(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(54)【発明の名称】バイアス磁界制御方法、磁性薄膜堆積方法、チャンバ及び装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20220428BHJP
C23C 14/06 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
C23C14/34 Z
C23C14/06 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571394
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 CN2020089604
(87)【国際公開番号】W WO2020238594
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】201910461432.5
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520266443
【氏名又は名称】ベイジン・ナウラ・マイクロエレクトロニクス・イクイップメント・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing NAURA Microelectronics Equipment Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.8 Wenchang Avenue Beijing,Economic-Technological Development Area,Beijing 100176,China
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】ゴン、イージエ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、クワンマオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、イージエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジングオ
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BA24
4K029BA25
4K029BA26
4K029CA05
4K029DC00
4K029EA00
(57)【要約】
本開示は、バイアス磁界制御方法、磁性薄膜堆積方法、チャンバ及び装置を提供する。制御方法は、S1:ターゲットの合計適用時間が上限に達するまで、ターゲットの第1のプリセット適用時間ごとにベースの円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させる工程を含む。バイアス磁界デバイスは、毎回同じ方向に回転される。本開示のバイアス磁界制御方法、磁性薄膜堆積方法、チャンバ及び装置の技術的解決策により、ターゲットの寿命は増大されてもよく、ターゲットの利用率及びフィルム厚さの均一性は、製造コストを低減するように改良されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアス磁界制御方法であって、前記バイアス磁界は水平磁界であり、前記方法は、
工程S1:ターゲットの合計適用時間が累積して上限に達するまで、前記ターゲットの第1のプリセット適用時間ごとにベースの円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させる工程、を含み、
前記バイアス磁界デバイスは、毎回同じ方向に回転される、バイアス磁界制御方法。
【請求項2】
工程S0:第2のプリセット適用時間後に、ターゲット上に形成された最も深い凹部領域又は最も浅い凹部領域の円弧長に対応する中心角度を測定する工程であって、前記第2のプリセット適用時間は前記第1のプリセット適用時間より長いか等しい工程、を工程S1の前にさらに含み、
工程S1における固定角は前記中心角度より小さいか等しい、請求項1に記載のバイアス磁界制御方法。
【請求項3】
前記第1のプリセット適用時間及び前記第2のプリセット適用時間は、前記ターゲットの消費がnKWhに達するために必要とされる時間であり、nは10以上の定数である、請求項2に記載のバイアス磁界制御方法。
【請求項4】
前記バイアス磁界デバイスの位置はスパッタリングプロセス中に変化せず、前記第1のプリセット適用時間に達するごとに前記スパッタリングプロセスが停止し、かつ、前記バイアス磁界デバイスは前記ベースの前記円周方向に沿って前記固定角で回転する、請求項2に記載のバイアス磁界制御方法。
【請求項5】
nが50である、請求項2に記載のバイアス磁界制御方法。
【請求項6】
工程S1における前記バイアス磁界デバイスの複数の回転の固定角の合計が180°以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のバイアス磁界制御方法。
【請求項7】
水平バイアス磁界によって加工対象物上に磁性膜層を堆積する磁性薄膜堆積方法であって、前記磁性薄膜堆積方法は、以下の工程:
S10:ターゲットの合計適用時間が累積して上限に達したかどうかを判定し、達していればフローを停止し、達していなければ工程S11を実行する工程;
S11:スパッタリングプロセスを実行し、前記スパッタリングプロセスが停止した後に工程S12を実行する工程;
S12:前記ターゲットの第1のプリセット適用時間が経過したかどうかを判定し、経過していれば工程S13を実行し、経過していなければ工程S10に戻る工程;及び、
S13:ベースの円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させ、工程S10に戻る工程、を含み、
前記バイアス磁界デバイスは、毎回同じ方向に回転される、磁性薄膜堆積方法。
【請求項8】
前記磁性膜層の材料が、NiFe合金、アモルファス磁性材料、並びにCo、Fe及び/又はNiを含む磁性材料を含む、請求項7に記載の磁性薄膜堆積方法。
【請求項9】
チャンバ本体及びバイアス磁界デバイス、前記チャンバ本体内に配置され、加工対象物を担持するように構成されたベース、並びに前記チャンバ本体内側の上部に配置されたターゲットを備える磁性薄膜堆積チャンバであって、前記バイアス磁界デバイスは前記ベースの上方に水平磁界を形成するように構成され、前記水平磁界は前記加工対象物上に磁性膜層を堆積させるために使用され、ここで、前記磁性薄膜堆積チャンバは、バイアス磁界制御デバイスをさらに含み、前記バイアス磁界制御デバイスは、前記ターゲットの合計適用時間が累積して上限に達するまで、前記ターゲットの第1のプリセット適用時間ごとに前記ベースの円周方向に沿って固定角で回転するように前記バイアス磁界デバイスを駆動するように構成され、前記バイアス磁界デバイスは、毎回同じ方向に回転される、磁性薄膜堆積チャンバ。
【請求項10】
前記バイアス磁界制御デバイスが、非磁性材料で作製され、前記バイアス磁界デバイスを支持するように構成された回転プラットフォーム、及び前記回転プラットフォームを駆動して前記ベースの軸を中心に前記固定角で回転するように構成された回転駆動機構を含む、請求項9に記載の磁性薄膜堆積チャンバ。
【請求項11】
前記バイアス磁界デバイスが前記チャンバ本体の側壁の内側で前記ベースの周りに配置されるか、又は、前記バイアス磁界デバイスが前記チャンバ本体の前記側壁の外側の前記チャンバ本体の周りに配置される、請求項9又は10に記載の磁性薄膜堆積チャンバ。
【請求項12】
磁性膜層を堆積するように構成された堆積チャンバを少なくとも備える磁性薄膜堆積装置であって、各堆積チャンバが、請求項9~11のいずれか一項に記載の磁性薄膜堆積チャンバを含む、磁性薄膜堆積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、超小型電子技術分野に関し、より詳細には、バイアス磁界制御方法、磁性薄膜堆積方法、チャンバ及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展に伴って、集積回路製造プロセスでは、プロセッサのサイズが大幅に低減されている。しかし、コア要素、例えば集積インダクタ及び雑音抑制器などは、高周波数、最小化及び集積の困難に直面している。この問題を解決するために、高着磁性、高透過性、高共振周波数及び高抵抗性である軟磁性膜材料が、ますます注目されている。
【0003】
軟磁性膜材料は、主に、軟磁性膜材料の高透過性及び高着磁性と共に低保磁性及び低損失性に関して考慮されている。軟磁性膜材料の発展に影響を与える主な要因の1つは、軟磁性膜材料のカットオフ周波数である。軟磁性膜の面内一軸異方性場を調整することにより、軟磁性膜材料のカットオフ周波数が、調整され得る。軟磁性膜の面内一軸異方性場を制御するための一般的な方法は磁界誘起堆積であり、これは、簡単な方法で、追加の工程がなく、チップに対する損傷が小さいなどの利点を有し、工業的生産において好ましい方法である。
【0004】
バイアス磁界デバイスは、堆積チャンバ内に水平磁界を形成するように構成されてもよく、それにより、磁性材料がスパッタリングされ堆積されると、磁性材料の磁区は、面内異方性磁性膜を形成するために水平方向に位置合わせされる。しかし、バイアス磁界を用いた磁性材料スパッタリングプロセスでは、2つの結合及び重畳効果が、加えられたバイアス磁界とターゲット表面の対応する領域内の磁界との間に存在する。1つの効果は、重畳強化であり、他の効果は、重畳弱化である。これらの2つの効果の相違は、不均一なプラズマ密度分散を招き、それによって磁界重畳強化領域内の材料スパッタリング率は、磁界重畳弱化領域内のものより高くなる。ある程度の数の基板が加工された後、ターゲット表面上の磁界強化領域に対応するターゲット凹部深さは、磁界弱化領域に対応するターゲット凹部深さよりも大幅に大きい。すなわち、ターゲット表面及びバイアス磁界に対応する領域は、2つの異なった凹部深さを有することになり、それによって磁性材料スパッタリングプロセスにおいて以下のように多くの問題を引き起こす。
【0005】
第1に、ターゲット表面上のより大きい凹部深さを有する領域は、すばやくスパッタリングし尽くされることがあり、それによってターゲットの効果寿命を大幅に低減し、ターゲットの利用率を非常に低くする。
【0006】
第2に、ターゲット表面上の不均等な凹部深さは、基板全体に堆積されたスパッタリング材料の厚さを不均等にすることがある。ターゲットの消費が進むにつれて、凹部深さの相違は増大し、基板上に堆積された磁性膜の均一性は、低下する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、従来技術に存在する技術的問題の少なくとも1つを解決し、バイアス磁界制御方法、磁性薄膜堆積方法、チャンバ及び装置を提供することを目的とする。ターゲットの適用寿命は増大されてもよい。ターゲットの利用率及び膜の均一性は増大されてもよい。こうして、製造コストは低くされてもよい。
【0008】
本開示の目的を達成するために、本開示の態様は、バイアス磁界制御方法を提供する。バイアス磁界は水平方向の磁界である。この方法は、S1:ターゲットの合計適用時間が上限値に達するまで、ターゲットの第1のプリセット適用時間ごとにベースの円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させることを含む。バイアス磁界デバイスは、毎回、同じ方向に回転される。
【0009】
任意に、工程S1の前に、方法は、S0:第2のプリセット適用時間後に、ターゲットの表面に形成された最も深い凹部領域又は最も浅い凹部領域の円弧長に対応する中心角度を測定することをさらに含む。第2のプリセット適用時間は、第1のプリセット適用時間より長いか、又はこれに等しい。
【0010】
工程S1では、固定角は、中心角度より小さいか、又はこれに等しい。
【0011】
任意に、第1のプリセット適用時間と第2のプリセット適用時間の両方は、nKWhに達するためのターゲット材料の消費に必要とされる時間である。nは10以上の定数である。
【0012】
任意に、スパッタリングプロセス中、バイアス磁界デバイスの位置は、変更されないままである。第1のプリセット適用時間が達せられると毎回、スパッタリングプロセスは停止され、バイアス磁界デバイスは、固定角にわたってベースの円周方向に沿って回転される。
【0013】
任意に、nは50に等しい。
【0014】
任意に、工程S1において、バイアス磁界デバイスによって複数回回転される複数の固定角の合計は、180°以上である。
【0015】
別の技術的解決策として、本開示はまた、水平バイアス磁界を使用して加工対象の加工物上に磁性膜層を堆積するための磁性薄膜堆積方法を提供する。磁性薄膜堆積方法は、以下の工程を含む。
S10:ターゲットの合計適用時間が上限に達しているかどうかを決定し、達していればプロセスを停止し、達していなければ工程S11を実行する。
S11:スパッタリングプロセスを実行し、スパッタリングプロセスが停止された後、工程S12を実行する。
S12:ターゲットの第1のプリセット適用時間が過ぎたかどうかを決定し、過ぎていれば工程S13を実行し、過ぎていなければ工程S10に戻る。
S13:ベースの円周方向に沿って固定角にわたってバイアス磁界デバイスを回転させ、工程S10に戻る。バイアス磁界デバイスは、毎回、同じ方向に回転される。
【0016】
任意に、磁性膜層の材料は、NiFe合金、非晶質磁性材料、並びにCo、Fe及び/又はNiを含む磁性材料を含む。
【0017】
別の技術的解決策として、本開示は、また、チャンバ本体とバイアス磁界デバイスとを含む磁性薄膜堆積チャンバを提供する。ベースがチャンバ本体の内側に配置される。ベースは加工対象の加工物を担持するように構成される。ターゲットがチャンバ本体の上部に配置される。バイアス磁界デバイスは、ベースの上方に水平磁界を形成するように構成される。水平磁界は、加工対象の加工物上に磁性膜層を堆積するために使用される。磁性膜堆積チャンバは、バイアス磁界制御デバイスをさらに含む。バイアス磁界制御デバイスは、ターゲットの合計適用時間が累積して上限に達するまで、ターゲットの第1のプリセット適用時間ごとにベースの円周方向に沿って固定角で回転するようにバイアス磁界デバイスを駆動するように構成される。バイアス磁界デバイスは、毎回、同じ方向に回転される。
【0018】
任意に、バイアス磁気制御デバイスは、非磁性材料で作製されバイアス磁界デバイスを支持するように構成された回転プラットフォームと、ベースの軸周りで固定角を回転させるように回転プラットフォームを駆動するように構成された回転駆動機構とを含む。
【0019】
任意に、バイアス磁界デバイスは、チャンバ本体の側壁の内側及びベース周りに配置され、又は、バイアス磁界デバイスは、チャンバ本体の側壁の外側周りに配置される。
【0020】
別の技術的解決策として、本開示は、また、磁性膜層を堆積するための少なくとも1つの堆積チャンバを含む、磁性薄膜堆積装置を提供する。堆積チャンバのそれぞれは、本開示によって提供された上述した磁性薄膜堆積チャンバを含む。
【0021】
本開示は、以下の有益な効果を含む。
【0022】
本開示のバイアス磁界制御方法、磁性薄膜堆積方法、チャンバ及び装置の技術的解決策において、ターゲットの第1のプリセット適用時間ごとにベースの円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させることにより、バイアス磁界が作用するターゲットの表面上の領域が、周期的に変更され得る。こうして、ターゲット表面の局所領域内の過剰な凹部深さは回避されてもよく、その一方で、ターゲット表面上の異なる位置間のターゲットの凹部深さの相違は回避されてもよい。したがって、ターゲットの適用寿命は増大されてもよく、ターゲットの利用率及び膜厚さの均一性は、製造コストを低減するように改良されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本開示の態様による磁性膜堆積チャンバの概略断面図を示す。
【
図2】
図2は、本開示の態様によるバイアス磁界デバイスの概略分解図を示す。
【
図3】
図3は、本開示の態様によるバイアス磁界制御方法の概略ブロック流れ図を示す。
【
図4】
図4は、本開示の態様によるターゲット表面の凹部領域を示す概略レイアウト図を示す。
【
図5】
図5は、本開示の態様によるバイアス磁界デバイスの回転プロセスを示す概略図を示す。
【
図6】
図6は、本開示の態様による磁性薄膜堆積方法の概略ブロック流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の開示は、本開示の種々の特徴を実現するために使用され得る、複数の態様又は例を提供する。以下に説明される組立体及び構成の具体的な例は、本開示を簡易化するために使用される。これらの説明は例にすぎず、本開示の内容を限定するようには意図されないことが留意される。例えば、以下の説明では、第1の特徴を第2の特徴上又はその上方に形成することは、いくつかの態様では第1及び第2の特徴が互いに直接接触していること、いくつかの態様では、第1及び第2の特徴が直接接触しなくてもよいように、上述した第1と第2の特徴間に追加の組立体が形成されることを含んでもよい。加えて、本開示では、組立体の記号及び/又はサインが、複数の態様において再使用されてもよい。そのような再使用は、簡潔さ及び明確さの目的によるものであり、論議される異なる態様及び/又は構成間の関係を表すものではない。
【0025】
加えて、本明細書で使用される空間的な用語、例えば「下方」、「下」、「~より低い」、「上方」、「上」及び類似の用語は、図に示される1つの組立体又は特徴と別のものとの間又は複数の組立体又は特徴間の関係の説明を容易にするために使用されてもよい。これらの空間的な用語の元の意味は、図に示される配向だけでなく、適用又は動作におけるデバイスのさまざまな配向もカバーする。デバイスは、他の配向(例.90度又は他の配向の回転)で置かれてもよく、これらの空間的な用語は、それに従って説明されなければならない。
【0026】
本開示のより広範な範囲を規定するために使用される数値範囲及びパラメータは近似の数値であるが、具体的な態様の関連数値は、本明細書ではできるだけ正確に提示される。しかし、本質的に必然である値はいずれも、個々の試験方法による標準偏差を含む。本明細書において、「約」は、通常、実際の値が具体的な値又は範囲の±10%、5%、1%又は0.5%内にあることを意味する。あるいは、「約」という用語は、実際の値が、本開示が属する技術分野の当業者の考慮に従って、平均値の許容可能な標準誤差内に入ることを意味する。実験的な例に加えて、又は別途具体的に述べられない限り、本明細書で使用される全ての範囲、数量、値及びパーセンテージ(例.材料量、時間、温度、動作状態、数量比及び他の類似の値)は、「約」で修飾されることに留意されたい。したがって、別途その反対が明記されない限り、本開示及び本開示の付属範囲内に開示される数値パラメータは、近似値であり、必要に応じて変更され得る。少なくともこれらの数値パラメータは、示された有効桁数及び一般的な端数処理法を適用することによって得られた値として理解されるべきである。本明細書では、数値範囲は、1つの端点から別の端点又は2つの端点間で表される。別途明記されない限り、本明細書で説明する数値範囲は端点を含む。
【0027】
図1は、本開示のいくつかの態様による磁性膜堆積チャンバの概略断面図である。
図1を参照すれば、磁性薄膜堆積チャンバは、チャンバ本体1と遮蔽組立体とを含む。ターゲット3が、チャンバ本体1の上部に配置される。ベースがチャンバ本体1内のターゲット3の下に配置される。ベースは加工対象の加工物7を担持するように構成される。遮蔽組立体は、上側遮蔽リング5と、下側遮蔽リング4と、プレスリング6とを含む。下側遮蔽リング4は、チャンバ本体1の側壁の内側周りに配置される。上側シールドリング5は、下側シールドリング4の内側周りに配置される。上側遮蔽リング5及び下側遮蔽リング4は、スパッタリングされたターゲットがチャンバ本体1の側壁上に堆積されるのを防止するように構成される。プレスリング6は、ベース2がベース2上に加工対象の加工物11を固定するためにプロセス位置にあるとき、加工対象の加工物11の上側表面の縁領域をプレスするように構成される。
図1は、ベース2の上方のチャンバ本体1の一部及びターゲット3の下方のチャンバ本体1の一部だけを概略的に示す。残りの部分は図示されていない。
【0028】
磁性膜堆積チャンバは、バイアス磁界デバイスをさらに含む。バイアス磁界デバイスは、ベース2の上方にバイアス磁界を形成するように構成される。バイアス磁界は水平磁界である。水平磁界は、加工対象の加工物11上に磁性膜層を堆積するために使用される。
図2は、本開示のいくつかの態様によるバイアス磁界デバイスの概略分解図である。
図2を参照すると、いくつかの態様では、バイアス磁界デバイスは、チャンバ本体1の側壁の内側及びベース2の周りに対向して配置された磁石の2セット(9、10)を含む。磁石の2セット(9、10)は、ベース2の上方に上述した水平磁界を形成するように構成される。具体的には、各磁石セットは複数の磁気カラムを含み、磁気カラムは、円弧形状を形成するためにベース2の円周方向に沿って間隔をあけて配置される。加えて、各磁気カラムは水平に配置される。一方の磁石セット10内の各磁気カラムのN極及び他方の磁石セット9内の各磁気カラムのS極は、ベース2を向く。
【0029】
当然ながら、実際の用途では、バイアス磁界デバイスは、面内異方性磁性膜を得るために水平磁界がベース2の上方に形成され得る限り、任意の他の構造も採用してもよい。例えば、磁石セットは、ベースの2つの側を対称的に取り囲む2つの円弧形状の磁石を含む。一方の磁石のN極及び他方の磁石のS極は、ベースを向く。別の例の場合、磁石セットは閉リング形状の磁石を含む。このリング形状磁石は、全体的な着磁化の形で水平磁界を形成するために永久磁石材料で作製される。加えて、上述した磁気カラム又は磁石は、永久磁石又は電磁石を含んでもよい。
【0030】
いくつかの態様では、バイアス磁界デバイスがチャンバ本体1の側壁の内側に配置されることが、留意される必要がある。しかし、本開示は、これに限定されない。実施の用途では、バイアス磁界デバイスは、チャンバ本体1の側壁の外側に配置されてもよい。
【0031】
いくつかの態様では、磁性薄膜堆積チャンバは、バイアス磁界制御デバイスをさらに含む。バイアス磁界制御デバイスは、ベース2の円周方向に沿って固定角を回転させるようにバイアス磁界デバイスを駆動するように構成される。具体的には、バイアス磁界制御デバイスは、回転プラットフォーム7と回転駆動機構8とを含む。回転プラットフォーム7は、上述したバイアス磁界デバイスを支持するように構成される。具体的には、回転プラットフォーム7はリング形状で、ベース2を取り囲む。磁石の2つのセット(9、10)は全て、回転プラットフォーム7上に配置される。回転駆動機構8は、ベース2の軸周りを固定角で回転するように回転プラットフォーム7を駆動するように構成される。
【0032】
いくつかの態様では、回転プラットフォーム7は、バイアス磁界との干渉を回避するために非磁性材料、例えばステンレス鋼で作製されてもよい。
【0033】
図3を参照すると、本開示の態様は、バイアス磁界制御方法を提供する。本開示の態様のバイアス磁界制御デバイスは、制御するために使用されてもよい。この方法は、以下の工程を含む。
【0034】
S1において、バイアス磁界デバイスは、ターゲット3の合計適用時間が累積して上限に達するまで、ターゲットの第1のプリセット適用時間ごとにベース2の円周方向に沿って固定角で回転される。
【0035】
全体的なスパッタリングプロセスでは、ある一定の数の基板が堆積された後に毎回、すなわちターゲットの適用時間がプリセット時間(第1のプリセット適用時間)に達するたびに、バイアス磁界デバイスは1回転してもよい。回転角度は毎回同じである。すなわち、バイアス磁界デバイスは、毎回、ベース2の円周方向に沿って時計回り又は反時計回りで固定角を回転されてもよい。
【0036】
好ましくは、スパッタリングプロセス中、バイアス磁界デバイスの位置は固定される。第1のプリセット適用時間が達せられると、スパッタリングプロセスは停止されてもよい。バイアス磁界デバイスは、ベース2の円周方向に沿って固定角で回転されてもよい。次いで、スパッタリングプロセスは再開されてもよい。タイマーは、次の第1のプリセット適用時間が達せられるまでリセットされてもよい。プロセスは、ターゲットが完全に消費されるまで繰り返してもよい。そのようにして、バイアス磁界デバイスの回転がスパッタリングプロセスに影響を及ぼすことが防止されてもよい。スパッタリングプロセスは確実に正常に実行されてもよい。
【0037】
バイアス磁界デバイスの回転角度が変更される前、及びターゲット3がある程度の間使用された後、バイアス磁界に対応するターゲットの表面上の領域は、2つの異なる深さのくぼみを有してもよい。
図4に示されるように、磁界強化領域に対応する最も深い凹部領域A及び磁界弱化領域に対応する最も浅い凹部領域Bが、ターゲットの表面上に出現してもよい。磁石の2つのセット(9、10)の円弧形状に対応して、最も深い凹部領域A及び最も浅い凹部領域Bは、大体2つの対称的な円弧形状内にある。中心角度aは、ターゲット3の円周方向に最も深い凹部領域A又は最も浅い凹部領域Bの円弧長に対応する。
【0038】
直径444mm及び厚さ2~3mmのNiFeターゲットが例としてとりあげられる。測定後、ターゲットが50KWhを消費したとき、ターゲット表面上の最も深い凹部領域Aの平均深さは1.64mmであってもよく、最も浅い凹部領域Bの平均深さは1.40mmであってもよい。ターゲット3の円周方向に最も深い凹部領域A又は最も浅い凹部領域Bの円弧長に対応する中心角度は、1°であってもよい。
【0039】
図5に示されるように、第1のプリセット適用時間後、バイアス磁界デバイスは、固定角bでベース2の円周方向に沿って回転される。具体的には、いくつかの態様では、磁石セット10の場合、円弧の1つの端部は位置C1から位置C2に時計回りに回転されてもよく、回転角度は固定角bであってもよい。その一方で、磁石セット9の場合、円弧の1つの端部は位置D1から位置D2に時計周りに回転されてもよく、回転角度は固定角bであってもよい。上記のプロセスは、ターゲット3の合計適用時間が累積して上限に達するまで周期的に実行される。ターゲット3の合計適用時間は、第1のプリセット適用時間の合計であってもよい。上限はターゲット3を使い果たすのに必要とされる時間であってもよい。
【0040】
任意に、上述した第1のプリセット適用時間は、nKWhに達するためのターゲットの消費に必要とされる時間であってもよい。KWhはターゲットの寿命の単位である。nは10以上の定数であってもよく、例えばnは50であってもよい。
【0041】
ターゲット3の第1のプリセット適用時間ごとにベースの円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させることにより、バイアス磁界が作用するターゲット表面の領域は、周期的に変化してもよい。すなわち、バイアス磁界は、常にターゲット表面上の同じ領域上に作用しなくてもよく、ターゲット表面の円周方向に異なる領域上に周期的に作用してもよい。そのようにして、ターゲット表面の局所領域内の過剰な凹部深さは回避されてもよい。その一方で、ターゲット表面上の異なる位置間のターゲット凹部深さにおける過剰な相違は、回避されてもよい。こうして、ターゲットの適用寿命は増大されてもよく、ターゲットの利用率及びフィルム厚さの均一性は、製造コストを低減するように改良されてもよい。
【0042】
好ましくは、本願の方法は、工程S1の前に以下の工程を含む。
【0043】
S0において、ターゲット3の第2の適用時間の後、ターゲット3の表面上に形成された最も深い凹部領域又は最も浅い凹部領域の円弧長に対応する中心角度が測定される。第2のプリセット適用時間は、第1のプリセット適用時間より長いか、又はこれに等しい。
【0044】
工程S1では、固定角は、中心角度より小さいか、又はこれに等しい。そのようにして、バイアス磁界の作用領域がターゲット表面の全円周をカバーすることは、回避されてもよい。こうして、ターゲット表面の凹部深さの均一性は改良されてもよい。
【0045】
上述した第2のプリセット適用時間は、nKWhに達するためのターゲットの消費に必要とされる時間であってもよい。KWhはターゲットの寿命の単位である。nは10以上の定数であってもよく、例えばnは50であってもよい。
【0046】
好ましくは、
図4及び5を例としてあげれば、固定角bは中心角度aと等しい。そのようにして、バイアス磁界の作用領域はターゲット表面の全円周をカバーしてもよく、異なる角度のバイアス磁界デバイスによって生成されたバイアス磁界は、重複を防止されてもよい。こうして、ターゲット表面の凹部深さの均一性はさらに改良されてもよい。
【0047】
好ましくは、工程S1では、バイアス磁界デバイスの複数の回転の複数の固定角の合計は180°以上であってもよい。そのようにして、バイアス磁界の作用領域がターゲット表面の全円周をカバーすることが回避されてもよい。こうして、ターゲット表面の凹部深さの均一性は改良されてもよい。
【0048】
別の技術的解決策として、
図6を参照すれば、本開示の態様は、加工対象の加工物上に磁性膜層を堆積するための磁性薄膜堆積方法をさらに提供する。使用されるバイアス磁界は水平磁界を含んでもよい。この方法は、本開示の態様によって提供された上述のバイアス磁界制御方法を含む。具体的には、本願の方法は以下の工程を含む。
S10:ターゲットの合計適用時間が累積して上限に達したかどうかを決定し、達していればプロセスを停止し、達していなければ工程S11を実行する。
S11:スパッタリングプロセスを実行し、スパッタリングプロセスが停止した後、工程S12を実行する。
S12:ターゲットの第1のプリセット適用時間が過ぎたかどうかを決定し、過ぎていれば工程S13を実行し、過ぎていなければ工程S10に戻る。
S13:ベース2の円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させ、工程S10に戻る。
【0049】
本開示の態様によって提供された磁性薄膜堆積方法は、本開示の態様によって提供された上述のバイアス磁界制御方法を含む。こうして、ターゲット表面の局所領域の過剰な凹部深さは回避されてもよい。その一方で、ターゲット表面上の異なる位置間のターゲット凹部深さの過剰な相違は、回避されてもよい。ターゲットの適用寿命は増大されてもよく、ターゲットの利用率及び薄膜の厚さの均一性は、製造コストを低減するように改良されてもよい。
【0050】
任意に、上述した磁性膜層の材料は、NiFe合金、アモルファス磁性材料、並びにCo、Fe及び/又はNiを含む磁性材料を含む。NiFe合金は、例えば、Ni80Fe20、Ni45Fe55、Ni81Fe19などを含む。アモルファス磁性材料は、例えばCoZrTaを含む。Co、Fe及び/又はNiを含む磁性材料は、例えばCo60Fe40、NiFeCrなどを含む。
【0051】
別の技術的解決策として、本開示はまた、磁性膜層を堆積するための少なくとも1つの堆積チャンバを含む磁性薄膜堆積デバイスを提供する。堆積チャンバは、本開示の態様によって提供された上述の磁性膜堆積チャンバを含む。
【0052】
本開示によって提供される磁性膜堆積装置では、本開示の態様の上記の磁性膜堆積チャンバを使用することにより、ターゲット材料の使用寿命が増大されてもよく、ターゲット材料の利用率及び膜の厚さの均一性は、製造コストを低減するように改良されてもよい。
【0053】
上記の態様は、本開示の原理を示すために使用される代表的な態様に過ぎず、本開示はこれに限定されないことが理解される。当業者に合わせて、本開示の範囲及び本質から逸脱することなく、さまざまな改変形態及び改良がなされてもよい。これらの改変形態及び改良も、本開示の保護範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアス磁界制御方法であって、前記バイアス磁界は水平磁界であり、前記方法は、工程S1:ターゲットの合計適用時間が累積して上限に達するまで、前記ターゲットの第1のプリセット適用時間ごとにベースの円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させて
前記バイアス磁界が作用する前記ターゲットの表面上の領域を周期的に変化させる工程、を含み、
前記バイアス磁界デバイスは、毎回同じ方向に回転される、バイアス磁界制御方法。
【請求項2】
工程S0:
前記ターゲットの第2のプリセット適用時間後に、
前記ターゲット
の前記表面上に形成された最も深い凹部領域又は最も浅い凹部領域の円弧長に対応する中心角度を測定する工
程を工程S1の前にさらに含み、
工程S1における固定角は前記中心角度より小さいか等しい、請求項1に記載のバイアス磁界制御方法。
【請求項3】
前記ターゲットの前記第1
の適用時間及び
前記ターゲットの前記第2の適用時間は、前記ターゲットの消費がnKWhに達するために必要とされる時間であり、nは10以上の定数である、請求項2に記載のバイアス磁界制御方法。
【請求項4】
前記バイアス磁界デバイスの位置はスパッタリングプロセス中に変化せず、
前記ターゲットの前記第1
の適用時間に達するごとに前記スパッタリングプロセスが停止し、かつ、前記バイアス磁界デバイスは前記ベースの前記円周方向に沿って前記固定角で回転する、請求項2に記載のバイアス磁界制御方法。
【請求項5】
nが50である、請求項
3に記載のバイアス磁界制御方法。
【請求項6】
工程S1における前記バイアス磁界デバイスの複数の回転の
複数の固定角の合計が180°以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のバイアス磁界制御方法。
【請求項7】
水平バイアス磁界によって加工対象物上に磁性膜層を堆積する磁性薄膜堆積方法であって、前記磁性薄膜堆積方法は、以下の工程:
S10:ターゲットの合計適用時間が累積して上限に達したかどうかを判定し、達していればフローを停止し、達していなければ工程S11を実行する工程;
S11:スパッタリングプロセスを実行し、前記スパッタリングプロセスが停止した後に工程S12を実行する工程;
S12:前記ターゲットの第1
の適用時間が経過したかどうかを判定し、経過していれば工程S13を実行し、経過していなければ工程S10に戻る工程;及び、
S13:ベースの円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させ、工程S10に戻る工程、を含み、
前記バイアス磁界デバイスは、毎回同じ方向に回転される、磁性薄膜堆積方法。
【請求項8】
前記磁性膜層の材料が、NiFe合金、アモルファス磁性材料、並びにCo、Fe及び/又はNiを含む磁性材料を含む、請求項7に記載の磁性薄膜堆積方法。
【請求項9】
チャンバ本体及びバイアス磁界デバイス、前記チャンバ本体内に配置され、加工対象物を担持するように構成されたベース、並びに前記チャンバ本体内側の上部に配置されたターゲットを備える磁性薄膜堆積チャンバであって、前記バイアス磁界デバイスは前記ベースの上方に水平磁界を形成するように構成され、前記水平磁界は前記加工対象物上に磁性膜層を堆積させるために使用され、ここで、前記磁性薄膜堆積チャンバは、バイアス磁界制御デバイスをさらに含み、前記バイアス磁界制御デバイスは
、前記ベースの円周方向に沿って固定角で回転するように前記バイアス磁界デバイスを駆動するように構成され、前記バイアス磁界デバイスは、毎回同じ方向に回転される、磁性薄膜堆積チャンバ。
【請求項10】
前記バイアス磁界制御デバイスが、非磁性材料で作製され、前記バイアス磁界デバイスを支持するように構成された回転プラットフォーム、及び前記回転プラットフォームを駆動して前記ベースの軸を中心に前記固定角で回転するように構成された回転駆動機構を含む、請求項9に記載の磁性薄膜堆積チャンバ。
【請求項11】
前記バイアス磁界デバイスが前記チャンバ本体の側壁の内側で前記ベースの周りに配置されるか、又は、前記バイアス磁界デバイスが前記チャンバ本体の前記側壁の外側の前記チャンバ本体の周りに配置される、請求項9又は10に記載の磁性薄膜堆積チャンバ。
【請求項12】
磁性膜層を堆積するように構成された堆積チャンバを少なくとも備える磁性薄膜堆積装置であって、各堆積チャンバが、請求項9~11のいずれか一項に記載の磁性薄膜堆積チャンバを含む、磁性薄膜堆積装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
上記の態様は、本開示の原理を示すために使用される代表的な態様に過ぎず、本開示はこれに限定されないことが理解される。当業者に合わせて、本開示の範囲及び本質から逸脱することなく、さまざまな改変形態及び改良がなされてもよい。これらの改変形態及び改良も、本開示の保護範囲内にある。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
バイアス磁界制御方法であって、前記バイアス磁界は水平磁界であり、前記方法は、工程S1:ターゲットの合計適用時間が累積して上限に達するまで、前記ターゲットの第1のプリセット適用時間ごとにベースの円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させる工程、を含み、
前記バイアス磁界デバイスは、毎回同じ方向に回転される、バイアス磁界制御方法。
[C2]
工程S0:第2のプリセット適用時間後に、ターゲット上に形成された最も深い凹部領域又は最も浅い凹部領域の円弧長に対応する中心角度を測定する工程であって、前記第2のプリセット適用時間は前記第1のプリセット適用時間より長いか等しい工程、を工程S1の前にさらに含み、
工程S1における固定角は前記中心角度より小さいか等しい、C1に記載のバイアス磁界制御方法。
[C3]
前記第1のプリセット適用時間及び前記第2のプリセット適用時間は、前記ターゲットの消費がnKWhに達するために必要とされる時間であり、nは10以上の定数である、C2に記載のバイアス磁界制御方法。
[C4]
前記バイアス磁界デバイスの位置はスパッタリングプロセス中に変化せず、前記第1のプリセット適用時間に達するごとに前記スパッタリングプロセスが停止し、かつ、前記バイアス磁界デバイスは前記ベースの前記円周方向に沿って前記固定角で回転する、C2に記載のバイアス磁界制御方法。
[C5]
nが50である、C2に記載のバイアス磁界制御方法。
[C6]
工程S1における前記バイアス磁界デバイスの複数の回転の固定角の合計が180°以上である、C1~5のいずれか一項に記載のバイアス磁界制御方法。
[C7]
水平バイアス磁界によって加工対象物上に磁性膜層を堆積する磁性薄膜堆積方法であって、前記磁性薄膜堆積方法は、以下の工程:
S10:ターゲットの合計適用時間が累積して上限に達したかどうかを判定し、達していればフローを停止し、達していなければ工程S11を実行する工程;
S11:スパッタリングプロセスを実行し、前記スパッタリングプロセスが停止した後に工程S12を実行する工程;
S12:前記ターゲットの第1のプリセット適用時間が経過したかどうかを判定し、経過していれば工程S13を実行し、経過していなければ工程S10に戻る工程;及び、
S13:ベースの円周方向に沿って固定角でバイアス磁界デバイスを回転させ、工程S10に戻る工程、を含み、
前記バイアス磁界デバイスは、毎回同じ方向に回転される、磁性薄膜堆積方法。
[C8]
前記磁性膜層の材料が、NiFe合金、アモルファス磁性材料、並びにCo、Fe及び/又はNiを含む磁性材料を含む、C7に記載の磁性薄膜堆積方法。
[C9]
チャンバ本体及びバイアス磁界デバイス、前記チャンバ本体内に配置され、加工対象物を担持するように構成されたベース、並びに前記チャンバ本体内側の上部に配置されたターゲットを備える磁性薄膜堆積チャンバであって、前記バイアス磁界デバイスは前記ベースの上方に水平磁界を形成するように構成され、前記水平磁界は前記加工対象物上に磁性膜層を堆積させるために使用され、ここで、前記磁性薄膜堆積チャンバは、バイアス磁界制御デバイスをさらに含み、前記バイアス磁界制御デバイスは、前記ターゲットの合計適用時間が累積して上限に達するまで、前記ターゲットの第1のプリセット適用時間ごとに前記ベースの円周方向に沿って固定角で回転するように前記バイアス磁界デバイスを駆動するように構成され、前記バイアス磁界デバイスは、毎回同じ方向に回転される、磁性薄膜堆積チャンバ。
[C10]
前記バイアス磁界制御デバイスが、非磁性材料で作製され、前記バイアス磁界デバイスを支持するように構成された回転プラットフォーム、及び前記回転プラットフォームを駆動して前記ベースの軸を中心に前記固定角で回転するように構成された回転駆動機構を含む、C9に記載の磁性薄膜堆積チャンバ。
[C11]
前記バイアス磁界デバイスが前記チャンバ本体の側壁の内側で前記ベースの周りに配置されるか、又は、前記バイアス磁界デバイスが前記チャンバ本体の前記側壁の外側の前記チャンバ本体の周りに配置される、C9又は10に記載の磁性薄膜堆積チャンバ。
[C12]
磁性膜層を堆積するように構成された堆積チャンバを少なくとも備える磁性薄膜堆積装置であって、各堆積チャンバが、C9~11のいずれか一項に記載の磁性薄膜堆積チャンバを含む、磁性薄膜堆積装置。
【国際調査報告】