(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-12
(54)【発明の名称】選択的細胞アブレーションのための波形発生器と制御
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
A61B18/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555456
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(85)【翻訳文提出日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 US2020022582
(87)【国際公開番号】W WO2020190693
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フォーサイス、ブルース アール.
(72)【発明者】
【氏名】キャナディ、ラリー ディ.ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ゴルジツキ、ジョナサン タイラー
(72)【発明者】
【氏名】オストルート、ティモシー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ、ホン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK24
4C160KK26
4C160KK30
4C160KK32
4C160KK36
4C160KK63
4C160MM32
(57)【要約】
アブレーションを実行するための方法及び装置に関する。いくつかの実施例では、アブレーション送達システムは、治療送達で使用するためにコンデンサスタックの別個の電圧レベルにアクセスできるように構成される。電流制御出力と電圧制御出力の間で切り替え可能なアブレーション治療システムについて説明する。調整可能な相間又はパルス間遅延を使用して患者を治療する方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の電気的切除に使用するためのエネルギーを生成するためのデバイスにおいて、
電圧源と、
少なくとも第1のコンデンサ及び1つ以上の追加のコンデンサを有するコンデンサバンクと、
前記コンデンサバンクを複数の出力ノードに結合する出力段であって、
第1の出力が第1のコンデンサ及び1つ以上の追加のコンデンサを含むように、又は、第2の出力が前記第1のコンデンサを除き、かつ前記1つ以上の追加のコンデンサのうちの少なくとも1つを含むように規定されるべく、前記コンデンサスタックに結合されている、電力セレクタスイッチペアであって、前記第1の出力が前記第2の出力よりも高い電圧になる、電力セレクタスイッチペアと、
複数の電極セレクタスイッチペアであって、それぞれの前記電極セレクタスイッチペアが前記複数の出力ノードの1つに関連付けられ、それぞれの電極セレクタスイッチペアは、前記電力セレクタスイッチペアに結合されたハイサイドスイッチと、基準電位に結合されたローサイドスイッチとを含んでなる、前記複数の電極セレクタスイッチペアとを備える出力段とを備える、デバイス。
【請求項2】
前記複数の出力ノードに結合されたフィードバック回路であって、前記フィードバック回路は1つ以上の出力ノードを通る電流を検出及び定量化するための1つ以上の電流センサを備えたフィードバック回路と、前記フィードバック回路、前記電力セレクタスイッチペア、及び前記複数の電極セレクタスイッチペアに結合された制御ノードとをさらに備え、前記制御ノードは前記1つ以上の電流センサを使用して電気的切除を制御する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記フィードバック回路は、出力のピーク電流を検出して、前記デバイス構成要素への損傷を防止する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記フィードバック回路は、出力の平均電流を検出して、送達された治療の特性を決定する、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
複数の出力ノードに結合されたフィードバック回路であって、1つ以上の出力ノードを通る電圧を検出及び定量化するための1つ以上の電流センサを備えた前記フィードバック回路と、前記フィードバック回路、前記電力セレクタスイッチペア、及び前記複数の電極セレクタスイッチペアに結合された制御ノードとを備え、前記制御ノードは前記1つ以上の電流センサを使用して電気的切除を制御する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
治療送達中に組織特性を追跡するためにインピーダンスを監視するための1つ以上の電圧及び/又は電流センサを含むフィードバック回路をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
組織の電気的切除に使用するためのエネルギーを生成するためのデバイスにおいて、
電圧源と、
少なくとも第1のコンデンサ及び1つ以上の追加のコンデンサを有するコンデンサバンクであって、複数の出力源として動作するために複数の場所でアクセス可能であるコンデンサバンクと、
前記コンデンサバンクを複数の出力ノードに結合する出力段であって、
複数の場所で前記コンデンサスタックに結合された複数の電力セレクタスイッチであって、前記複数の電力セレクタスイッチは、前記コンデンサバンクへの独立した同時アクセスを可能にして、同一の、又は異なる電圧レベルで複数の出力を引き出す、前記複数の電力セレクタスイッチと、
複数の電極セレクタスイッチペアであって、それぞれの前記電極セレクタスイッチペアが前記複数の出力ノードの1つに関連付けられ、それぞれの電極セレクタスイッチペアは、前記電力セレクタスイッチペアに結合されたハイサイドスイッチと、基準電位に結合されたローサイドスイッチとを含んでなる、前記複数の電極セレクタスイッチペアとを備える出力段とを備える、デバイス。
【請求項8】
前記複数の出力ノードに結合されたフィードバック回路であって、前記フィードバック回路は1つ以上の出力ノードを通る電流を検出及び定量化するための1つ以上の電流センサを備えたフィードバック回路と、前記フィードバック回路、前記電力セレクタスイッチペア、及び前記複数の電極セレクタスイッチペアに結合された制御ノードとをさらに備え、前記制御ノードは前記1つ以上の電流センサを使用して電気的切除を制御することに適する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
複数の出力ノードに結合されたフィードバック回路であって、1つ以上の出力ノードを通る電流を検出及び定量化するための1つ以上の電流センサを備えた前記フィードバック回路と、前記フィードバック回路、前記電力セレクタスイッチペア、及び前記複数の電極セレクタスイッチペアに結合された制御ノードとを備え、前記制御ノードは前記1つ以上の電流センサを使用して電気的切除を制御する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
治療送達中に組織特性を追跡するためにインピーダンスを監視するための1つ以上の、電圧センサ及び電流センサのうちの少なくとも一方を含むフィードバック回路をさらに備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記出力段が前記コンデンサバンクから前記出力ノードまでの複数の経路を規定し、少なくとも1つの経路が、前記経路に出入りするように切り替え可能な電流制御回路を含み、前記電流制御回路のうちの1つを一定の経路に切り替えることによって、定電流出力を使用するようにデバイスを構成する、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記出力段が前記出力ノードから基準電位までの複数の経路を規定し、少なくとも1つの経路が、前記経路に出入りするように切り替え可能な電流制御回路を含み、前記電流制御回路のうちの1つを一定の経路に切り替えることによって、定電流出力を使用するようにデバイスを構成する、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記制御回路が定電力出力を供給する、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記制御回路が定電圧出力を供給する、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイスと、切除される組織内又はその近くに挿入又は接触して配置するためのプローブとを含んでなる、組織を切除するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は選択的細胞アブレーションのための波形発生器と制御に関する。
【背景技術】
【0002】
病変組織の除去又は破壊は、多くの癌治療法の目標である。腫瘍は外科的に除去してもよいが、より侵襲性の低いアプローチが多くの注目を集めている。組織切除は、体内の望ましくない組織を破壊する低侵襲な方法である。切除は、熱的であってもよく、又は非熱的であってもよい。
【0003】
熱的切除は、望ましくない細胞を破壊するために、熱を加えるか、又は熱を除去する。たとえば、冷凍切除は、細胞外区画を凍結させることによって、-15℃で細胞の脱水を開始させ、さらに低温で膜破裂を生じさせることによって細胞を殺す。冷凍切除は、患者の抗腫瘍免疫反応を(有益に)刺激することが公知である。
【0004】
加熱に基づく熱切除は、組織を破壊するために加熱する。無線周波数(RF:Radio-frequency)熱切除、マイクロ波切除及び高密度焦点式超音波療法は、それぞれ、局所組織の温度を身体の正常な37℃よりもかなり上に上げるために用いることができる。たとえば、RF熱切除は、摩擦によって熱に変換される細胞膜の振動を誘発するために高周波電界を用いる。細胞温度が50℃に達すれば細胞死は30秒で起こり、より高い温度では細胞死は瞬時に起こる。しかしながら、加熱に基づく切除は、冷凍切除に伴う望ましい免疫反応を引き起こさない可能性がある。
【0005】
加熱又は冷却を用いる熱切除技術は、それぞれ、治療領域の正常構造を助ける能力をほとんどあるいはまったく持たないという欠点がある。血管構造、神経構造又は他の構造への二次的な損傷は望ましくない。したがって、様々な研究者が、非熱切除も探求してきた。
【0006】
非熱切除技術は、電気化学療法及び不可逆的電気穿孔を含む。電気穿孔とは、高電圧パルス電界にさらされた細胞の細胞膜が、脂質二重層の不安定化により一時的に透過性になる現象を指す。次いで、少なくとも一時的に孔が形成される。電気化学療法は、孔の形成と、細胞死をもたらす化学物質の導入とを組み合わせている。用いる化学分子が大きいため、電界を受ける細胞のみがその化学物質を吸収し、その後死ぬため、治療ゾーンに有用な選択性をもたらす。不可逆的電気穿孔(IRE:Irreversible electroporation)は、化学物質を省き、代わりに通常は振幅が大きい電界を用い、回復点を超えて細胞膜の孔を拡大させるため、利用できる細胞膜がないために細胞死を引き起こす。印加電界の空間特性は、どの細胞及び組織が影響を受けるかを制御するため、熱技術と比較して、治療ゾーンでのより優れた選択性を可能にする。
【0007】
電気(熱的か否かにかかわらず)切除技術を用いる場合の課題の1つは、局所筋肉刺激に関するものである。単相波形は、一定の細胞死を引き起こす点で、IREにより優れた結果をもたらすと考えられている。しかしながら、単相波形は、とりわけ筋肉刺激を引き起こす傾向にあり、手術を容易にするために麻痺薬の使用を必要とする。二相波形は、筋肉刺激を回避するが、単相波形と同じエネルギーレベル及び振幅、又は同じエネルギーレベルもしくは振幅では同等に有効ではない可能性がある。二相波形をより有効にするために、単に電力を上げることは、熱切除を引き起こすリスクがある。筋肉刺激を回避しながら、IREのための単相刺激と同等に有効な使用波形を可能にし、それによって単相治療と二相治療の両方の利点を得るための、最新技術の強化と代替手段が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、とりわけ、解決されるべき問題は、筋肉刺激を回避しながら、高い効力及び組織選択性を組み合わせた切除療法の提供であることを認識した。以下に示されるいくつかの例は、そのような改善に向けられた例示的な信号発生器、システム、及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の非限定的な例は、電圧源と、少なくとも第1のコンデンサ及び1つ以上の追加のコンデンサを有するコンデンサバンクと、コンデンサバンクを複数の出力ノードに結合する出力段とを備えた、組織の電気的切除に使用するためのエネルギーを生成するためのデバイスの形態をとる。出力段は、第1の出力が第1のコンデンサ及び1つ以上の追加のコンデンサを含むように、又は、第2の出力が第1のコンデンサを除き、かつ1つ以上の追加のコンデンサのうちの少なくとも1つを含むように規定されるために、コンデンサスタックに結合されている、電力セレクタスイッチペアを含んでなり、第1の出力が第2の出力よりも高い電圧になるように、かつ、複数の電極セレクタスイッチペアは、それぞれが複数の出力ノードの1つに関連付けられ、各電極セレクタスイッチペアは、電力セレクタスイッチペアに結合されたハイサイドスイッチ及び基準に結合されたローサイドスイッチを含む。
【0010】
第1の非限定的な例に加えて又は代替として、デバイスは、複数の出力ノードに結合されたフィードバック回路であって、1つ以上の出力ノードを通る電流を検出及び定量化するための1つ以上の電流センサを備えたフィードバック回路と、フィードバック回路、電力セレクタスイッチペア、及び複数の電極セレクタスイッチペアに結合された制御ノードとを備え、1つ以上の電流センサを使用して電気的切除を制御する。追加的又は代替的に、フィードバック回路は、デバイスの構成要素への損傷を防ぐために出力のピーク電流を検出するように構成され得る。追加的又は代替的に、フィードバック回路は、出力の平均電流を検出して、送達された治療の特性を決定するように構成され得る。
【0011】
第1の非限定的な例に加えて又は代替として、デバイスは、複数の出力ノードに結合されたフィードバック回路であって、1つ以上の出力ノードで電圧を検出及び定量化するための1つ以上の電圧センサを含むフィードバック回路と、フィードバック回路、電力セレクタスイッチペア、及び複数の電極セレクタスイッチペアに結合された制御ノードとを備え、電気的アブレーションを制御するために1つ以上の電圧センサを使用する。
【0012】
第1の非限定的な例に加えて又は代替として、デバイスは、治療送達中に組織特性を追跡するためにインピーダンスを監視するための1つ以上の電圧及び/又は電流センサを含むフィードバック回路をさらに含み得る。
【0013】
第2の非限定的な例は、電圧源と、少なくとも第1のコンデンサ及び1つ以上の追加のコンデンサを有するコンデンサバンクであって、前記コンデンサバンクは複数の出力源として駆動することができる複数の位置からアクセス可能である、コンデンサバンクと、コンデンサバンクを複数の出力ノードに結合する出力段とを備えた、組織の電気的切除に使用するためのエネルギーを生成するためのデバイスの形態をとる。出力段は、複数の場所でコンデンサスタックに結合された複数の電力セレクタスイッチであって、同一の、又は異なる電圧レベルで複数の出力を引き出すために、コンデンサバンクに独立して同時にアクセスできる複数の電力セレクタスイッチと、複数の電極セレクタスイッチペアであって、それぞれが複数の出力ノードの1つに関連付けられ、各電極セレクタスイッチペアは、電力セレクタスイッチペアに結合されたハイサイドスイッチと、基準電位に結合されたローサイドスイッチとを含んでなる複数の電極セレクタスイッチペアとを備える。
【0014】
第2の非限定的な例に加えて、又は代替として、デバイスは、複数の出力ノードに結合されたフィードバック回路であって、1つ以上の出力ノードを通る電流を検出及び定量化するための1つ以上の電流センサを備えたフィードバック回路と、フィードバック回路、電力セレクタスイッチペア、及び複数の電極セレクタスイッチペアに結合された制御ノードとを備え、1つ以上の電流センサを使用して電気的切除を制御する。
【0015】
第2の非限定的な例に加えて又は代替として、デバイスは、複数の出力ノードに結合されたフィードバック回路であって、1つ以上の出力ノードで電流を検出及び定量化するための1つ以上の電圧センサを含むフィードバック回路と、フィードバック回路、電力セレクタスイッチペア、及び複数の電極セレクタスイッチペアに結合された制御ノードとを備え、電気的切除を制御するために1つ以上の電圧センサを使用する。
【0016】
第2の非限定的な例に加えて又は代替として、デバイスは、治療送達中に組織特性を追跡するためにインピーダンスを監視するための1つ以上の電圧及び/又は電流センサを含むフィードバック回路をさらに含み得る。
【0017】
第1又は第2の非限定的な例に加えて又は代替として、出力段は、コンデンサバンクから出力ノードへの複数の経路を規定することができ、少なくとも1つの経路は、経路の出入りを切り替えることができる電流制御回路を含み、電流制御回路の1つを一定の経路に切り替えると、定電流出力を使用するようにデバイスが構成される。
【0018】
第1又は第2の非限定的な例に加えて又は代替として、出力段は、出力ノードから基準電位までの複数の経路を定義することができ、少なくとも1つの経路は、経路に出入りを切り替えることができる電流制御回路を含み、電流制御回路の1つを一定の経路に切り替えると、定電流出力を使用するようにデバイスを構成する。
【0019】
第1又は第2の非限定的な例に加えて又は代替的に、制御回路は、一定の電力出力、あるいは、一定の電圧出力を提供するように構成され得る。
別の例は、第1又は第2の非限定的な例のいずれかのようなデバイスと、切除される組織に挿入するか、又は組織と接触して配置するためのプローブとを含む、組織を切除するためのシステムの形態をとる。
【0020】
第3の例示的かつ非限定的な例は、切除療法を使用して患者を治療する方法であって、第1の極性の第1の相及び第1の極性の反対の第2の極性の第2の相を含む二相性電気出力の出力パラメータを設定することを含む、治療方法の形態を取る。第1の相と第2の相の間に定義されたパルス間の間に、a)出力パラメータを使用して二相性電気出力を患者に供給し、筋肉反応が発生するか否かを観察する工程と、b)筋反応が観察されない場合は、パルス間期間を延長して出力パラメータを変更する工程と、筋肉の反応が観察されるまで、又は事前定義された最大パルス間期間が使用されるまで、工程a)及びb)を繰り返す工程とを備え、筋肉反応が観察された場合、治療的パルス間期間を、筋肉反応が観察されたパルス間期間の一部又は短縮として設定し、又は、最大パルス間期間が使用される場合、治療パルス間周期を最大パルス間周期に設定し、治療パルス間期間を含む一連の治療パラメータを使用して、患者に治療を提供する。
【0021】
第4の例示的かつ非限定的な例は、切除療法を使用して患者を治療する方法の形態をとる。治療方法は、パルス幅及び振幅を有する電気出力の出力パラメータを設定する工程と、出力パラメータを使用して患者に電気出力を提供する工程と、提供された出力に応答して筋肉反応が発生するか否かを観察する工程とを備え、a)筋肉の反応が観察されない場合は、電気出力のパルス幅又は振幅の少なくとも1つを増やすことによって出力パラメータを変更する工程と、b)筋肉の反応が観察された場合、電気回路のパルス幅又は振幅の少なくとも1つを減らすことによって出力パラメータを変更する工程とのうちの少なくとも1つを備え、工程a)及びb)のいずれかで変更された出力パラメータを使用して、再び患者に電気出力を供給する。
【0022】
第5の例示的かつ非限定的な例は、切除療法を使用して患者を治療する方法であって、第1の極性の第1の相及び第1の極性の反対の第2の極性の第2の相を含む二相性電気出力の出力パラメータを設定することを含む、治療方法の形態を取る。第1の相と第2の相の間に定義されたパルス間の間に、出力パラメータを使用して二相性電気出力を患者に供給し、筋肉反応が発生するか否かを観察する工程と、a)筋反応が観察されない場合は、パルス間期間を延長して出力パラメータを変更する工程と、b)筋肉反応が観察された場合、パルス間期間を短くして出力パラメータを変更する工程とを備え、工程a)及びb)の1つで修正された出力パラメータを使用して、再び二相性電気出力を患者に送達する。
【0023】
第6の例示的かつ非限定的な例は、切除療法を使用して患者を治療する方法であって、第1の極性の第1の相及び第1の極性の反対の第2の極性の第2の相を含む二相性電気出力の出力パラメータを設定することを含む、治療方法の形態を取る。第1の相と第2の相の間に定義されたパルス間の間に、出力パラメータを使用して二相性電気出力を患者に供給し、筋肉反応が発生するか否かを観察する工程と、筋反応が観察されないことを判定し、及び、パルス間期間を延長して出力パラメータを変更する工程と、パルス間期間が延長された出力パラメータを使用して、再び二相性電気出力を患者に送達する工程とを備える。
【0024】
第7の例示的かつ非限定的な例は、切除療法を使用して患者を治療する方法であって、第1の極性の第1の相及び第1の極性の反対の第2の極性の第2の相を含む二相性電気出力の出力パラメータを設定することを含む、治療方法の形態を取る。第1の相と第2の相の間に定義されたパルス間の間に、出力パラメータを使用して二相性電気出力を患者に供給し、筋肉反応が発生するか否かを観察する工程と、筋反応が生じたことを判定し、及び、パルス間期間を短縮して出力パラメータを変更する工程と、パルス間期間が短縮された出力パラメータを使用して、再び二相性電気出力を患者に送達する工程とを備える。
【0025】
第3~第7の非限定的な例に加えて又は代替として、筋肉応答が発生するか否かを観察する工程は、送達された二相性電気出力に応答して、目に見える動き、又は治療プローブの移動のうちのいずれか1つが発生するか否かを視覚的に観察するシステムユーザによって実行され得る。
【0026】
第3~第7の非限定的な例に加えて、又は代替として、筋肉反応が起こるか否かを観察する工程は、患者の体内又は上に配置された加速度計の出力を監視することによって実行され得る。
【0027】
第3~第7の非限定的な例に加えて、又は代替として、筋反応が起こるか否かを観察する工程は、患者の筋組織の筋電位を検出することを含み得る。
第3~第7の非限定的な例に加えて、又は代替として、筋肉反応が起こるか否かを観察する工程は、患者から主観的なフィードバックを得ることを含み得る。
【0028】
第8の非限定的な例は、切除療法を患者に送達する方法の形態をとり、以下のように、所定の期間内に治療パルス列を送達することを含む。第1の電圧及び第1の持続時間を有する第1のパルスを送達する。第1のパルス中に電流を検出する。第2の電圧及び持続時間を有する第2のパルスを送達し、第1の電圧は第2の電圧に等しくなく、第1の持続時間は第2の持続時間に等しくないが、第1の電圧及び第1の持続時間の積は実質的に第2の電圧と第2の持続時間の積に等しい。第2のパルス中に電流を検出する。第1のパルスの間に送達される電荷の量が、第2のパルスの間に送達される電荷の量と等しくないことを判定する。そして、所定の期間が満了する前に、第1のパルスの電荷量と第2のパルスの電荷量との間の差によって引き起こされる電荷の不均衡を除去するために、少なくとも1つの追加のパルスを送達する。
【0029】
第8の非限定的な例に加えて又は代替として、少なくとも1つの追加のパルスは、第1及び第2のパルスの少なくとも1つが遭遇するインピーダンスを決定することによって計算される、第3の電圧及び第3の持続時間を有する電圧制御パルスであり得る。
【0030】
第8の非限定的な例に追加的又は代替的に、少なくとも1つの追加のパルスは電流制御パルスであり得るが、第1及び第2のパルスは電圧制御パルスである。
第9の例示的かつ非限定的な例は、組織の電気的切除に使用するためのエネルギーを生成するためのデバイスの形態をとる。デバイスは、電圧源と、切除エネルギーを供給するのに使用される電圧源からのエネルギーを貯蔵するためのコンデンサバンクと、電圧源が供給できるよりも高い電圧で電圧源からコンデンサバンクにエネルギーを供給するための電圧変換回路と、コンデンサバンクを複数の出力ノードに結合する出力段と、デバイスでの使用に適合されたプローブから検出された信号を受信するための検出回路と、検出回路からのフィードバックを使用して、コンデンサバンク、電圧変換回路、及び出力段を制御するように構成された制御回路とを有する。ここで、制御回路は、第3~第8の非限定的な例のいずれかと同様の方法を実行するように構成される。
【0031】
第9の非限定的な例に加えて、又は代替として、検出回路は、熱センサを有するプローブと共に使用するように構成され得、制御回路は、プローブの熱センサによって検出された温度に関連する検出回路からデータを受信するように構成され、出力段によって生成された治療信号の1つ以上のパラメータを変更する。
【0032】
第9の非限定的な例に加えて又は代替的に、検出回路は、光学能力を有するプローブと共に使用するように構成され得、制御回路は、プローブの光学能力を使用して観察される組織の色の変化に関連する検出回路からデータを受信するように構成され、出力段によって生成された治療信号の1つ以上のパラメータを変更する。さらに別の例では、検出回路は、光源及び光検出器を含み得、その結果、検出回路は、光信号をプローブの光学能力に向け、プローブから組織反射率を示す光信号を受信することができる。
【0033】
第9の非限定的な例に加えて、又は代替として、検出回路は、トランスデューサを有するプローブと共に使用するように構成され得、したがって、プローブトランスデューサを駆動するための駆動回路を含み、プローブトランスデューサから信号を受信するようにさらに適合される。さらに別の例では、駆動回路は、組織の流体密度の変化を検出するために、プローブ内の超音波トランスデューサに超音波周波数出力を発行するように構成され得る。さらに別の例では、駆動回路は、MEMSベースの加速度計を駆動するように構成され得、検出回路は、心音を検出するために、MEMSベースの加速度計から信号を受信するように構成される。さらに別の例では、駆動回路は、MEMSベースの加速度計を駆動するように構成され得、検出回路は、MEMSベースの加速度計から信号を受信して筋収縮を検出するように構成される。さらに別の例では、駆動回路は、MEMSベースの加速度計を駆動するように構成され得、検出回路は、MEMSベースの加速度計から信号を受信して、切除に関連する音響信号を検出するように構成される。
【0034】
この概要は、本件特許出願の主題の紹介を提供することを目的としている。本発明の排他的又は網羅的な説明を提供することを意図するものではない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれている。
【0035】
必ずしも縮尺どおり描かれているわけではない図面において、同じ数字は、異なる図において同様な構成要素を示すことができる。異なる文字の接尾語を持つ同じ数字は、同様な構成要素の異なる例を示すことができる。図面は、例として一般的に説明するものであって、本文書で説明されている様々な実施形態を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】電界強度とパルス持続時間の組み合わせに関連する様々な治療モダリティの近似を示す図。
【
図5】従来技術である「LeVeen(登録商標)」ニードルを示す図。
【
図10】周囲に電極を有する標的組織を示すブロック図。
【
図11】例示的な時分割多重治療出力を示すブロック図。
【
図12】治療を構成及び/又はテストするための方法を示すフローチャート。
【
図13A】信号発生器の例示的な出力及びフィードバック回路を示すブロック図。
【
図13B】信号発生器の例示的な出力及びフィードバック回路を示すブロック図。
【
図13C】信号発生器の例示的な出力及びフィードバック回路を示すブロック図。
【
図13D】信号発生器の例示的な出力及びフィードバック回路を示すブロック図。
【
図14A】例示的なパルス生成回路を示すブロック図。
【
図14B】例示的なパルス生成回路を示すブロック図。
【
図15】例示的なユーザインターフェースを示すブロック図。
【
図16A】検出された電荷の不均衡を補正した不均衡な波形を使用する治療の提供方法を示すブロック図。
【
図16B】検出された電荷の不均衡を補正した不均衡な波形を使用する治療の提供方法を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、送達される電気パルスの振幅-時間関係に依る様々な生物物理学的応答の近似を示す。細胞応答間の閾値(10、20、30)は、一般に、印加電界強度とパルス持続時間との関数として機能する。第1閾値10未満では効果は生じない。第1閾値10と第2閾値20との間では可逆的電気穿孔が生じる。第2閾値20超第3閾値30未満では、主として不可逆的電気穿孔(IRE)が生じる。第3閾値30超では、主として組織の加熱によってもたらされる熱的な効果が出始める。したがって、たとえば、一定の電界強度と持続時間では効果がない可能性があるが(位置12)、電界印加の持続時間が長くなれば、可逆的電気穿孔(位置22)と、不可逆的電気穿孔(位置32)と、熱切除(位置40)とが起こり得る。
【0038】
米国特許第6,010,613号に記載されているように、可逆的電気穿孔を引き起こすためには、約1ボルトの範囲の膜電位が必要である。しかしながら、タイミング及び持続時間などのパルスパラメータと、可逆的電気穿孔に必要となる膜電位との間の関係については、依然として活発に研究が行われている。治療される細胞の特性に応じて必要な電界は異なる可能性がある。マクロレベルでは、可逆的電気穿孔は、1センチメートルあたり数百ボルトのレベルの電圧を必要とするが、不可逆的電気穿孔では、より高い電圧を必要とする。例として肝臓組織のin vivo電気穿孔を考慮すれば、米国特許8,048,067号に記載されているように、可逆的電気穿孔の閾値電界強度は約360V/cmの可能性があり、不可逆的電気穿孔の閾値電界強度は約680V/cmの可能性がある。一般的に言って、治療される組織の大部分を通じてこのような効果を得るために、複数の個々のパルスが送達される。たとえば、2、4、8又は16以上のパルスが送達されてもよい。いくつかの実施形態において、数百のパルスを送達してもよい。
【0039】
電気穿孔のための電界は、通常は、1~数百マイクロ秒の範囲の持続時間をそれぞれが有する一連の個々のパルスを送達することによって印加されている。たとえば、米国特許第8,048,067号は、
図1の線20と線30との間の領域が実際に存在し、いくつかの実験において、1秒間隔で送達される一連の800マイクロ秒のパルスを用いて非熱IRE治療を実現することができることを示すために行った分析と実験を記載している。
【0040】
組織膜は、穿孔状態から静止状態まで瞬時には復帰しない。そのため、時間的に近接するパルスの印加は、たとえば米国特許第8,926,606号に記載されているように、累積効果を有し得る。さらに、米国特許出願公開第2007/0025919号に記載されているように、一連のパルスは、最初に細胞膜に穿孔を生成させ、次いで生成された可逆的な孔を通して大分子を移動させるために使用することができる。
【0041】
図2~
図4は、細胞への電界の印加の様々な影響を示す。可逆的電気穿孔閾値未満の電界強度では、
図2に示すように、細胞60の細胞膜62はそのまま維持され、孔は生じない。
図3に示すように、より高い電界強度では、可逆的電気穿孔閾値超不可逆的電気穿孔閾値未満で、細胞70の膜72は孔74を発生させる。印加電界とパルス形状の特性に応じて、大小の孔74が生じることが可能であり、発生した孔は、長い時間又は短い時間持続する可能性がある。
【0042】
図4に示すように、さらに高い電界強度では、不可逆的電気穿孔閾値超で、細胞80は、多くの孔84、孔86を伴う膜82を有するようになっている。高振幅又は高出力レベルでは、孔84、孔86は、大きくなりすぎるため、かつ、数が多くなりすぎるため、又はそのいずれか一方のため、細胞が回復できない可能性がある。
図4に示されるように、孔は細胞80の左側及び右側に空間的に集中し、細胞膜が印加電界に平行となる領域88には孔がほとんど又はまったくないことにも注目してよい(ここでは、電界は、
図4で示された細胞の右側及び左側に配置される電極間で印加されていると想定している)。これは、電界が、細胞膜に対して直交せずに平行に近いため、領域88の膜電位が低いままであることによるものである。
【0043】
図5は、従来技術の「レビーン(LeVeen、登録商標)」ニードルを示す。米国特許第5,855,576号に記載されているように、この機器は、患者110の標的組織112にアクセスしたあとに伸長又は収縮させることができる複数の組織穿刺電極102に延びているシャフト104を有する挿入可能部分100を含む。この装置の近位端には、電源108への電気配線106が接続されており、RFエネルギーを供給するために使用することができる。
【0044】
通常は、レビーンニードルは、標的組織への熱切除を送達するために使用される。たとえば、’576特許に記載されているように、プレート(単数又は複数)の形態でのリターン電極は、患者の皮膚上に配置してもよく、リターン電極は、他の組織穿刺電極として設置することが可能であり、また、リターン電極は、組織穿刺電極102の近位の、その遠位端の近くのシャフト104上に設置してもよい。
【0045】
元の設計に対する機能強化は、たとえば、複数の電極の作動はもちろん、別々に電気的に活性化する電極の個々の作動の両方に関して、組織穿刺電極102の独立した作動を説明している米国特許第6,638,277号において見つけることができる。特許第5,855,576号及び第6,638,277号は、様々なプローブを示すために参照によって本願に組み込まれる。米国仮特許出願第62/620,873号(その開示は、様々な治療送達プローブを示すものとして参照によって本願に組み込まれる)は、電極のスペーシング、サイズ及び選択における自由度を可能にするレビーンニードル概念の更新及び強化を開示している。
【0046】
図6~
図8は、様々な波形の特徴を示す。
図6について言えば、単相波形は150で示されている。波形150は、ベースライン又は等電位152に対して示されている。理想的な方形波は、振幅154、パルス幅156及びサイクル長158を有することが示されている。波形150は、ベースライン152から指定された振幅154まで垂直に上昇する理想的な方形波として示されている。このような波形を説明するとき、周波数は、通常はサイクル長158の逆数を示す。したがって、たとえば、1マイクロ秒のパルス幅156を有する波形が2マイクロ秒間隔158で送達される場合、その波形の「周波数」は、500kHz(2マイクロ秒の逆数)と記載してもよい。波形150は、電流制御又は電圧制御波形であってもよい。以下でさらに詳しく述べるように、様々な例において、いずれのアプローチを使用してもよい。
【0047】
任意の実際の印加において、生成された波形のエッジは丸くされ、ベースライン152からの上昇は、
図7に示すようにさらに丸くされ、162で示されるベースラインからの上方剥離は、立ち上がり時間160が特徴となる。出力の終わりに、立ち下がり時間166を特徴とする非理想的な立ち下がり164もある。波形の実際の印加は、示されているように、臨界減衰信号又は過減衰信号のエッジの信号出力が不足減衰か又は丸くされている場合にたとえば振幅のオーバーシュートを含む可能性のある、ピーク振幅のいくらかの変動も含む。
【0048】
いくつかの例において、1つ以上の立ち上がり時間160又は立ち下がり時間166を操作することができる。例示的な例において、システムの出力回路構成は、抵抗器、インダクタなどの、その回路に切り替えた場合に立ち上がり時間を遅らせることができる選択可能な要素を含んでもよい。たとえば、インダクタを流れる電流は瞬時には変化することはできず、したがって、誘導素子を出力回路に切り替えることによって、インダクタが電流を流し始めるときに立ち上がり時間を遅くすることができる。
【0049】
立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、いくつかの異なる方法で操作してもよい。たとえば、プロセス設定は、ピーク電圧目標を変更するように選択してもよい。高い目標は、様々な構成要素が指数関数的に応答して、出力回路がオンになるか、又はそれに切り替えられるため、速い立ち上がり時間をもたらすことができる。出力を監視することによって、システムはピーク電圧目標を人工的に増加させて立ち上がり時間を減少させることができ、真のピーク電圧に達すると、システムは、電圧源を切り替えるか、又は出力レギュレーションを使用して(整流器の使用か、又は個々の放電経路による出力電流のリダイレクトなどによる)、電圧出力に制限を加えてもよい。他の例において、様々な立ち上がり時間及び立ち下がり時間を示す様々なHVスイッチタイプを備える、システムに使用可能かつ選択可能な複数の様々なHVスイッチを備えることなどによる構成要素選択を行ってもよい。たとえば、それぞれが様々な立ち上がり/立ち下がり特性を示す3つの出力スイッチが使用可能な場合、システムは、特定の治療出力セッション中に使用するための適切な出力スイッチを選択することにより、長いか又は短い立ち上がり時間/立ち下がり時間を要求するユーザ入力に応答してもよい。ハイパス又はローパスフィルタリングは、スルーレートを制御するための出力回路に切り替えてもよく、又は制御信号回路に切り替えてもよい。たとえば、出力トランジスタの低速ターンオンは、トランジスタそれ自身の立ち上がり時間を遅くすることができ、逆に出力トランジスタの高速ターンオンは、立ち上がり時間を速めることができる。他の例において、立ち上がり時間又は立ち下がり時間のデジタル化制御を可能にする出力回路として、デジタル-アナログ変換器を使用してもよい。さらに別の例において、デジタル‐アナログ変換器によって出力スイッチへの制御信号を生成することができ、それによって、出力回路構成それ自身へのオン/オフ信号を操作することができる。さらに別の例において、本件明細書のいくつかの実施例に示したコンデンサスタック出力を使用して、迅速な立ち上がり時間は、コンデンサスタックの最上部からの1つのスイッチング出力(又は所望の目標レベル)を用いて達成されてもよく、また、遅い立ち上がり時間は、コンデンサスタックのすべてよりも小さい出力を用いて出力を順にオンさせ、次いでさらにコンデンサスタックを出力に追加することによって達成されてもよい。出力回路構成における適切に配置されたダイオードは、このような操作時のコンデンサスタックの新しく追加された部分の逆電流又は短絡を防止する。
【0050】
図8は、今回は、二相信号についてのさらなる詳細を示す。ここでは、波形は180で示され、最初は182の正パルスであり、すぐ後に190の負パルスが続く。正パルス182は振幅184を有し、負パルス190は、通常は正パルスと電圧は等しいが、正パルスとは逆の極性である振幅192を有する。正パルス182はパルス幅186を有し、負パルス190はパルス幅194を有する。通常は、2つのパルス幅186、194は互いに等しい。示されている信号については、サイクル長は、正パルス182の始めの部分からその後のサイクルの開始まで、196で示されているように決定することができる。同様に、周波数はサイクル長の逆数である。
【0051】
二相信号の典型的な印加又は使用において、その目的は、一部分において、各サイクルの終わりに電荷平衡を達成することである。そのため、二相のパルス幅は等しく保たれ、極性は逆ではあるが振幅も等しい。電圧制御又は電流制御システムのどちらを使用する場合でも、単にパルス幅及び振幅を制御することによって、電荷平衡を合理的に維持することができる。たとえば、電圧制御システムにおいて、電流の流れは、サイクル内で大なり小なり一定であり、サイクル長196は有意に短いことが想定される。すなわち、切除手術時に、細胞が破壊されるにしたがって組織インピーダンスは変化し、一般にインピーダンスを減少させる細胞媒体を排出することが公知であるが、インピーダンスは直ちに変化することはないため、単純な二相性波形のバランスを加えるため、電流を制御しなくても、問題が生じる。しかしながら、以下のいくつかの実施例では、加えられるエネルギーは2つの層の間の期間がどちらかの相の持続期間の半分を超えている期間、例えば、インピーダンス変化が電荷の不均衡に帰着する蓋然性が高くなるまで延ばされているように、「単純な二相性」波形ではないため、筋肉刺激を誘発し、あるいは、そのリスクを生じる。
【0052】
位相間の時間188は、正及び負パルス間のベースラインにおいて使われる時間間隔であり、基礎となる回路構成の物理的制約に従って通常は最小化される。したがって、たとえば、第1スイッチをオフにして正パルス182を終了させる必要があり、第2スイッチが負パルス190を開始させるために用いられる場合、デジタル制御を想定して、可能性のある内部短絡を防止するために、システムは、第1スイッチをオフにして、次いで第2スイッチをオンにした後に数デジタルクロックサイクルを終了してもよい。より速い切り替えにより、この位相間の時間を短縮させることができ、この時間間隔188を短縮するために多くのエンジニアリングの努力が行われている。
【0053】
たとえば、非常に短い位相間の時間188は、米国特許第10,154,869号に示すような設計を用いて達成することができる。特許第10,154,869号において、インダクタは出力負荷と平行して配置される。電源は、治療送達の初期段階において負荷とインダクタに印加される。電源と負荷/インダクタとの間のスイッチを開くことによって、電源が切断された後、インダクタが負荷から電流を引き出すため、負荷を流れる電流がほぼ瞬時に反転する。
【0054】
図6~
図8から、一般的な使用法の背景が得られる。以下にさらに示すいくつかの実施形態において、単相パルスは、筋肉刺激を防止する電荷平衡に関して二相の成果を達成するために用いられる。本明細書におけるすべての例において、用語「筋肉刺激を引き起こさずに」とは、少しの筋肉刺激は許容されるが、それは該当する介入及び手術領域内で、又は介入もしくは手術領域内で許容される量のみであることに留意する必要がある。たとえば、生じる刺激は、患者が不快に感じるほど強くはない。他の例において、生じる刺激は、組織を除去するための手術が、刺激を受けた患者の動作によって干渉を受けない程度に小さい。他の例において、生じる筋肉刺激は、手術に影響がなく、麻痺薬の投与を必要とせずに手術を行うことが可能である。いくつかの例において、生じる刺激は、プローブの配置と固定に影響を及ぼさないか、又は十分に小さいために、プローブの移動が生じない。本件明細書において使用される限り、アブレーション治療の目的のための有意義な電荷不均衡は、単一のサイクルであるか、又は複数のサイクルにわたって、治療に影響を与える筋肉刺激を誘発するようなものである。いくつかの実施形態において、その目的は増強した治療を与えることにあり、有意義な電荷不均衡を回避し、及び/又は防止しながら単相性の治療を模倣する。
【0055】
図9は、ブロック方式の信号発生器を示す。信号発生器200は内蔵型ユニットであってもよく、またそれは、ワイヤ及び無線接続のうちの少なくともいずれか一方とともに接続されたいくつかの個々の構成要素を含んでもよい。制御ブロックは202で示されており、ステートマシン、マイクロコントローラ及び関連するデジタル論理又はマイクロプロセッサの形での複数の論理回路や、さらには、必要に応じてラップトップ又はデスクトップコンピュータなどの既成の演算装置を含んでもよく、さらに様々な関連するアナログ、及び/又はデジタル論理回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、専用ハードウェア回路などを有していてもよい。これらの要素、及び/又はこれらの要素の組合せを有した制御ブロック202は、本件明細書において制御ノードとして記載される。一例では、システムの出力エネルギーは演算論理回路用途よりも有意に高い振幅(すなわち、出力が数百から数千ボルト、論理回路と処理については、概ね10ボルト以下、さらには5ボルト以下の強度で行われる)で与えられる。したがって、制御回路によってより容易に取り扱われるレベルまでシステム駆動電圧を低減するために、分離回路、電圧分割器などが設けられ得る。ASIC回路などの専用回路は、専用アナログデジタル変換回路や、電圧又は電流をサンプリングするための専用サンプリング回路などを含んでなることによって、高速動作を処理し、又は測定した電圧又は電流をデジタル出力に変換するために使用することができる。さらに、例えば、高電圧回路での低電圧制御を可能にするために光学アイソレータ素子が当該技術分野で用いられる。
【0056】
メモリ204は、制御ブロック202から独立していてもしていなくてもよく、操作のための実行可能命令セットを格納するだけでなく、システムの動作のログ及び、治療時に受信されるセンサ出力を保管するためにも含まれる。メモリ204は揮発性又は不揮発性メモリであってもよく、光学メディア、デジタルメディア、フラッシュドライブ、ハードドライブ、ROM、RAMなどを含んでもよい。UI又はユーザインターフェース206は、制御ブロックに組み込まれてもよい(制御装置202のためにラップトップ(メモリ204及びUI206のそれぞれを含む)を用いる場合など)。UI206は、必要に応じて、マウス、キーボード、スクリーンタッチスクリーン、マイクロホン、スピーカなどを含んでもよい。
【0057】
電源入力208は、電池(単数又は複数)を含んでもよいが、線電源を受け取るための壁コンセントに差し込む電気的接続を含む。治療ブロックは210で示され、いくつかの段階を含む。絶縁及び電圧変換回路は212で示され、たとえば、電池又は線電圧を受け入れ、HVストレージ214に格納される高電圧出力に増加させる1つ以上の変圧器又は他の昇圧コンバータ(容量式昇圧変換回路など)を含んでもよい。HVストレージ214は、電池、インダクタ又は他の回路素子を含んでもよいが、通常は、積層型コンデンサなどの容量式ストレージブロックである。HVストレージ214は、ブロック212からHV信号を取得し、経時的にそれを平滑化して、それからHV出力回路216によって送達されるより安定した高電圧出力を提供するのに役立ててもよい。また、HVストレージ214は、長時間にわたってエネルギーを格納して短いバーストで送達することによって、低出力電圧入力が、非常に高い電源出力を生成することを可能にしてもよい。
【0058】
HV出力回路216は、218で示されるIOブロックへの高電圧信号の選択的出力を可能にする、たとえば、シリコン制御式整流器、高出力Mosfet及び他の要素などの高電圧スイッチを含む多くのスイッチ及び他の要素が含まれる。いくつかの実施例では、HV出力回路は低い電力ロジックと制御回路をより高い電力/強度の回路から分離することを可能にするために、1つ以上の光学アイソレータ又は他の分離回路又は回路素子を用いて駆動することができる。IOブロック218は、1つ以上の送達プローブ220からのプラグを受け入れるためのいくつかのコンセントだけでなく、リターン電極として役立てるか、又は単に患者及びシステムを接地するための、患者の身体に配置される1つ以上の不関電極の1つ以上の出力を提供してもよい。例示の目的のために、図面はそれぞれに分離したプラグがあるかのように個々の出力を示しているが、本発明の実施形態は、複数の電気接続を単一の機械結合で行うことを容易にする複合的なプラグ及び/又はポートを含む。
【0059】
治療ブロック210へのいくつかの代替的アプローチにおいて、HVストレージから信号を直接に出力するためのスイッチのセットを用いるHV出力216ではなく、共振回路は、HV信号を電源として、共振回路の出力を選択的に切り替えることによって、共振回路の出力を治療送達に用いてもよい。「Hブリッジ」における4つのスイッチのセットを用いてRF回路を駆動するトポロジーは、たとえば米国特許第10,105,172号に示されている。いくつかの実施形態において、個々のパルスの制御は、本発明において、さらなる図面を参照して以下に示すように、駆動RF回路を省略し、単に拡張Hブリッジ回路の1形態に依存することによって達成される。いくつかの実施形態で使用できるさらなる詳細は、以下においてさらなる図面に示される。さらなる図面やその説明において、特定のユーザインターフェース構造物もまた使用される。
【0060】
制御ブロック202へのフィードバックを提供するために、1つ以上の検出回路224が含まれてもよい。たとえば、検出回路は、プローブ220への出力ノードの電圧を測定してもよく、組織性状を観察することを可能にするプローブ220に接続する出力ノードに向かう電流を測定してもよい。たとえば、一例として直接変換、遂次近似、ランプ型、ウィルキンソン、積分、デルタコード化、パイプライン化、シグマデルタ、及び時間インターリーブADCなどのうちの少なくともいずれか1つを含む電圧測定回路は当該分野で周知であり、適用に適している場合は、それらのいずれも使用してもよい。電流測定回路構成は、たとえば、トレース抵抗検出、変流器又はロゴスキーコイルなどの、ファラデーの法則に基づく電流センサ、又は1つ以上の伝送路に電気的又は磁気的に接続された磁場センサの使用(ホール効果、フラックスゲート、及び磁気抵抗電流センサのうちの少なくともいずれか1つ)を使用してもよい。
【0061】
他の例において、プローブ220は、温度センサ、力センサ又は化学物質もしくはpHセンサなどのセンサを含んでもよく、それらのいずれも、治療送達時に組織性状を監視するために使用することができる。たとえば、温度センサを使用して、ある領域の温度が閾値温度より高くなっているか、又は上昇傾向を示しているかどうかを観察することによって、電気穿孔などの非熱療法を管理してもよく、その場合、電源出力の1つ以上の要素を減少させて、所望の治療タイプが優位であることを確認してもよい。プローブがこのような部材を含む場合、検出回路224は、感知された信号が制御ブロック202での使用のために調整されることを可能にするために、任意の適切な増幅器、フィルターなどを含んでもよい。
【0062】
検出回路224は、心調律を捕捉し、治療送達のための生理学的ウィンドウを同定するために、1つ以上の電極(たとえば患者の胸部に配置した表面電極)とともに使用するのに適した心調律センサを含んでもよい。治療のための生理学的ウィンドウを同定するための心臓信号は、代わりに、クリニック内ECGモニタ、皮下心臓モニタ、又はペースメーカ又は除細動器などの埋め込み型医療機器、又は心調律を検知する様々なウェアラブル製品から受信してもよい。心臓サイクルを識別し、及び、治療ウィンドウを選択するために、ECGを用いるよりもむしろ、心音、又はパルスオキシメトリーを使用することができる。
【0063】
さらに、
図5に示されるようなプローブは、プローブ又はその近くで画像を撮影するために光ファイバケーブルに結合されたレンズなどの1つ以上の画像化装置を含み得る。例えば、レンズと光ファイバケーブルの組み合わせは、組織貫通電極の1つ以上、その遠位端又はその近位端に設けられ得る。光ファイバケーブルは、単に光学画像を受信するために一本鎖を有する場合がある。いくつかの例では、光ファイバケーブルは、2つの「チャネル」を可能にするために複数のストランドを有し、一方を使用してレンズの近傍を照らし、もう一方を使用して反射光を受け取るか、又はスプリッターを近位端で使用してパルス光出力を一本鎖に提供し、反射光をフィードバックチャネルに向け、それを光学センサに送ることができる。周囲光又は反射光が変化すると、血液灌流が進行中又は停止していることを示す、又は局所組織の変化を示す組織の色の変化を観察できる。検出回路224は、いくつかの例示的な例では、光出力発生器(LED、VCSEL、又は他の適切な光発生器)及び光受信機を有することによって、そのような使用に適合させることができる。レンズが必要な場合と不要な場合がある。光が出入りすることを可能にする組織と接触して配置された劈開端を備えた光ファイバーストランドを提供することで十分である可能性がある。
【0064】
別の例では、複数の目的を果たすために、
図5に示すように、1つ以上のトランスデューサをプローブ上に配置することができる。加速度計は、筋肉の動きを検出するためだけでなく、音響などの他の振動を検出するためにも使用できる。出力音響(「ピーン(ping)」)を発行してフィードバックを受信するか、単に「聞く」ことによって、トランスデューサを使用して、治療電極の領域の物理的変化を示す音が発生しているか否かを判断できる。例えば、2つの電極間でアーク放電が発生すると、気化を引き起こす可能性のある熱エネルギーが生成され、検出可能な音波が生成される可能性がある。超音波トランスデューサも提供され得、超音波を使用して組織液密度の変化を測定することを可能にする。そのようなトランスデューサのそれぞれについて、検出回路224は、I/O回路218及びプローブ220内の1つ以上の電気接続を介してトランスデューサにエネルギーを提供するための、動作増幅器などの駆動回路を備え得る。上記のように、心音は、タイミング療法の提供に使用するために取得することができる。このようなトランスデューサは、心音を取得するためにも使用できる。音響エネルギー及び/又は筋肉の動きを観察するために、1軸、2軸、又は3軸の微小電気機械システム(MEMS)センサを使用することができる。このようなトランスデューサは、通常、動きが観察されると電気的パラメータを変化させる振動要素を備えている。1つ以上のチャネルで出力を異なる周波数範囲にフィルタリングすると、患者の動き、心音、及び/又は熱アブレーションからの音を個別に観察するのに役立つ場合がある。ブロック224について既に説明した電圧及び/又は電流検出回路を使用して、必要に応じて、トランスデューサから返される信号を受信、サンプリング、及び/又は調整することができる。
【0065】
任意選択で、「他の治療」ブロック222を含めることができる。「他の」治療には、例えば、追加の治療を提供するため、提供される治療を強化するため、又は切除後の体の治癒自体を促進するために免疫応答を誘発するための、化学的又は生物学的薬剤の送達を含み得る。そのような他の治療222は、例えば、注射器又はカテーテルを介して、又はプローブを介して患者に送達される材料の貯蔵器(詰め替え可能であり得る)を含み得る。「他の療法」222は、電気的に送達される療法の切除効果を促進し、増強し、相乗的であり、又は独立して追加する物質を導入することを含み得る。例えば、「物質注入と電界適用の組み合わせによる不可逆エレクトロポレーション」と題された米国特許出願第16/188,343号に開示されているように、電界効果を修正又は増強するために物質を注入することができ、その開示は本明細書に参照によって組み込まれる。
【0066】
いくつかの例では、凍結療法をシステムに統合して、電気的切除の前、最中、又は後に組織を冷却し、必要に応じて免疫応答を促すことができる。凍結療法は、例えば、治療プローブ220上のバルーンを使用して送達され得るか、又は亜酸化窒素などの加圧流体源に結合されたバルーン内のノズルとは別に提供され得る。ノズルから排出されたときの加圧流体は、膨張するか、液体から気体への相変化を経て、例えば米国特許第6,428,534号に開示されているように、局所的な冷却を引き起こす。別の例では、流体(気体又は液体)を外部から冷却し、極低温の目的でカテーテルを介して導入するか、あるいは、外部から加熱して、熱焼灼の目的でカテーテルを介して導入することができる。
【0067】
さらに他の例では、他の治療222は、例えば、機械的エネルギー(例えば、超音波)又は、レーザーエネルギーを標的組織に送達できるようにするために、プローブを通って伸びる光ファイバーに結合されたレーザー源(垂直共振器面発光レーザー、又は他のレーザー源など)を使用する光エネルギーなどのエネルギーの送達を含み得る。いくつかの例では、前述のように、標的組織を破壊するための一次アプローチとして使用されない場合でも、免疫応答を誘発するために二次又は「他の」療法を使用することができる。「他の治療法」222のモダリティは、検出回路のいくつかの特徴と重複する可能性があり、したがって、同じ回路要素が各ブロックの一部と見なされ得る。例えば、レーザー治療出力は、I/O、ならびに関連するプローブを介した組織特性の光学的調査のための結合を介して提供され得る。それぞれが同じ又は異なる光トランスデューサを使用する場合がある。一例では、VCSELは、「他の治療」によって使用するために提供され、検出回路224による光学組織調査のためのより低いエネルギー出力を提供するために必要に応じて再利用される。
【0068】
安全上の理由から、出力回路の電流センサを使用して、短絡又は過電流状態を制限することができる。例えば、センスインブロック224は、I/O218で過電流を検出し、制御回路202に信号を送ることができ、制御回路202は、電圧変換回路212への電力のカットを返し、及び/又は、検出された過電流に応答してHV出力216を無効にして出力回路をオフにすることができる (例えば、スイッチを開く)。いくつかの実施形態では、センスインブロック224は、コンポーネント損傷のリスクをもたらす一過性のイベント又は傾向を検出するために、任意の治療出力中にピーク電流を捕捉することができる。一方、インピーダンスを決定するなどの他の目的のための検出電流は、刺激出力中のピーク検出電流であり得るか、又は刺激中、より具体的には、出力相の特定の1つ以上の出力相中の平均電流として定義され得る。平均電流をとる場合、検出回路は、システムクロックに対して開始点と終了点を決定することができるので、制御回路は、検出された電流を出力刺激の位相及び他の特性に合わせることができる。
【0069】
追加的又は代替的に、I/Oブロック218及び/又はHV出力216の出力回路は、必要に応じて、ヒューズを含み得る。追加の安全機能には、電圧変換回路212、HVストレージ214、HV出力216,及び/又はI/Oブロック218に関連づけられた温度センサの提供が含まれ得る。温度が高すぎると、システムがシャットダウンする可能性がある。他の例では、信号発生器200が使用前に寒い天候で車両に保管又は輸送された場合に起こり得るように、信号発生器200が冷たすぎる場合に動作を防ぐために1つ以上の温度センサを使用することができる。動作を有効又は無効にするためにシステムで使用されるプローブに1つ以上の温度センサを設けることができる。例えば、温度が低すぎる(例えば、体温より有意に低い)ことは、プローブ220がまだ組織に適用されていないことを示し、制御回路202は、刺激の送達を妨げるか、UI206にユーザにプローブ220が体温状態を示していないとの警告を提供し得る。プローブ220の温度が高すぎると、プローブの2つの接点が互いに近すぎるか、又は短絡している場合に起こり得るように、制御が不十分な方法で発生している熱損傷を示す可能性がある。この場合も、制御回路202は、オフにするか又は強度を変調するように構成され得る。制御回路202が治療の振幅及び/又はパルス幅を調節して治療中に所望の温度範囲を達成することができるので、プローブ220上の温度センサをアクティブフィードバックにも使用することができる。例えば、温度は、非熱的効果又は熱的効果のために、例えば、摂氏50~60度の範囲の温度より上又は下に温度を維持することによって、所定の範囲に維持され得る。
【0070】
図10は、電極がその近傍にある標的組織を示す。
図10に示すように、標的組織300は、複数の電極1~6によって囲まれていてもよい。上記の
図5に示すプローブは、標的組織300の周りにいくつかの電極を容易に配置するために、個々の電極1~6を標的の周りの組織に穿刺し、進めて用いてもよい。従来の二相印加において、電極は対又は群で、又は遠隔のリターン電極に関連する完全群で使用してもよく、正相信号の直後に、ほぼ等しいが逆の電圧又は電流の負相信号を用いてもよい。このような使用と対照的に、本発明は、代わりに、治療出力の空間多重化を用いて、二相治療の副作用の低減(特に筋肉刺激)を利用しながら、単相出力の有効性をも備えた治療を送達する。そうするための一例において、電極を使用して、以下のようなラウンドロビン方式で単相治療を送達してもよい。
【0071】
【0072】
この例では、各出力は単相波形であってもよい。シーケンス中のパルス幅と振幅は、必要に応じて、一定に保ってもよく、又は変化させてもよい。一例において、パルス幅は、各パルスについて0.1~10マイクロ秒の範囲にある。振幅は、電圧又は電流に基づいて決定してもよく、また、たとえば、視覚化又は距離推定を用いて決定して、1センチメートルあたりのボルトで出力を提供してもよい。たとえば、出力振幅は、標的組織300のIRE閾値を超えると同時に、このような距離を考慮に入れて選択されてもよい。一例において、X線撮影又は他の視覚化によって行うことができる計算、又はプローブの展開領域の組織の単位距離あたりのインピーダンスを推定し、電極1と4の間のインピーダンスを測定し、次いで距離を計算することによって決定することができる計算、電極1と4は、2センチメートル離れていると推定してもよい。
【0073】
治療は、上記のチャートを参照して、任意の順序で順次送達されてもよい。すなわち、ABCDEFがその順序であってもよい。いくつかの例において、シーケンスADは、名前を書かなくても本質的に二相出力の形態であり、そのため単相出力と同等に有効でない可能性があり、回避してもよい。いくつかの例において、電極ペアリングの連続又は瞬時の反転を避けるために、直前のパルス送達から、任意の所定のパルス送達に対して少なくとも1つの電極が異なることを要求するルールを設定してもよい。
【0074】
いくつかの例において、完了したシーケンスは、以下の2つのルールのそれぞれを満たす時間間隔(単数又は複数)内に完了するパルス列として送達される。
‐電荷平衡ルール:以下の範囲内の電荷平衡又は電荷平衡の近似を与えることによってパルス列が完了する。
○組織型及び水分含有量などの因子に依存する場合がある、周辺組織の時定数よりも小さい時間間隔。周辺組織の時定数は、電界内の組織及び細胞の複素インピーダンスを反映する。たとえば、2つの電極間の組織の時定数は、その複素インピーダンスによって決定される。簡略化したモデルでは、時定数は、2つの電極間で生成される電界内の、細胞を含む組織の抵抗を掛けた静電容量になる。すでに分極化されている細胞又は組織は、より大きい又はより小さい有効時定数を有していてもよい。
○約1ミリ秒未満の時間間隔
○患者を試験することによって決定された、患者が許容できる最大時間間隔。たとえば、患者を試験するために、治療出力は、ある時間間隔によって分離された第1部分及び第2部分を含んでもよく、第1部分と第2部分を分離する間隔は、筋収縮が認められるまで、患者が収縮又は張力を感じることを報告するまで、又は患者によって不快感が示されるまで延ばすことができ、治療の第1部分は、電荷の不均衡をもたらす第1単相パルス(単数又は複数)であり、治療の第2部分は、電荷の不均衡を取り除くように構成されている。たとえば、二相出力は、位相間の時間(
図8、188)を個々のパルス幅の倍数まで制御し広げることによって、たとえば数十マイクロ秒又は数百マイクロ秒、又はさらに患者が許容できる数ミリ秒まで分離され、なお以下に示す治療完了ルールの範囲内にとどまる、5マイクロ秒パルスを用いて、2つの部分に分離してもよい。
‐治療完了ルール:パルス列は、患者の心調律などの非治療因子の観察によって決定される生理学的ウィンドウ内で送達される。
【0075】
治療完了ルールに関しては、心臓をドライバーとして、心調律は、R波、QRS群、P波及びT波として一般に公知の様々な構成要素を含む。切除目的での刺激は、心調律の妨げになるべきではなく、心臓は、R波ピーク(又はQRS群の終点)とT波との間の間隔では電気信号の干渉の影響を受けにくい可能性がある。この間隔は、ST間隔(S波はQRS群の終点となる)と呼ばれることもある。特定の患者のST間隔は数十ミリ秒持続する可能性があり、5~100ミリ秒の範囲である可能性がある。おおよそ60ミリ秒が健常者に一般的であるが、本明細書で説明した治療は必ずしも健康な人や一般的な人を対象とするものではないため、ST間隔は「一般的」でない可能性がある。いずれにしても、いくつかの例において、治療はST間隔ウィンドウ内で開始され、完了される。ST間隔又は他の生理学的に有用なウィンドウの同定に有用な心臓信号は、別の機器(外部又は埋め込み型の)から得られてもよく、又は患者の内部もしくは表面に配置された電極から心臓信号を受信するための入力を有する治療発生装置によって感知されてもよい。他の情報源は、ドライバーであってもよい。たとえば、横隔膜運動の検出は、患者がいつ吸気又は呼気したかに関する治療の送達の時間を設定するのに役立つ可能性がある。
【0076】
他の例において、これらのタイミングルールの一方、他方又は両方を省いてもよい。いくつかの例において、パルス列が1ミリ秒又は800マイクロ秒又は500マイクロ秒以内に平衡電荷状態に戻らなければならないというルールを設定することなどによってウィンドウを近似してもよい。
【0077】
他の例において、複数の電極をカソードとして一緒にまとめることができる。
【0078】
【0079】
さらにもう1つの例において、複数の電極をアノードとして一緒にまとめてもよい。
【0080】
【0081】
アノードとカソードの両方とも一緒にまとめることができる。
【0082】
【0083】
このような様々なペアリングを使用してもよい。上記で述べたように、治療はルールセットに従って送達することができる。治療を送達するための装置は、必要に応じて、格納された命令セット又はハードワイヤリングにこのようなルールセットを組み込んでもよい。
【0084】
上記を考慮すれば、例示的な例は、パルス列内の電極の選択された対又は群間で複数の単相出力を送達することを含む治療送達法の形態を取る。さらに、治療送達及びパルス列は、パルス列内の連続する各パルスが、直前のパルスとは異なる少なくとも1つの電極を使用することを要求する第1ルールを用いて送達されてもよい(以前用いられた電極を省くか、1つの電極を追加するか、又は1つ以上の電極を1つ以上の他の電極と交換するかのいずれかで)。第2ルールは、周辺組織の時定数未満又は1ミリ秒未満などの事前設定された時間間隔内でパルス列が送達されることを要求する。第3ルールは、指定された生理学的ウィンドウ内でパルス列が送達されることを要求する。ここで、この生理学的ウィンドウは、心臓が電気的干渉に不応性であるか、又は少なくとも比較的影響を受けにくい心周期内の時間に該当する。他の例示的な例は、第1、第2及び第3ルールを実行形式で保存するか、又は組み込むように構成されている、上記の
図9に示されているような信号発生器の形態を取ってもよい。これらの例示的な例のそれぞれについて、出力治療パルスは、たとえば、パルスあたり約0.1~10マイクロ秒の範囲であってもよく、パルス列は任意の適切な長さ、たとえば約4~約100パルスであってもよく、パルス列は繰り返されてもよい。
【0085】
いくつかの例において、様々な電極を用いて治療が送達されるとき、各電極に出入りする出力電流を追跡してもよい。パルス列又は一連のパルス列の終わりに、各電極を流れる電流の合計を決定してもよく、任意の1つの電極界面で任意の蓄積電荷を相殺すると考えられる所定量の電流又は電圧を送達することによる1つ以上の補正出力が生成されてもよい。様々な例示的な実施例は、送達される電荷を監視し、次いで「補正」パルスを提供して電極表面上のいずれか1つ以上の任意の蓄積電荷を打ち消すという組み合わせを含んでもよい。補正パルスは、特に、電流制御出力ではなく、電圧制御出力が用いられる場合に役立つ可能性がある。
図10からは外れる、又はこの代替手段として示すものとしては、2019年3月15日提出の「選択的細胞切除のための空間マルチプレクス波形」と題した米国特許仮出願第62/819,135号に記載され、本明細書に援用される。
【0086】
図11は、例示的な治療波形を示す。この例は、第1振幅414及び第1パルス幅412を有し、第1極性(この図示では負)の第1パルス410を含む第1パルス列430と、第2振幅424を有し、かつ第1パルス幅412よりも小さい第2パルス幅422を有する、第1極性とは逆の第2極性の第2パルス420とを交互に生成することを含む、多相切除波形を送達する方法を示す。この例は、さらに、第3振幅444及び第3パルス幅442を有する第1極性の第3パルス440を含む第2パルス列460と、第4振幅454及び、第3パルス幅442を超える第4パルス幅452を有する第2極性の第4パルス450とを交互に生成することを含む。この方法例は、第1パルス列430が第1電荷の不均衡をもたらし、第2パルス列460が、第1電荷の不均衡を相殺して筋肉刺激を防止するための第2電荷の不均衡をもたらすように行ってもよい。第1パルス列430の電荷の不均衡は、振幅414とパルス幅412と第1パルス列430の第1パルスの量410との積と、振幅424とパルス幅422と第1パルス列430の第2パルスの量420との積との間の差異に比例するであろう。
【0087】
いくつかの例において、第1振幅414と第2振幅424とは同じであり、第3振幅444と第4振幅454とは同じである。さらに、方法は、第1パルス列430の開始から第2パルス列460の終了までの時間470が、第1パルス列430の電荷の不均衡による筋肉刺激を回避できるほど十分に短くなるように行ってもよい。たとえば、時間470は、1ミリ秒よりも短くてもよく、2ミリ秒よりも短くてもよく、又は、必要に応じて、他の持続時間であってもよい。
【0088】
いくつかの例において、第1パルス幅412と第4パルス幅452とは持続時間が同じであり、第2パルス幅422と第3パルス幅442とは持続時間が同じである。たとえば、第1パルス幅412と第4パルス幅452は約1~約20マイクロ秒の範囲であってもよく、第2パルス幅422と第3パルス幅442は約0.1~約10マイクロ秒の範囲であってもよい。いくつかの例において、第1パルス幅412は第2パルス幅422の約2倍であり、第4パルス幅452は第3パルス幅442の約2倍である。他の例において、第1、第2、第3及び第4パルス幅は、それぞれ、約0.1~50マイクロ秒の範囲にあり、他の適切な比を有していてもよい。
【0089】
一般に、
図11の概念は、単独で送達される場合はいずれも不均衡であるが、筋肉刺激を引き起こすことなく電荷平衡を達成できるほど十分に短い時間内で送達が行われる、2つのパルス列を提供することである。他の例では、パルス列の中の、非対称出力の単一パルス列が代わりに使用される。
【0090】
いくつかの例において、第1パルス列430は、第1パルス410の第1量と第2パルス420の第2量とを含み、第2パルス列460は、第3パルス440の第3量と第4パルス450の第4量とを含み、第1、第2、第3及び第4量は全て同じである。
【0091】
いくつかの例において、第1、第2、第3及び第4振幅は、それぞれ、不可逆電気穿孔閾値を超える。指摘したように、「閾値」は、一部分において、パルス幅だけでなく、電極間の距離に依存してもよい。他の例において、第1、第2、第3及び第4パルス幅は、それぞれ、約0.1~500マイクロ秒の範囲にある。代替処方において、パルス列430は、パルスp1、p3及びp5が同じ極性であり、それぞれがパルス幅PWを有するが、パルスp2及びp4は反対の極性であり、それぞれがパルス幅1.5×PWを有し、それぞれの極性で送達されるパルスの電荷量は同じではなくても、バランスのとれた電荷出力をもたらす、それぞれが同じ振幅を有する、パルスp1~p5などの奇数のパルス数を含んでもよい。他の例において、パルス列430は、パルスp1、p3及びp5が同じ極性であり、それぞれが振幅Vを有するが、パルスp2及びp4は反対の極性であり、それぞれが振幅1.5×Vを有し、また非対称な出力を提供するが、パルス列の終結時には電荷平衡を提供する、それぞれが同じパルス幅を有する、パルスp1~p5などの奇数のパルス数を含んでもよい。
図11からは外れる、又はこの代替手段として示すものとしては、2019年3月15日提出の「選択的細胞切除のための空間マルチプレクス波形」と題した米国特許仮出願第62/819,120号に記載され、本明細書に援用される。
【0092】
図12は、治療法を構成し、及び/又はテストする方法を示している。出力構成は502で設定されている。出力構成は、例えば、患者に送達される治療又は非治療波形の定義であり得る。非治療波形は、例えば、治療中に使用され得るものよりも低い振幅又は異なるパルス幅を使用するものであり得る。
図12の方法の目的上、非治療波形、又は治療波形は、必要に応じて、患者の筋肉組織に対する波形の影響を増幅するために、治療で使用されるよりも長いパルス幅で定義できる。この例では、出力構成502は、パルス間間隔によって分離された少なくとも第1及び第2の信号部分を含む。出力構成の一部として、極性が反対又は異なる2つの信号間のパルス間間隔を設定できる。
【0093】
次に、パルス間間隔は、504に示されているようにテストされる。テストは、506で示されるように、502で構成された波形を送達又は出力し、次いで、筋肉反応が発生するか否かを決定又は観察すること508を含む。筋反応が発生しない場合、この方法は、510で示されるように、パルス間遅延の持続時間を追加し、ブロック506に戻って、波形を再び送達又は出力する。この例では、2つの条件のいずれかが満たされるまで、この手順が繰り返される。最大又は上限のしきい値のパルス間間隔が使用され、筋肉の反応が観察されないか、筋肉の反応が観察される。目的は、単相波形を模倣する治療波形を提供するためにパルス間間隔を最大化し、筋肉刺激の副作用を回避しながら、細胞死を引き起こす効果を優先的に高めることにある。
【0094】
次に、512に示すように、パルス間遅延を設定できる。例えば、パルス間遅延は、あるマージン又はパーセンテージ、例えば、1~50マイクロ秒、又は5~25パーセントなどのパーセンテージによってテストされた最後のパルス間遅延を減らすことによって設定され得る。いくつかの例では、512でのインターパルスの設定は、ブロック508でのテストの終了の性質に応じて異なる方法で実行される。すなわち、筋肉の応答なしに最大インターパルスが満たされたためにテストが終了した場合、パルス間遅延は最大に設定し、あるいは、観察された筋肉反応のためにテストが終了した場合、パルス間遅延は、マージン又はパーセンテージを使用して、最後にテストされたパルス間を短縮した期間に設定される。
【0095】
ブロック512で設定されたパルス間遅延を用いて、方法は次に514で治療送達に進む。治療の提供は、ブロック506/508でテストされたものと同じ又は異なるパラメータを、波形の形状、持続時間、振幅、又はタイプに関して使用することができる。例えば、ブロック502~508の目的は、パルス間遅延を選択することであり、これは、主に周囲組織の関数であり、必ずしも切除標的の関数ではないので、テスト結果を混乱させる可能性のある、アブレーションに必要なパラメータを用いたテストは必要でない可能性がある。他の例では、パルス間遅延は、パルス間遅延を調整しながら、反復シリーズの実際の切除パラメータを使用することにより、治療提供自体の一部としてテストされる。さらに別の例では、治療がブロック514で適用されるとき、例えば、繰り返される一連のパルス列において、筋肉応答が経時的に監視され得、筋肉応答が観察される場合、パルス間遅延パラメータは、パルス間遅延を低減するなどによって変更され得る。
【0096】
508での筋肉反応を監視する工程では、主観的及び/又は客観的な測定又は観察を使用できる。例えば、主観的モニタリング520は、患者が筋肉の引き締め、けいれんなどの感覚を持っているか否かに関して患者522に問い合わせること、及び/又は患者がうずき、うなり、灼熱感、知覚異常などの他の感覚を感じているか否かを尋ねることを含み得る。主観的モニタリング520はまた、524で示されるように、ユーザ又は医師の観察に基づくことができ、動作、緊張、又は他の身体的反応が現れたか否かをユーザに示してもらうことを要求する。さらに他の例では、客観的測定530を使用することができ、例えば、運動センサ532をプローブ上に、又は患者の中又は上に関連する位置に配置して、何らかの運動が、それがユーザ又は患者に知覚できるか否かに関わらず、起こっているか否かを判定する。
【0097】
いくつかの例では、筋肉自体からの電気信号(筋電位534)を捕捉することによって筋肉応答を観察することができる。筋肉が電気的反応を示すので、動きが差し迫っているか、起こる可能性が高いことが理解される。さらに他の例では、治療セッション中に、全体的な観察、すなわち、患者の感覚又は動きが、パルス間遅延の設定中に使用される。電気信号が時間の経過とともに筋肉が変化するか否かを判定することによって、治療の間のフィードバックを与えるために筋電位が使用される。筋肉の検出された電気的応答の振幅の増加を使用して、パルス間遅延、又は振幅などの他の機能を低減して、筋肉運動の誘発を回避することができる。逆に、電気的応答の減少は、切除された組織の変化(例えば、細胞が破壊されるとき)が筋肉応答の可能性を減らし、より長いパルス間遅延及び/又はより高い振幅出力を可能にすることを示している可能性がある。
【0098】
図13A~13Dは、信号発生器の出力回路とフィードバック回路の例を示している。ここで
図13Aを参照すると、例示的な例は、与えられるべき切除療法のための複数の独立したチャネルを送達することを可能にする複数のスイッチ552に結合された複数のソース550を含み得る。複数のソースには、電流源(必要に応じて合計することができる電流ミラーのセットなど)を含み得るか、又は以下の
図14A~14Bにさらに示されるようなコンデンサスタックなどの複数の電圧源を含み得る。ソース550の性質に応じて、例えば、独立して無効にすることができる電流ソースが使用される場合、スイッチ552は省略され得る。
ソース550と出力ブロック556との間の伝導線は、いくつかの例では、出力回路の「ハイサイド」と見なすことができる。必要に応じて、554に示されているフィードバックカップリングを使用して、ハイサイド伝導線を監視することができる。フィードバックカップリング554は、例えば、伝導線を通る電流を測定するための電流センサ、又は電圧を測定するための電圧センサであり得る。電圧又は電流センサの例の上記に記載したリストを使用することができる。必要に応じて、電流センサと電圧センサの両方を設けることができる。フィードバックカップリング554は、フィードバック監視回路570に結合され、これは、例えば、治療出力中に何が起こるかを捕捉するための、様々な調整回路、フィルタリング回路、比較回路、サンプリング回路及び/又は記憶回路、又はこれらの回路要素を含み得る。
【0099】
出力ブロック556は、治療送達プローブへの機械的及び電気的接続のための1つ以上の機械的ポート、プラグ、又は他の結合を含み得る。556に4つの出力が示されているが、本発明はそのように限定されず、任意の数の出力が提供され得ることを理解されたい。必要に応じて、代わりに2つ以上の出力ブロック556を提供することができる。
【0100】
伝導線の別のセットは、出力ブロック556をスイッチ560の別のセットに結合する。スイッチ560は、出力を有効又は無効にすることができ、出力をシステムの基準又は接地に接続することができ、又は複数のソース562に結合することができる。いくつかの例では、アブレーション刺激出力は、戻りの目的でシステム接地に単純に結合され得る。他の例では、必要に応じて、1つ以上の電圧又は電流源を出力エネルギーの負又はシンクとして使用することができる。
ブロック556とスイッチ560との間の伝導線は、いくつかの例では、ローサイド伝導線と見なされ得る。フィードバックカップリング558の追加のセットが、ローサイド伝導線上に設けられ得る。フィードバックカップリング558は、必要に応じて、電圧又は電流センサ、あるいはその両方を含み得、ここでもブロック570と同様であり得るフィードバック監視回路572に結合される。ハイサイドソース550及びスイッチ552、フィードバック回路570,572、及びローサイドソース562及びスイッチ560はすべて、制御ブロック580に結合されるものとして示され、これは、
図9のブロック202に関して上で論じた様々な制御要素を含み得る。
【0101】
フィードバック監視回路570,572は、過電流状態を識別し、デバイス内部の構成要素が過電流によって損傷されるのを防ぐために、送達された刺激のピーク電流を監視するために使用され得る。あるいは、ピーク電流又は平均電流を監視して、例えば熱的又は非熱的なアブレーションを引き起こすか否かにかかわらず、出力が組織内で何をしている可能性があるのかを判断することができる。一例では、平均電流が監視され、1つ以上の治療フェーズ、又はパルス列の開始点及び終了点を参照するなどして、時間ブロックを参照する。平均電流は、例えば、エレクトロポレーションが起こっており、細胞内容物が細胞間液に排出されているとの判定に関連している可能性があるため、生理機能の変化を監視するために使用できる。他の例では、電流フィードバックを使用して、電流制御出力を与えることができる。
【0102】
上記のように、追加のフィードバックもまた、例えば、熱検出、音響検出、視覚的観察/検出、超音波、及びインピーダンス監視を含む、刺激/治療送達に使用されるプローブから得ることができる。そのようなフィードバックループは、危険を特定するため、及び/又は組織を切除するための治療出力の進行及び/又は成功又は失敗を監視するために使用され得る。
【0103】
図13Bは、複数の異なるレベルで利用可能な独立した出力を備えた、電源を電圧源のセット(コンデンサスタック)に結合するための別の例を示している。実施例600は、コンデンサスタック614を充電するために使用される昇圧コンバータ612に結合された電圧又は電力入力610を使用する。ブロック612は、
図9のブロック212と同様であり得る。
【0104】
この例は、コンデンサスタック614内の4つのコンデンサ616を示している。任意の適切な数のコンデンサを、例えば、コンデンサスタックを使用する例として使用することができ、例えば、必要に応じて、2~20個、又はそれ以上である。コンデンサ616及びコンデンサスタック614は、集合的に、電圧の大幅な低下なしに、ミリ秒範囲までの持続時間の高電圧(キロボルト以上)出力を数十オームの小さな負荷に送達できるようなサイズにされる。例えば、典型的な出力電圧は、200ボルトから10キロボルト、又はそれ以下又はそれ以上の範囲であり得、代表的な負荷は、10オーム未満、例えば、5オーム又は2オーム、又はそれ以下又はそれ以上であり得る。代表的なコンデンサのサイズは、個々のコンデンサ又はスタック全体のいずれかで、10~10,000マイクロファラッドの範囲、又はそれ以下又はそれ以上の範囲である可能性がある。再構成可能なコンデンサスタックは、コンデンサを結合するためのスイッチ及びダイオードの任意の適切な量及び配置を使用して、並列に充電及び直列に放電するか、又は直列又は並列に充電及び放電することができる、コンデンサからなり得る。
【0105】
例示的な数値例では、約25オームの出力回路インピーダンス(患者を含む)を考慮に入れた出力回路の時定数は、好適には1ミリ秒より大きく、より好適には10ミリ秒より大きい。したがって、例えば、4つの1600マイクロファラッドコンデンサのセットを使用して、400マイクロファラッドのスタック容量を与えることができる。これにより、25オームの負荷で使用した場合に10ミリ秒の時定数が得られる。負荷を10オームに減らしても、4ミリ秒の時定数が得られる。もちろん、負荷が大きいほど時定数は長くなる。様々なコンデンサの量とサイズ、様々な患者負荷の推定値、様々な目標最小時定数など、他の設計パラメータを使用できる。
【0106】
スイッチアレイ620のセットは、上部622、上部2つのコンデンサ624の間、中間の2つのコンデンサ626の間、及び下部の2つのコンデンサ628の間を含む、いくつかの異なるレベルでコンデンサスタック614内のノードに結合される。各スイッチアレイは、パスA、B、及びCを、それぞれ異なる電力/電圧レベルでスタックをタップできる選択可能な出力として個別に定義する。各セット620は、各出力経路専用の1つのスイッチを有する。630に示されるように、各出力経路は、電流モニタI1、I2、I3を含み得る。他の例では、電圧モニタが各経路上にある場合があり、又は電圧と電流の両方が監視され得る。スイッチは、例えば、リレー、高出力Mosfet、シリコン制御整流子(SCR)、他のトランジスタであり得るか、又は、例えば、Mosfetを備え信号をオフにすることを可能にするためのSCRを組み合わせたマルチパートスイッチを含み得る。接地ノード又は参照ノードGも強調表示される。
【0107】
当業者が理解できるように、
図13Bは、複数の独立して動作可能なチャネルを備えた例を示している。適切なサイズのコンデンサがあれば、各チャネルは一般に他のチャネルに影響を与えることなく動作できる。コンデンサのサイズは、出力インピーダンス(患者を含む)と組み合わせることによって、コンデンササイズを組合せて使用して、最大パルス幅と電圧/振幅定格を決定できるため、システムの出力のレーティングに反映される場合がある。例えば、位置626でコンデンサスタックをタップする場合、最大出力電流(又は最小インピーダンス)は、上部622でコンデンサスタックをタップする場合よりも比較的大きくなり得る。
【0108】
図示されているトポロジーは、ブロック612からのステップアップ電圧を実際の出力に直接に結合することなくコンデンサスタックの充電を可能にすべく使用され得る、様々なダイオード及び電流制御装置を省略している。いくつかの例では、電圧変換は、コンデンサスタックの最上部への612での単一の結合ではなく、マルチタップ変圧器を使用し得、各タップは、ノード622、624、626、628に接続され、直列放電を可能にしながらコンデンサスタックを効果的に並列充電する。充電の場合、第1相は、電圧源610からのエネルギーを変圧器に負荷し、第2相は、負荷されたエネルギーをコンデンサスタック614に放電する。最小の電圧を有する方のコンデンサは、第2相の間に最大の程度まで充電される。第2相の適切なタイミングにより、治療出力で断続的にコンデンサスタックを充電することができる。マルチタップ充電回路を使用することにより、コンデンサスタックの選択された部分から電流が引き出されるときに、コンデンサスタックをリフレッシュして再平衡化することができる。
【0109】
図13Cは、出力構成の例を示している。
図13BのA,B,Cの参照符号を再び使用すると、出力ノードO1,O2,O3のセットが出力A,B,Cに結合されていることが示されている。スイッチ654は、
図13Bの回路のノードAを出力ノードO1 658に結合する。スイッチ654はある程度冗長であり、
図13Bで各グループ620内に示されるスイッチが唯一のスイッチである可能性があることに留意されたい。2つのスイッチを設けることは複雑さを増す可能性があるが、患者に害を及ぼす可能性のある漏れ電流を制限する可能性もある。実際、いくつかの例では、一方のスイッチがイネーブルスイッチであり、他方が波形整形を支援するため、及び/又は電流の流れを遮断するために使用され得る。電流及び/又は電圧は、ノード660を使用して測定することができる。接地スイッチは656として示されている。動作中、接地スイッチ656を使用して、出力の戻り電極を定義することができる。つまり、任意の出力電流を接地に相対して供給することができる。前述のように、必要に応じて、接地電圧又は基準電圧ではなく、負の電圧源又は電流シンクに戻ることができる。
【0110】
図13Dは、出力ノードを電圧又は電流制御動作のいずれかに配置できるようにする代替構成を示している。回路680は、単一のノードA 682を出力O1 686に結合するように示されているが、複数の出力ノードのために複製され得る。第1のスイッチ696は、出力O1を抵抗器694及びバイパススイッチ690に接続する。電圧制御出力の場合、スイッチ690及びトランジスタ696は同時に閉じられる。トランジスタ696を駆動している間にスイッチ690を開くと、抵抗器694を通して電流が流れる。トランジスタ696に電力を供給するVDriveを制御することにより、抵抗器694を流れる電流は次式によって制限されるので、回路を通過する電流を制御することができる: VDrive>I×R(694)、ここでR(694)は抵抗694の抵抗値、Iは電流である。構成は、埋め込み型除細動器で定電流ペーシング刺激を供給するために使用された米国特許第6,952,608号に示されているものとやや類似している。当該技術分野で公知であるように、他の構成を使用することができる。
【0111】
いくつかの例では、電流制御は、
図13Dのように電流制御回路を使用して実行することができる。他の例では、ハイサイド、ローサイド、又は入力/出力回路のいずれにあるかを問わず、モニタ回路を使用して、電圧及び/又は電流を監視することができる。次に、アナログ/デジタル変換回路又は他の調節器を使用して、戻り基準電圧又はコンデンサスタックから取得した出力電圧を変更して、電圧出力を変更し、定電流、定電圧、又は定電力(電力は電圧及び電流の積)出力を与える。例えば、電流の変化が測定及び監視されると、一定の電力を維持するために電圧出力を増減させ得る。別の例では、定電力回路は、出力電圧を監視しながら、
図13Dに示すように電流の流れを制御し、プローブに供給される電流と電圧の積が一定になることを確実にするようにVDrive信号を調整することによって電流の流れを変更できる。
【0112】
図14A~14Bは、例示的なパルス生成回路を示している。ここで
図14Aを参照すると、回路700は、710に示されるコンデンサバンク又はスタックを含み、複数のコンデンサと、それを出る少なくとも経路712、714を含むいくつかの回路経路とを有する。コンデンサスタック710は、電圧源(図示せず)を使用して充電することができ、電圧源(図示せず)はバッテリ又は線路電圧であってもよく、必要に応じて、電圧コンバータに結合されて1~数キロボルトの範囲、2,4,6及び最大10キロボルト以上を使用できる範囲の電圧を生成する。
【0113】
次に、720に示される、少なくとも1つの電力セレクタスイッチ対を含む出力段が提供される。出力信号に電力を供給するためにコンデンサスタックの全部又は一部のみの選択を可能にする第1及び第2のスイッチ722、724を有する電力セレクタスイッチ対720が示されている。必要に応じて、複数の異なる電力レベルを選択できるようにするために、3つ以上のスイッチを含めることができる。スイッチ724が開いている間にスイッチ722が閉じている場合、コンデンサスタック710全体を使用してより高い電圧出力を選択することができ、スイッチ722が開いてスイッチ724が閉じている場合、コンデンサスタック全体より少ないものを使用することによってコンデンサスタックのコンデンサの少なくとも1つが除外される場合には、より低い電圧出力を選択することができる。
【0114】
出力回路は、複数の出力アーム730、740、742、744をさらに含み、それぞれが電極セレクタスイッチ対を含む。電極セレクタスイッチのペアは、ここでElec1、Elec2、Elec3、及びElec4としてマークされている出力ノードのどれがアノード又はカソードとしてアクティブであるかを制御する。2つ以上のそのようなノードは、一度にアノード又はカソードとしてアクティブであり得る。例えば、1つのアノード、1つのカソード、及び2つのオープンノード、又は、2つのアノード、1つのカソード、及び1つのオープンノード、又は、2つのカソード、1つのアノード、及び1つのオープンノード、又は、2つのカソード及び2つのアノードなど、様々な組み合わせがある。各電極セレクタスイッチペアは、電力セレクタスイッチペアに結合されたハイサイドスイッチと、基準電圧に結合されたローサイドスイッチとを含む。例えば、電極スイッチペア732は、電力セレクタ720に結合するためのハイサイドスイッチ734と、基準接地又はシステム接地に結合するためのローサイドスイッチ736とを有する。必要に応じて、追加の分岐には、使用していないときに回路のアクティブ又はパッシブ放電を可能にする放電及び/又はリーク抵抗(図示せず)を含めることができる。
【0115】
図14Bは、別のトポロジーを示している。今回、コンデンサスタック又はバンク760は、
図14Aのように、少なくとも2つの出力経路762,764によって電力セレクタ766に接続されている。この例の電極スイッチペアは、少なくとも第1及び第2の全体的な分岐768、770を含む。スイッチペア770は
図14Aに示されるスイッチペアに類似しているが、スイッチ分岐768は異なる。第1のスイッチペア780は、スイッチペア782、784を備えた複数の下位レベルの分岐へのアクセスを可能にし、4つの出力ノード786、788、790、792のセットへの選択的結合を可能にする。したがって、複雑さが変化する複数のトポロジーを使用して、電力レベル(ブロック766を介して)及び使用される出力(分岐768、770を介して)の両方を別々に選択することができる。
【0116】
図15に、ユーザインターフェースの例を示す。ユーザインターフェースは、スタンドアロン画面、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、又は他の任意の適切なデバイスなどの表示画面上に生成することができる。表示画面はタッチスクリーンであってもよい。ディスプレイ800は、ユーザのための多種多様な機能及び診断を示す。最大電圧(VH)を基準にして、現在の出力の最大振幅を表示するためのスライダーバーが802に表示される。ユーザは、タッチスクリーン、ローラーボール、マウス、タッチパッド、キーボードなどを介して、現在の出力の最大振幅を変更できる。正のパルス幅(PPW)、負のパルス幅(NPW)、及びパルス間持続時間(IPD)を含む、いくつかの現在の設定が804で示されている。PPW、NPW、及びIPDのそれぞれは、本明細書に示される様々な実施形態を使用して、ならびに関連する米国仮特許出願第62/819,120及び62/819,135に示される実施形態を使用して改変され得、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
追加の変更可能なパラメータには、切除エネルギーの単一バーストで配信されるパルス数を制御するバーストあたりのパルス数(PPB)が含まれる。サイクル間遅延(ICD)は、2セットのパルス間で経過する時間を定義する。送達するバーストの数(#バースト)、及びバースト間の遅延(BRD)も設定できる。示されている例では、出力エネルギーは、2つの方形波の間に4マイクロ秒の遅延がある4マイクロ秒の正及び負の方形波として送達され、送達される5組の正及び負の方形波(PPB)は、負の方形波の終了とそれに続く正の方形波の開始までの間に4マイクロ秒を有する。5サイクルの各バーストは、次のバーストから1000ミリ秒離れており、100個のバーストが与えられる。
【0118】
追加の制御機能は、トリガーがオフに設定された808として示されている。トリガーがオンの場合、BRDではなく、心周期で識別された基準点などの生物学的特徴を使用して各バーストをトリガーできる。別の方法として、BRDが設定された状態でトリガーをオンにすると、各バーストが少なくともBRDによって次のバーストから分離され、新しいバーストが心周期基準点などの検出された生物学的特徴によってトリガーされることを示し得る。心周期の基準点は、例えば、R波又はQRS群の識別であり、その後にイベント後の遅延が続く場合がある。例えば、トリガーされた出力は、R波を検出し、治療送達の前にR波の終了を5~100ミリ秒待つことによって送達され得、T波が発生する前にバーストを終了するという上記の目標を伴う。システムは、必要に応じて、既知の、テストされた、又は推定されたS-T期間から、バーストを完了するために必要な時間の長さを差し引くことによって、遅延を自動的に計算するように設定できる。
【0119】
追加機能808はまた、治療を完了するための時間制限を定義することができ、これは、システムのハングアップを防ぐためにタイムアウトする可能性がある。電流閾値も記載されているように設定され、電流が患者に危害を及ぼす可能性のある閾値を超えないことを保証するために提供され得る。例えば、細胞が切除されると、局所インピーダンスが低下する可能性があることが公知である。過剰な電流は組織の加熱や構成部品の損傷につながる可能性があるため、制限を設定すると、安全性を確保したり、切除効果の空間特性を制御したりするのに役立つ場合がある。
【0120】
810で示されるように、インピーダンス812の測定と同様に、残り時間インジケータを提供することができる。インピーダンスは、使用されているプローブのインピーダンスを含む、システム出力の全体的なインピーダンスとして報告される場合がある。又は、治療されている患者組織のインピーダンスに固有のものである場合もある。全体的に、又は特定の又は最近のサイクル又は治療出力のバーストについて、検出された出力電圧波形814を示すグラフを表示することができる。検出された電流は、同様にグラフ形式816で示され得る。無効信号ボタン820は、1つ以上の患者信号の治療前又は治療後の表示を可能にするために提供され得る。治療の実施中、このボタン820は、必要に応じて、灰色で表示されたり、隠されたり、アクセスできなくなったりする場合がある。ストップボタンは824に目立つように表示され、必要なときにいつでも治療をオフにすることができる。コンデンサスタックのレベルを使用するための現在の設定は、826に表示される場合がある。ディスプレイの右側には、830の電流コンデンサスタック電圧、832のコンデンサスタック電圧の履歴、出力信号の正相と負相のピーク検出電圧、及びピーク電流 (正が示されるが、負も同様であり得る)、834のブロックに表示されるピークインピーダンス計算などの診断とステータスが表示される。インピーダンスの履歴は、836のブロック内の時間に対するグラフに表示できる。示されているパラメータ及び診断の特定のセットは単なる例示であり、より多くの、より少ない、又は異なるパラメータ及び診断が示され得る。必要に応じて、ディスプレイの構成を変更することもできる。
【0121】
図16A~16Bは、検出された電荷の不均衡を補正した不均衡な波形を使用する治療の提供方法を示す。
図16Aは方法をブロック形式で示し、
図16Bは方法をグラフ形式で示している。
図16Aから始めて、図は、所定の期間内に治療パルス列を送達することを含む、患者に切除治療を送達する方法を示している。この方法には、910で第1の出力を送達することが含まれる。第1の出力は、第1の電圧及び第1の持続時間を有する第1のパルスであり得る。この方法は、920で示されるように、第1のパルスの間に少なくとも電流を検出することを含む。
【0122】
次に、この方法は、912に示されるように第2の出力を送達することを含む。第2の出力は、第2の電圧及び持続時間を有する第2のパルスを含み得る。一例では、第1の電圧は第2の電圧に等しくなく、第1の持続時間は第2の持続時間に等しくないが、第1の電圧と第1の持続時間の積は実質的に第2の電圧と第2の持続時間の積に等しい。さらに、この方法は、922に示されるように、第2のパルス中に電流を検出することを含む。
【0123】
次に、この方法は、924に示されるように、第1及び第2の出力910、912から生じる電荷バランスに対して調整を行うことを含む。一例では、調整924は、第1のパルス中に送達される電荷の量が、第2のパルス中に送達される電荷の量に等しくないことを判定することを含む。調整は、所定の期間が満了する前に、第1のパルスの電荷量と第2のパルスの電荷量との間の差によって引き起こされる電荷の不均衡を除去するために少なくとも1つの追加のパルスを送達することを含む。914に示されるように、1つの追加のパルスは、単一の出力又は複数の出力を含み得る。
【0124】
図16Bは、第1のパルス910が第1の振幅及び第1のパルス幅で送達され、第2のパルス912が第2の振幅及び第2のパルス幅で送達されるときの方法をグラフ形式で示す。2つのパルス910、912の高さ及び幅は異なるように見えるが、2つのパルスの線の下の面積はほぼ等しく、すなわち、一般的に言えば、約+/-10%以内、又は+/-5%、又は+/-2%に等しい。電圧と持続時間のその組み合わせは、充電に関してバランスの取れた出力を提供することが期待されるかもしれないが、現実の世界ではそうではない場合もある。したがって、1つ以上の調整パルスが914で供給される。
【0125】
さらなる例では、少なくとも1つの追加のパルスは、第1及び第2のパルスの少なくとも1つが遭遇するインピーダンスを決定することによって計算される第3の電圧及び第3の持続時間を有する電圧制御パルスである。あるいは、第1及び第2のパルスの間に送達される総電荷、又は第1及び第2のパルスの間に送達される正味電荷を計算することができる。別の例では、調整パルス914は、電流制御出力として送達され得、一方、最初に送達されたパルス910、912は、電圧制御出力として送達され得る。調整パルスは、必要に応じて、治療以外の振幅又は持続時間で送達することができる。
【0126】
単一のパルスではなく、供給された総電荷を追跡しながら任意の数のパルスのバーストを実行し、その後に電荷の不均衡を打ち消すための1つ以上の補正出力を実行する操作が可能である。重大な電荷の不均衡は、バースト内の単一のサイクルから、又は単一のバーストからでさえ必ずしも発生しない可能性があるが、サイクルがバースト内で繰り返され、バーストが治療計画内で繰り返されるため、時間の経過とともに電荷が発生する可能性があることが問題である。不均衡は、例えば筋肉刺激を引き起こすことによって、患者又は治療に影響を与えるほど重大になるまで蓄積する可能性がある。したがって、調整は、出力のペアの後、サイクルの後、バーストの後、又は場合によっては一連のバースト内で行うことができる。例えば、補正は定期的であり、設定されたサイクル数又はバースト数の後、又は設定された期間後に提供され得るか、又は時折、検出又は計算された不均衡が閾値に達するか超えるときに提供され得る。
【0127】
これらの限定されない例のそれぞれは、単独で通用することもできるが、他の例の1つ以上と様々な順列又は組み合わせで組み合わせることもできる。
上記の詳細な説明には、発明の詳細な説明の一部を構成する添付図面への参照が含まれている。図面は、本発明を実施することができる特定の実施形態を例示として示している。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ぶ。このような例は、図示又は記載されているものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示又は記載されている要素のみが提供される例も企図する。さらに、本発明者らは、特定の例(又はその1つ以上の態様)に関して、又は本明細書に図示又は記載されている他の例(又はその1つ以上の態様)に関して、図示又は記載されているこれらの要素(又はその1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は順列を用いる例も企図する。本文書と、参照によって組み込まれる任意の文書との間に矛盾した用法が用いられている場合、本文書の用法が優先する。
【0128】
本文書において、特許文献では一般的であるように、用語「a」又は「an」は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」という任意の他の例又は使用に依存せず、1つ又は1つ以上を含むために使用される。さらに、下記の請求項において、用語「第1」、「第2」及び「第3」などは、単に符号として使用され、それらの対象に数値要件を課すものではない。
【0129】
本明細書に記載の方法の例は、少なくとも一部分において機械又はコンピュータに実装可能である。いくつかの例は、上記の例で説明された方法を実行する電子機器を構成するように動作可能な命令で符号化された、コンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含むことができる。このような方法の実施態様は、たとえばマイクロコード、アセンブリ言語コード、高級言語コードなどのコードを含むことができる。このようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成してもよい。さらに、一例において、コードは、実行中又は他の時間などに、1つ以上の揮発性、非一次的、又は不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形に格納することができる。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例は、限定するものではないが、ハードディスク、取り外し可能なディスク、メモリカード又はスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などを含むことができる。
【0130】
上記の説明は、例示を目的としたものであり、限定を目的としたものではない。たとえば、上記の例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用してもよい。たとえば、当業者は、上記の説明を精査することによって、他の実施形態を使用することができる。要約は、読者が、技術的開示の性質を素早く確認できるように、37C.F.R.§1.72(b)に準拠して提供されている。要約は、請求項の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されないという理解のもとに提出されている。
【0131】
また、上記「発明を実施するための形態」において、様々な特徴をまとめて、本開示を簡素化してもよい。これは、請求されていない開示された特徴が、請求に不可欠であることを意図すると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、開示されている特定の実施形態の全部の特徴にあるとは限らないことがある。したがって、以下の請求項は、本明細書において実施例又は実施形態として「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は、個別の実施形態として独立しており、そのような実施形態は、さまざまな組み合わせ又は入れ替えにおいて互いに組み合わされうると想定される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような請求項に権利が認められる均等物の全範囲とともに判断されるべきである。
【国際調査報告】