(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】測定装置および方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/24 20060101AFI20220428BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20220428BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
B23Q17/24 B
G01N21/17 A
B23Q11/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555250
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 GB2020050582
(87)【国際公開番号】W WO2020183155
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ジェイソン メリフィールド
(72)【発明者】
【氏名】グラハム リチャード ファーガソン
【テーマコード(参考)】
2G059
3C011
3C029
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB15
2G059EE01
2G059FF01
2G059GG01
2G059GG02
2G059JJ23
2G059KK04
2G059MM05
2G059NN07
3C011DD00
3C029AA21
3C029AA40
(57)【要約】
機械筐体内に取り付けるための測定装置について説明する。装置は、測定デバイス(2;300;400;500)と、機械筐体内に存在する汚染物質(420)から測定デバイス(2;300;400;500)を保護するための保護手段(40,42;70;100;230)とを備える。保護手段(40;42;70;100;230)は、少なくとも、測定装置(2;300;400;500)を汚染物質から保護する第1のモードと、第1のモードよりも汚染物質からの測定デバイス(2)の少ない保護を提供する第2のモードとの間で切り替え可能である。汚染物質センサー(14;242;302;360;410)は、機械筐体内の汚染物質を感知し、それによって、いつ保護手段(40;42;70;100;230)が第2のモードを採用できるかを決定するために使用される。対応する方法も説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械筐体内に取り付けるための測定装置であって、
測定デバイスと、
前記機械筐体内に存在する汚染物質から前記測定デバイスを保護するための保護手段であって、前記保護手段は、少なくとも、前記測定デバイスを前記汚染物質から保護する第1のモードと、前記第1のモードよりも前記測定デバイスの前記汚染物質からの少ない保護を提供する第2のモードとの間で切り替え可能である、保護手段と、を備え、
前記装置は、前記機械筐体内の汚染を感知するための汚染物質センサーを備え、感知された前記汚染は、前記保護手段がいつ前記第2のモードを採用できるかを決定するために使用されることを特徴とする、測定装置。
【請求項2】
前記装置が、前記汚染物質センサーによって感知された前記汚染が閾値を下回った場合にのみ、前記保護手段を前記第2のモードに切り替えることができるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、前記汚染物質センサーによって感知された前記汚染が閾値を超えたときに、前記保護手段が前記第1のモードに切り替わるように構成されている、請求項1または2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記汚染物質センサーの出力を分析し、前記保護手段を制御するためのコントローラを備えた、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記測定デバイスが、光受信機および/または光送信機を含む非接触測定デバイスを備え、前記保護手段が、前記光受信機および/または前記光送信機の汚染を防止するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記保護手段が、前記測定デバイスを保護するための少なくとも1つのシャッターを備え、前記シャッターが、前記第2のモードにおいて、第1のモードよりもより大きな開口を提供する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記測定デバイスが測定センサーを含み、単一のセンサーが前記測定センサーと前記汚染物質センサーの両方を提供し、それによって前記単一のセンサーが物体と前記汚染物質の両方の測定に使用される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記測定デバイスが、前記汚染物質センサーとは異なる測定センサーを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記汚染物質センサーが、前記機械筐体内の領域を通過して渡された受信光を分析する光学センサーである、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記測定デバイスであって、前記保護手段および前記汚染物質センサーが単一の測定ユニット内に提供される、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記測定デバイスおよび前記汚染物質センサーが複数の別個のユニットとして提供される、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記測定デバイスは、前記保護手段が前記第1のモードと前記第2のモードの両方にあるときに物体測定値を取得することができ、前記測定デバイスは、前記保護手段が前記第2のモードにあるときに追加的な測定機能を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記保護手段が少なくとも1つの追加のモードを採用することもできる、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記測定デバイスが、測定対象のツールを挿入することができる光ビーム経路に沿って光を受信機に渡すための送信機を有する光学ツール設定デバイスを備えた、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
機械筐体内に取り付けられた測定装置を操作するための方法であって、測定装置は、測定デバイスと、および前記機械筐体内に存在する汚染物質から前記測定デバイスを保護するための保護手段と、を備え、前記保護手段は、少なくとも、測定デバイスを汚染物質から保護する第1のモードと、第1のモードよりも汚染物質からの測定デバイスの少ない保護を提供する第2のモードとの間で切り替え可能であり、
前記方法は、
前記機械筐体内の汚染量を感知するステップ(i)と、
ステップ(i)で感知された汚染の量に基づいて、前記保護手段がいつ前記第2のモードを採用できるかを決定するステップ(ii)と、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、より具体的には、工作機械筐体内の過酷な環境から測定デバイスをよりよく保護するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触ツール測定デバイスなどのデバイスを、機械加工操作から生じる汚染物質(例えば、クーラント、切削破片など)から保護することが知られている。例えば、汚染物質の侵入から光学要素を保護する手段を含む、工作機械用のレーザーツールセッターおよびビジョン(カメラベース)ツールセッターが知られている。
【0003】
レーザーツールセッターは、工作機械に保持されているツールが狭いレーザービームを遮断したことを検出する。これは、ツールの長さや直径などの測定値を収集することを可能にする。EP1050368は、レーザービームが狭い開口(apertures)を介してデバイスに出入りできるようなレーザーツールセッターについて説明する。使用中、空気の保護流が光学開口から排出され、汚染物質などがデバイスに入り、光路を覆い隠すリスクを低減する。この空気の流れは、工作機械を使用していないときにオフにすることができる。UKのウォットンアンダーエッジのレニショウplcが販売しているNC4非接触ツール設定システムはそのようなシステムの例である。
【0004】
画像センサーがツールの画像をキャプチャするビジョンまたはカメラベースのツール測定デバイスも知られている。ノルウェーのKlaebuにあるConopticaによって販売されているCU2ツール測定システムはそのようなデバイスの例である。典型的なビジョンベースのツール設定システムは、ツールを照明するための光源と、そのツールの画像を収集するための画像センサーとを含む。過酷な工作機械環境から画像センサーを保護するために機械式シャッターがよく使用され、工作機械コントローラはビジョンツール測定デバイスにシャッターを適切に開閉するように指示する。例えば、シャッターは、ツールの検査時には開き、および加圧されたクーラントの流れ(streams)を使用し、大量の切削屑が発生するような機械加工時には、画像センサーを保護するために閉じることが実施される。クーラントや破片が存在するときにシャッターを開くと、光学部品の測定性能の低下を防ぐために、クリーニングまたは修理のためにデバイスを分解する必要のある汚染または損傷が発生する。
【0005】
WO2019/053432は、ビジョンモードおよびレーザーエミュレーションモードの両方で動作するように構成された画像センサーを有するツール測定デバイスを説明している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、機械の筐体内に取り付けるための測定装置が提供され、測定装置は、
測定デバイスと、
機械筐体内に存在する汚染物質から測定デバイスを保護するための保護手段であって、保護手段は、少なくとも、測定デバイスを汚染物質から保護する第1のモードと、第1のモードより少ない汚染物質からの測定デバイスの保護を提供する第2のモードと、の間で切り替え可能である保護手段と、を備え、
装置は、機械筐体内の汚染を感知するための汚染物質センサーを備え、感知された汚染は、保護手段がいつ第2のモードを採用することができるかを決定するために使用されることを特徴とする。
【0007】
したがって、本発明は、機械の過酷な動作環境内で取り付けられ、動作することができるように構成された測定装置に関する。例えば、装置は、金属切断機、フライス盤、旋盤、マシニングセンターなどの形態の工作機械の筐体内に取り付けるように構成され得る。測定装置は、非接触または接触ツール設定デバイスなどの測定デバイスを備える。機械筐体内に存在し得る任意の汚染物質(例えば、クーラント、切断破片など)から測定デバイスを保護するための保護手段(本明細書では保護システム、保護装置または保護デバイスとも呼ばれる)も提供される。
【0008】
保護手段は、少なくとも第1のモードと第2のモードとの間で切り替えることができる。第1のモードは、測定デバイスに汚染物質からの少なくともある程度の保護を提供するように構成される。第1のモードは、例えば、測定デバイスを保護するために移動される保護物理的障壁(例えば、機械環境に対してシールするためにシャッターが閉じられ得る)および/または保護機能を実行する空気の流れ(例えば、光も通過する開口から空気が排出され得る)を備え得る。第2のモードは、測定デバイスに第1のモードよりも弱い保護を提供する。例えば、物理的障壁は、測定デバイスが覆われないように移動され得(例えば、シャッターが少なくとも部分的に開かれ得る)、および/または空気の保護流が遮断され得るか、もしくはより低い流量で提供される。以下に説明するように、保護手段が第1のモードにあるとき、測定デバイスは全く測定を行うことができなくあり得る(例えば、測定を行う前に第2のモードに入る必要がある)。代替的に、第1のモードで行うことができる測定の精度またはタイプは、第2のモードで可能なものよりも低くあり得る。
【0009】
本発明の測定装置はまた、機械筐体内の汚染を感知するための汚染センサーを備える。以下で説明するように、汚染物質センサーは、測定デバイス自体の一部を形成し得る(例えば、共通の光学センサーは測定と汚染物質感知の両方に使用され得る)。代替的に、汚染物質センサーは、測定デバイスも含むハウジングに統合され得、または別個に取り付けられたユニットとして提供され得る。感知された汚染(すなわち、汚染物質センサーによって測定されたもの)は、保護手段がいつ第2のモードを採用できるかを決定するために使用される。換言すれば、感知された汚染は、いつ保護手段を安全に第2モード(つまり、測定デバイスの弱い保護が提供される場合)に切り替えることができるかを示すために使用される。これは、検出された汚染が特定のレベルを超えたときに第2のモードに入る保護手段に対して、禁止または警告することによって行われ得る。代替的に、感知された汚染が特定のレベルを下回ったときに第2のモードに自動的に入るか、または感知された汚染が特定のレベルを超えたときに第2のモードを自動的に終了し得る。
【0010】
したがって、本発明は、機械環境内(例:工作機械のケーシングまたは筐体内)に取り付けられた測定デバイスが、クーラント(ストリーム、液滴、またはミストとしての存在であり得る)、削りくず、ほこり、粉末、すす、煙など、機械によって発生または使用される任意の汚染物質から保護されることを確実にする改善された方法を提供する。例えば、本発明は、切削プロセスが終了した後でも、汚染物質が工作機械環境に残り得るという問題に対処する。例えば、工作機械へのクーラント供給が停止した後、高速の部品またはツールの回転により発生したクーラントミストがしばらく消散し得ない。さらに、工作機械のスピンドルは、典型的に、さまざまなパイプまたはチャネルを含み、それを通ってノズルにクーラントがポンプで送られ、ツールまたは機械加工される部品に向けて高圧で大量のクーラントが噴霧される。工作機械のさまざまな部分を動かすときに(例えば、スピンドルを動かして、ツールをツール測定デバイスとの感知関係に保持する)、単にそのようなクーラントがパイプおよび流体チャネルから排出されることができるため、アクティブなクーラントポンプが停止した後でも、クーラントの滴や流れが工作機械内で生成され得ることが見出される。関連する機械加工プロセスが終了した直ぐまたは直後に環境がクリアであると想定するのではなく、機械内の汚染物質の存在またはその他を積極的に感知することで、測定デバイスが不正確になるか、または単に機能を完全に停止するまで汚染されるリスクを軽減する。
【0011】
測定装置は、関連する機械コントローラ(例えば、工作機械の工作機械コントローラ)またはユーザに、保護手段が第2のモードに入るのを可能にするのに機械環境が十分にクリアであるか、またはクリアでないかの表示を提供し得る。例えば、制御信号が機械コントローラに渡され得、および/または視覚インジケータ(例えば、色が変化する光)がユーザに状態を通知し得る。有利には、装置は、機械環境内で感知された汚染(すなわち、汚染物質センサーによって感知された)が事前定義された閾値を下回った場合にのみ保護手段を第2のモードに切り替えることができるように構成される(例えば、機械コントローラによって送信された制御信号に応答して)。測定された汚染がこの閾値を超えている場合は、代わりに機械環境がクリアされるまでにさらに時間が必要であることを示す、エラー信号がコントローラに返送され得る。このエラー信号は、検出された汚染が閾値を下回るまで維持され得るか、またはコントローラは第2のモードへの移行を定期的に再要求し得る(例えば、機械環境が十分にクリアであることが判明するまで)。
【0012】
第2のモードに入った後(すなわち、第1のモードと比較して測定デバイスの保護が少ない場合)、装置は、第1のモードに再び入るように指示されるまで(例えば、機械コントローラによって)、その第2のモードに留まり得る。汚染物質センサーは、保護手段が第1のモードの場合に汚染を感知するためのみに使用され得る。代替的に、装置は、機械環境内で感知された汚染(汚染物質センサーによって測定される)が閾値を超えたときに保護手段が第1のモードに切り替わるように構成され得る。言い換えれば、感知された汚染が事前定義された閾値レベルを超えて増加するとき、第1の(より保護的な)モードが作動され得、それにより、測定デバイスを自動的に保護する。これは、汚染物質を、測定デバイスによって測定されている物体(ツールなど)と区別することを要求する。大量の汚染物質が存在する場合、および/またはそれらが高速で移動している場合(例えば、クーラントポンプが作動してクーラントの加圧された流れを生成する場合、および/または高速で回転するツールから破片/クーラントが排出される場合)、保護手段は第1のモードに入るとき、比較的高速で応答することを要求され得る。
【0013】
汚染物質センサーからの出力は、機械環境内に存在する汚染物質のレベルを決定するための分析のために、関連する機械のコントローラに供給され得る。代替的に、装置は、汚染物質センサーの出力を分析するためのコントローラを備え得る。コントローラはスタンドアロンユニットであり得る。代替的に、コントローラは、測定デバイス用のコントローラと組み合わせられ得る。コントローラはまた、保護手段を制御し得る。特に、コントローラは、保護手段が第1のモードであるか第2のモードであるかを制御し得る。したがって、コントローラは、保護手段によって採用されるモードを決定するときに、汚染物質センサーの分析された出力を使用し得る。例えば、上で説明したように、コントローラは、感知された汚染が閾値レベルを下回っている場合にのみ、第2のモードに入ることを許可し得る。
【0014】
測定装置の一部として提供される測定デバイスは、任意の適切なタイプのものであり得る。測定デバイスは、物体の存在、サイズ、位置、または状態を測定し得る。測定デバイスは、物体を観察するために使用することができる。一実施形態では、測定デバイスは、接触ベースの測定デバイス(例えば、突出したスタイラスを備えた接触ツール設定プローブ、表面仕上げプローブ、または超音波プローブ)を備え得る。有利には、測定デバイスは、非接触測定デバイスを備える。導電性、誘導性、または磁気性の非接触測定デバイスが提供され得る。有利には、非接触測定デバイスは光学測定デバイスである。このような光学測定デバイスは、好ましくは、光学受信機および/または光学送信機を含む。光学受信機および/または光学送信機は、様々な構成要素(例えば、レンズ、窓、光学フィルターなど)を含み得る。測定デバイスは、物体の画像をキャプチャするためのカメラ(例えば、画像センサを有する)を備え得る。保護手段は、光学受信機および/または光学送信機の汚染を防ぐように構成され得る。例えば、保護手段は、光学送信機および/または受信機の光学構成要素の閉塞、損傷、または曇りを阻止し得る(例えば、光学構成要素の汚染物質の長期的または急速な蓄積から)。
【0015】
保護手段は、測定デバイスを保護するための任意の適切なデバイスを備え得る。接触ベースの測定デバイスが提供される場合、保護手段は、スタイラスを覆うまたは保護するために伸びることができ(すなわち、第1のモード)、次いで、スタイラスが物体(例:ツール)との接触を可能にするのに十分に突出することを可能にするために格納することができる(すなわち、第2のモード)、格納式シュラウドを備えることができる。保護手段はまた、汚染物質が測定デバイスの部品に蓄積するのを防止するガス(例えば、空気)の流れを備え得る。そのような例では、第1のモードは、加圧ガスを供給することを備え得(例えば、上記のように測定デバイスの光学開口を通して放出される)、第2のモードは、ガスの減少した流れを供給するか、またはガスの流れを完全に停止することを備え得る。したがって、第1のモードは、気流保護を提供し得、第2のモードは、減少された気流保護を提供するか、または全く提供しない。
【0016】
有利には、保護手段は、測定デバイスを保護するための少なくとも1つのシャッターを備える。シャッターは移動可能であり得る(例えば、回転および/または並進によって)。第1のモードでは、シャッターは部分的に閉じられ得る。第1のモードでは、シャッターは完全に閉じられ得る。シャッターは、第2のモードよりも第1のモードの方がより閉じられ得る(すなわち、測定デバイスをより覆い隠す)。シャッターは、第2のモードで第1のモードよりもより大きな開口を提供し得る。代替的に、光学測定デバイスでは、シャッターは、第1のモードで光が通過する透明な窓領域と、および第2のモードで光が通過する開口(すなわち、穴)とを有し得る。シャッターの動きは、透明な窓領域または開口を測定デバイスの光路に配置するのに使用され得る。したがって、透明な窓領域は、使用中に汚染物質で覆われ得るが、依然とていくらかの光を通過させることを可能にするため、それにより汚染物質の感知または低精度の測定を可能にする。対照的に、第2のモードの開口は、より高精度の測定を実行することを可能にする(すなわち、光が窓を通過するときに発生し得る測定精度を劣化させることなく)が、一部の汚染物質が測定デバイスに到達することを可能にすることができる(つまり、低減されたレベルの保護が提供される)。
【0017】
保護手段は、1つのシャッターのみを備え得る。代替的に、保護手段は、複数のシャッターを備え得る。測定デバイスは、センサーを有する受信機と光源を有する送信機とを備え得る。そのような例では、第1のシャッターがセンサーを保護するために提供され得、第2のシャッターが光源を保護するために提供され得る。シャッターは、機械的に操作されるシャッターであり得る。シャッターを第1のモードと第2のモードとの間で移動させるため、任意の適切な作動手段が使用され得る。例えば、各シャッターは、空気圧で作動(例えば、1つまたは複数の空気圧アクチュエータによって)、または電気的に作動(例えば、1つまたは複数の電気アクチュエータによって)され得る。シャッターは、電源がない場合にシャッターをデフォルトモードにバイアスするためのバイアス手段(例えば、1つまたは複数のばねまたは同様の要素)を含み得る。例えば、電源が切断されると、シャッターはデフォルトによって第1のモードに入り得る。これには、フェイルセーフ構成を提供するという利点を有する(つまり、例えば電源に障害が発生した場合に、第1のモードのより高い保護が提供される)。多段シャッターがまた提供され得る。言い換えれば、一連のシャッターが提供されることができる。例えば、第1のシャッター要素(例えば、開口のない中実シャッター)を閉じて、第1のモードを提供し得る。次いで、第2のモードは、第1のシャッター要素を開くこと、および第2のシャッター要素(例えば、開口を有する)を閉じることを備え得る。
【0018】
汚染物質センサーは、さまざまな形態で提供され得、機械環境内の汚染物質の存在を直接的または間接的に検出することができる任意のセンサーを備え得る。
【0019】
測定デバイスは、物体を測定および/または観察するためにそのデバイスによって使用される測定センサー(例えば、画像化アレイ、カメラ、光検出器など)を備え得る。一実施形態では、汚染物質センサーはまた、測定デバイスの測定センサーによって提供され得る。言い換えれば、単一のセンサーが測定センサーと汚染物質センサーの両方を提供し得る。したがって、単一のセンサーを物体と汚染物質の両方の測定に使用されることができる。単一のセンサーは光学センサーであり得る。単一のセンサーが光学センサーである場合、センサー出力は測定情報を提供するために分析され得るが、汚染物質が機械環境に存在するかを判断するためにも分析され得る。例えば、受信光の強度または光強度のパターンの変化(測定対象がない場合)を分析して、機械環境内に存在する汚染物質に関する情報を抽出し得る。単一のセンサーを使用することは、測定が行われる空間の領域(例えば、保護されている測定デバイスの近く)で汚染を測定することを可能にする利点を有する。
【0020】
代替的な実施形態では、別個の汚染物質センサーが提供され得る。言い換えれば、測定デバイスは、汚染物質センサーとは異なるおよび/または分離された測定センサーを含み得る。汚染物質センサーは、機械筐体内の環境を直接感知し得る。この直接感知は、例えば、光のビーム(または他の波長の電磁放射)を、機械筐体内の領域を通って光源から検出器に通過させることを備え得る。汚染物質センサーは、便利には、機械筐体内の領域を通過して光学センサーに渡された受信光を分析する光学センサーである。検出器に到達する光の強度または分布、または経時的な検出器に到達する光の強度または分布の変化は、汚染物質の存在を直接測定するために使用され得る。
【0021】
汚染物質センサーは、機械筐体内の環境を間接的に感知し得る。例えば、ガラス板上の汚染物質(液体クーラントなど)の量または分布の変化は、適切な汚染物質センサーを使用して測定することができる(例えば、自動車のウインドスクリーンに使用されているレインセンサーと同様の方法で、赤外線センサーを使用して、ガラス板からの全内部反射の量を測定できる)。間隔の狭い導電性ストリップ間の電気伝導性を測定して、機械環境の汚染量を間接的に測定することも可能である。
【0022】
本発明の装置は、単一の一体(unitary)のアイテムとして形成され得る。言い換えれば、測定デバイス、保護手段、および汚染物質センサーは、単一の測定ユニット内に提供され得る。例えば、非接触ツール測定デバイス、保護手段、および汚染物質センサーを含む、統合された非接触ツールセッターが提供され得る。そのようなデバイスは、汚染物質センサーを含まない従来技術の装置と同じ設置面積および/または同じ形状のハウジングを有し得る。装置を単一の統合されたユニットとして形成することは、装置が分析機能などを実行するための別個のインターフェースを依然として含み得、それが機械のベッドに容易に設置できることを意味することを留意する。代替的に、汚染物質センサーは、複数の別個の(統合されていない)1つまたは複数のユニットとして提供され得る。測定デバイスおよび汚染物質センサーが別々のユニットで提供される場合、測定デバイスおよび汚染物質センサーは使用中に適切に配向され、および互いに離間され得る。
【0023】
言い換えれば、測定デバイス(保護手段を統合し得る)と汚染物質センサーとの間に必要な空間的関係が、機械への設置中に提供され得る。そのようなモジュール式の構成は、既存のシステムを後付けすることを可能にし、スペースが限られている機械により適切であり得る。
【0024】
保護手段は、それが第1のモードにあるとき(すなわち、測定デバイスを保護するとき)、測定デバイスを使用して測定値を取得することをまったく防止し得る。例えば、保護手段のシャッターまたはカバーは、物体またはツールの任意の測定が行われるのを防止し得る。しかしながら、第1のモードは、好ましくは、汚染物質センサーが機械筐体内の汚染物質を感知することを防止しない。これは、例えば、汚染物質センサーが測定デバイスと統合されている場合、次いで保護手段は依然として第1のモードで汚染物質の測定を可能にするべきであることを意味する。
【0025】
好ましい実施形態では、測定デバイスは、保護手段が第1および第2のモードのいずれかに配置されたときに物体測定値を取得することができる。保護手段が第2のモードにあるとき、測定デバイスは追加的な測定機能を有し得る。例えば、ツール検出またはエミュレーションモード測定(例えば、小さな視野を使用する)は、第1のモードの保護手段で可能であり得る。
【0026】
第2のモードはまた、そのようなツール検出またはエミュレーションモード測定を可能にし得るが、追加的に、ツールの画像または他の測定がはるかに広い視野にわたって取られることを可能にし得る。言い換えれば、保護手段が第2のモードにあるときに測定デバイスに与えられる汚染物質に対する低下した保護は、測定精度の向上および/または測定デバイスを使用して収集することができる測定のタイプもしくは速度の向上を伴い得る。
【0027】
保護手段はまた、少なくとも1つの追加的なモードを採用することが可能であり得る。言い換えれば、保護手段を第1および第2のモード以外の1つまたは複数のモードに配置することが可能であり得る。例えば、第2のモードよりも少ない保護を与える追加的なモードが提供され得る(例えば、そのような追加的なモードでは保護手段が完全に無効にされ得る)。有利には、第1のモードよりも強力な保護を与える追加的な(第3の)モードが採用され得る。第3のモードは、例えば、汚染物質に対してより強い(例えば、気密)シールを提供し得る。
【0028】
好ましい実施形態では、保護手段は、第1の開口と、および第1の開口よりも大きい第2の開口と、を有するシャッターを備える。保護手段の第1のモードは、第1の開口を光路に配置し、また第1の(比較的小さい)開口を通して空気を排出することを含み得る。この例では、2次元イメージングアレイの形式の単一のセンサーが両方の物体測定値を収集し得、また汚染物質センサーを提供し得る(つまり、保護手段が第1のモードにあるときに機械筐体内の汚染物質のレベルを感知することを可能にする)。この第1のモードは、以下でより詳細に説明される、いわゆる収縮構成にある保護手段を備え得る。保護手段の第2のモードは、ビーム経路に第2の(より大きな)開口を配置し、空気の流れを停止することを含み得る(例えば、ツールのより広い領域の画像が取得され、圧縮空気の浪費を防止することを可能にするため)。この第2のモードは、以下でより詳細に説明されるいわゆる開いた構成にある保護手段を備え得る。
【0029】
第3のモードは、シャッターの不透明な領域を使用して光路を完全に遮断することを含み得る。この第3のモードは装置を密閉し得るが、測定値(物体または汚染物質のいずれか)を取得することは全くできない。したがって、第3のモードは、オフまたは非アクティブ化された状態であり、以下でより詳細に説明される、いわゆる閉鎖構成にある保護手段を備え得る。
【0030】
好ましい実施形態では、測定デバイスは、測定されるツールを挿入することができる光ビーム経路に沿って光ビームを受信機に渡すための送信機を有する、光学ツール設定デバイスを備える。保護手段は、便利にはシャッターを備える。使用中、ツールは、ツールを光ビーム内に持ち込むか、光ビームにツールを通して、または光ビームから移動させることによって測定される。装置が取り付けられる機械は、好ましくは工作機械を備える。代替的に、機械は、使用中に汚染物質を生成する任意のタイプの工業用製造機械であり得る。例えば、溶接機、放電加工機(EDM)、レーザーカッター、アディティブマニュファクチャリングマシン(additive manufacturing machine)(例えば、金属またはプラスチック粉末の堆積層から3Dオブジェクトを印刷する)、粉体塗装機などである。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、機械の筐体内に取り付けられた測定装置を操作する方法が提供され、測定装置は、測定デバイスと、および機械の筐体内に存在する汚染物質から測定デバイスを保護するための保護手段とを備え、保護手段は、測定デバイスを汚染物質から保護する少なくとも第1のモードと、第1のモードよりも汚染物質からの測定デバイスのより少ない保護を提供する第2のモードとの間で切り替え可能であり、方法は、機械筐体内の汚染量を感知するステップ(i)と、ステップ(i)で検出された汚染量に基づいて、保護手段が第2のモードを採用することができる時期を決定するステップ(ii)と、を備える。ステップ(ii)は、ステップ(i)で感知された汚染の量がプリセットされた閾値を超える場合に、保護手段が第2のモードに入ることを禁止することを備え得る。対応する装置の動作に関連して本明細書に記載される様々な特徴もまた、方法の一部を形成し得る。
【0032】
また、本明細書に記載されているのは、機械の筐体内に取り付けるための測定装置であり、測定デバイスと、および測定デバイスを機械筐体内に存在する汚染物質から保護するための保護デバイスとを備え、保護デバイスは、少なくとも、測定デバイスを汚染物質から保護する第1のモードと、第1のモードよりも汚染物質からの測定デバイスのより少ない保護を提供する第2のモードとの間で切り替え可能であり、装置は、機械筐体内の汚染を感知するための汚染物質センサーを備え、感知された汚染は、保護デバイスがいつ第2のモードを採用することができるかを決定するために使用される。
【0033】
本明細書では、測定装置について説明する。測定装置は、機械の筐体内に取り付けるのに適切であり得る。機械は工作機械を備え得る。測定装置は、測定デバイス(例えば、非接触測定デバイス)を備え得る。装置は、保護手段を含み得る。保護手段は、機械の筐体内に存在する汚染物質から測定デバイスを保護するためのものであり得る。保護手段は、少なくとも、測定デバイスを汚染物質から保護する第1のモードに切り替え可能であり得る。保護手段は、第2のモードに切り替え可能であり得る。第2のモードは、第1のモードよりも汚染物質からの測定デバイスのより少ない保護を提供し得る。装置は、汚染物質センサーを備え得る。汚染物質センサーは、機械筐体内の汚染物質を感知するために使用され得る。感知された汚染は、保護手段がいつ第2のモードを採用することができるかを決定するために使用され得る。装置は、本明細書に記載されている1つまたは複数の他の特徴を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
ここで、添付の図面を参照して、単に一例として本発明を説明する。
【
図1】
図1は、物体測定と汚染物質感知の両方に使用される画像センサーを有するツール設定デバイスを備えた測定装置を示す。
【
図2a】
図2aは、
図1の装置の保護手段の多段シャッターアセンブリを図示する。
【
図2b】
図2bは、
図1の装置の保護手段の多段シャッターアセンブリを図示する。
【
図3】
図3は、回転可能なディスクの形状である多段シャッターアセンブリを図示する。
【
図4】
図4は、
図3の回転可能なディスクを含む保護メカニズムを示す。
【
図5】
図5は、単一ユニットとして形成されているが、測定デバイスの測定センサーとは別の汚染物質センサーを有する測定装置を示す。
【
図6】
図6は、測定デバイスと汚染物質センサーが個別のユニットとして提供されている測定装置を示す。
【
図7】
図7は、片面非接触測定デバイスでの汚染センサーの使用を図示する。
【
図8】
図8は、接触ベースの測定デバイスでの汚染センサーの使用を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を参照すると、工作機械のベッド4に取り付けられたツール設定デバイス2の形態の測定デバイスを備える本発明の測定装置が図示される。ツール設定デバイス2は、光ビームを放射するLED光源10を備える。光を感知するための1000×1000ピクセルのアレイ(すなわち、1メガピクセルアレイ)を備える画像センサ14も提供される。光源10およびセンサ14は、適切な光学要素(例えば、レンズなど)を含む。画像センサ14によって収集された強度データを分析するために、分析ユニット16(例えば、プロセッサを備える)が提供される。光源10および画像化センサ14は、柱18によって共通ベース20内に含まれ、それらに固定されている。光源10からの光ビームは、ツール感知領域13に配置された不透明な物体(例えば、ツール)によってセンサー14に到達するのを遮断される。ツールを前面照射(front―lighting)するために、二次光源11がまた提供され得る。
【0036】
ツール設定デバイス2が取り付けられている工作機械はまた、ツール32を保持するためのスピンドル30も含む。スピンドルは回転軸Rを中心に回転可能である(つまり、ツールをその長手軸を中心に回転させることを可能にする)。スピンドル30は、数値コントローラまたはプロセッサを含むNC34の制御下で工作機械内で回転および移動する。ツール設定デバイス2もまた、インターフェース36を介してNC34に接続されている。インターフェース36は、電気ケーブル17を介してツール設定デバイス2に接続されている。インターフェース36は、ツール設定デバイスに電力を供給する。加えて、インターフェース36は、より複雑な処理タスク(画像分析など)を実行するために外部コンピュータ31に接続されている。コンピュータ31はまた、NC34を直接操作し得ることに留意されたい(例えば、NC34によって作用される一連の移動命令を送信することによって)。インターフェース36は、個別のユニットである必要はなく、NC34または外部コンピュータ31の一部として形成され得ることにも留意されたい。使用中、工作機械(NC34の制御下にある)は、必要に応じてツール32を光ビームに出し入れすることができ、それによってツールを測定することを可能にする。
【0037】
ツール設定デバイス2は、典型的に、切削操作中に大量のクーラントおよび切削破片が存在する可能性がある工作機械ベッド4の領域に配置されるであろう。したがって、デバイスは、画像化センサ14を保護するための第1のシャッターアセンブリ40と、光源10を保護するための第2のシャッターアセンブリ42とを備える保護システムを含む。第1および第2のシャッターアセンブリ40および42はそれぞれ、3つの異なる構成、すなわち、開放、閉鎖、および収縮構成を採用することができる。第1および第2のシャッターアセンブリの両方が開放構成を採用する場合、第1および第2のシャッターアセンブリは、光の通過のために比較的広い開口を提供する。特に、光源10から画像センサ14に通過する比較的広い光ビーム12aが生成される。障害物がない場合、ビーム12aは、画像センサ14のアクティブ領域(すなわち、1000×1000ピクセル)を完全に照らすように寸法が決められている。このようにして、ツール感知領域13に配置されたツールは、画像センサ14によって生成されたツールのバックライト画像(back―lit image)を使用して検査され得る。第1および第2のシャッターアセンブリが両方とも閉鎖構成に配置される場合、第1および第2のシャッターアセンブリは、工作機械環境から光源10およびセンサ14を完全に密閉する。この閉鎖構成では、光源10およびセンサ14は、工作機械が切削操作を実行するときに典型的に存在する大量のクーラントおよび切削破片による汚染から完全に保護されている。もちろん、閉鎖構成では測定をすることはできない。
【0038】
第1および第2のシャッターアセンブリ40および42はまた、収縮構成を採用することができる。これは、部分的に開いた、制限された、または制限された構成と呼ばれ得る。そのような収縮構成では、シャッターアセンブリはそれぞれ、小さな開口(すなわち、開放構成の開口よりも小さい開口)を画定する。第1のシャッターアセンブリ40の小さな開口は、センサ14に向けられる光の量を制限する。すなわち、図示された「狭い」光ビーム12bが生成される。第2のシャッターアセンブリ42の小さな開口は、画像センサ14を部分的に覆う。第1および第2のシャッターアセンブリ40および42は、ツールがない場合に、狭い光ビーム12bが第2のシャッターアセンブリ42の小さな開口を通過し、画像センサ14に当たるように適切に位置合わせされる。
【0039】
収縮構成では、ツール感知領域13に配置されたツールを感知することは依然として可能であるが、デバイスの視野は縮小される。このより小さな視野にわたってツールの画像をキャプチャすることが可能であるか、または以下でより詳細に説明するように、デバイスは、センサに到達する光の総強度が分析される、エミュレーションモード(例えば、WO2019 / 053432に記載される)で操作されることができる。そのようなエミュレーションモードは、上記のタイプの既知のレーザーツール設定デバイスと同様の方法で、光ビーム12bに出入りするツールの検出を可能にするであろう。
【0040】
収縮構成で画像センサ14に到達する光はまた、収縮構成がデバイスの任意の汚染を実質的に防止しているにもかかわらず、工作機械環境内の任意の汚染物質の影響を受ける。したがって、画像化センサ14はまた、工作機械環境の清浄度を感知するための汚染物質センサとして機能するように構成される。例えば、センサーに到達する光の量またはパターンを分析して、クーラントミストや削りくずなどが依然としてローカル環境に存在するかどうかを判断することができる。この実施形態では、インターフェース36は、画像センサー14によって受信された光を分析して、工作機械環境内の汚染レベルを決定するが、代わりに、別個のプロセッサなどを提供されることができることに留意されたい。
【0041】
収縮構成で感知された汚染は、いつ第1および第2のシャッターアセンブリ40および42が安全に(すなわち、汚染がデバイスに入るリスクが許容できるほど低い)開放構成を採用できるかを示すために使用される。したがって、デバイスは、工作機械環境の清浄度を監視し、十分に低いレベルの汚染物質が測定されたときに、収縮構成(すなわち、第1のモード)から開放構成(すなわち、第2のモード)に自動的に切り替えるように構成され得る。代替的に、測定された汚染レベルは、デバイスが開放構成に入るように指示されたときに評価され得る。例えば、解放構成は、測定された汚染が特定の閾値レベルを下回っている場合にのみ採用され得る(例えば、NC34から適切な指示を受け取った場合)。汚染のレベルは、デバイスが解放構成にあるときにも測定され得(ツールがビームに出入りすることによる光強度の低下を無視するように注意する必要がある)、許容できないレベルの汚染が感知された場合、デバイスは収縮構成にスイッチして戻され得る。
【0042】
収縮構成(つまり、より小さな開口部)を提供することは、(完全な)解放構成の場合よりも汚染に対する高い耐性を提供するという利点を有する。言い換えると、開口部が小さいほど、センサーまたは光源に通過することのできる汚染の量が減少する。汚染に対して提供される保護は、シャッターアセンブリの開口部を介してデバイスからガスの流れ(例えば、圧縮空気)を提供することによってもさらに強化され得る。この例では、そのような圧縮空気は、圧縮空気供給管38から受け取られ得る。したがって、収縮構成(第1のモード)は、レーザーベースの非接触ツール設定デバイスと同様の汚染への耐性を有することができるが、完全なイメージングまたは第2のモード(つまり、開放構成のシャッターアセンブリ)も必要に応じて採用することができるという利点がある(例えば、工作機械環境がクーラントミストや切削破片から十分クリアである場合)。
【0043】
上記で説明したように、インターフェース36は、この例ではツール設定デバイスの動作を制御する。特に、インターフェース36は、デバイスに、閉鎖、解放、および収縮構成のいずれかに入るように命令することができる。これらはすべて安定した構成であり、必要な限り維持することができる。両方のシャッターアセンブリが任意の単一の時点で同じ構成を採用することが想定されているが、第1および第2のシャッターアセンブリ40および42の構成を別々に設定することが可能であろう。インターフェース36は、コントローラ34および/または外部コンピュータ31から命令を受信し、それに応じて適切な構成を設定し得る。
【0044】
図2a、2bおよび2cを参照すると、
図1を参照して説明したタイプのシャッターアセンブリ70の開放(全開)、収縮(部分的に開放)、および閉鎖構成がより詳細に図示される。
図2aの開放構成は、光ビームが画像センサの幅よりわずかに大きい幅を通過し得るように寸法が定められた第1の(大きな)開口72を提供する。
図2bは、収縮構成の第2の(小さな)開口74を示す。第2の開口74は、第1の開口72よりも小さく、「小さい」および「大きい」という用語は、そのような開口の相対的なサイズを指すために使用される。
図2Cに示すように、閉鎖構成には開口部がなく、この閉鎖構成では、関連する光源またはセンサーを保護する物理的および光学的バリアが提供される。閉鎖構成は液密シールを提供し得る。
【0045】
円形断面の開口が図示されているが、開口は任意の適切な形状を有し得ることに留意されたい。例えば、開口形状は、センサの形状に対応するように選択され得る。構成ごとに単一の開口の使用が示されているが、1つの構成が複数の開口を提供することも可能であろう。例えば、収縮構成は、画像センサーの複数のセクションを照らすことを可能にする複数の小さな開口を提供し得る。上記の例はまた、解放構成が画像センサー全体を照らすことを可能にする開口を提供することを仮定しているが、これも必須ではない。開放構成では、画像センサーの一部のみが照らされ得る。さらに、シャッターアセンブリは、
図2bに示される収縮構成および少なくとも1つの追加的な収縮構成を提供し得る。追加的な構成は、収縮構成の開口よりも小さいおよび/もしくは大きい開口を有し、ならびに/または1つまたは複数の開口を有し得る。
【0046】
図3を参照すると、保護システムのシャッターアセンブリの一部を形成することができるシャッター部材100が示される。シャッター部材100は、大開口102、小開口104、および開口のない中実領域106を含む。使用時には、センサ(または光源)がシャッター部材の後ろに配置される。次いで、シャッター部材100は、その中心の周りを回転することができ、その結果、光は、必要に応じて、小開口または大開口を介してセンサに到達し得る。
【0047】
図4は、固定ディスク142および回転可能ディスク144を含む保護システムシャッターアセンブリ機構140を示す。固定ディスク142は、センサー(または光源)が固定ディスク142に形成されたアクセス穴143に隣接するように(
図4の視界の後ろに)、センサー(または光源)を含むハウジングに固定することができる。回転可能なディスク144の中心は、回転可能なディスク144がその中心の周りを回転することを可能にする回転リンケージ145を介して固定ディスク142に取り付けられている。回転可能なディスク144は、第1の(大きな)開口146および第2の(小さな)開口148を含む。作動ピストン150は、センタリングばね152によって中央位置に保持される。作動ピストン150が
図4に図示される中央位置にあるとき、回転可能なディスク144は、アクセス穴143を遮断し、それにより、光がセンサに到達するのを防止し、つまり、閉鎖構成が提供される。作動位置150は、前後に移動するようにエネルギーを与えられることができ、それにより、回転可能なディスク144を回転させる。この回転は、回転方向に応じて、第1の(大きな)開口146または第2の(小さな)開口148をアクセスホール143と整列させることができる。このようにして、開放構成と収縮構成を提供することができる。力が加えられていない場合、ばねはアセンブリを閉鎖構成にバイアスする。
【0048】
図5は、測定装置の代替的な実施形態を示す。装置は、柱218によって共通ベース220内に含まれ、それらに固定された光源210および画像センサ214を有するツール設定デバイスを備える。光源210および画像センサ210はそれぞれ、開放構成または閉鎖構成のいずれかを採用することができるシャッター230の形態の保護システムまたは保護手段によって保護されている。シャッターを閉じることは、光源210および画像センサ214を損傷から、および/または測定性能を低下させることができる汚染物質の蓄積から保護する液密シールを提供する(すなわち、第1のモード)。両方のシャッター230が開いている場合、光は光源から画像センサに通過することができ、それにより、光源210と画像センサ214との間の領域に位置するツールの測定を可能にする(すなわち、第2のモード)。
【0049】
図5に示される実施形態は、ツール設定デバイスの柱218に物理的に統合されているが、ツール測定機能を提供する光源210および画像センサ214から分離されている汚染感知構成を含む。特に、汚染感知装置は、環境に対して密封されたレーザーダイオード光源240および光検出器242(例えば、フォトダイオード)を備える。光ビーム241は、光源240から検出器242に渡され、検出器242によって感知された光の強度は、受信された光強度を分析するための分析モジュールを含むインターフェース236に渡される。上記のように、インターフェース236は、関連する工作機械の数値コントローラ234に接続することができる。
【0050】
汚染物質検出器242によって受信される光の強度は、光ビーム241内の汚染物質の存在によって変化する。例えば、光ビーム241を通過するクーラントの滴りは、検出された光の強度の一時的な低下を引き起こし、一方、工作機械内に存在するクーラントミストは、検出された光の全体的な強度の低下を引き起こす。インターフェース236内の汚染分析モジュールは、そのような特性について受信した光強度を分析し、工作機械環境がシャッター230を開くことを可能にするために(すなわち、ツール測定を許可するため)汚染物質が十分にクリアかどうかを決定する。インターフェース236は、汚染分析モジュールが工作機械内の環境が十分にクリアであることを確認したときに、数値コントローラ234からの、シャッター230を開いてツールを測定する命令にのみ作用する。インターフェース236は、測定された汚染レベルが高すぎる場合、測定が現在不可能である(例えば、エラーラインを超える)ことを数値制御装置234に信号で伝え得る。
【0051】
ツール測定値を取得するために使用される光学システム(すなわち、光源210および画像センサ214)とは異なり、機械ツール環境内の汚染物質から汚染感知装置自体(すなわち、光源240および検出器242)を保護するためにシャッターなどを提供する必要がないことに留意されたい。光源240および検出器242は、汚染物質の侵入を防ぐために環境に対して再び密閉され、それぞれが、光ビームが通過する透明な窓を含む。汚れが透明な窓に蓄積し、それによって検出器に到達する光の量が減少し得るが、この影響は、窓の定期的な清掃、および/または受信した強度信号を正規化することで克服することができる。これは、ツール測定中に光ビームの任意の不均一または変動する不明瞭さが、得られる測定精度を低下させる光学ツール測定構成の汚染とは対照的であり得る。
【0052】
図6は、ツール設定デバイス300が汚染感知システム302から物理的に離れて配置されているさらなる実施形態を示す。
【0053】
ツール設定デバイス300は、柱318によって共通ベース320内に含まれ、および固定された光源310およびセンサ314を備える。上記のように、光ビーム322は、光源310からセンサ314に通過し、これは、測定されるツールによって割り込まれることができる。使用中、ツール設定デバイス300は、ベッド304または工作機械の別の固定部分に固定(例えば、ボルト締め)される。ツール設定デバイス300は、典型的に、工作物が配置される場所から離れた領域で工作機械ベッドの片側に配置されるが、工作機械によってツールを光ビーム内に移動させることができる位置に配置される。開閉可能なシャッター330を備える保護システムは、光源310およびセンサ314を保護する。インターフェース336は、光源310、センサ314、およびシャッター330に電力を供給し、制御する。インターフェース336はまた、測定および/またはステータス情報を、関連する工作機械の数値コントローラ334に渡す。
【0054】
この実施形態の汚染感知システム302は、光源モジュール340および検出器モジュール342を備える。これらのモジュールは、工作機械の筐体内に取り付けることができるように構成され、例えば、モジュールを適切に取り付けるために、適切なブラケットおよびアームなどが提供され得る。したがって、使用前に、モジュール340および342は、ツール設定デバイス300の近く(例えば、ツール設定デバイス300の光ビーム322の近く)にしっかりと取り付けられ、光352が光源モジュール340から検出器モジュール342に通過するように構成される。光352は単一のビーム(例えば、楕円形、円形、ガウスプロファイルなどを有する鉛筆のようなビーム)として図示されるが、2次元のライトカーテン(例えば、ツール設定デバイス300上の平面内および工作機械ベッドに対して傾斜または実質的に平行である)を提供することも可能である。ツール設定デバイス300に対するモジュール340および342の位置は、好ましくは、任意の汚染物質(例えば、切断破片またはクーラントの流れ/液滴)がツール設定デバイス300に到達する前に汚染物質感知システム302の光ビーム352を通過するよう設定される。このようにして、開いたシャッター330に入り、それにより、光源310またはセンサ314の光学系を汚染し得る汚染物質を感知することができる。
【0055】
汚染感知システム302はまた、ケーブルによって光源モジュール340および検出器モジュール342に接続されている汚染分析モジュール360を含む。したがって、汚染分析モジュール360は、光源モジュール340および検出器モジュール342に電力を供給し制御する。汚染分析モジュール360はまた、検出器モジュール342から光強度情報を受信し、そのような情報を分析して、汚染物質が工作機械環境に存在するかどうかを確認する。工作機械環境内の汚染レベルに関する情報は、汚染分析モジュール360からツール設定デバイス300のインターフェース336に渡される。この情報は、環境がシャッター330を開くのに十分にクリアかどうかを単に示すか、または汚染レベルの測定を提供し得る。したがって、インターフェース336は、この情報を使用して、ツール測定を可能にするためにシャッター330を開くことがいつ許容可能であるかを確認することができる。
【0056】
上記は、「ブレークビーム」ツール設定またはビジョンデバイスに光学汚染感知システムを含める方法の単なる例である。しかしながら、当業者に明らかであるであろう本発明に含まれる多数の変形が存在する。例えば、装置は、代替的な測定デバイス(例えば、接触プローブまたは接触ツールセッター、レーザーベースのツールセッターなど)を含み得る。これらのいくつかが以下で説明される。
【0057】
図7を参照して、さらなる実施形態が図示されている。片面ツール検出デバイス400が示される。図示されるツール検出デバイス400は、その視野406内に配置されたツール404などの物体の画像をキャプチャするためのカメラ402を備える。ツールは、光源(図示せず)または周囲光によって照らされ得る。高速シャッターアセンブリ408は、カメラ402を覆いを外すかまたは保護するために開閉することができるシャッターを含む。カメラ402の代わりに、レーザーベースの(反射)ツール検出システムを提供することができる。
【0058】
光送信機412および光受信機414を備える汚染感知システム410は、ツール検出デバイス400から距離「d」離れて配置される。汚染感知システム410は、光送信機412と光受信機414との間に提供されるライトカーテン416を通過する任意の汚染物質(例えば、回転ツール404から放出された破片または工作機械から放出されたクーラントの流れ/液滴)を検出するように構成される。そのような汚染物質がない場合、シャッターは開くことを許可される。さらに、シャッターが開いているときに任意の汚染物質が検出されると、シャッターが閉じるように構成される。流体420の液滴は、ツール検出デバイス400に向かって移動する
図7に図示される。液滴420は、それがライトカーテン416を通過するときに感知され、液滴420が検出されることに応答してシャッターが閉じられる。この構成は、液滴420がシャッター408に到達する前にシャッター408を閉じることを可能にするように、シャッター応答時間が十分に速いこと(分離距離dを考慮に入れて)を必要とする。
【0059】
ツールは片面ツール検出デバイス400によって測定されるためにライトカーテン416を通過する必要がないので、この構成では、汚染感知システム410を使用してシャッターを閉じることが可能であることに留意されたい。測定中にツールがライトカーテン416を通過する必要がある場合、汚染物質をツールから区別するように汚染感知システム410を配置することができ、および/またはライトカーテン416に存在するツールが既知であるときにシャッターを閉じる機能を禁止することができる。
【0060】
図8は、汚染感知システム502と組み合わせた接触ツール設定デバイス500を備える装置を図示する。
【0061】
ツール設定装置500は既知のタイプであり、その遠位端に立方体506を備えたスタイラス504を有するプローブ503を備える。プローブ503内のセンサは、スタイラス504のたわみを測定し、それにより、立方体506と接触させられるツールの測定を可能にする。ツール設定デバイス500は、格納式シュラウドまたはカバー510の形態の保護システムを含む。カバー510は伸ばすことができる(破線の輪郭に示されているように)。延在された構成では、スタイラス504は、それを包むおよび汚し得る削りくずおよび他の切断破片から保護されている。カバー510はまた、(実線の輪郭で示されるように)格納されることができ、それにより、スタイラス504および立方体506を露出させて、物体の測定を可能にする。
【0062】
汚染感知システム502は、接触ツール設定デバイス500から離れて(例えば真上に)離間された光送信機512および光受信機514を備える。汚染感知システム502は、光送信機512と光受信機514との間に提供されるライトカーテン516を通過する任意の汚染物質(例えば、回転ツールから放出された切りくずもしくは破片および/または工作機械から放出されたクーラントの流れ/液滴)を検出するように構成される。汚染感知システム502は、環境が十分に清浄であるときを示し、その時点で、ツール設定プローブ504のカバー510は格納されることができ、測定を行うことを可能にする。
【0063】
上記は本発明の単なる例であることに再度留意されたい。上記の保護システムは、1つまたは複数のシャッターまたはカバー、およびオプションで空気の排出を備えるが、任意のタイプの保護システムを提供できることに留意することが重要である。例えば、保護システムは、開口を通って圧縮空気を排出することのみを備え得る(次いで、保護システムは、空気の流れがアクティブなときに測定デバイスを保護し、空気の流れが減少または停止したときに保護が弱くなる)。装置の様々な構成要素もまた、様々な方法で分配されることができ、特定の機能は、工作機械のコントローラおよび/またはスタンドアロンコンピュータによって実施することができる。異なる実施形態の特徴を組み合わせることも可能であろう。上で概説した例は、工作機械に取り付けられている測定装置を説明しているが、代わりに、装置を他のタイプの機械(例えば、溶接機、放電加工機(EDMs)、レーザーカッター、アディティブマニュファクチャリング機、粉末コーティング機など)に取り付けられることができる。さらに、当業者はまた、本発明の基礎となる概念から逸脱することなく、上記の変形および修正を実施することができるであろう。
【国際調査報告】