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特表2022-525280「sfw-GME尾部」を有するchaとaftとのモレキュラーシーブ連晶調製及び使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-12
(54)【発明の名称】「sfw-GME尾部」を有するchaとaftとのモレキュラーシーブ連晶調製及び使用の方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20220502BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20220502BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20220502BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20220502BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/76 A
B01J29/76 Z
B01J20/18 D
B01J20/30
B01D53/86 222
B01D53/86 228
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549837
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 GB2020050826
(87)【国際公開番号】W WO2020193987
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/825,474
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】シャノン、マーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】タリナ、アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、サンユアン
【テーマコード(参考)】
4D148
4G066
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AA08
4D148AB01
4D148AB02
4D148AB08
4D148BA11X
4D148BA35X
4D148CC47
4G066AA20A
4G066AA22A
4G066AA28A
4G066AA62B
4G066AB09A
4G066CA28
4G066DA02
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA48
4G073BA63
4G073BA75
4G073BB03
4G073BB04
4G073BB14
4G073BB44
4G073BB48
4G073BD21
4G073CZ06
4G073CZ17
4G073CZ41
4G073CZ50
4G073DZ01
4G073FB11
4G073FB30
4G073FC19
4G073FC30
4G073FD08
4G073FD27
4G073GA01
4G073GA03
4G073UA03
4G073UA05
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC16B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BD02B
4G169BD05B
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA08
4G169CA13
4G169CA17
4G169CB02
4G169DA06
4G169EA02Y
4G169FA01
4G169FA02
4G169ZA14A
4G169ZA14B
4G169ZA32B
4G169ZA45A
4G169ZA45B
4G169ZB08
4G169ZC02
4G169ZC04
4G169ZD01
(57)【要約】
【解決手段】 「sfw-GME尾部」を有するchaとaftとの連晶、モレキュラーシーブの骨格内に少なくとも1つの構造指向剤(SDA)、CHA骨格構造とGME骨格構造との連晶、cha空洞、及びaft空洞、を含むモレキュラーシーブについて説明する。N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンのいずれかを含む第1のSDAが必要とされる。更に存在し得る第2のSDAは、CHA又はSFW生成カチオンである。使用される第2のSDA-2の量により、cha-aft-「sfw-GME尾部」における成分の割合を変化させることができる。モレキュラーシーブを含有するSDAから形成された活性化モレキュラーシーブについて説明する。これらのモレキュラーシーブを調製するための組成物について説明する。SDA含有JMZ-11、活性化JMZ-11、及び金属含有活性化JMZ-11を調製する方法について説明する。排気ガスの処理及びメタノールのオレフィンへの変換などの様々なプロセスにおける活性化JMZ-11及び金属含有活性化JMZ-11を使用する方法について説明する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構造指向剤(SDA-1)、cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含むモレキュラーシーブであって、SDA-1が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンを含む、モレキュラーシーブ。
【請求項2】
SDA-1が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンを含み、前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約45~約65%、好ましくは約54%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約18~約28%、好ましくは約23%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約7~約37%、好ましくは約23%に存在する、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項3】
前記「sfw-GME」尾部が、前記モレキュラーシーブ又は前記モレキュラーシーブ粒子の体積の約35~80%、好ましくは約68%を占める、請求項2に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項4】
前記モレキュラーシーブが、アルミノシリケートであり、前記水和アルミノシリケートの粉末XRDパターンが、以下の対応する強度を有する特性線を有し:
【表1】
「Rel.Int.」は、最大ピークの高さと比較して、w(弱い)は<20、m(中程度)は≧20及び<40、s(強い)は≧40及び<60、並びにvs(非常に強い)は≧60であると定義される、請求項1~3のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項4】
SDA-1が、N,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンを含み、前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約55~約75%、好ましくは約65%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約0~約10%、好ましくは約5%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約15~約45%、好ましくは約30%に存在する、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項5】
前記「sfw-GME」尾部が、前記モレキュラーシーブ又は前記モレキュラーシーブ粒子の体積の約40~80%、好ましくは約64%を占め、前記モレキュラーシーブが、空洞サイズの単調減少分布を有する、請求項4に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項6】
前記モレキュラーシーブが、アルミノシリケートであり、前記水和アルミノシリケートの粉末XRDパターンが、以下の対応する強度を有する特性線を有し:
【表2】
「Rel.Int.」は、最大ピークの高さと比較して、w(弱い)は<20、m(中程度)は≧20及び<40、s(強い)は≧40及び<60、並びにvs(非常に強い)は≧60であると定義される、請求項4又は5に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項7】
SDA-1が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンを含み、前記モレキュラーシーブが、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムカチオンを更に含み、前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約30~約45%、好ましくは約39%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約45~約65%、好ましくは約54%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約2~約20%、好ましくは約7%に存在する、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項8】
前記「sfw-GME」尾部が、前記モレキュラーシーブ又は前記モレキュラーシーブ粒子の体積の約5~45%、好ましくは約23%を占める、請求項7に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項9】
前記モレキュラーシーブが、アルミノシリケートであり、前記水和アルミノシリケートの粉末XRDパターンが、以下の対応する強度を有する特性線を有し:
【表3】
「Rel.Int.」は、最大ピークの高さと比較して、w(弱い)は<20、m(中程度)は≧20及び<40、s(強い)は≧40及び<60、並びにvs(非常に強い)は≧60であると定義される、請求項7又は8に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項10】
SDA-1が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンを含み、前記モレキュラーシーブが、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオンを更に含み、前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約55~約75%、好ましくは約65%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約7~約17%、好ましくは約12%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約8~約38%、好ましくは約23%に存在する、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項11】
前記「sfw-GME」尾部が、前記モレキュラーシーブ又は前記モレキュラーシーブ粒子の体積の約50~90%、好ましくは約75%を占める、請求項10に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項12】
前記モレキュラーシーブが、アルミノシリケートであり、前記水和アルミノシリケートの粉末XRDパターンが、以下の対応する強度を有する特性線を有し:
【表4】
「Rel.Int.」は、最大ピークの高さと比較して、w(弱い)は<20、m(中程度)は≧20及び<40、s(強い)は≧40及び<60、並びにvs(非常に強い)は≧60であると定義される、請求項10又は11に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項13】
前記モレキュラーシーブが、空洞サイズの単調減少分布を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項14】
cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含む活性化モレキュラーシーブであって、前記モレキュラーシーブがSDAを含まない、活性化モレキュラーシーブ。
【請求項15】
前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約45~約65%、好ましくは約54%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約18~約28%、好ましくは約23%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約7~約37%、好ましくは約23%に存在する、請求項14に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項16】
前記「sfw-GME」尾部が、前記モレキュラーシーブ又は前記モレキュラーシーブ粒子の体積の約35~80%、好ましくは約68%を占める、請求項15に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項17】
前記活性化モレキュラーシーブが、アルミノシリケートであり、前記水和アルミノシリケートの粉末XRDパターンが、以下の対応する強度を有する特性線を有し:
【表5】
「Rel.Int.」は、最大ピークの高さと比較して、w(弱い)は<20、m(中程度)は≧20及び<40、s(強い)は≧40及び<60、並びにvs(非常に強い)は≧60であると定義される、請求項13~16のいずれか一項に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項18】
前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約55~約75%、好ましくは約65%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約0~約10%、好ましくは約5%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約15~約45%、好ましくは約30%に存在する、請求項14に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項19】
前記「sfw-GME」尾部が、前記モレキュラーシーブ又は前記モレキュラーシーブ粒子の体積の約40~80%、好ましくは約64%を占め、前記モレキュラーシーブが、空洞サイズの単調減少分布を有する、請求項18に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項20】
前記活性化モレキュラーシーブが、アルミノシリケートであり、前記脱水アルミノシリケートの粉末XRDパターンが、以下の対応する強度を有する特性線を有し:
【表6】
「Rel.Int.」は、最大ピークの高さと比較して、w(弱い)は<20、m(中程度)は≧20及び<40、s(強い)は≧40及び<60、並びにvs(非常に強い)は≧60であると定義される、請求項18又は19に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項21】
前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約30~約45%、好ましくは約39%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約45~約65%、好ましくは約54%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約2~約20%、好ましくは約7%に存在する、請求項14に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項22】
前記「sfw-GME」尾部が、前記モレキュラーシーブ又は前記モレキュラーシーブ粒子の体積の約5~45%、好ましくは約23%を占める、請求項21に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項23】
前記活性化モレキュラーシーブが、アルミノシリケートであり、前記脱水アルミノシリケートの粉末XRDパターンが、以下の対応する強度を有する特性線を有し:
【表7】
「Rel.Int.」は、最大ピークの高さと比較して、w(弱い)は<20、m(中程度)は≧20及び<40、s(強い)は≧40及び<60、並びにvs(非常に強い)は≧60であると定義される、請求項21又は22に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項24】
前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約55~約75%、好ましくは約65%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約7~約17%、好ましくは約12%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約8~約38%、好ましくは約23%に存在する、請求項14に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項25】
前記「sfw-GME」尾部が、前記モレキュラーシーブ又は前記モレキュラーシーブ粒子の体積の約50~90%、好ましくは約75%を占める、請求項24に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項26】
前記活性化モレキュラーシーブが、アルミノシリケートであり、前記脱水アルミノシリケートの粉末XRDパターンが、以下の対応する強度を有する特性線を有し:
【表8】
「Rel.Int.」は、最大ピークの高さと比較して、w(弱い)は<20、m(中程度)は≧20及び<40、s(強い)は≧40及び<60、並びにvs(非常に強い)は≧60であると定義される、請求項24又は25に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項27】
前記モレキュラーシーブが、空洞サイズの単調減少分布を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項28】
前記モレキュラーシーブが、アルミノシリケート又は金属置換アルミノシリケートである、請求項1~13のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ又は請求項14~27のいずれか一項に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項29】
前記モレキュラーシーブが、20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下の、シリカ対アルミナ比(SAR)を有するアルミノシリケートである、請求項28に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項30】
前記モレキュラーシーブが、骨格中にリンを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ又は請求項14~27のいずれか一項に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項31】
前記モレキュラーシーブが、骨格内に少なくとも1つの金属を含み、前記金属が、周期表の族のIIIA、IB、IIB、VA、VIA、VIIA、及びVIIIA族の金属のうちの少なくとも1つ、並びにそれらの組み合わせ、好ましくはセリウム、クロム、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、チタン、タングステン、バナジウム及び亜鉛、より好ましくはコバルト、銅、鉄、マンガン又は亜鉛から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ又は請求項14~27のいずれか一項に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項32】
前記モレキュラーシーブが、Ag、Au、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、Ir、Mn、Mo、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの骨格外金属、好ましくはCo、Cu、Fe及びNi、より好ましくはCu及びFe、最も好ましくはCuを更に含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の活性化H型のモレキュラーシーブ。
【請求項33】
前記少なくとも1つの骨格外金属が、Ag、Au、Ir、Os、Pd、Pt、Rh及びRuのうちの1つ以上である、請求項32に記載の触媒。
【請求項34】
請求項14~27のいずれか一項に記載の活性化H型のモレキュラーシーブを含む触媒。
【請求項35】
前記活性化H型モレキュラーシーブが、約0.1~約5重量パーセントの少なくとも1つの骨格外金属を含む、請求項34に記載の触媒。
【請求項36】
前記活性化H型のモレキュラーシーブが、約0.1~約5重量パーセントのイオン性銅を含む、請求項34に記載の触媒。
【請求項37】
前記触媒が、ハニカム構造上及び/又はハニカム構造内に配設された請求項34~36のいずれか一項に記載の触媒を含む排気ガスを処理するための触媒物品。
【請求項37】
対応する比率で以下の材料:
【表9】
を含み、式中、Meは、Si、Ge、Sn、Ti又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(MO)であるものとして計算され、Aは、Al、Fe、Cr、B、Ga又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(A)であるものとして計算され、Xは、Na、K又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(XO)であるものとして計算され、[OH]は、全ての成分によってもたらされる水酸化物イオンの合計として計算され、SDA-1は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンであり、SDA-2は、CHA生成SDA、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンであり、SDA-3は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である、組成物。
【請求項38】
前記組成物が、約0.1~約10%w/wの種結晶を更に含み、前記種結晶が、AEI、AFX、AFT、CHA、GME若しくはSFW骨格を有する結晶性モレキュラーシーブ及び/又はJMZ-11骨格を有する連晶を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
請求項1~13のモレキュラーシーブを合成するための方法であって、
a.(i)少なくとも1つのアルミニウム供給源、(ii)少なくとも1つのケイ素供給源、(iii)少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類カチオン供給源、及び(iv)1つ以上の構造指向剤、を含む反応混合物を形成することと、
b.前記反応混合物を加熱することと、
c.本明細書に記載のように連晶及び前記構造指向剤を有するモレキュラーシーブ結晶を形成することと、
d.前記反応混合物から前記モレキュラーシーブ結晶の少なくとも一部を回収することと、を含む、方法。
【請求項40】
少なくとも1つのアルミナ供給源が、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムホスフェート、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、擬ベーマイト、水和アルミナ、有機アルミナ、コロイダルアルミナ、及びこれらの混合物を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1つのシリカ供給源が、アルコキシド、コロイダルシリカ、シリカゲル、シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、又はシリカの水性コロイド懸濁液である、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
前記1つ以上の構造指向剤が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-イングジメチルピペリジニウムカチオンを含む、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記1つ以上の構造指向剤が、(a)CHA生成SDA、好ましくは、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン若しくはトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム若しくはフェニルトリメチルアンモニウムカチオン、又は(b)AFX生成SDA、好ましくは、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)を更に含む、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記構造指向剤の前記カチオンが、アセテート、バイカーボネート、臭化物、カーボネート、カルボキシレート、塩化物、フッ化物、水酸化物、ヨウ化物、スルフェート及びテトラフルオロボレートからなる群から選択されるアニオンと会合される、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記アニオンが、水酸化物である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記反応混合物が、以下のモル組成比:
【表10】
を有し、式中、Meは、Si、Ge、Sn、Ti又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(MO)であるものとして計算され、Aは、Al、Fe、Cr、B、Ga又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(A)であるものとして計算され、Xは、Na、K又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(XO)であるものとして計算され、[OH]は、全ての成分によってもたらされる水酸化物イオンの合計として計算され、SDA-1は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンであり、SDA-2は、CHA生成SDA、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンであり、SDA-3は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である、請求項39~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記反応混合物が、約0.1~約10%w/wの種結晶を更に含み、前記種結晶が、AEI、AFX、AFT、CHA、GME若しくはSFW骨格を有する結晶性モレキュラーシーブ及び/又はJMZ-11骨格を有する連晶を含む、請求項39~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
NO及び/又はNHを含有する燃焼排気ガスを、請求項14~27のいずれか一項に記載の活性化H型のモレキュラーシーブと接触させて、NOの少なくとも一部を、N及びHOに選択的に還元し、かつ/又はNHの少なくとも一部を酸化することを含む、排気ガスを処理するための方法。
【請求項49】
NOを含有する燃焼排気ガスを、請求項14~27のいずれか一項に記載の活性化H型のモレキュラーシーブを含む受動的NO吸収剤と接触させることを含む、排気ガスを処理するための方法。
【請求項50】
NOを含有する燃焼排気ガスを、請求項14~27のいずれか一項に記載の活性化H型のモレキュラーシーブを含む受動的NO吸収剤と接触させることを含む、排気ガスを処理するための方法。
【請求項51】
メタノールをオレフィン(MTO)に変換する方法であって、メタノールを、請求項14~27のいずれか一項に記載の活性化H型のモレキュラーシーブと接触させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「sfw-GME尾部」を有するchaとaftとの連晶を含むモレキュラーシーブに関する。これらのモレキュラーシーブとしては、1つ以上の構造指向剤(SDA)を含有する作製時のままのモレキュラーシーブ、並びに、活性化モレキュラーシーブが挙げられ、その活性化モレキュラーシーブは、SDAを含有しておらず、SDA含有モレキュラーシーブから形成され得る本発明はまた、SDA含有モレキュラーシーブ及び活性化モレキュラーシーブの調製方法、並びにこれらの活性化モレキュラーシーブを触媒として使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モレキュラーシーブは、明確なX線回折(XRD)パターンによって示される画定された細孔構造の明確な結晶構造を有する商業的に重要なクラスの材料である。結晶構造は、特定のタイプのモレキュラーシーブの特徴である空洞及びチャネル/細孔を画定する。これは、通常は、骨格型又は位相型として記載される。骨格型の完全なリストは、IZA(国際ゼオライト協会;International Zeolite Association)http://www.iza-structure.org/databases/によって維持されている。このような骨格型又は位相型は、組成によって定義されるのではなく、チャネル/細孔及び空洞を結合して構造を構成するT原子(四面体原子)の配列によってのみ定義される。骨格型又は位相型は、一意的であり、IZAによって固有の3文字コードが付与される。
【0003】
モレキュラーシーブ結晶の形成及び成長中に、バルク材料内の様々な構造の成長を開始させ得る欠陥が発生することがある。これにより、XRDによって認識される別個の相が出現する場合がある。この別個の相は、無秩序構造又は連晶と呼ばれることがある。無秩序構造は、2、1、又はゼロ次元など3未満の次元で周期的秩序を有する構造と定義される。この現象は、構造的に不変の周期ビルディングユニット(PerBU)のスタッキング無秩序とも呼ばれる。換言すれば、無秩序構造とは、PerBUのスタッキング配列が周期的秩序からランダムなスタッキング配列まで偏差している構造である。化学的無秩序(すなわち、特定部位上での異なるカチオン)、動的無秩序(すなわち、テンプレート分子の回転無秩序)、及び構造的無秩序(すなわち、ゼオライト骨格の空洞中の無秩序分子)は、この定義から除外される。無秩序構造の物理化学的特性及び触媒挙動は、規則的な対応物のものとは異なる場合がある。例としては、二重6員環の層で構成されたCHA/AEI(M.Janssen,A.Verberckmoes,M.Mertens,A.Bons,W.Mortier,ExxonMobile Chemical Europe Inc.欧州特許第1 365 992(B1),2007。W.A.Slawinski,D.S.Wragg,D.Akporiaye,H.Fjellvag,Microporous Mesoporous Mater.,2014,195,311-318)、六方晶層中に二重T6環を介して連結されたsodケージから構成されたEMT/FAU(J.M.Newsam,M.M.J.Treacy,D.E.W.Vaughan,K.G.Strohmaier,W.J.Mortier,Chem.Commun.,1989,493-495)、T9ユニット:すなわち、a軸及びb軸に沿った純粋な並進によって関連付けられた単一T原子を介して接続された2つの4環から構成されたLOV/VSV/RSN(S.Merlino,Eur.J.Miner.,1990,2,809-817.C。Rohrig,H.Gies,B.Marler,Zeolites,1994,14,498-503。C.Rohrig,H.Gies,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1995,34,63-65)などが挙げられる。ゼオライト骨格における無秩序に関する更なる例は、ゼオライト構造のデータベース(http://europe.iza-structure.org/IZA-SC/intergrowth_Table.html)に報告されている。合成条件、金属カチオンの性質、所定のファミリーに属する構造の合成に使用されるSDAの形状とサイズは、ビルディングユニットの規則的な配列に影響を与え、連晶及びスタッキング無秩序構造の形成をもたらし得る。
【0004】
本明細書に記載の新たな連晶ゼオライトは、ABC-6ファミリーの構造、特に、二重6環(D6R)のみを含有するものと関係がある(http://europe.iza-structure.org/IZA-SC/intergrowth_families/ABC_6.pdf)。ABC-6構造は、1つの軸に沿って異なるスタッキング配列を有する6Rからビルドアップされていて、4Rによって連結されている。6Rユニットは、六方晶のab面に沿った3つの異なる位置:A(0,0,0)、B(2/3,1/3,0)及びC(1/3,2/3,0)に中心を置くことができる。
【0005】
二重6環のみからなる無秩序ABC-6ファミリーのメンバーとして合成かつ同定されたモレキュラーシーブは、ZK-14[G.H.Kuehl.In:Molecular Sieves S.C.I.,London,1967,p85];Babelite[R.Szostak and K.P.Lillerud,J.Chem.Soc.Chem.Commun.1994,(20),2357-2358];Linde D[K.P.Lillerud,R.Szostak and A.Long,J.Chem.Soc.Faraday Trans.1994,90,1547-1551;英国特許第868,649号];Phi[K.P.Lillerud,R.Szostak and A.Long,J.Chem.Soc.Faraday Trans.1994,90,1547-1551;米国特許第4,124,668号];LZ-276[G.W.Skeels,M.Sears,C.A.Bateman,N.K.McGuire,E.M.Flanigen,M.Kumar,R.M.Kirchner,Micropor.Mesopor.Mater.30,335(1999);米国特許第5,248,491号];LZ-277[G.W.Skeels,M.Sears,C.A.Bateman,N.K.McGuire,E.M.Flanigen,M.Kumar,R.M.Kirchner,Micropor.Mesopor.Mater.30,335(1999);米国特許第5,192,522号];SAPO AFX/CHA[米国特許第7,906,099号];SSZ-52[D.Xie,L.B.McCusker,C.Baerlocher,S.I.Zones,W.Wan,X.Zou,J.Am.Chem.Soc.2013,135(28),10519-24;米国特許第6,379,531号];ZTS-1及びZTS-2[Y.Naraki,K.Ariga,K.Nakamura,K.Okushita,T.Sano,Microporous Mesoporous Mater.(2017)254,160-169;特開2017065943号];欠陥CHA型ゼオライト[J.Kim,D.H.Kim,Microporous Mesoporous Mater.2018,256,266-274];欠陥GME[米国特許第9,643,853号];SSZ-52x[米国特許第10,150,676号];GME/CHA[国際公開第2018/086974号]である。
【0006】
国際公開第2018/086974号は、ABCスタッキング配列が無秩序であり、シリカ対アルミナ比が8~60の範囲にあるABC-6骨格ファミリーに属する一連のゼオライトを調製する方法を開示している。請求項3の回折ピーク及び報告された関連実施例により、これらのゼオライトは、確率論的CHA-GME連晶(stochastic CHA-GME intergrowth)として分類することができる。
【0007】
モレキュラーシーブには多くの産業用途があり、CHAなどのある特定の骨格を有するモレキュラーシーブは、内燃機関、ガスタービン、石炭火力発電所などを含む産業用途において、燃焼排気ガスを処理するのに有効な触媒であることが知られている。一例では、排気ガス中の窒素酸化物(NO)は、いわゆる選択的触媒還元(SCR)プロセスによって制御することができ、それによると、排気ガス中のNO化合物を、ゼオライト触媒の存在下で還元剤と接触させる。別の例では、CHA骨格型を有するモレキュラーシーブについては、メタノールからオレフィンへの変換(MTO)触媒作用における適用が見出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既知のモレキュラーシーブの基本構造を有し、その構造のわずかな変化によりモレキュラーシーブの触媒特性の1つ以上に影響を及ぼすことができる、新たなモレキュラーシーブを開発する必要性がある。いくつかの場合では、構造のわずかな変化は、通常使用する分析技術を使用して識別し得ない場合があるが、構造的に修飾されたゼオライトの触媒活性は、非常に密接に関連のある類似のゼオライトと比較して、改善される場合がある。このように構造的に修飾されたモレキュラーシーブの触媒活性の予期外の改善により、エンジンからの排気ガスの組成を、様々な規制要件に適合させることが可能である。
【0009】
本発明の第1の態様では、「sfw-GME尾部」を有するchaとaftとの連晶を含むモレキュラーシーブのファミリー(JMZ-11)が提供され、そのモレキュラーシーブは、1つ以上の構造指向剤を含み、以下「そのモレキュラーシーブ」又は「これらのモレキュラーシーブ」と呼ぶ。「sfw-GME尾部」は、Reichweite 2 DIFFaXモデルを使用した分析によって同定することができる。
【0010】
これらの連晶を含む、モレキュラーシーブのJMZ-11ファミリーの4つのサブグループ、すなわち、JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C及びJMZ-11Dを、以下説明する。
【0011】
JMZ-11Aは、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンである構造指向剤(SDA-1)、cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含み、cha空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約45~約65%、好ましくは約54%に存在し、aft空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約18~約28%、好ましくは約23%に存在し、残りは、「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約7~約37%、好ましくは約23%に存在する。aft空洞及びより大きな空洞と関連するgme空洞は、これらの数値には含まれていない。「sfw-GME」尾部は、モレキュラーシーブ又はモレキュラーシーブ粒子の体積の約35~80%、好ましくは約68%を占める。JMZ-11Aは、空洞サイズの単調減少分布を有するが、確率論的CHA-GME連晶として説明することはできない。
【0012】
JMZ-11Bは、N,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンである構造指向剤(SDA-1)、cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含み、cha空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約55~約75%、好ましくは約65%に存在し、aft空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約0~約10%、好ましくは約5%に存在し、残りは、「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約15~約45%、好ましくは約30%に存在する。aft空洞及びより大きな空洞と関連するgme空洞は、これらの数値には含まれていない。「sfw-GME」尾部は、モレキュラーシーブ又はモレキュラーシーブ粒子の体積の約40~80%、好ましくは約64%を占める。JMZ-11Bは、空洞サイズの単調減少分布を有するが、確率論的CHA-GME連晶として説明することはできない。
【0013】
JMZ-11Cは、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン及び1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムカチオンである2つの構造指向剤、cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含み、cha空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約30~約45%、好ましくは約39%に存在し、aft空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約45~約65%、好ましくは約54%に存在し、残りは、「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約2~約20%、好ましくは約7%に存在する。aft空洞及びより大きな空洞と関連するgme空洞は、これらの数値には含まれていない。「sfw-GME」尾部は、モレキュラーシーブ又はモレキュラーシーブ粒子の体積の約5~45%、好ましくは約23%を占める。JMZ-11Cは、空洞サイズの単調減少分布を有するが、確率論的CHA-GME連晶として説明することはできない。
【0014】
JMZ-11Dは、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン及びトリメチルアドマンジルアンモニウムカチオンである2つの構造指向剤、cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含み、cha空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約55~約75%、好ましくは約65%に存在し、aft空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約7~約17%、好ましくは約12%に存在し、残りは、「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約8~約38%、好ましくは約23%に存在する。aft空洞及びより大きな空洞と関連するgme空洞は、これらの数値には含まれていない。「sfw-GME」尾部は、モレキュラーシーブ又はモレキュラーシーブ粒子の体積の約50~90%、好ましくは約75%を占める。JMZ-11Dは、空洞サイズの単調減少分布を有するが、確率論的CHA-GME連晶として説明することはできない。
【0015】
本明細書に記載のモレキュラーシーブは、アルミノシリケート又は金属置換アルミノシリケートであることができる。好ましくは、モレキュラーシーブはアルミノシリケートである。
【0016】
これらのモレキュラーシーブは、骨格中にリンを含むことができる。これらのモレキュラーシーブは、アルミノホスフェート(AlPO)、金属置換アルミノホスフェート(MeAlPO)、シリコアルミノホスフェート(SAPO)、又は金属置換シリコアルミノホスフェートであることができる。
【0017】
これらのモレキュラーシーブは、骨格内に少なくとも1つの金属を含むことができ、その金属は、周期表のIIIA、IB、IIB、VA、VIA、VIIA、VIIIA族のうちの1つから、及びこれらの組み合わせからである。好ましくは、金属は、セリウム、クロム、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、チタン、タングステン、バナジウム及び亜鉛のうちの1つ以上である。より好ましくは、金属は、コバルト、銅、鉄、マンガン及び亜鉛のうちの1つ以上である。
【0018】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様のモレキュラーシーブの以下「活性化モレキュラーシーブ」又は「これらの活性化モレキュラーシーブ」と呼ばれる活性化H型について説明する。
【0019】
活性化H型のこれらのモレキュラーシーブは、アルミノシリケート又は金属置換アルミノシリケートであることができる。好ましくは、活性化H型のこれらのモレキュラーシーブはアルミノシリケートである。
【0020】
活性化H型のこれらのモレキュラーシーブは、骨格内にリンを含有することができる。これらのモレキュラーシーブのこれらの活性化H型は、アルミノホスフェート(AlPO)、金属置換アルミノホスフェート(MeAlPO)、シリコアルミノホスフェート(SAPO)、又は金属置換シリコアルミノホスフェートであることができる。
【0021】
活性化H型のこれらのモレキュラーシーブは、骨格内に少なくとも1つの金属を含むことができ、その金属は、周期表のIIIA、IB、IIB、VA、VIA、VIIA、及びVIIIA族の金属のうちの1つ、及びこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、金属は、セリウム、クロム、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、チタン、タングステン、バナジウム又は亜鉛である。より好ましくは、金属は、コバルト、銅、鉄、マンガン、又は亜鉛である。
【0022】
活性化H型のこれらのモレキュラーシーブは、Ag、Au、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、Ir、Mn、Mo、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの骨格外金属、好ましくはCu、Fe、Co及びNi、より好ましくはCu及びFe、最も好ましくはCuを含むことができる。
【0023】
本発明の第3の態様では、触媒は、本発明の第2の態様のモレキュラーシーブのうちの1つ以上の活性化H型と、Ag、Au、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、Ir、Mn、Mo、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの骨格外金属、好ましくはCu、Fe、Co及びNi、より好ましくはCu及びFe、最も好ましくはCuと、を含む。
【0024】
触媒中の活性化H型モレキュラーシーブは、約0.1~約5重量パーセントの少なくとも1つの骨格外金属を含むことができる。
【0025】
活性化H型のこれらのモレキュラーシーブは、アルミノシリケート又は金属置換アルミノシリケート、好ましくはアルミノシリケートであることができる。
【0026】
活性化H型のこれらのモレキュラーシーブは、骨格中にリンを含有することができる。これらの活性化H型これらのモレキュラーシーブは、アルミノホスフェート(AlPO)、金属置換アルミノホスフェート(MeAlPO)、シリコアルミノホスフェート(SAPO)、又は金属置換シリコアルミノホスフェートであることができる。
【0027】
活性化H型のこれらのモレキュラーシーブは、骨格内に少なくとも1つの金属を含むことができ、その金属は、周期表のIIIA、IB、IIB、VA、VIA、VIIA及びVIIIA族の金属のうちの少なくとも1つ、及びこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、金属は、セリウム、クロム、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、チタン、タングステン、バナジウム及び亜鉛のうちの1つ以上、より好ましくはコバルト、銅、鉄、マンガン及び亜鉛である。
【0028】
本発明の第4の態様では、排気ガスを処理するための触媒物品は、本発明の第2の態様の活性化H型のモレキュラーシーブのうちの1つ以上を含む触媒と、Ag、Au、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、Ir、Mn、Mo、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの骨格外金属、好ましくはCu、Fe、Co及びNi、より好ましくはCu及びFe、最も好ましくはCuと、を含む。
【0029】
触媒中の活性化H型のこれらのモレキュラーシーブは、約0.1~約5重量パーセントの少なくとも1つの骨格外金属を含むことができる。
【0030】
触媒は、多孔質基材、好ましくはフロースルーフィルタ若しくはウォールフローフィルタの上及び/又は内部に配設することができる。
【0031】
本発明の第5の態様では、燃焼プロセスによって、例えば、内燃機関(移動式又は固定式に関わらず)、ガスタービン、石炭又は石油火力発電所などによって生成された排気ガスを処理するためのシステムは、本発明の第2の態様のモレキュラーシーブの1つ以上の活性化H型と、少なくとも1つの骨格外金属と、を含む触媒物品を含む。そのようなシステムは、本明細書に記載の活性化モレキュラーシーブを含む触媒物品を含み、また、排気ガスを処理するための少なくとも1つの追加成分を含むことができ、その触媒物品及び少なくとも1つの追加成分は、一貫性のあるユニットとして機能するように設計される。
【0032】
エンジンからの排気ガスを処理するための排気システムは、(a)本発明の第2の態様のモレキュラーシーブのうちの1つ以上の活性化H型の1つ以上と、Ag、Au、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、Ir、Mn、Mo、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの骨格外金属、好ましくはCu、Fe、Co及びNi、より好ましくはCu及びFe、最も好ましくはCuと、を含み、エンジンから下流に配設された、触媒物品、(b)当該触媒物品の上流にあるアンモニア又は尿素などの還元剤の供給源、及び(c)エンジンから当該触媒物品に排気ガスを運ぶための排気ガス導管、を含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、活性化H型のこれらのモレキュラーシーブは、SCR又はアンモニア酸化成分であることができる。
【0034】
システムは、これらのモレキュラーシーブの1つ以上又は金属含有活性化モレキュラーシーブの1つ以上を含む触媒物品と、流れる排気ガスを導くための導管と、触媒物品の上流に配設した窒素性還元剤の供給源と、を備えることができる。システムは、1つ以上の活性化モレキュラーシーブ又は1つ以上の金属含有活性化モレキュラーシーブが、100℃超、150℃超、又は175℃超などの特定の温度範囲にわたって所望の効率以上でNO還元の触媒となることが可能と判定されたときにのみ、流動排気ガス中への窒素性還元剤を計量するためのコントローラを含むことができる。窒素性還元剤の計量については、1:1のNH/NO及び4:3のNH/NOで計算されてSCR触媒に流入する排気ガス中に、理論上のアンモニアの60%~200%が存在するように調整することができる。
【0035】
システムは、排気ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するための酸化触媒(例えばディーゼル酸化触媒(DOC))を備えてもよく、これを、窒素性還元剤を排気ガス中に計量する箇所の上流に位置させることができる。SCRモレキュラーシーブ触媒に流入するガス流が、例えば、酸化触媒入口における250℃~450℃の排気ガス温度で、約4:1~約1:3のNO対NO体積比を有して生成するように、酸化触媒を適合させることができる。酸化触媒は、フロースルーモノリス基材上にコーティングした、白金、パラジウム、又はロジウムなどの、少なくとも1つの白金族金属(又はこれらのいくつかの組み合わせ)を含んでもよい。少なくとも1つの白金族金属は、白金、パラジウム、又は白金及びパラジウムの両方の組み合わせであってもよい。白金族金属は、アルミナ、ゼオライト、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、又はセリア及びジルコニアの両方を含有する混合若しくは複合酸化物などの高表面積ウォッシュコート成分上に担持することができる。
【0036】
好適なフィルタ基材を、酸化触媒とSCR触媒との間に位置させることができる。フィルタ基材は、上述したもののいずれか、例えばウォールフローフィルタから選択されてもよい。フィルタを、例えば、上述の種類の酸化触媒で触媒化している場合、好ましくは、窒素性還元剤の計量箇所を、フィルタとモレキュラーシーブ触媒との間に位置させる。あるいは、フィルタを触媒化していない場合、窒素性還元剤を計量する手段を、酸化触媒とフィルタとの間に位置させることができる。
【0037】
本発明の第6の態様では、本発明の第1の態様のSDA含有モレキュラーシーブを合成するための方法は、
a.(i)少なくとも1つのアルミニウム供給源、(ii)少なくとも1つのケイ素供給源、(iii)少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類カチオン供給源、及び(iv)1つ以上の構造指向剤、を含む反応混合物を形成することと、
b.その反応混合物を加熱することと、
c.本明細書に記載のように連晶及び構造指向剤を有するモレキュラーシーブ結晶を形成することと、
d.反応混合物からモレキュラーシーブ結晶の少なくとも一部を回収することと、を含む。
【0038】
JMZ-11AのためのSDAは、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンを含む。JMZ-11BのためのSDAは、N,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンを含む。JMZ-11CのためのSDAは、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン及び1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムカチオンを含む。JMZ-11DのためのSDAは、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン及びトリメチルアドマンジルアンモニウムカチオンを含む。
【0039】
少なくとも1つのアルミニウム供給源は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムホスフェート、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、擬ベーマイト、水和アルミナ、有機アルミナ、コロイダルアルミナ、ゼオライトY、及びこれらの混合物を含むことができる。
【0040】
少なくとも1つのケイ素供給源は、アルコキシド、コロイダルシリカ、シリカゲル、シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、又はシリカの水性コロイド懸濁液であることができる。
【0041】
アルカリ又はアルカリ土類カチオンの供給源は、これらの元素の任意の供給源であってもよく、好ましくはNa、Kの供給源及びこれらの組み合わせから選択される。
【0042】
構造指向剤のカチオンは、アセテート、バイカーボネート、臭化物、カーボネート、カルボキシレート、塩化物、フッ化物、水酸化物、ヨウ化物、スルフェート及びテトラフルオロボレートからなる群から選択されるアニオンと会合することができる。好ましくは、アニオンは水酸化物である。
【0043】
反応混合物は、以下のモル組成比を有することができる:
【0044】
【表1】
式中、Meは、Si、Ge、Sn、Ti又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(MO)であるものとして計算され、Aは、Al、Fe、Cr、B、Ga又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(A)であるものとして計算され、Xは、Na、K又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(XO)であるものとして計算され、[OH]は、全ての成分によってもたらされる水酸化物イオンの合計として計算され、SDA-1は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンであり、SDA-2は、CHA生成SDA、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンであり、SDA-3は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である。
【0045】
反応混合物は、約0.1~約10%w/wの種結晶を更に含むことができ、その種結晶は、AEI、AFX、AFT、CHA、GME若しくはSFW骨格を有する結晶性モレキュラーシーブ及び/又はJMZ-11骨格を有する連晶を含む。
【0046】
本発明の第7の態様では、本発明の第1の態様の構造指向剤(SDA)を含むモレキュラーシーブから、本発明の第2の態様の活性化モレキュラーシーブを合成する方法を説明する。活性化モレキュラーシーブは、本発明の第1の態様のモレキュラーシーブに存在する構造指向剤を欠いている。構造指向剤(SDA)を含むモレキュラーシーブは、焼成によって、SDAと反応することができる、好ましくはSDAを分解することができる化合物、例えば、過酸化物を用いる処理によって、SDAを除去することができる。
【0047】
本発明の第8の態様では、本発明の第1の態様のSDA含有モレキュラーシーブを製造するための組成物は、対応する比率で以下の材料を含む。
【0048】
反応混合物は、以下のモル組成比を有することができる:
【0049】
【表2】
式中、Meは、Si、Ge、Sn、Ti又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(MO)であるものとして計算され、Aは、Al、Fe、Cr、B、Ga又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(A)であるものとして計算され、Xは、Na、K又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(XO)であるものとして計算され、[OH]は、全ての成分によってもたらされる水酸化物イオンの合計として計算され、SDA-1は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンであり、SDA-2は、CHA生成SDA、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンであり、SDA-3は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である。
【0050】
組成物は、約0.1~約10%w/wの種結晶を更に含むことができ、その種結晶は、AEI、AFX、AFT、CHA、GME若しくはSFW骨格を有する結晶性モレキュラーシーブ及び/又はJMZ-11、JMZ-11B又はJMZ-11C骨格を有する連晶を含む。
【0051】
本発明の第9の態様では、本発明の第1の態様のSDAとアルカリ金属カチオンとを含有するモレキュラーシーブから、本発明の第2の態様の活性化モレキュラーシーブを作製する方法が提供される。本発明のモレキュラーシーブは、Na型ゼオライト、K型ゼオライト、又は組み合わせたNa,K-型などであってもよく、又はH型ゼオライト、アンモニウム型ゼオライト、又は金属交換ゼオライトであってもよい。本発明の第1の態様のSDAとアルカリ金属カチオンとを含むモレキュラーシーブから、本発明の第2の態様の活性化モレキュラーシーブを作製する方法は、モレキュラーシーブを、所望の置換カチオン又は複数のカチオンの塩を含有する溶液と接触させることを含む典型的なイオン交換技術を使用することができる。イオン交換を合成後に行い、これについてはモレキュラーシーブを焼成する前又は後のいずれかで行うことができる。
【0052】
本発明の第10の態様では、排気ガスを、本明細書に記載の本発明の第2の態様の活性化モレキュラーシーブと接触させることによって、エンジンからの排気ガスを処理するための方法が提供される。
【0053】
排気ガスを処理するための方法は、NO及び/又はNHを含有する燃焼排気ガスを、本明細書に記載の本発明の第2の態様の活性化H型のモレキュラーシーブと接触させて、NOの少なくとも一部をN及びHOに選択的に還元すること、及び/又はNHの少なくとも一部を酸化すること、を含む。
【0054】
NOxを含有する燃焼排気ガスを、本明細書に記載の、本発明の第2の態様の活性化H型のモレキュラーシーブを含む受動的NOx吸収剤と接触させることを含む、排気ガスを処理するための方法。
【0055】
本発明の第11の態様では、本明細書に記載の本発明の第2の態様の活性化H型のモレキュラーシーブとメタノールを接触させることによって、メタノールをオレフィン(MTO)に変換する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は、正規化された強度を有するSDA含有(作製時のままの)JMZ-11Aの粉末XRDパターンである。
図2図2は、正規化された強度を有する活性化(焼成)H-JMZ-11Aの粉末XRDパターンである。
図3図3は、正規化された強度を有するSDA含有(作製時のままの)JMZ-11Bの粉末XRDパターンである。
図4図4は、正規化された強度を有する活性化(焼成)H-JMZ-11Bの粉末XRDパターンである。
図5図5は、正規化された強度を有するSDA含有(作製時のままの)JMZ-11Cの粉末XRDパターンである。
図6図6は、正規化された強度を有する活性化(焼成)H-JMZ-11Cの粉末XRDパターンである。
図7図7は、正規化された強度を有するSDA含有(作製時のままの)JMZ-11Dの粉末XRDパターンである。
図8図8は、正規化された強度を有する活性化(焼成)H-JMZ-11Dの粉末XRDパターンである。
図9図9は、7~13度の2シータにおいて示された正規化された強度を有する焼成されたH-JMZ-11AからH-JMZ11Dの粉末XRDパターンを示している。
図10図10は、IZAからのCHA構築スキームを表現したものである。
図11図11は、IZAからのGME構築スキームを表現したものである。
図12図12は、Reichweite 0に関する遷移確率行列であり、層のスタッキング確率は前のスタッキングとは無関係である。
図13図13は、前の1つの5オングストローム厚の層がスタッキング確率に影響を与えるReichweite1に関する遷移確率行列である。
図14図14は、前の2つの5オングストローム厚の層がスタッキング確率に影響する、Reichweite 2説明のための遷移確率行列である。
図15図15は、単純な確率論的CHA-GME骨格連晶(Reichweite 0に相当)に関するケージ分布を示す図である。
図16図16は、CHA及びGMEの単純な「ブロック」連晶に関するケージ分布を示す図である。
図17図17は、実施例1(JMZ-11A)におけるcha-aft-「sfw-GME」尾部連晶に関するケージ分布を示す図である。
図18図18は、JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C及びJMZ-11D内のケージ分布を示している。
図19図19は、JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C及びJMZ-11D内のケージ分布を示している。
図20図20は、JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C及びJMZ-11D内のケージ分布を示している。
図21図21は、JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C及びJMZ-11D内のケージ分布を示している。
図22図22は、活性化JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C、及びJMZ-11Dの実験XRDパターンと、Reichweite 2の説明を用いて行われたDIFFaXシミュレーションとの比較を示している。
図23図23は、活性化JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C、及びJMZ-11Dの実験XRDパターンと、Reichweite 2の説明を用いて行われたDIFFaXシミュレーションとの比較を示している。
図24図24は、活性化JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C、及びJMZ-11Dの実験XRDパターンと、Reichweite 2の説明を用いて行われたDIFFaXシミュレーションとの比較を示している。
図25図25は、活性化JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C、及びJMZ-11Dの実験XRDパターンと、Reichweite 2の説明を用いて行われたDIFFaXシミュレーションとの比較を示している。
図26図26は、Cuで含浸されたフレッシュJMZ-11試料からのNO変換プロファイルを示している。
図27図27は、Cuを含浸させたエージングされたJMZ-11試料からのNOx変換プロファイルを示している。
図28図28は、Cuで含浸されたフレッシュJMZ-11試料からのNO生成プロファイルを示している。
図29図29は、Cuで含浸されたエージングされたJMZ-11試料からのNO生成プロファイルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下の用語は、本明細書全体を通して使用され、別途記載のない限り、以下の意味を有する。
【0058】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「触媒(a catalyst)」への言及には、2つ以上の触媒(catalysts)の混合物などを含む。
【0059】
用語「約」は、おおよそを意味し、用語が関連する値の、任意選択で±25%、好ましくは±10%、より好ましくは±5%、又は最も好ましくは±1%である範囲を指す。
【0060】
「実質的に同様」という用語は、回折パターンの比較を説明するために使用される場合、度2シータにおける1つ以上のピークの位置、及びこれらのピークの強度は、使用された機器、回折パターンが得られた条件、及び試料に存在し得る不純物に起因する実験のばらつきに基づいて、変化し得る、ことを意味する。
【0061】
様々な数値要素の1つの範囲又は複数の範囲が指定されている場合、特に指定しない限り、1つの範囲又は複数の範囲に値を含めることができる。
【0062】
「確率論的」という用語は、ランダムに測定される特性を指す。それは、統計的に分析され得るが、正確に予測され得ないランダムな確率分布又はパターンを有し得る。
【0063】
「モレキュラーシーブ」は、ある特定のサイズ未満の分子の通過を可能にする分子寸法の細孔を有する結晶性物質である。「モレキュラーシーブ」という用語は、ゼオライト及びゼオタイプの両方を包含する。ゼオライトは、多孔質結晶性アルミノシリケートであり、TO四面体(T=Si、Al)と、隣接する四面体を接続するO原子で構成されている。ゼオライトは、アルミナ及びシリケート骨格を有する材料であり、アルミノシリケート及び金属置換アルミノシリケートの両方を含む。ゼオタイプは、アルミノホスフェート(AlPO)、金属置換アルミノホスフェート(MeAlPO)、シリコアルミノホスフェート(SAPO)、及び金属置換シリコアルミノホスフェートである。「モレキュラーシーブ」という用語は、上記の材料のうちの2つ以上の混合物も含むことができる。
【0064】
「骨格型」という用語は、「Atlas of Zeolite Framework Types」,Sixth Revised Edition,Elsevier,2007に記載されている意味で使用される。
【0065】
ゼオライト構造における基本又は一次ビルディングユニット(PBU)は、TO四面体である。ゼオライト構造型は、骨格内の構造ビルディングユニット、チャネルシステムの細孔開口部と寸法、及び異なる多面体ケージユニットのスタッキングに従って説明することができる。二次ビルディングユニット(SBU)とも知られている構造ビルディングユニットは、非線形酸素架橋を介して、四面体の各ペアのために頂点を共有することによって、環又はケージに一緒に結合された四面体ユニットからなる。これらのSBUは、それらが含有するT原子の数に基づいて命名され、例えば、6員環であれば6R、又は環のペアであれば、二重n環(例えば、二重6環、D6R)として示される。3次元骨格は、1種類のSBUのみを組み立てることによって構築することができる。しかしながら、いくつかのゼオライトの構造は、非常に複雑な対称性を特徴とする多面体の形態である有限構造サブユニット(SSU)、すなわち、ソーダライト又はグメリナイトケージを使用することによって、より適切に説明される。SSUは構造的特徴を表す。したがって、多くの場合、骨格は、SSUのみから構築されることができないため、SSUは、SBUではない。しばしば、SSUは、骨格を完成させるために、コーナー、面、又は縁を共有する必要がある。骨格構造におけるケージを説明する別の方法は、ケージの面を構成する環の観点からケージを記述することであり、その結果、D6Rは[4]と表される。更に、多くの構造は、互いの上にスタックされた層、いわゆる無限層の観点から説明され得る。SBU及びSSUそれ自体は、ゼオライトが成長する前駆体を説明することを意図するものではなく、特定のユニットの形成、したがって所望の骨格構造の形成を有利にするのに好適な特定のカチオン又は構造指向剤を選択する手がかりを与えることができる。
【0066】
ゼオライトにおいて非常に重要な構造的態様は、構造内に多孔質ネットワークを形成するためにウィンドウによって互いに接続された空洞及びチャネルの存在である。細孔は、結晶の一方の側からもう一方の側に伸びるが、直線形ではない開口部である。細孔は、細孔の方向が概ね複数回変化するセクションを含有するが、それでも結晶の2つの側面を接続する。空洞は、多面体の細孔であり、環のサイズよりも小さいサイズを有する化合物によって侵入されるのに十分な大きさの環によって画定される少なくとも1つの面を有するが、無限には伸びない(すなわち、チャネルではない)。チャネルは、1次元で無限に伸びる細孔であり、ゲスト種がその長さに沿って拡散できるほどに十分に大きい。チャネルは、交差して、2次元又は3次元チャネルシステムを形成することができる。ウィンドウは、分子サイズを有し、それらを通過するのに十分小さい化学種を吸着することができる。ゼオライト中に分子を吸着する能力を制御する1つの要因は、細孔のウィンドウ又は開口部のサイズである。ケージは、多面体の細孔であり、そのウィンドウは、幅が狭すぎるため、HOよりも大きなゲスト種が侵入することはできない。これは、ケージのウィンドウの最大サイズが、6員環であることを意味する。
【0067】
「骨格」という用語は、四面体配位原子のコーナー共有ネットワークを意味する。「構造」という用語は、骨格及び骨格外構成成分の両方を意味する。
【0068】
骨格に関連する3つの異なる容積、すなわち、骨格の総容積、チャネルの容積、及び空洞の容積が存在する。
【0069】
「骨格外」という用語は、モレキュラーシーブの骨格内に位置していない材料、好ましくは金属を指す。「骨格外金属」という用語は、骨格外部位上に位置する金属を指す。金属は、周期表のVB、VIIB、VIIB、VIIIB、IB、又はIIB族のうちの1つからのものであり、外面上の骨格外部位上に、又はモレキュラーシーブのチャネル、空洞、若しくはケージ内に堆積されている。金属は、ゼロ価の金属原子若しくはクラスター、孤立したカチオン、単核若しくは多核オキシカチオン、又は拡張金属酸化物を含むがこれらに限定されない、いくつかの形態のうちの1つであり得る。
【0070】
本明細書に記載の新たな連晶ゼオライトは、ABC-6ファミリーの構造、特に、二重6環(D6R)のみを含有するものと関係がある(http://europe.iza-structure.org/IZA-SC/intergrowth_families/ABC_6.pdf)。ABC-6構造は、1つの軸に沿って異なるスタッキング配列を有する6Rからビルドアップされ、4Rによって連結されている。6Rユニットは、六方晶のab面に沿った3つの異なる位置:A(0,0,0)、B(2/3,1/3,0)及びC(1/3,2/3,0)に中心を置くことができる。
【0071】
本明細書に記載のモレキュラーシーブは、cha-aft-「sfw-GME尾部」を有する連晶を含む。
【0072】
活性化モレキュラーシーブとは、モレキュラーシーブ中に構造指向剤が存在しない、本明細書に記載のcha-aft-「sfw-GME尾部」を有する連晶を含むモレキュラーシーブを指す。
【0073】
連晶モレキュラーシーブ相は、モレキュラーシーブ骨格の無秩序な平面連晶である。国際ゼオライト協会の構造委員会によって発行された「Catalog of Disordered Zeolite Structures」2000 Edition及び連晶モレキュラーシーブ相に関する詳細な説明のために国際ゼオライト協会の構造委員会を代表して出版された「Collection of Simulated XRD Powder Patterns for Zeolites」,Fifth Revised Edition,Elsevier,2007を参照されたい。
【0074】
本発明の第1の態様では、cha-aft-「sfw-GME尾部」及び1つ以上の構造指向剤を含む連晶を有するモレキュラーシーブが提供される。これらのモレキュラーシーブは、「作製時のまま」と記載することができる。全ての6環は、これらのモレキュラーシーブ中に二重6環として存在する。イタリック体の使用は、各aft空洞(aft)に関連するgme空洞(gme)及び各sfw空洞(sfw)に関連する2つのgme空洞が含まれていることを示す。cha及びaftの空洞は、小文字で引用され、連晶中に局所的なAFX及びAFT領域を含む。「sfw-GME」という用語は、sfwのサイズ及びそれより大きいサイズの、関連するgme空洞を含む全ての空洞を包含する。CHA-GMEの連晶は文献に記載されているが、これは、GME相が存在することを意味しているのではなく、モレキュラーシーブの粒子のサイズまでの空洞サイズの範囲を意味している。この連晶を含有するこれらのモレキュラーシーブは、本明細書では、JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C及びJMZ-11Dと呼ばれる。
【0075】
モレキュラーシーブは、アルミノシリケート又は金属置換アルミノシリケート、好ましくはアルミノシリケートであることができる。モレキュラーシーブがアルミノシリケートである場合、シリカ対アルミナ比(SAR)は、約20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下であることができる。
【0076】
モレキュラーシーブは、骨格中にリンを含むことができ、アルミノホスフェート(AlPO)、金属置換アルミノホスフェート(MeAlPO)、シリコアルミノホスフェート(SAPO)、又は金属置換シリコアルミノホスフェートであることができる。
【0077】
モレキュラーシーブは、1つ以上のSDAを含むことができる。必要とされる第1のSDA(SDA-1)は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンであることができる。存在することができる第2のSDA(SDA-2)は、CHA生成SDA、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンである。存在することができる第3のSDA(SDA-3)は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)ビス-1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である。使用されるSDA-2及び/又はSDA-3カチオンの量は、cha-aft-「sfw-GME尾部」の割合を変えることができる。
【0078】
本発明の第1の態様のモレキュラーシーブは、骨格内に少なくとも1つの金属を含むことができ、その金属は、周期表のIIIA、IB、IIB、VA、VIA、VIIA、VIIIA族の金属のうちの少なくとも1つ、及びこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、金属は、セリウム、クロム、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、チタン、タングステン、バナジウム及び亜鉛のうちの1つ以上である。より好ましくは、金属は、コバルト、銅、鉄、マンガン及び亜鉛のうちの1つ以上である。
【0079】
XRD分析
モレキュラーシーブの特徴の1つは、それらのXRDパターンである。本発明の第1の態様のSDA含有モレキュラーシーブ及び本発明の第2の態様の活性化モレキュラーシーブのXRDパターンは、銅アノード(X線波長1.5406A)及びLynxEye検出器を備えたBruker D8 Advanceを使用して得た。一次ビームにはGoebelsミラーが取り付けられており、測定円は280mm、スリットは0.22mm、軸ソーラーは2.5°を有していた。二次ビームもまた、測定円は280mm、軸ソーラーは2.5°を有していた。スリットは無かった。ステップスキャンされたデータを、1.5ステップ/秒で0.022のステップサイズで3~100°の2シータ間で収集した。試料は15rpmで回転させた。収集したデータは、DIFFRAC.SUITE EVA Brukerソフトウェアで分析した。
【0080】
相対強度、100xI/I(式中、Iは最強の線の強度、すなわちピークの強度である)、及び記録した線に相当するオングストローム単位での平面間間隔dが、計算された。表又は図におけるSDA含有連晶及び活性化モレキュラーシーブの回折パターンのわずかな変動は、調製に使用された有機化合物の変動、試料中の水の存在及び試料間のSiとAlとのモル比の変動からも生じる場合がある。これらの小さなゆらぎにもかかわらず、SDA含有連晶の基本的な結晶構造は実質的に未変化のままである。同様の変動は、活性化モレキュラーシーブ試料のX線回折パターンにも見出すことができる。
【0081】
当業者には理解されるように、パラメータ2θの決定は、人的及び機械的誤差の両方に曝され、これらの誤差は、組み合わせると、2θの各報告値に対して約±0.2°の不確実性が課される可能性がある。この不確実性は、当然のことながら、2θ.値から計算されるd間隔の報告された値にも現れる。この不正確さは、当該技術分野全体において一般的であり、本結晶性材料を互いから、また従来技術の組成物から、区別することを妨げる程のものではない。報告されたX線パターンのうちのいくつかにおいて、d間隔の相対強度は、それぞれ、非常に強い、強い、中程度、及び弱いことを表す記号、vs、s、m、及びwによって示される。相対強度(100×I/I)に関して、上記の表記は、w(弱い)は<20、m(中程度)は≧20及び<40、s(強い)は≧40及び<60、並びにvs(非常に強い)は≧60であると定義される。強度が範囲の端点近傍にあるとき、その強度は、どちらの範囲にも及んでいることを特徴とすることができる。例えば、18~22の強度は、w~mと列挙してもよい。しかしながら、当該技術分野において既知であるように、線の強度の変化により、線のうちの1つ以上は、隣接する範囲内の強度を有し得る。
【0082】
本発明の第2の態様では、本明細書に記載の、JMZ-11及びモレキュラーシーブのJMZ-11ファミリーの4つのサブグループ、すなわち、JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C及びJMZ-11Dは、活性化された形態で存在する。「活性化された」という用語は、骨格構造から除去された2つ以上の構造指向剤(SDA)を有していたモレキュラーシーブについて言及しており、又はモレキュラーシーブから構造指向剤を除去することができる1つ以上のプロセスについて言及している。2つ以上のSDAを含有する材料は、当業者に既知のいくつかのプロセスによって、例えば、焼成又は過酸化物による処理によって、活性化させることができる。
【0083】
「焼成する」又は「焼成」という用語は、空気、酸素又は酸素含有ガス雰囲気中で材料を加熱することを意味する。この定義は、IUPACによる焼成の定義と一致するものである。(IUPAC.Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.(the「Gold Book」)。A.D.McNaught and A.Wilkinsonが作成。Blackwell Scientific Publications,Oxford(1997)。XMLオンライン修正バージョン:M.Nic,J.Jirat,B.Kosataによって構築されたhttp://goldbook.iupac.org(2006-);A.Jenkinsによって作成されたアップデート。ISBN0-9678550-9-8.doi:10.1351/goldbook.)。焼成は、金属塩を分解し、触媒内の金属イオンの交換を促進し、また触媒を基材に付着させるために行われる。焼成に使用される温度は、焼成される材料中の成分によって異なり、概して、約400℃~約900℃で約1~24時間である。場合によっては、約1200℃の温度まで焼成を行うことができる。本明細書に記載されるプロセスを伴う用途では、焼成は、概して、約400℃~約700℃の温度で約1~8時間、好ましくは約400℃~約650℃の温度で約1~4時間行われる。
【0084】
構造指向剤の除去に加えて、存在する任意のアルカリ又はアルカリ土類カチオンを除去することが好ましい。好ましくは、アルカリ又はアルカリ土類カチオンは、酸又はアンモニア溶液で処理して除去することができる。このイオン交換は、SDA含有連晶又は構造指向剤を含まない連晶について行うことができる。材料の結晶化度は、アルカリ又はアルカリ土類カチオンがSDA含有形態において除去されると、より良好に保存される。
【0085】
1つ以上の活性化モレキュラーシーブは、ある特定の用途において触媒として有用であることができる。活性化された連晶結晶は、好ましくは焼成されるが、SDAが除去されるならば、焼成することなく使用することもできる。活性化モレキュラーシーブは、合成後に金属交換せずに、又は合成後に金属交換することによってのいずれか、好ましくは合成後に金属交換することによって、使用することができる。したがって、本発明のある特定の態様では、任意の交換による金属を含まない、特に、合成後の交換による若しくは含浸された金属を含まない又は本質的に含まない活性化モレキュラーシーブを含む触媒が提供される。交換された金属の「本質的に含まない」という用語は、金属が<0.1重量%で存在することを意味する。活性化された連晶は、好ましくは、交換による、又はそうでなければモレキュラーシーブのチャネル及び/又は空洞への含浸による、1つ以上の触媒金属イオンを含む。ゼオライト合成後に交換又は含浸され得る金属の例としては、遷移金属、例えば、銅、ニッケル、亜鉛、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ニオブ、スズ、ビスマス、アンチモン、貴金属(noble metal)、例えば、白金族金属(PGM)、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、インジウム、白金、及び希少金属(precious metal)、例えば、金及び銀;アルカリ土類金属、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウム;並びに希土類金属、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ユーロピウム、テルビウム、エルビウム、イッテルビウム、及びイットリウムが挙げられる。合成後の交換のために好ましい遷移金属は、卑金属であり、好ましい卑金属としては、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、貴金属、例えば、白金族金属(PGM)及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0086】
遷移金属は、約0.1~約10重量パーセント、例えば、約0.1~約5重量パーセント、約0.1~約1.0重量パーセント、約2.5~約3.5重量パーセント、及び約4.5~約5.5重量パーセントの量で存在することができ、重量パーセントは、モレキュラーシーブ材料の総重量に対するものであり、範囲の端点も含めることができる。
【0087】
特に好ましい交換金属としては、特にカルシウム及び/又はセリウムと組み合わせた場合、並びに特に遷移金属(T)とアルカリ金属(A)とが、約15:1~約1:1、例えば約10:1~約2:1、約10:1~約3:1、又は約6:1~約4:1のT:Aモル比で存在する場合、銅及び鉄が挙げられ、ここでその範囲の端点は含めることができる。
【0088】
合成後に組み込まれた金属を、イオン交換、含浸、同形置換などの任意の公知の技術により、モレキュラーシーブに添加することができる。
【0089】
これらの交換による金属カチオンは、モレキュラーシーブの分子骨格を構成する金属とは異なるため、金属交換されたモレキュラーシーブは、金属置換されたモレキュラーシーブとは異なる。
【0090】
JMZ-11A
SDA含有JMZ-11AのXRDパターンは、実施例1の試料から測定した。X線回折パターンを図1に示し、ピーク値を表1にまとめる。図1は、最大ピークの高さが100%になるように正規化した強度を示している。このパターン及びピーク値は、SDA含有JMZ-11の種の特徴である。
【0091】
モレキュラーシーブがアルミノシリケートであり、構造指向剤がN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンを含む場合、水和アルミノシリケートJMZ-11Aの粉末XRDパターンは、表1に示すように、対応する強度の特性線を有することができる。
【0092】
【表3】
【0093】
「Rel.Int.」(相対強度という用語は、相対強度(100×I/I)に基づいた名称を意味しており、そのラベルは、w(弱い)は<20、m(中程度)は≧20及び<40、s(強い)は≧40及び<60、並びにvs(非常に強い)は≧60であると定義される。
【0094】
本発明の第2の態様では、JMZ-11Aは活性化形態で存在する。活性化JMZ-11AのXRDパターンは、実施例1の試料から測定した。X線回折パターンを図2に示し、ピーク値を表2にまとめる。図2は、最大ピークの高さが100%になるように正規化した強度を示している。このパターン及びピーク値は、活性化JMZ-11の種の特徴である。
【0095】
【表4】
【0096】
JMZ-11B
SDA含有JMZ-11BのXRDパターンは、実施例2の試料から測定した。X線回折パターンを図3に示し、ピーク値を表3にまとめる。図3は、最大ピークの高さが100%になるように正規化した強度を示している。このパターン及びピーク値は、SDA含有JMZ-11Bの種の特徴である。
【0097】
モレキュラーシーブがアルミノシリケートであり、構造指向剤がN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンを含む場合、水和アルミノシリケートJMZ-11Bの粉末XRDパターンは、表3に示すように、対応する強度の特性線を有することができる。
【0098】
【表5】
【0099】
本発明の第2の態様では、JMZ-11Bは活性化形態で存在する。活性化JMZ-11BのXRDパターンは、実施例2の試料から測定した。X線回折パターンを図4に示し、ピーク値を表4にまとめる。図4は、最大ピークの高さが100%になるように正規化した強度を示している。このパターン及びピーク値は、活性化JMZ-11Bの種の特徴である。
【0100】
【表6】
【0101】
JMZ-11C
SDA含有JMZ-11CのXRDパターンは、実施例3の試料から測定した。X線回折パターンを図5に示し、ピーク値を表5にまとめる。図5は、最大ピークの高さが100%になるように正規化した強度を示している。このパターン及びピーク値は、SDA含有JMZ-11Cの種の特徴である。
【0102】
モレキュラーシーブがアルミノシリケートであり、構造指向剤がN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン及び1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムカチオンを含む場合、水和アルミノシリケートJMZ-11Cの粉末XRDパターンは、表5に示すように、対応する強度の特性線を有することができる。
【0103】
【表7】
【0104】
本発明の第2の態様では、JMZ-11Cは活性化形態で存在する。活性化JMZ-11CのXRDパターンは、実施例3の試料から測定した。X線回折パターンを図6に示し、ピーク値を表6にまとめる。図6は、最大ピークの高さが100%になるように正規化した強度を示している。このパターン及びピーク値は、活性化JMZ-11Cの種の特徴である。
【0105】
【表8】
【0106】
JMZ-11D
SDA含有JMZ-11DのXRDパターンは、実施例4の試料から測定した。X線回折パターンを図7に示し、ピーク値を表7にまとめる。図7は、最大ピークの高さが100%になるように正規化した強度を示している。このパターン及びピーク値は、SDA含有JMZ-11Bの種の特徴である。
【0107】
モレキュラーシーブがアルミノシリケートであり、構造指向剤がN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウム及びトリメチルアドマンジルアンモニウムカチオンを含む場合、水和アルミノシリケートJMZ-11Dの粉末XRDパターンは、表7に示すように、対応する強度の特性線を有することができる。
【0108】
【表9】
【0109】
本発明の第2の態様では、JMZ-11Dは活性化形態で存在する。活性化JMZ-11DのXRDパターンは、実施例4の試料から測定した。X線回折パターンを図8に示し、ピーク値を表8にまとめる。図8は、最大ピークの高さが100%になるように正規化した強度を示している。このパターン及びピーク値は、活性化JMZ-11Dの種の特徴である。
【0110】
【表10】
【0111】
連晶を分析する方法
本明細書に記載のモレキュラーシーブは、「sfw-GME尾部」を有するchaとaftとの連晶を含むモレキュラーシーブのファミリーを表している。これについては以下で詳しく定義するが、これらは、babeliteのようなCHAとGMEとの確率論的連晶とは異なる。それらはまた、CHAとAFXとの又はCHAとAFTとの確率論的連晶とも異なり、aftよりも大きい空洞を有していない。本明細書に記載の連晶は、ゼオライトのABC-6ファミリー、具体的には、二重6環(D6R)のみからなるスタッキング配列を有するゼオライトのみに属する。
【0112】
連晶は、バルクモレキュラーシーブ内に異なる構造を形成することができる。これにより、XRDによって認識される別個の相が出現する場合がある。各連晶相の相対的割合は、X線回折によって、特に、観察されたパターンを、スタッキング無秩序の影響をシミュレートするためのアルゴリズムを使用して生成された計算パターンと比較することによって、分析することができる。
【0113】
DIFFaXは、平面欠陥を含有する結晶から強度を計算するための数学モデルに基づくフォートランコンピュータプログラムである(Treacy,M.M.J.;Newsam,J.M.;Deem,M.W.:A general recursion method for calculating diffracted intensities from crystals containing planar faults.Proc.R.Soc.London Ser.A 433(1991)499-520)。
【0114】
DIFFaXは、ランダムに連晶した相の粉末XRDパターンをシミュレートするために、国際ゼオライト協会によって選択された、同協会から入手可能なシミュレーションプログラムである(国際ゼオライト協会の構造委員会を代表して出版された「Collection of Simulated XRD Powder Patterns for Zeolites」,Fifth Revised Edition,Elsevier,2007を参照されたい)。DIFFaXは、ゼオライトベータ(Treacy et al 1991)、非常に多くの特許におけるAEI-CHA連晶、ゼオライト及び他の材料における多くの他の連晶を理論的に研究するために使用されてきた。
【0115】
純粋なCHAは、8環チャネルを形成する8環ウィンドウによって連結されたcha空洞を備えた3次元細孔システムを有する。(図10
【0116】
純粋なGMEは、結晶子の全長をc軸方向に通る12環チャネルに対して8環によって連結されたgme空洞を備えた3次元細孔システムを有する。(図11
【0117】
CHAとGMEとの連晶は良く知られている。CHA-GME連晶では、CHAユニットが12環チャネルの末端を閉塞し、結果として得られるGMEユニットは、c軸の方向において、aftと同じくらい小さい空洞から、ほぼ結晶長までの空洞(並びに関連するgme空洞)を有することができる。このシステムの空洞は、c方向のその長さに比例する整数を使用して記述することができる:1=gme、2=cha、3=aft、4=sfw、5=”5”、6=”6”など。以降、gme空洞は、より大きな空洞に関連して暗黙のうちに存在するため、無視する(aft1つごとに1つ、sfw1つごとに2つ、”5つ”ごとに3つ、など、又はn>2の場合は「n」空洞ごとに(n-2))。gme空洞は、aft空洞及びより大きな空洞を、基底面方向において互いに連結する骨格を提供する。CHAユニットは、サイズ2の空洞を有し、いわゆる、連晶においてGMEと呼ばれるものは、別の欠陥が、どのくらい速やかに12環チャネルを閉じるかに応じて、3から「無限大」の範囲であり得る空洞サイズを有する。
【0118】
図12に示すDIFFaX入力の確率論的連晶モデルは、Mike TreacyのDIFFaXウェッブサイト上の実施例フォルダ内のCHA-GMEファイルにおいて列挙されているように、5オングストローム厚の個々の層を有する。(http://www.public.edu/%7Emtreacy/DIFFaX.html)。各層の基本は、隣接している二重6環の底部6環に連結された二重6環の頂部6環リングである。図13のスタッキングの概略図のスラッシュ線及びバックスラッシュ線は、この連結の方向を表している。簡略化のために、6環は省略されている。これらのABC二重6環材料において、スラッシュはAB、BC又はCAスタッキングを示し、バックスラッシュはAC、CB又はBAスタッキングを示している。
【0119】
文献に記載されているCHA-GME連晶は、本質的に確率論的連晶を有し、1つの欠陥確率pは、材料中の空洞サイズの分布を記述している。このモデルの分析により、サイズnを有する空洞の単調に減少する部分集団fが導かれ、その1つはfn+1=pf、n≧2の場合、及びf=(1-p)
である。
【0120】
この例は、P=0.5を有するBabeliteによって与えられる(R.Szostak,K.P.Lillerud,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1994,2357)。pの関数としての分布の範囲を図14に示す。
【0121】
確率論的連晶において、現在の層の素性(identity)のみが次の層のスタッキング確率を決定し、前の層のメモリー効果はない。Treacyらの論文には、次のスタッキング確率(Reichweite 1として知られている)に関する前の層の影響を含むことによって、欠陥のクラスター化(又はブロック連晶)を説明するメモリー又はReichweiteの概念を含む。これをまた、図13に示す。例えば、pが小さい場合、CHAの大きなブロックは、大きな空洞のようなGMEと交互になるはずである。
【0122】
現在の層及び前のn層が次の層に影響を与えるReichweite nへの拡張は、簡単であり、H.Jagodzinski,Acta Cryst.2 208-14(1949)によって説明されている。本出願における連晶の本質的な特徴は、Reichweite 2 DIFFaXモデル(図15)によって説明することができる。Reichweite 2の場合、結晶学的c軸における新たな層のスタッキング確率は、前の2つの層のスタッキングに依存する。図15の括弧内のスラッシュ及びバックスラッシュは、前の2つの層のスタッキングを示している。層タイプ1、続いて層1は、CHAスタッキング配列であり、層3、続いて層6は、GME配列の一部である。このモデルは、直接的に骨格のみを考慮し、構造指向剤分子を考慮しないが、にもかかわらず合理的な記述子である。
【0123】
これは、Reichweite 2 DIFFaXモデルが、cha、aft及びsfw空洞を、aft及びsfwと関連するgme空洞と共に、明示的に生成するためである。既知の規則的ABC-6、二重6環骨格の全ては、CHA、AFT、AFX及びSFWの説明に含まれる。スタッキング確率p、q、r、及びsは、以下の8x8マトリックスで定義され、全て0~1の範囲の値を有する。行列の行mにおけるエントリは、層mの後に列nの層が続く確率である。層の配列と、既知の規則的な相に関するスタッキング確率p、q、r、sの対応値が列記されている。
【0124】
一般的な場合、スタッキング確率から空洞サイズの分布fを計算するのは簡単であり、gme空洞はより大きな空洞と厳密に関連しているため、gme空洞は無視する。(図16
【0125】
r=1である場合、sfwよりも大きい空洞は存在しない。s=0である場合、sfw空洞は存在せず、「sfw-GME」尾部は存在しない。したがって、r=1及びs=0である場合には、q=(1-p)である場合、確率論的CHA-AFX連晶が存在し、又はq=1である場合、確率論的CHA-AFT連晶のいずれかが存在する。ただし、モデルに関しては、qはそのように制約される必要はない。したがって、cha-aft連晶の概念は、CHA、AFT及びAFXの局所的領域を含有する。
【0126】
s>0である場合、「sfw-GME」尾部が存在し、
n+1=pf、ただしn>=4の場合のみであり、
確率論的CHA-GMEに関する分布に似ていますが、最小の空洞としてchaではなくsfwを備える(関連するgme空洞は無視する)。確率rは、尾部の長さを制御する、すなわち、空洞サイズの増加に伴う分布が低下する速度を制御する。rがゼロに近づくと、「sfw-GME」尾部は、より大きな空洞へと伸びる。cha空洞の個数分率はq/(p+q)であり、aft空洞の個数分率はp(1-s)/(p+q)であり、「sfw-GME」尾部における空洞の個数分率はps/(p+q)である。これらの分率は、尾部の長さを制御する確率rとは無関係であることに留意されたい。ただし、回折パターンは、これら及びrに依存する。
【0127】
しかしながら、s=(1-r)=p及びq=(1-p)である場合、これらの方程式は、n>=2の場合fn+1=pf、f=(1-p)まで減少する。この状況では、メモリー効果は存在せず(Reichweite 0)、それにより、層のスタッキング確率が前のスタッキングとは無関係な確率論的CHA-GME連晶(図17)が生じる。pの値が大きいほど、図17に示されるように、cha空洞の百分率は小さくなり、平均の非gme空洞サイズは大きくなる。gme空洞が含まれている場合、全てのABC-6 d6R材料(規則的又は無秩序)の平均空洞サイズは正確に2であることに留意されたい。
【0128】
JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C及びJMZ-11Dは、CHA-GMEの確率論的連晶ではない。それらは、cha-aft-「sfw-GME」連晶として最も良く説明され、Reichweite 2モデルによって説明することができる。3つの材料は、sfwケージから「無限大」までの範囲を包含する単調に減少するsfw-GME尾部を含むが、cha及びaftケージは、確率論的CHA-GME連晶におけるそれらと比べて、この尾部に対しては割合が非常に異なる。上記の分析によって決定されたJMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C及びJMZ-11D内のケージ分布をそれぞれ図18~21に示す。
【0129】
小文字のcha及びaftの使用は、連晶中における局所的なAFX及びAFT領域を含めるためである。確率論的CHA-AFX連晶は、必然的にAFTの局所的領域を有することになり、CHA欠陥の確率が小さいとき、AFXよりもAFTが多くなる。しかしながら、CHA-AFT確率論的連晶は、局所的なAFX領域を有さず、シミュレートされたX線回折(DIFFaXを使用)パターンは異なることになる。確率論的CHA-AFX及びCHA-AFT連晶は、より一般的なcha-aft連晶のサブセットである。
【0130】
「sfw-GME」尾部は、これらのcha-aft-「sfw-GME」連晶中において体積分率のかなりの部分であり、無視することはできない。CHA-AFT及びCHA-AFX(又はより一般的にはcha-aft)の連晶は、そのような尾部を有しておらず、aftよりも大きな空洞は存在していない。これらのcha-aft-「sfw-GME」材料のX線回折パターンは、「sfw-GME」尾部を用いずに近似することはできない。収差補正された走査透過型電子顕微鏡検査によって記録された環状暗視野画像により、このモデルは確認される。
【0131】
図22~25は、活性化JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C、及びJMZ-11Dの実験XRDパターンと、Reichweite 2の説明を用いて行われたDIFFaXシミュレーションとの比較を示している。この図は、Reichweite 2の説明を使用して行われるDIFFaXシミュレーションが、連晶の組成物に関して良好な説明を提供することを示している。
【0132】
確率論的CHA-GME連晶からの粉末XRDパターンでは、9.5度のピークはブロードになり、シフトしない。JMZ-11A、JMZ-11B、JMZ-11C、及びJMZ-11Dを含むJMZ-11ファミリーでは、このピークは、9.5度から実質的にシフトするが、そのブロード化及び7.7~13.1度間の盛り上がったバックグラウンドは、確率論的CHA-GME連晶よりもはるかに大きい(図9)。脱水され、活性化された試料についてこれを正しくシミュレートするためには、sfw-GME尾部を含めなければならない。
【0133】
JMZ-11Aは、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンである構造指向剤(SDA-1)、cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含み、cha空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約45~約65%、好ましくは約54%に存在し、aft空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約18~約28%、好ましくは約23%に存在し、残りは、「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約7~約37%、好ましくは約23%に存在する。aft空洞及びより大きな空洞と関連するgme空洞は、これらの数値には含まれていない。「sfw-GME」尾部は、モレキュラーシーブ又はモレキュラーシーブ粒子の体積の約35~80%、好ましくは約68%を占める。JMZ-11Aは、空洞サイズの単調減少分布を有するが、確率論的CHA-GME連晶として説明することはできない。
【0134】
JMZ-11Bは、N,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンである構造指向剤(SDA-1)、cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含み、cha空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約55~約75%、好ましくは約65%に存在し、aft空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約0~約10%、好ましくは約5%に存在し、残りは、「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約15~約45%、好ましくは約30%に存在する。aft空洞及びより大きな空洞と関連するgme空洞は、これらの数値には含まれていない。「sfw-GME」尾部は、モレキュラーシーブ又はモレキュラーシーブ粒子の体積の約40~80%、好ましくは約64%を占める。JMZ-11Bは、空洞サイズの単調減少分布を有するが、確率論的CHA-GME連晶として説明することはできない。
【0135】
JMZ-11Cは、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン及び1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムカチオンである2つの構造指向剤、cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含み、cha空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約30~約45%、好ましくは約39%に存在し、aft空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約45~約65%、好ましくは約54%に存在し、残りは、「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約2~約20%、好ましくは約7%に存在する。aft空洞及びより大きな空洞と関連するgme空洞は、これらの数値には含まれていない。「sfw-GME」尾部は、モレキュラーシーブ又はモレキュラーシーブ粒子の体積の約5~45%、好ましくは約23%を占める。JMZ-11Cは、空洞サイズの単調減少分布を有するが、確率論的CHA-GME連晶として説明することはできない。
【0136】
JMZ-11Dは、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン及びトリメチルアドマンジルアンモニウムカチオンである2つの構造指向剤、cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含み、cha空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約55~約75%、好ましくは約65%に存在し、aft空洞は、「sfw-GME」尾部における空洞の約7~約17%、好ましくは約12%に存在し、残りは、「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約8~約38%、好ましくは約23%に存在する。aft空洞及びより大きな空洞と関連するgme空洞は、これらの数値には含まれていない。「sfw-GME」尾部は、モレキュラーシーブ又はモレキュラーシーブ粒子の体積の約50~90%、好ましくは約75%を占める。JMZ-11Dは、空洞サイズの単調減少分布を有するが、確率論的CHA-GME連晶として説明することはできない。
【0137】
本発明の第3の態様では、触媒は、本明細書に記載される本発明の第2の態様の1つ以上の活性化H型のモレキュラーシーブを含み、更に、Ag、Au、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、Ir、Mn、Mo、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの骨格外金属、好ましくはCu、Fe、Co及びNi、より好ましくはCu及びFe、最も好ましくはCuを含むことができる。
【0138】
触媒中の活性化H型の連晶は、約0.1~約5重量パーセントの少なくとも1つの骨格外金属を含むことができる。
【0139】
本発明の第4の態様では、排気ガスを処理するための触媒物品は、本発明の第2の態様の活性化H型のモレキュラーシーブを含む触媒を含み、更に、Ag、Au、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、Ir、Mn、Mo、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの骨格外金属、好ましくはCo、Cu、Fe、及びNi、より好ましくはCu及びFe、最も好ましくはCuを含むことができる。
【0140】
触媒中の活性化H型のモレキュラーシーブは、約0.1~約5重量パーセントの少なくとも1つの骨格外金属を含むことができる。
【0141】
触媒は、多孔質基材、好ましくはフロースルーフィルタ若しくはウォールフローフィルタの上及び/又は内部に配設することができる。
【0142】
本発明の触媒は、不均一触媒反応系(すなわち、ガス反応物と接触する固体触媒)に特に適用可能である。接触表面積、機械的安定性、及び/又は流体流動特性を改善するために、触媒を、基材、好ましくは多孔質基材上、及び/又はその内に配設することができる。触媒を含有するウォッシュコートについては、波形金属プレート又はハニカムコーディエライトブリックなどの不活性基材に適用することができる。あるいは、触媒は、充填剤、結合剤、及び強化剤などの他の成分と共に、押出可能なペーストに混練し、次いでダイを通して押出したものであり、ハニカムブリック又は押出成形体、例えば、シリンダー、トリローブ若しくはクアドラローブを形成している。触媒はまた、充填剤、結合剤及び/又は強化剤と共に、本発明の活性化モレキュラーシーブを含有する微小球粒子(直径10~150ミクロン)の形態でもあり得る。微小球粒子は、噴霧乾燥又は他の好適な技術によって調製することができる。したがって、触媒物品は、基材上にコーティングされた、及び/又は基材に組み込まれた、本明細書に記載の活性化モレキュラーシーブを含むことができる。
【0143】
触媒物品は、本発明の第2の態様に記載のように、活性化モレキュラーシーブを含むウォッシュコートを含むことができる。ウォッシュコートは、好ましくは溶液、懸濁液、又はスラリーである。好適なコーティングとしては、表面コーティング、基材の一部分に浸入しているコーティング、基材に浸入しているコーティング、又はこれらのいくつかの組み合わせが挙げられる。
【0144】
ウォッシュコートはまた、アルミナ、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアのうちの1つ以上をはじめとする、充填剤、結合剤、安定剤、レオロジー調整剤、及び他の添加剤などの非触媒成分を含んでもよい。触媒がウォッシュコート組成物の一部である場合、ウォッシュコートは、Ce又はセリアを含有する結合剤を更に含むことができる。結合剤がCe又はセリアを含有する場合、結合剤中に粒子を含有するCeは、触媒中のCe含有粒子よりも著しく大きい。触媒組成物は、黒鉛、セルロース、デンプン、ポリアクリレート、及びポリエチレンなどの細孔形成剤を含んでもよい。これらの追加の成分は、必ずしも所望の反応を触媒するわけではなく、代わりに、例えば、その動作温度範囲を増加させること、触媒の接触表面積を増加させること、触媒の基材への付着を増加させることなどによって、触媒材料の有効性を改善する。基材上又は基材中へのウォッシュコート担持量は、約0.3g/in~約3.5g/inであり、ここでその範囲の端点は含めることができる。担持量は、使用する基材のタイプと、特定のタイプの基材上への担持量から生じる背圧の関数であることができる。ウォッシュコート担持量に関する下限は、0.5g/in、0.8g/in、1.0g/in、1.25g/in、又は1.5g/inであることができる。ウォッシュコート担持量に関する上限は、3.5g/in、3.25g/in、3.0g/in、2.75g/in、2.5g/in、2.25g/in、2.0g/in、1.75g/in、又は1.5g/inであることができる。
【0145】
触媒を適用することができる最も一般的な基材設計のうちの2つは、プレート及びハニカムである。特に移動体用途に好ましい基材は、両端が開口し、概して基材の入口面から出口面まで延びており、その結果として表面積と体積との比率が高い複数の隣接する平行チャネルを含む、いわゆるハニカム形状を有するフロースルーモノリスを含む。ある特定の用途では、ハニカムフロースルーモノリスは、好ましくは、高いセル密度、例えば、1平方インチ当たり約600~800個のセル、及び/又は約0.18~0.35mm、好ましくは約0.20~0.25mmの平均内壁厚を有する。ある特定の他の用途では、ハニカムフロースルーモノリスは、好ましくは、1平方インチ当たり約150~600個、より好ましくは1平方インチ当たり約200~400個の低いセル密度を有する。好ましくは、ハニカムモノリスは多孔質である。コーディエライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、セラミック、及び金属に加えて、基材に使用することができる他の材料としては、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム、α-アルミナ、ムライト、例えば、針状ムライト、ポルサイト、サーメット、例えばAlOsZFe、Al/Ni、若しくはBCZFe、又はこれらのいずれか2つ以上のセグメントを含む複合体が挙げられる。好ましい材料としては、コーディエライト、炭化ケイ素、及びアルミナ チタン酸塩が挙げられる。
【0146】
プレート型触媒は、圧力低下がより小さく、ハニカム型よりも塞がりにくく詰まりにくく、高効率の設置型用途において有利であるが、プレート構成は、はるかに大型で高価になる場合がある。ハニカム構成は、典型的にはプレート型よりも小型であり、移動体用途において有利であるが、圧力低下がより大きく、より容易に塞がる。プレート基材を、金属、好ましくは波形金属で構成することができる。
【0147】
触媒物品を、本明細書に記載のプロセスによって作製することができる。その触媒物品は、好ましくは、活性化モレキュラーシーブのウォッシュコート、好ましくは骨格外金属含有活性化モレキュラーシーブのウォッシュコートとして、層として、排気ガスを処理するための別の組成物の少なくとも1つの追加の層を基材に適用する前又は適用した後のいずれかにおいて、基材に適用する工程を含むプロセスによって、製造することができる。活性化モレキュラーシーブを備える層を含む、基材上1つ以上の触媒層を、逐次的な層として配置する。本明細書で使用するとき、基材上の触媒層に関する用語「逐次的な」とは、各層をその隣接する層と接触させること、及び触媒層を全体として基材上の他方の上部に配置すること、を意味する。
【0148】
活性化モレキュラーシーブ触媒を、第1の層又はゾーンとして基材上に配設することができ、別の組成物、例えば酸化触媒、還元触媒、捕捉成分、又はNO吸蔵成分を、基材上に第2の層又はゾーンとして配設することができる。本明細書で使用するとき、用語「第1の層」及び「第2の層」は、触媒物品を通る、及び/又はその上の、排気ガスの流れの通常の方向に対する触媒物品内の触媒層の相対位置を説明するために使用している。通常の排気ガス流動条件下では、排気ガスは、第1の層に接触した後、第2の層と接触する。第2の層を、底層として不活性基材に適用することができ、第1の層は上層であり、これを逐次的な一連の副層として第2の層の上に適用している。
【0149】
排気ガスは、第1の層に浸入(ひいては接触)した後、第2の層に接触し、その後で、第1の層を通って戻り、触媒成分から出ることができる。
【0150】
第1の層は、基材の上流部分上に配設いた第1のゾーンであってもよく、第2の層を第2のゾーンとして基材上に配設し、第2のゾーンは第1のゾーンの下流にある。
【0151】
活性化モレキュラーシーブを好ましくはウォッシュコートとして第1のゾーンとして基材に適用する工程と、その後、排気ガスを処理するための少なくとも1つの追加組成物を第2のゾーンとして基材に適用する工程とを含む、プロセスであって、第1のゾーンの少なくとも一部分が第2のゾーンの下流にある、プロセスによって、触媒物品を製造することができる。あるいは、追加組成物を収容している第1のゾーンの下流にある第2のゾーンにおいて、活性化モレキュラーシーブを含む組成物を、基材に適用することができる。追加組成物の例としては、酸化触媒、還元触媒、捕捉成分(例えば、硫黄、水など)、又はNO吸蔵成分が挙げられる。
【0152】
排気システムに必要とされる空間の大きさを低減するために、個々の排気構成要素を設計し、2つ以上の機能を実行することができる。例えば、SCR触媒を、フロースルー基材ではなくウォールフローフィルタ基材に適用すると、1つの基材が2つの機能、すなわち、排気ガス中のNO濃度を触媒により低減すること、及び排気ガスから煤を機械的に除去すること、に役立つようにすることによって、排気処理システムの全体的なサイズを低減するのに役立つ。基材は、ハニカムウォールフローフィルタであってもパーシャルフィルタであってもよい。ウォールフローフィルタは、複数の隣接する平行チャネルを含むという点で、フロースルーハニカム基材と同様である。しかし、フロースルーハニカム基材のチャネルは両端で開口しており、他方、ウォールフロー基材のチャネルは一端がキャップ閉めされており、キャップ閉めは、隣接するチャネルの両側の端部で交互パターンにて行われる。チャネルの交互端部をキャップ閉めすることにより、基材の入口面に流入するガスがチャネルを通って直線的に流れ存在することを、防止する。その代わりに、排気ガスは、基材の前部に流入し、チャネルのおよそ中央に移動し、チャネル壁に通され、その後、基材の後半に流入して、基材の背面から出る。
【0153】
基材壁は、ガス浸透性である多孔率及び孔径を有するが、ガスからの煤などの粒子状物質の大部分を、ガスが壁を通る際に捕捉する。好ましいウォールフロー基材は、高効率フィルタである。本発明で使用するためのウォールフローフィルタは、好ましくは、≧約70%、≧約75%、≧約80%、又は≧約90%の効率を有する。効率は、約75~約99%、約75~約90%、約80~約90%、又は約85~約95%であってもよい。ここで、効率は、煤及び他の同様のサイズの粒子、並びに従来のディーゼル排気ガスに典型的に見られる粒子状物質濃度に関するものである。例えば、ディーゼル排気中の粒子状物質は、0.05ミクロン~2.5ミクロンのサイズの範囲であってもよい。したがって、効率は、この範囲、又は0.1~0.25ミクロン、0.25~1.25ミクロン、又は1.25~2.5ミクロンなどの下位範囲に基づくものであってもよい。
【0154】
多孔率は、多孔質基材中の空隙空間の尺度の百分率であり、排気システム内の背圧に関連しており、概して、多孔率が低いほど、背圧が高くなる。好ましくは、多孔質基材は、約30~約80%、例えば約40~約75%、約40~約65%、又は約50~約60%の多孔率を有し、ここでその範囲の端点は含めることができる。
【0155】
細孔の相互接続率は、基材の総空隙容積の百分率として測定するものであり、細孔、空隙、及び/又はチャネルが接合し、多孔質基材を通る連続経路、すなわち、入口面から出口面への連続経路を形成する程度である。対照的に、細孔の相互接続率に対しては、閉鎖細孔容積と、基材の表面の一方のみに導管を有する細孔の容積との合計である。好ましくは、多孔質基材は、≧約30%、より好ましくは≧約40%の細孔相互接続容積を有する。
【0156】
多孔質基材の平均孔径も、濾過に重要である。平均孔径については、水銀ポロシメトリーによってなど、任意の許容可能な手段によって決定することができる。多孔質基材の平均孔径は、基材自体、基材の表面上の煤ケーキ層の促進のいずれかによって、又は両方の組み合わせによって、十分な効率を提供しながら低い背圧を促進するのに十分な高い値のものである必要がある。好ましい多孔質基材は、約10~約40μm、例えば、約20~約30μm、約10~約25μm、約10~約20μm、約20~約25μm、約10~約15μm、及び約15~約20μmの平均孔径を有する。
【0157】
概して、触媒として本明細書に記載の活性化モレキュラーシーブを含有しているハニカムフロースルー又はウォールフローフィルタなどの押出した固体本体の製造は、活性化モレキュラーシーブ、結合剤、任意選択による有機増粘化合物を均質なペーストにブレンドし、次いでこれを、結合剤/マトリックス成分又はその前駆体、並びに任意選択で安定化したセリア、及び無機繊維のうちの1つ以上に添加すること、を含む。ブレンドを、混合若しくは混練装置、又は押出機で圧縮する。混合物は、結合剤、細孔形成剤、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤などの有機添加剤を、湿潤化を増強するための、ひいては均質なバッチを製造するための加工助剤として、有する。次いで、得られた可塑性材料を、特に押出プレス、又は押出ダイを含む押出機を使用して成形し、得られた成形物を乾燥させ、焼成する。有機添加剤を、押出した固体本体の焼成中に「バーンアウト」する。また、活性化モレキュラーシーブ、触媒活性焼成物を、表面上にある1つ以上の副層として、押出した固体本体にウォッシュコーティングすること、若しくは別の方法で適用することができ、又は押出した固体本体に全体的若しくは部分的に浸入させることもできる。
【0158】
結合剤/マトリックス成分は、好ましくは、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、金属間化合物、アルミノケイ酸リチウム、スピネル、任意選択でドープしたアルミナ、シリカ源、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物からなる群から選択される。ペーストは、任意選択で、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、及びセラミック繊維からなる群から選択される強化無機繊維を含有してもよい。
【0159】
アルミナ結合剤/マトリックス成分は、好ましくはγアルミナであるが、任意の他の転移アルミナ、すなわち、αアルミナ、βアルミナ、χアルミナ、ηアルミナ、ρアルミナ、κアルミナ、Θアルミナ、δアルミナ、ランタンβアルミナ、及びこのような転移アルミナのいずれか2つ以上の混合物であってもよい。アルミナは、アルミナの熱安定性を高めるために、少なくとも1つの非アルミニウム元素でドープされていることが好ましい。好適なアルミナドーパントとしては、ケイ素、ジルコニウム、バリウム、ランタニド、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物が挙げられる。好適なランタニドドーパントとしては、La、Ce、Nd、Pr、Gd、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物が挙げられる。
【0160】
好ましくは、活性化モレキュラーシーブを、押出した触媒本体全体にわたって、好ましくは全体にわたって均等に分散する。
【0161】
上記押出した固体本体のいずれかをウォールフローフィルタに作製する場合、ウォールフローフィルタの多孔率は、30~80%、例えば40~70%であってもよい。多孔率並びに細孔容積及び細孔半径については、例えば水銀圧入ポロシメトリーを使用して測定することができる。
【0162】
本発明の第5の態様では、エンジンからの排気ガスを処理するための排気システムは、(a)本発明の第2の態様の活性化H型のモレキュラーシーブと、Ag、Au、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、Ir、Mn、Mo、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの骨格外金属、好ましくはCu、Fe、Co及びNi、より好ましくはCu及びFe、最も好ましくはCuと、を含み、エンジンから下流に配設された、触媒物品、(b)当該触媒物品の上流にあるアンモニア又は尿素などの還元剤の供給源、及び(c)エンジンから当該触媒物品に排気ガスを運ぶための排気ガス導管、を含むことができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、本発明の第2の態様の活性化H型のモレキュラーシーブは、SCR又はアンモニア酸化成分であることができる。
【0164】
システムは、触媒が100℃超、150℃超、又は175℃超の温度などで、所望の効率以上でNO還元を触媒することができると判定された場合にのみ、流動する排気ガス中へと窒素性還元剤を計量するためのコントローラを含むことができる。この判定は、排気ガス温度、触媒床温度、促進剤位置、システムにおける排気ガスの質量流量、マニホールド真空、点火タイミング、エンジン速度、排気ガスのラムダ値、エンジンに噴射される燃料量、排気ガス再循環(EGR)弁の位置、ひいてはEGR及びブースト圧力の大きさからなる群から選択されるエンジンの状態を示す、1つ以上の好適なセンサ入力によって支援することができる。
【0165】
特定の実施形態では、計量は、直接的(好適なNOセンサを使用して)、又は間接的のいずれかで測定される排気ガス中の窒素酸化物の量に応じて制御することができる。間接的判定は、例えば、排気ガスの予測NO含有量によりエンジンの状態を示す上述の入力のうちのいずれか1つ以上を相関させる制御手段に記憶された事前相関ルックアップテーブル又はマップを使用する。窒素性還元剤の計量については、1:1のNH/NO及び4:3のNH/NOで計算されてSCR触媒に流入する排気ガス中に、理論上のアンモニアの60%~200%が存在するように調整することができる。制御手段は、電子制御ユニット(ECU)などの予めプログラムされたプロセッサを備えることができる。
【0166】
内燃機関のための排気システムは、受動的NO吸着剤を含むことができる。排気システムは、好ましくは、通常の動作温度で内燃機関排気ガスから汚染物質を除去することができる1つ以上の追加の後処理装置を備える。好ましくは、排気システムは、受動的NO吸着剤と、(1)選択的触媒還元(SCR)触媒、(2)粒子フィルタ、(3)SCRフィルタ、(4)NO吸着触媒、(5)三元触媒、(6)酸化触媒、又はこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の他の触媒成分と、を含む。受動的NO吸着剤は、好ましくは、上記の後処理装置のいずれかとは別の成分である。あるいは、受動的NO吸着剤は、上記の後処理装置のいずれかに成分として組み込むことができる。
【0167】
これらの後処理装置は、当該技術分野で良く知られている。選択的触媒還元(SCR)触媒は、窒素化合物(例えば、アンモニア又は尿素)又は炭化水素(リーンNO還元)との反応によってNOをNに還元する触媒である。典型的なSCR触媒は、バナジア-チタニア触媒、バナジア-タングステン-チタニア触媒、又は金属/ゼオライト触媒、例えば、鉄/ベータゼオライト、銅/ベータゼオライト、銅/SSZ-13、銅/SAPO-34、Fe/ZSM-5、若しくは銅/ZSM-5から構成される。
【0168】
粒子フィルタは、内燃機関の排気から粒子状物質を削減するデバイスである。粒子フィルタとしては、触媒加工粒子フィルタ及びそのまま(bare)(触媒加工していないもの)の粒子フィルタが挙げられる。触媒化粒子フィルタ(ディーゼル及びガソリン用途向け)は、フィルタによって閉じ込められた煤を破壊することに加えて炭化水素及び一酸化炭素を酸化するための金属及び金属酸化物成分(例えば、Pt、Pd、Fe、Mn、Cu、及びCe)を含む。
【0169】
選択的触媒還元フィルタ(SCRF)は、SCRの機能性と粒子フィルタとを組み合わせている単一基材デバイスである。これらは、内燃機関からのNO及び粒子状物質の排出を低減するために使用される。SCR触媒コーティングに加えて、粒子フィルタは、フィルタによって閉じ込められた煤を破壊することに加えて炭化水素及び一酸化炭素を酸化するための他の金属及び金属酸化物成分(例えば、Pt、Pd、Fe、Mn、Cu、及びセリア)も含むことができる。NO吸着触媒(NAC)は、NOをリーン排気条件下で吸着し、吸着されたNOをリッチ条件下で放出し、放出されたNOを還元して、Nを形成するように設計されている。NACは、典型的には、NOx吸蔵成分(例えば、Ba、Ca、Sr、Mg、K、Na、Li、Cs、La、Y、Pr、及びNd)、酸化成分(好ましくはPt)及び還元成分(好ましくはRh)を含む。これらの成分は、1つ以上の担体上に含有される。
【0170】
三元触媒(TWC)は、典型的には、NOをNに、一酸化炭素をCOに、並びに炭化水素をCO及びHOに、単一の装置で変換するために、化学量論的条件下でガソリンエンジンにおいて使用される。
【0171】
酸化触媒、特にディーゼル酸化触媒(DOCS)は、当該技術分野において周知である。酸化触媒は、COをCOに酸化するように、そして気相炭化水素(HC)及びディーゼル粒子状物質の有機成分(可溶性有機成分)を、CO及びHOに酸化するように設計されている。典型的な酸化触媒には、アルミナ、シリカ-アルミナ、及びゼオライトなどの、高表面積無機酸化物担体上の、白金及び任意選択で更にパラジウムも含まれる。
【0172】
排気システムは、受動的NO吸着剤がエンジンに近接して位置し、追加の後処理装置が受動的NO吸着剤の下流に位置するように構成することができる。したがって、通常の運転条件下では、エンジン排気ガスは、最初に、後処理装置に接触させる前に、受動的NO吸着剤を通って流れる。あるいは、排気システムは、低温期間(後処理装置で測定したときに約150~220℃の範囲の温度未満、好ましくは約200℃)中に、排気ガスが、受動的NO吸着剤に流れる前に後処理装置と接触するように指向されるように、弁又は他のガス指向手段を含むことができる。後処理装置が動作温度(後処理装置で測定したときに約150~220℃、好ましくは200℃)に達すると、次いで、排気ガス流は、後処理装置(複数可)に接触する前に、受動的NO吸着剤と接触するように再指向される。これにより、受動的NO吸着剤の温度がより長期間にわたって低いままであり、したがって、受動的NO吸着剤の効率を向上させる一方で、後処理装置をより迅速に動作温度に到達させることが可能になる。米国特許第5,656,244号は、その教示が参照により本明細書に組み込まれるが、例えば、コールドスタート及び通常運転条件の間の排気ガスの流れを制御するための手段を教示している。
【0173】
本発明の第6の態様では、本発明の第1の態様のSDA含有モレキュラーシーブを合成するための方法は、
a.(i)少なくとも1つのアルミニウム供給源、(ii)少なくとも1つのケイ素供給源、(iii)少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類カチオン供給源、及び(iv)1つ以上の構造指向剤、を含む反応混合物を形成することと、
b.その反応混合物を加熱することと、
c.本明細書に記載のように連晶及び構造指向剤を有するモレキュラーシーブ結晶を形成することと、
d.反応混合物からモレキュラーシーブ結晶の少なくとも一部を回収することと、を含む。
【0174】
多くのアルミニウム化合物及びそれらの混合物は、本発明におけるアルミナの少なくとも1つの供給源としての使用に好適である。アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミニウムヒドロキシクロライド、アルミニウムアルコキシド、例えば、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ-n-ブトキシド及びアルミニウムトリイソブトキシド、及びこれらの混合物が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。好ましいアルミニウム成分は、水酸化アルミニウム、ベーマイト、及び擬ベーマイトからなる群から選択される。
【0175】
アルミニウムの少なくとも1つの供給源は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムホスフェート、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、擬ベーマイト、水和アルミナ、有機アルミナ、コロイダルアルミナ、ゼオライトY、及びこれらの混合物を含むことができる。
【0176】
いくつかのケイ素化合物及びそれらの混合物は、本発明の方法のためのケイ素成分として、使用され得る。ケイ素化合物としては、シリカゾルシリカゲル、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、ケイ酸、テトラエチルシリケート、テトラメチルシリケート、アルコキシド、シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、シリカの水性コロイド懸濁液、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいケイ素成分は、シリカゾル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、ケイ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。
【0177】
アルカリ又はアルカリ土類カチオンの供給源は、これらの元素の任意の供給源であってもよく、好ましくはNa、Kの供給源及びこれらの組み合わせから選択される。
【0178】
SDA-1は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンである。SDA-2は、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオンなどのCHA生成SDAである。SDA-3は、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムカチオンなどのAFX生成SDAである。SDA-2及び/又はSDA-3を添加して、chaとaftとの割合を制御することができ、結果として「sfw-GME尾部」を制御することができる。
【0179】
構造指向剤のカチオンは、アセテート、バイカーボネート、臭化物、カーボネート、カルボキシレート、塩化物、フッ化物、水酸化物、ヨウ化物、スルフェート及びテトラフルオロボレート、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されるアニオンと会合することができる。好ましくは、アニオンは水酸化物である。
【0180】
反応混合物は、以下のモル組成比を有することができる:
【0181】
【表11】
式中、Meは、Si、Ge、Sn、Ti又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(MO)であるものとして計算され、Aは、Al、Fe、Cr、B、Ga又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(A)であるものとして計算され、Xは、Na、K又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(XO)であるものとして計算され、[OH]は、全ての成分によってもたらされる水酸化物イオンの合計として計算され、SDA-1は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンであり、SDA-2は、CHA生成SDA、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンであり、SDA-3は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である。
【0182】
反応混合物は、約0.1~約10%w/wの種結晶を更に含むことができ、その種結晶は、AEI、AFX、AFT、CHA、GME若しくはSFW骨格を有する結晶性モレキュラーシーブ及び/又はJMZ-11、JMZ-11B又はJMZ-11C骨格を有する連晶を含む。
【0183】
構造指向剤が反応混合物に添加される前に、溶媒を構造指向剤と混合することができる。好ましくは、構造指向剤は、溶媒と完全に混合可能であるか、又は溶媒に可溶性である。好適な溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、Cアルコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール及びこれらの混合物が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。好ましい溶媒は、水を含む。
【0184】
シリカ成分を好適な溶媒中で混合して、均一な組成及びテクスチャーの第1の混合物を形成することができる。十分な混合、撹拌、又はかき混ぜを通常は使用することができる。アルミニウム成分を、この混合物に添加し、続いて構造指向剤を添加することができる。
【0185】
SDA含有連晶を作製するために、混合物中の成分のモル比を制御及び維持しなければならない。モレキュラーシーブ生成物を生成させるための有効な条件に曝す前に、存在し得る任意の他の有機又は無機部分又は種を排除した最終反応混合物は、以下のモル組成比を有する:
【0186】
【表12】
式中、Meは、Si、Ge、Sn、Ti又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(MO)であるものとして計算され、Aは、Al、Fe、Cr、B、Ga又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(A)であるものとして計算され、Xは、Na、K又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(XO)であるものとして計算され、[OH]は、全ての成分によってもたらされる水酸化物イオンの合計として計算され、SDA-1は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンであり、SDA-2は、CHA生成SDA、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンであり、SDA-3は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である。
【0187】
混合物全体にわたって均一な組成物を提供するために、十分な混合、ブレンド、撹拌、又はかき混ぜを使用することが好ましい。濃度又は組成勾配の使用は、そのような勾配により異なるモレキュラーシーブ生成物が形成され得るため、最小化されるべきである。
【0188】
好ましくは、混合物の調製中、一定の温度を維持することができる。一定温度の環境を提供するために、冷却又は加熱が必要になる場合がある。混合物の調製に好適な温度は、約15℃~約80℃、好ましくは約20℃~約50℃の範囲であることができる。圧力は、通常は、pH、温度、又は濃度などの他の反応パラメータを制御するために1つ以上のガスが使用されない限り、混合物の調製にとって重要ではない。
【0189】
好ましくは、全体的なプロセスでは、シリカでの全収率は、少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、少なくとも約80%である。
【0190】
反応混合物は、溶液、コロイド分散液(コロイドゾル)、ゲル、又はペーストの形態であることができ、ゲルが好ましい。
【0191】
概して、反応混合物を、SDA含有連晶結晶を形成するまで高温に維持することができる。水熱結晶化を、通常は、自生圧力下、約100~約220℃、例えば約150~200℃の温度で、数時間、例えば約0.1~約10日間、好ましくは約1~約7日間、行う。
【0192】
水熱結晶化工程中、連晶の結晶を、反応混合物から自発的核形成するようにすることができる。種材料としての連晶結晶使用は、完全な結晶化を起こすために必要な時間を短縮するのに有利な場合がある。種として使用する場合、連晶結晶を、反応混合物中で使用するシリカの重量の0.1~10%の量で添加することができる。
【0193】
SDA含有連晶結晶が形成したら、その固体生成物を、濾過などの標準的な分離技術によって反応混合物から分離することができる。SDA含有連晶結晶を水洗し、次いで数秒~数分間(例えば、フラッシュ乾燥の場合は5秒~10分間)又は数時間(例えば、75~150℃でのオーブン乾燥の場合は約4~24時間)乾燥させて、SDA含有連晶結晶を得ることができる。乾燥工程を、大気圧で、又は真空下で実行することができる。
【0194】
前述の工程の順序、並びに上述の時間及び温度値の各々は単なる例示であり、変更することができることが理解される。
【0195】
本明細書に記載の方法に従って製造した連晶結晶は、約0.01~約20μm、例えば、約0.01~約5μm、約0.2~約1μm、及び約0.25~約0.5μmの平均結晶サイズを有することができ、ここでその範囲の端点は含めることができる。大きな結晶については、ジェットミル又は他の粒子対粒子粉砕技術を使用して、約1.0~約1.5ミクロンの平均サイズまでミリングして、触媒を含有するスラリーを、フロースルーモノリスなどの基材にウォッシュコーティングするのを容易にすることができる。
【0196】
連晶合成プロセスのための反応混合物は、典型的には、少なくとも1つのアルミニウム供給源、少なくとも1つの構造指向剤(SDA-1)を含有し、(SDA-1)は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオン、少なくとも1つのケイ素供給源、及び少なくとも1つのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の供給源を含む。組成物は、第2のSDA(SDA-2)及び/又は第3のSDA(SDA-3)を更に含むことができる。SDA-2は、CHA生成SDAであり、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンである。
【0197】
SDA-3は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である。
【0198】
本明細書に記載の合成方法は、金属アルミノシリケートを形成することに必ずしも限定されるものではなく、アルミホスフェート(AlPO)、金属置換アルミノホスフェート(MeAlPO)、シリコアルミノホスフェート(SAPO)、又は金属置換シリコアルミノホスフェートなどの骨格中にリンを含むモレキュラーシーブなどのJMZ-11の他の組成物を合成するために適用することもできる。
【0199】
本発明の第7の態様では、SDAを含む活性化モレキュラーシーブから活性化モレキュラーシーブを合成する方法が記載される。活性化モレキュラーシーブは、本発明の第1の態様の活性化モレキュラーシーブに存在する構造指向剤を欠いている。活性化モレキュラーシーブは、焼成又は過酸化物での処理によってSDAを除去することができる。
【0200】
活性化モレキュラーシーブは、構造指向剤を除去し、活性化モレキュラーシーブを形成するのに十分な温度及び時間で、2つ以上のSDAを含む連晶を焼成することによって製造することができる。活性化モレキュラーシーブは、SDAを酸化することが望ましいとき、酸素含有ガス(例えば、空気)の存在下で、300~700℃、好ましくは400~650℃で焼成することができる。場合によっては、還元環境が好ましい場合、不活性ガスを使用して焼成を行う。不活性ガスは、酸素を実質的に含まない(1体積%未満の酸素、好ましくは0.1体積%未満の酸素)任意のガス、最も好ましくは酸素を含まない任意のガスであることができる。好ましくは、不活性ガスは、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、二酸化炭素など、及びこれらの混合物である。焼成は、好ましくは1時間を超えて行う。
【0201】
慣例の第2の態様の活性化モレキュラーシーブの生成は、本発明の第1の態様のSDA含有連晶を最初に形成し、次いで、そのSDA含有連晶を活性化モレキュラーシーブに変換することを含むことができる。
【0202】
本発明の第8の態様では、SDA含有連晶相互成長製造するための組成物は、対応する比率で以下の材料を含む:
【0203】
【表13】
式中、Meは、Si、Ge、Sn、Ti又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(MO)であるものとして計算され、Aは、Al、Fe、Cr、B、Ga又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(A)であるものとして計算され、Xは、Na、K又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(XO)であるものとして計算され、[OH]は、全ての成分によってもたらされる水酸化物イオンの合計として計算され、SDA-1は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンであり、SDA-2は、CHA生成SDA、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンであり、SDA-3は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である。
【0204】
いくつかのケイ素化合物及びそれらの混合物は、本発明の組成物のためのケイ素成分として、使用することができる。ケイ素化合物としては、シリカゾルシリカゲル、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、ケイ酸、テトラエチルシリケート、テトラメチルシリケート、及びこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。好ましいケイ素成分は、シリカゾル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、ケイ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。
【0205】
多くのアルミニウム化合物及びそれらの混合物は、本発明のアルミニウム成分としての使用に好適である。アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミニウムヒドロキシクロライド、アルミニウムアルコキシド、例えば、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ-n-ブトキシド及びアルミニウムトリイソブトキシド、及びこれらの混合物が挙げられるが、必ずしもそれらに限定されない。好ましいアルミニウム成分は、水酸化アルミニウム、ベーマイト、及び擬ベーマイトからなる群から選択される。
【0206】
組成物は、第1のSDA(SDA-1)を含み、第2のSDA(SDA-2)及び又は第3のSDA(SDA-3)を更に含むことができる。SDA-1は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンである。SDA-2は、CHA生成SDA、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンであり、SDA-3は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である。
【0207】
カチオンと会合するアニオンは、アセテート、バイカーボネート、臭化物、カーボネート、カルボキシレート、塩化物、フッ化物、水酸化物、ヨウ化物、スルフェート及びテトラフルオロボレート、又はこれらの組み合わせであることができる。好ましくは、アニオンは水酸化物である。
【0208】
組成物は、約0.1~約10%w/wの種結晶を更に含むことができ、その種結晶は、AEI、AFX、AFT、CHA、GME若しくはSFW骨格を有する結晶性モレキュラーシーブ及び/又はJMZ-11、JMZ-11B又はJMZ-11C骨格を有する連晶を含む。
【0209】
本発明の第9の態様では、本発明の第1の態様のSDA及びアルカリ金属カチオンを含有する連晶を含むモレキュラーシーブから活性化モレキュラーシーブを作製する方法が提供される。通常、イオン交換によってアルカリ金属カチオンを除去し、それを、水素、アンモニウム、又は任意の所望の金属イオンで置き換えることが望ましい。したがって、本発明のゼオライトは、Na型ゼオライト、K型ゼオライト、又は組み合わせたNa,K-型などであってもよく、H型ゼオライト、アンモニウム型ゼオライト、又は金属交換によるゼオライトであってもよい。典型的なイオン交換技術は、合成ゼオライトを、所望の置き換え用カチオンの塩を含有する溶液と接触させること、を伴う。多種多様な塩を使用することができるが、塩化物及び他のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、及び炭酸塩が特に好ましい。代表的なイオン交換技術は、当該技術分野において広く知られている。イオン交換を合成後に行い、これについてはゼオライトを焼成する前又は後のいずれかで行うことができる。所望の置き換え用カチオンの塩溶液との接触後、ゼオライトを、典型的には水で洗浄し、65℃~約315℃、通常は80℃~150℃の範囲の温度で乾燥させる。洗浄後、ゼオライトを、不活性ガス中及び/又は空気中、約315℃~850℃の範囲の温度で1~48時間若しくはそれ以上焼成して、触媒活性で安定な生成物を生成することができる。
【0210】
本発明の第10の態様では、排気ガスを、本明細書において前述の本発明の第2の態様の活性化モレキュラーシーブと接触させることによって、エンジンからの排気ガスを処理するための方法が提供される。その方法は、ガス中のNO化合物の還元及び/又はNHの酸化のために使用することができ、ガスを、活性化モレキュラーシーブ又は金属含有活性化モレキュラーシーブと、ガス中のNO化合物の濃度を低減するのに十分な時間、接触させること、を含む。
【0211】
排気ガスを処理するための方法は、NO及び/又はNHを含有する燃焼排気ガスを、本明細書に記載の活性化H型のモレキュラーシーブと接触させて、NOの少なくとも一部をN及びHOに選択的に還元すること、及び/又はNHの少なくとも一部を酸化すること、を含む。
【0212】
NOを含有する燃焼排気ガスを、本明細書に記載の活性化H型のモレキュラーシーブを含む受動的NO吸収剤と接触させることを含む、排気ガスを処理するための方法。
【0213】
NHを含有する燃焼排気ガスを、本明細書に記載の活性化H型のモレキュラーシーブを含む受動的NO吸収剤と接触させることを含む、排気ガスを処理するための方法。
【0214】
活性化モレキュラーシーブ又は金属含有活性化モレキュラーシーブにより、還元剤、好ましくはアンモニアと窒素酸化物との反応を促進して、単体窒素(N)及び水(HO)を選択的に形成することができる。したがって、触媒を、還元剤(すなわち、SCR触媒)による窒素酸化物の還元に都合のよいように配合することができる。そのような還元剤の例としては、炭化水素(例えば、C3-C6炭化水素)、並びにアンモニア及びアンモニアヒドラジンなどの窒素性還元剤、又は尿素((NHCO)、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、若しくはギ酸アンモニウムなどの任意の好適なアンモニア前駆体が挙げられる。
【0215】
活性化モレキュラーシーブ、又は金属含有活性化モレキュラーシーブもまた、アンモニアの酸化を促進することができる。好ましくは、活性化モレキュラーシーブは、活性化モレキュラーシーブ中に含浸された銅又は鉄などの1つ以上の金属イオンを含有する。触媒を、アンモニアの酸素による酸化、特に、典型的にはSCR触媒(例えば、アンモニアスリップ触媒(ASC)などのアンモニア酸化(AMOX)触媒)の下流で見られるアンモニアの濃度に好都合になるように配合することができる。活性化モレキュラーシーブ、又は金属含有活性化モレキュラーシーブを、酸化性の下層の上の上層として配設することができ、下層は、白金族金属(PGM)触媒又は非PGM触媒を含む。好ましくは、下層中の触媒成分を、アルミナをはじめとするがこれに限定されない、高表面積担体上に配設する。
【0216】
SCR及びAMOXの操作を、直列で実行することができ、両方のプロセスは、本明細書に記載の活性化モレキュラーシーブ、又は金属含有活性化モレキュラーシーブを含む触媒を利用し、SCRプロセスを、AMOXプロセスの上流で行う。例えば、触媒のSCR配合物をフィルタの入口側に配設することができ、触媒のAMOX配合物をフィルタの出口側に配設することができる。
【0217】
したがって、ガス中のNO化合物の還元又はNHの酸化方法であって、ガス中のNO化合物及び/又はNHの濃度を低減するのに十分な時間、NO化合物の触媒還元のために、ガスを本明細書に記載の触媒組成物と接触させること、を含む、方法が開示される。触媒物品は、選択的触媒還元(SCR)触媒の下流に配設したアンモニアスリップ触媒を有することができる。アンモニアスリップ触媒により、選択的触媒還元プロセスによって消費されない任意の窒素性還元剤の少なくとも一部分を酸化することができる。アンモニアスリップ触媒を、ウォールフローフィルタの出口側に配設することができ、SCR触媒をフィルタの上流側に配設することができる。アンモニアスリップ触媒を、フロースルー基材の下流端上に配設することができ、SCR触媒を、フロースルー基材の上流端上に配設することができる。アンモニアスリップ触媒及びSCR触媒を、排気システム内の別個のブリック上に配設することができる。これらの別個のブリックは、互いに隣接し接触していてもよく、又は特定の距離だけ離れていてもよく、但し、それらは互いに流体連通せず、また但し、SCR触媒ブリックをアンモニアスリップ触媒ブリックの上流に配設していない。
【0218】
SCRプロセス及び/又はAMOXプロセスは、≧100℃の温度、好ましくは約150℃~約750℃、より好ましくは約175~約550℃、更により好ましくは175~400℃の温度で実施することができる。
【0219】
いくつかの条件では、温度範囲は、450~900℃、好ましくは500~750℃、より好ましくは500~650℃、更により好ましくは450~550℃であることができる。450℃超の温度は、大型及び小型ディーゼルエンジンからの排気ガスの処理に特に有用であり、このエンジンは、(任意選択で触媒化した)ディーゼル粒子フィルタを含む排気システムを備え、このフィルタを、例えば、フィルタの上流の排気システムに炭化水素を噴射することにより活性に再生するものであり、本発明に使用するためのモレキュラーシーブ触媒はフィルタの下流に位置している。
【0220】
本発明の方法は、還元剤の存在下で排気ガスを、1つ以上のフロースルーSCR触媒装置と接触させて、排気ガス中のNO濃度を低減することと、次の工程:すなわち、(a)触媒フィルタの入口と接触している煤を蓄積及び/又は燃焼させる工程、(b)好ましくはNO及び還元剤の処理を伴う介在触媒工程なしで、窒素性還元剤を排気ガス流に導入した後、触媒フィルタに接触させる工程と、(c)NO吸着触媒又はリーンNOトラップの上でNHを発生させる工程であって、好ましくは、下流SCR反応において還元剤としてそのようなNHを使用する、発生させる工程と、(d)排気ガス流をDOCと接触させて、炭化水素系可溶性有機成分(SOF)及び/又は一酸化炭素をCOに酸化し、及び/又はNOをNOに酸化し、今度は、それらを使用して、粒子フィルタにおいて粒子状物質を酸化し、及び/又は排気ガス中の粒子状物質(PM)を低減する工程、及び(e)排気ガスをアンモニアスリップ触媒と、好ましくはSCR触媒の下流で、接触させ、アンモニアの、全てでない場合でもほとんどを酸化させた後、排気ガスを大気に放出し、又は排気ガスを再循環ループに通し、その後、排気ガスをエンジンに流入/再流入させる工程、のうちの1つ以上を含むことができる。
【0221】
SCRプロセスにおける消費のための窒素系還元剤、特にNHの全て又は少なくとも一部分を、SCR触媒、例えば、ウォールフローフィルタ上に配設した本発明のSCR触媒の上流に配設したNO吸着触媒(NAC)、リーンNOトラップ(LNT)、又はNO吸蔵/還元触媒(NSRC)によって供給することができる。本発明において有用なNAC成分としては、塩基性材料(アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、及びこれらの組み合わせを含む、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類金属など)、並びに貴金属(白金など)、及び任意選択でロジウムなどの還元触媒成分の組み合わせの触媒が挙げられる。NACに有用な特定の種類の塩基性材料としては、酸化セシウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。貴金属は、好ましくは、約10~約200g/ft、例えば20~60g/ftで存在する。あるいは、触媒の貴金属は、約40~約100グラム/ftであることができる平均濃度を特徴とする。
【0222】
定期的にリッチな再生事象中、NHを、NO吸着触媒の上で発生させることができる。NO吸着触媒の下流のSCR触媒により、システム全体のNO還元効率を改善することができる。組み合わせたシステムでは、SCR触媒は、リッチな再生事象中にNAC触媒から放出されたNHを吸蔵可能であり、吸蔵したNHを利用して、通常のリーン運転条件中にNAC触媒を通り抜けるNOの一部又は全てを選択的に還元する。
【0223】
本明細書に記載の排気ガスの処理方法を、燃焼プロセスに由来する排気ガス、例えば、内燃機関(移動体又は設置型のいずれでも)、ガスタービン、及び石炭又は石油火力発電所に由来する排気ガスで実行することができる。また、方法を、精錬などの産業用プロセスから、精錬所のヒータ及びボイラ、炉、化学処理産業、コークスオーブン、都市廃棄物プラント、及び焼却機などからのガスを処理するために使用することができる。その方法を、ディーゼルエンジン、リーンバーガソリンエンジン、又は液体石油ガス若しくは天然ガスによって動力供給されるエンジンなどの、車両のリーンバーン内燃機関からの排気ガスを処理するために使用することができる。
【0224】
排気ガスを処理するための方法は、NOxを含有する燃焼排気ガスを、本明細書において前述した、本発明の第2の態様の活性化モレキュラーシーブを含む受動的NO吸収剤と接触させることを含むことができる。NOを低温以下で吸着し、その吸着されたNOを低温を超える温度で放出するのに有効な受動的NO吸着剤は、貴金属及び活性化モレキュラーシーブを含むことができる。貴金属は、白金、パラジウム、ロジウム、金、銀、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、及びこれらの混合物からなる群から選択することができ、好ましくはパラジウムである。
【0225】
受動的NO吸着剤は、低温以下(好ましくは250℃未満、より好ましくは約200℃)で、NOを吸着し、低温を超える温度で、吸着されたNOを放出するのに有効であることができる。受動的NO吸着剤は、貴金属及び活性化モレキュラーシーブを含む。貴金属は、パラジウム、白金、ロジウム、金、銀、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、又はこれらの混合物;より好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、又はこれらの混合物からなる群から選択される。パラジウムは特に好ましい。
【0226】
受動的NO吸着剤は、任意の既知の手段によって調製することができる。例えば、貴金属を、活性化モレキュラーシーブに添加して、任意の既知の手段によって受動的NO吸着剤を形成することができ、添加方法は特に重要であるとは考えられない。例えば、貴金属化合物(例えば、硝酸パラジウム)を、含浸、吸着、イオン交換、インシピエント・ウェットネス、沈殿などによって、活性化モレキュラーシーブ上に担持することができる。他の金属もまた、受動的NO吸着剤に添加することができる。好ましくは、受動的NO吸着剤中の貴金属の一部(添加される全貴金属の1パーセント超)は、活性化モレキュラーシーブの細孔の内側に位置する。より好ましくは、貴金属の総量の5パーセント超が活性化モレキュラーシーブの細孔の内側に位置し、更により好ましくは、貴金属の総量の10パーセント超、又は25%超、又は50パーセント超が活性化モレキュラーシーブの細孔の内側に位置することができる。
【0227】
好ましくは、受動的NO吸着剤は、フロースルー基材又はフィルタ基材を更に含む。受動的NO吸着剤は、フロースルー基材又はフィルタ基材上にコーティングされ、好ましくは、ウォッシュコート手順を用いてフロースルー基材又はフィルタ基材上に堆積されて、受動的NO吸着剤システムを生成することができる。
【0228】
フロースルー基材又はフィルタ基材は、触媒成分を含有することが可能な基材であることができる。基材は、好ましくはセラミック基材又は金属基材である。セラミック基材は、任意の好適な耐火性材料、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、マグネシア、モレキュラーシーブ、好ましくはゼオライト、より好ましくはアルミノシリケート、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩、メタロアルミノケイ酸塩(コーディエライト及びスポジュメン(spudomene)など)、又はこれらの任意の2つ以上の混合物若しくは混合酸化物から作製することができる。コーディエライト、マグネシウムアルミノケイ酸塩、及び炭化ケイ素が、特に好ましい。
【0229】
金属基材は、任意の好適な金属、特にチタン及びステンレス鋼などの耐熱性金属及び金属合金、並びにその他の微量金属に加えて鉄、ニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムを含有するフェライト合金で作製することができる。
【0230】
フロースルー基材は、好ましくは、基材を通って軸方向に連続しており、かつ基材の入口又は出口から全体にわたって延びている、多くの小さな平行薄壁チャネルを有するハニカム構造を有するフロースルーモノリスである。基材のチャネル断面は、任意の形状であることができるが、好ましくは正方形、正弦波形、三角形、矩形、六角形、台形、円形、又は楕円形である。
【0231】
フィルタ基材は、好ましくはウォールフローモノリスフィルタである。ウォールフローフィルタのチャネルは、交互に遮断される。このことにより、排気ガス流が入口からチャネルに入り、その後、チャネル壁を通って流れ、出口につながる異なるチャネルからフィルタを出ることができる。したがって、排気ガス流中の粒子状物質は、フィルタ内に捕捉される。
【0232】
受動的NO吸着剤は、任意の既知の手段によってフロースルー又はフィルタ基材に添加することができる。ウォッシュコート手順を用いて受動的NO吸着剤を調製するための代表的なプロセスを以下に記載する。以下のプロセスは、本発明の異なる実施形態に従って変更され得ることが理解されるであろう。
【0233】
予備形成された受動的NO吸着剤は、ウォッシュコーティング工程によって、フロースルー又はフィルタ基材に添加することができる。あるいは、受動的NO吸着剤は、最初に未修飾の小細孔モレキュラーシーブを基材上にウォッシュコーティングして、モレキュラーシーブコーティングされた基材を製造することによって、フロースルー又はフィルタ基材上に形成することができる。次いで、活性化モレキュラーシーブコーティングされた基材に貴金属を添加することができ、これは、含浸手順などによって達成することができる。
【0234】
ウォッシュコーティング手順は、好ましくは、受動的NO吸着剤(又は未修飾の小細孔モレキュラーシーブ)の微細化粒子を適切な溶媒中に、好ましくは水中に最初にスラリー化して、スラリーを形成することによって、実施される。遷移金属酸化物、結合剤、安定剤、又は促進剤などの追加の成分も、水溶性又は水分散性化合物の混合物としてスラリーに組み込むことができる。スラリーは、好ましくは10~70重量パーセント、より好ましくは20~50重量パーセントの固形分を含有する。スラリーを形成する前に、受動的NO吸着剤(又は未修飾小細孔モレキュラーシーブ)粒子は、好ましくは、固体粒子の平均粒径が直径20ミクロン未満であるように、サイズ減少処理(例えば、ミリング)を受ける。
【0235】
フロースルー又はフィルタ基材は、次いで、触媒材料の所望の担持量を基材上に堆積させるために、スラリーに1回以上浸漬することができ、又はスラリーを基材上にコーティングすることができる。フロースルー又はフィルタ基材をウォッシュコーティングする前に、活性化モレキュラーシーブに貴金属が組み込まれない場合、活性化モレキュラーシーブコーティングされた基材は、典型的には、乾燥され、焼成され、次いで、貴金属を、例えば、貴金属化合物(例えば、硝酸パラジウム)を用いて、含浸、吸着、又はイオン交換を含む任意の既知の手段によって、モレキュラーシーブコーティングされた基材に添加することができる。好ましくは、フロースルー又はフィルタ基材の全長は、受動的NO吸着剤のウォッシュコートが基材の全表面を覆うようにスラリーでコーティングされる。
【0236】
フロースルー又はフィルタ基材を受動的NO吸着剤でコーティングし、必要に応じて貴金属を含浸させた後、好ましくはコーティングされた基材を乾燥させ、次いで高温で加熱することによって焼成して、受動的NO吸着剤でコーティングされた基材を形成する。好ましくは、焼成は、約1~8時間、400~600℃で行う。
【0237】
フロースルー又はフィルタ基材は、受動的NO吸着剤から構成され得る。この場合、受動的NO吸着剤を押出成形して、フロースルー又はフィルタ基材を形成することができる。受動的NO吸着剤押出成形基材は、好ましくはハニカムフロースルーモノリスである。
【0238】
押出成形されたモレキュラーシーブ基材及びハニカム体、並びにそれらを作製するためのプロセスは、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第5,492,883号、同第5,565,394号及び同第5,633,217号、並びに米国特許第Re.34,804号を参照されたい。典型的には、モレキュラーシーブ材料は、シリコーン樹脂などの永久結合剤及びメチルセルロースなどの一時的結合剤と混合し、その混合物を押出成形してグリーンハニカム体を形成し、次いで焼成し、焼結して、最終的な小細孔モレキュラーシーブフロースルーモノリスを形成する。モレキュラーシーブは、押出成形前に貴金属を含有することができ、それにより、押出成形手順によって受動的NO吸着剤モノリスが製造される。あるいは、受動的NO吸着剤モノリスを製造するために、予備成形されたモレキュラーシーブモノリスに貴金属を添加することができる。
【0239】
本発明はまた、本明細書で前述したように、活性化モレキュラーシーブを含む受動的NO吸着剤を使用して内燃機関からの排気ガスを処理するための方法も含む。その方法は、250℃以下、好ましくは200℃未満の温度で、NOを受動的NO吸着剤上に吸着させることと、上記温度を超える温度で受動的NO吸着剤からNOを熱脱着することと、受動的NO吸着剤の下流にある触媒成分上の脱着されたNOを触媒的に除去することと、を含む。
【0240】
受動的NO吸着剤の下流にある触媒成分は、SCR触媒、粒子フィルタ、SCRフィルタ、NO吸着触媒、三元触媒、酸化触媒、又はこれらの組み合わせであることができる。
【0241】
本発明の第11の態様では、本明細書に記載の本発明の第2の態様の連晶を含む活性化H型モレキュラーシーブとエタノールを接触させることによって、メタノールをオレフィン(MTO)に変換する方法が提供される。
【0242】
本発明の第11の態様では、前述した本明細書に記載の本発明の第2の態様の活性化モレキュラーシーブとメタノールを接触させることによって、メタノールなどの含酸素物質をオレフィン(MTO)に変換する方法が提供される。含酸素物質のオレフィンへの(OTO)変換のための反応プロセスは、当該技術分野において公知である。具体的には、OTO反応プロセスにおいて、含酸素物質は、含酸素物質の少なくとも一部分を軽質オレフィンに変換するのに有効な条件下、モレキュラーシーブ触媒組成物と接触する。メタノールが含酸素物質である場合、プロセスは、概して、メタノーのオレフィン(MTO)への反応プロセスと呼ばれる。メタノールは、エチレン及び/又はプロピレンの合成に特に好ましい含酸素物質である。
【0243】
含酸素物質原料を軽質オレフィン生成物に変換するためのプロセスは、a)メタノールの大部分を含む含酸素物質原料を準備することと、b)活性化モレキュラーシーブ及び任意選択で塩基性金属酸化物共触媒を含む触媒組成物を提供することと、c)含酸素物質原料の少なくとも一部分を軽質オレフィン生成物に変換するのに十分な条件下、含酸素物質原料を触媒組成物と接触させることと、を含む。
【0244】
含酸素物質原材料、特にメタノール及びエタノールを含有する混合アルコール組成物は、様々な触媒プロセス、特に、含酸素物質のオレフィンへの(OTO)反応プロセスのための有用な原材料であり、触媒組成物、典型的には、Al、Si、及びPのうちの少なくとも2つを有する主酸化物触媒を含有する触媒組成物(例えば、アルミノシリケートモレキュラーシーブ、好ましくは高シリカアルミノシリケートモレキュラーシーブ)、好ましくは塩基性金属酸化物共触媒を使用して、含酸素物質原材料を、例えば、エチレン及び/又はプロピレンを含有する、好ましくはエチレンを含む、軽質オレフィン生成物に変換することができる。次いで、オレフィンを回収し、例えば、ポリエチレン及び/若しくはポリプロピレンなどのポリオレフィン、オレフィンオリゴマー、オレフィンコポリマー、これらの混合物、並びに/又はこれらのブレンドの製造にける更なる処理のために使用することができる。
【0245】
1つ以上の追加成分を、OTO反応系向けの原材料に含めることができる。例えば、OTO反応系向けの原材料は、任意選択で、メタノール及びエタノールに加えて、1つ以上の脂肪族含有化合物、例えばアルコール、アミン、カルボニル化合物、例えばアルデヒド、ケトン、及びカルボン酸、エーテル、ハライド、メルカプタン、スルフィドなど、並びにこれらの混合物を含有してもよい。脂肪族含有化合物の脂肪族部分は、典型的には1~50個の炭素原子、好ましくは1~20個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、最も好ましくは1~4個の炭素原子を含有する。
【0246】
脂肪族含有化合物の非限定的な例としては、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールなど、アルキルメルカプタン、例えばメチルメルカプタン及びエチルメルカプタン、アルキルスルフィド、例えばメチルスルフィド、アルキルアミン、例えばメチルアミン、アルキルエーテル、例えばDME、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル、アルキルハライド、例えばメチルクロライド及びエチルクロライド、アルキルケトン、例えばジメチルケトン、アルキルアルデヒド、例えばホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド、並びに様々な有機酸、例えばギ酸及び酢酸が挙げられる。
【0247】
上述の様々な原材料を、主に1つ以上のオレフィンに変換する。原材料から製造したオレフィン又はオレフィンモノマーは、典型的には、2~30個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子、より好ましくは2~6個の炭素原子、更により好ましくは2~4個の炭素原子を有し、最も好ましくはエチレン及び/又はプロピレンを有する。オレフィンモノマーの非限定的な例としては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1,4-メチル-ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、及びデセン-1、好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1,4-メチル-ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、並びにこれらの異性体が挙げられる。他のオレフィンモノマーとしては、不飽和モノマー、4~18個の炭素原子を有するジオレフィン、共役又は非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー、及び環式オレフィンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0248】
低分子量酸素含有種をオレフィンに富んだ炭化水素流に変換するための触媒物品は、活性化モレキュラーシーブを含むことができ、活性化モレキュラーシーブは、担体上及び/又は構造内に配設される。
【0249】
低分子量酸素含有種を芳香族に富んだ炭化水素流に変換するための触媒物品は、活性化モレキュラーシーブを含むことができ、活性化モレキュラーシーブは、担体上及び/又は構造内に配設される。
【0250】
触媒を、他の添加剤材料と共に組み込むことができ、又はそれと混合することができる。このような混合物は、典型的には、配合触媒又は触媒組成物と呼ばれる。好ましくは、添加剤材料は、ジアルキルエーテル(例えば、ジメチルエーテル)及び/又はアルカノール(例えば、メタノール、エタノールなど)を伴う変換反応に対して実質的に不活性である。
【0251】
1つ以上の他の材料を、活性化モレキュラーシーブ、特に有機変換プロセスに使用する温度及び他の条件に耐性を有する材料と混合することができる。このような材料としては、触媒活性及び不活性材料、並びに合成又は天然起源のゼオライト、並びに無機材料、例えば粘土、シリカ、及び/又は他の金属酸化物、例えばアルミナを挙げることができる。後者は、天然起源、又はシリカと金属酸化物との混合物を含むゲル沈降物若しくはゲルの形態のいずれであってもよい。触媒活性材料の使用により、含酸素物質変換プロセスにおける触媒の変換率及び/又は選択性を変化しやすくすることができる。不活性材料は、好適に、希釈剤として役立ち、プロセスにおける変換量を制御することができ、それにより、反応速度を制御するための他の手段を使用することなく、経済的で規則的に生成物を得ることができる。これらの材料を、天然起源の粘土、例えば、ベントナイト及びカオリンに組み込み、商用操作条件下、触媒の破砕強度を改善することができる。材料(例えば、粘土、酸化物など)は、触媒の結合剤として機能することができる。商用の使用において触媒が粉末状材料に破壊されるのを防止することが望ましいことから、良好な破砕強度を有する触媒を提供することが望ましい場合がある。
【0252】
使用することができる天然起源の粘土としては、モンモリロナイト及びカオリンファミリーを挙げることができるが、これらに限定されず、これらのファミリーとしては、サブベントナイト、及び一般にデキシークレー、マクナミークレー、ジョージアクレー、及びフロリダクレーと呼ばれるカオリン、又は主鉱物構成成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、又はアナウキサイトを含む他のものが挙げられる。このような粘土を、元の採鉱された時のまま、又は最初に焼成、酸処理、若しくは化学変性された時のままで、未加工状態にて使用することができる。他の有用な結合剤としては、シリカ、チタニア、ベリリア、アルミナ、及びこれらの混合物などの無機酸化物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0253】
前述の材料に加えて、活性化モレキュラーシーブは、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、及びシリカ-チタニアなどの多孔質マトリックス材料、並びにシリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア、及びシリカ-マグネシア-ジルコニアなどの三元組成物と混成することができる。
【0254】
活性化モレキュラーシーブと無機酸化物マトリックスとの相対割合は、広範に変えることができる。例えば、混合物は、約1~約90重量パーセントの範囲のゼオライト含有量、より通常的には、特に、複合体をビーズの形態で調製するとき、複合材料の約2~約80重量パーセントの範囲のゼオライト含有量を含んでもよい。
【0255】
本発明はまた、活性化モレキュラーシーブを触媒又は共触媒として使用するOTO又はMTOの適用によって形成されたC2、C3、C4及びC5製品にも関する。
【0256】
以下の実施例は、本発明の態様を実証するが、限定するものではない。
【実施例
【0257】
実施例1-約54%のcha空洞、23%のaft空洞、及び23%の「sfw-GME」尾部を有する、SDA含有JMZ-11Aの合成。
7.27gの水酸化ナトリウム(98%)を、撹拌しながら、ポリプロピレンボトル中の脱塩水51.5gに溶解した。得られた溶液に、27.42gの市販のUSY粉末(Al=17.44重量%、SiO=55.89重量%、NaO=0.08重量%)を添加して、白色の均質なスラリーを形成した。次に、その混合物に、26.23gのN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムヒドロキシド(ROH)溶液(55.8%の水中濃度)、次いで、289.2gのケイ酸ナトリウム溶液(NaO重量%=9.00重量%、SiO=28.8重量%)を順に注いだ。35.0SiO-1.00Al-11.0NaO-1.50ROH-300HOのモルゲル式に対応する得られた合成ゲルを、30分間撹拌し、次いで、120℃で結晶化させるために0.6Lの撹拌オートクレーブに入れた。68時間の結晶化後、固体生成物を、回収し、120℃のオーブン中で乾燥させた。実施例1の試料に関する特性XRDデータを以下の表9に示す。
【0258】
【表14】
【0259】
酢酸アンモニウムとの接触を4サイクル適用することによって、実施例1の作製時のままの粉末を直接にイオン交換した(ゼオライト粉末1グラムに対して10gの溶液、10%15の酢酸アンモニウム、80℃及びイオン交換1サイクルあたり1時間)。120℃のオーブンで乾燥させた後、直接にイオン交換させた生成物を、毎分1.0℃の傾斜速度で温度を550℃に上げることによってマッフル炉で焼成して、SDA種を除去した。6時間の焼成後、得られた粉末を、酢酸アンモニウムとのイオン交換の2回の追加サイクルに供して、ゼオライト粉末から残留ナトリウムを除去した。イオン交換によってナトリウムを除去した後、その固体生成物を、再び120℃で乾燥させ、同じ手順によって550℃で焼成した。生成物のX線回折データを図1及び表10に示す。得られたゼオライトのSAR(シリカ対アルミナ比)は、XRFにより測定すると、7.1であった。
【0260】
【表15】
【0261】
実施例2-約65%のcha空洞、5%のaft空洞、及び30%の「sfw-GME」尾部を有する、SDA含有JMZ-11Bの合成。
13.18gの水酸化ナトリウム(98%)を、撹拌しながら、ポリプロピレンボトル中の脱塩水40.0gに溶解した。得られた溶液に、28.30gの市販のUSY粉末(Al=17.44重量%、SiO=55.89重量%、NaO=0.08重量%)を添加して、白色の均質なスラリーを形成した。次に、その混合物に、32.9gの1,1-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムヒドロキシド溶液(22.0%の水中濃度)、次いで、288.5gのケイ酸ナトリウム溶液(NaO重量%=9.00重量%、SiO=28.8重量%)を順に注いだ。34.0SiO-1.00Al-12.0NaO-0.80ROH-290HOのモルゲル式に対応する得られた合成ゲルを、30分間撹拌し、次いで、120℃で結晶化させるために0.6Lの撹拌オートクレーブに入れた。21時間の結晶化後、固体生成物を、回収し、120℃のオーブン中で乾燥させた。XRDデータを以下の表11に示す。
【0262】
【表16】
【0263】
実施例2の作製時のままの粉末を、実施例1に記載したようにイオン交換し、焼成した。生成物に関するX線回折データを図2及び表12に示す。得られたゼオライトのSARは、XRFによって測定すると6.2であった。
【0264】
【表17】
【0265】
実施例3-約39%のcha空洞、54%のaft空洞、及び7%の「sfw-GME」尾部を有する、SDA含有JMZ-11Cの合成。
27.35gの市販のUSY粉末(Al=17.44重量%、SiO=55.89重量%、NaO=0.08重量%)を、撹拌しながら、ポリプロピレンボトル中の45.77gの脱塩水と組み合わせて、白色の均質なスラリーを形成した。その溶液に、24.42gのN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムヒドロキシド溶液(55.8%の水中濃度)及び8.29gの1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム水酸化物(20.0%の水中濃度)を添加した。その混合物に、7.39gのNaOH(98%)及び288.4gのケイ酸ナトリウム溶液(NaO重量%=9.00重量%、SiO=28.8重量%)を順に注いだ。35.0SiO-1.00Al-11.0NaO-1.40ROH-0.10ROH-300HOのモルゲル式に対応する得られた合成ゲルを、30分間撹拌し続け、次いで、120℃で結晶化させるために0.6Lの撹拌オートクレーブに入れた。24時間の結晶化後、固体生成物を、回収し、120℃のオーブン中で乾燥させた。XRDデータを以下の表13に示す。
【0266】
【表18】
【0267】
実施例3の作製時のままの粉末を、実施例1に記載したようにイオン交換し、焼成した。生成物のX線回折データを図4及び表14に示す。得られたゼオライトのSARは、XRFによって測定すると8.0であった。
【0268】
【表19】
【0269】
実施例4-約65%のcha空洞、12%のaft空洞、及び23%の「sfw-GME」尾部を有する、SDA含有JMZ-11Dの合成。
7.27gの水酸化ナトリウム(98%)を、撹拌しながら、ポリプロピレンボトル中の脱塩水45.7gに溶解した。得られた溶液に、27.41gの市販のUSY粉末(Al=17.44重量%、SiO=55.89重量%、NaO=0.08重量%)を添加して、白色の均質なスラリーを形成した。次に、その混合物に、26.23gのN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムヒドロキシド溶液(55.8%の水中濃度)、5.83gのトリメチルアドマンジルアンモニウムヒドロキシド(0.51%の水中濃度)、次いで、289.2gのケイ酸ナトリウム溶液(NaO重量%=9.00重量%、SiO=28.8重量%)を順に注いだ。35.0SiO-1.00Al-11.0NaO-1.50ROH-0.003ROH-300HOのモルゲル式に対応する得られた合成ゲルを、30分間撹拌し続け、次いで、120℃で結晶化させるために0.6Lの撹拌オートクレーブに入れた。64時間の結晶化後、固体生成物を、回収し、120℃のオーブン中で乾燥させた。XRDデータを以下の表15に示す。
【0270】
【表20】
【0271】
実施例4の作製時のままの粉末を、実施例1に記載したようにイオン交換し、焼成した。生成物のX線回折データを図8及び表16に示す。得られたゼオライトのSARは、XRFによって測定すると7.3であった。
【0272】
【表21】
【0273】
実施例5-SCRのためのCu触媒の調製
脱塩水に溶解した必要量の酢酸銅(II)1水和物(Shepherd)を使用して、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4からの焼成JMZ-11Aに、3.33重量%の担持量で銅を含浸させた。含浸試料を80℃で一晩乾燥させ、次いで、空気中、550℃で4時間焼成した。上記と同じ方法に従って、SAR 28を有するBEAの参照試料を調製した。
【0274】
粉末触媒の試料をペレット化してフレッシュ触媒を提供し、次いで、そのフレッシュ触媒の一部を、空気中10%HOの流れの中で、以下の手順を使用して、すなわち、試料を、空気のみの中で、250℃まで10℃/分の速度で加熱して、水熱エージングする。次いで、その試料を、空気中、10%のHOにて10℃/分の速度で、750℃まで加熱した。750℃の温度で80時間にわたって保持した後、試料を蒸気/空気混合物中で、温度が<250℃になるまで冷却し、次いで、空気がおよそ室温まで冷えるまで、空気のみを試料の上に流した。
【0275】
実施例6-標準NHSCRの触媒試験
500ppmのNO(NOのみ)、500ppmのNH、14%のO、4.6%のHO、5%のCOを含むガスが、残部のNと共に、90K/時の空間速度で触媒の上を流れる装置内で、粉末触媒のペレット化されたフレッシュ試料及びエージングされた試料を試験した。試料を、NHを除いた上述のガス混合物の下で、室温から150℃まで加熱した。150℃でNHをガス混合物中に添加し、試料をこれらの条件下で資料を30分間保持した。次いで、温度を5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。
【0276】
NO変換活性プロファイルの結果を図26及び27に示す。実施例1のフレッシュ試料は、340℃~550℃の温度範囲でベンチマークのBEA.Cuよりも1%~15%高いNO変換レベルを示したことが見出された(図26)。実施例2、3及び4は全て、275℃~550℃の温度範囲において、ベンチマークのBEA.Cuよりも1%~15%高いNO変換レベルを示した。エージング後(図27)、実施例3及び4は、150~550℃の試験温度範囲全体にわたって、BEA.Cuよりも5~65%高いNO変換レベルを示した。エージング後、実施例1及び2は、275~450℃の温度範囲において、BEA.CuのNO変換レベルよりも2~20%高いそれを示した。したがって、実施例1、2、3及び4は、最適な動作温度範囲で利用されるとき、NO変換において重要な利点を示すことが実証された。
【0277】
150℃~500℃の温度にわたってフレッシュ触媒及びエージング触媒を通過するガス中のNOの濃度を、図28に示す。装置に流入するガスは、NOのみとしてNOを500ppm含有していた。実施例1、2、3、及び4によって生成されたNOのレベルは全て、全温度範囲にわたって、BEAのそれ(ピーク値は約55ppm及び28ppm)よりも著しく低かった(約5ppmのピーク値)。エージング後(図29)、BEAによって生成されたNOのレベルは、温度範囲全体にわたって著しく減少し、ピーク値は、約11ppm及び約18ppmを示した。しかしながら、実施例1、2、3、及び4のエージングされた試料は全て、大部分の温度範囲にわたって、より高いNO変換率も観察されたが、全温度範囲にわたって、BEAに比べて、NOのレベルは依然としてより低かった。したがって、実施例1、2、3、及び4は全て、フレッシュ状態及びエージングした状態の両方において、NO生成に関してBEAを超える重要な利点を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2021-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構造指向剤(SDA-1)、cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含むモレキュラーシーブであって、SDA-1が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンを含む、モレキュラーシーブ。
【請求項2】
SDA-1が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンを含み、前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約45~約65%、好ましくは約54%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約18~約28%、好ましくは約23%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約7~約37%、好ましくは約23%に存在する、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項3】
SDA-1が、N,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンを含み、前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約55~約75%、好ましくは約65%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約0~約10%、好ましくは約5%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約15~約45%、好ましくは約30%に存在する、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項4】
SDA-1が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンを含み、前記モレキュラーシーブが、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムカチオンを更に含み、前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約30~約45%、好ましくは約39%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約45~約65%、好ましくは約54%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約2~約20%、好ましくは約7%に存在する、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項5】
SDA-1が、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンを含み、前記モレキュラーシーブが、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオンを更に含み、前記cha空洞が、前記尾部における空洞の約55~約75%、好ましくは約65%に存在し、前記aft空洞が、前記尾部における空洞の約7~約17%、好ましくは約12%に存在し、残りが、前記「sfw-GME」尾部におけるより大きな空洞の約8~約38%、好ましくは約23%に存在する、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項6】
cha空洞、aft空洞及び「sfw-GME」尾部を含む活性化モレキュラーシーブであって、前記モレキュラーシーブがSDAを含まない、活性化モレキュラーシーブ。
【請求項7】
前記モレキュラーシーブが、骨格内に少なくとも1つの金属を含み、前記金属が、周期表の族のIIIA、IB、IIB、VA、VIA、VIIA、及びVIIIA族の金属のうちの少なくとも1つ、並びにそれらの組み合わせ、好ましくはセリウム、クロム、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、チタン、タングステン、バナジウム及び亜鉛、より好ましくはコバルト、銅、鉄、マンガン又は亜鉛から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ又は請求項6のいずれか一項に記載の活性化モレキュラーシーブ。
【請求項8】
前記モレキュラーシーブが、Ag、Au、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、Ir、Mn、Mo、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの骨格外金属、好ましくはCo、Cu、Fe及びNi、より好ましくはCu及びFe、最も好ましくはCuを更に含む、請求項6に記載の活性化H型のモレキュラーシーブ。
【請求項9】
請求項6に記載の活性化H型のモレキュラーシーブを含む触媒。
【請求項10】
前記活性化H型モレキュラーシーブが、約0.1~約5重量パーセントの少なくとも1つの骨格外金属を含む、請求項9に記載の触媒。
【請求項11】
前記触媒が、ハニカム構造上及び/又はハニカム構造内に配設された請求項9又は請求項10に記載の触媒を含む排気ガスを処理するための触媒物品。
【請求項12】
対応する比率で以下の材料:
【表1】
を含み、式中、Meは、Si、Ge、Sn、Ti又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(MO)であるものとして計算され、Aは、Al、Fe、Cr、B、Ga又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(A)であるものとして計算され、Xは、Na、K又はこれらの組み合わせであり、酸化物形態(XO)であるものとして計算され、[OH]は、全ての成分によってもたらされる水酸化物イオンの合計として計算され、SDA-1は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンであり、SDA-2は、CHA生成SDA、例えば、トリメチルアドマンジルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン又はトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムカチオンであり、SDA-3は、AFX生成SDA、例えば、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム、1,1-(ブタン-1,4-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1-(ペンタン-1,5-ジイル)ビス-(キヌクリジン-1-イウム)、1,1’-(1,4-ブタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)、1,1’-(1,5-ペンタンジイル)ビス(4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)である、組成物。
【請求項13】
請求項1~5のモレキュラーシーブを合成するための方法であって、
a.(i)少なくとも1つのアルミニウム供給源、(ii)少なくとも1つのケイ素供給源、(iii)少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類カチオン供給源、及び(iv)1つ以上の構造指向剤、を含む反応混合物を形成することと、
b.前記反応混合物を加熱することと、
c.本明細書に記載のように連晶及び前記構造指向剤を有するモレキュラーシーブ結晶を形成することと、
d.前記反応混合物から前記モレキュラーシーブ結晶の少なくとも一部を回収することと、を含む、方法。
【請求項14】
NO及び/又はNHを含有する燃焼排気ガスを、請求項6に記載の活性化H型のモレキュラーシーブと接触させて、NOの少なくとも一部を、N及びHOに選択的に還元し、かつ/又はNHの少なくとも一部を酸化することを含む、排気ガスを処理するための方法。
【請求項15】
NOを含有する燃焼排気ガスを、請求項6に記載の活性化H型のモレキュラーシーブを含む受動的NO吸収剤と接触させることを含む、排気ガスを処理するための方法。
【請求項16】
メタノールをオレフィン(MTO)に変換する方法であって、メタノールを、請求項6に記載の活性化H型のモレキュラーシーブと接触させることを含む、方法。

【国際調査報告】