IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スネクマの特許一覧

特表2022-525200ターボ機械の排気ガスの温度を制御する方法
<>
  • 特表-ターボ機械の排気ガスの温度を制御する方法 図1
  • 特表-ターボ機械の排気ガスの温度を制御する方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】ターボ機械の排気ガスの温度を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/275 20060101AFI20220428BHJP
   F02C 9/00 20060101ALI20220428BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20220428BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20220428BHJP
   F02C 7/26 20060101ALI20220428BHJP
   F02C 9/28 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
F02C7/275
F02C9/00 B
F02C7/00 A
F01D25/00 V
F02C7/26 B
F02C9/28 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555460
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(85)【翻訳文提出日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 FR2020050444
(87)【国際公開番号】W WO2020188177
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】1902699
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】315008740
【氏名又は名称】サフラン エアークラフト エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ロマン ギヨーム キュビリエ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール カブレラ
(57)【要約】
本発明は、ターボ機械1の排気ガスの温度を制御するための方法に関し、該方法は、ターボ機械1が目標推力を発生させるようにターボ機械1の燃焼室5への燃料の噴射を制御するステップと、タービン6、7によって回転駆動させられるシャフト8、9上への電気モータ10による機械的動力の注入を制御するステップであって、電気モータ10が、ケーシング62とタービン6、7のブレード61の間のクリアランスが閾値を超えると作動させられる、ステップとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械(1)の排気ガスの温度を制御するための方法において、
前記方法は、
前記ターボ機械(1)が目標推力を発生させるように前記ターボ機械(1)の燃焼室(5)への燃料の噴射を制御するステップと、
電気モータ(10)による機械的動力を、タービン(6、7)によって回転駆動させられるシャフト(8、9)上への注入を制御するステップであって、前記電気モータ(10)は、ケーシング(62)と前記タービン(6、7)のブレード(61)の間のクリアランスが閾値を超える時に作動させられる、ターボ機械(1)の排気ガスの温度を制御するための方法。
【請求項2】
前記電気モータ(10)による機械的動力の注入の制御は、前記ターボ機械(1)の排気ガスの温度を決定し、前記ターボ機械(1)の排気ガスの温度が予め定められた閾値に達したときに、前記電気モータ(10)が、前記タービン(6,7)によって回転駆動させられる前記シャフト(8,9)に機械的動力を注入することによって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターボ機械(1)の排気ガスの温度は、前記燃焼室(5)への燃料の噴射に基づいて決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ターボ機械(1)の排気ガスの温度は、センサによる測定によって決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電気モータ(10)による機械的動力の注入の制御は、前記タービン(6、7)の前記ケーシング(62)と前記ブレード(61)の間のクリアランスを決定し、前記電気モータ(10)が、前記タービン(6、7)の前記ケーシング(62)と前記ブレード(61)の間のクリアランスが前記閾値に達したときに、前記タービン(6、7)によって回転駆動させられる前記シャフト(8、9)に機械的動力を注入することによって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記タービン(6、7)の前記ケーシング(62)と前記ブレード(61)との間の前記クリアランスは、センサによる測定によって決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記タービン(6、7)の前記ケーシング(62)と前記ブレード(61)との間の前記クリアランスは、前記タービン(6、7)内の空気の温度と、前記タービン(6、7)の前記ケーシング(62)の温度とに基づいて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記タービン(6、7)の前記ケーシング(62)と前記ブレード(61)との間の前記クリアランスは、前記タービン(6、7)のケーシング(62)の温度と、前記タービン(6、7)のディスクの温度とに基づいて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記電気モータ(10)による機械的動力の注入の制御は、前記ターボ機械(1)によって発生させられた推力を測定し、前記電気モータ(10)が、前記ターボ機械(1)によって発生させられた推力が閾値に達したときに、前記タービン(6,7)によって回転駆動させられる前記シャフト(8,9)に機械的動力を注入することによって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
航空機用のターボ機械(1)において、前記ターボ機械(1)は、
シャフト(8、9)に接続された燃焼室(5)の下流側に位置するタービン(6、7)であって、ケーシング(62)と複数のブレード(61)とを備えるタービン(6、7)と、
燃焼室(5)に燃料を噴射するように構成された燃料噴射装置(12)と、
前記ターボ機械(1)によって発生される推力を計算するように構成された推力計算装置(13)と、
前記シャフト(8、9)に接続された電気モータ(10)と、
前記推力計算装置(13)、前記燃料噴射装置(12)及び前記電気モータ(10)に接続された制御システム(14)であって、に、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成されている、制御システム(14)とを備える、航空機用のターボ機械(1)。
【請求項11】
前記ターボ機械はダブルスプール及びダブルフロー型であり、前記タービン(6)は高圧タービンであり、前記シャフト(8)は高圧シャフトである、請求項10に記載のターボ機械(1)。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のターボ機械(1)を備える航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用ターボ機械の一般分野に適用される。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば、現代のターボ機械の最初のサイクルの間、冷たいターボ機械を備える航空機の離陸中に、現代のターボ機械は、排気ガスの温度のピークに遭遇しうる。
【0003】
実際、ターボ機械が離陸推力を達成すると、ガスの排気温度が温度ピークに達することがあり、これがターボ機械の劣化に寄与する。さらに、この現象を考慮するために、最大超過禁止温度と、ターボ機械が作動するように設計された寸法決め温度との間に差が設けられており、この差がターボ機械の効率に悪影響を及ぼす。
【0004】
さらに、この排気ガス温度ピークは各サイクルで発生するが、ターボ機械が冷えているときはさらに顕著になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、前述の課題に対応する解決策を提供することを主に目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、ターボ機械の排気ガスの温度を制御するための方法に関し、該方法は、ターボ機械が目標推力を発生させるようにターボ機械の燃焼室への燃料の噴射を制御するステップと、タービンによって回転駆動させられるシャフトへの電気モータによる機械的動力の注入を制御するステップであって、ケーシングとタービンのブレードの間のクリアランスが閾値を超えるときに電気モータが作動される、制御するステップとを備える。
【0007】
実際、本願の出願人は、ターボ機械の過熱は、特に高圧タービンなどのタービンのブレードの先端におけるクリアランスの一時的な開放の現象に起因することを見出した。このクリアランスの開放は、タービンのケーシングとブレードの間の熱膨張の差によって生じる。実際、タービンのケーシングは、タービンのディスクの熱慣性よりも一般に小さい熱慣性を有する。このケーシングとタービンのブレード先端の間のクリアランスの増加は、タービンの効率に負の影響を与え、ひいては、燃料消費量の増加をもたらし、所与の推力で、燃料消費量の増加によりターボ機械の排気ガスの温度の増大を引き起こす。
【0008】
有利には、本発明は、航空機の離陸段階用の航空機のターボ機械の排気ガスの温度を制御する方法に関する。
【0009】
1つの可能な特徴によれば、電気モータによる機械的動力の注入の制御は、ターボ機械の排気ガスの温度を決定し、電気モータが、ターボ機械の排気ガスの温度が予め定められた閾値に達したときにタービンによって回転駆動させられるシャフトに機械的動力を注入することによって達成される。
【0010】
1つの可能な特徴によれば、タービンによって回転駆動させられるシャフトへの機械的動力の注入は、予め定められた閾値に対するターボ機械の排気ガス温度の超過量に応じて可変である。
【0011】
一つの可能な特徴によれば、ターボ機械の排気ガスの温度は、燃焼室への燃料の噴射に基づいて決定される。
【0012】
一つの可能な特徴によれば、ターボ機械の排気ガスの温度は、センサによる測定によって決定される。
【0013】
1つの可能な特徴によれば、電気モータによる機械的動力の注入の制御は、タービンのケーシングとブレードの間のクリアランスを決定し、電気モータが、タービンのケーシングとブレードの間のクリアランスが閾値に達したときに、タービンによって回転駆動させられるシャフトに機械的動力を注入することによって達成される。
【0014】
1つの可能な特徴によれば、タービンによって回転駆動させられるシャフトへの機械的動力の注入は、閾値に対するタービンのケーシングとブレードの間のクリアランスの超過量に応じて可変である。したがって、機械的動力の注入は、ケーシングとタービンのブレードの間のクリアランスが閾値を超えるときに、より大きくすることができる。
【0015】
1つの可能な特徴によれば、ケーシングとタービンのブレードの間のクリアランスは、センサによる測定によって決定される。
【0016】
一つの可能な特徴によれば、タービンのケーシングとブレードの間のクリアランスは、制御システムによって測定されたエンジンパラメータに基づいて構築されたモデルに基づいて決定される。したがって、1つの可能な特徴によれば、タービンのケーシングとブレードの間のクリアランスは、タービン内の空気の温度(流れの温度)と、タービンのケーシングの温度とに基づいて決定される。
【0017】
1つの可能な特徴によれば、タービンのケーシングとブレードの間のクリアランスは、タービンのケーシングの温度と、タービンのディスクの温度に基づいて決定される。
【0018】
1つの可能な特徴によれば、電気モータによる機械的動力の注入の制御は、ターボ機械によって発生させられた推力を測定し、電気モータが、ターボ機械によって発生させられた推力が閾値に達したときに、タービンによって回転駆動させられるシャフトに機械的動力を注入することによって達成される。
【0019】
1つの可能な特徴によれば、電気モータは、100秒~400秒の間で構成される持続時間にわたって作動させられる。
【0020】
第2の態様によれば、本発明は、航空機用ターボ機械であって、
シャフトに接続された燃焼室の下流側に位置するタービンであって、ケーシングと複数のブレードとを備えるタービンと、
燃料を燃焼室に噴射するように構成された燃料噴射装置と、
ターボ機械によって発生させられた推力を計算するように構成された推力計算装置と、
シャフトに接続されている電気モータと、
推力計算装置、前記燃料噴射装置及び前記電気モータに接続された制御システムであって、前述の特徴のいずれか1つに係る方法を実施するように構成されている、制御システムとを備える、航空機用ターボ機械に関する。
【0021】
一つの可能な特徴によれば、ターボ機械はダブルスプール及びダブルフロー型であり、タービンは高圧タービンであり、シャフトは高圧シャフトである。
【0022】
第3の態様によれば、本発明は、前述の特徴のいずれか1つに係るターボ機械を備える航空機に関する。
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、何らかの限定的な特徴を欠いた例示的な実施形態を示す添付図面を参照しつつ、以下の説明によって明らかにされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、航空機用ターボ機械を模式的に示す。
図2図2は、従来技術のターボ機械と本発明のターボ機械の排気ガスの温度の展開の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、ダブルスプール及びダブルフロー型の航空機用ターボ機械1であって、空気の流れ方向の上流から下流側に、ファン2と、低圧(BP)圧縮機3と、高圧(HP)圧縮機4と、燃焼室5と、高圧(HP)タービン6と、低圧(BP)タービン7とを備える、ダブルスプール及びダブルフロー型の航空機用ターボ機械1を模式的に示す。しかしながら、本発明は、異なる構造を有するターボ機械に適用することができる。
【0026】
高圧タービン6は、高圧シャフト8によって高圧圧縮機4に接続され、低圧タービン7は、低圧シャフト9によって低圧圧縮機3とファン2に接続されている。
【0027】
高圧タービン6は、ケーシング62に包囲された複数のブレード61を備える。ブレード61は、ケーシング62に面して位置する先端を備え、ブレード61の先端は、クリアランスだけ前記ケーシング62から離間されている。
【0028】
ターボ機械1は、また、高圧シャフト8に接続された電気モータ10を備え、電気モータ10は、前記高圧シャフト8を回転駆動することができる。電気モータ10は、例えば、ターボ機械1の付属ギアボックス又はAGB内に配置することができる。電気モータ10には、例えば、バッテリ11によって電力を供給することができる。
【0029】
ターボ機械1は、燃料を燃焼室5に噴射することができる燃料噴射装置12を備える。燃料噴射装置12は、特に、燃料リザーバに接続されたポンプを備えうる。
【0030】
ターボ機械1は、また、その運転中にターボ機械1によって発生させられた推力を計算するように構成された推力計算装置13を備える。ターボ機械1によって発生させられた推力は、例えば、ファン2の回転速度と、ターボ機械1の上流の全圧力と、ターボ機械1の上流の全温度と、外気と標準大気の温度差(「国際標準大気」のISA)とに基づいて計算することができる。また、ターボ機械1によって発生させられた推力は、ファン2内の空気の圧力と、低圧タービン7内の空気の圧力とに基づいて計算することもできる。従って、推力計算装置13は、航空機によって発生させられた推力の計算を可能にする物理量を測定するために、ターボ機械1上又は航空機上に分布させられる複数のセンサを備えうる。
【0031】
ターボ機械1は、電気モータ10と燃料噴射装置12と推力計算装置13に接続された、制御システム14を備える。また、推力計算装置13をバッテリ11に接続することもできる。したがって、制御システム14は、電気モータ10及び燃料噴射装置12の制御を行い、推力計算装置13によって計算された推力を取得する。1つの可能な変形例によれば、電気モータの動作に必要な電力は、航空機内にありかつターボ機械1の外部に配置された電源によって供給される。この航空機内の電源は、例えば、補助電力ユニット(又はAPU)を備えうる。
【0032】
制御システム14は、ターボ機械1の排気ガスの温度を制御する方法を実施するように構成される。この目的のために、制御システム14は、制御方法が記録されている記憶装置と、この記憶装置に記録されている制御方法を実行するプロセッサとを備えうる。
【0033】
ターボ機械1の排気ガスの温度を制御するための方法は、
ターボ機械1が目標推力を発生させるように燃料の燃焼室5への噴射を制御するステップと、
電気モータ10による機械的動力の高圧シャフト8への注入を制御し、ブレード61の先端とケーシング62の間のクリアランスが閾値を超えると電気モータ10が作動させられる、ステップとを備える。
このクリアランスの閾値は、例えば、0.6mmとしうる。
【0034】
この方法のこれらのステップは同時に行われる。
【0035】
本願の出願人は、実際、ブレード61とケーシング62の間のクリアランスが大きすぎること、従って、高圧タービン6の効率が低下することから、効率の損失を補うために燃焼室5に追加の燃料を噴射するよりも、電気モータ10を介して機械的な動力を注入する方が好ましいことを認識するようになった。
【0036】
この制御のための方法は、航空機の離陸段階、より詳細には、現代のターボ機械の最初の始動時に特に有利である。このように、目標推力の値は、離陸推力と等しくすることができる。
【0037】
電気モータ10による機械的動力の注入は、100秒~400秒の間、又は、100秒~4300秒の間、又は、200秒~300秒の間で構成される持続時間にわたって達成することができる。本出願人は、実際、ケーシング62とブレード61の間のクリアランスが、一般に、400秒に達することができる持続時間にわたって開放する傾向があり、このクリアランスの開放は、開始時にピークに達し、その後、徐々に減少することを見出した。
【0038】
このタイプの方法は、3つの可能な変形例に従って実施することができる。
【0039】
第1の可能な変形例によれば、ターボ機械1の排気ガスの温度(EGT又は「排気ガス温度」)を使用することによって、ブレード61とケーシング62の間のクリアランスが閾値よりも大きいという事実が見出される。本出願人は、実際に、ターボ機械1の排気ガスの温度と、ブレード61とケーシング62の間のクリアランスとの間の関係を観察し、ターボ機械1の排気ガスの温度が高すぎるのは、ブレード61とケーシング62の間のクリアランスの増大によって生じる燃料の過剰消費によるものである。
【0040】
従って、第1の変形例によれば、電気モータ10による機械的動力の注入の制御は、制御システム14がターボ機械1の排気ガスの温度を決定し、ターボ機械1の排気ガスの温度が予め定められた閾値に達したときに、電気モータ10による機械的動力の高圧シャフト8への注入を制御することによって制御システム14によって達成される。制御システム14による電気モータ10の制御は、閉ループを使用して達成される。
【0041】
ターボ機械1の排気ガスの温度は、制御システムに入力される、噴射された燃料の関数として排気ガス温度を与える物理モデルを用いることによって、燃料の燃焼室への噴射に基づいて決定することができる。
【0042】
ターボ機械1の排気ガスの温度は、ターボ機械1の排気ケーシング内に配置された、制御システム14に接続されている温度センサを用いて、排気ガスの温度を測定することによっても決定することができる。温度センサは、別の代替案に従って、低圧ガイドノズル内に又は低圧ガイドノズルのレベルに配置することができる。低圧ガイドノズルは、低圧タービン7の固定ブレードによって形成される。
【0043】
第2の可能な変形例によれば、制御システム14によって実行される、電気モータ10による機械的動力の注入の制御は、高圧タービン6のケーシング62とブレード61の間のクリアランスを決定し、ケーシングとタービンのブレードの間のクリアランスが閾値に達したときに、制御システム14が、電気モータ10による機械的動力の高圧シャフト8への注入を作動させることによって達成される。制御システム14による電気モータ10の制御は、閉ループで達成される。
【0044】
ブレード61の先端とケーシング62の間のクリアランスは、ブレード61の先端とケーシング62との間の距離を測定する、高圧タービン6に設置されたセンサによって決定することができる。
【0045】
ケーシング62とブレード61の間のクリアランスは、高圧タービン6での空気の温度(流れの温度)と、ケーシング62の温度とに基づいて決定することもでき、したがって、高圧タービン6のディスクとケーシング62との間の熱膨張の差を決定することができる。
【0046】
別の可能な解決策によれば、ブレード61とケーシング62の間のクリアランスは、ケーシング62の温度と高圧タービン6のディスクの温度に基づいて決定することができ、したがって、高圧タービン6のディスクとケーシング62との間の熱膨張の差を決定することができる。
【0047】
第3の可能な変形例によれば、機械的動力の注入の制御は、第1の変形例及び第2の変形例のような閉ループではなく、開ループで行われる。第3の変形例では、制御システム14は、ターボ機械1によって発生させられた推力が閾値に達したときに、高圧シャフト8に機械的な動力を注入するように電気モータ10を制御する。
【0048】
発生させられた推力が閾値に達したときに行われる高圧シャフト8への機械的動力の注入は、予め定められかつ制御システム14に記録されるプロファイルに従って達成される。有利な変形例によれば、機械的動力注入プロファイルは、ケーシング62とブレード61の間のクリアランスの開放によってターボ機械1の効率が負の影響を受ける場合を考慮に入れることに基づいている。
【0049】
有利には、制御システム14は、ターボ機械1によって発生させられた推力が特に離陸推力などの目標値に達したときに、機械的な動力を注入するように電気モータ10を作動する。
【0050】
本願の出願人は、実際、ケーシング62とブレード61の間のクリアランスが、ターボ機械1の加速の終わりに増加する傾向があり、このクリアランスの最大値は加速の終わりの後約1分後に達することを観察した。
【0051】
従来技術のターボ機械の排気ガスの温度の展開と本発明に係るターボ機械の排気ガスの温度の展開の違いを示した図2から分かるように、本発明により、航空機の最初の離陸中にターボ機械1の排気ガスの温度ピークを低減させ、さらには排気ガスの温度ピークを排除することができる。
【0052】
前述した例示的実施形態において、監視すべきクリアランスは高圧タービン6のクリアランスであり、電気モータ10により機械的動力を高圧シャフト8に注入するが、本発明は、低圧タービン7にも適用することができ、電気モータ10は機械的動力を低圧シャフト9に注入することができる。
図1
図2
【国際調査報告】