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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-13
(54)【発明の名称】治療用レーザーシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/20 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
A61B18/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555885
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 US2020022255
(87)【国際公開番号】W WO2020190610
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/818,987
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521422721
【氏名又は名称】ブロッサム イノベーションズ、 エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BLOSSOM INNOVATIONS, LLC
【住所又は居所原語表記】275 2nd Avenue, 3rd Floor, Waltham, Massachusetts 02451 U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、 リチャード、 ロックス
(72)【発明者】
【氏名】バーウォルカー、 ジャヤント
(72)【発明者】
【氏名】マンスタイン、 ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ティン、 ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ズオ、 ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ガリビアン、 リリト
(72)【発明者】
【氏名】リー、 カチュー
(72)【発明者】
【氏名】オンウディウェ、 オジ
(72)【発明者】
【氏名】ファリネッリ、 ウィリアム、 エー.
【テーマコード(参考)】
4C026
【Fターム(参考)】
4C026AA01
4C026BB01
4C026BB08
4C026FF58
4C026HH05
(57)【要約】
治療システムには、標的組織の感染領域を、光軸に沿って移動し、標的組織内又は標的組織に隣接して位置する焦点体積で合焦するレーザービームで露光するように構成されたチャネル生成システムを含むことができる。レーザービームは、約100nm~約400nmの範囲の波長を有することができる。レーザービームは、感染領域内に少なくとも第1のチャネルを生成するように構成することができる。本治療システムはまた、(i)標的組織、(ii)標的組織内の感染領域に結合した真菌、及び(iii)レーザービームとの相互作用の結果として標的組織の近位に位置する隣接組織のうちの1つ以上によって生成される第1の放射線を検出するように構成された検出システムを含むことができる。本治療システムはまた、少なくとも第1のチャネル内に活性治療薬を堆積させるように構成された送達システムを含むことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療システムであって、
標的組織の感染領域を、光軸に沿って進み、かつ、前記標的組織内に又は前記標的組織に隣接して位置する焦点体積で合焦するレーザービームで露光するように構成されたチャネル生成システムであって、前記レーザービームは、約100nm~約400nmの範囲の波長を有し、前記感染領域内に少なくとも第1のチャネルを生成するように構成される、チャネル生成システムと、
(i)前記標的組織、(ii)前記標的組織内の前記感染領域に結合した真菌、及び(iii)前記レーザービームとの相互作用の結果として前記標的組織の近位に位置する隣接組織のうちの1つ以上によって生成される第1の放射線を検出するように構成された検出システムと、
前記少なくとも第1のチャネル内に活性治療薬を堆積させるように構成された送達システムと、
を備える、治療システム。
【請求項2】
前記検出システムから、検出された前記第1の放射線を示す第1の検出信号を受信し、前記標的組織内の前記感染領域に結合した前記真菌の同一性を判定するように構成されたコントローラを更に備える、請求項1に記載の治療システム。
【請求項3】
前記第1の放射線は、前記真菌からの蛍光及び前記真菌に結合されたフルオロフォアの少なくとも1つである、請求項2に記載の治療システム。
【請求項4】
前記フルオロフォアは、5-ALA、ALAのエステル、及びppIXのうちの1つ以上を含む、請求項3に記載の治療システム。
【請求項5】
前記チャネル生成システムは、前記第1のチャネルに隣接する少なくとも第2のチャネルを生成するように構成され、前記少なくとも第2のチャネルは、前記活性治療薬を受容するように構成され、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネル内の前記受容された活性治療薬は、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルに隣接する前記標的組織の部分に拡散するように構成される、請求項2に記載の治療システム。
【請求項6】
前記標的組織は爪甲であり、前記隣接組織は爪床組織であり、前記第1のチャネルは、前記爪甲の上部近位表面と前記爪甲の下部遠位表面から延び、前記爪甲の前記下部遠位表面は前記爪床組織に隣接している、請求項2に記載の治療システム。
【請求項7】
前記検出システムは、前記レーザービームと前記爪床組織との間の相互作用に起因して生成される第2の放射線を検出し、前記レーザービームと前記爪床組織との間の相互作用を示す第2の検出信号を送信するように構成され、
前記チャネル生成システムは、前記第2の検出信号の受信に基づいて、前記レーザービームと前記爪甲との間の相互作用を終了するように構成される、請求項6に記載の治療システム。
【請求項8】
前記標的組織に1つ以上のドリル穴を生成するように構成されたドリルシステムを更に備える、請求項1に記載の治療システム。
【請求項9】
前記標的組織への変調圧力波の適用、前記標的組織への熱の適用、及び前記標的組織への超音波の適用のうちの1つ以上によって、前記第1のチャネル内で前記活性治療薬を搬送するように構成された搬送システムを更に備える、請求項1に記載の治療システム。
【請求項10】
前記変調圧力波は、前記標的組織上で第2のレーザービームを方向付けることによって生成される、請求項9に記載の治療システム。
【請求項11】
前記送達システムは、少なくとも前記活性治療薬を前記第1のチャネルの中へと噴霧することによって、前記第1のチャネル内に前記活性治療薬を堆積させるように構成される、請求項1に記載の治療システム。
【請求項12】
前記送達システムは、前記活性治療薬を備える使い捨てユニットパッケージと、前記活性治療薬の前記堆積後に前記第1のチャネルに適用されるように構成されたシーラント先端と備えるシリンジを含む、請求項1に記載の治療システム。
【請求項13】
前記活性治療薬は、粒子、リポソーム、ゲル、ポリマー、エマルジョン、軟膏、及び懸濁液のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の治療システム。
【請求項14】
前記第1のチャネルの、前記光軸に対して垂直に配向される断面は、円形、楕円形、又は、矩形のうちの1つとすることができる、請求項1に記載の治療システム。
【請求項15】
前記チャネル生成システムは、正方形パターン、三角形パターン、及び疑似ランダムパターンのうちの1つ以上に基づいて、前記標的組織内にチャネルのアレイを生成するように構成され、前記チャネルのアレイのピッチは、前記標的組織の感染度に基づく、請求項1に記載の治療システム。
【請求項16】
前記チャネルのアレイは、複数のレーザーサブビームによって生成され、前記複数のレーザーサブビームは、前記レーザービームを複数のサブビームに分割することによって生成される、請求項15に記載の治療システム。
【請求項17】
チャネルのアレイ内の隣接するチャネルの中心間の距離は、前記チャネルのアレイ内のチャネルの直径の2~10倍、3~7倍、4~6倍、及び4~5倍のうちの1つである、請求項15に記載の治療システム。
【請求項18】
近位開口部における前記チャネルの直径は、約30ミクロン~200ミクロンの範囲内である、請求項15に記載の治療システム。
【請求項19】
前記焦点体積に関連するスポット直径は約1~25マイクロメートルである、請求項1に記載の治療システム。
【請求項20】
前記活性治療薬は、爪真菌症の治療について承認された抗真菌薬のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の治療システム。
【請求項21】
方法であって、
所定のパターンで複数の別個のチャネルを形成するために、標的組織の感染領域を、約100nm~約400nmの範囲の波長を有し、光軸に沿って進み、かつ、前記標的組織内に又は前記標的組織に隣接して位置する焦点体積で合焦するレーザービームで露光することであって、前記チャネルの各々は、前記標的組織の上部近位表面から、隣接組織の近位の前記標的組織の下部遠位表面まで延び、前記チャネルの各々は、前記上部近位表面に、約30~200ミクロンの範囲の直径を有する開口部を有する、露光することと、
前記標的組織、前記標的組織内の前記感染領域に結合した真菌、及び前記レーザービームとの相互作用の結果として前記標的組織の近位に位置する前記隣接組織のうちの1つ以上によって生成される第1の放射線を検出することと、
前記チャネルのうちの少なくとも1つの中に、活性治療薬を堆積させることと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記標的組織は爪甲であり、前記隣接組織は爪床組織である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
コントローラによって、検出された前記第1の放射線を示す第1の検出信号を受信することと、
前記標的組織内の前記感染領域に結合した前記真菌の同一性を判定することと、
を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記レーザービームと前記爪床組織との間の相互作用に起因して生成される第2の放射線を検出することと、
前記レーザービームと前記爪床組織との間の相互作用を示す第2の検出信号を送信することと、
前記第2の検出信号の受信に基づいて、前記レーザービームと前記爪甲との間の前記相互作用を終了することと、
を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
コントローラによって、反射率共焦点顕微鏡及び光干渉断層撮影のうち少なくとも1つを使用して、第1のチャネルに関連する深さを判定することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記標的組織に変調圧力波を適用すること、前記標的組織に熱を適用すること、及び前記標的組織に超音波を適用することのうちの1つ以上によって、前記チャネルのうちの少なくとも1つの中で前記活性治療薬を搬送することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記活性治療薬の前記堆積後に前記チャネルにシーラント先端を適用することを更に含み、前記活性治療薬は、前記活性治療薬を備える使い捨てユニットパッケージと、前記シーラント先端とを備えるシリンジを含む送達システムによって適用される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記レーザービームへの曝露の前に、前記標的組織を軟化させることを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記活性治療薬は、爪真菌症の治療について承認された少なくとも1つの抗真菌薬である、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年3月15日に出願された米国仮特許出願第62/818,987号に対して米国特許法第119(e)条に基づく優先権を主張するものであり、その内容全体は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
爪真菌症(onychomycosis)は、爪の変色、肥厚化、及び爪床からの分離を引き起こすことがある真菌感染症である。感染した爪は、外見上、魅力的でなくなる傾向がある。これは、爪の障害の約50%を占めている。全世界の人口の約2~8%が、爪真菌症に感染している。様々な微生物(例えば、皮膚糸状菌(dermatophyte)、酵母様真菌(yeast)、非白癬菌性糸状菌(non-dermatophyte mold)など)によって引き起こされ得る。真菌性爪感染症の大部分は、皮膚糸状菌が原因であり、手指の爪よりも足指の爪が感染するのが一般的である。皮膚糸状菌は、活性形態である糸(糸状細胞)と、受動形態である菌糸によって繁殖する胞子とで存在することができる。いずれの形態も爪甲内に深く入り込む場合がある。他の医学的状態(例えば、糖尿病、末梢血管疾患、免疫疾患)に罹患している人々では、真菌感染症が複雑になる場合がある。爪真菌症の治療は感染箇所(例えば、つま先、手指など)に基づいて分類することができる。
【0003】
爪真菌症の正確な診断は、物理的かつ顕微鏡的な検査及び培養を包含することができる。過ヨウ素酸シッフ染色を使用した組織学的評価は、感染を検出する感度を高めることができる。爪真菌症の治療は、原因微生物(例えば、皮膚糸状菌、酵母様真菌、非白癬菌性糸状菌)の根絶につながることができ、それにより、感染した爪を正常な外観に戻すことができる。抗真菌薬の全身投与は、実行可能な治療であるが、有効性が限定的であり、肝毒性があり、他の重篤な副作用を引き起こし、かつ、一般的なスタチン系薬と強力に相互作用する。抗真菌薬の局所溶液の適用は、1)溶液は菌糸形態の皮膚糸状菌に対しては効果的であるが、胞子に対してはあまり効果的なく、胞子は、後でより多くの菌糸を作り出すことができるため、また、2)溶液が爪甲に浸透するのは難しいため、感染した爪に対する緩和作用が限定的になることがある。レーザーに基づく治療法は、爪真菌症の治療を行うために何らかの可能性を示してきたが、これまで採用してきた方法の有効性は限定的であり、一時的な除去しか認められず、治癒しない。
【0004】
また、爪真菌症を治療するための既存の方法には、爪真菌症に感染した爪の表面への局所軟膏(例えば、抗真菌薬)の適用が含まれる。しかしながら、このような治療方法の有効性は限定的である場合がある。例えば、局所軟膏の爪甲内への浸透は限定的であることがある(例えば、上述した爪甲の層状構造に起因して)。更に、爪甲の様々な層を通って拡散するのに十分に長く爪甲に局所軟膏が残らないことがある(例えば、爪甲と外部の物体(例えば、靴下、靴)との間の接触により、局所軟膏が除去されることがある)。代替的には、治療方法は、外科手術(例えば、爪の剥離)を包含することができ、このような外科手術は、痛みを伴い、感染につながり、かつ、長い治癒期間を要することがある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、真菌感染症(例えば、爪真菌症)の治療のための、改善された方法、システム、及びデバイスが提供される。
【0006】
治療システムには、標的組織の感染領域を、光軸に沿って移動し、標的組織内又は標的組織に隣接して位置する焦点体積で合焦するレーザービームで露光するように構成されたチャネル生成システムを含むことができる。レーザービームは、約100nm~約400nmの範囲の波長を有することができる。レーザービームは、感染領域内に少なくとも第1のチャネルを生成するように構成することができる。本治療システムはまた、(i)標的組織、(ii)標的組織内の感染領域に結合した真菌、及び(iii)レーザービームとの相互作用の結果として標的組織の近位に位置する隣接組織のうちの1つ以上によって生成される第1の放射線を検出するように構成された検出システムを含むことができる。本治療システムはまた、少なくとも第1のチャネル内に活性治療薬を堆積させるように構成された送達システムを含むことができる。
【0007】
一実装形態では、本治療システムは、検出システムから、検出された第1の放射線を示す第1の検出信号を受信し、標的組織内の感染領域に結合した真菌の同一性を判定するように構成されたコントローラを更に含むことができる。別の実装形態では、第1の放射線、真菌からの蛍光及び真菌に結合されたフルオロフォアの少なくとも1つである。一実装形態では、フルオロフォア、5-ALA、ALAのエステル、及びppIXのうちの1つ以上を含む。
【0008】
一実装形態では、チャネル生成システムは、第1のチャネルに隣接する少なくとも第2のチャネルを生成するように構成されている。少なくとも第2のチャネルは、活性治療薬を受容するように構成されている。第1のチャネル及び第2のチャネル内の受容された活性治療薬は、第1のチャネル及び第2のチャネルに隣接する標的組織の部分に拡散するように構成されている。別の実装形態では、標的組織は爪甲であり、隣接組織は爪床組織であり、第1のチャネルは、爪甲の上部近位表面と爪甲の下部遠位表面から延び、爪甲の下部遠位表面は爪床組織に隣接している。検出システムは、レーザービームと爪床組織との間の相互作用に起因して生成される第2の放射線を検出し、レーザービームと爪床組織との間の相互作用を示す第2の検出信号を送信するように構成されている。チャネル生成システムは、第2の検出信号の受信に基づいて、レーザービームと爪甲との間の相互作用を終了するように構成されている。
【0009】
一実装形態では、本治療システムは、標的組織に1つ以上のドリル穴を生成するように構成されたドリルシステムを更に含むことができる。別の実装形態では、本治療システムは、標的組織への変調圧力波の適用、標的組織への熱の適用、及び標的組織への超音波の適用のうちの1つ以上によって、第1のチャネル内で活性治療薬を搬送するように構成された搬送システムを更に含むことができる。変調圧力波は、標的組織上で第2のレーザービームを方向付けることによって生成することができる。一実装形態では、送達システムは、少なくとも活性治療薬を第1のチャネルの中へと噴霧することによって、第1のチャネル内に活性治療薬を堆積させるように構成されている。
【0010】
一実装形態では、送達システムは、活性治療薬を備える使い捨てユニットパッケージと、活性治療薬の堆積後に第1のチャネルに適用されるように構成されたシーラント先端とを備えるシリンジを含む。別の実装形態では、活性治療薬は、粒子、リポソーム、ゲル、ポリマー、エマルジョン、軟膏、及び懸濁液のうちの1つ以上を含む。第1のチャネルの、光軸に対して垂直に配向できる断面は、円形、楕円形、又は矩形のうちの1つとすることができる。一実装形態では、チャネル生成システムは、正方形パターン、三角形パターン、及び疑似ランダムパターンのうちの1つ以上に基づいて、標的組織内にチャネルのアレイを生成するように構成されている。チャネルのアレイのピッチは、標的組織の感染度に基づく。
【0011】
一実装形態では、チャネルのアレイは、複数のレーザーサブビームによって生成され、複数のレーザーサブビームは、レーザービームを複数のサブビームに分割することによって生成される。別の実装形態では、チャネルのアレイ内の隣接するチャネルの中心間の距離は、チャネルのアレイ内のチャネルの直径の2~10倍、3~7倍、4~6倍、及び4~5倍のうちの1つである。チャネルの近位開口部におけるチャネルの直径は、約30ミクロン~200ミクロンの範囲内とすることができる。焦点体積に関連するスポット直径は約1~25マイクロメートルとすることができる。活性治療薬は、爪真菌症の治療について承認された抗真菌薬のうちの1つ以上を含むことができる。
【0012】
治療方法は、所定のパターンで複数の別個のチャネルを形成するために、標的組織の感染領域を、約100nm~約400nmの範囲の波長を有し、光軸に沿って進み、かつ、標的組織内に又は標的組織に隣接して位置する焦点体積で合焦するレーザービームで露光することを含むことができる。チャネルの各々は、標的組織の上部近位表面から、隣接組織の近位の標的組織の下部遠位表面まで延び、チャネルの各々は、上部近位表面に、約30~200ミクロンの範囲の寸法を有する開口部を有する。本方法は、標的組織、標的組織内の感染領域に結合した真菌、及びレーザービームとの相互作用の結果として標的組織の近位に位置する隣接組織のうちの1つ以上によって生成される第1の放射線を検出することを更に含むことができる。本方法は、チャネルのうちの少なくとも1つの中に、活性治療薬を堆積させることを更に含むことができる。
【0013】
一実装形態では、標的組織は爪甲であり、隣接組織は爪床組織である。一実装形態では、本方法は、コントローラによって、検出された第1の放射線を示す検出第1の検出信号を受信することと、標的組織内の感染領域に結合した真菌の同一性を判定することとを更に含むことができる。一実装形態ではでは、本方法は、レーザービームと爪床組織との間の相互作用に起因して生成される第2の放射線を検出することと、レーザービームと爪床組織との間の相互作用を示す第2の検出信号を送信することと、第2の検出信号の受信に基づいて、レーザービームと爪甲との間の相互作用を終了することとを更に含むことができる。
【0014】
一実装形態では、本方法は、コントローラによって、反射率共焦点顕微鏡及び光干渉断層撮影のうち少なくとも1つを使用して、第1のチャネルに関連する深さを判定することを更に含むことができる。別の実装形態では、本方法は、標的組織に変調圧力波を適用すること、標的組織に熱を適用すること、及び標的組織に超音波を適用することのうちの1つ以上によって、チャネルのうちの少なくとも1つの中で活性治療薬を搬送することを更に含むことができる。一実装形態では、本方法は、活性治療薬の堆積後にチャネルにシーラント先端を適用することを更に含むことができる。活性治療薬は、活性治療薬を備える使い捨てユニットパッケージと、シーラント先端とを備えるシリンジを含む送達システムによって適用される。一実装形態では、本方法は、レーザービームへの曝露の前に、標的組織を軟化させることを更に含むことができる。活性治療薬は、爪真菌症の治療について承認された少なくとも1つの抗真菌薬である。
【0015】
本開示の実施形態は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】真菌感染症に罹患している例示的な爪器官の図である。
図2A図1の爪器官の断面図を示す。
図2B】爪の構造に対する爪真菌症の影響を示す。
図2C】病変した爪を透過処理して爪床への直接的なアクセスを提供することの効果を示す。
図2D】皮膚糸状菌が爪甲の構造内にどのくらい深く入り込み得るかを示す。
図3】例示的な爪治療システムの様々なサブシステムの概略図である。
図4A】爪甲におけるチャネルの例示的な配置を示す。
図4B】爪甲におけるチャネルの例示的な形状及び配置を示す。
図5A】爪甲における例示的なチャネルのアレイの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図5B図5Aの画像の拡大バージョンを示す。
図6A】爪甲における別の例示的なチャネルのアレイの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図6B図6Aの画像の拡大バージョンを示す。
図6C】パルス型Nd:YAGレーザーを使用して生成されたモデル爪に生成されたマイクロチャネルのアレイの例示的な顕微鏡写真を示す。
図7】DPSSレーザービームを走査することによって生成される例示的なチャネルのアレイの顕微鏡写真を示す。
図8】薬物送達を向上させるための例示的なシステムを示す。
図9】レーザードリルチャネル内の薬物送達を向上させる真空及び圧力の効果を示す例示的な画像を含む。
図10】薬物送達システムの例示的実施形態を示す。
図11A】カルセイン色素の浸透の例示的な画像を示す。
図11B】カルセイン色素の浸透の例示的な画像を示す。
図12A】エキシマレーザーを使用して生成されたマイクロチャネルを通した色素溶液の送達に対する真空/圧力の例示的な効果を示す顕微鏡写真である。
図12B】エキシマレーザーを使用して生成されたマイクロチャネルを通した色素溶液の送達に対する真空/圧力の例示的な効果を示す顕微鏡写真である。
図13A】DPSSレーザーを使用して生成されたマイクロチャネルを通した色素溶液の送達に対する真空/圧力の例示的な効果を示す顕微鏡写真である。
図13B】DPSSレーザーを使用して生成されたマイクロチャネルを通した色素溶液の送達に対する真空/圧力の例示的な効果を示す顕微鏡写真である。
図14】様々な深さにおける図13Aのサンプルの断面の画像を示す。
図15】爪甲の真菌感染症を治療するための治療システムの例示的実施形態を示す。
図16】様々なチャネルからの治療薬の影響の例示的な重複を示す。
図17】例示的な治療システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面は必ずしも縮尺通りではないことを留意されたい。図面は、本明細書で開示する主題の典型的な態様のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。当業者には、本明細書で具体的に説明され、添付の図面に示されているシステム、デバイス、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されることが理解されよう。
【0018】
[定義]
別途定義されていない限り、本明細書で用いる技術及び科学用語は全て、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。不一致が生じる場合には、定義を含む本出願が優先されるものとする。
【0019】
「被検体」とは、マウス、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、畜牛、及び霊長類など、ヒト、家畜、及び、動物園の動物、スポーツ用動物又は愛玩動物を含む哺乳類の任意の構成動物を含む、脊椎動物である。
【0020】
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」「治療すること(treating)」、「治療(treatment)」などの用語は、関連する障害及び/又は症状の低減すること、又は改善することを意味する。排除するものではないが、障害又は状態を治療することは、関連する障害、状態、又は症状を完全になくすことを求めるものではないことが理解されるであろう。
【0021】
本明細書に提供される範囲は、その範囲内の値の全ての値の省略表現であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50(並びに、文脈により明示されていない限り、その小数部分)で構成される群の任意の数、数の組み合わせ、又はサブ範囲を含むと理解される。
【0022】
本開示では、「を備える(comprises)」、「を備えている(comprising)」、「を含んでいる(containing)」、及び「を有している(having)」などは、米国特許法に規定された意味を有することができ、「を含む(includes)」など、「本質的に~から成る(consisting essentially of)」、又は「本質的に成る(consists essentially)」も同様に、米国特許法に規定された意味を有し、用語は「オープンエンド」と呼ばれ、記載されるものより多い存在によって記載されるものの基本的若しくは新規の特徴が変化しない限り、記載されるものより多い存在を許容するが、先行技術の実施形態は除外する。
【0023】
他の定義4、本開示全体を通して文脈において明らかである。
【0024】
本明細書に開示するデバイス、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解を提供するために、ある特定の例示的実施形態について以下に説明する。これらの実施形態のうちの1つ以上が、添付の図面に示される。当業者には、本明細書で具体的に説明され、添付の図面に示されているデバイス、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されることが理解されよう。1つの例示的実施形態に関連して図示し、説明した特徴を、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような修正形態及び変形形態は、本開示の範囲に含まれることが意図される。
【0025】
本開示の実施形態は、爪真菌症の治療に関して詳細に記載されている。ただし、開示された実施形態は、限定的ではなく、他の医学的状態及び/又は美容的状態(例えば、真菌感染症など)の治療に採用することができる。真菌感染症の例としては、限定的ではなく、爪真菌症を挙げることができる。
【0026】
更に、本開示では、実施形態の類似する名前の構成要素は、一般に、類似の特徴を有し、したがって、特定の実施形態において、類似する名前の各構成要素の各特徴は、必ずしも完全に詳述されているわけではない。更に、開示されるシステム、デバイス、及び方法の説明において線形寸法又は円形寸法が使用される限り、このような寸法は、そのようなシステム、デバイス、及び方法と連携して使用できる形状の種類を限定することを意図するものではない。当業者には、任意の幾何学形状について、そのような線形寸法及び円形寸法の等価物を簡単に判定できるこが認識されるであろう。システム及びデバイス、並びにそれらの構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及びデバイスが使用される被検体の解剖学的構造、並びにシステム及びデバイスが使用される方法及び手順に応じて変わることができる。
【0027】
図1は、真菌感染症に罹患している例示的な爪器官100の図である。爪器官100は、爪母(図示せず)によって生成される爪甲102を含む。爪甲102は近位爪郭112(PNF)を介して出現する。爪甲102は、胎生爪皮104と呼ばれる皮膚の肥厚化層によって取り囲むことができる。(近位端において)PNFに隣接する爪甲102の一部分は、爪半月106と呼ばれる三日月形の領域を含む。爪母によって生成される爪甲102は、近位端108から爪器官の遠位端110まで成長する。
【0028】
図1に示すように、爪甲102は、真菌感染症(例えば、爪真菌症)に罹患している感染領域114を含む。真菌感染症は、爪甲102の所与の領域から始まることができ、爪甲102の他の領域まで広がることができる(例えば、x-yプレートでは横方向に広がり、z方向に沿って様々な深さまで垂直に広がる)。爪の成長方向に沿った(y方向に沿った)感染領域114の増殖速度が爪の成長速度よりも遅い場合、感染領域114を爪甲102から押し出すことができる。爪の成長方向に沿った感染領域114の増殖速度が爪の成長速度よりも速い場合、爪甲102は、感染したままの状態が継続し得る(例えば、感染が爪半月まで広がることがある)。真菌感染症は、真菌感染症の増殖速度を爪の成長速度よりも低減させることによって治療することができる。これは、例えば、真菌感染症の増殖に対するバリアを作ることによって(例えば、爪床にチャネルを生成することによって)、及び/又は、局所投薬を適用することによって行うことができる。
【0029】
図2Aは、爪器官100の断面図を示す。爪甲102は、毛細血管を含む爪床に重なっている。爪甲102は、薄く(例えば、約0.25~1mm)、硬質で、わずかに弾性のある半透明の凸形状であり、死滅して角質化した平坦な細胞の約80~90個の層で構成されているものとすることができ、これらの層は、多数の細胞間リンク、膜コーティング顆粒、及びデスモソームを介して互いに密接に結合している。爪甲102は、背層、中層、及び腹層に分けることができる。背層は、細胞数個分の厚さであり得るが、中層はより柔らかく、より柔軟であり得、爪甲102の最も厚い層を示すことができる。腹層は非常に薄く(例えば、わずか細胞約1~2個分の厚さである)、爪甲102を下にある爪床に接続することができる。
【0030】
図2Bは、爪器官に対する爪真菌症の影響を示す。爪甲は肥厚化し、層は分離することができる。
【0031】
図2Cは、爪甲を透過処理するために爪治療システムを使用する、爪器官内における変更の例示的な形態を示す。表示されているチャネルは、爪甲から爪床へのアクセスを提供するが、チャネルの側面から爪甲へのアクセスも提供する。
【0032】
図2Dは、皮膚糸状菌が爪甲102の構造内にどのくらい深く入り込み得るか、並びに、タイル状の構造により、菌糸又は胞子のいずれかに溶液を送達することがどのくらい難しくなり得るか、を示している。胞子は休眠状態であり、出芽して菌糸を再び形成するまで、薬物が存在しているにもかかわらず数か月から数年にわたって生存する。
【0033】
本明細書に記載されている爪治療のためのシステム及び方法は、爪甲102の真菌感染症の効果的かつ安全な治療を実現し、それにより、美容的外観の改善を成功することができる。このようなシステムや方法は、限定的ではなく、医療目的、獣医学的目的、美容目的、審美的目的を含む、様々な目的で使用され得ることが理解される。この治療は、爪甲102を通るチャネルを生成することを包含することができる(例えば、z軸に沿って垂直に延びるチャネルが図1及び図4に示される)。(例えば、液状形態、ゲル状形態、ガス状形態の)治療薬をこれらのチャネルに添加することができる。この技法により、爪甲102の表面に適用される治療薬では容易にアクセスできない爪甲102の部分(例えば、爪甲102の表面の下方の感染領域)に治療薬を到達させることが可能になる。例えば、チャネルは、爪甲102の異なる層の間で治療薬が効率的に拡散することを可能にする、治療薬のリポジトリとして機能する。チャネルは、爪の成長方向に沿った真菌感染症の増殖速度を低減することができるバリアとして機能することができる。
【0034】
一実装形態では、爪治療システムは、爪真菌症の治療のための包括的システムを含むことができる。爪治療システムは、真菌感染症の診断、爪甲102及び爪甲102の下方の爪床全体にわたる真菌感染症へのアクセス、局所抗真菌剤の送達、爪の成長の促進を実現するように構成することができる。爪治療システムは、(例えば、100~280nm、280~315nm、315~400nmなどの範囲の波長を有する)紫外線エネルギーを送達するレーザーを使用して、(例えば、爪甲102を通るチャネルの作成によって)感染区域へのアクセスを提供することができる。チャネルの作成後、爪治療は、チャネル内に抗真菌薬を堆積させることができる。
【0035】
図3は、例示的な爪治療システム300の様々なサブシステムの概略図である。爪治療システムには、診断システム302及び薬物送達システム304を含むことができる。診断システム302は、感染検出システム306、プロファイル判定システム308、及びチャネル生成システム310のうちの1つ以上を含むことができる。感染検出システムは、感染の性質、及び/又は感染症を罹患している爪甲の領域を検出することができる。感染の性質(例えば、真菌感染症の種類)は、爪甲に入力放射線を照射し、爪甲によって生成/反射される出力放射線を検出することによって検出することができる。検出された出力放射線(例えば、検出された出力放射線の波長)に基づいて、爪甲の真菌感染症の種類を判定することができる。例えば、所与の真菌に所定の波長の入力放射線を照射すると、出力蛍光信号の生成につながることがある(例えば、蛍光分光法)。蛍光信号(例えば、蛍光信号の波長)を(例えば、コントローラ内のプロセッサによって)真菌の蛍光信号のデータベースと比較して、所与の真菌の同一性を判定することができる。真菌の同一性に基づいて、治療過程(例えば、治療薬の種類)を判定することができる。
【0036】
また、蛍光信号を使用して、感染症に罹患している爪甲の領域を判定することができる。例えば、限定された横方向範囲(例えば、爪甲に平行)を有する入力放射線のビームを爪甲の上で平行移動させることができる。蛍光信号を生成する爪甲の部分、は真菌感染症に罹患しているものとして指定することができるが、信号を生成しない領域は、真菌感染していないと指定することができる。いくつかの実装形態では、カメラ又はセンサ(例えば、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS))が爪甲を画像化することができ、画像認識モジュールが、爪甲の、真菌感染症に罹患している部分を識別することができる。
【0037】
プロファイル判定システムを使用して、爪甲の表面プロファイルを判定することができる。これにより、合焦情報をチャネル生成システムに提供し、パターン生成の基準を提供することができる。プロファイルは、固定パターン、例えば、直線のアレイを有する構造化照明を使用して判定することができる。パターンの歪みを使用して、表面の深さ及び形状を判定することができる。表面プロファイルを判定するために使用することができる他の技法として、干渉法、及び測定プローブを使用する機械的走査が挙げられる。いくつかの実装形態では、線のグリッドを表面上に投影して特徴付けることができる。カメラ又はセンサは、表面の線を閲覧することができ、画像処理アルゴリズムは、真直度からの偏差を検出することができる。表面(例えば、爪甲の表面)が平面である場合、パターンは直線のグリッドになるが、表面に輪郭がある場合には線が湾曲しているように見える。画像処理アルゴリズムは、表面上に見えるパターンから表面プロファイルを抽出することができる。いくつかの実装形態では、合焦したレーザービームが表面を走査することができる。走査経路内の各ポイントにおいて、(例えば、オートフォーカス機構を使用して)焦点が確実に爪の表面上にあるように、フォーカスレンズが移動することができる。様々な位置においてフォーカスレンズが移動する距離は、表面プロファイルを示す。いくつかの実装形態では、干渉法(例えば、光干渉断層撮影)を使用して表面プロファイルを判定することができる。例えば、爪に投影された平面電磁波は、入射及び反射ビームと干渉することがある。これにより、爪の輪郭に対応する位相シフト(例えば、異なるパス長)の検出が可能になり得る。いくつかの実装形態では、共焦点顕微鏡を使用して、爪甲の表面プロファイルを判定することができる。
【0038】
このチャネル生成システムは、爪甲を通るチャネル(例えば、図2Cに示すようにz軸に沿って垂直に延びるチャネル)を生成することができる。これは、例えば、爪甲にレーザービームを照射し、(例えば走査によって)チャネルを生成することが望ましい爪甲の部分にレーザービームを方向付けることによって行うことができる。走査は、ビームを移動するためにガルバノメータを使用して、あるいはビームを修正(例えば、リダイレクト、合焦、コリメート)するために使用される光学機器を物理的に移動させることによって実行することができる。チャネルは、チャネル密度を調節するために使用できる任意の数の望ましいパターン(例えば、直線パターン、円形パターン、六角形など)で生成することができる。また、チャネルの密度(例えば、単位面積あたりのチャネル数)は、爪甲の異なる領域で(例えば爪甲の長さに沿って)変動することができる。例えば、真菌感染症がより集中している爪甲の部分は、より集中したチャネルを含むように治療することができる。
【0039】
個々のチャネルを様々な幾何学形状で作成することができる。例えば、チャネルの断面(例えば、爪甲の表面に平行な断面)は、矩形形状、円形形状、楕円形状などを有することができる。図4Aは、楕円形状の断面を有するチャネル402の例示的な配置を示す。図に示すように、チャネルの断面は爪甲404の成長方向に沿って(例えば、近位端406から遠位端408までy軸に沿って)小さくなり、爪甲の成長方向に対して横方向に沿って(例えば、x軸に沿って)長くなる。いくつかの実装形態では、このような断面ジオメトリが望ましい場合がある。例えば、真菌感染症は、横方向と比較して、爪甲の成長方向に沿ってより速く広がることができる。図4Aに示す楕円形状の断面ジオメトリ(又は、爪の成長方向に対して横方向の方向に沿って伸長している他の幾何学形状)のチャネルは、爪甲の成長方向に沿った真菌感染症の広がりを低減させることができる。(例えば、近位端406から遠位端408への)真菌感染症の増殖速度が爪甲の成長速度よりも遅い場合、成長している爪甲によって真菌感染症を押し出すことができる。
【0040】
断面の形状/サイズは、爪甲の深さに応じて変動することができる。所望のチャネルの形状及びサイズは、真菌感染症の性質、真菌感染症の治療に必要な治療薬の量などに基づいて判定することができる。チャネルの深さは、各レーザーパルスのエネルギー及びパルス回数、効果的にはレーザービームに爪甲を曝露する時間に基づいて判定することができる。いくつかの実装形態では、チャネル生成システムは、チャネルの深さを判定するフィードバック機構を含むことができる。例えば、爪甲から爪床まで完全に(例えば、z軸に沿って爪甲の様々な層を通って)延びるようにチャネルを構成することが望ましいことがある。このようなフィードバック機構は、レーザービームが爪床(例えば、爪床の血管)と相互作用するときに生成される蛍光信号を検出することによって、レーザービームが爪床を損傷することを防止することができる。いくつかの実装形態では、チャネル生成システムは、レーザービームと爪床間の相互作用によって生成される蛍光信号を検出するように構成されたカメラ又はセンサを含むことができる。蛍光信号が検出されると、レーザービームを生成する光源をオフにすることができる。これにより、爪床の損傷を防止することができる。
【0041】
いくつかの実装形態では、マスクに大量のレーザービームを照射することによって、複数のサブビームを同時に生成することができる。複数のサブビームは、同時に複数のチャネルを生成することができる。一実装形態では、248nmで動作する高出力のブロードビームエキシマレーザーをマスク投影と共に使用して、パターン形成されたチャネル特徴部を生成することができる。レーザーはマスクを照射することができ、次いで、マスクを通過するレーザービームの一部分をレンズに送って、標的上の画像のサイズを縮小することができる。
【0042】
図4Bは、爪甲上のチャネルの例示的な配置及び形状を示す。図に示すように、チャネルの形状は、円形、楕円形(又は長楕円形)、矩形、螺旋形とすることができる。チャネルは、千鳥配置、矩形グリッドなどに配置することができる。爪は、遠位端に向かって外向きに成長するが、真菌感染症は、爪の遠位端から発生し、近位端に向かって後方に遊走する。真菌は、2つの形態、1)菌糸、活性形態、及び2)胞子、休眠形態で存在する。真菌は、胞子を介して繁殖する。菌糸が爪甲内のケラチンを消費することにより、爪甲が広がり、肥厚化が現れる。薬物は、活性の菌糸の形態では真菌感染症の治療で有効であるが、胞子の治療には有効でない。初期の薬物の適用は、菌糸を治療することはできるが、残っている胞子が発芽して菌糸が形成される。
【0043】
図4Bに示されている治療の1つの例示的な形態は、「プッシュブルーム法」と呼ばれる。チャネルを千鳥状にすることによって、真菌の増殖に対する障害を提供することができる。菌糸は、爪甲を通って移動する。千鳥状のチャネルは、図に示すように、菌糸を強制的にチャネルの外周の周りで遊走させる。これにより、有効な線形の真菌の遊走速度を遅くすることができる。爪の成長速度が真菌の遊走速度を超える場合、爪は、真菌を押し出すことが可能であり得る。チャネルに薬物を充填することによっても、この手法の効果を向上させることができる。
【0044】
図5Aは、上述したレーザーマスクの設定により生成される例示的なチャネルのアレイの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。チャネルは、19×19ホールアレイマスクを使用して生成される。チャネルは、約35マイクロメートルの平均入口直径を有することができ、約300マイクロメートルの深さを有することができる。図5Bは、図5Aの画像の拡大バージョンを示す。
【0045】
図6Aは、エキシマレーザーによって生成された別の例示的なチャネルのアレイの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。チャネルは、3×2ホールアレイマスクを使用して生成される。チャネルは、約75マイクロメートルの平均入口直径を有することができる。図6Bは、図6Aの画像の拡大バージョンを示す。
【0046】
図6Cは、マイクロレンズアレイを通って合焦する266nmのパルス光を生成するパルス型Nd:YAGレーザーを使用して生成されたモデル爪に生成されたマイクロチャネルのアレイの例示的な顕微鏡写真を示す。チャネルは、約50~70マイクロメートルの平均入口直径を有することができる。
【0047】
一実装形態では、355nmで動作するダイオードポンプ固体(DPSS:diode-pumped solid-state)レーザーを使用してチャネルを生成することができる。図7は、DPSSレーザービームを走査することによって生成される例示的なチャネルのアレイの顕微鏡写真を示す。チャネルは、約70マイクロメートルの平均入口直径を有することができる。DPSSレーザー(例えば、0.1の開口数(NA)を有する合焦光学機器を使用する)のスポットサイズの直径は、4.3マイクロメートルであり得る。直径約70マイクロメートルのチャネルは、70マイクロメートルの直径を有する区域内でレーザービームを動かすことによって生成することができる。
【0048】
いくつかの実装形態では、レーザービームは、紫外線レーザー(例えば、約100~280nm、280~315nm、315~400nmなどの範囲内の波長を有する)であり得る。いくつかの実装形態では、レーザービームは、エキシマレーザー(例えば、157nm、193nm、248nm、308nm、351nmなどで動作する)、DPSSレーザー(例えば、213nm、266nm、355nmなどで動作する)、及びUV光を生成する他のレーザーシステムのうちの1つ以上によって生成することができる。レーザービームの幅(例えば、ガウシアンビームのレイリー長など)は、約100マイクロメートル未満であり得る。
【0049】
チャネルを生成するために紫外線波長のレーザービームを使用することは、より長い波長のレーザービーム(例えば、COレーザー)の使用に勝るいくつかの利点がある。例えば、より短い波長のレーザービームは、より微細な特徴(例えば、より小さい直径)を有するチャネルを生成することができる。治療薬(例えば、チャネル内に堆積される)と爪甲との間の接触面積をより大きくすることができるため、より微細な特徴を有するチャネルを生成することが望ましい場合がある。穴を小さくすることにより、より大きな穴と比較して、爪の構造的な完全性を確保しながら、有効表面積をより大きくすると共に、チャネル実装密度をより高くすることが可能になる。これにより、爪甲内の(例えば、爪甲の様々な深さでの)治療薬の拡散を向上させることができ、図16に示すように、(例えば、隣接するチャネル内の治療薬から)治療薬の影響の重複範囲が可能になる。
【0050】
UV範囲で動作するレーザーによるチャネル生成の機構は、より長い波長(例えば、可視、赤外線)を有するレーザーによって生成されるものとは異なり得る。例えば、UVレーザーは分子結合を破壊し、チャネル生成中の発熱を防止/低減することができる。より大きな波長(可視又は赤外)で動作するレーザーは、爪甲を加熱することによってチャネルを生成することができる。発生した熱は、全方向に広がり、爪甲の望まれない部分を損傷する可能性がある。合焦したレーザービームのウエストのサイズは、レーザー波長に比例して変動する(例えば、レーザーの波長が大きくなると、ビームのウエストが大きくなる)。つまり、UV範囲で動作するレーザーは、より高い波長のレーザーよりも、ビームの焦点をより小さくすることができる。そのため、UVレーザーを使用することにより、爪甲の望まれない部分への熱損傷を防止しながら、チャネルの形状をより良好に制御することができる。
【0051】
いくつかの実装形態では、1つ以上の針(例えば、加熱された針のアレイ)を使用してチャネルを生成することができる。爪甲の上で加熱された針を所望の位置(例えば、爪甲の感染部分)まで移動させることができるアクチュエータに、針(又は加熱された針のアレイ)を結合することができる。いくつかの実装形態では、針を加熱し、それにより、比較的簡単に針がチャネルを生成できるようにすることができる。
【0052】
爪治療システムは、治療薬(例えば、局所薬)をチャネル内に堆積させるための薬物送達システムを含むことができる。いくつかの実装形態では、真空と圧力との組み合わせを使用して治療薬を送達することができる。治療薬は、液相、気相、又はそれらの組み合わせとすることができる。治療薬は、熱帯性薬物を(例えば、正圧で)チャネルへと押し出すことができる薬物堆積機構(例えば、噴霧器又はシリンジ)によってチャネルに堆積させることができる。
【0053】
いくつかの実装形態では、治療薬の堆積の前に/堆積中に爪甲の特性を修正することができる。例えば、化学的エンハンサー(例えば、パパイン、尿素、サリチル酸などの角質溶解薬、メルカプタン([2-メルカプトプロピオニル]グリシン、亜鉛、及びピリチオンナトリウム、8-メルカプトメントン、メソ-2,3-ジメルカプトコハク酸)、異性重亜硫酸ナトリウム、角質溶解剤(例えば、サリチル酸、尿素、グアニジン塩酸塩)など)を、治療薬の堆積の前に、爪甲に適用することができる。いくつかの実装形態では、チャネル内の治療薬の堆積を向上させるために、イオン導入及び超音波を爪甲に適用することができる。
【0054】
治療薬をチャネルの中に強制的に挿入すると、チャネル内に空気が密閉され、爪が逃げられないため、圧力上昇を創出することがある。この圧力上昇は、穴の中への薬物の注入に抵抗することがあり、完全な送達(例えば、特定の深さの治療薬の送達)を防止することがある。ただし、送達前及び/又は送達中に空気を除去するために真空を生成することにより、薬物の浸透を促進することができる。その後の圧力により、更に送達が向上し得る。図8は、薬物送達を向上させるための例示的なシステム800を示す。図に示すように、薬物送達システムには、感染した爪甲806を有する足804を受容するように構成されたチャンバ802(例えば、密閉バッグ又は他のチャンバ)を含む。爪甲806の初期の治療(例えば、(例えばUVレーザービームを使用した)爪甲におけるチャネルの生成、爪のUV光への露出、及び治療薬の適用)の後、足をチャンバ内に置くことができる。チャンバ802は密閉することができ、(例えば、真空ポンプを使用することによって)チャンバ内に真空圧を生成することができる。この真空圧により、治療薬をチャネルの中へと強制的に挿入することができる。いくつかの実装形態では、縦波(例えば、超音波)によって、治療薬をチャネル内へと搬送することができる。例えば、爪の表面に入射するQスイッチレーザーパルスは、爪甲内で波(例えば、衝撃波)を生成することができ、それにより、チャネルの中へと薬物を搬送することができる。いくつかの実装形態では、爪甲806を高温まで加熱して、爪甲を通る治療薬の拡散率を高めることができる。
【0055】
いくつかの実装形態では、治療薬の堆積後に爪甲を密閉することができる。例えば、チャネル内に治療薬を堆積させた後、治療薬がチャネルから出るのを防止することができるシーラントを爪甲の表面に適用することができる。これにより、爪甲に生成されたチャネルを閉じたリザーバにすることができ、治療薬が長い期間にわたって爪甲に拡散できるようにすることができる。
【0056】
いくつかの実装形態では、約-1atmの真空の後に、約1atmの圧力でPEG400を送達することによって、治療薬の送達を増大させることができる。図9は、フランツセルに装着された豚の皮膚にPEG400が送達されていることを示す。圧力(1分間、+1.0atm)、真空(1分間、-1.0atm)、圧力(1分間、+1.0atm)の3分サイクルをサンプルに適用するによって、能動充填を行った。
【0057】
図10は、薬物送達システム1000の例示的実施形態を示す。使い捨てユニットの投与パッケージ1002(例えば、バルブ付きシリンジに取り付けられたプラスチック製のアンプル)に(例えば液相の)治療薬を収容することができる。適合する封止先端1004は、治療薬をパッケージ1002から外に搬送するように構成されたシリンジ1006の端部にあり得る。シリンジ1006を方向1010に後退させることによって真空を生成することができる。次いで、バルブを開いて薬物を先端の中へと流すことができ、その後、バルブ1012を閉じることができる。シリンジ1006を押し下げることによって、治療薬を圧力下で送達することができる。いくつかの実装形態では、手動ポンプ、電気駆動式真空/圧力ポンプなどによって、真空/圧力を生成することができる。代替的な手法として、圧力/真空の適用を可能にするために、つま先、足、又は爪を含む身体の他の部分を包囲することが挙げられる。
【0058】
治療薬としては、液状形態の爪真菌症の治療について承認された適切な抗真菌薬(例えば、Efinaconazole局所溶液(Jublia)、Ciclopirox(Penlac)、Tavaborole(Kerydin))を挙げることができる。他の治療薬としては、以下の商品名の薬物(ジェネリック薬品名)の1つ以上の薬物を挙げることができる:Blis-To-Sol Powder(ウンデシレン酸)、Extina(Pro)(ケトコナゾール)、Mycostatin Topical(Pro)(ナイスタチン)、Naftin(Pro)(ナフチフィン)、Nizoral Topical(Pro)(ケトコナゾール)、Nyamyc(Pro)(ナイスタチン)、Tinactin(トルナフタート)、Zeasorb-AF(ミコナゾール)、Zeasorb-AF Dryingゲル(ミコナゾール)、Vusion(Pro)(ミコナゾール/酸化亜鉛)、Spectazole(Pro)(エコゾナール)、Loprox(Pro)(シクロピロクス)、Lotrimin AF Athlete’s Foot Powder(ミコナゾール)、Oxistat(Pro)(オキシコナゾール)、Pedi-Dri(Pro)(ナイスタチン)、Penlac(Pro)(シクロピロクス)、Xolegel(Pro)(ケトコナゾール)、Ertaczo(Pro)(セルタコナゾール)、Nizoral Shampoo(ケトコナゾール)、Nizoral A-D(ケトコナゾール)、Jublia(Pro)(エフィナコナゾール)、Nystop(Pro)(ナイスタチン)、Penlac Nail Lacquer(シクロピロクス)、Lamisil AT(Pro)(テルビナフィン6)、Kerydin(Pro)(タバボロール)、Pedipirox-4(シクロピロクス)、Dermagran AF(ミコナゾール)、Fungi-Nail(ウンデシレン酸)、M-Zole 3(ミコナゾール)、Absorbine Athlete’s Foot(トルナフタート)、Absorbine Jr Antifungal(トルナフタート)、Aftate(トルナフタート)、Aloe Vesta(ミコナゾール)、Athletes Foot Cream(テルビナフィン)、Azolen(ミコナゾール)、Baza Antifungal(ミコナゾール)、Blis-To-Sol(トルナフタート)、Canesten(クロトリマゾール2)、Clarus Antifungal(トルナフタート)、CNL8 Nail(Pro)(シクロピロクス)、Critic-Aid Clear AF(ミコナゾール)、Cruex(ウンデシレン酸)、Cruex Prescription Strength(ミコナゾール)、DermaFungal(ミコナゾール)、Desenex Antifungal Atheletes Foot Spray Liquid(ミコナゾール)、Desenex Antifungal Cream(クロトリマゾール)、Desenex Antifungal Foot Cream(ミコナゾール)、Desenex Jock Itch(ミコナゾール)、Ecoza(Pro)(エコナゾール)、Elon Dual Defense Anti-Fungal Formula(ウンデシレン酸)、Exelderm(Pro)(スルコナゾール)、Exoderm(サリチル酸/チオ硫酸ナトリウム)、Fungi-Guard(トルナフタート)、FungiCURE Pump Spray(クロトリマゾール)、Fungoid(ミコナゾール)、Ketodan(Pro)(ケトコナゾール)、Kuric(ケトコナゾール)、Lamisil AF Defense(トルナフタート)、Lamisil AT Cream(テルビナフィン)、Lamisil AT Cream for Jock Itch(Pro)(テルビナフィン)、Lamisil AT Spray(Pro)(テルビナフィン)、Loprox TS(シクロピロクス)、Lotrimin AF Athlete’s Foot Cream(クロトリマゾール)、Lotrimin AF Deodorant Powder Spray(ミコナゾール)、Lotrimin AF Jock Itch Powder Spray(ミコナゾール)、Lotrimin Ultra Athlete’s Foot Cream(ブテナフィン)、Luzu(Pro)(ルリコナゾール)、Mentax(Pro)(ブテナフィン)、Micaderm(ミコナゾール)、Micatin(ミコナゾール)、Micro-Guard(ミコナゾール)、Miranel AF(ミコナゾール)、Mitrazol(ミコナゾール)、Monistat-Derm(Pro)(ミコナゾール)、Mycelex(Pro)(クロトリマゾール)、Mycocide NS(トルナフタート)、Myco Nail A(ウンデシレン酸)、Naftin-MP(ナフチフィン)、NuZole(ミコナゾール)、Nyata(ナイスタチン)、Ony-Clear(ミコナゾール)、Pediaderm AF(Pro)(ナイスタチン)、Podactin(トルナフタート)、Q-Naftate(トルナフタート)、Rash Relief Antifungal(ミコナゾール/酸化亜鉛)、Secura Antifungal(ミコナゾール)、Secura Antifungal Extra Thick(ミコナゾール)、Soothe&Cool Inzo(ミコナゾール)、Tetterine(ミコナゾール)、Tinactin Jock Itch(トルナフタート)、Tinaderm(トルナフタート)、Tinamar(トルナフタート)、Tinaspore(トルナフタート)、Ting(トルナフタート)、Triple Paste AF(ミコナゾール)、Undelenic(ウンデシレン酸)、Versiclear(サリチル酸/チオ硫酸ナトリウム)。
【0059】
チャネルは、感染区域への持続的アクセスを提供することができ、チャネルを介して送達される治療薬は、真菌感染症を浄化することができる。真菌感染症は、胞子と菌糸(胞子から出芽する)の2つの形態で存在することができる。いくつかの実装形態では、治療システムは、胞子から生じる新たな菌糸に対処するための反復治療を可能にすることができる。チャネルの中に送達される治療薬は、爪甲の中へと径方向並びに軸方向に拡散して、各チャネルの周囲に影響範囲を創出することができる。チャネルの間隔が狭くなると、有効範囲が最大の場合、影響の重複範囲が生じることができる。いくつかの実装形態では、治療薬(例えば、治療薬の拡散特性)に基づいてチャネル間の間隔を決定することができる。
【0060】
図11は、2940nmのEr:YAGレーザーを使用して生成されたチャネルからのカルセイン色素の浸透を示す例示的な画像を示す。チャネルは、約0.29mm(290マイクロメートル)の直径を有する。画像は蛍光共焦点顕微鏡を使用して得られ、強度は、色素の浸透と共に変動する。画像が示すように、カルセイン色素は、各チャネルの縁部から径方向に浸透する。
【0061】
一実装形態では、チャネルの周囲のモデル爪材料を通る物理的拡散は、有機溶剤であるジメチルスルホキシド(DMSO)と混合したAlexa Fluor 405を含む色素溶液を使用して評価することができる。Alexa Fluor 405は、2光子励起顕微鏡で使用するために考案された蛍光プローブであり、2光子励起顕微鏡を使用すると、モデル爪を通る色素溶液の拡散を3次元で(横方向及び厚さ方向に)視覚化することが可能になる。
【0062】
図12A及び図12Bは、(エキシマレーザーを使用して生成された)マイクロチャネルを通してモデル爪全体に色素溶液(例えば、DMSOと混合したAlexa Fluor 405を含む色素溶液)の例示的な送達を示す顕微鏡写真である。色素溶液をサンプルの表面に適用し、約30分間放置することができる。図12Aの顕微鏡写真は、(例えば、単孔マスクを用いてエキシマレーザーを使用して生成された)モデル爪内のチャネル及び790nm励起源の画像を示す。画像をフィルタ処理して色素蛍光を強調する。図12Aは、爪の中において横方向への浸透はほとんどないことを示す。爪甲の厚さを通る連続画像でも、蛍光はほとんど示されなかった。これは、爪の中にほとんど浸透しないことを示す。図12Bの顕微鏡写真は、光学フィルタなしで生成されたモデル爪内のチャネルの画像を示す。
【0063】
図13A及び図13Bは、モデル爪(「サンプル」)を通る(DPSSレーザーを使用して生成された)マイクロチャネルを通した色素溶液の送達に対する真空/圧力の例示的な効果を示す顕微鏡写真である。ジメチルスルホキシド(DMSO)と混合したAlexa Fluor 405を含む色素溶液をサンプルの表面に適用することができ、次いで、サンプルを真空下(約25in Hg)の真空チャンバに(例えば、約1分間)置くことができる。真空を解除してもよく、サンプルに更に多くの色素を適用してもよい。このプロセスを約30分間にわたって反復することができる。
【0064】
図13Aの顕微鏡写真は、(例えば、単孔マスクを用いてDPSSレーザーを使用して生成された)モデル爪内のチャネル及び790nm励起源の画像を示す。画像をフィルタ処理して色素蛍光を強調する。図13Aは、各穴の周囲だけでなく穴の間にも実質的な蛍光があることを示す。これは、図12A及び図12Bと比較して、爪の中への浸透が増加したことを示す。図13Bの顕微鏡写真は、光学フィルタなしで生成されたモデル爪内のチャネルの画像を示す。
【0065】
図14は、様々な深さにおけるサンプルの断面の画像を示す。画像の蛍光は、色素が厚さを通って浸透したことを示す。この画像は、30マイクロメートルの深さにわたる分散を示す。
【0066】
図15は、爪甲1510の真菌感染症を治療するための爪治療システム1500の例示的実施形態を示す。爪治療システムは、治療モジュール1502と、コントローラ1504と、ディスプレイ1506とを含むことができる。治療モジュール1502は、感染した爪甲を有する足を受容するように構成することができる。治療モジュール1502は、感染検出システム、プロファイル判定システム、チャネル生成システム、及び薬物送達システムのうちの1つ以上を含むことができる。ユーザは、ディスプレイ1506のインターフェースを介して、望ましい治療動作(例えば、感染の検出、爪プロファイルの判定、チャネルの生成、チャネル内での薬物の送達)を選択することができる。
【0067】
一実装形態では、インターフェースは、ユーザに、被検体の足を治療モジュール1502に置くように命令することできる。コントローラ1504は、治療モジュールに足が置かれたことを(例えば、治療モジュール内の圧力センサを介して)検出し、ユーザが利用可能である様々な治療の選択肢を示すアイコンを提示することができる。コントローラ1504は、ディスプレイ1506からユーザの選択を受信し、治療モジュールに、処置を実行するよう命令することができる。例えば、コントローラ1504は、治療モジュール1502の感染検出システムに、真菌感染症に対する蛍光分光法の実行、チャネルの生成などを命令することができる。検出された蛍光画像に基づいて、コントローラ1504は、真菌感染症を識別し、この情報をディスプレイ1506上に表示することができる。いくつかの実装形態では、コントローラ1504は、また、様々な治療の選択肢(例えば、推奨されるチャネルの特性、治療薬)をユーザに提供することができる。ユーザは、1つ以上の治療の選択肢を選択することができる。ユーザの選択に基づいて、コントローラ1504は、治療モジュール1502に、次の治療動作を実行するように命令することができる。爪治療システムのいくつかの実装形態は、様々な治療動作について別個の治療モジュールを含むことができる。
【0068】
図16は、様々なチャネル1602~1614からの治療薬の影響の例示的な重複を示す。これらのチャネル内に堆積した活性治療薬は、チャネルから外向きに(例えば、同心状の輪に沿って)拡散することができる。この結果、爪甲の一部分(例えば、領域1620)が、複数のチャネル(例えば、チャネル1602及び1608)から治療薬を受容することができるようにすることができる。
【0069】
図17に示すような一実装形態では、治療システム1700(又は治療システム300)は、光軸に沿って進むレーザービームで標的組織の感染領域を露光するように構成されるチャネル生成システム1702(又はチャネル生成システム310)を含むことができる。例えば、図17に示すように、チャネル生成システム1702は、標的組織1716の感染領域1712(例えば、爪甲)にレーザービーム1710を誘導することができる。レーザービーム1710は、標的組織1716内に又はそれに隣接して(例えば、標的組織の上方、標的組織内、標的組織の表面に、など)位地する焦点体積1714で合焦することができる。いくつかの実装形態では、レーザービーム1710は、約100nm~約400nmの範囲の波長を有することができる。レーザービーム1710は、感染領域1712内に1つ以上のチャネル(例えば、第1のチャネル)を生成することができる。
【0070】
チャネル生成システム1702は、(例えば、図16に示すように)第1のチャネルに隣接する1つ以上のチャネルを生成することができる。これらのチャネルは近位端1730から、隣接組織1718(例えば、爪床組織)の横にある遠位端1732まで延びることができる。第1のチャネル及び1つ以上の隣接チャネルは、活性治療薬を受容することができる。チャネル内の活性治療薬は拡散して、チャネルに隣接する標的組織の部分に拡散することができる。例えば、図16に示すように、溶液は、各チャネルから径方向に拡散し、チャネルからの影響の重複範囲を創出することができる。これにより、チャネル間の(例えば、第1のチャネルと第1のチャネルに隣接する第2のチャネルとの間の)領域までの活性治療薬の有効範囲を可能にすることができる。いくつかの実装形態では、治療システム1700は、標的組織1716にチャネル(又は穴)を生成/穿孔するためのドリルシステム(図示せず)を含むことができる。
【0071】
治療システム1700は、検出された放射線1720を示す検出システム1704から第1の検出信号1722を受信するように構成されたコントローラ1706を含むことができる。コントローラ1706は、信号1722(検出された放射線1720を更に示す)に基づいて、標的組織1716内の感染領域1712に結合した真菌の同一性を判定することができる。いくつかの実装形態では、治療システム1700は、(例えば、レーザービーム1710、ドリルシステムなどによって)標的組織1716内に生成されたチャネル内で活性治療薬を搬送するように構成された搬送システム1708を含むことができる。これは、例えば、標的組織1716への変調圧力波の適用、熱の適用、超音波の適用などによって行うことができる。いくつかの実装形態では、変調圧力波は、標的組織1716上で第2のレーザービームを方向付けることによって生成することができる。いくつかの実装形態では、コントローラ1706は、反射率共焦点顕微鏡及び光干渉断層撮影のうち少なくとも1つを使用して、第1のチャネルに関連する深さを検出することができる。
【0072】
治療システム1700は、標的組織1716、標的組織1716内の感染領域1712に結合した真菌、及びレーザービーム1710との相互作用の結果として標的組織1716の近位に位置する隣接組織1718(例えば、爪床)のうちの1つ以上によって生成される放射線1720を検出するように構成された検出システム1704を含むことができる。放射線1720は、真菌からの蛍光、真菌に結合したフルオロフォア(例えば、5-ALA、ALAのエステル、ppIX)のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実装形態では、放射線1720は、(例えば、第1のチャネルが近位表面1730から隣接組織1718まで延びるときに)レーザービーム1710と隣接組織1718との間の相互作用によって発生する放射線(「第2の放射線」)を含むことができる。
【0073】
検出システム1704は、第2の放射線を検出し、レーザービーム1710と隣接組織1718(例えば、爪床組織)との間の相互作用を示す第2の検出信号(例えば、検出信号1722に含まれる)を送信するように構成することができる。いくつかの実装形態では、コントローラ1706は、第2の検出信号に基づいて、第1のチャネルが隣接組織1718に到達したことを判定することができる。この判定に基づいて、コントローラ1706は、制御信号1724をチャネル生成システム1702に送ることができる。制御信号1724に基づいて、チャネル生成システム1702は、レーザービーム1710と標的組織1716及び/又は隣接組織1718との間の相互作用を終了させることができる。例えば、チャネル生成システム1702は、第1のチャネルが隣接組織1718に到達したときに、レーザービーム1710の生成を停止することができる。
【0074】
治療システム1700はまた、少なくとも第1のチャネル内に活性治療薬を堆積させるように構成された送達システム(例えば、図10で説明する送達システム)を含むことができる。いくつかの実装形態では、送達システムは、活性治療薬を第1のチャネルの中へと噴霧することによって、第1のチャネル内に活性治療薬を堆積させるように構成されている。活性治療薬は、粒子、リポソーム、ゲル、ポリマー、エマルジョン、軟膏、懸濁液などのうちの1つ以上を含むことができる。活性治療薬は、爪真菌症の治療について承認された抗真菌薬を含むことができる。いくつかの実装形態では、送達システムは、使い捨てユニットパッケージとシーラント先端とを含むことができるシリンジ(例えば、図10に示すシリンジ)を含むことができる。使い捨てユニットパッケージは、活性治療薬を保管することができる。活性治療薬の堆積後に、シーラント先端を第1のチャネルに適用することができる。
【0075】
いくつかの実装形態では、第1のチャネルの断面を光軸に対して垂直に配向することができる。断面は、円形、楕円形、又は矩形のうちの1つ以上である。例えば、レーザービーム1710が、z軸に沿って配向された光軸に沿って方向付けられている場合、断面は、x-y平面内で方向付けることができ、前述の形状のうちの1つを有することができる。いくつかの実装形態では、チャネル生成システム1702は、標的組織1716内にチャネルのアレイを生成するように構成することができる。図4Bに示すように、チャネルのアレイは、正方形パターン、三角形パターン、疑似ランダムパターンなどのうちの1つ以上で配置することができる。チャネルのアレイのピッチは、標的組織1716の感染度に基づくことができる。例えば、標的組織1716が高度に感染している場合、ピッチを小さくすることができる。いくつかの実装形態では、チャネルのアレイは、複数のレーザーサブビームによって生成することができ、複数のレーザーサブビームは、レーザービーム(例えば、レーザービーム1710)を複数のサブビームに分割することによって生成される。
【0076】
いくつかの実装形態では、チャネルのアレイ内の隣接するチャネルの中心間の距離は、チャネルのアレイ内のチャネルの直径(例えば、光軸に対して垂直なチャネルの断面における直径)の約2~10倍、約3~7倍、約4~6倍、及び約4~5倍の範囲とすることができる。いくつかの実装形態では、近位開口部におけるチャネルの直径は、約30ミクロン~200ミクロンの範囲とすることができる。いくつかの実装形態では、焦点体積に関連するスポット直径は約1~25マイクロメートルの範囲内とすることができる。
【0077】
外観などを目的とする、様々な真菌感染症(例えば、爪真菌症)を治療する方法は、本明細書に記載したシステムを使用して実行することができる。このような方法を医師が実施することができるが、ユーザは、エステティシャンなどの医師でない者であってもよく、他の適切に訓練を受けた者が、医師の監督の有無にかかわらず、爪真菌症を治療するために本明細書に記載したシステムを使用してもよいことが理解される。
【0078】
当業者には、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が了解されよう。したがって、本発明は、追加される請求項が特定する場合を除発明特に図示及び記載されたものに限定されるものではない。本明細書で引用した全ての公報及び引例は、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
【0079】
本明細書に記載した主題は、本明細書に開示される構造的手段及びそれらの構造的等価物を含む、デジタル電子回路において、あるいは、コンピュータソフトウェア、ファームウェア又はハードウェアにおいて、あるいはそれらの組み合わせにおいて実装することができる。本明細書に記載した主題は、情報担体で(例えば、機械可読記憶デバイスで)有形に実施された、あるいは、データ処理装置によって実行するための、又はデータ処理装置(例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、又は複数のコンピュータ)の動作を制御する伝搬信号で実施された、1つ以上のコンピュータプログラムなどの1つ以上のコンピュータプログラム製品として実装することができる。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても知られている)は、コンパイル型原語又はインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、あるいはモジュール、構成要素、サブルーチン、又は演算環境における使用に好適な他のユニットとしてなど、任意の形態で展開してもよい。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応していなくてもよい。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部分を、対象のプログラムに専用の単一ファイルに、又は、複数の調整されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部分を保存するファイル)に保存することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように展開しても、あるいは、1つのサイトにある、若しくは複数のサイトにわたって分散し、通信ネットワークで相互接続する複数のコンピュータ上で実行されるように展開してもよい。
【0080】
本明細書に記載した主題の方法ステップを含む本明細書に記載したプロセス及び論理フローは、入力データを操作し、出力を生成することによって本明細書に記載した主題の機能を実行するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能プロセッサによって実行することができる。また、特定用途向け論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって、プロセス及び論理フローを実行してもよく、かつ、本明細書に記載した主題の装置を、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)として実装してもよい。
【0081】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサとしては、例として、汎用マイクロプロセッサと特定用途向けマイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ又はランダムアクセスメモリ、あるいはその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの重要な要素は、命令を実行するプロセッサ、並びに命令及びデータを保存するための1つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、データを保存するための1つ以上の大容量記憶デバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光学ディスクを含む、あるいは、それらとの間でデータを送受信するために光学的に結合される。コンピュータプログラム命令及びデータを実施するのに好適な情報担体は、例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、及び光学ディスク(例えば、CDディスク及びDVDディスク)を含む、全ての形態の不揮発性メモリを含む。プロセッサ及びメモリは、特定用途向け論理回路によって補完しても、あるいはそこに組み込まれてもよい。
【0082】
ユーザとの対話を行うために、本明細書に記載した主題は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば、CRT(陰極線管)モニタ又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタと、ユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)とを有するコンピュータ上に実装することができる。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話を行うことができる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、触覚フィードバック)とすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、発話入力、又は触覚入力を含む任意の形態で受け取ることができる。
【0083】
本明細書に記載した技法は、1つ以上のモジュールを使用して実装することができる。本明細書で使用される場合、用語「モジュール」は、コンピューティングソフトウェア、コンピューティングファームウェア、コンピューティングハードウェア、及び/又はそれらの様々な組み合わせを指す。ただし、最も狭義には、モジュールは、ハードウェア、ファームウェア上に実装されていないソフトウェア、又は、非一時的プロセッサにより読み取り可能な記録可能な記憶媒体上に記憶されるソフトウェアとしては解釈されない(すなわち、モジュールはソフトウェアではない)。実際には、「モジュール」は、プロセッサ又はコンピュータの一部など、少なくともいくつかの物理的な非一時的ハードウェアを常に含むように解釈すべきである。2つの異なるモジュールは、同じ物理的ハードウェアを共有することができる(例えば、2つの異なるモジュールは、同じプロセッサ及びネットワークインタフェースを使用することができる)。本明細書に記載したモジュールは、様々な適用例をサポートするように、組み合わせる、統合する、分離する、及び/又は複製することができる。また、特定のモジュールにおいて実行されるものとして本明細書にした機能は、特定のモジュールにおいて実行される機能の代わりに、又はそれに加えて、1つ以上の他のモジュール及び/又は1つ以上の他のデバイスにおいて実行してもよい。更に、モジュールは、複数のデバイス、及び/又は互いにローカル若しくはリモートの他の構成要素にまたがって実装することができる。また、モジュールは、1つのデバイスから移動させること、及び別のデバイスに加えることができ、及び/又は、両方のデバイスにモジュールを含めることもできる。
【0084】
本明細書に記載した主題は、バックエンド構成要素(例えば、データサーバ)、ミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンド構成要素(例えば、本明細書に記載した主題の実装形態とユーザが相互作用することができる、グラフィカルユーザインターフェース又はウェブブラウザを有する、クライアントコンピュータ)、あるいはそのようなバックエンド構成要素、ミドルウェア構成要素、及びフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムで実装することができる。システムの構成要素は、任意の形式又は媒体のデジタルデータ通信、例えば、通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及びやワイドエリアネットワーク(「WAN」)、例えばインターネットが挙げられる。
【0085】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて本願に使用される近似の文言は、関連する基本的な機能の変化を生じさせることなく許容範囲名で変動し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、用語「約(About)」、及び「実質的に(substantially)」によって修飾される値は、指定された精密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの事例では、近似の文言は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。明細書及び特許請求の範囲を通じて、範囲の限定を組み合わせること及び/又は相互に変更することができ、このような範囲は特定され、文脈又は文言が特に指定しない限り、そこに含まれる全てのサブ範囲を含む。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】