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特表2022-525218岩地盤に作られたパイロットホールを広げるための砕岩ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】岩地盤に作られたパイロットホールを広げるための砕岩ユニット
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/28 20060101AFI20220428BHJP
   E21B 4/00 20060101ALI20220428BHJP
   E21B 4/14 20060101ALI20220428BHJP
   E21B 7/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
E21B7/28
E21B4/00
E21B4/14 A
E21B7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555573
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 IB2020052369
(87)【国際公開番号】W WO2020183441
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】102019000003721
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521420048
【氏名又は名称】エイチピーエム ハイドラリック パフォーマンス マシーンズ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】カルテチーニ,ジュゼッペ
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA04
2D129AB17
2D129BA03
2D129DB01
2D129EB21
2D129GA18
(57)【要約】
岩地盤(4)で施工されたパイロットホール(3)を広げるための、砕岩方法及び砕岩ユニット(1)を説明する。この方法は、以下のステップを含む:岩地盤(4)で施工されたパイロットホール(3)の内部の岩を破砕するための、例えばローラビット及び/またはカッターディスクなどの複数の破砕要素(21)を運ぶステップ;破砕要素(21)を、パイロットホール(3)の側壁に対して押圧し、同時に破砕要素(21)を、パイロットホールの側壁における円筒部に沿って転がし、それによって、パイロットホール(3)の側壁で破砕要素(21)によって加えられる作用が、パイロットホール(3)の側壁の破砕を促して、パイロットホール(3)を広げるステップ。軸に対して自由に回転する破砕要素(21)は、液圧シリンダによって径方向に押し込まれる。砕岩ユニットを使用する間に、液圧シリンダを保持している主本体(2)を、パイロットホール(3)の軸に対して中央に保つことを目的として、パイロットホール(3)の側壁に当接するための、例えばバスケットなどの安定化手段を設けることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩地盤(4)で施工されたパイロットホール(3)を広げるための、砕岩ユニット(1)であって、
岩地盤(4)に施工されたパイロットホール(3)に挿入するよう、かつその軸に対して回転作動可能なように寸法が決められた、主本体(2)と、
前記主本体(2)によって保持され、複数の液圧シリンダ(55、63、64)を備えた、第1のアクチュエータ手段(5)と、
前記主本体(2)によって保持され、後退位置(R)と伸長位置(E)との間を、前記主本体(2)の軸に対して垂直な平面運動で各々が移動するために、前記複数の液圧シリンダ(55、63、64)における液圧シリンダによって作動可能な、第1の複数のアーム(51)と、
岩を破砕するための、第1の複数の破砕要素(21)であって、その各々は前記第1の複数のアーム(51)におけるアームによって保持され、前記第1の複数のアーム(51)におけるアームに対して回転可能で、前記砕岩ユニット(1)を使用する間、すなわち前記主本体(2)が前記パイロットホール(3)に挿入されてその軸に対して回転して引き出されるとき、及び前記複数の液圧シリンダ(55、63、64)における液圧シリンダが、前記第1の複数のアーム(51)を前記伸長位置(E)に向けて動かすよう作動させるときに、前記パイロットホール(3)の側壁に対して押圧できるよう、かつ側壁に沿って転がることができるように配置される、第1の複数の破砕要素(21)と
を備えることを特徴とし、
前記砕岩ユニット(1)は、使用する間に、前記パイロットホール(3)の側壁で、前記第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素によって加えられる作用が、前記パイロットホール(3)の側壁の破砕を促し、それによって前記パイロットホール(3)を広げるよう構成され、
前記第1の複数のアーム(51)におけるアームは、前記破砕ユニットを使用する間、前記第1の複数のアーム(51)におけるアームにおいて発生し、かつ前記パイロットホール(3)の側壁において前記第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素によって加えられる圧力によるものである反動力を、互いに補うように配置される、ことを特徴とする、砕岩ユニット(1)。
【請求項2】
岩地盤(4)で施工されたパイロットホール(3)を広げるための、砕岩ユニット(1)であって、
岩地盤(4)に施工されたパイロットホール(3)に挿入するよう、かつその軸に対して回転作動可能なように寸法が決められた、主本体(2)と、
前記主本体(2)によって保持され、液圧シリンダ(55、63、64)を備えた、第1のアクチュエータ手段(5)と、
前記主本体(2)によって保持され、後退位置(R)と伸長位置(E)との間を、前記主本体(2)の軸に対して垂直な平面運動で移動するために、前記液圧シリンダ(55、63、64)によって作動可能な、アームと、
岩を破砕するための、第1の複数の破砕要素(21)であって、その各々は前記アームによって保持され、前記アームに対して回転可能で、前記砕岩ユニット(1)を使用する間、すなわち前記主本体(2)が前記パイロットホール(3)に挿入されてその軸に対して回転して引き出されるとき、及び前記液圧シリンダ(55、63、64)が、前記アームを伸長位置(E)に向けて動かすよう作動させるときに、前記パイロットホール(3)の側壁に対して押圧できるよう、かつ側壁に沿って転がることができるように配置される、第1の複数の破砕要素(21)と、
前記主本体(2)によって保持され、前記砕岩ユニット(1)を使用する間、前記パイロットホール(3)の軸に対して前記主本体(2)を中央に保つことを目的として、前記パイロットホール(3)の側壁に当接できるよう構成された、安定化手段(9)と
を備えることを特徴とし、
前記砕岩ユニット(1)は、使用する間に、前記パイロットホール(3)の前記側壁において、前記第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素によって加えられる作用が、前記パイロットホール(3)の側壁の破砕を促し、それによって前記パイロットホール(3)を広げるよう構成される、ことを特徴とする、砕岩ユニット(1)。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータ手段(5)は、複数の液圧シリンダ(55、63、64)を備え、
前記砕岩ユニット(1)は、前記主本体(2)によって保持され、後退位置(R)と伸長位置(E)との間を、前記主本体(2)の軸に対して垂直な平面運動で各々が移動するために、前記複数の液圧シリンダ(55、63、64)における液圧シリンダによって作動可能な、第1の複数のアーム(51)を備え、
前記第1の複数の破砕要素(21)における各破砕要素は、回転可能で、前記第1の複数のアーム(51)によって保持され、前記砕岩ユニット(1)を使用する間、すなわち前記主本体(2)が前記パイロットホール(3)に挿入されてその軸に対して回転して引き出されるとき、及び前記複数の液圧シリンダ(55、63、64)における液圧シリンダが、前記第1の複数のアーム(51)を前記伸長位置(E)に向けて動かすよう作動させるときに、前記パイロットホール(3)の側壁に対して押圧できるよう、かつ側壁に沿って転がることができるように配置される、請求項2に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項4】
前記第1の複数のアーム(51)における各アームは、前記複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)を備え、
前記複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダは、反動力を互いに補うように、互いから角度的に等間隔であり、
前記第1の複数の破砕要素(21)における各破砕要素は、前記複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)の自由端部に配置される、請求項1または3に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項5】
前記第1の複数のアーム(51)は、第1のアーム(61)及び第2のアーム(62)を備え、
前記第1のアーム(61)は、第1のヒンジ軸(A1)において前記主本体(2)に回転可能に連結され、
前記第2のアーム(62)は、第2のヒンジ軸(A2)において前記主本体(2)に回転可能に連結され、
前記第1のアクチュエータ手段(5)は、第1の液圧シリンダ(63)及び第2の液圧シリンダ(64)を備え、
前記第1の液圧シリンダ(63)は、前記第1のヒンジ軸(A1)において前記主本体(2)に回転可能に連結されたジャケットと、前記第2のアーム(62)に回転可能に連結されたロッド(6)とを備え、それによって前記第1の液圧シリンダ(63)は、前記第2のアーム(62)を、前記後退位置(R)と前記伸長位置(E)との間で移動させることができ、
前記第2の液圧シリンダ(64)は、前記第2のヒンジ軸(A2)において前記主本体(2)に回転可能に連結されたジャケットと、前記第1のアーム(61)に回転可能に連結されたロッド(6)とを備え、それによって前記第2の液圧シリンダ(64)は、前記第1のアーム(61)を、前記後退位置(R)と前記伸長位置(E)との間で移動させることができる、請求項1または3に記載の砕岩ユニット。
【請求項6】
前記第1のアクチュエータ手段(5)は、アクチュエータと、前記アクチュエータによって回転して引き出され、前記主本体(2)と回転可能に連結される、第1のはめば歯車(71)と、前記第1のはめば歯車(71)と み合い、かつ前記本体(2)と回転可能に連結される、第2のはめば歯車(72)と、前記第1のはめば歯車(71)と み合い、かつ前記主本体(2)と回転可能に連結される、第3のはめば歯車(73)と、を備え、
前記第1の複数のアーム(51)は、第1のアーム(61)及び第2のアーム(62)を備え、
前記第1のアーム(61)は、前記第2のはめば歯車(72)に堅固に拘束され、
前記第2のアーム(62)は、前記第3のはめば歯車(73)に堅固に拘束され、
前記アクチュエータの作動が、前記第1のアーム(61)及び前記第2のアーム(62)の、前記後退位置(R)と前記伸長位置(E)との間における同時運動を促すことができるよう構成される、請求項1または3に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項7】
前記第1の複数のアーム(51)におけるアームによって保持された、前記破砕要素の少なくとも一部は、前記第1の複数のアーム(51)における別のアームによって保持された前記破砕要素の少なくとも一部に対して、様々な高さで配置され、それによって全体的に、前記第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素は、前記主本体(2)が前記パイロットホール(3)に挿入されて、ある深さに固定されたとき、単一の円筒容積の物質を前記パイロットホール(3)の側壁から除去できる、請求項1、3、4、5、6のうちいずれか一項に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項8】
前記主本体(2)によって保持され、前記砕岩ユニット(1)を使用する間に、前記パイロットホール(3)の軸に対して前記主本体(2)を中央に保つことを目的として、前記パイロットホール(3)の側壁に当接できるよう構成された、安定化手段(9)を備える、請求項1、4、5、6、7のうちいずれか一項に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項9】
前記安定化手段(9)は回転可能で、かつ前記主本体(2)によって保持される、請求項2または8に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項10】
前記安定化手段(9)は、前記パイロットホール(3)の側壁に当接するための複数の当接部(13)を備え、前記主本体(2)の軸から前記当接部までの距離は、前記安定化手段(9)を前記パイロットホール(3)の様々な径に適応させるよう、調整可能である、請求項2、8、または9に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項11】
前記安定化手段(9)は、前記パイロットホール(3)に挿入するよう、かつ前記パイロットホール(3)の側壁に当接するように寸法が決められた、円筒体(10)を備える、請求項2、8、または9に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項12】
前記円筒体(10)は、岩状物を集積するためのバスケット(10)であり、前記バスケット(10)は、前記第1の複数の破砕要素(21)の下部に配置され、前記パイロットホール(3)の側壁から連続的に除去される岩状物を内部で受け入れるための、少なくとも1つの開口部(12)を備える、請求項11に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項13】
前記第1の複数のアーム(51)によって保持され、前記第1の複数のアーム(51)よりも下にあり、前記砕岩ユニット(1)を使用しているときに、前記第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素によって連続的に除去される岩状物を、前記パイロットホール(3)の軸に向けて偏向させるよう設計される、偏向手段(14)を備える、請求項1、3~12のいずれか一項に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項14】
回転可能で前記主本体(2)に保持され、前記主本体(2)の上方に配置されて、除去することになる岩状物に下部で当接するよう、前記主本体(2)から突出する、第3の複数のアーム(53)を備える、請求項1~13のうちいずれか一項に記載の砕岩ユニット(1)。
【請求項15】
岩地盤に施工されたパイロットホール(3)を広げるための、砕岩方法であって、
岩地盤(4)に施工されたパイロットホール(3)の内部で岩を破砕するための、第1の複数の破砕要素(21)を運ぶステップと、
前記第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素を、前記パイロットホール(3)の側壁に対して押圧し、同時に前記第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素を、前記パイロットホール(3)の側壁の円筒形部分に沿って転がし、それによって、前記パイロットホール(3)の側壁で、前記第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素によって加えられる作用が、前記パイロットホール(3)の側壁の破砕を促し、それによって前記パイロットホール(3)を広げるステップと、を含む、砕岩方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物、橋梁、塔、または壁の基礎柱のために、岩地盤に穴を施工する技術分野に関する。より詳細には、本発明は、岩地盤に事前に作られたパイロットホールを広げるための砕岩に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、岩地盤に限られた径の穴を作るために、「ダウンザホールハンマ」として公知のツールを使用することができる。ダウンザホールハンマは:複数の破砕ボタン;及び破砕ヘッドを備える。破砕ヘッドには、破砕ボタンを受け入れるための複数の座部が設けられ、それによって破砕する岩に接触するようボタンは突出する。破砕ヘッドには、形成中の穴の外部へ破砕した岩を通すための、複数のチャネルが設けられる。使用中、ダウンザホールハンマは:圧縮空気によってその軸に沿って振動を受け;その軸に対して回転して引き出され;岩を連続的に破砕して圧縮空気によって外側に搬送しながら、形成中の穴に沿って前進する。圧縮空気は、ダウンザホールハンマの振動をもたらす機能、及び破砕した岩を外側に向けて押し出す機能を有する。
【0003】
各ダウンザホールハンマは、所定の径を有する穴を施工するために好適である。異なる径を有する穴を作る必要がある場合、異なる径に好適な別のダウンザホールハンマを得ることも必要となる。
【0004】
上述のタイプの各デバイスは大きいサイズを有し、かつコストがかかるので、これは欠点を構成する。
【0005】
例えば1メートルより大きい径の、大きい寸法の穴のために、得られる穴の径に相当する径を有する単一のダウンザホールハンマを使用することは、非常に高価となり、同様に、非常に広い空間が必要となる。
【0006】
代替として、図1を参照すると:破砕した岩を受け入れるバスケット(110);前述のタイプの、複数のダウンザホールハンマ(120);及び突出してダウンザホールハンマ(120)を保持するメインヘッド(130)であって、破砕した岩を吸引してバスケット(110)に向けて運ぶための複数のチャネル(140)が設けられた、メインヘッド(130);を備えた、砕岩ユニット(100)を使用することができる。この砕岩ユニット(100)を使用する間、各ダウンザホールハンマ(120)は、その軸に沿って振動を受け、メインヘッド(130)は、その軸に対して回転して引き出される。砕岩ユニット(100)は、岩が破砕され、吸引されて、バスケット(110)の中に運ばれながら、連続的に前進する。ダウンザホールハンマ(120)は、メインヘッド(130)に分配され、それによってメインヘッド(130)の回転は、穴を施工するステップ中に、ダウンザホールハンマ(120)が穴(200)の底部全体を一掃するのを可能にする。砕岩ユニット(100)は、バスケット(110)を空にするために、周期的に引き抜かれる。
【0007】
単一のダウンザホールハンマを使用するか、または複数のダウンザホールハンマが設けられたメインヘッド(岩削孔ユニットの場合)を使用するか、のいずれかにおいて、それらを作動させ、破砕した岩を排出するために、高い流速の空気が必要となる。空気フローは、作る穴の径が大きくなるほど増加する。
【0008】
アクセスが困難な場所で穴が作られる場合、単一のダウンザホールハンマまたは砕岩ユニット、及び圧縮機の搬送は、課題となる場合がある。
【0009】
各岩削孔ユニットは、所定の径を有する穴を施工するために好適である。異なる径を有する穴を作る必要がある場合、異なる径に好適な別の岩削孔ユニットを得ることが必要となる。
【0010】
1つのダウンザホールハンマでは穴を作るのに十分でない場合に、必要な圧縮機の数を減らすための公知の方法は以下のとおりである:作る穴と同心で、かつ作る穴よりも小さい径のパイロットホールを、単一のダウンザホールハンマで作ること;その後、保持するダウンザホールハンマがメインヘッドの周囲に沿ってのみ配分される点で、上記で説明したものとは異なる砕岩ユニット(図示しないがホールオープナーとしも公知である)を使用すること、である。これは、作る穴の径が同じである場合に、より少ない数の圧縮機の施工を可能にする。しかしこれは、上述の欠点に対する部分的なソリューションに過ぎない。
【0011】
要約すると、大きい径の穴、すなわち6~10フィート(1800~3000mm)を施工するために、単一のダウンザホールハンマ、または複数のダウンザホールハンマを有する砕岩ユニットを使用することができる。両方のソリューションは、以下の欠点:圧縮機の台数が多くなり、現場の空間、搬送、及びコストに課題をもたらすこと;ダウンザホールハンマは高価であり、所定の径の、1つの穴しか作らないこと、を有することになる。
【0012】
代替として、より少ない圧縮機で作動され得る、ホールオープナーを使用することができる。しかしそれは、以下の欠点すなわち:所定の径に対して有用であること;それらは単一のダウンザホールハンマに対して生産性が低いこと、を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、異なる径の穴を施工するのを可能にし、かつ圧縮機の使用を必要としないソリューションを見出すことから成る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1または2に記載の砕岩ユニットを用い、請求項15に記載の砕岩方法によって、達成される。
【0015】
パイロットホールは、例えば1つのダウンザホールハンマのみを用いて施工することができる。その後、本発明のユニットまたは砕岩方法を使用することができる。それは、所望の径までパイロットホールを連続的に広げることを可能にする。これは、異なる径の穴を実現可能であることから、有利である。一方で先行技術においては、複数の異なる砕岩ユニット(得られる各穴の径ごとに1台。再び図1を参照)に頼る必要があった。
【0016】
別の利点は、本発明の砕岩ユニットまたは方法が、機能を果たすために、ダウンザホールハンマの使用を必要とせず、したがって複数の空気圧縮機を必要としないことから成る。
【0017】
請求項1の砕岩ユニットは、第1の複数のアームを備え、それらは、反動力を互いに補うように配置される。このため安定化手段は、必須であると考慮されないため、含まれない。しかし安定化手段は、岩地盤が均等でない場合に好ましい。
【0018】
請求項2の砕岩ユニットは、少なくとも1つのアーム及び安定化手段を備える。1つのアームのみが含まれる場合、砕岩ユニットを使用する間に、パイロットホールの軸に対して本体を中心に保持するために、安定化手段は必須である。
【0019】
岩を破砕する力は、好ましくはダウンザホールハンマを用いて得られる力と同等であるが、圧縮空気を使用する必要はない。
【0020】
本発明の特定の実施形態が、特許請求の範囲に規定されるものに従い、添付の図表の助けを伴って、本明細書の以下のパートで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】砕岩ユニット及び複数の圧縮機、ならびに砕岩機が穴を作り出している岩地盤の一部の断面を備えた、公知のタイプである砕岩機の斜視図である。
図1A図1のK1部の拡大図である。
図2】本発明の第1の実施形態による砕岩ユニットを備えた、公知のタイプの砕岩機、及び広げられるパイロットホールが作られる岩地盤の一部における断面の、斜視図である。
図2A】第1の作業構成にある、図2の砕岩ユニットの斜視図である。
図3】パイロットホールを第1の径まで広げる第1のステップ中における、図2の砕岩機の一部、及び図2の岩地盤の一部における断面の斜視図である。
図3A】第2の作業構成にある、図2の砕岩ユニットの斜視図である。
図4】パイロットホールを第1の径まで広げる第2のステップ中における、図2の砕岩機の一部、及び図2の岩地盤の一部における断面の斜視図である。
図4A】第3の作業構成にある、図2の砕岩ユニットの斜視図である。
図4B図4AにおけるK2の、部分的な拡大詳細斜視図である。
図5】パイロットホールを第1の径まで広げる第3のステップ中における、図2の砕岩機の一部、及び図2の岩地盤の一部における断面の斜視図である。
図6】砕岩機がより大きい径のバスケットを使用し、パイロットホールを、第1の径よりも大きい第2の径まで広げる第4のステップ中における、図2の砕岩機の一部、及び図2の岩地盤の一部における断面の斜視図である。
図7】パイロットホールを第2の径まで広げる第5のステップ中における、図6の砕岩機の一部、及び図2の岩地盤の一部における断面の斜視図である。
図8A】バスケットが複数の当接プレートによって交換され、それらがパイロットホールの側壁に当接した第1の作業構成にある、図2の砕岩ユニットの斜視図である。
図8B】バスケットが複数の当接プレートによって交換され、それらがパイロットホールの側壁に当接した第1の作業構成にある、図2の砕岩ユニットの側面図である。
図9A】複数の当接プレートが、パイロットホールが第1の径に達するまで広げられた後の、パイロットホールの側壁に当接した第2の作業構成にある、図8A図8Bの砕岩ユニットの斜視図である。
図9B】複数の当接プレートが、パイロットホールが第1の径に達するまで広げられた後の、パイロットホールの側壁に当接した第2の作業構成にある、図8A図8Bの砕岩ユニットの側面図である。
図10A】3つの作業構成のうちの1つにおいて、図4Bに例示された詳細の第1の変形を示す斜視図である。
図10B】3つの作業構成のうちの1つにおいて、図4Bに例示された詳細の第1の変形を示す斜視図である。
図10C】3つの作業構成のうちの1つにおいて、図4Bに例示された詳細の第1の変形を示す斜視図である。
図10D図10Aに例示された詳細の横断面図である。
図10E図10Bに例示された詳細の横断面図である。
図10F図10Cに例示された詳細の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下において、図2以降を参照する。
【0023】
岩地盤(4)に施工されたパイロットホール(3)を広げるための、砕岩ユニット(1)を、第1の発明及び第2の発明に従って説明する。
【0024】
第1の発明による砕岩ユニット(1)は:岩地盤(4)に施工されたパイロットホール(3)(図2、3)に挿入するよう寸法が決められ、その軸に対して回転作動可能な、主本体(2)(図4B図10A図10F図11A図11F参照);主本体(2)によって保持され、複数の液圧シリンダ(55、63、64)を備えた、第1のアクチュエータ手段(5);主本体(2)によって保持され、後退位置(R)(図2図2A図8A図8B図10A図10D図11A図11D)と伸長位置(E)(図4図4A図4B図9A図9B図10C図10F図11C図11F)との間で、主本体(2)の軸に対して垂直な平面運動で移動するために、複数の液圧シリンダ(55、63、64)の液圧シリンダによって作動される、第1の複数のアーム(51)(図2A図3A図4A図10A図10F、及び図11A図11Fを比較されたい);岩を破砕するための、第1の複数の破砕要素(21)であって、それらの各々は第1の複数のアーム(51)によって保持され、第1の複数のアーム(51)におけるアームに対して回転可能であり、砕岩ユニット(1)を使用する間、すなわち主本体(2)がパイロットホール(3)に挿入され、その軸に対して回転して引き出されるとき、及び複数の液圧シリンダ(55、63、64)における液圧シリンダが第1の複数のアーム(51)を作動させて、それらを伸長位置(E)に向けて動かすときに、パイロットホール(3)の側壁に対して押圧できるよう、かつ側壁に沿って転がることができるよう配置される、第1の複数の破砕要素(21)、を備え;砕岩ユニット(1)は、使用する間に、パイロットホール(3)の側壁で第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素によって加えられる作用が、パイロットホール(3)の側壁の破砕を促し、それによってパイロットホール(3)を広げるように、構成され(図3及び図4、ならびに図6及び図7を比較されたい);第1の複数のアーム(51)におけるアームは、破砕ユニットを使用する間に、反動力を互いに補うように配置される(例えば図2図9の実施形態において、アームは互いに対して、角度的に等間隔である)。この反動力は、第1の複数のアーム(51)におけるアームによって生成され、パイロットホール(3)の側壁で、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素によって加えられる圧力によるものである。
【0025】
換言すると、第1の複数のアーム(51)におけるアームが伸長位置(E)にあるとき、次にそれらは、後退位置(R)にあるときに対して、主本体(2)から、より大きく突出する。
【0026】
パイロットホール(3)は、図2のように、公知の方法を使用して岩地盤(4)に事前に作られた穴である。パイロットホール(3)は、約700~1000mmから始まる径を有することができる。この径は、パイロットホールを施工するために実際に必要な圧縮機の数を減少させるよう、及び主本体(2)をパイロットホールに挿入可能にするよう、選択されている。
【0027】
主本体(2)の回転速度は、毎分20回転とすることができ、主本体(2)を回転させて引き出すための方法は、一般的に公知のタイプである。
【0028】
第1の複数のアーム(51)におけるアームが後退位置(R)にあるとき、主本体(2)をパイロットホール(3)に挿入することができる。
【0029】
第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素は、図2図9のような公知のローラビットを備えることができる。ローラビットは、破砕ボタンが設けられた円錐台部分を備える。各ローラビットは、例えば図4B図9Bのように、好ましくは関連の軸がパイロットホール(3)の側壁に対して傾斜するように配置される。
【0030】
これら第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素は、カッターディスク(図10図11)を備えることができる。公知のカッターディスクは、カッティングチップが周囲に設けられたディスク(または複数の上下のディスクであり、かつ例えば単一の本体に互いに堅固に拘束される)を備える。
【0031】
第1の複数の破砕要素(21)におけるこれらの破砕要素は、図示しないが、破砕ローラを備えることができる。破砕ローラは、破砕ボタンが設けられた円筒形部分を備える。各破砕ローラは、好ましくは関連の軸がパイロットホール(3)の軸に対して平行となるよう配置される。
【0032】
砕岩ユニット(1)は、岩を破砕するための、第2の複数の破砕要素(22)も備えることができ、その各々は、第1の複数のアーム(51)におけるアームによって保持され、砕岩ユニット(1)を使用する間に、パイロットホール(3)の側壁に対して押圧できるよう配置される。第2の複数の破砕要素(22)におけるこれらの破砕要素は、図10図11のような、ロックピックを備えることができる。
【0033】
第1の複数の破砕要素における各破砕要素(21)は、好ましくは第1の複数のアーム(51)における対応したアームに回転可能に連結され、それによって破砕要素の軸に対して自由に回転する。
【0034】
砕岩ユニット(1)の第1の実施形態によると、第1の複数のアーム(51)における各アームは、複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)(図4B)を備え;複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダは、破砕ユニットを使用する間に生成される反動力が互いに補うよう、互いから角度的に等間隔であり;第1の複数の破砕要素(21)における各破砕要素は、複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)の自由端部に配置される。
【0035】
液圧シリンダが2つである場合、それらは互いから180°の位置に配置され;液圧シリンダが3つである場合、それらは互いから120°の位置に配置され;液圧シリンダが4つである場合、それらは互いに90°の位置に配置され、以降同様に続く。
【0036】
図面に例示された場合において、砕岩ユニット(1)は、第1の高さに配置された液圧シリンダ(31)第1の対と、第2の高さに配置された液圧シリンダ(32)の第2の対とを備える。しかし各対の液圧シリンダにおける液圧シリンダは、互いに反対側すなわち180°の角度で配置される。
【0037】
複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)によって保持された、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素(または1つのみが設けられている場合、破砕要素)は、パイロットホール(3)の側壁に対して押圧し、次に対応した反動力が反対方向に生成される。複数の液圧シリンダ(55)におけるシリンダが、互いに対して角度的に等間隔であるという事実は、有利である。なぜなら、複数の液圧シリンダ(55)における各シリンダのロッド(6)によって生成された反動力は、相互に補う傾向にあるためである。
【0038】
複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダは、好ましくは複動式でり、それによって一旦パイロットホール(3)が広げられると、液圧シリンダのロッド(6)の戻りが容易になる。
【0039】
第1の複数の破砕要素(21)が作動され、一旦砕岩ユニット(1)がパイロットホール(3)を広げたら(図2図3図4参照)、次に複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダは、ロッド(6)を後退させることができ、砕岩ユニット(1)はパイロットホール(3)の軸に沿って動かされ、まだパイロットホール(3)が当初の径である、異なる深さを有する別の領域のパイロットホール(3)を広げることができる。図5は、第1の径で、決められた深さまでパイロットホール(3)を広げた後の、砕岩ユニット(1)を示す。
【0040】
第1の複数のアーム(51)における各アームは、対応したロッド(6)の端部に固定されたプレート(7)を備えることができ(図4B)、プレート(7)はロッド(6)の軸に対して垂直に向けられ、そこに、第1の複数の破砕要素(21)における1つまたは複数の破砕要素が固定されている(図2図9では、3つが存在する)。
【0041】
パイロットホール(3)を、第1の径から、第1の径よりも大きい第2の径までさらに広げるために、図6図7のように、砕岩ユニット(1)は、アームのための複数の延長部(8)を備えることができる。複数の延長部(8)における各延長部は、複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)に固定可能であり、第1の複数の破砕要素(21)における1つまたは複数の破砕要素を保持することができる。例えば、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素を伴うプレート(7)を、ロッド(6)から分離し(プレート(7)及び第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素は、図4Bで明確に確認できる)、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素を伴うプレート(7)を、延長部(8)に固定して、延長部(8)をロッド(6)に固定することが可能である。このように、例えば複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)が後退されたとき、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素は、第1の径を有するパイロットホール(3)の側壁に対して動作することができ(図6);一旦パイロットホール(3)が第2の径まで広げられると、複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)を、伸長させることができる(図7)。
【0042】
第1の複数のアーム(51)におけるアームによって保持された、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素の破砕要素(図9参照)の少なくとも一部は、好ましくは、第1の複数のアーム(51)における別のアームによって保持された、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素の少なくとも一部に対して、異なる高さで配置される。それによって全体的に、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素は、主本体(2)がパイロットホール(3)に挿入されて、ある深さに固定されたときに、材料の1つの円筒形容積を、パイロットホール(3)の側壁から除去することを可能にする。換言すると、第1の複数のアーム(51)におけるアームによって保持された、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素を、第1の複数のアーム(51)における別のアームによって保持された破砕要素に対して、互い違いの高さにすることができ、それによって、1つのアームの破砕要素を、別のアームにおける2つの破砕要素の高さの間に、差し挟むことができる。
【0043】
例えば、複数の液圧シリンダ(55)における第1の液圧シリンダのロッド(6)は、第1の破砕要素(41)、第2の破砕要素(42)、及び第3の破砕要素(43)を保持でき、その一方で、複数の液圧シリンダ(55)における第2の液圧シリンダのロッド(6)は、第4の破砕要素(44)、第5の破砕要素(45)、及び第6の破砕要素(46)を保持できる。全てのこれら破砕要素は、互いに対して:第1の破砕要素(41)が第4の破砕要素(44)よりも高く;第4の破砕要素(44)が第2の破砕要素(42)よりも高く;第2の破砕要素(42)が第5の破砕要素(45)よりも高く、第5の破砕要素(45)が第3の破砕要素(43)よりも高く;第3の破砕要素(43)が第6の破砕要素(46)よりも高くなるように、互い違いで連続した高さで配置される(図4B図9B参照)。複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダが、2つのみである場合、全ての上述の破砕要素は、単一容積の岩状物を除去するために共に働く。このように、一旦パイロットホール(3)が所望の径まで広げられたら、砕岩ユニット(1)は、より深く降下され、新たにパイロットホール(3)を広げることができる。
【0044】
砕岩ユニット(1)は、好ましくは、主本体(2)によって保持された安定化手段(9)を備える。それらは、砕岩ユニット(1)を使用する間に、パイロットホール(3)の軸に対して主本体(2)を中央に保つことを目的として、パイロットホール(3)の側壁に当接できるよう、構成される。
【0045】
安定化手段(9)は、パイロットホール(3)を、主本体(2)の中心合わせの誘導として利用するよう、有利に設計されている。
【0046】
安定化手段(9)は、好ましくは円筒体(10)を備え、それは、パイロットホール(3)に挿入するように、かつパイロットホール(3)の側壁に当接するように、寸法が決められる。より好ましくは、円筒体(10)は、岩状物を集積するためのバスケット(10)であり、それは、第1の複数の破砕要素(21)の下部に配置され、パイロットホール(3)の側壁から連続的に除去される岩状物を内部で受け入れるための、少なくとも1つの開口部(12)を備える。したがって、砕岩ユニット(1)は、バスケット(10)内に存在する岩状物を降ろすために、パイロットホール(3)から周期的に撤退させなければならない。図2図5は、広げることになるパイロットホール(3)の径よりも僅かに小さい径を有するバスケット(10)を示す。図6のように、パイロットホール(3)を第1の径まで広げた後、バスケット(10)を、より大きい径で、第1の径よりも僅かに小さいものに交換することができる(図6及び図7参照)。
【0047】
代替として、安定化手段(9)は、上述のバスケット(10)の代わりに、パイロットホール(3)の側壁に当接するための、複数の当接部(13)を備える。主本体(2)から、複数の当接部(13)までの距離は、安定化手段(9)をパイロットホール(3)の異なる径に適応させるよう、調整可能である。これに関して、図8A図8Bを参照すると、複数の当接部(13)における当接部が、広げることになるパイロットホール(3)の当初の径よりも僅かに小さい距離だけ、互いから離される。図9A図9Bを参照すると、複数の当接部(13)における当接部は、パイロットホール(3)の第1の径よりも僅かに小さい距離だけ、互いから離される。
【0048】
安定化手段(9)は、好ましくは、第2の複数のアーム(52)を備え、それらは径方向に配置され、伸縮自在であり、複数の当接部(13)における当接部を保持する。複数の当接部(13)における各当接部は、好ましくは、第2の複数のアーム(52)におけるアームの自由端部に配置される。複数の当接部(13)における当接部は、好ましくは互いに対して角度的に等間隔である。複数の当接部(13)における当接部は、好ましくはプレートであり、これらプレートは、パイロットホール(3)の側壁の曲率に適応するようアーチ型とすることができる(図8A図9A)。
【0049】
安定化手段(9)は、好ましくは回転可能で、主本体(2)によって保持される。砕岩ユニット(1)を使用する間、連続的に破砕される岩状物は均等ではない場合があり、その結果、主本体(2)は、より容易に破砕される岩状物の領域に向けて、パイロットホール(3)の軸からずれる傾向、及び主本体(2)を中央に保つ傾向があり、安定化手段(9)は、パイロットホール(3)に当接して摩擦を発生させる。このような状況において、安定化手段(9)は主本体(2)に堅固に拘束され、安定化手段(9)がパイロットホール(3)の側壁に接触することによって発生する摩擦は、主本体(2)の作動トルクとは反対の抵抗トルクを生じさせる。この欠点を防ぐために、安定化手段(9)を、有利には回転可能にして主本体(2)によって保持すること、すなわちアイドル状態にすることができる。
【0050】
砕岩ユニット(1)は、好ましくは偏向手段(14)を備え(図3A図4A)、それらは、第1の複数のアーム(51)によって保持され、かつ第1の複数のアーム(51)よりも下にあり、砕岩ユニット(1)を使用しているときに、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素によって連続的に除去される岩状物を、パイロットホール(3)の軸に向けて偏向させるよう設計される。したがって、連続的に破砕される岩状物は、パイロットホール(3)の下部の口に向けて、有利に搬送される。砕岩ユニット(1)が、主本体(2)によって保持される、岩状物を集積するためのバスケット(10)を備え、それが主本体(2)の下部に配置される場合、岩状物をバスケット(10)の中に集積して、砕岩ユニット(1)を上昇させることによって、外部に周期的に降ろすことができる。バスケット(10)が存在しない場合、砕岩ユニット(1)の機能を妨害しないように、公知の方法を使用して集積するために、岩状物をパイロットホール(3)の内側に搬送することができる。
【0051】
偏向手段(14)は、好ましくは複数のブレード(14)を備える。複数のブレード(14)におけるブレードを、例えば溶接によって、第1の複数のアーム(51)におけるアームの下方壁に固定することができる。
【0052】
砕岩ユニット(1)は、好ましくは、第3の複数のアーム(53)(図2図9)を備え、それらは回転可能で主本体(2)に保持され、主本体(2)の上方に配置されて、除去することになる岩状物に下部で当接するよう、主本体(2)から突出する。第3の複数のアーム(53)におけるアームは、好ましくは伸長可能であり、より好ましくは伸縮自在である。第3の複数のアーム(53)におけるアームは、互いに90°で十字に配置された、4本アームを形成する。
【0053】
図10A図10Fに例示される、砕岩ユニット(1)の第2の実施形態において:第1の複数のアーム(51)は、第1のアーム(61)及び第2のアーム(62)を備え;第1のアーム(61)は、第1のヒンジ軸(A1)において主本体(2)に回転可能に連結され;第2のアーム(62)は、第2のヒンジ軸(A2)において主本体(2)に回転可能に連結され;第1のアクチュエータ手段(5)は、第1の液圧シリンダ(63)及び第2の液圧シリンダ(64)を備え;第1の液圧シリンダ(63)は、第1のヒンジ軸(A1)において主本体(2)に回転可能に連結されたジャケットと、第2のアーム(62)に回転可能に連結されたロッド(6)とを備え、それによって第1の液圧シリンダ(63)は、第2のアーム(62)を、後退位置(R)(図10A図10D)と、伸長位置(E)(図10C図10F)との間で移動させることができ;第2の液圧シリンダ(64)は、第2のヒンジ軸(A2)において主本体(2)に回転可能に連結されたジャケットと、第1のアーム(61)に回転可能に連結されたロッド(6)とを備え、それによって第2の液圧シリンダ(64)は、第1のアーム(61)を、後退位置(R)(図10A図10D)と、伸長位置(E)(図10C図10F)との間で移動させることができる。図10A図10Fで例示された例において、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素は、カッターディスクを備え、さらに砕岩ユニット(1)は、ロックピックを含んだ、第2の複数の破砕要素(22)における破砕要素を備える。第1の液圧シリンダ(63)におけるロッド(6)は、第2のアーム(62)の中間部分において第2のアーム(62)に回転可能に連結することができ、一方で第2の液圧シリンダ(64)におけるロッド(6)は、第1のアーム(61)の中間位置において第1のアーム(61)に回転可能に連結することができる。
【0054】
第2の発明による砕岩ユニット(1)は:岩地盤(4)に施工されたパイロットホール(3)に挿入するよう寸法が決められ、その軸に対して回転作動可能な、主本体(2);主本体(2)によって保持され、液圧シリンダ(55、63、64)を備えた、第1のアクチュエータ手段(5);主本体(2)によって保持され、後退位置(R)と伸長位置(E)との間で、主本体(2)の軸に対して垂直な平面運動で移動するために、液圧シリンダ(55、63、64)によって作動可動な、アーム(51);岩を破砕するための第1の複数の破砕要素(21)であって、それらの各々はアームによって保持され、このアームに対して回転可能であり、砕岩ユニット(1)を使用する間、すなわち主本体(2)がパイロットホール(3)に挿入され、その軸に対して回転して引き出されるとき、及び液圧シリンダ(55、63、64)がアームを作動させてアームを伸長位置(E)に向けて動かすとき、パイロットホール(3)の側壁に対して押圧できるよう、かつ側壁に沿って転がることができるように配置される、第1の複数の破砕要素(21);主本体(2)によって保持され、砕岩ユニット(1)を使用する間、パイロットホール(3)の軸に対して主本体(2)を中央に保つことを目的として、パイロットホール(3)の側壁に当接できるよう構成された、安定化手段(9)、を備え;砕岩ユニット(1)は、使用する間に、パイロットホール(3)の側壁で第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素によって加えられる作用が、パイロットホール(3)の側壁の破砕を促し、それによってパイロットホール(3)を広げる。
【0055】
第1のアクチュエータ手段(5)は、好ましくは複数の液圧シリンダ(55、63、64)を備え;砕岩ユニット(1)は、主本体(2)によって保持され、後退位置(R)と伸長位置(E)との間で、主本体(2)の軸に対して垂直な平面運動で各々移動するために、複数の液圧シリンダ(55、63、64)における液圧シリンダによって作動可能な、第1の複数のアーム(51)を備え;第1の複数の破砕要素(21)における各破砕要素は、回転可能で、第1の複数のアーム(51)におけるアームによって保持され、砕岩ユニット(1)を使用する間、すなわち主本体(2)がパイロットホール(3)に挿入され、その軸に対して回転して引き出されるとき、及び複数の液圧シリンダ(55、63、64)における液圧シリンダが第1の複数のアーム(51)を、それらが伸長位置(E)に向けて動かすよう作動させるときに、パイロットホール(3)の側壁に対して押圧できるよう、かつ側壁に沿って転がることができるよう、配置される。
【0056】
すでに第1の発明のために詳しく説明した、全ての考察は、第2の発明のためにも有効である。
【0057】
本発明の別の目的は、岩地盤(4)に施工されたパイロットホール(3)を広げるための、砕岩方法であり、以下のステップを含む:第1の複数の破砕要素(21)を、岩地盤(4)に施工されたパイロットホール(3)の内側の岩を破砕させるために運ぶステップ;第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素を、パイロットホール(3)の側壁に対して押圧し、同時に第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素を、パイロットホール(3)の側壁の円筒形部分に沿って転がし、それによって、パイロットホール(3)の側壁に、第1の複数の破砕要素(21)における破砕要素によって加えられる作用が、パイロットホール(3)の側壁の破砕を促し、パイロットホール(3)を広げるステップ。
【0058】
得られた穴は、例えば円筒形または円錐形など、様々な形状である場合がある。
【0059】
方法は、好ましくは上記のステップを繰り返すことを含み、第1の複数の破砕要素(21)を様々な深さに用いることによって、岩状物の円筒形容積全体が除去される。
【0060】
第1の発明及び第2の発明による、砕岩ユニット(1)は、図2における砕岩機(80)の一部である。砕岩機(80)は:液圧オイルの供給源(図示せず);液圧オイルを、主本体(2)によって保持された液圧シリンダ(55、63、64)(砕岩ユニット(1)の第1及び第3の実施形態)に向けるため及び離すための通路の、液圧接合部(81);主本体(2)を回転させて引き出すための、第2のアクチュエータ手段(82);主本体(2)に保持された液圧シリンダ(55、63、64)に接続される、液圧管(83);砕岩ユニット(1)を上昇及び下降させるための、上昇手段(84);砕岩ユニット(1)が連続的に下降される際に、砕岩ユニット(1)が上昇されるか、または液圧管(83)をほどくときに、主本体(2)に堅固に拘束されて液圧管(83)を包み込む、1つまたは複数(図では2つ)の巻き取り機(85)、を備えることができる。
【0061】
以下は、図2図7で例示した砕岩ユニット(1)の説明である。
【0062】
図2は、岩地盤(4)に施工した、当初の径を有するパイロットホール(3)を示す。複数の液圧シリンダ(52)における液圧シリンダの各ロッド(6)は、図2Aのように、後退位置(R)にある。
【0063】
その後図3のように、砕岩ユニット(1)は第1の深さ(地盤レベルの直ぐ下)まで下降され、主本体(2)は、第3の複数のアーム(53)(すなわち十字)が、除去することになる岩状物に対して当接するまでパイロットホール(3)に挿入され、それはパイロットホール(3)の縁部を形成する。次に、主本体(2)は、その軸に対して回転して引き出され、複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダが作動されて、関連のロッド(6)を伸長位置(E)に向け、その後ローラビットは、パイロットホール(3)の側壁に対して押圧し、かつ側壁に沿って転がり、側壁を破砕し始めてパイロットホール(3)を広げる。図3Aは、複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダの各ロッド(6)が、後退位置(R)と伸長位置(E)との間から成る位置にある状態を示す。
【0064】
図4は、第1の深さにおいて、砕岩ユニット(1)が、パイロットホール(3)を当初の径から第1の径まで広げたところ;複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)が伸長位置(E)に達したところ、を示す。一般的に、複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)が、後退位置(R)と伸長位置(E)との間から成る位置に達したときでも、第1の径(所定の値)に達することができる。
【0065】
その後、砕岩ユニット(1)は、さらなる深さまで下降され、上述のサイクルが繰り返される。
【0066】
図5は、決められた深さにある砕岩ユニット(1)を示し、砕岩ユニット(1)は、パイロットホール(3)を当初の径から第1の径にするために、岩状物を除去する準備ができている。
【0067】
複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)が、所望の最終的なパイロットホール(3)の径に対して短すぎる場合、図6のように、パイロットホール(3)の径を第1の径から第2の径にするよう、アームの延長部(8)を、複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)に固定するよう適合させることができる。この場合、バスケット(10)をより大きい径のものに交換し、かつ第3の複数のアーム(53)におけるアームを長くすることも必要である。
【0068】
図7は、第1の深さにおいて、第2の径まで広げられたパイロットホール(3)を示す。
【0069】
一般的に、延長部(8)が適合された、複数の液圧シリンダ(55)における液圧シリンダのロッド(6)が、後退位置(R)と伸長位置(E)との間から成る位置に達したときでも、第2の径(やはり所定の値)に達することができる。
【0070】
前述は、非限定例として説明してきたことを理解されたい。任意の実際上の構造的変形は、以下で請求するように、本技術的ソリューションの保護範囲内に入ることを、理解されたい。
図1
図1A
図2
図2A
図3
図3A
図4
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
【国際調査報告】