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特表2022-525219毛細管区域を検査するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】毛細管区域を検査するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/26 20060101AFI20220428BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20220428BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220428BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G02B21/26
A61B10/00 Q
A61B5/00 M
A61B5/00 101A
G02B21/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555579
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(85)【翻訳文提出日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 FR2020050533
(87)【国際公開番号】W WO2020183116
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】1902599
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514058706
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】518345767
【氏名又は名称】サントル・オスピタリエ・ウニヴェルシテール・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】521420118
【氏名又は名称】サントル・テクノロジーク・アルファノブ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マリー-エリーズ・トリュシュテ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・ドゥヴィラール
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル・シャリュモー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・モロー
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・ポミエス
【テーマコード(参考)】
2H052
4C117
【Fターム(参考)】
2H052AC04
2H052AC33
2H052AC34
2H052AD04
2H052AD10
2H052AD14
2H052AF14
2H052AF21
4C117XB01
4C117XD17
4C117XE43
(57)【要約】
本発明は、指の皮膚の毛細管区域を検査するためのデバイス(1)に関し、前記デバイスは、-光学顕微鏡(2)と、-毛細管区域を照明するための光源(6)と、-指を受け入れるための凹部(7)を備える支持体(4)であって、前記凹部が、顕微鏡と対向して位置決めされる開口(92)を備える、支持体と、-顕微鏡(2)が、指の一方の縁部から他方の縁部に毛細管区域をスキャンするように、指の主軸の周りを支持体(4)上で回転するように取り付けられ、-指に圧力を加えることなく凹部の中で指を固定化するために、指の形状に対して凹部の寸法を調整するように構成される固定化手段と、を備える。本発明の検査デバイスは、血管異常を検出するために、指の皮膚の毛細管区域を検査するのに特に好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指の皮膚の毛細管区域を検査するためのデバイス(1)であって、
光学顕微鏡(2)と、
前記毛細管区域を照明するための光源(6)と、
前記指を受け入れるための凹部(7)を備える支持体(4)であって、前記凹部が、前記光学顕微鏡(2)と対向して位置決めされる開口(92)を備える、支持体と、
前記光学顕微鏡(2)が、前記指の一方の縁部から他方の縁部に前記毛細管区域をスキャンするように、前記指の主軸の周りを前記支持体(4)上で回転するように取り付けられ、
指に圧力を加えることなく前記凹部の中で前記指を固定化するために、前記指の形状に対して前記凹部の寸法を調整するように構成される固定化手段と、
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記固定化手段が、3つの方向、X、Y、およびZに前記指を圧迫することなく、前記凹部(7)の中に前記指を固定化するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記固定化手段が、前記指をその上下の表面およびその側面で固定化するように構成される、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記光学顕微鏡(2)が前記指の一方の縁部から他方の縁部に前記毛細管区域のスキャンを実施できるように、前記光学顕微鏡(2)がアーム(3)上に取り付けられ、前記アームの1つの端部が、前記支持体上で前記指の前記主軸の周りを回転するように取り付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記支持体(4)が、空洞(42)を有する固定基部(41)と、前記空洞(42)中に配置される可動構成要素(43)とを備え、前記可動構成要素(43)が、前記指の挿入に適合された寸法を有する凹部(7)を前記空洞の空間内に形成する第1の位置と、前記指に圧力を加えることなく凹部の中で前記指を固定化するように適合された寸法を有する凹部(7)を前記空洞の空間内に形成する第2の位置との間で動かされるように適合される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記指が前記凹部(7)中で固定化されるとき、前記指の形状と一致することが意図される表面を前記凹部(7)が有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記指が前記凹部の中に位置決めされるとき、前記主軸に沿って前記指の1つの端部用に座面を形成するように、前記凹部(7)の中に配置される停止要素(5)をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記光源(6)が、前記毛細管区域上に低角度照明を提供するように配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
寄生反射を除去するために、前記光源と前記光学顕微鏡(2)との間の光学経路上に配置される偏光子および検光子をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記光学顕微鏡(2)によって得られる画像の赤色成分を除去するように意図される少なくとも1つの光学帯域通過フィルタをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛細血管を備える指の皮膚の区域を検査するためのデバイスに関し、より詳細には、血管異常を検出するため毛細管の徹底的な分析を可能にする、毛細管顕微鏡検査による検査のためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
毛細管は、特に爪の周りの皮膚の区域で分析することができる、細い血管である。皮膚は、実際には、爪上皮における爪周囲領域では非常に薄い。毛細管顕微鏡は、毛細管顕微鏡検査とも呼ばれるが、医師が毛細管の検査を実施するのを可能にする器具である。毛細管顕微鏡は、毛細管の形態、爪の周囲での毛細管密度、浮腫または出血の存在、無血管帯または構造的な組織崩壊を可視化することなどといった、いくつかのパラメータを検査することを可能にする。この検査の最後に、医師は、特に、強皮症の最初の徴候である続発性レイノー現象に関連する血管異常が存在するかを確定するために診断を行うことができる。
【0003】
現在では、血管異常は、ほとんどの場合に病院で、一連のできごとの最後に分析される。というのは、専門の医師だけが、検査を可能にする毛細管顕微鏡を有するためである。デバイスは、一般的に、顕微鏡、光源、およびステージが取り付けられるフレームを備える。ステージ上では、患者が顕微鏡の光学対物レンズの射出口と向かい合わせに患者の指を置く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
予防医学の文脈では、強皮症を患っている患者を非常に早期に管理することによって、現在提供される治療処置の無効性を打開することが可能になる。したがって、毛細管区域の簡単で迅速な分析を可能にするデバイスを利用可能にすること、したがって特に、好適な処置を提供して患者の状況の進行を防ぐことを可能にするために、前強皮症段階で患者を検査することが必要である。
【0005】
現在の検査デバイスは嵩張り、すなわち、大きい容積を占有して、運ぶのが難しい。加えて、機器の費用によって、一般的な開業医が検査デバイスを取得することが困難になる。こうして、血管異常の検査は、多くの場合に病院で実施され、したがって、一連の治療の最後となることが多く、そのとき患者は既に病気の進行した段階にいる。したがって、特に異常なレイノー現象の検査のために、毛細管検査を一般化する大きな必要性がある。
【0006】
現在の検査デバイスは、患者の手を載せる板の形での支持体を備える。顕微鏡の下に置かれて検査を受ける指の先端はブロックされず、顕微鏡の観察軸に対して動くことができ、したがってこのことが、画像の品質に悪影響を及ぼし、診断を困難にする。画像品質は、医師が診断を行う、特に、原発性レイノー現象と続発性レイノー現象を区別し、したがって強皮症の早い段階を検出するのに本当に重要である。こうして、毛細管顕微鏡の使用には、現在、医師の側に大きい経験と長い検査時間が必要である。
【0007】
医師によって保持される移動可能な顕微鏡を装備する携帯型毛細管顕微鏡が存在しており、医師は、上皮の表面を検査するために、上皮の一方の縁部から他方の縁部へと患者の指の上を、顕微鏡の1つの端部を動かす。
【0008】
そのようなデバイスは、一般的に使用するのが非常に難しい。というのは、医師は、見ている間、顕微鏡を動かさずに患者の指に顕微鏡を接触させたままにする一方で、同時に、検査期間に患者の指を定位置に保たなければないためである。加えて、検査する毛細管区域の表面、すなわち上皮の表面にはわずかな曲率がある。これらの条件下で、上皮の一方の縁部から他方の縁部に検査を実施するために、医師が顕微鏡または患者の指を動かすとき、曲率があることに起因する、顕微鏡の光学的手段と検査区域の表面の観察点との間の光学距離における変動に関連して合焦が失われるために、顕微鏡を合焦させる必要がある。したがって、上皮の一方の縁部から他方の縁部へのよい品質の画像を撮るのは可能でない。というのは、医師が顕微鏡を指の上で正確に動かし、ただ一方の手で顕微鏡を合焦させるのは不可能なためである。加えて、これらのデバイスは、非常に浅い焦点深度を有しており、得られる画像の品質が一般的に非常によいわけではない。加えて、既存の毛細管顕微鏡に設けられた光学系は、画像の品質に悪影響を及ぼす可能性がある寄生反射を補正しない。
【0009】
本発明は、上で記載した従来技術の欠点を取り除くことを目的としている。
【0010】
本発明の目的は、費用効果的に製造することができ、医師が、ただ一方の手を使用して、顕微鏡の合焦および観察面に対する顕微鏡の角運動を実施することを可能にする一方で、同時に、指を固定化することを可能にして、2と15μmの間の空間解像度を有する高品質画像を提供する、携帯型検査デバイスを利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
指の皮膚の毛細管区域を検査するためのデバイスが提案され、前記デバイスは、
-光学顕微鏡と、
-毛細管区域を照明するための光源と、
-前記指を受け入れるための凹部を備える支持体であって、前記凹部が、顕微鏡と対向して位置決めされる開口を備える、支持体と、
-前記顕微鏡が、前記指の一方の縁部から他方の縁部に毛細管区域をスキャンするように、指の主軸の周りを支持体上で回転するように取り付けられ、
-指に圧力を加えることなく前記凹部の中で指を固定化するために、指の形状に対して凹部の寸法を調整するように構成される固定化手段と
を備える。
【0012】
本発明の有利な実施形態によれば、固定化手段は、指を圧迫することなく、特に3つの方向、X、Y、およびZに指を圧迫することなく、凹部の中に前記指を固定化するように構成される。
【0013】
本出願では、固定化手段は、圧力が指の皮膚の変形をもたらすことになるため、圧力を指に加えることなく、指が凹部の中で動くのを防ぐことを可能にする。
【0014】
固定化手段のおかげで、本発明は、患者の制御されていない動きを回避することによって、指を固定化すること、したがって観察区域を固定することを可能にする。固定化は、指の皮膚に圧力を加えることなく3つの方向X、Y、およびZで達成され、このことが、高品質画像を得ることに寄与する。
【0015】
さらに、指の解剖学的寸法に可能な限り近くに寸法を調整することによって、診断の誤りをもたらす可能性がある毛細血管に生じ得る圧迫を回避するのを可能にする。
【0016】
以下の段落に記載される特徴を任意選択で実装することができる。それらは、互いに独立に、または互いと組み合わせて実装することができる。
【0017】
固定化手段は、前記指をその上下の表面およびその側面で固定化するように構成される。
【0018】
顕微鏡が前記指の一方の縁部から他方の縁部に毛細管区域のスキャンを実施できるように、顕微鏡はアーム上に取り付けられ、前記アームの1つの端部は、支持体上で指の主軸の周りを回転するように取り付けられる。
【0019】
支持体は、空洞を有する固定基部と、空洞中に配置される可動構成要素とを備え、前記可動構成要素が、指の挿入に適合された寸法を有する凹部を空洞の空間内に形成する第1の位置と、指に圧力を加えることなく凹部の中で指を固定化するように適合された寸法を有する凹部を空洞の空間内に形成する第2の位置との間で動かされるように適合される。
【0020】
凹部は、指が凹部中で固定化されるとき、指の形状と一致することが意図される表面を有する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、デバイスは、指が凹部の中に位置決めされるとき、主軸に沿って指の1つの端部用に座面を形成するように、凹部の中に配置される停止要素をさらに備える。
【0022】
有利なことに、光源は、毛細管区域上に低角度照明を提供するように配置される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、デバイスは、寄生反射を除去するために、光源と顕微鏡の間の光学経路上に配置される偏光子および検光子をさらに備える。
【0024】
別の実施形態によれば、デバイスは、顕微鏡によって得られる画像の赤色成分を除去するように意図される少なくとも1つの光学帯域通過フィルタをさらに備える。
【0025】
本発明の他の特徴、詳細、および利点は、以下の詳細な記載を読み、添付図面を分析することから明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態にしたがった、指の毛細管区域を検査するためのデバイスの斜視図である。
図2図1の検査デバイスの支持体の拡大斜視図である。
図3図1の断面A-Aに沿った図1のデバイスの断面図である。
図4図1のデバイスの背面から見た斜視図である。
図5図1のデバイスの光源を有する上板の拡大図である。
図6】光学顕微鏡に挿入されたカメラを装備する、図1の検査デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
様々な図において、同じ参照符号によって示される特徴は、同一または同様の特徴を示す。
【0028】
「上」、「下」という用語およびそれらの派生語は、使用中に位置決めされたときの、検査デバイスの特徴または特徴の部分の位置に関する。
【0029】
本明細書の図1では、主軸を有する指の皮膚の毛細管区域を検査するためのデバイス1の斜視図が概略的に示される。本発明のデバイスは、指の爪のレベルにおける毛細管区域を検査するのに特に好適である。
【0030】
検査デバイスは、正規直交のXYZフレームに配置され、Z-Z軸は垂直方向に向けられ、平面(XY)は、水平面に対応する。
【0031】
デバイスは、垂直軸ZZに沿って延びる顕微鏡アーム3上に取り付けられる光学顕微鏡2、毛細管区域を照明するための光源6、および支持体4を備える。図1では、指(図示せず)が顕微鏡の下に位置決めされるとき、指の主軸は、軸YYに沿って位置合わせされる。
【0032】
図6に図示されるように、顕微鏡2は、適切な有線または無線の手段によって表示スクリーンに画像を送信するカメラ10を備える。カメラは、顕微鏡の光学筒に挿入される。
【0033】
支持体4は、逆「T」字型の外形を有する空洞42を有する固定基部41を備える。より具体的には、空洞は、第1の部分42A、すなわち平面(XY)に延びる「T」基部、および第2の部分42B、すなわち軸Z-Zに沿って向けられる「T」の中心ウェブによって形成される。もちろん、空洞は、この幾何学的形状にのみ限定されるわけではない。
【0034】
図1および図2に図示されるように、空洞42の第1の部分42Aは、X-X方向に実質的に細長い平行六面体形状を有する第1の構成要素44の中に形成される。第1の構成要素44は、2つの透かし側壁44L、後部壁44A、透かし前部壁44AA、上部壁44S、および下部壁44Iを備える。空洞42の第2の部分42Bは、Y-Y方向に実質的に細長い形状を有する第2の構成要素45の中に形成される。第2の構成要素45は、平面(XY)に配置される底45F、平面(YZ)に沿って延びる2つの側枝45L、および後部壁45Aを有する逆U字セクションを有する。第2の構成要素45は、第1の構成要素44の上部壁44Sのほぼ中心に配置される。
【0035】
固定基部41は、機械加工された、または3Dプリントで得られた1片の構成要素であってよい。1つの変形形態によれば、固定基部41は、逆T字型のように成形される空洞を形成するため一緒に接合される2つの別個の構成要素44、45から形成される。固定基部41は、検査期間中の、顕微鏡の何らかの不要な動きを回避するため、安定化手段をさらに備える。このため、第1の構成要素44は重くすることができる。1つの変形形態では、第1の構成要素44の下部壁は、吸引カップまたは接着要素などといった接着手段を備えることができる。
【0036】
検査デバイスは、空洞42の中に配置されるように構成される、逆T字型の形状の外形を有する可動構成要素43を備える。可動構成要素43は、この幾何学的形状に限定されない。可動構成要素43は、平面(XY)に延びる第1の構成要素43Aおよび軸Z-Zに沿って向けられる第2の構成要素43Bを備える。可動構成要素43は、可動構成要素43の第2の構成要素43Bの上面43BSと空洞42の底45Fの内壁が指を受け入れることを意図する凹部7を画定するように、空洞42の中に配置される。可動構成要素の第2の構成要素43Bの上面43BSは、患者の指が位置決めされる座面を有する。凹部7は、軸Y-Yに沿って向けられる主軸を備える細長い形状を有する。こうして、指が凹部の中に挿入されると、指の主軸と凹部7の主軸が一致する。第2の構成要素43Bは、可動構成要素の第1の構成要素43Aによって空洞42内に吊り下げられる。後者は、クランプ手段20、21によって固定基部41の第1の構成要素44の下部壁44Iの端部に接合される2つの端部を有する。
【0037】
可動構成要素の2つの構成要素43Aおよび43Bは、2つの別個の構成要素であり、第2の構成要素43Bは、第1の構成要素43Aに対して摺動可能であるように取り付けられる。こうして、患者の指を検査した後で清浄化するために、凹部7から第2の構成要素43Bを容易に取り外すことが可能である。
【0038】
有利なことに、デバイスは、空洞42中の可動構成要素43を第1の位置と第2の位置の間で動かすことを可能にする、運動手段20、21を備える。第1の位置では、可動構成要素43の第2の構成要素43Bの上面43BSと、固定基部41の第2の構成要素45の底45Fの内壁とが、患者の指のうちの1つの挿入に好適な寸法を有する凹部7を画定する。第2の位置では、可動構成要素43の第2の構成要素43Bの上面43BSと、固定基部の第2の構成要素45の底45Fの内壁とが、凹部7の中で患者の指をブロックするのに好適な寸法を有する凹部7を画定する。指は、圧迫されることなく、固定基部45の第2の構成要素45の底45Fの内壁に対して固定化される。空洞42の中の可動構成要素43の運動は、軸ZZに沿って行われる。
【0039】
一実施形態によれば、運動手段は、凹部7の両側に配置されるクランプ手段20、21によって形成される。
【0040】
1つの変形形態によれば、可動構成要素43は、空気圧式手段によって動かすことができる。たとえば、空気圧式手段は、デバイスの固定基部41の空洞42A中に置かれる膨張式クッションを備える。患者の指が凹部の中に正しく位置決めされるとクッションの加圧をトリガすることができる。凹部の中で指を固定化するためにあるレベルの圧迫をするため、加圧は自動的に調整される。
【0041】
形成される凹部7は、指が固定基部41の第2の構成要素45の底45Fの内壁に支持される位置にあるときに、指の上部の解剖学的形状に合致することができるように、ほぼ丸い底を有する、実質的に逆「U」字型の形状の断面を有する。
【0042】
こうして、指は、指の上面が固定基部45の第2の構成要素の底45Fの内壁に寄りかかり、指の下面が可動構成要素43の第2の構成要素43Bの上面43BSに寄りかかることによって、方向Z-Zで凹部7の中で固定化される。方向X-Xでは、指は、固定基部41の第2の構成要素45中に形成される凹部7の「U」字型の2つの側枝45Lの2つの内壁によってブロックされ、こうして指は、その側面によって固定化される。
【0043】
デバイスは、平面(XY)に延び、固定基部の第2の構成要素45の底45Fに固定される板9をさらに備える。板9は、凹部7と連通する開口92を有する、顕微鏡2に向けられる上面91を有する。こうして、顕微鏡2は、開口92を通して、指の皮膚の毛細管区域を観察することができる。好ましくは、板9と固定基部41が単一の部片を形成する。1つの変形形態によれば、板9は、従来型固定手段によって固定基部41の底45Fに固定される別個の構成要素である。
【0044】
有利なことに、固定基部41の第1の構成要素44の上部壁44Sは、検査フェーズ期間に努力することなく、検査対象の指を並べた複数の指を定位置に置くことができるように、凹部7に対して配置される2つのフランジ44G、44Dを備える。
【0045】
図3に図示されるように、デバイスは、孔を介して、固定基部41の第2の構成要素45の後部壁45Aによって、凹部7の中に挿入される停止要素5を備える。停止要素は、頭部51および孔の中に挿入される細長い本体52を備える。細長い本体の横方向端部は、指が凹部7の中に挿入されるときの指の端部のための座面53を有する。停止要素は、クランプ手段によって形成され、停止要素の位置は、ねじによって、Y-Y方向に停止要素を動かして凹部7の中で調整することができる。したがって、指は、Y-Y方向にやはりブロックされる。
【0046】
図4に図示されるように、検査デバイスは、好適な枢動連結手段を介して支持体4上で回転するように取り付けられる下端31を有する顕微鏡アーム3を備える。より具体的には、アームは、指の主軸である回転軸Y-Yの周りを平面(XZ)中で回転するように動き、その結果、顕微鏡は、指を動かすことなく、指の一方の縁部から他方の縁部に指の曲率に沿って毛細管区域を撮像することができ、指は検査期間に凹部7の中で固定化される。回転軸Y-Yの周りのアームの運動は、連続的または段階的であってよい。好ましくは、アームは、回転軸の周りで軸Z-Zに対して-15°と+15°の間で動くことができる。角運動は、図4で両矢印Fによって表される。一実施形態によれば、顕微鏡は、3つの画像、すなわち指の中心の画像および各縁部の画像を撮影するため3つの位置を想定することができる。デバイスは、軸Z-Zの両側のアームの2つの角度位置を固定するために、アーム3の下端31の左右にそれぞれ配置され、固定基部41の第2の構成要素45の後部壁45A上に配置される2つの止め具32D、32Gを備える。2つの止め具は、アームが両側に10°と15°の間の最大角度だけ中心位置から離れて動くことができるように配置される。
【0047】
したがって、アームの回転によって、検査するべき面の曲率にかかわらず、観察する指の皮膚の毛細管区域の表面に対して垂直に顕微鏡の光軸を置くことが常に可能になる。この方法では、検査する指を動かすことなく、上皮の中心と2つの縁部の両方を撮像することが可能である。
【0048】
アーム3の端部31に設けられる枢動連結手段は、従来型手段である。枢動連結手段は、第2の構成要素の後部壁45Aから突出し、その周りをアームの下端31が回転するよう取り付けられる回転ピンを備えることができる。アーム3上および板9の上面91上に配置される標準的な機械式マーカによって、アーム3を垂直位置に位置決めすることが可能になる。
【0049】
顕微鏡2はアーム3に固定され、顕微鏡の光軸がアームの軸に平行に延びる。図1に示されるように、顕微鏡の外壁22は、顕微鏡の光学対物レンズおよびカメラにとっての合焦リングを形成する。こうして、医師がただ一方の手を使用して、光学対物レンズの軸Z-Zに沿った垂直運動を得るため軸Z-Zの周りに顕微鏡を回転することが必要になる、アームを回転軸Y-Yに対して所望の角度位置に動かし、顕微鏡の合焦を実行することが可能となる。
【0050】
図5を参照して、検査デバイスは、検査する指の皮膚の毛細管区域を照明するための光源6を備える。光源は、たとえば、複数の発光ダイオード(LED)61を備える。一実施形態によれば、LEDは、たとえば、赤色成分を除去するよう、青色および緑色といった様々な色のLEDを備える。1つの好ましい実施形態によれば、LEDは、白色光を放出する。この場合、光源は、赤色成分を除去するために、LEDによって放出される入射光線の経路上に、または顕微鏡の光学系の前に配置される光帯域通過フィルタを備える。赤色成分の除去によって、有利なことに、画像中の毛細管のコントラストを向上させるのが可能になる。
【0051】
1つの変形形態によれば、光源は、蛍光顕微鏡検査法におけるマーカフッ素の分析を実行するのに好適なレーザ発生源である。一般的に、光源は、任意の他のタイプのマーカ分析を実施するのに好適である。
【0052】
光源は、位置合わせしたLEDの少なくとも1列を備える。その列は、上板9の開口92の縁部に軸X-Xに沿って延び、その結果、LEDによって供給されるすべての入射ビームが、指の主軸の方向に向けられる。LEDの列は、寄生反射を抑制するために、検査区域の表面に低角度照明を発生させるように、指の毛細管区域の表面に対して配置される。照明を増加して均一な照明を得るために、第1の列に平行で開口92の反対の縁部上にLEDの第2の列を配置することができる。
【0053】
好ましくは、デバイスは、寄生反射を除去するために光源と顕微鏡の間の光学経路上に配置される、偏光子および検光子を備える。例として、偏光子は、LEDによって放出されるビームと検査区域の間に配置される。検光子は、検査区域から反射されるビームと顕微鏡の間に配置される。
【0054】
図5を参照して、デバイスは、LED61の2つの列を受け入れるように意図される支持体8を備える。支持体は、支持体8が板9の上面91上に固定されるときに開口92を枠に入れることが意図されるフレームを形成する4つのバー81、82、83、84から構成され、2つのバー81、84が軸Y-Yに沿って向けられ、2つのバー82、83が軸X-Xに沿って向けられる。軸X-Xに沿って向けられるバー82、83の各々は、検査のために毛細管区域に向けられ、LEDの列を備える略傾斜面82Aを有する。支持体8は、4つの従来型固定手段85を使用して板9に固定される。
【0055】
一実施形態によれば、図1では両矢印で表される基部の高さ(H)は、検査する手の手首が、固定基部が置かれる表面上に置かれるように規定される。こうして、人間工学的な位置によって、検査する指に緊張を引き起こさないことが可能になる。緊張は、毛細管検査の結果を歪ませる可能性がある。
【0056】
本発明の検査デバイスは、糖値、酸素、心拍数、または乳酸を測定するためのモジュールなどといった他の検査モジュールを受け入れるように構成される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、毛細管顕微鏡検査によって検査を実施するのが必要な任意の分野に適用することができる。本発明は、特に、上皮における毛細管区域を検査するのに好適である。
【0058】
本発明は、上で述べた例に限定されない。図示される例の特徴は、特に、図示されない変形形態内で、互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 デバイス
2 光学顕微鏡
3 顕微鏡アーム
4 支持体
5 停止要素
6 光源
7 凹部
9 板、上板
10 カメラ
20 クランプ手段、運動手段
21 クランプ手段、運動手段
22 外壁
31 下端、端部
32D 止め具
32G 止め具
41 固定基部
42 空洞
42A 空洞、第1の部分
42B 第2の部分
43 可動構成要素
43A 第1の構成要素
43B 第2の構成要素
43BS 上面
44 第1の構成要素
44A 後部壁
44AA 透かし前部壁
44D フランジ
44G フランジ
44I 下部壁
44L 透かし側壁
44S 上部壁
45 第2の構成要素
45A 後部壁
45F 底
45L 側枝
51 頭部
52 細長い本体
53 座面
61 発光ダイオード、LED
81 バー
82 バー
82A 略傾斜面
83 バー
84 バー
85 従来型固定手段
91 上面
92 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】