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特表2022-525382二部リン酸エステルエラストマーエポキシ組成物及びその使用方法
<図面はありません>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-13
(54)【発明の名称】二部リン酸エステルエラストマーエポキシ組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/00 20060101AFI20220506BHJP
   C08L 61/30 20060101ALI20220506BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20220506BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20220506BHJP
   C08G 59/24 20060101ALI20220506BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20220506BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220506BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20220506BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
C08G59/00
C08L61/30
C08K5/521
C08K3/26
C08G59/24
C08G59/40
C08K3/013
C08J5/04 CFC
C09K3/10 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533743
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 US2020026712
(87)【国際公開番号】W WO2020206346
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/828,693
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508036075
【氏名又は名称】ゼフィロス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】チャプリツキ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】モータザヴィアン,ハミド
(72)【発明者】
【氏名】ヒックス,ケビン
【テーマコード(参考)】
4F072
4H017
4J002
4J036
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA07
4F072AB04
4F072AB05
4F072AB06
4F072AB09
4F072AD25
4F072AD28
4F072AD34
4F072AE03
4F072AE06
4F072AF04
4F072AF06
4F072AF16
4F072AG04
4F072AH23
4F072AJ04
4F072AJ22
4F072AK03
4F072AK20
4F072AL02
4H017AA04
4H017AB08
4H017AD01
4H017AE05
4J002CD001
4J002CD022
4J002CD042
4J002CD051
4J002CD061
4J002DE148
4J002DE168
4J002DE237
4J002DJ018
4J002DJ038
4J002DL008
4J002DM008
4J002EW046
4J002FA048
4J002FD010
4J002FD017
4J002FD018
4J002FD146
4J002FD206
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J036AA01
4J036AA04
4J036AC13
4J036AD01
4J036AF06
4J036AJ05
4J036DD07
4J036FA03
4J036FA05
4J036FA06
4J036FB03
4J036HA12
4J036JA07
(57)【要約】
本教示は、二部系及び二部系を使用する方法を提供しており、二部系は、1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む第1の成分と、1つ又はそれ以上のリン酸エステルを含む第2の成分と、を備え、第1の成分と第2の成分を混合した際に、約0℃から約50℃の温度で硬化エラストマー組成物が形成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二部系であって、
a.1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む第1の成分と、
b.1つ又はそれ以上のリン酸エステルを含む第2の成分と、を備え、
前記第1の成分と前記第2の成分は、混合した際に、約0℃から約50℃の温度に亘ってエラストマー硬化組成物を形成する、二部系。
【請求項2】
前記第2の成分は、前記1つ又はそれ以上のリン酸エステルのうちの少なくとも2つ又は更には少なくとも3つを含んでいる、請求項1に記載の二部系。
【請求項3】
前記1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、カシューナッツ殻液(CNSL)から誘導されたリン酸エステルを含む、請求項1又は請求項2に記載の二部系。
【請求項4】
前記1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルから誘導されたリン酸エステルを含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載の二部系。
【請求項5】
前記第1の成分は1つ又はそれ以上の第1成分添加剤を含んでいる、請求項1乃至4の何れか一項に記載の二部系。
【請求項6】
前記1つ又はそれ以上の第1成分添加剤は、炭酸カルシウム、鉱物、補強性繊維、疎水性シリカ、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項5に記載の二部系。
【請求項7】
約5重量%から約25重量%の量で存在する炭酸カルシウム、を含んでいる請求項1乃至6の何れか一項に記載の二部系。
【請求項8】
超微細(ultrafine)炭酸カルシウム、微細(fine)炭酸カルシウム、中微細(medium fine)炭酸カルシウム、又はそれらの任意の組合せを、含んでいる請求項1乃至7の何れか一項に記載の二部系。
【請求項9】
前記第1の成分は、約4重量%から約8重量%の量の前記微細炭酸カルシム及び/又は約13重量%から約18重量%の量の前記中微細炭酸カルシウムを含んでいる、請求項1乃至8の何れか一項に記載の二部系。
【請求項10】
前記第2の成分は1つ又はそれ以上の第2成分添加剤を含んでいる、請求項1乃至9の何れか一項に記載の二部系。
【請求項11】
前記1つ又はそれ以上の第2成分添加剤は、鉱物、補強性繊維、疎水性シリカ、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項7に記載の二部系。
【請求項12】
前記1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は、1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の反応性希釈剤、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1乃至11の何れか一項に記載の二部系。
【請求項13】
エピクロロヒドリンとビスフェノールAの反応生成物を含む1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂、を含んでいる請求項1乃至12の何れか一項に記載の二部系。
【請求項14】
約6重量%から約30重量%の量で存在する1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂、を含んでいる請求項1乃至13の何れか一項に記載の二部系。
【請求項15】
二官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂、非変性BPAベースエポキシ樹脂、多官能性エポキシ化ポリブタジエン樹脂、又はそれらの任意の組合せを含む1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂、を含んでいる請求項1乃至14の何れか一項に記載の二部系。
【請求項16】
約10重量%から約45重量%の量で存在する1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂、を含んでいる請求項1乃至15の何れか一項に記載の二部系。
【請求項17】
エポキシ化ソルビトールを含む1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂、を含んでいる請求項1乃至16の何れか一項に記載の二部系。
【請求項18】
約2重量%から約16重量%の量で存在する1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂、を含んでいる請求項1乃至17の何れか一項に記載の二部系。
【請求項19】
ポリグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、又はそれら両方を含む1つ又はそれ以上の反応性希釈剤、を含んでいる請求項1乃至18の何れか一項に記載の二部系。
【請求項20】
約5重量%から約25重量%の量で存在する1つ又はそれ以上の反応性希釈剤、を含んでいる請求項1乃至19の何れか一項に記載の二部系。
【請求項21】
前記反応温度は約10℃から約35℃である、請求項1乃至20の何れか一項に記載の二部系。
【請求項22】
前記反応温度は約15℃から約25℃である、請求項1乃至21の何れか一項に記載の二部系。
【請求項23】
前記硬化組成物の硬化時間は約5分から約15分である、請求項1乃至22の何れか一項に記載の二部系。
【請求項24】
前記硬化組成物の硬化時間は約7分から約10分である、請求項1乃至23の何れか一項に記載の二部系。
【請求項25】
前記硬化組成物は約100%から約800%の体積膨張を有する、請求項1乃至24の何れか一項に記載の二部系。
【請求項26】
前記硬化組成物は約400%から約500%の体積膨張を有する、請求項1乃至25の何れか一項に記載の二部系。
【請求項27】
前記硬化組成物は、自動車部品からなる工作物上へ分注される、請求項1乃至26の何れか一項に記載の二部系。
【請求項28】
前記硬化組成物はガスケットを形成する、請求項1乃至27の何れか一項に記載の二部系。
【請求項29】
前記二部系は、硬化剤、硬化促進剤、又はそれら両方を不含である、請求項1乃至28の何れか一項に記載の二部系。
【請求項30】
二部系であって、当該二部系は、
a.第1の成分であって、
i.1つ又はそれ以上の液体体エポキシ樹脂、
ii.1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂、
iii.脂肪族多官能性エポキシ樹脂、
iv.1つ又はそれ以上の反応性希釈剤、及び、
v.1つ又はそれ以上の第1成分添加剤、を含む第1の成分と
b.第2の成分であって、
i.第1のリン酸エステル、
ii.第2のリン酸エステル、
iii.随意的な第3のリン酸エステル、及び、
iv.1つ又はそれ以上の第2成分添加剤、を含む第2の成分と、を備え、
前記第1の成分と前記第2の成分は、混合した際に、約0℃から約50℃の温度で硬化組成物を形成する、二部系。
【請求項31】
前記第1のリン酸エステルは、カシューナッツ殻液(CNSL)から誘導されたリン酸エステルである、請求項30に記載の二部系。
【請求項32】
前記第2のリン酸エステルは、2-エチルヘキシルグリシジル対リン酸1:1の化学量論量の反応生成物である、請求項30又は請求項31に記載の二部系。
【請求項33】
前記随意的な第3のリン酸エステルは、2-エチルヘキシルグリシジル対リン酸0.8:1の化学量論量の反応生成物である、請求項30から請求項32の何れか一項に記載の二部系。
【請求項34】
前記1つ又はそれ以上の第1成分添加剤は、炭酸カルシウム、鉱物、補強性繊維、疎水性シリカ、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ又はそれ以上の含む、請求項30から請求項33の何れか一項に記載の二部系。
【請求項35】
前記1つ又はそれ以上の第2成分添加剤は、補強性繊維、疎水性シリカ、又はそれら両方のうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項30から請求項34の何れか一項に記載の二部系。
【請求項36】
前記1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAの反応生成物を含む、請求項30から請求項35の何れか一項に記載の二部系。
【請求項37】
前記1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂は、約6重量%から約10重量%の量で存在している、請求項30から請求項36の何れか一項に記載の二部系。
【請求項38】
前記1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、二官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂、非変性BPAベースエポキシ樹脂、多官能性エポキシ化ポリブタジエン樹脂、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項30から請求項37の何れか一項に記載の二部系。
【請求項39】
前記1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、約35重量%から約45重量%の量で存在している、請求項30から請求項38の何れか一項に記載の二部系。
【請求項40】
前記1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、エポキシ化ソルビトールを含む、請求項30から請求項39の何れか一項に記載の二部系。
【請求項41】
前記1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、約8重量%から約16重量%の量で存在している、請求項30から請求項40の何れか一項に記載の二部系。
【請求項42】
前記1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、ポリグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、又はそれら両方を含む、請求項30から請求項41の何れか一項に記載の二部系。
【請求項43】
前記1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、約8重量%から約16重量%の量で存在している、請求項30から請求項42の何れか一項に記載の二部系。
【請求項44】
前記反応温度は約10℃から約35℃である、請求項30から請求項43の何れか一項に記載の二部系。
【請求項45】
前記反応温度は約15℃から約25℃である、請求項30から請求項44の何れか一項に記載の二部系。
【請求項46】
前記硬化組成物の硬化時間は約5分から約15分である、請求項30から請求項45の何れか一項に記載の二部系。
【請求項47】
前記硬化組成物の硬化時間は約7分から約10分である、請求項30から請求項46の何れか一項に記載の二部系。
【請求項48】
前記硬化組成物は少なくとも約100%から約800%の体積膨張を有する、請求項30から請求項47の何れか一項に記載の二部系。
【請求項49】
前記硬化組成物は少なくとも約400%から約500%の体積膨張を有する、請求項30から請求項48の何れか一項に記載の二部系。
【請求項50】
前記硬化組成物は、自動車部品からなる工作物上へ分注される、請求項30から請求項49の何れか一項に記載の二部系。
【請求項51】
前記硬化組成物はガスケットを形成する、請求項30から請求項50の何れか一項に記載の二部系。
【請求項52】
前記二部系は、硬化剤、硬化促進剤、又はそれら両方を不含である、請求項30から請求項51の何れか一項に記載の二部系。
【請求項53】
方法であって、当該方法は、
a.二部系を提供する工程であって、前記二部系は第1の成分と第2の成分を含み、前記第1の成分は1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂を含み、前記第2の成分は1つ又はそれ以上のリン酸エステルを含む、二部系を提供する工程と、
b.前記第1の成分と前記第2の成分を混合して反応生成物を形成する工程と、を備え、
前記第1の成分と前記第2の成分を混合した際に、約0℃から約50℃の温度で硬化エラストマー組成物が形成される、方法。
【請求項54】
前記第2の成分は2つ又は3つの異なるリン酸エステルを含んでいる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第1の成分は1つ又はそれ以上の第1成分添加剤を含んでいる、請求項53又は請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記第2の成分は1つ又はそれ以上の第2成分添加剤を含んでいる、請求項53又は請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記1つ又はそれ以上の第1成分添加剤は炭酸カルシウムを含む、請求項53又は請求項56に記載の方法。
【請求項58】
硬化は約10℃から約35℃の温度にて起こる、請求項53又は請求項57に記載の方法。
【請求項59】
硬化は約15℃から約25℃の温度にて起こる、請求項53又は請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記硬化組成物の硬化時間は約5分から約15分である、請求項53又は請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記硬化組成物の硬化時間は約7分から約10分である、請求項53又は請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記硬化組成物は約100%から約800%の体積膨張を有する、請求項53又は請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記硬化組成物は約400%から約500%の体積膨張を有する、請求項53又は請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記硬化組成物を自動車部品からなる工作物へ分注する工程、を含む請求項53又は請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記硬化組成物を用いてガスケット又はシーラントを形成する工程、を含む請求項53又は請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記方法は、硬化剤、硬化促進剤、又はそれら両方の添加を含まない、請求項53又は請求項65に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概括的には、第1の成分と第2の成分を有する組成物及び同組成物を使用する方法に関する。より具体的には、本教示は、各種基材への接着性を発揮できて現場発泡型のガスケット材料及びシーラント材料として使用することのできる二成分エポキシ及びリン酸エステルベースの硬化エラストマー材料に関する。
【背景技術】
【0002】
運輸業及び建設業では様々な目的でガスケット材料やシーラント材料が採用される頻度が高い。例えば、密封、水や風の絶縁、泥や埃の侵入防止、及びガラガラ音防止のうちの1つ又はそれ以上をガスケット材料が提供していることがある。
【0003】
産業界、特に運輸業及び建設業では、ダイカット型のガスケット材料及びシーラント材料が採用されてきた。典型的には、ダイカット型の剥がして貼り付けるガスケット材料/シーリング材料は、工作物への適用前に形成される発泡体を備え、工作物への付着は感圧接着剤の様な接着剤を介して実現されている。ダイカット型のガスケット材料/シーラント材料のいくつかの欠点として、ダイカットプロセスに付帯する余分な労働資源及びプロセス資源、ダイカット工程によって生じる廃棄物、及び別途接着剤の必要性が挙げられる。
【0004】
現場発泡反応はガスケット材料及びシーリング材料が工作物上へ直接分注されることを可能にする。室温活性化(例えば、膨張及び硬化)が所望される場合、ポリウレタンをベースとする発泡体が最もよく用いられる。ポリウレタン発泡体は多くの欠点を有し、そのうちのいくつかとして、イソシアネート官能性モノマー又はオリゴマーを含んでいること、高いVOC、特定の基材に対する制限された接着能力、湿潤又は多湿の環境での貧弱な耐加水分解性、低速反応系での使用に不向きであること、分注及び発泡中の温度変化に対する高い感受性、及び各調合物が混合比に影響を受けやすい場合には調合時の混合比に高い特異性が要求されること、が挙げられる。別の型式の現場硬化式ガスケット材料/シーリング材料はシリコンをベースとする。こちらはこちらで、各種基材への接着性の悪さ、貧弱な耐引裂性、コストの高さ、及び、膨張性及び剛性の調整能力の欠如、を含む独自の欠点を抱えている。
【0005】
ポリウレタンをベースとする発泡体の代替として、ポリマー材料における現場発泡反応のためのリン酸が利用されてきた。しかしながら、リン酸を用いた反応時間は非常に速く、発泡工程に先立ってポリマー材料を表面上に配置させるのに時間を要する組み立てプロセスにとって理想的でない。ゆえに、幾分遅い反応時間が好ましい。一部の状況では、リン酸の低いpHとスプラッシュハザードに対する懸念があるかもしれない。従って、より高いpHを有しスプラッシュハザードの軽減された代わりの材料が好ましいであろう。リン酸の多官能性のせいでエラストマー材料を作成するのが難しいこともリン酸使用のもう一つの欠点である。また、リン酸とポリマー材料の間には粘度に有意差がある。これは、材料の製造(例えば混合)と材料の貯蔵の両方に課題を提起する。リン酸はまた、多くのポリマー材料よりもはるかに低い分子量を有しており、そのことが望ましからざる混合比の原因になっている。1:1、2:1、又は4:1という比較的同等の混合比(典型的にはモノマー又はオリゴマー材料対リン酸)なら好ましいであろう。最後に、リン酸の反応特性は、多くの化学成分がリン酸とともに利用されたときに極めて高い反応性のせいで不安定になり得ることから、接着剤材料及びシーラント材料を調合するのを困難にしている。接着性、物理的又は化学的な適合性、機械的特性、又は他の事由にとって有利となり得る様々な異なる部分(moieties)を含む能力があれば好ましいだろう。
【0006】
参照により本明細書に援用される国際公開第2016/149700A1号は、リン酸の代替としてのリン酸エステルの使用を開示している。
【0007】
上記教示にもかかわらず、ガスケット材料及びシーリング材料として利用することのできる改善されたエラストマー材料の必要性が依然として存在する。室温(例えば周囲温度)で硬化する現場発泡現場形成式のガスケット材料及びシーリング材料の必要性が存在する。既知のガスケット材料及びシーリング材料に比べて周囲温度のより広い範囲での膨張及び架橋を提供するガスケット材料及びシーリング材料の必要性が存在する。無処理基材及び無洗浄基材を含む広範に様々な基材への接着性を提供するガスケット材料及びシーリング材料の必要性が存在する。追加の成分の必要性なしに硬化と発泡の両方を可能にする成分を利用したガスケット材料及びシーリング材料の必要性が存在する。発火、発煙、及び毒性(FST)についての所望の特性を提供し、しかもそれらの特性を付与するにあたり望ましくない作用剤の使用を排除するか又はその量を減らしたガスケット材料及びシーリング材料の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2016/149700号
【特許文献2】米国特許第5,648,401号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本教示は上述の恩恵の1つ又はそれ以上を提供する。本教示のガスケット材料及びシーリング材料は、以下のもの、即ち、空洞充填、シーリング、又は緩衝のうちの1つ又はそれ以上のために利用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本教示は、1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む第1の成分と、1つ又はそれ以上のリン酸エステルを含む第2の成分と、を備える二部系であって、第1の成分と第2の成分を混合した際に組成物は約0℃から約50℃の温度に亘って反応して適格の完成生成物を作成する、二部系を提供している。随意的には、手で触れるくらいまで乾いた(例えば粘つかない)状態に至る時間を短縮するために加熱源が使用されてもよいだろう。
【0011】
本教示は、液体又は固体エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、又は脂肪族多官能性エポキシ樹脂であり得る1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の反応性希釈剤、及び1つ又はそれ以上の第1成分添加剤、を含む第1の成分と;第1のリン酸エステル、随意的な第2のリン酸エステル、及び随意的な第3のリン酸エステルを含む1つ又はそれ以上のリン酸エステル、及び1つ又はそれ以上の第2成分添加剤、を含む第2の成分と;を備える二部系であって、第1の成分と第2の成分を混合して硬化性組成物を形成した際に硬化性組成物は約0℃から約50℃の温度にて硬化する、二部系を提供している。
【0012】
第2の成分は第3のリン酸エステルを含んでもよい。第2の成分は、リン酸と単官能性エポキシの間の反応の生成物である少なくとも1つのリン酸エステルを含んでもよい。1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、カシューナッツ殻液(CNSL)から誘導されたリン酸エステルを含み得る。第2の成分はいくらかの添加されたリン酸を含んでもよい。
【0013】
第1の成分は1つ又はそれ以上の第1成分添加剤を含んでもよい。1つ又はそれ以上の第1成分添加剤は、炭酸カルシウムとされ得る金属炭酸塩、1つ又はそれ以上の鉱物、補強性繊維、疎水性シリカ、又はそれらの任意の組合せを含み得る。炭酸カルシウムは、組成物のA側(例えば第1の成分)の約2重量%から約40重量%の量で存在してもよい。炭酸カルシウムは、超微細炭酸カルシウム、微細炭酸カルシウム、中微細炭酸カルシウム、又はそれらの任意の組合せを含み得る。第1の成分は微細炭酸カルシウムを約4重量%から約8重量%の量で含んでもよい。第1の成分は中微細炭酸カルシウムを約13重量%から約18重量%の量で含んでもよい。
【0014】
第2の成分は1つ又はそれ以上の第2成分添加剤を含んでもよい。1つ又はそれ以上の第2成分添加剤は、鉱物、補強性繊維、疎水性シリカ、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0015】
1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は、1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の反応性希釈剤、又はそれらの任意の組合せを含み得る。1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAの反応生成物を含み得る。1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は約5重量%から約30重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂(可撓性エポキシ樹脂とされ得る)は、二官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂、非変性BPAベースエポキシ樹脂、多官能性エポキシ化ポリブタジエン樹脂、又はそれらの任意の組合せを含み得る。エラストマーである最終組成物を生成するには、調合生成物構成原料の1つ又はそれ以上が可撓性であるか又はエラストマーであるものと予想される。1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は、約10重量%から約45重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂はエポキシ化ソルビトールを含み得る。1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、約1重量%から約30重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、ポリグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、又はそれら両方を含み得る。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、約4重量%から約25重量%の量で存在してもよい。
【0016】
反応温度は約0℃から約50℃であり得る。反応温度は約15℃から約25℃であり得る。硬化性組成物の硬化時間は約5分から約25分であり、加熱源を用いれば硬化時間を加速することもできるだろう。硬化性組成物の硬化時間は約7分から約10分であり得る。結果として得られる反応生成物は約100%から約800%の体積膨張を有し得る。結果として得られる反応生成物は約400%から約500%の体積膨張を有し得る。
【0017】
硬化性組成物は、発泡エラストマー材料から恩恵を享受し得る任意の表面上へ分注されることができる。これは自動車部品から成る工作物を含み得る。硬化性組成物の反応生成物はガスケット又はシーラントであってもよい。二部系は、潜伏性硬化剤、硬化促進剤、又はそれら両方を不含とすることができる。
【0018】
本明細書の教示は、更に、二部系を提供する工程であって、二部系は第1の成分と第2の成分を含み、第1の成分は1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂を含み、第2の成分は1つ又はそれ以上のリン酸エステルを含む、二部系を提供する工程と、第1の成分と第2の成分を混合して反応生成物を形成する工程と、を備える方法であって、第1の成分と第2の成分を混合して硬化性組成物を形成した際に硬化性組成物は約0℃から約50℃の温度にて硬化する、方法に向けられている。
【0019】
第2の成分は2つ又は3つの異なるリン酸エステルを含んでもよい。第1の成分は1つ又はそれ以上の第1成分添加剤を含んでもよい。第2の成分は1つ又はそれ以上の第2成分添加剤を含んでもよい。1つ又はそれ以上の第1成分添加剤は炭酸カルシウムを含み得る。
【0020】
方法は約10℃から約35℃の温度にて組成物を硬化させる工程を含んでもよい。硬化は約15℃から約25℃の温度にて起こり得る。硬化性組成物の硬化時間は約5分から約15分であり得る。硬化性組成物の硬化時間は約7分から約10分であり得る。反応生成物は約100%から約800%の体積膨張を有し得る。反応生成物は約400%から約500%の体積膨張を有し得る。
【0021】
方法は、硬化性組成物を自動車部品から成る工作物上へ分注する工程を含んでもよい。硬化性組成物の反応生成物はガスケット又はシーラントであってもよい。二部系は潜伏性硬化剤、硬化促進剤、又はそれら両方を不含とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本教示は、ここに説明される改善された組成物及び方法によって上記の必要性の1つ又はそれ以上を満たす。本明細書に提示されている解説及び例示は、当業者に本教示、その原理、及びその実践的適用に習熟してもらうことを意図している。当業者は本教示を特定の使用の必要条件に最も適切であり得る数多くの形態に適合させ適用することができる。従って、示されている本教示の特定の実施形態は網羅的であろうとする意図もなければ本教示を限定する意図もない。ゆえに本教示の範囲は、以上の記述を参照して確定されるのではなく、代わりに付随の特許請求の範囲並びにその様な特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲を参照して確定されるべきである。特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。更に、付随の特許請求の範囲から収集され得るところの他の組合せが実施可能であり、その様な組合せもまたこれによりこの書面による記述へ参照により組み入れられる。
【0023】
本願は、2019年4月3日出願の米国仮特許出願第62/828,693号の出願日の恩典を主張し、同仮出願の内容をあらゆる目的で参照により本明細書に援用する。
【0024】
本教示は、A側(即ち「第1の成分」)とB側(即ち「第2の成分」)を備える二部組成物であり得る組成物を提供している。混合した際に、二部組成物は硬化性組成物を形成し、反応生成物は完全に硬化したときにガスケット材料及びシーリング材料として利用することのできるエラストマー材料になり得る。
【0025】
A側は、1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の添加剤、1つ又はそれ以上のモノマー、又はそれら両方を備えてもよい。1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は、1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂、1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の反応性希釈剤、1つ又はそれ以上のシラン変性エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上のモノマー、又はそれらの任意の組合せを含み得る。1つ又はそれ以上の添加剤は、1つ又はそれ以上の強化剤(例えば、コアシェルポリマー粒子)、金属炭酸塩、鉱物、補強性繊維、疎水性シリカ、板状アルミナ、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0026】
B側は、1つ又はそれ以上のリン酸エステル、リン酸、1つ又はそれ以上の添加剤、1つ又はそれ以上のモノマー、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、第1のリン酸エステル、第2のリン酸エステル、第3のリン酸エステル、又はそれらの任意の組合せを含み得る。1つ又はそれ以上の添加剤は、鉱物、補強性繊維、疎水性シリカ、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0027】
1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、1つ又はそれ以上のカスタマイズされたリン酸エステルであってもよい。1つ又はそれ以上のカスタマイズされたリン酸エステルは、リン酸と各種アルコールの反応によって生成されてもよい。1つ又はそれ以上のカスタマイズされたリン酸エステルは、リン酸とリン酸エステル前駆体(即ち、まだリン酸と反応していない成分)のエポキシド基の反応によって生成されてもよい。1つ又はそれ以上のカスタマイズされたリン酸エステルは、ニュージャージー州モンマスジャンクションのカードライト・コーポレイション(Cardolite Corporation)社から商業的に入手可能なCardolite(登録商標)LITE2513HPの商標名で販売されている様なカシューナッツ殻液(CNSL)のグリシジルエーテルとリン酸の反応によって生成されてもよい。1つ又はそれ以上のカスタマイズされたリン酸エステルは、ニュージャージー州モアズタウンのCVCサーモセット・スペシャルティーズ(CVC Thermoset Specialties)社から商業的に入手可能なERISYS(登録商標)GE-13という商標名で販売されている様なフェニルグリシジルエーテルとリン酸の反応によって生成されてもよい。1つ又はそれ以上のカスタマイズされたリン酸エステルは、ニュージャージー州モアズタウンのCVCサーモセット・スペシャルティーズ(CVC Thermoset Specialties)社から商業的に入手可能なERISYS(登録商標)GE-6という商標名で販売されている様な2-エチルヘキシルグリシジルエーテルとリン酸の反応によって生成されてもよい。1つ又はそれ以上のカスタマイズされたリン酸エステルは、ニュージャージー州モアズタウンのCVCサーモセット・スペシャルティーズ(CVC Thermoset Specialties)社から商業的に入手可能なERISYS(登録商標)GE-11という商標名で販売されている様なエポキシ化パラ-ターシャリブチルフェノール又は任意の他の単官能性エポキシとリン酸の反応によって生成されてもよい。1つ又はそれ以上のカスタマイズされたリン酸エステルは、概して、単エポキシド官能性分子とリン酸の反応生成物であるとしてもよい。
【0028】
1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、1つ又はそれ以上の商業的に事前反応させたリン酸エステルであってもよい。1つ又はそれ以上の商業的に事前反応させたリン酸エステルは、カスタマイズされたリン酸エステルに成り代わってB側へ投入された場合、恐らくは遊離リン酸のレベルが低くひいてはB側のpHが高いことに因り反応及び発泡がより低速の硬化性組成物をもたらす結果になるだろう。1つ又はそれ以上の商業的に事前反応させたリン酸エステルの反応及び発泡は、B側にリン酸を添加することによって改善されることができる(即ち、反応速度を上げることができる)。1つ又はそれ以上の商業的に事前反応させたリン酸エステルは、水溶液中に約1から約3のpHを有していてもよい。1つ又はそれ以上の商業的に事前反応させたリン酸エステルは、ASTM D445に従って測定して25℃にて約10,000cPから約42,500cPの粘度を有していてもよい。1つ又はそれ以上の商業的に事前反応させたリン酸エステルは、ノニルフェノールエトキシル化リン酸エステルであってもよい。適した商業的に事前反応させたリン酸エステルの例には、アッシュランド・インク(Ashland, Inc.)社(ケンタッキー州コビントン)から商業的に入手可能なDextrol(商標)OC-110、Dextrol OC-40、及びStrodex MO-100の商法名で販売されているものがあるだろう。
【0029】
商業的に事前反応させたリン酸エステルはB側に存在してもよい。1つ又はそれ以上の商業的に事前反応させたリン酸エステルは、B側の約5重量%から約50重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の商業的に事前反応させたリン酸エステルは、B側の約0.1重量%から約30重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の商業的に事前反応させたリン酸エステルは、B側の約10重量%から約14重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の商業的に事前反応させたリン酸エステルは、B側の約12重量%の量で存在してもよい。
【0030】
1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、リン酸エステル前駆体対リン酸の化学量論比の或る範囲の反応によって生成され得る。1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、リン酸エステル前駆体対リン酸約0.7:1からリン酸エステル前駆体対リン酸約1:0.7の反応によって生成されてもよい。1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、リン酸エステル前駆体対リン酸約0.8:1からリン酸エステル前駆体対リン酸約1:0.8の反応によって生成されてもよい。1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、リン酸エステル前駆体対リン酸約0.9:1からリン酸エステル前駆体対リン酸約1:0.9の反応によって生成されてもよい。1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、リン酸エステル前駆体対リン酸約1:1の反応によって生成されてもよい。1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、リン酸エステル前駆体対リン酸約0.8:1の反応によって生成されてもよい。
【0031】
カシューナッツ殻液(CNSL)は、アナカルド酸、カードル、カルダノール、又はそれらの任意の組合せを含め、カシューナッツ殻液(CNSL)から一般的に抽出された化学物質を含み得る。好ましくは、カシューナッツ殻液(CNSL)のグリシジルエーテル)はカルダノールのグリシジルエーテルである。
【0032】
1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、以下に示されているモノ-エステル、ジ-エステル、又はトリ-エステルから選択されることができる。
【化1】
【0033】
1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、以下に描かれているエポキシド基とリン酸の反応から得ることができる。
【化2】
【0034】
B側は、1つ又はそれ以上のリン酸エステル、1つ又はそれ以上のリン酸エステル前駆体、又はそれら両方を備えてもよい。B側は、A側と組み合わされる前にリン酸と組み合わされる1つ又はそれ以上のリン酸エステル前駆体を備えてもよい。B側は、B側への添加前に事前反応(即ち、エポキシドとリン酸塩の反応)済みの1つ又はそれ以上のリン酸エステルを備えてもよい。
【0035】
第1のリン酸エステルは、カシューナッツ殻液(CNSL)(例えば、Cardolite(登録商標)LITE2513HP)のグリシジルエーテルとリン酸の反応生成物であってもよい。第2のリン酸エステルは、2-エチルヘキシルグリシジル(例えば、ERISYS(登録商標)GE-6)対リン酸約1:1の化学量論量の反応生成物であってもよい。第3のリン酸エステルは、リン酸と2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(例えば、ERISYS(登録商標)GE-6との0.8:1の化学量論量の反応生成物であってもよい。ただし、第1、第2、及び第3のリン酸エステルには数多くの実施可能性がある。
【0036】
第1のリン酸エステルは、B側の約10重量%から約60重量%の量で存在してもよい。第1のリン酸エステルは、B側の約25重量%から約35重量%の量で存在してもよい。第1のリン酸エステルは、B側の約28重量%から約32重量%の量で存在してもよい。第1のリン酸エステルは、B側の約32重量%の量で存在してもよい。第2のリン酸エステルは、B側の約5重量%から約40重量%の量で存在してもよい。第2のリン酸エステルは、B側の約15重量%から約25重量%の量で存在してもよい。第2のリン酸エステルは、B側の約18重量%から約22重量%の量で存在してもよい。第2のリン酸エステルは、B側の約21重量%の量で存在してもよい。第3のリン酸エステルは、B側の約10重量%から約65重量%の量で存在してもよい。第3のリン酸エステルは、B側の約35重量%から約45重量%の量で存在してもよい。第3のリン酸エステルは、B側の約42重量%の量で存在してもよい。第3のリン酸エステルは、B側の約58重量%の量で存在してもよい。第3のリン酸エステルは、B側の約60重量%の量で存在してもよい。
【0037】
B側はリン酸を含んでもよい。リン酸は、オルトリン酸、ポリリン酸、又はそれら両方であってもよい。リン酸はポリリン酸であってもよい。リン酸は、1つ又はそれ以上のリン酸エステル中の遊離酸であってもよく、1つ又はそれ以上のリン酸エステルとは独立に添加されてもよく、又はその両方であってもよい。B側へのリン酸の添加は、結果として得られる反応生成物の膨張(例えば発泡)増加をもたらすことができるだろう。B側へのリン酸の添加は二部系の反応性を高めて、温度が23℃より下の場合の膨張、硬化、又はそれら両方の所望レベルを維持するのを支援する。
【0038】
独立に添加されるリン酸は、水溶液中に85%以上(即ち「試薬等級」)の量で在ってもよい。独立に添加されるリン酸は、B側の約1重量%から約20重量%の量で存在してもよい。独立に添加されるリン酸は、B側の約2重量%から約6重量%の量で存在してもよい。独立に添加されるリン酸は、B側の約4重量%の量で存在してもよい。
【0039】
リン酸とリン酸エステル前駆体の反応から生成される1つ又はそれ以上のリン酸エステルは遊離酸を含んでいてもよい。1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、約1%以上の遊離酸、約3%以上の遊離酸、約5%以上の遊離酸、約15%以下の遊離酸、約13%以下の遊離酸、又は更には約11%以下の遊離酸を有していてもよい。
【0040】
A側とB側の添加に際し、二部系は、金属炭酸塩又は金属重炭酸塩と酸との反応の結果として発泡し、ガス(例えば、化学的発泡剤として働く二酸化炭素)の放出を生じさせ得る。その様な反応メカニズムは、あらゆる目的で参照により本明細書に援用される米国特許第5,648,401号に記載されている。
【0041】
反応、発泡、又はそれら両方は、約50℃以下、約30℃以下、約20℃以下、又は更には約0℃以下にて起こり得る。硬化、発泡、又はそれら両方は、約0℃以上、約10℃以上、又は更には約20℃以上にて起こり得る。硬化、発泡、又はそれら両方は、約10℃から約35℃の温度にて起こり得る。硬化、発泡、又はそれら両方は、約10℃の温度にて起こり得る。硬化、発泡、又はそれら両方は、室温で(例えば、約15℃から約25℃の温度にて)起こり得る。硬化、発泡、又はそれら両方は約23℃の温度にて起こり得る。
【0042】
本開示は、他の硬化剤又は硬化系に比べて、(例えば室温にて)刺激を加えることなしに起こる相対的に速い硬化時間、発泡時間、又はそれら両方を企図している。反応生成物の硬化時間は75分以下、50分以下、30分以下、20分以下、2分以上、8分以上、又は更には16分以上であり得る。結果としてられる反応生成物の硬化時間は約5分から約20分であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は約10分であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は約7分であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は約5分であり得る。
【0043】
結果として得られる反応生成物の完全反応前に発泡が始まることになるだろう。結果として得られる反応生成物の発泡時間(即ち、二部系がそれ以内で発泡するという時間枠)は30分以下、又は更には約20分以下であり得る。反応生成物の発泡時間は約1分から約10分であり得る。反応生成物の発泡時間は約5分であり得る。反応生成物の発泡時間は約7分であり得る。
【0044】
A側は、1つ又はそれ以上のエポキシド官能性材料(即ち、1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂)を含んでもよい。1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は、任意の従来のダイマー、オリゴマー、又はポリマーエポキシ樹脂であってもよい。1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は、少なくとも1つのエポキシド官能基(即ち、単官能性)を含有していてもよいし、又は1つより多いエポキシド官能基(即ち、多官能性)を含有していてもよい。1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は、1つ以上のエポキシド官能基、2つ以上のエポキシド官能基、3つ以上のエポキシド官能基、又は更には4つ以上のエポキシド官能基を含有していてもよい。1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は、変性エポキシ樹脂(例えば、シラン変性、エラストマー変性、など)であってもよい。1つ又はそれ以上のエポキシは、脂肪族、脂環式、芳香族など、又はそれらの任意の組合せであってもよい。1つ又はそれ以上のエポキシは、固体(例えば、ペレット、塊、細片など、又はそれらの任意の組合せ)として供給されてもよいし、又は液体(例えば、液体エポキシ樹脂)として供給されてもよい。ただし固体樹脂が使用される場合、考えられることとして、それらは最初に液体樹脂又は他の適した溶剤中に溶解されることになるだろう。本明細書での使用に際し、別途言及のない限り、樹脂はそれが23℃の温度にて固体であるなら固体樹脂であり、23℃の温度にて液体であるなら液体樹脂である。1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂は、1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂、1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂、1つ又はそれ以上の反応性希釈剤、1つ又はそれ以上のシラン変性エポキシ樹脂、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0045】
二部系は1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂を含んでもよい。1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂成分のためのベースとして機能することができるだろう。1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリン(これ以降は「EPH」)と任意の従来のビスフェノールとの反応生成物であってもよい。1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂は、EPHとビスフェノールA(これ以降は「BPA」)又はビスフェノールF(これ以降は「BPF」)又はそれら両方との反応生成物であってもよい。1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂(標準的又は商品的液体エポキシ樹脂)は、ASTM D1652-97に従って測定して約100g/当量から約1000g/当量のエポキシド当量(これ以降は「EEW」)を有していてもよい。1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂は約20から約25のエポキシドパーセンテージを有していてもよい。1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂は、ASTM D-445に従って測定して25℃にて10cPから約100,000cPの粘度を有していてもよい。適したBPAベースの液体エポキシ樹脂の一例には、オリン・コーポレイション(Oline Corporation)社(ミズーリ州クレイトン)から商業的に入手可能なD.E.R.(商標)331があるだろう。適したBPFベースの液体エポキシ樹脂の一例には、ククドケミカル(Kukdo Chemical)社(韓国)から商業的に入手可能なYDF-170があるだろう。
【0046】
1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂はA側の部分として存在してもよい。1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂は、A側の約4重量%から約50重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂は、A側の約10重量%から約30重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の液体エポキシ樹脂は、A側の約8重量%の量で存在してもよい。
【0047】
二部系は1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂を含んでもよい。1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、反応生成物の、弾性率を小さくするように、破損ひずみ(strain to failure)を大きくするように、復元時間を短縮するように、反応生成物中の架橋密度の程度を下げるように、耐衝撃性を高めるように、接着性を改善するように、耐剥離性を改善するように、又はそれらの任意の組合せを達成するように機能することができるだろう。1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、一部には粘度改質剤の役目をすることによって又はガス透過性を低減することによって、二部系のガス閉じ込め能力を改善することができるだろう。1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、二官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂、非変性BPAベースエポキシ樹脂、多官能性エポキシ化ポリブタジエン樹脂、又はそれらの任意の組合せであってもよい。1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、ASTM D1652-97に従って測定して約260から約500のEEWを有していてもよい。1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、ASTM D445に従って測定して25℃にて約700cPから約500,000cPの粘度を有していてもよい。適した可撓性エポキシ樹脂の例としては、NC-514(ニュージャージー州モンマスジャンクションのカードライト・コーポレイション(Cardolite Corporation)社から商業的に入手可能)、Araldite(登録商標)PY4122(ユタ州ソルトレイクシティのハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(Huntsman Advanced Materials)社から商業的に入手可能)、Poly bd(登録商標)605E(ペンシルベニア州エクストンのクレイバレー(Cray Valley)社から商業的に入手可能)、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0048】
1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂はA側に存在してもよい。1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、A側の約10重量%から約50%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、A側の約35重量%から約45重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、A側の約39重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、A側の約10重量%から約18重量%の量の二官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂、A側の約8重量%から約16重量%の量の非変性BPAベースエポキシ樹脂、及びA側の約8重量%から約16重量%の量の多官能性エポキシ化ポリブタジエン樹脂を含み得る。1つ又はそれ以上の可撓性エポキシ樹脂は、A側の約14重量%の量の二官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂、A側の約12重量%の量の非変性BPAベースエポキシ樹脂、及びA側の約12重量%の量の多官能性エポキシ化ポリブタジエン樹脂を含み得る。二成分系は、二官能グリシジルエーテルエポキシ樹脂とカルダノール由来の二官能性エポキシと多官能性エポキシ化ポリブタジエン樹脂を観点的に(respectfully)約1:1:1の比で含んでもよい。二成分系は、二官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂とカルダノール由来の二官能性エポキシと多官能性エポキシ化ポリブタジエン樹脂を観点的に約1:0.8:0.8の比で含んでもよい。二成分系は、二官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂とカルダノール由来の二官能性エポキシと多官能性エポキシ化ポリブタジエン樹脂を観点的に約1:0.9:0.9の比で含んでもよい。
【0049】
本明細書に記載の二部系は、更に、1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂を含んでもよい。1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、耐化学薬品性、耐溶剤性、耐温度性、又はそれらの任意の組合せを反応生成物へ付与するように機能することができるだろう。1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、A側の部分として存在してもよい。1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、ASTM D1652-97に従って測定して約165g/当量から約183g/当量のEEWを有していてもよい。1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、約2.1から約6.5の平均エポキシ官能性を有していてもよい。EPN樹脂の主要な機能の1つは、多官能性を介しネットワーク架橋密度を高めることである。これは、反応速度を制御するためにもまた反応プロセス中及び/又は反応プロセス後の発泡体の崩壊を防ぐ能力を制御するためにも重要である。1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、ASTM D445に従って測定して25℃にて約18,000cPから約30,000cPの粘度を有していてもよい。適したエポキシフェノールノボラック樹脂の例には、CVCサーモセット・スペシャルティーズ(CVC Thermoset Specialties)社(ニュージャージー州モアズタウン)から商業的に入手可能なエパロイ(Epalloy)8250及びエパロイ8330の商標名で販売されているものがあるだろう。
【0050】
1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、A側の約30重量%から約50重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、第1の成分又はA側の約35重量%から約45重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、A側の約38重量%から約42重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、A側の約42重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、A側の約2重量%から約18重量%の量で存在する約3.6官能性エポキシフェノールノボラック樹脂及びA側の約22重量%から約32重量%の量で存在する約6.5官能性エポキシノボラック樹脂を含み得る。1つ又はそれ以上のエポキシフェノールノボラック樹脂は、A側の約15重量%の量で存在する約3.6官能性エポキシフェノールノボラック樹脂及びA側の約28重量%の量で存在する約6.5官能性エポキシノボラック樹脂を含み得る。二部系は、約3.6官能性エポキシフェノールノボラック樹脂と約6.5官能性エポキシフェノールノボラック樹脂を約1:2から約1:3の比で含んでもよい。
【0051】
二部系は1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂を含んでもよい。1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、反応生成物の架橋度を高めるように、反応生成物の耐化学薬品性を高めるように、又はそれら両方を達成するように機能することができるだろう。これらの樹脂は、結果として得られる反応生成物のエラストマー性質を維持し又は増強しながらも反応生成物の架橋密度を高める能力を有している。一般には、多官能性材料は反応生成物のエラストマー性を下げてしまうだろう。1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂はエポキシ化ソルビトールを含み得る。1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、ASTM D1652-97に従って測定して約160g/当量から約195g/当量のEEWを有していてもよい。1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、ASTM D445に従って測定して25℃にて約4,000cPから約18,000cPの粘度を有していてもよい。適した脂肪族多官能性エポキシ樹脂の例には、CVCサーモセット・スペシャルティーズ(CVC Thermoset Specialties)社(ニュージャージー州モアズタウン)から商業的に入手可能なERISYS(登録商標)GE-60及びERISYS(登録商標)GE-61の商標名で販売されているものがあるだろう。
【0052】
1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂はA側の部分として存在してもよい。1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、A側の約5重量%から約20重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、A側の約8重量%から約16重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、A側の約10重量%から約14重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の脂肪族多官能性エポキシ樹脂はA側の約12重量%の量で存在してもよい。
【0053】
二部系は1つ又はそれ以上の反応性希釈剤を含んでもよい。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、二部系の分注プロセスを修正するため及び分注後の二部系の工作物上の流れを修正するために、二部系の全体的な粘度を下げ、単官能性の場合の反応生成物の架橋度を下げるように機能することができるだろう。統計学的に二官能性より上の場合、希釈剤は架橋密度を増加させる可能性がある。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤はポリマーであってもよく、それによって反応性希釈剤は反応生成物の可撓性を高めることができるだろうし;1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は多官能性であってもよく、それによって反応性希釈剤は架橋増加を促進し及び反応生成物に耐化学薬品性を付与することができるだろうし;又はそれら両方であってもよい。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、ポリグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、又はそれら両方を含み得る。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、ASTM D1652-97に従って測定して約100g/当量から約300g/当量のEEWを有していてもよい。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、ASTM D445に従って測定して25℃にて約10cPから約1000cPの粘度を有していてもよい。適した反応性希釈剤の一例には、CVCサーモセット・スペシャルティーズ(CVC Thermoset Specialties)社(ニュージャージー州モアズタウン)から商業的に入手可能なERISYS(登録商標)GE-31及びERISYS(登録商標)GE-24の商標名で販売されているものがあるだろう。
【0054】
1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、A側の約5重量%から約20重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、A側の約8重量%から約16重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、A側の約10重量%から約14重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、A側の約13重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、A側の約2重量%から約6重量%の量で存在するポリグリコールジグリシジルエーテル及びA側の約6重量%から約14重量%の量で存在するトリメチロールエタントリグリシジルエーテルを含み得る。1つ又はそれ以上の反応性希釈剤は、A側の約4重量%の量で存在するポリグリコールジグリシジルエーテル及びA側の約9%の量で存在するトリメチロールエタントリグリシジルエーテルを含み得る。二部系は、ポリグリコールジグリシジルエーテルとトリメチロールエタントリグリシジルエーテルをそれぞれ約1:2から約1:3の比で含んでもよい。
【0055】
二部系は1つ又はそれ以上のシラン変性エポキシ樹脂を含んでもよい。1つ又はそれ以上のシラン変性エポキシ樹脂は、特にガラス、金属、又はそれら両方への接着性について、改善された接着性を反応生成物へ付与するように機能することができるだろう。好適なシラン変性エポキシ樹脂の一例には、ククドケミカル(韓国)から商業的に入手可能なEPOKUKDO(登録商標)KSR-177の商標名で販売されているものがあるだろう。別の適した材料は、脂環式エポキシド基を有するシリコンプレポリマーであろう。その様な材料の一例が、カナダのオンタリオ州のシルテック・コーポレイション(Siltech Corporation)社から入手可能なSilmer EPC Di-50の商標名で市販されている。
【0056】
1つ又はそれ以上のシラン変性エポキシ樹脂はA側に存在してもよい。1つ又はそれ以上のシラン変性エポキシ樹脂は、A側の約1重量%から約15重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上のシラン変性エポキシ樹脂は、A側の約2重量%から約6重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上のシラン変性エポキシ樹脂はA側の約4重量%の量で存在してもよい。
【0057】
二部系は1つ又はそれ以上のモノマーを含んでもよい。1つ又はそれ以上のモノマーは、反応生成物の特に金属基材への接着特性を改善するように、反応生成物の可撓性を高めるように、反応生成物の耐衝撃性を高めるように、又はそれらの任意の組合せを達成するように機能することができるだろう。1つ又はそれ以上のモノマーは、単官能性、二官能性、又は多官能性であってもよい。1つ又はそれ以上のモノマーは、アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化反応生成物であってもよい。1つ又はそれ以上のモノマーは、単官能性アクリルモノマーであってもよい。好ましくは、1つ又はそれ以上のモノマーは、メタクリレート酸エステル(methacrylate acid ester)と2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレートの混合物であってもよい。適したモノマーの一例には、サルトマー(Sartomer)社(ペンシルベニア州エスクトン)から商業的に入手可能なSR9050の商標名で販売されているものがあるだろう。
【0058】
二部系は、1つ又はそれ以上のモノマーを、A側に、B側に、又はそれら両方に含んでもよい。1つ又はそれ以上のモノマーは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約0.1重量%から約26重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上のモノマーは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約12重量%から約24重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上のモノマーは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約14重量%から約22重量%の量で存在してもよい。1つ又はそれ以上のモノマーは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約18重量%の量で存在してもよい。
【0059】
硬化速度、架橋度、又はそれら両方は、二部系(A側及びB側)の官能性の関数であり得る。ポリマー長さがより短い(即ち、より低い粘度)の事前重合化成分を有する二部系にとってはより高い官能性(即ち、1つ又はそれ以上の重合化可能成分の官能基の平均数)が望ましいであろう、というのもそれによって、より短いポリマーに起因する構造的主鎖の欠如はより高い架橋度によって補償されるからである。長さがより長い(即ち、典型的にはより高い粘度をもたらす)の事前重合化成分を有する二部系にとってはより低い官能性が望ましいであろう、というのもそれによって、より長いポリマーに起因するより多い構造的主鎖の存在は高い官能性の必要性を排除するからである。
【0060】
B側の官能性は、少なくとも一部には、A側中の金属炭酸塩とリン酸及びリン酸エステルとの反応によって低下するかもしれず、結果としてB側の官能性が低下する可能性がある。A側は、B側の低下した官能性を補償するために官能性の高い成分を含んでもよい。A側は、2より高い官能性を有する反応性成分を使用することによって官能性を高めて調合されてもよい。
【0061】
二部系は1つ又はそれ以上の添加剤を含んでもよい。1つ又はそれ以上の添加剤は、1つ又はそれ以上の強化剤、炭酸カルシウム、鉱物、補強性繊維、疎水性シリカ、板状アルミナ、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0062】
二部系は1つ又はそれ以上の強化剤を含んでもよい。1つ又はそれ以上の強化剤は、反応生成物内でエネルギーを分散させる(即ち、耐衝撃性を高める)ように機能することができるだろう。1つ又はそれ以上の強化剤は、Tピール強度増加に寄与することができるだろう。1つ又はそれ以上の強化剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性又は熱硬化可能樹脂、エラストマーなど、又はそれらの任意の組合せを備え得る。1つ又はそれ以上の強化剤は、エラストマー(エラストマー含有材料を含む)、コアシェルポリマー(限定するわけではないがエラストマーを含み得る)、又はそれら両方を含み得る。
【0063】
コアシェルポリマーは、第1のポリマー材料(即ち、コア材料)と第2のポリマー材料(即ち、シェル材料)を備え得る。第1のポリマー材料は全体的に第2のポリマー材料によって封入されていてもよい。コアシェルポリマーは、第1のポリマー材料を約30重量%以上、50重量%以上、又は更には70重量%以上の量で含んでもよい。第1のポリマー材料、第2のポリマー材料、又はそれら両方は、1つのポリマー、2つのポリマー、3つのポリマー、又は更には3つより多いポリマーを、一体に組み合わせて、又は一体に反応(例えば、逐次重合)させて、又は一体に組合せ且つ一体に反応させて備えていてもよいし、又は、別個の又は同一のコアシェルポリマー系の一部であってもよい。適したコアシェルポリマーの例には、いずれもカネカ北米LLC(Kaneka North America LLC)社(テキサス州パサデナ)から商業的に入手可能なKane Ace(商標)MX-267及びMX-257の商標名で販売されているものがあるだろう。
【0064】
コアシェルポリマーは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約1重量%から約25重量%の量で存在してもよい(例えば、10重量%の量で存在する場合は、A側に5%の量、B側に5%の量で存在してもよい)。コアシェルポリマーは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約5重量%から約20重量%の量で存在してもよい。コアシェルポリマーは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約5重量%程度の量で存在してもよい。コアシェルポリマーは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約17重量%の量で存在してもよい。
【0065】
二部系は1つ又はそれ以上の金属炭酸塩を含んでもよい。1つ又はそれ以上の金属炭酸塩は、酸の存在下にガスを発生させるように、充填剤の役目を果たすように、発泡(例えば、膨張)プロセスの開始又は総範囲を制御するように、又はそれら両方を達成するように機能することができるだろう。1つ又はそれ以上の金属炭酸塩は、金属炭酸塩又は金属重炭酸塩であってもよい。適した充填剤の例としては、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、炭酸バリウム、重炭酸ナトリウム、及び重炭酸カリウムが挙げられる。好ましくは、1つ又はそれ以上の金属炭酸塩は炭酸カルシウムを含み得る。金属炭酸塩、金属重炭酸塩、又はそれら両方の粒径は二部系の膨張及び硬化を制御することができ、従って金属炭酸塩、金属重炭酸塩、又はそれら両方の酸と反応させるのに利用できる全表面積は、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、又はそれら両方の粒径と二部系中に存在する量の両方の関数である。
【0066】
炭酸カルシウム(CaCO)は1つ又はそれ以上の炭酸カルシウム充填剤として存在してもよい。1つ又はそれ以上の炭酸カルシウム充填剤は、約1ミクロンから約50ミクロンの中央値粒径を有していてもよい。炭酸カルシウムは中微細(medium fine)粒径であってもよい。例えば、中微細炭酸カルシウムの中央値粒径は約22ミクロンであるとしてもよい。適した中微細炭酸カルシウムの一例には、ジョージア州アトランタのフーバー・エンジニアード・マテリアルズ(Huber Engineered Materials)社から商業的に入手可能なHubercarb(登録商標)Q200があるだろう。炭酸カルシウムは微細(fine)粒径であってもよい。例えば、微細炭酸カルシウムの中央値粒径は4ミクロンであるとしてもよい。適した微細炭酸カルシウムの一例には、ジョージア州アトランタのフーバー・エンジニアード・マテリアルズ(Huber Engineered Materials)社から商業的に入手可能なHubercarb(登録商標)Q4があるだろう。炭酸カルシウムは、超微細(ultra-fine)粒径であってもよい。例えば、超微細炭酸カルシウムの中央値粒径は約1ミクロンであるとしてもよい。適した超微細炭酸カルシウムの一例には、ジョージア州アトランタのフーバー・エンジニアード・マテリアルズ(Huber Engineered Materials)社から商業的に入手可能なHubercarb(登録商標)Q2があるだろう。二部系は、中微細炭酸カルシウム、微細炭酸カルシウム、超微細炭酸カルシウム、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。
【0067】
炭酸カルシウムは、A側の約1重量%から約25重量%の量で存在してもよい。炭酸カルシウムは、A側の約4重量%から約18%の量で存在してもよい。炭酸カルシウムは、A側の約8重量%から約12重量%の量で存在してもよい。炭酸カルシウムは、A側の約20重量%の量で存在してもよい。炭酸カルシウムは、A側の約4重量%から約8重量%の量で存在する微細炭酸カルシウム及びA側の約13重量%から約18重量%の量で存在する中微細炭酸カルシウムの両方を含み得る。炭酸カルシウムは、A側の約6重量%の量で存在する微細炭酸カルシウム及びA側の約15重量%の量で存在する中微細炭酸カルシウムの両方を含み得る。炭酸カルシウムは、A側の約5重量%の量で存在する微細炭酸カルシウム及びA側の約5重量%の量で存在する中微細炭酸カルシウムの両方を含み得る。中微細炭酸カルシウム対微細炭酸カルシウムの比は、約3:1から約1:3であってもよい。中微細炭酸カルシウム対微細炭酸カルシウムの比は、約1:1であってもよい。
【0068】
炭酸カルシウムは被覆を含んでもよい。被覆は、活性化プロセス、膨張プロセス、又はそれら両方のプロセス中に分解して膨張を遅らせるか、低速化するか、又はそれら両方を達成するいずれの材料であってもよい。被覆は、ワックス、脂肪酸、又はそれらの組合せであってもよい。
【0069】
二部系は1つ又はそれ以上の鉱物を含んでもよい。1つ又はそれ以上の鉱物(即ち、「鉱物補強材」)は反応生成物を構造的に補強するように機能することができるだろう。1つ又はそれ以上の鉱物は、反応生成物の引張強さ、曲げ強さ、又はそれら両方を改善することができるだろう。1つ又はそれ以上の鉱物は、限定するわけではないがイノケイ酸塩(例えば、ウォラストナイト)及びフィロケイ酸塩(例えば、カオリナイト、バーミキュライト、タルク、マスコバイトなど)を含むいずれの適したケイ酸塩鉱物であってもよい。1つ又はそれ以上の鉱物の個々の結晶又は結晶群の特徴的外部形状は針状又は針様であってもよい。1つ又はそれ以上の鉱物の中央値粒径は約10ミクロンから約20ミクロンであってもよい。中央値粒径は約12ミクロンから約18ミクロンであってもよい。
【0070】
1つ又はそれ以上の鉱物はウォラストナイト(CaSiO)を含み得る。ウォラストナイトは比較的純粋(即ち、他の金属酸化物の様な不純物が2重量%未満)であってもよい。ウォラストナイトは、鉱物構造中のカルシウムを置換する鉄、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、カリウム、ナトリウム、又はストロンチウムのうちの1つ又はそれ以上の酸化物含む不純物を含有していてもよい。適したウォラストナイトの例には、NYCOミネラルズ・インク(NYCO Minerals Inc.)社(ニューヨーク州ウィルズボロ)から商業的に入手可能なNYGLOS(登録商標)12及びNYGLOS(登録商標)8の商標名で販売されているものがあるだろう。
【0071】
1つ又はそれ以上の鉱物は、A側の、B側の、又はそれら両方の部分として存在してもよい。ウォラストナイトは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約0.1重量%から約10重量%の量で存在してもよい。ウォラストナイトは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約3重量%から約7重量%の量で存在してもよい。ウォラストナイトは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約4重量%の量で存在してもよい。
【0072】
焼成カオリン粘土がA側の部分として存在してもよい。焼成カオリン粘土は、A側の約0.1重量%から約5重量%の量で存在してもよい。焼成カオリン粘土は、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約1重量%から約4重量%の量で存在してもよい。焼成カオリン粘土は、A側の約2重量%の量で存在してもよい。
【0073】
二部系は1つ又はそれ以上の補強性繊維を含んでもよい。補強性繊維は、反応生成物を構造的に補強するように機能することができるだろう。1つ又はそれ以上の補強性繊維は、反応生成物の引張強さ、曲げ強さ、又はそれら両方を改善することができるだろう。1つ又はそれ以上の補強性繊維は、A側に、B側に、又はそれら両方に存在してもよい。1つ又はそれ以上の補強性繊維は、A側の、B側の、又はそれら両方の内部に均一に分散されていてもよい。1つ又はそれ以上の補強性繊維は、ポリマー繊維、ガラス繊維(即ち、グラスファイバー)、又はそれら両方を備え得る。ポリマー繊維は、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、アラミド繊維(例えば、Kevlar(登録商標))など、又はそれらの任意の組合せを含み得る。ガラス繊維は、アルミノホウケイ酸ガラス(「E-ガラス」)、アルカリ石灰ガラス(「A-ガラス」又は「C-ガラス」)、耐電気/化学薬品性ガラス(「E-CR-ガラス」)、ホウケイ酸ガラス(「D-ガラス」)、アルミノケイ酸ガラス(「R-ガラス」又は「S-ガラス」)、又はそれらの任意の組合せを含み得る。補強性繊維は細断繊維であってもよい。補強性繊維は、約0.1cm以上、約0.3cm以上、又は更には約0.6cm以上の細断長さであってもよい。補強性繊維は、約2.0cm以下、約1.5cm以下、又は更には約1.0cm以下の細断長さであってもよい。適したグラスファイバーの例には、ジュシUSA(Jushi USA)社(サウスカロライナ州コロンビア)から商業的に入手可能な細断ストランドがあるだろう。
【0074】
補強性繊維は、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約0.01重量%から約3重量%程度の量で存在してもよい。補強性繊維は、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約0.1重量%から約1重量%の量で存在してもよい。補強性繊維は、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約0.2重量%の量で存在してもよい。二部系は、粘度を制御するために1つ又はそれ以上のチキソトロープを含んでもよい。
【0075】
二部系は疎水性シリカを含んでもよい。疎水性シリカは、粘度を制御するように(例えば、増粘化)、チキソトロピーを制御するように、疎水性を高めるように、又はそれらの組合せを達成するように機能することができるだろう。疎水性シリカはヒュームドシリカであってもよい。疎水性シリカは表面処理されていてもよい。例えば、疎水性シリカは、ポリジメチルシロキサン(これ以降は「PDMS」)又はヘキサメチルジシラザン(これ以降は「HMDZ」)でヒュームドシリカ表面処理されていてもよい。疎水性シリカは、A側の、B側の、又はそれら両方の部分として存在してもよい。適した疎水性シリカの例には、エボニック・コーポレイション(Evonik Corporation)社(ニュージャージー州パルシパニ)から商業的に入手可能なAEROSIL(登録商標)R202の商標名で販売されているものやキャボット・コーポレイション(Cabot Corporation)社(マサチューセッツ州ボストン)から商業的に入手可能なCABO-SIL(登録商標)TS-530及びTS-720の商標名で販売されているものがあるだろう。
【0076】
疎水性シリカは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約0.25重量%から約6重量%の量で存在してもよい。疎水性シリカは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約0.5重量%から約4重量%の量で存在してもよい。疎水性シリカは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約1重量%から約2重量%の量で存在してもよい。疎水性シリカは、A側の約0.5重量%から約2重量%の量で存在してもよい。疎水性シリカは、B側の約3重量%から約5重量%の量で存在してもよい。A側の疎水性シリカ対B側の疎水性シリカの比は、約1:6から約6:1であってもよい。A側の疎水性シリカ対B側の疎水性シリカの比は、約1:4であってもよい。A側の疎水性シリカ対B側の疎水性シリカの比は、約1:2から約2:1であってもよい。
【0077】
二部系は板状アルミナを含んでもよい。板状アルミナは、硬度、耐熱的衝撃性、耐機械的衝撃性、高い熱容量、高い電気抵抗、又はそれらの任意の組合せを反応生成物へ付与するように機能することができるだろう。板状アルミナは、A側に、B側に、又はそれら両方に存在してもよい。板状アルミナは、そのコランダム形態(即ち、結晶性酸化アルミニウム)に変換され焼結されたαアルミナであってもよく、等級づけられた顆粒又は粉体として提供されていてもよい。板状アルミナは、約44ミクロンから約4760ミクロンまで等級づけ(即ち、サイズにより分別)されていてもよい。板状アルミナは、約44ミクロンへ等級づけられていてもよい。
【0078】
板状アルミナは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約0.1重量%から約15重量%の量で存在してもよい。板状アルミナは、A側の、B側の、又はA側とB側の両方の組合せの、約4重量%から約12重量%の量で存在してもよい。板状アルミナは、A側の約5重量%の量で存在してもよい。板状アルミナは、A側の約10重量%の量で存在してもよい。
【0079】
二部系は、組成物の1つ又はそれ以上の様々な特性を改善するための1つ又はそれ以上の機能性添加剤を含んでもよい。適した機能性添加剤の例として、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、カップリング剤、硬化剤、難燃剤、発泡剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤、潤滑剤、可塑剤、防腐剤、処理助剤、及び安定剤など、及びそれらの任意の組合せを挙げることができる。
【0080】
二部系を工作物上に分注する際に二部系が分注ビードに隣接する区域へ不要に流れ込むのを防止するために、又は二部系を分注する際に分注ビードに隣接する区域への流れ込みを制御する(即ち、所望量の流れを許容する)ために、A側の、B側の、又はそれら両方の粘度は23℃にて十分に高くてよい。不要な流れを防ぐか又は流れを制御するために必要なA側の、B側の、又はそれら両方の粘度は、分注されるビードの大きさに依存し得る。例えば、分注される二部系のビーズが厚いほど、意図しない流れを妨ぐか又は流れを制御するのに必要な粘度は高くなる。たるみ状態に近似する極めて低い剪断速度では23℃でのA側の粘度は、約20,000cPから約50,000cP、又は更には約35,000cPから約45,000cPであってもよい。23℃でのA側及びB側の粘度は、約250,000cPから約400,000cPであってもよい。10℃でのA側の粘度は、約280,000cPから約350,000cP、又は更には約300,000cPから約325,000cPであってもよい。23℃でのB側の粘度は、約20,000cPから約50,000cP、又は更には約35,000cPから約45,000cPであってもよい。10℃でのB側の粘度は、約130,000cPから約220,000cP、又は更には約175,000cPから約195,000cPであってもよい。
【0081】
二部系は、A側とB側を混合した際に、二部系の元の体積の約50%より多く、約100%より多く、約200%より多く、約800%より少なく、約700%より少なく、又は約600%より少なく発泡し得る。二部系は、二部系の元の体積の約400%から約500%膨張し得る。二部系は、二部系の元の体積の約400%膨張し得る。
【0082】
二部系は、硬化剤(即ち、従来の硬化剤)、硬化促進剤、又はそれら両方を不含であってもよい。典型的な硬化剤としては、ルイス塩基(即ち、アニオン触媒)、ルイス酸(即ち、カチオン触媒)、UV触媒、アミン類、無水物、フェノール類、チオール類、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。前述の硬化剤の代わりに、二部系は、リン酸エステルとエポキシド基、ヒドロキシ基、又はそれら両方との間の、リン酸によって触媒される重合化反応で硬化することができる。二部系は、リン酸エステルと金属炭酸塩の化学的相互作用によって硬化され、及び膨張させられてもよい。本開示の硬化及び膨張系を利用すれば、全体としての成分(即ち、硬化剤、硬化促進剤、及び発泡剤)の数を減らすことによって調合の複雑さを軽減できることが判明したが、とはいえ所望の膨張と硬化時間の実現には最適化するための手腕が問われる。
【0083】
本教示の1つの非限定的な実施形態では、二部系は、A側(「第1の成分」)中に、次のもの、即ち:液体エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、脂肪族多官能性エポキシ樹脂、反応性希釈剤、アラミドパルプ、中微細炭酸カルシウム、微細炭酸カルシウム、疎水性シリカ、及びウォラストナイト、のうちの1つ又はそれ以上を含んでもよい。二部系は、B側(「第2の成分」)中に、次のもの、即ち:第1のリン酸エステル、第2のリン酸エステル、第3のリン酸エステル、アラミド繊維、及び疎水性シリカ、のうちの1つ又はそれ以上を含んでもよい。
【0084】
二部系は、1:4から4:1のA側対B側比で一体に混合されてもよい。二部系は1:2から2:1のA側対B側比で一体に混合されてもよい。二部系は1:1のA側対B側比で一体に混合されてもよい。二部系は2:1のA側対B側比で一体に混合されてもよい。
【0085】
本教示による非限定的な例としての調合範囲が下表1に提供されている。
【表1】
【0086】
本明細書で論じられているガスケット材料及びシーラント材料の1つの重要な態様は、改善された圧縮永久ひずみ(例えば、ASTM D3571-17によれば、加えられた力が取り除かれた後の永久的な変形に対する組成物の抵抗力)を有することである。満足な圧縮永久ひずみの欠如は、水、塵、風の絶縁及びガラガラ音防止に対するエラストマー材料の封止不全を招く。試験サンプルが立方体の寸法の50%まで圧縮された。圧縮された立方体は次いで70℃のオーブン内に22時間置かれた。それらは取り出され、30分の復元時間の間、周囲温度に保たれた。その結果、測定された変形は10%より低かった。圧縮ひずみでの高い復元力を有することに加え、低い圧縮剛性も望ましい。
【0087】
発泡体の完全性を維持しながらに、適度な圧縮永久ひずみ(例えば、10%未満の変形と低い圧縮剛性)、均一な気泡構造、長いエラストマー鎖、及び部分開放気泡組成を実現するのが望ましいのではないだろうか。変形後に復元する能力は、損失弾性率に対する複素弾性率の高弾性部の維持に関係づけられるだろう。貯蔵弾性率及び損失弾性率は、動的機械分析(DMA)の様な手段を介して測定されるG’(剪断貯蔵弾性率)及びG’’(剪断損失弾性率)として表される場合が多い。ゆえに、考えられることとして、永久的な変形(例えば、クリープ)に比べて復元に寄与するポリマー構造の構造的態様が望ましいということになる。これは、分子に弾性要素を組み入れることと、材料を均一な気泡構造にすることに加えてより低い熱可塑性(即ち、より高い架橋密度)にするための方法とを含む。均一な気泡構造を実現するには、微細金属炭酸塩と脂肪族多官能性エポキシ樹脂とエポキシ化ポリブタジエン樹脂の組合せが利用されてもよい。より高い架橋密度を維持するためには、脂肪族多官能性エポキシ樹脂が利用されてもよい。エラストマー特性を改善するためには、エポキシ化ポリブタジエン樹脂、二官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂、低粘度エポキシ樹脂(エピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールの反応物)、及び脂環式エポキシ基を有するシリコンプレポリマー、がA側に利用されてもよい。エラストマー特性を改善するためには、第1のリン酸エステル(グリシジルエーテルカシューナッツ殻液とリン酸の反応生成物)がB側に使用されてもよい。脂環式エポキシ基ポリマーを有するシリコンプレポリマーは開放時間(open time)増加にも寄与するだろう。
【0088】
表2は、本教示による調合物の反応温度23℃での技術データを提供している。「ピーク発熱」は、硬化時に達するピーク温度を指し、架橋度と硬化速度の両方の関数とされ、したがって、より高い架橋度はより高い発熱反応をもたらし、より高い硬化速度はより高いピーク発熱をもたらすことになる、といういのも反応生成物は熱を発散するよりも速く発熱反応からの熱を取り込むからである。機械的特性はASTM D1621に従って判定された。試験サンプルは立方体の寸法の50%まで圧縮された。クロスヘッド運動速度は12.7mm/分で一定に保たれた。
【表2】
【0089】
本教示による調合物の追加の実施例が下表3に提供されている。量は重量パーセントで表されている。リン酸エステル前駆体対リン酸の化学量論量は括弧内に出ている。
【表3】
【0090】
表4は、表1による調合物の試験温度23℃での技術データを提供している。圧縮弾性率は、サンプルに加えられる圧縮応力(単位面積あたりの力)と結果として生じる圧縮(変形)の関数であるとしてもよい。したがって、典型的にエラストマー材料にとっては低い圧縮弾性率が望ましい。均一の圧縮弾性率を有する2つのサンプルを所与として、より低い密度を有するサンプルは、反応生成物のマトリックスがより硬いことを示唆しており、つまりより高い架橋度の生成物であるということになる。密度対圧縮弾性率の比として観たときに、より低い比は全体的により硬い反応生成物のマトリックスを示唆し得る。比較例Aは、従来のダイカットPSA裏打ち事前発泡ガスケットであるとしてもよい。25.4mm立方体を使用し、ASTM D1621に従って圧縮特性が判定された。試験サンプルは立方体の寸法の50%まで圧縮された。クロスヘッド速度は12.7mm/分で一定に保たれた。
【表4】
【0091】
本教示による調合物の追加の実施例が下表5に提供されている。量は重量パーセントで表されている。リン酸エステル前駆体対リン酸の化学量論量は括弧内に出ている。
【表5】
【0092】
二部系は、並列型カートリッジ、ペール、及びドラムとして提供されてもよい。二部系は工作物への適用前に混合されることができる。二部系は、工作物への適用前に二部系を混合できる任意の適した分注器を介して工作物へ適用されることができる。例えば、二部系は、本明細書に記載されている様に適した混合比を有する混合硬化性組成物を送達するように構成されている静止混合器を介して工作物上へ分注されてもよい。
【0093】
結果として得られる反応生成物は、多くの基材への優れた接着性を速い硬化時間と共に提供する。結果として得られる反応生成物は、ガラス、金属、ポリマー(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性又は熱硬化可能樹脂、又はエラストマー)又はそれらの任意の組合せへの優れた接着性を提供することができるだろう。特に、反応生成物は熱可塑性樹脂への優れた接着性を提供する。
【0094】
二部系は、二部系が適用される工作物の完全組み立ての前又は後に、硬化され及び/又は膨張されることができる。例えば、二部系が、第1の工作物へ分注され、硬化及び/又は膨張されたら、次いで第1の工作物と相補の第2の工作物が第1の工作物上へ適用されてもよい。別の例として、二部系が第1の工作物上へ分注され、第1の工作物と相補の第2の工作物が第1の工作物上へ適用され、その後に二部系が硬化及び/又は膨張されてもよい。工作物の完全組み立て後に硬化及び/又は膨張する二部系は、第1の工作物と第2の工作物の間の空間を充填するように膨張することができるだろう。第1の工作物、第2の工作物、又はそれら両方は溝を含み、二部系が溝内に分注され、又は溝内で膨張し、又は溝内に分注され且つ溝内で膨張するようにしてもよい。二成分材料は空洞に分注されてもよい。
【0095】
二部系は運輸用途に利用することができる。二部系は自動車用途に利用することができる。二部系は、限定するわけではないが車両の内装、車両の外装、HVACダクト、サイドミラー、電子部品筐体、テールランプ、ヘッドランプ、商用車両、建設などを含む用途に利用することができる。
【0096】
本教示は、A側(即ち、第1の成分)とB側(即ち、第2の成分)を含む二部系を提供する工程を備え得る方法を提供している。A側は1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂を含み、B側は1つ又はそれ以上のリン酸エステル及び随意的にはリン酸を含んでいる。A側とB側は混合されて硬化性組成物を形成することができる。方法は、硬化性組成物を50℃未満の温度で硬化させ、それによって反応生成物を形成する工程を含んでもよい。方法は、第1の成分と第2の成分を混合して反応プロドを形成する工程を備えてもよい。方法は、第1の成分と第2の成分の反応生成物が50℃未満の温度で硬化する工程を備えてもよい。方法は、1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂、炭酸カルシウム、又はそれら両方を含むA側と共に採用されてもよい。方法は、1つ又はそれ以上のリン酸エステル、リン酸、又はそれら両方を含むB側と共に採用されてもよい。方法は、1つ又はそれ以上の添加剤を有するA側、B側、又はそれら両方と共に採用されてもよい。
【0097】
本明細書の教示の使用は、14C.F.R.の25.853及び14C.F.R.の25.856(客室内装についての米国運輸省連邦規則集、限定するわけではないが14C.F.R.の25.853(a)並びに参照補遺F及びその中で参照される手続きを含む)に示されている難燃性を実証するための要件のうちの1つ又はそれ以上を満たす(例えば垂直燃焼及び/又は煙密度要件(又は何か他の要件)を満たす)のに十分な難燃性を呈するガスケットをもたらすことができ、上記規則集条項は何れも参照によりあらゆる目的で援用される。
【0098】
本明細書での使用に際し、別段の言及のない限り、教示は、属(リスト)の何れかの員が属から除外されること及び/又はマーカッシュグルーピングの何れかの員がグルーピングから除外されることもあり得るものと想定している。
【0099】
別段の言及のない限り、本明細書に記載されている何れかの数的値は、何れかの下位値と何れかの上位値との間に少なくとも2単位の隔たりがあることを前提に、下位値から上位値までのすべての値を1単位の増分で含む。一例として、成分の量、特性、又はプロセス変数の値、例えば温度、圧力、時間などが、例えば1から90、好ましくは20から80、より好ましくは30から70であると述べられている場合、中間範囲の値(例えば15から85、22から68、43から51、30から32など)は本明細書の教示の範囲内にあるものとする。同様に、個々の中間値も本教示の範囲内である。1未満の値については、1単位は、それ相応に0.0001、0.001、0.01、又は0.1であるものと考えられる。これらは、何が具体的に意図されているかの一例にすぎず、列挙されている最も低い値と最も高い値との間の数的値のすべての実施可能な組合せが、同様のやり方で、本出願内で明示的に述べられているものと見なされる。見て分かる様に、本明細書での「重量部」として表されている量の教示は更に、同じ範囲が重量%の用語で表されることも企図している。従って、「結果として得られる組成物の少なくとも「x」重量部」という用語での範囲的な表現はまた、同じ記載された量「x」について、結果として得られる組成物の重量%での範囲の教示も企図している。
【0100】
別段の言及のない限り、すべての範囲は、両方の終点及び終点間のすべての数を含む。範囲に関連しての「約」又は「近似的」の使用は範囲の両端へ適用される。従って、「約20から30」は、少なくとも指定された終点を含めて「約20から約30」をカバーすることを意図している。別段の言及のない限り、数的量と組み合わされた「約」又は「近似的」という用語を用いた教示は、記載された量の教示も当該の記載された量の近似値の教示同様に網羅する。一例として、「約100」という教示は「100」という教示を網羅する。
【0101】
特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。組合せを記述するための「本質的に○○から成る」という用語は、識別されている要素、原料、成分、又は工程、並びに組合せの基本的で新規性のある特性に実質的に影響を及ぼさないその様な他の要素、原料、成分、又は工程を含むものとする。本明細書での、要素、原料、成分、又は工程の組合せを記述するための「○○を備える」又は「○○を含む」という用語の使用は、当該の要素、原料、成分、又は工程から成る又は本質的に成る実施形態も想定している。
【0102】
複数の要素、原料、成分、又は工程は、単一の一体化された要素、原料、成分、又は工程によって提供されることもできる。代替的に、単一の一体化された要素、原料、成分、又は工程が、別々の複数の要素、原料、成分、又は工程へ分割されることもあり得る。要素、原料、成分、又工程を記述するための原文の「a」又は「one」の対訳である「或る」又は「1つの」という開示は、追加の要素、原料、成分、又は工程を排除することを意図していない。
【0103】
以上の記述は説明を目的としており制限を課そうとするものではないことが理解される。当業者には、上記説明が読まれ次第、提供されている実施例の他にも多くの実施形態並びに多くの適用が明らかとなろう。従って、本発明の範囲は、上記説明を参照して確定されるべきではなく、代わりに、付随の特許請求の範囲並びにその様な特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲を参照して確定されるべきである。特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。付随の特許請求の範囲での、本明細書に開示されている主題の何れかの態様の省略は、その様な主題の放棄でもないし、そのことで本発明者らがその様な主題を開示されている発明の主題の一部であると認めていないと解釈されてもならない。
【国際調査報告】