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特表2022-525410呼吸機能障害の治療に使用するための、植物エクジソン及びその誘導体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-13
(54)【発明の名称】呼吸機能障害の治療に使用するための、植物エクジソン及びその誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/56 20060101AFI20220506BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220506BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A61K31/56
A61P11/00
A61P25/00
A61K36/185
A61K36/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555792
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2020056591
(87)【国際公開番号】W WO2020187679
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】1902727
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513285907
【氏名又は名称】ビオフィティス
(71)【出願人】
【識別番号】507416908
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ラティル,マチルド
(72)【発明者】
【氏名】ディルダ,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ラフォン,ルネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイエ,スタニスラス
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA59
4C088AB26
4C088AB71
4C088BA06
4C088NA14
4C088ZA01
4C088ZA59
(57)【要約】
本発明は、特に神経筋疾患の一部としての哺乳類の呼吸機能障害の、より詳細には上記呼吸機能障害が肺組織の機械的特性の低下に関連する場合の、治療における使用を目的とした、植物エクジソン及びその誘導体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後天性若しくは遺伝性神経筋疾患に起因する呼吸機能障害、又は気管支過反応に関連する呼吸機能障害の治療における哺乳類でのその使用のための、少なくとも1つの植物エクジソン及び/又は植物エクジソンの少なくとも1つの半合成誘導体を含む組成物。
【請求項2】
20‐ヒドロキシエクジソン及び/又は20‐ヒドロキシエクジソンの少なくとも1つの半合成誘導体を含む、請求項1に記載の、その使用のための組成物。
【請求項3】
20‐ヒドロキシエクジソンは、植物抽出物又は植物の一部分の抽出物の形態であり、
前記植物は、前記植物の乾燥重量の少なくとも0.5%の20‐ヒドロキシエクジソンを含有する植物から選択され、
前記抽出物は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の20‐ヒドロキシエクジソンを含む、請求項2に記載の、その使用のための組成物。
【請求項4】
注目すべきことに、前記抽出物の医薬品としての応用の安全性、利用可能性、又は有効性に影響を及ぼし得る不純物を、前記抽出物の乾燥重量の0~0.05%含む、請求項3に記載の、その使用のための組成物。
【請求項5】
前記植物は、Stemmacantha carthamoides、Cyanotis arachnoidea及びCyanotis vagaから選択される、請求項3又は4に記載の、その使用のための組成物。
【請求項6】
前記呼吸機能障害は、運動ニューロンの及び/又は神経筋接合部の及び/又は横紋筋の、神経筋疾患に起因する、請求項1~5のいずれか1項に記載の、その使用のための組成物。
【請求項7】
前記呼吸機能障害は、横紋筋及び/又は平滑筋の障害に関連する、請求項1~6のいずれか1項に記載の、その使用のための組成物。
【請求項8】
前記気管支過反応は、気管支平滑筋の機能に関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の、その使用のための組成物。
【請求項9】
前記呼吸機能障害は、Penh値、ピーク吸気流、ピーク呼気流、弛緩時間、及び呼吸数から選択される呼吸パラメータのうちの少なくとも1つの状態に関連する、請求項1~8のいずれか1項に記載の、その使用のための組成物。
【請求項10】
前記呼吸機能障害は、肺組織の機械的パラメータのうちの少なくとも1つの状態に関連する、請求項1~9のいずれか1項に記載の、その使用のための組成物。
【請求項11】
前記呼吸機能障害は、肺コンプライアンスの低下、及び/又は肺抵抗の上昇、及び/又は肺エラスタンスの低下に関連する、請求項10に記載の、その使用のための組成物。
【請求項12】
前記植物エクジソンは、ヒトでは、3~15mg/kg/日の用量で投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の、その使用のための組成物。
【請求項13】
前記植物エクジソンは、成年のヒトでは、200~1000mg/日の用量を1回以上に分けて投与され、ヒトの小児又は幼児では、5~350mg/日の用量を1回以上に分けて投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の、その使用のための組成物。
【請求項14】
一般式(I):
【化1】
の少なくとも1つの化合物を含み、ここで、
V‐Uは炭素‐炭素単結合であり、Yはヒドロキシル基又は水素であり、又はV‐Uはエチレン性C=C結合であり;
Xは酸素であり;
Qはカルボニル基であり;
は:(C‐C)W(C‐C)基;(C‐C)W(C‐C)W(C‐C)基;(C‐C)W(C‐C)CO(C‐C)基;(C‐C)A基、ただしAは、OH、MeO、(C‐C)、N(C‐C)、CO(C‐C)タイプの基で任意に置換された複素環を表す;CHBr基から選択され;
Wは、N、O、及びSから選択されるヘテロ原子であり、好ましくはOであり、より好ましくはSである、請求項1~13のいずれか1項に記載の、その使用のための組成物。
【請求項15】
前記一般式(I)において:
Yはヒドロキシル基であり;
は:(C‐C)W(C‐C)基;(C‐C)W(C‐C)W(C‐C)基;(C‐C)W(C‐C)CO(C‐C)基;(C‐C)A基、ただしAは、OH、MeO、(C‐C)、N(C‐C)、CO(C‐C)タイプの基で任意に置換された複素環を表す、から選択され;
Wは、N、O、及びSから選択されるヘテロ原子であり、好ましくはOであり、より好ましくはSである、請求項14に記載の、その使用のための組成物。
【請求項16】
前記一般式(I)の前記少なくとも1つの化合物は:
‐No.1:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐10,13‐ジメチル‐17‐(2‐モルホリノアセチル)‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
‐No.2:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐17‐[2‐(3‐ヒドロキシピロリジン‐1‐イル)アセチル]‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
‐No.3:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐17‐[2‐(4‐ヒドロキシ‐1‐ピペリジル)アセチル]‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
‐No.4:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐17‐[2‐[4‐(2‐ヒドロキシエチル)‐1‐ピペリジル]アセチル]‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
‐No.5:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐17‐[2‐(3‐ジメチルアミノプロピル(メチル)アミノ)アセチル]‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
‐No.6:2‐[2‐オキソ‐2‐[(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐10,13‐ジメチル‐6‐オキソ‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐17‐イル]エチル]エチルスルファニルアセテート;
‐No.7:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐17‐(2‐エチルスルファニルアセチル)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
‐No.8:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐17‐[2‐(2‐ヒドロキシエチルスルファニル)アセチル]‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1Hシクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン
から選択される、請求項14又は15に記載の、その使用のための組成物。
【請求項17】
一般式(II):
【化2】
の少なくとも1つの化合物を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の、その使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸機能障害、特に神経筋疾患の一部としての呼吸機能障害の治療のための、植物エクジソン、及び植物エクジソンの半合成誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
神経筋疾患は、運動ニューロン、神経筋接合部、及び骨格筋で構成された運動単位の機能性の変化を特徴とする。これらの病理による患者の運動機能障害に加えて、極めて多くの急性又は進行性神経筋疾患は、呼吸筋の機能不全を引き起こし、これは呼吸不全、肺炎、及び患者の死亡につながる恐れがある。実際に、呼吸障害は神経疾患の患者の主な死因である(非特許文献1)。
【0003】
神経筋疾患の患者は呼吸機能障害を発症することがあり、これは、(主に咳の効果がないことによる)肺炎又は気管支炎といった感染症の頻繁な発生、息切れの感覚、吐痰の困難を伴ってはっきりと現れる場合がある。しかしながら場合によっては、症状はそれほど明らかでなく、患者は、深刻な体重減少を伴う食欲不振、頭痛、発汗、又は重度の倦怠感を有する。従って呼吸疾患を可能な限り早期に発見することが重要である。
【0004】
神経筋疾患の患者の呼吸の問題のケアは、近年大幅に改善されており、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィーの小児等の患者の、寿命の延長が可能となっている。呼吸パラメータは、臨床検査、呼吸機能の診査を可能とするスパイロメトリーによる撮像、又はガス交換の品質を評価するためのガス測定(動脈血中の酸素及び二酸化炭素ガスのレベルの測定)を用いて、定期的に監視される。これらの定期的な検査により、筋肉の弱まり及び肺機能不全の結果を検出でき、これによって、これらの患者の低下した呼吸機能を補償してこれらの患者のQOLを改善するように、これらの患者の医療を適合させることができる(非特許文献2~4)。上記ケアは、以下の複数のレベルで提供できる:上記ケアは、呼吸器系の可動性及び柔軟性の維持を目的とすることができ(能動的若しくは受動的可動化による、若しくは機械的過吸入による、呼吸理学療法);又は気管支が生成する分泌物を除去するための気道の清掃(咳の補助若しくは気管支ドレナージ)を目的とすることができ;又は最後に、自然呼吸が身体の必要量を満たさなくなったときに、非侵襲的人工呼吸によって、若しくは最も重症の場合には気管切開による人工呼吸によって、患者の呼吸を補うことを目的とすることができる。
【0005】
皮質、脳幹、脊髄、運動ニューロン、末梢神経、神経筋接合部、又は筋肉への損傷は全て、呼吸器系の障害につながり得る。
【0006】
(先天性、遺伝性、若しくは後天性)ミオパチー、重症筋無力症、又は筋強直を含む、呼吸筋の機能不全につながる慢性筋肉疾患の多数の原因が存在する。
【0007】
例えば、多数の肺合併症につながる呼吸不全であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)は、DMD患者で観察される死亡の大半の原因である(非特許文献5~9)。DMDは、筋ジストロフィーの最も一般的な形態である。これは3500人に1人の男児に影響を及ぼし、X染色体上のジストロフィン遺伝子に影響する突然変異に起因する。比較的重篤でない形態であるベッカー型筋ジストロフィー(Becker muscular dystrophy:BMD)もまたジストロフィン遺伝子に関与し、18000人に1人の男児に影響を及ぼす。DMDの男児は一般に、歩行が依然として可能であるときには呼吸又は咳に困難を感じない。歳を取り、疾患が呼吸筋に影響を及ぼすに従って、罹患している男児は、多くの場合咳の効果がなくなることにより、呼吸器感染症のリスクを有することになる。平滑筋細胞、ひいては気道の平滑筋は、多数の呼吸疾患に関与している。
【0008】
ミオパチーのプロセスに加えて、肺系(気道又は肺)自体の異常は、DMD患者の呼吸不全に強く関与している(非特許文献10)。実際に、肺コンプライアンス(肺の、圧力変化に応じてその容積を変更する能力)は、主に以下の2つの理由で低下する:低呼吸によって引き起こされる肺胞の収縮及び崩壊(無気肺);並びに気道の抵抗の増大を結果としてもたらす、気道の線維症の発症及び閉塞(非特許文献11)。
【0009】
筋ジストロフィーの患者の肺の弾性特性は損なわれ、肺の伸展性が低下する。筋ジストロフィーにおける肺の伸展性の低下の原因は、依然として完全には理解されていない。それにもかかわらず、肺の弾性の低下を説明することを試みて、以下のような様々な仮説が提示されている:先天性疾患の文脈における、肺組織の不完全な成熟;低呼吸によって誘発される無気肺;肺胞の表面の張力の上昇;又は線維症による肺実質の損傷。更に、このような伸展性及び肺コンプライアンスの低下を説明するための重要な因子の1つは、筋ジストロフィーの特徴である低肺気量呼吸である(非特許文献11)。
【0010】
関与する別の機序は、呼吸筋の慢性的かつ進行性の劣化であり、これは事実上、肺の活動の範囲を制限する。実際に、系の弾性特性の一部は、系が受ける応力によって決定される。総肺気量は、呼吸中の瞬間的な弾性収縮圧力と、吸気筋の収縮によって生成される圧力との間のバランスの結果である。後者が低下すると、その結果として総肺気量も低下し、これによって呼気パラメータが変化して、肺コンプライアンスの低下が起こる。
【0011】
結論として、呼吸器系が適切な酸素吸入及び二酸化炭素排出を提供できないことを特徴とする呼吸障害が、DMDの患者に共通している。
【0012】
従って、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの最も広く使用されているマウスモデルであるmdxマウスにおける、呼吸器系の障害の評価は、神経筋疾患の文脈において治療ソリューションを確立及び評価するにあたって、考慮すべき重要なパラメータである。
【0013】
前臨床試験中にmdxマウスの呼吸器系を評価することには、以下のような大きな利点がある:一方では、この評価は、臨床的に重大な欠陥に関与し;また他方では、スパイロメトリー又はプレチスモグラフ測定は非侵襲的であり、試験中に縦断的に繰り返すことができ、また任意に、筋ジストロフィーの様々な治療の有効性の評価基準として実施できる。
【0014】
様々なグループが、健康な対照マウスと比較したmdxマウスの呼吸機能に関心を持ち、mdxマウスの呼吸機能障害を報告してきた(非特許文献12~15)。そして、障害の重篤度及びこれらの障害の発生年齢に多少の変化はあるが、これら全てが、正常酸素状態下での(非特許文献16)、又は高炭酸ガス血症に応じた(非特許文献13)、呼吸パラメータの変化を報告している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Miller et al., 2009
【非特許文献2】Birnkrant et al., 2007
【非特許文献3】Finder et al., 2004
【非特許文献4】McKim et al., 2011
【非特許文献5】Mayer et al., 2015
【非特許文献6】Vianello et al., 1994
【非特許文献7】Baydur et al., 1990
【非特許文献8】Smith et al., 1987
【非特許文献9】Inkley et al., 1974
【非特許文献10】Benditt and Boitano, 2013
【非特許文献11】Lo Mauro and Aliverti, 2016
【非特許文献12】Gosselin et al. [2003]
【非特許文献13】Polizzi et al. [2003]
【非特許文献14】Polizzi et al. 2013
【非特許文献15】Gayraud et al., [2007]
【非特許文献16】Huang et al., 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明者らは、植物エクジソン、及び植物エクジソンの半合成誘導体が、呼吸パラメータの経時的変化を制限することによって、及び呼吸器系の機械的パラメータを改善することによって、神経筋疾患を有する哺乳類の呼吸機能を有意に改善することを発見した。呼吸パラメータ、及び呼吸器系の機械的パラメータは、それぞれ、覚醒状態の動物の全身プレチスモグラフィによって、及び麻酔された動物の、中央制御ユニット(一般に「コンピュータ」と呼ばれる)によって制御されたピストン人工呼吸器によって、決定され、上記人工呼吸器は、FlexiVent(商標)として知られるデバイス等の強制振動技法を使用する。これらの効果は、遺伝性又は後天性の神経筋疾患を有する哺乳類の呼吸機能の改善を示す。
【0017】
植物エクジソンは、昆虫の脱皮ホルモンに構造的に関連する植物ポリヒドロキシル化ステロールの重要なファミリーである。これらの分子は、多数の植物種によって産生され、害虫に対するこれらの防御に関与する。大半の植物エクジソンは20‐ヒドロキシエクジソンである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的のために、本発明は、呼吸機能障害の治療に使用するための、少なくとも1つの植物エクジソン、及び/又は植物エクジソンの少なくとも1つの半合成誘導体に関する。
【0019】
本発明は好ましくは、呼吸機能障害の治療に使用するための、少なくとも1つの植物エクジソン及び/又は植物エクジソンの少なくとも1つの半合成誘導体を含む組成物に関する。
【0020】
特定の実施形態では、本発明はまた、別個に実装される、又は技術的に可能な各組み合わせで実装される、以下の特性を満たしている。
【0021】
上記植物エクジソン及びその誘導体は有利には、医薬品グレードまで精製される。
【0022】
本発明に従って使用可能な植物エクジソンは、例えば20‐ヒドロキシエクジソンであり、植物エクジソンの使用可能な半合成誘導体は、例えば20‐ヒドロキシエクジソンの半合成誘導体である。
【0023】
この目的のために、ある実施形態によると、上記組成物は、20‐ヒドロキシエクジソン及び/又は20‐ヒドロキシエクジソンの少なくとも1つの半合成誘導体を含む。
【0024】
20‐ヒドロキシエクジソン及びその誘導体は、有利には、医薬品グレードまで精製される。
【0025】
使用される20‐ヒドロキシエクジソンは、より好ましくは、20‐ヒドロキシエクジソンに富む植物抽出物、又は20‐ヒドロキシエクジソンを活性成分として含む組成物の形態である。20‐ヒドロキシエクジソンに富む植物抽出物は例えば、Stemmacantha carthamoides(Leuzea carthamoidesとも呼ばれる)、Cyanotis arachnoidea及びCyanotis vagaの抽出物である。
【0026】
得られた上記抽出物は、好ましくは医薬品グレードまで精製される。
【0027】
ある実施形態では、20‐ヒドロキシエクジソンは、植物抽出物又は植物の一部分の形態であり、上記植物は、上記植物の乾燥重量の少なくとも0.5%の20‐ヒドロキシエクジソンを含有する植物から選択され、上記抽出物は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の20‐ヒドロキシエクジソンを含む。上記抽出物は、好ましくは医薬品グレードまで精製される。
【0028】
上記抽出物はこれ以降、BIO101と呼ばれる。これは、上記抽出物の医薬品としての応用の安全性、利用可能性、又は有効性に影響を及ぼし得る微量化合物等の不純物を、上記抽出物の乾燥重量の0~0.05%含むことを特徴とする。
【0029】
本発明のある実施形態によると、不純物は、ルブロステロン、ジヒドロルブロステロン、又はポストステロン等の、19又は21個の炭素原子を含む化合物である。
【0030】
BIO101の生産の元となる上記植物は、好ましくはStemmacantha carthamoides(Leuzea carthamoidesとも呼ばれる)、Cyanotis arachnoidea及びCyanotis vagaから選択される。
【0031】
植物エクジソン誘導体、特に20‐ヒドロキシエクジソン誘導体は、半合成によって得られ、特に欧州特許出願第15732785.9号明細書に記載されている様式で得ることができる。
【0032】
ある好ましい実施形態によると、本発明は、呼吸機能障害、より詳細には、後天性遺伝性神経筋疾患、例えば運動ニューロンの、及び/又は神経筋接合部の、及び/又は横紋筋の神経筋疾患に起因する呼吸機能障害の治療において哺乳類に使用するための、組成物に関する。
【0033】
ある特定の実施形態によると、本発明は、横紋筋及び/又は平滑筋の障害に関連する呼吸機能障害の治療において哺乳類に使用するための、組成物に関する。
【0034】
ある特定の実施形態では、本発明は、少なくとも部分的に平滑筋の障害によって引き起こされる呼吸機能障害の治療において哺乳類に使用するための、組成物に関する。
【0035】
ある特定の実施形態によると、本発明は、気管支過反応に関連する呼吸機能障害の治療において哺乳類に使用するための、組成物に関する。
【0036】
ある実施形態では、本発明は、上記気管支過反応が気管支平滑筋の機能に関連する呼吸機能障害の治療において哺乳類に使用するための上記組成物に関する。
【0037】
ある実施形態では、本発明は、Penh値、ピーク吸気流、ピーク呼気流、弛緩時間、及び呼吸数から選択される呼吸パラメータのうちの少なくとも1つの状態に関連する呼吸機能障害の治療において哺乳類に使用するための上記組成物に関する。上記組成物は有利には、これらの呼吸パラメータの状態を低減する。
【0038】
ある実施形態では、本発明は、肺組織の機械的パラメータのうちの少なくとも1つの状態に関連する呼吸機能障害の治療において哺乳類に使用するための上記組成物に関する。上記肺組織の上記機械的パラメータは、肺エラスタンス、コンプライアンス、及び抵抗である。
【0039】
ある特定の実施形態では、本発明は、肺コンプライアンスの低下及び/又肺抵抗の上昇及び/又は肺エラスタンスの低下に関連する呼吸機能障害の治療において哺乳類に使用するための上記組成物に関する。
【0040】
ある特定の実施形態では、本発明は、呼吸機能障害が肺胞の収縮及び崩壊並びに/又は線維症の発症に関連する、疾患の治療において哺乳類に使用するための上記組成物に関する。
【0041】
ある特定の実施形態では、植物エクジソンは、ヒトでは、3~15mg/kg/日の用量で投与される。「植物エクジソン」はここでは、一般的な植物エクジソン及びその誘導体、(特に抽出物の形態の)20‐ヒドロキシエクジソン及びその誘導体を意味することが理解される。
【0042】
好ましくは、植物エクジソンは、成年のヒトでは、200~1,000mg/日の用量を1回以上に分けて投与され、ヒトの小児又は幼児では、5~350mg/日の用量を1回以上に分けて投与される。「植物エクジソン」はここでは、一般的な植物エクジソン及びその誘導体、(特に抽出物の形態の)20‐ヒドロキシエクジソン及びその誘導体を意味するものとして理解される。
【0043】
いくつかの実施形態では、上記組成物は、植物エクジソンの誘導体と考えられる少なくとも1つの化合物を含み、上記少なくとも1つの化合物は、一般式(I):
【0044】
【化1】
【0045】
のものであり、ここで、V‐Uは炭素‐炭素単結合であり、Yはヒドロキシル基又は水素であり、又はV‐Uはエチレン性C=C結合であり;
Xは酸素であり;
Qはカルボニル基であり;
は:(C‐C)W(C‐C)基;(C‐C)W(C‐C)W(C‐C)基;(C‐C)W(C‐C)CO(C‐C)基;(C‐C)A基(ここでAは、OH、MeO、(C‐C)、N(C‐C)、CO(C‐C)タイプの基で任意に置換された複素環を表す);CHBr基から選択され;
Wは、N、O、及びSから選択されるヘテロ原子であり、好ましくはOであり、より好ましくはSである。
【0046】
本発明の文脈において、「(C‐C)」は、炭素原子が1~6個の、直鎖又は分岐の、いずれのアルキル基、特にメチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、t‐ブチル、n‐ペンチル、n‐ヘキシル基を意味する。有利には、これはメチル、エチル、イソプロピル、又はt‐ブチル基、特にメチル又はエチル基、より詳細にはメチル基を伴う。
【0047】
ある好ましい実施形態では、上記式(I)において:
Yはヒドロキシル基であり;
は:(C‐C)W(C‐C)基;(C‐C)W(C‐C)W(C‐C)基;(C‐C)W(C‐C)CO(C‐C)基;(C‐C)A基、(ここでAは、OH、MeO、(C‐C)、N(C‐C)、CO(C‐C)タイプの基で任意に置換された複素環を表す)から選択され;
Wは、N、O、及びSから選択されるヘテロ原子であり、好ましくはOであり、より好ましくはSである。
【0048】
いくつかの実施形態では、上記組成物は、以下の化合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む:
No.1:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐10,13‐ジメチル‐17‐(2‐モルホリノアセチル)‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
No.2:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐17‐[2‐(3‐ヒドロキシピロリジン‐1‐イル)アセチル]‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
No.3:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐17‐[2‐(4‐ヒドロキシ‐1‐ピペリジル)アセチル]‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
No.4:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐17‐[2‐[4‐(2‐ヒドロキシエチル)‐1‐ピペリジル]アセチル]‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
No.5:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐17‐[2‐(3‐ジメチルアミノプロピル(メチル)アミノ)アセチル]‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
No.6:2‐[2‐オキソ‐2‐[(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐10,13‐ジメチル‐6‐オキソ‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐17‐イル]エチル]エチルスルファニルアセテート;
No.7:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐17‐(2‐エチルスルファニルアセチル)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン;
No.8:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)‐2,3,14‐トリヒドロキシ‐17‐[2‐(2‐ヒドロキシエチルスルファニル)アセチル]‐10,13‐ジメチル‐2,3,4,5,9,11,12,15,16,17‐デカヒドロ‐1Hシクロペンタ[a]フェナントレン‐6‐オン。
【0049】
いくつかの実施形態では、上記組成物は、植物エクジソンの誘導体と考えられる少なくとも1つの化合物を含み、上記少なくとも1つの化合物は、一般式(II):
【0050】
【化2】
【0051】
式(II)の化合物は、これ以降ではBIO103と呼ばれる。
【0052】
いくつかの実施形態では、上記組成物は、経口投与可能な、薬学的に許容可能な処方に組み込まれる。
【0053】
本発明の文脈において、「薬学的に許容可能な(pharmaceutically acceptable)」は、一般に安全であり、非毒性であり、獣医用及びヒト用医薬用途に許容される医薬組成物の調製に有用であることを意味している。
【0054】
図面を参照して非限定的な例として与えられる以下の説明を読むと、本発明はよりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1A図1Aは、プレチスモグラフィによって測定された、治療を受ける前(D0:0日目)の健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)及びmdxマウス(n=23、白い正方形)に関する、研究開始前の、メタコリンの用量の増大に応じたPenh値の曲線を示し、ここで**はp<0.001、***はp<0.0001である。これ以降、nは試料のサイズに対応し、pは、結果の統計的有意性を定量化するために使用される「p値」に対応し、*はp<0.05、**はp<0.001、***はp<0.0001、nsは有意差なし(not significant)である。
図1B図1Bは、プレチスモグラフィによって測定された、治療を受ける前(D0:0日目)の健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)及びmdxマウス(n=23、白い正方形)に関する、研究開始前の、メタコリンの用量の増大に応じたピーク吸気流の曲線を示し、ここで*はp<0.05、**はp<0.001である。
図1C図1Cは、プレチスモグラフィによって測定された、治療を受ける前(D0:0日目)の健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)及びmdxマウス(n=23、白い正方形)に関する、研究開始前の、メタコリンの用量の増大に応じたピーク呼気流の曲線を示し、ここで**はp<0.001である。
図1D図1Dは、プレチスモグラフィによって測定された、治療を受ける前(D0:0日目)の健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)及びmdxマウス(n=23、白い正方形)に関する、研究開始前の、メタコリンの用量の増大に応じた弛緩時間の曲線を示し、ここで**はp<0.001、***はp<0.0001である。
図1E図1Bは、プレチスモグラフィによって測定された、治療を受ける前(D0:0日目)の健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)及びmdxマウス(n=23、白い正方形)に関する、研究開始前の、メタコリンの用量の増大に応じた呼吸数の曲線を示し、ここで*はp<0.05、***はp<0.0001である。
図2A図2Aは、以下の3つの異なるグループの動物をランダム化した後に、プレチスモグラフィによって測定された、研究開始(D0)前の、メタコリンの用量の増大に応じたPenh値の曲線を示し、ここで**はp<0.001、***はp<0.0001である:健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸);治療を受けないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ);及びBIO101で治療されることになるmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)。
図2B図2Bは、以下の3つの異なるグループの動物をランダム化した後に、プレチスモグラフィによって測定された、研究開始(D0)前の、メタコリンの用量の増大に応じたピーク吸気流の曲線を示す:健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸);治療を受けないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ);及びBIO101で治療されることになるmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)。
図2C図2Cは、以下の3つの異なるグループの動物をランダム化した後に、プレチスモグラフィによって測定された、研究開始(D0)前の、メタコリンの用量の増大に応じたピーク呼気流の曲線を示す:健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸);治療を受けないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ);及びBIO101で治療されることになるmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)。
図2D図2Dは、以下の3つの異なるグループの動物をランダム化した後に、プレチスモグラフィによって測定された、研究開始(D0)前の、メタコリンの用量の増大に応じた弛緩時間の曲線を示す:健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸);治療を受けないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ);及びBIO101で治療されることになるmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)。
図2E図2Eは、以下の3つの異なるグループの動物をランダム化した後に、プレチスモグラフィによって測定された、研究開始(D0)前の、メタコリンの用量の増大に応じた呼吸数の曲線を示す:健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸);治療を受けないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ);及びBIO101で治療されることになるmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)。
図3A図3Aは、プレチスモグラフィによって測定された、健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)、治療されていないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)に関する、治療の開始の30日後の、メタコリンの用量の増大に応じたPenh値の曲線を示し、ここで**はp<0.001である。
図3B図3Bは、プレチスモグラフィによって測定された、健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)、治療されていないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)に関する、治療の開始の30日後の、メタコリンの用量の増大に応じたピーク吸気流の曲線を示し、ここで*はp<0.05、**はp<0.001である。
図3C図3Cは、プレチスモグラフィによって測定された、健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)、治療されていないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)に関する、治療の開始の30日後の、メタコリンの用量の増大に応じたピーク呼気流の曲線を示し、ここで**はp<0.05である。
図3D図3Dは、プレチスモグラフィによって測定された、健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)、治療されていないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)に関する、治療の開始の30日後の、メタコリンの用量の増大に応じた弛緩時間の曲線を示し、ここで*はp<0.05である。
図3E図3Eは、プレチスモグラフィによって測定された、健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)、治療されていないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)に関する、治療の開始の30日後の、メタコリンの用量の増大に応じた呼吸数の曲線を示す。
図4A図4Aは、プレチスモグラフィによって測定された、健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)、治療されていないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)に関する、治療の開始の60日後の、メタコリンの用量の増大に応じたPenh値の曲線を示し、ここで***はp<0.0001である。
図4B図4Bは、プレチスモグラフィによって測定された、健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)、治療されていないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)に関する、治療の開始の60日後の、メタコリンの用量の増大に応じたピーク吸気流の曲線を示し、ここで*はp<0.05である。
図4C図4Cは、プレチスモグラフィによって測定された、健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)、治療されていないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)に関する、治療の開始の30日後の、メタコリンの用量の増大に応じたピーク呼気流の曲線を示す。
図4D図4Dは、プレチスモグラフィによって測定された、健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)、治療されていないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)に関する、治療の開始の60日後の、メタコリンの用量の増大に応じた弛緩時間の曲線を示す。
図4E図4Eは、プレチスモグラフィによって測定された、健康な対照マウスC57Black10(n=12、白い丸)、治療されていないmdxマウス(n=11、白い正方形、「mdx」グループ)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12、黒い正方形、「mdx BIO101」グループ)に関する、治療の開始の60日後の、メタコリンの用量の増大に応じた呼吸数の曲線を示す。
図5A図5Aは、プレチスモグラフィによって測定された、メタコリンの用量を増大させた場合の、研究の開始時(n=12、黒い丸、D0)及び研究の終了時(n=12、白い丸、D60)の健康なマウスC57Black10に関するPenh値の変化の曲線を示す。
図5B図5Bは、プレチスモグラフィによって測定された、メタコリンの用量を増大させた場合の、研究の開始時(n=23、黒い丸、D0)及び研究の終了時(n=12、白い丸、D60)の治療されていないmdxマウスに関するPenh値の変化の曲線を示し、ここで***はp<0.0001である。
図6A図6Aは、プレチスモグラフィによって測定された、メタコリン用量が40mg/mlの場合の、研究の開始時(D0)の健康なマウスC57Black10(n=12)及び治療されていないmdxマウス(n=23)に関するPenh値を示し、ここで***はp<0.0001である。
図6B図6Bは、プレチスモグラフィによって測定された、メタコリン用量が40mg/mlの場合の、研究の開始の60日後(D60)の健康なマウスC57Black10(n=12)、治療されていないmdxマウス(n=12)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=12)に関するPenh値を示し、ここで***はp<0.0001である。
図7A図7Aは、ピストン人工呼吸器(FlexiVent(商標))によって測定された、メタコリンの用量を増大させた場合の、健康なマウスC57Black10(n=10)、治療されていないmdxマウス(n=10)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=10)における肺抵抗の変化を示し、ここで**はp<0.001であり、***はp<0.0001である。
図7B図7Bは、ピストン人工呼吸器によって測定された、メタコリンの用量を増大させた場合の、健康なマウスC57Black10(n=10)、治療されていないmdxマウス(n=10)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=10)における肺コンプライアンスの変化を示し、ここで***はp<0.0001である。
図7C図7Cは、ピストン人工呼吸器によって測定された、メタコリンの用量を増大させた場合の、健康なマウスC57Black10(n=10)、治療されていないmdxマウス(n=10)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=10)における肺エラスタンスの変化を示し、ここで***はp<0.0001である。
図8A図8Aは、ピストン人工呼吸器によって測定された、メタコリン用量が20mg/mlの場合の、研究の開始の60日後の健康なマウスC57Black10(n=10)、治療されていないmdxマウス(n=10)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=10)に関する肺抵抗の値を示し、ここで***はp<0.0001である。
図8B図8Bは、ピストン人工呼吸器によって測定された、メタコリン用量が20mg/mlの場合の、研究の開始の60日後の健康なマウスC57Black10(n=10)、治療されていないmdxマウス(n=10)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=10)に関する肺コンプライアンスの値を示し、ここで***はp<0.0001である。
図8C図8Cは、ピストン人工呼吸器によって測定された、メタコリン用量が20mg/mlの場合の、研究の開始の60日後の健康なマウスC57Black10(n=10)、治療されていないmdxマウス(n=10)、及びBIO101で治療されたmdxマウス(n=10)に関する肺エラスタンスの値を示し、ここで**はp<0.05、**はp<0.001である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
これより、本発明を、その好ましい非限定的な応用分野の一部の特定の文脈で説明する。
【0057】
1.BIO101の精製方法
BIO101は、純度90%の20‐ヒドロキシエクジソンから、以下のステップに従って調製される:
i)純度90%の20‐ヒドロキシエクジソンをメタノールに熱溶解し、ろ過及び部分濃縮するステップ;
ii)3倍量のアセトンを添加するステップ;
iii)0~5℃の温度まで撹拌しながら冷却するステップ;
iv)得られた沈殿物を濾過するステップ;
v)アセトン及び水で連続的にすすぐステップ;並びに
vi)乾燥させるステップ。
【0058】
この精製は、この分子に好適な、工業規模で実施できる再結晶化のプロセスを伴う。
【0059】
ステップi)のろ過は、0.2μm粒子フィルタを用いて実施される。
【0060】
ステップi)の部分濃縮は有利には、MeOHの存在下における約50℃の温度での真空蒸留によって実施される。
【0061】
乾燥させるステップvi)は、約50℃の温度において真空下で実施される。
【0062】
2.BIO101の生物活性
12週齢のオスのマウスC57BL/10ScSnJ(図面で「C57Black10」として示されている健康なマウス)及びC57BL/10ScSn‐Dmdmdx/J(図面で「mdx」と示されている、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのマウスモデル)を使用した。上記マウスを、それぞれ12匹の、以下の3つのグループに分けた:健康な対照マウスC57Black10の、治療されていないグループ;治療されていないmdxマウスのグループ(mdx);飲用水を用いて50mg/kg/日の用量で定期的に経口治療されているマウスのグループ。
【0063】
全てのマウスの呼吸機能を、研究の開始前(D0)、治療の開始の30日後(D30)及び60日後(D60)に、全身プレチスモグラフィで評価した。2か月の治療の後、動物を死亡させる直前に、中央制御ユニット(一般に「コンピュータ」と呼ばれる)で制御されたピストン人工呼吸器によって、呼吸機能を非侵襲的に評価した。上記人工呼吸器は、呼吸器系の機械的パラメータをより直接的に決定するためにFlexiVent(商標)として知られるデバイス等の強制振動技法を使用する。
【0064】
a.呼吸機能に対するBIO101の影響の、プレスチモグラフィによる分析
治療の経過全体にわたって呼吸機能の変化を正確に監視するために、全身プレチスモグラフィ分析(Emka Technologies(フランス、パリ))を、健康な対照マウスC57Black10、治療されていないmdxマウス、及びBIO101で治療されたmdxマウスに対して実施した。
【0065】
この技法の利点は、気密性のエンクロージャ内を自由に移動する覚醒状態の動物に対して監視を実施できる点、及びこれが非侵襲的に実施される点である。その結果、動物の取り扱いによるストレスが軽減され、測定を長期間にわたって繰り返すことができるようになる。従って、小動物の気管支反応性の測定には、気圧プレチスモグラフィが頻繁に使用される(Chong et al., 1998;Djuric et al., 1998;Hoffman et al., 1999)。
【0066】
基準チャンバに関して測定された圧力変動により、吸気及び呼気の圧力のピーク及び時間、並びに気管支収縮の評価を可能にするPenh(enhanced Pause)と呼ばれる無次元量といった、様々な呼吸パラメータを定義できる。より具体的には、チャンバ内の圧力信号(Pb)から計算されるPenhは、取得するべき重要な指標である。というのは、Penhの変動は、呼吸抵抗の変動と並行して変化するため、呼吸器系の抵抗特性の変化に関する予測パラメータを表すためである(Hamelmann et al., 1997;Bergren, 2001;Onclinx et al. ,2003)。以下の値を、フィルタリングされたPbから計算した:呼気中のPbの最大変化(PEP:ピーク呼気圧力);吸気中のPbの最大変化(PIP:ピーク吸気圧力);及び時間間隔(TR)。そしてPenh値を以下のようにして計算した:
(PIP/PEP)×Pause
ここで
Pause=(TE-TR)/TE
であり、TEは呼気時間である(Adler et al., 2004)。
【0067】
更に、ピーク吸気流(PIF)及びピーク呼気流(PEF)、弛緩時間(RT)、並びに呼吸数(BF)も測定して図示した。
【0068】
Penh値は、治療の開始前(D0)、治療の開始の30日後(D30)、及び治療の開始の60日後(D60)に測定した。
【0069】
まず、治療を受ける前に、mdxマウス(n=24)の全コホートを健康なマウスC57Black10(n=12)と比較した。覚醒状態のマウスを、PBS中の0~40mg/mLのメタコリンを含有する、ネブライザーによって生成されたメタコリンエアロゾルの用量の増大に曝露した。予想通り、また既に実証されている通り、mdxマウスは呼吸機能障害を示し(Huang et al., 2011;Gosselin et al., 2003;Gayraud et al., 2007;Ishizaki et al., 2008)、特に気管支収縮剤の投薬前又は少量の投薬時に、健康なマウスに比べて有意に低いピーク吸気流及びピーク呼気流(p<0.05及びp<0.001)(図1B、1C)と関連する、メタコリンに応じたPenhの有意な上昇(p<0.001及びp<0.0001)(図1A)を伴う。弛緩時間(RT)もまた、対照マウスと比較してmdxマウスでは極めて有意に長くなる(p<0.001及びp<0.0001)(図1D)。吸気時間(TI)及び呼気時間(TE)の値は、各測定時点においてこれらのグループの間で同等のままである(データは図示されていない)。mdxマウスの呼吸数もまた、健康なマウスと比較して減少する(p<0.05及びp<0.0001)(図1E)。
【0070】
次にmdxマウスを、以下の2つのグループに分けた:いかなる治療も受けないmdxマウス(白い正方形);及び分子BIO101を投与されることになるmdxマウス(黒い正方形)。図2A、2B、2C、2D、及び2Eに示されているように、これら2つのグループは、その呼吸機能に関して同一の能力を示し、測定した様々な呼吸パラメータの間に有意差がなく、これは、治療前において、全ての治療されていないmdxマウスが同一の呼吸プロファイルを有することを示している。
【0071】
治療の開始の30日後、BIO101で治療されたmdxマウスは、D0におけるmdxマウスと比較して、Penhの有意な低下(p<0.001)を示し、メタコリンに応じたPenhの曲線は、健康なマウスC57Black10の曲線と同等である(図3A)。Penhの減少は、特に定常状態又はメタコリン用量が低い場合の、ピーク吸気流の増大に関連する(p<0.05)(図3C)。更に、治療されていないmdxマウスと比較して、BIO101で治療されたmdxマウスにおいて弛緩時間の明らかな改善が観察される(p<0.05)(図3D)。対照的に、ピーク吸気流及び呼吸数は、D0において測定されたものと比較して変化しないままである(図3B、3E)。
【0072】
治療の開始の60日後、BIO101は、mdxマウスの呼吸機能に対するその有益な効果を維持している。具体的には、結果として、治療の開始の30日後に観察された効果が追認される。BIO101で治療されたmdxマウスは、治療されていないmdxマウスと比較してPenhの有意な低下(p<0.0001)を示し、Penhの変動のプロファイルは、メタコリンの用量にかかわらず、対照のプロファイルと同様である(図4A)。弛緩時間の改善の傾向と合わせて、ピーク吸気流の有意な改善(p<0.05)が観察される(図4B、4D)。対照的に、ピーク呼気流及び呼吸数は変化しないままである(図4B、4E)。
【0073】
mdxマウスの呼吸機能障害を縦断評価するために、健康な対照マウスのD0とD60との間、及び治療されていないmdxマウスのD0とD60との間での、Penhの変動を比較した。予想通り、対照マウスではD0とD60との間でPenhは変化しなかった(p=ns)(図5A)。対照的に、メタコリンに応じたPenhの増大によって示されるように、呼吸機能は、mdxマウスではD0に比べてD60において有意に劣化する(p<0.0001)(図5B)。
【0074】
40mg/mLのメタコリン用量において、健康な対照マウス(n=12)のPenhの平均値は、治療前のmdxマウス(n=23)で見られる値よりも有意に低い(それぞれPenh=0.72及び1.42;p<0.0001)(図6A)。D60において、このPenh値は、健康な対照マウス(n=12)と比較して、治療されていないmdxマウス(n=12)において高く、その値はそれぞれ1.04及び4である(p<0.0001)(図6B)。興味深いことに、BIO101での治療は、治療されていないmdxマウスと比較して、この値を有意に低下させ、Penh値は1.87となる(p<0.0001)(図6B)。この治療は、mdxマウスのPenh値を、健康なマウスの値と有意差がないレベルまで低下させる(C57Black10マウスのPenhが1.04であるのに対して、mdxマウスでは1.87である;p<0.05).
【0075】
b.肺抵抗、コンプライアンス、及びエラスタンスに対するBIO101の効果の、ピストン人工呼吸器による分析
呼吸器系の機械的パラメータ、及びこれらのパラメータに対するBIO101での2ヶ月にわたる定期的治療(D60)の影響を、より直接的に決定するために、上述のピストン人工呼吸器システムを用いて、メタコリンの用量の増大に応じた動的肺抵抗を測定した。
【0076】
マウスを麻酔し、気管内カニューレを介してピストン人工呼吸器システムに接続した。機械的人工呼吸の開始後、各マウスに、0.1mLの10mg/mL臭化ロクロニウム溶液を腹腔内注射した。動物に対して、150呼吸/分の呼吸数で、3cmHOの呼気終末陽圧に対して10mL/kgの1回換気量で人工呼吸を行なった。持続時間1.2秒の強制振動操作(2.5Hz)、及び1~20.5Hzの13の基本周波数を含む3秒の広帯域強制振動操作を用いて、呼吸メカニズムを評価した。呼吸器系の抵抗(R)を、マイクロコンピュータタイプの中央処理ユニットを用いて計算した。上記中央処理装置は、ピストン人工呼吸器システムに接続され、特に上記計算を実施するためのソフトウェアを含む。上記2つの操作を、メタコリンエアロゾルの各噴霧後に、15秒毎に交互に実施し、メタコリンによって誘発される気管支収縮の応答時間の変化を測定した。このようにして、肺抵抗、コンプライアンス、及びエラスタンスを決定できた。
【0077】
プレチスモグラフィで得られた結果と一致するように、治療されていないmdxマウスは、健康なマウスC57Black10よりも高い気道抵抗を有する(p<0.001)ことが観察された(図7A)。治療の開始の60日後、メタコリンの用量の0から20mg/mLへの増大に応じて、BIO101で治療されたmdxマウスは、治療されていないmdxマウスに比べて有意に低い気道抵抗を示し(p<0.0001)、これは健康な対照マウスで観察される肺抵抗のレベルと同等である(図8A)。同様に、2ヶ月にわたるBIO101での定期的な治療により、mdxマウスで変化した2つのパラメータである肺コンプライアンス(p<0.0001)及びエラスタンス(p<0.0001)が有意に改善された(図7B、7C)。具体的には、試験した最大のメタコリン用量(20mg/mL)において、mdxマウスは、対照マウスC57Black10と比較して有意に低い肺コンプライアンスを示した(それぞれ0.017mL/cmHO及び0.031mL/cmHO;p<0.0001)。この肺コンプライアンスの欠陥は、mdxマウスにおいて、BIO101による治療によって有意に修正される(0.029mL/cmHO;p<0.0001)(図8B)。同様に、肺エラスタンスは、対照マウスC57Black10と比較してmdxマウスにおいて大幅に低く(62.8cmHO/mL及び34.8cmHO/mL;p<0.05)、BIO101による治療により、健康な対照マウスと同等に、及び治療されていないmdxマウスよりも有意に高く維持される(34.8cmHO/mL及び69.1cmHO/mL;p<0.001)(図8C)。
【0078】
3.結論
これらの結果は、(飲用水中の50mg/kg/日の)BIO101による治療が、mdxマウス(デュシェンヌ型筋ジストロフィーの動物モデル)の呼吸機能を改善し、また長期にわたってこれを実現することを示す。呼吸機能に対するこの効果は、プレチスモグラフィの結果、特にPenhの測定によって実証されるような呼吸パラメータ(吸気及び呼気の持続時間及び頻度)に関連しているだけでなく、ピストン人工呼吸器システムを用いた実験で実証されるような気道の構造の改善も実証している。実際に、このシステムのデータは、mdxマウスの肺の抵抗、コンプライアンス、及びエラスタンスという機械的呼吸パラメータに対する、BIO101による治療の有益な効果を、有意に実証している。これらの観察結果は、神経筋疾患のマウスモデルにおいて、植物エクジソン、特にBIO101での治療によって、肺機能が経時的劣化から保護された結果である。
【0079】
より一般的には、以上で検討されている、本発明の実装及び実施のための態様は、非限定的な例として記載されたものであること、従って他の変形例も考えられることに留意されたい。
【0080】
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図1A
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図8A
図8B
図8C
【国際調査報告】