(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】ワックス化合物を含む液体組成物、その重合方法、使用および材料、または組成物の重合後に得られる組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 33/04 20060101AFI20220428BHJP
C08K 5/101 20060101ALI20220428BHJP
C08L 91/06 20060101ALI20220428BHJP
C08F 265/06 20060101ALI20220428BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
C08L33/04
C08K5/101
C08L91/06
C08F265/06
C08F2/44 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554710
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2020056532
(87)【国際公開番号】W WO2020182899
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール, ピエール
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J026
【Fターム(参考)】
4J002AE03X
4J002BG05W
4J002EH076
4J002GC00
4J002GL00
4J002GN00
4J002HA01
4J011PA56
4J011PA69
4J011PC02
4J026AA45
4J026BA27
4J026BB01
4J026DB02
4J026DB13
4J026DB32
4J026GA07
(57)【要約】
本発明は、モノマー、(メタ)アクリルポリマーおよびワックス化合物を含む液体組成物に関する。本発明は、特にモノマー、(メタ)アクリルポリマーおよびワックス化合物を含む液体組成物に関する。その液体組成物は、シロップ剤として、特に繊維または繊維材料の含浸用のシロップ剤として使用することができる。液体組成物の重合後に得られる熱可塑性材料にも関する。本発明は、このような液体組成物を製造するための方法にも関する。本発明はまた、長繊維または連続繊維の繊維基材に前記液体組成物を含浸させるための方法に関する。本発明はまた、複合部品を製造するために有用である、前記液体組成物を含浸させた繊維基材に関する。本発明はまた、複合材料で作製される機械部品または構造要素を製造するための方法、およびこのような液体組成物を使用する方法によって得られる複合材料で作製される機械部品または構造要素に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体組成物LC1であって、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含み、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有する、液体組成物LC1。
【請求項2】
組成物中のワックス化合物(W)の量が、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して0.1phrと2phrとの間であることを特徴とする、請求項1に記載の液体組成物LC1。
【請求項3】
組成物中のワックス化合物(W)の量が、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して0.55phrと1.3phrとの間であることを特徴とする、請求項1に記載の液体組成物LC1。
【請求項4】
ワックス化合物(W)の密度が、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を合わせた密度よりも低いことを特徴とする、請求項1または2または3に記載の液体組成物LC1。
【請求項5】
ワックス化合物(W)の密度が1.1g/cm
3未満であることを特徴とする、請求項1または2または3に記載の液体組成物LC1。
【請求項6】
ワックス化合物(W)の密度が0.7g/cm
3と1.1/cm
3との間であることを特徴とする、請求項1または2または3に記載の液体組成物LC1。
【請求項7】
ワックス化合物(W)の密度が0.85g/cm
3と0.98g/cm
3との間であることを特徴とする、請求項1または2または3に記載の液体組成物LC1。
【請求項8】
液体組成物が、d)開始剤(Ini)を追加的に含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項9】
組成物中の開始剤(Ini)の量が、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して0.75phrと8phrとの間であり、有利には最大で1phrと5phrとの間であることを特徴とする、請求項7に記載の液体組成物LC1。
【請求項10】
開始剤(Ini)が、ジイソブチリルペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、ジ(3-メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオヘプタノエート、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、ジ-sec-ブチルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ-(2-エチルヘキシル)-ペルオキシジカーボネート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ-n-ブチルペルオキシジカーボネート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、tert-アミルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシピバレート、ジ-(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)-ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-シクロヘキサン、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、tert-アミルペルオキシアセテート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、2,2-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-ブタン、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、tert-アミルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシアセテート、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-アミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-(2-tert-ブチル-ペルオキシイソプロピル)-ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-ヘキサン、tert-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、ジ-tert-ブチルペルオキシド、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾジ-(2-メチルブチロニトリル)、アゾビスイソブチラミド、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾジ(ヘキサヒドロベンゾニトリル)または4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項8または9に記載の液体組成物LC1。
【請求項11】
ワックス化合物(W)が15℃と85℃との間の凝固点を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項12】
ワックス化合物(W)が25℃と60℃との間の凝固点を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項13】
(メタ)アクリルポリマー(P1)が、少なくとも50重量%のメタクリル酸メチル(MMA)を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項14】
(メタ)アクリルモノマーが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項15】
モノマー(M1)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、有利には少なくとも80重量%、さらにより有利には少なくとも90重量%が、メタクリル酸メチルと、任意選択で少なくとも1つの他のモノマーとの混合物であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項16】
液体組成物LC1が、25℃で25mPa・sと1000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項17】
液体組成物LC1が、レオメーターで測定された、25℃で30mPa・sと1000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項18】
液体組成物LC1が、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、重量で0.01tp10phrとの間のモノマー(M2)を含み、前記(メタ)アクリルモノマー(M2)が、少なくとも2つの(メタ)アクリル官能基を含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項19】
(メタ)アクリルモノマー(M2)が、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレートまたはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の液体組成物LC1。
【請求項20】
(メタ)アクリルポリマー(P1)が、50,000g/モルを超える、好ましくは100,000g/モルを超える重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項21】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の1つまたは複数の(メタ)アクリルモノマー(M1)が、1つまたは複数の(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の40重量%と90重量%との間の、好ましくは45重量%と85重量%との間の割合で存在することを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項22】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルモノマー(M1)が、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の60重量%と85重量%との間の割合で存在することを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項23】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルモノマー(M1)が、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の65重量%と85重量%との間の割合で存在することを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項24】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルポリマー(P1)が、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の10重量%と60重量%との間の割合で存在することを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項25】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルポリマー(P1)が、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の15重量%と40重量%との間の割合で存在することを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項26】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルポリマー(P1)が、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の15重量%と35重量%との間の割合で存在することを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の液体組成物LC1。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか一項に記載の液体組成物LC1を調製するための方法であって、以下の工程:
i)(メタ)アクリルポリマー(P1)および(メタ)アクリルモノマー(M1)の混合物を調製する工程と、
ii)前の工程で調製した混合物にワックス化合物(W)を添加する工程と
を含む方法。
【請求項28】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルポリマー(P1)が、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の15重量%と40重量%との間の割合で存在し、液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルモノマー(M1)が、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の60重量%と85重量%との間の割合で存在することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルポリマー(P1)が、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の15重量%と35重量%との間の割合で存在し、液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルモノマー(M1)が、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の65重量%と85重量%との間の割合で存在することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
開始剤(Ini)を液体組成物LC1に添加することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
開始剤(Ini)を、50℃未満、より好ましくは40℃未満、有利には30℃未満、より有利には25℃未満の温度T
addで添加することを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ワックス化合物(W)が25℃と60℃との間の凝固点を有することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
熱可塑性部品を製造するための、または複合部品を製造するための、請求項1から26のいずれか一項に記載の液体組成物LC1、または請求項27から32のいずれか一項に記載の方法によって調製された液体組成物LC1の使用。
【請求項34】
繊維または繊維基材を含浸するための、請求項1から26のいずれか一項に記載の液体組成物LC1、または請求項27から32のいずれか一項に記載の方法によって調製された液体組成物LC1の使用。
【請求項35】
熱可塑性部品を製造するための、または複合部品を製造するための、請求項1から26のいずれか一項に記載の液体組成物LC1の使用。
【請求項36】
熱可塑性部品を製造するための方法であって、以下の工程:
i)(メタ)アクリルポリマー(P1)および(メタ)アクリルモノマー(M1)の液体混合物を調製する工程と、
ii)ワックス化合物(W)を前の工程で調製された混合物に添加する工程と、
iii)i)およびii)で調製された液体(メタ)アクリル組成物を重合手段に入れる工程であって、前記組成物が、請求項1から10のいずれか一項に記載のように、d)開始剤(Ini)を追加的に含み、前記液体(メタ)アクリルシロップ剤が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、工程と、
iv)重合する工程と
を含む方法による、方法。
【請求項37】
熱可塑性複合部品を製造するための方法であって、以下の工程:
i)(メタ)アクリルポリマー(P1)および(メタ)アクリルモノマー(M1)の液体混合物を調製する工程と、
ii)ワックス化合物(W)を前の工程で調製された混合物に添加する工程と、
iii)i)およびii)で調製された液体(メタ)アクリル組成物を重合手段に入れる工程であって、前記組成物が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、
c)ワックス化合物(W)および
d)開始剤(Ini)
を含み、前記液体(メタ)アクリルシロップ剤が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、工程と、
iv)重合する工程と
を含む方法による、方法。
【請求項38】
熱可塑性複合部品を製造するための方法であって、以下の工程:
i)(メタ)アクリルポリマー(P1)および(メタ)アクリルモノマー(M1)およびワックス化合物(W)の混合物を調製する工程と、
ii)開始剤(Ini)を前の工程で調製された混合物に添加する工程と、
iii)i)およびii)で調製された液体(メタ)アクリル組成物を繊維または繊維基材に含浸させる工程であって、前記組成物が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、
c)ワックス化合物(W)および
d)開始剤(Ini)
を含み、前記液体(メタ)アクリルシロップ剤が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、工程と、
iv)重合する工程と
を含む方法による、方法。
【請求項39】
複合部品を製造するための方法であって、以下の工程:
i)(メタ)アクリルポリマー(P1)、(メタ)アクリルモノマー(M1)およびワックス化合物(W)の混合物を調製する工程と、
ii)開始剤(Ini)を前の工程で調製された混合物に添加する工程と、
iii)i)およびii)で調製された液体組成物を繊維または繊維基材に含浸させる工程であって、前記組成物が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、
c)ワックス化合物(W)および
d)2つの開始剤(Ini1)および(Ini2)
を含み、前記液体(メタ)アクリルシロップ剤が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、工程と、
iv)重合する工程と
を含む方法による、方法。
【請求項40】
開放型成形、引抜成形、ハンドレイアップ、フィラメントワインディングによって行われる、請求項36から39 15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
重合工程が40℃と140℃との間の温度で行われることを特徴とする、請求項36から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
後成形の工程をさらに含むことを特徴とする、請求項36から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
溶着または接着または積層の工程をさらに含むことを特徴とする、請求項36から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
熱可塑性(メタ)アクリルマトリックスと強化材として使用される繊維基材とを含むポリマー複合材料であって、繊維基材が少なくとも1000のアスペクト比を有する長繊維からなり、前記複合材料が、熱可塑性(メタ)アクリルマトリックスが液体組成物LC1の重合後に得られることを特徴とし、前記繊維基材が、請求項1から10のいずれか一項に記載の液体組成物LCで予め含浸されている、ポリマー複合材料。
【請求項45】
請求項44に記載の複合材料で作製されるまたは請求項36から43のいずれか一項に記載の方法により得られる機械部品または構造要素。
【請求項46】
前記部品が、自動車部品、ボート部品、列車部品、スポーツ用品、飛行機またはヘリコプター部品、宇宙船またはロケット部品、光起電モジュール部品、建設または建築用材料、例えば複合材の鉄筋、土木工学および高層建築用ダボおよびあばら筋、風力タービン部品、例えば風力タービン羽根の大梁の円材キャップ、家具部品、建設または建築部品、電話または携帯電話部品、コンピューターまたはテレビ部品、プリンターまたは写真式複写機部品である、請求項45に記載の部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー、(メタ)アクリルポリマー、およびワックス化合物を含む液体組成物に関する。
【0002】
本発明は、特にモノマー、(メタ)アクリルポリマーおよびワックス化合物を含む液体組成物に関する。この液体組成物は、シロップ剤として、特に繊維または繊維材料の含浸用のシロップ剤として使用することができる。液体組成物の重合後に得られる熱可塑性材料にも関する。本発明は、このような液体組成物を製造するための方法にも関する。本発明はまた、長繊維または連続繊維の繊維基材に前記液体組成物を含浸させるための方法に関する。本発明はまた、複合部品を製造するために有用である、前記液体組成物を含浸させた繊維基材に関する。
【0003】
本発明はまた、複合材料で作製される機械部品または構造要素を製造するための方法、およびこのような液体組成物を使用する方法によって得られる複合材料で作製される機械部品または構造要素に関する。
【背景技術】
【0004】
熱可塑性ポリマーは、今日、いくつかの分野および用途で広く使用されている材料であり、例えば、建設、航空、自動車、または鉄道の分野における、機械部品の一部である。
【0005】
使用中に高い応力に耐えなければならないこれらの機械部品は、複合材料から広く製造されている。複合材料は、2つ以上の不混和性材料の巨視的な組み合わせである。複合材料は、マトリックス、つまり構造体と強化材料の結合を確実にする連続相を形成する少なくとも1つの材料からなる。
【0006】
複合材料を使用する目的は、別々に使用した場合、その構成要素のそれぞれからは利用することが可能でない性能品質を得ることである。したがって、複合材料は、均質な材料と比較して、特にそれらのより優れた機械的性能(より高い引張強度、より高い引張弾性率、より高い破壊靭性)およびそれらの密度がより低いために、種々の産業分野、例えば、建物、自動車、航空宇宙、輸送、余暇、エレクトロニクスおよびスポーツにおいて広く使用されている。
【0007】
熱成形とリサイクルを可能にするために、熱硬化性ポリマーとは相いれない、熱可塑性ポリマーを複合材料にも使用することが好ましい。
【0008】
熱可塑性ポリマーは、通常は架橋されていない直鎖状または分枝状ポリマーからなる。熱可塑性ポリマーは、複合材料の製造に必要な構成要素を混合するために加熱され、最終的な形態を固定するために冷却される。これらの溶融熱可塑性ポリマーの問題は、例えば繊維基材を均一に含浸するための溶融状態での粘度が非常に高いことである。熱可塑性ポリマーによる繊維の濡れまたは適切な含浸は、熱可塑性樹脂が十分に流動性である場合にのみ達成することができる。熱可塑性ポリマーの粘度を低くするか、十分な流動性を持たせるために、鎖長または分子量を低減する必要がある。しかしながら、分子量が低すぎると、複合材料の性能、および機械部品または構造部品、特に変形係数としての機械的特性に悪影響を及ぼす。
【0009】
熱可塑性ポリマーに基づくポリマー複合材料を調製するために、一般的に「シロップ剤」として知られる熱可塑性ポリマー樹脂を使用して、強化材料、例えば繊維基材を含浸する。一旦重合されると、熱可塑性ポリマーのシロップ剤が複合材料のマトリックスを構成する。
【0010】
熱可塑性ポリマーの重要な方法で粘度を下げる別の方法は、温度を上昇させることである。その結果、連続作業温度は比較的高く、200℃を超え、高いエネルギーコストの影響から、複合材料、および機械部品または構造部品の経済的コストが増加する。さらに熱可塑性ポリマーは、温度が高すぎると劣化する傾向があり、例えば、PA6.6などのポリアミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリフェニレンスルフィド(PPS)などの融点の高い半結晶性熱可塑性ポリマーに特に当てはまる。この熱によって誘発される分解は、複合材料と機械部品または構造部品との結合に重要な繊維基材上のポリマーマトリックスの分子量の減少をもたらす。
【0011】
繊維基材を含浸する別の方法は、熱可塑性ポリマーを有機溶媒に溶解することである。しかしながら、この方法では、エバポレートさせねばならない大量の溶媒が必要である。エネルギーや汚染の観点から、大量の溶媒を使用することには環境的な問題がある。
【0012】
繊維基材を含浸するためのさらに別の方法は、それぞれのモノマーを含浸に使用し、重合して、含浸後に熱可塑性ポリマーを形成することである。しかしながら、この方法では通常、部分的にエバポレートするか、または不快な臭いがする可能性のあるモノマーを使用している。これは特に問題であり、開放型の含浸方法で環境または空気に接触して含浸が行われる。さらに、開放された環境で特定のモノマーを使用する場合の環境的な問題もある。
【0013】
含浸時に、ポリマー複合材を調製する場合、含浸シロップ剤の粘度は、繊維基材の各繊維を適切に含浸するように、流動しすぎないようにまたは粘性が高すぎないように制御および適合されなければならない。濡れが部分的である場合、シロップ剤が流動しすぎるか粘性が高すぎるかに応じて、「裸の」ゾーン、つまり非含浸ゾーンと、気泡の発生の原因となるポリマーの液滴が繊維上に形成されるゾーンとが、それぞれ現われる。これらの「裸の」ゾーンおよびこれらの気泡は、最終的な複合材料に欠陥の出現を引き起こし、これらは、特に、最終的な複合材料の機械的強度の損失の原因となる。さらに、モノマーのエバポレーションは、粘度に対し影響を与える。
【0014】
本発明の1つの目的は、(メタ)アクリルモノマーを含む液体組成物を提案することであり、それは、(メタ)アクリルモノマーのエバポレーションを低減することである。
【0015】
(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーを含む液体組成物またはシロップ剤は、WO2013/056845およびWO2014/013028に記載されている。どちらの文献でも、ワックス化合物は使用されておらず、組成物が開放型の型または屋外で使用されると、(メタ)アクリルモノマーの一部がエバポレートし、組成物における重量比およびさらに粘度が変化する。
【0016】
文献WO2015/110534は、液体(メタ)アクリルシロップ剤を開示する。このシロップ剤は、それらのエバポレーションを防ぐために高沸点で低蒸気圧の特定の(メタ)アクリルモノマーを含む。含浸方法は、これらの特定のモノマーを必要とし、それはより高価である可能性があり、この方法におけるモノマーの選択を減少させる。
【0017】
これらの文献のいずれにおいても、ワックス化合物を液体組成物に組み込むことにより、モノマーのエバポレーションが大幅に減少することは示唆されていない。
【発明の概要】
【0018】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点の少なくとも1つを改善することである。
【0019】
本発明の1つの目的は、(メタ)アクリルモノマーのエバポレーションが低減された(メタ)アクリルモノマーを含む液体組成物を提案することである。エバポレーションを低減することにより、(メタ)アクリルモノマーの20重量%未満、好ましくは10重量%未満、さらにより好ましくは5重量%未満、そして有利には2重量%未満がエバポレートすることが理解される。エバポレーションは23℃で20分間観察される。
【0020】
本発明の目的はまた、(メタ)アクリルモノマーのエバポレーションが低減され、迅速にかつ良好な変換率で重合することが可能な(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルポリマーを含む液体組成物を得ることである。良好な変換率とは、少なくとも95%のモノマーが重合されていることと理解される。
【0021】
本発明の別の目的はまた、(メタ)アクリルモノマーのエバポレーションを低減させながら、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルポリマーを含む液体組成物を、良好な変換率で重合するための方法を得ることである。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、繊維基材を含浸するための(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルポリマーを含み、(メタ)アクリルモノマーのエバポレーションが低減された液体組成物を使用することである。
【0023】
驚くべきことに、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含む液体組成物LC1であって、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有する前記液体組成物LC1が、ワックス化合物(W)を含まない組成物と比較して、(メタ)アクリルモノマー(M1)のエバポレーションが低減された液体組成物をもたらすことが分かった。
【0024】
さらに、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含む液体組成物LC1であって、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有する前記液体組成物LC1
を、前記(メタ)アクリルモノマー(M1)の重合後に熱可塑性複合ポリマー組成物を生成するために使用することができ、前記熱可塑性ポリマー組成物の変換率が、良好であることも分かった。
【0025】
同様に、繊維基材を含浸するための液体組成物LC1または液体(メタ)アクリル組成物LC1であって、前記繊維基材が長繊維または連続繊維からなり、前記組成物が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含むことを特徴とし、前記液体組成物LC1または液体(メタ)アクリルシロップ剤が25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有する、液体組成物LC1または液体(メタ)アクリル組成物LC1が、ワックス化合物(W)を含まない組成物と比較して、(メタ)アクリルモノマー(M1)のエバポレーションが低減された含浸用の液体組成物として使用することができることが分かった。
【0026】
また、驚くべきことに、繊維基材を含浸するための方法であって、以下の工程:
i)繊維基材に、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含むこのような液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤を含浸させる工程を含む方法により、ワックス化合物(W)を含まない組成物と比較して、(メタ)アクリルモノマー(M1)のエバポレーションが低減された、含浸された繊維基材を得ることができることが分かった。
【0027】
また、驚くべきことに、複合部品を製造するための方法であって、以下の工程:
i)繊維基材に
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含む、このような液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤を含浸させる工程と、
ii)重合する工程と
を含む方法により、ワックス化合物(W)を含まない組成物と比較して、(メタ)アクリルモノマー(M1)のエバポレーションが低減された、含浸された繊維基材を得ることができることが分かった。
【発明を実施するための形態】
【0028】
第1の態様によれば、本発明は、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含む液体組成物LC1であって、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有する、液体組成物LC1に関する。
【0029】
第2の態様によれば、本発明は、繊維基材を含浸するための液体組成物LC1であって、前記繊維基材が長繊維からなり、前記液体組成物LC1が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含み、前記液体組成物LC1または液体(メタ)アクリルシロップ剤が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、液体組成物LC1に関する。
【0030】
第3の態様によれば、本発明は、液体組成物LC1を調製するための方法であって、前記液体組成物LC1が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含み、前記液体組成物LC1または液体(メタ)アクリルシロップ剤が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有し、前記液体組成物LC1が、以下の工程:
i)(メタ)アクリルポリマー(P1)と(メタ)アクリルモノマー(Ml)の液体混合物を調製する工程と、
ii)ワックス化合物(W)を前の工程で調製した混合物に添加する工程と
を含む方法により調製されることを特徴とする、方法に関する。
【0031】
第4の態様によれば、本発明は、繊維基材を含浸するための液体組成物LC1の使用であって、前記繊維基材が長繊維からなり、前記液体組成物LC1が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含み、前記液体組成物LC1または液体(メタ)アクリルシロップ剤が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、使用に関する。
【0032】
第5の態様によれば、本発明は、熱可塑性部品を製造するための、または複合部品を製造するための液体組成物LC1の使用であって、前記液体組成物LC1が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、および
c)ワックス化合物(W)
を含み、前記液体組成物LC1または液体(メタ)アクリルシロップ剤が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、使用に関する。
【0033】
第6の態様によれば、本発明は、熱可塑性の複合部品を製造するための方法であって、以下の工程:
i)(メタ)アクリルポリマー(P1)と(メタ)アクリルモノマー(M1)の液体混合物を調製する工程と、
ii)ワックス化合物(W)を前の工程で調製された混合物に添加する工程と、
iii)i)およびii)で調製された液体(メタ)アクリル組成物または液体組成物LC1を重合手段に入れる工程であって、前記組成物が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、
c)ワックス化合物(W)および
d)開始剤(Ini)
を含み、前記液体組成物LC1または液体(メタ)アクリルシロップ剤が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、工程と、
iv)重合する工程と
を含む方法による、方法に関する。
【0034】
第7の態様によれば、本発明は、複合部品を製造するための方法であって、以下の工程:
i)(メタ)アクリルポリマー(P1)と(メタ)アクリルモノマー(M1)とワックス化合物(W)との混合物を調製する工程と、
ii)開始剤(Ini)を前の工程で調製された混合物に添加する工程と、
iii)繊維または繊維基材にi)およびii)で調製された液体(メタ)アクリル組成物または液体組成物LC1を含浸させる工程であって、前記組成物が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、
c)ワックス化合物(W)および
d)開始剤(Ini)
を含み、前記液体(メタ)アクリルシロップ剤または液体組成物LC1が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、工程と、
iv)重合する工程と
を含む方法による、方法に関する。
【0035】
使用される「繊維基材」という用語は、ストリップ、ラップ、ブレード、ロック(lock)、または、はぎれ(piece)の形態のものであってもよいいくつかの繊維、一方向の粗糸、連続フィラメントのマット、布帛、フェルトまたは不織布を指す。
【0036】
使用される「(メタ)アクリル」という用語は、任意のタイプのアクリルモノマーまたはメタクリルモノマーを指す。
【0037】
使用される「PMMA」という用語は、メタクリル酸メチル(MMA)のホモポリマーおよび共重合体を指し、PMMA中のMMAの重量比は、MMA共重合体について少なくとも70重量%である。
【0038】
使用される「モノマー」という用語は、重合を受けることができる分子を指す。
【0039】
使用される「重合」という用語は、モノマーまたはモノマーの混合物をポリマーに変換する方法を指す。
【0040】
使用される「熱可塑性ポリマー」という用語は、加熱されると液体に変化するか、またはより高い流動性もしくは柔軟なより低い粘性になり、熱および圧力の適用によって新しい形態をとることができるポリマーを指す。これは、軟化温度を超えて加熱すると熱成形できるわずかに架橋した熱可塑性ポリマーにも当てはまる。
【0041】
使用される「ポリマー複合材」という用語は、いくつかの異なる相ドメインを含む多成分材料を指し、その中で少なくとも1つのタイプの相ドメインは連続相であり、少なくとも1つの成分はポリマーである。
【0042】
使用される「開始剤」という用語は、1つまたは複数のモノマーの重合を開始する/誘導することができる化合物を指す。
【0043】
略語「phr」は、組成物100部あたりの重量部を意味する。例えば、組成物中の化合物の1phrは、1kgのその化合物が100kgの組成物に添加されることを意味する。
【0044】
略語「ppm」は、組成物100万部あたりの重量部を意味する。例えば、組成物中の1000ppmの化合物は、0.1kgの化合物が100kgの組成物中に存在することを意味する。
【0045】
本発明においてxからyまでの範囲というとき、この範囲の上限および下限が含まれ、少なくともxおよび最大でyと同義である。
【0046】
本発明において範囲がxとyとの間であるというとき、この範囲の上限および下限は含まれないことを意味し、xを超えてy未満と同義である。
【0047】
本発明による液体組成物LC1または液体(メタ)アクリルシロップ剤は、(メタ)アクリルモノマー(M1)または(メタ)アクリルモノマー(M1)と(M1+x)の混合物、(メタ)アクリルポリマー(P1)およびワックス化合物(W)を含む。「液体組成物LC1」または「液体(メタ)アクリルシロップ剤」または「(メタ)アクリルシロップ剤」または「液体(メタ)アクリル組成物」という表現法は、このテキスト全体を通して同義語として使用され、前記組成物またはシロップ剤は、少なくとも3seつの必須化合物a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、b)(メタ)アクリルモノマー(Ml)、およびc)ワックス化合物(W)を含む。
【0048】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤の動的粘度は、10mPa・sとから10000mPa・sまで、好ましくは20mPa・sから7000mPa・sまで、有利には20mPa・sから5000mPa・sまで、より有利には20mPa・sから2000mPa・sまでの範囲、さらにより有利には20mPa・sと1000mPa・sとの間、さらに依然としてより有利には25mPa・sと1000mPa・sとの間、最も有利には、30mPa・sと1000mPa・sとの間である。シロップ剤の粘度は、レオメーターまたは粘度計で簡単に測定することができる。動的粘度は、25℃で測定される。液体(メタ)アクリルシロップ剤がニュートン挙動を示し、剪断減粘性がない場合、動的粘度はレオメーターの剪断または粘度計の可動装置の速度に依存しない。液体組成が非ニュートン挙動、つまり剪断減粘性を示す場合、動的粘度は25℃で1s-1の剪断速度で測定される。
【0049】
本発明による液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤は、繊維基材を含浸するために、特に、(メタ)アクリルモノマー(M1)または、複数の(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルポリマー(P1)およびワックス化合物(W)の混合物を含む。
【0050】
液体組成物LC1中のワックス化合物(W)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、少なくとも0.1phrである。好ましくは、組成物中のワックス化合物(W)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、少なくとも0.15phr、より好ましくは少なくとも0.2phr、さらにより好ましくは少なくとも0.25phr、有利には少なくとも0.3phr、より有利には少なくとも0.4phr、依然としてより有利には少なくとも0.5phr、さらに依然としてより有利には少なくとも0.55phr、最も有利には少なくとも0.59phrである。
【0051】
組成物中のワックス化合物(W)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して最大で2phrである。好ましくは、組成物中のワックス化合物(W)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、最大で1.8phr、より好ましくは最大で1.5phr、さらにより好ましくは最大で1.3phr、有利には最大で1.2phrである。
【0052】
好ましくは、液体組成物LC1の中のワックス化合物(W)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、0.1phrと2phrとの間である。
【0053】
より好ましくは、液体組成物LC1中のワックス化合物(W)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、0.15phrと1.9phrとの間であり、さらにより好ましくは0.2phrと1.8phrとの間であり、依然としてより好ましくは0.25phrと1.7phrとの間であり、有利には0.3phrと1.6phrとの間、より有利には0.4phrと1.5phrとの間であり、さらにより有利には0.45phrと1.4phrとの間であり、依然としてより有利には0.5phrと1.3phrとの間であり、さらに依然としてより有利には0.55phrと1.3phrとの間であり、最も有利には0.59phrと1.3phrとの間である。
【0054】
本発明の液体組成物LC1に関して、この組成物は、(メタ)アクリルモノマー(M1)、(メタ)アクリルポリマー(P1)、およびワックス化合物(W)を含む。一旦重合されると、(メタ)アクリルモノマー(M1)は、(メタ)アクリルモノマー(M1)のモノマー単位を含む(メタ)アクリルポリマー(P2)に変換される。変形例では、一旦重合された(メタ)アクリルモノマーの混合物は、それぞれの(メタ)アクリルモノマーのモノマー単位を含む(メタ)アクリル共重合体に変換される。
【0055】
(メタ)アクリルモノマー(M1)に関して、モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー、ヒドロキシアルキルアクリルモノマーおよびヒドロキシアルキルメタクリルモノマー、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0056】
好ましくは、(メタ)アクリルモノマー(M1)は、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシアルキルアクリルモノマー、ヒドロキシアルキルメタクリルモノマー、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマーおよびこれらの混合物から選択され、アルキル基は、1~22個の線状、分岐状または環状の炭素を含み、アルキル基は、好ましくは、1~12個の線状、分岐状または環状の炭素を含む。
【0057】
有利には、(メタ)アクリルモノマー(M1)は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ヒドロキシエチルおよびメタクリル酸ヒドロキシエチル、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0058】
好ましい実施形態によれば、(メタ)アクリルモノマー(M1)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%がメタクリル酸メチルである。
【0059】
第1のより好ましい実施形態によれば、モノマー(M1)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、有利には少なくとも80重量%、さらにより有利には90重量%は、メタクリル酸メチルと、任意選択で少なくとも1つの他のモノマーとの混合物である。
【0060】
第2のより好ましい実施形態によれば、液体組成物または(メタ)アクリルシロップ剤は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、重量で0.01と10phrとの間のモノマー(M2)を含み、前記(メタ)アクリルモノマー(M2)は、少なくとも2つの(メタ)アクリル官能基を含み、有利には、重量で0.1と5phrとの間の前記(メタ)アクリルモノマー(M2)を含む。
【0061】
(メタ)アクリルモノマー(M2)は、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレートまたはこれらの混合物から選択することができる。
【0062】
(メタ)アクリルポリマー(P1)としては、ポリアルキルメタクリレートまたはポリアルキルアクリレートを挙げることができる。好ましい実施形態によれば、(メタ)アクリルポリマーは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)である。
【0063】
「PMMA」という用語は、メタクリル酸メチル(MMA)ホモポリマーまたは共重合体、またはこれらの混合物を意味する。
【0064】
一実施形態によれば、メタクリル酸メチル(MMA)ホモポリマーまたは共重合体は、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、有利には少なくとも90重量%、より有利には少なくとも95重量%のメタクリル酸メチルを含む。
【0065】
別の実施形態によれば、PMMAは、少なくとも1つのホモポリマーと少なくとも1つのMMAの共重合体の混合物、または少なくとも2つのホモポリマーまたは異なる平均分子量を有するMMAの2つの共重合体の混合物、または異なるモノマー組成物を備えたMMAの少なくとも2つの共重合体の混合物である。
【0066】
メタクリル酸メチル(MMA)の共重合体は、70重量%~99.9重量%のメタクリル酸メチルと、0.1重量%~30重量%の、メタクリル酸メチルと共重合することができる少なくとも1つのエチレン性不飽和を含む少なくとも1つのモノマーと、を含む。
【0067】
これらのモノマーは周知であり、特にアクリル酸、メタクリル酸、およびアルキル基が1から12個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。例として、アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルまたは(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを挙げることができる。好ましくは、コモノマーは、アルキル基が1~4個の炭素原子を含むアルキルアクリレートである。
【0068】
第1の好ましい実施形態によれば、メタクリル酸メチル(MMA)の共重合体は、80重量%から99.9重量%まで、有利には90重量%から99.9重量%まで、より有利には90重量%から99.9重量%までのメタクリル酸メチルと、0.1重量%から20重量%まで、有利には0.1重量%から10重量%まで、より有利には0.1重量%から10重量%までのメタクリル酸メチルと共重合することができる少なくとも1つのエチレン性不飽和を含む少なくとも1つのモノマーとを含む。好ましくは、コモノマーは、アクリル酸メチルおよびアクリル酸エチル、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0069】
(メタ)アクリルポリマー(P1)の重量平均分子量は高いことが望ましく、このことは、50,000g/molを超えること、好ましくは100,000g/molを超えることを意味する。
【0070】
重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定することができる。
【0071】
(メタ)アクリルポリマーは、(メタ)アクリルモノマーまたは(メタ)アクリルモノマーの混合物に完全に溶解する。これにより、(メタ)アクリルモノマーまたは(メタ)アクリルモノマーの混合物の粘度を上げることができる。得られた溶液は、一般に「シロップ剤」または「プレポリマー」と呼ばれる。液体(メタ)アクリルシロップ剤の動的粘度値は、10mPa・sと10,000mPa・sとの間である。シロップ剤の粘度は、レオメーターまたは粘度計で簡単に測定することができる。動的粘度は25℃で測定される。
【0072】
有利なことに、液体(メタ)アクリルシロップ剤は、任意に追加された余分な溶媒を含んでいない。
【0073】
本発明の液体組成物LC1に関して、この組成物は、低融点ワックスであるワックス化合物(W)を含む。
【0074】
ワックス化合物(W)は、混合物が以下に与えられる融点を有する限り、単一であるか、またはワックス化合物の混合物であってもよい。
【0075】
ワックス化合物(W1)の融点は、凝固点として表現される。融点は、ASTM D938に従って凝固点として評価または測定される。好ましくは、ワックス化合物(W)の凝固点は、85℃未満である。より好ましくは、ワックス化合物(W1)の融点は、80℃未満であり、依然としてより好ましくは75℃未満であり、さらに依然としてより好ましくは70℃未満であり、有利には65℃未満、より有利には60℃未満である。
【0076】
より好ましくは、ワックス化合物(W)の凝固点は15℃を超える。依然としてより好ましくは、ワックス化合物(W)の凝固点は、20℃を超え、さらに依然としてより好ましくは21℃を超え、さらに依然としてより好ましくは22℃を超え、有利には24℃を超え、より有利には25℃を超える。
【0077】
より好ましくは、ワックス化合物(W)の凝固点は、15℃と85℃との間である。依然としてより好ましくは、ワックスの凝固点は、20℃と80℃との間であり、さらに依然としてより好ましくは21℃と75℃との間であり、さらに依然としてより好ましくは22℃と70℃との間であり、有利には24℃と65℃との間であり、より有利には25℃と60℃との間である。
【0078】
ワックス化合物(W)の密度は、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を合わせた密度よりも低い。(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を合わせた密度とは、(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)からなる組成物を意味する。成分のうちの1つ自体は、単独ではワックス化合物(W)の密度よりも低い密度を有する可能性があるが、両方の成分の組成物は、一緒になって、ワックス化合物(W)の密度を超える密度を有する。
【0079】
より好ましくは、ワックス化合物(W)は、1.1g/cm3未満の密度を有する。より好ましくは、ワックス化合物(W)の密度は、1.05g/cm3未満であり、依然としてより好ましくは1.02g/cm3未満であり、さらに依然としてより好ましくは1.0g/cm3未満であり、有利には0.99g/cm3未満であり、より有利には0.98g/cm3未満である。
【0080】
より好ましくは、ワックス化合物(W)は、0.7g/cm3を超える密度を有する。依然としてより好ましくは、ワックス化合物の密度(W)は、0.72g/cm3を超え、さらに依然としてより好ましくは0.75g/cm3を超え、さらに依然としてより好ましくは0.78g/cm3を超え、有利には0.8g/cm3を超え、より有利には0.85g/cm3を超える。
【0081】
より好ましくは、ワックス化合物(W)の密度は、0.7g/cm3と1.1g/cm3との間である。依然としてより好ましくは、ワックス化合物(W)の密度は、0.72g/cm3と1.05g/cm3との間であり、さらに依然としてより好ましくは、0.75g/cm3と1.02g/cm3との間であり、さらに依然としてより好ましくは、0.78g/cm3と1.0g/cm3との間であり、有利には0.8g/cm3と0.99g/cm3との間であり、より有利には0.85g/cm3と0.98g/cm3との間である。
【0082】
ワックス化合物(W)に関しては、この化合物は、天然ワックスもしくは合成ワックス、または両方のブレンドの混合物で作製することができる。
【0083】
ワックス化合物(W1)は、前に定義した必要な凝固点と密度を有している限り、天然ワックスもしくは合成ワックス、または両方のブレンドの混合物で作製することができる。
【0084】
有用な天然ワックスとしては、植物蝋、動物蝋、およびこれらの混合物を挙げることができ、石油蝋のような鉱蝋または亜炭蝋、ピート蝋またはモンタン蝋であってもよい。
【0085】
有用な合成ワックスとしては、脂肪酸アミドおよびこれらの混合物のような合成ワックスを、特に挙げることができ、ポリオレフィンワックスまたはフィッシャートロプシュワックスのような完全合成ワックス、または極性合成ワックスであってもよい。
【0086】
ワックス化合物(W)は混合物である可能性があるため、融点は単一のピークまたはポイントではなく、範囲である可能性もある。ただし、融解範囲は、示された温度の下、上、または中にある。
【0087】
必要に応じて、液体組成物は、d)開始剤(Ini)を追加的に含む。
【0088】
組成物中の開始剤(Ini)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、少なくとも0.1phrである。好ましくは、組成物中の開始剤(Ini)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、少なくとも0.2phrであり、より好ましくは少なくとも0.5phrであり、さらにより好ましくは少なくとも0.75phrであり、有利には少なくとも1phrである。
【0089】
組成物中の開始剤(Ini)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、最大で15phrである。好ましくは、組成物中の開始剤(Ini)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、最大で12phrであり、より好ましくは最大で10phrであり、さらにより好ましくは最大で8phrであり、有利には最大で5phrである。
【0090】
組成物中の開始剤(Ini)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、0.1phrと15phrとの間である。好ましくは、組成物中の開始剤(Ini)の量は、(メタ)アクリルモノマー(M1)と(メタ)アクリルポリマー(P1)の合計に対して、0.2phrと12phrとの間であり、より好ましくは0.5phrと10phrとの間であり、さらにより好ましくは0.75phrと8phrとの間であり、有利には最大で1phrと5phrとの間である。
【0091】
開始剤(Ini)に関して、開始剤は、生長反応によってポリマー鎖を形成するために、1つまたは複数のモノマーを誘導してモノマーのラジカル重合を開始するラジカルを生成する。
【0092】
好ましくは、開始剤(Ini)は熱によって活性化される。
【0093】
熱活性化開始剤(Ini)は、好ましくはラジカル開始剤である。
【0094】
ラジカル開始剤(Ini)は、ペルオキシ基含有化合物またはアゾ基含有化合物から、好ましくはペルオキシ基含有化合物またはこれらの混合物から選択することができる。
【0095】
好ましくは、ペルオキシ基含有化合物は、2~30個の炭素原子を含む。
【0096】
好ましくは、ペルオキシ基含有化合物は、ジアシルペルオキシド類、ペルオキシエステル類、ペルオキシジカーボネート類、ジアルキルペルオキシド類、ペルオキシアセタール類、ヒドロペルオキシド類またはペルオキシケタール類から選択される。
【0097】
より好ましくは、開始剤(Ini)は、ジイソブチリルペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、ジ(3-メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオヘプタノエート、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、ジ-sec-ブチルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ-(2-エチルヘキシル)-ペルオキシジカーボネート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ-n-ブチルペルオキシジカーボネート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、tert-アミルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシピバレート、ジ-(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)-ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-シクロヘキサン、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、tert-アミルペルオキシアセテート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、2,2-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-ブタン、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、tert-アミルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシアセテート、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-アミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-(2-tert-ブチル-ペルオキシイソプロピル)-ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-ヘキサン、tert-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、ジ-tert-ブチルペルオキシド、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾジ-(2-メチルブチロニトリル)、アゾビスイソブチラミド、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾジ(ヘキサヒドロベンゾニトリル)または4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)およびこれらの混合物から選択される。
【0098】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤の動的粘度を維持するために、さらには必要に応じて繊維基材の良好な含浸を可能にするように、さらにシロップ剤を予め含浸させた繊維基材の重合後に得られるマトリックスの熱可塑性特性を維持するために、シロップ剤の化合物を、以下の質量パーセントで組み込ませる。
【0099】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルモノマー(M1)または1つもしくは複数の(メタ)アクリルモノマー(M1)は、(メタ)アクリルモノマー(M1)または1もしくは複数の(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の40重量%と90重量%との間の、好ましくは45重量%と85重量%との間の、より好ましくは50重量%と85重量%との間の、依然としてより好ましくは60重量%と85重量%との間の、有利には65重量%と85重量%との間の割合で存在する。
【0100】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルポリマー(P1)または1つもしくは複数の(メタ)アクリルポリマー(P1)は、1つもしくは複数の(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、有利には少なくとも10重量%の割合で存在する。
【0101】
液体組成物LC1または液体(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルポリマー(P1)または1つもしくは複数の(メタ)アクリルポリマー(P1)は、(メタ)アクリルモノマー(M1)または1つもしくは複数の(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の50重量%以下、好ましくは40重量%以下、依然としてより好ましくは35重量%以下、有利には30重量%以下の割合で存在する。
【0102】
好ましくは、液体組成物LC1または液体(メタ)アクリルシロップ剤中の(メタ)アクリルポリマー(P1)または1つもしくは複数の(メタ)アクリルポリマー(P1)は、(メタ)アクリルモノマー(M1)または1つもしくは複数の(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の10重量%と60重量%との間の、好ましくは15重量%と55重量%との間の、より好ましくは15重量%と50重量%との間の、依然としてより好ましくは15重量%と40重量%との間の、有利には15重量%と35重量%との間の割合で存在する。
【0103】
(メタ)アクリルモノマー(M1)または1つもしくは複数の(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物は、本発明のそれぞれの方法で調製した(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む液体混合物である。(メタ)アクリルモノマー(M1)または1つもしくは複数の(メタ)アクリルモノマー(M1)および(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物において、2つの化合物は、合計で100重量%となり、これは100重量部と見なすことができ、ワックス化合物(W)およびその他の添加剤の量はこれに基づいて計算される。
【0104】
すべての任意選択の添加剤および充填剤を、含浸および/または重合の前に液体(メタ)アクリルシロップ剤に添加する。
【0105】
液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤を製造するための方法に関して、第1の工程は、(メタ)アクリルモノマー(M1)または複数の(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマー(P1)との混合物を含む第1のシロップ剤を調製することで構成される。
【0106】
ワックス化合物(W)を、第1の工程で調製された組成物に添加する。
【0107】
25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を維持するために、必要ならば、開始剤(Ini)を上記の割合でシロップ剤に添加する。
【0108】
好ましくは、開始剤(Ini)を、50℃未満、より好ましくは40℃未満、有利には30℃未満、より有利には25℃未満の温度Taddで添加する。
【0109】
前の段落で詳述した本発明による液体組成物は、繊維または繊維基材を含浸するために、または熱可塑性部品を製造するために、または複合部品を製造するために使用することができる。
【0110】
繊維または繊維基材を含浸するための方法に関して、その方法は、繊維基材に液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤を含浸させる工程を含む。
【0111】
この含浸工程は、型または槽の中で行うことができる。
【0112】
所与の温度での液体(メタ)アクリルシロップ剤の粘度が含浸方法に対してやや高すぎる場合、繊維基材の十分な濡れおよび適切かつ完全な含浸のために、より液状のシロップ剤を有するようにシロップ剤を加熱することが可能である。
【0113】
繊維基材として、ストリップ、ラップ、ブレード、ロック(lock)、または、はぎれ(piece)の形態のものであってもよいいくつかの繊維、一方向の粗糸、または連続フィラメントのマット、布帛、フェルトまたは不織布を挙げることができる。繊維材料は、一次元、二次元、または三次元のいずれかの様々な形態および寸法を有してもよい。繊維基材は、1つまたは複数の繊維の集合体を含む。繊維が連続している場合、これらの集合体は布帛を形成する。
【0114】
一次元の形態は線状の長繊維に対応する。繊維は不連続または連続であってもよい。繊維は、連続フィラメントの形態でランダムにまたは互いに平行に配置することができる。繊維は、繊維の長さと直径の比率であるアスペクト比によって定義される。本発明の中で使用される繊維は、長繊維または連続繊維である。繊維は、少なくとも1000、好ましくは少なくとも1500、より好ましくは少なくとも2000、有利には少なくとも3000、より有利には少なくとも5000、さらにより有利には少なくとも6000、より有利にはさらに少なくとも7500、最も有利には少なくとも10,000のアスペクト比を有する。
【0115】
二次元の形態は、不織のもしくは織られた、繊維マットまたは強化材または繊維の束に対応し、これらはまた、編むことができる。二次元の形態が一定の厚さを有し、その結果、原理上は三次元であっても、本発明によれば、これは二次元と見なされる。
【0116】
三次元の形態は、例えば、不織布の繊維マットまたは強化材、または積層もしくは折り畳んだ繊維の束、またはこれらの混合物、三次元における二次元の形態の集合体に対応する。
【0117】
繊維材料の出所は、天然または合成であってもよい。天然素材として、植物繊維、木質繊維、動物繊維、または鉱物繊維を挙げることができる。
【0118】
天然繊維は、例えば、サイザル、ジュート、麻、亜麻、綿、ココナッツ繊維およびバナナ繊維である。動物繊維は、例えば、羊毛または毛である。
【0119】
合成材料として、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、またはこれらの混合物の繊維から選択されるポリマー繊維を挙げることができる。
【0120】
ポリマー繊維は、ポリアミド(脂肪族または芳香族)、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、およびビニルエステルからなってもよい。
【0121】
鉱物繊維はまた、特にE、RまたはS2タイプのガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維またはシリカ繊維から選択することができる。
【0122】
本発明の繊維基材は、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、合成ポリマー繊維、ガラス繊維および炭素繊維、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0123】
好ましくは、繊維基材は、鉱物繊維から選択される。
【0124】
繊維基材の繊維の直径は、0.005μmと100μmとの間であり、好ましくは1μmと50μmとの間であり、より好ましくは5μmと30μmとの間であり、有利には10μmと25μmとの間である。
【0125】
好ましくは、本発明の繊維基材の繊維は、一次元の形態については連続繊維(アスペクト比は必ずしも長繊維の場合には適用されないことを意味する)、または繊維基材の二次元もしくは三次元の形態については長繊維もしくは連続繊維から選択される。
【0126】
別の追加の態様によれば、本発明は、熱可塑性(メタ)アクリルマトリックスおよび強化材として使用される繊維基材を含むポリマー複合材料であって、繊維基材が長繊維からなり、前記複合材料が、熱可塑性(メタ)アクリルマトリックスが本発明による前記液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤を予め含浸させた前記繊維基材の重合後に得られることを特徴とする、ポリマー複合材料に関する。
【0127】
本発明の別の態様は、機械部品または構造部品または製品を製造するための方法であって、以下の工程:
i)繊維基材に本発明による液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤を含浸させる工程と、
ii)前記繊維基材に含浸させた液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤を重合する工程と
を含む、方法である。
【0128】
本発明のすべての実施形態または態様における重合工程中の機械部品または構造部品または製品の製造方法中に、繊維基材に含浸させた液体組成物LC1または(メタ)アクリルシロップ剤の重合が、40℃と140℃との間の温度で起こる。
【0129】
別の追加の態様によれば、本発明は、熱可塑性部品の製造または複合部品の製造のための液体組成物LC1の使用に関する。
【0130】
別の追加の態様によれば、本発明は、熱可塑性部品を製造するため、または複合部品を製造するために、本発明の方法によって調製された液体組成物LC1の使用に関する。
【0131】
別の追加の態様によれば、本発明は、熱可塑性部品を製造するための方法であって、以下の工程:
i)(メタ)アクリルポリマー(P1)および(メタ)アクリルモノマー(M1)の液体混合物を調製する工程と、
ii)ワックス化合物(W)を前の工程で調製された混合物に添加する工程と、
iii)i)およびii)で調製された液体(メタ)アクリル組成物または液体組成物LC1を重合手段に入れる工程であって、前記組成物が、請求項1から10のいずれか一項に記載のように、d)開始剤(Ini)を追加的に含み、前記液体(メタ)アクリルシロップ剤または液体組成物LC1が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、工程と、
iv)重合する工程と
を含む方法による、方法に関する。
【0132】
別の追加の態様によれば、本発明は、複合部品を製造するための方法であって、以下の工程:
i)(メタ)アクリルポリマー(P1)、(メタ)アクリルモノマー(M1)およびワックス化合物(W)の混合物を調製する工程と、
ii)前の工程で調製した混合物に開始剤(Ini)を添加する工程と、
iii)i)およびii)で調製された液体組成物または液体組成物LC1を繊維または繊維基材に含浸させる工程であって、前記組成物が、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)(メタ)アクリルモノマー(M1)、
c)ワックス化合物(W)および
d)2つの開始剤(Ini1)および(Ini2)
を含み、前記液体(メタ)アクリルシロップ剤または液体組成物LC1が、25℃で10mPa・sと10,000mPa・sとの間の動的粘度を有することを特徴とする、工程と、
iv)重合する工程と
を含む方法による、方法に関する。
【0133】
熱可塑性複合部品を製造するための方法に関して、6つの態様によれば、本方法は、好ましくは、前記液体組成物LC1を重合手段に入れる前に、開始剤(Ini)を液体組成物LC1に添加する工程を含む。
【0134】
熱可塑性複合部品または複合部品だけでなく、機械部品または構造部品または製品を製造するための方法に関して、これらの部品を準備するために様々な方法を使用することができる。開放型成形、引抜成形、ハンドレイアップ、およびフィラメントワインディングを挙げることができる。
【0135】
複合部品を製造するための第1の好ましい製造方法は、液体組成物LC1を、開放型の型内での繊維基材の含浸によって繊維基材に移動させる方法である。
【0136】
複合部品を製造するための第2の好ましい製造方法は、液体組成物を引抜成形方法で使用する方法である。繊維を、本発明による組成物を含む樹脂バッチを通して導く。繊維基材としての繊維は、例えば、一方向の粗糸、または連続フィラメントのマットの形態である。樹脂槽内で含浸させた後、濡れた繊維を加熱した型から引き出し、そこで重合が起こる。
【0137】
第3の好ましい製造方法は、ハンドレイアップである。
【0138】
第4の好ましい製造方法は、フィラメントワインディングである。
【0139】
複合部品だけでなく、機械部品または構造部品または製品を製造するための方法は、さらに後成形の工程を含むことができる。後成形には、複合部品の形態を変更する際の曲げが含まれる。好ましくは、後成形は、重合工程の後に起こる。
【0140】
複合部品だけでなく、機械部品または構造部品または製品を製造するための方法は、さらに溶着または接着または積層の工程を含むことができる。好ましくは、溶着または接着または積層は、重合工程の後に起こる。
【0141】
本発明による方法から得られた熱可塑性複合部品は、本発明の液体組成物LC1の重合後に後成形することができる。成形には、複合部品の形態を変更する際の曲げが含まれる。
【0142】
本発明の液体組成物の重合後に、および/または本発明による方法から得られる熱可塑性部品または製造される複合部品は、溶着、接着、または積層することができる。
【0143】
別の追加の態様によれば、本発明は、熱可塑性(メタ)アクリルマトリックスおよび強化材として使用される繊維基材を含むポリマー複合材料であって、繊維基材が長繊維からなり、前記複合材料が、熱可塑性(メタ)アクリルマトリックスが液体組成物LC1の重合後に得られ、前記繊維基材が液体組成物LC1で予め含浸されていることを特徴とする、ポリマー複合材料に関する。
【0144】
さらに別の追加の態様によれば、本発明は、前記ポリマー複合材料で作製される機械部品または構造要素に関する。
【0145】
さらに別の追加の態様によれば、本発明は、本発明の任意の製造方法によって作製される機械部品または構造要素に関する。
【0146】
このように製造される複合材料で作製される機械部品の使用に関しては、自動車用途、バスまたは大型トラックなどの輸送用途、航海用途、鉄道用途、スポーツ、航空および航空宇宙用途、光起電用途、コンピューター関連用途、建設および建築用途、電気通信用途、風力エネルギー用途を、挙げることができる。
【0147】
複合材料で作製される機械部品は、特に自動車部品、ボート部品、バス部品、列車部品、スポーツ用品、飛行機またはヘリコプター部品、宇宙船またはロケット部品、光起電モジュール部品、建設または建築用材料、例えば複合材の鉄筋、土木工学および高層建築用ダボ(dowel)およびあばら筋(stirrup)、風力タービン部品、例えば風力タービン羽根の大梁(girder)の円材(spar)キャップ、家具部品、建設または建築部品、電話または携帯電話部品、コンピューターまたはテレビ部品、またはプリンターまたは写真式複写機部品である。
【0148】
方法
化合物の密度(単位(unity)g/cm3)は、概算される化合物の質量と体積を測定し、その質量を体積で割ることによって簡単に計算される。好ましくは、密度は比重びんで測定され、依然としてより好ましくは、25℃で測定される。
【0149】
凝固点は、ASTM D938に準拠して測定される。
【実施例】
【0150】
液体組成物は、(P1)として25重量%のPMMA(BS520、コモノマーとしてアクリル酸エチルを含むMMAの共重合体)を、(M1)として75重量%のメタクリル酸メチルに溶解することで調製し、これをHQME(ヒドロキノンモノメチルエーテル)で安定化させる。ワックス化合物(W)として、PARAMELT BV社のFeruwax 13015を使用する。このワックスは、52℃~54℃のASTM D938に準拠した凝固点を有する。表1に示すように、本発明によるいくつかの液体組成物LC1を調製するために、このワックス化合物を液体組成物中に0.3phrから1phrまでの異なる比率で分散させる。組成物の動的粘度は、25℃で500mPa・sである。
【0151】
それぞれの組成物を、増量前の布帛に既知の量で塗布し、23℃で空気に曝露する。2つを合わせた重量を2分ごとに測定する。
【0152】
メタクリル酸メチル(MMA)の重量減少を、23℃で重量分析により追跡する。
【0153】
表2は、ワックス化合物が存在する実施例について、エバポレートされたMMAが、時間と共に減少したことを示している。0.3phrのワックス化合物を使用するとエバポレーションが大幅に減少し、0.5phr以上のワックス化合物を使用するとエバポレーションが非常に少なくなり、0.7phrと1phrのワックス化合物を使用するとほとんどエバポレーションがない。
【国際調査報告】