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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】溶血検出血液検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20220428BHJP
   G01N 33/72 20060101ALI20220428BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G01N33/50 L
G01N33/72 A
G01N33/48 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554659
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 US2019064631
(87)【国際公開番号】W WO2020185272
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】62/817,144
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・サンプローニ
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・カウフマン
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・レデン
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045BA08
2G045BB04
2G045CA25
2G045DA51
2G045FB18
(57)【要約】
【課題】 現在の検査体制の欠点を克服し、溶血が起こっているかどうかを決定するための血液サンプルの迅速なポイントオブケア検査を提供する。
【解決手段】 血液検査アセンブリーと方法が説明される。この方法では、血漿分離膜および試薬を有する血液検査デバイスが、血球および血漿を有する血液を含む注射器に接続される。血液の血液サンプルは、注射器から血液検査デバイス内の血漿分離膜を通過して、血漿を血球から分離する。試薬は血漿で飽和され、そして、試薬は血液サンプル内の溶血の程度を決定する為に測色分析される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を含むレセプタクルであり、血液を該レセプタクルから移送するように構成されたポートを有する該レセプタクル;および
血液検査デバイス
を含み、
該血液検査デバイスは、下記を含む、血液検査アセンブリー、
流体非浸透性材料で構築されたハウジングであって、ポートで流体連通する内部空間と、該ハウジングの外から該内部空間へ及び該内部空間から該ハウジングの外への双方向に光を通し、該光が電磁スペクトルの可視部分であり、光学的に透明な材料で構成されたウィンドウとを有する該ハウジング;
該ハウジング内にあるセパレーターであって、血球および血漿を有する血液を受け取り、血球を血漿から分離し、そして血漿を該内部空間内の検査ソーンに向かわせるように構成されている該セパレーター;および
該検査ゾーン内に有る試薬であって、該ウィンドウを通して試薬が見えるようにするために該ウィンドウに隣接し、血漿内のヘモグロビンの存在下で色が変化して血液の溶血状態の指標を提供するように構成されている該試薬。
【請求項2】
前記セパレーターが血漿分離膜を含む、請求項1に記載の血液検査アセンブリー。
【請求項3】
前記血漿分離膜が前記試薬の背景を形成するように所定の色で提供される、請求項2に記載の血液検査アセンブリー。
【請求項4】
前記セパレーターは、隣接して配置され、重なり合う第1のフィルターおよび第2のフィルターを含み、
第1のフィルターおよび第2のフィルターの一方は血漿分離膜であり、
第1のフィルターおよび第2のフィルターの他方は、試薬の背景を形成するように所定の色である、
請求項1に記載の血液検査アセンブリー。
【請求項5】
前記セパレーターは、血漿分離膜である第1のフィルターと、第1のフィルターと積み重ねられた第2のフィルターとを含み、
第2のフィルターは、第1のフィルターと前記試薬との間にあり、そして前記試薬がウィンドウを通して見られたときに前記試薬の背景を形成するように前記試薬と重なっている、
請求項2に記載の血液検査アセンブリー。
【請求項6】
血液サンプルの所定の溶血状態を示すように相関された、複数の前記試薬の色領域を有するカラーパレットをさらに含み、
該カラーパレットは前記ハウジング上にある、
請求項1に記載の血液検査アセンブリー。
【請求項7】
前記カラーパレットは、基板を前記ハウジングに接着する接着材料を有するステッカーであり、
前記色領域は、該基板によって支持されている、
請求項6に記載の血液検査アセンブリー。
【請求項8】
前記カラーパレットはベントを取り囲んでいる、請求項6に記載の血液検査アセンブリー。
【請求項9】
前記ハウジングおよび前記レセプタクルの前記ポートに接続されたレセプタクルコネクターをさらに備え、
該レセプタクルコネクターは、前記ハウジングの外にある前記ポートから、前記内部空間への通路を形成している、
請求項1に記載の血液検査アセンブリー。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記ハウジングを分析器に接続するように構成された分析コネクターを含む、請求項1に記載の血液検査アセンブリー。
【請求項11】
前記ハウジングは、ガスが内部空間から逃げることを可能にし、液体が前記内部空間から逃げることを防ぐように構成されたベントを備える、請求項1に記載の血液検査アセンブリー。
【請求項12】
以下を含む血液検査デバイス:
流体非浸透性材料から構築されたハウジングであって、内部空間と、該ハウジングの外から内部空間へ及び該内部空間から該ハウジングの外への双方向で光を通すように構成された光学的に透明な材料で構築されたウィンドウとを有し、該光は電磁スペクトルの可視部分にある、該ハウジング;
該ハウジング内のセパレーターであって、該セパレーターは、血球及び血漿を有する血液を受け取り、該血球を該血漿から分離し、そして該血漿を該内部空間内の検査ゾーンに向かわせる、該セパレーター;
該検査ゾーン内に有り、該ウィンドウを通して見られるようにウィンドウに隣接している試薬であって、該試薬は、該血液の溶血状態の指標を提供する為に、該血漿中のヘモグロビンの存在下で色を変えるように構成されている、該試薬。
【請求項13】
前記セパレーターは血漿分離膜を含む、請求項12に記載の血液検査デバイス。
【請求項14】
前記血漿分離膜は前記試薬の背景を形成するように所定の色で提供される、請求項13に記載の血液検査デバイス。
【請求項15】
前記セパレーターは、隣接して配置されて、重なり合う第1のフィルターおよび第2のフィルターを含み、
第1のフィルターおよび第2のフィルターの1つは血漿分離膜であり、
第1のフィルターおよび第2のフィルターの他の1つは試薬の背景を形成するように所定の色である、
請求項12に記載の血液検査デバイス。
【請求項16】
前記セパレーターは第2のフィルターと重なる第1のフィルターを含み。
第1のフィルターは血漿分離膜であり、
第2のフィルターは、第一のフィルターと前記試薬との間に有り、前記試薬がウィンドウを通して見られた時に前記試薬の背景を形成する為に前記試薬に重なっている、
請求項12に記載の血液検査デバイス。
【請求項17】
血液の所定の溶血状態を示すように相関された、複数の前記試薬の色領域を有するカラーパレットをさらに含み、
該カラーパレットが、前記ハウジング上にある、
請求項12に記載の血液検査デバイス。
【請求項18】
前記カラーパレットは、基板を前記ハウジングに接着する接着材料を有するステッカーであり、
前記色領域は該基板によって支持されている、
請求項17に記載の血液検査デバイス。
【請求項19】
前記カラーパレットは、ベントを取り囲んでいる、請求項17に記載の血液検査デバイス。
【請求項20】
前記ハウジングと前記レセプタクルの前記ポートとに接続されたレセプタクルコネクターをさらに含み、
該レセプタクルコネクターは、前記ハウジングの外にある該ポートから、前記内部空間への通路を形成している、
請求項12に記載の血液検査デバイス。
【請求項21】
前記ハウジングは、前記ハウジングから分析器に接続するように構成された分析器コネクターを含む、請求項12に記載の血液検査デバイス。
【請求項22】
前記ハウジングは、ガスが内部空間から逃げることを可能にし、液体が前記内部空間から逃げることを防ぐように構成されたベントを備える、請求項12に記載の血液検査デバイス。
【請求項23】
以下を含む方法:
血漿分離膜および試薬を有する血液検査デバイスを、血球および血漿を有する血液を含む注射器に接続すること;
該血漿を該血球から分離する為に、該血液検査デバイス内の血漿分離膜を通して、該注射器から該血液の血液サンプルを通過させること;
該試薬を該プラスマで飽和させること;そして
該血液サンプル内の溶血の程度を決定するために該試薬を測色分析すること。
【請求項24】
前記血液検査デバイスを介して、分析器によって前記血液サンプルのサンプルを取得することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記サンプルの取得が、分析器の分析器インレットプローブで前記血漿分離膜を貫通することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の請求項は、出願日2019年3月12日の米国仮出願第817,14624の35USC§119(e)に基づく恩恵を受ける。上記の特許出願の全内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
連邦政府が後援する研究開発に関する声明
該当なし。
【背景技術】
【0003】
ポイントオブケア検査は、救急処置室におけるものと同様な、患者ケアの現場またはその近傍での医療検査を指す。このような検査の望ましい結果は、多くの場合、患者ケアにおける次の行動方針を決定するための迅速で正確な検査結果である。そのようなポイントオブケア検査の多くは、患者からの血液サンプルの分析を含む。
【0004】
これらの検査の多くは、全血、血漿、または血清を使用する。これらのサンプルでは、被験者からのサンプルの取得の不完全性、分析前の血液サンプルの取り扱い、臨床状況(例えば、溶血性貧血、毒物、毒素など)、および全血分離工程による溶血の結果として、壊れた血球が残っている可能性がある。場合によっては、溶血した細胞または細胞膜の破片から放出される物質が、分析検査結果の完全性を妨げる可能性がある。
【0005】
例えば、溶血が発生した場合、得られたサンプル中の遊離ヘモグロビンは、多くの検査で干渉を引き起こす可能性があり、それによって信号の減衰、測定の正確さと精度の低下につながり、又はもう一方で偽陽性結果につながる。一つには、対応するサンプル中のカリウム濃度が大幅に増加し、カリウムレベルの診断検査で誤診のリスクが高くなる可能性があることがわかっている。溶血はまた、アルブミン、アミラーゼ、ビリルビン、カルシウム、マグネシウム、鉄、リン酸塩、ヘモグロビン、ハプトグロビン、アルカリホスファターゼ、総タンパク質、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、クレアチンキナーゼ、心臓トロポニンT、RBC、HCHCおよび血小板数の読み取りを妨げる可能性がある。
【0006】
添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、1つ以上のここに記載された実施を示し、記載とともに、これらの実施を説明する。図面において:
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、レセプタクルと本開示に従って構成された血液検査デバイスを含む代表的な血液検査アセンブリーの側面図である。
図2図2は、本開示の実施形態に従って構成された血液検査デバイスの側面図である。
図3図3は、本開示の一つの実施形態に従った、血液検査デバイス上にカラーパレットを有する、図2の血液検査デバイスの上部平面図である。
図4図4は、本開示に従った、血液検査デバイスを注射器などのレセプタクルに接続するように構成されたコネクターを示す、図2の血液検査デバイスの底面図である。
図5図5は、図2の代表的な血液検査デバイスの分解図の、上面斜視図である。
図6図6は、図2の代表的な血液検査デバイスの分解図の、底面斜視図である。
図7図7は、本開示に従って構成された代表的な血液検査アセンブリーの他の実施形態の分解図の斜視図である。
図8図8は、図7に描かれた血液検査アセンブリーの実施形態の側面図である。
【発明の概要】
【0008】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面中の同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を識別してもよい。
【0009】
同様に、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprosing)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(はs)」、「有している(having)」またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または器具は、必ずしもこれらの要素のみに限定されるものではなく、明示されていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有ではない、他の要素を含むことができる。さらに、明らかに反対の記載がない限り、「または」は包括的論理和を指し、排他的論理和を指さない。たとえば、条件AまたはBは、下記の何れか一つで満たされる:Aが真(または存在)およびBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)およびBが真(または存在)、およびAとBの両方が真(または存在)。
【0010】
また、「一つの(a)」または「一つの(an)」は、ここでの実施形態の要素およびコンポーネントを記載するために使用されている。これは、単に便宜上、及び本発明の概念の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、1つ以上を含むように読むべきであり、単数形は、別の意味であることが明らかでない限り、複数形も含む。
【0011】
さらに、「複数」という用語の使用は、特に反対に述べられていない限り、「1つ以上」を伝えることを意味する。
【0012】
ここで用いられているように、「一つ(one)の実施形態」または「一つ(an)の実施形態」への如何なる参照も、実施形態に関連して説明されている特定の要素、特徴、構造、又は特性が、少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。
本明細書の様々な場所における「一つの実施形態における」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照するとは限らない。
【0013】
ここで用いられているように、「実質的に」なる語は、記載されたパラメータ、イベント、あるいは状況が完全に発生すること、または、記載されたパラメータ、イベント、または状況が大幅にあるいはある程度発生することを意味する。たとえば、「実質的に」という用語は、記載されたパラメータ、イベント、あるいは状況が、少なくとも90%の時間、あるいは少なくとも91 %、あるいは少なくとも92%、あるいは少なくとも93%、あるいは少なくとも94%、あるいは少なくとも95%、あるいは少なくとも96%、あるいは少なくとも97%、あるいは少なくとも98%、あるいは少なくとも99%の時間で発生することを意味する、または、寸法または測定値が、参照された寸法または測定値の、少なくとも90%、あるいは少なくとも91%、あるいは少なくとも92%、あるいは少なくとも93%、あるいは少なくとも94%、あるいは少なくとも95%、あるいは少なくとも96%、あるいは少なくとも97%、あるいは少なくとも98%、あるいは少なくとも99%以内であることを意味する。
【0014】
溶血が発生しているかどうかを決定するために、多くの検査が開発されている。血液サンプル中のHbレベルを決定するために使用される1つの一般的な試薬は、ドラブキン試薬と呼ばれる。ドラブキン試薬は、重炭酸ナトリウム、フェリシアン化カリウム、シアン化カリウムの混合物で構成され、赤血球を溶解し、サンプル中のすべてのHbを一つの形態であるシアノメタエモグロビンに定量的に変換し、そして分光計で単一波長を使用して測定される。
【0015】
サンプルをドラブキン試薬で処理するために、分光光度計を540nmに設定し、吸光度は水リファレンスをブランクとする。試験管を水リファレンスとサンプルの為に用いる。ドラブキン溶液(5mL)を各試験管に加える。サンプル(20uL)を必要に応じて試験管に加え、サンプルを溶解するために複数回上下にピペッティングする。シアノメタエモグロビンに変換するために、周囲の条件に応じて、サンプルを15分間放置する。次に、サンプルの540nmでの吸光度を、水にブランク化した後に読み取る。そして結果を検量線で換算する。標準溶液は15分間の平衡化を必要としない場合があるが、それでも手動処理と結果推定を必要とする時間がかかる。
【0016】
ドラブキン試薬は、サンプル中の特定の時点における、溶血を示す遊離Hbの程度のリアルな画像を提供しない。ドラブキン試薬は、採取した血液サンプルが溶解したかどうかも示さない。
【0017】
いくつかの迅速なポイントオブ溶血検出検査は、特許文献に記載されている。WO2015191450は、クロマトグラフ検出パッドを使用して溶血を検出するための技術を記載している。米国特許出願番号20170248618は、膜を使用して血漿から血液を分離し、血漿の色を決定することによって溶血を検出するための技術を記載している。
【0018】
Cholestech商標で販売されている分析器は、濾過膜の長さ(側方流動)に沿って血液から血漿を分離する;そして次に、サンプルを取り出すために、濾過膜の一部で試薬パッドを押す。Cholestechの商標で販売されている分析器は溶血を検出しないが、サンプルが溶血している場合はエラーメッセージを表示することができる。
【0019】
溶血検出のための技術は、「ポイントケアアプリケーションの為の、膜ベース、沈降支援血漿セパレーター」、Changchun Liuら、Analytical Chemistry 2013 85(21)、10463-10470 の記事に記載されている。ただし、この記事で記載されている手法では、大量のサンプル、長い待機時間、および溶血の検出と定量化のための第2ステップが必要である。
【0020】
米国特許第7,896,818号;および8,444,621号は、サンプラーからサンプラーキャップを取り外さずに検査サンプルを分析器に移すために使用できるサンプラーキャップを開示している。好ましい実施形態では、サンプラーは注射器である。ただし、サンプラーキャップには、サンプルで溶血が発生しているかどうかを判断する方法は含まれていない。したがって、患者から分析器に血液サンプルを移すために、サンプラーキャップが米国特許第7,896,818号;及び8,444,621号で指定されているように使用される場合に、溶血した血液が分析器に移される可能性があり、これは多くの検査で干渉を引き起こす可能性がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
現在の検査体制の欠点を克服し、溶血が起こっているかどうかを決定するための血液サンプルの迅速なポイントオブケア検査が必要である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
一態様によれば、溶血(すなわち、破壊された細胞断片、ヘモグロビンなど)を有すると疑われるサンプル中の溶血の存在を決定するためのデバイス、システム、およびプロセスが提供されている。有利なことに、本明細書に記載のデバイス、システム、およびプロセスは、サンプルの一部の測色評価に基づいて、サンプルで溶血が起こっているかどうかを決定する。サンプルは、溶血がない場合の関連する被験者の実際のカリウムレベルよりも大幅に大きいカリウムレベルを与えることにより、カリウムレベルからのアッセイで偽陽性の結果を潜在的に創成する可能性があるものかもしれない。たとえば、赤血球内のカリウムレベルは血漿中の25倍である可能性がある。したがって、溶血が発生した場合、問題のそのサンプルのカリウム値が大幅に増加する可能性がある。被験者のカリウムレベルが示されているほどには実際には高くない場合、偽陽性の結果は、結果的に、カリウムレベルの上昇を特徴とする疾病の誤診および誤処置につながる可能性がある。例えば、溶血の結果として、被験者は、アディソン病または溶血性貧血のような、高カリウム血症またはカリウムレベルの上昇を特徴とする他の疾病または状態を有すると誤診される可能性がある。さらに、被験者は、水薬(利尿薬)または血圧薬などの薬を服用することの副作用としてカリウムレベルが上昇していると誤診され、そのような薬の服用をやめるように不必要に指示される可能性がある。さらに、偽陽性の結果は、カリウムが吸収される前に腸からカリウムを除去するための薬剤または他の不必要な治療が不必要に提供されることに、誤ってつなげる可能性がある。したがって、有利に、本明細書に記載の血液検査デバイスは、カリウムレベルについてサンプルを分析する前の許容できないレベルの溶血のスクリーニングプロセスで、またはすでに実行された検査結果の完全性を確認するために利用することができる。
【0023】
特定の実施形態では、サンプルは、赤血球、白血球、および血小板を含む全血球量を含む、全血サンプルである。サンプル内では、溶血の程度は、その中のヘモグロビンの量と相関している可能性がある。本明細書で使用されるように、「ヘモグロビン」という用語は、採取された血液から得られるありとあらゆるヘモグロビン分子を指すことが理解される。ヘモグロビンは一般に、酸素運搬色素および赤血球の主要なタンパク質として知られている。ヘモグロビンは、4つのタンパク質鎖、2つのアルファ鎖と2つのベータ鎖で構成され、それぞれに鉄原子を含むリング状のヘムグループがある。酸素はこれらの鉄原子に可逆的に結合する。酸素化された状態では、ヘモグロビンはオキシヘモグロビンと呼ばれることがあり、明るい赤が特徴である。還元状態では、ヘモグロビンはデオキシヘモグロビンと呼ばれることがあり、紫青色が特徴である。
【0024】
他の態様によれば、特徴を示す溶血を有する血液収集のための、デバイス、システム、およびプロセスが提供される。
【0025】
別の態様によれば、血漿分離の特徴を有する、血液検査デバイス、システム、アクセサリー、及びプロセスが提供される。
【0026】
別の態様によれば、溶血を示す特徴を有する、血液検査デバイス、システム、アクセサリー、及びプロセスが提供される。
【0027】
ここで図、特に図1を参照すると、本開示に従って構成された血液検査アセンブリー10の概略図が示されている。一般に、血液検査アセンブリー10は、血液のサンプルを含むレセプタクル12、および血液検査デバイス14を含む。レセプタクル12は、レセプタクル12から血液を移送するように構成されたポート16を有する。血液検査装置14は、流体非透過性材料で構成されたハウジング20を有する。ハウジング20は、図2に破線で示されている内部空間22を有する。ハウジング20はまた、ガスが内部空間22から逃げることを可能にし、液体(すなわち、血漿)が内部空間22から逃げるのを防ぐように構成されたベント24を含んでもよい。別の実施形態では、ハウジング20は、ベント24を欠いてもよい。これは、ハウジング20内の内部空間22を大気圧よりも低い圧力(例えば、真空)下に調圧して、ハウジング20が血液のサンプルを内部空間22に引き込むことによって達成され得る。ハウジング20は、天壁25、下壁26、および天壁25と下壁26との間に延びる側壁27とを有する。ベント24は、底壁26から延在する。血液検査デバイス14はまた、ハウジング20に接続された天壁25から延びるレセプタクルコネクター30、およびレセプタクル12のポート16を含む。レセプタクルコネクター30は、一実施形態では、ポート16(ハウジング20の外)から内部空間22への通路を形成する管状部材であり、少なくとも一部(例えば、0.5~1mL)の血液のサンプルが、レセプタクルから内部空間22に移され得る。ハウジング20の設計に応じて、より少量の血液が可能である。
【0028】
一実施形態では、レセプタクル12は注射器であり、レセプタクルコネクター30は、当技術分野でルアーロックとして知られているデバイスである。レセプタクル12およびレセプタクルコネクター30は他の形態であり得ることを理解されたい。例えば、レセプタクル12は、血液を収集し、検査の目的で血液を輸送するために使用することができるバキュテナーとして当技術分野で知られているデバイスであってもよい。別の実施形態では、レセプタクル12は、血液ガス分析器などの機器、および血液検査デバイス14に同時に接続することができる。例えば、ハウジング20およびベント24は、中空体と、通気機構(例えば、通気導管)を提供する為の分析器コネクター162(米国特許第7,896,818号)、および分析器に接続するための分析器コネクターを構成する為の、記載された方法で構成することができ、これにより、血液検査デバイス14の分析器コネクターを分析器に接続し、レセプタクル12から分析器に血液検査デバイス14を介してサンプルを移送するために使用することができる。一実施形態では、分析器は、分析器コネクターを通ってレセプタクル12内に延びる分析器プローブを有して、レセプタクル12から直接サンプルを取得することができる。米国特許第7,896,818号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。血液は、ヒトまたは非ヒト(猫、犬、牛、馬、魚など)などの動物から収集することができる。
【0029】
図2に示されているのは、本開示に従って構成された、代表的な血液検査デバイス14の側面図である。ハウジング20は、流体非透過性材料で構成されているおり、ハウジング20は、血漿内に懸濁された血球を含む血液のサンプルを保持および収容することができる。ハウジング20は円筒形として示されているが、ハウジング20は、正方形、円形、長方形、オフセット長方形、三角形、オフセット三角形などの、任意の形状で提供できることを理解されたい。ハウジング20は、ハウジング20の外から内部空間22へ、および内部空間22からハウジング20の外への、双方向に光を通過させるように構成された光学的に透明な材料で構築されたウィンドウ34(図3を参照)を含む。一実施形態では、光は電磁スペクトルの可視部分にあり、ユーザーがウィンドウ34を通してハウジング20の内部空間22を見ることができる。図3に示されるように、ウィンドウ34は、底壁26の透明部分であってもよいが、他の実施形態では、ウィンドウは、ハウジング20の側壁27上に配置されてもよい。
【0030】
血液検査デバイス14はまた、ハウジング20内にセパレーター40(図5)、および試薬42(図5)を備えて提供される。セパレーター40は、血球および血漿を有する血液を受け取り、血球を血漿から分離し、血漿を内部空間22内の検査ゾーン44に向けるように構成される。試薬42は、検査ゾーン44内に配置され、ウィンドウ34に隣接して、試薬42がウィンドウ34を通して見えるようになっている。試薬42は、血漿内のヘモグロビンの存在下で色を変化させて、血液の溶血の状態の指標を提供するように構成されている。上記で論じられた分析器に取り付けられるように構成された分析器コネクターで血液検査デバイス14が構成されている場合、分析器入口プローブは、分離器40に接近し、分離器40を貫通して、レセプタクル12内のサンプルへのアクセスを得てもよい。
【0031】
一実施形態では、試薬42は血漿内のヘモグロビンの量によって色が変化するパッド43(図5を参照)を含む。パッド43は、ピンク色の色変化をもたらすための親水性膜であってもよく、ユーザーまたは外部の読み取りデバイスは、色の変化を測色分析して、色(例えば、視覚的)リファレンスに相関させることができる。パッド43は、白または他の色であってもよい。いくつかの実施形態では、パッド43は、セルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはタンパク質を保持する傾向がある他の材料で作ることができる。
【0032】
パッド43の色の変化はウィンドウ34を通して見ることができ、ユーザーまたは外部の読み取りデバイスが試薬42を見て、試薬42の色をカラーパレット52の領域50a~fと比較することを可能にする。領域50a~fのそれぞれは、異なる溶血状態、例えば、血漿内のヘモグロビンの量を示すために試薬42と相関した異なる色を有している。ヘモグロビンの量は、試薬42の色をカラーパレット52の領域50a~fと比較することによってユーザーが決定することができる。以下で論じるように、カラーパレット52は、透明基板を底壁26に接着する接着材料を有して、ベント24を取り囲むステッカーであり得る。一実施形態では、領域50a~fは、以下のような、ベント24と同軸の円形パターンで提供される。しかしながら、領域50a~fの他の構成を使用できることを理解されたい。さらに、ステッカーは、ユーザーが試薬42を見ることができるように、ウィンドウ34と位置合わせされた開口部を有することができる。別の例では、ウィンドウ34は、ステッカーの透明な領域であってもよい。この実施形態では、ハウジング20(またはその一部)は不透明であってもよく、パッド43と位置合わせされた開口部を有してもよい。ステッカーをハウジング20に接続して、流体非透過性の封を形成してもよい。この実施形態では、ユーザーまたは外部読み取り機は、ステッカーの透明な領域および開口部を通してパッド43を見てもよい。
【0033】
使用され得る代表的な試薬42および結果として生じる色の変化が、以下の表1に記載されている。
【0034】
【表1】
【0035】
ここで図5および6を参照すると、血液検査デバイス14の代表的な実施形態の分解図が示されている。この例では、ハウジング20は、内部空間22を封じるように互いに接続されたハウジング天部60およびハウジング底部62を備えている。ハウジング天部60は天壁25を含む。ハウジング天部60は、単一構造として一体的に形成することができ、または音波溶接、または接着剤あるいは凝集剤などの接着材料などの任意の適切な方法によって一緒に接合される別個の構成要素によって形成することができる。
【0036】
天壁25は、内面64と、一般に内面64の反対側にある外面66とを備えている。天壁25はまた、血液がハウジング20の内部空間22に入ることを可能にするために、レセプタクルコネクター30と連絡する開口70を備えている。一実施形態では、開口部70は、図5に示されるように、天壁25の中央領域に配置することができる。開口部70は、開口部70がレセプタクルコネクター30と連絡している限り、天壁25の他の部分に配置することができることを理解されたい。内面64は、この例では、内面64のかなりの部分を包含する分離領域71上で、開口部70から血液を拡散するように形作られている。例えば、内面64は、複数のチャネル72およびリブ74を含むように形作ることができる。ハウジング天部60はまた、天壁25から延在し、ハウジング天部60とハウジング底部62が互いに接続されたときに側壁27の一部を形成する側壁部分76を含む。内面64および側壁部分76は、凹部80を形成するカップ形状を有する。内面64はまた、分離領域71を取り囲む周囲領域82を備えていてもよい。以下で論じるように、周囲領域82は、セパレーター40と嵌合するように形作られている。例えば、周囲領域82およびセパレーター40は、両方とも平面であってもよい。
【0037】
ハウジング天部60は、少なくともヘモグロビンに対しても不活性である任意の適切な液体非透過性材料から形成されてもよい。例えば、限定されないが、ハウジング天部60は、当業者によって理解されるように、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ポリエステル、ガラス、金属、セラミック、適切な複合材料、及びそれらの組み合わせを含む材料から、形成されてもよい。さらに、ハウジング天部60は、電磁スペクトルの可視部分の光に対して不透明である材料で構成されてもよい。
【0038】
セパレーター40は、一つ以上の積層フィルターで提供されてもよい。示されている例では、セパレーター40は、整列され、上下に積み重ねられた第1のフィルター90および第2のフィルター92で提供されている。第1のフィルター90および第2のフィルター92は、同じサイズおよび形状であってもよく、例えば、この場合、第1のフィルター90および第2のフィルター92の両方が円形である。他の実施形態では、第1のフィルター90および第2のフィルター92は、異なるサイズおよび/または形状であってもよい。開示された実施形態では、第1のフィルター90は、内面64上に配置されて係合し、第2のフィルター92は、第1のフィルター90上に配置されて係合している。
【0039】
第一のフィルター90は、血漿から血液中の血球を分離するように設計されていてもよく、第2のフィルター92に血漿を通す。例えば、図5に示される実施形態では、第1のフィルター90は、全血サンプルなどのサンプル中の全血球から、血漿および溶血生成物、例えば、ヘモグロビンを単離してもよい。一実施形態では、第1のフィルター90は、当技術分野で市販されているような、血漿分離膜を含む。特定の実施形態において、血漿分離膜は非対称材料を含み、それは、血漿および小分子/複合体がそこを通って移動することを可能にしながら、その上に複数の全血球を保持することができる。いくつかの異なる血漿分離膜が市販されており、血液検査デバイス14での使用に適している可能性がある。例えば、血漿分離膜は、ポールコーポレーション(現在、商標Vivid(商標))から市販されている非対称ポリスルホン材料を含んでもよい。あるいは、第1のフィルター90は、血漿およびその中の溶血からの成分(もしも存在するならば)を含むサンプルを提供することができる任意の他の適切な材料またはデバイスを、含んでもよい。
【0040】
第1のフィルター90によって分離された血漿は、第2のフィルター92に提供される。第2のフィルター92は、所定の色を備えており、試薬42の背景または設定を形成する。第2のフィルター92は試薬42と重なる。一実施形態では、試薬42は、第2のフィルター92が試薬42の背景色を提供するように、第2のフィルター92とウィンドウ34との間に配置される。溶血が疑われる血液がレセプタクルコネクター30および開口部70を介して内部空間22に供給されると、血液は分離領域71によって拡散され、第1のフィルター90を通過する。第1のフィルター90は、血球および血小板を血漿から分離し、次いで、血漿を第2のフィルター92に通過させる。血漿は、第2のフィルター92を飽和させ、第2のフィルター92を通過して試薬42に到達する。試薬42は血漿と反応し、溶血の状態、または許容できないレベルの溶血を示すために色を変えてもよい。第2のフィルター92は、一貫した色の背景を提供し、したがって、試薬42の色の測色比較を支援する。一例では、第2のフィルター92は黒色濾紙であるが、他の色を使用できることを理解されたい。一実施形態では、第1のフィルター90は、一貫した色の背景を提供するために所定の色であり得る。この実施形態では、第2のフィルター92は、透明であっても、または排除されていてもよい。
【0041】
上記で論じられたように、ベント24は、ガスのベント24の通過は許すが、流体のベント24の通過は防ぐように設計されている。一実施形態では、ベント24は、内部開口100を有する管状部材である。ベント24はオーバーフロープラグ102を含み、オーバーフロープラグ102は、内部開口100内に配置され、内部開口100を遮断している。オーバーフロープラグ102は、内部空間22からガスを排出することができるが、流体のベント24通過を防止することができる材料で構成される。オーバーフロープラグ102を作製するための典型定な材料には、デンプン、セルロース、およびテフロンが含まれる。
【0042】
ハウジング底部62は、底壁26を含む。底壁26は、内面110と、内面110と概して反対側の外面112とを備えている。底壁26はまた、ガスおよび流体がハウジング20の内部空間22から内部開口100に入るのを可能にするために、ベント24の内部開口100と連絡する開口114を備えている。一実施形態では、開口部114は、図6に示すように、底壁26の中央領域に配置することができる。開口部114は、開口部114がベント24の内部開口部100と連絡している限り、底壁26の他の部分に配置できることを理解されたい。内面110は、第2のフィルター92からの血漿を、この例では、内面110の実質的な部分を包含する試薬飽和領域120にわたって、拡散するように形作られている。例えば、内面110は、複数のチャネル122およびリブ124を含むように形作ることができる。ハウジング底部62はまた側壁部分130を含み、側壁部分130は、底壁26から延在し、ハウジング天部60とハウジング底部62が互いに接続された場合に側壁27の一部を形成する。内面110および側壁部分130は、凹部132を形成するカップ形状を有していてもよい。内面110はまた、試薬飽和領域120を取り囲む周囲領域134を備えていてもよい。以下で論じられるように、周囲領域134は、セパレーター40と嵌合するように形作られる。例えば、周囲領域134は平面であってもよい。
【0043】
ハウジング底部62は、少なくともヘモグロビンに対しても不活性である任意の適切な液体非浸透性材料から形成されえてもよい。例えば、限定されないが、ハウジング天部60は、当業者によって理解されるように、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ポリエステル、ガラス、金属、セラミック、適切な複合材料、およびそれらの組み合わせを含む材料から形成されてもよい。さらに、ウィンドウ34を形成するハウジング底部62の一部は、電磁スペクトルの可視部分の光に対して透明である材料で構成されている。
【0044】
動作中、検査される血液のサンプルは、レセプタクル12内に配置される。血液検査デバイス14のレセプタクルコネクター30は、レセプタクル12のポート16に接続されてよく、ある量の血液は、ポート16およびレセプタクルコネクター30を通って、血液検査デバイス14の内部空間22に移送されてよい。血液が内部空間22に移送されると、内部空間22内の空気は、ベント24を通過するように方向づけられる。血液が内部空間22に入ると、血液はチャネル72およびリブ74によって拡散され、第1のフィルター90にあてられる。第1のフィルター90は、血球および血小板を血漿から分離し、血漿を第2のフィルター92に渡す。血漿は、第2のフィルター92を飽和させ、血漿が試薬42の試薬パッド43に接触して飽和できるように、血漿を試薬飽和領域120に通過させる。飽和した試薬パッド43は、次に、血液の溶血の状態に応じて色が変化してもよく、変化しなくてもよい。いずれにせよ、試薬パッド43の色は、ユーザーによって見ることができ、試薬パッド43の色をカラーパレット52の領域50a~fと比較することによって、血液が溶血しているかどうかの決定を行うことができる。その後、血液検査デバイス14は、レセプタクル12から取り外して廃棄されてもよい。血液サンプルに許容できないレベルの溶血がない場合、血液サンプルを血液ガス分析器のカートリッジに入れるなど、従来の技術を使用して血液サンプルを検査することができる。
【0045】
図7は、本開示に従って構築された代表的な血液検査アセンブリー10aの別の実施形態の斜視分解図である。血液検査アセンブリー10aは、レセプタクル12aおよび血液検査アセンブリー14aを含む。レセプタクル12と12aとの間の同様な要素は、同じ参照番号でラベル付けされる。同様に、血液検査アセンブリー14と14aとの間の同様な要素は、同じ参照番号でラベル付けされる。
【0046】
レセプタクル12aおよび血液検査アセンブリー14aは、レセプタクル12aおよび血液検査アセンブリー14aがこの例では注射器である単一のデバイスに統合されていることを除いて、構造および機能が上記のレセプタクル12および血液検査アセンブリー14と類似している。これに関して、レセプタクル12aは、側壁140、第1のポート142、および第2のポート144(いくつかの実施形態では、上記のポート16と同じであり得る)を有する。示される実施形態では、血液検査デバイス14aの側壁140および天壁25aは、単一構造として一体的に形成される。側壁140および天壁25aは、サンプル、例えば血液がレセプタクル12aからの及び血液検査デバイス14aの内部空間22に流れることを可能にするために、側壁140および天壁25aを通って形成された第1のポート142を含む。側壁140と一体的に形成されることを除いて、天壁25aは、構造および機能において天壁25と同一である。
【0047】
レセプタクル12aからの及び血液検査デバイス14aの内部空間22へのサンプルの流れは、様々な方法で実施することができる。例えば、ポート142は、レセプタクル12aと内部空間22との間に毛管作用を確立するように設計することができる。この実施形態では、サンプルが、バルブを介してポート142(またはベント102)が閉じられた状態でポート144を通して引き出された後に、弁を開いてもよく、血液のサンプルが、毛細管現象によって、ハウジング20の内部空間22内のガスを置換してもよい。この場合、サンプルの体積は、第1の膜90、第2の第2の膜92、および試薬パッド43で満たされていない内部空間22の体積によって制限される。いずれの履行においても、過剰充填はオーバーフロープラグ102によって停止されるべきである。
【0048】
図8は、図7に示される血液検査アセンブリー10aの実施形態の側立面図である。
【0049】
血液検査アセンブリー10aの動作は、血液検査アセンブリー14Aが、レセプタクル12aと血液検査アセンブリー14aとが統合されて単一のデバイスである為に、レセプタクル12のポート16に接続されている必要が有るレセプタクルコネクター30を有していないことを除いて、上記の血液検査アセンブリー10の動作と同一である。さらに、第1のポート142内に配置されているバルブを含む実施形態において、動作は、サンプルが第1のポート142を通過して及び内部空間22へと流れることを可能にするためにバルブを開くことと、いかなるさらなるサンプルが第1のポート142を通ることを防止するためにバルブを閉じることとを含んでもよい。
【0050】
上記の説明から、本明細書に開示される本発明の概念は、本明細書に記載の目的を実行すること、本明細書に記載の利点を達成すること、ならびに本明細書に開示される本発明の概念に固有のものに適合していることが、明らかである。本明細書に開示される本発明の概念の現在好ましい実施形態は、本開示の目的のために記載されているが、当業者にそれら自身を容易に示唆し、本明細書に開示および請求される本発明の概念の範囲内及び適用範囲内で達成される、多くの変更がなされ得ることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】