(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-12
(54)【発明の名称】がん登録簿記録の自動作成
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20220502BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555507
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 US2020022106
(87)【国際公開番号】W WO2020185899
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517150065
【氏名又は名称】エレクタ、インク.
【氏名又は名称原語表記】ELEKTA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】カムーソ-ジャネラ,ハイディ ジョー
(72)【発明者】
【氏名】アグラワル,サンジェイ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA23
(57)【要約】
がん登録簿記録を作成する技術を提供する。この技術は、患者の健康記録の関数としてがん登録簿記録の生成を定義する複数のルールを取得することと、がん関連の治療情報を含む、患者に関連付けられた1つまたはそれ以上の電子健康記録を取得することと、1つまたはそれ以上の電子健康記録におけるがん関連の治療情報を処理して、がん関連の治療情報の一部を表す患者のがん登録簿記録を生成することと、がん登録簿記録が不十分ながん関連の治療情報を含むことを判断することと、複数のルールに照らしてがん関連の治療情報を評価することにより、不十分ながん関連の治療情報に対処するためにがん登録簿記録を更新することを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がん登録簿記録を自動的に生成するためのコンピュータにより実施される方法であって、
前記方法は、
プロセッサ回路により、患者の健康記録の関数としてがん登録簿記録の生成を定義する複数のルールを取得することと、
前記プロセッサ回路により、がん関連の治療情報を含む、患者に関連付けられた1つまたはそれ以上の電子健康記録を取得することと、
前記プロセッサ回路により、前記1つまたはそれ以上の電子健康記録における前記がん関連の治療情報を処理して、前記がん関連の治療情報の一部を表す前記患者のがん登録簿記録を生成することと、
前記プロセッサ回路により、前記がん登録簿記録が不十分ながん関連の治療情報を含むことを判断することと、
前記プロセッサ回路により、前記複数のルールに照らして前記がん関連の治療情報を評価することにより、前記不十分ながん関連の治療情報に対処するために前記がん登録簿記録を更新することと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記がん登録簿記録が不十分ながん関連治療情報を含むと判断することは、前記がん登録簿記録が欠落または不完全な情報を含むと自動的に判断することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
前記方法は、更に、
前記がん登録簿記録を政府に統制された登録簿に保存すること
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記がん関連の治療情報を処理することは、
自然言語処理を行って、前記がん関連の治療情報を表すデータを生成することと、
前記複数のルールに基づいて、前記生成されたデータに関連付けられた1つまたはそれ以上のがん登録簿コードを特定することと、
前記特定された1つまたはそれ以上のがん登録簿コードに基づいて、前記がん登録簿記録の1つまたはそれ以上のフィールドにデータを入力することと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記1つまたはそれ以上の電子健康記録は、第1のフォーマットであり、前記がん登録簿記録は、第2のフォーマットである
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記方法は、更に、
前記がん関連の治療情報を処理することに応答して、前記がん関連の治療情報の一部が、がん関連の治療または診断に対応すると判断することと、
前記がん関連の治療または診断を、前記がん関連の治療または診断の頻度を表す閾値と比較することと、
前記がん関連の治療または診断が前記閾値を超えたと判断したことに応じて、前記がん登録簿記録をレビューするためのユーザに対する通知を生成することと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記方法は、更に、
前記複数のルールのうちの少なくとも1つに基づいて、前記がん登録簿記録の第1のフィールドのデータが、前記がん登録簿記録の第2のフィールドのデータと矛盾していると判断することと、
前記第1のフィールドまたは前記第2のフィールドの少なくとも1つにおけるデータが正しいことを検証するために、前記1つまたはそれ以上の電子健康記録から追加のがん関連の治療情報にアクセスすることと、
前記追加のがん関連の治療情報に基づいて、前記第1のフィールドまたは前記第2のフィールドの少なくとも1つにおける前記データを更新することと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、
前記第1のフィールドの前記データが、患者が女性であることを示し、前記第2のフィールドの前記データが、前立腺がんの診断を示し、
前記追加のがん関連の治療情報にアクセスすることは、
前記1つまたはそれ以上の電子健康記録から、医用画像情報または血液サンプル情報の少なくとも1つを回収することと、
前記医用画像情報または前記血液サンプル情報が、男性の患者に対応するものであると判断することと、
前記患者が男性であることを示すために、前記第1のフィールドのデータを調整する、または、前記第1のフィールドのデータに見直しのフラグを立てることと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、
前記方法は、更に、
前記がん関連の治療情報からの第1のタイプのデータが、前記がん登録簿記録のフィールドの第1のコードに対応すると判断することと、
前記がん関連の治療情報の第2のタイプのデータが、前記がん登録簿記録のフィールドの第2のコードに対応すると判断することと、
前記複数のルールに基づいて、前記第2のタイプのデータを前記第1のタイプのデータよりも優先させることと、
前記優先させることに基づいて、前記第1のコードの代わりに前記第2のコードを前記がん登録簿記録の前記フィールドに入力することと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
前記第1のタイプのデータはバイオプシーの結果を表し、前記第2のタイプのデータは医用画像の結果を表す
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、
前記方法は、更に、
前記生成されたがん登録簿記録に類似した、複数のがん患者に関連付けられたがん登録簿記録の収集物を特定することと、
前記がん登録簿記録の収集物に示されている治療プロトコルを識別することと、
前記識別された治療プロトコルに基づいて、前記患者を治療するための推奨される治療プロトコルを生成することと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、
前記1つまたはそれ以上の電子健康記録は、第1の病院のがん患者を管理する第1のデータベースから回収され、
前記方法は、更に、
第2の病院のがん患者を管理する第2のデータベースから、1つまたはそれ以上の追加の電子健康記録を取得することと、
がん患者の集団に関するデータを含む病院間登録簿における複数のがん登録簿記録に前記がん登録簿記録を保存することと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
少なくとも1つのプロセッサを有する処理回路と、
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、オペレーションを行わせる命令を含む記憶媒体と
を有するシステムであって、
前記オペレーションは、
患者の健康記録の関数としてがん登録簿記録の生成を定義する複数のルールを取得することと、
がん関連の治療情報を含む、患者に関連付けられた1つまたはそれ以上の電子健康記録を取得することと、
前記1つまたはそれ以上の電子健康記録における前記がん関連の治療情報を処理して、前記がん関連の治療情報の一部を表す前記患者のがん登録簿記録を生成することと、
前記がん登録簿記録が不十分ながん関連の治療情報を含むことを判断することと、
前記複数のルールに照らして前記がん関連の治療情報を評価することにより、前記不十分ながん関連の治療情報に対処するために前記がん登録簿記録を更新することと
を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13記載のシステムにおいて、
前記がん登録簿記録が不十分ながん関連治療情報を含むと判断するオペレーションは、前記がん登録簿記録が欠落または不完全な情報を含むと自動的に判断するオペレーションを含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項13記載のシステムにおいて、
前記オペレーションは、更に、
前記がん登録簿記録を政府が規制する登録簿に保存すること
を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項13記載のシステムにおいて、
前記がん関連の治療情報を処理するオペレーションは、
自然言語処理を行って、前記がん関連の治療情報を表すデータを生成するオペレーションと、
前記複数のルールに基づいて、前記生成されたデータに関連付けられた1つまたはそれ以上のがん登録簿コードを特定するオペレーションと、
前記特定された1つまたはそれ以上のがん登録簿コードに基づいて、前記がん登録簿記録の1つまたはそれ以上のフィールドにデータを入力するオペレーションと
を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項13記載のシステムにおいて、
前記1つまたはそれ以上の電子健康記録は、第1のフォーマットであり、前記がん登録簿記録は、第2のフォーマットである
ことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項13記載のシステムにおいて、
前記オペレーションは、更に、
前記がん関連の治療情報を処理することに応答して、前記がん関連の治療情報の一部が、がん関連の治療または診断に対応すると判断することと、
前記がん関連の治療または診断を、前記がん関連の治療または診断の頻度を表す閾値と比較することと、
前記がん関連の治療または診断が前記閾値を超えたと判断したことに応じて、前記がん登録簿記録をレビューするためのユーザに対する通知を生成することと
を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項13記載のシステムにおいて、
前記オペレーションは、更に、
前記複数のルールのうちの少なくとも1つに基づいて、前記がん登録簿記録の第1のフィールドのデータが、前記がん登録簿記録の第2のフィールドのデータと矛盾していると判断することと、
前記第1のフィールドまたは前記第2のフィールドの少なくとも1つにおけるデータが正しいことを検証するために、前記1つまたはそれ以上の電子健康記録から追加のがん関連の治療情報にアクセスすることと、
前記追加のがん関連の治療情報に基づいて、前記第1のフィールドまたは前記第2のフィールドの少なくとも1つにおける前記データを更新することと
を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項13記載のシステムにおいて、
前記第1のフィールドの前記データが、患者が女性であることを示し、前記第2のフィールドの前記データが、前立腺がんの診断を示し、
前記追加のがん関連の治療情報にアクセスするオペレーションは、
前記1つまたはそれ以上の電子健康記録から、医用画像情報または血液サンプル情報の少なくとも1つを回収することと、
前記医用画像情報または前記血液サンプル情報が、男性の患者に対応するものであると判断することと、
前記患者が男性であることを示すために、前記第1のフィールドのデータを調整する、または、前記第1のフィールドのデータに見直しのフラグを立てることと
を有する
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
[0001]
本特許出願は、2019年3月14日に出願された米国出願番号第16/354,090号の継続出願であり、その優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
[0002]
本開示の実施形態は、一般的に、患者の治療を管理するために、がん(癌)登録簿(cancer registries)のような電子患者データリポジトリ(electronic patient data repository)を使用するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0001]
外傷患者、移植患者、がん(癌)患者のために確率された登録簿(registries)のような電子データレポジトリ(electronic data repositories)は、特定の、そして潜在的に大きな集団の有用な情報を、潜在的に長期間にわたって収集し保存するために使用することができる。例えば、米国国立がん研究所(NCI:US National Cancer Institute)が支援するSEER(Surveillance, Epidemiology, and End Results)プログラムでは、特定の地域と特定の種類のがんのデータを収集しており、米国人口の25%以上をカバーし、一部の地域では1973年までさかのぼってデータを収集している。このようなリポジトリは、意味のある分析に十分な量の貴重なデータを提供することができる。このような登録簿へのデータの入力は、様々な規制ルールに従った手作業で行われており、非常に多くの時間と労力がかかるため、収集されたデータに長期の遅延や非効率性が生じている。また、すべてのルールを確実に守ることは難しく、かつ面倒であり、最終的に入力されるデータに不備が生じてしまう。
【0004】
(概要)
[0002]
本開示は、がん登録簿記録を生成する手順を含む。
【0005】
[0003]
いくつかの実施形態では、本技術は、コンピュータにより実施される方法と、少なくとも1つのプロセッサと、前記プロセッサにオペレーションを行わせる命令を含む記憶媒体とを有するシステムとを含み、前記オペレーションは、患者の健康記録の関数としてがん登録簿記録の生成を定義する複数のルールを取得することと、がん関連の治療情報を含む、患者に関連付けられた1つまたはそれ以上の電子健康記録を取得することと、前記1つまたはそれ以上の電子健康記録における前記がん関連の治療情報を処理して、前記がん関連の治療情報の一部を表す前記患者のがん登録簿記録を生成することと、前記がん登録簿記録が不十分ながん関連の治療情報を含むことを判断することと、前記複数のルールに照らして前記がん関連の治療情報を評価することにより、前記不十分ながん関連の治療情報に対処するために前記がん登録簿記録を更新することとを含む。
【0006】
[0004]
いくつかの実施では、前記がん登録簿記録が不十分ながん関連治療情報を含むと判断することは、前記がん登録簿記録が欠落または不完全な情報を含むと自動的に判断することを含む。いくつかの実施では、前記がん登録簿記録が政府に統制された登録簿に保存される。
【0007】
[0005]
いくつかの実施では、前記がん関連の治療情報は、自然言語処理を行って、前記がん関連の治療情報を表すデータを生成し、前記複数のルールに基づいて、前記生成されたデータに関連付けられた1つまたはそれ以上のがん登録簿コードを特定し、前記特定された1つまたはそれ以上のがん登録簿コードに基づいて、前記がん登録簿記録の1つまたはそれ以上のフィールドにデータを入力することにより処理される。
【0008】
[0006]
いくつかの実施では、前記1つまたはそれ以上の電子健康記録は、第1のフォーマットであり、前記がん登録簿記録は、第2のフォーマットである。
【0009】
[0007]
いくつかの実施では、前記がん関連の治療情報の一部が、前記がん関連の治療情報を処理することに応答して、がん関連の治療または診断に対応すると判断され、前記がん関連の治療または診断は、前記がん関連の治療または診断の頻度を表す閾値と比較され、前記がん関連の治療または診断が前記閾値を超えたと判断したことに応じて、前記がん登録簿記録をレビューするためのユーザに対する通知が生成される。
【0010】
[0008]
いくつかの実施では、前記複数のルールのうちの少なくとも1つに基づいて、前記がん登録簿記録の第1のフィールドのデータが、前記がん登録簿記録の第2のフィールドのデータと矛盾しているとの判断がなされ、前記第1のフィールドまたは前記第2のフィールドの少なくとも1つにおけるデータが正しいことを検証するために、追加のがん関連の治療情報が前記1つまたはそれ以上の電子健康記録からアクセスされ、前記第1のフィールドまたは前記第2のフィールドの少なくとも1つにおける前記データが、前記追加のがん関連の治療情報に基づいて更新される。いくつかの実施では、前記第1のフィールドの前記データが、患者が女性であることを示し、前記第2のフィールドの前記データが、前立腺がんの診断を示し、前記追加のがん関連の治療情報にアクセスすることは、前記1つまたはそれ以上の電子健康記録から、医用画像情報または血液サンプル情報の少なくとも1つを回収することと、前記医用画像情報または前記血液サンプル情報が、男性の患者に対応するものであると判断することと、前記患者が男性であることを示すために、前記第1のフィールドのデータを調整する、または、前記第1のフィールドのデータに見直しのフラグを立てることにより実行される。
【0011】
[0009]
いくつかの実施では、前記がん関連の治療情報からの第1のタイプのデータが、前記がん登録簿記録のフィールドの第1のコードに対応するとの判断がなされ、前記がん関連の治療情報の第2のタイプのデータが、前記がん登録簿記録のフィールドの第2のコードに対応するとの判断がなされ、前記複数のルールに基づいて、前記第2のタイプのデータを前記第1のタイプのデータよりも優先され、前記優先させることに基づいて、前記第1のコードの代わりに前記第2のコードを前記がん登録簿記録の前記フィールドに入力される。いくつかの実施では、前記第1のタイプのデータはバイオプシーの結果を表し、前記第2のタイプのデータは医用画像の結果を表す。
【0012】
[0010]
いくつかの実施では、前記生成されたがん登録簿記録に類似した、複数のがん患者に関連付けられたがん登録簿記録の収集物が特定され、前記がん登録簿記録の収集物に示されている治療プロトコルが識別され、前記識別された治療プロトコルに基づいて、前記患者を治療するための推奨される治療プロトコルが生成される。
【0013】
[0011]
いくつかの実施では、前記1つまたはそれ以上の電子健康記録は、第1の病院のがん患者を管理する第1のデータベースから回収され、第2の病院のがん患者を管理する第2のデータベースから、1つまたはそれ以上の追加の電子健康記録が取得され、がん患者の集団に関するデータを含む病院間登録簿における複数のがん登録簿記録に前記がん登録簿記録を保存される。
【0014】
[0012]
上記の概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを目的としている。これは、本開示に関する排他的または網羅的な説明を意図したものではない。詳細な説明は、本特許出願についてのさらなる情報を提供するために含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[0013]
図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、いくつかの図の中で、同じ数字は実質的に類似したコンポーネントを表している。異なる文字の接尾辞を持つ同様の数字は、実質的に類似したコンポーネントの異なる例を表す。図面は、本明細書で議論されている様々な実施形態を、限定するものではなく、一般的な例示として示している。
【0016】
[0014]
【
図1】
図1は、いくつかの実施例による治療計画生成処理を実行するように適応された例示的な放射線治療システムを示す。
【0017】
[0015]
【
図2】
図2は、本開示のいくつかの実施例による画像誘導型放射線治療装置の例を示す。
【0018】
[0016]
【
図4】
図3及び
図4は、本開示のいくつかの実施例によるがん登録簿記録生成ワークフローの例を示す。
【0019】
[0017]
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの実施例による複数の病院にわたるがん登録簿記録生成ワークフローの例を示す。
【0020】
[0018]
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの実施例によるがん登録簿記録を自動的に生成するための例示的なオペレーションのフローチャートを示す。
【0021】
[0019]
【
図7】
図7は、本開示のいくつかの実施例によるがん登録簿記録生成ワークフローの例示的なユーザインターフェースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0020]
本開示は、がん登録場の記録を生成するための様々な技術を含む。具体的には、開示された技術は、患者の健康記録の機能としてがん登録簿の記録の生成を定義する複数のルールを取得し、がん関連の治療情報を含む患者に関連付けられた1つまたはそれ以上の電子健康記録を取得する。1つまたはそれ以上の電子健康記録のがん関連の治療情報を処理して、がん関連の治療情報の一部を表す患者のがん登録簿の記録を生成する。開示された技術は、がん登録簿の記録に不十分ながん関連の治療情報が含まれていると判断し、がん関連の治療情報を複数のルールに照らして評価することで、不十分ながん関連の治療情報に対処するためにがん登録簿の記録を自動的に更新する。
【0023】
[0021]
典型的に、医療情報は、訓練を受けた、および/または、認定を受けた人であって、確立された基準に従って、彼らが正確な情報であると信じるものを収集し、検討し、入力する人により、データリポジトリに与えられる。例えば、がん登録簿担当者は、北米中央がん登録協会(NAACCR:North American Association of Central Cancer registries)データ基準により求められるように、がん登録簿にデータを入力する。そのようなデータレポジトリは、特定の母集団における一定期間にわたる、例えば、出生、凶悪犯罪、肥満、事故死、疾病などの事象の発生率や有病率を記述するために使用される。一定のプライバシー管理が行われていれば、電子データレポジトリはプログラムや機関の間で共有され、公開され得る。SEERのデータは、例えば、研究者や一般の方にも公開されており、かれらは、がんの傾向を調べたり、地域別のがん統計を報告したり、がんのリスク要因を特定したりするのに利用する。このような調査は、特定の地域やリスクがあると思われる人に対して、教育や支援活動などの改善活動を集中的に行うために使用され得る。
【0024】
[0022]
多くの場合、訓練を受けたデータ入力担当者は、NCIが提供するがん登録簿フォームの記入に関する報告ガイドラインや、臨床医ががん登録簿フォームに記入する際に役立つ様々な資料を利用している。適切に入力され、正しいことがレビューされ、および/または、その他の方法で検証されたデータが記録されると、そこに含まれる情報が構造化され、がん登録簿にアップロードされる。そのような記録の作成プロセスは、時間をかければうまくいくが、そのような記録の作成プロセスは、非常に時間がかかり、また臨床医によってばらつきがある。具体的には、有効な登録簿の記録を作成するのに必要な時間は長く、多くのがん登録簿では、患者ががんと診断されてから何ヶ月も、あるいは何年も経ってから、患者のデータが初めて入力される。その入力は、ゆっくりと進み、退屈で、反復的で、時間のかかるプロセスにおいて、矛盾する可能性のある複数の情報ソースの登録担当者の評価に基づいて、1つの分野を一度に行う。登録担当者は、必要なデータの検証や入手の困難性により、様々な完成度の状態で待機している複数の案件を抱えている可能性がある。驚くことではないが、患者に対する追加データは、例えば、治癒時、その後5年間、死亡時など、頻繁に提供され得る。登録簿への記録の有用性は、検証済みの登録簿の記録を提供することの難しさによってしばしば制限される。また、レポジトリにおける記録の作成と検証には長い時間がかかるため、登録簿を利用した研究は、しばしば、古いデータに基づいた結果となり、母集団の最新の状態を反映していない。
【0025】
[0023]
このような非効率性や不十分なデータ分析に対処するために、開示された技術では、(ユーザの入力を受け取らずに)自動的に患者の医療情報を処理し、(ユーザの入力を受け取らずに)自動的にルールを利用して、正確な医療記録を作成する。公開された技術は、信頼性が高く正確ながん患者の電子記録を管理し、および/または、登録記録を、がんの治療方法や傾向などに関するジャストインタイムの洞察を提供するために、容易にアクセスできる医療情報の追加ソースで補強するものである。これにより、国家(state)、および/または、病院のリポジトリに反映されたデータは、特定の人口について入手可能な最新の医療情報を反映したものになる。
【0026】
[0024]
具体的には、いくつかの実施形態では、登録簿の記録を作成および更新するために使用される現在の人的資源および知識資源は、それぞれ、実質的に不要とされ、そして増加される。拒否された登録簿の記録をレビューし、修正するために臨床医が費やす時間は、なくならないまでも削減される。さらに、開示された実施形態は、そこに含まれる構造化された情報が、医療従事者、研究者、およびバイオファーマや医療機器企業のような利害関係者にとって、より大きな価値および有用性を有することができるように、よりタイムリーに検証された記録を提供する必要性に対処する。
【0027】
[0025]
いくつかの実施形態では、検証済みの登録簿の記録の内容が強化される。具体的には、病院のデータリポジトリから得られる情報が、有効な登録簿の記録内にある情報を補完するために使用される。例えば、ある実施形態では、患者の治療に使用された特定のモダリティを説明する情報と、任意で、治療の過程で記録または観察された、そのモダリティによる治療に特有の投与量、治療期間、適応症のようなパラメータを追加することにより、登録簿の記録が補完される。いくつかの実施形態では、検証された登録簿の記録、および/または、強化された登録簿の記録を使用して、病院間登録簿(inter-hospital registry)が作成される。病院間登録簿は、医師が、彼女の患者のための治療プロトコルを選択または変更する際に、医師の利用可能なリソースを強化するために使用され得る。例えば、病院間登録簿は、与えられた症状や患者層に対して特定の種類のモダリティを使用した治療のベンチマークデータを提供することができる。病院間登録簿に蓄積され得る、強化された登録簿記録の多様性と数を考えると、その受益者は、例えば、医師、研究者、臨床試験の候補を探している医薬品や医療機器の企業などを含めることができる。登録簿の記録、または強化された登録簿の記録(病院の登録簿または病院間登録簿を介して提供される)は、他の患者データと一緒に使用され、医師が患者の治療プロトコルを計画する際の意思決定を補強する。
【0028】
[0026]
いくつかの実施形態では、自然言語処理が行われて、与えられた患者について1つまたはそれ以上の病院から受け取ったがん関連治療情報を処理する。自然言語処理の結果得られたデータは、指定されたルールに従って分析され、データに関連付けられた1つまたはそれ以上のがん登録簿コードが特定される。がん登録簿テンプレートが検索され、がん登録簿テンプレートのフィールドは、識別されたがん登録簿コードを用いて(ユーザの入力を受けずに)自動的に入力される。記録が自動的に(ユーザの入力を受けずに)生成された後(その記録は、受け取ったがん関連治療情報とは異なるフォーマットである可能性があるが)、その記録は処理され、十分ながん関連情報が含まれているかどうかが判断される。これは、その記録が不足している情報や不完全な情報が含まれているかどうかを判断することで行うことができる。
【0029】
[0027]
いくつかの実施形態では、指定されたルールが利用され、がん登録簿の記録の第1のフィールドのデータが、がん登録簿の記録の第2のフィールドのデータと矛盾しているかどうかを判断する。例えば、第1のフィールドのデータは、患者が女性であることを示し、第2のフィールドのデータは、女性の患者とは一致しない前立腺がんの診断を示している可能性がある。そのような状況では、第1のフィールドまたは第2のフィールドの少なくとも1つのデータが正しいことをレビューするために、患者の1つまたはそれ以上の電子健康記録から追加のがん関連治療情報にアクセスする。例えば、医用画像情報または血液サンプル情報の少なくとも1つを、1つまたはそれ以上の電子医療記録から検索し、医用撮像情報または血液サンプル情報が男性患者に対応していると判断することができる。その後、第1のフィールドまたは第2のフィールドの少なくとも1つのデータが、追加のがん関連治療情報に基づいて更新されるか、または、臨床医によるレビューのために、臨床医に不整合を知らせる通知がグラフィカルユーザインターフェースで提供される。
【0030】
[0028]
いくつかの実施形態では、開示された技術は、がん関連治療情報の一部が、がん関連治療または診断に対応するかどうかを判断する。がん関連の治療または診断は、より大きな集団におけるがん関連の治療または診断の頻度を表す閾値と比較される。治療または診断が閾値を超えた場合、通知が生成され、臨床医またはユーザに対して、がん関連の治療または診断を示すグラフィカルユーザインターフェースで表示される。次に、臨床医は、自動生成された記録を見て、がん関連の治療や診断の正確さをレビューすることができる。
【0031】
[0029]
いくつかの実施形態では、生成されたがん登録簿の記録と類似した、複数のがん患者に関連付けられたがん登録簿の記録の収集物が取得される。がん登録簿の記録の収集物で示された治療プロトコルが特定され、患者を治療するための推奨治療プロトコルの作成に使用される。そのような推奨事項は、臨床医がレビューして受け入れることができるように、グラフィカルユーザインターフェースで臨床医に提供することができる。
【0032】
[0030]
図1は、本明細書で述べられた1つまたはそれ以上のアプローチを使用して治療計画生成処理を実行するように適合された、例示的な放射線治療システム100を示す。これらの放射線治療計画処理のオペレーティングは、放射線治療システム100が、撮影された医用画像データと治療線量計算の特定の側面に基づいて、患者に放射線治療を提供できるようにして実行される。放射線治療システム100は、がん登録簿の記録を自動的に生成し、検証することができる。例えば、放射線治療システム100は、所定の患者のがん関連の治療情報を取得し、自然言語処理を実行し、所定の規則とともに分析され、データに関連付けられた1つまたはそれ以上のがん登録簿コードを特定する、がん関連のデータを取得する。がん登録簿テンプレートが引き出され、識別されたがん登録簿コードを用いて、その記録のフィールドに自動的に入力される。
【0033】
[0031]
放射線治療システム100は、治療処理ロジック120をホストする放射線治療処理計算システム110を含む。放射線治療処理計算システム110は、ネットワーク(図示せず)に接続され、そのようなネットワークはインターネットに接続される。例えば、ネットワークは、放射線治療処理計算システム110を、1つまたはそれ以上の医療情報ソース(例えば、放射線情報システム(RIS))、医療記録システム(例えば、電子医療記録(EMR)/電子健康記録(EHR)システム)、腫瘍情報システム(OIS))、1つまたはそれ以上の画像データソース150、画像取得装置170(例えば、撮像モダリティ)、治療装置180(例えば、放射線治療装置)、および1つまたはそれ以上の治療データソース160と接続することができる。一実施例として、放射線治療処理計算システム110は、治療装置180で使用するために、および/または、出力装置146で出力するために、登録簿記録を生成するオペレーションの一部として、治療処理ロジック120からの命令またはデータを実行するようにして、被験者の線量情報またはMR(Magnetic Resonance)画像のような、がん関連治療情報162を受け取り、がん関連治療情報を表すコードを得るためにルールを適用して、がん登録簿記録を自動的に生成するように構成することができる。
【0034】
[0032]
放射線治療処理計算システム110は、処理回路112と、メモリ114と、記憶装置116と、ユーザインターフェース142、通信インタフェース(図示せず)のような他のハードウェアおよびソフトウェアで動作可能な機能(feature)を含むことができる。記憶装置116は、例えば、オペレーティングシステム、放射線治療の治療計画(例えば、トレーニング用コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)画像、実際のコンピュータ断層撮影(CT)画像、トレーニング画像と実際のCT画像を関連付けるパーリング(paring)情報、適合または修正されたCBCT画像、など)、ソフトウェアプログラム(例えば、画像処理ソフトウェア、画像または解剖学的視覚化ソフトウェア、DLモデル、機械学習(ML)モデル、およびニューラルネットワークによって提供されるようなAIの実施およびアルゴリズム、など)、および処理回路112によって実行される他の任意のコンピュータ実行可能な命令のような、一時的または非一時的なコンピュータ実行可能な命令を記憶することができる。
【0035】
[0033]
一実施例では、処理回路112は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、加速処理装置(APU:Accelerated Processing Unit)のような1つまたはそれ以上の汎用処理装置のような処理装置を含むことができる。より具体的には、処理回路112は、CISC(Complex Instruction Set Computing)マイクロプロセッサ、RISC(Reduced Instruction Set Computing)マイクロプロセッサ、VLIW(Very Long Instruction Word)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであり得る。また、処理回路112は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、SoC(System On a Chip)のような、1つまたはそれ以上の特殊用途の処理装置によって実装され得る。当業者に理解されるように、いくつかの実施形態では、処理回路112は、汎用プロセッサではなく、専用プロセッサであってもよい。処理回路112は、Intel(登録商標)によって製造されたPentium(登録商標)、Core(登録商標)、Xeon(登録商標)、またはItanium(登録商標)ファミリー、AMD(登録商標)によって製造されたTurion(登録商標)、Athlon(登録商標)、Sempron(登録商標)、Opteron(登録商標)、FX(登録商標)、Phenon(登録商標)ファミリー、Sun Microsystemsによって製造された様々なプロセッサのいずれかのような、1つまたはそれ以上の既知の処理装置を含み得る。処理回路112は、また、Nvidia(登録商標)によって製造されたGeForce(登録商標)、Quadro(登録商標)、Tesla(登録商標)ファミリー、Intel(登録商標)によって製造されたGMA、Iris(登録商標)ファミリー、またはAMD(登録商標)によって製造されたRadeon(登録商標)ファミリーのGPUのような、グラフィック処理ユニットを含み得る。処理回路112は、また、Intel(登録商標)によって製造されたXeon Phi(登録商標)ファミリーのユニットのような加速処理ユニットを含み得る。開示された実施形態は、いかなるタイプのプロセッサに限定されるものではなく、大量のデータを識別、分析、維持、生成、および/または、提供したり、本明細書で開示されている方法を実行するためにそのようなデータを操作したりするためのコンピューティング要求を満たすように構成された任意のプロセッサ上で具現化され得るものである。さらに、「プロセッサ」という用語は、複数の物理的(回路ベースの)またはソフトウェアベースのプロセッサ、例えば、マルチコア設計を有するプロセッサや、それぞれがマルチコア設計を有する複数のプロセッサを含むことができる。処理回路112は、メモリ114に格納され、記憶装置116からアクセスされる一時的または非一時的なコンピュータプログラム命令のシーケンスを実行して、以下でより詳細に説明される様々なオペレーション、プロセス、および方法を実行することができる。放射線治療システム100内の任意のコンポーネントは、別々に実装されて独立した装置として動作してもよく、また、放射線治療システム100内の任意の他のコンポーネントに結合されて、本開示で説明される技術を実行することができることを理解すべきである。
【0036】
[0034]
メモリ114は、読み取り専用メモリ(ROM)、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)のようなダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、スタティックメモリ(例えば、フラッシュメモリ、フラッシュディスク、スタティックランダムアクセスメモリ)、および、キャッシュ、レジスタ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、またはその他の光学式ストレージ、カセットテープ、その他の磁気記憶装置のようなその他のタイプのランダムアクセスメモリ、または、処理回路112やその他のコンピュータデバイスによってアクセス可能な画像、データ、または一時的もしくは非一時的なコンピュータ実行可能な命令(例えば、任意のフォーマットで格納されている)を含む情報を格納するために使用可能なその他の非一時的な媒体であり得る。例えば、コンピュータプログラム命令は、処理回路112によってアクセスされ、ROM、または任意の他の適切なメモリ位置から読み出され、処理回路112による実行のためにRAMにロードされ得る。
【0037】
[0035]
記憶装置116は、本明細書に記載されている方法論または機能(様々な実施例では、治療処理ロジック120およびユーザインターフェース142を含む)のいずれか1つまたはそれ以上を具現化するか、またはそれによって利用される1つまたはそれ以上のセットの一時的または非一時的な命令およびデータ構造(例えば、ソフトウェア)が格納されている一時的または非一時的な機械読み取り可能な媒体を含むドライブユニットを構成し得る。また、命令は、放射線治療処理計算システム110による命令の実行中に、完全にまたは少なくとも部分的に、メモリ114内および/または処理回路112内に存在することができ、メモリ114および処理回路112は、一時的または非一時的な機械読取可能な媒体を構成し得る。
【0038】
[0036]
メモリ114および記憶装置116は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を構成し得る。例えば、メモリ114および記憶装置116は、1つまたはそれ以上のソフトウェアアプリケーションの一時的または非一時的な命令をコンピュータ可読媒体に格納またはロードすることができる。メモリ114および記憶装置116に格納またはロードされたソフトウェアアプリケーションは、例えば、ソフトウェアで制御されたデバイスだけでなく、一般的なコンピュータシステム用のオペレーティングシステムを含み得る。また、放射線治療処理計算システム110は、治療処理ロジック120およびユーザインターフェース142を実装するためのソフトウェアコードからなる様々なソフトウェアプログラムを動作させることができる。さらに、メモリ114および記憶装置116は、処理回路112によって実行可能な、ソフトウェアアプリケーション全体、ソフトウェアアプリケーションの一部、またはソフトウェアアプリケーションに関連するコードもしくはデータを記憶またはロードすることができる。さらなる実施例では、メモリ114および記憶装置116は、1つまたはそれ以上の放射線治療の治療計画、撮像データ、セグメンテーションデータ、治療の可視化、線量ヒストグラム、線量測定値、AIモデルデータ(例えば、重みおよびパラメータ)、ラベルおよびマッピングデータなどを格納、ロード、および操作し得る。ソフトウェアプログラムは、記憶装置116およびメモリ114だけでなく、ハードドライブ、コンピュータディスク、CD-ROM、DVD、Blu-Ray DVD、USBフラッシュドライブ、SDカード、メモリスティック、またはその他の適切な媒体のような取り外し可能なコンピュータ媒体にも保存されてもよく、そのようなソフトウェアプログラムは、ネットワークを介して通信または受信されてもよい。
【0039】
[0037]
メモリ114は、複数の病院や国家の登録簿に分散され得る。メモリ114は、
図2乃至
図7により説明したがん関連治療情報やがん登録簿の記録を記憶するために使用され得る。がん関連の治療情報には、病院のような1つまたはそれ以上の医療施設で管理されている、診断済みまたは未診断の患者に関連付けられたアナログ、デジタル、オーディオ、ビジュアル、構造化、または非構造化のデータが含まれ得る。がん関連の治療情報には、既存または計画された治療プロトコル、強化された登録簿の記録、推奨されたプロトコル、国家登録簿に提供された登録簿の記録、保険会社、支払い記録、診断された状態、病理学的記録、予防接種登録簿記録、外傷登録簿記録、および疫学的または放射線学的データのうちの1つまたは複数が含まれ得る。登録簿の記録は、1つまたはそれ以上の情報項目やがん関連情報を表すコードを含むフィールドで構成された、患者についての構造化されたデータを含む。患者に対する登録簿の記録は、例えば、その記録の異なるフィールドにデータを入力するためのテンプレートをユーザに提供するメニュー駆動型のソフトウェアアプリケーションを介して、国家やその他の機関により定義され得る。
【0040】
[0038]
それらは図示されていないが、放射線治療処理計算システム110は、通信インターフェース、ネットワークインターフェースカード、および通信回路を含み得る。通信インターフェースの例としては、例えば、ネットワークアダプタ、ケーブルコネクタ、シリアルコネクタ、USBコネクタ、パラレルコネクタ、高速データ伝送アダプタ(例えば、ファイバ、USB3.0、サンダーボルト、など)、無線ネットワークアダプタ(例えば、IEEE802.11/Wi-Fiアダプタのような)、電気通信アダプタ(例えば、3G、4G/LTE、5Gネットワークなど)などを含み得る。このような通信インターフェースは、ネットワークを介して機械が他の機械や装置(遠隔地にあるコンポーネントなど)と通信することを可能にする1つまたはそれ以上のデジタルおよび/またはアナログ通信装置を含むことができる。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスネットワーク、クラウドコンピューティング環境(例えば、サービスとしてのソフトウェア、サービスとしてのプラットフォーム、サービスとしてのインフラストラクチャ、など)、クライアントサーバ、広域ネットワーク(WAN)など機能を提供することができる。例えば、ネットワークは、他のシステム(医療画像処理や放射線治療のオペレーションに関連付けられた追加の画像処理コンピューティングシステムや画像ベースのコンポーネントを含む)を含むLANまたはWANであってもよい。
【0041】
[0039]
処理回路112は、メモリ114および記憶装置116に通信可能に結合されていてもよく、処理回路112は、メモリ114または記憶装置116のいずれかからその上に記憶されたコンピュータ実行可能な命令を実行するように構成されていてもよい。処理回路112は、画像データ152からの医用画像および/またはがん関連の治療情報を、メモリ114で受信または取得し、治療処理ロジック120を用いて処理させる命令を実行してもよい。さらなる実施例では、処理回路112は、画像データ152および他の患者データとともにソフトウェアプログラム(例えば、画像処理ソフトウェア)を利用して、がん登録簿の記録を自動的に生成してもよい。
【0042】
[0040]
一実施例では、画像データ152は、1つまたはそれ以上のMRI画像(例えば、2Dの MRI、3DのMRI、2DのストリーミングMRI、4DのMRI、4DのボルメトリックMRI、4DのシネMRIなど)、機能的MRI画像(例えば、fMRI、DCE-MRI、拡散MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)画像(例えば、2DのCT、コーンビームCT、3DのCT、4DのCT)、超音波画像(例えば、2Dの超音波、3Dの超音波、4Dの超音波)、PET(Positron Emission Tomography)画像、X線画像、透視画像、放射線治療ポータル画像、SPECT(Single-Photo Emission Computed Tomography)画像、コンピュータで作成した合成画像(擬似CT画像など)など、を含み得る。さらに、画像データ152は、例えば、トレーニング画像、グランドトゥルース画像、輪郭画像、線量画像のような医用画像処理データを含む、またはそれと関連付けられ得る。他の実施例では、解剖学的領域の同等の表現は、画像以外のフォーマット(例えば、座標、マッピングなど)で表され得る。
【0043】
[0041]
一実施例では、画像データ152は、画像取得装置170から受信され、1つまたはそれ以上の画像データソース150(例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)、VNA(Vendor Neutral Archive)、医療記録または情報システム、データウェアハウスなど)に格納され得る。したがって、画像取得装置170は、患者の医用画像を取得するために、MRI撮像装置、CT撮像装置、PET撮像装置、超音波撮像装置、透視装置、SPECT撮像装置、線形加速器とMRIの一体型撮像装置のような医用撮像装置で構成され得る。画像データ152は、画像取得装置170および放射線治療処理計算システム110が、開示された実施形態による操作を実行するために使用することができ、任意のタイプのデータまたは任意のタイプのフォーマット(例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)フォーマット)で受信および格納され得る。
【0044】
[0042]
一実施例では、画像取得装置170は、単一の装置(例えば、「MRI-Linac」とも呼ばれる線形加速器と組み合わせたMRI装置)として治療装置180と統合され得る。このようなMRI-Linacは、例えば、患者の標的臓器や標的腫瘍の位置を決定し、放射線治療の治療計画に基づいて、所定の標的に正確に放射線治療を行うために使用することができる。例えば、放射線治療の治療計画では、各患者に適用する特定の放射線量に関する情報を提供することができる。また、放射線治療の治療計画には、ビーム角度、線量-ヒストグラム-体積情報、治療中に使用する放射線ビームの数、ビーム1本あたりの線量など、他の放射線治療情報が含まれ得る。
【0045】
[0043]
放射線治療処理計算システム110は、ネットワークを介して外部のデータベースと通信し、画像処理や放射線治療の操作に関連する複数の様々な種類のデータを送受信し得る。例えば、外部データベースは、治療装置180、画像取得装置170、または放射線治療や医療処置に関連する他の機械に関連付けられた情報を提供する機械データ(装置制約を含む)を含むことができる。機械データの情報には、放射線ビームのサイズ、アークの配置、ビームのオン/オフ時間、マシンパラメータ、セグメント、マルチリーフコリメータ(MLC)の構成、ガントリの速度、MRIのパルスシーケンスなどが含まれる。外部データベースは、記憶装置であってもよく、適切なデータベース管理ソフトウェアプログラムを備えていてもよい。さらに、このようなデータベースやデータソースは、中央または分散して配置された複数のデバイスやシステムを含んでいてもよい。
【0046】
[0044]
放射線治療処理計算システム110は、処理回路112およびメモリ114に通信可能に結合された1つまたはそれ以上の通信インターフェースを使用して、ネットワークを介して、データを収集および取得し、他のシステムと通信することができる。例えば、通信インターフェースは、放射線治療処理計算システム110と放射線治療システムコンポーネントとの間の通信接続を(例えば、外部装置とのデータ交換を可能にして)提供することができる。例えば、通信インターフェースは、いくつかの実施例では、出力装置146または入力装置148からの適切なインターフェース回路を有し、ユーザが放射線治療システム100に情報を入力することができるハードウェアキーボード、キーパッド、またはタッチスクリーンであるユーザインターフェース142に接続することができる。
【0047】
[0045]
一実施例として、出力装置146は、ユーザインターフェース142の表現と、医用画像、治療計画、およびそのような計画のトレーニング、生成、検証、または実施のステータスの1つまたはそれ以上の側面、視覚化、または表現を出力する表示装置を含み得る。出力装置146は、
図7に図示されるようなグラフィカルユーザインターフェースを出力することができる。出力装置146は、医用画像、インターフェース情報、治療計画パラメータ(例えば、輪郭、線量、ビーム角度、ラベル、マップなど)、治療計画、標的、標的のローカライズおよび/または標的のトラッキングに関連する情報、または関連する情報をユーザに表示する1つまたはそれ以上の表示画面を含み得る。ユーザインターフェース142に接続された入力装置148は、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、またはユーザが放射線治療システム100に情報を入力するために使用することができる任意のタイプの装置であり得る。あるいは、出力装置146、入力装置148、およびユーザインターフェース142の機能は、スマートフォンやタブレットコンピュータ(例えば、アップル社製のiPad(登録商標)、Lenovo社製のThinkpad(登録商標)、サムソン社製のGalaxy(登録商標)のような単一のデバイスに統合され得る。
【0048】
[0046]
さらに、放射線治療システム100の任意およびすべてのコンポーネントは、仮想マシン(例えば、VMWare、Hyper-Vのような仮想化プラットフォームを介して)または独立したデバイスとして実装され得る。例えば、仮想マシンは、ハードウェアとして機能するソフトウェアである。したがって、仮想マシンには、少なくとも1つまたはそれ以上の仮想プロセッサ、1つまたはそれ以上の仮想メモリ、1つまたはそれ以上の仮想通信インターフェースが含まれ、それらが一体となってハードウェアとして機能することができる。例えば、放射線治療処理計算システム110、画像データソース150、または同様のコンポーネントは、仮想マシンとして、またはクラウドベースの仮想化環境内で実装され得る。
【0049】
[0047]
治療処理ロジック120または他のソフトウェアプログラムは、放射線治療処理計算システム110に、画像データソース150と通信して、画像データソース150からメモリ114および記憶装置116に画像を読み込ませたり、メモリ114または記憶装置116から画像データソース150に画像または関連データを保存させたりすることができる。例えば、画像データソース150は、モデルトレーニングまたは生成ユースケースにおいて、画像取得装置170を介して1人またはそれ以上の患者から取得した画像データ152内の画像セットから、画像データソース150がホストする複数の画像(例えば、3D MRI、4D MRI、2D MRIスライス画像、CT画像、2D透視画像、X線画像、MRスキャンまたはCTスキャンの生データ、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)メタデータなど)を格納して提供するように構成され得る。放射線治療処理計算システム110は、このように、放射線治療または診断オペレーションを行うことに関連して、画像データソース150、画像取得装置170、治療装置180(例えば、MRI-Linac)、または他の情報システムから、画像データ152(例えば、2D MRIスライス画像、CT画像、2D透視画像、X線画像、3D MRI画像、4D MRI画像など)を取得および/または受信することができる。
【0050】
[0048]
画像取得装置170は、関心領域(例えば、標的臓器、標的腫瘍、またはその両方)について、患者の解剖学的構造の1つまたはそれ以上の画像を取得するように構成することができる。各画像、典型的には2D画像またはスライスは、1つまたはそれ以上のパラメータ(例えば、2Dスライスの厚さ、向き、位置など)を含むことができる。一実施例では、画像取得装置170は、任意の方向の2Dスライスを取得することができる。例えば、2Dスライスの方向は、サジタル方向、コロナル方向、アキシャル方向を含むことができる。処理回路112は、標的臓器および/または標的腫瘍を含むように、2Dスライスの厚さおよび/または向きなどの1つまたはそれ以上のパラメータを調整することができる。一実施例において、2Dスライスは、3D CBCT、CT、またはMRIのボリュームのような情報から決定することができる。このような2Dスライスは、例えば、治療装置180を使用して患者が放射線治療療法を受けている間に、「準リアルタイム(near-real time)」で画像取得装置170によって取得することができる(「準リアルタイム(near-real time)」とは、少なくともミリ秒以下でデータを取得することを意味する)。
【0051】
[0049]
放射線治療処理計算システム(radiotherapy processing computing system)110の治療処理ロジック(treatment processing logic)120は、がん登録簿の記録生成ワークフロー(cancer registry record-generation workflow)130を実施するものとして描かれている。がん登録簿記録生成ワークフロー130は、がん登録簿ルール処理(cancer registry rule processing)132、健康記録処理(health record processing)134、記録レビュー/強化モジュール(record review/enhancement module)140、通知/推奨モジュール(notification/recommendation module)141を含み得る。がん登録簿記録生成ワークフロー130は、グラフィカルユーザインターフェースを介して患者の識別子を受け取ることができる。これに応答して、がん登録簿の記録生成ワークフロー130は、記憶装置116に記憶され得る1つまたはそれ以上の病院から、患者のがん関連治療情報を取得することができる。がん登録簿記録生成ワークフロー130は、1つまたはそれ以上の開示された技術を用いてがん関連の治療情報を処理し、がん登録簿記録を自動的に生成し、および/または患者のために既に利用可能な記録を強化する。がん登録簿記録が生成または強化されると、がん登録簿記録生成ワークフロー130は、自動的に生成または強化された記録を状態登録簿(例えば、記憶装置116内の)に格納する、および/または、記録を1つまたはそれ以上の病院で利用可能にする。
【0052】
[0050]
いくつかの実施形態では、がん登録簿記録生成ワークフロー130は、特定された患者のがん関連治療情報を取得するように健康記録処理134に指示する。健康記録処理134は、入力装置148から提供された固有の患者識別子を用いて、1つまたはそれ以上の病院および/またはがん登録から利用可能な1つまたはそれ以上のデータベースを検索して、がん関連の治療情報を得る。いくつかの実装では、がん関連の治療情報は、以前に生成されたがん登録簿の記録、腫瘍形状情報、患者のがん領域の画像、腫瘍学レポート、線量情報、放射線治療の治療計画、診断情報、生存率、および/または他の適切な電子的に利用可能な健康情報を含む。いくつかの実装では、健康記録処理134は、自然言語処理を実行して、がん関連治療情報の中のあらゆる手書きのメモをコンピュータで読める情報に変換する。健康記録処理134は、処理された手書きメモの中から、患者の性別、服用情報、治療計画、診断などを示すキーターム(key terms)を特定する。
【0053】
[0051]
健康記録処理134は、がん登録簿ルール処理132と通信して、患者のがん関連治療情報から生成または取得された情報、および/またはキータームの任意の組み合わせを、がん登録簿ルール処理132が取得したルールのセットと相互に参照する。具体的には、がん登録簿ルール処理132は、自動的に、または医師がグラフィカルユーザインターフェースを介して提供した情報に基づいて、患者に関連する状態を検出することができる。がん登録簿ルール処理132は、腫瘍の様々なキーターム、条件、条件の組み合わせ、がん関連治療情報、および幾何学的情報を、1つまたはそれ以上の対応するがん登録簿コードを関連付けるルールを含む、1つまたはそれ以上の公的に利用可能な規定するがん登録簿データベースにアクセスする。健康記録処理134は、がん関連治療情報のキータームと任意の組み合わせを、ルールのコードと照合する。健康記録処理134は、コードと、そのコードに関連付けられたがん登録簿の記録のフィールドを検索する。健康記録処理134は、検索されたコードとフィールドを記録レビュー/強化モジュール140に伝達する。
【0054】
[0052]
記録レビュー/強化モジュール140は、がん登録簿記録が、固有の識別子に関連付けられた患者に対して以前に作成されたかどうかを決定する。記録が以前に作成されていないとの判断に応答して、記録レビュー/強化モジュール140は、健康記録処理134から、および/または、入力装置148を介して医師から供給された患者の様々な伝記情報(例えば、性別、居住地、氏名、年齢など)を取得する。記録レビュー/強化モジュール140は、がん登録簿の記録のテンプレートを取得し、取得した患者の経歴情報を用いて、テンプレートの対応する経歴フィールドに経歴情報を自動的に入力する。また、記録レビュー/強化モジュール140は、健康記録処理134によって特定されたコードに関連付けられたフィールドに対応するテンプレート内の1つまたはそれ以上のフィールドを特定する。記録レビュー/強化モジュール140は、健康記録処理134から受け取ったコードでそれらのフィールドに入力する。
【0055】
[0053]
いくつかの実装では、記録が以前に患者のために作成されている場合がある。このような場合、記録レビュー/強化モジュール140は、以前に作成された記録の最終修正日を決定する。記録レビュー/強化モジュール140は、がん登録簿ルール処理132からコードを識別するために健康記録処理134により使用されたがん関連治療情報が、以前に作成された記録の最終修正日よりも後の日付に関連付けられているかどうかを判断する。例えば、記録が、MRI画像の第1のセットと2018年3月1日のような特定の日に照射された放射線治療量とに基づいて、以前に生成されたものであるとする。記録レビュー/強化モジュール140が、のMRI画像の第2のセットが取得され、放射線治療量が2018年12月1日に提供されたと判断する。これに応答して、記録レビュー/強化モジュール140は、記録が不十分ながん関連治療情報を含んでいると判断し、以前に作成された記録の最終修正日の後の日付に取得されたがん関連治療情報に基づいて、コードのセットを生成するように健康記録処理134に指示する。次に、記録レビュー/強化モジュール140は、健康記録処理134からコードを取得し、そのコードを記録の対応するフィールドに格納し、および/または、以前に格納されたコードを記録のフィールドを新しいコードで更新する。
【0056】
[0054]
いくつかの実施形態では、記録レビュー/強化モジュール140は、所定のがん登録簿の記録の情報をレビューして、不整合を検出する。これは、がん登録簿に保存されているさまざまな記録を循環させることで継続的に行われる場合、すべての記録に対して月に1回のように定期的に行われる場合、および/または、所定の記録や患者を特定する特別なユーザの要求に応じて行われる場合があり得る。記録レビュー/強化モジュール140は、異なるタイプのエラーまたは不整合を示す、がん登録簿ルール処理132によって記憶されたルールのセットにアクセスすることができる。
【0057】
[0055]
例えば、それらルールは、女性の患者が前立腺がんと診断され得ないことを示すことができる。それらルールは、男性の患者が乳がんと診断され得ないことを示すことができる。それらルールは、特定の領域の特定の診断に対する放射線量または線量分布が、特定の量を超えられないことを示すことができる。それらルールは、腫瘍の幾何学的な大きさが臓器の幾何学的な大きさを超え得ないこと、および/または、患者の特定の領域に位置し得ないことを示すことができる。そのルールは、グラフィカルユーザインターフェースを介して受け取った医師からの入力に基づいて、時間の経過とともに手動で更新することができる。
【0058】
[0056]
記録レビュー/強化モジュール140は、記録内のルールに関連付けられたフィールドをそれらルールのパラメータと比較して、不整合を検出することができる。例えば、記録レビュー/強化モジュール140は、記録で指定された性別と、記録で指定された診断とを検証することができる。記録レビュー/強化モジュール140は、所定の性別に対する特定の不可能性を指定するルールにアクセスすることができる(例えば、女性の患者が前立腺がんと診断されることはあり得ない)。記録レビュー/強化モジュール140は、記録が、女性の性別を示すフィールドを有し、診断フィールドの診断コードが前立腺がんを示すと判断することにより、記録の情報がルールの条件に違反している(または、ルールが示す不可能性に対応している)と判断することができる。他の実施例として、記録レビュー/強化モジュール140は、記録が、患者の腫瘍の所定のジオメトリサイズを示すフィールドと、腫瘍の種類と対応するサイズを識別する別のフィールドであって、ルールで指定された特定の種類の腫瘍の最大ジオメトリサイズを超えるものを有すると判定することにより、記録の情報がルールの条件に違反する(またはルールで示された不可能性に対応する)と判断することができる。
【0059】
[0057]
記録がルール条件に違反しているとの判断に応答して、記録レビュー/強化モジュール140は、健康記録処理134に対して、患者に関する追加情報を取得するように指示する。例えば、記録レビュー/強化モジュール140は、患者に関連する血液情報を取得するように健康記録処理134に指示することができる。記録レビュー/強化モジュール140は、血液情報を処理して、患者が男性であることを判断することができる。記録レビュー/強化モジュール140は、記録のフィールドに示された性別が女性を示していると判断し、患者が男性であることを示すように性別を自動的に更新することができる。
【0060】
[0058]
いくつかの実装では、不整合を解決する追加情報が健康記録処理134で利用できない場合がある。例えば、その患者の血液情報がまだ入手できていないことがあり得る。そのような状況では、記録レビュー/強化モジュール140は、通知/推奨モジュール141と通信して、がん登録簿の記録の不整合について医師または臨床医に警告することができる。通知/推奨モジュール141は、ルールの条件に違反していることが検出されたフィールドや、矛盾していることが検出されたフィールドを視覚的に区別するグラフィカルユーザインターフェースを提示することができる。通知/推奨モジュール141は、不整合を修正する医師からのグラフィカルユーザインターフェースおよび入力装置148を介した入力を受け取り、記録を更新して、記憶装置116に保存することができる。
【0061】
[0059]
いくつかの実施形態では、記録レビュー/強化モジュール140は、がん登録簿の所定のセットまたはフィールドの組み合わせに関する人口情報に自動的にアクセスすることができる。例えば、記録レビュー/強化モジュール140は、母集団情報を検索するフィールドの組み合わせとして、腫瘍タイプ、腫瘍形状、性別、年齢、診断、および線量情報のフィールドを選択することができる。記録レビュー/強化モジュール140は、選択されたフィールドの特定の患者の登録簿記録で指定された患者情報を検索し、母集団の中で類似した患者を見つけることができる。例えば、記録レビュー/強化モジュール140は、がん登録簿に保存されている集団の全体またはサブセットから複数の記録にアクセスし、選択されたフィールドに保存されている情報を取得することができる。記録レビュー/強化モジュール140は、すべての記録を、特定の患者と、同じ性別、同じ腫瘍タイプ、同じ腫瘍形状、同じ診断の患者の記録にフィルタリングすることができる。記録レビュー/強化モジュール140は、フィルタリングされて検索された記録に含まれる線量情報の平均値または他の統計的尺度を生成して、特定の線量情報を決定することができる。
【0062】
[0060]
記録レビュー/強化モジュール140は、特定の患者と同じ性別、同じ腫瘍タイプ、同じ腫瘍形状、同じ診断の集団を代表する特定の線量情報を、特定の患者の記録のフィールドに格納されている線量情報と比較することができる。記録レビュー/強化モジュール140は、特定の患者についてフィールドに格納された線量情報が、集団を代表する特定の線量情報の閾値または範囲内(例えば、1~2%以内)にあるか否かを決定することができる。線量情報が閾値を超えたとの判断に応答して、記録レビュー/強化モジュール140は、通知/推奨モジュール141に指示して、線量が母集団の線量を超えたことを示す医師へのグラフィカルユーザインターフェースでの表示の通知を生成する。代替的に、または追加的に、患者に対する記録のフィールドに線量が格納されていない場合、記録レビュー/強化モジュール140は、患者に対する記録に母集団を表す特定の線量情報を入力することによって、記録を強化することができる。記録レビュー/強化モジュール140は、通知/推奨モジュール141に、自動的に生成された線量の推奨を示す、医師へのグラフィカルユーザインターフェースでの表示の通知を生成することができる。
【0063】
[0061]
がん登録簿の記録を自動的に生成する治療処理ロジック120の更なる詳細と実施例は、
図3乃至
図7に示されている。
【0064】
[0062]
図2は、X線源や線形加速器のような放射線源、カウチ216、撮像検出器214、および放射線治療出力204を含む、例示的な画像誘導型放射線治療装置202を示している。画像誘導型放射線治療装置202は、患者に治療を施すために放射線治療ビーム208を放出するように構成されることができる。放射線治療出力204は、マルチリーフコリメータ(MLC)のような1つまたはそれ以上の減衰器またはコリメータを含むことができる。
【0065】
[0063]
一実施例として、患者は、カウチ216に支持されて領域212に配置され、放射線治療の治療計画に従って放射線治療量を受けることができる。放射線治療出力204は、ガントリ206または他の機械的支持体に取り付けまたは装着することができる。1つまたはそれ以上のシャーシモータ(図示せず)は、カウチ216が治療領域に挿入されたときに、ガントリ206および放射線治療出力204をカウチ216の周りに回転させることができる。一実施例では、ガントリ206は、カウチ216が治療領域に挿入されるときに、カウチ216の周りを連続的に回転可能である。別の実施例では、ガントリ206は、カウチ216が治療領域に挿入されると、所定の位置まで回転する。例えば、ガントリ206は、軸(「A」)を中心に治療出力204を回転させるように構成することができる。カウチ216と放射線治療出力204の両方は、横方向(「T」)に移動可能、横方向(「L」)に移動可能、または横軸(「R」で示す)を中心とした回転のように、1つまたはそれ以上の他の軸を中心とした回転として、患者の周りの他の位置に独立して移動可能である。1つまたはそれ以上のアクチュエータ(図示せず)に通信可能に接続されたコントローラは、放射線治療の治療計画に従って患者を放射線治療ビーム208の中または外に適切に配置するために、カウチ216の動きまたは回転を制御することができる。カウチ216とガントリ206の両方が、互いに独立して複数の自由度で移動可能であるため、放射線治療ビーム208が正確に腫瘍を狙うことができるように患者を配置することができる。
【0066】
[0064]
図2に示す座標系(軸A、T、Lを含む)は、アイソセンタ210に位置する原点を持つ。アイソセンタ210は、患者上または患者内のある場所に所定の放射線量を照射するためなど、放射線治療ビーム208の中心軸が座標軸の原点と交差する位置と定義することができる。あるいは、アイソセンタ210は、ガントリ206によって軸Aの周りに配置された放射線治療出力204の様々な回転位置に対して、放射線治療ビーム208の中心軸が患者と交差する位置として定義することができる。
【0067】
[0065]
また、ガントリ206は、付属の撮像検出器214を有することができる。撮像検出器214は、好ましくは放射線源(例えば、放射線治療出力204)の反対側に配置され、一実施例では、撮像検出器214は、放射線治療ビーム208のフィールド内に配置することができる。撮像検出器214は、放射線治療ビーム208との整合性を維持するように、好ましくは放射線治療出力204の反対側のガントリ206に取り付けることができる。撮像検出器214は、ガントリ206の回転に伴い、回転軸を中心に回転する。一実施例では、撮像検出器214は、フラットパネル検出器(例えば、直接検出器またはシンチレータ検出器)とすることができる。このようにして、撮像検出器214は、放射線治療ビーム208をモニタするために使用することができ、あるいは、撮像検出器214は、ポータル画像など、患者の解剖学的構造を画像化するために使用することができる。放射線治療装置202の制御回路は、放射線治療システムの中に組み込まれていてもよいし、離れていてもよい。
【0068】
[0066]
例示的な例では、カウチ216、放射線治療出力204、またはガントリ206のうちの1つまたは複数を自動的に位置決めすることができ、放射線治療出力204は、特定の治療提供インスタンスのための指定された線量に従って、放射線治療ビーム208を確立することができる。ガントリ206、カウチ216、または放射線治療出力204の1つまたはそれ以上の異なる向きまたは位置を使用するなど、放射線治療の治療計画に応じて、治療提供のシーケンスを指定することができる。治療の提供は順次行われるが、アイソセンタ210など、患者上または患者内の所望の治療軌跡で交差させることができる。これにより、所定の累積線量の放射線治療を治療部位に行うことができる一方で、治療部位付近の組織へのダメージを軽減または回避することができる。
【0069】
[0067]
図3は、本開示のいくつかの実施例によるがん登録簿記録生成ワークフローの例を示す。
図3は、病院登録簿310と、病院データを保存・管理するための病院データリポジトリ311と、病院間登録簿314と、1つまたはそれ以上の入力およびユーザインターフェースデバイス312とを含むネットワークを示す。ユーザおよび/またはネットワーク上で実行されるアプリケーションは、インターネットを介して、国家登録簿313および病院間登録簿314に通信可能に接続されている。ネットワークは、コード、読み書き機能、ネットワーク接続機能を実行するための汎用プロセッサを含む1つまたはそれ以上のコンピュータを含む。
【0070】
[0068]
病院データリポジトリ311は、会計、従業員、人事、医師、サポートスタッフ、看護師等のような病院機能に関する様々な情報と、病院に入院、または病院でまたは病院スタッフの管理下で治療を受ける患者についての医療情報を格納するデータリポジトリである。
図3に示される情報のカテゴリ311aは、病院データリポジトリ311に格納されている情報の一実施例に過ぎない。病院データリポジトリ311内のデータは、データベース形式またはデータレイク形式で編成されていてもよく、および/または、一般的な主題、例えば、腫瘍学または会計学に従って、ファイルディレクトリシステムの下で編成されたフラットまたは構造化ファイルの収集物を有していてもよい。病院データリポジトリ311に格納されているデータは、構造化データ形式と非構造化データ形式を含む多種多様なデータ形式で、異なる、時には互換性のないファイル形式で格納されている。病院データリポジトリ311は、病院の様々な患者のがん関連の治療情報を格納する。いくつかの実施形態では、メモリ114は、病院データリポジトリ311のすべてまたは一部を格納することができる。
【0071】
[0069]
病院登録簿310は、患者の有効な登録簿の記録を保存するデータリポジトリである。このような記録は、病院データリポジトリ311に格納されているがん関連の患者情報に基づいて、がん登録簿の記録生成ワークフロー130によって自動的に生成された記録を含むことができる。病院登録簿310は、記録のフィールドに含まれる情報が、1つまたはそれ以上の登録簿の記録に含まれる情報のユーザまたは機械が開始した検索クエリから容易に検索されるようなデータベース形式で、登録簿記録からのデータを格納する。
【0072】
[0070]
国家登録簿313は、インターネットを介してアクセスされ、その国家の管轄内で運営されている病院が、患者の有効な登録簿記録をアップロードするための指定場所である。登録簿記録は、病院データリポジトリ311に含まれる患者データから作成することができる。登録簿検証アプリケーションソフトウェア(例えば、記録レビュー/強化モジュール140)は、登録簿記録を作成、入力、および検証するために使用される。登録簿記録は、国家登録簿313にアップロードされる前に、記録レビュー/強化モジュール140によって検証することができる。記録レビュー/強化モジュール140は、患者データを自動的または半自動的に入力するためのテンプレートおよびメニュー駆動システムを含む。ユーザインターフェースおよびメニューシステムは、登録者または他の有資格者が(入力およびユーザインターフェースデバイス312を使用して)、人口統計、疾患の種類、治療期間、および最初に診断されてからの疾患の進行のような、新たに診断された患者または既存の患者に関するデータを入力するために使用される。記録が完成して、記録レビュー/強化モジュール140によって検証されると、それは国家登録簿313にアップロードされ、コピーが病院登録簿310に保存される。
【0073】
[0071]
図4は、本開示のいくつかの実施例によるがん登録簿記録生成ワークフローの例を示す。がん登録簿記録生成ワークフロー130の記録レビュー/強化モジュール140は、患者が、例えばがんと最近診断された場合(国際疾病分類(ICD:International Classification of Diseases)コードが10と示される)、または、以前に診断された患者に対して更新された登録記録が必要な場合のいずれかで呼び出される。いずれの場合も、記録レビュー/強化モジュール140は、例えば、スプレッドシートまたはSQLデータベース内の、患者についての利用可能ながん関連治療情報にアクセスして、患者の登録簿記録を自動的に準備または更新するために呼び出される。
【0074】
[0072]
いくつかの実施形態では、がん関連治療情報モジュール410(それは健康記録処理134を実装することができる)が、患者に関するがん関連治療情報を取得する。これは、1つまたはそれ以上の病院のデータベースから、固有の患者識別子に基づいて、がん関連の治療情報を検索することで可能になる。獲得された情報は、がん登録簿記録生成モジュール412に提供される。がん関連治療情報モジュール410およびがん登録簿記録生成モジュール412は、治療処理ロジック120の別個のモジュールとして、および/または、記録レビュー/強化モジュール140の一部として、実装することができる。がん登録簿記録生成モジュール412は、1つまたはそれ以上の国家登録簿と通信して、所定の国家に関連付けられたがん登録簿ルールを取得する。がん登録簿記録生成モジュール412は、検索されたルールをがん関連治療情報モジュール410から受け取ったがん関連治療情報に適用して、がん関連治療情報で指定された各特定の状態または状態のセットに関連付けられた1つまたはそれ以上のコードを識別する。がん登録簿記録生成モジュール412は、識別されたコードをテンプレートの対応するフィールドに自動的に入力することにより、コードに基づいてがん登録簿テンプレートを生成する。がん登録簿記録生成モジュール412は、新しいがん登録簿記録420を出力する。一実施形態では、がん登録簿記録生成モジュール412は、古いがん登録簿記録を取得し、古いがん登録簿記録の生成以降に更新されたがん関連治療情報のセットを特定し、新たに更新されたがん関連治療情報のみに対応するテンプレートのコードおよびフィールドを特定する。
【0075】
[0073]
記録レビュー/強化モジュール140は、記録420が不完全であるか、無効なデータを含んでいるか、または記録420に入力された他のデータと互換性のないデータを含んでいるかを判断する。このような場合、記録420は無効として拒絶される。記録420が拒絶されると、記録レビュー/強化モジュール140は、自動的に問題に対処し、可能であれば、更新された記録422を提供する。記録レビュー/強化モジュール140は、スタンドアロンのプログラムとして動作することができる。記録レビュー/強化モジュール140は、記録420の拒絶の原因となったエラーの原因を分析し、可能であれば解決策を見出し、更新された記録422を作成する。そして、この更新された記録422は、記録レビュー/強化モジュール140に入力され、評価される。すべてのエラーが修正されたと、記録レビュー/強化モジュール140は、次に、更新された記録422を検証し、それを国家登録簿313にアップロードすることができる。
【0076】
[0074]
いくつかの実施形態では、記録レビュー/強化モジュール140は、1つのフィールド(例えば、EMRコード)の値が有効であるが、記録の別の部分に入力されたデータ(例えば、患者が死亡してから1ヶ月後に治療を受けた)と矛盾する、または対立する値を決定するように構成されている。このような場合、記録レビュー/強化モジュール140は、不整合を解決するために、患者に関する追加情報を自動的に取得する。もし追加情報が利用できないなら、または、もし不整合に対処できないなら、記録レビュー/強化モジュール140は、エラーにフラグを立て、オペレータがグラフィカルユーザインターフェースを使用して不整合をレビューするための通知を生成する。
【0077】
[0075]
いくつかの実施形態では、記録レビュー/強化モジュール140は、記録レビュー/強化モジュール140によってアクセスされたデータロケーションが、互いに矛盾する2つのソースからの記録のフィールドに対する情報を含んでいると判断するように構成される。このような状況では、記録レビュー/強化モジュール140は、各ソースに割り当てられた優先順位を取得し、より高い優先順位を有するソースからのデータをフィールドに入力することで、矛盾を自動的に置換または解決する。その代わりに、または、追加で、記録レビュー/強化モジュール140は、エラーにフラグを立て、オペレータがグラフィカルユーザインターフェースを使用して矛盾をレビューするための通知を生成する。例えば、記録レビュー/強化モジュール140は、登録簿記録が、病理記録からの胸部X線の診断日が1月1日であり、腫瘍内科で同じ診断に対して入力された日付(例えば、2月2日)と矛盾していると判断することができる。このような状況では、記録レビュー/強化モジュール140は、腫瘍内科における診断が病理記録よりも高い優先度の値に関連付けられていると判断することにより、この矛盾を自動的に解決する。したがって、記録レビュー/強化モジュール140は、登録簿記録を更新して、胸部X線の撮影日を1月1日ではなく2月2日とする。
【0078】
[0076]
いくつかの実施形態では、診断日に対する登録簿フィールドコードを使用して、記録レビュー/強化モジュール140は、主題(subject-matter)知識ソースにアクセスして、矛盾する日付を解決する可能性のある情報ソースを特定する。特定されたソースは、特定の人物、職能、または部門(例えば、腫瘍学、病理学、放射線学など)を含み得る。識別されたソースを検索ガイドとして使用して、記録レビュー/強化モジュール140は、ロケーション知識ソースにアクセスして、病院データリポジトリ311内の領域を識別して、欠落した日付を解決する可能性のある情報を検索し、識別された領域からデータを収集する。記録レビュー/強化モジュール140は、データの第1の部分またはデータの第2の部分が他よりも信頼性が高いかどうかを判断することを含めて、収集されたデータを分析し、その判断に基づいて、更新された記録422の登録簿フィールドの診断日を自動的に更新することができる。
【0079】
[0077]
識別されたソースは、例えば、アルゴリズムにより、または、GUIで提示された可能性のあるソースにより自動的に選択されるか、または、入力およびユーザインターフェースデバイス312を使用してユーザが選択するかのいずれかである。いずれの場合も、ユーザは、明確な情報を得るために検索する分野や部門を指定することができる。いくつかの実装では、記録レビュー/強化モジュール140は、データの信憑性をそのソースに応じて多かれ少なかれ重視するスコアリングシステムを実施することができる。スコアリングシステムは、あるソースから取得したデータと別のソースから取得したデータとを比較するための重みを含むことができ、その重みはデータソースの信頼性に比例している。
【0080】
[0078]
いくつかの実施形態では、記録レビュー/強化モジュール140は、記録に含まれるデータを追加情報で強化する。例えば、記録レビュー/強化モジュール140は、生成された記録のフィールドを評価し、記録を他の患者の記録と比較する。記録間の類似性を識別することにより、記録レビュー/強化モジュール140は、所定の記録に含まれる情報を補足することができる。例えば、所定の患者の特定のMR画像が、特定の形状およびサイズを有する腫瘍の標的領域を識別するならば、記録レビュー/強化モジュール140は、以前に治療に成功した類似の形状およびサイズの類似の標的領域を示す他の患者記録の閾値を確認することができる。記録レビュー/強化モジュール140は、そのような標的領域の治療に成功した線量情報を取得し、線量情報を決定するために臨床医がMR画像を解析する前に、所定の患者の標的線量を指定する記録のフィールドを自動的に推奨または入力することができる。推奨される線量は、通知/推奨モジュール141を使用して提供することができる。具体的には、強化された記録は、1つまたはそれ以上の病院に対する有効な登録簿記録(病院登録簿310からアクセス可能な)に見つけられる情報、ならびに、病院データリポジトリ311からの患者データおよびプロトコル関連データに基づいて、記録レビュー/強化モジュール140を用いて作成される。
【0081】
[0079]
強化された記録は、医師に、患者または患者の集団が特定の治療モダリティに対して人口統計学的にどのように対応したかについてより多くの情報を提供する。このような情報が提供されれば、医師は、治療の様々な側面、例えば、治療の種類、使用された医薬品や機器と、指定された治療期間および/または投与法、有害または良好な結果の一因となった可能性のある補助的な治療法(例えば、副作用のための治療法)について、よりよく知ることができる。さらに、強化された記録は、患者の治療に選択された手法に特有の、または、患者の態度、ライフスタイル、医師と患者の関係を通じて知られている人口統計学上の重要性が高いまたは低い、治療中の不利な兆候または有利な兆候を提供することができる。強化された記録を用いることで、医師は、同じプロトコルが自分の患者にも望ましいかどうか、変更が必要かどうか、患者の年齢、態度、ライフスタイル、人口統計学、保険資源などを考慮して治療スケジュールが適切かどうかについて、推論を行い、結論を出すことができる。これらの情報から、医師は、計画または推奨されたプロトコルを確認、拒絶、または修正を検討することができる。
【0082】
[0080]
いくつかの実装では、病院登録簿310が、現在のがん患者または最近治療を受けた患者の有効な登録簿記録430を十分な数で収集した後、医師は治療の選択肢を評価することができる。例えば、医師は、類似した診断と人口統計を持つ患者の治療結果の違いを、様々な治療方法に基づいて比較することができる。また、例えば、医師は、特定の治療を受けている患者の治療結果の違いを、患者の診断や人口統計の違いに基づいて比較することができる。このような記録を1つでも、複数でも、好ましくは多数を用いて、医師は、治療計画を補強するための情報を得ることができる。すべての情報が構造化されたフォーマットで管理されているので、医師は、患者の特定の状態や特性、計画された治療方法に関連する情報のみを迅速かつ効率的に選択してレビューすることができる。
【0083】
[0081]
記録レビュー/強化モジュール140が、記録が有効であるか、記録が有効な情報を含むか、および/または、記録が記録に含まれる情報を強化するかをレビューした後、記録は有効であるとマークされ、登録簿310および/または313に保存される。登録簿310、313に保存されている有効な登録簿記録430は、タイムリーに作成されるとき、患者に対する治療プロトコルを選択する治療する医師に有用な情報を提供する。検証された登録簿記録430には構造化されたデータが含まれており、様々な条件で複数の記録を簡単に検索することができる。このように、検証された登録簿記録430がタイムリーに更新し作成されれば、医師にとっては貴重なリソースとなる。例えば、検証された登録簿記録430からの情報が活用されて、国家登録簿に必要な情報に加えて、患者に対する治療モダリティに固有の情報を含めることができる、より詳細な、またはカスタマイズされた記録を作成することができる。
【0084】
[0082]
検証された記録430は、通知/推奨モジュール141に提供することができる。通知/推奨モジュール141は、有効化された記録を処理して、集団全体の治療情報と、その識別された治療情報に関連する傾向とを識別する。通知/推奨モジュール141は、識別された治療情報および集団全体の傾向を用いて、その患者に関連付けられた有効な記録430に基づいて、患者に対する勧告を生成する。一実施形態では、通知/推奨モジュール141は、病院間登録簿314にアクセスして、複数の病院にまたがる有効な記録を取得して、母集団全体のこのような治療情報および傾向を特定する。
【0085】
[0083]
図5は、本開示のいくつかの実施例による複数の病院にわたるがん登録簿記録生成ワークフローの例を示す。病院間登録簿314は、1つまたはそれ以上の病院が他の病院から登録簿記録情報を取得して、医師が患者のためのプロトコルを選択する際にアクセスする可能性のある登録簿記録の数と、治療のための自動勧告を生成したり、より大きな集団に対する患者の異常を医師に通知したりするための登録簿記録の数を大幅に増加させることができるリソースを提供するように構成されている。例えば、病院間登録簿314にアクセスすることにより、医師は、複数の病院間の記録から統計情報を導き出し、グラフィカルユーザインターフェースで表示することができる。医師は、計画中のプロトコルを、罹患率や生活の質などの基準に基づいて、登録されているプロトコルと比較するなどして、自分の意思決定に役立てることができる。
【0086】
[0084]
N軒の病院の各々は、記録レビュー/強化モジュール140をローカルに実行して、記録を自動的に生成し、強化された記録を作成し、それらの記録をそれぞれの病院登録簿310に保存し、コピーを病院間登録簿314にアップロードすることができる。次に、N軒の病院の各々は、病院間登録簿314に格納された情報にアクセスして、病院間登録簿314の情報を照会することができる。病院間登録簿314は、例えば、WINDOWSまたはLINUXコンピューティングプラットフォーム上でローカルに実行されるプログラムを介して、または、ウェブブラウザを介してリモートで、病院にアクセスすることができる。
【0087】
[0085]
N軒の病院の各々は、記録に対して利用可能なカスタマイズのレベルがそれぞれ異なる、記録レビュー/強化モジュール140の1つまたはそれ以上のバージョンを実行することができる。例えば、基本的な機能は、記録レビュー/強化モジュール140によって提供される登録簿記録情報を含み、追加として、患者に対する1つまたはそれ以上の種類の治療モダリティに関する情報の記録および記録保持を可能にする機能を含む。さらにカスタマイズして、食事や健康に関する情報を強化された記録に残すこともできる。N軒の病院の各々は、他の病院の1つまたはそれ以上によって実行された記録レビュー/強化モジュール140によって作成された記録と同じであるか、または、患者、治療モダリティなどに関する多かれ少なかれ情報を含むことによって異なる1つまたはそれ以上の異なる記録を作成することができる。したがって、病院間登録簿314は、記録内容は互いに異なるが、同様の基礎的な状態、例えば、診断されたがんの特定のタイプに関連する2つまたはそれ以上の登録簿記録タイプを含むことができる。
【0088】
[0086]
病院は、対応する記録レビュー/強化モジュール140を実行していない病院間登録簿314または記録タイプへのアクセス、および/またはデータの寄贈を行うことができる。このような病院は、それにもかかわらず、病院間登録314またはそのような記録タイプを使用して、治療決定支援を提供することができる。このようなアクセスおよび/または使用に基づいて、あるいは他の理由により、病院は、関心のある特定の登録簿記録タイプを生成するために、記録レビュー/強化モジュール140を使用することを決定することができる。そして、対応する登録簿タイプのこれらの記録を病院間登録簿314に投稿し、そのような記録の数と潜在的な有用性を増加させることができる。
【0089】
[0087]
図6は、本開示のいくつかの実施例によるがん登録簿記録を自動的に生成するための例示的なオペレーションのフローチャート600を示す。この処理は、治療処理ロジック120、および/または、
図1乃至5に関連して説明した他のコンポーネントまたはコンポーネントの組み合わせによって実施することができる。プロセスのオペレーションは、並行して行っても、順次行っても、順序を変えて行ってもよく、また、完全にスキップして省略してもよい。
【0090】
[0088]
オペレーション610において、治療処理ロジック120は、患者の健康記録の関数としてがん登録簿記録生成を定義する複数のルールを取得する。
【0091】
[0089]
オペレーション620において、治療処理ロジック120は、がん関連の治療情報を含む、患者に関連付けられた1つまたはそれ以上の電子健康記録を取得する。
【0092】
[0090]
オペレーション630において、治療処理ロジック120は、1つまたはそれ以上の電子健康記録におけるがん関連治療情報を処理して、がん関連の治療情報の一部を表す患者のがん登録簿記録を生成する。
【0093】
[0091]
オペレーション640において、治療処理ロジック120は、がん登録簿の記録に不十分ながん関連治療情報を含むことを自動的に判断する。
【0094】
[0092]
オペレーション650において、治療処理ロジック120は、複数のルールに照らしてがん関連の治療情報を評価することにより、不十分ながん関連の治療情報に対処するためにがん登録簿記録を自動的に更新する。
【0095】
[0093]
図7は、本開示のいくつかの実施例による、がん登録簿の記録生成ワークフローの例示的なグラフィカルユーザインターフェース730を示す。
図7を参照すると、患者のデータと集団のデータとの比較を実行するために、治療処理ロジック120によって生成されたグラフィカルユーザインターフェース730のスクリーンショットが示されている。ユーザは、ユーザインターフェースおよび入力装置148を使用して比較を実行し、結果を見るために、グラフィカルユーザインターフェース730に提示された異なるデータソース、カテゴリ、サブカテゴリ、および分析の種類を選択することができる。
【0096】
[0094]
図示されているのは、異なるタイプまたはカテゴリの患者集団データのリストをユーザに提示する第1の画面731である。関心のある集団データ(例えば、ID=331)を選択した後、ユーザは次に第2の画面732を提示され、病院の患者(例えば、患者「ジェーン スミス」)のリストをレビューして選択する。患者および集団が選択された後、ユーザは、次に、選択された記録734で見つかった患者データの概要(例えば、カテゴリA、B、C、D)と、選択された集団735に対する集団データのカテゴリの概要(例えば、カテゴリ1、2、3、4)とを提示する第3の画面733を提示される。また、この画面は、集団データ上にある異なる統計値(例えば、1次および2次の統計値、カテゴリ1、2、3、4の異なる組み合わせに対する正/負の相関関係)を選択するためのインタラクティブなオプションを備えた「統計」739セクションと、選択された患者に最も類似する患者を集団データから見つけるための、および/または、より具体的には、記録734におけるA、B、C、Dのカテゴリのうちの1つまたはそれ以上との類似性を見つけるための、インタラクティブな第1の比較タイプのオプション737と、インタラクティブな第2の比較タイプのオプション738を提示することができる。グラフィカルユーザインターフェース730により、所定の医師は、1つまたはそれ以上の病院および/または国家の登録簿に保存されているがん登録簿の記録に基づいて、統計情報を表示および/または生成することができる。
【0097】
[0095]
対話型の第1の比較タイプのオプション737は、すべての関連するタイプにわたって、集団データからどのような患者が患者に最もマッチするかを決定するように装置に指示することができる(例えば、デフォルトの基準を使用用いて、A-Dのうちの1つまたはそれ以上を選択する、または、A-Dを優先順位の観点からリストアップする、例えば、母集団からの患者がカテゴリAに最もマッチし、次にカテゴリBにマッチするように順位付けする、など)。インタラクティブな第2の比較タイプオプション738は、例えば、患者のプロトコルおよび/または状態を集団データと比較して異なる統計分析を行い、考慮すべき異常値データがあるかどうかを判断するように装置に指示することができる。この分析では、例えば、患者さんの状態や治療計画について、集団のデータと比較して共通する点や共通しない点をユーザに提示することができる。
【0098】
[0096]
グラフィカルユーザインターフェース730は、自動的に生成された治療に対する推奨、および/または、治療処理ロジック120の通知/推奨モジュール141によって生成された矛盾もしくは不整合に関する通知を提示することができる。医師は、推奨、および/または、与えられた推量された治療方を受け入れる、または、矛盾もしくは不整合が見つかった対応する記録のフィールドを修正するための通知と対話し、それに応答することができる。
【0099】
[0097]
以前に述べたように、それぞれの電子計算機システムまたはデバイスは、本明細書で述べたような1つまたはそれ以上の方法または機能動作を実装することができる。1つまたはそれ以上の実施形態では、放射線治療処理計算システム110は、画像誘導型放射線治療装置202を制御または操作し、がん登録簿の記録生成ワークフロー130を実行または実施し、フローチャート600のオペレーションを実行または実施し、または、本明細書で議論される他の方法論(例えば、治療処理ロジック120およびがん登録簿の記録生成ワークフロー130の一部として)のうちの任意の1つまたはそれ以上を実行するために構成され、適応され、または使用されることができる。様々な実施形態において、そのような電子コンピューティングシステムまたはデバイスは、スタンドアロンデバイスとして動作し、または、他のマシンに接続(例えば、ネットワーク接続)されてもよい。例えば、このようなコンピューティングシステムまたはデバイスは、サーバー・クライアントネットワーク環境ではサーバーまたはクライアントマシンの能力で動作し、ピアツーピア(または分散型)ネットワーク環境でピアマシン(peer machine)として動作する。コンピューティングシステムまたはデバイスの機能は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、または、そのマシンが実行するアクションを指定する命令(シーケンシャルまたはその他)を実行することができる任意のマシンによって具現化することができる。
【0100】
[0098]
上述したように、上述した機能は、機械読み取り可能な媒体に格納された命令、論理、またはその他の情報によって実装することができる。機械可読媒体は、様々な実施例で単一の媒体として説明されてきたが、「機械可読媒体」という用語は、1つまたはそれ以上の一時的または非一時的な命令またはデータ構造を格納する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型のデータベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバー)を含み得る。また、「機械可読媒体」という用語は、機械が実行するための一時的または非一時的な命令であって、本開示の方法論のいずれか1つまたはそれ以上を機械に実行させるものを記憶、符号化、または搬送することができる、あるいは、そのような命令によって利用される、またはそのような命令に関連するデータ構造を記憶、符号化、または搬送することができる、任意の有形媒体を含むものとする。
【0101】
[0099]
上記の詳細な説明には、詳細な説明の一部を構成する添付の図面への参照が含まれている。図面は、説明のために示したものであり、限定するものではないが、本開示を実施することができる特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ばれる。このような実施例は、図示または説明されたものに加えた要素を含むことができる。しかし、本開示は、図示され、または、説明された要素のみが提供される実施例も企図している。さらに、本開示は、さらに、本発明者等は、特定の実施例(または、その1つまたはそれ以上の態様)に関して、または本明細書に図示または説明されている他の実施例(または、その1つまたはそれ以上の態様)に関して、図示または説明されているそれらの要素(またはその1つまたはそれ以上の側面)の任意の組み合わせまたは順列を使用する実施例も考慮している。
【0102】
[0100]
本開示で言及されているすべての出版物、特許、特許文書は、参照により個別に組み込まれるように、その全体が本開示に組み込まれる。本開示と参照により組み込まれた文書との間で用法が一致しない場合、組み込まれた参照文書の用法は本開示の用法を補足するものとみなされる。
【0103】
[0101]
本明細書において、「a」、「an」、「the」および「said」という用語は、本発明の側面の要素を導入する際、またはその実施形態において、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」または「1つまたはそれ以上」の他の例や用法とは無関係に、1つまたはそれ以上の要素を含むように使用される。本明細書では、「または」という用語は、「AまたはB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、「AおよびB」を含むように、非排他的な「または」を指すために使用される。
【0104】
[0102]
添付の特許請求の範囲では、「including」および「in which」という用語は、「complising」および「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の等価物として使用されている。また、以下の請求項では、用語「complising」、「including」、および「having」は、記載された要素以外に追加の要素が存在する可能性があることを意味するオープンエンドであることが意図されており、例えば、記載された要素以外の追加要素があってもよいことを意味している。さらに、以下の請求項において、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単にラベルとして使用されており、その対象物に数値的な要求を課すことを意図したものではない。
【0105】
[0103]
また、本開示は、本明細書のオペレーションを実行するために適応、構成、または操作されるコンピューティングシステムに関する。このシステムは、必要な目的のために特別に構築されていてもよいし、コンピュータに格納されたコンピュータプログラム(例えば、命令、コードなど)によって選択的に起動または再構成される汎用コンピュータで構成されていてもよい。本明細書に図示され、記載された本発明の実施形態におけるオペレーションの実行または実行の順序は、特に指定されない限り、必須ではない。すなわち、オペレーションは、特に指定されない限り、任意の順序で実行されてもよく、本発明の実施形態は、本明細書に開示されているオペレーションよりも追加的または少ない操作を含んでもよい。例えば、特定のオペレーションを別のオペレーションの前、同時、または別のオペレーションの後に実行または実行することは、本発明の側面の範囲内であることが企図される。
【0106】
[0104]
上記を考慮すると、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることが分かるであろう。本発明の側面を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されているように、本発明の側面の範囲から逸脱することなく、修正および変形が可能であることは明らかであろう。本発明の側面の範囲から逸脱することなく、上記の構成、製品、および方法において様々な変更が可能であるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されているすべての事項は、例示的なものとして解釈されることが意図されており、限定的な意味で解釈されるものではない。
【0107】
[0105]
本明細書で説明した例は、さまざまな実施形態で実施することができる。例えば、一実施形態では、処理ハードウェア(例えば、プロセッサまたはその他の処理回路)と、その上に具現化された一時的または非一時的な命令を含むメモリハードウェア(例えば、記憶装置または揮発性メモリ)を含むコンピューティングデバイスを含み、命令が処理ハードウェアによって実行されると、コンピューティングデバイスにこれらの技術およびシステム構成のための電子操作を実施、実行、または調整させ、本明細書に記載されたモジュールまたはコンポーネントを実施させるようになっている。本明細書で説明する別の実施形態には、機械読み取り可能な媒体または他の記憶装置によって具現化され得るような、コンピュータプログラム製品が含まれ、これは、これらの技術およびシステム構成のための電子操作を実施、実行、または調整するための一時的または非一時的な命令を提供する。本明細書で説明する別の実施形態には、コンピューティングデバイスの処理ハードウェア上で動作可能な方法が含まれ、これらの技術やシステム構成のための電子操作を実装、実行、または調整する。
【0108】
[0106]
さらなる実施形態では、上述の電子操作の側面を実装する論理、コマンド、または一時的もしくは非一時的な命令は、デスクトップまたはノートブックパーソナルコンピュータ、タブレット、ネットブック、スマートフォンなどのモバイルデバイス、クライアント端末およびサーバーホストのマシンインスタンスなど、コンピューティングシステムのための任意の数のフォームファクタを含む、分散型または集中型のコンピューティングシステムで提供することができる。本明細書で議論されている別の実施形態には、本明細書で議論されている技術を、プログラムされた論理、ハードウェア構成、または特殊なコンポーネントやモジュールなどの他の形態に組み込むことが含まれており、そのような技術の機能を実行するためのそれぞれの手段を備えた装置を含む。そのような技術の機能を実装するために使用されるそれぞれのアルゴリズムは、上述の電子的操作の一部またはすべてのシーケンス、または添付の図面および上述の詳細な説明に描かれている他の側面を含むことができる。
【0109】
[0107]
本明細書では、「モジュール」とは、他のモジュールに情報を提供したり、他のモジュールから情報を受け取ったりすることができる、明確な機能を持つユニットを含むものと考えられる。したがって、記述されたモジュールは、通信可能に結合されているとみなすことができる。また、モジュールは、入力デバイスや出力デバイスとの通信を開始したり、リソース(例えば、データベースのような情報の集合体)上で動作したりすることができる。モジュールは、様々な実施形態の特定の実装に適切なように、ハードウェア回路、光学部品、シングルまたはマルチプロセッサ回路、メモリ回路、ソフトウェアプログラムモジュールおよびオブジェクト、ファームウェア、およびこれらの組み合わせを含むことができる。「モジュール」という用語は、特定の機能、操作、処理、または手順を実現するためのコード、データ、または計算オブジェクトの識別可能な部分を含むことができる。本明細書では、「モジュール」または「コンポーネント」には、ソースコードファイルに含まれる、または含まれない、非一時的または一時的なメモリ媒体上に存在するソフトウェアまたはソースコードファイル、またはソフトウェア命令のセットが含まれる。モジュールは、独立したプログラムとして存在する場合と、他のプログラムから呼び出されるプログラムを表す場合がある。「コンポーネント」とは、モジュールがコンポーネントを呼び出してタスクを実行するという意味で、「モジュール」の一部である。
【0110】
[0108]
本明細書でいう「構造化データ」とは、高度に整理された情報により特徴付けられた情報を含み、リレーショナルデータベース(またはスプレッドシート)への組み込みがシームレスに行え、簡単な検索技術(例えば、ブール語検索)で容易に検索できるようなものを含む。検証された登録簿記録は、構造化されたデータのみで構成されるフィールドを有する。「構造化されていないデータ」とは、リレーショナルデータベースやスプレッドシートにシームレスにインポートまたは保存することができないデータを含む。「データリポジトリ」は、データベース、データウェアハウス、データレイク、またはこれらの組み合わせを含む。本明細書では「データベース」は、集中型または分散型のデータベースを含み、SQLデータベースを含むと考えられる。データベースとは、様々な方法でアクセス可能な構造化されたデータの集合体を指す。
【0111】
[0109]
「データレイク」は、すべての構造化データと非構造化データを一元的に保存するリポジトリを含む。あらゆる種類のデータは、ネイティブなフォーマットで保存することができ、アカウントサイズに固定の制限はなく、データの構造化、クリーン化、変換を行う必要はない。データレイクのデータ要素には、一意の識別子が与えられ、拡張メタデータタグのセットでタグ付けされる。これにより、多様な分析が可能になる。データレイクに含まれるデータは、データウェアハウスやデータベースにあるデータとは異なり、ネイティブなフォーマットで保存され、後にデータやデータの一部を使用する必要が生じたときに変換される。このように、データを保存して後で使用する方法は、「ELT(Extract-Load-Transform)戦略」と呼ばれ、「Schema on Read」技術に似ている。逆に、データベースやデータウェアハウスがETL(Extract-Transform-Load)戦略を採用している場合は、データベースやデータウェアハウスに格納される前にデータの変換が行われる。データがデータベースやデータウェアハウスにロードされる前にスキーマ(データの構造)が定義されている必要があるため、これは「Schema on Write」と呼ばれている。データレイクは、データベースと共存することができ、識別子やメタデータのタグにアクセスすることで利用することができる。
【0112】
[0110]
上記の説明は、例示を目的としたものであり、制限的なものではない。例えば、上述した実施例(または、その1つまたはそれ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、本開示の範囲を逸脱することなく、特定の状況や材料を本開示の教示に適応させるために、多くの修正を行うことができる。本明細書に記載されている寸法、材料の種類、および例示的なパラメータ、機能、および実装は、本開示のパラメータを定義することを意図しているが、決して限定するものではなく、例示的な実施形態である。上記の説明を読めば、多くの他の実施形態が当業者には明らかになるであろう。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきであり、また、そのような特許請求の範囲が有する均等物の全範囲も参照する必要がある。
【0113】
[0111]
また、上記の詳細な説明では、開示を合理化するために、様々な特徴をグループ化してもよい。これは、未請求の開示された特徴がいかなる請求項にも不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明的主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない部分にあるかもしれない。したがって、以下の請求項は、それぞれの請求項が別個の実施形態として独立して立っている状態で、ここに詳細な説明に組み込まれる。
【国際調査報告】