(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】抗IL12/IL23抗体組成物を生成するための製造方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/46 20060101AFI20220428BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220428BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220428BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20220428BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220428BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20220428BHJP
【FI】
C07K16/46
A61K39/395 J ZNA
A61P37/02
C12P21/08
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555211
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 IB2020052247
(87)【国際公開番号】W WO2020183418
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】バーントハウス,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ガングリー,サビネイ
(72)【発明者】
【氏名】フルーネフェルト,マールテン
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,ジュニア.,マニュアル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ネドベド,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ケビン ディー.
【テーマコード(参考)】
4B064
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE10
4B064CE12
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB18
4C085CC05
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA22
4H045FA74
(57)【要約】
CHOにおいて抗IL-12/IL-23p40抗体、例えば、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブを生成するための製造方法、及び抗体の特定の医薬組成物は、様々な疾患の治療に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)と、(ii)配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列と、(iii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列とからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離された抗IL-12/IL-23p40抗体であって、
前記抗IL-12/IL-23p40抗体は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)で発現される、
前記抗IL-12/IL-23p40抗体。
【請求項2】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%及び総荷電オリゴ糖種<1.0%を含む、請求項1に記載の抗IL-12/IL-23p40抗体。
【請求項3】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、個々の中性オリゴ糖種G0F>70.0%、GIF<20.0%、及びG2F<5.0%を更に含む、請求項2に記載の抗IL-12/IL-23p40抗体。
【請求項4】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)エレクトロフェログラムのピーク3面積%は>70.0%である、請求項2に記載の抗IL-12/IL-23p40抗体。
【請求項5】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は換算質量分析(RMA)によって測定される、ジシアル化グリカン種を含まない、請求項2に記載の抗IL-12/IL-23p40抗体。
【請求項6】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体は、Sp2/0細胞で発現される同一のアミノ酸重鎖及び軽鎖配列を有する抗IL-12/IL-23p40抗体と比較して、半減期が長い、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗IL-12/IL-23p40抗体。
【請求項7】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体はフォローオンバイオロジックスを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗IL-12/IL-23p40抗体。
【請求項8】
(i)配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)と、(ii)配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列と、(iii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列とからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗IL-12/IL-23p40抗体を生成するための製造方法であって、
a、抗IL-12/IL-23p40抗体をコードするヌクレオチドを用いてチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)を培養するステップと、
b、前記CHO細胞で前記抗IL-12/IL-23p40抗体を発現させるステップと、
c、前記抗IL-12/IL-23p40抗体を精製するステップと
を含む、前記製造方法。
【請求項9】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%及び総荷電オリゴ糖種<1.0%を含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、個々の中性オリゴ糖種G0F>70.0%、GIF<20.0%、及びG2F<5.0%を更に含む、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)エレクトロフェログラムのピーク3面積%は>70.0%である、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は換算質量分析(RMA)によって測定される、ジシアル化グリカン種を含まない、請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体はSp2/0細胞で発現される同一のアミノ酸重鎖及び軽鎖配列を有する抗IL-12/IL-23p40抗体と比較して、半減期が長い、請求項8~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体はフォローオンバイオロジックスである、請求項8~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
(i)配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)と、(ii)配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列と、(iii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列とからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、抗IL-12/IL-23p40抗体を含む組成物であって、前記抗IL-12/IL-23p40抗体は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)で発現される、前記組成物。
【請求項16】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%及び総荷電オリゴ糖種<1.0%を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、個々の中性オリゴ糖種G0F>70.0%、GIF<20.0%、及びG2F<5.0%を更に含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)エレクトロフェログラムのピーク3面積%は>70.0%である、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定される、ジシアル化グリカン種を含まない、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体は、Sp2/0細胞で発現される同一のアミノ酸重鎖及び軽鎖配列を有する抗IL-12/IL-23p40抗体と比較して、半減期が長い、請求項15~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体はフォローオンバイオロジックスである、請求項15~19のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、2020年3月5日付で作成された「JBI6056WOPCT1SEQLIST.txt」というファイル名のASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出され、14000バイトのサイズを有する配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、抗IL12/IL23p40抗体、例えば、抗IL12/IL23p40抗体ウステキヌマブを生成するための製造方法、及び抗体の特定の医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン(Interleukin、IL)-12は、2つのジスルフィド結合グリコシル化タンパク質サブユニット(それらのおおよその分子量のためにp35及びp40と表記される)から構成される、分泌されるヘテロ二量体サイトカインである。IL-12は主に抗原提示細胞によって産生され、T細胞又はナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞の表面上に発現される2鎖受容体複合体に結合することによって細胞性免疫を促進する。IL-12受容体β-1(IL-12Rβ1)鎖は、IL-12のp40サブユニットに結合し、IL-12とその受容体との間の一次相互作用をもたらす。しかしながら、細胞内シグナル伝達(例えば、STAT4リン酸化)及び受容体保有細胞の活性化を付与するのは、第2のレセプター鎖IL-12Rβ2のIL-12p35ライゲーションである(Presky et al,1996)。抗原提示と並行するIL-12シグナル伝達は、インターフェロンγ(IFN-γ)産生を特徴とするTヘルパー1(Th1)表現型に向けて、T細胞分化を引き起こすと考えられる(Trinchieri,2003)。Th1細胞は、いくつかの細胞内病原体に対する免疫を促進し、補結抗体アイソタイプを生成し、腫瘍免疫監視に寄与すると考えられる。これにより、IL-12は、宿主防御免疫機構にとって重要な構成要素であると考えられる。
【0004】
IL-12のp40タンパク質サブユニットはまた、p19と表記される別個のタンパク質サブユニットと会合して、新たなサイトカインIL-23を形成し得ることが発見された(Oppman,et al2000)。IL-23も2鎖受容体複合体を通してシグナル伝達する。p40サブユニットは、IL-12とIL-23との間で共有されるため、IL-12Rβ1鎖はIL-12とIL-23との間でも共有されることになる。しかしながら、IL-23特異的細胞内シグナル伝達(例えば、STAT3リン酸化)及びその後のT細胞によるIL-17産生を付与するのは、IL-23受容体複合体IL-23Rの第2の構成要素のIL-23p19ライゲーションである(Parhamら(2002年)、Aggarwalら(2003年))。最近の研究は、IL-23の生物学的機能とIL-12の生物学的機能は、これら2つのサイトカイン間の構造的類似性にもかかわらず、異なることを示した(Langrish et al,2005)。
【0005】
抗体によるIL-12の中和が、乾癬、多発性硬化症(multiple sclerosis、MS)、関節リウマチ、炎症性腸疾患、インスリン依存性(1型)真性糖尿病、及びブドウ膜炎の動物モデルの処置において有効であるため、IL-12及びTh1細胞集団の異常な制御は、多くの免疫媒介性疾患に関連付けられている(Leonardら(1995年)、Hong et al,1999、Malfait et al,1998年、Davidson et al,1998年)。IL-12はまた、全身性エリテマトーデスの2つの独立したマウスモデルにおいてSLEの病因において重要な役割を果たすことも示されている(Kikawada et al.2003、Dai et al.2007)。
【0006】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、ほとんど全ての器官系に影響を及ぼし得る未知の病因の複雑で慢性の不均質な自己免疫疾患であり、漸増及び漸減疾患過程に従う。全身性エリテマトーデスは、男性よりも女性ではるかに頻繁に発症し、いくつかの研究では最大で9倍より頻繁に発症し、15歳~45歳の妊娠可能年齢で現れることが多い。この疾患は、アフリカ系カリブ人、アジア系、及びヒスパニック系集団においてより多く見られる。SLEでは、免疫系は、身体の細胞及び組織を攻撃し、結果として、心臓、関節、皮膚、肺、血管、肝臓、腎臓、及び神経系を害し得る炎症並びに組織損傷をもたらす。対象の約半分は、器官を脅かす疾患を示すSLEと診断されるが、器官関与を示さない対象を診断するのに数年を要する場合がある。新たに診断されたループス患者の主な症状のいくつかは、不整脈(62%)及び皮膚症状(新たな光過敏症;20%)、その後に続く持続性発熱及び倦怠感である。推定されるループスの年間の発生率は、100,000人当たり1.8~7.6症例まで様々であり、世界中の有病率は、100,000人当たり14~172症例の範囲である。軽度の疾患を有する患者は、主に皮膚発疹及び関節痛を有し、非積極的療法を必要とする。レジメンとしては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、又はキナクリン)、及び/又は低用量コルチコステロイドが挙げられる。より重度の疾患患者は、潜在的な腎不全、心内膜炎若しくは心筋炎、肺炎、妊娠合併症、脳卒中、神経学的合併症、血管炎、及び出血又は感染症の関連するリスクを伴う血球減少症を含む、関与する器官系に応じて、様々な重篤な状態を経験し得る。より重篤な疾患に対する一般的な治療としては、メトトレキサート(MTX)、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、高用量コルチコステロイド、生物学的B細胞細胞傷害剤、又はB細胞調節因子、及び他の免疫調節剤が挙げられる。深刻なSLEを有する患者は、10~30年の寿命の短縮を有し、主に、疾患の、標準的な治療療法の、及び/又は加速性アテローム性動脈硬化症の合併症に起因する。加えて、SLEは、生活の質、仕事の生産性、及び医療費に実質的な影響を及ぼす。SLEの既存の療法は、概して、細胞毒性又は免疫調節性のいずれかであり、顕著な安全性リスクを有し得る。SLEのためのより新しい治療は、標準的な治療療法をわずかに超える利益しか提供していない。したがって、高い安全性リスクを負うことなく、この疾患において有意な利益を提供することができる新たな代替的な治療に対する、大きな未解決の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡単にするために、参照により本明細書に組み込まれる、本明細書に添付の独立及び従属請求項によって、本発明の実施形態がそれぞれ定義される。本発明の様々な態様の他の実施形態、特徴、及び長所は、添付の図面に関連付けられる以下の発明を実施するための形態から明らかになる。
【0008】
特定の実施形態において、本発明は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)において発現される抗IL-12/IL-23p40抗体を提供する。本発明によって定義される「抗IL-12/IL-23p40抗体」は、(i)配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)と、(ii)配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列と、(iii)チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)において発現される配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列、を有する抗体を含む。
【0009】
特定の実施形態において、抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、及び総荷電オリゴ糖種<1.0%、を含む。他の実施形態では、(i)抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、総荷電オリゴ糖種<1.0%、及び個々の中性オリゴ糖種G0F>70.0%、G1F<20.0%、及びG2F<5.0%を含む。(ii)オリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、及び総荷電オリゴ糖種<1.0%を含み、抗IL-12/IL-23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)エレクトロフェログラムのピーク3面積%は、>70.0%である。(iii)抗IL-12/IL-23p40抗体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は換算質量分析(RMA)によって測定される、ジシアル化グリカン種を含まない。(iv)抗IL-12/IL-23p40抗体は、Sp2/0細胞で発現される抗IL-12/IL-23p40抗体と比較して半減期が長い。及び/又は(v)抗IL-12/IL-23p40抗体は、ウステキヌマブ(Janssen Biotech,Inc.からStelara(登録商標)として販売)のフォローオンバイオロジックス(規制当局の承認及び/又はウステキヌマブで生成されたデータに依存する抗体)である。
【0010】
特定の実施形態において、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を生成するための製造方法を提供し、この方法は、a.チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)の培養と、b.CHO細胞における抗IL-12/IL-23p40抗体の発現と、c.抗IL-12/IL-23p40抗体の精製とを含み、(i)抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、及び総荷電オリゴ糖種<1.0%を含む。(ii)抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、総荷電オリゴ糖種<1.0%、並びに個々の中性オリゴ糖種G0F>70.0%、G1F<20.0%、及びG2F<5.0%を含む。(iii)オリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、及び総荷電オリゴ糖種<1.0%を含み、並びに抗IL-12/IL-23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)エレクトロフェログラムのピーク3面積%は、>70.0%である。(iv)抗IL-12/IL-23p40抗体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は換算質量分析(RMA)によって測定される、ジシアル化グリカン種を含まない。(v)抗IL-12/IL-23p40抗体は、Sp2/0細胞で発現される抗IL-12/IL-23p40抗体と比較して半減期が長く、及び/又は(vi)抗IL-12/IL-23p40抗体は、ウステキヌマブのフォローオンバイオロジックスである。
【0011】
特定の実施形態において、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を含む組成物を提供し、(i)抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、及び総荷電オリゴ糖種<1.0%を含む。(ii)抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、総荷電オリゴ糖種<1.0%、並びに個々の中性オリゴ糖種G0F>70.0%、G1F<20.0%、及びG2F<5.0%を含む。(iii)オリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、及び総荷電オリゴ糖種<1.0%を含み、抗IL-12/IL-23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)エレクトロフェログラムのピーク3面積%は、>70.0%である。(iv)抗IL-12/IL-23p40抗体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は換算質量分析(RMA)によって測定される、ジシアル化グリカン種を含まない。(v)抗IL-12/IL-23p40抗体は、Sp2/0細胞で発現される抗IL-12/IL-23p40抗体と比較して半減期が長く、及び/又は(vi)抗IL-12/IL-23p40抗体は、ウステキヌマブのフォローオンバイオロジックスである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ウステキヌマブ製造プロセスの10段階の概要を示す図である。
【
図2】インプロセス制御とプロセス監視テストを含む、前培養及び増殖ステップの段階1の製造プロセスのフロー図を示す図である。
【
図3】インプロセス制御とプロセス監視テストを含む、段階2の製造プロセスのステップのフロー図を示す図である。
【
図4】Sp2/0細胞において産生されたウステキヌマブのオリゴ糖分析の代表的なHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図5】Sp2/0細胞において産生されたウステキヌマブのIRMA分析の代表的なデコンボリューションされたマススペクトルを示す図である。
【
図6】Sp2/0細胞で発現されたウステキヌマブの代表的なcIEFエレクトロフェログラムプロファイルを示す図である。cIEFピークと減少する負電荷/シアル化度との全般的な関係を表す図も示され、ピークA、B、1、2、3、及びCにラベルが付けられている。
【
図7】ウステキヌマブIgGの主要なN-結合型オリゴ糖種のいくつかの概要を示す図である。グリコシル化成熟プロセスにおけるいくつかの酵素の役割及びいくつかの二価カチオン(例えば、補因子としてのMn2+及びGalTIの阻害剤としてのCu2+)の役割も示されている(例えば、BiotechnolBioeng.2007 Feb 15;96(3):538-49;Curr Drug Targets.2008 Apr;9(4):292-309;J Biochem Mol Biol.2002 May 31;35(3):330-6を参照)。末端シアル酸を含む種(S1及びS2)は荷電種であり、末端シアル酸を欠く種(G0F、G1F、及びG2F)は中性種であるが、荷電種の生成は、GalT1酵素によって追加されたG1F、及びG2Fのガラクトースの存在に依存することに注意されたい。
【
図8】CHO細胞において産生されたウステキヌマブのオリゴ糖分析の代表的なHPLCクロマトグラムを示す図である。ハッシュマークは、分析ソフトウェアによって識別されたベースラインを超える全てのピークを示し、ラベル付きの括弧は、全中性、全荷電、及びモノシアル化オリゴ糖種を表すピークの群を示す。
【
図9】CHO細胞で発現されたウステキヌマブの代表的なcIEFエレクトロフェログラムプロファイルを示す図である。cIEFピークと、減少する負電荷/シアル化度との全般的な関係を表す図も示され、ピーク1、2、3、及びCにラベルが付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用するとき、「抗IL-12抗体」、「抗IL-23抗体」、「抗IL-12/23p40抗体」、「抗IL-12/IL-23p40抗体」、「IL-12/23p40抗体」、「IL-12/IL-23p40抗体」、「「抗体部分」、若しくは「抗体フラグメント」、及び/又は「抗体変異体」などは、本発明の抗体の中に組み込むことができる、重鎖若しくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)若しくはそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、重鎖若しくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、又はこれらの任意の部分、又はIL-12及び/若しくはIL-23受容体又は結合タンパク質の少なくとも一部分などであるがこれらに限定されない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含む分子を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。かかる抗体は、任意選択的に、特定のリガンドに更に影響を及ぼし、限定されないが、かかる抗体は、インビトロで、その場で、かつ/又はインビボで、少なくとも1つのIL-12/23活性若しくは結合、又はIL-12/23受容体活性若しくは結合を、調節、減少、増加、拮抗、作動、軽減、緩和、遮断、阻害、抑止、及び/又はそれに干渉する。非限定的な例として、本発明の好適な抗IL-12/23p40抗体、特定された部分、又は変異体は、少なくとも1つのIL-12/23分子、又はその特定された部分、変異体若しくはドメインに結合することができる。好適な抗IL-12/23p40抗体、特定された部分、又は変異体はまた、任意選択的に、RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、IL-12/23放出、IL-12/23受容体シグナル伝達、膜IL-12/23切断、IL-12/23活性、IL-12/23産生、及び/又は合成などであるが、これらに限定されない、IL-12/23活性又は機能のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすこともできる。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「抗体」又は「複数の抗体」は、2009年のバイオロジクス価格競争・イノベーション法(BPCI Act)並びに同様の世界的な法律及び規則で承認されたバイオシミラー抗体分子を含む。BPCI Actの下で、抗体は、臨床的に不活性な成分のわずかな違いにもかかわらず、基準品と「非常に類似」しており、安全性、純度、効力の点で基準品と同等の臨床結果が得られると「期待される」ことをデータが示す場合、バイオシミラーであることが実証され得る(Endocrine Practice:February 2018,Vol.24,No.2,pp.195-204)。これらのバイオシミラー抗体分子は、短縮された承認経路を提供し、それにより、出願人は、法的な承認を確保するために、イノベーターの基準品の臨床データに依存している。臨床試験の成功に基づいてFDAに承認されたオリジナルのイノベーター基準抗体と比較して、バイオシミラー抗体分子は、本明細書では、「フォローオンバイオロジックス」と呼ばれる。本明細書に提示されるように、STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)は、臨床試験の成功に基づいてFDAに承認されたオリジナルのイノベーター基準抗IL-12/IL-23p40抗体である。ウステキヌマブは、2009年から米国で販売されている。
【0015】
用語「抗体」は、抗体模倣薬を含む、あるいは単鎖抗体及びそのフラグメントなどといった抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分又はその特定フラグメント若しくは一部分を含む、抗体、その消化フラグメント、特定された部分、及び変異体を包含することを更に意図する。機能フラグメントとしては、哺乳類のIL-12/23に結合する抗原結合フラグメントが挙げられる。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還元による)及びF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元及び再集合による)、Fv又はscFv(例えば、分子生物学的技術による)フラグメントが挙げられるがこれらに限定されない、IL-12/23又はその部分に結合することができる抗体フラグメントが、本発明に包含される(例えば、上記のColligan,Immunologyを参照のこと)。
【0016】
かかるフラグメントは、当該技術分野において既知であるような、及び/又は本明細書に記載のような、酵素による切断、合成又は組換え技術により生成することができる。抗体はまた、1つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、様々な切断型で生成することができる。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコード化する遺伝子の組み合わせは、重鎖のCH1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコード化するDNA配列を含むよう設計することができる。抗体の様々な部分を従来の技術により化学的に結合でき、又は遺伝子工学技術を用いて隣接タンパク質(contiguous protein)として調製できる。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「ヒト抗体」は、実質的にタンパク質の全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ(VL、VH))が軽微な配列の変化又は変異だけでヒトにおいて実質的に非免疫原性である抗体を指す。「ヒト抗体」はまた、ヒト生殖細胞系列型免疫グロブリン配列に由来する抗体でも、又はそれに厳密に一致する抗体であってもよい。ヒト抗体は、生殖細胞系列型免疫グロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロにおけるランダムな若しくは部位特異的な変異の導入により、又はインビボにおける体細胞突然変異により導入された変異)を含んでもよい。多くの場合、これは、ヒト抗体がヒトにおいて実質的に非免疫原性であることを意味する。ヒト抗体は、それらのアミノ酸配列の類似性に基づいたグループに分類されている。したがって、配列類似性検索を使用して、類似の直鎖配列を有する抗体を、ヒト抗体を作り出すためのテンプレートとして選択することができる。同様に、名称に霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジー等)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター等)及び他の哺乳類を含む抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、及び科の特異的抗体を指定する。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含み得る。かかる変化又は変異は、任意選択的にかつ好ましくは、改変していない抗体に比べて、ヒト又は他の種における免疫原性を保持するか又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは異なる。
【0018】
ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる、非ヒトの動物、又は原核若しくは真核細胞により生成され得ることが指摘される。その上、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然のヒト抗体ではみられないリンカーペプチドを含み得る。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含み得る。かかるリンカーペプチドはヒト由来のものと見なされる。
【0019】
本発明の方法及び組成物において有用である抗IL-12/23p40抗体(IL-12/23p40抗体とも称される)(又はIL-23に対する抗体)は、任意選択的に、IL-12/23p40(又はIL-23)への高親和性結合、及び任意選択的にかつ好ましくは低毒性を有することを特徴とし得る。具体的には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々の構成要素が、個々に及び/又は集合的に、任意選択的にかつ好ましくは、低い免疫原性を有する、本発明の抗体、その特定されたフラグメント、又はバリアントが本発明において有用である。本発明で使用することができる抗体は、症状の測定可能な緩和並びに低い及び/又は許容できる毒性を備えて、長期間患者を治療する能力をもとに、任意選択的を特徴とし得る。低い若しくは許容できる免疫原性、及び/又は高い親和性、並びに他の好適な特性が、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、治療される患者の約75%未満、若しくは好ましくは約50%未満で有意にHAHA、HACA若しくはHAMA応答が増加する、及び/又は治療される患者において低い力価(二重抗原酵素イムノアッセイで測定したとき約300未満、好ましくは約100未満)が増加することとして定義される(Elliott et al,Lancet 344:1125-1127(1994)、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。また、「低い免疫原性」は、治療期間中の推奨療法経過の間、推奨用量で治療される患者の25%未満、好ましくは治療される患者の10%未満で発生するとき、抗IL-12抗体で治療される患者における抗IL-12抗体に対する滴定レベルの抗体の発生率としても定義することができる。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「ヒト抗体」は、実質的にタンパク質の全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、及びCH3)、ヒンジ(VL、VH))が軽微な配列の変化又は変異だけで実質的にヒトにおいて非免疫原性である抗体を指す。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)、及びその他の哺乳類動物を指定された抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、及び科に特異的な抗体を指す。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含む。かかる変化又は変異は、任意選択的にかつ好ましくは、改変していない抗体に比べて、ヒト又は他の種における免疫原性を保持するか又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは異なる。ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる、非ヒトの動物、又は原核若しくは真核細胞により生成され得ることが指摘される。その上、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然のヒト抗体ではみられないリンカーペプチドを含み得る。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含み得る。かかるリンカーペプチドはヒト由来のものと見なされる。
【0021】
また、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル、好ましくはヒト又はヒト化抗体である、二重特異的(例えば、DuoBody(登録商標))、異種特異的、異種結合性、又は類似の抗体を使用してもよい。二重特異的抗体の製造方法は、当該技術分野において既知である。従来、二重特異的抗体の組換え体生成は、2種の免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づき、2本の重鎖は異なる特異性を有する(Milstein and Cuello、Nature、305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の可能な混合物を生成し、これらのうち1種のみが正しい二重特異的構造を有する。通常、親和性クロマトグラフィー工程によって行われる正しい分子の精製は、生成物の収率が低くて手間がかかり得るため、二重特異性抗体の生成を促進するための異なる手法が開発されている。
【0022】
完全長二重特異性抗体は、例えば、インビトロでの無細胞環境において又は共発現を使用して、異なる特異性を有する2つの抗体半分子のヘテロ二量体形成に好都合になるように各半分子における重鎖CH3界面に置換を導入することによって、2つの一特異性二価抗体間でのFabアーム交換(又は半分子交換)を使用して生成され得る。Fabアーム交換反応は、ジスルフィド結合異性化反応及びCH3ドメインの解離-会合の結果である。親単一特異性抗体のヒンジ領域における重鎖ジスルフィド結合は減少する。親単一特異性抗体のうち1つの得られた遊離システインは、第2の親単一特異性抗体分子のシステイン残基と重鎖内ジスルフィド結合を形成し、同時に、親抗体のCH3ドメインは、解離-会合により解放及び再形成する。FabアームのCH3ドメインは、ホモ二量体形成よりヘテロ二量体形成を好むように改変されてもよい。得られた生成物は、それぞれ異なるエピトープに結合することができる、2つのFabアーム又は半分子を有する二重特異性抗体である。
【0023】
本明細書で使用されるとき、「ホモ二量体形成」は、同一のCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖の相互作用を意味する。本明細書で使用されるとき、「ホモ二量体」は、同一のCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖を有する抗体を意味する。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「ヘテロ二量体形成」は、同一でないCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖の相互作用を意味する。本明細書で使用されるとき、「ヘテロ二量体」は、同一でないCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖を有する抗体を意味する。
【0025】
「ノブインホール(knob-in-hole)」戦略(例えば、国際公開第2006/028936号を参照のこと)を使用して、完全長二重特異性抗体を生成することができる。簡潔に、ヒトIgGにおけるCH3ドメインの界面を形成する選択されたアミノ酸は、ヘテロ二量体形成を促進するために、CH3ドメイン相互作用に影響を及ぼす位置において変異され得る。小さな側鎖を有するアミノ酸(ホール)が、第1の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入され、大きな側鎖を有するアミノ酸(ノブ)が、第2の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入される。2つの抗体の共発現後に、ヘテロ二量体が、「ホール」を有する重鎖と「ノブ」を有する重鎖との優先的な相互作用の結果として形成される。ノブ及びホールを形成する例示的なCH3置換の対は、T366Y/F405A、T366W/F405W、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T366W/T394S、F405W/T394S、及びT366W/T366S_L368A_Y407Vである(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾された位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾された位置として表す)。
【0026】
他の戦略、例えば、1つのCH3表面における正に荷電した残基及び第2のCH3表面における負に荷電した残基を置換することによる静電的相互作用を使用する重鎖ヘテロ二量体形成の促進が、米国特許出願公開第2010/0015133号、同第2009/0182127号、同第2010/028637号又は同第2011/0123532号に記載されるように使用されてもよい。他の戦略では、ヘテロ二量体形成は、米国特許出願公開第2012/0149876号又は同第2013/0195849号に記載されるように、次の置換:L351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、又はT350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394W(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾された位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾された位置として表す)により促進することができる。
【0027】
上述された方法に加えて、二重特異性抗体は、国際公開第2011/131746号に記載される方法に従って、インビトロでの無細胞環境において、2つの単一特異的ホモ二量体抗体のCH3領域中に非対称な突然変異を導入し、ジスルフィド結合を異性化させる還元条件下において、2つの親単一特異性ホモ二量体抗体から二重特異性ヘテロ二量体抗体を形成することにより生成され得る。この方法において、第1の単一特異性二価抗体及び第2の単一特異性二価抗体は、ヘテロ二量体の安定性を促進するCH3ドメインにおいてある特定の置換を有するように改変されるが、これらの抗体は、ヒンジ領域におけるシステインがジスルフィド結合を異性化させるために十分な還元条件下において共にインキュベーションされ、それにより、Fabアーム交換により二重特異性抗体が生成される。インキュベート条件は、最適には、非還元条件に戻され得る。使用され得る例示的な還元剤は、2-メルカプトエチルアミン(2-MEA)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、グルタチオン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、L-システイン、及びベータ-メルカプトエタノールであり、好ましくは、2-メルカプトエチルアミン、ジチオスレイトール、及びトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンからなる群から選択される還元剤である。例えば、少なくとも20℃の温度で、少なくとも25mMの2-MEAの存在下又は少なくとも0.5mMのジチオスレイトールの存在下で、pH5~8、例えばpH7.0又はpH7.4で、少なくとも90分間のインキュベートを用いることができる。
【0028】
用語「有効性」及び「有効な」とは、用量、投与レジメン、治療又は方法の文脈において本明細書で使用するとき、特定の用量、投与、治療レジメンの有効性を意味する。有効性は、本発明の薬剤に応答した、疾患の経過中の変化に基づいて測定され得る。例えば、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体(例えば、抗IL12/23p40抗体ウステキヌマブ)は、治療される障害の重篤度を反映する少なくとも1つの指標において改善、好ましくは持続的な改善を引き起こすのに十分な量及び時間で、対象に対して投与される。その治療の量及び時間が十分であるかどうかを判定するために、対象の病気、疾患又は病状の程度を反映する様々な指標が評価され得る。かかる指標には例えば、疾患重篤度、症状、又は対象となっている障害の発現についての、臨床的に認識されている指標が含まれる。改善度は全体的に医師により決定され、医師はこの決定を、徴候、症状、生検、又は他の検査結果に基づいて行うことができ、また対象に対して行うアンケート、例えば所与の疾患に関して開発された生活の質に関するアンケートなどを採用することもできる。
【0029】
「安全」という用語は、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体(例えば、抗IL12/23p40抗体ウステキヌマブ)による用量、投与レジメン、治療又は方法に関する場合、リスク面の有利を指す。標準治療又は別の比較薬と比べて、治療下で発現した有害事象(adverse event、AE又はtreatment-emergent adverse event、TEAEと称される)の許容可能な頻度及び/又は許容可能な重症度を伴う、良好なリスク:利益比を指す。有害事象とは、医薬品を投与された患者における好ましくない医療上の出来事である。特に、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体による用量、投与レジメン又は治療に関連する安全性は、有害事象が抗IL12/23p40又は抗IL23抗体の使用による可能性がある、可能性が高い、又は非常に高いと考えられる場合、抗体の投与に関連する有害事象の許容される頻度及び/又は許容される重症度を指す。
【0030】
有用性
本発明の単離された核酸は、細胞、組織、器官、又は動物(哺乳動物及びヒトを含む)において測定し、又は作用して、免疫障害若しくは疾患、心血管障害若しくは疾患、感染性、悪性及び/若しくは神経性障害又は疾患、あるいは他の既知の若しくは特定のIL-12/23関連状態のうちの少なくとも1つから選択されるがこれらに限定されない、少なくとも1つのIL-12/23状態の診断、監視、調節、治療、緩和、発生を予防するのを助ける、又はその症状を低減するために使用され得る、少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体又はその特定された変異体を産生するために使用され得る。
【0031】
かかる方法は、症状、作用、又は機序のかかる調節、処置、緩和、予防、若しくは低減を必要としている細胞、組織、器官、動物、又は患者に、少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を含む有効な量の組成物又は医薬組成物を投与することを含み得る。有効な量は、本明細書に記載のように、又は関連分野で既知のように、既知の方法を使用して行い決定するとき、単回(例えば、ボーラス)、複数回、若しくは持続投与当たり約0.001~500mg/kgの量、又は単回、複数回、若しくは持続投与当たり0.01~5000μg/mLの血清中濃度を達成する量、又はこの中の任意の有効範囲若しくは値を含んでもよい。
【0032】
引用文献
本明細書で引用する全ての刊行物又は特許は、具体的な指定の有無にかかわらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本発明の時点での先行技術を示し、かつ/又は本発明の説明及び実施可能性を提供する。刊行物とは、電子形式若しくは印刷形式で記録されたものを全て含む任意のメディア形式で利用可能な、任意の科学刊行物若しくは特許公報又は任意の他の情報を指す。以下の文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる:Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley&Sons,NY,NY,(1997-2001)。
【0033】
本発明の抗体-産生及び生成
本発明の方法において使用される少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)は、任意選択的に、当該技術分野において周知の細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって産生することができる。例えば、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley&Sons,NY,NY,(1997-2001)を参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0034】
好ましい抗IL-12/23p40抗体は、配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列と、配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列とを有し、かつ配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列とを有するウステキヌマブ(STELARA(登録商標))である。好ましい抗IL-23抗体は、グセルクマブ(CNTO1959とも称される)である。他の抗IL-23抗体は本明細書に列挙される配列を有し、全容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,935,344号に記載されている。
【0035】
ヒトIL-12/23p40若しくはIL-23タンパク質又はそのフラグメントに特異的なヒト抗体は、単離されたIL-12/23p40タンパク質、IL-23タンパク質、及び/又はそれらの一部分(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適切な免疫原性抗原に対して生じ得る。他の特異的な又は全般的な哺乳動物の抗体も同様に生じ得る。免疫原性をもつ抗原の調製及びモノクローナル抗体の生成は、任意の好適な技術を使用して行うことができる。
【0036】
1つのアプローチでは、好適な不死細胞株(例えば、限定されないが、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、L243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL-60、MLA144、NAMALWA、NEURO 2Aなどの骨髄腫細胞株、又はヘテロミローマス、その融合産物、又はそれに由来する任意の細胞若しくは融合細胞、又は当該技術分野において既知の任意の他の好適な細胞株)(例えば、www.atcc.org、www.lifetech.comなどを参照されたい)を、限定されないが、単離された又はクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺、又は他の免疫若しくはB細胞含有細胞などの抗体産生細胞、あるいは内因性又は異種核酸として、組換え若しくは内因性、ウイルス、細菌、藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚、哺乳類、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、単一、二重若しくは三重鎖、ハイブリダイズなど、又はそれらの任意の組み合わせとしてのいずれかで、重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変、又はフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意の他の細胞と融合することによりハイブリドーマを産生する。例えば、上記のAusubel、及び上記のColligan,Immunologyの第2章を参照されたい。なお両文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
抗体産生細胞はまた、目的の抗原で免疫化されたヒト又は他の好適な動物の末梢血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることもできる。任意の他の好適な宿主細胞を使用して、本発明の抗体、特定されたフラグメント又はそのバリアントをコードする異種核酸若しくは内在核酸を発現させることもできる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、選択的培養条件又は他の好適な既知の方法を使用して単離し、限界希釈若しくは細胞選別又は他の既知の方法によってクローニングすることができる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、好適なアッセイ(例えばELISA)によって選択することができる。
【0038】
ペプチド又はタンパク質ライブラリから組換え抗体を選択する(例えば、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライブラリであるがこれらに限定されない、例えば、Cambridge antibody Technologies,Cambridgeshire,UK、MorphoSys,Martinsreid/Planegg,DE、Biovation,Aberdeen,Scotland,UK、BioInvent,Lund,Sweden、Dyax Corp.,Enzon,Affymax/Biosite、Xoma,Berkeley,CA、Ixsys。例えば、欧州特許第368,684号、国際出願PCT/GB91/01134号、国際出願PCT/GB92/01755号、国際出願PCT/GB92/002240号、国際出願PCT/GB92/00883号、国際出願PCT/GB93/00605号、米国特許出願公開第08/350260号(5/12/94)、国際出願PCT/GB94/01422号、国際出願PCT/GB94/02662号、国際出願PCT/GB97/01835号、(CAT/MRC)、国際公開第90/14443号国際公開第90/14424号、国際公開第90/14430号、国際出願PCT/US94/1234号、国際公開第92/18619号、国際公開第96/07754号(Scripps)、国際公開第96/13583号、国際公開第97/08320号(MorphoSys)、国際公開第95/16027号(BioInvent)、国際公開第88/06630号、国際公開第90/3809号(Dyax)、米国特許第4,704,692号(Enzon)、国際出願PCT/US91/02989号(Affymax)、国際公開第89/06283号、欧州特許第371998号、欧州特許第550400号、(Xoma)、欧州特許第229046号、国際出願PCT/US91/07149号(Ixsys)、又は確率論的に生成されるペプチド若しくはタンパク質-米国特許第5723323号、同第5763192号、同第5814476号、同第5817483号、同第5824514号、同第5976862号、国際公開第86/05803号、欧州特許第590 689号(Ixsys、適用された分子進化(Applied Molecular Evolution)(AME)前身、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)か、又は当該技術分野において既知であり、かつ/又は本明細書に記載される、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫化に依存する(例えば、SCIDマウス、Nguyen et al.,Microbiol.Immunol.41:901-907(1997)、Sandhu et al.,Crit.Rev.Biotechnol.16:95-118(1996)、Eren et al.,Immunol.93:154-161(1998)(各々は、参照により全体が組み込まれる)、並びに関連する特許及び出願)方法を含むがこれらに限定されない、必要な特異性の抗体を生成又は単離する他の好適な方法を使用することができる。かかる技術には、リボソームディスプレイ(Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4937-4942(May 1997)、Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:14130-14135(Nov.1998))、単一細胞抗体生成技術(例えば、選択リンパ球抗体方法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wen et al.,J.Immunol.17:887-892(1987)、Babcook et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843-7848(1996))、ゲルマイクロドロップレット及びフローサイトメトリー(Powell et al.,Biotechnol.8:333-337(1990)、One Cell Systems,Cambridge,MA、Gray et al.,J.Imm.Meth.182:155-163(1995)、Kenny et al.,Bio/Technol.13:787-790(1995)、B細胞選択物(Steenbakkers et al.,Molec.Biol.Reports 19:125-134(1994)、Jonak et al.,Progress Biotech,Vol.5,In Vitro Immunization in Hybridoma Technology,Borrebaeck,ed.,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam,Netherlands(1988))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
非ヒトの抗体又はヒト抗体を工学的処理又はヒト化する方法も同様に使用でき、当該技術分野において周知である。概して、ヒト化抗体又は改変抗体は、非ヒト、例えば、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、非ヒトの霊長類、又は別の哺乳動物の供給源からの1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトのアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれる残基により置き換えられる。かかる「インポート」残基は、典型的には既知のヒト配列の「インポート」可変ドメイン、定常ドメイン、又は他のドメインから得られる。
【0040】
既知のヒトIg配列が開示されており、例えば、
www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi;
www.ncbi.nih.gov/igblast;
www.atcc.org/phage/hdb.html;
www.mrc-cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php;
www.kabatdatabase.com/top.html;ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat、
www.sciquest.com;
www.abcam.com;
www.antibodyresource.com/onlinecomp.html;
www.public.iastate.edu/~pedro/research_tools.html;
www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm;
www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab;
www.path.cam.ac.uk/~mrc7/mikeimages.html;
mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html;
www.immunologylink.com;pathbox.wustl.edu/~hcenter/index.html、
www.appliedbiosystems.com;
www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody;
www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhito/Elisa.html;
www.biodesign.com;
www.cancerresearchuk.org;
www.biotech.ufl.edu;
www.isac-net.org;baserv.uci.kun.nl/~jraats/links1.html、
www.recab.uni-hd.de/immuno.bme.nwu.edu;
www.mrc-cpe.cam.ac.uk;
www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html;http://
www.bioinf.org.uk/abs;antibody.bath.ac.uk、
www.unizh.ch;
www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s;
www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html;
www.path.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.html;
www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html;
www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html;
www.jerini.de;
Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)であり、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
かかるインポートされた配列は、免疫原性を低減させるため、あるいは、当該技術分野において既知のように、結合、親和性、結合速度定数、解離速度定数、結合活性、特異性、半減期、又は任意の他の好適な特性を低減、増強又は改変するために使用することができる。概して、CDR残基は、抗原結合に直接的にかつほとんど実質的に影響する。したがって、非ヒトのCDR配列又はヒトCDR配列の一部又は全てを維持しつつ、可変領域及び定常領域の非ヒトの配列を、ヒトのアミノ酸又は他のアミノ酸に置き換えることもできる。
【0042】
抗体は、任意選択的に、ヒト化されてもよく、又はヒト抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の有利な生物学的特性を保持させたまま改変され得る。この目的を達成するためには、任意選択的に、親配列及びヒト化配列の3次元モデルを使用して親配列及び様々な理論上のヒト化産物を解析するプロセスによって、ヒト化(又はヒト)抗体を調製することができる。3次元の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された免疫グロブリン配列候補について可能性の高い3次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムを利用可能である。これらの表示を調べることにより、免疫グロブリン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの解析、すなわち免疫グロブリン候補の抗原結合能に影響する残基の解析が可能となる。このようにして、標的抗原(複数可)に対する親和性の増強などといった望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート配列からフレームワーク(FR)残基を選択し組み合わせることができる。
【0043】
加えて、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列軽鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、軽鎖生殖系列配列は、A1、A10、A11、A14、A17、A18、A19、A2、A20、A23、A26、A27、A3、A30、A5、A7、B2、B3、L1、L10、L11、L12、L14、L15、L16、L18、L19、L2、L20、L22、L23、L24、L25、L4/18a、L5、L6、L8、L9、O1、O11、O12、O14、O18、O2、O4、及びO8を含むが、これらに限定されない、ヒトVK配列から選択される。ある特定の実施形態では、軽鎖ヒト生殖系列フレームワークは、V1-11、V1-13、V1-16、V1-17、V1-18、V1-19、V1-2、V1-20、V1-22、V1-3、V1-4、V1-5、V1-7、V1-9、V2-1、V2-11、V2-13、V2-14、V2-15、V2-17、V2-19、V2-6、V2-7、V2-8、V3-2、V3-3、V3-4、V4-1、V4-2、V4-3、V4-4、V4-6、V5-1、V5-2、V5-4、及びV5-6から選択される。
【0044】
他の実施形態では、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列重鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、この重鎖ヒト生殖系列フレームワークは、VH1-18、VH1-2、VH1-24、VH1-3、VH1-45、VH1-46、VH1-58、VH1-69、VH1-8、VH2-26、VH2-5、VH2-70、VH3-11、VH3-13、VH3-15、VH3-16、VH3-20、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-33、VH3-35、VH3-38、VH3-43、VH3-48、VH3-49、VH3-53、VH3-64、VH3-66、VH3-7、VH3-72、VH3-73、VH3-74、VH3-9、VH4-28、VH4-31、VH4-34、VH4-39、VH4-4、VH4-59、VH4-61、VH5-51、VH6-1、及びVH7-81から選択される。
【0045】
特定の実施形態では、軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域は、フレームワーク領域、又はフレームワーク領域の少なくとも一部分(例えば、FR2及びFR3などの2又は3つの小領域を含む)を含む。ある特定の実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、完全ヒトである。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、完全ヒトである。いくつかの実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列(上述の既知のヒトIg配列の供給源で容易に入手可能である)を含む。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列を含む。好ましい実施形態では、フレームワーク領域は、完全なヒトフレームワーク領域である。
【0046】
本発明の抗体のヒト化又は工学的処理は、Winter(Jones et al.,Nature 321:522(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988))、Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993)、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987)、Carter et al.,Proc.Natl.Acad.SCi.U.S.A.89:4285(1992)、Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)、米国特許第5723323号、同第5976862号、同第5824514号、同第5817483号、同第5814476号、同第5763192号、同第5723323号、同第5,766886号、同第5714352号、同第6204023号、同第6180370号、同第5693762号、同第5530101号、同第5585089号、同第5225539号、同第4816567号、国際出願PCT/:US98/16280号、US96/18978号、US91/09630号、US91/05939号、US94/01234号、GB89/01334号、GB91/01134号、GB92/01755号、国際公開第90/14443号、同第90/14424号、同第90/14430号、欧州特許第229246号(各々、参照により全体が明細書に組み込まれ、その中に引用される文献を含む)に記載されるものなどであるがこれらに限定されない、任意の既知の方法を使用して行うことができる。
【0047】
特定の実施形態において、抗体は、変更された(例えば、変異を導入された)Fc領域を含む。例えば、いくつかの実施形態において、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を低減又は増強するために変更されている。いくつかの実施形態において、Fc領域は、IgM、IgA、IgG、IgE、又は他のアイソタイプから選択されるアイソタイプである。あるいは、又は加えて、アミノ酸修飾と、IL-23結合分子のFc領域のC1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害性機能を変更する1つ以上の更なるアミノ酸修飾とを組み合わせることが有用であり得る。特に注目の出発ポリペプチドは、C1qに結合するものであってもよく、補体依存性細胞毒性(CDC)を示すものである。既存のC1q結合活性を有し、任意選択的に、CDCを介在する能力を更に有するポリペプチドは、これらの活性のうちの1つ又は両方が増進するように、修飾されてもよい。C1qを変更する、かつ/又はその補体依存性細胞傷害機能を修飾するアミノ酸修飾は、例えば、国際公開第0042072号に記載され、参照により本明細書に組み入れる。
【0048】
上記に開示されるように、例えば、C1q結合及び/又はFcγR結合を修飾し、それにより、補体依存性細胞毒性(CDC)活性及び/又は抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)活性を変化させることによって、変更されたエフェクター機能を有する本発明のヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体のFc領域を設計することができる。「エフェクター機能」は、(例えば、対象における)生物活性を活性化又は低減させる役割を果たす。エフェクター機能の例として、これらに限定されるものではないが、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。かかるエフェクター機能は、Fc領域が、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合することを必要とする場合があり、多種多用な試験法(例えば、Fc結合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイなど)を使用して評価することができる。
【0049】
例えば、改善されたC1q結合及び改善されたFcγRIII結合を有する(例えば、改善されたADCC活性及び改善されたCDC活性の両方を有する)ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体の変異体Fc領域を生成することができる。あるいは、エフェクター機能を低減又は除去することが所望される場合、変異体Fc領域は、CDC活性を低減させるよう及び/又はADCC活性を低減させるよう改変することができる。他の実施形態において、これらの活性の1つだけが増強されてもよく、任意選択的に、同時に他の活性が低減されてもよい(例えば、改善されたADCC活性と低減されたCDC活性を有するFc領域変異体、及びこの逆のFc領域変異体を生成するため)。
【0050】
Fc変異は、胎児性Fc受容体(FcRn)との相互作用を変更し、それらの薬物動態特性を改善するように遺伝子を操作して、導入することもできる。FcRnへの結合を改善したヒトFc変異体の収集が、説明されている(Shields et al.,2001)。FcγRI、FcγRII,、FcγRIII,、及びFcRnのヒトIgG1上の結合部位の高解像度マッピング、並びにFcγRへの結合が改善されたIgG1変異体の設計、(J.Biol.Chem.276:6591-6604)。
【0051】
別の種類のアミノ酸置換は、ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体のFc領域のグリコシル化パターンを変更するのに役立つ。Fc領域のグリコシル化は、典型的には、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付加を指す。O結合型グリコシル化は、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用される可能性があるが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの付着を指す。アスパラギン側鎖ペプチド配列への炭水化物部分の酵素的付加のための認識配列は、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンであり、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。このため、ポリペプチド中にこれらのいずれかのペプチド配列が存在すると、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。
【0052】
グリコシル化パターンは、例えば、ポリペプチドに見出される1つ以上のグリコシル化部位(複数可)を欠失させること、及び/又はポリペプチド中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することによって変更され得る。ヒトIL-23特異的抗体のFc領域へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変更することによって首尾よく達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。例示的なグリコシル化変異体は、重鎖の残基Asn297のアミノ酸置換を有する。この変更は、元のポリペプチド配列への1つ以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれらによる置換によって行われてもよい(O結合型グリコシル化部位の場合)。加えて、Asn 297をAlaに変更すると、グリコシル化部位の1つを除去することができる。
【0053】
ある特定の実施形態では、本発明のヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、GnT IIIがGlcNAcをヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体に付加するように、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnT III)を発現する細胞において発現される。かかる様式で抗体を産生するための方法は、国際公開第9954342号、同第03011878号、特許公開第20030003097(A1)号、及びUmana et al.,Nature Biotechnology,17:176-180,Feb.1999に提供されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0054】
ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体はまた、任意選択的に、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知であるように、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫化により生成することもできる。ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を産生する細胞を、かかる動物から単離し、本明細書に記載される方法などの好適な方法を使用して不死化してもよい。
【0055】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリーを生成することができるトランスジェニックマウスは、既知の方法によって生成することができる(例えば、これらに限定されないが、Lonbergらに発行された米国特許第5,770,428号、同第5,569,825号、同第5,545,806号、同第5,625,126号、同第5,625,825号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、及び同第5,789,650号、Jakobovitsらの国際公開第98/50433号、Jakobovitsらの国際公開第98/24893号、Lonbergらの国際公開第98/24884号、Lonbergらの国際公開第97/13852号、Lonbergらの国際公開第94/25585号、Kucherlapateらの国際公開第96/34096号、Kucherlapateらの欧州特許第0463151(B1)号、Kucherlapateらの欧州特許第0710719(A1)号、Suraniらの米国特許第5,545,807号、Bruggemannらの国際公開第90/04036号、Bruggemannらの欧州特許第0438474(B1)号、Lonbergらの欧州特許第0814259(A2)号、Lonbergらのイギリス特許第2272440(A)号、Lonberg et al.Nature 368:856-859(1994)、Taylor et al.,Int.Immunol.6(4)579-591(1994),Green et al,Nature Genetics 7:13-21(1994)、Mendez et al.,Nature Genetics 15:146-156(1997)、Taylor et al.,Nucleic Acids Research 20(23):6287-6295(1992)、Tuaillon et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90(8)3720-3724(1993)、Lonberg et al.,Int Rev Immunol 13(1):65-93(1995)、及びFishwald et al.,Nat Biotechnol 14(7):845-851(1996)、これらは、参照により各全体が本明細書に組み込まれる)。概して、これらのマウスは、機能的に再構成された、又は機能的な再構成を受けることができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAを含む、少なくとも1つの導入遺伝子を含む。かかるマウスの内因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させて、当該マウスの、内因性遺伝子によりコードされている抗体の産生能を除去することができる。
【0056】
類似のタンパク質又はフラグメントへの特異的結合についての抗体のスクリーニングは、ペプチドディスプレイライブラリを使用して首尾よく達成することができる。この方法は、望ましい機能又は構造をもつ個々のメンバーについてペプチドの大規模コレクションをスクリーニングすることを含む。ペプチドディスプレイライブラリの抗体スクリーニングは当該技術分野において周知である。ディスプレイされたペプチド配列の長さは、3~5000個以上のアミノ酸であり、頻繁には5~100個のアミノ酸長、多くは約8~25個のアミノ酸長であり得る。ペプチドライブラリを作成する直接化学合成法に加えて、いくつかの組換えDNA方法も記述されている。1つのタイプには、バクテリオファージ又は細胞の表面上でのペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージ又は細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含有する。かかる方法は、国際出願公開第91/17271号、同第91/18980号、同第91/19818号、及び同第93/08278号に記載されている。
【0057】
ペプチドライブラリを作成するための他のシステムは、生体外での化学合成法及び組換え法の両方の態様を有する。国際出願公開第92/05258号、同第92/14843号、及び同第96/19256号を参照されたい。また、米国特許第5,658,754号及び同第5,643,768号も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリ、ベクター、及びスクリーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad,CA)及びCambridge antibody Technologies(Cambridgeshire,UK)のような供給元から市販されている。例えば、Enzonに譲渡された米国特許第4704692号、同第4939666号、同第4946778号、同第5260203号、同第5455030号、同第5518889号、同第5534621号、同第5656730号、同第5763733号、同第5767260号、同第5856456号、Dyaxに譲渡された米国特許第5223409号、同第5403484号、同第5571698号、同第5837500号、Affymaxに譲渡された米国特許第5427908号、同第5580717号、Cambridge antibody Technologiesに譲渡された米国特許第5885793号、Genentechに譲渡された米国特許第5750373号、Xomaに譲渡された米国特許第5618920号、同第5595898号、同第5576195号、同第5698435号、同第5693493号、同第5698417号、上記のColligan、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。なお、上記特許及び刊行物の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
本発明の方法に使用される抗体はまた、かかる抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を使用して調製することもできる。かかる動物は、既知の方法を使用して準備することができる。例えば、これらに限定されないが、米国特許第5,827,690号、同第5,849,992号、同第4,873,316号、同第5,849,992号、同第5,994,616号、同第5,565,362号、同第5,304,489号などを参照されたい(それらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0059】
本発明の方法に使用される抗体は、植物部分又はそれから培養された細胞において、かかる抗体、特定された部分、又は変異体を産生するトランスジェニック植物及び培養された植物細胞(例えば、タバコ及びトウモロコシであるが、これらに限定されない)を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を使用して更に調製することができる。非限定的な例として、例えば、誘導プロモーターを用い、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉をうまく使用して大量の組換えタンパク質が提供されてきた。例えば、Cramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95-118(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において生成されるタンパク質又は天然資源から精製されるタンパク質に等しい生物学的活性を有する哺乳動物タンパク質を、商業生成レベルで発現するために使用されてきた。例えば、Hood et al.,Adv.Exp.Med.Biol.464:127-147(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。抗体はまた、単鎖抗体(scFv)などの抗体フラグメントを含む、タバコ種子及びポテト塊茎などといったトランスジェニック植物の種子からも大量に産生されてきた。例えば、Conrad et al.,Plant Mol.Biol.38:101-109(1998)及びその中で引用される文献を参照されたい。したがって、本発明の抗体はまた、既知の方法に従って、トランスジェニック植物を使用して産生することもできる。例えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99-108(Oct.,1999),Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522-7(1995)、Ma et al.,Plant Physiol.109:341-6(1995)、Whitelam et al.,Biochem.Soc.Trans.22:940-944(1994)、及びその中で引用される文献も参照されたい。上記文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0060】
本発明の方法において使用される抗体は、広範囲にわたる親和性(KD)でヒトIL-12/23p40又はIL-23に結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意選択的に、高い親和性でヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。例えば、ヒトmAbは、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23を約10-7M以下、例えば、限定されないが、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)X10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値などのKDで結合することができる。
【0061】
抗原に対する抗体の親和性又は結合活性は、任意の好適な方法を用いて実験により求めることができる。(例えば、Berzofsky,et al.,「Antibody-Antigen Interactions,」In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,NY(1992)、及び本明細書に記載される方法を参照されたい)。特定の抗体抗原相互作用について測定される親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に異なり得る。したがって、親和性及び他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、好ましくは、抗体及び抗原の標準溶液、並びに本明細書で記載される緩衝剤などの標準緩衝剤を用いて行われる。
【0062】
核酸分子
本明細書に開示される他の配列の中でも、例えば、本明細書に記載される軽鎖若しくは重鎖可変又はCDR領域のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸の少なくとも70~100%をコード化するヌクレオチド配列、特定されたフラグメント、変異体若しくはそれらのコンセンサス配列、又はこれらの配列のうちの少なくとも1つを含む寄託ベクターなどの本明細書に提供される情報を使用して、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をコード化する本発明の核酸分子を、本明細書に記載されるか、又は当該技術において既知の方法を使用して得ることができる。
【0063】
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNA若しくは任意の他の形態のようなRNAの形態、又はクローニングにより得られる若しくは合成的に生成されるcDNA及びゲノムDNAが挙げられるがこれらに限定されないDNAの形態、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。DNAは、3本鎖、2本鎖若しくは1本鎖、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。DNA又はRNAの少なくとも1本の鎖の任意の部分は、センス鎖としても知られるコード鎖であってもよいし、又はアンチセンス鎖と呼ばれる、非コード鎖であってもよい。
【0064】
本発明の方法に使用される単離された核酸分子は、任意選択的に1つ以上のイントロンを有するオープンリーディングフレーム(open reading frame、ORF)、例えば、限定されないが、少なくとも1つの重鎖若しくは軽鎖のCDR1、CDR2、及び/又はCDR3などの、少なくとも1つのCDRの少なくとも1つの特定された部分を含む核酸分子、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体又は可変領域のコード配列を含む核酸分子、並びに上述の核酸分子とは実質的に異なるが、遺伝子コードの縮重により、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知である少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をなおコード化するヌクレオチド配列を含む核酸分子を含み得る。当然のことながら、遺伝子コードは、当該技術分野において周知である。したがって、当業者には、本発明の方法に使用される特異的な抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をコード化する、かかる変性核酸変異体を生成することは、日常的であるだろう。例えば、上記のAusubelらを参照されたく、かかる核酸変異体は、本発明に含まれる。単離された核酸分子の非限定的な例としては、それぞれ、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、及びLC CDR3をコード化する核酸が挙げられる。
【0065】
本明細書に記載されるように、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をコード化する核酸を含む核酸分子としては、それ自体で抗体フラグメントのアミノ酸配列をコード化するもの、抗体の全長若しくは抗体の一部をコードする配列、抗体、フラグメント若しくは部分のコード配列、並びに追加の配列、例えば、少なくとも1つのイントロンなど、前述の追加のコード配列を伴って、又は伴わずに、非コード5’及び3’配列、例えば、スプライシング及びポリアデニル化シグナル(例えば、mRNAのリボソーム結合及び安定性)を含む、転写、mRNAプロセシングにおいて役割を果たす転写された非翻訳配列を含むがこれに限定されない、追加の非コード配列と共に、少なくとも1つのシグナルリーダー若しくは融合ペプチドのコード配列、追加のアミノ酸、例えば、追加の機能を提供するアミノ酸をコードする追加のコード配列を挙げることができるが、これらに限定されない。したがって、抗体をコードする配列はマーカー配列に融合させることができ、例えば、当該マーカー配列は、これを融合させた抗体断片又は部分を含む抗体の精製を促進するペプチドをコードする配列である。
【0066】
本明細書に記載のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本発明の方法は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドに対して、選択的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離された核酸を使用する。したがって、本実施形態のポリヌクレオチドは、かかるポリヌクレオチドを含む核酸を単離、検出、及び/又は定量するために使用することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドを使用して、寄託されたライブラリにおける部分長又は完全長クローンを同定、単離、又は増幅することができる。いくつかの実施形態においては、ポリヌクレオチドは、単離された、又はそうでなければヒト若しくは哺乳動物の核酸ライブラリからのcDNAに相補的な、ゲノム配列又はcDNA配列である。
【0067】
好ましくは、cDNAライブラリは完全長配列の少なくとも80%、好ましくは完全長配列の少なくとも85%又は90%、より好ましくは完全長配列の少なくとも95%を含む。このcDNAライブラリは、稀な配列の発現量を増大させるよう正規化することができる。相補配列に対する配列同一性が低い配列を使用する、低又は中ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件が典型的なものであるが、これに限定されない。同一性がより高い配列には、任意選択的に、中及び高ストリンジェンシーの条件を使用することができる。低ストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性をもつ配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、オーソロガス又はパラロガス配列を同定するために利用できる。
【0068】
任意選択的に、ポリヌクレオチドは、抗体の少なくとも一部分をコード化する。ポリヌクレオチドは、本発明の抗体をコード化するポリヌクレオチドに対する選択的ハイブリダイゼーションに利用することができる核酸配列を包含する。例えば、上記のAusubel、上記のColliganを参照されたい。各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
核酸の構築
単離された核酸は、当該技術分野において周知のように、(a)組換え方法、(b)合成技術、(c)精製技術、及び/又は(d)これらの組み合わせを使用して作製することができる。
【0070】
核酸には、本発明のポリヌクレオチドに加えて、都合よく配列を含ませることができる。例えば、1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニングサイトを核酸に挿入して、ポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。また、翻訳可能な配列を挿入して、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。例えば、ヘキサヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製するのに便利な手段を提供する。本発明の核酸(コード配列を除く)は、任意選択的に、本発明のポリヌクレオチドのクローニング及び/又は発現のためのベクター、アダプター、又はリンカーである。
【0071】
かかるクローニング配列及び/又は発現配列に追加の配列を付加して、クローニング及び/又は発現におけるそれらの機能を最適化すること、ポリヌクレオチドの単離に役立てること、又は細胞へのポリヌクレオチドの導入を改善することができる。クローン化ベクター、発現ベクター、アダプター、及びリンカーの使用は、当該技術分野において周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0072】
核酸を構築するための組換え方法
RNA、cDNA、ゲノムDNA、又はこれらの任意の組み合わせなどの単離された核酸組成物は、当業者に既知の任意の数のクローニング方法を用いて生物源から得ることができる。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが、cDNA又はゲノムDNAライブラリ内の望ましい配列の同定に使用される。RNAの単離、並びにcDNA及びゲノムライブラリの構築は、当業者には周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0073】
核酸のスクリーニング及び単離方法
本明細書に開示されているものなど、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチドの配列に基づいたプローブを使用して、cDNA又はゲノムライブラリをスクリーニングすることができる。プローブを使用して、ゲノムDNA又はcDNA配列にハイブリダイズさせて、同じ又は異なる生体の相同遺伝子を単離することができる。当業者であれば、アッセイに様々な度合のハイブリダイゼーションストリンジェンシーを用いることができ、ハイブリダイゼーション又は洗浄媒質のいずれかをストリンジェントなものにできることは明らかであろう。ハイブリダイゼーション条件がストリンジェントになるほど、二重鎖の形成が生じる際のプローブと標的との間の相補性の度合が大きくなるはずである。ストリンジェンシーの程度は、温度、イオン強度、pH、及びホルムアミドのような部分的に変性する溶媒の存在のうちの1つ以上によって制御され得る。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、0%~50%の範囲内でのホルムアミド濃度の操作により反応溶液の極性を変えることにより首尾よく変更される。検出可能な結合に必要とされる相補性(配列同一性)の程度は、ハイブリダイゼーション媒質及び/又は洗浄媒質のストリンジェンシーによって異なる。相補性の程度は、最適には100%、又は70~100%、又はその中の任意の範囲若しくは値である。しかしながら、プローブ及びプライマー中の配列のわずかな違いは、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄媒質のストリンジェンシーを低減させることで埋め合わせることができることを理解すべきである。
【0074】
RNA又はDNAの増幅方法は当該技術分野において周知であり、本明細書で紹介する教示及び指針に基づいて、過度の実験なしに、本発明に従って使用可能である。
【0075】
DNA又はRNA増幅の既知の方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び関連する増幅プロセス(例えば、Mullisらの米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,965,188号、Taborらの米国特許第4,795,699号及び同第4,921,794号、Innisの米国特許第5,142,033号、Wilsonらの米国特許第5,122,464号、Innisの米国特許第5,091,310号、Gyllenstenらの米国特許第5,066,584号、Gelfandらの米国特許第4,889,818号、Silverらの米国特許第4,994,370号、Biswasの米国特許第4,766,067号、Ringoldの同第4,656,134号を参照されたい)、及び2本鎖DNA合成のためのテンプレートとして標的配列に対してアンチセンスRNAを使用するRNA媒介増幅(Malekらの米国特許第5,130,238号、商標名NASBA)が挙げられるが、これらに限定されない(これらの文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0076】
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して、ゲノムDNA又はcDNAライブラリから直接、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチド及び関連する遺伝子の配列を増幅することができる。PCR及び他のインビトロ増幅方法はまた、例えば、発現すべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングすること、サンプル中の所望のmRNAの存在を検出するため、核酸の配列決定のため、又は他の目的のためのプローブとして用いる核酸を作製することに関し有用であり得る。生体外での増幅方法によって当業者を導くのに十分な技術の例は、上記のBerger、上記のSambrook、及び上記のAusubel、並びにMullisらの米国特許第4,683,202号(1987)、及びInnis,et al.,PCR Protocols A Guide to Methods and Applications,Eds.,Academic Press Inc,San Diego,CA(1990)にみられる。ゲノムPCR増幅用の市販キットは当該技術分野において既知である。例えば、Advantage-GC Genomic PCR Kit(Clontech)を参照されたい。加えて、例えば、T4遺伝子32タンパク質(Boehringer Mannheim)を用いて、長いPCR産物の収率を改善することができる。
【0077】
核酸を構築するための合成方法
本発明の方法に使用される単離された核酸はまた、既知の方法による直接化学合成によっても調製可能である(例えば、上記のAusubelらを参照されたい)。化学合成は、概して、相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、又は1本鎖をテンプレートとして使用するDNAポリメラーゼとの重合によって、2本鎖DNAに変換可能な1本鎖オリゴヌクレオチドを生成する。当業者であれば、DNAの化学合成は約100以上の塩基の配列に限定され得るものの、より長い配列は、より短い配列の連結反応によって得ることができることを認識するであろう。
【0078】
組換え発現カセット
本発明は核酸を含む組換え発現カセットを使用する。核酸配列、例えば本発明の方法に使用される抗体をコード化するcDNA又はゲノム配列を使用して、少なくとも1つの所望の宿主細胞に導入することができる組換え発現カセットを構築することができる。組換え発現カセットは、典型的には、意図される宿主細胞においてポリヌクレオチドの転写を導く、転写開始調節配列に操作可能に連結される、ポリヌクレオチドを含む。異種及び非異種(すなわち、内因性)プロモーターの両方を利用して、核酸の発現を導くことができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、プロモーター、エンハンサー、又は他の要素として機能する単離された核酸を、ポリヌクレオチドの発現を上方又は下方調節するために、本発明のポリヌクレオチドの非異種形の適切な位置(上流、下流、又はイントロン内)に導入することができる。例えば、生体内又は生体外で、突然変異、欠失及び/又は置換により、内因性プロモーターを変えることができる。
【0080】
ベクター及び宿主細胞
本発明は、単離された核酸分子を含むベクター、組換えベクターで遺伝子工学処理される宿主細胞、及び当該技術分野において周知である組換え技術による少なくとも1つの抗IL-23抗体の産生にも関する。例えば、上記のSambrookら、上記のAusubelらを参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0081】
ポリヌクレオチドは、任意選択的に、宿主の増殖についての選択マーカーを含有するベクターに結合することができる。概して、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈殿物内、又は荷電脂質との複合体内に導入される。ベクターがウイルスである場合は、適切な包装細胞株を用いて生体外でこれを包装し、その後、宿主細胞内に形質導入することができる。
【0082】
DNA挿入物は、適切なプロモーターに機能的に連結されるべきである。発現コンストラクトは、転写開始部位、転写終結部位、及び転写された領域内では翻訳のためのリボソーム結合部位を更に含む。構築により発現する成熟した転写産物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべきmRNAの最後に適切に位置する開始及び終止コドン(例えば、UAA、UGA、又はUAG)で始まる翻訳を含み、哺乳類又は真核生物細胞の発現ではUAA及びUAGが好ましい。
【0083】
発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカーを含むが、これは任意選択的である。かかるマーカーは、例えば、真核細胞培養のためのメトトレキサート(methotrexate、MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase、DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、マイコフェノール酸又はグルタミンシンセターゼ(GS)(米国特許第5,122,464号;同第5,770,359号、同第5,827,739号)抵抗性遺伝子、並びに大腸菌及び他の細菌又は原核生物における培養のためのテトラサイクリン又はアンピシリン抵抗性遺伝子を含むが、これらに限定されない(上記特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞に対して適切な培養培地及び条件は、当該技術分野において既知である。好適なベクターは、当事者にとって容易に明白となるであろう。宿主細胞へのベクターコンストラクトの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染又は他の既知の方法により影響を受け得る。かかる方法については、上記のSambrook、第1~4章及び第16~18章、上記のAusubel、第1、9、13、15、16章など、当該技術分野において記載されている。
【0084】
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質などの修飾された形態で発現され得、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含み得る。例えば、追加アミノ酸の領域、特に荷電アミノ酸を抗体のN末端に追加して、精製中又は後続の処理及び保存中に、宿主細胞における安定性及び持続性を改善することができる。また、ペプチド部分を本発明の抗体に追加して、精製を促進することもできる。抗体又は少なくとも1つのそのフラグメントの最終調製前に、かかる領域を除去することができる。かかる方法は、上記のSambrook、第17.29~17.42章及び第18.1~18.74章、上記のAusubel、第16、17及び18章など、多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0085】
当業者であれば、本発明の方法に使用されるタンパク質をコード化する核酸の発現に利用可能な多数の発現系について精通している。あるいは、核酸は、抗体をコード化する内因性DNAを含有する宿主細胞内で、(操作により)オン切換えすることにより、宿主細胞中で発現させることができる。このような方法は、例えば、米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されているように、当該技術分野において周知であり、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0086】
抗体、その特定された部分又は変異体の産生にとって有用な細胞は、哺乳動物細胞である。哺乳類細胞系は、細胞の単層の形態で培養されることが多いが、細胞はまた、例えば、振盪フラスコ又はバイオリアクター内の懸濁液中で増殖するように適合させることもできる。無傷なグリコシル化タンパク質を発現可能な多くの好適な宿主細胞株が技術分野において開発されており、これにはCOS-1(例えばATCC(登録商標)CRL1650)、COS-7(例えばATCC(登録商標)CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えばATCC(登録商標)CCL-10)、BSC-1(例えばATCC(登録商標)CCL-26)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeP G2、P3X63Ag8.653、Sp2/0-Ag14、HeLa細胞などが挙げられ、これらは例えば、American Type Culture Collection,Manassas,Va(www.atcc.org)から容易に入手できる。特定の実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞、並びに骨髄腫及びリンパ腫細胞などのリンパ系起源の細胞、例えば、CHO-K1細胞、P3X63Ag8.653細胞(ATCC(登録商標)CRL-1580)及びSp2/0-Ag14細胞(ATCC(登録商標)CRL-1581)が挙げられる。
【0087】
これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモーター(例えば、後期又は初期SV40プロモーター、CMVプロモーター(米国特許第5,168,062号、同第5,385,839号)、HSV tkプロモーター、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモーター、EF-1αプロモーター(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモーター、エンハンサー、及び/又はリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Agポリ付加部位)、並びに転写終結配列などのプロセシング情報部位などであるがこれらに限定されない、発現制御配列のうちの1つ以上を含み得る。例えば、上記のAusubelら、上記のSambrookらを参照されたい。本発明の核酸又はタンパク質の生成に有用な他の細胞は既知であり、並びに/あるいは例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(www.atcc.org)又は他の既知の若しくは商業的供給源から入手可能である。
【0088】
真核宿主細胞が利用されるとき、典型的には、ベクター内にポリアデニル化又は転写終結配列が組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も、同様に含むことができる。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,et al.,J.Virol.45:773-781(1983))。加えて、当該技術分野において既知であるように、宿主細胞内の複製を制御するための遺伝子配列をベクター内に組み込むことができる。
【0089】
CHO細胞株
いくつかの他の哺乳類細胞株の利用可能性にもかかわらず、現在生産されている組換え治療タンパク質の大部分は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で作成されている(Jayapal KPら、Recombinant protein therapeutics from CHO cells-20 years and counting.Chem.Eng.Prog.2007年;103:40-47;Kunert R、Reinhart D.Advances in recombinant antibody manufacturing.Appl Microbiol Biotechnol.2016年;100(8):3451-61を参照)。それらの強みは、例えば、付着細胞又は懸濁液中での堅牢な増殖、無血清及び化学的に定義された培地への適応性、高い生産性、及び治療用組換えタンパク質産生に対する法的な承認の確立された歴史が挙げられる。これらはまた、遺伝子改変が非常に受入容易であり、細胞トランスフェクション、組換えタンパク質発現、クローン選択の方法は十分に特徴付けられる。CHO細胞はまた、ヒトに適合する翻訳後修飾を提供することができる。本明細書で使用するとき、「CHO細胞」としては、例えば、CHO-DG44、CHO-Kl、CHO-M、CHO-S、CHO GSノックアウト、並びにこれらの改変及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
CHO細胞におけるクローニング及び発現。
CHO細胞における発現に一般的に使用される1つのベクターは、pC4である。プラスミドpC4は、プラスミドpSV2-dhfr(ATCC(登録商標)37146)の誘導体である。このプラスミドは、SV40初期プロモーターの制御下でマウスDHFR遺伝子を含有する。これらのプラスミドでトランスフェクトされる、ジヒドロ葉酸活性を欠くチャイニーズハムスター卵巣細胞又はその他の細胞は、化学療法剤メトトレキサートを補充した選択的培地(例えば、α-MEM、Life Technologies、Gaithersburg、MD)中で細胞を増殖させることによって選択することができる。メトトレキサート(MTX)に耐性の細胞におけるDHFR遺伝子の増幅は、十分に文書化されている(例えば、F.W.Alt,et al.,J.Biol.Chem.253:1357-1370(1978)、J.L.Hamlin and C.Ma,Biochem.et Biophys.Acta 1097:107-143(1990)、及びM.J.Page and M.A.Sydenham,Biotechnology 9:64-68(1991)を参照)。増大したMTX濃度において成長した細胞は、DHFR遺伝子の増幅の結果として、標的酵素であるDHFRの過剰生成により、薬物に対する耐性を発達させる。第2の遺伝子がDHFR遺伝子に連結されている場合、通常、共増幅され、過剰発現される。このアプローチを使用して、増幅遺伝子(複数可)の1,000を超えるコピーを有する細胞株を開発することができることが、当該技術分野において知られている。続いて、メトトレキサートを回収する際、宿主細胞の1つ以上の染色体(複数可)に組み込まれた増幅遺伝子を含有する細胞株が得られる。
【0091】
プラスミドpC4は、目的の遺伝子を発現するために、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)の強いプロモーター(Cullen,et al.,Molec.Cell.Biol.5:438-447(1985))に加え、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)の即初期遺伝子のエンハンサー(Boshart,et al.,Cell 41:521-530(1985))から単離された断片を含有する。プロモーターの下流は、遺伝子の組込みを可能にするBamHI、XbaI及びAsp718制限酵素切断部位である。これらのクローニング部位の後に、プラスミドは、ラットプレプロインスリン遺伝子の3’イントロン及びポリアデニル化部位を含有する。他の高効率のプロモーター、例えば、ヒトβアクチンプロモーター、SV40初期若しくは後期プロモーター、又は他のレトロウイルス、例えばHIV及びHTLVIからの長末端反復も発現のために使用することができる。また、ClontechのTet-Off及びTet-On遺伝子発現系、並びに類似の系を使用して、哺乳類細胞において調節された方法で、タンパク質を発現させることができる(M.Gossen,and H.Bujard,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547-5551(1992))。mRNAのポリアデニル化のために、例えば、ヒト成長ホルモン又はグロビン遺伝子からの他のシグナルも使用することができる。染色体に組み込まれた目的の遺伝子を有する安定した細胞株は、gpt、G418又はハイグロマイシンなどの選択マーカーとの共トランスフェクションの際に選択することもできる。最初に1つを超える選択マーカー、例えばG418、に加えてメトトレキサートを使用するのが有利である。
【0092】
抗体の精製
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーが挙げられるがこれらに限定されない、周知の方法により、組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「high performance liquid chromatography、HPLC」)を精製に利用することもできる。例えば、Colligan、Current Protocols in Immunology又はCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY(1997-2001)の、例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたく、各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0093】
本発明の方法に使用される抗体には、天然に精製された産物、化学合成による手法の産物、並びに例えば、酵母、高等植物、昆虫、及び哺乳動物細胞を含む、真核宿主から組換え法により産生された産物が含まれる。組換え産物の手順に利用される宿主に応じて、抗体は、グリコシル化されてもグリコシル化されなくてもよいが、グリコシル化されるのが好ましい。かかる方法は、上記のSambrook、セクション17.37-17.42、上記のAusubel、第10、12、13、16、18、及び20章、上記のColligan,Protein Science、第12~14章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されており、全て参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0094】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体
本発明による抗IL-12/23p40又はIL-23抗体は、抗体に組み込むことができる、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分、例えば、限定されないが、少なくとも1つのリガンド結合部分(ligand binding portion、LBP)、例えば、限定されないが、重鎖若しくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)又はそのリガンド結合部分、重鎖又は軽鎖可変領域、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、FR4、又はそれらのフラグメント、更に任意選択的に、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、重鎖又は軽鎖定常領域(例えば、少なくとも1のCH1、ヒンジ1、ヒンジ2、ヒンジ3、ヒンジ4、CH2、若しくはCH3、又はそれらのフラグメント、更に任意選択的に、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、又はそれらの任意の部分を含む任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類、又はこれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されない、任意の哺乳動物を含むか、又はそれに由来し得る。
【0095】
本発明の方法に使用される単離された抗体は、任意の好適なポリヌクレオチドによってコード化された、本明細書に開示される抗体のアミノ酸配列、又は任意の単離又は調製された抗体を含む。好ましくは、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントは、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、それにより、タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を部分的又は実質的に中和する。少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質又はフラグメントの少なくとも1つの生物学的活性を部分的に又は好ましくは実質的に中和する抗体又はその特定された部分若しくは変異体は、タンパク質又はフラグメントに結合し、それによりIL-12/IL-23p40又はIL-23の、IL-12及び/若しくはIL-23受容体への結合を通して、又は他のIL-12/IL-23p40若しくはIL-23依存性若しくは媒介型機序を通して媒介される活性を阻害することができる。本明細書で使用するとき、「中和抗体」という用語は、アッセイに応じて約20~120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%以上、IL-12/IL-23p40又はIL-23依存活性を阻害することができる抗体を指す。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体がIL-12/IL-23p40又はIL-23依存活性を阻害する能力は、好ましくは、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つの好適なIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質又は受容体アッセイによって評価される。ヒト抗体は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgD等)又はアイソタイプのものであってもよく、カッパ又はラムダ軽鎖を含み得る。一実施形態では、ヒト抗体は、IgG重鎖又は規定されたフラグメント、例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4(例えば、γ1、γγ2、γ3、4)のうちの少なくとも1つのアイソタイプを含む。このタイプの抗体は、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、IgG、IgA、及びIgM)導入遺伝子を含む、トランスジェニックマウス又は他の非ヒトのトランスジェニック哺乳動物を利用することによって調製することができる。別の実施形態において、抗IL-23ヒト抗体は、IgG1重鎖と、IgG1軽鎖とを含む。
【0096】
抗体は、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質、サブユニット、フラグメント、部分、又はこれらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定されたエピトープに結合する。この少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことが可能であり、このエピトープは好ましくは、タンパク質の少なくとも1つの細胞外部分、可溶性部分、親水性部分、外側部分、又は細胞質部分から構成されている。
【0097】
概して、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントは、少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの重鎖可変領域の変異体、及び少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの軽鎖可変領域の変異体を含む抗原結合領域を含む。CDR配列は、ヒト生殖細胞系列型配列に由来するものでも、生殖細胞系列型配列に厳密に一致するものでもよい。例えば、元の非ヒトのCDRに由来する合成ライブラリからのCDRを使用することができる。これらのCDRは、元の非ヒトの配列に由来する保存的置換の組込みによって形成され得る。別の特定の実施形態では、抗体又は抗原結合部分又は変異体は、対応するCDR1、2及び/又は3のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(すなわち、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくとも一部分を含む抗原結合領域を有することができる。
【0098】
かかる抗体は、組換えDNA技術に関する従来技術を使用して抗体をコードする(すなわち、1つ以上の)核酸分子を調製して発現させることによって、又は任意の他の好適な方法を使用することによって、従来技術を使用して抗体の様々な部分(例えば、CDR、フレームワーク)を一緒に化学的に結合させることにより調製できる。
【0099】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体は、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、好ましい実施形態では、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体はまた、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖のうちの少なくとも1つを含むことができる。別の好ましい実施形態では、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖とを有する抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、規定された重鎖又は軽鎖可変領域を含む抗体は、当該技術分野で既知及び/又は本明細書に記載の、ファージディスプレイ(Katsube,Y.,et al.,Int J Mol.Med,1(5):863-868(1998))又はトランスジェニック動物を採用する方法など、好適な方法を使用して調製することができる。例えば、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン重鎖導入遺伝子と、機能的な再構成を受けることが可能なヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座からのDNAを含む導入遺伝子とを含むトランスジェニックマウスを、ヒトIL-12/IL-23p40若しくはIL-23又はそのフラグメントで免疫化して抗体の産生を誘発することができる。所望する場合、抗体産生細胞を単離することができ、本明細書に記載されるように、かつ/又は当該技術分野において既知であるように、ハイブリドーマ又は他の不死化させた抗体産生細胞を調製することができる。あるいは、抗体、特定された部分又はバリアントは、好適な宿主細胞内で、コード核酸又はその一部分を使用して発現させることができる。
【0100】
本発明はまた、本明細書に記載されるアミノ酸配列と実質的に同じである配列中のアミノ酸を含む抗体、抗原結合フラグメント、免疫グロブリン鎖及びCDRにも関する。好ましくは、かかる抗体又は抗原結合フラグメント及びかかる鎖若しくはCDRを含む抗体は、高い親和性(例えば、KDが約10-9M以下)で、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。本明細書に記載されている配列と実質的に同じであるアミノ酸配列としては、保存的アミノ酸置換並びにアミノ酸欠失及び/又は挿入を含む配列が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、第1のアミノ酸のものに類似する化学的及び/又は物理的特性(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸で、第1のアミノ酸を置換することを指す。保存的置換は、限定されないが、1個のアミノ酸を、以下の群内の別のアミノ酸で置き換えることを含む:リジン(K)、アルギニン(R)、及びヒスチジン(H);アスパラギン酸塩(D)及びグルタミン酸塩(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、D、及びE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、及びグリシン(G);F、W、及びY;C、S、及びT。
【0101】
アミノ酸コード
本発明の抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を構成するアミノ酸は、略されることが多い。アミノ酸表記は、その1文字コード、その3文字コード、名称、又は3つのヌクレオチドのコドン(複数可)によりアミノ酸を表記することにより示すことができ、当該技術分野においてよく理解されている(Alberts,B.,et al.,Molecular Biology of The Cell,Third Ed.,Garland Publishing,Inc.,New York,1994を参照されたい)。
【0102】
【0103】
配列
例示的な抗IL-12/IL-23p40抗体配列-STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域重鎖1(CDRH1)のアミノ酸配列:(配列番号1)
TYWLG
【0104】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域重鎖2(CDRH2)のアミノ酸配列:(配列番号2)
IMSPVDSDIRYSPSFQG
【0105】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域重鎖3(CDRH3)のアミノ酸配列:(配列番号3)
RRPGQGYFDF
【0106】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)のアミノ酸配列:(配列番号4)
RASQGISSWLA
【0107】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域軽鎖2(CDRL2)のアミノ酸配列:(配列番号5)
AASSLQS
【0108】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域軽鎖3(CDRL3)のアミノ酸配列:(配列番号6)
QQYNIYPYT
【0109】
抗IL-12/IL-23p40抗体可変重鎖領域のアミノ酸配列(CDRの下線部):(配列番号7)
【0110】
【0111】
抗IL-12/IL-23p40抗体可変軽鎖領域のアミノ酸配列(CDRの下線部):(配列番号8)
【0112】
【0113】
抗IL-12/IL-23p40抗体重鎖のアミノ酸配列(CDRの下線部):(配列番号10)
【0114】
【0115】
抗IL-12/IL-23p40抗体軽鎖のアミノ酸配列(CDRの下線部):(配列番号11)
【0116】
【0117】
アミノ酸配列IL-12
α及びβサブユニットを有するヒトインターロイキン(IL)-12のアミノ酸配列:(配列番号9)
【0118】
【0119】
本発明の方法に使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、本明細書で特定されるように、自然突然変異又はヒトによる操作のいずれかによる、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含み得る。
【0120】
当業者が行い得るアミノ酸置換の数は、上記のものを含む多くの要因に依存する。概して言えば、所与の抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体、フラグメント又は変異体のアミノ酸置換、挿入又は欠失の数は、本明細書で特定されるように、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、例えば、1~30又はこの中の任意の範囲若しくは値を超えない。
【0121】
機能上不可欠である抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体内のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発などの、当該技術分野において既知の方法により特定することができる(例えば、上記のAusubel、第8、15章;Cunningham and Wells,Science 244:1081-1085(1989))。後者の手順では、分子内の各残基ごとに単個のアラニンによる変異を導入する。得られた突然変異分子は、次いで、例えば、限定されないが、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23中和活性などの生物活性について試験される。抗体結合にとって極めて重要である部位もまた、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識などの構造解析によって同定することができる(Smith,et al.,J.Mol.Biol.224:899-904(1992)及びde Vos,et al.,Science 255:306-312(1992))。
【0122】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、10、又は11のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸のうちの5個~全てから選択される、少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0123】
IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体又は特定された部分若しくは変異体としては、上記配列番号の少なくとも3~5個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~17個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~10個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~11個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~7個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~9個の隣接アミノ酸から選択される少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0124】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、更に任意選択的に、上記配列番号5、17、10、11、7、9、119、108、449、又は214個の隣接アミノ酸の70~100%の少なくとも1つのポリペプチドを含むことができる。一実施形態では、免疫グロブリン鎖、又はその一部分(例えば、可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、上記配列番号のうちの少なくとも1つの対応する鎖のアミノ酸配列と、約70~100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、上記配列番号と比較することができ、又は重鎖CDR3のアミノ酸配列を、上記配列番号と比較することができる。好ましくは、70~100%のアミノ酸同一性(すなわち、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)は、当該技術分野において既知であるように、好適なコンピュータアルゴリズムを使用して決定される。
【0125】
当該技術分野において既知のように、「同一性」は、配列を比較することにより決定される、2つ以上のポリペプチド配列間又は2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」はまた、かかる線状の配列間の一致によって決定されるような、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」及び「類似性」は、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991、並びにCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない、既知の方法によって容易に算出することができる。加えて、同一性の割合に関する値は、Vector NTI Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)の構成要素であるAlignXのデフォルト設定を用いて作成される、アミノ酸及びヌクレオチド配列アラインメントから得ることができる。
【0126】
同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致度が得られるように設計される。同一性及び類似性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて成文化(codified)されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法は、GCGプログラム包装(Devereux,J.,et al.,Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Atschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.215:403-410(1990))を含むが、これらに限定されない。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他のソース(BLAST Manual,Altschul,S.,et al.,NCBINLM NIH Bethesda,Md.20894:Altschul,S.,et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)から公的に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用され得る。
【0127】
ポリペプチド配列の比較に好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Biol.48:443-453(1970)比較マトリックス:BLOSSUM62 from Hentikoff and Hentikoff,Proc.Natl.Acad.Sci,USA.89:10915-10919(1992)
ギャップペナルティ:12
ギャップ長ペナルティ:4
これらのパラメータで有用なプログラムは、Genetics Computer Group,Madison Wisからの「ギャップ」プログラムとして公的に入手可能である。前述のパラメータは、ペプチド配列比較のためのデフォルトパラメータ(末端ギャップに関してペナルティがないのと同様に)である。
【0128】
ポリヌクレオチド比較のための好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Biol.48:443-453(1970)
比較マトリックス:一致=+10、ミスマッチ=0
ギャップペナルティ:50
ギャップ長ペナルティ:3
Genetics Computer Group,Madison Wisからの「ギャップ」プログラムとして入手可能。これらは、核酸配列比較のデフォルトパラメータである。
【0129】
例として、ポリヌクレオチド配列は、別の配列と同一であり得る、つまり、100%同一であるか、又は参照配列と比較してある特定の整数までのヌクレオチド変更を含み得る。かかる変更は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、置換(転移及び転換を含む)、又は挿入からなる群から選択され、変更は、参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端位置で、又はこれらの末端位置の間のどこで生じてもよく、参照配列のヌクレオチド間に個々に、又は参照配列内の1つ以上の隣接基のいずれかにおいて点在してもよい。ヌクレオチド変更の数は、配列中のヌクレオチドの総数に、対応する同一性パーセントの数値パーセント(100で割ったもの)を乗じ、その積を配列中のヌクレオチドの総数から差し引くこと、又は、
n.sub.n.ltorsim.x.sub.n-(x.sub.n.y)によって決定され、
式中、n.sub.nはヌクレオチド変更の数であり、x.sub.nは配列中のヌクレオチドの総数であり、yは、例えば、70%に対しては0.70、80%に対しては0.80、85%に対しては0.85、90%に対しては0.90、95%に対しては0.95などであり、x.sub.nとyとの任意の整数ではない積は、x.sub.nから差し引く前に最も近い整数に切り捨てる。
【0130】
上記配列番号をコード化するポリヌクレオチド配列の変更は、このコード配列中にナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異を作り出し、それにより、かかる変更後にポリヌクレオチドによってコード化されるポリペプチドを変更することができる。同様に、ポリペプチド配列は、上記配列番号の参照配列と同一であり得る、つまり、100%同一であるか、又は同一率が100%未満であるように、参照配列と比較してある特定の整数までのアミノ酸変更を含み得る。かかる変更は、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換(保存的及び非保存的置換を含む)、又は挿入からなる群から選択され、変更は、参照ポリペプチド配列のアミノ若しくはカルボキシ末端位置で、又はこれらの末端位置の間のどこで生じてもよく、参照配列のアミノ酸間に個々に、又は参照配列内の1つ以上の隣接基のいずれかにおいて点在してもよい。所与の同一性%のアミノ酸の変更数は、上記配列番号総アミノ酸数にそれぞれの同一性パーセントの数値パーセント(100で除す)を乗じ、その後、その積を上記配列番号の総アミノ酸数から減算することによって、又は
n.sub.a.ltorsim.x.sub.a-(x.sub.a.y)
(式中、n.sub.aは、アミノ酸の変更数であり、x.sub.aは、上記配列番号の総アミノ酸数であり、yは、例えば、70%は0.70、80%は0.80、85%は0.85等であり、x.sub.a及びyの任意の非整数積は、x.sub.aからそれを減算する前に整数単位に四捨五入される)によって決定される。
【0131】
例示的な重鎖及び軽鎖可変領域の配列、並びにそれらの部分は、上記配列番号に示される。本発明の抗体、又はその特定された変異体は、本発明の抗体から任意の数の隣接アミノ酸残基を含むことができ、その数は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体における隣接残基数の10~100%からなる整数の群から選択される。任意選択的に、隣接アミノ酸のこの部分列は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、又はそれ以上のアミノ酸長、又はその中の任意の範囲若しくは値である。更に、かかる部分列の数は、少なくとも2、3、4、又は5などの、1~20からなる群から選択される任意の整数であり得る。
【0132】
当業者には明らかとなるように、本発明には、本発明の少なくとも1つの生物活性のある抗体が含まれている。生物活性抗体は、天然(非合成)、内因性、又は関連する、及び既知の抗体のものの、少なくとも20%、30%、又は40%、好ましくは少なくとも50%、60%、又は70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%、又は95%~100%以上(限定されないが、比活性の最大10倍を含む)の比活性を有する。酵素活性及び基質特異性のアッセイ及び定量測定の方法は、当業者にとって周知である。
【0133】
別の態様では、本発明は、有機部分の共有結合により修飾される、本明細書に記載されるヒト抗体及び抗原結合フラグメントに関する。かかる修飾は、改善された薬物動態特性(例えば、インビボでの血清半減期の増大)を有する抗体又は抗原結合断片を生成することができる。有機部分は、直鎖又は分枝鎖親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であることができる。特定の実施形態では、親水性ポリマー基は、分子量が約800~約120,000ダルトンであって、ポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマー又はポリビニルピロリドンであり得、また、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基は、約8~約40の炭素原子を含み得る。
【0134】
本明細書で定義されるとき、用語「半減期」は、薬物の血漿濃度(例えば、治療用抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ)が、1消失半減期後に半減することを示す。したがって、それぞれの後続の半減期では、より少ない薬物が消失する。1半減期後に体内に残っている薬物の量は50%であり、2半減期後では25%、といった具合である。薬物の半減期は、そのクリアランス及び分布容積に依存する。消失半減期は、体内の薬物の量とは無関係であると考えられる。
【0135】
修飾された抗体及び抗原結合フラグメントは、抗体に直接的又は間接的に共有結合される、1つ以上の有機部分を含み得る。本発明の抗体又は抗原結合フラグメントに結合される各有機部分は、独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であり得る。本明細書で使用するとき、「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸及びジカルボン酸を含む。本明細書で使用するとき、「親水性ポリマー基」という用語は、オクタンよりも水に対する溶解度が高い有機ポリマーを意味する。例えば、ポリリシンは、オクタンよりも水に対する溶解度が高い。よって、ポリリシンの共有結合により修飾された抗体は、本発明に包含される。本発明の抗体を修飾する好適な親水性ポリマーは、直線状又は分岐状であり得、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸など)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、個別の分子体として、約800~約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、PEG5000及びPEG20,000を使用することができ、下付き文字は、ポリマーの平均分子量(ダルトン)である。親水性ポリマー基は、1~約6個のアルキル基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマー類は、好適な方法を利用することによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーを、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボン酸塩に連結させることができ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上の活性化カルボン酸塩(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾールで活性化されている)をポリマー上のヒドロキシル基に連結させることができる。
【0136】
本発明の抗体を修飾するために好適な脂肪酸及び脂肪酸エステルは、飽和されてもよいし、又は1つ以上の不飽和単位を含有してもよい。本発明の抗体を修飾するのに好適な脂肪酸としては、例えば、n-ドデカン酸塩(C12、ラウリン酸塩)、n-テトラデカン酸塩(C14、ミリスチン酸塩)、n-オクタデカン酸塩(C18、ステアリン酸塩)、n-エイコサン酸塩(C20、アラキジン酸塩)、n-ドコサン酸塩(C22、ベヘン酸)、n-トリアコンタン酸塩(C30)、n-テトラコンタン酸塩(C40)、シス-Δ9-オクタデカン酸塩(C18、オレイン酸塩)、全てのシス-Δ5,8,11,14-エイコサテトラエン酸塩(C20、アラキドン酸塩)、オクタンジオン酸、テトラデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、ドコサンジオン酸などが挙げられる。好適な脂肪酸エステルは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を含む、ジカルボン酸のモノエステルを含む。低級アルキル基は、1~約12個、好ましくは1~約6個の炭素原子を含んでもよい。
【0137】
修飾ヒト抗体及び抗原結合フラグメントは、1つ以上の修飾剤と反応させるなど、好適な方法を使用して調製することができる。本明細書で使用されるとき、用語「修飾剤」は、活性化基を含む好適な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を意味する。「活性化基」とは、適切な条件下で第2の化学基と反応し、これにより修飾剤と第2の化学基との間に共有結合を形成することのできる、化学部分又は官能基である。例えば、アミン反応性活性化基としては、トシル酸、メシル酸、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)などの求電子基、N-ヒドロキシスクシニミジルエステル(N-hydroxysuccinimidyl esters、NHS)などが挙げられる。チオール類と反応可能な活性化基としては、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが挙げられる。アルデヒド官能基は、アミン-又はヒドラジド-含有分子と連結することができ、及び、アジド基は、三価リン基と反応してホスホルアミデート又はホスホルイミド結合を形成することができる。分子中に活性化基を導入するための好適な方法が、当該技術分野において既知である(例えば、Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)を参照されたい)。活性化基は、有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接的に、又はリンカー部分、例えば、二価のC1-C12基(ここで、1つ以上の炭素原子は酸素、窒素、又は硫黄などのヘテロ原子で置換され得る)を介して、結合することができる。好適なリンカー部分は、例えば、テトラエチレングリコール、-(CH2)3-、-NH-(CH2)6-NH-、-(CH2)2-NH-及び-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH-NH-を含む。リンカー部分を含む修飾剤は、例えば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で、モノ-Boc-アルキルジアミン(例えば、モノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノへキサン)を脂肪酸と反応させることにより、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間のアミド結合を形成することによって生成可能である。Boc保護基を、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)処理により生成物から除去し、記載されているように別のカルボン酸塩に連結し得る一級アミンを露出させることができ、又はこれを無水マレイン酸と反応させ、得られた生成物を環化させて脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる。(例えば、Thompsonらの国際公開第92/16221号を参照されたく、参照により教示の全体が本明細書に組み込まれる)。
【0138】
修飾された抗体は、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントを修飾剤と反応させることによって産生することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性修飾剤、例えば、PEGのNHSエステルを利用して、部位特異的なものではない方法で抗体に結合させることができる。抗体又は抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって、修飾されたヒト抗体又は抗原結合フラグメントを調製することもできる。このとき、還元された抗体又は抗原結合フラグメントをチオール反応性修飾剤と反応させて、本発明の修飾された抗体を産生することが可能である。本発明の抗体の特定の部位に結合される有機部分を含む修飾されたヒト抗体及び抗原結合断片は、逆タンパク質分解(Fisch et al.,Bioconjugate Chem.,3:147-153(1992)、Werlen et al.,Bioconjugate Chem.,5:411-417(1994)、Kumaran et al.,Protein Sci.6(10):2233-2241(1997)に基づき、Itoh et al.,Bioorg.Chem.,24(1):59-68(1996)、Capellas et al.,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456-463(1997))及びHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)に記載される方法などの好適な方法を使用して調製することができる。
【0139】
本発明の方法はまた、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知であるように、非自然発生組成物、混合物、又は形態で提供される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ以上の抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物も使用する。かかる組成物は、上記配列の隣接アミノ酸の70~100%、又はその特定されるフラグメント、ドメイン、若しくは変異体からなる群から選択される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体のアミノ酸配列の、少なくとも1つ又は2つの完全長、C及び/若しくはN末端欠失変異体、ドメイン、フラグメント、又は特定された変異体を含む非自然発生組成物を含む。好ましい抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、例えば、上記配列番号の70~100%の、本明細書に記載される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体配列、又はその特定されたフラグメント、ドメイン、若しくは変異体の、少なくとも1つのCDR又はLBP含有部分として、少なくとも1つ又は2つの完全長、フラグメント、ドメイン、又は変異体を含む。更に好ましい組成物は、例えば、上記配列番号などの70~100%、又はその特定されたフラグメント、ドメイン、若しくは変異体のうちの少なくとも1つを40~99%含む。かかる組成物の百分率は、当該技術分野において既知であるように、又は本明細書に記載されるように、重量、容量、濃度、モル濃度、あるいは液体若しくは無水溶液(dry solution)、混合物、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、又はコロイドとしてのモル濃度によるものである。
【0140】
更なる治療活性成分を含む抗体組成物
本発明の方法に使用される抗体組成物は、任意選択的に更に、抗感染症薬、心血管(cardiovascular、CV)系作用薬、中枢神経系(central nervous system、CNS)薬、自律神経系(autonomic nervous system、ANS)薬、気道薬、消化(gastrointestinal、GI)管作用薬、ホルモン薬、体液又は電解質平衡薬、血液作用薬、抗腫瘍薬、免疫調節薬、眼、耳又は鼻用薬、局所作用薬、栄養薬などのうち、少なくとも1つから選択される、有効な量の少なくとも1つの化合物又はタンパク質を含むことができる。かかる薬剤は、本明細書に示されるそれぞれの製剤、適応症、用量、及び投与を含めて、当該技術分野では周知である(例えば、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ、Pharmcotherapy Handbook,Wells et al.,Appleton&Lange,Stamford,CTを参照されたく、各々は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0141】
本発明の方法の抗体と組み合わせることができる薬剤の例として、抗感染薬は、殺アメーバ薬又は少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬又は少なくとも1種の抗らい菌薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、マクロライド抗感染薬、及び種々の抗感染薬から選択される少なくとも1種であり得る。ホルモン薬は、コルチコステロイド、アンドロゲン、又は少なくとも1種のアナボリックステロイド、エストロゲン、又は少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬、又は少なくとも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン拮抗薬、下垂体ホルモン、及び副甲状腺様薬から選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のセファロスポリンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セフラジン、及びロラカルベフから選択される少なくとも1種であり得る。
【0142】
少なくとも1種のコルチコステロイド(coricosteroid)は、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン又はリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメサゾン、酢酸デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、及び二酢酸トリアムシノロンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のアンドロゲン又はタンパク質同化ステロイドは、ダナゾール、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、及びテストステロン経皮系から選択される少なくとも1種であり得る。
【0143】
少なくとも1種の免疫抑制剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ-CD3、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミゾリビン、及びタクロリムスから選択される少なくとも1種であり得る。
【0144】
少なくとも1種の局所抗感染薬は、アシクロビル、アンホテリシンB、アゼライン酸クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフィン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ナイスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール、及びトルナフテートから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の疥癬殺虫剤若しくは殺シラミ薬は、クロタミトン、リンデン、ペルメトリン、及びピレトリンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の局所コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、及びトリアムシノロンアセトニドから選択される少なくとも1種であり得る。(例えば、Nursing 2001 Drug Handbookの1098~1136頁を参照されたい。)
【0145】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、かかる調節、処置、又は治療を必要とする細胞、組織、器官、動物、又は患者に接触されるか又は投与される少なくとも1つの抗IL-12/23p40又はIL-23抗体を含み、任意選択的に、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、TNF化学若しくはタンパク質拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体又はフラグメント、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)又はフラグメント、その融合ポリペプチド、又は小分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I若しくはII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ(nerelimonmab)、インフリキシマブ、エタナセプト(eternacept)、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒドロキシクロロキン硫酸塩、レフルノミド、スルファサラジン)、免疫化、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、サイトカイン又はサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1種を更に含む、任意の好適かつ有効な量の組成物又は医薬組成物のうちの少なくとも1つを更に含むことができる。かかるサイトカインの非制限的な例としては、IL-1~IL-23など(例えば、IL-1、IL-2等)のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)を参照されたく、これらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0146】
本発明の方法に使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体化合物、組成物、又は混合物は、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるがこれらに限定されない、任意の好適な助剤のうちの少なくとも1つを更に含み得る。薬学的に許容される助剤が好ましい。かかる滅菌溶液を調製する非限定的な例及びその方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,PA),1990などであるが、これに限定されない。当該技術分野において周知である、又は本明細書に記載されるように、抗IL-23抗体、フラグメント、又は変異体組成物の投与方式、溶解度、及び/又は安定性に好適な薬学的に許容できる担体は、日常的に選択することができる。
【0147】
本組成物において有用な薬学的賦形剤及び添加剤は、これらに限定されないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖、三糖、四糖、及びオリゴ糖を含む糖類、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖、並びに多糖類又は糖ポリマー)を含み、これらは、単独で又は組み合わせて存在してもよく、単独で又は組み合わせて1~99.99重量%又は容量%含まれる。例示的なタンパク質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(recombinant human albumin、rHA)、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝能においても機能し得る代表的なアミノ酸/抗体構成要素には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。好ましいアミノ酸の1つはグリシンである。
【0148】
本発明で使用するのに好適な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン類などの多糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0149】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、緩衝剤又はpH調整剤も含み得、典型的には、緩衝剤は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝剤が挙げられる。本組成物で使用するのに好ましい緩衝剤は、クエン酸などの有機酸塩である。
【0150】
加えて、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN20」及び「TWEEN80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー賦形剤/添加剤を含み得る。
【0151】
本発明による抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体、部分又は変異体組成物における使用に好適なこれら及び追加の既知の薬学的賦形剤及び/又は添加剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、「Remington:The Science&Practice of Pharmacy」、19th ed.,Williams&Williams,(1995)、及び「Physician’s Desk Reference」、52nd ed,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)に列挙されており、これらの開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましい担体又は賦形剤材料は、炭水化物(例えば単糖類及びアルジトール)及び緩衝剤(例えばクエン酸)又はポリマー剤である。例示的な担体分子はムコ多糖、ヒアルロン酸であり、これらは関節内送達に有用であり得る。
【0152】
製剤
上述の通り、本発明は、好ましくは、生理食塩水又は選択された塩を含むリン酸緩衝剤を含む安定した製剤、並びに保存剤を含有する保存溶液及び製剤、並びに薬学的に許容できる製剤中に少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む薬学的又は獣医学的用途に好適な多用途保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つの既知の、すなわち少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から任意選択的に選択される保存剤を含有する。当該技術分野において既知であるように、0.001~5%、又は0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又はその中の任意の範囲若しくは値などであるがこれらに限定されない、その中の任意の範囲若しくは値の、任意の好適な濃度又は混合物が使用され得る。非限定的な例としては、保存剤無添加、0.1~2%m-クレゾール(例えば、0.2、0.3.0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(複数可)(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが挙げられる。
【0153】
上述の通り、本発明の方法は、包装材と、任意選択的に水性希釈剤中に処方された緩衝剤及び/又は保存剤を有する少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の溶液を含む少なくとも1つのバイアルとを含む、製品を使用し、当該包装材は、かかる溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上の期間にわたり保持することができることを記すラベルを含む。本発明は、包装材と、凍結乾燥された抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む第1のバイアルと、処方された緩衝剤又は保存剤の水性希釈剤を含む第2のバイアルとを含む、製品を更に使用し、当該包装材は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を水性希釈剤で再構成して、24時間以上の期間にわたって保持することができる溶液を形成するように患者に指示するラベルを含む。
【0154】
本発明に従って使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において既知のように、哺乳類細胞又はトランスジェニック製剤からといった組換え手段により産生され得るか、又は他の生物源から精製され得る。
【0155】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の範囲は、湿式/乾式系の場合、再構成するときに約1.0μg/mL~約1000mg/mLの濃度が得られる量で含まれるが、より低い濃度及び高い濃度でも作業可能であり、意図される送達ビヒクルに依存し、例えば溶液製剤では、経皮パッチ、肺、経粘膜、又は浸透圧性若しくはマイクロポンプ方法とは異なる。
【0156】
好ましくは、水性希釈剤は任意選択的に、薬学的に許容できる保存剤を更に含む。好ましい保存剤には、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。製剤中で使用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに十分な濃度である。かかる濃度は選択された保存剤によって異なり、当業者により容易に決定される。
【0157】
他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び保存剤エンハンサーは、任意選択的にかつ好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知の濃度で一般に使用される。好ましくは、生理学的に耐性の緩衝剤を添加して、改善されたpH制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、及び好ましくは約pH5~約pH9の範囲、及び最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲を対象にすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8~約7.8のpHを有する。好適な緩衝剤には、リン酸緩衝剤、最も好ましくは、リン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline、PBS)が含まれる。
【0158】
他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及びPEG(ポリエチレングリコール)などの、薬学的に許容できる可溶化剤、又はポリソルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、Pluronic(登録商標)polylsなどの非イオン性界面活性剤、他のブロックコポリマー、並びにEDTA及びEGTAなどのキレート剤を製剤又は組成物に任意選択的に添加することで、凝集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプ又はプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。薬学的に許容できる界面活性剤の存在により、タンパク質が凝集する傾向が軽減される。
【0159】
製剤は、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体と、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択される保存剤と、を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体と保存剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、緩衝溶液中の一定量の少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を、所望の濃度のタンパク質及び保存剤を提供するのに十分な量の緩衝溶液中で所望の保存剤と組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0160】
製剤は、透明な溶液として、又は水、保存剤及び/若しくは賦形剤、好ましくはリン酸塩緩衝剤及び/若しくは生理食塩水、並びに選択された塩を水性希釈剤中に含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアル(dual vial)として患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供することができる。
【0161】
本製品は、即時から24時間以上の範囲の期間にわたる投与に有用である。したがって、本発明により特許請求される製品は、患者に大きな利益を提供する。本発明の製剤は、任意選択的に、約2℃~約40℃の温度で安全に保管し、長期間タンパク質の生物学的活性を保持することができ、したがってパッケージラベルには、溶液が6、12、18、24、36、48、72、又は96時間以上の期間にわたって保存及び/又は使用できることを示すことができる。保存されている希釈剤を使用する場合には、かかるラベルに最高1~12ヶ月、半年、1年半及び/又は2年までの使用を含むことができる。
【0162】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体の溶液は、少なくとも1つの抗体を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な希釈剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質、及び任意選択的に保存剤又は緩衝剤を提供するのに十分な量で組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0163】
特許請求される製品は、透明な溶液として、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0164】
特許請求される製品は、透明な溶液、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルを、薬局、診療所、又は他のかかる機関及び施設に提供することによって、患者に対し間接的に提供することができる。この場合の透明溶液は最高1リットル又は更にはそれ以上の容量であってもよく、この大きな容器からより少量の少なくとも1つの抗体溶液を1回又は複数回取り出してより小さなバイアルに移し、かつ薬局又は診療所により顧客及び/又は患者に提供できる。
【0165】
単一バイアル系を含む承認済みデバイスとしては、BD Pens、BD Autojector(登録商標)、Humaject(登録商標)、NovoPen(登録商標)、B-D(登録商標)Pen、AutoPen(登録商標)、及びOptiPen(登録商標)、GenotropinPen(登録商標)、Genotronorm Pen(登録商標)、Humatro Pen(登録商標)、Reco-Pen(登録商標)、Roferon Pen(登録商標)、Biojector(登録商標)、Iject(登録商標)、J-tip Needle-Free Injector(登録商標)、Intraject(登録商標)、Medi-Ject(登録商標)、Smartject(登録商標)などの溶液送達用のペン型インジェクタデバイス(例えば、Becton Dickensen(Franklin Lakes、NJ、www.bectondickenson.com)、Disetronic(Burgdorf、Switzerland、www.disetronic.com)、Bioject,Portland,Oregon(www.bioject.com);National Medical Products,Weston Medical(Peterborough,UK,www.weston-medical.com)、Medi-Ject Corp(Minneapolis,MN,www.mediject.com)によって製造又は開発されている)、及び類似の好適なデバイスが挙げられる。デュアルバイアル系を含む承認済みデバイスとしては、HumatroPen(登録商標)などの、再構成した溶液を送達するためのカートリッジ内で凍結乾燥された薬剤を再構成するためのペン型インジェクタシステムが挙げられる。好適な他のデバイスの例としては、予め充填された注射器、自動注射器、針なし注射器、及び針なしIV注入セットが挙げられる。
【0166】
製品は、包装材を含み得る。包装材は、規制当局によって必要とされる情報に加えて、製品を使用することができる条件を提供する。本発明の包装材は、該当する場合、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を水性希釈剤で再構成して溶液を形成し、2~24時間以上の期間にわたって、この溶液を湿式/乾式の2つのバイアル製品に使用する、という指示を患者に提供する。単一バイアルの溶液製品、予め充填された注射器、又は自動注射器の場合、ラベルは、かかる溶液が2~24時間以上の期間にわたって使用することができることを示す。製品は、ヒト用医薬製品用途に有用である。
【0167】
本発明の方法に使用される製剤は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体と、選択された緩衝剤、好ましくは生理食塩水又は選択された塩を含有するリン酸塩緩衝剤とを混合することを含むプロセスにより調製することができる。抗23抗体と緩衝剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤を提供するのに十分な量の水中で所望の緩衝剤と組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0168】
本発明の方法は、ヒト又は動物患者に投与するのに有用かつ許容できる様々な製剤を含む医薬組成物を提供する。かかる医薬組成物は、希釈剤として「標準状態」の水、及び当業者に周知の日常的な方法を使用して調製される。例えば、ヒスチジン及びヒスチジン一塩酸塩水和物などの緩衝構成要素が最初に提供され、続いて適切な非最終容量の「標準状態」の水希釈剤、スクロース、及びポリソルベート80が添加され得る。次いで、単離された抗体を添加することができる。最後に、水を希釈剤として使用する「標準状態」条件の下で、医薬組成物の容量を所望の最終容量に調整する。当業者は、医薬組成物の調製に好適ないくつかの他の方法を認識する。
【0169】
医薬組成物は、水の容量単位当たりの示される質量の各構成成分を含むか、又は「標準状態」の示されるpHを有する水溶液又は懸濁液であってもよい。本明細書で使用するとき、「標準状態」という用語は、25℃±2℃の温度及び1気圧の圧力を意味する。「標準状態」という用語は、当該技術分野では、当該技術分野が認識する、単一の温度又は圧力のセットを指すように使用されないが、代わりに参照「標準状態」条件下の特定の組成を含む溶液又は懸濁液を説明するために使用される温度及び圧力を特定する参照状態である。これは、溶液の容量が一部温度及び圧力の関数であるためである。当業者は、本明細書に開示されるものと同等の医薬組成物が他の温度及び圧力で製造され得ることを認識するであろう。かかる医薬組成物が本明細書に開示されるものと同等であるかは、上記に定義された「標準状態」条件下(例えば、25℃±2℃及び1気圧の圧力)で決定されるべきである。
【0170】
重要なことに、かかる医薬組成物は、医薬組成物の単位容積当たり「およそ(約)」ある特定の値(例えば、「約0.53mgのL-ヒスチジン」)の構成要素質量を含有するか、又は約特定値のpH値を有し得る。医薬組成物中に存在する構成要素質量又はpH値は、単離された抗体が医薬組成物に存在するか、又は単離された抗体が医薬組成物から除去された後(例えば、希釈により)に、医薬組成物中に存在する単離された抗体がペプチド鎖に結合することができる場合の、「約」所与の数値である。つまり、構成要素の質量値又はpH値などの値は、単離された抗体を医薬組成物中に入れた後に単離された抗体の結合活性が維持され、検出可能であるときの、「約」所与の数値である。
【0171】
競合結合解析を行って、IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的mAbが類似の若しくは異なるエピトープに結合し、かつ/又は互いに競合するかを決定する。ELISAプレート上にAbを個々にコーティングする。競合するmAbを添加し、続いてビオチン化hrIL-12又はIL-23を添加する。陽性対照には、コーティングに同じmAbを競合mAb(「自己競合」)として使用してもよい。IL-12/IL-23p40又はIL-23結合は、ストレプトアビジンを使用して検出される。これらの結果は、mAbがIL-12/IL-23p40又はIL-23上の類似の又は部分的に重複するエピトープを認識するかどうかを示す。
【0172】
本発明の方法の一態様は、医薬組成物を患者に投与する。
【0173】
医薬組成物の一実施形態では、単離された抗体濃度は、1mLの医薬組成物当たり約77~約104mgである。医薬組成物の別の実施形態では、pHは約5.5~約6.5である。
【0174】
安定又は保存製剤は、透明な溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若しくは緩衝剤及び賦形剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23抗体のバイアルを含む併用バイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0175】
抗IL-23抗体を安定化する他の製剤又は方法は、抗体を含む凍結乾燥粉末の透明溶液以外のものであってもよい。非透明溶液としては微粒子懸濁液を含む製剤があり、当該微粒子は、ミクロスフェア、微小粒子、ナノ粒子、ナノスフェア、又はリポソームとして様々に知られる様々な大きさの構造内に、抗IL-23抗体を含有する組成物である。活性薬剤を含有するかかる比較的均質な本質的に球状の微粒子製剤は、米国特許第4,589,330号に教示される通り、活性薬剤及びポリマーを含有する水相と非水相とを接触させ、次いで非水相を蒸発させて水相からの粒子の合体を引き起こすことにより形成することができる。多孔性微小粒子は、米国特許第4,818,542号に教示される通り、連続溶媒中に分散された活性薬剤とポリマーとを含有する第1相を使用し、凍結乾燥又は希釈-抽出-沈殿により懸濁液からこの溶媒を除去することで調製することができる。こうした調製に好ましいポリマーは、ゼラチン寒天、デンプン、アラビノガラクタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリ(アルキル-2-シアノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルDL-アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(L-フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6-ジイソシアナトヘキサン)及びポリ(メチルメタクリレート)からなる群から選択される、天然又は合成のコポリマー又はポリマーである。特に好ましいポリマーは、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、及びポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)などのポリエステルである。ポリマー及び/又は活性物質を溶解させるのに有用な溶媒としては、水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、又はヘキサフルオロアセトンセスキ水和物が挙げられる。活性物質含有相を第2相に分散させるプロセスは、ノズル内のオリフィスに当該第1相を圧力で強制的に通して液滴形成に作用させることを含むことができる。
【0176】
乾燥粉末製剤は、例えば、噴霧乾燥法、又は蒸発による溶媒抽出法、若しくは水性若しくは非水性溶媒を除去するための1つ以上の工程が後続する結晶性組成物の沈殿による溶媒抽出法などの、凍結乾燥以外のプロセスの結果として得てもよい。噴霧乾燥抗体製剤の調製は、米国特許第6,019,968号に教示されている。抗体ベースの乾燥粉末組成物は、抗体の溶液又はスラリーを、及び任意選択的に、呼吸用乾燥粉末を提供するための条件下で溶媒中の、賦形剤を、噴霧乾燥させることによって生産できる。溶媒としては、容易に乾燥可能な、例えば水及びエタノールなどの極性化合物が挙げられる。抗体の安定性は、酸素不在下、例えば窒素ブランケット下において噴霧乾燥手順を実施すること、又は乾燥用気体として窒素を使用することにより増強させることができる。別の比較的乾燥した製剤は、国際公開第9916419号に教示されているような、典型的にはヒドロフルオロアルカン噴射剤を含む懸濁培地中に分散した、複数の有孔微細構造の分散物である。安定化された分散物は、定量吸入器を用いて患者の肺に投与できる。噴霧乾燥された薬剤の商業的製造において有用な機器は、Buchi Ltd.又はNiro Corp.により製造されている。
【0177】
本明細書に記載される安定又は保存製剤又は溶液のいずれかの抗IL-23抗体は、当該技術分野において周知のように、SC若しくはIM注射、経皮、経肺、経粘膜、埋め込み、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ又は当該技術分野において周知であり当業者により理解される他の手段などの様々な送達方法を介して、本発明により対象に投与することができる。
【0178】
治療適用
本発明はまた、当該技術分野において既知又は本明細書に記載のように、少なくとも1つの本発明のIL-23抗体を用いて、例えば、細胞、組織、器官、動物、又は患者に、治療上有効な量のIL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体を投与又は接触させて、細胞、組織、器官、動物、又は患者におけるループスを調節又は治療するための方法をも提供する。
【0179】
本発明のいずれの方法も、かかる調節、処置、又は治療を必要としている細胞、組織、器官、動物、又は患者に、抗IL-23抗体を含む有効な量の組成物又は医薬組成物を投与することを含み得る。かかる方法は、任意選択的に、かかる疾患又は障害の治療のための同時投与又は併用療法を更に含むことができ、ここで、当該少なくとも1つの抗IL-23抗体、その特定された部分、又は変異体を投与することは、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、化学物質性若しくはタンパク質性TNF拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体若しくはフラグメント、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)若しくはフラグメント、その融合ポリペプチド、又は低分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I又はII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセピト(eternacept)(Enbrel(商標))、アダリムマブ(Humira(商標))、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセピトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド性抗炎症薬(non-steroid anti-inflammatory drug、NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペナム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗腫瘍薬、緩下剤、抗凝固薬、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G-CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳剤、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、ぜんそく治療薬、ベータ作用薬、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくは類似体、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカイン若しくはサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1つを、前に、同時に、及び/又は後に投与することを更に含む。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ,を参照されたく、これらの参考文献の各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0180】
治療処置
典型的には、ループスの処置は、組成物中に含有される活性薬剤の比活性に応じ、平均して、合計、1回の投与当たり患者の体重1kg当たり少なくとも約0.01~500ミリグラムの範囲の抗IL-12/23p40又は抗IL-23抗体、及び好ましくは、単回又は複数回投与当たり患者の体重1kg当たり少なくとも約0.1~100ミリグラムの範囲の抗体の抗IL-12/23p40又は抗IL-23抗体組成物の有効な量又は投与量を投与することにより影響を受ける。あるいは、有効な血清濃度は、単回又は複数回投与当たり、0.1~5000μg/mLの血清濃度を含み得る。好適な投与量は、医療実践者には既知であり、当然のことながら、具体的な疾患状態、投与される組成物の比活性、及び処置を受けている具体的な患者に依存する。場合によっては、望ましい治療量を得るために、反復投与、すなわち、特定の監視された量又は定量の反復個別投与を提供することが必要となる場合があり、この場合、個別投与は、望ましい日用量又は作用が得られるまで繰り返される。
【0181】
好ましい用量は、任意選択的に、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99及び/若しくは100~500mg/kg/投与、又はその任意の範囲、値若しくは分画を含むか、あるいは単回若しくは複数回投与当たり0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、4.9、5.0、5.5.、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14、14.5、15、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、及び/若しくは5000μg/mLの血清濃度、又はその任意の範囲、値若しくは分画を得るように含み得る。
【0182】
あるいは、投与される用量は、特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与方法及び経路、レシピエントの年齢、健康状態及び体重、症状の性質及び程度、同時処置の種類、処置頻度、並びに所望の作用などの既知の因子により異なり得る。活性成分の投与量は、通常、体重1キログラム当たり約0.1~100ミリグラムであり得る。通常、0.1~50、好ましくは0.1~10ミリグラム/キログラム/投与、又は徐放性形態が、望ましい結果を得るために有効である。
【0183】
非限定的な例として、ヒト又は動物の処置は、単回投与、静注投与、又は反復投与を使用して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39若しくは40日目のうちの少なくとも1日に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51若しくは52週目のうちの少なくとも1週に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20年目のうちの少なくとも1年に、又はこれらの任意の組み合わせで、1日当たり0.1~100mg/kg、例えば、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの、本発明の少なくとも1つの抗体の1回又は周期的な投与量として提供され得る。
【0184】
体内投与に好適な剤形(組成物)は、概して、1単位又は容器当たり約0.001ミリグラム~約500ミリグラムの活性成分を含む。これらの医薬組成物において、活性成分は、通常、組成物の総重量に基づいて約0.5~99.999重量%の量で存在する。
【0185】
非経口投与には、抗体は、薬学的に許容できる非経口ビヒクルと合わせて、又は別個に提供される、溶液、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、若しくは凍結乾燥粉末として、製剤化され得る。かかるビヒクルの例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び不揮発性油などの非水性ビヒクルを使用することもできる。ビヒクル又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性を維持する添加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール;化学安定性に関しては緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、既知の又は好適な技術によって滅菌される。
【0186】
好適な薬学的担体は、この分野での標準的参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版の中で記載されている。
【0187】
代替的投与
抗IL-23抗体の薬学的に有効な量を投与するために、本発明に従って、多くの既知の及び開発された方式を使用することができる。以下の記述では経肺投与が使用されているが、本発明に従って他の投与方式を使用して、好適な結果を得てもよい。本発明のIL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド若しくは懸濁液として、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載される若しくは当該技術分野において既知である他の方式による投与に好適な様々なデバイス及び方法のいずれかを使用して、送達することができる。
【0188】
非経口製剤及び投与
非経口投与用製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンなどを含有してもよい。注射用の水性又は油性懸濁液は、既知の方法に従って、適切な乳化剤又は加湿剤及び懸濁剤を使用することによって調製可能である。注射剤は、例えば水溶液、無菌注射液又は溶媒中懸濁液などの非毒性の非経口投与可能な希釈剤であってもよい。使用可能なビヒクル又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが可能であり、通常の溶媒又は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成若しくは半合成の、モノグリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む、あらゆる種類の不揮発性油及び脂肪酸を使用することができる。非経口投与は当該技術分野において既知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載されているようなガス加圧式無針注射デバイス、及び米国特許第5,839,446号に記載されているようなレーザー穿孔機デバイスが挙げられるが、これらに限定されず、これらは参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0189】
代替的送達
本発明は更に、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮手段による抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の投与に関する。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、非経口(皮下、筋肉内、又は静脈内)又は任意の他の投与、特に、液体溶液若しくは懸濁液の形態で使用するために、特に、クリーム及び座薬などであるがこれらに限定されない半固体形態で、膣若しくは直腸の投与における使用のために、錠剤若しくはカプセルなどであるがこれらに限定されない形態で、口腔若しくは舌下投与用に、あるいは粉末、点鼻薬若しくはエアロゾル、又はある特定の薬剤などであるがこれらに限定されない形態で、鼻腔内に、あるいは皮膚構造を改変するか、又は経皮パッチ中の薬剤濃度を増加させるかのいずれかのために、ジメチルスルホキシドなどの化学的促進剤を用いて(Junginger、et al.In 「Drug Permeation Enhancement」;Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59-90(Marcel Dekker,Inc.New York 1994、参照により全体が本明細書に組み込まれる)、又はタンパク質及びペプチドを含有する製剤の皮膚への適用(国際公開第98/53847号)、又はエレクトロポレーションなどの一過性の輸送経路を作り出すための、若しくはイオントフォレシスなどの皮膚を通して荷電薬剤の移動度を増加させるための電界の適用、又は超音波導入などの超音波の適用(米国特許第4,309,989号及び同第4,767,402号)を可能にする酸化剤を用いて、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液若しくはパッチ送達系などであるが、これらに限定されない形態で、経皮的に、調製することができる(上記の刊行物及び特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0190】
本発明を全般的に記述してきたが、上記と同様のことは、実例として提供されるが制限することを意図していない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。更に、本発明の詳細は、以下の非限定的実施例によって例示される。本明細書の全ての引用の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0191】
実施例:STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)を生成するための製造プロセス
背景
STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)は、ヒトインターロイキン(IL)-12及びIL-23サイトカインの共有p40サブユニットに対して高親和性及び特異性で結合する完全ヒトG1κモノクローナル抗体である。ウステキヌマブは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列を含む。IL-12/IL-23p40サブユニットへのウステキヌマブの結合は、天然キラー及びCD4+T細胞の表面におけるIL-12又はIL-23のIL-12Rβ1受容体への結合をブロックし、IL-12及びIL-23特異的細胞内シグナル伝達及びその後の活性化及びサイトカイン産生を阻害する。IL-12及びIL-23の異常な調節は、複数の免疫介在性疾患に関連している。
【0192】
現在までに、ウステキヌマブは、慢性の中等度から重度の尋常性乾癬及び/又は活動性乾癬性関節炎、クローン病(CD)並びに潰瘍性大腸炎(UC)の患者を含む成人患者の治療のために、北米、ヨーロッパ、南米、及びアジア太平洋地域の国々を含む世界中で販売承認を受けている。ウステキヌマブはまた、活動性全身性エリテマトーデス(SLE)の治療のための第3相試験においても評価される。
【0193】
製造プロセスの概要
STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)は、連続的な灌流細胞培養、続いて精製を含む10段階プロセスで製造される。製造プロセスの概要は、
図1に示されている。
【0194】
本明細書で使用するとき、用語「培養」、「培養する」、「培養された」、及び「細胞培養物」は、細胞集団の生存及び/又は増殖に好適な条件下で培地中に懸濁される細胞集団を指す。技術分野には文脈から明らかであるように、本明細書で使用されるこれらの用語はまた、細胞集団及び集団が懸濁される培地を含む組み合わせを指す。細胞培養物は、例えば、バッチ、フェドバッチ又は灌流細胞培養法などによって増殖させた細胞を含む。特定の実施形態では、細胞培養物は、哺乳動物細胞培養物である。
【0195】
本発明で使用するための細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、ヒト胚性腎細胞(HEK細胞)、ベビーハムスター腎細胞(BHK細胞、マウス骨髄腫細胞(例えば、NS0細胞及びSp2/0細胞)、及びヒト網膜細胞(例えば、PER.C6細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0196】
本明細書で使用するとき、用語「化学的に定義された培地」、「化学的に定義された複数の培地」、「化学的に定義されたハイブリドーマ培地」、又は「化学的に定義された複数のハイブリドーマ培地」は、全ての成分の同一性及び濃度が既知である合成増殖培地を指す。合成培地、すなわち化学的に定義された培地は、細菌、酵母、動物、又は植物抽出物、動物血清又は血漿を含まないが、個々の植物又は動物由来の成分(例えば、タンパク質、ポリペプチドなど)を含んでも含まなくてもよい。化学的に定義された培地は、成長を支援するために必要なリン酸塩、硫酸塩などの無機塩を含んでもよい。炭素源が定義されており、通常、グルコース、ラクトース、ガラクトースなどの糖、又はグリセロール、乳酸、アセテートなどの他の化合物である。特定の化学的に定義された培地はまた、バッファとしてリン酸塩を使用するが、クエン酸塩、トリエタノールアミンなどの他のバッファを使用してもよい。市販の化学的に定義された培地の例としては、サーモフィッシャーのCDハイブリドーマ培地及びCDハイブリドーマAGT(商標)培地、様々なダルベッコ改変イーグル(DME)培地(シグマアルドリッチ社;SAFC Bioscienses,Inc)、ハムの栄養混合液(Sigma-Aldrich Co;SAFC Bioscienses,Inc)、これらの組み合わせ等が挙げられる。化学的に規定された培地を調製する方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第6,171,825号及び同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、並びに米国特許出願公開第2008/0009040号及び同第2007/0212770号に既知である。
【0197】
本明細書で使用するとき、用語「バイオリアクター」は、細胞培養物の増殖に有用な任意の容器を指す。バイオリアクターは、細胞の培養に有用である限り、任意の大きさであってもよい。特定の実施形態では、このような細胞は哺乳動物細胞である。典型的には、バイオリアクターは、少なくとも1リットルであり、10、100、250、500、1,000、2,500、5,000、8,000、10,000、12,000リットル以上、又はこれらの間の任意の体積であってもよい。培養期間中、pH及び温度を含むがこれらに限定されないバイオリアクターの内部条件を任意選択的に制御することができる。バイオリアクターは、ガラス、プラスチック、又は金属を含む、本発明の培養条件下で培地中に懸濁された哺乳動物細胞培養物を保持するのに好適な任意の材料から構成することができる。本明細書で使用するとき、用語「産生バイオリアクター」は、対象とするポリペプチド又は糖タンパク質の産生に使用される最終バイオリアクターを指す。産生バイオリアクターの体積は、典型的には少なくとも500リットルであり、1,000、2,500、5,000、8,000、10,000、12,000リットル以上、又はこれらの間の任意の体積であってもよい。当業者であれば、本発明を実施する際に使用するのに好適なバイオリアクターを選択することができるであろう。
【0198】
ウステキヌマブの前培養、増殖、及び産生は、段階1及び段階2で実施される。段階1では、ウステキヌマブのHC及びLC配列を発現しているトランスフェクトされたSp2/0細胞の単一のワーキングセルバンクバイアルから前培養を開始し、培養フラスコ、使い捨て培養バッグ、及び100L播種バイオリアクターで細胞を増殖させる。500Lの産生バイオリアクターの接種に必要な細胞密度及び体積が得られるまで細胞を培養する。段階2では、細胞培養物を、交互接線方向流(ATF)中空糸フィルタ細胞保持システムを使用して500Lの産生バイオリアクター内で灌流する。細胞培養透過液(回収物)をATFシステムから回収し、細胞をバイオリアクター内に保持し、培養物に新鮮な培地を補充する。1つ又は複数の500Lの産生バイオリアクターからの回収物を、段階3で組み合わせることができる。回収物は、MabSelectプロテインA樹脂親和性クロマトグラフィーを使用して精製される。得られた直接生成物捕獲(DPC)溶出液は、更なる処理まで凍結される。
【0199】
DCPからのウステキヌマブの精製は、段階4~8において、イオン交換クロマトグラフィー工程並びに潜在的なウイルス汚染を不活化又は除去する工程(溶媒/洗剤処理及びウイルス除去濾過)を組み合わせて行われる。段階4でDPC溶出液を解凍、プール及び濾過し、段階5でトリ-n-ブチルホスファート(TNBP)及びポリソルバート80/D処理と共にインキュベートして、潜在的に存在する任意の脂質エンベロープウイルスを不活性化する。段階6では、SPXL(登録商標)セファロース陽イオン交換樹脂クロマトグラフィーを使用して、TNBP及びポリソルバート80試薬、凝集体、及び不純物をウステキヌマブから除去する。段階7では、QXL(登録商標)セファロース陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーを使用して、ウステキヌマブを更に精製して、DNA、ウイルス、及び不純物を除去する。段階8では、精製ウステキヌマブ生成物を希釈し、ウイルス保持性フィルタ(NFP(登録商標))を通して濾過する。
【0200】
ウステキヌマブの事前製剤化されたバルク(PFB)及び製剤化されたバルク(FB)の調製は、段階9及び10においてそれぞれ実施される。段階9では、限外濾過工程はウステキヌマブ生成物を濃縮し、透析濾過工程により、製剤賦形剤が添加され、プロセス中のバッファ塩が除去される。段階10では、ポリソルバート80をウステキヌマブPFBに添加して、FBを得る。凍結保存するために、FBをポリカルボナート容器に濾過する。凍結したFBは、製剤製造現場への輸送のためにドライアイスを備えた断熱容器内に包装される。
【0201】
大規模製造プロセスにおける細胞培養の詳細な説明
段階1
前培養及び増殖
ウステキヌマブの産生における第1の段階は、ウステキヌマブのHC及びLC配列を発現するトランスフェクトされたSp2/0細胞のワーキングセルバンク(WCB)バイアルからの前培養の開始並びに培養フラスコ、使い捨て培養バッグ、及び100L播種バイオリアクターにおける増殖である。500Lの産生バイオリアクターの接種に必要な細胞密度及び体積が得られるまで細胞を培養する。前培養及び増殖プロセスを示すフロー図が
図2に示されている。
【0202】
製造手順
WCBの1つ又は複数の凍結保存バイアルを解凍し、6mMのL-グルタミン、0.5mg/Lのミコフェノール酸、2.5mg/Lのヒポキサンチン、及び50mg/Lキサンチンを補充したCD(化学的に定義された)ハイブリドーマ培地(CDH-A)で希釈する。培養物生存率は≧45%である必要がある。細胞を培養フラスコ内でCDH-Aで更に希釈して、0.2~0.5×106生存細胞(VC)/mLの播種密度まで更に希釈する。前培養物は、バッチ記録に定義される範囲内で温度、CO2濃度、及び撹拌を制御した加湿CO2インキュベーターに維持される。前培養は、≧0.6×106VC/mLの最小細胞密度及び≧50%の培養生存率が得られるまで≦3日間インキュベートされる。100Lの播種バイオリアクターへの接種のためのスケールアップ機構として、前培養物を一連の培養フラスコ内で連続的に増殖させ、次いで、培養バッグで培養する。培養増殖期中、各インキュベーション工程は、継代条件を達成するために≦3日行われ、≧0.6×106VC/mLの細胞密度及び≧80%の培養物生存率を必要とする。各継代の播種密度は、培養フラスコ中で0.2~0.5×106VC/mL、及び培養バッグ中で0.2~0.6×106VC/mLである。各継代を、生存細胞密度(VSD)、培養物生存率、及び顕微鏡検査のためにサンプリングする。100Lの播種バイオリアクターの接種前に、前培養物をバイオバーデンのためにサンプリングする。
【0203】
前培養は、解凍後最大30日間維持され得る。30日以内に使用されない前培養物を廃棄する。上述のように増殖させ、一次前培養物と同じインプロセスモニタリング、制御試験、及びプロセスパラメータの対象となるバックアップ前培養物は、必要に応じて、別の100Lの播種バイオリアクターに接種するために維持及び使用することができる。
【0204】
前培養物が接種基準を満たすと、培養バッグの内容物を、CDH-Aを含む100Lの播種バイオリアクターに移し、≧0.3×106VC/mLの播種密度を目標とする。播種バイオリアクターの培養物のpH、温度、及び溶存酸素濃度は、バッチ記録内に定義される範囲内で制御される。≧1.5×106VC/mLの細胞密度及び≧80%の培養物生存率が得られるまで、培養物を増殖させる。培養物を、播種バイオリアクタープロセス全体を通して、VCD、培養物生存率、及び顕微鏡検査のためにサンプリングする。500Lの産生バイオリアクターの接種前に、前培養物をバイオバーデンのためにサンプリングする。
【0205】
播種バイオリアクター培養物のVCDが≧1.5×106VC/mLに達すると、培養物を使用して、500Lの産生バイオリアクターに接種してもよい。あるいは、培養物の一部を100Lの播種バイオリアクターから取り出し、残りの培養物を新鮮な培地で希釈することができる。この「取り出し及び充填」プロセスに続いて、培養物を十分な細胞密度まで増殖させて、500Lの産生バイオリアクターに接種する。100Lの播種バイオリアクター培養物の最大持続時間は、接種から9日後である。
【0206】
段階2
バイオリアクター産生
段階2では、細胞培養物を、交互接線方向流(ATF)中空糸フィルタ細胞保持システムを使用して500Lの産生バイオリアクター内で連続的に灌流する。細胞培養透過液(回収物)をATFシステムから回収し、細胞をバイオリアクターに戻し、培養物に新鮮培地を補充する。バイオリアクターの生成プロセスを示すフロー図が
図3に示されている。
【0207】
製造手順
500Lの産生バイオリアクターの接種は、100Lの播種バイオリアクターの内容物を、6mMのL-グルタミン、0.5mg/Lのミコフェノール酸、2.5mg/Lのヒポキサンチン、及び50mg/Lのキサンチンを補充したCD(化学的に定義された)ハイブリドーマ培地(CDH-A)を含む500Lの産生バイオリアクターに移すことによって行われる。移される体積は、≧0.3×106生存細胞(VC)/mLの播種密度を目標とするのに十分である必要がある。培養物を、34~38℃の温度、6.8~7.6のpH、及び1~100%の溶存酸素(DO)濃度に維持する。
【0208】
連続灌流が開始され、500LのバイオリアクターからATFシステムに培養物を取り出し、透過液から細胞を分離する。透過液をμ0.2μmのATFフィルタを通して濾過し、バイオプロセス容器(BPC)で回収物として回収する。細胞をバイオリアクターに戻し、新鮮なCDH-Aを供給して一定の培養体積を維持する。生存細胞(VCD)、培養物生存率、pH、DO、温度及び免疫グロブリンG(IgG)含有量は、産生運転中にモニタリングされる。灌流速度は、1日当たり約1バイオリアクター体積の目標速度に達するまで、VCDに比例して徐々に増加する。灌流速度は、1日当たり1.20バイオリアクター体積を超えないように制御される。ATFシステムの保持をモニタリングして、フィルタ全体のIgG保持が50%を超える前に、ATFフィルタのシャットダウンを容易にする。
【0209】
500Lのバイオリアクター内のVCDが、8.0×106VC/mLに達するか、又は10日目のいずれか早い方で、pHの目標は7.2から7.1まで低下する。バイオマス除去は、20日目、又は12.0×106VC/mLのVCDに到達したときのいずれか早い方で、開始される。バイオマスを、500Lの産生バイオリアクターから、1日当たり最大20%のバイオリアクター体積の速度でBPCに除去する。各回収物をバイオバーデンのためにサンプリングする。
【0210】
500Lの産生バイオリアクターにおける灌流細胞培養操作は、接種後最大46日間継続する。産生の終わりに、培養物をマイコプラズマ及び外膜ウイルス試験のためにサンプリングする。回収物を、バイオリアクターから切り離した後、2~8℃で≦30日間保存できる。
【0211】
CHO細胞において発現されるウステキヌマブの小規模生成の説明
ウステキヌマブを発現するCHO細胞の生成
CHO細胞株はもともとT.T.Puckによってチャイニーズハムスターの成体の卵巣から生成された。CHO-K1(ATCC(登録商標)CCL-61)は、プロリン合成遺伝子を欠く親CHO細胞株のサブクローンである。CHO-K1は、European Collection of Cell Cultures、CHO-K1(ECACC 85051005)にも寄託されている。CHO-K1、024 Mのマスターセルバンク(MCB)は、Celltech Biologics(現在のLonza Biologics)において確立され、CHO-K1を浮遊培養及び無血清培地に適応させるために使用された。適応した細胞株はCHOK1SVと名付けられた。CHOK1SV細胞株は、タンパク質を含まない培地に更に適応させて、269-Mと呼ばれる細胞のMCBを生成した。269-M MCBに由来する細胞を以下のようにトランスフェクトして、ウステキヌマブを発現するCHO細胞株を生成した。
【0212】
細胞株は、細胞培養プレートと振盪フラスコを使用して、37℃及び5%のCO2の加湿インキュベーターで生成、増殖、及び維持された。振盪フラスコでの通常の播種密度は、1mLあたり3×105生存細胞(vc/mL)であった。全ての振盪フラスコ培養は、25mmの軌道で毎分130回転(rpm)に維持され、及び96ディープウェル(DW,Thermo Scientific,Waltham,MA,Cat.#278743)培養は3mmの軌道で800rpmに維持された。
【0213】
ウステキヌマブを発現するCHOクローンは、内製で開発された、化学的に定義されたCHO細胞培養用培地であるMACH-1として同定された培地を使用して生成される。CHO宿主細胞株の通常の継代のための基礎培地は、6mML-グルタミン(Invitrogen,Carlsbad,CA,Cat.#25030-081)を補充したMACH-1である。グルタミンシンテターゼ(GS)遺伝子でトランスフェクトされたCHO細胞は、特に記載がない限り、MACH-1+MSXで増殖させ、これは、グルタミンシンテターゼ機能を阻害するために25μML-メチオニンスルホキシミン(MSX,Sigma,St.Louis,MO,Cat.#M5379-1G)を補充したMACH-1である。ボーラスフェドバッチ振盪フラスコ及びバイオリアクター実験では、細胞をMACH-1+F8で培養し、これは、細胞増殖と抗体産生を更に支援するために、8g/kgのF8(専有の増殖促進剤のサプリメント)を補充したMACH-1である。振盪フラスコ及びバイオリアクターの実験では、専有の供給培地が使用された。
【0214】
目的の遺伝子をコードするDNAは、グルタミンシンテターゼ(GS)二重遺伝子発現プラスミド(Lonza Biologics)にクローニングされた。重鎖(HC)及び軽鎖(LC)遺伝子の発現は、別々のヒトサイトメガロウイルス(hCMV-MIE)プロモーターによって駆動された。SimianウイルスSV40プロモーターによって駆動されるGS遺伝子選択マーカーは、MSXの存在下でグルタミンを含まない培地でトランスフェクトされた細胞の選択を可能にする。
【0215】
各トランスフェクションの前に、ウステキヌマブのHC及びLCコード領域の両方を含むプラスミドDNAの1アリコートは、制限酵素消化によって直鎖化された。直鎖化された15μgのDNAアリコートは、BTX ECM 830エレクトロセルマニピュレーター(Harvard Apparatus,Holliston,MA)を使用して1x107細胞アリコートにトランスフェクトされた。細胞を、電極ギャップ4mmのキュベット中、15ミリ秒のパルス長及び5秒のパルス間隔で、250Vで3回電気穿孔した。トランスフェクトした細胞を振盪フラスク内のMACH-1+L-グルタミンに移し、1日間インキュベートした。トランスフェクションを遠心分離し、選択のためにMACH-1+25uM MSXに再懸濁し、振盪フラスコに移して6日間インキュベートした。
【0216】
化学的に選択した後、細胞は、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)基本培地(Methocult,StemCell Technologies,Inc.,Vancouver,BC,Cat.#03899)に2.5%(w/v)メチルセルロースを含むカスタムグルタミンフリーメトカルト培地中の単一細胞懸濁液に播種された。作業溶液には、30%(v/v)ガンマ線照射透析ウシ胎児血清(dFBS.IR,Hyclone,Logan,UT,Cat.#SH30079.03)、1xGSサプリメント(SAFC,St.Louis,MO,Cat.#58672-100M)、1.5mgの動物成分を含まないプロテインGAlexa Fluor 488コンジュゲート(Protein G,Invitrogen,Carlsbad,CA,Cat.#C47010)、25 M MSX、μF12(DMEM/F12,Gibco/Invitrogen,Carlsbad,CA,Cat.#21331-020)を含むダルベッコ変法イーグル培地、及び細胞懸濁液も含まれていた。
【0217】
プロテインGはヒトモノクローナル抗体を認識し、細胞から分泌されるIgGに結合する。プロテインGは蛍光標識AlexaFluor 488に結合しているため、一番多くの抗体を分泌する細胞コロニーは最高レベルの蛍光を示す。12~18日間のインキュベーション後、ClonePix FLコロニーピッキング装置(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して、96ウェルプレートの100μLフェノールレッド含有MACH-1+MSXに最高の蛍光レベルのコロニーがピッキングされ、5~7日間振盪せずにインキュベートされた。5~7日後、96DWプレートで50~100μLのフェノールレッド含有MACH-1+MSXに添加して、96ウェルプレート(Thermo Scientific,Waltham,MA,Cat.#278743)からの細胞が増殖され、800rpmで3mmの軌道で振盪された。96DWプレートに栄養を与え、96DW播種の7日後に、Octet(ForteBio,Menlo Park,CA)を介して滴定した。最高バッチの96DW成長力価に対応する上位10の培養物を増殖させ、MACH-1+MSXでフラスコを振盪し、10%のDMSOを含むMACH-1+MSX培地に細胞を懸濁して凍結細胞バンクを生成した。
【0218】
小規模生成のための細胞培養
Sp2/0細胞で発現されるウステキヌマブの大規模生成と同様に、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)で発現されるウステキヌマブの小規模生成のために、前培養、細胞増殖、及び細胞生産が段階1及び2で実行される。段階1では、ウステキヌマブのHC及びLC配列を発現するトランスフェクトされたCHO細胞の単一細胞バンクバイアルから前培養を開始し、細胞を培養フラスコで増殖させる。細胞は、10-L産生バイオリアクターの接種に必要な細胞密度と容量が得られるまで培養される。段階2では、細胞培養は10-L産生バイオリアクターで、フェドバッチ培養モードで実行される。15日間のバイオリアクターの実行期間中、培養物には必要に応じて濃縮グルコースベース及びアミノ酸ベースの供給物が供給される。産生バイオリアクターの実行が完了すると、細胞培養物の回収物が清澄化されてバイオマスが除去され、更に処理するために濾過される。
【0219】
小規模生成のための精製
ウステキヌマブの小規模生成のための精製ステップは、小規模生成のために段階8ウイルス濾過ステップが除外されたことを除いて、大規模製造プロセスと同じである。簡単に言えば、小規模生成の場合、細胞培養回収物からのウステキヌマブの精製は、親和性及びイオン交換クロマトグラフィーのステップと可能性のあるウイルス汚染を不活化又は除去するステップ(溶媒/洗剤処理及びウイルス除去)との組み合わせによって、段階3~7で実行される。段階3では、回収及び/又はプールされた回収物を、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーを使用して清澄化及び精製する。得られた直接生成物捕獲(DPC)溶出液は、更なる処理まで凍結される。段階4で、解凍後、DPC溶出液を濾過し、プールし、その後、段階5でトリ-n-ブチルホスファート(TNBP)及びポリソルベート80(PS80)で処理して、存在する可能性があり脂質エンベロープを有する任意のウイルスを不活性化する。
【0220】
段階6では、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて、TNBP及びPS80試薬並びに不純物をウステキヌマブ生成物から除去する。ウステキヌマブ生成物は、DNA、存在する可能性のあるウイルス、及び不純物を除去するために、段階7において陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して更に精製される。上述の通り、ウイルス保持フィルタによる段階8の濾過は、CHO由来のウステキヌマブ生成物の精製プロセスから除外される。
【0221】
ウステキヌマブの事前製剤化されたバルク(PFB)及び製剤化されたバルク(FB)の最終調製は、それぞれ段階9及び10で実行される(大規模段階を参照)。段階9において、限外濾過工程はウステキヌマブ生成物を濃縮し、透析濾過ステップは、製剤賦形剤を添加し、プロセス中のバッファ塩を除去する。ポリソルベート80は段階10でウステキヌマブPFBに添加されてFBを取得し、FBは濾過されて、ポリカーボネート容器に入り、凍結保存される。
【0222】
方法
生存細胞密度(VCD)と生存率を決定する方法
総細胞/ml、生存細胞/ml(VCD)、及び%生存率は、典型的には、メーカー提供のプロトコル、ソフトウェア、及び試薬を使用して、Beckman CoulterVi-CELL-XR細胞生存率アナライザーで決定される。あるいは、CEDEX自動細胞カウントシステムも使用されている。しかしながら、当業者であれば、VCD及び%生存率を決定するための他の方法、例えば、血球計算盤及びトリパンブルー色素排除法を使用することはよく知っていることにも注意されたい。
【0223】
生物活性アッセイ
ウステキヌマブの生物活性は、IL-12応答性ヒトナチュラルキラー細胞株NK-92MI(ATCC(登録商標)CRL-2408)によるIL-12誘導インターフェロンガンマ(IFN-γ)産生の中和によって決定される。ウステキヌマブはIL-12のp40サブユニットに結合し、NK細胞の細胞表面でIL-12Rβ1との相互作用を阻害する。これにより、IL-12を介したIFN-γの産生が阻害される(Aggeletopoulou I,et al.Interleukin 12/interleukin 23 pathway:クローン病患者の生物学的根拠と治療効果.World J Gastroenterol.2018;24(36):4093-4103を参照)。簡単に説明すると、このアッセイ法は、NK-92MI細胞を組換えヒトIL-12(rhIL-12)とインキュベートし、ウステキヌマブの存在下と非存在下で細胞から分泌されるIFN-γのレベルを比較することを伴う。IFN-γのレベルは、抗IFN-γ抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA)で定量化される(例えば、Jayanthi S,et al.ヘパリンの存在下でのインターロイキン-12活性の調整.Sci Rep.2017;7(1):5360を参照)。
【0224】
オリゴ糖組成を決定するための方法
HPLCによるオリゴ糖組成
ウステキヌマブのN-結合型オリゴ糖組成は、Chemstation/ChemstoreソフトウェアによるAgilent1100/1200シリーズHPLCシステムを使用し、蛍光検出を用いて順相陰イオン交換HPLC法で測定される。グリカンの相対量を定量するために、まず、N-グリカナーゼ(PNGase F)を用いて、還元及び変性された試験物質からN-結合型オリゴ糖を切断する。放出されたグリカンを、アントラニル酸を用いて標識し、0.45μmのナイロンフィルターを使用して濾過することにより精製し、蛍光検出を用いてHPLCにより分析する。HPLCクロマトグラムは、サンプル中に存在するN-結合型オリゴ糖を同定及びその相対量を定量するために使用することができるマップとして機能する。グリカンは、オリゴ糖標準との共溶出と、広範な特性評価からの過去の結果に従った保持時間によって同定される。ウステキヌマブの代表的なHPLCクロマトグラムは
図4に示される。
【0225】
各グリカンの量は、ピーク面積の積分によって定量され、全グリカンピーク面積の百分率(ピーク面積%)として表される。結果は、G0F、G1F、G2F、総中性グリカン、及び総荷電グリカンについて報告することができる。その他の中性グリカンは、G0F、G1F、及びG2Fに対応するピークを除いて、17~35分の間の全ての統合ピークの合計である。総中性グリカンは、G0F、G1F、G2F、及び他の中性グリカンの合計である。総荷電グリカンは、42~55分間で溶出する全てのモノシアル化グリカンピークと、78~90分間で溶出する全てのジシアル化グリカンピークの合計である。
【0226】
オリゴ糖標準の混合物(G0F、G2F、G2F+N-アセチルノイラミン酸(NANA)、及びG2F+2NANA)は、標識反応の陽性対照として、ピーク同定の標準として、そして、系の適合性の尺度として、並行して分析される。Prozyme、G0F(Cat.No.GKC-004301)、G2F(Cat.No.GKC-024301)、SA1F(Cat.No.GKC-124301)、及びSA2F(Cat.No.GKC-224301)から再構成されたオリゴ糖、又は同等のものが参照標準として使用される。方法のブランク陰性対照及び予め標識されたG0F標準も、系の適合性の目的で実行される。有効な結果を得るには、オリゴ糖マッピング手順の実行中に、次のシステム適合性とアッセイ(試験品)の合格基準が適用される。
【0227】
システム適合性基準:
・オリゴ糖標準のG0FピークとG2Fピークの間の分解能(USP)は≧3.0である必要がある。
・オリゴ糖標準のG0Fピークの理論段数(接線法)は≧5000である必要がある。
・ウステキヌマブ参照標準の総グリカンピーク面積は、事前にラベル付けされたG0Fの主要なグリカンピーク面積の≧1.5倍である必要がある。
・参照標準グリカンのピークがスケール外の場合、参照標準はより少ない注入量で再注入される。
・ウステキヌマブ参照標準のG0Fピークの保持時間は、オリゴ糖標準のG0F保持時間の0.4分以内である必要がある。
【0228】
アッセイの合格基準:
・メソッドブランクには、ウステキヌマブに帰属されたオリゴ糖ピークと共溶出する検出可能なピークがない必要がある。
・各試験品の総グリカンピーク面積は、事前にラベル付けされたG0F標準の主要なグリカンピーク面積の≧1.5倍である必要がある。
・サンプルグリカンのピークがスケール外の場合、そのサンプルは、事前にラベル付けされたG0F、オリゴ糖標準、メソッドブランク、及び通常の量の参照標準と共に、より少ない注入量で再注入される。
・各試験品のG0Fピークの保持時間は、オリゴ糖標準のG0Fピークの保持時間の0.4分以内である必要がある。
・アッセイが合格基準を満たすことができない場合、アッセイは無効になる。
【0229】
IRMAによるオリゴ糖組成
IdeS-RMA(IRMA)法により、Genovis AB(SKU:A0-FR1-050)から入手可能なStreptococcus pyogenes(IdeS)のIgG分解酵素であるFabRICATOR(登録商標)で免疫グロブリンG(IgG)を酵素処理した後、換算質量分析(RMA)によって主要なグリコフォームを区別できる。例えば、米国特許第7,666,582号も参照されたい。換算質量分析(RMA)は、抗体のジスルフィド結合の還元と、それに続いての抗体の重鎖と、それに結合したグリカン部分のインタクト質量分析とを伴う。一部の抗体は、ピログルタミン酸の形成やカルボキシル化などのN末端修飾が存在するため、かなりの不均一性を示す。その結果、ジスルフィド還元と重鎖の質量測定により、デコンボリューションされたピークの複雑なパターンが生じる。したがって、いくつかの用途において、抗体フラグメントのタンパク質分解生成が、ジチオスレイトール(DTT)などの還元剤を使用した軽鎖及び重鎖の生成よりも望まれる。従来では、パパインとペプシンは抗体フラグメントを生成するために使用され、これらは全て手間がかかるプロセスである。ペプシンによるIgGの切断には、広範な最適化が必要であり、低酸性pHで行われる。パパインには活性剤が必要であり、反応条件に応じてF(ab’)2とFabの両方を取得できるため、フラグメントのプールが不均一になる。これらの欠点は、新しい酵素であるFabRICATOR(登録商標)を使用することで回避できる。切断手順は非常に高速で簡素であり、重要なことに最適化の必要がない。これは中性pHで実行され、正確なF(ab’)2及びFcフラグメントが生成される。ペプシンやパパインのような他のタンパク質分解酵素に共通して関連しているように、それ以上の分解や過剰消化は観察されない。重要なことに、FabRICATOR(登録商標)は重鎖のジスルフィド架橋のC末端のみを切断するため、還元ステップは不要であり、無傷のF(ab’)2と2つの残留Fcフラグメントが得られる。
【0230】
定義
・H:ヘキソース(マンノース、グルコース、ガラクトース)
・Man5:マンノース5
・N:N-アセチルヘキソサミン(N-アセチルグルコサミン及びN-アセチルガラクトサミン)
・F:フコース
・S:シアル酸(N-アセチルノイラミン酸(NANA)及びN-グリコリルノイラミン酸(NGNA))
・G0:アシアロ-アガラクト-脱フコシル化二分岐オリゴ糖
・G0F:アシアロ-アガラクト-フコシル化二分岐オリゴ糖
・G1:アシアロ-モノガラクトシル化-脱フコシル化二分岐オリゴ糖
・G1F:アシアロ-モノガラクトシル化-フコシル化二分岐オリゴ糖
・G2:アシアロ-ジガラクトシル化-脱フコシル化二分岐オリゴ糖
・G2F:アシアロ-ジガラクトシル化-フコシル化二分岐オリゴ糖
・GlcNAc:N-アセチル-D-グルコサミン
・Lys:リジン
・-Lys:切断された重鎖(C末端のリジン残基は存在しない)
・+Lys:C末端リジンを含む重鎖
・ppm:百万分率
【0231】
装置
・Thermo Scientific Q Exactive(Plus)質量分析計
・Agilent 1200HPLCシステム
・Applied Biosystems POROSR2/10 2.1mmD×100mmLカラム
・Thermo Scientific Q ExactiveTuneソフトウェア
・Thermo Scientific Protein Deconvolution ソフトウェア
・0.01mgを計量可能な分析天びん
・ボルテックスミキサー、任意の適切なモデル
・ウォーターバス又は加熱ブロック、任意の適切なモデル
・較正済み温度計-10~110℃、任意の適切なモデル
・較正済みピペット
・マイクロ遠心分離機、任意の適切なモデル
【0232】
処置
サンプルのIdeS分解
・サンプル(50μgのIgGに等しい)。
・1μl(50ユニット)のIdeS酵素を50μgのIgGに加え、短時間ボルテックスし、スピンダウンし、37℃で30分間インキュベートする(ストック酵素@5000ユニット/100μl)。1ユニットの酵素が1μgのIgGを37℃で30分間完全に消化する)
・サンプルをスピンダウンしてLC-MSバイアルに移し、サンプルバイアルをAgilent1200オートサンプラーに入れる。
【0233】
LC/MS法
溶液の調製
・移動相A(超純水中の0.1%ギ酸(FA))-1LのHPLC移動相ボトルに999mLの超純水を加え、1mLのFAを加えて撹拌する。この溶液はRTで2ヶ月間保存できる。
・移動相B(0.1%FA、99.9%アセトニトリル)-1LのHPLC移動相ボトルに999mLのアセトニトリルを加え、1mLのFAを加えて撹拌する。この溶液はRTで2ヶ月間保存できる。
【0234】
LC法
・カラム:Applied Biosystems POROS R2/10 2.1mmD×100mmL
・カラム温度:60℃
・オートサンプラー温度:4℃
・流量:300μL/分
・注入量:5μL
・移動相A:超純水中の0.1%FA
・移動相B:アセトニトリル中0.1%FA
【0235】
【0236】
MS法
スキャンパラメータ:
・スキャンタイプ:フルMS
・スキャン範囲:700~3500m/z
・断片化:インソースCID 35.0 eV
・解像度:17500
・極性:正
・ロックマス:オン、m/z 445.12002
・AGCターゲット:3e6
・最大注入時間:250
【0237】
HESIソース:
・シースガス流量:32
・補助ガス流量:7
・スイープガス流量:0
・スプレー電圧(|kV|):4.20
・キャピラリー温度(℃):280
・SレンズRFレベル:55.0
・ヒーター温度(℃):80
【0238】
データ解析
検出された各グリカン種の相対含有量は、デコンボリューションされた質量スペクトルの分析に基づいて記録される。
図5はSp2/0細胞において産生されたウステキヌマブのIRMA分析の代表的なデコンボリューションされたマススペクトルを示す。IRMA分析によって決定された主な構造は、例えば、G0(H3N4),G0F(H3N4F1),G1F-GlcNAc(H4N3F1),H5N3,G1(H4N4),H5N3F1,G1F(H4N4F1),G2(H5N4),G2F(H5N4F1),G1FS(H4N4F1S1),H6N4F1,G2FS(H5N4F1S1),H7N4F1,H6N4F1S1,G2FS2(H5N4F1S2)を含む。これらの各構造のパーセンテージが監視される。測定されたピーク強度は、正規化後の各構造のパーセンテージ(帰属された合計の%)を表す。観測された質量が100ppmの質量偏差しきい値の外側にあるグリカンは、計算に含まれない。例えば、(
*G1F-GlcNAc-Lys、
*H5N3-Lys、
*G1-Lys、
*H5N3F1-Lys、及び
*G2-Lys)。上述の通り、これらはアスタリスク(「
*」)で示される。また、Man5-Lysは強度が非常に低いため、スペクトルで常に検出されるとは限らないが、存在する場合は考慮され、計算に含まれる。グリカンのパーセンテージは、末端リジンがある場合とない場合のFcフラグメントの両方のアイソフォームで検出されたものとして計算される。例えば、パーセンテージG0Fは(%G0F-Lys+%G0F+Lys)である。重鎖アイソフォームの1つのみで検出された構造は、二重アスタリスク(「
**」)で示される。例えば、
**G1F-GlcNAc-Lys、
**H5N3-Lys、
**H5N4-Lys、及び
**H5N3F1+Lys。これらの構造のほとんどは存在量が少なく、強度の高い隣接するピークから分離できないか、方法の検出能力を下回っている。
【0239】
*注:HPLCとIRMAの方法の違い(例えば、以下の表2を参照)は、HPLCでの種の共溶出に起因する可能性があり、及び一部の強度がIRMA法の検出能力の限界に非常に近いため、IRMAによる一部のシアル化種の過小評価の可能性がある。
【0240】
【0241】
キャピラリー等電点電気泳動
キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)では、全体の電荷又は等電点(pI)に基づいてタンパク質を分離する。この方法は、ウステキヌマブの電荷ベースのアイソフォームの分布を監視するために使用される。ゲルベースのIEF手順とは異なり、cIEFは存在する荷電種の定量的測定を提供する。更に、cIEFは、ゲルベースの方法と比較して、解像度、感度、及び再現性が向上している。アッセイは、Alcottオートサンプラー(GP Instruments、Inc.)など、≦30℃の周囲環境で、≦10.5℃のサンプル温度を維持できるオートサンプラーを備えた市販のイメージングcIEFアナライザーで実行される。分析では、外壁ポリイミドコーティングなしの内壁コーティングシリカキャピラリを使用して、カラム全体の検出を可能にする。更に、希リン酸とメチルセルロースの陽極液、水酸化ナトリウムとメチルセルロースの陰極液、及び広範囲(pH 3~10)と狭範囲(pH 8~10.5)の両性電解質の規定された混合物が使用される。このアッセイでは、試験品と参照標準(RS)の両方をカルボキシペプチダーゼB(CPB)で前処理し、重鎖のC末端リジンを除去して複数のC末端変異体の存在によって生じる曖昧さを排除する。Sp2/0細胞で発現されたウステキヌマブの代表的なcIEFエレクトロフェログラムは
図6に示され、CHO細胞で発現されたウステキヌマブの代表的なcIEFエレクトロフェログラムは
図9に示されている。
【0242】
各分析の前に、オートサンプラーの温度設定値を4℃に設定し、オートサンプラーを少なくとも30分間予冷し、ラボの周囲の室温を≦30℃に維持する。精製水と、N、N、N’、N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)(キャピラリー内での集束を最適化)、両性電解質、内部標準用のpI 7.6及び9.5マーカー、及びメチルセルロース(MC)を含有する親溶液とを含む、アッセイで使用される、前処理された試験品とRS、サンプルバイアル、バイアルインサート、試薬は、サンプル調製を開始する前に少なくとも30分間氷上に保持される。サンプルは氷上で調製され、親溶液の添加時間が記録され、TEMEDへの曝露が制御される。この添加後180分以内に、アッセイを完了する必要がある。システム適合性対照は1回注入され、試験品とRSは以下のシーケンステーブル(表3)に従って2回注入される。
【0243】
【0244】
サンプルがシリンジポンプによってキャピラリーに注入された後、電界(3kV)がキャピラリー全体に8分間印加され、pH勾配が形成され、ウステキヌマブの電荷ベースのアイソフォームが等電点(pI)に従って分離される。キャピラリー内のタンパク質アイソフォームは、キャピラリー全体を280nmでイメージングすることによって検出され、データは、pI値とA280の関数としてエレクトロフェログラムの形式で表示される。pIの値は、装置ソフトウェアを使用して内部pI標準(pI7.6及び9.5)と比較することによって帰属され、ピーク面積は標準データ取得ソフトウェアを使用してエレクトロフェログラムから決定される。LOD以上の全てのピークの2回注入による平均pIと平均ピーク面積のパーセンテージ、参照標準と比較したΔpI値、及びパーセント面積のピークが報告される。
【0245】
製造制御戦略の概要
大規模な商業的生成において、製造制御戦略は、オリゴ糖プロファイル、生物活性(有効性)、及び/又はDSとDPの他の特性(例えば、表4及び表5で特定された特性を参照)に関して、治療用タンパク質(例えばウステキヌマブのような治療用抗体)の一貫した原薬(DS)、及び製剤(DP)の特性を維持するために展開される。例えば、ウステキヌマブのグリコシル化は、平均%総中性オリゴ糖、%総荷電オリゴ糖、及び%個々の中性オリゴ糖種、G0F、G1F、並びにG2Fの上限と下限の仕様を設定することによって、製造プロセスの段階10で製剤化されたバルク(FB)のインプロセスコントロールとして監視される。本明細書で使用される場合、「原薬」(「DS」と略される)及び「製剤」(「DP」と略される)という用語は、例えば、臨床試験において又は市販薬のように商業的な薬剤として使用するための組成物を指す。DSは、病気の診断、治癒、緩和、治療、又は予防において、薬理学的活性、又は他の直接的な効果を提供すること、又は人体の構造、又は任意の機能に影響を与えることを意図した有効成分である。製造プロセスで生成される製剤化されたバルク(FB)は原薬(DS)である。DP(医薬製品、医薬品、医薬、又は医薬剤とも呼ばれる)は、病気の診断、治癒、緩和、治療、若しくは予防に使用される薬剤、又は人体の構造や任意の機能に影響を与える薬剤である。DPは、患者への販売、及び/又は投与のための医薬製品として調剤されたDSである。
【0246】
表4に示すように、Sp2/0細胞とCHO細胞において産生されたウステキヌマブの%モノマー、%純度、及び%生物活性には、ごくわずかな違いしかない。ただし、主にSp2/0細胞とCHO細胞において産生されるウステキヌマブのオリゴ糖プロファイルの違いによって、引き起こされるcIEFプロファイルには、実質的な違いがある。Sp2/0細胞とCHO細胞で産生されたウステキヌマブのcIEFプロファイルの比較については、例えば、
図6と
図9も参照されたい。
【0247】
【0248】
ウステキヌマブのオリゴ糖プロファイル
ウステキヌマブは、アスパラギン299の各重鎖の単一部位でN-グリコシル化されている。これらのN-結合型オリゴ糖構造は、アスパラギン残基の第一級アミンを介してタンパク質に結合した二分岐オリゴ糖構造の群のいずれでもよいが、ウステキヌマブでは、主にガラクトースとシアル酸の不均一性を伴う二分岐のコアフコシル化種で構成される。主要な個々のオリゴ糖種は、例えば、「G0F」、アシアロ、アガラクトコア-フコシル化二分岐グリカン、「G1F」、アシアロ、モノガラクトコア-フコシル化二分岐グリカン、及び「G2F」、アシアロ、ジガラクトコア-フコシル化二分岐グリカンを含む。ウステキヌマブIgGの、主要なN-結合型オリゴ糖種の、いくつかの概略図は
図7に示される。これらの酵素プロセスにおけるいくつかの二価カチオン(例えば、Mn
2+及びCu
2+)の役割を含む、グリコシル化成熟プロセスにおける、いくつかの酵素の役割も示されている。
【0249】
HPLCは、製造方法におけるウステキヌマブのグリコシル化を分析するために展開される分析手順である。HPLCによる分析では、グリカンは最初に重鎖から酵素的に切断され、次に蛍光標識で標識されて検出される。この方法において、G0F、G1F、及びG2Fの非荷電ピークと、より小さな中性ピークのサブセットは区別できる。更に、区別してシアル化された物質のピークも観察できる(
図4)。もう1つのオリゴ糖分析方法はIRMAであり、化膿レンサ球菌(IdeS)の免疫グロブリンG(IgG)分解酵素を使用した換算質量分析(RMA)法であり、IgGの酵素処理後に主要なグリコフォームを区別できる。
図5はSp2/0細胞において産生されたウステキヌマブのIRMA分析の代表的なデコンボリューションされたマススペクトルを示す。ウステキヌマブの場合、オリゴ糖構造のシアル化の程度と、cIEF、IRMA、又はHPLCによって決定される電荷の不均一性との間にも直接的な関係がある(例えば、
図4、
図5、
図6、
図8、及び
図9を参照)。
【0250】
オリゴ糖プロファイルの制御
組換えモノクローナル抗体のオリゴ糖プロファイルの変化は、抗体の生物学的機能に、大きな影響を与える可能性があるため、オリゴ糖プロファイルの制御は重要である。例えば、生物学的研究では、Fc領域での様々なグリコフォームの分布が、抗体の有効性、安定性、及びエフェクター機能に、大きな影響を与える可能性があることが示されている(J.Biosci.Bioeng.2014 117(5):639-644;Bio-Process Int.2011,9(6):48-53;Nat.Rev.Immunol.2010,10(5):345-352)。特に、脱フコシル化(J.Mol.Biol.368:767-779)とガラクトシル化(Biotechnol.Prog.21:1644-1652)は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)と補体依存性細胞傷害(CDC)で大きな役割を果たすことができる。これは、抗体が免疫機能を介して標的細胞の死滅を媒介する2つの重要な機序である。更に、高いマンノースレベルは抗体のクリアランス(Glycobiology.2011,21(7):949-959)を増加させることによって、有効性に悪影響を与えることが示されており、シアル酸含有量は抗炎症活性に影響を与える可能性がある(Antibodies.2013 2(3):392-414)。オリゴ糖プロファイルの変化による、これらの生物学的影響の結果として、規制当局は、一貫性のある、安全で、効果的な製品のロット出荷仕様を確実に順守するために、抗体のグリコシル化パターンを制御する必要がある。
【0251】
オリゴ糖プロファイル-異なる細胞での発現による影響
抗体の組換え発現に、一般的に使用される、2つのげっ歯類宿主細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)とマウス骨髄腫細胞(例えばSp2/0細胞)である。CHO細胞は、シアル酸グリカンを実質的に欠くことができる、組換え抗体を発現し、グリカンは最大99%フコシル化することができる。対照的に、マウス骨髄腫細胞は、最大50%のシアル酸を含むことができ、概してフコースが減少した組換え抗体を発現する。これらの違いは、インビボでの抗体活性に大きな影響を与える可能性があり、例えば、このような違いは、分子のFc部分の構造に影響を及ぼし、それによって抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)など、抗体エフェクター機能を変化させる可能性があることが示されている(例えば、米国特許第8975040号を参照)。例えば、ADCC活性の低下は、シアル化(荷電)Fcグリカン(Scallon et al.,Mol Immunol 2007;44:1524-34)の増加で認められ、ADCC活性の増加は、フコースが不足している抗体で報告されている(Shields et al.,J Biol Chem.2002;277:26733-26740;Shinkawa et al.,J Biol Chem.2003;278:3466-3473)。
【0252】
更に、CHO細胞とSp2/0細胞で産生される抗体は、2つのグリカンエピトープであるガラクトース-α-1,3-ガラクトース(α-gal)とシアル化N-グリカンNeu5Gc-α-2-6-ガラクトース(Neu5Gc)のレベルに有意差がある可能性がある。例えば、Sp2/0細胞は2つのグリカン構造のはるかに高いレベルを発現できるのに対し、CHO細胞は検出できないか微量レベルのα-Gal及びNeu5Gcで抗体を発現できることが示されている(Yu et al.,Sci Rep.2016 Jan 29;7:20029)。対照的に、ヒトはα-galを生合成するための遺伝子が遺伝的に欠損しており、Neu5Gcの産生に関与する遺伝子は全てのヒトで不可逆的に変異している。その結果、α-GalとNeu5Gcはヒトでは産生されない。更に、治療用抗体にこれらの非ヒトグリカンエピトープが存在すると、α-Gal及びNeu5Gcに対する既存の抗体のレベルが高くなるため、特定のヒト集団で望ましくない免疫反応を引き起こす可能性がある。例えば、抗α-galIgEを介したアナフィラキシー反応がセツキシマブについて報告されており(Chung,C.H.et al.,N Engl J Med.2008 Mar 13;358(11):1109-17)、循環する抗Neu5Gc抗体の存在がセツキシマブのクリアランスを促進することが報告されている(Ghaderi et al.,Nat Biotechnol.2010 Aug;28(8):863-7)。
【0253】
Sp2/0細胞において発現したウステキヌマブには、他の多くの抗体と比較して高レベルのNeu5Gcが含まれていることも報告される。ウエスタンブロット分析は、N-グリカンのほぼ100%を除去するPNGase Fで処理されたウステキヌマブにではなく、ウステキヌマブに結合したNeu5Gcに対して、高度に単一特異性の抗Neu5Gc抗体調製物を示した(Yu et al.,Sci Rep.2016 Jan 29;7:20029)。更なる分析はまた、抗Neu5Gc抗体調製物が1つのNeu5Gc(1つのFc領域でモノシアル化)のみではウステキヌマブに結合できないが、2~4つのNeu5Gcでは抗体に結合できることを示す。抗Neu5Gc抗体が同じ抗体の2つの異なるFc領域にある2つのNeu5Gc(両方のFc領域でモノシアル化)に結合できるのか、抗体の1つのFc領域にあるジシアル化N-グリカンにのみ結合できるのか、は決定されていないが、それらの分布に関係なく、抗Neu5Gc抗体への結合には少なくとも2つのFcNeu5Gc残基が必要であると判断される。
【0254】
Sp2/0細胞及びCHO細胞において発現されたウステキヌマブのオリゴ糖プロファイル
ウステキヌマブの複数の商業生産実行からのコンパイルされたHPLCデータは、Sp2/0細胞で生成されたDS又はDPには、総中性オリゴ糖種64.8%以上85.4%以下、総荷電オリゴ糖種14.4%以上35.6%以下、並びに個々の中性オリゴ糖種G0F11.5%以上40.2%以下、G1F29.9%以上40.6%以下、及びG2F4.1%以上11.3%以下が含まれることを示した。更に、Sp2/0細胞で産生された、ウステキヌマブのキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)エレクトロフェログラムの、ピーク3面積%は、39.8%以上64.4%以下である。表5と表6に示されるように、IRMA又はHPLC分析に基づくと、CHO細胞で産生されたウステキヌマブは、Sp2/0細胞で産生されたウステキヌマブと比較して、全中性、全荷電、並びに個々の中性オリゴ糖種G0F、G1F、及びG2Fで非常に異なるオリゴ糖プロファイルを有する。これらの違いは、それぞれ
図4と
図8に示されるように、Sp2/0細胞とCHO細胞において産生されたウステキヌマブの代表的なHPLCクロマトグラムで明らかである。Sp2/0細胞で産生されたウステキヌマブと比較して、CHO細胞で産生されたウステキヌマブのオリゴ糖プロファイルは、主にG0Fである非常に低レベルの荷電グリカンと高レベルの中性グリカンにシフトされる。CHO細胞で産生されたウステキヌマブのオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、総荷電オリゴ糖種<1.0%、並びに個々の中性オリゴ糖種G0F>70.0%、G1F<20.0%、及びG2F<5.0%を含む。CHO細胞で産生されたウステキヌマブのキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)エレクトロフェログラムのピーク3面積%は>70.0%である。更に、CHO細胞で産生されたウステキヌマブのジシアル化グリカン種は、IRMA又はHPLCで検出されず、モノシアル化グリカン種はHPLC分析に基づいて非常に低レベルであり、IRMA分析では検出できなかった(例えば、表5と
図8を参照)。
【0255】
【0256】
【0257】
結論
したがって、上記のように、製造制御戦略は、オリゴ糖プロファイル、及び/又はDS又はDP(例えば、治療用抗体ウステキヌマブを含むDS及び/又はDP)の、他の特性に関して、治療用タンパク質の一貫した原薬(DS)及び製剤(DP)特性を維持するために展開される。特に、オリゴ糖プロファイルの変化は抗体の生物学的機能に大きな影響を与える可能性があるため、治療用抗体のオリゴ糖プロファイルを制御することは重要である。治療用抗体のオリゴ糖プロファイルの制御のポイントは、治療用抗体の発現のための細胞宿主の選択である。本明細書に提示されるように、Sp2/0細胞で発現されるウステキヌマブは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)、を有する抗IL-12/IL-23p40抗体、を含み、配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列を含み、抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種64.8%以上85.4%以下、総荷電オリゴ糖種14.4%以上35.6%以下、並びに個々の中性オリゴ糖種G0F11.5%以上40.2%以下、G1F29.9%以上40.6%以下、G2F4.1%以上11.3%以下を含む。更に、Sp2/0細胞で産生された抗IL-12/IL-23p40抗体のキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)エレクトロフェログラムのピーク3面積%は39.8%以上64.4%以下である。
【0258】
対照的に、CHO細胞で産生されたウステキヌマブの場合、オリゴ糖プロファイルは、非常に低レベルの荷電グリカンと、主にG0Fである高レベルの中性グリカンにシフトされる。CHO細胞で産生されたウステキヌマブのオリゴ糖プロファイルは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)と、配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)を有する、抗IL-12/IL-23p40抗体を含み、配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列を含み、抗IL-12/IL-23p40抗体のオリゴ糖プロファイルは、総中性オリゴ糖種>99.0%、総荷電オリゴ糖種<1.0%、並びに個々の中性オリゴ糖種G0F>70.0%、G1F<20.0%、及びG2F<5.0%を含む。CHO細胞で産生されたウステキヌマブのキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)エレクトロフェログラムのピーク3面積%は>70.0%である。更に、CHO細胞で産生されたウステキヌマブのジシアル化グリカン種はIRMA又はHPLCで検出されず、モノシアル化グリカン種はHPLC分析に基づいて非常に低レベルであり、IRMA分析では検出できない。概してシアル化種の減少、及びCHO細胞で産生されるウステキヌマブに特異的なNeu5Gcの減少は、ヒトに投与した場合に、望ましくない免疫原性応答を減少させることによって、利益をもたらすことができる。例えば、特に、抗Neu5Gc抗体のレベルが高い患者集団の場合、Neu5Gcのレベルが低下すると、クリアランスを低下させることができるため、CHO細胞で産生される抗IL-12/23p40抗体は、Sp2/0細胞で発現される抗IL-12/23p40抗体と比較して半減期が長くなる。
【配列表】
【国際調査報告】