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特表2022-525165ホログラフィック導波管バックライトおよび関連する製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】ホログラフィック導波管バックライトおよび関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20220428BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20220428BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20220428BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220428BHJP
   F21V 9/14 20060101ALI20220428BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20220428BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20220428BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220428BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220428BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20220428BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220428BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220428BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02B5/18
G02B5/32
F21S2/00 434
F21V9/14
F21V9/00 200
F21V9/40 400
G02F1/1335
G02F1/13 505
G02F1/1334
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555283
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2020022482
(87)【国際公開番号】W WO2020186113
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】62/817,468
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509325972
【氏名又は名称】ディジレンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウォルダーン, ジョナサン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ポポヴィッチ, ミラン モムシロ
(72)【発明者】
【氏名】グラント, アラステア ジョン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H249
2H291
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H088EA45
2H088EA48
2H088GA10
2H088HA11
2H088HA15
2H088HA17
2H088HA18
2H088HA28
2H088HA30
2H088MA01
2H088MA20
2H189AA04
2H189CA08
2H189FA23
2H189HA16
2H189JA04
2H189LA17
2H189LA20
2H189LA22
2H189MA15
2H189NA05
2H249AA02
2H249AA12
2H249AA60
2H249AA62
2H249CA04
2H249CA15
2H249CA16
2H249CA22
2H291FA30Z
2H291FA38Z
2H291FA48Z
2H291FA71Z
2H291FA85Z
2H291FA86Z
2H291FD04
2H291LA31
2H291LA40
2H291MA02
2H291NA41
2H291PA42
2H291PA44
2H391AA15
2H391AB04
2H391AB08
2H391AB39
2H391AB40
2H391AC12
2H391AC30
2H391AC53
2H391AD55
2H391FA06
2H391FA07
3K244AA01
3K244BA03
3K244BA08
3K244BA11
3K244BA18
3K244BA31
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA02
3K244DA19
3K244EA02
3K244EA12
3K244EA22
3K244ED25
(57)【要約】
本発明の種々の実施形態による、ホログラフィック導波管バックライトのためのシステムおよび方法が、例証される。一実施形態は、少なくとも1つの導波管と、第1の偏光状態を有する光を放出するように構成される、少なくとも1つの導波管に光学的に結合される、光の源と、第1の偏光状態を有する光を、少なくとも1つの導波管から外へ出力経路の第1のセットの中に回折させるための第1の複数の格子要素と、第1の偏光状態の光を有する光を、少なくとも1つの導波管から外へ出力経路の第2のセットの中に回折させるための第2の複数の格子要素と、第1の偏光状態を有する光の少なくとも一部を、第1および第2の複数の格子要素に向かって結合するように構成される、少なくとも1つの入力結合器とを含む、光学照明デバイスを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学照明デバイスであって、
照明を抽出するための上面および下面を伴う光誘導構造と、
前記光誘導構造に光学的に結合され、偏光を提供するように構成される光源であって、光は、前記光誘導構造内で全内部反射を受ける、光源と、
前記光誘導構造から光を抽出するために、少なくとも1つの格子層内に配置される少なくとも1つの複数の格子要素と
を備える、光学照明デバイス。
【請求項2】
前記光源は、少なくとも第1および第2の波長のコリメート光色を順次放出するように構成され、前記少なくとも1つの複数の格子要素は、前記第1の波長の光を、前記光誘導構造から外へ出力経路の第1のセットの中に回折させるための第1の複数の格子要素と、前記第2の波長の光を、前記光誘導構造から外へ前記出力経路の第1のセットと実質的に重複する出力経路の第2のセットの中に回折させるための第2の複数の格子要素とを備える、請求項1に記載の光学照明デバイス。
【請求項3】
前記上面に上置するクリア領域が点在する半波長遅延領域を有する基板をさらに備え、各前記半波長遅延領域は、前記第1および第2の複数の格子要素のそれぞれにおける少なくとも1つの格子要素と重複し、各前記クリア領域は、前記第1および第2の複数の格子要素のそれぞれにおける少なくとも1つの格子要素と重複する、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項4】
配置される4分の1波長遅延層をさらに備え、前記4分の1波長遅延層は、前記下面に近接して配置される第1の表面と、反射面とを有する、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項5】
前記第1の複数の格子要素は、前記第2の複数の格子要素に対して別個の格子層内に配置され、前記第1の波長の光を回折させるための格子要素は、前記第2の波長の光を回折させるための格子要素と重複する、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項6】
第1および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、1つの層内に均一に点在する第1および第2の多数の格子要素として配置される、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項7】
第1および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、2つの層内に均一に点在する第1および第2の多数の格子要素として配置され、第1の波長の光を回折させるための格子要素は、第2の波長の光を回折させるための格子要素と重複する、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項8】
第1の波長の光を回折させるための格子要素は、第1の格子ベクトルを有し、第2の波長の光を回折させるための格子要素は、前記第1の格子ベクトルと反対の方向における第2の格子ベクトルを有する、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項9】
第1の波長の光を回折させるための格子要素および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、略平行な方向に整合される格子ベクトルを有する、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項10】
第1の波長の光を回折させるための格子要素および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、相互に対してオフブラッグである、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項11】
第1の波長の光を回折させるための格子要素は、第1の格子ベクトルを有する格子要素および前記第1の格子ベクトルと反対の方向における第2の格子ベクトルを有する格子要素が均一に点在する第1の層内に配置され、第2の波長の光を回折させるための格子要素は、第1の格子ベクトルを有する格子要素および前記第1の格子ベクトルと反対の方向における第2の格子ベクトルを有する格子要素が点在する第2の層内に配置される、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項12】
前記第1の波長の光は、第1の偏光を有し、前記第2の波長の光は、前記第1の偏光に直交する第2の偏光を有する、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項13】
前記第1の波長の光および前記第2の波長の光は、同一の偏光を有する、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項14】
第1および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、単一の層内に多重化される第1および第2の多数の格子要素として配置され、前記第1の波長を回折させるための格子要素は、前記第2の波長の光を回折させるための格子要素と多重化される、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項15】
第1および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、2つの接触層のスタックにおける第1および第2の多数の格子要素として配置され、前記第1の波長の光を回折させるための格子要素は、前記第2の波長の光を回折させるための格子要素と重複する、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項16】
前記第1の複数の格子要素は、前記光源が、前記第1の波長の光を放出すると、回折状態に切り替えられ、前記第2の複数の格子要素は、前記光源が、前記第2の波長の光を放出すると、回折状態に切り替えられる、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項17】
前記出力経路は、角度的に分離される、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項18】
前記出力経路は、前記上面に対して略法線である、請求項2に記載の光学照明デバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの複数の格子要素は、少なくとも1つの格子層内に配置され、前記光誘導構造は、少なくとも1つの導波管を備え、各前記導波管は、前記格子層のうちの少なくとも1つを支持する、請求項1に記載の光学照明デバイス。
【請求項20】
前記層は、透明基板の間に形成され、透明伝導性コーティングが、各前記基板に適用され、前記コーティングのうちの少なくとも1つは、前記格子要素と重複する独立してアドレス指定可能な要素にパターン化され、各前記格子要素を横断して電圧を印加するように動作可能な電気制御回路が、提供される、請求項1に記載の光学照明デバイス。
【請求項21】
各前記格子要素は、平面ブラッグ表面、屈折力、光学遅延、拡散性質、空間的に変動する回折効率、前記格子要素を横断して印加される電圧に比例する回折効率、および前記格子要素を横断して印加される電圧に比例する位相遅延から成る群から選択される少なくとも1つの性質を備える、請求項1に記載の光学照明デバイス。
【請求項22】
前記少なくとも1つの複数の格子要素は、2次元アレイを備える、請求項1に記載の光学照明デバイス。
【請求項23】
前記少なくとも1つの複数の格子要素は、伸長要素の1次元アレイを備える、請求項1に記載の光学照明デバイス。
【請求項24】
各前記格子要素は、ホログラフィックポリマー分散液晶内に記録される、請求項1に記載の光学照明デバイス。
【請求項25】
前記光は、格子またはプリズムによって前記光誘導構造の中に結合される、請求項1に記載の光学照明デバイス。
【請求項26】
前記光源は、レーザまたはLEDである、請求項1に記載の光学照明デバイス。
【請求項27】
ビーム偏向器、ダイクロイックフィルタ、マイクロレンズアレイ、ビーム成形器、光積分器、および偏光回転子から成る群から選択される少なくとも1つの構成要素をさらに備える、請求項1に記載の光学照明デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、第35 U.S.C. § 119(e)号に基づいて、2019年3月12日に出願され、「Holographic Waveguide Backlight」と題された、米国仮特許出願第62/817,468号の利益および優先権を主張する。米国仮特許出願第62/817,468号の開示は、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、導波管デバイスに関し、より具体的には、ホログラフィック導波管バックライトに関する。
【背景技術】
【0003】
導波管は、波を閉じ込め、誘導する(すなわち、波が伝搬し得る空間領域を制限する)能力を伴う構造と称されることができる。1つのサブクラスは、電磁波、典型的には、可視スペクトルにおけるものを誘導し得る構造である、光学導波管を含む。導波管構造は、いくつかの異なる機構を使用して波の伝搬経路を制御するように設計されることができる。例えば、平面導波管は、回折格子を利用し、入射光を回折させ、導波管構造の中に結合するように設計されることができ、したがって、内部結合された光は、全内部反射(TIR)を介して平面構造内で進行し続けることができる。
【0004】
導波管の加工は、導波管内のホログラフィック光学要素の記録を可能にする材料系の使用を含むことができる。そのような材料の1つのクラスは、光重合性モノマーと、液晶とを含有する混合物である、ポリマー分散液晶(PDLC)混合物を含む。そのような混合物のさらなるサブクラスは、ホログラフィックポリマー分散液晶(HPDLC)混合物を含む。体積位相格子等のホログラフィック光学要素は、2つの相互にコヒーレントなレーザビームを用いて材料を照明することによって、そのような液体混合物中に記録されることができる。記録プロセスの間、モノマーは、重合し、混合物は、光重合誘発相分離を受け、クリアなポリマーの領域が点在する、液晶微小液滴が密集する領域を作成する。交互する液晶が豊富な領域および液晶が空乏した領域は、格子のフリンジ面を形成する。一般的に、切替可能ブラッグ格子(SBG)と称される、結果として生じる格子は、体積またはブラッグ格子と通常関連付けられる全ての性質を有するが、回折効率(所望の方向に回折される入射光の割合)の連続的範囲にわたって格子を電気的に調整する能力と組み合わせられる、はるかに高い屈折率変調範囲を伴う。後者は、100%に近い効率で非回折(クリア)から回折に拡張することができる。
【0005】
上記に説明されるもの等の導波管光学系は、様々なディスプレイおよびセンサ用途のために検討されることができる。多くの用途では、複数の光学機能をエンコードする1つまたはそれを上回る格子層を含有する導波管が、種々の導波管アーキテクチャおよび材料系を使用して実現され、拡張現実(AR)ならびに仮想現実(VR)のための接眼ディスプレイ、道路交通、航空、および軍事用途のためのコンパクトなヘッドアップディスプレイ(HUD)ならびにヘルメット搭載型ディスプレイまたは頭部搭載型ディスプレイ(HMD)、およびバイオメトリックならびにレーザレーダ(LIDAR)用途のためのセンサにおける新しい革新を可能にすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の種々の実施形態による、ホログラフィック導波管バックライトのためのシステムおよび方法が、例証される。一実施形態は、照明を抽出するための上面および下面を伴う光誘導構造と、光誘導構造に光学的に結合され、偏光を提供するように構成される、光源であって、光は、光誘導構造内で全内部反射を受ける、光源と、光誘導構造から光を抽出するために、少なくとも1つの格子層内に配置される、少なくとも1つの複数の格子要素とを含む、光学照明デバイスを含む。
【0007】
別の実施形態では、光源は、少なくとも第1および第2の波長のコリメート光色を順次放出するように構成され、少なくとも1つの複数の格子要素は、第1の波長の光を、光誘導構造から外へ出力経路の第1のセットの中に回折させるための第1の複数の格子要素と、第2の波長の光を、光誘導構造から外へ出力経路の第1のセットと実質的に重複する出力経路の第2のセットの中に回折させるための第2の複数の格子要素とを含む。
【0008】
さらなる実施形態では、光学照明デバイスはさらに、上面に上置するクリア領域が点在する半波長遅延領域を有する、基板を含み、各半波長遅延領域は、第1および第2の複数の格子要素のそれぞれにおける少なくとも1つの格子要素と重複し、各クリア領域は、第1および第2の複数の格子要素のそれぞれにおける少なくとも1つの格子要素と重複する。
【0009】
なおも別の実施形態では、光学照明デバイスはさらに、配置される4分の1波長遅延層を含み、4分の1波長遅延層は、下面に近接して配置される第1の表面と、反射面とを有する。
【0010】
なおもさらなる実施形態では、第1の複数の格子要素は、第2の複数の格子要素に対して別個の格子層内に配置され、第1の波長の光を回折させるための格子要素は、第2の波長の光を回折させるための格子要素と重複する。
【0011】
また別の実施形態では、第1および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、1つの層内に均一に点在する第1および第2の多数の格子要素として配置される。
【0012】
またさらなる実施形態では、第1および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、2つの層内に均一に点在する第1および第2の多数の格子要素として配置され、第1の波長の光を回折させるための格子要素は、第2の波長の光を回折させるための格子要素と重複する。
【0013】
別の付加的実施形態では、第1の波長の光を回折させるための格子要素は、第1の格子ベクトルを有し、第2の波長の光を回折させるための格子要素は、第1の格子ベクトルと反対の方向における第2の格子ベクトルを有する。
【0014】
さらなる付加的実施形態では、第1の波長の光を回折させるための格子要素および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、略平行な方向に整合される格子ベクトルを有する。
【0015】
再び、別の実施形態では、第1の波長の光を回折させるための格子要素および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、相互に対してオフブラッグである。
【0016】
再び、さらなる実施形態では、第1の波長の光を回折させるための格子要素は、第1の格子ベクトルを有する格子要素および第1の格子ベクトルと反対の方向における第2の格子ベクトルを有する格子要素が均一に点在する、第1の層内に配置され、第2の波長の光を回折させるための格子要素は、第1の格子ベクトルを有する格子要素および第1の格子ベクトルと反対の方向における第2の格子ベクトルを有する格子要素が点在する、第2の層内に配置される。
【0017】
なおもまた別の実施形態では、第1の波長の光は、第1の偏光を有し、第2の波長の光は、第1の偏光に直交する第2の偏光を有する。
【0018】
なおもまたさらなる実施形態では、第1の波長の光および第2の波長の光は、同一の偏光を有する。
【0019】
なおも別の付加的実施形態では、第1および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、単一の層内に多重化される第1および第2の多数の格子要素として配置され、第1の波長を回折させるための格子要素は、第2の波長の光を回折させるための格子要素と多重化される。
【0020】
なおもさらなる付加的実施形態では、第1および第2の波長の光を回折させるための格子要素は、2つの接触層のスタックにおける第1および第2の多数の格子要素として配置され、第1の波長の光を回折させるための格子要素は、第2の波長の光を回折させるための格子要素と重複する。
【0021】
再び、なおも別の実施形態では、第1の複数の格子要素は、光源が、第1の波長の光を放出すると、回折状態に切り替えられ、第2の複数の格子要素は、光源が、第2の波長の光を放出すると、回折状態に切り替えられる。
【0022】
再び、なおもさらなる実施形態では、出力経路は、角度的に分離される。
【0023】
また別の付加的実施形態では、出力経路は、上面に対して略法線である。
【0024】
またさらなる付加的実施形態では、少なくとも1つの複数の格子要素は、少なくとも1つの格子層内に配置され、光誘導構造は、少なくとも1つの導波管を含み、各導波管は、格子層のうちの少なくとも1つを支持する。
【0025】
再び、また別の実施形態では、層は、透明基板の間に形成され、透明伝導性コーティングが、各基板に適用され、コーティングのうちの少なくとも1つは、格子要素と重複する独立してアドレス指定可能な要素にパターン化され、各格子要素を横断して電圧を印加するように動作可能な電気制御回路が、提供される。
【0026】
再び、またさらなる実施形態では、各格子要素は、平面ブラッグ表面、屈折力、光学遅延、拡散性質、空間的に変動する回折効率、格子要素を横断して印加される電圧に比例する回折効率、および格子要素を横断して印加される電圧に比例する位相遅延のうちの1つである、少なくとも1つの性質を含む。
【0027】
再び、別の付加的実施形態では、少なくとも1つの複数の格子要素は、2次元アレイを含む。
【0028】
再び、さらなる付加的実施形態では、少なくとも1つの複数の格子要素は、伸長要素の1次元アレイを含む。
【0029】
なおもまた別の付加的実施形態では、各格子要素は、ホログラフィックポリマー分散液晶内に記録される。
【0030】
なおもまたさらなる付加的実施形態では、光は、格子またはプリズムによって光誘導構造の中に結合される。
【0031】
再び、また別の付加的実施形態では、光源は、レーザまたはLEDである。
【0032】
再び、またさらなる付加的実施形態では、光学照明デバイスはさらに、ビーム偏向器、ダイクロイックフィルタ、マイクロレンズアレイ、ビーム成形器、光積分器、および偏光回転子のうち1つである、少なくとも1つの構成要素を含む。
【0033】
再び、なおもまた別の実施形態は、少なくとも1つの導波管と、第1の偏光状態を有する光を放出するように構成される、少なくとも1つの導波管に光学的に結合される、光の源と、第1の偏光状態を有する光を、少なくとも1つの導波管から外へ出力経路の第1のセットの中に回折させるための第1の複数の格子要素と、第1の偏光状態の光を有する光を、少なくとも1つの導波管から外へ出力経路の第2のセットの中に回折させるための第2の複数の格子要素と、第1の偏光状態を有する光の少なくとも一部を、第1および第2の複数の格子要素に向かって結合するように構成される、少なくとも1つの入力結合器とを含む、光学照明デバイスを含む。
【0034】
再び、なおもまたさらなる実施形態では、光学照明デバイスはさらに、反射面を有する、4分の1波長板と、複数の透明領域と、半波長板を支持する複数の領域とを含む、基板とを含み、第1の複数の格子要素のうちの少なくとも1つは、第1の偏光状態を有する光の第1の部分を、複数の透明領域のうちの少なくとも1つに向かって回折させるように構成され、第2の複数の格子要素のうちの少なくとも1つは、第1の偏光状態を有する光の第2の部分を、4分の1波長板に向かって回折させるように構成され、4分の1波長板は、第1の偏光状態を有する入射光を、半波長板を支持する複数の領域のうちの少なくとも1つに向かって反射するように構成され、反射された入射光は、その偏光状態を、第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態に変化され、第1および第2の複数の格子要素は、少なくとも1つの導波管内に配置される、少なくとも1つの格子層内に形成される。
【0035】
再び、なおもまた別の付加的実施形態では、光学照明デバイスはさらに、第3および第4の複数の格子要素を含み、第1の偏光状態を有する光は、第1の波長帯域の光と、第2の波長帯域の光とを含み、少なくとも1つの入力結合器は、第1の波長帯域の光を、第1および第2の複数の格子要素に向かって結合するための第1の入力結合器と、第2の波長帯域の光を、第3および第4の複数の格子要素に向かって結合するための第2の入力結合器とを含む。
【0036】
再び、なおもまたさらなる付加的実施形態では、少なくとも1つの導波管は、第1および第2の格子層を含み、第1および第2の複数の格子要素は、第1の格子層内に点在し、第3および第4の複数の格子要素は、第2の格子層内に点在し、第1および第3の複数の格子要素は、第1の方向における格子ベクトルを有し、第2および第4の複数の格子要素は、第1の方向と反対の方向における格子ベクトルを有する。
【0037】
再び、なおも別の付加的実施形態では、放出光は、コリメート光であり、光の源は、第1および第2の波長帯域の光を順次放出するように構成される。
【0038】
再び、なおもさらなる付加的実施形態では、第1および第2の複数の格子要素は、光の源が、第1の波長帯域の光を放出すると、回折状態に切り替わるように構成され、第3および第4の複数の格子要素は、光の源が、第2の波長帯域の光を放出すると、回折状態に切り替わるように構成される。
【0039】
再び、また別の付加的実施形態では、光学照明デバイスはさらに、第3および第4の複数の格子要素を含み、少なくとも1つの導波管は、第1および第2の格子層を含み、第1および第3の複数の格子要素は、第1の格子層内に点在し、第2および第4の複数の格子要素は、第2の格子層内に点在し、第1の偏光状態を有する光は、第1の波長帯域の光と、第2の波長帯域の光とを含み、少なくとも1つの入力結合器は、第1の波長帯域の光を、第1および第2の複数の格子要素に向かって結合するための第1の入力結合器と、第2の波長帯域の光を、第3および第4の複数の格子要素に向かって結合するための第2の入力結合器とを含む。
【0040】
再び、またさらなる付加的実施形態では、光学照明デバイスはさらに、反射面を有する、4分の1波長板と、第3および第4の複数の格子要素とを含み、光の源はさらに、第2の偏光状態を有する光を放出するように構成され、第1の偏光状態を有する光は、第1の波長帯域内にあり、第2の偏光状態を有する光は、第2の波長帯域内にあり、第3および第4の複数の格子要素は、第2の偏光状態を有する光を、4分の1波長板に向かって回折させるように構成され、少なくとも1つの導波管は、第1および第2の格子層を含み、第1および第3の複数の格子要素は、第1の格子層内に点在し、第2および第4の複数の格子要素は、第2の格子層内に点在し、第1の複数の格子要素は、第2の複数の格子要素と空間的に重複する。
【0041】
再び、なおもまた別の付加的実施形態では、第1の複数の格子要素は、第1の方向における格子ベクトルを有し、第2の複数の格子要素は、第1の方向と反対の方向における格子ベクトルを有する。
【0042】
再び、なおもまたさらなる付加的実施形態では、光の源は、レーザ源である。
【0043】
付加的実施形態および特徴が、続く説明に部分的に記載され、部分的に、本明細書の考察に応じて当業者に明白となるであろう、または本発明の実践によって学習され得る。本発明の性質および利点のさらなる理解が、本明細書の残りの部分および本開示の一部を形成する図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
説明は、本発明の例示的実施形態として提示され、本発明の範囲の完全な列挙として解釈されるべきではない、以下の図およびデータグラフを参照して、より完全に理解されるであろう。
【0045】
図1図1Aおよび1Bは、本発明の種々の実施形態による、HPDLC SBGデバイスならびにSBGのスイッチング性質を概念的に図示する。
【0046】
図2図2は、本発明のある実施形態による、導波管バックライトを概念的に図示する。
【0047】
図3図3は、本発明のある実施形態による、導波管バックライトを提供するためのプロセスのフローチャートを概念的に図示する。
【0048】
図4図4は、本発明のある実施形態による、2つの導波管層を伴う導波管バックライトを概念的に図示する。
【0049】
図5図5は、本発明のある実施形態による、単一の導波管層を伴う導波管バックライトを概念的に図示する。
【0050】
図6図6は、本発明のある実施形態による、交互する波長回折格子要素を伴う2つの導波管層を有する、導波管バックライトを概念的に図示する。
【0051】
図7図7は、本発明のある実施形態による、交互する波長回折格子要素を伴う単一の導波管層を有する、導波管バックライトを概念的に図示する。
【0052】
図8図8は、本発明のある実施形態による、直交する偏光を有する入力光に関する交互する波長回折格子要素を伴う2つの導波管層を有する、導波管バックライトを概念的に図示する。
【0053】
図9図9は、本発明のある実施形態による、直交する偏光を有する入力光に関する交互する波長回折格子要素を伴う単一の導波管層を有する、導波管バックライトを概念的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施形態を説明する目的のために、光学設計および視覚ディスプレイの当業者に公知の光学技術のいくつかの周知の特徴は、本発明の基本的原理を不明瞭にしないために、省略または簡略化されている。別様に記載されない限り、光線またはビーム方向に関連する用語「軸上」は、本発明に関連して説明される光学構成要素の表面に対して法線の軸に平行な伝搬を指す。以下の説明では、光、光線、ビーム、および方向という用語は、同義的に、かつ相互に関連付けて使用され、直線軌道に沿った電磁放射の伝搬の方向を示し得る。光および照明という用語は、電磁スペクトルの可視および赤外帯域に関連して使用され得る。以下の説明の一部は、光学設計の当業者によって一般的に採用される専門用語を使用して提示されるであろう。本明細書に使用されるように、格子という用語は、いくつかの実施形態では、格子のセットから成る格子を包含し得る。例証目的のために、図面が、別様に記載されない限り、縮尺通りに描かれないことを理解されたい。
【0055】
理想的なバックライトユニット(BLU)は、コンパクトな(すなわち、薄い)形状因子を有するべきであり、バックライトで照らされるべきディスプレイ上への照明源からの光およびBLUからの抽出の効率的な結合を伴う均一なルミナンスならびに色を送達するべきである。モバイルディスプレイでは、BLU厚は、数ミリメートルであるべきである。テレビディスプレイも同様に、低厚さ対画像対角線比を要求する。従来的なエッジリット解決策は、形状因子および均一性要件を満たすことができていない。全内部反射によって照明光を搬送しながら、導波管からそのような光の一部を抽出する、導波管または光誘導は、非常に薄い形状因子を提供することができる。しかしながら、導波管は、導波管において典型的に実装される格子の分散性質に起因して、ルミナンスおよび色の空間変動に悩まされ得る。ある場合には、分散は、レーザ源を使用することによって大幅に軽減されることができる。
【0056】
照明不均一性は、格子内の波長依存性吸収から生じ得、各ビーム-格子相互作用において受ける小さい損失は、ビームが導波管を辿って伝搬する際に倍増され、導波管に沿った光の漸進的減光につながり得る。非常にコンパクトな光源-導波管結合光学系に役立ち得る、レーザ源が、使用される場合、レーザの高コヒーレンスは、全内部反射ビームの不完全なインターレースに起因する間隙または重複によって引き起こされるバンディング効果をもたらし得る。レーザリットBLUはまた、レーザスペックルに悩まされ得る。不均一性の別の源は、複屈折材料が、格子を形成するために使用されるとき、各ビームバウンスにおいて生じる偏光回転からもたらされる。本偏光変動は、ルミナンス不均一性として現れ得る。色不均一性もまた、複屈折の波長依存性に起因して生じ得る。最後に、複屈折格子は、BLUの出力における空間的に変動する偏光をもたらし得る。これは、照らされるべきディスプレイパネルが、液晶デバイスであるとき、ルミナンスおよび色不均一性をもたらし得る。
【0057】
ここで図面に目を向けると、本発明の種々の実施形態による、ホログラフィック導波管バックライトが、図示される。多くの実施形態では、導波管バックライトは、限定ではないが、LCDモニタ、デジタルホログラフィックディスプレイ、およびモバイルコンピューティングならびに電気通信デバイス等の様々なディスプレイ用途において使用され得る、コンパクト、効率的、高度に均一なカラー導波管バックライトとして実装される。多くの実施形態では、導波管バックライトは、導波管と、入力光を提供するように構成される、光の源とを含む。入力光は、種々の異なる方法を使用して、全内部反射経路において導波管の中に結合されることができる。いくつかの実施形態では、限定ではないが、格子またはプリズム等の入力結合器が、光を導波管の中に結合するために利用される。いくつかの実施形態では、光の源は、異なる波長の光を提供するように構成される。さらなる実施形態では、光の源は、少なくとも第1および第2の波長のコリメート光色を順次放出するように構成される。導波管は、少なくとも1つの格子層を横断して配置される、格子要素の少なくとも2つのセットを含むことができる。格子要素の各セットは、具体的波長/角度帯域において動作するように構成されることができる。多くの実施形態では、格子要素の各セットは、上向きに進む光または下向きに進む光のいずれかを回折させ、抽出するように構成される。いくつかの実施形態では、格子要素の各セットは、具体的波長帯域のために構成される。さらなる実施形態では、格子要素の各セットは、切替可能ブラッグ格子を含み、光源が、そのセットに関して意図される波長の光を放出すると、回折状態に切り替えられる。いくつかの実施形態では、波長板およびリターダが、光の偏光を制御するために実装される。容易に理解され得るように、本発明の種々の実施形態による導波管バックライトは、多数の構成において実装されることができ、その詳細は、用途に依存し得る。導波管バックライト構成、光学導波管構造、材料、および製造プロセスが、下記の節にさらに詳細に議論される。
(光学導波管および格子構造)
【0058】
導波管内に記録される光学構造は、限定ではないが、回折格子等の多くの異なるタイプの光学要素を含むことができる。格子は、限定ではないが、光を結合すること、光を指向すること、および光の透過を防止することを含む、種々の光学機能を実施するように実装されることができる。多くの実施形態では、格子は、導波管の外面上に存在する、表面レリーフ格子である。他の実施形態では、実装される格子は、周期的屈折率変調を有する構造である、ブラッグ格子(体積格子とも称される)である。ブラッグ格子は、種々の異なる方法を使用して加工されることができる。1つのプロセスは、周期的構造を形成するためのホログラフィックフォトポリマー材料の干渉露光を含む。ブラッグ格子は、殆どの光が高次に回折されない高効率を有することができる。回折されたゼロ次における光の相対量は、大瞳にわたって光を抽出するための損失導波管格子を作製するために使用され得る性質である、格子の屈折率変調を制御することによって変動されることができる。
【0059】
ホログラフィック導波管デバイスにおいて使用されるブラッグ格子の1つのクラスは、切替可能ブラッグ格子(SBG)である。SBGは、最初に、光重合性モノマーおよび液晶材料の混合物の薄フィルムを基板の間に設置することによって加工されることができる。基板は、ガラスおよびプラスチック等の種々のタイプの材料から作製されることができる。多くの場合では、基板は、平行構成にある。他の実施形態では、基板は、楔形状を形成する。一方または両方の基板は、フィルムを横断して電場を印加するために、電極、典型的には、透明な酸化スズフィルムを支持することができる。SBG内の格子構造は、空間的周期的強度変調を伴う干渉露光を使用する光重合誘発相分離を通して、液体材料(多くの場合、シロップと称される)中に記録されることができる。限定ではないが、照射強度、混合物中の材料の成分の体積分率、および露光温度の制御等の因子が、結果として生じる格子形態ならびに性能を判定することができる。容易に理解され得るように、多種多様な材料および混合物が、所与の用途の具体的要件に応じて使用されることができる。多くの実施形態では、HPDLC材料が、使用される。記録プロセスの間、モノマーは、重合し、混合物は、相分離を受ける。LC分子は、集合し、光学波長のスケールでポリマーネットワーク内に周期的に分散される離散または合体液滴を形成する。交互する液晶が豊富な領域および液晶が空乏した領域は、格子のフリンジ面を形成し、これは、液滴中のLC分子の配向秩序からもたらされる強力な光学偏光を伴うブラッグ回折を生成することができる。
【0060】
結果として生じる体積位相格子は、非常に高い回折効率を呈することができ、これは、フィルムを横断して印加される電場の大きさによって制御されることができる。電場が、透明電極を介して格子に印加されると、LC液滴の自然な配向は、変化し、フリンジの屈折率変調を低下させ、ホログラム回折効率を非常に低いレベルに下降させることができる。典型的には、電極は、印加された電場が、基板に垂直であろうように構成される。いくつかの実施形態では、電極は、酸化インジウムスズ(ITO)から加工される。いかなる電場も印加されないオフ状態では、液晶の異常軸は、概して、フリンジに対して法線に整合する。格子は、したがって、P偏光に関して高い屈折率変調および高い回折効率を呈する。電場が、HPDLCに印加されると、格子は、オン状態に切り替わり、液晶分子の異常軸は、印加された場に平行に、したがって、基板に垂直に整合する。オン状態では、格子は、SおよびP偏光の両方に関してより低い屈折率変調ならびにより低い回折効率を呈する。したがって、格子領域は、もはや光を回折しない。各格子領域は、HPDLCデバイスの機能に従って、例えば、ピクセルマトリクス等の多数の格子要素に分割されることができる。典型的には、一方の基板表面上の電極は、均一かつ連続的である一方、対向する基板表面上の電極は、多数の選択的に切替可能な格子要素に従ってパターン化される。
【0061】
典型的には、SBG要素は、オンに切り替わるためのより長い緩和時間を伴って30μ秒でクリアに切り替えられる。本デバイスの回折効率は、連続的範囲にわたって、印加される電圧を用いて調節されることができる。多くの場合では、本デバイスは、いかなる電圧も印加されないほぼ100%効率および十分に高い電圧が印加される本質的にゼロ効率を呈する。あるタイプのHPDLCデバイスでは、磁場が、LC配向を制御するために使用されることができる。いくつかのHPDLC用途では、ポリマーからのLC材料の相分離は、いかなる認識可能な液滴構造ももたらされない程度まで遂行されることができる。SBGはまた、受動的格子として使用されることができる。本モードでは、その主要な利益は、一意に高い屈折率変調である。SBGは、自由空間用途のための透過または反射格子を提供するために使用されることができる。SBGは、HPDLCが導波管コアまたは導波管に近接するエバネッセント結合層のいずれかを形成する導波管デバイスとして実装されることができる。HPDLCセルを形成するために使用される基板は、全内部反射(TIR)光誘導構造を提供する。切替可能な格子が、TIR条件を超える角度において光を回折すると、光は、SBGから外に結合されることができる。いくつかの実施形態では、逆モード格子デバイスが、実装されることができ、すなわち、格子は、印加される電圧がゼロであるとき、その非回折(クリア)状態にあり、電圧が電極を横断して印加されると、その回折状態に切り替わる。
【0062】
図1Aおよび1Bは、本発明の種々の実施形態による、HPDLC SBGデバイス100、110ならびにSBGのスイッチング性質を概念的に図示する。図1Aでは、SBG100は、オフ状態にある。示されるように、LC分子101は、フリンジ面に対して略法線に整合される。したがって、SBG100は、高い回折効率を呈し、入射光は、容易に回折されることができる。図1Bは、オン位置におけるSBG110を図示する。印加される電圧111は、液滴113内のLC分子112の光軸を配向させ、ポリマーの屈折率に合致する有効屈折率を生成し、本質的に、入射光が回折されない透明なセルを作成することができる。例証的実施形態では、AC電圧源が、示される。容易に理解され得るように、種々の電圧源が、所与の用途の具体的要件に応じて利用されることができる。さらに、異なる材料およびデバイス構成もまた、実装されることができる。いくつかの実施形態では、本デバイスは、異なる材料系を実装し、印加される電圧に対して逆に動作することができ、すなわち、本デバイスは、印加される電圧に応答して、高い回折効率を呈する。
【0063】
いくつかの実施形態では、LCが、(表面エッチングおよびSRGを加工するために一般的に使用される他の従来のプロセスを使用して実践的に達成可能なものをはるかに上回る)SRG構造の深さに起因するブラッグ格子に非常に類似する性質を有する表面レリーフ格子(SRG)を提供するために、SBGから抽出または欠設されることができる。LCは、限定ではないが、イソプロピルアルコールおよび溶剤を用いた濯ぎを含む、種々の異なる方法を使用して抽出されることができる。多くの実施形態では、SBGの透明基板のうちの1つが、除去され、LCが、抽出される。さらなる実施形態では、除去された基板は、交換される。SRGは、少なくとも部分的に、より高いまたはより低い屈折率の材料を用いて埋め戻されることができる。そのような格子は、種々の導波管用途に合わせるように効率、角度/スペクトル応答、偏光、および他の性質を調整するための余地をもたらす。
【0064】
本発明の種々の実施形態による導波管は、具体的目的および機能のために設計される種々の格子構成を含むことができる。多くの実施形態では、導波管は、コリメート光学システムの射出瞳を効果的に拡大することによって、レンズサイズを縮小しながら、アイボックスサイズを保全することが可能な格子構成を実装するように設計される。射出瞳は、仮想開口として定義されることができ、本仮想開口を通して通過する光線のみが、ユーザの眼に入射することができる。いくつかの実施形態では、導波管は、光源に光学的に結合される入力格子と、第1の方向のビーム拡大を提供するための折り返し格子と、典型的には、第1の方向に直交する第2の方向におけるビーム拡大およびアイボックスに向かうビーム抽出を提供するための出力格子とを含む。容易に理解され得るように、導波管アーキテクチャにおいて実装される格子構成は、所与の用途の具体的要件に依存し得る。いくつかの実施形態では、格子構成は、複数の折り返し格子を含む。いくつかの実施形態では、格子構成は、入力格子と、ビーム拡大およびビーム抽出を同時に実施するための第2の格子とを含む。第2の格子は、別個の重複する格子層内に配列される、または単一の格子層内に多重化される、視野の異なる部分を伝搬するための異なる処方の格子を含むことができる。多重化格子は、同一の体積内に異なる格子処方を有する、少なくとも2つの格子の重畳を含むことができる。異なる格子処方を有する格子は、導波管の表面に対する異なる格子ベクトルおよび/または格子傾斜を有することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、各層内の格子は、異なるスペクトルおよび/または角度応答を有するように設計される。例えば、多くの実施形態では、異なる格子層を横断する異なる格子が、スペクトル帯域幅の増加を提供するために、重複または多重化される。いくつかの実施形態では、フルカラー導波管が、それぞれ、異なるスペクトル帯域(赤色、緑色、および青色)において動作するように設計される、3つの格子層を使用して実装される。他の実施形態では、フルカラー導波管が、2つの格子層、すなわち、赤色-緑色格子層および緑色-青色格子層を使用して実装される。容易に理解され得るように、そのような技法は、導波管の角度帯域幅動作を増加させるために同様に実装されることができる。異なる格子層を横断する格子の多重化に加えて、複数の格子が、単一の格子層内で多重化されることができ、すなわち、複数の格子が、同一の体積内で重畳されることができる。いくつかの実施形態では、導波管は、同一の体積内で多重化された2つまたはそれを上回る格子処方を有する、少なくとも1つの格子層を含む。さらなる実施形態では、導波管は、2つの格子層を含み、各層は、同一の体積内で多重化された2つの格子処方を有する。同一の体積内で2つまたはそれを上回る格子処方を多重化することは、種々の加工技法を使用して達成されることができる。いくつかの実施形態では、多重化マスタ格子が、多重化格子を形成するために、露光構成を用いて利用される。多くの実施形態では、多重化格子が、2つまたはそれを上回る構成の露光光を用いて光学記録材料層を順次露光することによって加工され、各構成は、ある格子処方を形成するように設計される。いくつかの実施形態では、多重化格子が、2つまたはそれを上回る構成の露光光の間もしくは中で交互させることによって、光学記録材料層を露光することによって加工され、各構成は、ある格子処方を形成するように設計される。容易に理解され得るように、当技術分野で周知のものを含む、種々の技法が、多重化格子を加工するために、適宜、使用されることができる。
【0066】
多くの実施形態では、導波管は、角度多重化格子、色多重化格子、折り返し格子、二重相互作用格子、軸回転Kベクトル格子、交差折り返し格子、モザイク式格子、チャープ格子、空間的に変動する屈折率変調を伴う格子、空間的に変動する格子厚さを有する格子、空間的に変動する平均屈折率を有する格子、空間的に変動する屈折率変調テンソルを伴う格子、および空間的に変動する平均屈折率テンソルを有する格子のうちの少なくとも1つを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、導波管は、半波長板、4分の1波長板、反射防止コーティング、ビーム分割層、整合層、グレア低減のためのフォトクロミックバック層、およびグレア低減のためのルーバフィルムのうちの少なくとも1つを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、導波管は、異なる偏光のための別個の光学経路を提供する格子を支持することができる。種々の実施形態では、導波管は、異なるスペクトル帯域幅のための別個の光学経路を提供する格子を支持することができる。いくつかの実施形態では、格子は、HPDLC格子、HPDLC内に記録される切替格子(切替可能ブラッグ格子等)、ホログラフィックフォトポリマー内に記録されるブラッグ格子、または表面レリーフ格子であり得る。多くの実施形態では、導波管は、モノクローム帯域内で動作する。いくつかの実施形態では、導波管は、緑色帯域内で動作する。いくつかの実施形態では、赤色、緑色、および青色(RGB)等の異なるスペクトル帯域内で動作する導波管層が、3層導波構造を提供するためにスタックされることができる。さらなる実施形態では、層は、導波管層の間に空隙を伴ってスタックされる。種々の実施形態では、導波管層は、2導波管層解決策を提供するために、青色-緑色および緑色-赤色等のより幅広い帯域内で動作する。他の実施形態では、格子は、格子層の数を低減させるために、色多重化される。種々のタイプの格子が、実装されることができる。いくつかの実施形態では、各層内の少なくとも1つの格子は、切替可能格子である。
【0067】
上記に議論されるもの等の光学構造を組み込む導波管は、限定ではないが、導波管ディスプレイを含む、種々の異なる用途において実装されることができる。種々の実施形態では、導波管ディスプレイは、25mmを上回るアイレリーフを伴う10mmを上回るアイボックスを用いて実装される。いくつかの実施形態では、導波管ディスプレイは、2.0~5.0mmの厚さを伴う導波管を含む。多くの実施形態では、導波管ディスプレイは、少なくとも50°対角線の画像視野を提供することができる。さらなる実施形態では、導波管ディスプレイは、少なくとも70°対角線の画像視野を提供することができる。導波管ディスプレイは、多くの異なるタイプのピクチャ発生ユニット(PGU)を採用することができる。いくつかの実施形態では、PGUは、シリコン上液晶(LCoS)パネルまたは微小電気機械システム(MEMS)パネル等の反射型もしくは透過型空間光変調器であり得る。いくつかの実施形態では、PGUは、有機発光ダイオード(OLED)パネル等の発光デバイスであり得る。いくつかの実施形態では、OLEDディスプレイは、4,000nitを上回るルミナンスおよび4k×4kピクセルの分解能を有することができる。いくつかの実施形態では、導波管は、400nitを上回る画像ルミナンスが、ルミナンス4,000nitのOLEDディスプレイを使用して提供され得るように、10%を上回る光学効率を有することができる。P回折格子(すなわち、P偏光に関して高い効率を伴う格子)を実装する導波管は、典型的には、5%~6.2%の導波管効率を有する。P回折またはS回折格子は、OLEDパネル等の非偏光源からの光の半分を浪費し得るため、多くの実施形態は、最大2倍までの導波管の効率の増加を可能にするために、S回折およびP回折格子の両方を提供することが可能な導波管を対象とする。いくつかの実施形態では、S回折およびP回折格子は、別個の重複する格子層内に実装される。代替として、単一の格子が、ある条件下で、P偏光およびS偏光の両方に関して高い効率を提供することができる。いくつかの実施形態では、導波管は、上記に説明されるもの等のHPDLC格子からLCを抽出することによって生成されるブラッグ様格子を含み、好適に選定された値の格子厚さ(典型的には、2~5μmの範囲内)に関して、ある波長および角度範囲にわたって高いSならびにP回折効率を可能にする。
(光学記録材料系)
【0068】
HPDLC混合物は、概して、LCと、モノマーと、光開始剤染料と、共開始剤とを含む。混合物(多くの場合、シロップと称される)はまた、頻繁に、界面活性剤を含む。本発明を説明する目的のために、界面活性剤は、液体混合物全体の表面張力を低下させる任意の化学薬品として定義される。PDLC混合物における界面活性剤の使用は、公知であり、PDLCの最も初期の調査に遡る。例えば、R.L Sutherland et al.による論文であるSPIE Vol. 2689, 158-169, 1996(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、界面活性剤が添加され得る、モノマーと、光開始剤と、共開始剤と、連鎖延長剤と、LCとを含む、PDLC混合物を説明している。界面活性剤はまた、Natarajan et al.による論文であるJournal of Nonlinear Optical Physics and Materials, Vol. 5 No. l 89-98, 1996(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に言及されている。さらに、Sutherland et al.による米国特許第7,018,563号は、少なくとも1つのアクリル酸モノマーと、少なくとも1つのタイプの液晶材料と、光開始剤染料と、共開始剤と、界面活性剤とを有する、ポリマー分散液晶光学要素を形成するためのポリマー分散液晶材料を議論している。米国特許第7,018,563号の開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0069】
特許および科学文献は、高回折効率、迅速な応答時間、低駆動電圧等を達成するためにそのような材料系を調合することへの調査を含む、SBGを加工するために使用され得る材料系ならびにプロセスの多くの実施例を含有する。Sutherlandによる米国特許第5,942,157号およびTanaka et al.による米国特許第5,751,452号の両方は、SBGデバイスを加工するために好適なモノマーならびに液晶材料組み合わせを説明している。レシピの実施例はまた、1990年代初頭に遡る論文に見出されることができる。これらの材料のうちの多くは、以下を含む、アクリレートモノマーを使用する。
・R. L. Sutherland et al., Chem. Mater. 5, 1533 (1993)(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、アクリレートポリマーおよび界面活性剤の使用を説明している。具体的には、レシピは、架橋多官能性アクリレートモノマー、連鎖延長剤N-ビニルピロリジノン、LC E7、光開始剤ローズベンガル、および共開始剤N-フェニルグリシンを含む。界面活性剤オクタン酸が、ある変形において添加された。
・Fontecchio et al., SID 00 Digest 774-776, 2000(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、多官能性アクリレートモノマー、LC、光開始剤、共開始剤、および連鎖停止剤を含む、反射型ディスプレイ用途のためのUV硬化性HPDLCを説明している。
・Y.H. Cho, et al., Polymer International, 48, 1085-1090, 1999(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、アクリレートを含むHPDLCレシピを開示している。
・Karasawa et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 36, 6388-6392, 1997(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、種々の官能状態のアクリレートを説明している。
・T.J. Bunning et al., Polymer Science: Part B: Polymer Physics, Vol. 35, 2825- 2833, 1997(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)もまた、多官能性アクリレートモノマーを説明している。
・G.S. Iannacchione et al., Europhysics Letters Vol. 36 (6). 425-430, 1996(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、ペンタアクリレートモノマーと、LCと、連鎖延長剤と、共開始剤と、光開始剤とを含む、PDLC混合物を説明している。
アクリレートは、迅速な動態、他の材料との良好な混合、およびフィルム形成プロセスとの適合性の利益をもたらす。アクリレートは、架橋されるため、それらは、機械的にロバストかつ可撓性である傾向がある。例えば、官能性2(ジ)および3(トリ)のウレタンアクリレートが、HPDLC技術に関して広範に使用されている。ペンタおよびヘキサ官能性ステム等のより高い官能性の材料もまた、使用されることができる。
(材料組成の変調)
【0070】
高ルミナンスおよび優れた色忠実度が、種々の導波管用途において重要な因子である。各場合では、FOVを横断する高均一性が、所望され得る。しかしながら、導波管の基本的光学系は、導波管を辿って跳ね返るビームの間隙または重複に起因する不均一性につながり得る。さらなる不均一性が、格子の不完全性および導波管基板の非平面性から生じ得る。SBGでは、複屈折性格子による偏光回転のさらなる問題が、存在し得る。該当する場合では、最大の課題は、通常、ビームと格子フリンジとの複数の交差からもたらされる、数百万の光路が存在する折り返し格子である。格子性質、特に、屈折率変調の注意深い管理が、不均一性を克服するために利用されることができる。
【0071】
多数の可能性として考えられるビーム相互作用(回折またはゼロ次透過)のうち、あるサブセットのみが、アイボックスに提示される信号に寄与する。アイボックスから逆追跡することによって、所与のフィールドポイントに寄与する折り返し領域が、正確に指摘されることができる。出力照明の暗い領域にさらに送信するために必要とされる変調に対する精密な補正が、次いで、計算されることができる。1つの色に関する出力照明均一性を標的に戻すと、手順は、他の色に関して繰り返されることができる。いったん屈折率変調パターンが、確立されると、本設計は、堆積機構にエクスポートされることができ、各標的屈折率変調は、コーティング/堆積されるべき基板上の空間分解能セル毎に一意の堆積設定に変換される。堆積機構の分解能は、利用されるシステムの技術的限界に依存し得る。多くの実施形態では、空間パターンは、完全な繰り返し性を伴う30マイクロメートル分解能まで実装されることができる。
【0072】
表面レリーフ格子(SRG)を利用する導波管と比較して、本発明の種々の実施形態による製造技法を実装するSBG導波管は、異なるマスタの必要性を伴わずに、限定ではないが、堆積プロセスの間に動的に調節されるべき屈折率変調および格子厚等の効率ならびに均一性に影響を及ぼす格子設計パラメータを可能にすることができる。変調がエッチング深さによって制御されるSRGでは、そのようなスキームは、格子の各変動が、複雑かつ高価なツーリングプロセスを繰り返す必要があるであろうため、実践的ではないであろう。加えて、要求されるエッチング深さ精度およびレジスト撮像複雑性を達成することは、非常に困難であり得る。
【0073】
本発明の種々の実施形態による堆積プロセスは、堆積されるべきである材料のタイプを制御することによって、格子設計パラメータの調節を提供することができる。本発明の種々の実施形態は、基板上の異なる面積において、異なる材料または異なる材料組成を堆積させるように構成されることができる。例えば、堆積プロセスは、格子領域であることを意味する基板の面積上にHPDLC材料を堆積させ、非格子領域であることを意味する基板の面積上にモノマーを堆積させるように構成されることができる。いくつかの実施形態では、堆積プロセスは、成分組成が空間的に変動する光学記録材料の層を堆積させるように構成され、堆積される材料の種々の側面の変調を可能にする。異なる組成を伴う材料の堆積は、いくつかの異なる方法で実装されることができる。多くの実施形態では、1つを上回る堆積ヘッドが、異なる材料および混合物を堆積させるために利用されることができる。各堆積ヘッドは、異なる材料/混合物リザーバに結合されることができる。そのような実装は、種々の用途のために使用されることができる。例えば、異なる材料が、導波管セルの格子および非格子面積のために堆積されることができる。いくつかの実施形態では、HPDLC材料が、格子領域上に堆積される一方、モノマーのみが、非格子領域上に堆積される。いくつかの実施形態では、堆積機構は、異なる成分組成を伴う混合物を堆積させるように構成されることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、噴霧ノズルが、単一の基板上に複数のタイプの材料を堆積させるために実装されることができる。導波管用途では、噴霧ノズルは、導波管の格子および非格子面積のために異なる材料を堆積させるために使用されることができる。多くの実施形態では、噴霧機構は、格子を印刷するために構成され、材料組成、複屈折性、および/または厚さのうちの少なくとも1つが、少なくとも2つの選択可能なスプレーヘッドを有する堆積装置を使用して制御されることができる。いくつかの実施形態では、製造システムは、レーザバンディングの制御のために最適化される格子記録材料を堆積させるための装置を提供する。いくつかの実施形態では、製造システムは、偏光不均一性の制御のために最適化される格子記録材料を堆積させるための装置を提供する。いくつかの実施形態では、製造システムは、整合制御層と関連付けて偏光不均一性の制御のために最適化される格子記録材料を堆積させるための装置を提供する。いくつかの実施形態では、堆積作業セルは、ビーム分割コーティングおよび環境保護層等の付加的層の堆積のために構成されることができる。インクジェット印刷ヘッドもまた、基板の異なる領域内に異なる材料を印刷するために実装されることができる。
【0075】
上記に議論されるように、堆積プロセスは、成分組成が空間的に変動する光学記録材料を堆積させるように構成されることができる。材料組成の変調は、多くの異なる方法で実装されることができる。いくつかの実施形態では、インクジェット印刷ヘッドが、印刷ヘッド内で種々のインクジェットノズルを利用することによって、材料組成を変調するように構成されることができる。「ドットバイドット」ベースで組成を改変することによって、光学記録材料の層は、これが、層の平面表面を横断して様々な組成を有するように堆積されることができる。そのようなシステムは、限定ではないが、インクジェット印刷ヘッドを含む、種々の装置を使用して実装されることができる。プリンタにおけるCMYKシステムまたはディスプレイ用途における付加RGBシステム等、カラーシステムが、数百万の離散色値のスペクトルを生成するために数色のみのパレットを使用する方法と同様に、本発明の種々の実施形態によるインクジェット印刷ヘッドは、異なる材料のいくつかのリザーバのみを使用して様々な組成を伴う光学記録材料を印刷するように構成されることができる。異なるタイプのインクジェット印刷ヘッドは、異なる精密レベルを有することができ、異なる分解能で印刷することができる。多くの実施形態では、300 DPI(「インチあたりドット」)インクジェット印刷ヘッドが、利用される。精密レベルに応じて、所与の数の材料の様々な組成の離散化が、所与の面積を横断して判定されることができる。例えば、印刷されるべき2つのタイプの材料および300 DPIの精密レベルを伴うインクジェット印刷ヘッドを前提として、各ドット場所が、2つのタイプの材料のうちのいずれか1つを含有することができる場合、印刷された材料の所与の体積に関するある平方インチを横断する2つのタイプの材料の組成比の90,001個の可能性として考えられる離散値が、存在する。いくつかの実施形態では、各ドット場所は、2つのタイプの材料のうちのいずれか1つまたは両方の材料を含有することができる。いくつかの実施形態では、1つを上回るインクジェット印刷ヘッドが、空間的に変動する組成を伴う光学記録材料の層を印刷するように構成される。2材料用途におけるドットの印刷は、本質的に、バイナリシステムであるが、ある面積を横断して印刷されるドットを平均化することは、印刷されるべき2つの材料の比率のスライディングスケールの離散化を可能にすることができる。例えば、単位正方形を横断する可能性として考えられる濃度/比率の離散レベルの量は、単位正方形内に印刷され得るドット場所の数によって与えられる。したがって、第1の材料の100%から第2の材料の100%に及ぶ、異なる濃度組み合わせの範囲が、存在することができる。容易に理解され得るように、本概念は、実際のユニットに適用可能であり、インクジェット印刷ヘッドの精密レベルによって判定されることができる。印刷される層の材料組成を変調する具体的実施例が、議論されるが、インクジェット印刷ヘッドを使用して材料組成を変調する概念は、2つを上回る異なる材料リザーバを使用するために拡大されることができ、精密レベルにおいて変動することができ、これは、使用される印刷ヘッドのタイプに大いに依存する。
【0076】
印刷される材料の組成を変動させることは、いくつかの理由から有利であり得る。例えば、多くの実施形態では、堆積の間に材料の組成を変動させることは、格子の異なる面積を横断して空間的に変動する回折効率を有する格子を伴う導波管の形成を可能にすることができる。HPDLC混合物を利用する実施形態では、これは、印刷プロセスの間にHPDLC混合物内の液晶の相対的濃度を変調することによって達成されることができ、これは、材料が露光されると、様々な回折効率を伴う格子を生成し得る組成を作成する。いくつかの実施形態では、ある濃度の液晶を伴う第1のHPDLC混合物および液晶がない第2のHPDLC混合物が、印刷された材料において形成され得る格子の回折効率を変調するためのインクジェット印刷ヘッドにおける印刷パレットとして使用される。そのような実施形態では、離散化は、インクジェット印刷ヘッドの精密さに基づいて判定されることができる。離散レベルは、ある面積を横断して印刷される材料の濃度/比率によって与えられることができる。本実施例では、離散レベルは、液晶なしから第1のPDLC混合物内の液晶の最大濃度に及ぶ。
【0077】
導波管を横断して回折効率を変動させる能力は、種々の目的のために使用されることができる。導波管は、典型的には、導波管の2つの平面表面の間で光を複数回反射させることによって光を内部に誘導するように設計される。これらの複数の反射は、光路が格子と複数回相互作用することを可能にすることができる。多くの実施形態では、材料の層が、形成された格子が、空間的に変動する回折効率を有し、格子との相互作用の間に光の損失を補償し、均一な出力強度を可能にするように、材料の様々な組成を用いて印刷されることができる。例えば、いくつかの導波管用途では、出力格子は、1つの方向における射出瞳拡大を提供しながら、また、導波管から外に光を結合するように構成される。出力格子は、導波管内の光が、格子と相互作用すると、あるパーセンテージの光のみが、導波管から外に屈折されるように設計されることができる。残りの部分は、同一の光路において継続し、これは、TIR内に留まり、導波管内で反射され続ける。再び、同一の出力格子との第2の相互作用に応じて、光の別の部分が、導波管から外に屈折される。各屈折の間、依然として導波管内で進行する光の量は、導波管から外に屈折される量だけ減少する。したがって、各相互作用において屈折される部分は、総強度に関して徐々に減少する。これが伝搬距離に伴って増加するように格子の回折効率を変動させることによって、各相互作用に沿った出力強度の減少は、補償され、均一な出力強度を可能にすることができる。
【0078】
回折効率を変動させることはまた、導波管内の光の他の減衰を補償するために使用されることができる。全ての物体は、ある反射度および吸収度を有する。導波管内のTIR内に閉じ込められた光は、導波管の2つの表面の間で連続的に反射される。表面を構成する材料に応じて、光の一部は、各相互作用の間に材料によって吸収され得る。多くの場合では、本減衰は、小さいが、多くの反射が起こる広い面積を横断して実質的であり得る。多くの実施形態では、導波管セルは、光学記録材料層から形成される格子が、様々な回折効率を有し、基板からの光の吸収を補償するように、様々な組成を用いて印刷されることができる。基板に応じて、ある波長が、基板によってより吸収されやすくあり得る。多層化導波管設計では、各層は、ある範囲の波長の光に結合するように設計されることができる。故に、これらの個々の層によって結合される光は、層の基板によって異なる量において吸収されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、導波管は、フルカラーディスプレイを実装するために3層化スタックから作製され、各層は、赤色、緑色、および青色のうちの1つのために設計される。そのような実施形態では、導波管層のそれぞれの中の格子は、様々な回折効率を有し、ある波長の光の透過の損失に起因する色不平衡を補償することによって色平衡最適化を実施するように形成されることができる。
回折効率を変動させるために材料内の液晶濃度を変動させることに加えて、別の技法は、導波管セルの厚さを変動させるステップを含む。これは、スペーサの使用を通して遂行されることができる。多くの実施形態では、スペーサは、導波管セルの構築の間に構造支持のために光学記録材料全体を通して分散される。いくつかの実施形態では、異なるサイズのスペーサが、光学記録材料全体を通して分散される。スペーサは、光学記録材料の層の1つの方向を横断して昇順サイズで分散されることができる。導波管セルが、積層を通して構築されるとき、基板は、光学記録材料を挟装し、様々なサイズのスペーサからの構造支持を用いて、光学記録材料の楔形層を作成する。様々なサイズのスペーサが、上記に説明される変調プロセスと同様に分散されることができる。加えて、スペーササイズを変調することは、材料組成の変調と組み合わせられることができる。いくつかの実施形態では、それぞれ、異なるサイズのスペーサとともに懸濁されるHPDLC材料のリザーバが、方略的に分散される様々なサイズのスペーサとともにHPDLC材料の層を印刷し、楔形導波管セルを形成するために使用される。いくつかの実施形態では、スペーササイズ変調は、異なるサイズのスペーサの数および使用される異なる材料の数の積に等しい、いくつかのリザーバを提供することによって、材料組成変調と組み合わせられる。例えば、一実施形態では、インクジェット印刷ヘッドは、2つの異なるスペーササイズを伴う様々な濃度の液晶を印刷するように構成される。そのような実施形態では、4つのリザーバ、すなわち、第1のサイズのスペーサを伴う液晶なしの混合物懸濁液、第2のサイズのスペーサを伴う液晶なしの混合物懸濁液、第1のサイズのスペーサを伴う液晶が豊富な混合物懸濁液、および第2のサイズのスペーサを伴う液晶が豊富な混合物懸濁液が、調製されることができる。材料変調に関するさらなる議論が、2018年11月18日に出願され、「Systems and Methods for Manufacturing Waveguide Cells」と題された、米国出願第16/203,071号に見出されることができる。米国出願第16/203,491号の開示は、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
(導波管バックライト)
【0079】
本発明の種々の実施形態による導波管バックライトは、種々の異なる構成を使用して実装されることができる。容易に理解され得るように、実装される具体的構成は、限定ではないが、意図される用途、費用制約、形状因子制約等を含む、種々の因子に依存し得る。多くの実施形態では、導波管バックライトは、第1および第2の基板によって挟装される少なくとも1つの格子層を含有する、少なくとも1つの導波管層を用いて実装される。基板は、限定ではないが、ガラスおよびプラスチックを含む、種々の透明材料を含むことができる。格子層は、種々の目的のために構成される、格子要素の異なるセットを含むことができる。いくつかの実施形態では、格子層は、格子要素の2つの異なるセットを含み、各セットは、具体的波長帯域および/または角度帯域に関して高い回折効率を有するように構成ならびに設計される。いくつかの実施形態では、格子層は、格子要素の2つの異なるセットを含み、各セットは、同一のKベクトルを有する格子要素を含有する。種々の実施形態では、格子要素の2つのセットは、対向するKベクトルを有する。いくつかの実施形態では、格子層は、格子要素の2つの異なるセットを含み、各セットは、異なる方向からの光を回折させ、抽出するように構成および設計される。例えば、いくつかの実施形態では、格子層は、第1の基板から反射されるTIR光を回折させ、第2の基板を通してそのような光を抽出するように構成される、格子要素の第1のセットと、第2の基板から反射されるTIR光を回折させ、第1の基板を通してそのような光を抽出するように構成される、格子要素の第2のセットとを含む。
【0080】
導波管バックライトにおいて実装される格子要素は、いくつかの異なる構成において配列されることができる。多くの実施形態では、導波管バックライトは、相互に点在する格子要素の第1および第2のセットを有する、格子層を含む。いくつかの実施形態では、格子要素の第1および第2のセットは、2つの異なる格子層を横断して配置される。2つの異なる格子層は、相互に隣接して(すなわち、導波管層が2つの基板の間に挟装される2つの格子層を含む)、または2つの異なる導波管層を横断して配置されることができる。容易に理解され得るように、そのような格子アーキテクチャは、格子要素の2つを上回るセットを実装するために拡大されることができる。さらに、導波管層は、限定ではないが、HPDLC格子、HPDLC内に記録されるスイッチング格子(切替可能ブラッグ格子等)、ホログラフィックフォトポリマー内に記録されるブラッグ格子、欠設されたブラッグ格子、埋め戻された欠設されたブラッグ格子、および表面レリーフ格子を含む、種々の異なる格子構造を実装するように構成されることができる。
【0081】
実装される格子のタイプに応じて、光偏光応答が、導波管バックライトが動作する方法およびその程度における大きな因子であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、格子は、P偏光に感受性がある格子を形成する、HPDLC材料を使用して実装される。そのような場合では、導波管バックライトは、適切な考慮事項によって設計されることができる。導波管バックライトは、導波管バックライト全体を通して進行する光の偏光を操作するための種々の波長板およびリターダ構成を含むことができる。いくつかの実施形態では、導波管バックライトは、4分の1波長板(QWP)を含む。QWPは、直線偏光を円偏光に変換し、逆もまた同様である。さらなる実施形態では、QWPは、ミラーとともに実装され、これは、QWPの外面上に形成されることができる。そのような構成は、入射した直線偏光が、その偏光を直交性に変化させて反射されることを可能にすることができる。例えば、入射したP偏光光線が、QWPによって円偏光に変換され、反対の方向に円偏光を与えるようにミラーによって反射され、最後に、線S偏光に変換されることができる。多くの実施形態では、導波管バックライトは、P偏光の偏光をS偏光に切り替える(逆もまた同様である)ための半波長板(HWP)を含む。いくつかの実施形態では、導波管バックライトは、半波長リターダを支持する基板を含む。種々のタイプの光源が、光をバックライトの中に導入するために利用されることができる。いくつかの実施形態では、Pおよび/またはS偏光が、導波管バックライトの中に結合される。いくつかの実施形態では、非偏光光が、導波管バックライトの中に結合される。容易に理解され得るように、入力光および格子構造の具体的構成は、所与の用途の具体的要件に依存し得る。
【0082】
導波管バックライト内の格子要素は、種々の構成において配列および実装されることができる。いくつかの実施形態では、導波管層内の格子要素は全て、共通の波長帯域において動作するように設計される。上記に説明されるように、格子要素は、導波管層内で上向きに進む、または下向きに進む光線を回折させるように構成される、Kベクトルを有することができる。いくつかの実施形態では、両方のタイプの格子が、導波管層内に提供される。さらなる実施形態では、両方のタイプの格子が、単一の格子層内に提供される。いくつかの実施形態では、格子要素は、異なる方向においてであるが、共通の波長帯域において動作するKベクトルを有することができる。議論から、任意の数の別個の波長帯域が、提供され得ることを理解されたい。図2は、本発明のある実施形態による、点在する格子要素の2つのセットを有する、導波管バックライトを概念的に図示する。示されるように、導波管バックライト200は、格子層204を挟装する基板202、203によって形成される、導波管201を含む。多くの実施形態では、光の源(図示せず)が、導波管構造201に光学的に結合されることができ、コリメート光を放出するように構成されることができる。基板202、203は、入力光のためのTIR構造を提供することができる。格子層204は、導波管から外に、最終的に、外部照明面に向かって光を回折させるための複数の格子要素を含むことができる。例証的実施形態では、格子層204は、異なる方向から発するTIR光を回折させるために、対向するKベクトルを伴う2つの格子構成(例えば、格子要素205、206)を有する平面格子の2つのセットを含む。例えば、格子要素205は、基板202の外面から反射される光を回折させるように構成される一方、格子要素206は、基板203の外面から反射される光を回折させるように構成される。容易な明確化のために、2つの異なる方向の光はまた、それぞれ、基準系としての図の導波管の配向を伴う上向きおよび下向きに進むTIR光と称され得る。格子構成の対は、図2の実施形態における格子層204に沿って繰り返され、点在する格子要素の2つのセットを形成する。
【0083】
図2の導波管バックライト200はさらに、4分の1波長板207と、クリア領域209および半波長リターダを支持する領域210に分割される、透明層208とを含む。例証的実施形態では、QWP207は、その偏光を直交性に変化させながら、入射光の反射を提供するために、ミラーとともに実装される。QWP207および透明層208は、空隙または、限定ではないが、ナノ多孔性材料を含む、低屈折率材料の層によって、導波管201から分離されることができる。そのような実装の方法が、上記の節に議論される。再び図2を参照すると、例証的実施形態は、入力P偏光211(SBGによる回折に関して好ましい偏光状態である)が、導波管201内でTIRを受ける、導波管バックライト200の動作を示す。本光(上向きに進むTIR光)の一部が、格子要素205によって回折され(212)、透明層208のクリア領域209に向かって指向され、P偏光出力光213を提供することができる。格子要素206に入射する下向きに進むTIR光は、下向きに回折され(214)、QWP207によって反射され(215)、その偏光は、PからSに回転されることができる。S偏光は、格子層204を通して進行し、導波管201から外へ透明層208の半波長リターダ領域210に向かって進むことができる。半波長リターダ領域210を通した透過後、光は、その偏光をSからPに回転される(216)。導波管を横断して上記の光線-格子相互作用を繰り返すことによって、類似する方向に向かう入射光の抽出が、高度に遂行されることができる。容易に理解され得るように、そのような構成は、所与の用途の具体的要件に依存し得る、種々の修正を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、格子要素の回折効率は、均一性を制御するために、導波管経路に沿って変動されることができる。多くの実施形態では、格子要素は、電気的に切替可能であり得る。いくつかの実施形態では、格子層は、透明基板の間に形成され、透明伝導性コーティングが、各基板に適用されることができる。コーティングのうちの少なくとも1つは、格子要素と重複する独立してアドレス指定可能な要素にパターン化されることができる。格子要素のそれぞれを横断して電圧を印加するように動作可能な電気制御回路が、提供されることができる。
【0084】
図3は、本発明のある実施形態による、導波管バックライトを提供するためのプロセスのフローチャートを概念的に図示する。示されるように、プロセス300は、下向きに進む光線を回折させるための格子要素の第1のセットと、上向きに進む光線を回折させる格子要素の第2のセットとを有し、格子要素は、第1および第2の透明基板の間に配置される、導波管を提供するステップ(301)を含む。入力光が、導波管内の全内部反射経路の中に結合されることができる(302)。種々のタイプの入力光が、利用されることができる。多くの実施形態では、狭帯域レーザ照明が、利用される。いくつかの実施形態では、入力光は、P偏光である。入力光の一部が、格子要素の第1のセットを使用して、第1の透明基板の外面を通して抽出されることができ(303)、入力光の一部が、格子要素の第2のセットを使用して、第2の透明基板の外面を通して抽出されることができる(304)。多くの実施形態では、格子要素の第1のセットは、第2の基板の外面から反射される光を抽出するように構成され、格子要素の第2のセットは、第1の基板の外面から反射される光を抽出するように構成される。種々のタイプの格子が、実装されることができる。いくつかの実施形態では、P偏光感受性格子が、利用される。いくつかの実施形態では、S偏光感受性格子が、利用される。いくつかの実施形態では、両方のタイプの格子が、実装される。容易に理解され得るように、利用される格子のタイプは、入力光のタイプに依存し得る。第2の透明表面から抽出された光は、その偏光を回転されることができ(305)、導波管に向かって反射され、第1の透明表面の外面に至るまで伝搬することができる。多くの実施形態では、QWPが、光の偏光を回転させ、これを導波管に向かって反射するために利用される。その偏光が回転された光は、随意に、第1の透明基板の外面を通したその伝搬後、再び、その偏光を回転されることができる(306)。いくつかの実施形態では、HWP領域を含有する基板が、第1の透明基板を通したその伝搬後、光の偏光を回転させるために実装されることができる。図3は、導波管バックライトを提供する具体的方法を図示するが、種々の他のプロセスが、所与の用途の具体的要件に応じて、適宜、実装されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、入力光は、P偏光のみを含有する。他の実施形態では、入力光は、SおよびP偏光の両方を含有する。
【0085】
本発明の種々の実施形態による導波管バックライトは、多くの異なる用途のために構成されることができる。多くの実施形態では、導波管バックライトは、狭帯域照明用途のために構成され、すなわち、波長帯域は、典型的には、レーザによって提供されるような狭帯域幅を有することができる。いくつかの実施形態では、波長帯域は、LEDによって提供され得るようなより広い帯域幅を有することができる。容易に理解され得るように、バックライトはまた、赤外線および紫外線等の不可視放射を提供するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、導波管バックライトは、カラー導波管バックライトとして構成される。そのようなバックライトは、図2に示されるものに類似する原理に基づいて実装されることができる。いくつかの実施形態では、バックライトは、赤色、緑色、および青色(RGB)源からの光を提供する。そのような実施形態では、バックライトは、単一の層内に点在する、もしくは2つまたはそれを上回る層にわたってある方法で配置される、RGB格子要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、別個のRGB層が、使用されることができる。いくつかの実施形態では、導波管バックライトは、可視帯域の大部分を網羅する、第1および第2の波長の入力光を使用して動作する。例えば、種々の実施形態では、第1の波長の光は、青色-緑色帯域を網羅し、第2の波長の光は、緑色-赤色帯域を網羅することができる。いくつかの実施形態では、カラー導波管バックライトが、バックライトから放出されるべき色成分毎に別個の格子層を利用して実装されることができる。いくつかの実施形態では、導波管バックライトは、SBGを組み込む。そのような場合では、導波管バックライトは、光源が、第1の波長帯域の光を放出すると、回折状態に切り替わるように構成される、格子要素の第1のセットと、源が、第2の波長帯域の光を放出すると、回折状態に切り替わるように構成される、格子要素の第2のセットとを含むことができる。
【0086】
図4は、本発明のある実施形態による、2つの導波管層を伴う導波管バックライトを概念的に図示する。以下の段落では、本発明の説明を簡略化するために、議論は、各導波管層が単一の格子層を含有する、2つの導波管層内に形成される格子要素の第1および第2のセットを使用して、2つの異なる波長帯域内の光(第1ならびに第2の波長の光)を放出するための導波管を含むであろう。しかしながら、任意の数の導波管層および格子層が、所与の用途の具体的要件に応じて、適宜、利用されることができる。再び図2Aを参照すると、示される導波管バックライト400は、第1および第2の導波管401、402を含む。バックライト400はさらに、4分の1波長板(QWP)403と、クリア領域405および半波長リターダを支持する領域406に分割される、透明基板404とを含む。各導波管は、図2に示されるものに類似する原理に従って動作するように構成されることができる。例えば、第1の導波管401は、第1の波長帯域のp偏光を受光するように構成されることができ、第2の導波管402は、第2の波長帯域のp偏光を受光するように構成されることができる。例証的実施形態では、第1および第2の導波管401、402はそれぞれ、格子層407、408を含む。第2の導波管402は、第1の導波管401のものに類似する構成であるが、異なる波長帯域内で動作する格子要素を含むことができる。例えば、例証的実施形態では、第1の導波管401は、赤色-緑色波長帯域内で動作するように構成される格子要素を含むことができる一方、第2の導波管402は、緑色-青色波長帯域内で動作するように構成される格子要素を含み、フルカラー導波管バックライトの実装を可能にすることができる。他の実施形態では、フルカラー導波管バックライトが、それぞれ、赤色、緑色、および青色波長帯域のうちの1つにおいて動作するように構成される、3つの導波管層を用いて実装されることができる。光線の2つのセット(異なる波長の光の光線を表す、破線および実線)によって示されるように、第2の導波管402の光線および格子相互作用が、第1の導波管401のものに類似することが示される。2つの導波管から抽出された第1および第2の波長の光は、均一な照明を提供するために組み合わせられることができる。多くの実施形態では、第1および第2の波長の光は、導波管に順次導入されることができる。
【0087】
図4の導波管構造は、種々の異なる格子構成を使用して、同等に実装されることができる。いくつかの実施形態では、バックライトは、異なる波長帯域における動作のために構成される複数の格子要素を含有する、単一の導波管層として実装されることができる。図5は、本発明のある実施形態による、単一の導波管層を伴う導波管バックライトを概念的に図示する。示されるように、導波管バックライト500は、2つの基板504、505によって挟装される2つの隣接する格子層502、503から形成される、格子構成501を含む。導波管バックライト500はさらに、QWP506と、クリア領域508および半波長リターダを支持する領域509に分割される、透明基板507とを含む。例証的実施形態では、格子構成501は、異なる波長帯域内で動作することが可能な2つの格子層508、509を含む。多くの実施形態では、2つの格子層の動作波長帯域は、可視帯域の大部分を網羅する。各格子層はさらに、上向き(510、512)および下向きに進む(510、512)TIR光を回折させるための格子要素の2つの点在するセット510、511ならびに512、513を含む。容易に理解され得るように、図5に示されるバックライトは、図4に示されるものに類似する原理に従って動作することができる。図5では、2つの格子層は、別個の隣接する層において示され、その組み合わせは、格子構成を提供する。他の実施形態では、2つの格子層を横断する格子要素は、単一の層に多重化および重畳される。例えば、格子要素510は、格子要素512と多重化されることができ、格子要素A 311は、格子要素513と多重化されることができる。
【0088】
図4および5は、具体的多色導波管バックライト実装を図示するが、種々の構成が、所与の用途の具体的要件に応じて、適宜、実装されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、導波管バックライトは、それぞれ、2つの波長帯域内で動作するように構成される、点在する格子要素を含有する、2つの導波管層を含む。図6は、本発明のある実施形態による、交互する第1の波長回折格子要素605および第2の波長回折格子要素606を伴う格子層603、604をそれぞれ含有する、2つの導波管層601、602を有する、導波管バックライト600を概念的に図示する。格子要素605、606は全て、導波管の外面を通して上向きに進む、または下向きに進むTIR光(例えば、図6の例証的実施形態では、上向きに進む)のうちの1つを回折させるように構成される、Kベクトルを有することができる。例証的実施形態では、第1の波長回折および第2の波長回折格子要素605、606は、空間的に重複される。動作の間、第1の波長のP偏光607および第2の波長のP偏光608は、導波管の中に結合され、第1の波長の光に対応する光線609、610ならびに第2の波長の光に対応する光線611、612によって示されるように、回折および抽出を受けることができる。図6の導波管構造は、種々の異なる格子構成を使用して、同等に実装されることができる。図5に示される実施形態と同様に、図6に示されるバックライトは、単一の導波管層を用いて実装されることができる。図7は、本発明のある実施形態による、交互する波長回折格子要素を伴う単一の導波管層を有する、導波管バックライトを概念的に図示する。示されるように、導波管バックライト700は、2つの基板702、703によって挟装される、単一格子構成701を含む。格子構成701は、2つの格子層704、705を含む。例証的実施形態では、格子要素の2つのセット706、707は、両方の格子層704、705内に、かつそれらを横断して点在する。第1のセット706からの格子要素は、第2のセット707からの格子要素と空間的に重複する。格子要素は、種々の異なる方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、格子要素の各セットは、具体的波長帯域を回折させるように構成される。多くの実施形態では、格子ベクトルは全て、類似するKベクトルを有するように構成される。図7の実施形態では、格子要素は全て、光を同一の方向に向かって回折させ、指向するように構成される。容易に理解され得るように、図7に示される導波管バックライトは、図6に示されるものに類似する原理に従って動作することができる。図7では、2つの格子層704、705は、別個の隣接する層において示され、その組み合わせは、単一格子構成701を提供する。他の実施形態では、2つの格子層704、705内の格子要素は、同一の層内に多重化および重畳され、すなわち、各多重化領域は、格子要素706と、格子要素707とを含有する。
【0089】
図2-7は、P偏光入力光を受光する具体的導波管バックライトを図示するが、本発明の種々の実施形態による導波管バックライトは、種々の光源を用いた動作のために構成されることができる。図8は、本発明のある実施形態による、直交する偏光を有する入力光に関する交互する波長回折格子要素を伴う2つの導波管層801、802を有する、導波管バックライト800を概念的に図示する。示されるように、第1の導波管層801は、交互する第1の波長回折格子要素804および第2の波長回折格子要素805の第1のセットを伴う第1の格子層803を含む。同様に、第2の導波管層802は、交互する第1の波長回折格子要素804および第2の波長回折格子要素805の第2のセットを伴う第2の格子層806を含む。導波管バックライト800はさらに、QWP807を含む。種々の光源が、そのような構成を用いて、適宜、実装されることができる。例証的実施形態では、入力光は、直交する偏光を有する第1および第2の波長の光808、809を含む。例えば、入力される第1の波長の光808は、P偏光されることができ、入力される第2の波長の光809は、S偏光されることができる。例証的実施形態では、第1の波長回折格子要素804は、上向きに進むTIR光を第1の導波管層801の上側導波管表面810を通して回折させるように構成されるKベクトルを有し、第2の波長回折格子要素805は、下向きに進むTIR光を第2の導波管層802の下側導波管表面811を通して回折させるように構成されるKベクトルを有する。示されるように、第1の波長回折および第2の波長回折格子要素804、805は、空間的に重複される。下側導波管表面813から抽出された光(第2の波長の光)は、2つの導波管層801、802を通して、かつ上面810から外に再透過される前に、QWP807によってその偏光をSからPに回転される。したがって、導波管バックライト800からの出力光は全て、P偏光される。図5および7に示される実施形態と同様に、図8に示される構成は、単一の導波管層内で実装されることができる。図9は、隣接する格子層902、903を伴う単一の導波管層901を使用した、図8の実施形態の導波管バックライト実装900を概念的に図示する。容易に理解され得るように、そのような導波管バックライトは、図8に示されるものに類似する原理に従って動作することができる。さらに、そのような格子層はまた、多重化格子を含有する単一の層として実装されることができる。
【0090】
上記に議論される実施形態の基礎となる重要な原理は、光が、格子の角度およびスペクトル帯域幅によって設定される角度ならびに波長トレランス内でブラッグ方程式を満たすとき、ブラッグ格子が、高効率で回折することである。スペクトルおよび角度帯域幅は、体積ホログラフィック格子の理論を使用して算出されることができる。上記の帯域幅限界内に該当する導波光線は、オンブラッグと称される一方、帯域幅外に該当する光線は、オフブラッグと称される。
【0091】
ディスプレイおよび照明デバイス、特に、レーザを使用するものにおいて対処されるべき別の因子が、ビームがTIRを受ける際のビームエッジ不整合からもたらされる。厚さD、連続したビーム-表面相互作用の間の距離W、およびTIR角度Uの導波管に関して、上向きおよび下向きに進むTIRビームのシームレスな合致のための条件は、方程式2Dtan(U)=Wによって与えられる。本条件が、満たされないとき、隣接するビーム部分の間の間隙または重複が、生じ得、これは、バンディングと呼ばれる出力照明における不均一性をもたらす。バンディングは、LED等の広帯域源を使用することによって、ある程度軽減されることができる。しかしながら、効果は、レーザを用いて克服することがはるかに困難であり得る。多くの実施形態では、導波管バックライトは、完全にコリメートされた空間内で動作するように構成されることができる。言い換えると、各ビーム格子相互作用において複製される入力光および出力ビームは全て、コリメートされる。いくつかの実施形態では、入力ビームは、少なくとも1つの角度方向において走査される。いくつかの実施形態では、入力ビームの断面は、第PCT/US2018/015553号「WAVEGUIDE DEVICE WITH UNIFORM OUTPUT ILLUMINATION」(その開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に開示される実施形態または教示に従って、バンディング除去条件に合致するように入射角とともに変動されることができる。いくつかの実施形態では、入力ビーム断面は、上記の参考文献に議論されるように、導波管によって支持される表面または層上に形成されるエッジを用いて調節されることができる。
【0092】
多くの実施形態では、光が、格子またはプリズムを使用して、導波管の中に結合される。多くの実施形態では、光を導波管の中に結合するための光学系はさらに、ビームスプリッタ、フィルタ、ダイクロイックフィルタ、偏光構成要素、光積分器、集光レンズ、マイクロレンズ、ビーム成形要素、およびディスプレイ照明システムにおいて一般的に使用される他の構成要素を含んでもよい。
【0093】
多くの実施形態では、光源は、電気機械的ビーム偏向器を使用して、少なくとも1つの角度方向において走査されるレーザである。いくつかの実施形態では、レーザ走査装置は、電気光学デバイスであってもよい。
【0094】
多くの実施形態では、光は、導波管から、角度的に分離される出力経路の中に抽出されることができる。多くの実施形態では、その出力経路は、導波管の全内部反射表面に対して略法線であり得る。多くの実施形態では、導波管から抽出された光は、コリメートされる。
【0095】
多くの実施形態では、格子要素は、平面格子、屈折力を伴う格子、光学遅延を提供する格子、および拡散性質を伴う格子の群から選択される少なくとも1つを含む。多くの実施形態では、格子要素は、導波管に沿った光の抽出を可能にするために、空間的に変動する回折効率を有することができる。多くの実施形態では、格子要素は、電極を横断して印加される電圧に比例する回折効率を有する。いくつかの実施形態では、格子要素は、該電極を横断して印加される電圧に比例する位相遅延を有することができる。多くの実施形態では、格子要素は、伸長要素の1次元アレイとして構成されることができる。多くの実施形態では、格子は、2次元アレイとして構成されることができる。多くの実施形態では、格子要素は、ホログラフィックポリマー分散液晶内に記録される。多くの実施形態では、電気制御回路アドレスによる格子要素の時空間アドレス指定が、巡回プロセスによって特徴付けられることができる。多くの実施形態では、電気制御回路による格子要素の時空間アドレス指定は、ランダムプロセスによって特徴付けられることができる。
(均等論)
【0096】
上記の説明は、本発明の多くの具体的実施形態を含有するが、これらは、本発明の範囲に対する限定としてではなく、むしろ、その1つの実施形態の実施例として解釈されるべきである。したがって、本発明が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、具体的に説明されるもの以外の方法で実践され得ることを理解されたい。したがって、本発明の実施形態は、あらゆる点で例証的であり、制限的ではないと見なされるべきである。故に、本発明の範囲は、例証される実施形態によってではなく、添付される請求項およびそれらの均等物によって判定されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】