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特表2022-525311側方送達可能な経カテーテル人工弁ならびにそれらを送達及び固定するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-12
(54)【発明の名称】側方送達可能な経カテーテル人工弁ならびにそれらを送達及び固定するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555207
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2020022828
(87)【国際公開番号】W WO2020186251
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】62/818,108
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/818,109
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/818,688
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/442,504
(32)【優先日】2019-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/438,434
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/445,210
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/818,742
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】521115063
【氏名又は名称】ブイダイン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィドルンド,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャンソン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】クラーマー,スコット
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097MM10
4C097SB02
(57)【要約】
側方送達可能な人工弁は、外側フレームと、外側フレーム内に装着された流れ制御構成要素と、外側フレームの遠位側に結合された固定要素と、を含む。人工弁は、長手方向軸に沿って折り畳み可能であり、送達カテーテルを介して側方送達するための圧縮構成に中心軸に沿って圧縮可能であり、送達カテーテルから解放されるときに、拡張構成に拡張可能である。固定要素の端部は、ガイドワイヤに係合するように構成されている。固定要素は、展開中に延在されて、固定要素が自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方を捕捉することを可能にし、ガイドワイヤが端部から係合解除されることに応答して、折り畳み構成に移行して、固定要素と外側フレームの遠位側との間に自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方を固定する。
【選択図】図25E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側方送達可能な人工心臓弁であって、前記人工弁が、
外側フレームであって、前記外側フレームの中心軸に沿って延在する中央チャネルに外接する外壁を有する、前記外側フレームと、
前記外側フレームの前記中央チャネル内に装着された流れ制御構成要素であって、前記流れ制御構成要素が、内側フレーム、及び前記内側フレームに結合された一組のリーフレットを有し、
前記人工弁が、送達カテーテルを介して送達するために、長手方向軸に沿って折り畳まれ、かつ圧縮構成で前記人工弁を載置するよう前記中心軸に沿って圧縮されるように構成され、前記長手方向軸は、前記人工弁が前記送達カテーテル内に配設されるときに、前記送達カテーテルの縦方向軸に実質的に平行であり、前記人工弁は、前記人工弁が前記送達カテーテルから解放されるときに、拡張構成に移行するように構成されている、前記流れ制御構成要素と、
前記外側フレームの前記外壁の遠位側に結合された第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有する遠位固定要素であって、前記第2の端部が、ガイドワイヤに選択的に係合するように構成され、かつ前記人工弁の展開中に前記ガイドワイヤに沿って前進するように構成され、前記遠位固定要素は、前記遠位固定要素が自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方を捕捉することができるように、展開中に延在構成にあり、かつ前記ガイドワイヤが前記第2の端部から係合解除されることに応答して、前記遠位固定要素は、前記自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方が前記遠位固定要素と前記外壁の前記遠位側との間に固定されることができる折り畳み構成に移行する、前記遠位固定要素と、を備える、前記人工心臓弁。
【請求項2】
前記遠位固定要素の前記第2の端部が、ガイドワイヤ結合器を含み、前記ガイドワイヤ結合器は、前記遠位固定要素が前記人工弁の展開中に前記ガイドワイヤに沿って前進することができるように、前記ガイドワイヤを通すように構成されている、請求項1に記載の人工弁。
【請求項3】
前記外壁の近位側に結合された近位固定要素をさらに備え、前記近位固定要素は、前記人工弁が自己弁の弁輪内に配設されるときに、前記人工弁の近位部分を近位弁輪下組織に固定するように構成されている、請求項1または2に記載の人工弁。
【請求項4】
前記外壁の前方側に結合された前方固定要素であって、前記前方固定要素は、係合部分であって、前記係合部分が前方自己リーフレットまたは前方脊索のうちの少なくとも一方に係合することを可能にするように、前記係合部分が前記中心軸の方向に延在する第1の構成と、前記係合部分が前記前方固定要素と前記外壁の前記前方側との間に、前記前方自己リーフレットまたは前記前方脊索を捕捉及び固定することを可能にするように、前記係合部分が少なくとも部分的に後退する第2の構成と、の間で移行するように構成された、前記係合部分、を含む、前記前方固定要素、をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の人工弁。
【請求項5】
前記前方固定要素が、スリーブを含み、前記係合部分が、前記スリーブ内に少なくとも部分的に配設され、かつ前記第1の構成にあるときに前記スリーブから延在し、前記係合部分が、前記前方固定要素と前記外壁の前記前方側との間に前記前方自己リーフレットまたは前記前方脊索を捕捉して固定するように前記第2の構成にあるときに、前記スリーブ中に少なくとも部分的に後退する、請求項4に記載の人工弁。
【請求項6】
前記前方固定要素の前記係合部分が、クリップである、請求項4または5に記載の人工弁。
【請求項7】
前記前方固定要素が、ワイヤであり、前記前方固定要素の前記係合部分が、前記ワイヤの再構成可能な部分である、請求項4または5に記載の人工弁。
【請求項8】
前記外壁の前方側に結合された第1の前方固定要素であって、前記第1の前方固定要素が、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成された第1の係合部分を含む、前記第1の前方固定要素と、
前記外壁の前記前方側に結合された第2の前方固定要素であって、前記第2の前方固定要素が、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成された第2の係合部分を含む、前記第2の前方固定要素と、をさらに備え、
前記第1の構成において、前記第1の係合部分及び前記第2の係合部分は、前記第1の係合部分及び前記第2の係合部分が前方自己リーフレットまたは前方脊索のうちの少なくとも一方に係合することを可能にするように、弁輪下の方向に延在し、
前記第2の構成において、前記第1の係合部分及び前記第2の係合部分は、前記第1の係合部分及び前記第2の係合部分が前記外壁の前記前方側と、前記第1及び第2の係合部分との間に、前記前方自己リーフレットまたは前記前方脊索を捕捉及び固定することを可能にするように、少なくとも部分的に後退する、請求項1~3のいずれか1項に記載の人工弁。
【請求項9】
前記外側フレームの前記外壁の心房縁端部分に結合された心房カラーをさらに備え、前記心房カラーは、前記人工弁が前記自己弁の前記弁輪内に配設されるときに、弁輪上組織に接触するように構成されている、先行請求項のいずれかに記載の人工弁。
【請求項10】
側方送達可能な人工心臓弁であって、前記人工弁が、
外側フレームであって、前記外側フレームの中心軸に沿って延在する中央チャネルに外接する外壁を有する、前記外側フレームと、
前記外側フレームの前記中央チャネル内に装着された流れ制御構成要素であって、前記流れ制御構成要素が、内側フレーム、及び前記内側フレームに結合された一組のリーフレットを有し、
前記人工弁が、送達カテーテルを介して送達するために、長手方向軸に沿って折り畳まれ、かつ圧縮構成で前記人工弁を載置するように前記中心軸に沿って圧縮されるように構成され、前記長手方向軸は、前記人工弁が前記送達カテーテル内に配設されるときに、前記送達カテーテルの縦方向軸に実質的に平行であり、前記人工弁は、前記人工弁が前記送達カテーテルから解放されるときに、拡張構成に移行するように構成されている、前記流れ制御構成要素と、
前記外側フレームの前記外壁の遠位側に結合された遠位固定要素であって、前記遠位固定要素が、ガイドワイヤに解放可能に結合され、前記遠位固定要素が、遠位自己リーフレットまたは遠位脊索のうちの少なくとも一方を捕捉するように延在構成にあるときに、前記前記ガイドワイヤに沿って前進するように構成され、前記遠位固定要素は、前記遠位固定要素が、前記遠位固定要素と前記外壁の前記遠位側との間に前記遠位自己リーフレットまたは前記遠位脊索を固定することを可能にするように前記ガイドワイヤから解放されるときに、折り畳み構成に移行する、前記遠位固定要素と、
前記外壁の前方側に結合された前方固定要素であって、前記前方固定要素は、係合部分であって、前記係合部分が前方自己リーフレットまたは前方脊索のうちの少なくとも一方に係合することを可能にするように、前記係合部分が前記中心軸の方向に延在する第1の構成と、前記係合部分が前記前方固定要素と前記外壁の前記前方側との間に、前記前方自己リーフレットまたは前記前方脊索を捕捉及び固定することを可能にするように、前記係合部分が少なくとも部分的に後退する第2の構成と、の間で移行するように構成された、前記係合部分、を含む、前記前方固定要素、を備える、前記人工心臓弁。
【請求項11】
前記遠位固定要素が、前記遠位固定要素の遠位端部に配設されたガイドワイヤ結合器を含み、前記ガイドワイヤ結合器は、前記遠位固定要素が前記人工弁の展開中に前記ガイドワイヤに沿って前進することができるように、前記ガイドワイヤを通すように構成されている、請求項10に記載の人工弁。
【請求項12】
前方固定要素が、前記ガイドワイヤに一時的に結合され、前記前方固定要素が、前記ガイドワイヤから解放されることに応答して、前記第1の構成から前記第2の構成に移行するように構成されている、請求項10または11に記載の人工弁。
【請求項13】
前記ガイドワイヤを解放することが、前記ガイドワイヤ結合器及び前記前方固定要素から前記ガイドワイヤを引き抜くことを含む、請求項12に記載の人工弁。
【請求項14】
前記外壁の近位側に結合された近位固定要素をさらに備え、前記近位固定要素は、前記人工弁が前記自己弁の弁輪内に配設されるときに、前記人工弁の近位部分を近位弁輪下組織に固定するように構成されている、先行請求項のいずれかに記載の人工弁。
【請求項15】
前記前方固定要素が、スリーブを含み、前記係合部分が、前記スリーブ内に少なくとも部分的に配設され、かつ前記第1の構成にあるときに前記スリーブから延在し、前記係合部分が、前記前方固定要素と前記外壁の前記前方側との間に前記前方自己リーフレットまたは前記前方脊索を捕捉して固定するように前記第2の構成にあるときに、前記スリーブ中に少なくとも部分的に後退する、先行請求項のいずれかに記載の人工弁。
【請求項16】
前記前方固定要素の前記係合部分が、クリップである、請求項15に記載の人工弁。
【請求項17】
前記前方固定要素が、ワイヤであり、前記前方固定要素の前記係合部分が、前記ワイヤの再構成可能な部分である、請求項10~14のいずれか1項に記載の人工弁。
【請求項18】
前記前方固定要素が、第1の前方固定要素であり、前記係合部分が、第1の係合部分であり、前記人工弁が、
前記外壁の前記前方側に結合された第2の前方固定要素であって、前記第2の前方固定要素は、第2の係合部分であって、前記第2の係合部分が前記前方自己リーフレットまたは前方脊索のうちの少なくとも一方に係合することを可能にするように、前記第2の係合部分が前記中心軸の方向に延在する第1の構成と、前記第2の係合部分が前記第2の前方固定要素、及び前記外壁の前記前方側との間に前記前方自己リーフレットまたは前記前方脊索を捕捉及び固定することを可能にするように、前記第2の係合部分が少なくとも部分的に後退する第2の構成と、の間で移行するように構成された、前記第2の係合部分、を含む、前記第2の前方固定要素、をさらに備える、先行請求項のいずれかに記載の人工弁。
【請求項19】
前記外側フレームの前記外壁の心房縁端部分に結合された心房カラーをさらに備え、前記心房カラーは、前記人工弁が前記自己弁の前記弁輪内に配設されるときに、弁輪上組織に接触するように構成されている、先行請求項のいずれかに記載の人工弁。
【請求項20】
側方送達可能な人工心臓弁を患者に展開するための方法であって、前記方法が、
自己弁の弁輪によって画定された平面を通って、かつ前記自己弁の自己リーフレットの後方で、ガイドワイヤを心房に前進させることと、
直交圧縮構成にある前記人工弁を、送達カテーテルの管腔を通って前記心房中に前進させることであって、前記人工弁は、前記人工弁が前記ガイドワイヤの一部分に沿って前進するように、前記ガイドワイヤに解放可能に結合された遠位固定要素を含む、前記前進させることと、
前記人工弁の少なくとも一部分が拡張構成に移行することを可能にするように、前記人工弁を前記送達カテーテルから解放することであって、前記遠位固定要素が、前記解放することの後に延在構成にある、前記解放することと、
前記遠位固定要素を前記自己リーフレットの後方の位置に載置し、かつ前記自己弁の前記弁輪内に前記人工弁を着座させるように、前記ガイドワイヤに沿って前記人工弁を前進させることと、
前記遠位固定要素が自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方を捕捉し、かつ前記遠位固定要素と前記人工弁の外壁との間に前記自己リーフレットまたは脊索を固定することを可能にする折り畳み位置に、前記遠位固定要素を解放するように、前記ガイドワイヤを引き抜くことと、を含む、前記方法。
【請求項21】
前記自己リーフレットが、後方リーフレットであり、前記人工弁が、前記ガイドワイヤに解放可能に結合された前方固定要素を含み、前記方法は、
前記前方固定要素の係合部分が前方自己リーフレットまたは前方脊索のうちの少なくとも一方を捕捉し、かつ前記前方固定要素と前記外壁との間に前記前方自己リーフレットまたは前方脊索を固定することを可能にする折り畳み位置に、前記前方固定要素を解放するように前記ガイドワイヤを引き抜くこと、をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記遠位固定要素が、前記遠位固定要素の遠位端部に配設されたガイドワイヤ結合器を含み、前記ガイドワイヤ結合器が、前記ガイドワイヤを通すように構成されている、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記人工弁を前記自己弁の前記弁輪内に着座させることと、
固定位置に、前記人工弁の近位固定要素を位置決めすることであって、前記近位固定要素が前記弁輪の近位側上の弁輪下組織に係合する、前記位置決めすることと、をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記自己リーフレットが、自己僧帽弁の後方リーフレットである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記遠位固定要素が、前記人工弁の経環部分の遠位側から延在し、前記送達カテーテルから前記人工弁を前記解放することが、前記人工弁の前記経環部分を解放することの前に、前記遠位固定要素を解放することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記遠位固定要素が、前記人工弁の経環部分から延在し、前記人工弁が、前記人工弁の前記経環部分の心房縁端部分に結合された心房カラーを含み、前記送達カテーテルから前記人工弁を前記解放することが、前記人工弁の前記経環部分を解放することの前に、前記遠位固定要素、及び前記心房カラーの少なくとも一部分を解放することを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月14日に出願された「Distal Anchoring Tab for Orthogonal Transcatheter Mitral Valve Prosthesis」と題する米国仮特許出願第62/818,108号に対する優先権及びその利益を主張する、2019年6月11日に出願された「Distal Subannular Anchoring Tab for Side-Delivered Transcatheter Mitral Valve Prosthesis」と題する米国特許出願第16/438,434号の継続出願であり、かつ、2019年3月14日に出願された「A2 Clip for Orthogonal Transcatheter Mitral Valve Prosthesis」と題する米国仮特許出願第62/818,109号に対する優先権及びその利益を主張する、2019年6月16日に出願された「A2 Clip for Side-Delivered Transcatheter Mitral Valve Prosthesis」と題する米国特許出願第16/442,504号の継続出願であり、かつ、2019年3月14日に出願された「Proximal,Distal,and Anterior Anchoring Tabs for Orthogonal Transcatheter Mitral Valve Prosthesis」と題する米国仮特許出願第62/818,688号に対する優先権及びその利益を主張する、2019年6月19日に出願された「Proximal,Distal,and Anterior Anchoring Tabs for Side-Delivered Transcatheter Mitral Valve Prosthesis」と題する米国特許出願第16/445,210号の継続出願であり、それらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願はまた、2019年3月14日に出願された「A1-P1 Targeting Guide Wire Delivery Systems for Orthogonal Transcatheter Mitral Valve Prosthesis」と題する米国仮特許出願第62/818,742号に対する優先権及びその利益をも主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載される実施形態は、概して、経カテーテル人工弁に関し、より具体的には、自己弁の弁輪内に人工弁を固定するための1つ以上の固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工弁、及びそれらを送達するための方法に関する。
【0004】
人工心臓弁は、心臓内での送達及び展開に課題をもたらし得、特に、外科的アプローチを介するのではなく、患者の血管系を介したカテーテルによる送達に課題をもたらし得る。従来の経カテーテル人工弁の送達は、一般に、弁を半径方向に圧縮することと、弁の中央弁輪軸が送達カテーテルの長手方向軸に対して平行であるように、弁を送達カテーテル内に装填することと、を含む。弁は、送達カテーテルの端部から展開され、中央弁輪軸から半径方向に外側に拡張される。しかしながら、従来の弁の拡張サイズ(例えば、直径)は、送達カテーテルの内径によって制限され得る。送達カテーテルのサイズを最小限に抑えるという競合する関心は、従来の弁の拡張される直径を増加させることに課題をもたらす(例えば、過剰な材料及び構造をあまりにも少ない空間に圧縮しようとする)。さらに、展開中の、従来の弁の配向は、弁を自己弁輪に整列させようとするときに、追加の課題が生じ得る。
【0005】
いくつかの経カテーテル人工弁は、従来の弁と比較して増加する拡張直径を有し得る側方送達及び/または直交送達のために構成され得る。例えば、側方及び/または直交送達において、弁及び/または弁フレームは、圧縮され、そして送達カテーテル内に装填され、このため、弁及び/または弁フレームの中央弁輪軸が、送達カテーテルの長手方向軸に対して実質的に直交し、これにより、弁が横方向に圧縮され、かつ長手方向に(例えば、送達カテーテルの長手方向軸に対して平行な方向に)拡張されるのを可能にすることができる。いくつかのそのような実装形態では、(i)送達中に受ける横方向の圧縮及び/または長手方向の延びに対応し、かつ(ii)内部に収容される人工弁リーフレットの最適な機能を可能にする実質的にシリンダの形状を有する、内部流れ制御構成要素を提供しながら、自己弁の弁輪(例えば、ヒト心臓の僧帽弁及び/または三尖弁)のサイズ及び/または形状に対応するサイズ及び/または形状を有する外側部分または弁フレームを提供することがさらに望ましい。従来の、及び/または直交送達される経カテーテル人工弁を用いて、弁の圧縮サイズを実質的に増大させることなく、自己弁輪内に弁を固定する1つ以上の方法を提供することもまた望ましい。
【0006】
したがって、自己弁の弁輪内に人工弁を固定するための1つ以上の固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工弁、及びそのような人工弁を送達する方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載される実施形態は、自己弁の弁輪内に人工弁を固定するための1つ以上の固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工弁、及びそれらを送達するための方法を対象とする。いくつかの実施形態では、側方送達可能な人工心臓弁は、中心軸に沿って延在する中央チャネルに外接する外壁、及び中央チャネル内に装着された流れ制御構成要素を有する外側フレームを含む。この流れ制御構成要素は、内側フレーム、及びその内側フレームに結合された一組のリーフレットを含む。この人工弁は、送達カテーテルを介して送達するための圧縮構成で人工弁を載置するように、長手方向軸に沿って折り畳み可能であり、中心軸に沿って圧縮可能である。長手方向軸は、人工弁が送達カテーテル内に配設されるときに、送達カテーテルの縦方向軸に対して実質的に平行である。人工弁は、その人工弁が送達カテーテルから解放されるときに、拡張構成に移行するように構成される。人工弁は、外側フレームの外壁の遠位側に結合された第1の端部と、その第1の端部の反対側の第2の端部を有する遠位固定要素をさらに含む。この第2の端部は、ガイドワイヤに選択的に係合するように構成されて、遠位固定要素が人工弁の展開中にガイドワイヤに沿って前進することを可能にする。遠位固定要素は、展開中には延在構成にあり、これにより、遠位固定要素が自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方を捕捉することが可能になる。ガイドワイヤが第2の端部から係合解除されることに応答して、遠位固定要素は、自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方が遠位固定要素と外壁の遠位側との間に固定される折り畳み構成に移行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】一実施形態による側方送達経カテーテル人工心臓弁(本明細書では、「人工弁」とも呼ばれる)の正面概略図であり、拡張構成で示される。
図1B】一実施形態による側方送達経カテーテル人工心臓弁(本明細書では、「人工弁」とも呼ばれる)の正面概略図であり、圧縮構成で示される。
図1C図1Aの人工弁の上面概略図であり、拡張構成で示される。
図1D図1Bの人工弁の上面概略図であり、圧縮構成で示される。
図1E】自己心臓弁の弁輪内に展開された図1A~1Dの人工弁の概略図である。
図2A】リーフレット領域A1-A2-A3及びP1-P2-P3のおおよその場所を示す自己僧帽弁の上面図の例示である。
図2B】一実施形態による、延在可能な遠位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、側面斜視図の例示である。
図2C】一実施形態による、延在可能な遠位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、分解組立図の例示である。
図3A】一実施形態による、延在可能な遠位固定要素及び前方固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、側面斜視図の例示である。
図3B】一実施形態による、延在可能な遠位固定要素及び前方固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、分解組立図の例示である。
図4A】一実施形態による、延在可能な遠位固定要素及び近位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、側面斜視図の例示である。
図4B】一実施形態による、延在可能な遠位固定要素及び近位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、分解組立図の例示である。
図5A】一実施形態による、延在可能な遠位固定要素、前方固定要素、及び近位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、側面斜視図の例示である。
図5B】一実施形態による、延在可能な遠位固定要素、前方固定要素、及び近位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、分解組立図の例示である。
図6A】一実施形態による、延在可能な遠位固定要素及び前方固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、側面斜視図の例示である。
図6B】一実施形態による、延在可能な遠位固定要素及び前方固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、分解組立図の例示である。
図7A】一実施形態による、自己組織を捕捉する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の遠位固定要素のプロセスを示す一連の例示である。
図7B】一実施形態による、自己組織を捕捉する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の遠位固定要素のプロセスを示す一連の例示である。
図7C】一実施形態による、自己組織を捕捉する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の遠位固定要素のプロセスを示す一連の例示である。
図7D】一実施形態による、自己組織を捕捉する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の遠位固定要素のプロセスを示す一連の例示である。
図7E】一実施形態による、自己組織を捕捉するために人工弁に巻き付けられた遠位固定要素を示す、図7A~7Dの側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の上面図の例示である。
図8】一実施形態による、多数の固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の上面図の例示である。
図9A】僧帽弁、三尖弁、大動脈弁、及び肺動脈弁の相対的な場所を示す、ヒト心臓の断面図の例示である。
図9B】一実施形態による、僧帽弁にアクセスするために右心房から左心房に横断する経中隔(経大腿/下大静脈(IVC)または上大静脈(SVC))送達カテーテルを有するヒト心臓の切取側面図の例示である。
図10】一実施形態による、IVCを通って自己弁の弁輪にアクセスし、自己A2リーフレットの下または周りに巻き付くガイドワイヤの、斜視図の例示である。
図11】一実施形態による、IVCを通って自己弁の弁輪にアクセスし、自己A2リーフレットの下または周りに巻き付くガイドワイヤの、側面斜視図の例示である。
図12】一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を、例えば、自己僧帽弁内に送達及び展開するプロセスの様々な例示である。
図13】一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を、例えば、自己僧帽弁内に送達及び展開するプロセスの様々な例示である。
図14】一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を、例えば、自己僧帽弁内に送達及び展開するプロセスの様々な例示である。
図15】一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を、例えば、自己僧帽弁内に送達及び展開するプロセスの様々な例示である。
図16】一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を、例えば、自己僧帽弁内に送達及び展開するプロセスの様々な例示である。
図17】A及びBは、一実施形態による、それぞれ、延在位置及び後退位置にある前方固定要素を有する自己弁輪(破線で示す)内で展開された側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の側面斜視図の例示である。
図18】A及びBは、一実施形態による、それぞれ、延在位置及び後退位置にある前方固定要素を有する自己弁輪(破線で示す)内で展開された側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の側面斜視図の例示である。
図19】A及びBは、一実施形態による、それぞれ、延在位置及び後退位置にある前方固定要素を有する自己弁輪(破線で示す)内で展開された側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の側面斜視図の例示である。
図20】一実施形態による、弁本体から延在する遠位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、側面図の例示である。
図21】一実施形態による、弁本体から延在する遠位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の、上面図の例示である。
図22】圧縮構成にあり、送達カテーテル内に配設された、図20の人工弁の例示である。
図23】部分的に拡張構成にあり、送達カテーテルから部分的に解放された、図20の人工弁の例示である。
図24】一実施形態による、ヒト心臓の切取側面図の例示であり、自己弁内に展開された側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を示す。
図25A図25A~25Eは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を圧縮構成で載置すること、送達カテーテルを介して圧縮された人工弁を送達すること、及び自己弁内に展開するために送達カテーテルから人工弁を部分的に解放することに関するプロセスの様々な図を例示する。
図25B図25A~25Eは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を圧縮構成で載置すること、送達カテーテルを介して圧縮された人工弁を送達すること、及び自己弁内に展開するために送達カテーテルから人工弁を部分的に解放することに関するプロセスの様々な図を例示する。
図25C図25A~25Eは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を圧縮構成で載置すること、送達カテーテルを介して圧縮された人工弁を送達すること、及び自己弁内に展開するために送達カテーテルから人工弁を部分的に解放することに関するプロセスの様々な図を例示する。
図25D図25A~25Eは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を圧縮構成で載置すること、送達カテーテルを介して圧縮された人工弁を送達すること、及び自己弁内に展開するために送達カテーテルから人工弁を部分的に解放することに関するプロセスの様々な図を例示する。
図25E図25A~25Eは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を圧縮構成で載置すること、送達カテーテルを介して圧縮された人工弁を送達すること、及び自己弁内に展開するために送達カテーテルから人工弁を部分的に解放することに関するプロセスの様々な図を例示する。
図26】A~Cは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を圧縮構成で載置すること、及び圧縮された人工弁を送達カテーテル内に装填することに関するプロセスの様々な図を例示する。
図27】A~Cは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を圧縮構成で載置すること、及び圧縮された人工弁を送達カテーテル内に装填することに関するプロセスの様々な図を例示する。
図28】A~Cは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を圧縮構成で載置すること、及び圧縮された人工弁を送達カテーテル内に装填することに関するプロセスの様々な図を例示する。
図29】A~Cは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を圧縮構成で載置すること、及び圧縮された人工弁を送達カテーテル内に装填することに関するプロセスの様々な図を例示する。
図30】一実施形態による人工弁内に収容される流れ制御構成要素の内側フレームの上面斜視図の例示である。
図31図30の内側フレームの様々な図について例示し、部分的折り畳み構成で示される。
図32図30の内側フレームの様々な図について例示し、折り畳み構成で示される。
図33図30の内側フレームの様々な図について例示し、折り畳み及び圧縮構成で示される。
図34】一実施形態による、人工弁内に収容され、シリンダ構成になる前の線状ワイヤフレームシートとして示される流れ制御構成要素の内側フレームの側面図の例示である。
図35図34の内側フレームの側面斜視図の例示であり、シリンダ構成で示される。
図36】心膜組織の構造バンド内に縫い付けられ、線状構成で示されるリーフレットポケットを有する内部流れ制御構成要素のリーフレットバンドの側面図の例示である。
図37図36のリーフレットバンドの底面図の例示であり、線状構成で示される。
図38図36及び37のリーフレットバンドの側面斜視図の例示であり、図35の内側フレームに結合するのに好適なシリンダ構成で示される。
図39】構造バンド内に縫い付けられた単一のリーフレットポケットを示す、図36のリーフレットバンドの一部分の側面斜視図の例示である。
図40】シリンダ構成にある、図36~39のリーフレットバンドの底面図の例示であり、部分的に閉鎖された流体シールを形成するための、リーフレットの部分接合を示す。
図41】A~Dは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を、送達のための圧縮構成に移行させるプロセスを示す様々な図を例示する。
図42】A~Cは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を、送達のための圧縮構成に移行させるプロセスを示す様々な図を例示する。
図43】A~Cは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を、送達のための圧縮構成に移行させるプロセスを示す様々な図を例示する。
図44】Aは、一実施形態による、送達カテーテル内に圧縮構成及び配設された状態の側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の上面図の例示である。Bは、送達カテーテルから部分的に解放された、図44Aの人工心臓弁の上面斜視図の例示である。
図45】一実施形態による、僧帽弁にアクセスするために右心房から左心房に横断する経中隔送達カテーテルを伴うヒト心臓の切取側面図の例示である。一実施形態による、僧帽弁にアクセスするために右心房から左心房に横断する経中隔(経大腿/IVCまたはSVC)送達カテーテルを有するヒト心臓の側面図の例示である。
図46】一実施形態による、自己組織を捕捉するための、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の遠位固定要素を使用するプロセスを示す例示である。
図47】一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を展開するプロセスの側面斜視図を例示する。
図48】一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を展開するプロセスの側面斜視図を例示する。
図49】一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を展開するプロセスの側面斜視図を例示する。
図50】A~Dは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁内に収容され、それぞれ、第1の構成、第2の構成、第3の構成、及び第4の構成で示される前方固定要素の様々な図を例示する。
図51】A~Hは、各々が異なる実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の一部分を自己組織に固定するための様々なアンカーの側面斜視図を例示する。
図52】一実施形態による、複数の前方固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の側面斜視図の例示である。
図53】一実施形態による、複数の前方固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の側面斜視図の例示である。
図54】一実施形態による、勾配剛性を有する遠位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の側面斜視図の例示である。
図55】Aは、一実施形態による、遠位固定要素及び近位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の側面斜視図の例示である。Bは、自己弁の弁輪内に展開された、図55Aの人工心臓弁の側面斜視図の例示である。
図56】Aは、一実施形態による、遠位固定要素及び近位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の側面斜視図の例示である。Bは、自己弁の弁輪内に展開された、図56Aの人工心臓弁の側面斜視図の例示である。
図57】Aは、一実施形態による、遠位固定要素及び近位固定要素を有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の側面斜視図の例示である。Bは、自己弁の弁輪内に展開された、図57Aの人工心臓弁の側面斜視図の例示である。
図58】Aは、一実施形態による、例えば、自己弁のA1-P1標的領域へのアクセスを提供するガイドワイヤ送達カテーテルの例示である。Bは、図58Aのガイドワイヤ送達カテーテルの一部分の拡大図の例示である。
図59】一実施形態による、送達カテーテルの端部の周りに配設された、周辺を取り巻くバルーンの例示である。
図60】一実施形態による、送達システム内に収容され、かつガイドワイヤを、例えば、自己弁のA1-P1標的領域に送達するための側方ポートを有するシースの遠位端部の側面図の例示である。
図61】自己組織に係合し、かつ側方ポートがガイドワイヤを送達することを可能にする、図60のシースの断面図の例示である。
図62】一実施形態による、自己弁の弁輪内に人工心臓弁を固定するように構成された中隔テザーを有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の側面斜視図の例示である。
図63】一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の断面図の例示であり、自己弁の弁輪内に固定される。
図64】一実施形態による、自己組織の空いている壁に固定するための鍵様の特徴及び/または組織把持特徴を備えるドッキングレセプタクルを有する送達システムの一部分の側面図の例示である。
図65】空いている壁に固定されるように示された、図64の組織把持特徴の少なくとも一部分の拡大図の例示である。
図66】一実施形態による、自己弁の弁輪内に側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を展開する方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
開示される実施形態は、経カテーテル人工心臓弁及び/またはその構成要素、ならびに経カテーテル人工弁及び/またはその構成要素を製造、装填、送達、及び/または展開する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、側方送達可能な人工心臓弁は、中心軸に沿って延在する中央チャネルに外接する外壁、及び中央チャネル内に装着された流れ制御構成要素を有する外側フレームを含む。この流れ制御構成要素は、内側フレーム、及びその内側フレームに結合された一組のリーフレットを含む。この人工弁は、送達カテーテルを介して送達するための圧縮構成で人工弁を載置するように、長手方向軸に沿って折り畳み可能であり、中心軸に沿って圧縮可能である。長手方向軸は、人工弁が送達カテーテル内に配設されるときに、送達カテーテルの縦方向軸に対して実質的に平行である。人工弁は、その人工弁が送達カテーテルから解放されるときに、拡張構成に移行するように構成される。人工弁は、外側フレームの外壁の遠位側に結合された第1の端部と、その第1の端部の反対側の第2の端部を有する遠位固定要素をさらに含む。この第2の端部は、ガイドワイヤに選択的に係合するように構成されて、遠位固定要素が人工弁の展開中にガイドワイヤに沿って前進することを可能にする。遠位固定要素は、展開中には延在構成にあり、これにより、遠位固定要素が自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方を捕捉することが可能になる。ガイドワイヤが第2の端部から係合解除されることに応答して、遠位固定要素は、自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方が遠位固定要素と外壁の遠位側との間に固定される折り畳み構成に移行する。
【0010】
いくつかの実施形態では、側方送達可能な人工心臓弁は、中心軸に沿って延在する中央チャネルに外接する外壁、及び中央チャネル内に装着された流れ制御構成要素を有する外側フレームを含む。この流れ制御構成要素は、内側フレーム、及びその内側フレームに結合された一組のリーフレットを含む。この人工弁は、送達カテーテルを介して送達するための圧縮構成で人工弁を載置するように、長手方向軸に沿って折り畳み可能であり、中心軸に沿って圧縮可能である。長手方向軸は、人工弁が送達カテーテル内に配設されるときに、送達カテーテルの縦方向軸に対して実質的に平行である。人工弁は、その人工弁が送達カテーテルから解放されるときに、拡張構成に移行するように構成される。人工弁は、外側フレームの外壁の遠位側に結合された遠位固定要素と、外壁の前方側に結合された前方固定要素と、をさらに含む。遠位固定要素は、ガイドワイヤに解放可能に結合され、遠位自己リーフレットまたは遠位脊索のうちの少なくとも一方を捕捉するように延在構成にあるときに、ガイドワイヤに沿って前進するように構成されている。遠位固定要素は、ガイドワイヤから解放されたときに、折り畳み構成に移行して、遠位固定要素と外壁の遠位側との間に遠位自己リーフレットまたは遠位脊索を固定する。前方固定要素は、スリーブと、そのスリーブ内に少なくとも部分的に配設された前方クリップを含む。この前方クリップは、その前方クリップが中心軸の方向にスリーブから延在して、その前方クリップが前方自己リーフレットまたは前方脊索のうちの少なくとも一方を捕捉することを可能にする第1の構成と、その前方クリップがスリーブ中に少なくとも部分的に後退して、前方クリップと、外壁の前方側との間に前方自己リーフレットまたは前方脊索を固定する第2の構成と、の間を移行することができる。
【0011】
本明細書に記載される人工心臓弁のいずれも、比較的小さいプロファイルであり、側方送達可能で、移植可能な人工心臓弁であり得る。この人工心臓弁のいずれも、送達カテーテルを介して心臓内に送達されるように構成された経カテーテル人工心臓弁であり得る。人工心臓弁は、少なくとも、弁輪外側弁フレームと、その弁フレーム内に装着された内部流れ制御構成要素(例えば、2リーフレットまたは3リーフレット弁、スリーブなど)と、を有し得る。加えて、人工心臓弁は、弁を自己弁の弁輪内に固定するように構成された単一の固定要素または複数の固定要素を含み得る。
【0012】
本明細書に記載の人工心臓弁のうちのいずれも、拡張構成と圧縮構成との間を移行するように構成され得る。例えば、本明細書に記載の実施形態のいずれも、バルーン膨張人工心臓弁、自己拡張人工心臓弁などであり得る。
【0013】
本明細書に記載される人工心臓弁のいずれも、流れ制御構成要素の中心軸に対して長さ方向または直交方向に、圧縮構成へ圧縮可能であり得、これにより、例えば、24~36Fr送達カテーテルを使用し、急性アプローチ角度で送達カテーテルから送達及び展開することなく、(例えば、約5~60mmの高さ及び約20~80mmの直径を有する)大直径の弁を、下大静脈から、自己僧帽弁または三尖弁の弁輪内に直接送達及び展開することを可能にし得る。
【0014】
本明細書に記載される人工心臓弁のいずれも、弁を通る血流方向に対して同軸方向か、または少なくとも実質的に平行である中心軸を有し得る。いくつかの実施形態において、弁の圧縮構成は、血流方向に直交する。いくつかの実施形態において、弁の圧縮構成は、血流方向に対して平行であるか、または整列されている。ある実施形態では、弁は、血流方向に対して直交し(例えば、横方向に)、かつ血流に対して平行である(例えば、軸方向に)2つの方向において圧縮構成に圧縮され得る。いくつかの実施形態において、圧縮構成及び/または拡張構成にあるときに、長軸または長手方向軸は、最初の方向に対して45~135度の交差角度で配向する。
【0015】
本明細書に記載される人工心臓弁のいずれも、外側支持フレームを含むことができ、その外側支持フレームは、中心軸に対して実質的に直交する配向及びセル幾何形状を有する一組の圧縮可能なワイヤセルを含み、外側支持フレームが圧縮構成、圧延圧縮構成、または折り畳み圧縮構成にあるときに、ワイヤセル歪みを最小限に抑え得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、外側支持フレームは、下部本体部分及び上部カラー部分を有する。下部本体部分は、外側支持フレームが拡張構成にあるときに、漏斗、シリンダ、扁平円錐、または円形双曲面などの形状を形成する。いくつかの実施形態において、外側支持フレームは、ワイヤ、編組みワイヤ、またはレーザ切断ワイヤフレームから形成され、生体適合性材料で覆われる。この生体適合性材料は、内面が心膜組織で覆われ、外面が織物合成ポリエステル材料で覆われ、及び/または内面が心膜組織で覆われ、しかも外面が織物合成ポリエステル材料で覆われるように、被覆され得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、外側支持フレームは、40~80mmの外径R、20~60mmの内径r、及び5~60mmの高さを有する扁平円錐形状の側面プロファイルを有する。いくつかの実施形態において、弁輪支持フレームは、40~80mmの上部直径R1、50~70mmの底部直径R2、20~60mmの内径r、及び5~60mmの高さを有する砂時計形状の側面プロファイルを有する。
【0018】
本明細書に記載される人工心臓弁のいずれも、弁フレームの側壁から延在する1つ以上の固定要素を含み得る。例えば、人工心臓弁のいずれも、遠位固定要素を含み得、その遠位固定要素は、例えば、右心室流出管(「RVOT」)タブまたは左心室流出管(「LVOT」)タブとして使用され得る。本明細書に記載される弁のいずれもまた、弁フレームの近位側から延在する固定要素も含み得、その固定要素を使用して、例えば、弁を近位弁輪下空間に固定することができる。本明細書に記載される弁のいずれもまた、弁フレームの前方側または後方側からそれぞれ延在される前方固定要素または後方固定要素も含むことができる。これらの固定要素は、管状フレームから約10~40mm離れて延在するワイヤループもしくはワイヤフレーム、一体化されたフレーム部分、及び/またはステントを含み得、及び/またはそれらで形成され得る。
【0019】
本明細書に記載の人工心臓弁のいずれも、(i)管状フレームの遠位上端に取り付けられた上部固定要素であって、管状フレームから約2~20mm離れて延びるワイヤループまたはワイヤフレームを含み得るか、またはそれから形成され得る、上部固定要素と、(ii)管状フレームの遠位側から延びる下部固定要素(例えば、RVOTタブとして使用される)であって、管状フレームから約10~40mm離れて延びるワイヤループまたはワイヤフレームを含み得、及び/またはそれから形成され得る、下部固定要素と、を含み得る。
【0020】
本明細書に記載の人工心臓弁のいずれも、右心室のRVOTの中に位置決めされるように構成された遠位下部固定要素と、右心室の弁輪下組織と接触する、及び/またはそれに隣接する弁輪下位置に位置決めされるように構成された近位下部固定要素と、を含み得る。経カテーテル人工心臓弁はまた、右心房の弁輪上組織と接触するか、及び/またはそれに隣接する弁輪上位置内に位置決めされるように構成された遠位上部固定要素も含み得る。遠位上部固定要素は、右心室の方向に弁輪上下向きの力を提供することができ、遠位及び近位下部固定要素は、右心房の方向に弁輪下上向きの力を提供することができる。
【0021】
本明細書に記載される人工心臓弁のいずれも、上部に装着された2~4つの可撓性リーフレットを備えるリーフレットフレームを有する内部流れ制御構成要素を含み得る。この2~4つのリーフレットは、流れ制御構成要素の流入端部を通る第1の方向への血流を可能にし、流れ制御構成要素の流出端部を通る、第1の方向とは反対の第2の方向への血流を遮断するように構成される。リーフレットフレームは、例えば、ニチノールなどの熱設定形状記憶合金材料で作製された菱形または瞳形に成形されたワイヤセルの2つ以上のパネルを含み得る。リーフレットフレームは、丸みのあるまたはシリンダ構成から扁平シリンダ構成に、z軸(例えば、長手方向軸)に沿って折り畳み可能であり、また圧縮構成に、垂直なy軸(例えば、中心軸)に沿って圧縮可能であるように構成され得る。いくつかの実装形態では、リーフレットフレームは、一対のヒンジ部分、折り畳み部分、接続点等を含み得、これらにより、リーフレットフレームが垂直なy軸に沿って圧縮される前に、リーフレットフレームがz軸に沿って扁平に折り畳まれることが可能になり得る。内側フレームは、例えば、2つ以上の一体成形ヒンジ(例えば、応力集中ライザー、及び/または内側フレームの弾性/非恒久的変形を可能にするように構成された任意の好適な構造)を有する単一部品構造とすることができる。他の実装形態では、内側フレームは、ヒンジ部分が二次的な取り付け方法(例えば、縫合、布地、成形ポリマー構成要素等)を使用して形成される2つの部品構造であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、拡張構成での内部流れ制御構成要素は、漏斗、シリンダ、扁平円錐、または円形双曲面などの形状を形成する。いくつかの実施形態において、内部流れ制御構成要素は、20~60mmの外径R、10~50mmの内径rを有する扁平円錐形状の側面プロファイルを有するリーフレットフレームを有し、ここで、直径Rは、直径rよりも大きく、高さは、5~60mmである。いくつかの実施形態において、リーフレットフレームは、ワイヤ、編組みワイヤ、またはレーザ切断ワイヤからなる。いくつかの実施形態において、リーフレットフレームは、その中に一体化されるか、またはその上に装着され、剛性または半剛性の支柱、剛性または半剛性のリブ、剛性または半剛性のバトン、剛性または半剛性のパネル、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の長手方向の支持部を有することができる。
【0023】
本明細書に記載される人工心臓弁のいずれも、及び/またはそれらの任意の構成要素、特徴、及び/または態様は、2019年9月19日に出願された「Transcatheter Deliverable Prosthetic Heart Valves and Method of Delivery」と題する国際特許出願第PCT/US2019/051957号(本明細書では、「‘957PCT」と称される)、2019年12月18日に出願された「Transcatheter Deliverable Prosthetic Heart Valves and Methods of Delivery」と題する国際特許出願第PCT/US2019/067010号(本明細書では、「‘010PCT」と称される)、及び/または2020年1月27日に出願された「Collapsible Inner Flow Control Component for Side-Deliverable Transcatheter Heart Valve Prosthesis」と題する国際特許出願第PCT/US2020/015231号(本明細書では、「‘231PCT」と称される)に記載された人工心臓弁(またはそれらの構成要素、特徴、及び/または態様)と同様であり得、及び/または実質的に同じであり得、上記の参考文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
いくつかの実装形態において、人工弁は、例えば、自己僧帽弁の弁輪内での展開のために構成され得る。側方送達可能な経カテーテル僧帽弁置換部の使用により、特大の直径のカテーテルを必要とすることなく、また鋭角な角度のアプローチでのカテーテルからの送達及び展開を必要とすることなく、比較的大きな直径の弁が、下大静脈から経中隔的に僧帽弁内に送達及び展開されることが可能になる。
【0025】
いくつかの実施形態において、人工僧帽弁は、自己弁の弁輪内に人工弁を固定するように構成された1つ以上の固定要素を含み得る。例えば、本明細書に記載されるような人工僧帽弁は、遠位固定要素、近位固定要素、及び1つ以上の前方または後方固定要素(例えば、前方A1、A2、もしくはA3固定要素、及び/または後方PI、P2、もしくはP3固定要素)を含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、人工僧帽弁は、遠位固定タブを含み、この遠位固定タブは、(i)自己僧帽弁リーフレット及び/または脊索組織を捕捉するために、ガイドワイヤを使用して後方リーフレット及び/または脊索の周りに延在され、また(ii)ガイドワイヤが引き抜かれたときに短縮して、弁の側壁に対して自己組織をピン留めすることを許容される。いくつかの実施形態において、弁は、自己僧帽弁のA3-P3(近位)交連領域に展開されるタブまたはループを使用して、弁の近位側を固定するように構成された近位固定要素をさらに含む。いくつかの実施形態において、弁は、A2クリップをさらに含み、このクリップは、同様に、(例えば、ガイドワイヤまたは自己作動を介して)延在または折り畳み解除するように構成されて、自己僧帽弁のリーフレット及び/または脊索組織を捕捉し、また、ガイドワイヤの引き抜きのときに、及び/または、ないしA2クリップを後退させるかまたは再度折り畳むときに、弁の側壁に対して自己組織をピン留めする。いくつかの実施形態において、A2クリップは、編組みポリエチレン、処理済み心膜組織、ePTFE、またはニチノールで形成され得、1つ以上の放射線不透過性マーカーを有し得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、側方送達可能な人工心臓弁を送達するための送達システムは、ガイドワイヤを、自己僧帽弁のA1-P1交連に直接送達することができるカテーテルを含み得る。いくつかの実装形態では、A1-P1交連領域を標的にすることにより、本明細書に記載されるような側方送達可能な弁が、弁の展開を達成させるために、送達カテーテルを介して、標的領域に向けられることを可能にすることができる。
【0028】
本明細書に記載される送達システムのいずれも、弁送達カテーテルとは独立して使用され得るガイドワイヤカテーテルを含み得る。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤカテーテルは、カスタム形状を有し、この形状は、ガイドワイヤカテーテルの遠位先端を、後方自己リーフレットの後方に向いているA1/P1交連につなぐ。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤカテーテルは、弁送達カテーテルの挿入前に使用され得、または弁を装填する前に弁送達カテーテルに通され得、主管腔と連通する側方ポートを通って、主管腔を通って真っ直ぐに退出することができる。ガイドワイヤが載置された後、ガイドワイヤカテーテルは、患者から取り外すことができる。
【0029】
本明細書に記載される送達システムのいずれも、側方送達可能な人工心臓弁のための送達カテーテルを含み得、その送達カテーテルは、外側近位端部、外側遠位端部、及び外側シャフト管腔を有する外側シャフトを含み得、外側遠位端部は、その上に装着された非外傷性のボールで閉じられる。外側シャフト管腔は、側方送達される経カテーテル人工心臓弁(例えば、人工三尖弁及び/または人工僧帽弁)がその外側シャフト管腔を通って通過するためにサイズ設計された8~10mmの内径を有する。
【0030】
本明細書に記載される人工心臓弁を製造するためのいずれの方法も、添加もしくは減算金属または金属合金製造を使用して、中央チャネルと、中心垂直軸に外接する外側の外壁と、を有する自己拡張外側支持フレームを生成することを含み得る。折り畳み式流れ制御構成要素が、外側支持フレーム内に装着され、弁の流入端部を通る第1の方向への血流を可能にし、弁の流出端部を通る、第1の方向とは反対の第2の方向への血流を遮断するように構成される。流れ制御構成要素は、2~4つの可撓性リーフレットが装着されたリーフレットフレームを有する。このリーフレットフレームは、添加もしくは減算金属または金属合金製造を使用して、形成され得る。添加金属または金属合金製造は、3D印刷、直接金属レーザ焼結(粉末溶融)などであり得る。減算金属または金属合金製造は、フォトリソグラフィ、レーザ焼結/切断、CNC加工、電気放電加工などである。いくつかの実施形態において、製造プロセスは、外側支持フレーム内に流れ制御構成要素を装着することと、心膜材料または同様の生体適合性材料で外側支持フレームの外面を覆うことと、をさらに含み得る。
【0031】
本明細書に記載される人工心臓弁を送達するためのいずれの方法も、(i)弁を中心垂直軸に沿って圧縮して、上部から底部までの弁の垂直寸法を低減し、弁を圧縮構成で載置すること、(ii)弁を弁輪支持フレームの一方の側から圧縮構成に一方的に転がすこと、(iii)弁を弁輪支持フレームの2つの対向する側から圧縮構成に双方に圧延すること、(iv)弁を、長軸に対して実質的に平行である2つの平行パネルに扁平化すること、(v)弁を、長軸に対して実質的に平行である2つの平行パネルに扁平化し、次いで扁平化された弁を圧縮構成に圧延すること、または(vi)弁を、長軸に対して実質的に平行である2つの平行パネルに扁平化し、次いで中心垂直軸に沿って弁を圧縮して、上部から底部までの弁の垂直寸法を低減し、弁を圧縮構成で載置すること、のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0032】
本明細書に記載の人工心臓弁を送達するためのいずれの方法も、(i)送達カテーテルを身体内の所望の位置に前進させることと、(ii)送達カテーテルから弁を解放することによって、人工心臓弁を身体内の所望の位置に送達することと、を含む、身体内の所望の位置への人工心臓弁の直交送達を含むことができる。弁は、送達カテーテル内にあるときに圧縮構成にあり、送達カテーテルから解放されるときに拡張構成に移行する。
【0033】
本明細書に記載される人工心臓弁を送達するためのいずれの方法も、(i)側壁、ドラムもしくはカラー、及び/または固定要素(例えば、遠位固定要素)に解放可能に接続された引っ張り部材(例えば、ワイヤまたはロッド)を使用して、弁を送達カテーテルから引っ張り出すことであって、送達カテーテルから離れて引っ張り部材を前進させることにより、圧縮された弁が送達カテーテルから引っ張り出される、引っ張り出すこと、または(ii)側壁、ドラムもしくはカラー、及び/または固定要素(例えば、遠位固定要素)に解放可能に接続された押し出し部材(例えば、ワイヤ、ロッド、カテーテル、送達部材等)を使用して、弁を送達カテーテルから押し出すことであって、送達カテーテルから外に押し出し部材を前進させることにより、圧縮された弁が送達カテーテルから押し出される、押し出すこと、によって、弁を送達カテーテルから解放することを含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、側方送達可能な人工心臓弁を患者に展開するための方法は、自己弁の弁輪によって画定される平面を通って、かつ自己弁の自己リーフレットの後方に、ガイドワイヤを心房に前進させることを含む。人工弁は、直交圧縮構成で、送達カテーテルの管腔を通って、心房に前進する。人工弁は、ガイドワイヤに解放可能に結合された遠位固定要素を含み、このため、人工弁は、ガイドワイヤの一部分に沿って前進する。人工弁は、送達カテーテルから解放されて、人工弁の少なくとも一部分が拡張構成に移行することを可能にし、その結果、遠位固定要素は、解放後に延在構成にある。人工弁は、ガイドワイヤに沿って前進して、(i)遠位固定要素を自己リーフレットの後方の位置に載置し、(ii)人工弁を自己弁の弁輪内に着座させる。ガイドワイヤが、引き抜かれて、遠位固定要素を折り畳み位置に解放し、遠位固定要素が自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方を捕捉し、遠位固定要素と人工弁の外壁との間に自己リーフレットまたは脊索を固定することを可能にする。
【0035】
本明細書に記載される人工心臓弁を送達及び/または展開するための方法のいずれも、(i)弁を送達カテーテルから部分的に解放して、部分的に解放された弁の周りの血流、及び流れ制御構成要素を通る血流を確立すること、(ii)弁への取り付けを維持しながら、弁を送達カテーテルから完全に解放して、流れ制御構成要素を通る血流を増加させ、かつ弁の周りの血流を減少させる状態に移行させること、(iii)弁を自己弁輪内の最終的な装着位置に展開させて、流れ制御構成要素を通る血流を完全にし、かつ弁の周りの血流を最小限にするか、または全く存在しない状態に移行させること、及び(iv)位置決めしたカテーテルを切り離して引き抜き、ワイヤもしくはロッド、及び/または送達カテーテルを引っ張るか、もしくは押し出すこと、によって、弁の展開中に血流を増加させながら、弁を送達カテーテルから解放することを含み得る。
【0036】
本明細書に記載される人工心臓弁を送達及び/または展開するためのいずれの方法も、弁またはその一部分を、自己組織に対して所望の位置に位置決めすることを含み得る。例えば、その方法は、心臓弁人工器官の遠位固定タブを左心室または右心室の心室流出管に位置決めすることを含み得る。いくつかの実施形態において、その方法は、上部遠位固定タブを弁輪上位置に位置決めすることをさらに含み得、そこでは、上部遠位固定タブは、弁輪上の下向きの力を心室の方向に与え、遠位固定タブ(例えば、下部遠位固定タブ)は、弁輪下の上向きの力を心房の方向に与える。いくつかの実施形態において、その方法は、弁の弁輪の平面に対して平行である軸に沿って、操縦可能なカテーテルを使用して、心臓弁人工器官を回転させることを含み得る。いくつかの実施形態において、その方法は、弁に取り付けられた1つ以上の組織アンカーを自己組織内に固定して、弁を所望の位置に固定することを含み得る。
【0037】
本明細書に記載される人工心臓弁を送達及び/または展開するためのいずれの方法も、ヒト心臓の自己弁輪への、人工心臓弁の直交送達を含み得、その直交送達には、(i)送達カテーテルを、大腿静脈を介して、下大静脈(IVC)を通って、心臓の三尖弁または肺動脈に前進させること、(ii)送達カテーテルを、頸静脈を介して、上大静脈(SVC)を通って、心臓の三尖弁または肺動脈に前進させること、または(iii)IVC-大腿またはSVC-頸部アプローチを介して、経心房のアプローチ(例えば、卵円窩または下部)を通って、心臓の僧帽弁に前進させること、及び(iv)弁を送達カテーテルから解放することによって、人工心臓弁を自己弁輪に送達及び/または展開すること、のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0038】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される人工心臓弁を自己僧帽弁に送達及び/または展開するための方法は、A1/P1交連での弁輪平面を通って、患者の僧帽弁の自己後方(例えば、P2)リーフレットの後方の位置に、ガイドワイヤを経中隔的に左心房に前進させることを含み得る。直交圧縮構成で弁を収容する送達カテーテルが、患者の左心房に送達カテーテルを前進し、弁の遠位固定タブが、ガイドワイヤ上にねじ込まれる。いくつかの実施形態において、A2クリップが、ガイドワイヤ上に、任意選択的にねじ込まれてもよい。弁は、送達カテーテルから解放され、遠位固定タブは、開放構成の状態にあり、解放中にガイドワイヤを追跡する。弁は、ガイドワイヤ上を前進して、遠位固定タブを自己後方リーフレットの後方の位置に移動させ、弁を自己弁輪内に着座させる。ガイドワイヤは、引き抜かれて、遠位固定タブを折り畳み位置に解放し、タブが自己リーフレット及び/または自己脊索を捕捉し、折り畳まれたタブと、弁の外側の外壁との間に自己リーフレット及び/または脊索を挟むことを可能にする。いくつかの実施形態において、その方法は、ガイドワイヤをA2クリップ解放位置に引き戻して、A2クリップを開放位置に解放することを任意選択的に含んでもよく、A2クリップが自己リーフレット及び/または自己脊索を捕捉し、A2クリップと、弁輪支持フレームの外壁との間に自己リーフレット及び/または脊索を挟むことを可能にし得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、その方法は、少なくとも部分的に、単一の固定屈曲カテーテル、単一の偏向可能カテーテル、内側固定屈曲カテーテルを有する外側固定屈曲カテーテル、内側偏向可能カテーテルを有する外側固定屈曲カテーテル、及び内側固定屈曲カテーテルを有する外側偏向可能カテーテルを介して、弁を送達及び/または展開することを含み得る。
【0040】
本明細書に記載される人工心臓弁及び/またはそれらの任意の部分を送達及び/または展開するためのいずれの方法も、‘957PCT、‘010PCT、及び/または‘231PCTに記載された人工心臓弁(またはそれらの部分(複数可))を送達及び/または展開するための1つ以上の方法と同様であるか、及び/または実質的に同じであり得る。
【0041】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、特許請求の範囲の全範囲を限定することが意図されるものではない。別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本開示におけるいかなるものも、本開示に記載される実施形態が、先行発明のためにそのような開示に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0042】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈により明らかに別様であると示されない限り、複数の形態も同様に含むことが意図される。本明細書の実質的にいかなる複数形及び/または単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/または用途に適切であるように、複数形から単数形に及び/または単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、明確にするために本明細書において明示的に記載され得る。
【0043】
概して、本明細書で、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、「オープン(open)」用語として意図される(例えば、「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきである等)。同様に、本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴、完全体(またはその部分)、ステップ、動作、要素、及び/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、完全体(またはその部分)、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。本文書で使用される場合、「含む」という用語は、「含むがこれらに限定されない」を意味する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「及び/または」という用語または「から選択される」という表現または「からなる群から選択される」という表現または「の1つ以上から選択される」という表現は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。2つ以上の代替用語を示す実質的にいかなる離接語及び/または表現も、明細書、特許請求の範囲、または図面におけるかどうかにかかわらず、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図するように理解されるべきであることを理解されたい。例えば、「AまたはB」という表現は、「A」または「B」または「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0045】
本明細書に開示されているすべての範囲はまた、明示的な別段の定めがない限り、ありとあらゆる可能な部分範囲、ならびにそれらの部分範囲の組み合わせも包含する。列挙された任意の範囲は、特に明記しない限り、同じ範囲が少なくとも等しい部分の一部に分類することを十分に表し、可能にするものとして認識されるべきである。当業者が理解するであろうように、範囲には各個々の成員が含まれる。
【0046】
「人工弁(valve prosthesis)」、「人工心臓弁」、及び/または「人工弁(prosthetic valve)」という用語は、フレームとリーフレットまたは流れ制御構造または構成要素との組み合わせを指し得、解剖学的部分の完全な置き換え(例えば、新たな機械的弁が自己弁を置き換える)、ならびに既存の解剖学的部分を置き換える及び/または補助する、修復させる、または改善する医療機器(例えば、自己弁が所定の位置に残される)の両方を包含し得る。
【0047】
開示される弁は、自己弁輪内に着座され得、リーフレット構造、流れ制御構成要素、または可撓性往復運動スリーブもしくはスリーブ弁の装着要素として使用され得る部材(例えば、フレーム)を含む。実施形態に応じて、そのようなリーフレット構造または流れ制御構成要素を含んでもよいし、または含まなくてもよい。かかる部材は、本明細書において、「弁輪支持フレーム」、「管状フレーム」、「ワイヤフレーム」、「弁フレーム」、「フランジ」、「カラー」、及び/または任意の他の同様の用語で呼ばれ得る。
【0048】
「流れ制御構成要素」という用語は、非限定的な意味で、人工心臓弁として機能するために、弁輪支持フレームに縫製または結合された、治療済みまたは未治療の心膜等の可撓性生体適合性材料の2、3、4枚のリーフレットを有するリーフレット構造を指すことができる。かかる弁は、心房から心室への拡張期に流れる血液に対して開放され、外側表面に印加される収縮期の心室圧力により閉じる、三尖弁、僧帽弁、大動脈弁、または肺動脈弁等の心臓弁であり得る。連続して繰り返される開閉は、「往復動」として説明され得る。流れ制御構成要素は、多種多様な(バイオ)人工心臓弁を含むことが想定される。バイオ人工心膜弁は、バイオ人工大動脈弁、バイオ人工僧帽弁、バイオ人工三尖弁、及びバイオ人工肺動脈弁を含み得る。
【0049】
開示された弁の実施形態のいずれも、経カテーテルアプローチによって送達され得る。「経カテーテル」という用語は、心腔(または身体内の他の所望の位置)に展開される、カテーテルの管腔内の医療デバイスまたは器具、ならびにそのようなプロセスによって送達または制御されたアイテムにアクセス、制御、及び/または送達するプロセスを定義するために使用される。経カテーテルアクセスは、大腿動脈及び/または静脈の管腔を介して、上腕動脈及び/または静脈の管腔を介して、頸動脈の管腔を介して、頸静脈の管腔を介して、肋間(肋骨)及び/または剣状突起下腔を介して、及び/または同様のものを介して心臓アクセスを含むことが知られている。さらに、経カテーテル心臓アクセスは、下大静脈(IVC)、上大静脈(SVC)を介することができ、及び/または経心房(例えば、卵円窩または下部)を介することができる。経カテーテルは、経管腔と同義であり得、これは心臓弁の送達に関して、「経皮的」という用語に機能的に関連している。本明細書で使用される場合、「管腔」という用語は、シリンダまたはチューブの内部を指し得る。「穿孔」という用語は、管腔の内径を指し得る。
【0050】
心臓アクセスのモードは、「身体チャネル」に少なくとも部分的に基づき得、「身体チャネル」は、身体内の血液導管または血管を画定するために使用されてもよく、人工弁の開示された実施形態の特定の用途によって、問題の身体チャネルが決定される。例えば、大動脈弁置換部は、大動脈弁輪内に、または大動脈弁輪に隣接して植え込まれる。同様に、三尖弁または僧帽弁置換物は、三尖弁または僧帽弁輪に移植される。ある特定の機構は、一方の移植部位または他方にとって特に有利である。しかしながら、組み合わせが構造的に不可能であるか、または請求項の文言によって除外されない限り、本明細書に記載される弁の実施形態はいずれも、任意の身体チャネルに移植され得る。
【0051】
「拡張可能な」という用語は、本明細書で使用される場合、第1の送達直径から第2の移植直径に拡張することができる心臓弁の構成要素を指し得る。したがって、拡張可能な構造は、温度の上昇または他のそのような付随的な原因からわずかな拡張を受ける可能性がある構造を意味するものではない。逆に、「拡張可能でない」は、例えば、従来の「拡張可能でない」心臓弁の多少の拡張が観察され得るため、完全に剛性または寸法的に安定していることを意味すると解釈されるべきではない。
【0052】
開示される弁の実施形態のうちのいずれも、従来の経カテーテル送達技術により、または直交送達技術により送達され得る。例えば、人工弁の従来の送達は、弁の中心シリンダ軸が送達カテーテルの長さ方向軸に対して実質的に平行であるようにすることができる。典型的には、弁は、中央シリンダ軸に対して半径方向に圧縮され、送達カテーテルの管腔を通って前進する。弁は、送達カテーテルの端から展開され、中央シリンダ軸から半径方向に外側に拡張される。
【0053】
本明細書で使用される場合、「側方送達される」、「側方送達」、「直交送達」、「直交送達される」などの用語は、そのような送達方法、及び/またはそのような方法を使用して送達される弁を説明するために、区別なく使用され得る。人工弁の側方または直交送達は、弁の中心シリンダ軸が送達カテーテルの長さ方向軸に実質的に直交するものであることができる。直交送達では、弁は、中心シリンダ軸に対して実質的に平行な方向及び/または中心シリンダ軸に対して横方向に圧縮される(またはそうでなければサイズが縮小される)。したがって、直交的に送達される弁の長軸(例えば、長手方向軸)は、送達カテーテルの長さ方向軸に対して実質的に平行である。換言すれば、直交送達される人工弁は、経カテーテル人工弁を圧縮及び送達する従来のプロセスと比較して、約90度の角度で圧縮及び/または送達される。さらに、直交送達されるように構成された人工弁及びそのような弁を送達するプロセスは、参照により本明細書に組み込まれる‘957PCT及び/または‘010PCTに詳細に記載されている。
【0054】
数学的には、「直交」という用語は、2つの線または平面間の90度の交差角を指す。本明細書で使用される場合、「実質的に直交する」という用語は、90度±好適な公差の交差角を指す。例えば、「実質的に直交する」は、75~105の範囲の交差角を指し得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「組織アンカー」という用語は、一般に、人工弁の外側フレームの一部分を自己弁輪組織、通常は、人工弁のカラーの周辺部またはその近辺に接続する締結デバイスを指す。この組織アンカーは、組織を貫通することを避け、かつ捕捉される組織上の2つの板状のカラーの圧縮力のみに頼るように位置決めされてもよく、もしくは組織アンカー(一体化された固定ワイヤの有無にかかわらず)が自己組織を貫通して固定することを提供してもよく、またはそれらの両方の組み合わせであってもよい。この組織アンカーは、尖った先端、溝、フランジ付き肩部、止め具、1つ以上の開口部などの固定機構を有し得る。いくつかの実施形態において、固定機構が、結節、縫合、ワイヤ圧着、ワイヤ止め、カム機構、またはそれらの組み合わせを含む、任意の取り付けまたは固定機構によって、外側フレームの一部分に取り付けまたは固定され得る。
【0056】
人工弁及び/またはそれらの構成要素のいずれも、任意の好適な生体適合性材料、または複数の材料の組み合わせから製造され得る。例えば、外側弁フレーム、内側弁フレーム(例えば、内部流れ制御構成要素の)、及び/またはそれらの構成要素は、生体適合性金属、金属合金、ポリマーコーティングされた金属などから製造され得る。好適な生体適合性金属及び/または金属合金としては、ステンレス鋼(例えば、316Lステンレス鋼)、コバルトクロム(Co-Cr)合金、ニッケル-チタン合金(例えば、ニチノール(登録商標))などが挙げられ得る。さらに、本明細書に記載される外側フレームまたは内側フレームのいずれも、ニッケルチタン合金(例えば、ニチノール(登録商標))などの超弾性合金または形状記憶合金から形成され得る。好適なポリマーコーティング材としては、ポリエチレンビニルアセテート(PEVA)、ポリブチルメタクリレート(PBMA)、トランスルートスチレンイソプレンブタジエン(SIBS)コポリマー、ポリ乳酸、ポリエステル、ポリラクチド、D-乳酸ポリ乳酸(DLPLA)、ポリ乳酸コグリコール酸(PLGA)などが挙げられ得る。いくつかのそのようなポリマーコーティング材は、例えば、シロリムス、ゾタロリムス、ビオリムス、ノボリムス、タクロリムス、パクリタキセル、プロブコールなどの薬剤に対して好適な担体マトリックスを形成し得る。
【0057】
いくつかの生体適合性合成材料(複数可)としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、テフロン)などが挙げられ得る。薄くて耐久性のある合成材料が想定される場合(例えば、被覆のために)、合成ポリマー材料であるそのような発泡PTFEまたはポリエステルなどが、任意選択的に使用され得る。他の好適な材料としては、任意選択的に、エラストマー、熱可塑性プラスチック、ポリウレタン、熱可塑性プラスチックポリカーボネートウレタン、ポリエーテルウレタン、セグメント化ポリエーテルウレタン、シリコーンポリエーテルウレタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、シリコーンポリカーボネートウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高密度ポリエチレン(UHDPE)、ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、他のフルオロポリマー、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)(例えば、ダクロン)、ポリL乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(D、Lラクチド/グリコリド)コポリマー(PDLA)、シリコーンポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、PTFE、伸展PTFE、発泡PTFE、シロキサンポリマー及び/またはオリゴマー、及び/またはポリラクトン、あるいは同じものを使用するブロックコポリマーが挙げられ得る。
【0058】
外側弁フレーム、内側弁フレーム(例えば、流れ制御構成要素の)、及び/またはそれらの部分もしくは構成要素のいずれも、心膜などの生体適合性材料を用いて、内部または外部に、部分的または完全に覆われ得る。弁フレームは、ポリエステルまたはDacron(登録商標)等の第2の生体適合性材料で部分的または完全に、任意選択的に外部に被覆され得る。開示される実施形態においては、組織、例えば、ウシ(ウシ心膜)、ヒツジ(ヒツジ心膜)、ブタ(ブタ心膜)、またはウマ(ウマ心膜)等の動物の化学的に安定化された心膜組織である生体組織が使用されてもよい。好ましくは、組織はウシ心膜組織である。好適な組織の例としては、製品Duraguard(登録商標)、Peri-Guard(登録商標)、及びVascu-Guard(登録商標)に使用されるものが挙げられ、これらは、現在外科処置に使用されており、概して30月齢未満の牛から採取されるものとして市販されている。
【0059】
本明細書の実施形態、及び/またはそれらの様々な特徴または有利な詳細については、添付の図面に示され、以下の説明で詳細が記載される非限定的な実施形態を参照してより完全に説明される。本明細書の実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知の構成要素及び処理技術の説明を省略する。本明細書で使用される実施例は、単に、本明細書の実施形態が実践され得る方法の理解を助け、当業者が本明細書の実施形態を実践することをさらに可能にすることを意図している。したがって、実施例は、本明細書の実施形態の範囲を制限すると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完璧かつ完全であり、当業者に本発明の概念の範囲を完全に伝達するように提供される。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0060】
図1A図1Eは、一実施形態による経カテーテル人工弁102の様々な概略図である。経カテーテル人工弁102は、(例えば、ヒト患者の)身体内の所望の位置に展開され、経カテーテル人工弁102の流入端を通る第1の方向の血流を可能にし、第1の方向とは反対の、経カテーテル人工弁102の流出端を通る第2の方向の血流を遮断するように構成されている。例えば、経カテーテル人工弁102は、自己弁の機能を補完及び/または置き換えるために、ヒト心臓の自己三尖弁または自己僧帽弁の弁輪内に展開されるように構成される経カテーテル人工心臓弁であり得る。
【0061】
経カテーテル人工弁102(本明細書において「人工弁」または単に「弁」とも称される)は、弁102の長軸111(本明細書において「水平軸」、「長手方向軸」または「長さ方向軸」とも称される)に対して少なくとも1つの方向で圧縮可能及び拡張可能である。弁102は、身体(例えば、ヒト心臓)内の所望の位置に移植するための拡張構成(図1A、1C、及びIE)と、送達カテーテル172を使用して身体内に導入するための圧縮構成(図1B及び1D)との間で圧縮可能及び拡張可能である。
【0062】
いくつかの実施形態において、弁102は、中心的または半径方向対称であり得る。他の実施形態において、弁102は、y軸または中心軸113に対して偏心し得、または半径方向に非対称であり得る。いくつかの偏心性の実施形態において、弁102(またはその外側フレーム)は、(上から見て)D字形を有し得るため、平坦な部分は、弁102が展開される解剖学的構造と一致することができる。例えば、いくつかの例において、弁102は、三尖弁輪内に展開され得、弁102が装着されている解剖学的構造によって決定される複雑な形状を有し得る。三尖弁輪において、三尖端弁の周囲は、丸みのある楕円形であってもよく、中隔壁は実質的に垂直であることが知られており、三尖弁は、前後のラインに沿って疾患状態で拡大することが知られている。他の例において、弁102は、僧帽弁輪(例えば、僧帽弁前尖の近く)に展開され得、弁102が取り付けられている解剖学的構造によって決定される複雑な形状を有し得る。例えば、僧帽弁輪において、僧帽弁の周囲は、丸みのある楕円形であり得、中隔壁は、実質的に垂直であることが知られており、僧帽弁は、疾患状態で拡大することが知られている。
【0063】
いくつかの実施形態において、弁102(及び/または少なくともその弁の一部分)は、おおむね管状構成で開始し得、加熱成形、及び/または、ないし任意の所望の形状に形成され得る。いくつかの実施形態において、弁102は、心房の封止のための上部心房カフまたはフランジと、砂時計断面を周囲の約60~80%にわたって有する下部経環部分(例えば、本体部分、管状部分、シリンダ部分等)と、を含み得、後方及び前方弁輪セグメントに沿って自己弁輪に一致させる一方で、弁輪周囲の20~40%に沿って実質的に垂直の扁平さを残しながら、中隔弁輪セグメントに一致させることができる。弁102は、所与の形状を有するものとして、図1A~1Eに示されているが、弁102(及び/またはその弁の少なくとも一部分)のサイズ及び/または形状は、自己組織の解剖学的構造のサイズ及び/または形状に基づき得ることを理解されたい。
【0064】
示されるように、弁102は、概して、弁輪支持フレーム110及び流れ制御構成要素150を含む。加えて、弁102、及び/または弁102の少なくとも弁輪支持フレーム110は、1つ以上の固定要素を任意選択的に含み得る。例えば、図1A~1Eに示す実施形態において、弁輪支持フレーム110は、少なくとも遠位固定要素132を含む。他の実施形態において、弁輪支持フレーム110は、近位固定要素134、前方固定要素135、及び/または任意の他の好適な固定要素(図1A~1Eには示さず)を任意選択的に含み得る。いくつかの実装形態では、遠位固定要素132、近位固定要素134、及び前方固定要素135は、下部固定要素であり得、弁102及び/または弁輪支持フレーム110は、1つ以上の上部固定要素(例えば、遠位上部固定要素、近位上部固定要素など(図示せず))を含み得る。いくつかの実装形態では、弁102及び/またはその態様もしくは部分は、上述の参照により本明細書に組み込まれる‘957PCT、‘010PCT、及び/または‘231PCTに詳細に記載された弁(及び/またはその対応する態様もしくは部分)と同様であり得、及び/またはそれと実質的に同じであり得る。したがって、弁102のある特定の態様、部分、及び/または詳細は、本明細書ではさらに詳細に説明されない場合がある。
【0065】
弁輪支持フレーム110(本明細書では、「管状フレーム」、「弁フレーム」、「ワイヤフレーム」、「外側フレーム」、または「フレーム」とも称される)は、中心軸113(例えば、y軸)に沿って延在する開口部または中央チャネル114を有するか、または画定し得る。中央チャネル114(例えば、中心軸方向の管腔またはチャネル)は、中央チャネル114の直径の一部分を横切って流れ制御構成要素150を受容するようにサイズ設計及び構成され得る。フレーム110は、弱化した自己弁輪に構造的開存性を提供するために、自己弁輪の内側面に対して引っ張られ得る自己弁輪組織に係合するための外周面を有し得る。
【0066】
フレーム110は、カフもしくはカラー(図示せず)、及び経環、本体、及び/または管状部分(図示せず)を含む。このカフまたはカラー(本明細書では、「カラー」と称される)は、フレーム110の上部縁端部に取り付けられ得、及び/またはそれを形成し得る。弁102がヒト心臓内で展開されるとき、カラーは、心房カラーであり得る。カラーは、自己展開場所に合致するように成形され得る。僧帽弁の置き換えにおいて、例えば、カラーは、自己弁、及び/または僧帽弁を取り囲む心房床の一部分に合致するための様々な部分を有し得る。いくつかの実施形態において、カラーは、遠位及び近位の上部カラー部分を有し得る。遠位カラー部分は、環状幾何学形状、円周上幾何学形状、及び/または弁輪上幾何学形状を考慮するために、近位上部カラー部分よりも大きくなり得る。カラーの例が、具体的な実施形態を参照して、以下に説明される。
【0067】
フレーム110は、任意選択で、心房床上に展開するためにフレーム110の上部(心房)縁に取り付けられた別個の心房カラーを有してもよく、これは、心房から血液を流れ制御構成要素150に導き、フレーム110の周囲の血液漏れ(弁周囲漏れ)に対して密閉するために使用される。フレーム110はまた、任意選択で、フレーム110の下部(心室)縁に取り付けられた別個の心室カラーを有してもよく、収縮期の逆流性漏れを防止するために使用される自己弁輪の直下の心室内に展開し、収縮期における弁102の脱落を防止し、心房のカフまたはカラーに対して自己弁輪または隣接する組織をサンドイッチまたは圧縮し、及び/または任意選択で流れ制御構成要素150に取り付け、流れ制御構成要素150を支持するために使用される。いくつかの実施形態は、心房カラー及び心室カラーの両方を有し得るが、他の実施形態は、単一の心房カラー、単一の心室カラーを有する、または追加のカラー構造を有しない。いくつかの実施形態において、心房カラー及び/または心室カラーは、フレーム110の経環または本体部分とは別個に形成され得、任意の好適な結合方法(例えば、縫合、結合、溶接等)を介して、経環部分に結合され得る。他の実施形態において、心房カラー及び/または心室カラーは、フレーム110の経環または本体部分と、一体的に及び/または単一的に形成され得る。
【0068】
フレーム110、及び/またはそのフレームの少なくとも経環または本体部分は、リング、シリンダ管、円錐管、D字管、及び/または任意の他の好適な弁輪形状であり得る。いくつかの実施形態において、フレーム110、及び/またはそのフレームの少なくとも経環または本体部分は、扁平円錐形状、逆扁平円錐形状(上部がより狭く、下部がより広い)、凹状シリンダ(中に曲がった壁)、凸状シリンダ(壁が隆起している)、角砂時計、湾曲砂時計、傾斜砂時計、フレアトップ、フレアボトム、もしくはその両方を有するリングまたはシリンダの側面プロファイルを有してもよい。フレーム110は、約5~60mmの範囲の高さを有してもよく、約20~80mmの範囲の外径寸法Rを有してもよく、フレーム110(例えば、フレーム110を形成するワイヤ材料)の厚さを考慮して、約21~79mmの範囲の内径寸法を有してもよい。
【0069】
フレーム110は、送達のために圧縮可能であり、解放されるとき、その元の(非圧縮)形状に戻るように構成されている。フレーム110は、ワイヤ、編組みワイヤ、またはレーザ切断ワイヤフレームとして構築されてもよい。いくつかの実施形態において、フレーム110は、一組の圧縮可能なワイヤセルを含み得、及び/または形成し得、そのワイヤセルは、中心垂直軸113に対して実質的に直交する配向及びセル幾何形状を有して、フレーム110が垂直な圧縮構成、巻かれた圧縮構成、または折り畳まれた圧縮構成の状態にあるときに、ワイヤセル歪みを最小限に抑える。いくつかの実装形態では、フレーム110は、フレーム110が自己拡張することを可能にする形状記憶素子を含み得るか、及び/またはその素子で形成され得る。いくつかの例において、好適な形状記憶材料は、耐久的及び生体適合的である金属及び/またはプラスチックを含み得る。例えば、フレーム110は、ニチノールワイヤなどの超弾性金属ワイヤ、または他の同様の機能性材料から作製され得る。いくつかの実施形態において、フレーム110は、ステンレス鋼、コバルトクロム、チタン、及び/または他の機能的に等価な金属及び/または合金から形成され得る。他の実施形態において、フレーム110は、任意の好適な材料から形成され得、経カテーテル膨張バルーンなどを使用して、圧縮構成から拡張可能となり得る。
【0070】
フレーム110はまた、生体適合性カバー、組織固定具、解放可能な展開及び回収制御ガイド、ノブ、アタッチメント、リギング等のアクセサリ構成要素を取り付けるための追加の機能要素(例えば、ループ、固定具等)を有してもよく、及び/またはそれを形成してもよい。フレーム110は、心膜、ポリエステル、Dacron(登録商標)などの生体適合性材料を用いて、任意選択的に、内部または外部に、部分的または全面的に覆われ得る。いくつかの実装形態では、フレーム110(またはその態様及び/または部分)は、‘957PCT、‘010PCT、及び/または‘231PCTに詳細に記載されたフレーム(またはその対応する態様及び/または部分)に構造的及び/または機能的に同様であり得る。
【0071】
上述したように、フレーム110及び/または弁102は、少なくとも遠位固定要素132を含み得る。いくつかの実施形態において、フレーム110及び/または弁102は、遠位固定要素132、ならびに近位固定要素134及び/または前方固定要素135を含み得る。弁102及び/またはフレーム110の固定要素は、‘957PCT、‘010PCT、‘231PCTに詳細に記載されているそれらのうちのいずれか、及び/または、特定の実施形態に関して本明細書に記載されているもののうちのいずれかなどの任意の好適な形状、サイズ、及び/または構成であり得る。例えば、遠位、近位、及び前方固定要素132、134、及び135は、下部固定要素(例えば、フレーム110の下部に結合及び/または包含される)であり得る。いくつかの実施形態において、フレーム110及び/または弁102はまた、遠位上部固定要素、1つ以上の近位上部固定要素、及び/または任意の他の好適な固定要素(複数可)のうちの1つ以上をも任意選択的に含み得る。フレーム110の固定要素は、ワイヤループもしくはワイヤフレーム、一体型フレーム部分、及び/またはフレーム110から離れて約10~40mm延在するステントを含み得、及び/またはそれらから形成され得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、フレーム110は、ガイドワイヤの一部分もしくはガイドワイヤアセンブリの一部分を選択的に係合及び/または受容するように構成されたガイドワイヤ結合器133を任意選択的に含み得る。特定の実施形態において、遠位下部固定要素132は、ガイドワイヤ結合器133を形成する特徴を形成及び/または包含し得る。他の実装形態では、ガイドワイヤ結合器133は、フレーム110の任意の好適な部分に、近位固定要素134に、前方固定要素135に、及び/またはフレーム110の任意の他の固定要素及び/または特徴(例えば、遠位もしくは近位上部固定要素)に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ結合器133は、ガイドワイヤの一部分がガイドワイヤ結合器133の開口部を通って延在することを可能にするように構成され、それによって、弁102がガイドワイヤの上またはそれに沿って前進することを可能にする。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ結合器133は、ガイドワイヤが、プッシャーなどの他の要素及び/または構成要素を遮断または防止しながら、ガイドワイヤ結合器を通って前進することを選択的に可能にし得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、遠位固定要素132は、ガイドワイヤ結合器133を含み得、ガイドワイヤとの相互影響に少なくとも部分的に基づいて、1つ以上の状態及び/または構成の間で移行するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、遠位固定要素132は、ガイドワイヤがガイドワイヤ結合器133に結合され、及び/または、ないしそれを通って延在したときに、延在構成を有し得るか、及び/またはその構成の状態で載置され得、ガイドワイヤがガイドワイヤ結合器133から解放されたときに、短縮構成もしくは折り畳み構成を有し得るか、及び/またはその構成で載置され得る。
【0074】
弁102の固定要素132、134、及び135は、自己組織の所望の部分に係合して、弁102が展開される自己弁の弁輪にフレーム110を装着するように構成され得る。例えば、いくつかの実装形態において、遠位固定要素132は、フレーム110の下部遠位側からRVOTまたはLVOTに延在し得る。そのような実装形態において、遠位固定要素132は、遠位固定要素132が、弁102の遠位端部を自己弁輪内に少なくとも部分的に固定するのに動作可能な弁輪下組織に力を作用させるように、成形され得、及び/または付勢され得る。いくつかの実装形態において、近位固定要素134は、例えば、近位下部固定要素であり得、自己弁輪の近位側上の弁輪下組織に係合して、弁輪内の弁102の固定に役立つように構成され得る。同様に、前方固定要素134は、自己弁輪の前方側上の弁輪下組織に係合して、弁輪内の弁102の固定に役立つことができる前方下部固定要素であり得る。
【0075】
いくつかの実装形態において、遠位固定要素132、近位固定要素134、及び/または前方固定要素135は、移行し、移動し、及び/または、ないし、固定要素132、134、及び/または135が、それぞれ、フレーム110から第1の量または距離を延在する第1の構成と、固定要素132、134、及び/または135が、それぞれ、フレーム110から第2の量または距離を延在する第2の構成と、の間を再構成するように、構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、固定要素132、134、及び/または135は、固定要素132、134、及び/または135が圧縮され、展開解除され、折り畳まれ、及び/または拘束された状態(例えば、フレーム110の経環部分の付近にあり、隣接し、及び/またはそれと接触する位置)にある第1の構成と、固定要素132、134、及び/または135が拡張され、延在され、展開され、折り畳み解除され、及び/または拘束解除された(例えば、フレーム110の経環部分から離れて延在する)状態にある第2の構成と、を有し得る。本明細書にさらに詳細に説明されるように、固定要素132、134、及び/または135のいずれも、作動し得、及び/または、ないし展開中に第1の構成と第2の構成との間を移行し得、自己組織、脊索、及び/または任意の他の解剖学的構造に選択的に係合して、自己弁輪内での弁102の固定に役立ち得る。
【0076】
流れ制御構成要素150は、非限定的な意味で、そこを通る流体の流れを制御するためのデバイスを指し得る。いくつかの実施形態において、流れ制御構成要素150は、処理済みまたは未処理の心膜等の可撓性生体適合性材料から作製された、2リーフレット、3リーフレット、4リーフレット、またはそれ以上を有するリーフレット構造であり得る。これらのリーフレットは、内側フレームなどの支持構造体に縫合または接合され得、続いて、外側フレーム110に縫製または接合され得る。例えば、いくつかの実施形態において、流れ制御構成要素150は、組織、生体適合性メッシュ、1つ以上の織布または編み布、1つ以上の超弾性または形状記憶合金構造体を介して、フレーム110に(例えば、ドラム、カラー部分、経環部分などに)結合され得、それらは、フレームの一部分に縫製され、縫合され、及び/または、ないし固定される。いくつかの実施形態において、流れ制御構成要素150(またはそれらの部分及び/または態様)は、例えば、‘231PCTに記載されている流れ制御構成要素のいずれかと同様であり得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、流れ制御構成要素150、及び/またはその流れ制御構成要素の内側フレームは、弁102が拡張構成にあるときに、実質的にシリンダまたは管状の形状を有し得(例えば、図1Cを参照)、弁102が圧縮構成に載置されたときに、弾性的に変形するように構成され得る(例えば、図1B及び1Dを参照)。内側フレーム、及び/またはその部分もしくは態様は、外側フレーム110、及び/またはその部分もしくは態様と、少なくとも形式及び/または機能において同様であり得る。例えば、内側フレームは、送達するために圧縮可能であり得、解放されたときに、その元の(非圧縮)形状に戻るように構成されている。内側フレームは、その内側フレームが自己拡張することを可能にする形状記憶要素で形成され得る。場合によっては、好適な形状記憶材料には、例えば、ニチノールなどの、耐久性があって生体適合性を有する金属及び/またはプラスチックが含まれ得る。
【0078】
流れ制御構成要素150の内側フレームは、‘231PCTに記載されている流れ制御構成要素150の内側フレームと、少なくとも形式及び/または機能において、同様であり得る。例えば、内側フレームは、ワイヤ、編組みワイヤ、またはレーザ切断ワイヤフレームとして構築されてもよい。いくつかの実施形態において、内側フレームは、流れ制御構成要素150の軸に実質的に直交する配向及びセル幾何形状を有する一組の圧縮可能なワイヤセルを含み得、及び/またはそれを形成し得、内側フレームが圧縮構成にあるときに、ワイヤセル歪みを最小限に抑え得る。いくつかの実施形態において、内側フレームは、任意の好適な数の、弾性的に変形可能な菱形または瞳形に成形されたワイヤセルなどを有し得、及び/またはそれを形成し得る。図1A~1Eには示していないが、いくつかの実施形態において、内側フレームは、2つの半切れを含み得、及び/またはそれらで形成され得、本明細書にさらに詳細に説明されるように、その2つの半切れは、その内側フレームが横方向軸115の方向に沿ってまたはその方向に、横方向の圧縮または折り畳みを行うことに応答して、内側フレームが弾性的に変形することを可能にするように、一緒に結合され得る。
【0079】
流れ制御構成要素150は、フレーム110内に装着され、弁の流入端を通る第1の方向の血流を可能にし、第1の方向とは反対の、弁の流出端を通る第2の方向の血流を遮断するように構成され得る。例えば、流れ制御構成要素150は、弁102が、例えば三尖弁、僧帽弁、大動脈弁、または肺動脈弁等の心臓弁として機能し、拡張期に心房から心室に流れる血液に対して開放することができ、外側面に加えられる収縮期心室圧力により閉鎖することができるように構成され得る。連続して繰り返される開閉は、「往復動」として説明され得る。
【0080】
図1A~1Dに示すように、流れ制御構成要素150は、フレーム110の中央チャネル114内に装着されている。より具体的には、流れ制御構成要素150は、流れ制御構成要素150を通る血流の方向に延在する流れ制御構成要素150の軸がフレーム110の中心軸113に対して実質的に平行であるように、中央チャネル114内に装着され得る。いくつかの実施形態において、流れ制御構成要素150は、フレーム110の中央チャネル114内の中央に置かれ得る。他の実施形態において、流れ制御構成要素150は、中央チャネル114内の中心からずれた位置に配設され得る。いくつかの実施形態において、中央チャネル114は、流れ制御構成要素150の直径及び/または周囲長よりも大きい直径及び/または周囲長を有し得る。図1A~1Eには示されていないが、いくつかの実施形態において、弁102は、流れ制御構成要素150に隣接する中央チャネル114内に配設され得るスペーサなどを含み得る。他の実施形態において、スペーサは、フレーム110の一部分に結合され、中央チャネル114の一部分を覆うように構成されたカバーなどであり得る。場合によっては、このスペーサを使用して、流れ制御構成要素150の、フレーム110への結合を容易にし得る。
【0081】
上述したように、弁102は、拡張構成と圧縮構成との間で圧縮可能であり、拡張可能である。弁102は、拡張構成にあるときに中心軸113に沿った第1の高さまたはサイズを有することができ、圧縮構成にあるときに、第1の高さまたはサイズ未満の、中心軸113に沿った第2の高さまたはサイズを有することができる。弁102はまた、さらなる方向に圧縮され得る。例えば、弁102は、長手方向軸111及び中心軸113の両方に対して垂直である横方向軸115に沿って圧縮され得る(例えば、図1Dを参照)。
【0082】
弁102は、弁102の送達中に圧縮され、送達カテーテルから解放されると拡張するように構成されている。より具体的には、弁102は、身体内の所望の場所(例えば、自己弁の弁輪)への経カテーテル直交送達のために構成され、そこでは、弁102は、拡張構成にある弁102の寸法に対して直交方向または横方向に(例えば、中心軸113及び/または横方向軸115に沿って)圧縮される。送達中、弁102の長手方向軸111は、送達カテーテルの長手方向軸に対して実質的に平行である。直交送達において、長手方向軸111は、中心軸113に対して45~135度の交差角度(例えば、鉛直または約90度)で配向され、送達カテーテルの縦方向のシリンダ軸に対して実質的に平行な配向にある。
【0083】
弁102は、送達カテーテルに装填される前に、及び/または送達カテーテルから解放され、そして身体内の所望の場所で展開または移植される(または展開もしくは移植される準備ができている)後に、拡張構成にある。拡張された弁102の形状は、延在されたカラー(例えば、そのカラー)を有する大きな直径を短縮したシリンダの形状であり得る。図1A、1C、及び1Eに示した拡張構成にあるときに、弁102は、弁102を送達するために使用される送達カテーテルの管腔の直径よりも大きい、長手方向軸111に対して直交方向または横方向(例えば、中心軸113及び/または横方向軸115に沿って)の任意の方向への広がりを有する。例えば、いくつかの実施形態において、弁102は、5~60mmの拡張された高さ(例えば、中心軸113に沿った)を有し得る。ある特定の実施形態において、弁102は、拡張された高さを有し得、それには、例えば、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、及び60mm、及び/またはそれらの間のサイズの任意のサイズまたは端数が含まれる。いくつかの実施形態において、弁102は、約20~80mm、または約40~80mmの、拡張された直径の長さ(例えば、長手方向軸111に沿った)及び幅(例えば、横方向軸115に沿った)を有し得る。ある特定の実施形態において、弁102は、拡張された長さ及び/または幅を有し得、それには、例えば、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、及び80mm、及び/またはそれらの間のサイズの任意のサイズまたは端数が含まれる。
【0084】
図1B及び1Dに示した圧縮構成にあるときに、弁102は、長手方向軸111に対して直交方向または横方向(例えば、中心軸113及び/または横方向軸115に沿って)の任意の方向への広がりを有し、その広がりは、送達カテーテルの管腔の直径よりも小さく、弁102がその管腔を通って送達されることを可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、弁102は、約6~15mm、約8~12mm、または約9~10mmの圧縮された高さ(例えば、中心軸113に沿った)及び圧縮された幅(例えば、横方向軸115に沿った)を有し得る。ある特定の実施形態において、弁102は、圧縮された高さ及び/または幅を有し得、それには、例えば、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、及び15mm、及び/またはそれらの間のサイズの任意のサイズまたは端数が含まれる。弁102は、‘957PCT、‘010PCT、及び/または‘231PCTに詳細に記載されているように、圧縮、圧延、折り畳み、及び/または任意の他の好適な様式、ならびにそれらの組み合わせによって圧縮され得る。いくつかの実施形態において、弁102の長さ(例えば、長手方向軸111に沿った)は、送達のためには圧縮されないことが想定される。むしろ、いくつかの実施形態において、弁102の長さは、中心軸113及び/または横方向軸115に沿った弁102の圧縮に従って増加し得る。
【0085】
図1A~1Eには示されていないが、いくつかの実装形態において、送達システムは、弁102を身体内の所望の場所(例えば、自己弁の弁輪)に送達するように構成された1つ以上の特徴または構成要素を含み得る。例えば、送達システムは、送達カテーテル、位置決めツール、及びガイドワイヤを含み得る。この送達システムは、例えば、ヒト心臓の自己三尖弁の弁輪及び/または自己僧帽弁の弁輪などの、身体内の所望の場所に、圧縮された弁102、及び/または弁102の部分(例えば、圧縮されたフレーム110または圧縮された流れ制御構成要素150)を直交送達するように構成され得る。例えば、送達カテーテルは、12~34Frであり得、圧縮構成において人工弁102を受容するのに十分な、任意の好適な対応する内部管腔直径及び/または内部管腔直径を有する。いくつかの実装形態において、送達システム、及び/またはその態様もしくは部分は、‘957PCT、‘010PCT、及び/または‘231PCTに詳細に記載されているものと、少なくとも形式、機能、及び/または動作において、実質的に同様であり得、したがって、本明細書では、さらに詳細には説明されない。
【0086】
図1Eに示すように、弁102は、例えば、ヒト心臓の心房に送達され得、例えば、肺動脈弁(PV)、僧帽弁(MV)、大動脈弁(AV)、及び/または三尖弁(TV)などの自己弁の弁輪内に配設され得る。上述したように、弁102は、圧縮構成にあり得、送達システムを介して弁輪に送達され得、そして送達システムから解放されて、拡張構成に拡張することを可能にされ得る。例えば、弁102は、‘957PCT、‘010PCT、及び/または‘231PCTに詳細に記載されている送達システム、デバイス、及び/または方法のうちのいずれかを介して、ヒト心臓の心房に送達され、そして送達カテーテル(図示せず)から解放され得る。
【0087】
いくつかの実装形態において、弁102の送達は、ガイドワイヤをヒト心臓の心房に、自己弁を通って、心室(例えば、RVOTまたはLVOT)内の所望の位置に前進させることを含み得る。ガイドワイヤを位置決めした後、送達カテーテルは、ガイドワイヤに沿って、及び/またはその上を、心房内に前進し得る(例えば、IVC、SVC、及び/または経中隔アクセスを介して)。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ結合器136は、ガイドワイヤの近位端部に結合され得、弁102は、圧縮構成の状態で載置され得、弁102がガイドワイヤに沿って、送達カテーテルの管腔を通って、心房内に前進することを可能にする。
【0088】
弁102を展開することは、弁102の残りの部分が心房(RA、LA)内にある間に、心室(RV、LV)内の遠位固定要素132(例えば、遠位下部固定要素132)を弁輪の下に配置することを含み得る。場合によっては、遠位固定要素132は、ガイドワイヤの上を、及び/またはそれに沿って、例えば、心室の流出管などの心室内の所望の位置に前進し得る。例えば、いくつかの実装形態において、弁102は、自己三尖弁(TV)の弁輪に送達され得、遠位固定要素132の少なくとも一部分は、RVOT内に位置決めされ得る。他の実装形態では、弁102は、自己僧帽弁(MV)の弁輪に送達され得、遠位固定要素132の少なくとも一部分は、LVOT内に位置決めされ得る。
【0089】
いくつかの実装形態において、遠位固定要素132は、弁102が自己弁輪内に完全に着座される前に、送達及び/または展開中、第1のまたは折り畳み構成から第2のまたは延在構成に載置及び/または移行され得る。いくつかの実施形態において、例えば、遠位固定要素132は、ガイドワイヤに結合及び/または、ないし係合するガイドワイヤ結合器136の効力によって、第2のまたは延在構成の状態にあり得る。したがって、遠位固定要素132は、自己弁輪を通って心室に挿入されたときに、第2のまたは延在構成の状態にあり得る。場合によっては、遠位固定要素132は、自己組織、脊索などの1つ以上の部分の周りに、及び/またはそれを通って延在し得、これにより、ここにさらに詳細に説明されるように、遠位固定要素132が第1の構成に移行し及び/または戻ったときに、遠位固定要素132が自己組織、脊索等を捕捉し、及び/またはそれらに係合することを可能にし得る。
【0090】
いくつかの実装形態において、人工弁102は、部分的に展開された状態に一時的に維持され得る。例えば、弁102は、弁102の周囲の自己弁輪を部分的に通り、弁102を部分的に通って血液が心房から心室に流れることを可能にするために、弁輪に部分的に挿入され、弁輪に対してある角度に維持され、これによって、弁機能の評価を可能にすることができる。
【0091】
弁102は、自己弁(PV、MV、AV、及び/またはTV)の弁輪(PVA、MVA、AVA、及び/またはTVA)内に載置または着座され得、このため、弁フレーム110の経環部分は、弁輪を通って、心室内に延在する一方で、カラー(例えば、心房カラー)は、弁輪上位置内の心房(三尖もしくは僧帽弁について、または大動脈弁については大動脈、または肺動脈弁については肺動脈)内に残る。例えば、いくつかの実施形態において、位置決めツール及び/またはプッシャー(図示せず)を使用して、弁102の少なくとも近位端部を弁輪に押し出し得る。いくつかの実装形態において、近位固定要素134は、弁102が弁輪に着座するとき、その第1の構成で維持され得る。例えば、上述したように、近位固定要素134は、第1の構成にある間、フレーム110の経環部分と接触するか、隣接するか、及び/またはその付近にあり得、これにより、今度は、フレーム110の下部分の周囲全体を制限し得、それによって、フレーム110の経環部分が弁輪を通って挿入されることを可能にする。
【0092】
着座すると、近位固定要素134は、‘010PCTに詳細に記載されているように、その第1の構成からその第2の構成に移行され得る。したがって、弁102が弁輪に着座すると、近位固定要素134は、近位固定要素134が弁輪下組織に接触し、係合し、及び/または別様に弁輪下組織に隣接して配設される、その第2の構成に配置され得る。いくつかの実装形態において、近位固定要素134は、近位固定要素134が心室内に配設されるときに、自己組織、脊索などに係合し、及び/またはそれらを捕捉するように構成され得る。例えば、いくつかの実装形態において、弁102を弁輪内に着座させた後、近位固定要素134は、第1の(圧縮)構成から第2の(延在)構成に移行され得、このため、近位固定要素134は、自己組織、脊索等の1つ以上の部分の周りに延在し、及び/またはそれを通過する。次いで、近位固定要素134は、第1の構成に戻され得、近位固定要素134と、例えば、外側フレーム110の経環部分との間に、自己組織、脊索等の1つ以上の部分を捕捉及び/または固定し得る。他の実装形態において、近位固定要素134は、弁102が自己弁輪内に着座された後、第2の(延在)構成に維持され得る。そのような実装形態では、近位固定要素134は、例えば、弁輪の近位側の弁輪下組織と接触及び/または係合し得、このため、近位固定要素、及び心房カラーの近位部分は、弁輪組織の近位部分に圧縮力を及ぼす。
【0093】
弁102が取捨選択可能な前方固定要素135を含む実施形態において、近位固定要素134を参照して上述したように、前方固定要素135は、弁102が自己弁輪内に完全に着座される前に、第1の(圧縮された、または後退した)構成にあり得る。したがって、経環部分の周囲長は、十分に小さく、経環部分を、自己弁の弁輪を通って、挿入することを可能にし得る。着座すると、前方固定要素135は、その第1の構成からその第2の(延在)構成に移行され得る。例えば、いくつかの実施形態において、弁102及び/またはフレーム110は、前方固定要素135の第1の部分が第1の構成時、及び第2の構成への移行時に配設される場合のスリーブ、導管、管、チャネル等を含み得、第1の部分を下回る前方固定要素135の第2の部分は、そのスリーブ、導管、管、チャネル等内に配設される。上記の別の方法において、前方固定要素135は、第2の構成のときに、スリーブ、導管、管、チャネル等から延在し得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、前方固定要素135は、第2の構成にあるときに、フックまたはクリップを形成し得る。例えば、前方固定要素135は、フックもしくはクリップの形状もしくは構成に付勢または熱設定される形状記憶合金等で形成され得る。いくつかの実装形態において、そのような構成により、前方固定要素135が自己組織、脊索等の一部分の周り、及び/またはそれを通って延在することを可能にし得る。次いで、前方固定要素135は、第2の(延在)構成から第1の(圧縮または折り畳み)構成に戻るように、作動し、移行し、移動等され得る。例えば、前方固定要素135は、弁102のスリーブ、導管、管、チャネル等の中に後退され得るか、または少なくとも部分的に後退され得る。前方固定要素135が自己組織、脊索等の周りに位置決めされ、それらを通って位置決めされ、及び/または、ないしそれらに係合されている状態で、前方固定要素135の、第2の構成から第1の構成への移行により、結果として、前方固定要素135が、自己組織、脊索等の少なくとも一部分を、前方固定要素135と、例えば、フレーム110の経環部分との間に捕捉及び/または固定することがもたらされ得る。
【0095】
このようにして、遠位固定要素132は、弁輪の遠位側上の自己組織に係合するように構成され得、近位固定要素134は、弁輪の近位側上の自己組織に係合するように構成され得、前方固定要素135は、弁輪の前方側上の自己組織に係合するように構成され得、それによって、図1Eに示すように、弁102を自己弁輪内に確実に着座させることができる。
【0096】
図1A~1Eには示されていないが、いくつかの実装形態において、‘957PCTに詳細に記載されているように、弁102及び/または送達システムは、1つ以上の組織アンカーを含み得、この組織アンカーを使用して、弁102の1つ以上の部分を弁輪組織に固定することができる。いくつかの実施形態において、これらの組織アンカーは、固定要素132、134、及び/または135、及び/または心房カラーに穴を開け、突き刺し、及び/または、ないし弁輪組織に固定するように構成され得る。他の実施形態では、組織アンカーは、例えば、自己組織に穴を開けず、突き刺さず、及び/または、ないし外傷を起こすことなく、固定要素132、134、及び/または135、及び/または心房カラーを弁輪組織に固定するように構成された外傷性アンカーであり得る。
【0097】
側方送達可能な経カテーテル人工弁(例えば、人工心臓弁)のある特定の態様または実施形態の考察が、以下に提供される。特定の実施形態に関して以下に記載する経カテーテル人工弁(またはその態様もしくは部分)は、図1A図1Eを参照して上記に記載した弁102及び/または弁102の対応する態様もしくは部分と少なくとも形態及び/または機能が実質的に同様であり得る。同様に、以下に説明される弁(またはその態様もしくは部分)は、‘957PCT、‘010PCT、及び/または‘231PCTに詳細に記載されている弁と、少なくとも形態及び/または機能において同様であり得る。したがって、ある特定の実施形態の特定の態様及び/または部分は、本明細書に、さらに詳細には説明されない場合がある。
【0098】
本明細書に記載される人工弁のいずれも、例えば、僧帽弁、三尖弁、大動脈弁、及び/または肺動脈弁を含むヒト心臓の自己弁を置き換えるために使用され得る。特定の弁の例が本明細書に記載されているが、それらは、単なる例として示されており、限定するものとしては示されていないことを理解されたい。したがって、いくつかの人工弁は、自己僧帽弁または自己三尖弁を置き換えるように構成されるものとして本明細書に記載されているが、特に明示的に記述されていない限り、または、1つ以上の構成要素及び/または特徴が、それ以外の場合では、そのような使用のためにはその人工弁は対応しないと、当業者が明確に認めない限り、そのような人工弁を使用して任意の人工弁を置き換えることができることを理解されたい。
【0099】
いくつかの実施形態において、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁は、例えば、ヒト心臓の自己僧帽弁を置き換えるように構成され得る。図2Aは、自己リーフレット前方(A)部分A1-A2-A3及び自己リーフレット後方(P)部分P1-P2-P3のおおよその場所を示す自己僧帽弁の上面図の例示である。
【0100】
図2B及び2Cは、一実施形態による、側方送達可能な(直交送達可能な)経カテーテル人工心臓弁202(本明細書では、「人工弁」または「弁」とも称される)の、それぞれ、側面斜視図及び分解組立図の例示である。いくつかの実装形態において、弁202は、例えば、自己僧帽弁の弁輪内で展開され得る。弁202は、弁202の流入端部を通る第1の方向への血流を可能にし、第1の方向とは反対の、弁202の流出端部を通る第2の方向への血流を遮断するように構成されている。例えば、人工弁202は、自己弁の機能性を補完及び/または置き換えるために、ヒト心臓の自己三尖弁または自己僧帽弁の弁輪内で展開されるように構成された側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁であり得る。
【0101】
弁202は、弁202のx軸(本明細書では、「水平軸」、「長手方向軸」、「長軸」、及び/または「縦方向軸」とも称される)に対して少なくとも1つの方向に圧縮可能であり、また拡張可能である。弁202は、身体(例えば、ヒト心臓)内の所望の場所に移植するための拡張構成と、送達カテーテル(図2B及び2Cには示されていない)を使用して身体内に導入するための圧縮構成との間で、圧縮可能であり、また拡張可能である。いくつかの実施形態において、弁202の水平x軸は、拡張構成時及び/または圧縮構成時において、中心(垂直)y軸に対して直交するか(90度)、もしくは実質的に直交するか(75~105度)、または実質的に傾斜する(45~135度)。さらに、圧縮構成における弁202の水平x軸は、弁202が配設されている送達カテーテルの縦方向のシリンダ軸に対して実質的に平行である。
【0102】
いくつかの実施形態において、弁202は、約5~60mm、約5~30mm、約5~20mm、約8~12mm、または約8~10mmの拡張または展開された高さ、及び約25~80mmまたは約40~80mmの拡張または展開された直径(例えば、長さ及び/または幅)を有する。ある特定の実施形態において、拡張または展開された直径(例えば、長さ及び/または幅)は、約25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、及び80mm(またはそれらの間の任意の値もしくは端数)であり得る。いくつかの実施形態において、弁202は、約6~15mm、約8~12mm、または約9~10mmの圧縮された高さ(y軸)及び幅(z軸)を有する。好ましい実施形態では、弁202の長さ(例えば、x軸に沿って)は、送達カテーテルの中心シリンダ軸の長さに沿って延在し得るため、圧縮されず、ないし低減されないことが想定される。
【0103】
ある特定の好ましい実施形態において、弁202は、中心を有するか、または半径方向に対称である。他の好ましい実施形態において、弁202は、偏心しているか、または半径方向に非対称である(例えば、y軸に沿って、またはそれに対して)。いくつかの偏心した実施形態において、フレーム210は、D字形断面を有してもよく、平坦な部分または表面は、前方リーフレットでまたはその近辺で、自己僧帽弁の弁輪と実質的に適合するように構成される。
【0104】
弁202は、弁輪外側支持フレーム210、及びその弁輪外側支持フレーム210内に装着された折り畳み可能な流れ制御構成要素250を含む。弁輪外側支持フレーム210(本明細書では、「外側フレーム」とも称される)は、ニッケルチタン合金などの形状記憶材料、例えばニチノールから作製され、したがって、圧縮構成から拡張構成への自己拡張構造体である。外側フレーム210は、垂直または中心軸(y軸)の周りに及び/またはそれに沿って中心(内部)チャネル214に外接し、それを形成し、及び/または画定する経環及び/または本体部分212を有し、経環の上部縁端部、及び/または外側フレーム210の本体部分212の円周方向に取り付けられた心房カラー220を有する。心房カラー220は、自己展開場所と合致するように成形されている。三尖弁の置き換えにおいて、例えば、心房カラー220は、自己弁の中隔部分に合致するための背の高い背面壁部分を有し得、遠位及び近位上部カラー部分を有し得る。遠位上部カラー部分は、近位上部カラー部分よりも大きくすることができ、心室の流出管(VOT)弁輪下領域の上方(心房)よりも大きな平坦空間を考慮した根拠となる。僧帽弁の置き換えにおいて、例えば、弁輪カラー220及び/または外側フレーム210は、D字形状、または自己構造にそっくりの双曲放物面と同様の形状であってもよい。
【0105】
外側フレーム210は、近位側219及び遠位側222をさらに有する。遠位固定要素232(例えば、超弾性ワイヤループ遠位タブ)が、遠位側222に結合され、及び/またはそれから延在する。いくつかの実施形態において、遠位固定要素232は、外側フレーム210の本体部分212で一元的に構築されている一体型タブである。遠位固定要素232のサイズ及び形状は、変化し得る。例えば、いくつかの実施形態において、遠位固定要素232(例えば、右VOTタブ)は、肺動脈の入口に到達するためには十分長い場合がある(三尖の置き換えの場合)。
【0106】
他の実施形態において、遠位固定要素232の形状は、僧帽弁のA1交連領域に合致するように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、遠位固定要素232の長さは、約10~40mmであり得る。さらに、遠位固定要素232は、例えば、圧縮構成、短縮構成、及び/または折り畳み構成(例えば、第1の構成)と、延在構成または折り畳み解除構成(例えば、第2の構成)との間を移行するように構成された再構成可能な遠位固定要素232であり得る。
【0107】
例えば、いくつかの実装形態において、遠位固定要素232は、僧帽弁のA1リーフレット/交連の付近に挿入されたガイドワイヤ(図示せず)上を追跡するように構成される。いくつかの実装形態において、ガイドワイヤは、自己僧帽弁のリーフレット及び/または脊索、特に僧帽弁のA2リーフレットの周りに事前に位置合わせされて、A2リーフレットの「裏側」の周りでの遠位固定要素232のオーバーワイヤ載置を容易にして、フレーム210に対して自己A2リーフレットをクランプする。いくつかの実装形態において、遠位固定要素232は、それと関連付けられる自己僧帽弁及び/または脊索のP2及び/またはP3リーフレットの周りに到達するように、延在構成の状態で構成され得、また圧縮構成に移行して、遠位固定要素232と、外側フレーム210の経環部分212との間に自己組織、脊索等を捕捉及び/またはピン留めすることができる。
【0108】
図2Cに示すように、弁202の少なくとも外側支持フレーム210は、生体適合性カバー240によって覆われ、巻き付けられ、及び/または取り囲まれる。生体適合性カバー240は、メッシュ材料、心膜組織、織布合成ポリエステル材料、及び/または上記のものなどの任意の他の好適な生体適合性材料であり得る。
【0109】
折り畳み可能な(内部)流れ制御構成要素250は、外側フレーム210内に装着される。流れ制御構成要素250は、2つの以上の折り畳み領域、ヒンジ領域、結合領域、弾性的に変形可能な部分等を有する折り畳み可能及び圧縮可能な内側ワイヤフレーム252(「内側リーフレットフレーム」または「内側フレーム」とも称される)を有する。2~4つの可撓性リーフレット261のセットが、内側フレーム252の中または上に装着されている。いくつかの実施形態において、流れ制御構成要素250は、内側フレーム252内に装着された3つのリーフレット261先端またはポケットを有する。
【0110】
内部流れ制御構成要素250は、外側フレーム210と同様、折り畳み可能であり、圧縮可能である。例えば、内側フレーム252は、シリンダ構成から扁平シリンダ構成(または2層バンド)に、z軸に沿ってまたはその方向に折り畳み可能であり(例えば、折り畳み領域等で折り畳み可能である)、この場合、折り畳み領域は、内側フレーム252の遠位側上及び近位側上に載置される。流れ制御構成要素250はまた、外側フレーム210と同様に、垂直(y軸)方向に、短縮または圧縮構成に圧縮可能である。z軸方向に折り畳み(圧縮し)、かつy軸方向に垂直圧縮することによって、弁202は、水平(x軸)に沿って比較的大きな寸法を維持することができる。いくつかの実装形態において、外側フレーム210及び流れ制御構成要素250は、側壁が接触するか、またはほぼ接触するまで、z軸に沿って減少する。また、これにより、外側フレーム210及び流れ制御構成要素250が水平軸(x軸)に沿って半径を維持するとともに、外側及び内側フレームを作り上げ、送達カテーテルに装填するために必要である、折り畳み中及び/または圧縮中に加えられる力によって損傷を受け得る、ワイヤセルの数を最小限に抑えることも可能にする。
【0111】
流れ制御構成要素250は、外側フレーム210の中央チャネル214の直径及び/または周囲長よりも小さい直径及び/または周囲長を有する。流れ制御構成要素250は、内側フレーム252の中心軸または垂直軸(y軸)が外側フレーム210の中心軸または垂直軸(y軸)に対して平行であるように、外側フレーム210にまたはその内部に装着されている。いくつかの実施形態において、内側フレーム252によって画定されるy軸は、外側フレーム210によって画定されるy軸に対して平行であるが、それからオフセットされている(図2B)。いくつかの実装形態において、スペーサ要素230が、中央チャネル214内に配設され、流れ制御構成要素250の一部分(例えば、それ以外では、支持されていない部分)の、外側支持フレーム210への装着を容易にし得る。いくつかの実施形態において、スペーサ要素230は、流れ制御構成要素250の一部分を支持するように構成されたシリンダ管またはフレームであり得る。他の実施形態では、スペーサ要素230は、任意の好適な形状、サイズ、及び/または構成であり得る。スペーサ要素230は、フレーム210のドラムまたはカラーに結合され得、及び/またはそれと一体化され得る、カバーされたまたはカバーされていないワイヤループ等であり得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、スペーサ要素230はまた、弁202の逆流を制御するために提供され得る。例えば、いくつかの実施形態において、スペーサ230は、流体透過性のあるメッシュ、布、及び/または生体適合性材料で覆われても、または覆われてなくてもよい。いくつかの実施形態において、カバーされていないスペーサ230は、後で挿入されるステント、カバー、プラグなどで差し込まれ得る(例えば、逆流が、もはや、患者の心臓の適切な機能性にとって望ましくない場合)。いくつかの実施形態において、スペーサ要素230は、ペースメーカー配線のために、または計画された部分的逆流のための孔を貫通させるために使用され得る。計画された部分的逆流が許容される一実施形態では、スペーサ要素230の代わりにカバーされていないスペーサ230を使用することにより、弁の逆流の制御を提供する。カバーされていないスペーサ230は、逆流が患者にとって不要になった場合、後に挿入されるステントまたはカバーまたはプラグを後で差し込まれ得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、スペーサ要素230は、リーフレットが中に装着されていない流れ制御構成要素250の内側フレーム252と同様であるか、または実質的に同様であり得る。他の実施形態において、スペーサ要素230は、中に装着されたリーフレットを含み得る(例えば、リーフレット261の形態及び/または構成と同様であるか、またはリーフレット261の形態及び/または構成とは異なる)。言い換えると、弁202は、2つの流れ制御構成要素250を含み得、各流れ制御構成要素250は、もう一方の流れ制御構成要素250に対してスペーサとして作用する。
【0114】
ある特定の実施形態において、内側フレーム252は、約25~30mmの直径を有し得、外側フレーム210は、約50~80mmの直径を有し得、心房カラー220は、外側フレームの上部縁端部を約20~30mmだけ超えて延在し得、弁周囲漏れ(PVL)に対する、心房床上でのシールを提供する。流れ制御構成要素250及び外側フレーム210は、折り畳み可能であり得(例えば、z軸の方向に)、及び/または圧縮可能であり得(例えば、y軸の方向に)、弁202全体の側面を低減して、送達カテーテル(この図2B及び2Cには示されていない)の内径の24~36Fr(8~12mm内径)以内に収まる。
【0115】
図3A及び3Bは、一実施形態による、側方送達可能な(直交送達可能な)経カテーテル人工心臓弁302(本明細書では、「人工弁」または「弁」とも称される)の、それぞれ、側面斜視図及び分解組立図の例示である。いくつかの実装形態において、弁302は、例えば、自己僧帽弁の弁輪内で展開され得る。弁302は、弁302の流入端部を通る第1の方向への血流を可能にし、第1の方向とは反対の、弁302の流出端部を通る第2の方向への血流を遮断するように構成されている。弁302は、標的弁(例えば、ヒト心臓内)の弁輪に移植するための拡張構成と、送達カテーテル(図3A及び3Bには表示せず)を使用して身体内に導入するための圧縮構成との間で、圧縮可能であり、また拡張可能である。
【0116】
弁302は、弁輪外側支持フレーム310、及びその弁輪外側支持フレーム310内に装着された折り畳み可能な流れ制御構成要素350を含む。弁輪外側支持フレーム310(本明細書では、「外側フレーム」とも称される)は、ニッケルチタン合金などの形状記憶材料、例えばニチノールから作製され、したがって、圧縮構成から拡張構成への自己拡張構造体である。外側フレーム310の少なくとも一部分は、上述したような生体適合性カバー340によって、覆われ、巻き付けられ、及び/または取り囲まれている。
【0117】
外側フレーム310は、垂直または中心軸(y軸)の周りに及び/またはそれに沿って中心(内部)チャネル314に外接し、それを形成し、及び/または画定する経環部分及び/または本体部分312を有し、経環の上部縁端部、及び/または外側フレーム310の本体部分312の円周方向に取り付けられた心房カラー320を有する。外側フレーム310は、近位側319及び遠位側322を有する。
【0118】
折り畳み可能な(内部)流れ制御構成要素350は、覆われた、または覆われていないスペーサ330に隣接して外側フレーム310内に装着される。流れ制御構成要素350は、2つ以上の折り畳み領域、ヒンジ領域、結合領域、弾性変形可能領域等を有する内側フレーム352を有する。2~4つの可撓性リーフレット361のセットが、内側フレーム352の中またはその上に装着される。内部流れ制御構成要素350は、外側フレーム310と同様、折り畳み可能であり、圧縮可能である。流れ制御構成要素350は、内側フレーム352の中心軸または垂直軸(y軸)が外側フレーム310の中心軸(y軸)と同軸方向であるか、及び/またはそれに対して少なくとも平行である(例えば、それに対して平行であるが、それからオフセットされる)ように、外側フレーム310にまたはその内部に装着される。
【0119】
図3A及び3Bは、遠位固定要素332及び近位固定要素334を含む弁302をさらに示す。遠位固定要素332(例えば、超弾性ワイヤループ遠位タブ)は、外側フレーム310の遠位側322に結合され、及び/またはそれから延在し、近位固定要素334(例えば、超弾性ワイヤループ近位タブ)は、外側支持フレーム310の近位側319に結合され、及び/またはそれから延在する。いくつかの実施形態において、遠位固定要素332及び近位固定要素334は、外側フレーム310の本体部分312で一元的に構築されている一体型タブであり得る。固定要素332及び334のサイズ及び形状は、変化し得る。例えば、いくつかの実施形態において、遠位固定要素332の形状は、僧帽弁のA1交連領域に合致するように構成される。いくつかの実施形態において、近位固定要素334の形状は、僧帽弁のA3交連領域に合致するように構成されている。
【0120】
いくつかの実施形態において、少なくとも遠位固定要素332は、例えば、圧縮構成、短縮構成、及び/または折り畳み構成(例えば、第1の構成)と、延在構成または折り畳み解除構成(例えば、第2の構成)との間で移行され得る。延在構成において、遠位固定要素332は、それと関連付けられた自己僧帽弁及び/または脊索のP2及び/またはP3リーフレットの周りに到達し得、圧縮構成に移行されると、遠位固定要素332は、遠位固定要素332と、外側フレーム310の経環部分312との間で、自己組織、脊索等を捕捉及び/またはピン留めし得る。
【0121】
図4A及び4Bは、一実施形態による、側方送達可能な(直交送達可能な)経カテーテル人工心臓弁402(本明細書では、「人工弁」または「弁」とも称される)の、それぞれ、側面斜視図及び分解組立図の例示である。いくつかの実装形態において、弁402は、例えば、自己僧帽弁の弁輪内で展開され得る。弁402は、弁402の流入端部を通る第1の方向への血流を可能にし、第1の方向とは反対の、弁402の流出端部を通る第2の方向への血流を遮断するように構成されている。弁402は、標的弁(例えば、ヒト心臓内の)の弁輪に移植するための拡張構成と、送達カテーテル(図4A及び4Bには表示せず)を使用して身体内に導入するための圧縮構成との間で、圧縮可能であり、また及び拡張可能である。
【0122】
弁402は、弁輪外側支持フレーム410、及びその弁輪外側支持フレーム410内に装着された折り畳み可能な流れ制御構成要素450を含む。弁輪外側支持フレーム410(本明細書では、「外側フレーム」とも称される)は、ニッケルチタン合金などの形状記憶材料、例えばニチノールから作製され、したがって、圧縮構成から拡張構成への自己拡張構造体である。外側フレーム410の少なくとも一部分は、上述したような生体適合性カバー440によって、覆われ、巻き付けられ、及び/または取り囲まれている。
【0123】
外側フレーム410は、垂直または中心軸(y軸)の周りに及び/またはそれに沿って中心(内部)チャネル414に外接し、それを形成し、及び/または画定する経環及び/または本体部分412を有し、経環の上部縁端部、及び/または外側フレーム410の本体部分412の円周方向に取り付けられた心房カラー420を有する。外側フレーム410は、近位側419及び遠位側422を有する。
【0124】
折り畳み可能な(内側)流れ制御構成要素450は、覆われた、または覆われていないスペーサ430に隣接して外側フレーム410内に装着される。流れ制御構成要素450は、2つ以上の折り畳み領域、ヒンジ領域、結合領域、弾性変形可能領域等を有する内側フレーム452を有する。2~4つの可撓性リーフレット461のセットが、内側フレーム452の中またはその上に装着される。内部流れ制御構成要素450は、外側フレーム410と同様、折り畳み可能であり、圧縮可能である。流れ制御構成要素450は、内側フレーム452の中心軸または垂直軸(y軸)が外側フレーム410の中心軸(y軸)と同軸方向であるか、及び/またはそれに対して少なくとも平行である(例えば、それに対して平行であるが、それからオフセットされる)ように、外側フレーム410にまたはその内部に装着される。
【0125】
図4A及び4Bは、遠位固定要素432、前方固定要素435、及びスリーブ436を含む弁402をさらに示す。遠位固定要素432(例えば、超弾性ワイヤループ遠位タブ)は、遠位側422に結合され、及び/またはそれから延在する。いくつかの実施形態において、遠位固定要素432は、外側フレーム410の本体部分412で一元的に構築されている一体型タブである。いくつかの実施形態において、遠位固定要素432の形状は、僧帽弁のA1交連領域に合致するように構成され、例えば、圧縮構成、短縮構成、及び/または折り畳み構成(例えば、第1の構成)と、延在構成または折り畳み解除構成(例えば、第2の構成)との間で移行され得る。いくつかの実装形態において、遠位固定要素432は、それと関連付けられる自己僧帽弁及び/または脊索のP2及び/またはP3リーフレットの周りに到達するように、延在構成の状態で構成され得、また圧縮構成に移行して、遠位固定要素432と、外側フレーム410の経環部分412との間に自己組織、脊索等を捕捉及び/またはピン留めすることができる。
【0126】
前方固定要素435及びスリーブ436は、外側フレーム410の経環部分412の前方側上に装着される。前方固定要素435の少なくとも一部分は、スリーブ436内に配設される。前方固定要素435は、第1の構成(例えば、後退された構成)と第2の構成(例えば、延在された構成)との間で再構成可能である。いくつかの実装形態において、前方固定要素435は、弁402の展開中に弁輪下に(例えば、第2の構成に)延在され得(例えば、弁輪内に弁402を少なくとも部分的に着座させた後に)、その結果、前方固定要素435の一部分は、スリーブ436から延在して、自己リーフレット組織(例えば、A2リーフレット、組織、脊索等)に係合し、及び/または捕捉する。前方固定要素435は、前方固定要素435と、外側フレーム410の経環部分412との間に組織を捕捉及び固定するように、(例えば、第1の構成に)後退され得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、前方固定要素435は、操縦可能なカテーテル及び/またはガイドワイヤを使用して、作動及び/または移行され得る。いくつかの実施形態において、前方固定要素435及び/またはスリーブ436は、操縦可能なカテーテルまたはガイドワイヤの、前方固定要素435への誘導を助け得る撮像マーカー等を含み得る。前方固定要素435は、スリーブ436に対して移動、作動、及び/または移行されるものとして説明されているが、いくつかの実施形態において、スリーブ436は、前方固定要素435に対して後退または移動され得、前方固定要素のより大きな部分を露出させて、前方固定要素435が自己組織に係合することを可能にする。いくつかの実施形態において、前方固定要素435及びスリーブ436の両方が、作動、移行、移動、及び/または再構成され得る。
【0128】
いくつかの実装形態において、前方固定要素435を一方の側(A2)で、及び周りを巻き付ける遠位固定要素432を反対側(P2)で使用することにより、反抗アンカリング及び固定を提供し得、微小な動きを低減し得、弁の内方成長の成果を促進し得る。
【0129】
図5A及び5Bは、一実施形態による、側方送達可能な(直交送達可能な)経カテーテル人工心臓弁502(本明細書では、「人工弁」または「弁」とも称される)の、それぞれ、側面斜視図及び分解組立図の例示である。いくつかの実装形態において、弁502は、例えば、自己僧帽弁の弁輪内で展開され得る。弁502は、弁502の流入端部を通る第1の方向への血流を可能にし、第1の方向とは反対の、弁502の流出端部を通る第2の方向への血流を遮断するように構成されている。弁502は、標的弁(例えば、ヒト心臓内)の弁輪に移植するための拡張構成と、送達カテーテル(図5A及び5Bには表示せず)を使用して身体内に導入するための圧縮構成との間で、圧縮可能であり、また拡張可能である。
【0130】
弁502は、弁輪外側支持フレーム510、及びその弁輪外側支持フレーム510内に装着された折り畳み可能な流れ制御構成要素550を含む。弁輪外側支持フレーム510(本明細書では、「外側フレーム」とも称される)は、ニッケルチタン合金などの形状記憶材料、例えばニチノールから作製され、したがって、圧縮構成から拡張構成への自己拡張構造体である。外側フレーム510の少なくとも一部分は、上述したような生体適合性カバー540によって、覆われ、巻き付けられ、及び/または取り囲まれている。
【0131】
外側フレーム510は、垂直または中心軸(y軸)の周りに及び/またはそれに沿って中心(内部)チャネル514に外接し、それを形成し、及び/または画定する経環及び/または本体部分512を有し、経環の上部縁端部、及び/または外側フレーム510の本体部分512の円周方向に取り付けられた心房カラー520を有する。外側フレーム510は、近位側519及び遠位側522を有する。
【0132】
折り畳み可能な(内部)流れ制御構成要素550は、覆われた、または覆われていないスペーサ530に隣接して外側フレーム510内に装着される。流れ制御構成要素550は、2つ以上の折り畳み領域、ヒンジ領域、結合領域、弾性変形可能領域等を有する内側フレーム552を有する。2~4つの可撓性リーフレット561のセットが、内側フレーム552の中またはその上に装着される。内部流れ制御構成要素550は、外側フレーム510と同様、折り畳み可能であり、圧縮可能である。流れ制御構成要素550は、内側フレーム552の中心軸または垂直軸(y軸)が外側フレーム510の中心軸(y軸)と同軸方向であるか、及び/またはそれに対して少なくとも平行である(例えば、それに対して平行であるが、それからオフセットされる)ように、外側フレーム510にまたはその内部に装着される。
【0133】
図5A及び5Bは、遠位固定要素532、近位固定要素534、前方固定要素535、及びスリーブ536を含む弁502をさらに示す。遠位固定要素532(例えば、超弾性ワイヤループ遠位タブ)は、外側フレーム510の遠位側522に結合され、及び/またはそれから延在し、近位固定要素534(例えば、超弾性ワイヤループ近位タブ)は、外側支持フレーム510の近位側519に結合され、及び/またはそれから延在する。いくつかの実施形態において、遠位固定要素532及び近位固定要素534は、外側フレーム510の本体部分512で一元的に構築されている一体型タブであり得る。前方固定要素535及びスリーブ536は、外側フレーム510の経環部分512の前方側上に装着される。前方固定要素535の少なくとも一部分は、スリーブ536内に配設される。固定要素532、534、及び/または535のサイズ及び形状は、変化し得る。例えば、いくつかの実施形態において、遠位固定要素532の形状は、僧帽弁のA1交連領域に合致するように構成され、近位固定要素534の形状は、僧帽弁のA3交連領域に合致するように構成され、前方近位固定要素535の形状は、僧帽弁のA2交連領域に合致するように構成される。
【0134】
いくつかの実施形態において、遠位固定要素532は、例えば、圧縮構成、短縮構成、及び/または折り畳み構成(例えば、第1の構成)と、延在構成または折り畳み解除構成(例えば、第2の構成)との間で移行され得る。延在構成において、遠位固定要素532は、それと関連付けられた自己僧帽弁及び/または脊索のP2及び/またはP3リーフレットの周りに到達し得、圧縮構成に移行されると、遠位固定要素532は、遠位固定要素532と、外側フレーム510の経環部分512との間で、自己組織、脊索等を捕捉及び/またはピン留めし得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、前方固定要素535は、第1の構成(例えば、後退された)と第2の構成(例えば、延在構成)との間で再構成可能である。いくつかの実装形態において、前方固定要素535は、弁502の展開中に弁輪下に(例えば、第2の構成に)延在され得(例えば、弁輪内に弁502を少なくとも部分的に着座させた後に)、その結果、前方固定要素535の一部分は、スリーブ536から延在して、自己リーフレット組織(例えば、A2リーフレット、組織、脊索等)に係合し、及び/または捕捉する。前方固定要素535は、前方固定要素535と、外側フレーム510の経環部分512との間に組織を捕捉及び固定するように、(例えば、第1の構成に)後退され得る。いくつかの実施形態において、遠位固定要素532及び/または前方固定要素535は、操縦可能なカテーテル及び/またはガイドワイヤを使用して、作動及び/または移行され得る。いくつかの実装形態において、ガイドワイヤを後退させることにより、遠位固定要素532及び/または前方固定要素535が、例えば、延在構成から後退構成または折り畳み構成に移行することを可能にし得る。
【0136】
図6A及び6Bは、一実施形態による、側方送達可能な(直交送達可能な)経カテーテル人工心臓弁602(本明細書では、「人工弁」または「弁」とも称される)の、それぞれ、側面斜視図及び分解組立図の例示である。いくつかの実装形態において、弁602は、例えば、自己僧帽弁の弁輪内で展開され得る。弁602は、弁602の流入端部を通る第1の方向への血流を可能にし、第1の方向とは反対の、弁602の流出端部を通る第2の方向への血流を遮断するように構成されている。弁602は、標的弁(例えば、ヒト心臓内の)の弁輪に移植するための拡張構成と、送達カテーテル(図6A及び6Bには表示せず)を使用して身体内に導入するための圧縮構成との間で、圧縮可能であり、また拡張可能である。
【0137】
弁602は、弁輪外側支持フレーム610、及びその弁輪外側支持フレーム610内に装着された折り畳み可能な流れ制御構成要素650を含む。弁輪外側支持フレーム610(本明細書では、「外側フレーム」とも称される)は、ニッケルチタン合金などの形状記憶材料、例えばニチノールから作製され、したがって、圧縮構成から拡張構成への自己拡張構造体である。外側フレーム610の少なくとも一部分は、上述したような生体適合性カバー640によって、覆われ、巻き付けられ、及び/または取り囲まれている。
【0138】
外側フレーム610は、垂直または中心軸(y軸)の周りに及び/またはそれに沿って中心(内部)チャネル614に外接し、それを形成し、及び/または画定する経環及び/または本体部分612を有し、経環の上部縁端部、及び/または外側フレーム610の本体部分612の円周方向に取り付けられた心房カラー620を有する。外側フレーム610は、近位側619及び遠位側622を有する。
【0139】
折り畳み可能な(内部)流れ制御構成要素650は、覆われた、または覆われていないスペーサ630に隣接して外側フレーム610内に装着される。流れ制御構成要素650は、2つ以上の折り畳み領域、ヒンジ領域、結合領域、弾性変形可能領域等を有する内側フレーム652を有する。2~4つの可撓性リーフレット661のセットが、内側フレーム652の中またはその上に装着される。内部流れ制御構成要素650は、外側フレーム610と同様、折り畳み可能であり、圧縮可能である。流れ制御構成要素650は、内側フレーム652の中心軸または垂直軸(y軸)が外側フレーム610の中心軸(y軸)と同軸方向であるか、及び/またはそれに対して少なくとも平行である(例えば、それに対して平行であるが、それからオフセットされる)ように、外側フレーム610にまたはその内部に装着される。
【0140】
図6A及び6Bは、遠位固定要素632、近位固定要素634、及び前方固定要素635を含む弁602をさらに示す。遠位固定要素632(例えば、超弾性ワイヤループ遠位タブ)は、外側フレーム610の遠位側622に結合され、及び/またはそれから延在し、近位固定要素634(例えば、超弾性ワイヤループ近位タブ)は、外側支持フレーム610の近位側619に結合され、及び/またはそれから延在する。いくつかの実施形態において、遠位固定要素632及び近位固定要素634は、外側フレーム610の本体部分612で一元的に構築されている一体型タブであり得る。図6A及び6Bに示す実施形態において、前方固定要素635は、固定要素535を参照して上述したように、スリーブ内には配設されていない。むしろ、前方固定要素635は、1つ以上の取り付け点638を介して、外側フレーム610の経環部分612の前方側の上に装着されている。
【0141】
固定要素632、634、及び/または635のサイズ及び形状は、変化し得る。例えば、いくつかの実施形態において、遠位固定要素632の形状は、僧帽弁のA1交連領域に合致するように構成され、近位固定要素634の形状は、僧帽弁のA3交連領域に合致するように構成され、前方近位固定要素635の形状は、僧帽弁のA2交連領域に合致するように構成される。
【0142】
いくつかの実施形態において、遠位固定要素632は、例えば、圧縮構成、短縮構成、及び/または折り畳み構成(例えば、第1の構成)と、延在構成または折り畳み解除構成(例えば、第2の構成)との間で移行され得る。延在構成において、遠位固定要素632は、それと関連付けられた自己僧帽弁及び/または脊索のP2及び/またはP3リーフレットの周りに到達し得、圧縮構成に移行されると、遠位固定要素632は、遠位固定要素632と、外側フレーム610の経環部分612との間で、自己組織、脊索等を捕捉及び/またはピン留めし得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、前方固定要素635は、第1の構成(例えば、後退構成)と第2の構成(例えば、延在構成)との間で再構成可能である。いくつかの実装形態において、前方固定要素635は、弁602の展開中に、弁輪下に(例えば、第2の構成に)延在され得、自己リーフレット組織(例えば、A2リーフレット、組織、脊索等)に係合し、及び/またはそれを捕捉する。前方固定要素635は、前方固定要素635と、外側フレーム610の経環部分612との間に組織を捕捉及び固定するように、(例えば、第1の構成に)後退され得る。いくつかの実施形態において、遠位固定要素632及び/または前方固定要素635は、操縦可能なカテーテル及び/またはガイドワイヤを使用して、作動及び/または移行され得る。いくつかの実装形態において、ガイドワイヤを後退させることにより、遠位固定要素632及び/または前方固定要素635が、例えば、延在構成から後退構成または折り畳み構成に移行することを可能にし得る。
【0144】
図7A~7Eは、遠位固定要素732による自己組織P1、P2の捕捉を示す、人工弁702の一連の例示である。図7Aは、遠位固定要素732が自己組織P1、P2に対する所望の位置に向かってガイドワイヤ785上を追跡することを示す。図7Bは、所望の位置内の遠位固定要素732、及びガイドワイヤ785の引き抜きを示す。遠位固定要素732は、ガイドワイヤ785が引き抜かれたときに、作動及び/または短縮する(例えば、遠位固定要素732は、形状記憶デバイス等であり得る)。図7Cは、遠位固定要素732が弁702の外側フレーム710の遠位壁に対して自己組織P1、P2を引っ張ることを示す。図7Dは、弁の内方成長を容易にし、微小な動きを低減するために、遠位固定要素732が外側フレーム710に対して自己組織を押し付ける状態で、自己組織P1、P2の捕捉及び弁702の固定の完了を示す。図7Eは、いくつかの実装形態において、遠位固定要素732が、弁702の実質的にすべてまたは比較的大きな部分の周りを巻き付けて、P1/A1、P2、及びP3/A3自己組織を捕捉するように構成され得ることを示す。
【0145】
図8は、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁802の上面図の例示である。人工弁802は、外側フレーム810、及びその中に装着された流れ制御構成要素850を有する。外側フレーム810は、自己弁輪(例えば、自己僧帽弁の弁輪)に合致し得るD字形状を有しながら偏心している。外側フレーム810はまた、多少大型にも設計され得る(例えば、手術前計画、及び手術中または手術前の撮像によって判定される場合、特定の患者の解剖学的構造の約10~15%だけ大型である)。
【0146】
外側フレーム810は、ガイドワイヤ885上を追跡し得る遠位固定要素832を含み、及び/またはそれに結合される。加えて、人工弁802及び/または外側フレーム810は、近位固定要素834、前方固定要素835、及び2つの後方固定要素837を含むか、またはそれらに結合される。図8はまた、固定要素832、834、835、及び/または837のいずれかに係合及び/または移行して自己リーフレット及び/または脊索を捕捉し得る位置決めツール890(例えば、ガイドワイヤカテーテルなどのカテーテル)も示す。いくつかの実装形態において、位置決めツール890は、最初、弁802を送達カテーテル(図示せず)から外に前進させ得、副次的に、弁輪、またはその弁輪に対して固定要素832、834、835、及び/または837のうちの1つ以上の内部で弁802を操縦及び/または位置決めを行うことができる。いくつかの実施形態において、後方固定要素837のうちの1つ以上は、弁802の周りで後方側に巻き付ける遠位固定要素832の一部分に係合及び/または接触するように構成され得る。そのような実施形態では、その1つ以上の後方固定要素837は、所望の(例えば、巻き付けられる)構成で、遠位固定要素832を固定し得る。
【0147】
図8は、いくつかの実施形態において、外側フレーム810は、遠位固定要素832に隣接する遠位安定化要素832Aを含み得ることをさらに示す。いくつかの実装形態において、遠位安定化要素832Aは、弁輪下組織に接触して、弁輪に対する弁802の望ましくない回転またはねじれを安定化し、低減し、及び/または最小限に抑え得る。
【0148】
図9Aは、一実施形態による、僧帽弁(MV)、三尖弁(TV)、大動脈弁(AV)、及び肺動脈弁(PV)の相対的な場所を示す、ヒト心臓の断面図の例示である。
【0149】
図9Bは、一実施形態による、僧帽弁にアクセスするために、右心房から左心房に横断する経中隔(経大腿/IVCまたはSVC)送達カテーテル972を有するヒト心臓の側面図の例示である。この送達カテーテル972を使用して、例えば、本明細書に記載されているもののうちのいずれかのような経カテーテル人工僧帽弁を直交送達または側方送達することができる。
【0150】
図10及び11は、一実施形態による、例えば、自己弁のP2場所にアクセスするために、IVCを介して自己弁にアクセスし、自己A2リーフレットの下及び/またはその周りを巻き付けることに関する、それぞれ、送達カテーテル1072(またはガイドワイヤ1085)の側面斜視図及び側面図の例示である。
【0151】
図12~16は、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁1102を、例えば、自己僧帽弁内に送達及び展開するプロセスの様々な例示である。図12は、一実施形態による、人工弁1102をA1リーフレットに誘導するガイドワイヤ1185を示し、その弁1102は、送達カテーテル1172内で圧縮構成の状態にある。人工弁1102は、遠位固定要素1132(及び、したがって、弁1102)を所望の展開場所に誘導するためのガイドワイヤ1185上に配設またはそれを通す遠位固定要素1132を含む。
【0152】
図13は、自己僧帽弁のA1場所で展開される遠位固定要素1132を示す。弁1102は、送達カテーテル1172から部分的に放出されている部分展開の段階で示されている。
【0153】
図14は、人工弁1102の外側フレーム1110、心房カラー1120、流れ制御構成要素1150、及びスペーサ130を示す。弁1102は、送達カテーテル1172から完全に放出され、僧帽弁の弁輪の周りの心房カラーのA1場所にある遠位固定要素132に対して、一時的に上向きの角度で位置決めされているように示されている。この斜めの位置決めにより、ポップオフ効果を回避し、人工弁1102が血流に関与する一方で、自己僧帽弁が動作し続けることを可能にする。近位固定要素1134は、弁1102の近位側が弁1102の近位側を固定する適所に押し込まれる前の弁輪の上方に示されている。
【0154】
図15は、自己弁輪(破線で示す)内で展開された人工弁1102を示す上面図である。図16は、自己弁輪(破線で示す)内で展開された人工弁1102を示す側面斜視図である。流れ制御構成要素1150は、外側フレーム1110内にオフセットされ、スペーサ1130に対して外側フレーム1110内の遠位方向に配設されるように示されている。遠位固定要素1132は、外側フレーム1110の経環部分に対して自己組織を固定するために、自己組織の一部分を巻き付けるように示されている。
【0155】
図17A及び17Bは、一実施形態による、例えば、自己僧帽弁(破線で示す)などの自己弁の弁輪内で展開された側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁1202の側面斜視図である。人工弁1202は、外側フレーム1210の中央チャネル内に装着された流れ制御構成要素1250と、その流れ制御構成要素1250に隣接して装着されたスペーサ1230と、を有する外側フレーム1210を含む。弁1202は、外側フレーム1210の遠位側に結合され、及び/またはその遠位側から延在する遠位固定要素1232と、外側フレーム1210の前方側に結合され、及び/またはその前方側から延在する前方固定要素1235と、をさらに含む。
【0156】
図17Aは、弁輪内に展開された弁1202を示し、遠位固定要素1232は、外側フレーム1210の経環部分に対して自己組織を固定するために、自己組織の一部分を巻き付けている状態である。前方固定要素1235は、例えば、A2リーフレット、脊索などの自己組織に係合するための延在構成にある状態で示されている。図17Bは、前方固定要素1235が外側フレーム1210の経環部分に対して、A2リーフレット、脊索、及び/または前方自己組織のうちの少なくとも一部分を固定する後退構成または圧縮構成にある前方固定要素1235を示す。
【0157】
図18A及び18Bは、一実施形態による、例えば、自己僧帽弁(破線で示す)などの自己弁の弁輪内で展開された側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁1302の側面斜視図である。この人工弁1302は、外側フレーム1310の中央チャネル内に装着された流れ制御構成要素1350と、流れ制御構成要素1350に隣接して装着されたスペーサ1330と、を有する外側フレーム1310を含む。弁1302は、外側フレーム1310の遠位側に結合され、及び/またはそれから延在する遠位固定要素1332と、外側フレーム1310の近位側に結合され、及び/またはそれから延在する近位固定要素1334と、外側フレーム1310の前方側に結合され、及び/またはそれから延在する前方固定要素1335と、をさらに含む。
【0158】
図18Aは、外側フレーム1310から延在し、かつ弁輪の遠位側上の自己組織に係合する遠位固定要素1332と、外側フレーム1310から延在し、かつ弁輪の近位側上の自己組織に係合する近位固定要素1334と、を有する、弁輪内に展開された弁1302を示す。前方固定要素1335は、例えば、A2リーフレット、脊索などの自己組織に係合するための延在構成にある状態で示されている。図18Bは、後退構成または圧縮構成にある前方固定要素1335を示し、そこでは、前方固定要素1335は、外側フレーム1310の経環部分に対して、A2リーフレット、脊索、及び/または前方自己組織のうちの少なくとも一部分を固定する。
【0159】
図19A及び19Bは、一実施形態による、例えば、自己僧帽弁(破線で示す)などの自己弁の弁輪内に展開された側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁1402の側面斜視図である。この人工弁1402は、外側フレーム1410の中央チャネル内に装着された流れ制御構成要素1450と、流れ制御構成要素1450に隣接して装着されたスペーサ1430と、を有する外側フレーム1410を含む。弁1402は、外側フレーム1410の遠位側に結合され、及び/またはそれから延在する遠位固定要素1432と、外側フレーム1410の近位側に結合され、及び/またはそれから延在する近位固定要素1434と、外側フレーム1410の前方側に結合され、及び/またはそれから延在する前方固定要素1435と、をさらに含む。
【0160】
図19Aは、弁輪内に展開された弁1402を示し、遠位固定要素1432が、自己組織の一部分を巻き付けて、外側フレーム1410の経環部分に対して自己組織を固定する。近位固定要素1334は、外側フレーム1310から延在し、かつ弁輪の近位側上の自己組織に係合することが示されている。前方固定要素1435は、例えば、A2リーフレット、脊索などの自己組織に係合するための延在構成にある状態で示されている。図19Bは、後退構成または圧縮構成にある前方固定要素1435を示し、そこでは、前方固定要素1435は、外側フレーム1410の経環部分に対して、A2リーフレット、脊索、及び/または前方自己組織のうちの少なくとも一部分を固定する。
【0161】
図20~24は、一実施形態による、例えば、自己僧帽弁内で側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁1502を送達及び展開するプロセスの様々な例示である。図20は、拡張構成にあり、かつ人工弁1502の外側フレーム1510から延在する遠位固定要素1532を有する人工弁1502の側面図である。外側フレーム1510はまた、心房カラー1520を含み、及び/またはそれに結合されていることも示されている。
【0162】
図21は、拡張構成にある人工弁1502の上面図であり、外側フレーム1510から延在する遠位固定要素1532と、外側フレーム1510に結合され、及び/またはその中に含まれる心房カラー1520と、外側フレーム1510の中央チャネル内に装着された流れ制御構成要素1550と、を示している。
【0163】
図22は、圧縮構成され、かつ送達から心臓の心房への送達カテーテル1572内に配設された人工弁1502の側面図である。弁1502は、弁1502が送達カテーテル1572の管腔を通って前進することを可能にする直交折り畳み構成及び/または圧縮構成の状態にある。
【0164】
図23は、展開のために送達カテーテル1572から部分的に解放された人工弁1502の側面図である。弁1502は、弁1502が送達カテーテル1572から解放されるときに、圧縮構成から拡張構成に移行するように構成されている。さらに、遠位固定要素1532は、弁1502から遠位方向に延在することが示されている。
【0165】
図24は、心臓の心房内に少なくとも部分的に配設された送達カテーテル1572の側面図であり、送達カテーテル1572から部分的に解放された弁1502とともに示されている。遠位固定要素1532は、自己組織(例えば、自己リーフレット(複数可)及び/または脊索)を捕捉するプロセスにおいて、ガイドワイヤ1585の上、及び/またはそれに沿って追跡することが示されている。
【0166】
図25A~25Eは、一実施形態による、側方送達される経カテーテル人工心臓弁1602を例示しており、圧縮構成に移行され、心臓の自己弁輪への経カテーテル送達のために送達カテーテル1672内に装填され、自己弁輪への展開のために送達カテーテル1672から部分的に解放されることが示されている。
【0167】
図25Aは、z軸に沿った(より広がった方から見ると、前から後ろに)折り畳み構成にある弁1602を示す。図25Aは、外側フレーム1610を示し、その外側フレーム1610の中央チャネル内には、流れ制御構成要素1650及びスペーサ1630が配設されている。遠位固定要素1632は、外側フレーム1610の遠位側から延在することが示されている。外側フレーム1610のカラー1620は、近位及び遠位ヒンジ点または折り畳み領域1619及び1622において折り畳まれ/扁平化されるように示されている。流れ制御構成要素1650は、折り畳まれ/扁平化される内側フレーム1652内に装着されているリーフレット1661を含むことが示されている。
【0168】
図25Bは、垂直に圧縮された構成にある弁1602を示す。例えば、弁1602は、横方向に折り畳まれ(例えば、z軸の方向に、外側フレーム1610のヒンジ点及び/または折り畳み領域1619及び1622において)、垂直に圧縮される(例えば、y軸の方向に)。流れ制御構成要素1650及びスペーサ1630もまた、折り畳まれ、かつ圧縮される。図25Bはまた、ガイドワイヤ1685も示しており、これは、遠位固定要素1632のガイドワイヤ結合器1633に通され得る。
【0169】
図25Cは、送達カテーテル1672に部分的に装填された弁1602を示す。外側フレーム1610、折り畳みカラー1620、スペーサ1630、ならびにリーフレット1661及び内側フレーム1652を有する流れ制御構成要素1650は、折り畳み及び圧縮構成の状態にあり、及び/または折り畳み及び圧縮構成に移行されている状態にある。
【0170】
図25Dは、折り畳み及び圧縮構成にある装填された弁1602を示す、送達カテーテル1672の端面図である。
【0171】
図25Eは、折り畳まれかつ圧縮された弁1602が送達カテーテル1672から解放され、自己弁輪内への展開のために折り畳み及び圧縮構成から拡張構成に移行し始めていることを示す。遠位固定要素1632のガイドワイヤ結合器1633は、ガイドワイヤ1685上に配設またはそれを通すことが示されている。
【0172】
図26A~26Cは、一実施形態による、側方送達される経カテーテル人工心臓弁1702を例示し、心臓の自己弁輪への経カテーテル送達のために、圧縮構成に移行され、送達カテーテル1772内に装填されていることが示されている。
【0173】
図26Aは、z軸に沿った(より広がった方から見ると、前から後ろに)折り畳み構成にある弁1702を示す。図26Aは、外側フレーム1710を示し、その外側フレーム1710の中央チャネル内には、流れ制御構成要素1750及びスペーサ1730が配設されている。遠位固定要素1732は、外側フレーム1710の遠位側から延在することが示されている。前方固定要素1735は、外側フレーム1710の前方側に装着されることが示されている。前方固定要素1735は、非延在構成または非作動構成にある。外側フレーム1710のカラー1720は、近位及び遠位ヒンジ点または折り畳み領域1719及び1722において折り畳まれ/扁平化されるように示されている。流れ制御構成要素1750は、折り畳まれ/扁平化される内側フレーム1752内に装着されているリーフレット1761を含むことが示されている。
【0174】
図26Bは、垂直に圧縮された構成にある弁1702を示す。例えば、弁1702は、横方向に折り畳まれ(例えば、z軸の方向に、外側フレーム1710のヒンジ点及び/または折り畳み領域1719及び1722において)、垂直に圧縮される(例えば、y軸の方向に)。流れ制御構成要素1750及びスペーサ1730もまた、折り畳まれ、かつ圧縮される。前方固定要素1735は、外側フレーム1710の垂直の圧縮に応答して、垂直に圧縮されることが示されている。図26Bはまた、ガイドワイヤ1785も示しており、これは、遠位固定要素1732のガイドワイヤ結合器1733に通され得る。
【0175】
図26Cは、送達カテーテル1772内に部分的に装填された弁1702を示す。前方固定要素1735、折り畳みカラー1720、スペーサ1730、ならびにリーフレット1761及び内側フレーム1752を有する流れ制御構成要素1750を有する外側フレーム1710は、折り畳み及び圧縮構成の状態にあり、及び/または折り畳み及び圧縮構成に移行されている状態にある。
【0176】
図27A~27Cは、一実施形態による、側方送達される経カテーテル人工心臓弁1802を例示し、心臓の自己弁輪への経カテーテル送達のために、圧縮構成に移行され、送達カテーテル1872に装填されることが示されている。
【0177】
図27Aは、z軸に沿った(より広がった方から見ると、前から後ろに)折り畳み構成にある弁1802を示す。図27Aは、外側フレーム1810を示し、その外側フレーム1810の中央チャネル内には、流れ制御構成要素1850及びスペーサ1830が配設されている。遠位固定要素1832は、外側フレーム1810の遠位側から延在することが示され、近位固定要素1834は、外側フレーム1810の近位側から延在することが示されている。外側フレーム1810のカラー1820は、近位及び遠位ヒンジ点または折り畳み領域1819及び1822において折り畳まれ/扁平化されるように示されている。流れ制御構成要素1850は、折り畳まれ/扁平化される内側フレーム1852内に装着されているリーフレット1861を含むことが示されている。
【0178】
図27Bは、垂直に圧縮された構成にある弁1802を示す。例えば、弁1802は、横方向に折り畳まれ(例えば、z軸の方向に、外側フレーム1810のヒンジ点及び/または折り畳み領域1819及び1822において)、垂直に圧縮される(例えば、y軸の方向に)。流れ制御構成要素1850及びスペーサ1830もまた、折り畳まれ、かつ圧縮される。前方固定要素1835は、外側フレーム1810の垂直の圧縮に応答して、垂直に圧縮されることが示されている。図27Bはまた、ガイドワイヤ1885も示しており、これは、遠位固定要素1832のガイドワイヤ結合器1833に通され得る。
【0179】
図27Cは、送達カテーテル1872に部分的に装填された弁1802を示す。外側フレーム1810、折り畳みカラー1820、スペーサ1830、ならびにリーフレット1861及び内側フレーム1852を有する流れ制御構成要素1850は、折り畳み及び圧縮構成の状態にあり、及び/または折り畳み及び圧縮構成に移行されている状態にある。
【0180】
図28A~28Cは、一実施形態による、側方送達される経カテーテル人工心臓弁1902を例示し、心臓の自己弁輪への経カテーテル送達のために、圧縮構成に移行され、送達カテーテル1972に装填されることが示されている。
【0181】
図28Aは、z軸に沿った(より広がった方から見ると、前から後ろに)折り畳み構成にある弁1902を示す。図28Aは、外側フレーム1910を示し、その外側フレーム1910の中央チャネル内には、流れ制御構成要素1950及びスペーサ1930が配設されている。遠位固定要素1932は、外側フレーム1910の遠位側から延在することが示され、近位固定要素1934は、外側フレーム1910の近位側から延在することが示されている。前方固定要素1935は、外側フレーム1910の前方側に装着されることが示されている。前方固定要素1935は、非延在構成または非作動構成にある。外側フレーム1910のカラー1920は、近位及び遠位ヒンジ点または折り畳み領域1919及び1922において折り畳まれ/扁平化されるように示されている。流れ制御構成要素1950は、折り畳まれ/扁平化される内側フレーム1952内に装着されているリーフレット1961を含むことが示されている。
【0182】
図28Bは、垂直に圧縮された構成にある弁1902を示す。例えば、弁1902は、横方向に折り畳まれ(例えば、z軸の方向に、外側フレーム1910のヒンジ点及び/または折り畳み領域1919及び1922において)、垂直に圧縮される(例えば、y軸の方向に)。流れ制御構成要素1950及びスペーサ1930もまた、折り畳まれ、かつ圧縮される。前方固定要素1935は、外側フレーム1910の垂直の圧縮に応答して、垂直に圧縮されることが示されている。図28Bはまた、ガイドワイヤ1985も示されており、これは、遠位固定要素1932のガイドワイヤ結合器1933に通され得る。
【0183】
図28Cは、送達カテーテル1972に部分的に装填された弁1902を示す。前方固定要素1935、折り畳みカラー1920、スペーサ1930、ならびにリーフレット1961及び内側フレーム1952を有する流れ制御構成要素1950を有する外側フレーム1910は、折り畳み及び圧縮構成の状態にあり、及び/または折り畳み及び圧縮構成に移行されている状態にある。
【0184】
図29A~29Cは、一実施形態による、側方送達される経カテーテル人工心臓弁2002を例示し、心臓の自己弁輪への経カテーテル送達のために、圧縮構成に移行され、送達カテーテル2072に装填されていることが示されている。
【0185】
図29Aは、z軸に沿った(より広がった方から見ると、前から後ろに)折り畳み構成にある弁2002を示す。図29Aは、外側フレーム2010を示し、その外側フレーム2010の中央チャネル内には、流れ制御構成要素2050及びスペーサ2030が配設されている。遠位固定要素2032は、外側フレーム2010の遠位側から延在することが示され、近位固定要素2034は、外側フレーム2010の近位側から延在することが示されている。前方固定要素2035は、外側フレーム2010の前方側に装着されることが示されている。前方固定要素2035は、非延在構成または非作動構成にある。外側フレーム2010のカラー2020は、近位及び遠位ヒンジ点または折り畳み領域2019及び2022において折り畳まれ/扁平化されるように示されている。流れ制御構成要素2050は、折り畳まれ/扁平化される内側フレーム2052内に装着されているリーフレット2061を含むことが示されている。
【0186】
図29Bは、垂直に圧縮された構成にある弁2002を示す。例えば、弁2002は、横方向に折り畳まれ(例えば、z軸の方向に、外側フレーム2010のヒンジ点及び/または折り畳み領域2019及び2022において)、垂直に圧縮される(例えば、y軸の方向に)。流れ制御構成要素2050及びスペーサ2030もまた、折り畳まれ、かつ圧縮される。前方固定要素2035は、外側フレーム2010の垂直の圧縮に応答して、垂直に圧縮されることが示されている。図29Bはまた、ガイドワイヤ2085も示されており、これは、遠位固定要素2032のガイドワイヤ結合器2033に通され得る。
【0187】
図29Cは、送達カテーテル2072に部分的に装填された弁2002を示す。前方固定要素2035、折り畳みカラー2020、スペーサ2030、ならびにリーフレット2061及び内側フレーム2052を有する流れ制御構成要素2050を有する外側フレーム2010は、折り畳み及び圧縮構成の状態にあり、及び/または折り畳み及び圧縮構成に移行されている状態にある。
【0188】
図30~33は、一実施形態による、流れ制御構成要素の内側リーフレットフレーム2152を例示する。図30は、内側リーフレットフレーム2152の上面斜視図の例示である。いくつかの実施形態において、内側リーフレットフレーム2152は、横方向の接続点2165及び2166(例えば、折り畳み部分、弾性変形可能部分、結合縁端部分等)において結合される2つの別個のワイヤフレームシートまたは部材で形成される。内側リーフレットフレーム2152は、拡張構成またはシリンダ構成にあることが示されている(例えば、折り畳まれる、及び/または圧縮される前に)。
【0189】
図31は、部分的に折り畳まれた構成にある内側リーフレットフレーム2152を示す。内側リーフレットフレーム2152は、少なくとも横方向の接続点2165及び2166において回転またはヒンジを可能にするワイヤフレーム側壁とともに示されている。内側リーフレットフレーム2152は、弁が送達のために折り畳まれ、及び/または圧縮されることに応答して示されるように、折り畳むように構成され得る。図32は、完全に折り畳まれた構成にある内側リーフレットフレーム2152を示す。ワイヤフレーム側壁は、それらの横方向の接続点2165及び2166において回転され、ヒンジされ、及び/または折り畳まれている。
【0190】
図33は、折り畳まれ、かつ垂直に圧縮される構成から圧縮構成への状態にある内側リーフレットフレーム2152を示す。ワイヤフレーム側壁は、内側フレーム2152の弾性圧縮を可能にするように圧縮の方向に配向され得るセル(例えば、菱形成形されたセル等)を形成することができる。いくつかの実施形態において、内側フレーム2152は、プリーツまたは蛇腹(圧縮)構成に垂直に圧縮され得る。
【0191】
図34~40は、一実施形態による、内部流れ制御構成要素2250の1つ以上の部分を例示する。図34は、流れ制御構成要素の内側リーフレットフレーム2252の側面図の例示である。内側リーフレットフレーム2252は、シリンダ構造にさらに組み立てられる前に、線状ワイヤフレームシートとして構成され、及び/または、ないし線状ワイヤフレームシートを形成する。図35は、シリンダ構造もしくは構成(または円錐構造もしくは構成)にある内側リーフレットフレーム2252を示し、線状ワイヤフレームシートの縁端部分は、横方向の接続点2265及び2266(例えば、ヒンジ領域、折り畳み領域等)において接続または結合される。さらに、内側リーフレットフレーム2252は、線状シート構成からシリンダ構造または構成に拡張(例えば、駆動、形成、屈曲等)され得る。
【0192】
図36及び37は、シリンダリーフレット構成要素への組み立ての前に、また内側フレーム2252の上及び/またはその中に装着して折り畳み式(折り畳み可能、圧縮可能な)流れ制御構成要素2250を形成する前に、構造バンド2264内に縫い付けられたリーフレットポケット2261を有する心膜組織の構造バンド2264を例示する、それぞれ、側面図及び底面図である。
【0193】
図38は、シリンダリーフレット構成への組み立て後に、構造バンド2264に縫い込まれたリーフレットポケット2261を有する心膜組織で形成された構造バンド2264の側面斜視図の例示であり、リーフレットポケット2261は、構造バンド2264の内面上に配設されている。
【0194】
図39は、構造バンド2264内に縫い込まれた単一のリーフレットポケット2261を示す、心膜組織の構造バンド2264の一部の側面斜視図の例示である。リーフレットポケット2261は、開放縁端部2263が外側に延在し、縫い込まれた縁端部2262が取り付けを提供する閉鎖された上部放物線縁端部を形成するように、リーフレットポケット2261が構造バンド2264に部分的に接合する状態で示されている。
【0195】
図40は、流れ制御構成要素2250の底面図の例示である。シリンダ構造バンド2264及びリーフレット構成要素2261は、部分的接合が、閉鎖された流体シールを形成しつつある状態で示されている。
【0196】
図41A~41Dは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁、及び/またはその外側フレームを、送達のための圧縮構成に移行させるプロセスを示す様々な図を例示する。
【0197】
図41Aは、シリンダ構成にある弁2302の外側フレーム2310の上面斜視図の例示であり、外側フレーム2310の折り畳み及び圧縮のプロセスの最初の部分が示されている。図41Aには示されていないが、いくつかの実装形態において、外側フレーム2310は、折り畳み及び圧縮の前に、外側フレーム2310の中央チャネル内に流れ制御構成要素2350を受容することができる(例えば、外側フレーム2310及び流れ制御構成要素が、一緒に折り畳み、圧縮、及び送達される)。他の実装形態において、外側フレーム2310は、流れ制御構成要素とは独立して送達され得る。そのような実装形態では、流れ制御構成要素は、折り畳み及び圧縮の同様のプロセスを経ることができ、送達後に外側フレーム2310内に装着され得る(例えば、心臓の心房内に)。
【0198】
図41Bは、部分的に折り畳まれた構成にある外側フレーム2310の上面斜視図であり、外側フレーム2310の側壁が横方向の接続点またはヒンジ点2319及び2322において回転またはヒンジしている状態である。図41Cは、完全に折り畳まれた扁平構成にある外側フレーム2310の側面図であり、フレーム側壁は、それらの横方向の接続点またはヒンジ点2319及び2322において回転またはヒンジされている状態である。図41Dは、折り畳まれ、かつ垂直に圧縮された構成にある外側フレーム2310の側面図であり、フレーム側壁は、プリーツまたは蛇腹構成で垂直に圧縮されている状態である。いくつかの実装形態において、折り畳み及び圧縮構成にある外側フレーム2310は、外側フレーム2310が送達カテーテルを介して送達されることを可能にするサイズを有し得る。
【0199】
図42A~42Cは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁及び/またはその外側フレームを、送達のための圧縮構成に移行させるプロセスを示す様々な図を例示する。図42Aは、部分的に折り畳み構成にある弁の外側フレーム2410の上面斜視図であり、外側フレーム2410の側壁は、横方向の接続点またはヒンジ点2419及び2422において回転またはヒンジしている状態である。外側フレーム2410は、外側フレーム2410が折り畳み及び圧縮構成に移行されたときに、収縮または屈曲するように構成され得る前方固定要素2435を少なくとも含む。図42Bは、完全に折り畳まれた扁平構成にある外側フレーム2410の側面図であり、フレーム側壁は、それらの横方向の接続点またはヒンジ部分2419及び2422において回転またはヒンジされている状態である。図42Cは、折り畳まれ、かつ垂直に圧縮された構成にある外側フレーム2410の側面図であり、フレーム側壁は、プリーツまたは蛇腹構成で垂直に圧縮されている状態である。前方固定要素2435は、外側フレーム2410が圧縮されたときに、同様に垂直に圧縮される。いくつかの実装形態において、折り畳み及び圧縮構成にある外側フレーム2410は、外側フレーム2410が送達カテーテルを介して送達されることを可能にするサイズを有し得る。
【0200】
図43A~43Cは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁及び/またはその外側フレームを、送達のための圧縮構成に移行させるプロセスを示す様々な図を例示する。図43Aは、部分的に折り畳まれた構成にある弁の外側フレーム2510の上面斜視図であり、外側フレーム2510の側壁は、横方向の接続点またはヒンジ点2519及び2522において回転またはヒンジする状態である。外側フレーム2510は、少なくとも、遠位固定要素2532及び近位固定要素2534を含む。遠位固定要素2532は、外側フレーム2510が身体内の所望の場所に前進することを可能にするためのガイドワイヤ(図示せず)の一部分を受容し得、及び/またはその周りに配設され得るガイドワイヤ結合器2533を含む。図43Bは、完全に折り畳まれた扁平構成にある外側フレーム2510の側面図であり、フレーム側壁は、それらの横方向の接続点またはヒンジ領域2519及び2522において回転またはヒンジされている状態である。図43Cは、折り畳まれ、かつ垂直に圧縮された構成にある外側フレーム2510の側面図であり、フレーム側壁は、プリーツまたは蛇腹構成で垂直に圧縮された状態である。いくつかの実装形態において、折り畳み及び圧縮構成にある外側フレーム2510は、外側フレーム2510が送達カテーテルを介して送達されることを可能にするサイズを有し得る。遠位固定要素2532及び近位固定要素2534の配列は、固定要素2532及び2534が実質的に長手方向に(例えば、x軸に沿って)延在するようになり得、したがって、送達中は、折り畳み解除状態及び/または非圧縮状態のままであり得る。
【0201】
図44A及び44Bは、一実施形態による弁2602を例示する。図44Aは、圧縮構成にある状態で示され、送達カテーテル2672内に配設された(例えば、直交装填された)弁2602の上面図の例示である。弁2602は、x軸に沿って前方に延在する遠位固定要素2632、及び後方に延在するかまたはx軸に沿って後に続く近位固定要素2634を有する外側フレーム2610を含む。流れ制御構成要素2650は、外側フレーム2610内に配設されることが示されている。図44Bは、送達カテーテル2672から部分的に解放された弁2602の上面図の例示である。遠位固定要素2632は、弁2602を(ガイドワイヤ2685に沿って)展開場所に誘導することが示されている。流れ制御構成要素2650は、開き始めていることが示され、3つのリーフレット2661のうちの2つが、折り畳まれた疑似扁平構成から開いているところであり、第3のリーフレットが、送達カテーテル2672内にあるときにそれ自体の上に折り返される折り畳み構成から開いているところであることを示す。
【0202】
図45及び46は、一実施形態による、自己組織を捕捉するために、側方送達可能な経カテーテル人工弁2702の遠位固定要素を使用するプロセスを示す例示である。場合によっては、プロセスは、(1)折り畳み可能で、圧縮可能な直交人工僧帽弁2702(図26)を提供するステップと、(2)弁2702の側路を送達カテーテル2772内に装填するステップと、(3)遠位固定要素2732に通される予め配置されたガイドワイヤ2785の上を、IVCまたはSVCを介して、弁2702を心臓まで前進させるステップと、を含み得る。次いで、このプロセスは、(4)弁2702の遠位固定要素2732の直線状の端部を、送達カテーテル2772から部分的に放出することと、(5)ガイドワイヤ2785を部分的に引く抜くことによって、例えば、P2リーフレット及び/または脊索を捕捉して、短縮させるか、または遠位固定要素2732が予め湾曲した、付勢された、もしくは元の構成に短縮させることを可能にすることと、(図46)、(6)弁2702を部分的に放出して、一組の人工リーフレットが機能し、弁の周囲漏れ(PVL)をチェックし始めることを可能にすることと、(7)自己弁の弁輪内に弁2702を位置決めすることと、(8)自己弁輪への弁2702の展開を完了させることと、を続ける。
【0203】
図47~49は、一実施形態による側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁2802の側面斜視図であり、展開のプロセスを例示する。図47は、折り畳まれ、圧縮され、及び/または非作動の位置内に前方固定要素2835を有する弁2802を示す。前方固定要素2835は、任意の数の取り付け点2838を介して、弁2802(またはその外側フレーム)の前方側に装着される。位置決めツール2890(例えば、操縦可能なカテーテル/ガイドワイヤ)は、前方固定要素2835の係合部分2939を展開することが示されている。
【0204】
図48は、前方固定要素2835の係合部分2839を延在位置に載置して、リーフレット組織を係合及び/または捕捉する位置決めツール2890を示す。取り付け点2838は、前方固定要素2835の一部分を固定し、これにより、係合部分2839が延在されたときに、ばね反発力を生成して、係合部分2839と、弁2802の外側フレームの一部分との間に掴まえられた組織を捕捉する。図49は、折り畳み構成及び/または圧縮構成に戻された前方固定要素2835を示し、前方リーフレット組織及び/または脊索の一部分は、係合部分2839と外側フレームとの間に配設されている状態である。
【0205】
図50A~50Dは、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁内に収容される前方固定要素2935の様々な図を例示し、それぞれ、第1の構成、第2の構成、第3の構成、及び第4の構成で示される。図50Aは、係合部分2939を有し、かつ展開前にスリーブ2936内に少なくとも部分的にしまわれた前方固定要素2935を示す。取り付け点2938は、係合部分2939に隣接して示され、前方固定要素2935を、弁の外側フレーム、及び/またはスリーブ2936に装着するように構成され、それらは、次いで外側フレームに装着される。図50Bは、中心(y)軸に沿って、心室の方向に延在された前方固定要素2935を示す。取り付け点2938は、前方固定要素2935の係合部分2939の上方に位置決めされる。係合部分2939は、弁輪下位置に畳み込まれ、及び/または延在されない状態で示されている。図50Cは、前方組織を捕捉するために、完全に折り畳み解除された前方固定要素2935を示す。取り付け点2938は、前方固定要素2935の係合部分2939の上方に位置決めされる。係合部分2939は、自己組織を捕捉するために、弁輪下位置に折り畳み解除され、かつ延在された状態で示されている。図50Dは、組織(図示せず)が外側フレームの外壁に対してピン留めされる、組織捕捉後の折り畳み位置及び/または後退位置での前方固定要素2935を示す。後退位置において、取り付け点2938は、前方固定要素2935の係合部分2939に比較的隣接して位置決めされる。係合部分2939は、部分的な折り畳み解除構成、及び/または部分的な延在構成(例えば、捕捉構成)にある状態で示されている。
【0206】
図51A~51Gは、各々が異なる実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁の一部分を自己組織に固定するための様々なアンカー及び/またはアンカーループ構成の側面斜視図を例示する。アンカー及び/またはアンカーループ構成は、例えば、前方固定要素、及び/または人工弁の任意の他の好適な固定要素に含まれ得る。例えば、図51Aは、ポスト型フック3039を示し、図51Bは、ループ型フック3139を示し、図51Cは、パドル型フック3239を示し、図51Dは、ダブルループ型フック3339を示し、図51Eは、フッター型フック3439を示し、図51Fは、取捨選択可能な止めナット3531を有する屈曲ループ型フック3539、及び図51Gは、取捨選択可能な止めナット3651を有する屈曲ループ型フック3639を示す。
【0207】
図52及び53は、一実施形態による、遠位固定要素3732、近位固定要素3732、及び複数の前方固定要素3735A及び3735Bを有する側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁3702の側面斜視図である。弁3702は、心房カラー3720、及び外側フレーム3710の中央チャネル内に装着された流れ制御構成要素3750を有する外側フレーム3710を有する。遠位固定要素3732は、外側フレーム3710の遠位側から延在し、弁3702を所望の場所に送達するためのガイドワイヤを受容し得、及び/またはそれを通し得るガイドワイヤ結合器3733を含む。遠位固定要素3732は、弁輪の遠位側に弁輪下の固定を提供し得、いくつかの実装形態においては、自己弁の後方側または部分の周りを巻き付けることができる。近位固定要素3734は、外側フレーム3710の近位側から延在し、弁輪の近位側に弁輪下の固定を提供する。弁3702は、外側フレーム3710の前方側に装着された2つの前方固定要素3735A及び3735Bを含む。図52は、折り畳み構成、非延在構成、及び/または非作動構成にある2つの前方固定要素3735A及び3735Bを示す。図53は、前方自己組織及び/または脊索に係合及び/または捕捉するための延在構成にある2つの前方固定要素3735A及び3735Bを示す。前方固定要素3735A及び3735Bは、延在構成から後退して、外側フレーム3710に対して自己組織及び/または脊索を固定及び/またはピン留めすることができる。
【0208】
図54は、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁3802の側面図である。弁3802は、例えば、勾配剛性の遠位固定要素3832を有し、この遠位固定要素は、弁3802の外側フレーム3810の近くまたは隣接する位置または部分においてはより柔らかい剛性、及び外側フレーム3810から離れた一部分または部分においてはより硬い剛性を有する。弁3802は、オフセットされた流れ制御構成要素3850を有して示されている。弁3802は、勾配剛性を有する遠位固定要素3832有して示されているが、他の実施形態において、弁3802は、勾配剛性を有する遠位固定要素3832、及び/または同様のもしくは異なる勾配剛性を有する近位固定要素を含み得る。
【0209】
図55Aは、一実施形態による側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁3802の側面図である。弁3902は、外側フレーム3910の遠位側から延在する遠位固定要素3932、及び外側フレーム3910の近位側から延在する近位固定要素3934を有する外側フレーム3910を含む。流れ制御構成要素3950は、外側フレーム3910の中央チャネル内のオフセットされた位置に装着されて示されている。固定要素3932及び3934は、例えば、弁3902の外側フレーム3910の周りを巻き付ける単一の部品構造体である。図55Bは、自己弁の弁輪内に展開された弁3902を示す心臓の切取側面図である。固定要素3932及び3934は、協調して動作し、例えば、下向きの方向に弁3902に固定力を提供する。
【0210】
図56Aは、一実施形態による側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁3802の側面図である。弁4002は、外側フレーム4010の遠位側から延在する遠位固定要素4032、及び外側フレーム4010の近位側から延在する近位固定要素4034を有する外側フレーム4010を含む。流れ制御構成要素4050は、外側フレーム4010の中央チャネル内のオフセットされた位置に装着されて示されている。固定要素4032及び4034は、例えば、各々が外側フレーム4010の一部分の周りを巻き付ける独立した要素であり、自己組織に係合し得る部分またはフックを含む。図56Bは、自己弁の弁輪内に展開された弁4002を示す心臓の切取側面図である。固定要素4032及び4034は、例えば、脊索などの自己組織の周りを巻き付ける部分またはフィンガーを有して示されている。いくつかの実装形態において、固定要素4032及び4034は、自己脊索内で絡みつくようになり得、内方成長を促進し、アンカーを固定し得る。
【0211】
図57Aは、一実施形態による側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁3802の側面斜視図である。弁4102は、外側フレーム4110の遠位側から延在する遠位固定要素4132、及び外側フレーム4110の近位側から延在する近位固定要素4134を有する外側フレーム4110を含む。流れ制御構成要素4150は、外側フレーム4110の中央チャネル内のオフセットされた位置に装着されて示されている。固定要素4132及び4134は、例えば、各々が外側フレーム4110の一部分の周りを巻き付ける要素とは独立であり、自己組織に係合し得る湾曲したループ部分及び/または端部を含む。図57Bは、自己弁の弁輪内に展開された弁4102を示す心臓の切取側面図である。固定要素4132及び4134は、例えば、脊索などの自己組織の周りを巻き付けて、内方成長を促進し、アンカーを固定する湾曲したループ部分または端部を有して示されている。
【0212】
図58Aは、一実施形態による、例えば、自己弁のA1-P1標的領域へのアクセスを提供するガイドワイヤ送達カテーテル4287の例示である。ガイドワイヤ4285は、ガイドワイヤ送達カテーテル4287の側方ポートから外に延在し得、所望の場所(例えば、A1-P1標的場所)に弁を位置決めするための経路を提供することができる。図58Bは、ガイドワイヤ送達カテーテル4287の一部分の拡大図の例示である。
【0213】
図59は、一実施形態による、例えば、心臓の心房へのアクセスを提供する送達カテーテル4372の例示である。送達カテーテル4372は、例えば、心房内に配設された端部(例えば、心房方向に露出された端部)を有する28Fr送達カテーテルであり得る。円周方向のバルーン4373は、送達カテーテル4372を心房壁に一時的に固定するために、送達カテーテル4372の心房に露出した端部の周りを膨張した状態で示されている。
【0214】
図60は、一実施形態による、心臓の部屋に延在するガイドワイヤ送達カテーテル4487を示す心臓の一部分の切取側面図である。ガイドワイヤ送達カテーテル4487は、自己弁輪を通って左心室内に延在して示されている。ガイドワイヤ4485は、ガイドワイヤ送達カテーテル4487から標的A1-P1部分に延在して示されている。図61は、ガイドワイヤ送達カテーテル4487の拡大断面図である。ガイドワイヤ送達カテーテル4487は、ガイドワイヤ4485が、自己組織に外傷を引き起こすことなく、ガイドワイヤ送達カテーテル4487の遠位端部から外へ延在することを可能にするための側方ポート4489を画定及び/または包含する非外傷性閉鎖端部448を有して、示されている。
【0215】
図62は、一実施形態による、側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁4502の側面斜視図である。弁4502は、中隔テザーを有して示されており、その中隔テザーは、弁の端部でアンカー4593(例えば、パドル型アンカー等)に取り付けられた比較的剛性のある細長い部材4592を含む。その中隔テザーは、IVCから左心房までの経中隔送達のために使用される経中隔穿刺の中にアンカー4593を載置することによって、例えば、自己僧帽弁の弁輪内に、展開された弁4502の位置を維持するために、使用され得る。図63は、自己僧帽弁の弁輪内に、展開された弁4502の場所を示す心臓の切取図である。
【0216】
図64は、一実施形態による、心臓の左心房に挿入されたガイドワイヤ送達カテーテル4687(または位置決めツール)を示す心臓の切取図である。ガイドワイヤ4685は、ガイドワイヤ送達カテーテル4687から延在して示されている。ガイドワイヤ4685の遠位端部は、左心室の空いている壁に固定するための鍵様の組織把持特徴4695を備えるドッキングレセプタクル4694とともに示されている。図65は、左心室の空いている壁に固定されたドッキングレセプタクル4694を示す心臓の拡大切取図である。
【0217】
図66は、一実施形態による、自己弁の弁輪内に側方送達可能な経カテーテル人工心臓弁を展開する方法10を例示するフローチャートである。人工弁は、本明細書に開示される弁のいずれであり得る。例えば、弁は、(i)遠位固定要素、近位固定要素、及び/または前方固定要素(複数可)のうちの1つ以上を有する外側フレームと、(ii)弁の流入端部を通る単一方向への血流を可能にし、かつ弁の流出端部を通る反対の方向への血流を遮断するように構成された、外側フレーム内に装着された流れ制御構成要素と、を有し得る。弁は、例えば、側方送達または直交送達を介して、送達され得る。例えば、弁は、本明細書及び/または‘957PCTに詳細に記載されるプロセス及び/または方法のいずれかにより送達され得る。
【0218】
方法10は、11において、自己弁の弁輪によって画定された平面を通って、かつ自己弁の自己リーフレットの後方に、ガイドワイヤを心房に前進させることを含む。いくつかの実装形態において、自己弁は、自己三尖弁または自己僧帽弁であり得る。12において、人工弁は、直交圧縮構成の状態で、送達カテーテルの管腔を通って、ガイドワイヤに沿って、心房内に前進する。例えば、いくつかの実施形態において、人工弁は、例えば、ガイドワイヤ結合器を有する遠位固定要素を含み得、そのガイドワイヤ結合器は、ガイドワイヤの上または周りに係合し得、及び/または配設され得る。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ結合器は、ガイドワイヤを受容するように構成された開口部を画定する、遠位固定要素の端部に配設された非外傷性のボールであり得る。
【0219】
13において、人工弁は、送達カテーテルから解放されて、人工弁の少なくとも一部分が、人工弁の遠位固定要素が拡張構成にある状態で、延在構成に移行することを可能にする。いくつかの実施形態において、例えば、遠位固定要素は、再構成可能な固定要素であり得、その再構成可能な固定要素は、送達中及び/または展開中に、延在構成にあり得、圧縮構成または折り畳み構成に移行するように構成されて、人工弁を自己弁の弁輪内に固定することができる。
【0220】
14において、人工弁は、ガイドワイヤに沿って前進して、遠位固定要素を自己リーフレットの後方の位置に載置し、人工弁を自己弁の弁輪内に着座させる。例えば、自己弁は、自己三尖弁であり得、自己リーフレットは、後方(例えば、P2)リーフレットであり得る。15において、ガイドワイヤは、引き抜かれて、遠位固定要素を延在位置から折り畳み位置に解放し、これにより、遠位固定要素が自己リーフレットまたは脊索のうちの少なくとも一方を捕捉し、自己リーフレットまたは脊索を、遠位固定要素と人工弁の外壁との間に固定することを可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、遠位固定要素は、ガイドワイヤが引き抜かれたときに、折り畳み位置に戻り得、付勢され、自己折り畳みし、及び/または自己短縮する固定要素であり得る。いくつかの実施形態において、遠位固定要素は、所望の量の自己組織及び/または脊索を捕捉するのに十分な長さを有し得、それによって、人工弁の少なくとも遠位端部を自己弁輪内に固定する。
【0221】
当業者に明白であろうように、その精神及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形を行うことができる。本明細書において列挙される方法及び装置に加えて、本開示の範囲内の機能的に同等の方法及び装置は当業者には明白であろう。このような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲の条件、及びそのような特許請求の範囲が権利を与えられる同等物の全範囲によってのみ制限されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物学的システムに限定されるものではなく、当然ながら変わり得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0222】
様々な実施形態が上で説明されているが、それらは例としてのみ、限定されずに提示されていることが理解されるべきである。上記の方法がある特定の順序で発生するある特定のイベントを示す場合、ある特定のイベントの順序は変更され得る。追加的に、ある特定のイベントは、可能であれば並列処理で同時に実行されてもよく、ならびに上記のように順次実行されてもよい。
【0223】
上述の概略図及び/または実施形態が、ある特定の向きまたは位置に配置されたある特定の構成要素を示す場合、構成要素の配置は変更され得る。実施形態は具体的に示され、説明されているが、形態及び詳細の様々な変更が行われ得ることを理解されたい。本明細書に記載の装置及び/または方法のいかなる部分も、互いに排他的な組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。
【0224】
本明細書に記載される実施形態は、記載される異なる実施形態の機能、構成要素、及び/または特徴の様々な組み合わせ及び/またはサブ組み合わせを含むことができる。上述の様々な開示された特徴、ならびに他の特徴及び機能、またはそれらの代替物は、多くの他の異なるシステムまたはアプリケーションに組み合わされ得る。それらにおける現在予測されていないまたは予期されていない様々な代替物、修正、変形、または改善が、当業者によってその後行われてもよく、これらの各々はまた、開示された実施形態によって包含されることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図25D
図25E
図26
図27
図28
図29
図30
図31
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図33
図34
図35
図36
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図38
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図40
図41A
図41B
図41C
図41D
図42A
図42B
図42C
図43A
図43B
図43C
図44A
図44B
図45
図46
図47
図48
図49
図50A
図50B
図50C
図50D
図51A
図51B
図51C
図51D
図51E
図51F
図51G
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58A
図58B
図59
図60
図61
図62
図63
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図65
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【国際調査報告】