されて揮発した材料の刺激および喉への影響を満足のいくレベルに軽減する。
【0098】
フィルターセグメント309があることで冷却セグメント307を出た加熱されて揮発した成分をさらに冷却することによって絶縁効果が供される。このさらなる冷却効果によりフィルターセグメント309の面にユーザーの唇が触れる際の温度が下がる。
【0099】
1つ以上の風味料がフィルターセグメント308内への風味付けされた液体の直接注入または1つ以上の風味付けされた壊れやすいカプセルまたは他の風味担体をフィルターセグメント309のセルロースアセテートトウ内に埋め込むまたは配置することのいずれかの形体でフィルターセグメントに加えられてもよい。
【0100】
1つの例ではフィルターセグメント309は、長さが6mm~10mm、より好ましくは8mmである。
【0101】
吸い口端セグメント311は、環状の管であり、吸い口端セグメント311内の空隙の周囲に位置し、これを画定する。空隙はフィルターセグメント309から流れる加熱されて揮発した成分のチェンバーを提供する。吸い口端セグメント311は、製造時に生じるそして発生品が使用の際にデバイス100内に挿入される間の軸方向の圧縮力および曲げモーメントに充分に耐えられる剛性のエアロゾル蓄積物用のチェンバーを供するために中空である。1つの例では吸い口端セグメント311の壁厚は、約0.29mmである。
【0102】
1つの例では吸い口端セグメント311の長さは、6mm~10mm、より好ましくは8mmである。1つの例では吸い口端セグメントの厚さは、0.29mmである。
【0103】
吸い口端セグメント311は、臨界的な機械的剛性を維持しつつ中空の内部チェンバーを供する螺旋状に巻かれた紙の管から製造される。螺旋状に巻かれた紙の管は、高速で行われる製造工程の管の長さ、外径、丸みおよび真直度に関する厳密な寸法精度要件を満たすことができる。
【0104】
吸い口端セグメント311は、フィルターセグメント309の出口で堆積するあらゆる液体の凝縮物がユーザーと直接接触するのを妨げる機能を提供する。
【0105】
当然のことながら1つの例では吸い口端セグメント311および冷却セグメント307は、単独の管で形成してもよく、フィルターセグメント309は、吸い口端セグメント311と冷却セグメント307を隔てる管内に位置する。
【0106】
換気領域317は、物品110内に設けられ、空気が物品110の外部から物品110の内部へと流れることができる。1つの例では換気領域317は、物品110の外層を通って形成された1つ以上の換気孔の形体である。換気孔は、冷却セグメント307に位置して物品110の冷却を補助する。1つの例では換気孔317は、1つ以上の列の孔を含み、好ましくは孔の列は、物品110の長手方向軸に実質的に直交する断面において物品110の周囲を円周方向に配置される。
【0107】
1つの例では物品110を換気するための1~4の換気孔の列がある。換気孔の各列は、12~36個の換気孔317を有する。換気孔317は、例えば100~500μmの直径を有する。1つの例では換気孔317の列間の軸方向の間隔は、0.25mm~0.75mm、より好ましくは換気孔317の列間の軸方向の間隔は、0.5mmである。
【0108】
1つの例では換気孔317の大きさは、均一である。別の例では換気孔317の大きさは異なる。換気孔は、あらゆる好適な技術、例えばレーザー技術、冷却セグメント307の機械的穿孔または物品110内に形成される前の冷却セグメント307の予備穿孔などの技術の1つ以上を使用して設けることができる。換気孔317は、物品110を効果的に冷却するために配置される。
【0109】
1つの例では換気孔317の列は、物品110の近位端313から少なくとも11mm、好適には物品の近位端313から17mm~20mmのところに位置する。換気孔317の位置は、物品110が使用中にユーザーが換気孔317を塞がないように配置される。
【0110】
物品110の近位端313から17mm~20mm離れて換気孔の列を設けることで図1から明らかなように物品110をデバイス110に完全に挿入した際に換気孔317がデバイス100の外側に配置することが可能になるので有利である。装置の外側に換気孔を配置することによって加熱されていない空気がデバイス100の外側から換気孔を介して物品110に入ることができ、物品110の冷却を補助する。
【0111】
冷却セグメント307は、物品110がデバイス100内に完全に挿入された際に冷却セグメント307の一部がデバイス100内に挿入される長さになっている。冷却セグメント307の長さによりデバイス100が装置内に挿入された際にデバイス100のヒーター装置と感熱フィルター装置309との間に物理的隙間を供する第1の機能とデバイス100の外側に配置され且つ換気孔317を冷却セグメント内に配置することができる第2の機能が提供される。図1から明らかなように冷却部材307の大半は、デバイス100内に位置する。しかしながら、デバイス100から外に延びている冷却部材307の部分がある。この装置100から外に延びている冷却部材307の部分に換気孔317が位置する。
【0112】
例示の実施態様では物品は、約260mgのエアロゾル発生材を含む42mmの長さの円筒状タバコロッド(直径5.4mm)を含む83mmの全長を有する。物品は、75%の換気率を有する。これは長さ44.5mm、内径5.55mmのサセプタを有するデバイス内で使用される。
【0113】
別の実施態様では(図示していない)物品は、約340mgのエアロゾル発生材を含む34mmの長さの円筒状タバコロッド(直径6.7mm)を含む75mmの全長を有する。物品は、60%の換気率を有する。これは長さ36mm、内径7.1mmのサセプタを有するデバイス内で使用される。
【0114】
実施例
【0115】
それぞれ上述した図1~5Bに示したデバイスと図6Aおよび6Bに示した物品をこれらの例に採用した。
- サセプタの長さは、44.5mm、内径は5.55mmであった。
- いくつかのエアロゾル発生物品をテストし、下記に示すデータはその平均値(特に明記しない限り)である。物品の全長は、乾式重量基準で計算してニコチン含有量が0.8wt%(±0.1wt%)およびグリセリン含有量が15wt%(±2wt%)の再生タバコ材を約260mg含む長さ42mmの円筒状タバコロッド(直径5.4mm)を含む83mmであった。換気率は75%であった。
【0116】
デバイスは、予め2つの加熱プロファイルがプログラムされ、それらを図7Aおよび7Bに示す。各プログラムでは吸い口端コイルが最初に加熱され、遠位コイルが2番目に加熱される。図8Aおよび8Bはこれ2つの予めプログラムされた加熱プロファイル(複数のサンプルでパフはしない)のそれぞれの加熱領域のタバコ温度を示している。
【0117】
シミュレートされたパフ様式をこの実施例で採用した。この様式ではデバイスの電源が入れられてから2秒後(ヒーターがタバコを温める時間を得るために)に最初のパフが起こる。その後、30秒ごとに(即ち、50秒、80秒、110秒、140秒など)(即ち、各パフの空気流は、1.65L/分であった)デバイスのマウスピースを介して55mLの2秒間の引き込みを完了させた。図7Aに示した熱プロファイルは、3分間のセッションであり、この様式で7回パフできる(最後のパフはヒーターの電源が切られた後であるが、エアロゾルを発生させるには充分な熱が存在する)。図7Bに示した熱プロファイルは、4分間のセッションであり、この様式で9回パフできる(ここでも最後のパフはヒーターの電源が切られた後である)。(図7Bのプロファイルは、下方最高温度を使用し、その結果セッションの初期のエアロゾルの発生を減少させ、従って、より長いセッションが可能になる。)
【0118】
試験された物品からのニコチン送出量の平均を図9に示す。これは、図7からの加熱プロファイルのそれぞれのパフ一回当たりのニコチン送出量と総ニコチン送出量を示している。
【0119】
試験された物品からの平均グリセリン送出量が図10に示されている。これは、図7からの加熱プロファイルのそれぞれのパフ一回当たりのグリセリン送出量と総グリセリン送出量を示している。
【0120】
定義
【0121】
本明細書中では「エアロゾル発生剤」なる用語は、エアロゾルの発生を促進させる化学物質である。エアロゾル発生剤は、気体の初期の気化および/または吸引可能な固体および/または液体エアロゾルへの凝集を促進することによってエアロゾルの発生を促してもよい。一部の実施態様ではエアロゾル発生剤は、エアロゾル発生材からの感覚刺激性成分の送出を向上させるものであってもよい。好適なエアロゾル発生剤としては、ソルビトール、グリセリンおよびプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールのようなグリコール類などのポリオール、一価アルコールなどの非ポリオール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸類、グリセリン誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチルまたはミリスチン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸エステルなどのエステル類およびステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類が挙げられるが、これらに限定されない。好適にはエアロゾル発生剤は、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチンおよび/またはミリスチン酸エチルを含む、から実質的になる、またはからなる。場合によってはエアロゾル発生剤は、グリセリンおよび/またはプロピレングリコールを含む、から実質的になる、またはからなってもよい。
【0122】
本明細書中で使用する「風味料」および「風味剤」なる用語は各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。このような材料としては、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物息消臭剤などのその他の添加剤などが挙げられる。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これらは天然または天然のものと同一の香料を含んでもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末、ゲルなどの任意の好適な形態であってもよい。
【0123】
本明細書では「充填材」なる用語は、炭酸カルシウム、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびモレキュラーシーブなどの好適な無機吸着剤の内の1つ以上を言う。これとは別に 充填材なる用語はウッドパルプ、セルロースおよびセルロース派生物などの1つ以上の有機充填材を言う。充填材は有機および無機充填材料を含んでもよい。
【0124】
本明細書中では「バインダー」なる用語は、アルギン酸塩類、セルロース類または変性セルロース類、デンプンまたは加工デンプンまたは天然ゴムを言う。好適なバインダーとしては、あらゆる好適なカチオンを含むアルギン酸塩、セルロース類またはヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどの変性セルロース類、スターチ類または変性スターチ類、ペクチン酸ナトリウム、ペクチン酸カリウム、ペクチン酸カルシウムまたはペクチン酸マグネシウムなどのあらゆる好適なカチオンを含むペクチン塩などの多糖類、キサンタンガム、グァーガムおよびあらゆる他の好適な天然ゴム、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施態様ではバインダーは、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウムまたはアルギン酸アンモニウムから選択される1つ以上のアルギン酸塩を含む、実質的にからなるまたはからなる。
【0125】
本明細書中では「タバコ材」なる用語は、タバコまたはその派生物を含むあらゆる材料を意味する。「タバコ材」なる用語は、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。タバコ材は、粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出しされたタバコ、タバコ葉柄、再生タバコおよび/またはタバコ抽出物の内の1つ以上を含んでもよい。
【0126】
タバコ材を製するために使用されるタバコは、バージニアおよび/またはバーレーおよび/またはオリエンタルを含む単独グレードまたはブレンド、刻まれたクズまたは葉全体などのあらゆる好適なタバコであってもよい。またタバコ粒子「微粉末」またはダスト、膨張タバコ、葉柄、膨張葉柄および裁断圧延葉柄などの他の処理された葉柄材であってもよい。タバコ材は粉タバコまたは再生タバコ材であってもよい。再生タバコ材はタバコ繊維であってもよく、キャスティング、タバコ抽出物を後で追加するフォードリニア系製紙法または押し出しによって形成してもよい。
【0127】
ここに記載されている重量パーセント(wt%で示される)は、特に明記しない限り乾式重量基準で算出されている。全ての重量比も乾式重量基準で算出されている。乾式重量基準で示される重量は、水以外の抽出物またはスラリーまたは材量の全体を意味し、グリセロールなどのそれ自体は室温および室圧で液体である成分を含んでもよい。逆に言うと、湿式重量基準の重量割合は水を含む全ての成分を意味する。
【0128】
誤解を避けるために、本明細書で「含む(comprises)」が本発明または本発明の特徴の定義に使用される場合、本発明または特徴が「含む(comprises)」の代わりに「から実質的になる(consists essentially of)」または「からなる(consists of)」を使用して定義することができる実施態様も開示される。
【0129】
上記の実施態様は本発明の説明に役立つ実例として理解されたい。さらに本発明の実施態様は想定される。当然のことながら任意の1つの実施態様について説明したあらゆる特徴は単独または説明された他の特徴と組み合わせて使用してもよく、他の実施態様のいずれかの1つ以上の特徴または他の実施態様のいずれかのあらゆる組み合わせと組み合わせて使用してもよい。さらに上記で説明されていない同等物および修飾物も添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲を逸脱することなく採用することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5A-5B】
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
【国際調査報告】