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特表2022-525195カリックスクラウンおよびそれらの使用法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】カリックスクラウンおよびそれらの使用法
(51)【国際特許分類】
   C07D 323/00 20060101AFI20220428BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20220428BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20220428BHJP
   G01N 33/547 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
C07D323/00
G01N33/531 B
G01N33/543 525W
G01N33/543 525U
G01N33/543 525E
G01N33/543 525G
G01N33/547
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555441
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-10-18
(86)【国際出願番号】 IB2020052393
(87)【国際公開番号】W WO2020188470
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/818,861
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518127727
【氏名又は名称】インノファーマスクリーン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】カン インチョル
(72)【発明者】
【氏名】リー ナリ
(57)【要約】
タンパク質チップ、診断キット、またはタンパク質分離パックなどの固体基板をコーティングするのに有用である、式Iのものなどの新規のカリックスクラウンが本明細書において提供される。本明細書におけるカリックスクラウンでコーティングされた固体基板と固定化されたタンパク質とのタンパク質間相互作用を検出する方法も本明細書において提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I、II、もしくはIII:
を有するカリックスクラウンまたはその塩もしくはエステルであって、
式中、
R1およびR3は独立して水素、-CH2SH、-CH2Cl、-CH2CN、-CH2CHO、CH2NH2、または-CH2COOHを表し;
R2およびR4は独立して-CH2SH、-CH2Cl、-CH2CN、-CH2CHO、-CH2NH2、-CH2COOH、-CN、-CHO、または-COOHを表し;かつ
XおよびYは独立して水素、C1~4アルキル、OH、またはC1~4アルコキシを表す、
該カリックスクラウンまたはその塩もしくはエステル。
【請求項2】
R1およびR3がいずれも水素である、請求項1記載のカリックスクラウンまたはその塩もしくはエステル。
【請求項3】
XおよびYがいずれも水素である、請求項1もしくは2記載のカリックスクラウンまたはその塩もしくはエステル。
【請求項4】
R2およびR4がいずれも-COOHである、請求項1~3のいずれか一項記載のカリックスクラウンまたはその塩もしくはエステル。
【請求項5】
前記カリックスクラウンが、式:
を特徴とする、請求項1記載のカリックスクラウンまたはその塩もしくはエステル。
【請求項6】
前記カリックスクラウンが、IPS-リンカーAまたはIPS-リンカーB:
を特徴とする、請求項1記載のカリックスクラウンまたはその塩もしくはエステル。
【請求項7】
タンパク質を固体基板上に固定化する方法であって、
a)請求項1~6のいずれか一項記載のカリックスクラウンを無機固体基板または有機固体基板に塗布して、カリックスクラウンでコーティングされた固体基板を形成する工程;
b)該タンパク質を含む溶液に、該カリックスクラウンでコーティングされた固体基板を浸漬する工程
を含む、該方法。
【請求項8】
前記固体基板が無機固体基板である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記固体基板が金属固体基板である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記固体基板が、金、銀、ガラス、水晶、雲母、シリコン、ポリスチレン、およびポリカーボネートからなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記溶液が前記タンパク質を約1nM~約500uMの濃度で含む、請求項7~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記タンパク質が、Aβ1-42、抗体、酵素、膜結合型受容体および非膜結合型受容体、タンパク質ドメインおよびモチーフ、ならびに細胞内シグナル伝達タンパク質より選択される、請求項7~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記カリックスクラウンが前記固体基板上に単層を形成する、請求項7~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記固体基板がタンパク質チップ、診断キット、またはタンパク質分離パックである、請求項7~13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
請求項7~13のいずれか一項によって調製された、固定化されたタンパク質を有する固体基板。
【請求項16】
請求項1~6のいずれか一項記載のカリックスクラウンでコーティングされた固体基板。
【請求項17】
前記カリックスクラウンが前記固体基板上に単層を形成している、請求項16記載の固体基板。
【請求項18】
無機固体基板である、請求項16または17記載の固体基板。
【請求項19】
金属固体基板である、請求項18記載の固体基板。
【請求項20】
金、銀、ガラス、水晶、雲母、シリコン、ポリスチレン、およびポリカーボネートからなる群より選択される、請求項16または17記載の固体基板。
【請求項21】
タンパク質間相互作用を検出する方法であって、
a)請求項16~20のいずれか一項記載の固体基板上に第1タンパク質を固定化して、固定化された第1タンパク質を有する固体基板を形成する工程;
b)固定化された第1タンパク質を有する該固体基板を、第2タンパク質を含む溶液と共にインキュベートする工程;および
c)該固定化された第1タンパク質と該第2タンパク質との間の相互作用を検出する工程
を含む、該方法。
【請求項22】
前記検出する工程が、前記第2タンパク質に対する抗体を前記固体基板と接触させることを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記検出する工程が、色素標識された二次抗体を前記固体基板と接触させることをさらに含み、該二次抗体が前記第2タンパク質に対する前記抗体に結合する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記検出する工程が、前記固体基板に結合している前記色素標識された二次抗体のレベルを測定することをさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記第2タンパク質を含む前記溶液が、患者からの体液試料に由来し、約1aM(アトM)~約100uMの濃度を有する、請求項21~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
前記第2タンパク質が、がん、炎症性疾患、神経変性疾患、代謝性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、感染性疾患、または内分泌疾患のバイオマーカーである、請求項21~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記第2タンパク質が、VEGF165、抗体、酵素、膜結合型受容体および非膜結合型受容体、tタンパク質ドメインおよびモチーフ、または細胞内シグナル伝達タンパク質である、請求項21~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
前記第2タンパク質がIL-17、IL-23、STING、またはPD-1である、請求項21~27のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
様々な態様において、本発明は、全体として、新規のカリックスクラウンおよび生物分析におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
固体担体に対する酵素、抗原、抗体などの固定化は、免疫化学および酵素化学などのバイオテクノロジーおよびタンパク質研究における最も基本的な技術の1つになっている。例えば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)は、実験室または臨床検査室におけるある疾患を引き起こす特定のタンパク質または特異的なタンパク質のアッセイのためにバイオテクノロジーにおいて広く使用されてきた技術である。そのようなELISAのアッセイキットは市販されている。より最近では、固体マトリクスに対するタンパク質の固定化方法の改善を必要とするタンパク質チップの開発が、ポストゲノム時代におけるプロテオミクス研究のさらなる進歩のためにバイオテクノロジーの分野において関心が高い。
【0003】
以前は、抗原、抗体または酵素などのタンパク質の固定化は、コラーゲン、デキストランまたはセルロースの様々な誘導体などの高分子量バイオポリマーに対するタンパク質の物理吸着によって一般的に行われていた。化学反応によるタンパク質と担体表面との間の共有結合もタンパク質固定化のための方法として広く用いられてきた。「サンドイッチ」技術(三重分子層)によるタンパク質固定化法が文献Zhang, X. et al., Science 262:1706-1708 (1993)(非特許文献1)に開示されており、これはタンパク質と担体表面との間のビオチン-アビジン(またはストレプトアビジン)相互作用による化学結合法を記載している。すなわち、ビオチンが担体表面に付着し、続いてアビジンまたはストレプトアビジンがそれに連結する。最後に、ビオチンと連結したタンパク質を化学的に修飾された担体表面に固定化することができる。
【0004】
しかしながら、様々なタンパク質固定化法には以下のように多くの問題がある。
【0005】
1.密度
過去に用いられたタンパク質固定化法の最も重大な問題は基板の表面に固定化されるタンパク質の量が非常に少ないということであった。担体表面に固定化されるタンパク質の密度が低い場合、別のタンパク質が非特異的結合を形成することがある。よって、担体表面に結合した望ましくないタンパク質を除去するために担体表面に対して化学処理を行う必要がある。しかしながら、そのような化学処理は固定化されたタンパク質分子の不活性化または変性を引き起こすことがある。さらに、特定の標的タンパク質が担体の表面にうまく固定化されたとしても、非常に少量のタンパク質しか捕捉することができないため、別のアッセイ方法によってアッセイ結果をさらに確認することが必要な場合がある。より多くのタンパク質が担体の表面の単位面積に固定化されるとアッセイプロセスがより容易になる。この点では、担体表面に最大量が固定化された、タンパク質の単一分子層のための方法の開発に向けて多くの研究が行われてきた。しかしながら、満足のいく結果は未だに達成されていない。
【0006】
2.活性
担体の表面に対する化学結合または物理吸着のいずれかによるタンパク質固定化のための従来の方法では、固定化されたタンパク質の活性は溶液中の遊離タンパク質と比較して低下する可能性があった。固体担体上の固定化されたタンパク質は、物理吸着または化学結合を介して担体表面に堅く結合するため、タンパク質、特にその活性部位周辺、の構造変化または変性によりその活性を失う可能性があることが公知である。
【0007】
3.配向
担体の表面に対するタンパク質固定化のための従来の方法では、タンパク質の活性部位は、活性部位がマスクされ、ひいてはタンパク質の活性が失われるような様式で、本質的に担体表面に向けて配向される場合がある。そのような現象は固定化されたタンパク質のほぼ半数で起きる。
【0008】
カリックスクラウンは固体基板上にカリックスクラウンの単層を形成するのに有用であることがこれまでに示されており、これは、例えば、アンモニウム基などのタンパク質表面上のアミノ酸のカチオン性官能基の認識を通じて、目的のタンパク質の固定化を容易にする。例えば、米国特許第6,485,984 B1号(特許文献1)およびLee et al., Proteomics 3:2289-2304 (2003)(非特許文献2)を参照されたい。WO2009069980A2(特許文献2)もキナーゼまたはホスファターゼ活性を決定するためのタンパク質チップにおけるカリックスクラウンの様々な使用を記載している。
【0009】
これら旧世代のカリックスクラウンは上で特定した問題にある程度は対処することができる。新規のタンパク質チップ、例えば、高感度のものなどの必要性は依然として存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,485,984 B1号
【特許文献2】WO2009069980A2
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Zhang, X. et al., Science 262:1706-1708 (1993)
【非特許文献2】Lee et al., Proteomics 3:2289-2304 (2003)
【発明の概要】
【0012】
様々な態様では、本開示は、特定の新規のカリックスクラウンを用いて固体基板をコーティングすることができ、コーティングされた固体基板を用いてタンパク質を固定化し、試料中のタンパク質(またはタンパク質間相互作用)の存在を高感度で検出できるという発見に少なくとも部分的に基づいている。
【0013】
いくつかの態様では、本開示は本明細書において規定する式I、II、またはIIIを有する新規のカリックスクラウンに指向している。いくつかの具体的な態様では、本発明は本明細書において規定する化合物6(IPS-リンカーA)またはIPS-リンカーBに指向している。
【0014】
いくつかの態様では、本開示のカリックスクラウンでコーティングされた固体基板が提供される。いくつかの態様では、固体基板は金、銀、ガラス、シリコン、ポリスチレン、およびポリカーボネートからなる群より選択される基板などの無機固体基板または有機固体基板であってもよい。いくつかの態様では、固体基板はタンパク質チップ、診断キット、またはタンパク質分離パックである。
【0015】
いくつかの態様では、固定化されたタンパク質を有する、本開示のカリックスクラウンでコーティングされた固体基板が提供される。いくつかの態様では、固体基板は、金、銀、ガラス、シリコン、ポリスチレン、およびポリカーボネートからなる群より選択される基板などの無機固体基板または有機固体基板であってもよい。いくつかの態様では、固定化されたタンパク質は抗体、酵素、膜結合受容体および非膜結合受容体、タンパク質ドメインおよびモチーフ、ならびに、例えば、ブロモドメイン含有タンパク質4、ヘパリン結合ドメイン、ポロボックスドメインなどの修飾タンパク質を含む細胞内シグナル伝達タンパク質であってもよい。
【0016】
いくつかの態様では、本開示は固体基板上にタンパク質を固定化する方法を提供する。典型的には、方法は、本開示のカリックスクラウンを無機固体基板または有機固体基板に塗布して、カリックスクラウンでコーティングされた固体基板を形成する工程;および、次に、タンパク質を含む溶液に、カリックスクラウンでコーティングされた固体基板を浸漬する工程を含んでもよい。
【0017】
いくつかの態様では、タンパク質間相互作用を検出する方法も提供される。例えば、いくつかの態様では、方法は、本開示のカリックスクラウンでコーティングされた固体基板上に第1タンパク質を固定化して、固定化された第1タンパク質を有する固体基板を形成する工程;固定化された第1タンパク質を有する固体基板を、第2タンパク質を含む溶液と共にインキュベートする工程;および固定化された第1タンパク質と第2タンパク質との間の相互作用を検出する工程を含んでもよい。いくつかの態様では、第2タンパク質は疾患のバイオマーカーである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1A.Aβ1-42を固定化しかつ様々な濃度のVEGF165と共にインキュベートした、プロリンカーコーティングされたスライドから検出された、蛍光シグナルを示すグラフ。図1B.Aβ1-42を固定化しかつ様々な濃度のVEGF165と共にインキュベートした、IPS-リンカーでコーティングされたスライドから検出された、蛍光シグナルを示すグラフ。
図2】IPS-リンカーでコーティングされたチップを用いたヒトIL-17の検出。
図3】IPS-リンカーでコーティングされたチップを用いたIL-23およびその受容体のためのタンパク質間相互作用アッセイの結果を示すグラフ。
図4】IPS-リンカーでコーティングされたチップを用いたPD-1およびPD-L1のためのタンパク質間相互作用アッセイの結果を示すグラフ。
図5】IPS-リンカーでコーティングされたチップを用いたSTINGおよびc-di-GMP結合についてのタンパク質-ヌクレオチド相互作用アッセイの結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
様々な態様では、本開示は新規のカリックスクラウンおよび生体分析におけるそれらの使用を提供する。
【0020】
カリックスクラウン
カリックスクラウンは、アルカリおよびアルカリ土類金属カチオンに対して、また第三級アミンに対してイオノフォア特性を有することが発見された。それらの結合選択性は、ポリエチレングリコールブリッジにおける酸素原子の数、クラウンブリッジでの置換基の性質によって、また結合部位でのカリックスアレーン骨格の立体化学によって大きく決定される。その全体において参照により本書に組み入れられるSalorinne et al., J. Incl. Phenom. Macrocyc.l Chem. 61:11-27 (2008)を広く参照されたい。
【0021】
本開示のカリックスクラウンは典型的にはカリックス[4]クラウンである。カリックス[4]クラウンは1,3-架橋または1,2-架橋であってもよい。本開示のカリックス[4]クラウンは典型的には1,3-架橋である。典型的には、本開示のカリックスクラウンは1,3-交互立体配座を採ってもよいが、場合によっては一部円錐構造または円錐構造も可能である。
【0022】
本開示のカリックスクラウンは典型的には式I、II、またはIIIによる構造を有してもよい。いくつかの態様では、本明細書におけるカリックスクラウンはアミノ基および/またはカルボン酸基を有してもよく、そのようなカリックスクラウンは塩の形態で存在してもよい。カルボン酸官能基を有する本明細書におけるカリックスクラウンについては、C1~4アルキルエステルなどのそれらのエステルも本開示の新規化合物である。これらのエステルは、例えば、対応するカルボン酸官能基を有する化合物を調製するための中間体として有用な場合がある。
【0023】
いくつかの態様では、本開示のカリックスクラウンは、式I:
を特徴としてもよく、
式中、
R1およびR3は独立して水素、-CH2SH、-CH2Cl、-CH2CN、-CH2CHO、-CH2NH2、または-CH2COOHを表し;
R2およびR4は独立して-CH2SH、-CH2Cl、-CH2CN、-CH2CHO、-CH2NH2、-CH2COOH、-CN、-CHO、または-COOHを表し;かつ
XおよびYは独立して水素、C1~4アルキル、OH、またはC1~4アルコキシを表す。
【0024】
典型的には、式Iにおいて、R1およびR3は水素である。しかしながら、いくつかの態様では、R1およびR3はまた独立して金などの固体基板の表面に親和性を有する基であってもよい。いくつかの態様では、R1およびR3はまた独立して-CH2SH、-CH2CHO、-CH2NH2、または-CH2COOHなどの基であってもよい。
【0025】
典型的には、式Iにおいて、XおよびYは水素である。しかしながら、いくつかの態様では、XおよびYはまた独立してC1~4アルキル、OH、またはC1~4アルコキシなどの基であってもよい。
【0026】
典型的には、式Iにおいて、R2およびR4は-COOHである。いくつかの態様では、R2およびR4はまた独立して金などの固体基板の表面に親和性を有する基であってもよい。いくつかの態様では、R2およびR4はまた独立して-CH2SH、-CH2CHO、-CH2NH2、-CHO、または-CH2COOHなどの基であってもよい。
【0027】
いくつかの態様では、式Iのカリックスクラウンは、化合物6(IPS-リンカーA)またはIPS-リンカーB:
である。
【0028】
いくつかの態様では、本開示のカリックスクラウンは、式II:
を特徴としてもよく、
式中、
R1およびR3は独立して水素、-CH2SH、-CH2Cl、-CH2CN、-CH2CHO、-CH2NH2、または-CH2COOHを表し;
R2およびR4は独立して-CH2SH、-CH2Cl、-CH2CN、-CH2CHO、-CH2NH2、-CH2COOH、-CN、-CHO、または-COOHを表し;かつ
XおよびYは独立して水素、C1~4アルキル、OH、またはC1~4アルコキシを表す。
【0029】
典型的には、式IIにおいて、R1およびR3は水素である。しかしながら、いくつかの態様では、R1およびR3はまた独立して金などの固体基板の表面に親和性を有する基であってもよい。いくつかの態様では、R1およびR3はまた独立して-CH2SH、-CH2CHO、-CH2NH2、または-CH2COOHなどの基であってもよい。
【0030】
典型的には、式IIにおいて、XおよびYは水素である。しかしながら、いくつかの態様では、XおよびYはまた独立して、C1~4アルキル、OH、またはC1~4アルコキシなどの基であってもよい。
【0031】
典型的には、式IIにおいて、R2およびR4は-COOHである。いくつかの態様では、R2およびR4はまた独立して金などの固体基板の表面に親和性を有する基であってもよい。いくつかの態様では、R2およびR4はまた独立して-CH2SH、-CH2CHO、-CH2NH2、-CHO、または-CH2COOHなどの基であってもよい。
【0032】
いくつかの態様では、本開示のカリックスクラウンは、式III:
を特徴としてもよく、
式中、
R1およびR3は独立して水素、-CH2SH、-CH2Cl、-CH2CN、-CH2CHO、-CH2NH2、または-CH2COOHを表し;
R2およびR4は独立して-CH2SH、-CH2Cl、-CH2CN、-CH2CHO、-CH2NH2、-CH2COOH、-CN、-CHO、または-COOHを表し;かつ
XおよびYは独立して水素、C1~4アルキル、OH、またはC1~4アルコキシを表す。
【0033】
典型的には、式IIIにおいて、R1およびR3は水素である。しかしながら、いくつかの態様では、R1およびR3はまた独立して金などの固体基板の表面に親和性を有する基であってもよい。いくつかの態様では、R1およびR3はまた独立して-CH2SH、-CH2CHO、-CH2NH2、または-CH2COOHなどの基であってもよい。
【0034】
典型的には、式IIIにおいて、XおよびYは水素である。しかしながら、いくつかの態様では、XおよびYはまた独立してC1~4アルキル、OH、またはC1~4アルコキシなどの基であってもよい。
【0035】
典型的には、式IIIにおいて、R2およびR4は-COOHである。いくつかの態様では、R2およびR4はまた独立して金などの固体基板の表面に親和性を有する基であってもよい。いくつかの態様では、R2およびR4はまた独立して-CH2SH、-CH2CHO、-CH2NH2、-CHO、または-CH2COOHなどの基であってもよい。
【0036】
本明細書に開示されるカリックスクラウンは、本開示に鑑みて当業者によって容易に調製することができる。例えば、カリックスクラウンは様々な塩基の存在下でカリックス[4]アレーンを適切なポリエチレングリコールジトシレートと反応させることによって容易に調製することができる。本明細書におけるカリックスクラウン(化合物6)の調製の例は実施例セクションでも詳述している。
【0037】
バイオチップ
本開示のカリックスクラウンは典型的には、それらが表面に結合してカチオン性官能基を認識することを可能にする、二官能性化合物である。本開示のカリックスクラウンはまた典型的には自己組織化して固体基板上に単層を形成することができ、これはクラウンエーテル部分を介してカチオン性官能基を有するタンパク質などの物質を捕捉することができる。
【0038】
したがって、様々な態様では、本開示は本開示のカリックスクラウンでコーティングされた固体基板、それらを調製する方法、および様々な付随する使用も提供する。いくつかの態様では、固体基板はタンパク質チップ、診断キット、またはタンパク質分離パックであってもよい。いくつかの態様では、固体基板はまたウェルオンチップ、アレイなどであってもよく、これらは、例えば、ハイスループット分析/スクリーニングにおいて用いることができる。
【0039】
いくつかの態様では、本開示は本開示のカリックスクラウン(例えば、化合物6)でコーティングされた固体基板を提供する。いくつかの態様では、固体基板は無機固体基板または有機固体基板であってもよい。いくつかの態様では、固体基板は無機固体基板であってもよい。典型的には、無機固体基板は金属またはガラス基板であってもよい。例えば、いくつかの態様では、固体基板は金、銀、白金などの金属基板であってもよい。いくつかの態様では、固体基板はまたガラス基板であってもよい。いくつかの態様では、固体基板は高分子基板であってもよい。非限定的な例はポリスチレンおよびポリカーボネート基板を含む。いくつかの態様では、固体基板は金、銀、ガラス、シリコン、ポリスチレン、およびポリカーボネートからなる群より選択することができる。本明細書に記載の態様のいずれにおいても、本開示のカリックスクラウンは固体基板上に単層を形成することができる。
【0040】
本開示のカリックスクラウンで固体基板をコーティングするための方法が本明細書に記載される。典型的には、方法は本開示のカリックスクラウンを固体基板に塗布することを含む。
【0041】
いくつかの態様では、本開示は固定化されたタンパク質を有する固体基板も提供し、該固体基板は本開示のカリックスクラウン(例えば、化合物6などの上記のもの)でコーティングされている。いくつかの態様では、固体基板は金、銀、ガラス、シリコン、ポリスチレン、およびポリカーボネートからなる群より選択される基板などの無機固体基板または有機固体基板であってもよい。いくつかの態様では、固定化されたタンパク質は、抗体、酵素、膜結合受容体および非膜結合受容体、タンパク質ドメインおよびモチーフ、ならびに、例えば、ブロモドメイン含有タンパク質4、ヘパリン結合ドメイン、ポロボックスドメインなどの修飾タンパク質を含む細胞内シグナル伝達タンパク質であってもよい。
【0042】
タンパク質を固体基板上に固定化するための方法が本明細書に記載される。例えば、いくつかの態様では、方法は、本開示のカリックスクラウン(例えば、化合物6)を無機固体基板または有機固体基板に塗布して、カリックスクラウンでコーティングされた固体基板を形成する工程;および、次いで、タンパク質を含む溶液に、カリックスクラウンでコーティングされた固体基板を浸漬する工程を含んでもよい。典型的には、本開示のカリックスクラウンは固体基板上に単層を形成する。溶液は緩衝液であってもよい。カリックスクラウンでコーティングされた固体基板をタンパク質溶液に浸漬した後、混合物をある期間インキュベートしてタンパク質をカリックスクラウンと相互作用させてもよい。典型的には、溶液は、約1nM~約500uM、好ましくは約1uM~約500uM、例えば約50uM~約250uM、またはタンパク質の溶解限界までの任意の濃度でタンパク質を含有する。好適な固体基板は本明細書に記載している。タンパク質溶液とのインキュベーション後、固体基板は典型的には洗浄され、非特異的結合を除去するためにブロックされ、乾燥される。例示的な手順は実施例セクションに詳述している。
【0043】
本明細書における固定化されたタンパク質を有する固体基板はタンパク質間相互作用の検出のために、またはバイオマーカーを検出するためにさらに用いることができる。例えば、いくつかの態様では、本開示はタンパク質間相互作用を検出する方法を提供し、該方法は、本開示のカリックスクラウンでコーティングされた固体基板上に第1タンパク質を固定化して、固定化された第1タンパク質を有する固体基板を形成する工程;固定化された第1タンパク質を有する固体基板を、第2タンパク質を含む溶液と共にインキュベートする工程;および固定化された第1タンパク質と第2タンパク質との間の相互作用を検出する工程を含んでもよい。いくつかの態様では、第2タンパク質は、バイオマーカー、例えば、抗体、酵素、膜結合受容体および非膜結合受容体、タンパク質ドメインおよびモチーフ、ならびに、例えば、ブロモドメイン含有タンパク質4、ヘパリン結合ドメイン、ポロボックスドメインなどの修飾タンパク質を含む細胞内シグナル伝達タンパク質であってもよい。いくつかの態様では、第2タンパク質を含む溶液は、ヒト患者などの患者からの体液試料に由来する。いくつかの態様では、患者はがんを有し得、第2タンパク質はがんのバイオマーカーである。いくつかの態様では、体液試料は生試料、希釈試料、または何らかの処理された試料であってもよい。いくつかの態様では、溶液は、約1aM(アトM)~約100uM、例えば、約1fM(フェムトM)~約10uM、約10fM~約10uM、約50fM~約2uM、約100fM~約1uM、約250fM~約1uMなどの範囲の第2タンパク質濃度を有してもよい。例えば、ELISAシステムにおいて用いられる比色分析酵素アッセイによってタンパク質を検出してもよい。
【0044】
典型的なELISAシステム法は以下を含む。
【0045】
・プレート調製
担体タンパク質を含まないPBS(1×)で作業濃度まで捕捉抗体を希釈する。直ちに96ウェルマイクロプレートを1ウェルあたり100μLの希釈した捕捉抗体でコーティングする。プレートを密封し、一晩室温でインキュベートする。各ウェルを吸引し、洗浄緩衝液(0.05%Tween20を含有するPBS 1×)で洗浄し、このプロセスを2回繰り返して、合計3回洗浄する。洗浄ボトル(squirt bottle)、マニホールドディスペンサー、または自動洗浄機を用いて各ウェルに洗浄緩衝液(400μL)を充填することによって洗浄する。良好な結果には各工程での液体の完全な除去が不可欠である。最後の洗浄後、吸引することによって、またはプレートを裏返し、清潔なペーパータオルで拭き取ることによって、残存する洗浄緩衝液をすべて除去する。300μLの試薬希釈液(1%BSAを含むPBS 1×)を各ウェルに加えることによってプレートをブロックする。最低1時間室温でインキュベートする。工程2のように吸引/洗浄を繰り返す。これでプレートは試料の添加準備が整う。
【0046】
・アッセイ手順
ウェル毎に試薬希釈液または適切な希釈液中の試料または標準物質を100μL加える。粘着テープで覆い、室温で2時間インキュベートする。プレート調製の工程2のように吸引/洗浄を繰り返す。試薬希釈液で希釈した検出抗体を各ウェルに100μL加える。新たな粘着テープで覆い、室温で2時間インキュベートする。プレート調製の工程2のように吸引/洗浄を繰り返す。ストレプトアビジン-HRPの作業希釈液を各ウェルに100μL加える。プレートを覆い、室温で20分間インキュベートする。プレートに光線が直射当たらないようにする。工程2のように吸引/洗浄を繰り返す。100μLの基板溶液(カラー試薬A(H2O2)とカラー試薬B(テトラメチルベンジジン)の1:1混合物(R&D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州)を各ウェルに加える。室温で20分間インキュベートする。プレートに光線が直射当たらないようにする。停止液(2N H2SO4(R&D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州)を各ウェルに50μL加える。プレートを軽くたたいて確実に混合する。450nmにセットしたマイクロプレートリーダーを用いて各ウェルの光学密度を直ちに測定する。波長補正が利用可能な場合は、540nmまたは570nmに設定する。波長補正が利用可能ではない場合は、450nmでの読み取り値から540nmまたは570nmでの読み取り値を減算する。この減算によりプレートにおける光学的な欠陥が補正されることになる。無補正の450nmでの直接的な読み取り値はより高くかつ精度が劣ることがある。
【0047】
実施例セクションに記載するように、本開示のカリックスクラウン(例えば、化合物6)でコーティングされた固体基板およびその後の固定化されたタンパク質(Aβ1-42)は、旧世代のカリックスクラウンであるプロリンカーでコーティングされた対照固体基板と比較した場合、はるかに低い濃度のVEGF165を検出することが可能であった。それぞれその全体において参照により本書に組み入れられるU.S. Patent No. 6,485,984 B1およびLee et al., Proteomics 3:2289-2304 (2003)を参照されたい。その全体において参照により本書に組み入れられるWO2009069980A2はまたキナーゼまたはホスファターゼ活性を決定するためのタンパク質チップにおけるカリックスクラウンの様々な使用を記載している。よって、本開示のカリックスクラウンを用いることで検出限界および感度を向上させることができ、これは既存の技術よりも有利である。
【0048】
固体基板上に捕捉された第2タンパク質を検出するための様々な方法を用いることができる。例えば、いくつかの態様では、検出は、第2タンパク質に対する抗体を固体基板と接触させることを含む。いくつかの態様では、検出は、色素標識された二次抗体を固体基板と接触させることをさらに含み、二次抗体は第2タンパク質に対する抗体に結合する。いくつかの態様では、検出は、固体基板に結合している色素標識された二次抗体のレベルを測定することをさらに含む。任意の好適な色素を用いることができる。典型的には、色素は蛍光色素であり、測定は蛍光シグナルを測定することを含む。例えば、いくつかの態様では、色素はCy5であってもよい。
【0049】
定義
本明細書における式について、すべての部分およびそれらの組み合わせには適切な原子価が維持されると理解されることを意味している。
【0050】
本明細書における可変部分の具体的な態様は、同じ識別子を有する別の具体的な態様と同じであるかまたは異なり得ると理解されることも意味している。
【0051】
必要に応じて式I、II、またはIIIの化合物における可変記号に好適な基が独立して選択される。本発明の記載の態様は組み合わせることができる。そのような組み合わせは企図されており、本発明の範囲内である。例えば、可変記号の1つの定義は式I、II、またはIIIにおける任意の他の可変記号の定義のいずれかと組み合わせることができる。
【0052】
本明細書において用いられるように、「本開示のカリックスクラウン」などの用語は式I、II、もしくはIIIによる本明細書に記載の化合物、または化合物6、それらの同位体標識された化合物、それらの互変異性体、それらの配座異性体、それらの塩(例えば、Na塩などの塩基付加塩)、および/またはそれらのエステル(例えば、C1~4アルキルエステル)のうちのいずれかを指す。
【0053】
本明細書において用いられるように、「アルキル」という用語は、それ自体または別の基の一部として用いられて、直鎖または分枝鎖脂肪族炭化水素を指し、典型的には炭素を1~20個有する。いくつかの態様では、アルキル基は直鎖C1~6アルキル基である。別の態様では、アルキル基は分岐鎖C3~6アルキル基である。別の態様では、アルキル基は直鎖C1~4アルキル基である。当業者によって理解されるように、アルキル基は飽和している。本明細書において用いられるC1~4アルキル基はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、またはイソブチルを指す。また当業者に理解されるように、「アルキレン」基は対応するアルキル基に由来する二価のラジカルを指す。例えば、本明細書において用いられるC1~4アルキレン基はメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、またはイソブチレンを指す。
【0054】
本明細書において用いられるように、「アルコキシ」という用語は、それ自体または別の基の一部として用いられて、式ORa1のラジカルを指し、Ra1はアルキルである。
【0055】
本明細書において用いられる「患者」という用語は治療、観察または実験の対象となった哺乳類、非ヒト、またはヒトなどの動物を指す。
【実施例
【0056】
実施例1.カリックスクラウン6の調製
1)化合物1(テトラエチレングリコールジトシレート)の合成
テトラエチレングリコール(4mL、23mmol)を無水クロロホルム(30mL)に溶解した。溶液を塩化ナトリウム氷浴中で-20℃まで冷却した。溶液の温度を0℃未満に保ちながら、塩化トシル(13g、69mmol)および無水ピリジン(24mL)を順次加えた。-20℃で5時間の反応後、クロロホルムおよびピリジンを減圧下で除去し、氷水(250mL)を加え、溶液をCH2Cl2で3回抽出した(各200mL)。合わせた有機相をHCl(2N、250mL)および水(200mL)で順次2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル/ヘキサン(酢酸エチル:ヘキサンが2:8~5:5の比率)を用いたシリカクロマトグラフィーに供し、無色(coolness)の油として生成物を収率725(9.45g)で得た。Rf=0.31(シリカ、1:1、酢酸エチル/ヘキサン)。
【0057】
2)化合物2の合成
2-1)p-tert-ブチルフェノール(化合物1)(150g、1mol)およびNaOH(1.8g、45mmol)を37%ホルムアルデヒド(100.7g、1.24mol)に溶解した。反応混合物を120℃で12時間還流させた。溶液を室温まで冷却した後、H2Oを真空中で除去し、次いでジフェニルエーテル(450mL)およびトルエン(150mL)を加えた。反応混合物を250℃で再び還流させた。反応混合物の色が暗褐色に変化した。次いで、粗生成物を酢酸エチル(300mL)から再結晶化させ、酢酸(100mL)で洗浄した。白色の結晶性固体2を56.79%の収率で得た。
【0058】
3)化合物3の合成
2-2)p-tert-ブチルカリックス[4]アレーン(化合物2)(10.00g、13.5mmol)、トルエン(100mL)およびフェノール(1.75g、18.60mmol)をフラスコに加え、溶液をアルゴン下で10分間撹拌した。激しく機械的に撹拌しながら、三塩化アルミニウム(10.00g、75.0mmol)を加えた。混合物を5時間室温で撹拌した。砕いた氷(200g)を含む500mLのビーカーに混合物を注ぎ、CH2Cl2(400mL)で抽出した。有機層を1N HCl(3×100mL)および水(2×100mL)で洗浄し、NaSO4で乾燥させた。溶媒を真空中で蒸発させた。ジエチルエーテル(50mL)を油性でオレンジ色の残渣に加え、不均一混合物を-15℃で1時間保持した。沈殿した固体をろ過し、ジエチルエーテル(100mL)でトリチュレーションした。混合物を-15℃で1時間保持し、ろ過して、5.54g(90%)の薄黄色の粉末を得た。
【0059】
3)化合物4の合成
2000mLの3つ口フラスコ中のNaH(5.00eq、2.16g、90.0mmol)およびDMF(1300mL)の混合物に窒素下でDMF(100mL)中の25,26,27,28-テトラヒドロキシカリックス[4]アレーン(化合物3)(1.00eq、7.64g、18.0mmol)の溶液を1時間かけて加えた。混合物をさらに1時間撹拌した。DMF(100mL)中のテトラエチレングリコールジトシレート(2.20eq、13.88g、39.6mmol)を1時間かけて加えた。混合物を50℃で72時間撹拌した。H2O(50mL)の添加により反応を停止させ、溶液をCH2Cl2(50mL)で3回抽出した。合わせた有機相をHCl(3N、50mL)および水(200mL)で順次2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル/ヘキサン(酢酸エチル:ヘキサンが1:4~1:2の比率)を用いたシリカクロマトグラフィーに供し、薄黄色の粉末として生成物を収率45%(2.34g)で得た。Rf=0.55(シリカ、1:1、酢酸エチル/ヘキサン)。
【0060】
4)化合物5の合成
丸底フラスコにおいて、化合物4(1g、1.77mmol)をドライアセトニトリルに取り込んだ。炭酸カリウム(1.17g、8.41mmol)およびブロモ酢酸Tert-ブチル(0.90g、4.61mmol)を加え、混合物を24時間還流させた。完了後、溶媒を蒸発させ、水を加え(100ml)、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮した。水(250mL)を加え、溶液をCH2Cl2で3回抽出した(各200mL)。残渣を酢酸エチル/ヘキサン(酢酸エチル:ヘキサンが1:3の比率)を用いたシリカクロマトグラフィーに供し、薄黄色の粉末として生成物を収率90%(1.1g)で得た。Rf=0.6(シリカ、1:2、酢酸エチル/ヘキサン)。
【0061】
5)化合物6の合成(IPSリンカーA)
NaOH(15%)の水溶液(252mL)を化合物5(1.16g、1.68mmol)のエタノール溶液(70mL)に加えた。24時間後に反応混合物を還流下で加熱した。これを室温まで冷却させ、溶媒を回転蒸発によって除去した。次いで、50mLの冷水を固形物に加え、溶液のpHが7に達するまで激しく撹拌しながらHCl(5N)を滴下した。溶液をCH2Cl2(50mL)で3回抽出した。合わせた有機相を水(50mL)で順次2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をメタノール/塩化メチレン(メタノール:塩化メチレンが1:9~1:1の比率)を用いたシリカクロマトグラフィーに供し、薄黄色の粉末として生成物を収率60%(0.7g)で得た。Rf=0.3(シリカ、3:1、メタノール:塩化メチレン)。
【0062】
実施例2.カリックスクラウン6でコーティングされたタンパク質チップの調製
スライドガラスを60mLの洗浄液(メタノール:35%塩化水素=1:1)に入れ、30分間洗浄した。スライドをピラニア溶液(硫酸:過酸化水素=3:1)に浸し、蒸留水で30分間洗浄した。窒素ガスで乾燥させたスライドガラスを60mlのアミノ化溶液(エタノール中の3%(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン)に暗条件下で2時間浸した。これをエタノールに続いて蒸留水で3回繰り返しすすぎ、最後にエタノールで洗浄した。スライドを窒素ガスで乾燥させ、100℃で2時間反応させた。これを60mlのA溶液(DMF中の10mgのIPS-リンカー(カリックスクラウン6)、5mgのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC-HCl)、3mgの1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)、1mgの4-N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP))に浸し、室温で12時間インキュベートした。スライドを70mlのDMFで10分間3回洗浄し、さらに2回繰り返した。スライドを窒素ガスで乾燥させ、使用するまで真空下にて室温で保管した。
【0063】
IPS-リンカー(化合物6)の構造は以下のとおりである:
【0064】
プロリンカーでコーティングされたプロテオチップの調製
スライドガラスを洗浄液(メタノール:HCl=1:1)に30分間、ピラニア溶液に10分間浸漬させる(室温)。滅菌蒸留水で十分に洗浄し、乾燥させた。スライドガラスをアミノ化溶液に室温で6時間浸漬させた。トルエンで洗浄後、無水エタノールで洗浄した。100℃で1時間インキュベートした。アミノ化したスライドガラスをクロロホルム溶液中の10mMのプロリンカーに室温で3時間浸漬した。クロロホルムで洗浄後、無水エタノールで洗浄した。滅菌蒸留水で洗浄後、完全に乾燥させた。
【0065】
希釈緩衝液(PBS中30%グリセロール、pH7.4)中のAβ1-42をプロテオチップ(Proteogen、韓国、プロリンカーでコーティングされたチップ)またはIPS-CHIP(Innopharmascreen、韓国、IPS-リンカーでコーティングされたチップ)にスポッティングし、チップを湿度室にて4℃で一晩インキュベートした。プロテオチップ用のプロリンカーの構造は以下のとおりである:
【0066】
チップをPBST(PBS中の0.5%Tween-20)で2回10分間すすぎ、非特異的結合をブロックするために0.05%Tween-20溶液を含む3%BSAと共に室温でインキュベートした。広範にすすいだ後、Aβ1-42マイクロアレイを用いてAβ1-42とのタンパク質相互作用を検出することができる。
【0067】
実施例3.プロテインチップを用いたVEGF-Aβ結合についてのタンパク質間相互作用アッセイ
実施例2で調製したAβ1-42マイクロアレイをVEGF165(Vexxon、韓国)の混合物でスポッティングした。PBSTおよびDWですすいだ後、Aβ1-42に結合したVEGF165の認識のためにPBS中の3%BSAおよび30%グリセロールで1:10まで希釈したウサギ抗VEGF(A20)(Santacruz、ドイツ)をスポッティングした。PBSTおよびDWですすいだ後、3%BSAおよび30%グリセロールを含むPBSで1:100まで希釈したCy5(Invitrogen、米国)で標識した抗ウサギ二次抗体を30℃で1時間チップに塗布した。PBSTおよびDWですすいだ後、チップをN2気流下で乾燥させた。タンパク質間相互作用は、対照スポット(VEGFのみ)に対する混合物スポットの相対的な蛍光強度を測定することによって決定した。
【0068】
検出およびデータ分析:チップをGenetix aQuire(商標)スキャナー(Genetix、英国)を用いて読み込み、TIFFファイルとして保存した。読み込んだ画像はGenePix Pro 6.0(Axon Instruments、カリフォルニア州、米国)を用いて分析し、データはExcel(Microsoft、レドモンド、ワシントン州)およびOrigin 6.1(Originlab、マサチューセッツ州、米国)を用いて分析した。
【0069】
結果:Aβ1-42-VEGF165相互作用の分析のためにAβマイクロアレイを構築した。Aβマイクロアレイを構築するために、可溶性のAβ1-42(50mg/ml)を各タンパク質チップベースプレート上に捕捉分子として固定化した。チップ上のAβ1-42マイクロアレイは0.25~250.0μg/mLの範囲の異なる濃度のVEGF165と相互作用させた(図1Aおよび1B)。Aβ1-42はいずれのチップシステムにおいても用量依存的にVEGF165と良好に相互作用することが示された。図に示すように、IPS-リンカーでコーティングされたIPS-CHIPは、プロリンカーでコーティングされたプロテオチップ(約3.9mg/ml)と比較して、低レベル(0.25mg/ml)のVEGFタンパク質を検出することが可能であった。まとめると、この知見は、タンパク質の検出に関してはIPS-リンカーでコーティングされたチップはプロリンカーでコーティングされたチップよりも感度が高いことを実証した。
【0070】
実施例4.IPS-リンカーでコーティングされたチップを用いることによるヒトIL-17の検出
IL-17捕捉抗体(R&D systems、米国)をIPS-リンカーでコーティングされたチップ上に4℃で一晩固定化した。チップを洗浄液中で10分間ずつ2回すすぎ、次いでブロッキング液で1時間ブロックした。ブロックしたIL-17抗体チップを洗浄液およびDW(蒸留水)中ですすぎ、次いでN2気流下で乾燥させた。広範にすすいだ後、反応液中の組換えIL-17タンパク質(R&D systems、米国)を37℃の湿度室内で2時間IL-17抗体チップにスポッティングした。チップを洗浄液およびDW中ですすぎ、次いでN2気流下で乾燥させた。広範にすすいだ後、反応液中のIL-17検出抗体(R&D systems、米国)をチップにスポッティングし、37℃の湿度室内で1時間インキュベートした。次いでチップを洗浄液およびDW中ですすぎ、次にN2気流下で乾燥させた。広範にすすいだ後、反応液中のCy5標識ストレプトアビジン(GE Healthcare、米国)をチップにスポッティングし37℃の湿度室内で1時間インキュベートした。PBST(PBS-Tween20)およびDWですすいだ後、チップをN2気流下で乾燥させ、蛍光スキャナーを用いて蛍光強度を測定した。
【0071】
検出およびデータ分析:チップをGenePix 4000Bスキャナー(Molecular Devices、米国)を用いて読み込み、TIFFファイルとして保存した。読み込んだ画像はGenePix Pro 6.0(Molecular Devices、米国)を用いて分析し、データはExcel(Microsoft、ワシントン州)およびOrigin 6.1(Originlab、米国)を用いて分析した。
【0072】
結果:ヒトIL-17の定量分析のためにAβマイクロアレイを構築した。IL-17検出チップを構築するために、捕捉IL-17抗体(0.1mg/ml)を各IPS-CHIPプレート上に固定化した。IL-17検出チップを0.06~60000pg/mlの範囲の様々な濃度のIL-17タンパク質と相互作用させ、次いで検出IL-17抗体およびCy5標識ストレプトアビジンによって検出した(図2)。IPS-リンカーでコーティングされたIPS-CHIPは、96ウェルプレートに基づくELISA(15.6pg/ml)と比較して、低レベル(0.06pg/ml)のヒトIL-17タンパク質を検出することが可能であった。まとめると、この知見は、タンパク質の検出に関してはIPS-リンカーでコーティングされたチップは96ウェルプレートに基づくELISAよりも感度が高いことを実証した。
【0073】
実施例5.IPS-リンカーでコーティングされたチップを用いることによるIL-23およびその受容体のためのタンパク質間相互作用アッセイ
100μg/mlの組換えヒトIL-23受容体Fcキメラタンパク質(R&D systems、米国)を固定化緩衝液でIPS-CHIP上に固定化した。PBSTおよびDWですすいだ後、各ウェルをPBS中の3%BSAでブロックした。ブロックしたIPS-CHIPをPBSTおよびDWですすぎ、次いでN2気流下で乾燥させた。チップを完全に乾燥させた後、1%BSAおよび30%グリセロールを含むPBSで様々な濃度に希釈したCy5標識IL-23リガンドをチップにスポッティングし、37℃の湿度室内で1時間インキュベートした。PBSTおよびDWですすぎ、N2気流下で乾燥させた後、蛍光強度を測定してタンパク質間相互作用を確認した。
【0074】
検出およびデータ分析:チップをGenePix 4000Bスキャナー(Molecular Devices、米国)を用いて読み込み、TIFFファイルとして保存した。読み込んだ画像はGenePix Pro 6.0(Molecular Devices、米国)を用いて分析し、データはExcel(Microsoft、ワシントン州)およびOrigin 6.1(Originlab、米国)を用いて分析した。
【0075】
結果:前述のように、1μlのタンパク質をウェルにスポッティングする。各ウェルに100ngの組換えヒトIL-23受容体Fcキメラを固定化し、それぞれ様々な濃度(12.8pg~20ng)のIL-23リガンドと共にインキュベートした(図3)。図に示すように、IL-23受容体は用量依存的にIL-23リガンドと結合し、検出にはわずか1.6ngのIL-23リガンドで十分であった。まとめると、IPS-リンカーでコーティングされたIPS-CHIPはタンパク質間相互作用を検出するための高感度かつ費用効果の高い手段である。
【0076】
実施例6.IPS-リンカーでコーティングされたチップを用いることによるPD-1およびPD-L1についてのタンパク質間相互作用アッセイ
組換えヒトPD-1 Fcキメラタンパク質(ACRO Biosystems、米国)を、30%グリセロールを含むPBS溶液で1.6μg/mL~400μg/mLの作業濃度まで希釈した。PD-1タンパク質をIPS-リンカーでコーティングされたチップ上に4℃で24時間固定化した。次いで、50mLのPBST溶液(0.1%Tween20を含む10mM PBS、pH7.8)で2回洗浄し、気流面下で乾燥させた。室温で1時間PBS溶液中の0.005%Tween20および3%BSAでチップをブロックした。これを前の手順と同じ様式で洗浄した。ビオチン化組換えヒトPD-L1タンパク質(R&D Systems、米国)を、30%グリセロールを含むPBS溶液で0.4μg/mL~100μg/mLの作業濃度まで希釈した。これをIPS-CHIP上のPD-1タンパク質の各スポットに加え、37℃で1時間インキュベートした。次いで、これを前の手順と同じ様式で洗浄した。10μg/mLのCy5結合ストレプトアビジン(GE Healthcare、米国)を各スポットに加え、37℃で1時間インキュベートした。これを前の手順と同じ様式で洗浄した。
【0077】
検出およびデータ分析:チップをGenePix 4000Bスキャナー(Molecular Devices、米国)を用いて読み込み、TIFFファイルとして保存した。読み込んだ画像はGenePix Pro 6.0(Molecular Devices、米国)を用いて分析し、データはExcel(Microsoft、ワシントン州)およびOrigin 6.1(Originlab、米国)を用いて分析した。
【0078】
結果:1.6μg/mL~400μg/mLの範囲の異なる濃度のPD-1タンパク質を0.4μg/mL~100μg/mLの範囲の異なる濃度のPD-L1タンパク質と相互作用させた(図4)。PD-1およびPD-L1タンパク質が用量依存的に相互作用することが示された。図に示すように、検出限界の感度は、IPS-リンカーでコーティングされたチップを用いると、1.6μg/mLのPD-1および10μg/mLのPD-L1であった。
【0079】
実施例7.IPS-リンカーでコーティングされたチップを用いることによるSTINGおよびc-di-GMP結合についてのタンパク質-ヌクレオチド相互作用アッセイ
STINGタンパク質とその公知のリガンドであるc-di-GMPとの間の濃度依存的結合分析のために、30%グリセロールで希釈して100μg/mlの濃度にしたHis×6抗体(Thermo Fisher Scientific、米国)をIPS-CHIP上に4℃で3時間固定化した。チップをPBST(0.1%Tween20を含む10mM PBS、pH7.8)で洗浄し、窒素ガスで乾燥させた。次いで、30%グリセロール中のHisタグをつけたSTING(Active motif、米国)の組換えタンパク質を0μM、5μM、10μMの一連の濃度でチップの各ウェルに分注し、反応を4℃で一晩進行させた。次いで、チップをPBSTで洗浄し、窒素ガスを用いて乾燥させた。5%BSAを用いて室温で1時間ブロックした後、チップをPBSTで洗浄し、窒素ガスを用いて乾燥させた。STINGタンパク質の、そのリガンドであるCDNリガンドとして公知の2'[DY-547]-AHC-c-di GMP(BioLog、ドイツ)に対する結合能力を試験するために、30%グリセロール中の2'[DY-547]-AHC-c-di GMPを0μM、3.9μM、15.62μM、62.25μM、250μMの一連の濃度でチップ上の各ウェルに分注し、37℃で1時間インキュベートした。チップをPBSTで洗浄し、窒素ガスを用いて乾燥させた。
【0080】
検出およびデータ分析:チップをGenePix 4000Bスキャナー(Molecular Devices、米国)を用いて読み込み、TIFFファイルとして保存した。読み込んだ画像はGenePix Pro 6.0(Molecular Devices、米国)を用いて分析し、データはExcel(Microsoft、ワシントン州)およびOrigin 6.1(Originlab、米国)を用いて分析した。
【0081】
結果:5μM~10μMの範囲のSTINGタンパク質がチップ上の3.9μM~250μMの範囲のc-di-GMPと相互作用することが示された(図5)。また、STINGとc-di-GMPとの間の相互作用は用量依存的であった。まとめると、図に示すように、IPS-リンカーでコーティングされたチップはタンパク質(STING)とヌクレオチド(c-di-GMP)との間の相互作用を、わずか5μMのSTINGタンパク質および3.9μMのc-di-GMPであっても、検出するために適用可能であった。
【0082】
概要セクションおよび要約書ではなく詳細な説明セクションが特許請求の範囲の解釈に用いられることを意図していると理解されたい。概要セクションおよび要約書は、発明者によって企図される本発明の全てではないが1つまたは複数の例示的な態様を記載している場合があるが、本発明および添付の特許請求の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
【0083】
特定した機能の導入およびそれらの関連性を説明する機能的構成要素を用いて本発明を上に説明した。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書においては恣意的に規定されている。特定された機能およびそれらの関連性が適切に実行される限り、代替的な境界を規定することができる。
【0084】
特定の態様の前述の説明は当分野の技術範囲内の知識を適用することによって、過度の実験なく、本発明の基本的な概念から逸脱せずに様々な用途のためにそのような特定の態様を他の者が容易に変更しかつ/または適合し得るように発明の基本的な性質を十分に明らかにしているであろう。したがって、そのような適合および変更は、本明細書において示される教示および指針に基づき、開示された態様の均等物の意味および範囲内であることを意図している。本明細書における表現または用語は、本明細書の用語または表現が教示および指針に照らして当業者によって解釈されるように、限定ではなく説明の目的のためであることを理解されたい。
【0085】
1つの類として記載された本発明の局面に関しては、すべての個別の種がそれぞれ発明の別個の局面であると見なされる。本発明の局面がある特徴を「含む」と記載されている場合、この特徴「からなる」またはそれ「から本質的になる」態様も企図されている。
【0086】
本発明の幅および範囲は上記の例示的な態様のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ規定されるべきである。
【0087】
本明細書に記載の様々な局面、態様、および選択肢はいずれも任意およびあらゆるバリエーションで組み合わせることができる。
【0088】
本明細書で言及したすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み入れられることが具体的かつ個別に示されたのと同程度に参照により本明細書に組み入れられる。本書における用語の何らかの意味または定義が参照により組み入れられた文書の同一の用語の何らかの意味または定義と矛盾する場合、本書においてその用語に割り当てられた意味または定義が優先される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】