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特表2022-525236慢性疼痛の緩和の目的で、多感覚刺激及びマルチモーダル刺激を介して、わくわく感又は美的鳥肌感を喚起する装置及びその使用方法
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  • 特表-慢性疼痛の緩和の目的で、多感覚刺激及びマルチモーダル刺激を介して、わくわく感又は美的鳥肌感を喚起する装置及びその使用方法 図1A
  • 特表-慢性疼痛の緩和の目的で、多感覚刺激及びマルチモーダル刺激を介して、わくわく感又は美的鳥肌感を喚起する装置及びその使用方法 図1B
  • 特表-慢性疼痛の緩和の目的で、多感覚刺激及びマルチモーダル刺激を介して、わくわく感又は美的鳥肌感を喚起する装置及びその使用方法 図2
  • 特表-慢性疼痛の緩和の目的で、多感覚刺激及びマルチモーダル刺激を介して、わくわく感又は美的鳥肌感を喚起する装置及びその使用方法 図3
  • 特表-慢性疼痛の緩和の目的で、多感覚刺激及びマルチモーダル刺激を介して、わくわく感又は美的鳥肌感を喚起する装置及びその使用方法 図4
  • 特表-慢性疼痛の緩和の目的で、多感覚刺激及びマルチモーダル刺激を介して、わくわく感又は美的鳥肌感を喚起する装置及びその使用方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】慢性疼痛の緩和の目的で、多感覚刺激及びマルチモーダル刺激を介して、わくわく感又は美的鳥肌感を喚起する装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20220428BHJP
   A61F 7/00 20060101ALI20220428BHJP
   A61M 21/02 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A61H23/02 330
A61F7/00 310J
A61M21/02 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555882
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 CL2019000027
(87)【国際公開番号】W WO2020014797
(87)【国際公開日】2020-01-23
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】521422709
【氏名又は名称】ジョージ・セラニ・モスタサル
【氏名又は名称原語表記】SERANI MOSTAZAL,Jorge
【住所又は居所原語表記】Vasco de Gama 4490,Departamento No81,Las Condes,Santiago,C.P.7580384,Chile
(74)【代理人】
【識別番号】100114638
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 寛也
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・セラニ・モスタサル
【テーマコード(参考)】
4C074
4C099
【Fターム(参考)】
4C074BB05
4C074CC01
4C074GG11
4C074HH02
4C074HH05
4C099AA05
4C099CA01
4C099EA02
4C099GA23
4C099JA02
4C099PA01
4C099TA03
(57)【要約】
慢性疼痛を患う患者の、自身のわくわく感を誘発、強化、維持することによるセルフケアのための機器。多感覚刺激及びマルチモーダル刺激を使用して達成する。脊椎の皮膚表面には、音楽刺激、視覚刺激、芳香刺激、振動触覚刺激、そして冷刺激が適用される。さらに、知覚学習を通じてそれらを使用する方法が提示される。装置は、コンピュータと、音楽・ビデオプレーヤを備えたコンピュータシステム、照明、アロマの提示、及び流体アクチュエーターを備えた閉鎖式流体回路で構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性疼痛の患者の治療のために、従来の感覚刺激とともに、該患者自身のわくわく感又は美的鳥肌感を誘発させるセルフケアの方法であって、該方法は、
心理的、感覚的及び生理学的なテスト、心理的構成概念、不安及び恐れとともに疼痛の経験に起因する気分を通じて前記患者を評価するステップと、
自己報告により前記患者の身体能力を評価するステップと、
達成すべき生理学的パラメータについて前記患者に知らせながら、血圧、心拍数、皮膚コンダクタンスを測定する機器を前記患者に示すステップと、
前記患者の情動状態に応じて、刺激の強さ、密度、持続時間、量及び頻度に応じて前記患者が受ける刺激を前記患者に示すステップと、
コンピュータ及びその対応するモニタ、スピーカ及び/又は補聴器を備えたワークステーション、並びに視聴覚刺激を提供するマルチメディアファイルを再生する方法を前記患者に示すステップと、
本発明の閉鎖式流体回路を前記患者に提示して、それによって触覚的、振動触覚的及び冷刺激を前記患者に提示するステップと、
アプリケーションプログラムの自動実行のためのサービスを提供する操作可能なコンピュータプログラムを用意し、前記プログラムが実行されるアプリケーションの環境としてうまく機能するようにするステップと、
行動、諸感覚の機能、瞬間的反応及び/又はそれらの生理学的パラメータを変化させるため、前記従来の感覚刺激によって前記患者の中に自身のわくわく感を誘発するステップと、
一組の感覚及び特定の刺激を、前記患者に提供するために異なる手法が用いられる多感覚的方法で前記患者に前記刺激を提供するステップと、
異なる感覚源からの感覚が統合されたマルチモーダル方法で前記患者に前記刺激を提供するステップと、
音楽のリズムの機能として、時間及び動きに関して、前記刺激の提供を同期させるステップと、
前記患者の身体能力の自己評価に加えて、前記患者の生理学的パラメータとしての血圧、心拍数、及び電気コンダクタンスについての前記患者の自己評価を取得するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記患者の疼痛及び身体能力の評価が、強度、特性、位置、照射、時間、関連因子、意味合い及び意味を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記感覚の評価では、前記患者が受ける、異なる種類の刺激が持つ特性に対する反応を刺激し、喚起し、測定し、分析しかつ解釈することを考慮する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
不安及び/又は恐れ構成概念の評価が、次の認知技能:分割的注意、選択的注意、持続的注意、数理的論拠、視覚的解析、柔軟性、抑制、空間記憶、文脈記憶、短期記憶、作業記憶、視空間記憶、短期視覚的記憶、聴覚的知覚、空間知覚、視覚的知覚、計画、論理思考、問題解決、急速反応時間、処理速度によって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
種々の刺激が、化学的、電気化学的、物理的、生物的、生理学的、振動的刺激、圧力や緊張、運動、温度、液体、気体、光、音による刺激、構造的、心理的、情動的、感覚的刺激、外的や内的刺激、条件付きや無条件の刺激、動機付け刺激又は意識下の刺激である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
音楽的刺激が、クラシック音楽、オペラ、映画音楽、バラード及びメランコリックメロディー、軍隊行進曲、ボサノバ、音階や楽器の音符を含み、この場合、音響が前記ワークステーション(図2)と(202)にあるスピーカから出る、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
視覚刺激が、前記患者の関係事項の画像、景色、川、海、波、森、庭園のような自然の画像を含み、これらの画像が前記ワークステーションのモニタ(図2)(211)から映し出される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記閉鎖式流体回路(図4)が、3台の流体ポンプ、すなわち1台の蠕動ポンプ(401)及び2台のダイアフラムポンプ(403)と(404)、ホース及び接続部、1つの流体アクチュエータ(500)、1つのクーラー(406)、1つの温度センサ(408)、1つのサーモスタット(407)、及び通常閉の3つの電磁弁(そのうち1つが3方向2位置(401)、2つが2方向2位置(413)と(414))を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記閉鎖式流体回路が、前記患者の肩からその反対側の臀部(図1A)及び(図1B)までベルトを装着した胴周りに配置され、3台のポンプ、クーラー、温度センサ、サーモスタット及び3方向電磁弁が容器(102)内に収められる一方、チューブ(405)の一部、アクチュエータ(図5)と(500)、及び2方向電磁弁が、脊椎の上部を覆っている皮膚部位をこすり、フレキシブルチューブが、そのチューブの振動を維持するように緩められた状態でダブル吸引カップ(101)により前記皮膚に支持されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ペルチェ・プレート・モジュラー(図4)と(406)は、該モジュラーのそれぞれにファンとウォーターブロックを備え、吸気口(408)に温度センサを設け、該温度センサからの読み取り値はパソコン画面上で見ることができ、また220Vの家庭用電源で電力供給される、デジタルサーモスタットSTC-1000(407)を設け、該サーモスタットは、独立した方法で制御され、また調節に応じて3つのペルチェ素子及び各ファンのセットを動作開始/停止させ、該ペルチェ素子及びファンは12V及び40Aの電源から電力供給される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記蠕動ポンプ(402)及び前記流体回路(図5)と(500)の前記アクチュエータが、前記チューブの壁に伝達される乱流及び振動を引き起こし、このようにして、前記脊椎上部を覆う前記皮膚の部位に振動触覚刺激を提供することができる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記流体回路の動作が、前記ワークステーションのコンピュータ上のコンピュータシステムにより制御される触覚、振動触覚及び冷刺激の提供を可能にする、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
触覚、振動触覚及び冷刺激の適用を可能にする前記流体回路が、前記蠕動ポンプの時間と速度の点でパソコンからランダムに作動可能である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記流体回路は、閉鎖3方向電磁弁によって機能的に分離される2つの並列のハーフ回路の図4、(409)と(410)を備え、第1のハーフ回路(410)の動作は、プログラム搭載のArduino Nanoマイクロコントローラ(A0)によって制御され、当該マイクロコントローラは、前記パソコンからのAndroid USBケーブル経由で、5Vリレーモジュール及び3チャンネルにより、前記3方向電磁弁の開動作と2台のマイクロダイアフラム電磁ポンプの起動とを同時に制御する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記2台のダイアフラムポンプの吐出は、2本の独立したチューブ(図4)(417)と418)によって行われ、その後、これらのチューブは、蠕動ポンプの吐出チューブに接続する3本目のチューブ(419)とつながり、両方のマイクロダイアフラムポンプがチューブ(420)経由で前記クーラーの方へ送る流体が、前記ワークステーション(図2)と(210)のLEDランプ2個の動作と同様に、前記コンピュータのマルチメディアプレーヤの音楽のリズムに合わせられる、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記セミ回路(410)の機能は、可聴信号を検出してそれらを電圧信号に変換可能であるサウンドセンサによって発揮され、該電圧信号は前記マイクロコントローラのアナログ入力によって読み取られ、そこに搭載されたプログラム“code_musical_source.or”が、高周波数と低周波数を分離することによりこれらの信号の分析を行い、前記マイクロダイアフラムポンプ(出力D12及びD13)を作動させ、前記マイクロダイアフラムポンプが、パソコンから1本のUSB Androidケーブル及び3チャンネル(弁あたり1チャンネル)のリレーモジュールを介して制御され、前記流体セミ回路(403)と(404)の前記ダイアフラムポンプの各々、及びLEDランプが、異なる可聴周波数を持つ2台以上の機器で動作する、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
第2のセミ回路には2つの動作モードがあり、(409)の第1の動作モードでは、流れが単一方向を有し、第2の動作モードでは、前記アクチュエータのシリンダ及びピストンの長さによって与えられる限られた範囲内での前記蠕動ポンプのステッパモータの前進・後退動作により、流れが(409)と(409A)の双方向に交互に動作する、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の動作モードでは、前記ハーフ回路(409)と(410)により共有される前記3方向マイクロミニバルブ(401)が、前記第2のハーフ回路(409)側に開き、この際、前記蠕動ポンプは起動され、前記蠕動ポンプには、チューブ(413)を通って流れが供給され、前記チューブ(420)内にその流れが吐出され、チューブ(420)は、前記2台のダイアフラムポンプからのチューブ(419)に接続され、また、前記3方向電磁弁が開状態を継続し、前記蠕動ポンプが動作中の間に、流れは前記第2のセミ回路内で前記ペルチェ・プレートクーラーまで再循環し、かつ、前記流体アクチュエータが(図5)と(523)の方向に開状態である、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の流体セミ回路(409)の前記第1の動作モードの機能は、前記Wemos D1ミニカードによって発揮され、前記ミニカードは、前述の通り前記蠕動ポンプの起動/停止の両方とともに、それの回転速度、実行時間、サイクル再始動時間、及び運動、速度及びランダム時間を選択するオプションを制御する役割を担っており、これは前記Wemos D1ミニカードへのUSB Android接続を介してパソコン経由で実行され、前記ピンD3により、前記ミニカードが、必要なパルスをドライバーのDAT入力に直接送信し、前記蠕動ポンプへ向かう前記電磁弁の開きを制御する前記チャンネルのリレーにより、起動/停止が実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の流体セミ回路(409)(409A)の前記第2の動作モードは、脊椎上部を覆う皮膚をわずかに撫でることを目的とし、前記蠕動ポンプの前記ステッパモータの前進/後進動作とともに、アクチュエータ(図5)と(500)、1つの3方向2位置電磁弁及び2つの2方向2位置電磁弁の作動により実現される、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
所定の距離において双方向に作動する前記ステッパモータ機能は、前述した通り、前記Wemos D1ミニカードにより実現され、同時に前記パソコンからAndroid USBケーブルを介して、5Vリレー及び4チャンネルのモジュールにより、前記蠕動ポンプ及び前記3方向ミニマイクロ電磁弁及び2つの前記2方向電磁弁の同時起動/停止をも制御する、請求項8に記載の方法。
【請求項22】
前記流体アクチュエータ図5、(500)は、皮膚に接触する模造毛皮生地(502)の中に部分的にライニングされているシリンダ(501)から構成され、中央位置(503)から始まり、中央に対して内部にリング(506)を備え、また固定された中空の1対のプランジャー上で、長手及び交互の両方向及び同一距離(504)又は(505)を移動し、水が前記チューブ(507)及び(508)の内側を循環し、反対方向(509)及び(510)を指す環状ノズルで終端する。水はシリンダの両端に向かって、流体回路チューブ(511)と(512)に吐出され、前記アクチュエータは前記シリンダの両側面に配置された、前記2つの2方向2位置電磁弁(413)及び(414)によって駆動される水によって交互に動力供給され、前記電磁弁の狭い先端から等しい距離にある前記プランジャーの各々の外側には、停止手段として機能し、前記シリンダの両方向への前進を制動できる2つのリング(515)及び(516)が配置され、両プランジャーの各々が2つのインナーリング(517)及び(518)を有しており、メッシュ(521)及び(522)を捕らえる2つのチューブコネクタ(519)と(520)はねじで留めるために外側にねじを切られた端部を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項23】
幾何形状により前記プランジャーの前記インナーリング(517)と(518)は、前記メッシュ(521)と(522)と同様に、乱流の生成を目的としており、前記アクチュエータがどちらかの方向に移動する距離は、対応する変位量で前記モーターが少しずつ移動する角距離と等しくなければならない、請求項8に記載の方法。
【請求項24】
本発明の匂い物質は、電源(302)に接続されるエッセンシャルオイルディフューザ(図3)と(301)を介して提供され、前記ディフューザは、2つの容器(303)と(304)を備える2つのオリフィス付きのボックスを備え、これらの容器は、それぞれに1つずつ、2つの抵抗(305)と(306)並びにオイル(307)と(308)に浸した綿を備え、前記計算システムによって前記パソコンから制御されるプロセスで、前記抵抗がヒートアップするとき、前記ボックスの穴から該オイルが放出され、Wemos D1ミニカードは、前記ディフューザを制御するのに使用され、該Wemos D1ミニカードは、1つの容器内でいずれも個別に、又は2つの容器で並列に前記ディフューザを起動開始/停止する機能を担い、これは前記電源から順に由来する24Vの電気ストリップの通電を可能にするために2チャンネルリレーモジュール(309)を介して前記パソコンから行われる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[国際特許分類]
A61H 1/00、A61H 23/00、A61H 39/00、A61H 39/06、A61H 15/02及びA61K 9/72
【0002】
本発明は、多感覚刺激及びマルチモーダル刺激によって患者自身のわくわく感を喚起及び/又は強化及び/又は維持することによって、慢性疼痛を患う患者のセルフケアのための装置及びその使用方法を提供する。本発明によって提供される個人的及び社会的利益の中には、薬物の習慣性を生じさせずに治療の費用を削減させ、有害な副作用を減らすことによって患者の個人の家族生活及び会社生活を改善することがある。
【背景技術】
【0003】
本発明の最終的な目的は、患者自身に何が起こっているかについての無知及び無力感が不安及び恐れを悪化させるので、それを制御する能力を取り戻すことができることについて慢性疼痛を患う患者を安心させることである。Holden RとHolden J.(2013)。
【0004】
国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain: IASP)によって与えられた慢性疼痛の標準的な定義は、組織に関して通常の疼痛を超えて長期間持続する痛みである。任意の方法で、慢性疼痛は、継続的な急性疼痛の後、12週間以上続く痛みとして定義されている。医学的レベルでは、急性疼痛と慢性疼痛の違いは、急性疼痛では治療の目標がその原因を示すことであるのに対して、慢性疼痛では機能性及び患者の生活の質を最大化するためにその影響に注意を向けることである。
【0005】
世界中で15億人が慢性疼痛に苦しんでおり、約1億人の北米人が慢性疼痛に苦しんでおり、経済に重要な影響を及ぼしていると推定されている。この最後の国では、この種の疼痛に起因する生産性の損失額は、他の要因の中でもとりわけ、患者とそれに関連する社員の作業時間の損失に起因して、年間約2990~3250億ドルと推定される。
【0006】
Mills S.et al(2016)によると、慢性疼痛は一般的で複雑で困難な状態であり、良好な結果で対処するには、個人の生物学的、社会的、身体的、心理的背景を理解することを必要とする。 Simons L.et al(2014)は、慢性疼痛は、感覚的、情動的、認知性、及び内生的処理を含む複雑な脳回路を巻き込んでいると主張している。これは、慢性疼痛を悪化させる(併存症)神経系の変化を引き起こすため、厳密には別の病理である。
【0007】
著者のBushnell M.C.et al(2013)の書誌レビューによると、疼痛は人々の間で大きく異なる可能性がある感覚的経験及び情動的経験であり、さらには個人においても、疼痛の状況や意味及びその人の心理状態に左右される。不安や恐れなどの認知性及び情動的要因は、疼痛の認識に重要な影響を及ぼす。
【0008】
疼痛は情動や認知機能に悪影響を与える可能性がある。否定的な情動状態は、疼痛の増加につながる可能性がある一方、肯定的な情動状態はそれを軽減する可能性がある。同様に、注意や記憶などの認知状態は、疼痛を増減させる可能性がある。確かに、情動と認知は互いに相互作用する可能性がある。
【0009】
一般的な用語において、慢性疼痛のある患者に影響を与える痛みは、次のように分類できる。
- 侵害受容性疼痛:その病因が炎症又は継続的な末梢損傷である痛み。この種類の痛みは、投薬や医療処置に応答する可能性がある。
- 神経障害性疼痛:末梢神経への心的外傷によって引き起こされる痛み。この痛みは薬物療法に応答する可能性がある。
- 中枢疼痛:この種類の痛みは一定であり、中等度から重度になる可能性があり、疼痛系の感作を引き起こす中枢神経系(CNS)の損傷に起因する。この種類の痛みは、向精神薬やオピオイドを使用しない治療法によく応答する。
【0010】
Mayo Clinic(メイヨークリニック)のスタッフは、従来の薬の治療の一部である慢性疼痛に適切な投薬を以下の通り書き留めている。(WHOのステップIからIII)。
【0011】
【表1】
【0012】
慢性疼痛を緩和するための薬の使用に代わるものは、侵襲的及び非侵襲的方法を含む、神経刺激治療法(WHOステップIV)の使用である。これらの治療では、神経回路のネットワークの神経刺激を喚起するために電磁エネルギーを特定の解剖学的標的に印加する。著者Edwards C. et al(2017)は、この種類の装置の3つのデバイス(脳の深部刺激、運動野刺激及び迷走神経刺激)を提示する文献レビューを行った。
【0013】
これらすべての植込み型システムには、電極、延長部、パルス発生器の3つの主要コンポーネントが含まれている。電極は、標的部位に植え込まれ、延長部は電極をパルス発生器に皮下接続し、パルス発生器はまたデバイスに電気エネルギー(バッテリー)を提供する。パルスは、疼痛を引き起こす電気信号を妨害及び阻止する。これは、著者Merzack RとWall P.(1965)のゲートコントロール理論(Gate Control Theory)に基づく効果である。
【0014】
薬理学的治療、とりわけオピエート(麻薬)治療は、慢性疼痛の緩和のために頻繁に使用されてたが、非癌性患者に後の時期にそれらを使用することには、忍耐、依存、依存症、及びその高コストの問題のために消極的である。慢性疼痛の治療に統合医療戦略の活用への関心が高まっているのはこれらの理由からである。
【0015】
著者のYuan-Chi Lin et al(2017)は、文献レビューを行った。栄養補助食品、ヨガ、リラクゼーション、太極拳、マッサージ、 脊椎マニピュレーション、鍼治療などを含む慢性疼痛の治療に関して、統合医薬療法についての1686件の発表が確認できるであろう。
【0016】
文献レビューは、オピオイドの使用を減らす補完医療として、ヨガ、リラクゼーション、太極拳、マッサージ、脊椎マニピュレーション、そして鍼治療の堅実な支持の中程度ではあるが、ポジティブな効果の証拠を示している。
【0017】
[最先端技術]
[多感覚刺激とマルチモーダル刺激]
Holmes N.et al(2009)によると、多感覚刺激とは、様々な感覚モダリティ(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の古典的な五感)とともに、これらの刺激の知覚と受容に関連する変化を生じさせる、自己受容感覚、運動感覚、痛覚と平衡感覚などのあまり目立たない感覚からの情報の組み合わせを指す。
【0018】
Laird D.(1985)は、学習において、成人によって報告された知識のほとんどが視覚(75%)を通じて、聴覚(13%)を通して、そして残りの感覚(12%)によって獲得されたため、感覚によって提供される情報に非対称性があることを観察した。 Sawkut R.(2010)によると、学習とは、被験者が知識の蓄えを増やし、環境に適応するためにその知識を使用するプロセスであることが理解される。
【0019】
多感覚刺激について討論するときは、感覚と知覚を展開するために感覚を介した情報の入力について言及して、学習が構築される最初の要素であり、基本的な認知機能の発達の第一段階を含み、次いでより高い認知機能の発達が続く。
【0020】
マルチモーダル知覚は、知覚処理のある時点で、どのように感覚が選択され、整理され、解釈されるかを扱う。その中で様々な感覚モダリティからの情報が統合される。Follman R.et al(2018)によると、感覚によって捉えられた情報は、最初に別々に統合され、次に皮質及び皮質下領域を含む、様々なマルチモーダル収斂領域、さらにマルチモーダル関連領域においても結合される。
【0021】
統合されたマルチモーダル刺激に対する応答は、個々のユニモーダル応答の合計よりも大きいことが示されている。Calvert et al(2004)は、個々に提示された弱くて効果がない刺激がどのように優加法的に組み合わせることができるかを実証した、個々の部分の線形結合よりも強烈で豊かな多感覚体験を生み出すことができることを示した。マルチモーダル刺激は、最近脳に損傷を受けた患者のリハビリテーションによく使用される。
【0022】
James K.et al(2018)によると、今日のマルチモーダル多感覚学習をサポートするメカニズムは、より効率的な適応系を生成するためのリンクとして機能する隔離ニューラルネットワークの組み込みをはじめとする、複数の利点があるため、よりよく理解されている。
【0023】
環境との相互作用が多感覚及びマルチモーダル処理を伴うという事実は、その相互作用が、情動調整と認知プロセスの理解による疼痛管理をはじめとする、他の多くのドメインでの学習を容易にすることを可能にする。本発明では、以下の種類:a)音楽療法、b)視覚刺激、c)振動触覚刺激、d)寒冷療法、e)アロマセラピーの刺激の多感覚及びマルチモーダル提示及びそれらの応答について説明されている。
【0024】
[音楽療法]
アメリカ音楽療法協会(American Association of Musical Therapy:AMTA)によると、音楽療法は、患者の機能的な身体的、心理的、認知的及び/又は社会的側面を改善することを目的とした癒しの方法で音楽を使用することで構成されている。さらに、音楽療法の介入は、幸福を促進し、ストレスを管理し、痛みを和らげ、感情を表現し、コミュニケーションを改善し、身体的リハビリテーションを促進するように設計することができる。音楽は聞こえるだけでなく、身体の中で感じられると言われている。音楽が、聴取とともに、自己受容感覚、平衡系及び/又は皮膚タッチに加えて、他の感覚が体験に関与していることを示唆している。
【0025】
音楽はトーンと音色によって差別化されるが、音符のシーケンスの処理によっても区別され、リズム、テンポ、及びメトリックが生じる。Brochard.R.et al(2008)は、人々が視覚や光の点滅によってメトリックの構造を抽出できないと想定したが、実験を通じて、人々が触覚刺激(指先のヒリヒリ感)からメトリックを抽出できたことを実証できた。
【0026】
Huang J.et al(2013)は、皮膚と体の深部組織を神経支配する皮膚求心性神経の刺激がメトリックの知覚に寄与することを実証するための実験を行った。参加者は、2つのシーケンス(2つのパルスの1つ(マーチのような)と3つのパルス(ワルツ)の1つ)を区別する必要があった。刺激は3つの異なる方法:1)ユニモーダル(聴覚と触覚を別々に)、2)聴覚チャネルと触覚チャネルの間に分散されたバイモーダル入力の様々な組み合わせ、及び3)2つのチャネルに符号又は非符号のパスワードメトリックが含まれている同時バイモーダル入力、で参加者に提示された。
【0027】
Huang et alは、触覚キーと聴覚キーが別々に提示された場合、メトリックが70~85%十分に知覚されることを最初に実証した。バイモーダル入力では、キーは、首尾一貫したメトリックの知覚表象(芸術的に卓越した作品)を生成するために触覚キーと聴覚キーが統合された。さらに、メトリックのすべての重要な音符がは単一のチャネルに割り当てられたとき、70~90%の高いパフォーマンスが観察された。音符の半分が残りのチャネルに割り当てられたとき60%に減少した。両方のチャネルで同時に音符を提示することにより、符号キーは認識を最大ほぼ90%向上させた。これらの結果は、交差感覚効果の最初のデモンストレーションであり、最も可能性の高いことは、メトリックが両方のシステムからの情報が供給される単一の神経経路から来ているということであるが、聴覚情報の方が重要である。
【0028】
[音楽と疼痛]
Hyung J.(2016)が行った、音楽が疼痛に及ぼす影響に関するメタアナリシス(メタ分析)には、12のデータベースと他のソースから得られた、1995年から2014年の間に発表された97の研究の結果が含まれた、そしてこのメタアナリシスは次の結果をもたらした。
- 音楽は痛みを1:10の縮尺で約1.13単位減少させた。
-音楽は、鎮痛薬の投与中又は投与後に、オピオイドと非オピオイドの両方の鎮痛薬のレベルを低下させるのに中程度の効果があった。
- 結果は、音楽が心拍数と呼吸数、及び収縮期血圧を低下させるという統計的に有意な効果を示した。
Hyung J.は、音楽的介入は、急性及び慢性の両方の疼痛を和らげるための効果的な補完医療であると結論付けた。
【0029】
一方、著者のGarza-Villarreal et al(2017)は、慢性疼痛(効率的、低コスト、非侵襲的)の管理に音楽がますます使用されているが、慢性疼痛患者への音楽の適用に関する臨床的背景はほとんどないため、2016年5月までに行われた慢性疼痛に対する音楽的介入を扱ったすべての公開された研究を考慮して、文献レビューとメタアナリシスを行うことを選択した。(768)。
【0030】
Garza-Villaroelet alは、音楽が慢性疼痛の状態で、自己申告による痛み、不安、うつ病の症状を軽減すると結論付けた。彼らはまた、自己選択された音楽が研究者によって提供されたものよりも大きな鎮痛効果を持っていることを観察した。これは、その日までに行われた慢性疼痛音楽の関係に関する最も完全な書誌レビューとメタ分析になるであろう。
【0031】
著者C.E.Dobek et al(2014)は、痛みが音楽を聴くことで軽減でき、音楽による鎮痛作用として知られる現象に対応している非常に主観的な体験であると断言している。音楽が急性又は慢性の疼痛を持つ人々のストレス、うつ病、苦痛を軽減できることを示す文献は豊富にあるであろう。しかし、心地よい感情が痛みを軽減し、不快な感情が痛みを増大させることが観察されてきたにもかかわらず、その作用メカニズムはまだ実証されていない。これらの結果は、気を紛らわす効果だけでは説明できない。なぜなら、ネガティブな情動的刺激は、やはり気を紛らわす効果があるとはいえ、痛みを軽減しないからである。この論理に従って、著者らは音楽のポジティブ及びネガティブな情動的反応の痛みにおける調節作用を研究した。
【0032】
著者のRoy M.et al(2008)は、音楽の落ち着かす能力が多くの伝統的な医療の形で使用されてきたことを主張している。一例として、著者らは5000人の歯科手術患者に対して行われた先駆的な研究を引用し、患者の90%が音楽で痛みが軽減されたと報告した。音楽の鎮痛特性の別の効果は、強いポジティブ感情を喚起することである。なぜなら、ポジティブ感情は気分を改善し、幅広い認知能力に影響を与えることが観察されているからである。したがって、情動反応は、音楽による鎮痛を説明する上で重要な要素になる可能性がある。
【0033】
米国特許2010/0312042A1では、音楽療法がプロフェッショナルスペシャリストによって患者に個別に実施されたとされているが、この療法の提供は、特に医療機関ではスペシャリストの人数によって制限された。この制限を克服するために、スペシャリストは、処方された順序に従って、患者の好みに従って及び日常の活動のスケジュールに従って、治療音楽コンテンツを個別に実施するためのシステムと方法を創出した。
【0034】
実用新案CN 202822492Uは、鍼治療、灸療法技術(身体のポイントを加熱する)と音楽療法技術を組み合わせた多機能治療用電気音楽刺激デバイスを開示している。多機能治療機器は、出力回路、記憶ユニット、オーディオデコーダユニット、信号処理ユニット、主制御ユニット、A/D変換ユニット、オーディオ増幅ユニット及び音量・電力調整ユニットを備える。該出力回路は、パルスを介して身体に適用される治療用電極に接続されている。該記憶ユニットは、治療処方に従って使用される音楽ファイルを保存する。
【0035】
[音楽と感情]
Juslin P. et al(2008)は、音楽の有無にかかわらず、日常生活における情動反応を調査するための研究を行った。自己報告の使用を避けるために、参加者には、日中にランダムな警告を発するノートブックが渡され、各警告には、自分の状況と情動状態を報告する必要があった。毎日の音楽の有無にかかわらず参加者によって報告された情動状態を比較すると、それらの結果は彼らの情動状態が音楽の提示によりポジティブであったことを明らかにした。著者らは、音楽は感情を喚起し、それは日常的に行うことができると結論付けている。
【0036】
Juslin.P.とVastfjall D.(2008)は、音楽が感情を誘発する、認知評価以外に、6つのメカニズムを提案した。それは次のとおりである。
【0037】
a)大きな及び/又は予期しない音が反射反応を引き起こすときの脳幹の反射、b)1曲の音楽が情動的なイベント又はオブジェクトに関連付けられているときに起こる評価条件づけ、c)音楽によって表現された感情が内面化されたときの情動伝染、d)情動含蓄を持つことができる音楽によって喚起される視覚的イメージ、e)自伝的出来事に関連するエピソード記憶、及びf)音楽的期待の実現における欲求不満。
【0038】
Zentner M.とGrandjean D.とScherer K.(2008)は、様々な音楽イベント中に一般大衆が最も共通して経験する感情を調査するために自己報告を使用していくつかの実験を行った。これらの実験の3番目では、様々な種類のコンサートに対して2002人の参加者を募集して、65の可能な状態のリストから、イベントで最も頻繁に認識したのはどの感情状態かを示すアンケートに回答してもらった。アンケートに回答した801人のうち、最も頻繁に経験した感情状態は、それぞれリラックス(44.6%)、幸福感(41.5%)、喜び(39%)であった。最後の感情状態は怒り(2.4%)、鬱うつ(2.7%)及び苦痛(3.4%)であった。
【0039】
この情報に基づいて、Zetner et alは、音楽の興奮効果を、9つの感情:喜び、郷愁、並外れた、平和、優しさ、エネルギー、喜び、緊張と悲しみ、そして3つの大きな要因:崇高さ、活力、動転揺に分類された、多くのサブユニット(Zetner et alは40の感情状態を決定した)において実験的に区別できると結論付けた。要約すると、ポジティブな感情が音楽イベントで最も頻繁に経験されると結論付けられる。
【0040】
[音楽と情動調整]
Rolston A.とLloyd-Richardson(2018)は、情動調節とは、情動経験のヴァランス(感情的な品質)、強さ、又は持続時間を調節する人の能力を記述するために用いられる用語であると考えている。 Koole S.(2009)によると、情動調整を利用することで、人はポジティブ又はネガティブな感情を増大、維持、又は緩和することができる。
【0041】
Sena K.(2013)は、情動調整(ER)に関する系統的レビューを実施した。情動調整は、感情の1つ又は複数の側面を調整しながら、人が快適な興奮状態を維持する内部プロセスである。文献レビューの目的は、音楽と音楽体験がERに関連する神経構造にどのように影響するかについて知られていることを探究して統合することであった。ERを促進する刺激の提示を組み立てるためにこれらの調査結果(知見)の影響を考慮することに加えて;要するに、情動調整を強化するために音楽を使用する方法を見つけてください。
【0042】
Senaによって得られた結果は、ERに関連する望ましい及び望ましくない神経細胞活性化のパターンを引き起こす特定の音楽的特徴及び経験があることを示している。望ましい活性化パターンは、お気に入りの馴染みのある音楽を聴いたり、歌ったり、ミュージシャンが即興で演奏したりするときに発生する。複雑で、不協和な予期しない音楽イベントが発生すると、望ましくない活性化パターンが発生する。
【0043】
自己報告、神経画像及び心理生理学的測定などの感情の調整を評価するために、様々な手法が使用されてきた。ただし、研究は使用される戦略の数によって制限されている;情動調整戦略によってそれらを操作する方法が理解される。この点に関して様々な研究で一般的に使用されている戦略は、Gross J.とThompson R.(2007)によって策定されたもの:スキル、気晴らし、呼吸、感情表現、社会的支援と感情の抑制である。他の著者は、個人が与えられた背景の中でそれらを選択して一致させるためのより多くの数の戦略を持っているかもしれないと示唆している。
【0044】
著者のVerduynP.とLavrijsen S.(2015)は、感情は時間とともに変化する動的なプロセスであると指摘している。感情の決定的な特徴は、経験の持続時間である。これは、感情的なエピソードの開始から終了までに経過する時間の量として定義されている。感情的なエピソードの開始と終了は比較的簡単に識別できる。なぜなら、あまり具体的でなく、あまり強くなく、より耐られ、所与の刺激によって活性化されるようにより少なく与えらる精神状態とは異なり、感情が外部及び内部のイベントとともに始まるからである。感情の持続時間は非常に変動しやすく、数秒続くものと数時間以上続くものがある。悲しみは長時間続く傾向があるが、恥、嫌悪感、恐れは短時間続く傾向がある。
【0045】
Verduyn et al(2012)は、感情の特徴はその強さであり、感情的エピソードの間に強さが変化し、時間の経過とともに強さのプロファイルが生じ、様々な形をとることができ、感情の強さプロファイルの変動性は3つの機能的特徴:感情の開始時の傾き(斜面)、プロファイルの非対称性、及び最大値の数によって記述することができる。ただし、これらの各特性の変動性を決定する要因は何かは明らかでない。
【0046】
[音楽とわくわく感]
美的音楽的鳥肌感(aesthetic musical chills)として知られるわくわく感(frissons)は、心地よい感情状態、または別の方法でポジティブなヴァレンス状態を誘発する満足のいく聴覚及び/又は視覚刺激に対する心理生理学的反応である。わくわく感は、場合によっては立毛と瞳孔散瞳を引き起こす鳥肌感を特徴とし、心理学と神経科学によって研究されている。しかし、わくわく感における鳥肌感とは異なり、震えと大きな情動強度がある。わくわく感は、心地よいが変化する感覚を意味する。わくわく感は人や誘発の状況に応じて身体の様々な部位に影響を及ぼし、性的オルガスムと同様の感覚的、感情的生物学的、及び心理的構成要素を含むからである。
【0047】
Grewe O.et al(2010)は、わくわく感が聴覚、視覚、触覚、又は味覚の刺激によって喚起される可能性があり、精神的な自己刺激(外的刺激はない)によっても喚起される可能性があるという証拠を提示した(外部刺激)。彼らは、参加者に73の刺激(23の画像、23の音、23の音楽、2つの触覚、2つの味覚)を提示し、その刺激がわくわく感を誘発したかどうかを尋ねる実験を行なった。触覚刺激には、頭のマッサージにデバイスと首に羽毛を使用し、味覚には2つの酸ジュースを使用した。
【0048】
Goldstein A.(1980)は、わくわく感の最も頻繁な発生源の場所は、参加者の25%が言及した、脊椎の上方部位(67%)、首の後部(62%)、肩と脊椎の背側の下部と頭皮であると論じている。一般的に、振戦の伝播は、上向きの放射パターンで発生する;頭皮(65%)と顔(39%)まで、肩(61%)と腕(63%)まで、脊椎の下まで(52%)、胸(34%)まで、生殖器領域(29%)まで、太もも(30%)まで、及び脚(28%)まで。
【0049】
Goldsteinの研究によると、わくわく感を喚起する最大の能力は、音楽の一節(96%)、映画のシーン(92%)、自然の美しさや芸術(87%)、他の人との身体接触(78%)、懐かしい瞬間に対応していた。わくわく感を喚起する頻度が少なかったのは、スポーツイベントの瞬間(52%)、香り(39%)、体の運動(36%)、軍事パレード(26%)であった。Goldsteinはまた、わくわく感が常にため息、動悸、顎と顔の筋肉の緊張、喉のしこり、さらには柔らかいオルガスムと関連していることを示した。要約すると、参加者の2つのグループのうちの1つのグループの91%と2番目のグループの参加者の76%がそれらを快適だと感じた。
【0050】
Craig D.(2005)は、音楽によって誘発されたわくわく感の間に生起する生理学的及び心理的変化を評価するために、客観的及び主観的な測定を行うことからなる実験を行なった。その結果によって、わくわく感が通常のリスナーのようにミュージシャンでも、また既知又は未知の楽曲の前で、客観的に測定できる生理学的及び離散イベントに関連付けられていることを確認された。結果は、わくわく感が皮膚電流反射(galvanic skin reflex:GSR)鳥肌の変化に、時には立毛に関連付けられていることを示している。この研究は、わくわく感は皮膚温度の熱変化よりも、SNA(自律神経系)の交感神経枝の一般的な活性化に関連していると結論付けている。Salimpoor V.et al(2009)によると、わくわく感は誰もが経験するわけではないが、わくわく感を評価するための生理学的パラメータは非常に客観的であるため、それらによって喚起される喜びの程度とまでとはいかないが、それらの生起の有効性はその判定が簡単である。
【0051】
Harrison L.とLoui P.(2014)によると、音楽のわくわく感を誘発するものを含む極端な情動体験(スパイク)は、ドーパミン作動性報酬系(喜びとモチベーションを調整する脳の領域に存在する神経伝達物質)の2つの異なる領域で生起する。感情の最大値を予期して活性化される尾状核において、及び最大値の直後に活性化される側坐核において。追加的に、聴覚領域、感情的領域と報酬処理系の間の構造的及び機能的な接続性は、わくわく感の成功した予測変数である。
【0052】
Blood A.とLatorre R.(2001)は、音楽によって誘発されたわくわく感が、中脳内、線条体内、両側性扁桃体内、左海馬内、そして腹内側前頭前野内の血流の変化に関連していることを発見した。このパターンは、性別、薬物、食べ物に関連付けられるものと同様の「渇望」効果を反映している可能性がある。人間が音楽によって誘発されるわくわく感に対するそのような親近感を発達させる理由は、われわれがわくわく感を経験するとき、わくわく感を誘発する音楽刺激にわずかに夢中になっている人々とともに、その経験を繰り返すことによってドーパミン作動性の期待を発達させるからである可能性がある。
【0053】
著者のSalimpoor V.とZatorre R.(2013)によると、ドーパミン作動系は当初、適応行動を強化するために生物に快楽感を与えるように進化した。その後、人間が他のより強力で効率的な活性化手段を使用することを学んだ。多くの合成薬がドーパミンを放出し、多幸感の状態を生み出すためにこの系をねらっている。音楽などの美的刺激が同様の効果を生み出す可能性がある。
【0054】
Colver M.とEl-Alayi A.(2015)は、わくわく感の感情的な性質を強調し、(責任、外向性、優しさと神経質傾向と共に)「ビッグファイブ」のパーソナリティモデルの5つの特徴の1つである、経験へのより大きな開放性がより多くのわくわく感を引き起こすであろうと主張している。これを実証するために、著者らはわくわく感を誘発することが知られている音楽を後になって聴かせられた参加者の1つグループの特徴を評価した。これらの生起は、自己報告と皮膚の電気反応によって検証され、予想通り、わくわく感の頻度は参加者の経験に対する開放度と正の相関があった。
【0055】
ColverとEl-Alayiによるこの実験の結果は、感情がわくわく感を説明するだけでなく、認知的要因が関与していることを示している。これは、特定の音楽により一層集中する人々は、より多くのわくわく感を経験できるであろうということはほぼ間違いないことについて、Grewe et al(2007)の知見と一致している。さらに、これらの研究者は、わくわく感には、期待、予測、及びワーキングメモリー(作業記憶)に関連付けられた重要な認知成分があり、これらはすべて、経験への開放性という人格特性に関連していると結論付けた。
【0056】
Arrom M.(2015)は、人格と対処戦略(適応型と不適応型)が痛みの知覚と慢性疼痛患者の日常生活にどのように影響するかを知ることを目的とした実験を実施した。
【0057】
対処戦略とは、個人にとって過度であると認識されている内的又は外的要求を管理するためにその人が使用する一連の認知的及び行動的戦略をと称されている。この研究の結論は次のとおりである。
- 日常生活への干渉が最も少ない対処戦略は、自己教示法など、痛みや気をまぎらわせるような反応を無視する;適応型戦略である。
- 最も適応型の人格特性は、経験への開放性である。
【0058】
[視覚刺激]
人間の感覚的印象の80%以上はわれわれの目と耳を通して知覚されるため、リズミカルな光と音の刺激によって引き起こされる視聴覚刺激は、脳に外部から影響を与える方法、及びストレス、不安、痛みの知覚を軽減する効果的な方法である。視聴覚刺激によって引き起こされるディストラクション(気を散らすこと)は、それから注意をそらす結果として痛みを軽減することが示されている。
【0059】
著者のBloomer C. et al(2014)は、視覚的及び/又は聴覚的刺激があるストレスの多いイベントが、交感神経系の活性化を促進し、身体の測定可能な生理学的変化を引き起こす「闘争か逃走」反応を誘発することを指摘している。これらの著者らは、聴覚刺激(補聴器と目隠し)対視覚刺激(ビデオ)によって引き起こされるストレスに対する交感神経反応を比較する研究を行なった。著者らは、心臓と呼吸数並びに皮膚の電気反応の有意な増加をストレスへの反応として定義している。
【0060】
その結果、心拍数は聴覚刺激に対してよりも視覚刺激に対してより多く減少し、コンダクタンス(伝導度)は視覚刺激に対してより多く増加し、呼吸数は聴覚刺激に対して頻繁により多く増加した。研究者らは、聴覚ストレッサーと視覚ストレッサーの間に有意差はないと結論付けたが、これはビデオコンテンツの特性によって説明できるであろう。
【0061】
MM Tse et al(2002)は、入院患者にとって、そして医療処置を受けると、環境が不安、恐れ、抑うつ気分を引き起こし、それが痛みを悪化させると主張した。研究者らは、ビデオを通じて、痛みの閾値とそれに対する耐性レベルに関して、視覚治療的刺激の効果を評価した。
【0062】
この仮説を検証するために、著者らは参加者を2つのグループに分けた対照試験を行なった。1つは、静寂の中で、風景を提示したビデオであったが、もう1つは空白の画面であった。痛みは修正止血帯技術によって引き起こされた、痛みの閾値は患者が痛みの開始を報告したときに定義され、耐性レベルは人が耐え難い痛みを報告した瞬間として定義された。実験で得られた結果を用いて、著者らは、視覚刺激が痛みの閾値と痛みの耐性を大幅に増加させたと結論付けた。
【0063】
一方、著者のTriberti S. et al(2014)は、有害なイベントから注意をそらす環境刺激によって痛みが軽減されるため、コンピュータ技術によって生成された仮想現実環境への没頭が痛み管理における気晴らしの効率的なツールであることを強調している。
【0064】
米国特許第6,425,764B1号において、発明者らは、仮想現実療法に被ばく中に、患者は視覚的、聴覚的及び触覚的感覚刺激を受け、患者がそれらと相互作用することができると指摘している。仮想療法は、非侵襲的、3次元、インタラクティブ、自助、低コストの没入型の体験である。この背景において、発明者らは、仮想現実環境に関連付けられた心理的戦略を使用して、様々な心理的、精神学的、又は医学的状態を治療する方法論を開発した。
【0065】
著者のShayganet et al(2017)は、痛みの理解における主な進歩の1つは、痛覚が痛みの知覚と同一ではないことであると指摘している。前者は様々な心理的要因の影響を受けるためである。一例として、注意のレベル及び/又は感情状態が痛みへの反応を調整することが示されている。感情状態は、ヴァレンスと興奮の2つの次元で評価される。ここで、ヴァレンスは正(快楽)又は負(不快)として定義され、興奮(高又は低)は人がどれだけ落ち着いているかを反映する。
【0066】
次に、これらの著者らは、痛みの減衰効果が写真のヴァレンスと興奮によって調整されたかどうかを観察することに関心があったため、慢性疼痛の患者における様々な画像の減衰効果を調査するための実験を実施した。患者には、愛する人や風景などの写真が提示された、そして画像を見る前後に、痛みの強さと感覚的及び感情的な経験を評価するように求められた。予想通り、結果は、愛する人の写真が高い正のヴァレンスを持ち、他の種類の画像よりも痛みをより多く軽減することを示した。
【0067】
[振動触覚マッサージ]
全米マッサージ・セラピスト協会(The American Massage Therapy Association:AMTA)は、マッサージを「軟組織の摂取、運動の生起、及び/又は圧力の適用を含む、軟組織のソフトな操作」と説明している。マッサージの別の定義は、それが「体系的な触覚形態と運動感覚刺激」であることである。著者Field T.(2017)によると、適度なマッサージは、代替療法の中で最も効果的な既知の1つである。
【0068】
痛みを軽減するマッサージの治療効果を説明するために最も一般的に使用されるメカニズムは、前述のゲート理論である。これは、前者の到着を阻止する、長く(Aα及びAβ)かつ速い有髄線維によって伝達される圧力信号と比較して、痛みが神経線維をより短く刺激し、髄鞘形成がより少ない(Aδ)、刺激を脳にもたらすのが遅いと考えている。
【0069】
一方、著者のRios E. et al(2017)が指摘したところによると、セルフマッサージは参加者が技術マニュアルを模倣しようとする試みにおいて軟組織への圧力を適用するために、複数の器具(マッサージボールなど)を使用するアクティブな技術である。文献は、中枢神経系によって制御される現象である、特定の刺激に対するポジティブ反応が関連付けられる様々な技術を開示している。
【0070】
慢性疼痛の緩和におけるマッサージ療法の効果を決定するために研究されてきた様々なメカニズムがある。一例として、研究者のChang Y.C. et al(2015)は、2つの治療を受けた:1つ目は理学療法とセルフマッサージを受け、2つ目はセルフマッサージのみを受けた、慢性筋筋膜性疼痛症候群の患者を対象に実験を実施した。後者のグループは、痛みの有意な減少と慢性疼痛の閾値の増加を示した。
【0071】
米国特許第7,927,294 B2号では、ブラシ又はその一部を用いて繊細かつ効果的に髪をマッサージ及び洗浄するか、若しくはマッサージすることができる手動デバイスが開示されている。デバイス本体のフレキシブルプレートの表面には、多数の突起が配置されており、この場合、突起は軸Aに対して対称となり、ボディプレートの表面の軸Dに対して垂直であるようにブラシが配置されている。
【0072】
著者のGoldstein S.とCasanelia L.(2010)によると、震動バイブレータリー・マッサージは、軟組織のリズミカルな操作からなる技術のグループである。これらのリズミカルな操作には、加えられる振動(軽い及び/又は撫でる、遅い及び/又は重い又は粗い)の種類及び振動の「シール」の種類依存する独特の揺動(オッシレーション)パターンがある。周波数、振幅、圧力、及び露出面積が異なる振動は、体内で共振又は反響、うねり、及びリバウンドを引き起こす。
【0073】
実用新案中国特許(CN)第205181749U号において、理学療法装置の本体を含む多機能変種理学療法装置について記載されている。理学療法装置の本体はヒンジ接続を通過し、足をマッサージするためのスロットが装備されている。
【0074】
振動は、振動波(oscillatory wave)を特徴とする機械的刺激である。その効率を決定する生体力学的要因は、周波数、振幅、加速度、及び持続時間である。この種類の治療法を施す3つの方法が認識されている。
-振動は、振動要素をつかむことにより、手で人体に入る。
-振動は、振動要素を介して筋肉に直接加えられる。
-振動は、振動プラットフォーム上の足を通って身体に入る。
【0075】
Uher I. et al(2018)は、振動が、その特性に応じて、血管の弾力性の変化、末梢循環の改善、リンパ循環の刺激、痛みの緩和、腱と筋膜の弾力性の増加、筋力と柔軟性の増加、代謝の機能とメンタルヘルスの改善、そして生物全体のリラクゼーションの改善など、様々な方法で人体に影響を与える可能性があると結論付けている。
【0076】
Poenaruet al(2016)は、振動が皮膚と筋腱の、特定の受容器を刺激することを指摘している。求心性インパルスは、脊髄を通って視床と皮質領域に伝わる。振動に対する局所的な反応は、腱と筋肉の周波数、振幅、長さに依存する緊張性振動反射である。振動を適用するための機器に関連して、筋肉又は腱に直接適用される小さなユニットから、患者がプラットフォームに立って振動を受け取るより大きな機器まである。現在、市場には2種類のプラットフォーム:交互の横方向・垂直方向の正弦波振動(SV)を生成するもの及び垂直方向の同期振動(VV)を生成するものがある。
【0077】
ドイツ特許(DE)第102010047757B3号において、内部に振動デバイスを収めた、管状バーを備えたダンベルについて説明されており、ダンベルの両端に1つずつ、回転する軸によって互いに接続された2つの電気モーターを備えていることを特徴としている。
【0078】
米国特許第5,327,886号では、パッドの機能を有し、回転して振動を発生させるモーターによって駆動される偏心ホイールと、必要に応じてパッドに冷熱又は温熱を発生させる熱電モジュールとを含む電子マッサージ用の装置を開示している。この装置には、過度の熱を放散するファンもあり、冷湿布又は湿布兼マッサージ器としてのみ使用できる。
【0079】
Boehme R. et al(2018)は、自分で行なう触覚刺激(マッサージや撫でるを含む)を第三者の刺激と区別するための研究を行なった。この区別を引き起こすメカニズムが現在不明であるからである。磁気共鳴機能画像法(functional magnetic resonance imaging:fMRI)で得られた結果を通してこれらの研究者は、自分自身に触れると脳内に広範な不活性化を引き起こし、これは第三者による情動的な接触とは明確に区別されると結論付けた。この違いは重要であった、また感覚プロセスの初期に、右前大脳皮質(それ自体に触れたときはあまりはっきりしていない)のスポットの振幅によって顕在化された。行動レベルにおいて、感覚の減衰はこれらの状況においてより高い知覚閾値を生成する、つまり、刺激自体はあまり知覚されない。
【0080】
第三者による刺激と比較して、自分自身で誘発される触覚刺激に対する知覚がより低いという事実は、われわれが自分自身をくすぐることができないという事実と或る一定の類似性を持っている可能性がある。著者のBlakemore S.et al(2000)によると、くすぐりの減衰メカニズムは、運動系の体内期待のモデルによって行われた感覚予測によるものである。期待モデルは、実行されるべきコマンドを予測して、動きの感覚的結果を予測できる。つまり、動きが意志によって発生した場合、その感覚的結果はすでに事前に予測されている。
【0081】
Harvey L.(1992)によると、刺激の検出と識別のすべてのモデルには、少なくとも2つの心理的要素又はプロセス;感覚プロセス(物理的刺激を内部感覚に変換する)と決定プロセス(採用への応答を決定する)がある。これはすべて、次の順序で要約できる。ここで、検出は2つの内部プロセス(感覚と決定)に基づいている。
【0082】
【表2】
【0083】
Sutton S. et al(1965)が実施した研究では、不確実性の状態での光と音の刺激による誘発電位は、感覚モダリティと比較した場合に、刺激(被験者の視点に基づく知覚、議論及び言語)の提示における、個人の主観性のレベルに応じて、違いを示したことが観察された。刺激の提示におけるモダリティが個人によって正しく期待されたかどうかによって、誘発電位にも違いがあった。
【0084】
[寒冷療法]
著者Rastogi A.(2018)によると、寒冷療法(コールドセラピー)又は凍結療法(クライオセラピー)は、いらいらさせられた神経を局所的に冷却する方法を使用する痛みの治療であり、控えめの寒冷(炎症、浮腫など)によるリハビリテーションのために使用される、若しくは悪性又は非悪性にかかわらず酷寒組織で破壊するために使用される。クライオセラピーには多くの特定の手法:アイスバッグ、冷凍ジェル、アイスマッサージ、アイスクーラント・イマ―ジョン(例:N2)など含まれている。
【0085】
Ernst E.とFialka V.(1994)は、身体又はその部分は氷又は他の手段によって容易に冷却でき、これが皮膚、皮下組織及びより少ない程度で深部筋肉組織、骨及び関節の温度の低下を引き起こすと主張している。温度変化の動力学は、他の要因の中でも、冷却剤の絶対温度、適用時間の持続長さ、組織の血管新生、及び局所的な血流に依存する。一般に、いったん冷却剤が除去されると冷却効果は短持続時間であるが、より深部組織では、冷却が消散するのに時間がかかる場合がある。
【0086】
Chesterton L. et al(2002)は、特定の効果を得るために、様々な種類の組織の冷却の臨界レベルを確立するためにいくつかの研究が行われたことを確認している。皮膚の局所鎮痛を達成するための例として、13.6°C未満の温度が必要であり、神経の伝導速度を10%減少させるには、12.5°C未満の温度が必要であり、そして酵素活性を50%低下させるには、10又は11°C未満の温度が推奨される。
著者のSmith K.とZhu L.(2010)は、脊髄の冷える前の挙動をシミュレートするために人間の胴体のモデルを開発した。胴体は長方形の柱としてモデル化され、脊柱と脊髄は脳脊髄液によって分離された同心円状の管としてモデル化されている。
【0087】
軟骨と骨で構成される、脊椎は均質な円柱として単純化されており、脊髄全体では灰白質が白質と区別されず、胴体の残りの部分が筋肉組織としてモデル化されている。モデルは、すべての熱特性が均一で等方性であり、ペンヌの熱伝達バイオ方程式(Pennes heat transfer bio equation)を使用すると想定している。
【0088】
Eckart S.(1974)は、振戦と呼ばれる悪寒が、寒冷によって引き起こされる熱ストレスに対する適切な身体運動野反応であると主張している。彼はまた、何人かの研究者が脊髄の冷却中に寒冷によって引き起こされた震え(振戦)を観察し、それは視覚的及び触覚的制御によって確認され、それらが脊髄の寒寒冷刺激によって引き起こされた本当の悪寒であることに同意したと述べている。
【0089】
一方、麻酔をかけた犬を使った実験では、a)外部冷却、b)低体温、c)脊髄の選択的冷却によって誘発された悪寒が、動物に同じ頻度の震え(振戦)を引き起こしたことが示されている。次に、irruptionと呼ばれる悪寒、若しくは「frisson反射」は、上述した3種類の冷刺激における震え(振戦)の開始時に観察できることが観察された。
【0090】
米国特許第6,023,932A1号は、筋肉及び関節の両方の疼痛又は炎症を軽減するために必要とされる場合に、ヒト及び動物の寒冷を局所的に伝達するための携帯型デバイスを示している。この装置は、低温側と高温側を有する熱電ユニット、熱電ユニットに接続されたDC電源、該熱電ユニットの高温側に関連付けられたヒートシンク、該ヒートシンクの熱を低減するためのファン、及びデバイスを人に固定するためのバンドなどを備える。
【0091】
米国特許第2007/0225781 A1号には、体内の特定の領域を冷却及び/又は加熱する装置及び方法が記載されている。冷却に関しては、システムは体の神経を約15°Cまで冷やすことができ、神経インパルスを減少させる。該システムには低温要素があり、それはペルチェセル又は冷水又は温水が通過するカテーテルである可能性がある。ペルチェセルの高温部分は、熱を吸収して、次いで放散する冷却剤によって冷却できる。
【0092】
[アロマテラピー]
Edris A.(2007)によると、エッセンシャルオイルは天然化合物であり、複雑で、様々な成分、主にテルペンを含む。植物から抽出する方法には、水又は水蒸気蒸留、溶媒、圧力又は流体による抽出など様々ある。超臨界エッセンシャルオイルは、著者によると科学的に証明されている様々な有益な特性に起因している。ラベンダー、ユーカリ、カモミールが最も使用されている、40以上の植物誘導体が、医療用又はセラピー治療用に特定されている。
【0093】
Louis M.とKowalsky S.(2002)は、ラベンダーオイルアロマセラピー加湿器に対する17人の入院がん患者の反応を測定するための研究を実施した。不安、抑うつ、幸福感をはじめとしてバイタルサインが測定された。結果は、血圧、疼痛、不安、抑うつ、及び幸福感のレベルにプラスであるが小さな影響を示した。
【0094】
Lakhan S. et al(2016)は、アロマテラピーの利点が明らかにされている多くの研究があることを指摘しているが、研究は抑うつ、不安、筋肉の緊張、睡眠、吐き気及び疼痛の管理に焦点を合わせている。このため、彼らは疼痛の治療におけるアロマテラピーの有効性を実証するために文献レビューとメタアナリシスを行って、それらの研究のうち12を選択した。結果は、疼痛を軽減するための偽薬又は従来の治療と比較して、アロマセラピーのプラスの効果があることを示した。第2の分析では、アロマセラピーは炎症性疼痛及び慢性疼痛と比べて侵害受容性疼痛及び急性疼痛をそれぞれ治療するのにより整合性があることが判明した。これらの研究者は、アロマセラピーは安全であり、悪影響は報告されておらず、治療費は低く、臨床応用を完全に理解するにはさらなる研究が必要であると結論付けている。
【0095】
一方、Schneider R. et al(2018)は、Lakhan et al(2016)と同様に、アロマセラピーの効率に関する研究はほとんどなく、研究方法に弱点があることを確認している。彼らの研究では、アロマセラピーがより効率的になる条件を分析し、嗅覚系の特性と匂い物質が治療効果を発揮しなければならない特性を研究した。それから彼らは長期及び短期の両方で、心臓血管、内分泌痛などの様々な生理学的な系に作用する吸入器(AromaStick)の効果をテストした。著者らはエッセンシャルオイルの吸入は、それらが高濃度で適切な装置によって送達される限り、即時の、重要で、臨床的に関連のある結果をもたらしたと結論付けた。
【0096】
国際特許出願第WO2006 / 084921 A1号は、手動起動によって、又は所定のプログラムに従って、いくつかの芳香剤を連続的又は同時に拡散するための、電気ネットワークに接続されている種類の揮発性物質用のディフューザを開示している。米国特許第9,849,206B1号には、香料の使用を延長してその結果により香料を節約するために、必要な場合にのみこれらを環境に放出することができる、液体香料のディフューザについて記載されている。
【0097】
[知覚学習]
Gold J.とWatanabe T.(2010)は、知覚学習が、われわれが見ているもの、聞いているもの、感じている又は嗅いでいるものを理解する能力の増加、経験の成果であると指摘している。これらの変化は永続的又は半永続的であるため、感覚順応や馴化などの短期的なメカニズムとは異なる。永続的又は半永続的な変化は、感覚タスクに関与する脳領域の可塑性の証拠と見なされている。
【0098】
感覚タスクの変化は単なる偶発的なものではなく適応性があるため、弱い刺激や曖昧な刺激を拾う感度がより高くなる、より低いレベルの刺激で済む、若しくは刺激を知覚するのにより短い期間で済むなど、様々な利点がある。要約すると、知覚学習には3つの特徴がある;すなわち持続的な学習であり、知覚的(脳が感覚を感知する方法)であり、実践(経験)の産物である。
【0099】
知覚がタスクと環境に順応する方法は次のとおりである:分化、統一、注意の重み付け、刺激の印象。
【0100】
a)分化:知覚が環境に順応するために最もよく使用されるメカニズムの1つは、知覚(知覚の対象)が残りの知覚と異なる場合である。見分けがつかなかったものが今では分離している刺激。
【0101】
b)統一:分化の反対方向に進むのは知覚学習のメカニズムである。。 統合には、複雑な構成に反応して単一ユニットの構築が含まれる。複数の部分の検出を必要とする可能性のあるタスクを統合することにより、今は1つだけが必要になる。
【0102】
c)注意の重み付け:実践又は経験によって、人々が重要な知覚的次元及び特性への注意を高め、あまり重要でない次元及び特性への注意を減らす場合。
【0103】
d)刺激の印象:知覚が環境に順応できる2番目の方法は、刺激をマークすることによることである。刺激をマークすることにより、検出器(受信機)は刺激又は刺激の一部に専門化する。
【0104】
[感覚の同期化]
Recanzone G.(2009)によると、実生活でのオブジェクトとイベントは様々な独立したモードで処理される複数の官能属性で構成されている。ただし、 唯一の知覚可能なオブジェクトを形作るためのこの感覚情報を組み合わせる方法は、まだ明確ではない。感覚を通して異なる特性を持つ共通の情報源に関する情報を組み合わせることは様々なオブジェクトに対する識別と反応を改善する。
【0105】
King A.(2005)は、同じ発生源から発生する信号が、脳内の多感覚ニューロンに到達するのにどのくらい長くかかるかに影響を与える神経的及び非神経的要因が多数あると主張している。一例として、音は光よりもはるかにゆっくりと伝わるため、遅れて到着するが、聴覚伝導のプロセスは、網膜内での伝導のプロセスよりもはるかに高速であり、これにより聴覚と視覚の両方のニューロンの応答において後者が有利に40ミリ秒から50ミリ秒の違いをもたらす。
【0106】
この著者は、時間の経過に伴う同期が刺激を統合するための特に強力なツールであることを確認し、人間が聴覚的及び視覚的合図の同時発生の正確な評価を、到着するのが遅い相対時間のばらつきにもかかわらず、実行できることが実証されている。刺激を統合するための2番目の強力なツールは、空間ツールである。これは、感覚モダリティがオブジェクト又は多感覚イベントの知覚を支配する場合が複数あるからである。古典的な例は、聴覚刺激の知覚が視覚刺激の空間的位置によって「捕捉」される腹話術効果である。
【0107】
Noy D. et al(2017)によると、異なる感覚系の信号はノイズで非同期的に処理されるのにかかわらず、中枢神経系の機能は、不正確な情報から最良の推定を行うことである;最尤推定量(Maximum Likelihood Estimator)として動作するメカニズムを通してその不正確な情報が行うであろうもの。このオペラティブ機能の効率は、2が一緒に歩くときに見ることができる。そのため、両方の個人が、動き、触覚、視覚、聴覚の信号を自分自身の信号と同期させる必要がある。
【発明の概要】
【0108】
慢性疼痛には、個人において身体的、情動的、認知的側面(cognitive dimension)があり、わくわく感(frissons)は、患者の慢性疼痛を和らげることを目的として、それらすべてに積極的に関連している。本発明の目的は、多感覚及びマルチモーダル刺激を介してわくわく感を誘発することであり、わくわく感を喚起する刺激は、聴覚、視覚、触覚、及び嗅覚に関連している。この目的を達成するには、様々な刺激が音楽の周りで同期して作用することが重要である。音楽がわくわく感を喚起するための最も効率的な方法であることが証明されているからである。本発明の第2の目的は、患者の疼痛の軽減を最大化するために、以前に誘発されたわくわく感を強化し、時間内に維持することである。
【0109】
味と嗅は同じ種類の受容体を持っており、どちらも空気中に浮かぶ分子によって刺激されるため、用いられた方法論の範囲内で味が考慮されなかったことに留意されたい。匂い物質は、嗅球内の受容体を刺激する空気中の分子に由来する。その特定の匂い物質用の受容体がない場合、匂い物質には匂いがない。これらの感覚の一つがうまく機能しない場合、両受容体同士間の関係のためにもう一方も機能しない。味覚刺激がわくわく感を誘発することに及ぼす影響に関する、Grewe et al(2010)の研究を除いて、文献の欠如に由来する実際的な理由もある。
【0110】
おおまかに言えば、本発明の慢性疼痛を治療するための装置は、患者自身によって、又は当初ではアシスタントの助けを借りて操作され、音楽プレーヤとビデオプレーヤを備えたコンピュータと、クーラーとアクチュエータ、照明とディフューザを用いて流体回路を主に制御するコンピュータシステムとで構成され、それらの効果を強化するために、知覚学習に頼る。以下は、そのような刺激を喚起するためのメカニズム、考慮事項、及び制限、並びに刺激毎の期待される応答、わくわく感その他である。
【0111】
[音楽刺激と視覚刺激]
音楽刺激と視覚刺激は、激しい感情とわくわく感とともに、身体状態の改善、ストレスと不安の減少、抑うつの軽減、気分と認知機能の改善、慢性疼痛の減少をもたらすことが実証されている。上記にもかかわらず、すべての音楽刺激及び視覚刺激がわくわく感を喚起し、疼痛を軽減するのに適切であるとは限らない。次に、患者の様々な側面、刺激、及び刺激を提示する方法が分析される。
【0112】
[音楽刺激]
音楽に関しては、われわれは患者の特性(性別、年齢、行動、感情、フィーリングと気分)、該患者の病気、体調など、生理学的パラメータ(血圧、心拍数、呼吸数)、皮膚のコンダクタンスなど、音楽が誘発する感情(喜び、不安、悲しみなど)、音楽の特性(音楽のジャンル、音量、リズム、ハーモニー、メトリック、コンパス、メロディー、旋律)、周囲の環境(明るさ、ノイズ、温度、色など)、刺激提示の頻度とセッションの持続時間、自己選択又は配信の好み、順序とランダム性を念頭に置かなければならない。
【0113】
[音楽の生理学的及び心理学的影響]
それの理解と効果が本発明の基本である、感情は、思考と行動に影響を与える身体的及び生理学的変化を結果的にもたらすフィーリングの複雑な状態と定義されている:情動性は、気質、個性、気分、動機など、様々な心理的構成概念に関連付けられている。音楽が個人において喚起する感情については議論があり、Arjmand H. et al(2017)やその他の人々は、個人の生存にとって潜在的に重要な有意の環境イベント(功利主義モデル、戦うか逃げるか反応)に反応すると主張している。しかし、他の研究は、音楽が単なる功利主義を超えた情動的な美的反応を喚起することを示している。
【0114】
脳の皮質下領域における感情の生起は、視床下部、自律神経系(ANS)及びアドレナリンとコルチゾールの放出を活性化させる。ANSの活性化には、警告と強さ反応(戦うか逃げるか)を準備する交感神経系及び消化と残りの間に作用する副交感神経系が含まれている。両方の系は文脈に応じて支配する。交感神経は、ホルモンを介して、心臓や呼吸の活動、血圧など、様々な組織や臓器の変化を引き起こす。Koelsch S.とJancke L.(2015)によると、心拍数(FC)と呼吸数(FR)は、刺激的な音楽(ストレス)に応じて増加し、リラックスした音楽に応じて減少する。音楽わくわく感(震えと立毛を含む)の間、FCとFRが増加する。さらに、それらは両方とも、静寂と比較すると、音楽とともに増加する傾向があり、またFCは不快な音楽とともに減少し、楽しい音楽とともに増加する。
【0115】
Plutchik R.(1980)は、感情に関する革新的な理論を開発し、人間が進化してわれわれの生体(オルガニズム)を環境に適応させ、感情を8つのカテゴリーに分類し、生存に関連する感情:恐れ、驚き、怒りとさらに8つ以上のアドバンスレベルに重点を置いていることを提案した。残りの感情は、経験の範囲を広げるために従前の感情の組み合わせになるであろう。この理論によれば、感情はその強さの程度が異なり、感情が強ければ強いほど、関連する行動を動機付ける。
【0116】
一方、フィーリングはユーザーを感動させる原因によって生み出される気分であり、これらは陽気で幸せなこともあれば、痛みを伴う悲しいこともある。フィーリングは、被験者が自分の気分を認識できるようにする感情の結果として生じる。感情とは異なり、気分状態(AE=有害事象)には、それらを引き起こす明確なイベントが存在しない、すなわちイベントが生起した場合、それを経験した人が明確に識別できるものではない。AE(有害事象)は或る刺激に向かって特定の方向性を持たない、拡散してより長く続く感情状態である;Fridja N.(1999)。
【0117】
Turk D.とWilson H.(2010)によると、いくつかの研究からの証拠が、慢性疼痛の病因、深刻化及び維持における生物学的、心理的及び環境的要因の役割を裏付けている。この種類の患者が、不安や恐れ、精神状態の低下を経験するのは一般的であり、それが彼らの状況を悪化させる。
【0118】
不安:不安レベルが慢性疼痛及び急性疼痛を患っている患者の重症度と行動を予測できることを示す研究がある。それに加えて、不安を軽減するテクニックと抗不安薬の使用は、医療処置に起因する疼痛を軽減することができる。
【0119】
恐れ:疼痛が様々な病状に関連付けられ、したがって害を及ぼすという信念など、疼痛の悲観的な解釈を含む、疼痛の否定的な個人的評価が、疼痛恐れの関連性の発達に寄与するという科学的証拠がある。疼痛の極端に否定的な解釈が、恐れ反応:生理学的(活性化)、認知的及び行動的(回避)を誘発する。
【0120】
認知:恐れの間に起こる認知変化は、脅威の認識を高め、注意を高め、それが次いで疼痛の壊滅的な評価、回避、及び障害のレベルを増大させる。
【0121】
抑うつ:患者の神経可塑性と脳の神経生物学的メカニズムの変化を喚起する疼痛と抑うつの間にかなりの重複が存在することが観察されている。このような変化は、慢性疼痛及び抑うつによって引き起こされる慢性疼痛の発生と展開を容易にするための基本である。
【0122】
以下に、その人のいくつかの特徴と、音楽の知覚、感情と気分を人々の間で異なるようにさせることができる音楽キーについて説明する。
【0123】
性同一性:音楽によって伝えられる情報に、特定の性別に関連した、性同一性がある場合、リスナーの知覚はわずかに異なるであろう。しかし、音楽は性特性とは関係がないという意見があるが、リスナーのせいにされるであろう。Sergent D.(2016)。
【0124】
個性と気分:50の楽曲を評価した個人のグループで、彼らが認識した感情(恐れ、幸福など)の点で言えば、行われた評価は彼らの気分の関数であることが観察された。評価の前に測定された、個人の個性は彼らの評価にリンクされた、Vuoskoski J.とEerola T.(2011)。
【0125】
リズムとテンポ:リズムは、音、声、言葉の調和のとれた組み合わせであり、停止、無音、カットが含まれ、テンポは音楽の曲が演奏される速度に対応する。テンポは、音楽が幸福感又は悲しみを引き起こすことを決定する:高いテンポは楽しく表現力豊かで、低いテンポはリラックスしたり退屈だったりする。テンポが、感情状態に最も関連する音楽的特徴であることが観察されている。リズムの効果については、テンポと同じ感覚で行われる。Fernandez-Sotos et al(2016)。
【0126】
音楽ジャンル:音楽ジャンルは、その機能、その楽器、そのリズム、その文化的特徴など、アフィニィティーの様々な基準を共有する作曲を共にもたらすカテゴリーである。感情、特にヴァレンスに関連する感情は音楽ジャンルに左右されて様々であることが観察されている。一例として、オペラは音楽と歌唱とともにオーケストラとセットデザインから大掛かりな視聴覚フレームワークを伴う。Rodica F.et al(2011)。
【0127】
[視覚刺激]
Urich R.S. et al(1991)は、ストレスの多いイベントを受けた参加者が自然環境を含むビデオを見せた直後に回復したため、副交感神経がストレス後の心拍数の正常レベルの回復に関与していると主張している。これは、副交感神経と(その機能の中で心拍数を制御する)神経に関連する迷走神経の反応と一致している。Gladwell V. et al(2012)は、ストレスの後、参加者グループの副交感神経活動は、建物のグループよりも森を観察したときに大きかった、またストレスの多いイベントの前に森が提示されたときにはさらに大きかった。
【0128】
Kort Y. et al(2006)は、参加者がストレスの多い作業を行った後、生理学的パラメータを評価しながら、小さな画面又は大きな画面で自然の映画を見る実験を行なった。その結果は、スクリーンのサイズが大きいほど、したがってフィルムへのイマ―ジョンの程度が高いほど、生理学的測定の観点からストレス後の回復が促進されることを示した。
【0129】
Lee J. et al(2011)は、森林に入ることが自然療法として役立つという証拠を裏付け、この実践の生理学的利点を調査する研究を開発した。その結果は、森林の環境が参加者の間で(唾液中のコルチゾールの減少)副交感神経活動を有意に増加させかつ交感神経活動を減少させたことを示した。建物のある環境で観察された結果とは対照的であった。また、計量的心理テストでは、都市環境にあった効果を比較すると、森林に入るという事実がポジティブなフィーリングを改善し、ネガティブなフィーリングを減少させた。
【0130】
Banos R. et al(2012)は、高齢者を対象にして2つの仮想環境をテストして高齢者が両環境間で気分、楽しみ、そしてリラックスを改善したかどうか確認した。仮想環境には、自伝、マインドフルネスを生起させ、呼吸を静めるための演習が含まれていた。その結果は、両方の仮想環境の提示が、重苦しさと不安を軽減しながら、楽しみとリラクゼーションを増加させることを示した。
【0131】
Grinde B.とGrindal G.(2009)にとって、自然との接触は、ストレスを軽減し、注意力を向上させ、精神的回復にプラスの効果をもたらし、注意力の欠如に対処することにより、有益な心理的利益をもたらす。さらに、寿命を延ばしたり、全体的な健康状態を改善したりするなど、直接的な健康上のメリットがある。これらの利点は、自然の砂漠、公園、近所の屋外庭園など、様々な自然体験に関連付けられている。
さらに、いくつかの研究は、植物を屋内に置くことの利点を示している。屋内植物がある場合とない場合の病室の写真を見せられた患者では、前者の方が自己報告で報告されたストレスを軽減させる。
【0132】
Diette G. et al(2003)は、視覚刺激及び聴覚刺激を提示して、どの視覚ディストラクタと音が術後患者の疼痛と不安を軽減するかを決定する研究を行った。患者には自然映像を含んだ壁画を処置中及び処置後に提示した。患者は手術前、手術中、手術後に、疼痛の強さと同時に音響を受け取った、不安のレベルを評価した。その結果は、疼痛を軽減するための自然画像と音を用いたディストラクション療法の効率的な反応を示している。
【0133】
[触覚刺激]
本発明では、触覚刺激は、閉鎖式流体回路によって提供され、該回路は3台のポンプを備え、それらの1台が蠕動ポンプで、2台がダイヤフラムポンプであり、流体を駆動するための可撓性チューブに加えて、接続部、アクチュエータ、ペルチェプレートを備えた冷却器、温度センサー及びサーモスタットを備えている。この装置は、患者の皮膚表面と脊椎上部の筋肉に、軽いストロークと撫でることでマッサージし、ジョイント又は結合して寒冷と振動を適用することを可能にする。
【0134】
皮膚は、体性感覚系に属する皮膚受容体によって刺激を与えられている。該体性感覚系は、触覚を構成し、中枢神経系(CNS):機械受容器、熱受容器(温度)、及び侵害受容器(疼痛)、に情報を提供する様々な特定の刺激を捉える。機械受容器が接触、圧力、振動、皮膚の緊張に関する情報を提供し、それらの機能に応じて、マイスナー小体、パシニアーノス、ルフィニ小体、メルケル小体に分類される。触覚受容器の中には、閾値が低く、有髄化されておらず、信号伝導速度が遅い触覚CT神経線維がある。
【0135】
Ettzi R. et al(2018)は、撫でる動きが接触を介して愛情を受け取り伝える最も一般的な方法の1つであり、柔らかい撫でる動きの心地よい知覚が触覚又は触覚神経線維(CT)によって媒介されることを証拠が示唆していることを確認する。これを実証するために、著者らは、前腕に加えられた触覚刺激の種類に応じて生理学的興奮がどのように変化するかを観察するための実験をセットアップした。9~60秒間、低速(3cm/秒)又は高速(30cm/秒)のストロークを適用し、固定又はランダムにタッピングした。その結果は、参加者の主観的評価において、ゆっくりとした撫でる動きが、パッティングよりも皮膚のより大きな電気的反応を誘発したことを示した。
【0136】
Malamud-Kessler C. et al(2014)によると、振動触覚は、主に急速な順応(パチーニとマイスナー小体)と遅い順応(メルケル小体)の機械受容器に依存している。機械的な観点から、正弦波には様々な振動触覚を生起する様々な特性(振幅と発火周波数)がある。さらに、振動閾値は、検出可能な最小の振動変位として定義され、周波数、大きさ、接触面積、及び振動触覚刺激の位置に応じて、閾値に大きな違いがある。
【0137】
身体周辺の振動感度は、刺激を受ける体の部位によって異なる特性を持っている。その中には、無毛の皮膚部位と、それらを刺激する様々な受容器と求心性線維の存在がある。前額部にある毛包の平均密度は、背中(29毛包/cm2)と比較して、体の他の部位(292毛包/cm2)よりも有意に高くなっている。Seah S.とGriffin M.(2006)は、男性と女性、及び若者と成人(無毛と毛深い皮膚)の振動触覚閾値を比較し、平均して成熟した男性と女性の振動触覚閾値を決定することが可能であった。31.5Hzと125Hzの閾値において、女性はそれぞれ0.12と0.29、男性はそれぞれ0.14と0.23であった。
【0138】
本発明において撫でる動きを喚起するために、寒冷に加えて、振動、撫でる動き及びタッピングが使用される。皮膚熱感覚は、熱情報を変換、コード化、伝達する受容器によって調節されている。Park B.とKim S.(2013)は、熱感受性線維の2種類があり、熱に反応するものと寒冷に反応するものがあると述べている。
【0139】
皮膚温度が1°Cから15~30°Cに及ぶ範囲で変化することを感知する低温受容器は、表層と深部の2つのグループに分類され、その60%は体の周辺部に存在する。これらの受容器は、5~15m/秒の速度で、またC線維を介してミエリン化(mielinizated)される小さな線維を介して情報を伝達することができる。
【0140】
先に引用したSmith K.とZhu L.によると、モデルの物理的及び生理学的パラメータに基づいて、20°Cの温度で30分間の単純なパッドを使用すると、脊髄の温度を30分で2.7°C以上低下させることができるだろうと結論付けている。温度を0°Cに下げると低温が2倍以上になる可能性がある。
【0141】
本発明では、冷刺激は、流体回路の断面のチューブ内部を再循環する低温流れT°によって加えられ、それは患者の脊椎の上部を覆う皮膚及び筋肉に加えられる。この場合、皮膚に触れるチューブは、当該脊柱と平行に走っている。流れの乱れは、主に蠕動ポンプの働きとアクチュエータを通る流れの通過によるものである。寒冷はペルチェプレート・クーラーから得られる。この点で、蠕動ポンプとアクチュエータによって引き起こされる乱流の挙動をモデル化する必要があるが、チューブ(もしチューブが存在するなら、鋼管とホース用)とともに流体と体組織の間の熱移動を扱う分析研究はほとんどないことに注意することが重要である。これらの現象を説明するいくつかのモデルを次に示す。
【0142】
a)圧縮性又は非圧縮性流体を輸送する膨張可能な壁を備えたチューブの3次元挙動。Gay-Balmaz F.とPutkaradze V.(2018)は、それらの流体を説明し、次の方程式に要約することができる理論を提示している。
【数1】
質量とエントロピーの保存とともに、
【数2】
【0143】
b)乱流の特性:乱流には、不規則性、3次元性、拡散性、散逸、及び高いレイノルズ数という特性がある。
【0144】
流体力学の方程式は、流体の動的挙動が次の保存方程式によって支配されるという事実に基づいている。
- 質量の保存又は連続方程式。
- 運動モーメント又は運動量の保存。
- エネルギー保存。
【0145】
質量保存、運動量、及びエネルギー保存の方程式をグループ化することにより、レイノルズ-ナビエストークス方程式はReynolds O.(1895)によると3次元で得ることができ、決定されるべき5つの変数のシステムを表しているが、7つの独立未知恒等式を有している。これは最も完全な乱流モデルであるが、この種類の方程式の一般的な解は利用できず、k-ε(k-イプシロン)又はk-ω(k-オメガ)などのより単純なモデルが使用される。これらはLES(ラージ・エディ・シミュレーション)モデルから演繹されるが、制限がある。
【0146】
b.1 Hanjalic KとLaunder B.(1972)のモデルk-ε(k-イプシロン)は、計算流体力学で最も使用されているモデルである。これは、流れの乱流特性を表す2つの輸送方程式のモデルである。このモデルの最初の変数は、乱流運動エネルギー(K)であり、この変数は乱流強度を決定する一方、2番目の変数は乱流散逸(イプシロン)を表す。このモデルは完全乱流に適切であり、方程式は次のとおりである。
【0147】
乱流運動エネルギー:
【数3】
乱流散逸:
【数4】
【0148】
b.2 Wilcox D.C.(2008)のモデルk-ω(k-オメガ)
RANS(Reynolds Averaged Navier-Stokes)方程式(レイノルズ平均ナビエ-ストークス)で必要とされる乱流粘度Vtは、VT = k/ωで与えられるが、kとψの展開は次のようにモデル化される。
【0149】
【数5】
【0150】
RANS方程式と、k-ε(k-イプシロン)又はk-ω(k-オメガ)モデルの命名法は、いくつかの参考文献に記載されているため、提示されていない。
【0151】
[蠕動ポンプ、乱流及び振動]
本発明において先に述べたように、脊椎を覆う皮膚及び筋肉の振動及び刺激を引き起こす乱流は、アクチュエータ又は蠕動ポンプによる流れの狭小化によって引き起こされる。
【0152】
Takabatake S. et al(1988)によると、蠕動ポンプのポンピングは、4つのパラメータ:半径Φ、波数α、レイノルズReの数、及び流れの時間(無次元)のの関数である。レイノルズ数には様々な定義があるが、Cheng X. et al(2017)が行った論文では、次の方程式を用いている。
【0153】
【数6】
【0154】
ここで、ρは流体の密度(kg/m3)、νは流体の平均速度、Dはチューブの直径(円形の場合は内径、メートル単位)、μは流体の動的粘度(Pa xs = N xs/m2 = kg/(m/秒)。一例として、この式から、蠕動ポンプの様々な直径と速度について、レイノルズ数の動きを、値:ρ= 1.08kg/m3及びチューブの内径は1.55x10↑-3を用いて計算する。流体の粘度は1.06x10↑-3Pa xsと推定された。
【0155】
流速1.69m/秒でのポンプ速度100rad/分に対するレイノルズ数は2678.22であり、そのポンプ速度から、ポンプ速度が10から10ラジアン/分に増加して、最大190ラジアンに達する。流速3.17m/秒で、レイノルズ数は5014.69となる。ポンプ速度が160ラジアン/分を超えると、レイノルズ数は4000を超え、乱流と見なされる(Re <2300は層流であり、2300<Re<4000は過渡流であり、4000を超えると乱流である)。要するに、本発明の目的のために、レイノルズ数が大きいほど、流体の乱流が大きくなり、チューブの振動と患者の脊椎を覆う皮膚表面を刺激するタッピングが大きくなる。
【0156】
[組織から流体システムへの熱移動]
本発明で決定されるべき重要な要素は、脊椎の上部から皮膚組織、筋肉組織及び骨組織間の熱移動であり、冷たい乱流流体(Reynolds N)が最初の脊柱と平行なチューブに収められ、その特性が真っ直ぐで、断面が円形で、内面が滑らかで、非圧縮性流体を輸送する。
【0157】
Subramian R.(2014)によると、Ditus-Boelter相関関係は最新の方法であり、プラントル数が0.7~100の範囲の流体に、そしてL/D>60のチューブ内で最も一般的に使用される。ここで、Lはチューブの長さ、Dはチューブの直径。この相関関係は適用するのが簡単であるが、流体(低温、高温)間の温度差が非常に大きく、チューブの内面が滑らかでない場合は正確ではない。Nusselt N(ヌセルト数)(Nu)は、区切られた流れにおける対流と伝導による熱伝達の比率である。
【0158】
【数7】
【0159】
プラントル数は、流体の動粘度vと熱拡散率αとの間の関係(v/α)として表すことができる。Ditus-Boelter相関関係は、レイノルズ数が10,000以下の流れで使用する必要があるが、実際にはそれよりも小さい値で使用される。
【0160】
[流体アクチュエータ機構]
本発明の流体回路内の第2の乱流発生源は、流体アクチュエータから由来するものであり、これは、第1のセミ回路のチューブの壁に振動を引き起こし、その振動は、脊椎の上部を覆う皮膚及び筋肉に伝達される。
【0161】
さらに、流体アクチュエータは、固定されて中空である一対のピストン上で、縦方向及び両方向に移動するシリンダにより構成されている。水はそれらの内部を循環し、シリンダの両方向に向かって、反対向きを指すリング状のノズルで終端する。回路のチューブの中に吐出し、アクチュエータには、シリンダの両側面に配置され2段切換式、2方向電磁弁(ソレノイドバルブ)のそれぞれによって駆動される水が交互に供給され、その開放がコンピュータシステムによって制御される。
【0162】
ピストン内の水のような永続的で理解できない一次元の流れの挙動を表す流れの連続方程式は、次のとおりである。
【0163】
水は実質的に非圧縮性であるため、ρ1=ρ2はそのまま。
ρ1 × V1 × A1 = ρ1 × V2 × A2
入口の流れは(ノズルからの)流出と同じである。
Q= V1 × A1 = V2 × A2
【0164】
ピストン内の流れは層流であるため、次の方程式を使用してその速度を決定できる。
【0165】
【数8】
【0166】
ここで、R =チューブ半径、v(max)は速度プロファイルの中心での最大速度である。これは、ノズルの出口に向かって流体速度が増加することを意味する。Shademan Y. et al(2012)は、非圧縮性流体を用いた4つのノズルの形状の影響を調査するための調査を行い、ノズルの出口の近くにリングを配置すると、乱流の発生率と流速が増加することを観察した。
【0167】
[芳香剤の香りの放出と強さのモデル]
異なる香りを持つ製品の配合に使用される、単純化されたマトリックスからの芳香剤の放出をモデル化するために、著者のCosta P. et al(2015)は、条件に応じて、本発明で使用できる新しいモデルを使用した。液体に溶解した化学物質に関するヘンリーの法則は、特定の温度での気相と液相間の平衡関係の比率として定義される。
【0168】
Ci(gas) = H×Ci(liquido),
【0169】
ここで、Hは、HとCi(気体)並びにCi(液体)に関するヘンリーの法則の成分であり、それぞれは、気体及び液相中の芳香剤iの成分の濃度(gr/L)である。
【0170】
文献は、芳香剤の混合物の嗅覚認識は、変数の組み合わせ、ガス中の匂い物質の濃度、その化学構造、臭気閾値、及び伝達におけるニューロン信号から計算できることを示している。
【0171】
このモデルは、感覚の大きさと刺激の強さ、そして最強の成分モデル(Strongest Component Model)を関係づける、スティーブンスの精神物理学の法則(Law of Steven’s Psychophysics)として知られる精神物理学モデルを用いて、a)匂いの強さ、b)芳香剤の混合物の特質とその中の蒸気の濃度を予測するための分析を簡素化する。
【0172】
芳香剤の混合物で知覚される匂いの強さは、スティーブンスの法則で用いられる濃度から計算された。このモデルは、加えられた刺激の大きさと知覚された感覚間の関係に関連する感覚実験から導き出され、両方間の非線形関係を意図している。臭いに関連した非線形関係は、知覚された感覚(ψ)が指数niに引き上げられた刺激(Ciガス)の大きさに比例すると仮定して表現できる。
【0173】
【数9】
【0174】
ここで、Ciガスは気相中の匂い物質の濃度であり、ODTiは空気中の臭気濃度の閾値(体積あたりの質量又はモルの単位)であり、パラメータniは特に匂い物質毎のスティーブンスの法則の指数として定義される。
【図面の簡単な説明】
【0175】
図1】多感覚刺激及びマルチモーダル刺激を提示することにより、患者自身のわくわく感を誘発、強化及び維持することによって慢性疼痛を緩和するためのセラピーセッション中の患者を示している。音楽的、視覚的、触覚的、嗅覚的刺激が、PCとモニタ、オペレーティングシステム、マルチメディアプログラム、コンピュータプログラムによって制御される流体回路とアクチュエータから構成されるワークステーションのアクチュエータによって喚起される。
図2】脊椎の上部を覆う皮膚及び筋肉の表面に、触覚刺激、振動触覚刺激及び寒冷を適用するために、患者の背中に流体回路を設置する方法を示している。
図3】エッセンシャルオイルのディフューザを示し、該ディフューザは、抵抗とともに、紡織繊維内に埋め込まれた、各オイルに1つずつ、2つの円形の容器を有し、すべてが直方体の形状をしたボックスの内部に収められ、上面に2つの穴を設けている。
図4】触覚刺激、振動触覚刺激及び冷刺激を適用することを可能にし、その動作がPCを介してコンピュータシステムにより制御される流体回路を示し、該流体回路は、3つの流体ポンプ、ホース及び接続部、1つのアクチュエータ、1つのクーラー、1T°センサー、1つのサーモスタット、1つの3方向2位置バルブ、並びに別の2つの2方向2位置(すべて通常閉)バルブから構成される。
図5】患者の脊椎の上部を覆う皮膚表面に、触覚刺激、撫でる動きを適用することを可能にするアクチュエータを示し、該アクチュエータは、アクチュエータの両側に1つずつ、2つの2方向2位置弁によって補完される。
【発明を実施するための形態】
【0176】
本発明の目的は、アクチュエータを備えた流体回路をはじめとする、アクチュエータによるわくわく感誘発による慢性疼痛を患う患者のセルフケアのための装置及びその使用方法を提供することにある。本発明で使用される刺激についての特別な言及は、音楽によって占められている。感覚刺激を提示してわくわく感を喚起する最も効率的な方法であることが示されているからであり、この理由で、触覚刺激及び視覚刺激の一部を音楽と同期させている。(マルチモーダル刺激)。
【0177】
図1A及び1Bは、患者の背中を取り囲み、本発明の刺激及び振動触覚を喚起することを可能にする、ヘッドイン(421)及び可撓性チューブ(405)を備えた、ショルダーストラップ内の流体回路(400)の使用方法を示している。患者の背中において、可撓性チューブ(図1B)は、チューブの振動を維持するために緩められた、ダブル吸着カップ(吸盤)(101)によって皮膚に取り付けられている。図1Bに示す患者の背中上の容器(102)は、流体回路:流体ポンプ、三方弁、温度センサー、及びクーラーの一部を構成する。アクチュエータ(500)は、脊椎の上部を覆う皮膚をスキミングするように配置されている。
【0178】
他方、図2は、上記の流体回路によって引き起こされる冷刺激及び振動触覚刺激を増強するために必要な視聴覚刺激を喚起するのに必要なハードウェアを示している。ハードウェア要素は、仮想現実(VR)技術を使用するために重要になる可能性があるが、それがなくても、患者が本発明の利点を体験することを妨げることにはならない。
【0179】
Okechukwu O. et al(2011)は、バーチャルリアリティ(仮想現実)技術(VR)を非常にインタラクティブで、ユーザーがコンピュータによって生成された世界に参加するマルチメディアコンピューティング環境に基づいていると定義している。バーチャル技術(VT)は、3次元での架空の環境のシミュレーションであり、リアルタイムで視覚的なインタラクティブエクスペリエンス、音、触覚、その他の形式のフィードバックを提供し、VRを実装するために必要なテクノロジーである。ただし、予算的、技術的、又はその他の制約により、患者の好みに応じてこのテクノロジーを使用することが得策になるバーチャルリアリティシステムは3つのタイプ:a)非没入型、b)半没入型、c)完全没入型に分類できる。
【0180】
バーチャルリアリティは、洗練された3次元空間をシミュレートすることを求めるが、本発明の目的のために、非没入型アプローチが、PCのクトップ上の単純なウィンドウを介して、高解像度モニタ上に、仮想世界を提供する。非没入型デバイスは、低コストでユーザーにすぐに受け入れられ、将来の投資で改良可能である。
【0181】
一般的にリハビリテーションにおいて及び疼痛の管理においてVRによって提供されるディストラクション(気をそらす)技術による仮想現実の利用が研究されたいくつかの研究がある。一例として、Shahrbanian S. et al(2012)は、疼痛管理におけるこの種類の治療の有効性を判断するために広範な文献レビューと実験を行なった。著者らは、VRによって許可されたディストラクション(気をそらす)技術は、非薬理学的治療における慢性疼痛を軽減するための有望な方法であると結論付けた。バーチャルリアリティを生起する構成要素は、2つの種類の構成要素:ハードウェアとソフトウェアに分けられる。
【0182】
[ハードウェアコンポーネント]
- ハードウェアは、5つのサブコンポーネント:ワークステーション、高速処理カード、追跡システム、周辺入出力デバイスで構成されている。
【0183】
- ワークステーション:今日では、特にCPU、グラフィックス、メモリ容量の点で大きな発展があり、視覚化と様々な種類の情報の操作のために最適化されている。RAMメモリが大きいほど、コンピュータの効率が高くなる。
【0184】
- 高速処理のカード:グラフィックカードなどの新しい感覚情報とともに抜け出る周辺機器の提示や3Dサウンドの提示を更新することを可能にする。
【0185】
- 監視システム:これらのシステムは、仮想環境でのユーザーの位置と方向を決定し、機械的、電磁気的、超音波、及び赤外線技術に分けられる。
【0186】
- 感覚出力の周辺機器:これらのデバイスは、ユーザーに仮想世界を提示するために使用され、基本的に、モニタ、メガネ、又は、バーチャルリアリティ・ヘルメットと3Dオーディオ用補聴器で構成される。
【0187】
- 入力周辺機器:仮想環境や、キーボード、マウスなどの仮想環境内のオブジェクトと対話するために使用される。
【0188】
モニタ(211)は、曲面スクリーン(排除しない)を備えている必要がある。フラットスクリーンや広い視野角よりも歪みが少なく、より自然で、長時間のセッションでの眼精疲労が少ない視覚体験を提供するからである。グラフィック、ビデオ、マルチメディアとの作業が容易になるように、大画面(排除しない)と高解像度(排除しない)を設けることが必要である。
【0189】
オーディオシステム:VRヘッドセットを使用せずに、優れたサウンドを望まない場合に限り、優れたオーディオシステム(202)が必要である。これにより、セラピーがより没入感のあるものになる。サラウンドサウンド、より鮮明でより深い低音は、優れたスピーカーシステムの利点である。この目的のためにわれわれは コスト、周波数応答、電力、インピーダンス、感度、性能、歪み、及び方向性を考慮しなければならない。
【0190】
[ソフトウェアコンポーネント]
このソフトウェアは、4つのサブコンポーネント: 3Dモデリングソフトウェア、3Dグラフィックスソフトウェア、デジタルサウンドを編集するソフトウェア、及びバーチャル・シミュレーション・ソフトウェアで構成されている。
【0191】
- 3Dモデリングソフトウェアは、バーチャルリアリティの世界で幾何学的オブジェクトを構築し、これらのオブジェクトのプロパティを指定することを可能にする。
【0192】
- 2Dグラフィックデザインソフトウェアは、仮想の詳細を改善するオブジェクトの特性に適用する。
【0193】
- デジタルサウンドを編集するソフトウェアは、オブジェクトがバーチャルリアリティ環境内で発するサウンドをミックス及び編集することを可能にする。
【0194】
- VRシミュレーションソフトウェアは、すべてのコンポーネントをまとめる。
【0195】
[本発明に適したソフトウェア]
本発明の要件のために、C++プログラミング言語に基づくシステムは、サードパーティによって作成された複数のコードを含むアルドゥイーノ(Arduiono)ライブラリからのプログラムを適合させることによって開発された。
【0196】
われわれのプログラムをArduino又は別の互換性のあるカードにロードするために、統合開発環境(Integrated Development Environment:IDE)がダウンロードされた。IDEは、ユーザーがプログラムを作成して、われわれのカードに該プログラムをダウンロードすることを可能にする公式のArduinoアプリケーションである。これらのプログラムを使用して、本発明のマイクロコントローラとセンサー及びアクチュエータとの間の接続が行われた。ディフューザと流体回路は、単独又は並列で動作し、コンピュータのオーディオ及びビデオと同期することも同期しないこともできる。マイクロコントローラは、USB接続を介して、又はこの場合は電源を備えた外部電源を用いて電力供給を受けることができる。
【0197】
[音楽刺激と視覚刺激]
先の参考文献によると、感情を最も効果的に覚醒させる音楽刺激及び視覚刺激は、それぞれクラシック音楽、メランコリックな音楽、風景と自然の生活のビデオである(201)と(212)。マルチメディアで利用できる無料又は有料の画像や動画のデータベースは数多くあり、心理学的アプリケーション又はその他のアプリケーションで使用するために、標準化されかつ性別、作者別、時代別などに分類されている。一例として、音楽、オペラ、その他のジャンルのWEBページや、自然の風景、自然なフラクタル、及び一般的には自然の生活のシーンのビデオがある(例:www.youtube.com)。
【0198】
マルチメディアは、テキスト、数字、グラフィック、静止画又は動画、アニメーション、音響、ビデオを統合し、様々なドキュメントに沿ったナビゲーションを可能にするテクノロジーである。それは、物理的又はデジタル表現の複数の手段を使用して情報を提示又は伝達するオブジェクト又はシステムを指す。マルチメディアプレゼンテーションは、本発明によって理解されるように、ステージ上で見たり聞いたりでき、マルチメディアプレーヤによって送信又はローカルに再生することができる。送信はライブ又は記録でき、アナログ又はデジタルテクノロジーを使用して、デジタルをダウンロード又はストリーミングで送信できる。
【0199】
本発明のための一例として、とりわけ、Windows(ウィンドウズ:登録商標)7、8及び10で利用可能なウィンドウズ・メディアプレーヤ(Windows Media Player)(最新バージョン12)を使用することができる。
【0200】
Macの場合、QuickTime(登録商標)がWindows Mediaファイルを再生できるように、Windows Mediaコンポーネントをダウンロードできる。さらに、ユーザはフリーマルチメディアプレーヤやオープンソースマルチメディアプレーヤであるフリーVLC Media Player、マルチプラットフォーム、ほとんどのマルチメディアファイルを再生するフレームワーク、とともにDVD、オーディオCD、VCD、及び様々な伝送プロトコルを使用できる。
【0201】
[嗅覚刺激]
本発明の匂い物質は、電源(302)に接続されたエッセンシャルオイルディフューザ(301)を通して提示される。該ディフューザは、2つの穴を備えたボックスを備え、該ボックスは2つの容器(303)と(304)を備え、その中には綿(307)と(308)にしみこませたオイル中に2つの抵抗器(305)と(306)がある。該オイルは、抵抗器が加熱されるとボックスの穴から放出される。このプロセスは、PCから計算システム(Computational System)を介して制御される。
【0202】
ディフューザの制御には、Wemos D1ミニカードが使用される。これは、個別に(1つの容器)又は並列に(両方の容器)のいずれかでカードを有効化/無効化する役割を果たす。これは、リレーモジュールを使用してPCから実行される。2つのチャネル(309)を使用して、電源から交互に供給されるストリップの24Vの通電を可能にする。
【0203】
[振動触覚]
振動触覚刺激を提示するために、閉鎖式かつ並列式の流体回路(400)が使用され、ストロークと撫でる動きでマッサージし、患者の脊椎上部の皮膚表面に、寒冷と振動を適用することも可能である。振動は、蠕動ポンプとアクチュエータによって生起され、チューブに伝達される乱流によって引き起こされる。
【0204】
この回路は、3つのポンプ:1つのステッパモータ(DC、24V及び0.6A)によって駆動される1つの蠕動ポンプと2つのマイクロダイヤフラムポンプ(403)と(404)、(DC12V及び1.5A)、フレキシブルチューブ(405)、Y結線、 ペルチェプレート付きクーラー(406)、サーモスタット(407)、及び温度センサー(408)、通常閉(DC12V及び185mA)のマイクロミニ3方向2位置弁(401)、及び流体アクチュエータ(500)で構成される。該流体アクチュエータ(500)の両側に通常閉の2つの2方向2位置弁(413)と(414)を有する。
【0205】
次に、流体回路は、2つの並列の流体ハーフ回路(409)及び(410)を備え、通常は閉じている三方電磁弁(401)によって機能的に分離される。第1のハーフ回路(410)の動作は、プログラムを搭載したArduinoNanoマイクロコントローラ(A0)により制御される。該マイクロコントローラは、2つのマイクロダイヤフラムソレノイドポンプ(403)と(404)の起動と、PCからのUSBケーブルAndroidを介した5Vリレーモジュールと3つのチャネルを介した3方向バルブ(401)の開放とを同時に制御する。
【0206】
要するに、第1の流体ハーフ回路(410)の動作は、通常は閉じているマイクロミニ三方電磁弁(401)を備え、このマイクロミニ三方電磁弁(401)が開くと同時に、流れが2つのマイクロダイヤフラムポンプ(403)と(404)に同時に進むことを可能にする。該マイクロダイヤフラムポンプ(403)と(404)は、並列に配置され、それぞれ2つの独立したチューブ(415)と(416)を介して流れが供給される。該独立したチューブ(415)と(416)は、共通のチューブ(414)から生まれ、この共通のチューブ(414)には、クーラーから3方弁を介して流れがくる。流体の排出は、2つの独立したチューブ(417)と(418)によって行われ、これらは、次いで第3のチューブ(419)と合流され、該第3のチューブ(419)は、蠕動ポンプの排出チューブ(420)に接続されている。両方のマイクロダイヤフラムポンプが駆動する流体は、チューブ(419)を介してクーラー(406)に向かう。流体の排出は、コンピュータのマルチメディアプレーヤの音楽のリズムに合わせて行われる。
【0207】
ペルチェセルのそれぞれのファンとウォーターブロックを備えたペルチェプレート・クーラーの入口には温度センサーがあり、その測定値はPC画面で見ることができる。また、該温度センサーは220Vの家庭用電気ネットワークから電力が供給され、独立に調整されるSTC-1000デジタルサーモスタットも備えている。該サーモスタットでのプログラミングに応じて、3つのペルチェセルとそれぞれ対応のファンのセットが起動/停止することになる。ペルチェセルとファンのセットは、12V及び40Aの電源から給電される。
【0208】
このセミ回路の機能は、可聴信号を検出し、それを電圧信号に変換することができる音響センサによって提供される。電圧信号は、マイクロコントローラのアナログ入力によって読み取られる。
【0209】
マイクロコントローラにロードされたプログラム“code_musical_source.or”は、マイクロダイヤフラムポンプ(出力D12及びD13)を起動させるために、高周波数と低周波数とを分離することにより、これらの信号の分析を実行する。マイクロダイヤフラムポンプは、Android USBケーブルとPCからの3チャンネルリレーモジュール(バルブ用に1つ)を介して制御される。
【0210】
他方及び追加的に、LEDのセット、図2、(210)が起動され、音響(出力D12、D13、D4並びにD9、D10及びD11)を同時に発生する。ポンプの起動信号は、L298ドライバーによって受信され、該ドライバーはポンプの起動と停止の役割を果たし、それらに12V電源から電力を供給する。
【0211】
流体セミ回路とLED照明(210)は、音響周波数が異なる任意の2つの楽器(例えばドラムとフルート)とともに機能する。要約すると、本発明の流体回路は、音楽水源の流体回路に類似している。
【0212】
第2のセミ回路には、2つの動作モードがある。第1の動作モード(409)では、流れは一方向性のセンスを持ち、第2の動作モードでは、シリンダーとプランジャーの長さによって与えられる、限られた範囲内で、蠕動ポンプのエンジンのステップバイステップの前進と後退の動きにより、双方向(409)と(409A)が交互に動作する。
【0213】
第1の動作モードでは、蠕動ポンプ(402)が起動している間に、ハーフ回路(409)と(410)で共有されるマイクロミニ三方弁(401)が、第2のハーフ回路(409)側に開く。蠕動ポンプ(402)には、チューブ(413)を介して流れが供給され、蠕動ポンプ(402)は、2つのダイアフラムポンプ(403)及び(404)からのチューブ(419)に接続されているチューブ(420)内にその流れを排出する。三方電磁弁(401)がまだ開いていて、蠕動ポンプが動作している間、流れは第2のハーフ回路内へ再循環し、ペルチェプレート・クーラー(406)に至り、流体アクチュエータがその方向に図5、(523)開いた状態である。
【0214】
第2の流体ハーフ回路(409)のこの動作モードの機能は、前述のWemos D1ミニカードによって提供される。このカードは、蠕動ポンプ(402)の起動/起動停止とともに当該ポンプの回転速度、実行時間、サイクル再開時間、ランダムな動き、速度、時間を選択するオプションを制御する役割を果たす。これは、PCから、WemosD1ミニカードへのAndroidUSB接続を通じて行われる。ピンD3により、カードは必要なパルスをドライバー(Kamoer)のDAT入力に直接送信する。起動/停止はまた、蠕動ポンプに向かって電磁弁の開放を制御する1チャンネルリレーによっても実行される。
【0215】
WemosカードのピンD6から、蠕動ポンプのドライバー(Kamoer)の給電に必要な24Vの通電を可能にするために、起動/停止がリレーによって実行される。24Vは、電源24V、10Aから供給され、テーブルタップを使用してディフューザシステムと電圧を共有する。ドライバーのプロトボードの1つは、5v以上の給電とそれぞれの接地(アース)(グランドGND)を使用して、リレーモジュールに電力を供給し、GNDランドをドライバー(Kamoer)及びディフューザ制御のWemosD1ミニカードと共有できる。
【0216】
患者が運動と時間の観点からデフォルトで流体回路を操作する必要がないように、そしてとりわけ経験した感覚体験に不確実性を導入する必要がないように、この動作モード(速度と時間範囲で起動/停止)の実行プログラムでランダム化オプションが有効にされた。先に示した変数、移動、速度及び時間がとるランダム性は、ランダムライブラリにある乱数発生器プログラム(Random Value Generaor Program)を介して取得される。
【0217】
https://www.arduino.cc/reference/en/language/functions/random-numbers/random/
【0218】
Arduinoは真の乱数を作成できないため、randomSpeedライブラリを使用すると、変数、定数、又はその他の制御関数をランダム関数内に配置して、乱数を生成できる。
【0219】
https://www.arduino.cc/reference/en/language/functions/random-numbers/randomseed/
【0220】
代替の方法として、ランダム変数を生成する様々なプログラムがあり、一例として次のリンクに、C ++で開発されたプログラムを見つけることができる。
【0221】
http://www.cplusplus.com/reference/cstdlib/rand/
【0222】
第2のセミ回路(409)の第2モードは、脊椎の上部を覆う皮膚をわずかに撫でる動きをすることを目的としており、アクチュエータ(500)、3方向2位置電磁弁(ソレノイドバルブ)(401)、2つの2方向2位置バルブ(413)と(414)の作業、及び蠕動ポンプ(402)のステッパモータの作業によって達成される。所定の距離で双方向に動作するステッパモータの機能は、上記のWemosD1ミニカードによって発揮される。このWemosD1ミニカードは、PCからのAndroidUSBケーブルを介して、5V及び4チャンネルリレーモジュールを使用して、蠕動ポンプ(402)を制御するとともに、同時に、ミニマイクロ3方向ソレノイドバルブと2つの2方向ソレノイドバルブを起動/停止する役割を果たす。
【0223】
流体アクチュエータ図5、(500)は、布の中に毛(502)で部分的にライニングされたシリンダ(501)から成り、該シリンダ(501)は中央位置(503)から始まり、中央(506)にインナーリングを備え、水がそれらの内部を循環する、固定された中空の一対のプランジャー(507)と(508)上で、長手方向に交互に両方向にかつ同じ距離(504)又は(505)移動する。該一対のプランジャー(507)と(508)は、シリンダーの両方向に対して反対側を指すノズルリング(509)と(510)で終端し、流体回路のチューブ(511)と(512)へ排出する。ここでアクチュエータは、シリンダの両側に配置された、2つの2方向2位置ソレノイド弁(413)と(414)によって駆動される水によって交互に供給される。各プランジャーの外側で、その狭い端部から同じ距離に2つのリング(515)と(516)が配置され、それらにより両側へ向かってのシリンダの前進を停止できる。両方のピストンのそれぞれが、遠位端に2つのインナーリング(517)と(518)及び外側に溝を有し、メッシュ(521)と(522)をキャッチする2つのチューブコネクタ(519)と(520)をねじ込むようになっている。インナーリングは、メッシュと同様に、乱流を発生することを目的としており、アクチュエータがいずれかの方向に移動する距離は、モーターが対応する変位で段階的に移動する角距離と等しくなければならない。
【0224】
サイクルは、三方電磁弁(401)が開き、蠕動ポンプ(402)が起動し、二方弁(413)又は(414)の1つが開き、流体をいずれかのノズル(509)又は(510)に駆動すると開始される。流体が第2のノズルに流れる間、シリンダ(506)のインナーリングを流体通路に引きずる。このサイクルは、蠕動ポンプのステッパモータの前進/後退と二方電磁弁(413)と(414)が交互に開くことで反対方向に繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0225】
[米国特許文献]
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【特許文献7】US 9,849,206 B1 11/2016 Ming Jen Hsiao
【0226】
[その他の特許文献]
【特許文献8】CN 202822492 U CN 03/2011 Chih-Kuo Liang
【特許文献9】102010047757 B3 DE 10/2010 Bernd Basche
【特許文献10】WO 2006/084921 A1 02/2005 Julio Ruiz et al
【特許文献11】CN 205181749U 11/2015 姚春玲 y 夏飛飛
【非特許文献】
【0227】
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図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-09-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性疼痛を患う患者セルフケアのための装置であって、
多感覚刺激及びマルチモーダル刺激によって患者自身のわくわく感を喚起及び/又は強化及び/又は維持するために、
流体回路と、コンピュータと、マイクロコントローラと、ディフューザとを備え、
前記流体回路は、
前記患者の背中を取り囲み、冷たい乱流流体の流れにより前記患者に冷刺激及び振動触覚刺激を喚起するとともに、撫でる動きを喚起し、
前記コンピュータは、
前記流体回路によって引き起こされる冷刺激及び振動触覚刺激並びに撫でる動きを増強するために、
スピーカ及び/又は補聴器、並びに音楽プレーヤを備え、前記患者に音楽刺激及び聴覚刺激を提供するとともに、
モニタおよびビデオプレーヤを備え、前記患者に視覚刺激を提供し、
前記マイクロコントローラは、
前記コンピュータに接続され、前記コンピュータからの接続を通じて、前記流体回路を制御し、
前記ディフューザは、
前記コンピュータにより制御され、前記患者に嗅覚刺激として匂い物質を提供する
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記マイクロコントローラには、プログラムが搭載され、
このプログラムは、サードパーティによって作成されたライブラリからダウンロードされた統合開発環境で作成されたプログラムである
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
LED照明を備え、このLED照明は、光刺激を喚起する
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記流体回路は、
アクチュエータ及び蠕動ポンプ、並びに、皮膚に触れるチューブを備え、
前記アクチュエータ及び前記蠕動ポンプは、前記チューブの壁に伝達される乱流及び振動を引き起こし、脊椎の上部を覆う前記皮膚の部位に前記振動触覚刺激を提供し、
前記チューブは、
前記チューブの振動を維持するために緩められたダブル吸着カップにより皮膚に取り付けられ、
前記アクチュエータは、
皮膚に接触する模造毛皮生地の中に部分的にライニングされているシリンダから構成され、撫でる動きを喚起する
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記マイクロコントローラは、
可聴信号を検出して電圧信号に変換する音響センサによる前記電圧信号を読み込むことにより、
前記コンピュータの前記音楽プレーヤの音楽のリズムに合わせて、前記流体回路への流体の排出を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記流体回路は、
クーラー、および皮膚に触れるチューブを備え、
前記クーラーにより寒冷が得られ、
前記冷刺激は、前記チューブの内部を再循環する低温流れにより、患者の脊椎の上部を覆う皮膚及び筋肉に加えられる
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記流体回路は、
前記蠕動ポンプの時間と速度の点で、前記コンピュータからランダムに作動可能である
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記流体回路は、
閉鎖3方向電磁弁と、2台のマイクロダイアフラム電磁ポンプとを備え、
さらに前記流体回路は、
前記閉鎖3方向電磁弁により機能的に分離される2つの並列のハーフ回路を備え、
第1のハーフ回路は、2台の前記マイクロダイアフラム電磁ポンプを備え、
第2のハーフ回路は、前記蠕動ポンプを備え、
前記第1のハーフ回路の動作は、前記マイクロコントローラにより制御され、
前記マイクロコントローラは、前記パソコンからの接続を通じて、前記閉鎖3方向電磁弁の開動作と2台の前記マイクロダイアフラム電磁ポンプの起動とを同時に制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記流体回路は、
閉鎖3方向電磁弁と、2台のマイクロダイアフラム電磁ポンプとを備え、
さらに前記流体回路は、
前記閉鎖3方向電磁弁により機能的に分離される2つの並列のハーフ回路を備え、
第1のハーフ回路は、2台の前記マイクロダイアフラム電磁ポンプを備え、
第2のハーフ回路は、前記蠕動ポンプを備え、
前記第2のハーフ回路には、2つの動作モードがあり、第1の動作モードでは、流れが単一方向を有し、第2の動作モードでは、前記アクチュエータのシリンダ及びピストンの長さによって与えられる限られた範囲内での前記蠕動ポンプのステッパモータの前進・後退動作により、流れが双方向に交互に動作する
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【国際調査報告】