(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】デュアルハブイントロデューサシース
(51)【国際特許分類】
A61M 39/02 20060101AFI20220428BHJP
A61M 60/113 20210101ALI20220428BHJP
A61M 60/139 20210101ALI20220428BHJP
A61M 60/174 20210101ALI20220428BHJP
A61M 60/295 20210101ALI20220428BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20220428BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20220428BHJP
A61M 60/38 20210101ALI20220428BHJP
A61M 60/32 20210101ALI20220428BHJP
A61M 60/13 20210101ALI20220428BHJP
A61M 60/857 20210101ALI20220428BHJP
A61M 60/865 20210101ALI20220428BHJP
A61M 60/851 20210101ALI20220428BHJP
A61F 2/82 20130101ALI20220428BHJP
【FI】
A61M39/02 112
A61M60/113
A61M60/139
A61M60/174
A61M60/295
A61M39/02 114
A61M25/06 554
A61M25/06 550
A61M60/237
A61M60/38
A61M60/32
A61M60/13
A61M60/857
A61M60/865
A61M60/851
A61F2/82
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554716
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 US2020022021
(87)【国際公開番号】W WO2020185855
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ファントゥッチ グレン アール.
【テーマコード(参考)】
4C066
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
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4C066GG19
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4C066LL13
4C077AA03
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4C077PP07
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4C267AA05
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4C267AA41
4C267BB04
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4C267GG02
4C267GG04
4C267GG05
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG36
(57)【要約】
第一および第二医療デバイスを患者に経皮的に送達するためのイントロデューサシステムを提供する。同システムは、縦軸と、内部に形成された管腔とを有する、イントロデューサシースを具備してもよい。同システムはまた、シースの近位端に連結されたハブも具備してもよい。ハブは、第一医療デバイスが通過するための第一管腔と第一止血弁とを有する第一アームを具備してもよい。ハブはまた、第一アームに連結され、かつ、第二医療デバイスが通過するための第二管腔と第二止血弁とを有する、第二アームも具備してもよい。さらに、ハブは、患者への送達のために第一および第二医療デバイスのうちの少なくとも1つがイントロデューサシースを通って通過するため、第一管腔および第二管腔がイントロデューサシースの管腔と連絡するよう、接続ポートを具備してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸と、内部に形成された管腔とを有する、イントロデューサシース;ならびに
該イントロデューサシースの近位端に連結されたハブであって、
第一管腔と第一止血弁とを有する第一アームであって、該第一管腔と該第一止血弁とが、第一医療デバイスが通過できるように構成されている、第一アームと;
該第一アームに連結されかつ第二管腔と第二止血弁とを有する第二アームであって、該第二管腔と該第二止血弁とが、第二医療デバイスが通過できるように構成されている、第二アームと;
患者への送達のために該第一医療デバイスおよび該第二医療デバイスのうちの少なくとも1つが該イントロデューサシースを通って通過することを可能にするため、該第一管腔および該第二管腔が該イントロデューサシースの管腔と連絡するよう、該イントロデューサシースに連結されかつ該第一アームおよび該第二アームに連結された、接続ポートと
を具備する、該ハブ
を具備する、イントロデューサシステム。
【請求項2】
第一アームがイントロデューサシースの縦軸に平行に配置される、請求項1記載のイントロデューサシステム。
【請求項3】
第二アームが、90°以下の角度で第一アームから分岐するよう構成される、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項4】
第一アームおよび第二アームがイントロデューサシースに対してY字形構成に配置される、請求項1または3のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項5】
第二アームが接続ポートより近位側に位置する、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項6】
第一アームおよび第二アームがそれぞれ近位端と遠位端とを有し、かつ、該第一アームの該遠位端が該第二アームの該近位端より遠位側にポジショニングされる、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項7】
第二管腔がハブ内で第一管腔と結合する、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項8】
イントロデューサシースが、第一および第二医療デバイスが通過するための単一の管腔を具備する、請求項7記載のイントロデューサシステム。
【請求項9】
第一管腔と第二管腔とがハブ内で別個の管腔として維持される、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項10】
第一管腔がデュアル管腔シースの管腔の1つと連絡し、かつ第二管腔が該デュアル管腔シースの他方の管腔と連絡するよう、イントロデューサシースがデュアル管腔シースを含む、前記請求項記載のイントロデューサシステム。
【請求項11】
イントロデューサシースが伸展可能シースである、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項12】
イントロデューサシースがピールアウェイシースである、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項13】
ハブが、該ハブおよびピールアウェイシースの分離を可能にするためのタブをさらに具備する、請求項12記載のイントロデューサシステム。
【請求項14】
第一および第二止血弁が、それぞれ第一および第二管腔を密封するよう構成される、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項15】
第一および第二止血弁が各々、第一または第二医療デバイスによって貫通可能であるよう構成される、請求項14記載のイントロデューサシステム。
【請求項16】
ハブが、少なくとも1つの縫合リングをさらに具備する、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項17】
第一アームおよび第二アームがそれぞれ、少なくとも1つのサイドポートを具備する、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項18】
サイドポートが、灌注用流体が供給されるよう構成された灌注用ポートを含む、請求項17記載のイントロデューサシステム。
【請求項19】
患者への送達後に第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐよう構成されたロック機構を、第一アームおよび第二アームのうちの少なくとも1つが具備する、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項20】
ロック機構が、Tuohy-Borstアダプタ、膨張可能バルーン、およびロック用レバーアームのうちの少なくとも1つを含む、請求項19記載のイントロデューサシステム。
【請求項21】
ロック機構が、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐよう構成された状態にバイアスされている、請求項19~20のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項22】
イントロデューサシースが、ポリエーテルブロックアミド;ポリエチレン材料;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料;高密度ポリエチレン(HDPE)材料;中密度ポリエチレン(MDPE)材料;または低密度ポリエチレン(LDPE)材料のうちの少なくとも1つを含む、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項23】
ハブが、エチレン酢酸ビニル(EVA);スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC);スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS);高密度ポリエチレン(HDPE)材料;中密度ポリエチレン(MDPE)材料;低密度ポリエチレン(LDPE)材料;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルブロックアミド;エラストマー;合成ゴム;または、弾性率約40 ksiのポリエチレン材料、ポリウレタン材料、もしくはポリカーボネート材料のうちの少なくとも1つを含む、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項24】
第一医療デバイスが機械的循環補助(mechanical circulatory support)デバイスであり、かつ第二医療デバイスが患者に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を提供するための冠再灌流療法デバイスである、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項25】
冠再灌流療法デバイスがステントである、請求項24記載のイントロデューサシステム。
【請求項26】
ステントが、カテーテルによって第二アームとイントロデューサシースとを通って挿入されるよう構成される、請求項25記載のイントロデューサシステム。
【請求項27】
機械的循環補助デバイスが、血液ポンプ;経弁軸流(transvalvular axial-flow)(TV)ポンプ;大動脈内バルーンポンプ;または体外膜型酸素供給(ECMO)ポンプのうちの少なくとも1つを含む、請求項24~26のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項28】
機械的循環補助デバイスが、カニューレと、ローターと、ローターハウジングとを有する回転式血液ポンプである、請求項24~26のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項29】
第一アームおよびイントロデューサシースが、回転式血液ポンプのカニューレの通過を可能にするよう構成される、請求項28記載のイントロデューサシステム。
【請求項30】
第一アームおよびイントロデューサシースが、回転式血液ポンプのローターおよびローターハウジングの通過を可能にするよう構成される、請求項29記載のイントロデューサシステム。
【請求項31】
ハブが最大5つまでの第二アームを具備し、各第二アームが、それぞれの第二アームからイントロデューサシース内まで第二医療デバイスが通過できるよう該イントロデューサシースと連絡した止血弁と管腔とを伴って構成される、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項32】
第二アームが、第一アームの周りで放射対称な様式に配置される、請求項31記載のイントロデューサシステム。
【請求項33】
ハブが、2つの第二アームを具備する、請求項31~32のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項34】
第三医療デバイスが通過できるよう構成された第三管腔と第三止血弁とを各第三アームが有する、第一アームに連結された少なくとも1つの第三アーム
をさらに具備する、前記請求項のいずれか一項記載のイントロデューサシステム。
【請求項35】
イントロデューサハブの第一アームであって第一医療デバイスが通過するための第一管腔を有する第一アーム内に、該第一医療デバイスを挿入する段階;
該第一アームに取り付けられた第二アームであって第二医療デバイスが通過するための第二管腔を有する第二アーム内に、該第二医療デバイスを挿入する段階;
イントロデューサハブのコネクタポートであって、イントロデューサシースの近位端に連結された、該コネクタポートを介して、該第一医療デバイスおよび該第二医療デバイスを該イントロデューサシースに提供する段階;ならびに
該第一医療デバイスおよび該第二医療デバイスを該イントロデューサシースの遠位端から患者に送達する段階
を含む方法。
【請求項36】
患者への送達のため、イントロデューサシース内に形成された管腔内に第一および第二医療デバイスを挿入する段階
を含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
患者への送達のため、イントロデューサシース内に形成された第一管腔内に第一医療デバイスを挿入し、かつ、該患者への送達のため、該イントロデューサシース内に形成された第二管腔内に第二医療デバイスを挿入する段階であって、該第一管腔が該第二管腔から隔離されている、該段階
を含む、請求項35記載の方法。
【請求項38】
縫合リングを介してイントロデューサハブを患者に取り付ける段階を含む、請求項35~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
第一および第二アームの各々の上にポジショニングされたサイドポートを介して第一管腔および第二管腔のうちの1つまたは両方に灌注用流体を提供する段階を含む、請求項35~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐためロック機構を稼働させる段階を含む、請求項35~39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
ロック機構が、Tuohy-Borstアダプタ、膨張可能バルーン、およびロック用レバーアームのうちの少なくとも1つを含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
ロック機構が、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐ状態にバイアスされている、請求項41記載の方法。
【請求項43】
患者への送達のため、第一アームに取り付けられた第三アームであって第三医療デバイスが通過するための第三管腔を有する第三アーム内に、該第三医療デバイスを挿入する段階
を含む、請求項35~42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
持続性の心筋梗塞を有する患者の心臓を補助する段階を含む、請求項35~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
第一アームを通りそしてイントロデューサシースを通って患者の左心室内に第一医療デバイスを挿入する段階;
少なくとも2.5 L/分の流量の血流で、30分間を超える補助時間にわたって、該第一医療デバイスを作動させる段階;
第二アームを通りそしてイントロデューサシースを通って該患者の冠血管内に第二医療デバイスを挿入する段階;および
該補助時間の経過後に該第二医療デバイスを作動させる段階
を含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
第一デバイスが機械的循環補助デバイスを含む、請求項35~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
機械的循環補助デバイスが、血液ポンプ、経弁軸流(TV)ポンプ、大動脈内バルーンポンプ、または体外膜型酸素供給(ECMO)ポンプのうちの少なくとも1つを含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
第二デバイスが、患者に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を提供するための冠再灌流療法デバイスを含む、請求項35~47のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
機械的循環補助デバイスが、補助時間中に血液を患者の左心室から該患者の大動脈内にポンピングするよう作動される、請求項46~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
第一医療デバイスが患者の大動脈弁をまたいでポジショニングされそして該患者の左心室を負荷軽減した後に、第二医療デバイスが第二アームを通って挿入される、請求項44~49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
第一医療デバイスが患者の左心室の負荷軽減を始めてから少なくとも15分後に、第二医療デバイスがイントロデューサシースを通って挿入される、請求項45~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
第一医療デバイスが、患者の左心室内に位置する遠位先端を用いてポジショニングされ、そして該患者の左心室から該患者の大動脈内に血液をポンピングする、請求項44~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
イントロデューサハブが最大5つまでの第二アームを具備し、各第二アームが、それぞれの第二アームからイントロデューサシース内まで第二医療デバイスが通過できるよう該イントロデューサシースと連絡した止血弁と管腔とを伴って構成される、請求項35~52のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
第二アームが、第一アームの周りで放射対称な様式に配置される、請求項53記載の方法。
【請求項55】
イントロデューサハブが、2つの第二アームを具備する、請求項53~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
第三医療デバイスが通過できるよう構成された第三管腔と第三止血弁とを各第三アームが有する、第一アームに連結された少なくとも1つの第三アームを、イントロデューサハブがさらに具備する、請求項35~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
第一管腔と第一止血弁とを有する第一アームであって、該第一管腔と該第一止血弁とが、第一医療デバイスが通過できるように構成されている、第一アームと;
該第一アームに連結されかつ第二管腔と第二止血弁とを有する第二アームであって、該第二管腔と該第二止血弁とが、第二医療デバイスが通過できるように構成されている、第二アームと;
患者への送達のために該第一医療デバイスおよび該第二医療デバイスのうちの少なくとも1つがイントロデューサシースを通って通過することを可能にするため、該第一管腔および該第二管腔が該イントロデューサシースの管腔と連絡するよう、該イントロデューサシースに連結されかつ該第一アームおよび該第二アームに連結された、接続ポートと
を具備するイントロデューサハブ。
【請求項58】
第一アームがイントロデューサシースの縦軸に平行に配置される、請求項57記載のイントロデューサハブ。
【請求項59】
第二アームが、90°以下の角度で第一アームから分岐するよう構成される、請求項57~58のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項60】
第一アームおよび第二アームがイントロデューサシースに対してY字形構成に配置される、請求項57または59のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項61】
第二アームが接続ポートより近位側に位置する、請求項57~60のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項62】
第一アームおよび第二アームがそれぞれ近位端と遠位端とを有し、かつ、該第一アームの該遠位端が該第二アームの該近位端より遠位側にポジショニングされる、請求項57~61のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項63】
第二管腔が第一管腔と結合する、請求項57~62のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項64】
イントロデューサシースが、第一および第二医療デバイスが通過するための単一の管腔を具備する、請求項57~63のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項65】
第一管腔と第二管腔とが別個の管腔として維持される、請求項57~64のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項66】
第一管腔がデュアル管腔シースの管腔の1つと連絡し、かつ第二管腔が該デュアル管腔シースの他方の管腔と連絡するよう、イントロデューサシースがデュアル管腔シースを含む、請求項57~65のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項67】
イントロデューサシースが伸展可能シースである、請求項57~66のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項68】
イントロデューサシースがピールアウェイシースである、請求項57~67のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項69】
イントロデューサハブおよびピールアウェイシースの分離を可能にするためのタブをさらに具備する、請求項68記載のイントロデューサハブ。
【請求項70】
第一および第二止血弁が、それぞれ第一および第二管腔を密封するよう構成される、請求項57~69のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項71】
第一および第二止血弁が各々、第一または第二医療デバイスによって貫通可能であるよう構成される、請求項70記載のイントロデューサハブ。
【請求項72】
少なくとも1つの縫合リングをさらに具備する、請求項57~71のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項73】
第一アームおよび第二アームがそれぞれ、少なくとも1つのサイドポートを具備する、請求項57~72のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項74】
サイドポートが、灌注用流体が供給されるよう構成された灌注用ポートを含む、請求項73記載のイントロデューサハブ。
【請求項75】
患者への送達後に第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐよう構成されたロック機構を、第一アームおよび第二アームのうちの少なくとも1つが具備する、請求項57~74のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項76】
ロック機構が、Tuohy-Borstアダプタ、膨張可能バルーン、およびロック用レバーアームのうちの少なくとも1つを含む、請求項75記載のイントロデューサハブ。
【請求項77】
ロック機構が、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐよう構成された状態にバイアスされている、請求項75~76のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項78】
イントロデューサハブが最大5つまでの第二アームを具備し、各第二アームが、それぞれの第二アームからイントロデューサシース内まで第二医療デバイスが通過できるよう該イントロデューサシースと連絡した止血弁と管腔とを伴って構成される、請求項57~77のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項79】
第二アームが、第一アームの周りで放射対称な様式に配置される、請求項78記載のイントロデューサハブ。
【請求項80】
2つの第二アームを具備する、請求項78~79のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項81】
第三医療デバイスが通過できるよう構成された第三管腔と第三止血弁とを各第三アームが有する、第一アームに連結された少なくとも1つの第三アーム
をさらに具備する、請求項57~80のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【請求項82】
エチレン酢酸ビニル(EVA);スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC);スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS);高密度ポリエチレン(HDPE)材料;中密度ポリエチレン(MDPE)材料;低密度ポリエチレン(LDPE)材料;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルブロックアミド;エラストマー;合成ゴム;または、弾性率約40 ksiのポリエチレン材料、ポリウレタン材料、もしくはポリカーボネート材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項57~81のいずれか一項記載のイントロデューサハブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容が参照により本明細書に完全に組み入れられる、2019年3月13日に提出された米国特許仮出願第62/817,901号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
現在、経皮的な機械的補助(mechanical support)デバイスがさまざまな臨床適応に対して活用されている。そうした補助デバイスは、非限定的に、Impella(登録商標)ポンプ、体外膜型酸素供給(ECMO)ポンプ、およびバルーンポンプを具備しうる。Impella(登録商標)ポンプはさらに、いずれもDanvers, MAのAbiomed, Inc.による、Impella 2.5(登録商標)ポンプ、Impella 5.0(登録商標)ポンプ、Impella CP(登録商標)ポンプ、およびImpella LD(登録商標)ポンプを具備しうる。ほとんどの場合、それらは単一のアクセスポイント(例えば橈骨アクセス、大腿アクセス、腋窩アクセス)を通して経皮的に患者体内に挿入されるが、例えば経皮的冠動脈インターベンション(PCI)など他の手技は、対側の大腿または橈骨アクセスポイントなど、第二のアクセスポイントを通して行われる。したがって、複数のデバイスを同時に患者に使用するには複数のアクセス部位を必要とすることが多く、それは複数の課題をもたらす。
【発明の概要】
【0003】
概要
本発明の技術は、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスを患者に経皮的に送達するためのシステムおよび方法に関する。
【0004】
1つの局面において、本開示は、イントロデューサシステムであって、縦軸と、内部に形成された管腔とを有する、イントロデューサシース;およびイントロデューサシースの近位端に連結されたハブを具備する、イントロデューサシステムについて説明する。ハブは、第一管腔と第一止血弁とを有する第一アームであって、第一管腔と第一止血弁とが、第一医療デバイスが通過できるように構成されている、第一アームと;第一アームに連結されかつ第二管腔と第二止血弁とを有する第二アームであって、第二管腔と第二止血弁とが、第二医療デバイスが通過できるように構成されている、第二アームと;患者への送達のために第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの少なくとも1つがイントロデューサシースを通って通過することを可能にするため、第一管腔および第二管腔がイントロデューサシースの管腔と連絡するよう、イントロデューサシースに連結されかつ第一アームおよび第二アームに連結された、接続ポートと、を具備する。いくつかの局面において、第一アームはイントロデューサシースの縦軸に平行に配置される。いくつかの局面において、第二アームは90°以下の角度で第一アームから分岐するよう構成される。いくつかの局面において、第一アームおよび第二アームはイントロデューサシースに対してY字形構成に配置される。いくつかの局面において、第二アームは接続ポートより近位側に位置する。いくつかの局面において、第一アームおよび第二アームはそれぞれ近位端と遠位端とを有し、かつ、第一アームの遠位端は第二アームの近位端より遠位側にポジショニングされる。いくつかの局面において、第二管腔はハブ内で第一管腔と結合する。いくつかの局面において、イントロデューサシースは第一および第二医療デバイスが通過するための単一の管腔を具備する。いくつかの局面において、第一管腔と第二管腔とはハブ内で別個の管腔として維持される。いくつかの局面において、イントロデューサシースは、第一管腔がデュアル管腔シースの管腔の1つと連絡し、かつ第二管腔がデュアル管腔シースの他方の管腔と連絡するよう、デュアル管腔シースを含む。いくつかの局面において、イントロデューサシースは伸展可能シースである。いくつかの局面において、イントロデューサシースはピールアウェイシースである。加えて、ハブは、ハブおよびピールアウェイシースの分離を可能にするためのタブをさらに具備してもよい。いくつかの局面において、第一および第二止血弁はそれぞれ第一および第二管腔を密封するよう構成される。いくつかの局面において、第一および第二止血弁はそれぞれ、第一または第二医療デバイスによって貫通可能であるよう構成される。いくつかの局面において、ハブは、少なくとも1つの縫合リングをさらに具備する。いくつかの局面において、第一アームおよび第二アームはそれぞれ、少なくとも1つのサイドポートを具備する。加えて、サイドポートは、灌注用流体が供給されるよう構成された灌注用ポートを含んでもよい。いくつかの局面において、患者への送達後に第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐよう構成されたロック機構を、第一アームおよび第二アームのうちの少なくとも1つが具備する。いくつかの局面において、ロック機構は、Tuohy-Borstアダプタ、膨張可能バルーン、およびロック用レバーアームのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの局面において、ロック機構は、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐよう構成された状態にバイアスされている。いくつかの局面において、イントロデューサシースは、ポリエーテルブロックアミド;ポリエチレン材料;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料;高密度ポリエチレン(HDPE)材料;中密度ポリエチレン(MDPE)材料;または低密度ポリエチレン(LDPE)材料のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの局面において、ハブは、エチレン酢酸ビニル(EVA);スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC);スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS);高密度ポリエチレン(HDPE)材料;中密度ポリエチレン(MDPE)材料;低密度ポリエチレン(LDPE)材料;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルブロックアミド;エラストマー;合成ゴム;または、弾性率約40 ksiのポリエチレン材料、ポリウレタン材料、もしくはポリカーボネート材料のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの局面において、第一医療デバイスは機械的循環補助(mechanical circulatory support)デバイスであり、かつ第二医療デバイスは患者に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を提供するための冠再灌流療法デバイスである。いくつかの局面において、冠再灌流療法デバイスはステントである。いくつかの局面において、ステントは、カテーテルによって第二アームとイントロデューサシースとを通って挿入されるよう構成される。いくつかの局面において、機械的循環補助デバイスは、血液ポンプ;経弁軸流(transvalvular axial-flow)(TV)ポンプ;大動脈内バルーンポンプ;または体外膜型酸素供給(ECMO)ポンプのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの局面において、機械的循環補助デバイスは、カニューレと、ローターと、ローターハウジングとを有する回転式血液ポンプである。いくつかの局面において、第一アームおよびイントロデューサシースは、回転式血液ポンプのカニューレの通過を可能にするよう構成される。いくつかの局面において、第一アームおよびイントロデューサシースは、回転式血液ポンプのローターおよびローターハウジングの通過を可能にするよう構成される。いくつかの局面において、ハブは最大5つまでの第二アームを具備し、各第二アームは、それぞれの第二アームからイントロデューサシース内まで第二医療デバイスが通過できるようイントロデューサシースと連絡した止血弁と管腔とを伴って構成される。いくつかの局面において、第二アームは、第一アームの周りで放射対称な様式に配置される。いくつかの局面において、ハブは2つの第二アームを具備する。いくつかの局面において、イントロデューサシステムは、第三医療デバイスが通過できるよう構成された第三管腔と第三止血弁とを各第三アームが有する、第一アームに連結された少なくとも1つの第三アームを、さらに具備してもよい。
【0005】
別の局面において、本開示は、以下の段階を含む方法を説明する:イントロデューサハブの第一アームであって第一医療デバイスが通過するための第一管腔を有する第一アーム内に、第一医療デバイスを挿入する段階;第一アームに取り付けられた第二アームであって第二医療デバイスが通過するための第二管腔を有する第二アーム内に、第二医療デバイスを挿入する段階;イントロデューサハブのコネクタポートであって、イントロデューサシースの近位端に連結されたコネクタポートを介して、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスをイントロデューサシースに提供する段階;ならびに、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスをイントロデューサシースの遠位端から患者に送達する段階。いくつかの局面において、同方法は、患者への送達のため、イントロデューサシース内に形成された管腔内に第一および第二医療デバイスを挿入する段階をさらに含む。いくつかの局面において、同方法は、患者への送達のため、イントロデューサシース内に形成された第一管腔内に第一医療デバイスを挿入し、かつ、患者への送達のため、イントロデューサシース内に形成された第二管腔内に第二医療デバイスを挿入する段階であって、第一管腔が第二管腔から隔離されている段階を、さらに含む。いくつかの局面において、同方法は、縫合リングを介してイントロデューサハブを患者に取り付ける段階をさらに含む。いくつかの局面において、同方法は、第一および第二アームの各々の上にポジショニングされたサイドポートを介して第一管腔および第二管腔のうちの1つまたは両方に灌注用流体を提供する段階をさらに含む。いくつかの局面において、同方法は、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐためロック機構を稼働させる段階をさらに含む。いくつかの局面において、ロック機構は、Tuohy-Borstアダプタ、膨張可能バルーン、およびロック用レバーアームのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの局面において、ロック機構は、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐ状態にバイアスされている。いくつかの局面において、同方法は、患者への送達のため、第一アームに取り付けられた第三アームであって第三医療デバイスが通過するための第三管腔を有する第三アーム内に、第三医療デバイスを挿入する段階をさらに含む。いくつかの局面において、同方法は、持続性の心筋梗塞を有する患者の心臓を補助する段階をさらに含む。いくつかの局面において、同方法は、第一アームを通りそしてイントロデューサシースを通って患者の左心室内に第一医療デバイスを挿入する段階;少なくとも2.5 L/分の流量の血流で、30分間を超える補助時間にわたって、第一医療デバイスを作動させる段階;第二アームを通りそしてイントロデューサシースを通って患者の冠血管内に第二医療デバイスを挿入する段階;および、補助時間の経過後に第二医療デバイスを作動させる段階をさらに含む。いくつかの局面において、第一デバイスは機械的循環補助デバイスを含む。いくつかの局面において、機械的循環補助デバイスは、血液ポンプ、経弁軸流(TV)ポンプ、大動脈内バルーンポンプ、または体外膜型酸素供給(ECMO)ポンプのうちの少なくとも1つを具備する。いくつかの局面において、第二デバイスは、患者に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を提供するための冠再灌流療法デバイスを含む。いくつかの局面において、機械的循環補助デバイスは、補助時間中に血液を患者の左心室から患者の大動脈内にポンピングするよう作動される。いくつかの局面において、第二医療デバイスは、第一医療デバイスが患者の大動脈弁をまたいでポジショニングされそして患者の左心室を負荷軽減した後に、第二アームを通って挿入される。いくつかの局面において、第二医療デバイスは、第一医療デバイスが患者の左心室の負荷軽減を始めてから少なくとも15分後にイントロデューサシースを通って挿入される。いくつかの局面において、第一医療デバイスは、患者の左心室内に位置する遠位先端を用いてポジショニングされ、そして患者の左心室から患者の大動脈内に血液をポンピングする。いくつかの局面において、イントロデューサハブは最大5つまでの第二アームを具備し、各第二アームは、それぞれの第二アームからイントロデューサシース内まで第二医療デバイスが通過できるようイントロデューサシースと連絡した止血弁と管腔とを伴って構成される。いくつかの局面において、第二アームは、第一アームの周りで放射対称な様式に配置される。いくつかの局面において、イントロデューサハブは2つの第二アームを具備する。いくつかの局面において、イントロデューサハブは、第三医療デバイスが通過できるよう構成された第三管腔と第三止血弁とを各第三アームが有する、第一アームに連結された少なくとも1つの第三アームを、さらに具備する。
【0006】
別の局面において、本開示は、第一管腔と第一止血弁とを有する第一アームであって、第一管腔と第一止血弁とが、第一医療デバイスが通過できるように構成されている、第一アームと;第一アームに連結されかつ第二管腔と第二止血弁とを有する第二アームであって、第二管腔と第二止血弁とが、第二医療デバイスが通過できるように構成されている、第二アームと;患者への送達のために第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの少なくとも1つがイントロデューサシースを通って通過することを可能にするため、第一管腔および第二管腔がイントロデューサシースの管腔と連絡するよう、イントロデューサシースに連結されかつ第一アームおよび第二アームに連結された、接続ポートと、を具備する、イントロデューサハブについて説明する。いくつかの局面において、第一アームはイントロデューサシースの縦軸に平行に配置される。いくつかの局面において、第二アームは90°以下の角度で第一アームから分岐するよう構成される。いくつかの局面において、第一アームおよび第二アームはイントロデューサシースに対してY字形構成に配置される。いくつかの局面において、第二アームは接続ポートより近位側に位置する。いくつかの局面において、第一アームおよび第二アームはそれぞれ近位端と遠位端とを有し、かつ、第一アームの遠位端は第二アームの近位端より遠位側にポジショニングされる。いくつかの局面において、第二管腔は第一管腔と結合する。いくつかの局面において、イントロデューサシースは第一および第二医療デバイスが通過するための単一の管腔を具備する。いくつかの局面において、第一管腔と第二管腔とは別個の管腔として維持される。いくつかの局面において、イントロデューサシースは、第一管腔がデュアル管腔シースの管腔の1つと連絡し、かつ第二管腔がデュアル管腔シースの他方の管腔と連絡するよう、デュアル管腔シースを含む。いくつかの局面において、イントロデューサシースは伸展可能シースである。いくつかの局面において、イントロデューサシースはピールアウェイシースである。いくつかの局面において、イントロデューサハブは、イントロデューサハブおよびピールアウェイシースの分離を可能にするためのタブをさらに具備する。いくつかの局面において、第一および第二止血弁はそれぞれ第一および第二管腔を密封するよう構成される。いくつかの局面において、第一および第二止血弁はそれぞれ、第一または第二医療デバイスによって貫通可能であるよう構成される。いくつかの局面において、イントロデューサハブは、少なくとも1つの縫合リングをさらに具備する。いくつかの局面において、第一アームおよび第二アームはそれぞれ、少なくとも1つのサイドポートを具備する。いくつかの局面において、サイドポートは、灌注用流体が供給されるよう構成された灌注用ポートを含む。いくつかの局面において、患者への送達後に第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐよう構成されたロック機構を、第一アームおよび第二アームのうちの少なくとも1つが具備する。いくつかの局面において、ロック機構は、Tuohy-Borstアダプタ、膨張可能バルーン、およびロック用レバーアームのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの局面において、ロック機構は、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスのうちの1つまたは両方がイントロデューサシース内で軸方向に動くことを防ぐよう構成された状態にバイアスされている。いくつかの局面において、イントロデューサハブは最大5つまでの第二アームを具備し、各第二アームは、それぞれの第二アームからイントロデューサシース内まで第二医療デバイスが通過できるようイントロデューサシースと連絡した止血弁と管腔とを伴って構成される。いくつかの局面において、第二アームは、第一アームの周りで放射対称な様式に配置される。いくつかの局面において、イントロデューサハブは2つの第二アームを具備する。いくつかの局面において、イントロデューサハブは、第三医療デバイスが通過できるよう構成された第三管腔と第三止血弁とを各第三アームが有する、第一アームに連結された少なくとも1つの第三アームを、さらに具備する。いくつかの局面において、イントロデューサハブは、エチレン酢酸ビニル(EVA);スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC);スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS);高密度ポリエチレン(HDPE)材料;中密度ポリエチレン(MDPE)材料;低密度ポリエチレン(LDPE)材料;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルブロックアミド;エラストマー;合成ゴム;または、弾性率約40 ksiのポリエチレン材料、ポリウレタン材料、もしくはポリカーボネート材料のうちの少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以上および他の目的と利点とは、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することによって明らかになるであろう;添付の図面全体にわたって、同様の参照符号は同様の部品を参照する。
【0008】
【
図1】本開示の諸局面に基づく、患者の動脈切開内に第一医療デバイスおよび第二医療デバイスを送達するために用いられるデュアルハブイントロデューサシースシステムの例示的な断面図である。
【
図2】本開示の諸局面に基づく、患者の動脈切開内に挿入するための拡張器を伴うデュアルハブイントロデューサシースシステムを示す。
【
図3】
図2のデュアルハブイントロデューサシースシステムの詳細図を示す。
【
図4】サイドアーム内の管腔を密封している閉鎖栓を伴う、
図2のデュアルハブイントロデューサシースシステムの詳細図を示す。
【
図5】
図5Aは、本開示の諸局面に基づくデュアルハブイントロデューサシースシステムにおいて用いられる、開状態にある例示的なロック機構を示す。
図5Bは、ロック状態にある
図5Aのロック機構を示す。
【
図6】本開示の諸局面に基づくデュアルハブイントロデューサシースシステムを用いる方法の例示的なフローチャートを示す。
【
図7】本開示の諸局面に基づく、左心室を負荷軽減するためにデュアルハブイントロデューサシースシステムを用いる方法の例示的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本明細書に説明するシステム、デバイス、および方法が全体的に理解されうるよう、ある一定の例示的実施例を説明する。本明細書に説明する実施例および特徴は、カテーテル式心室補助(ventricular assist)デバイスを伴う脈管内手技において使用するためのデュアルハブイントロデューサシースと関係した使用について特に説明するが、理解されるであろう点として、以下に概説するすべてのコンポーネントおよび他の特徴は、任意の好適な様式において互いに組み合わせられてもよく、かつ、デュアルハブイントロデューサシースを必要とする他のタイプの手技に適合および適用されてもよい。
【0010】
上述したように、複数のアクセス部位を用いて同時に複数のデバイスを患者上で使用することが可能であるが、このことはさまざまな理由から困難となりうる。第一に、例えば、バルーン処置およびステント処置などの手技を容易にするため6~7 Fr の2つのシースが用いられる、PCI手技用のデバイスでは、患者が、解剖学的に利用可能な2つのアクセス部位を有していない可能性がある。加えて、末梢動脈疾患、脈管の管腔サイズ(小さすぎる)、以前の手技に由来する瘢痕組織、および他の疾患によって、例えば機械的補助デバイスなど、より大きなデバイスに適した経皮的部位へのアクセスを得ることが難しくなる可能性がある。複数のアクセス部位を用いることは、脈管アクセスの合併症に遭遇する見込みもまた増大させ、それは死亡率上昇、病院コスト増大などに相関する可能性がある。さらに、アクセス部位が複数であると、アクセス確保を1回より多く行う必要があるので、より長い手技時間を必要とし、かつ、複数の脈管閉創デバイス、追加的なイントロデューサなどを要することにより、手技コストの増大にもつながりうる。ゆえに、複数のデバイスを患者上で作動させる必要がある手技の複雑さを低減することについて、重大なニーズが存在する。
【0011】
本明細書に説明するシステム、デバイス、および方法は、複数デバイスに対する単一アクセス部位を可能にするデュアルハブイントロデューサシースに関する。限定としてではなく、本明細書における例示の目的のため、デバイスは、機械的補助デバイス(例えばImpellaデバイスなど)およびPCI手技用のデバイスとして説明する。しかし、本開示がいかなる特定の種類の経皮的挿入デバイスにも限定されないことが、当業者に理解されるであろう。事実、本開示は、当技術のいくつかの局面において、複数デバイスが2つの同じデバイスでありうることも企図している。最近まで、複数デバイス用のそうした単一アクセスは明らかに可能にはなっていなかった;それは、シースの全体的な直径を増大させることなくPCIデバイスおよびImpellaデバイスの両方を単一のシースに通してフィットさせうるという可能性に医師らが気づいていなかったからである。
【0012】
PCIおよびImpella補助の両方を単一のアクセス部位において行うため、Impellaデバイスと同じアクセスシースを通してPCIデバイスを挿入することに成功したことが、最近報告された(M. L. Espositoら, “Left Ventricular Unloading Before Reperfusion Promotes Functional Recovery After Acute Myocardial Infarction,” Journal of the American College of Cardiology, Elsevier, vol. 72, no. 5, May 2018)。しかし、現行のソリューションを用いることは、イントロデューサ弁からの止血、ならびに、PCIデバイスが交換および操作される際の心室内外へのポンプの移動についての課題につながる。これらの有害作用が生じるのは、従来のイントロデューサ弁がデュアルデバイスでアクセスするようには設計されていないからである。
【0013】
本明細書に説明するデバイスおよび方法は、縦軸と、内部に形成された管腔とを有する、デュアルハブイントロデューサシースに関する。同シースは、イントロデューサシースの近位端に連結されたハブもまた具備する。ハブは、第一医療デバイスを通過させるよう構成された第一管腔と第一止血弁とを有する、第一アームを具備する。ハブは、第一アームに連結され、かつ、第二医療デバイスを通過させるよう構成された第二管腔と第二止血弁とを有する、第二アームもまた具備する。さらにハブは、第一管腔および第二管腔がイントロデューサシースの管腔と連絡して、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスの少なくとも1つが患者への送達のためにイントロデューサシースを通って通過することが可能になるようイントロデューサシースと第一アームおよび第二アームとに連結された接続ポートを具備する。
【0014】
本開示のデュアルハブイントロデューサシースは、適切かつ許容されうる止血を維持しながら、PCIおよびImpellaデバイスの両方をそれに通して挿入することを可能にする。二又のハブを活用することによって、ImpellaデバイスまたはPCIデバイスのいずれかについて挿入力および漏出の要件を満たすよう特に設計された2つの別個の弁を、これらの要件および設計がかなり異なることに留意しながら、実施することができる;加えて、本開示のデュアルハブイントロデューサシースは、ハブの、Impellaデバイス用に意図されたアームだけに限られた、ロック機構を有する;ロック機構は、医師が、PCI手技が行われている際にImpellaを所定の位置に保ってその前進または後退を防ぐために、稼働させることができる。
【0015】
図1に、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスを患者に経皮的に送達するためのデュアルハブイントロデューサシース送達システム100を示す。システム100は、近位端112と遠位端(図示せず)との間で縦軸(図示せず)に沿って延在するイントロデューサシース110を具備する。シース110は、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスが通過できるよう近位端112と遠位端との間で延在する管腔115をさらに具備する。
図1は単一の管腔115を有するシース110を描写しているが、本発明の技術のいくつかの局面において、シース110は、例えばシースの長さ全体にわたって2つの別個の管腔を具備してもよい。本発明の技術の他の局面において、シース110は任意の数の別個の管腔を具備してもよい。システム100は、シース110の近位端112に連結されたハブ120をさらに具備する。
【0016】
ハブ120は、近位端132と遠位端134とを有し第一管腔135を規定する第一アーム130を具備する。第一管腔135を周囲環境から密封するため、第一アーム130の近位端132に第一弁138が提供される。第一弁138は第一医療デバイス140によって貫通可能である。ハブ120は第一アーム130に取り付けられた第二アーム150をさらに具備する。第一アーム130と同様に、第二アーム150は第二管腔155を規定し、かつ近位端152と遠位端154とを具備する。第二管腔155を周囲環境から密封するため、第二アーム150の近位端152に第二弁158が提供される。第二弁158は第二医療デバイス160によって貫通可能である。本発明の技術のいくつかの局面において、第一弁138および第二弁158は、例えば参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる米国特許第10,576,258号「Hemostatic Valve for Medical Device Introducer」に説明されている弁などの、止血弁(hemostasis valve)(止血弁(“hemostatic” valve)とも呼ばれる)を具備してもよい。
図1は、1つの第二アーム150を具備するハブ120を示しているが、理解されるであろう点として、ハブ120は、第一アーム130に対して配置された任意の数の第二アームを具備してもよい。
【0017】
ハブ120は、第一管腔135と第二管腔155とに接続する接続ポート170をさらに具備する。ハブ120の接続ポート170は、シース110が患者体内に挿入された時に第一医療デバイス140および第二医療デバイス160がシース110を通り抜けて患者に送達されうるように、シース110の近位端112に連結される。本発明の技術のいくつかの局面において、そうした連結は例えば摩擦嵌めであってもよく、その場合は、シース110の外面と接続ポート170の内面との間の摩擦嵌めが、シース110の近位端112がハブ120から外れることを防ぐように、シース110の近位端112が寸法決定される。本発明の技術の他の局面において、例えば接続ポート170の内面上の相補的なねじ山と相互作用する、シース110の近位端112の外面上の雄ねじによって、連結がもたらされてもよい。本発明の技術のさらなる局面において、シース110は、第一管腔135および第二管腔155がハブ120の接続ポート170を介してシース110の管腔115に流体接続することを可能にする任意の様式で、接続ポート170に連結されてもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、ハブ120は、シース110の近位端112上にオーバーモールドされそしてプレス嵌めまたは圧縮されてもよい。
【0018】
本発明の技術のいくつかの局面において、ハブ120は、
図1に示すように、第一管腔135および第二管腔155が接続ポート170内に移行する前にハブ120内で結合するように作製されてもよい。そうしたケースにおいて、ハブ120は、
図1におけるシース110など、単一管腔シースに連結されてもよく、その場合シース110の管腔115は、ハブ120の接続ポート170を介して第一管腔135および第二管腔155と流体連絡する。ゆえに、第一医療デバイス140がハブ120の第一アーム130内に挿入されかつ第二医療デバイス160が第二アーム150内に挿入された時、それら医療デバイスは、患者への送達のためシース110を通り抜ける時にシース110の同じ管腔115を共有する。本発明の技術の他の局面において、ハブ120は、第一管腔135と第二管腔155とがハブ120全体にわたって別個の管腔として維持されるように作製されてもよい。そうしたケースにおいて、ハブ120は、第一医療デバイス140と第二医療デバイス160とが患者の動脈切開内への送達のためシース110の長さを通り抜ける間ずっと分離されているように、デュアル管腔シースに連結されてもよい。
【0019】
図1に示すように、第二アーム150は、第一アーム130に対してある角度で第一アーム130から分岐するように配置されてもよく、そして第一アーム130はシース110の縦軸と軸方向にアライメントしていてもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、この角度は90°以下である。そうしたケースにおいて、第一医療デバイス140は、第一アーム130内に挿入された時に、屈曲またはキンクを生じることなくハブ120内で実質的にまっすぐな形状に維持される;そして、第二デバイス160は、第二アーム150内に挿入された時に、コネクタポート170を介してハブ120から出てシース110の管腔115を通り抜ける前に第一デバイス140とアライメントするよう、第一アーム130に対する第二アーム150の配置が第二デバイス160を屈曲させる。
【0020】
本発明の技術のいくつかの局面において、第一アーム130および第二アーム150は、イントロデューサシース110の縦軸に対してY字形構成を形成するように配置されてもよい。そうしたケースにおいて、第一医療デバイス140および第二医療デバイス160の両方が、コネクタポート170から出てシース110の管腔115を通り抜ける際にシース110の縦軸とアライメントされるように、ハブ120内で屈曲してもよい。
【0021】
図2に、本発明の技術の諸局面に基づくデュアルハブイントロデューサシースシステム200の構成を示す。シースシステム200は、シース210であって、近位端212と遠位端214とを有し、
図1の第一医療デバイス140および第二医療デバイス160など患者の動脈切開に送達するための少なくとも1つの医療デバイスが通過できるよう近位端212と遠位端214との間で延在する管腔を備える、シース210を具備するという点において、シースシステム100に類似する。シース210の近位端212はハブ220のコネクタポート270に連結される。ハブ220は、近位端232と遠位端234とを有する第一アーム230、および、第一アーム230に取り付けられかつ近位端252と遠位端254とを有する第二アーム250を具備する。第一アーム230は、第一弁238によって周囲環境から密封される第一管腔235を形成する。同様に、第二アーム250は、第二弁258によって周囲環境から密封される第二管腔255を形成する。
図1に関連して説明したように、第一弁238および第二弁258は止血弁を具備してもよく、かつ、第一および第二医療デバイスによって貫通可能であってもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、
図2に示すように、第二管腔255はハブ220内で第一管腔235に流体接続する。本発明の技術の他の局面において、第一管腔235と第二管腔255とはハブ220内で別個の管腔として維持されてもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、第一弁238および第二弁258は、ハブ220内におけるポジションを確実固定するため、スナップキャップによって所定のポジションに挿入されてもよい。
【0022】
図2(ならびに
図3および
図4における拡大
図300)に示すように、第一アーム230は、第一管腔235と流体接続した第一サイドポート236をさらに具備する。同様に、第二アーム250は、第二管腔255と流体連絡した第二サイドポート256を具備する。サイドポート236およびサイドポート256はそれぞれ、患者の処置中に形成されうる血栓をハブ220内の管腔235, 255から除くためにそれを通して灌注用流体を注入できる、灌注用ポートとして役立ってもよい。本発明の技術の他の局面において、サイドポート236, 256は、ハブ220内の膨張可能バルーンに接続された膨張用ポートとして役立ってもよい;膨張可能バルーンは、第一医療デバイス140および第二医療デバイス160のポジションを、それらが挿入されたそれぞれのアームに対してアンカーまたはロックするために、バルーンを伸展させるための膨張用流体で膨張されてもよい。そうしたケースにおいて、膨張したバルーンは、医療デバイスが患者体内で配置されたらシース内でデバイスが軸方向に動くことを防ぐために、医療デバイスをそれぞれのアームに押し付けてもよい。第二医療デバイスの挿入中または操作中に、軸方向の動きを防ぐため医療用第一デバイスのポジションを確実固定するための、内部シースバルーンを用いたそうしたロック機構は、当業者に公知である。例えば、第二医療デバイスの挿入中または操作中に、軸方向の動きを防ぐため第一医療デバイスのポジションを確実固定するための、内部シースバルーンを用いたさまざまなロック機構が、参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる米国特許仮出願第62/797,527号に説明されている。他のロック機構については前述のセクションに詳述する。
図2および3には各アーム上に1つのサイドポートのみが示されているが、本開示の範囲内において任意の数のサイドポートが各アーム上に用いられてよい。
【0023】
上述したように、第二アーム250は第一アーム230上に配置されてもよく、かつ、シース210の縦軸に対して90°以下の角度で第一アーム230から分岐するよう構成されてもよい。加えて、本発明の技術のいくつかの局面において、第二アーム250の遠位端254がコネクタポート270より近位側にポジショニングされてもよく、かつ、第一アーム230の近位端232がコネクタポート270より遠位側にポジショニングされてもよい。この様式において、第一および第二医療デバイスが互いに接することなくそれぞれのアーム230, 250と相互作用できるよう、第二アーム250の近位端252は第一アーム230の近位端232から充分に間隔が空けられてもよい。
【0024】
図2および3にみられるように、第一および第二医療デバイスが患者体内に挿入された後にハブ220を患者に取り付けることを助けるため、ハブ220は任意で縫合リング225を含んでもよい。本発明の技術のある一定の局面において、縫合リング225はコネクタポート270より近位側にポジショニングされてもよい;ハブ220のプロフィルは、この位置において、第一アーム230または第二アーム250のいずれかより近位側の位置より小さい可能性があるからである。本発明の技術の他の局面において、縫合リング225は、ハブ220のボディに沿った任意の位置に位置してもよい。
図2および3には1つの縫合リングのみが示されているが、理解されるであろう点として、ハブ220を患者に確実固定することを助けるため任意の数の縫合リングが存在してもよい。
【0025】
イントロデューサシース210を患者体内に挿入するため、デュアルハブ220に関連して拡張器280が用いられてもよい。
図2および3は、ハブ220の第一アーム230内に挿入された拡張器280もまた示している。拡張器280は近位端282と遠位端284とを具備する。拡張器の長さは、拡張器280が210内にいっぱいまで挿入された時に遠位端284がシース210の遠位端214を越えて延在するような長さである。先に言及したように、第一アーム230および第二アーム250はシース210の縦軸に対して任意の構成(例えばY字形構成)をとってよいが、患者体内へのイントロデューサシース210の挿入に拡張器280が必要である場合は、第一アーム230がシース210の縦軸と軸方向にアライメントされていてもよい。第一アーム230がこの配置であると、拡張器はハブ220内への挿入時に屈曲する必要がなく、それにより、シース210を患者体内に挿入する時により大きな力を印加できる可能性がある。挿入されたら、拡張器280の近位端282が第一アーム230の近位端232に接続してもよい。これは、プレス嵌めまたはねじり接続など任意の好適なタイプの接続によって実現されてもよい。
【0026】
本発明の技術のいくつかの局面において、
図4に示すように、第二アーム250の管腔255内に閉鎖栓490が挿入されてもよい。そうした閉鎖栓490は、シース210が患者体内に挿入された時に流体の逆流を防ぐために挿入されてもよい。このことは、第一アーム230および第二アーム250から医療デバイスが除去された後にシース210を再ポジショニングする必要があるケースにおいて助けになる可能性がある。そうした状況において、先の使用により、それぞれの密封238, 258は摩耗のゆえ管腔235, 255を周囲環境から完全には密封できない可能性がある。拡張器280と同様に、閉鎖栓490は、プレス嵌めまたはねじり接続など任意の好適なタイプの接続によって、第二アーム250の近位端252に接続してもよい。
【0027】
上記に言及したように、第一医療デバイス140および第二医療デバイス160はロック機構によって軸方向の制約を受けてもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、ロック機構は、ロックおよび/またはアンロックするために何らかのアクションが取られなければならないように構成されてもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、ロック機構がバイアスを有してもよい。例えば、本発明の技術のいくつかの局面において、ロック機構は、ロック機構をロックするためのアクションが取られない限り医療デバイスの動きを制限しないよう、アンロック状態にバイアスされてもよい。逆に、本発明の技術のいくつかの局面において、ロック機構は、ロック機構をアンロックするためのアクションが取られない限り医療デバイスの動きを制限するよう、ロック状態にバイアスされてもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、ロック機構は、前述したようにサイドアーム236, 256によって膨張される、第一管腔235または第二管腔255内に位置する内部バルーンを具備してもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、ロック機構は、
図5Aおよび5Bに示すようにロック用レバーアームもまた具備してもよい。
図5Aに、上記に説明したハブ220および120に類似したハブ510の断面を示す。ハブ510は、その中を通り抜けている第一医療デバイス520とともに示されているが、ハブ510が複数の医療デバイスの通過を可能にしてもよいことが認識されるであろう。ハブ510は、ハブボディ内にポジショニングされる別個のコンポーネントであってもよいレバーアーム530もまた具備する。レバーアーム530は、
図5Aおよび5Bに示すように半円形を有するよう構成されてもよいが、医療デバイス520を確実固定しかつその軸方向の動きを防ぐのに好適である、アームの任意の形状が用いられてよい。
【0028】
図5Aに示すように、レバーアーム530は、ポイント532においてハブ510にピボット式に接続されてもよい。レバーアーム530は、アンロックポジションにおいて、ハブボディ内にある。レバーアームは、ハブ510の外部からアクセス可能な、ハンドルまたはタブ(図示せず)などの駆動機構を具備してもよい。レバーアーム530は、レバーアーム530がロックポジションにある時に医療デバイス520の外周の周りにフィットするよう構成されたノッチまたはキャッチ538を具備する。このポジションにおいて、
図5Bに示すように、ノッチ538は医療デバイス520をつまんで軸方向の摩擦を増大させる。本発明の技術のいくつかの局面において、レバーアーム530がロックポジションにある時にノッチ538が医療デバイス520を屈曲させてもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、レバーアーム530は、それぞれの止血弁238, 258のところに位置してもよい。加えて、レバーアームをロックポジションに確実固定するため、レバーアーム530の端部534が、ハブボディ内に位置する突起536と係合する凹部を遠位表面上に備えるよう構成されてもよい。端部534および突起536の側方プロフィルを
図5Aに示す。同様に、突起536と係合している端部534を
図5Bに示す。本発明の技術のいくつかの局面において、レバーアーム530は、低硬度(low-durometer)ポリウレタンまたはシリコーンなどの高摩擦材料でオーバーモールドされてもよい。
【0029】
上記に説明したロック機構に加えて、またはその代替として、本開示のデュアルハブはハブボディの第一または第二アーム内に組み込まれたTuohy Borst機構もまた具備してもよい。そうした機構は、内径を低減させるシリコーンスラグを、それぞれのアームを通り抜けている第一および/または第二医療デバイス上に具備し、それによって医療デバイスのポジションを確実固定する。
【0030】
上述したように、本発明の技術のいくつかの局面において、シース210がデュアル管腔シースを含んでもよい。そうしたケースにおいて、デュアル管腔シースがハブ220に連結された時に、ハブ220の第一管腔235がデュアル管腔シースの管腔の1つと流体連絡してもよく、かつ、ハブ220の第二管腔255がデュアル管腔シースの他方の管腔と連絡してもよい。
【0031】
本発明の技術のいくつかの局面において、シース210が伸展可能シースを含んでもよい。伸展可能シースは当業者に周知であり、本明細書において詳しくは説明しない。例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許仮出願第62/797,527号にさまざまな伸展可能シースが説明されている。
【0032】
本発明の技術のいくつかの局面において、シース210は1つのピールアウェイシースを含んでもよい。複数のピールアウェイシースもまた当業者に周知であり、本明細書において詳しくは説明しない。例えば、参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる米国特許仮出願第62/777,598号にさまざまなピールアウェイシースが説明されている。ピールアウェイシースは、患者の処置中に必要に応じて引き裂くことができるよう、シースボディ内に形成されかつシースに沿って縦方向に延在する1つまたは複数の脆弱ラインを具備してもよい。
【0033】
本発明の技術のいくつかの局面において、例えば医療デバイスのうち1つまたは複数が患者体内にポジショニングされた時など、ハブ220が必要なくなった時に、ハブ220自体を分離することを可能にするタブを具備してもよい。
【0034】
本発明の技術のいくつかの局面において、シース210は押出および/または積層されてもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、イントロデューサシース110, 210は、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標)もしくはPebaSlix(登録商標)など);ポリエチレン材料;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料;高密度ポリエチレン(HDPE)材料;中密度ポリエチレン(MDPE)材料;または低密度ポリエチレン(LDPE)材料のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0035】
さらに、本発明の技術のいくつかの局面において、ハブ120, 220はオーバーモールドによって形成されてもよい。本発明の技術のいくつかの局面において、ハブ120, 220は、エチレン酢酸ビニル(EVA);スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC);スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS);高密度ポリエチレン(HDPE)材料;中密度ポリエチレン(MDPE)材料;低密度ポリエチレン(LDPE)材料;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標)もしくはPebaSlix(登録商標)など);エラストマー;合成ゴム;弾性率約40 ksiのポリエチレン材料、ポリウレタン材料、もしくはポリカーボネート材料;クラック耐性材料;または摩擦係数の低い材料のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0036】
上述したように、本開示のデュアルハブイントロデューサシースは、カテーテル式医療デバイス(第一医療デバイスおよび第二医療デバイスなど)がイントロデューサシースの管腔内を通り抜けることを容易にするよう設計される。本発明の技術のいくつかの局面において、第一医療デバイスは機械的循環補助デバイスであり、かつ第二医療デバイスは患者に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を提供するための冠再灌流療法デバイスである。これらのPCI手技は、遠位左前下行枝(LAD)内に送達される冠動脈ステントの使用を伴ってもよい。そうした冠動脈ステントの例には、いずれもBoston Scientific, Marlborough, MAによる、プラチナクロム製ベアメタル冠動脈ステントPromus PREMIER(商標)およびREBEL(商標)、ならびに、生体吸収性ポリマー製ステントSYNERGY(商標)が含まれるが、それに限定されるわけではない。本発明の技術のいくつかの局面において、機械的循環補助デバイスは、カニューレと、ローターと、ローターハウジングとを有する回転式血液ポンプを含んでもよい。そうした血液ポンプの例には、Impella(登録商標)ポンプ、体外膜型酸素供給(ECMO)ポンプ、およびバルーンポンプが含まれるが、それに限定されるわけではない。Impella(登録商標)ポンプはさらに、いずれもDanvers, MAのAbiomed, Inc.による、Impella 2.5(登録商標)ポンプ、Impella 5.0(登録商標)ポンプ、Impella CP(登録商標)ポンプ、またはImpella LD(登録商標)ポンプを具備してもよい。
【0037】
本発明の技術のいくつかの局面において、第一医療デバイスおよび第二医療デバイスは、例えば参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる米国特許出願第16/244,998号に説明されている、心筋梗塞の処置において左心室を負荷軽減する方法など、PCIと経皮的心室補助デバイスとが同時に用いられる手技において、上記に説明したデュアルハブイントロデューサシースとともに用いられてよい。
【0038】
図6に、本発明の技術の諸局面に基づく、上記に説明したいずれかのイントロデューサシースなどのデュアルハブイントロデューサシースを用いる例示的な方法600を図示する。方法600は、上述の
図1~5に描写した例示的なシステムに関して説明する。デュアルハブイントロデューサシースを用いる前に、患者の動脈切開内にシース210がポジショニングされる(
図6には示していない)。シース210を患者に挿入する前に、上述したハブ220のコネクタポート270などであるハブのコネクタポートが、上述したシース210の端部212などであるイントロデューサシースの近位端に連結される。本発明の技術のいくつかの局面において、患者体内への挿入前に、シースの管腔内に、
図2および3に示した拡張器280などの拡張器が挿入されてもよい。拡張器は、シースのみでは貫通することが難しい患者身体の領域においてシースのポジショニングを補助する。挿入されたら、シースの管腔から拡張器が除去される。
【0039】
段階610において、第一医療デバイス140がデュアルハブ220の第一アーム230内に挿入される。ここで、第一医療デバイス140は第一止血弁238に押し通され、そしてコネクタポート270に向かってハブ220を通り抜ける。第一医療デバイス140と同様に、段階620において、第二医療デバイス160が第二アーム250内の第二止血弁258に押し通され、その後同じくコネクタポート270に向かってハブ220を通り抜ける。段階630において、第一および第二医療デバイスがハブ220のコネクタポート270を介してシース210の管腔に提供される。段階640において、シース210の遠位端214から出るまで第一および第二医療デバイスをシース210の長さに沿って押すことによって、デバイスが患者の動脈切開内に送達される。
【0040】
患者の動脈切開内の所定のポジションになったら、患者を処置するために望ましいやりかたで医療デバイスを用いることができる。本発明の技術のいくつかの局面において、デュアルハブイントロデューサシースは、
図7の例示的な方法700に示すように、患者の左心室を負荷軽減するために用いられてもよい。そうしたケースにおいて、第一医療デバイス140は機械的循環補助デバイスであってもよく、そして第二医療デバイス160は患者に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を提供するための冠再灌流療法デバイスであってもよい。
図7に関して、段階710において、第一医療デバイス140はシース210の遠位端214から出た後、左心室内の所定のポジションまで進められる。第一医療デバイス140は次に、ハブ220の第一アーム230上に位置するロック機構を介して所定のポジションにロックされてもよい。すでに論じたように、そうしたロック機構は、Tuohy-Borstアダプタ、膨張可能バルーン、およびロック用レバーアームのいずれか1つを含んでもよい。段階720において、30分間を超える補助時間にわたって左心室内で機械的循環デバイスが作動される。本発明の技術のいくつかの局面において、機械的循環デバイスは2.5 L/分の血流で作動されてもよい。段階730において、第二医療デバイス160が患者の冠血管内にポジショニングされる。前述したように、第二医療デバイス160も次に、ハブ220の第二アーム250上に位置するロック機構を介して所定のポジションにロックされてもよい。段階740において、補助時間の経過後、上述したようにPCIデバイスを介して冠血管に再灌流療法が適用される。再灌流療法は、機械的循環デバイスの作動と平行して行われてもよく、または機械的循環デバイスの作動後に行われてもよい。
【0041】
本発明の技術のいくつかの局面において、
図6および7の方法600および700に関して上述したさまざまな段階が、異なる順序で、かつ/または互いに同時に、行われてもよい。さらに、望ましいのであれば、上述した段階のうち1つまたは複数が任意的であってもよく、または組み合わされてもよい。
【0042】
以上の説明は本発明の技術の原理を例示することを意図したものにすぎない。そうであるから、本明細書に説明するデバイスおよび方法は、限定ではなく例示の目的で提示される本説明の実施形態以外でも実施されうる。理解されるべき点として、本明細書に開示するシステム、デバイス、および方法は、ある一定の手技に関して説明されているが、患者の脈管構造に複数のアクセス部位を作り出すことなく患者の動脈切開にアクセスすることが望ましい、任意の文脈において適用されてよい。加えて、本開示の諸特徴は、本明細書に説明する1つまたは複数の他の特徴との、任意の組み合わせまたは下位組み合わせ(複数の従属的な組み合わせおよび下位組み合わせを含む)において実施されてもよい。以上に説明または例証したさまざまな特徴は、そのコンポーネントも含めて、他のシステムに組み合わせまたは統合されてもよい。さらに、本発明の技術の精神から逸脱することなく、ある一定の特徴が省略されるかまたは実施されなくてもよい。
【国際調査報告】